JP2003170496A - 熱収縮性ポリエステル系フィルムロールおよびその製造方法 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルムロールおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルムロール内での厚みの変動に起因する
トラブルの発生を低減することができ、加工性に優れた
熱収縮性ポリエステル系フィルムロールと、その製造方
法を提供する。 【解決手段】 熱収縮性ポリエステル系フィルムを巻き
取ってなるフィルムロールであって、この熱収縮性ポリ
エステル系フィルムは、特定の試料切り出し部から切り
出した10cm×10cmの正方形状に切り出した試料
について測定した85℃での熱収縮率が、全ての試料に
ついて20%以上であり、上記試料切り出し部毎に別途
特定形状の試験片を複数採取し、該試験片について、前
記長さ方向における厚み変位測定を行ったとき、全ての
試料切り出し部において、下式(1)で規定される厚み
変動が、10%以下であることを特徴とする熱収縮性ポ
リエステル系フィルムロールである。 厚み変動=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100 (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムを巻き取ってなるフィルムロールに関し、
さらに詳しくは熱収縮性フィルムロール内での厚みの変
動による後加工の工程でのシワの発生やラベルの装着不
良などのトラブル発生が極めて少ない熱収縮性ポリエス
テル系フィルムロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性フィルムは加熱により収縮する
性質を利用して、収縮包装、収縮ラベルなどの用途に広
く用いられている。中でも、塩化ビニル系樹脂やポリス
チレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などからなる延伸フ
ィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容
器、ポリエチレン容器、ガラス容器などの各種容器にお
いて、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的
で使用されている。
【0003】これらの中でも、熱収縮性ポリエステル系
フィルムは、低温域から高温域までの広い温度範囲での
収縮仕上り性が優れており、ラベルにした際も美麗な光
沢感や透明性を有しており、多用されている。
【0004】熱収縮性ポリエステル系フィルムは、製造
後、一旦ロール状に巻き取られ、このフィルムロールの
形態で、各種図柄の印刷工程へ送られる。そして、印刷
終了後は、必要に応じて、最終製品に用いられるラベル
などのサイズに合わせてスリット加工され、さらに溶剤
接着などの手段によりフィルムの左右端部を重ね合わせ
てシールしてチューブ状体にされる。このチューブ状体
が裁断されて、ラベル、袋などの形態に加工される。そ
して、上記のラベルや袋などを容器に装着し、スチーム
を吹き付けて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチ
ームトンネル)や、熱風を吹き付けて熱収縮させるタイ
プの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を、ベルトコ
ンベアーなどにのせて通過させ、熱収縮させて容器に密
着させている。
【0005】上記印刷、スリット、溶剤接着の各加工工
程において、フィルムロール内における長尺フィルムの
長さ方向での厚みの差が大きいと(すなわち、厚みの変
動が大きいと)、フィルムの加工時にシワが発生した
り、厚み変動に起因する張力変動が発生して破断トラブ
ルの原因となる。また、長尺フィルムの長さ方向に直交
する方向の厚みの変動が大きいと、多色印刷時に各色の
重ね合わせが困難となり加工不良が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
なフィルムロール内での厚みの変動に起因するトラブル
の発生を低減することができ、加工性に優れた熱収縮性
ポリエステル系フィルムロールと、その製造方法を提供
することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】熱収縮性ポリエステル系
フィルムを巻き取ってなるフィルムロールであって、こ
の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルムの長さ
方向にフィルム物性が安定している定常領域におけるフ
ィルムの巻き始め側の端部を第1端部、巻き終わり側の
端部を第2端部とし、前記第2端部の内側2m以内の箇
所に1番目の試料切り出し部を、また、前記第1端部の
内側2m以内の箇所に最終の試料切り出し部を設けると
共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料
切り出し部を設け、夫々の試料切り出し部から10cm
×10cmの正方形状に切り出した試料を、85℃の温
水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に
10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮
率が、全ての試料について20%以上であり、上記試料
切り出し部毎にフィルムの長さ方向の長さが50cm、
幅が5cmの試験片を複数採取し、該試験片について、
前記長さ方向における厚み変位測定を行ったとき、全て
の試料切り出し部において、下式(1)で規定される厚
み変動が、10%以下であるところに要旨が存在する。 厚み変動=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100 (1)。
【0008】上記の特性を有する熱収縮性ポリエステル
系フィルムロールは、フィルムの定常領域全長に亘っ
て、優れた加工性と収縮仕上り性を有するものであり、
印刷、スリット、溶剤接着の各工程において、厚み変動
に起因するシワや蛇行、張力変動による破断の発生が極
めて少ない。また、熱収縮工程においても加工後の、ラ
ベルや袋などの単位での厚み変動が少ないため、装着ミ
スの発生が少なく安定した加工性を得ることができ、製
品の不良率を低減することが可能となる。
【0009】また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムロールでは、上記各試料切り出し部から採取し
た、フィルムの長さ方向に直交する方向(以下、単に
「直交方向」という場合がある)の長さが20cm、幅
が5cmの複数の試験片について、該試験片の長さ方向
(すなわち、フィルムの長さ方向に直交する方向)の厚
み変位を測定したとき、各試料切り出し部において、上
式(1)で規定される厚み変動が、8%以下であること
が好ましい。このような特性を有する熱収縮性ポリエス
テル系フィルムロールは、特にフィルムに多色の図柄を
印刷加工する際の加工性に優れ、複数の色を重ね合わせ
る場合にズレなどが生じ難く、非常にハンドリング性が
良好である。
【0010】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
ロールでは、該ロールを構成する熱収縮性ポリエステル
系フィルムが、2種以上の組成の異なるポリマーの混合
物から形成されているものであることが好ましい。この
ような場合には、フィルムの長さ方向において、厚みの
変動が起こり易く、本発明を適用する意義があるからで
ある。
【0011】熱収縮性ポリエステル系フィルムが、幅
0.2m以上、長さ300m以上である場合も、本発明
を適用しないとフィルムの長さ方向に厚みの変動が生じ
易いので、本発明を適用する意義がある。しかも、上記
幅および長さを有するフィルムは、加工性およびハンド
リング性に優れているため、本発明の好ましい実施態様
である。
【0012】このような本発明の熱収縮性ポリエステル
系フィルムロールを製造するに当たっては、原料ポリマ
ーを溶融押出後冷却して得られるフィルムを一旦巻き取
った後に、あるいは該冷却後引き続いて、延伸する工程
を含み、前記溶融押出工程において、原料ポリマーの吐
出量を平均吐出量±2%以内の範囲とする製造方法、お
よび/または前記溶融押出工程後のキャスティング工程
において、キャスティングロールの回転速度の変動を平
均速度±2%以内の範囲とする製造方法を採用すること
が推奨される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の熱収縮性ポリエステル系
フィルムロール(以下、単に「フィルムロール」という
場合がある)は、公知の多価カルボン酸成分と、多価ア
ルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる
構成ユニットとする単一の、あるいは2以上のポリエス
テルから得られる熱収縮性ポリエステル系フィルム(以
下、単に「フィルム」という場合がある)を巻き取って
なるものである。以下、本発明の熱収縮性ポリエステル
系フィルムロールを詳細に説明する。
【0014】[熱収縮率]本発明に係るフィルムは、フ
ィルムの長さ方向にフィルム物性が安定している定常領
域におけるフィルムの巻き始め側の端部を第1端部、巻
き終わり側の端部を第2端部とし、前記第2端部の内側
2m以内の箇所に1番目の試料切り出し部を、また、前
記第1端部の内側2m以内の箇所に最終の試料切り出し
部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約10
0m毎に試料切り出し部を設け、夫々の試料切り出し部
から10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を
85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25
℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方
向の熱収縮率が、いずれの試料においても20%以上で
ある。
【0015】本発明に係るフィルムにおいて、各試料切
り出し部は、フィルムの長さ方向にフィルム物性が安定
している定常領域に設けることとする。熱収縮性フィル
ムは、後述するように溶融した樹脂を押出して製膜し、
その後延伸することによって製造されるが、これら製膜
工程や延伸工程での操業が安定するまでは、フィルムの
物性は大きく変動する。また、製膜工程や延伸工程での
操業が安定した後でも、製膜条件や延伸条件を変更する
とフィルム物性は変動する。本発明では、上記製膜工程
や延伸工程での操業が不安定な時に得られるフィルムの
長さ方向や直交方向の厚みの均一化を図ることを技術思
想とするものではなく、これらの工程での操業が安定
し、製造が定常状態に入ったときに得られる物性の安定
したフィルムにおいて、従来よりも高度にフィルムの長
さ方向や直交方向の厚みの均一化を図るものである。
【0016】なお、フィルム物性が安定した定常領域
(製造が定常状態に入ったときに得られるフィルム部
分)の数は、通常、一本のフィルムロール中、一箇所
(フィルムロールに巻き取られたフィルム全長に亘って
一箇所の場合を含む)だけである。しかし、製造状況に
よっては複数箇所に存在することもあり得るので、この
場合、試料切り出し部は、定常領域でのみ設ければよ
い。上記定常領域は、例えば、後述の測定方法で得られ
る熱収縮率によって評価できる。すなわち、熱収縮率は
20%程度以内の幅(すなわち、複数のサンプルの熱収
縮率の最大値と最小値の差が20%程度以下)で安定し
ているところを定常領域と見ればよい。
【0017】上記の各試料の採取方法をより詳細に説明
する。例えば、長さ498mの熱収縮性フィルムがロー
ルに巻回されており、該フィルム中、巻き終わりから5
mの箇所が定常領域の始端(すなわち、第2端部)、巻
き始めから5mの箇所が定常領域の終端(すなわち、第
1端部)である場合、第2端部から2m以内までの間
で、最初の試料(i)を切り取る。続いて、切り取った
部分から100m離れたところで、2番目の試料(ii)
を切り取る。同様にして、200m目で3番目の試料
(iii)を、300m目で4番目の試料(iv)を、40
0m目で5番目の試料(v)を切り取る。ここで、残り
は100mよりも短くなるため、6番目(最終)の試料
(vi)は、定常領域の第1端部から2m以内のいずれか
の部分を切り取る。
【0018】上記の各試料切り出し部から得られた10
cm×10cmの試料について、最大収縮方向の熱収縮
率を測定する。ここで、最大収縮方向の熱収縮率とは、
試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であ
り、最大収縮方向は、正方形の縦方向または横方向の長
さで決められる。また、熱収縮率(%)は、10cm×
10cmの試料を、85℃±0.5℃の温水中に、無荷
重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25
℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸漬した後
の、フィルムの縦および横方向の長さを測定し、下記式
に従って求めた値である(以下、この条件で測定した最
大収縮方向の熱収縮率を、単に「熱収縮率」と省略す
る)。 熱収縮率=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷
(収縮前の長さ)。
【0019】フィルムの熱収縮率が20%未満である
と、フィルムの熱収縮力が不足して、容器などに被覆収
縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生する
ため好ましくない。より好ましい熱収縮率は40%以
上、さらに好ましくは60%以上である。また、フィル
ムの熱収縮率は70%以下であることが好ましい。
【0020】[フィルムの長さ方向の厚み変動]本発明
の熱収縮性フィルムロールに巻回されているフィルムで
は、フィルムの長さ方向において、厚みが均一であるこ
とが要求される。具体的には、フィルムの長さ方向での
厚み変位測定を、前記長さ方向の長さ50cm、幅5c
mの試験片について行ったとき、上述の各試料切り出し
部において、上記式(1)で求められる厚み変動が10
%以下でなければならない。
【0021】フィルムの長さ方向の厚み変動の測定は、
次のようにして行う。熱収縮率の測定方法で上述した各
試料切り出し部より得た各試料から、フィルムの長さ方
向(流れ方向)の長さが50cm、幅が5cmの試験片
を複数作成し、接触式厚み計にて試験片の長さ方向の厚
み測定を行い、最大厚み、最小厚み、および平均厚みを
求め、上式(1)により試験片における厚み変動を算出
した後、その平均値を各試料切り出し部におけるフィル
ムの厚み変動とし、フィルムの定常領域全長の厚み変動
の最大値および最小値を求める。
【0022】フィルムの長さ方向の厚み変動が10%を
超える箇所が存在すると、フィルムに印刷する際やセン
ターシールにより溶剤接着する際に、フィルムにシワが
入ったり、加工時のフィルム張力の変動により部分的な
印刷の抜けが発生したり、破断のトラブルが発生する場
合がある。さらに、フィルムの長さ方向の厚みの変動が
大きいと、このフィルムから製造したラベル・袋などの
製品単位での厚みの差が大きくなる。この場合、これら
のラベルなどを容器などに被覆収縮させる工程におい
て、製品間での剛性(腰)の差が生じて、装着ミスによ
る不良率が増大する。フィルムの長さ方向の厚み変動
は、9%以下であることが好ましく、8%以下であるこ
とがより好ましい。
【0023】次に本発明の熱収縮性ポリエステル系フィ
ルムロールに巻回されたフィルムの好適な物性について
説明する。
【0024】[フィルムの長さ方向に直交する方向の厚
み変動]さらに、本発明に係るフィルムでは、フィルム
の長さ方向に直交する方向の長さが20cm、幅が5c
mの試験片を上記各試料切り出し部から複数切り出し、
上述の「フィルムの長さ方向の厚み変動」の測定方法と
同様にして試験片の長さ方向(フィルムの長さ方向と直
交する方向)の厚みを測定したとき、この厚み変動が8
%以下であることが好ましい。
【0025】フィルムの長さ方向に直交する方向の厚み
変動が8%を超える箇所が存在すると、フィルムに多色
の図柄を印刷する際の加工性が悪くなり、複数の色を重
ね合わせる場合にズレを発生し易くなる。また、溶剤接
着でのチュービング加工においてもフィルムの接着部分
の重ね合わせが困難となる。さらに、フィルムの長さ方
向に直交する方向の厚み変動が8%を超えると、フィル
ムロール状態での部分的な巻き硬度の差が発生し、これ
に起因するフィルムのタルミやシワが発生して該フィル
ムが使用不能となる場合もある。上記直交方向の厚み変
動は6%以下がより好ましく、さらに好ましくは5%以
下である。
【0026】[最大熱収縮応力値]本発明のフィルムロ
ールに巻回されたフィルムでは、熱収縮率について上述
した各試料切り出し部から別途切り出した各試料につい
て測定される最大熱収縮応力値の平均値を算出したと
き、該平均値が4.0MPa以上であり、且つ各試料の
最大熱収縮応力値が該平均値±1.0MPa以内の範囲
に収まっていることが好ましい。
【0027】上記最大熱収縮応力値の測定方法は、以下
の通りである。 (1)熱収縮性フィルムから、最大収縮方向を長さ方向
とし、長さ200mm、幅20mmの試験片を切り出
す。 (2)熱風式加熱炉を備えた引張試験機(例えば、東洋
精機製「テンシロン」)の加熱炉内を、90℃に昇温す
る。 (3)送風を止め、加熱炉内に上記試験片を、チャック
間距離100mm(一定)でセットする。 (4)加熱炉の扉を静かに閉め、送風(90℃、吹き出
し速度5m/秒の熱風を、奥、左および右の三方向から
供給)を再開し、熱収縮応力を検出・測定する。 (5)測定チャートから最大値を読み取り、これを最大
熱収縮応力値(MPa)とする。
【0028】そして、各試験片の、最大熱収縮応力値の
測定結果から最大熱収縮応力値の平均値を算出する。平
均熱収縮応力値がX(MPa)で、試験片(i)(試験
片番号は、上記試料切り出し部の番号に対応する。以下
同じ。)の最大熱収縮応力値をY1(MPa)とする
と、|X−Y1|(X−Y1の絶対値)が1.0MPa
以下で、試験片(ii)〜(vi)についての最大熱収縮応
力値Y2〜Y6(MPa)においても同様に、|X−Y
n|がいずれも1MPa以下であることが、最大熱収縮
応力値の平均値±1.0MPaの意味である。換言すれ
ば、Ynの最大値YmaxとXとの差と、最小値Ymi
nとXとの差のいずれもが±1.0MPa以内であれ
ば、本発明の好ましい要件を満足する。
【0029】フィルムロール内での最大熱収縮応力値の
変動が平均値±0.5MPaを超えて±1.0MPa以
内の範囲の場合、被覆収縮させる工程(上述の熱収縮工
程)での調整により、収縮後の製品不良率をさらに低減
させることができる。さらに最大熱収縮応力値の変動が
平均値±0.5MPa未満の場合には、工程調整も不要
となる。上記最大熱収縮応力値の変動は、平均値±0.
4MPa以内の範囲であることがより好ましい。
【0030】また、上記最大熱収縮応力値の平均値が
4.0MPaを下回るフィルムでは、収縮応力の不足に
より容器などに被覆収縮させたフィルムが緩んだり、フ
ィルムの機械的強度不足により耐破れ性に劣るといった
問題が生じる傾向にある。より好ましくは4.5MPa
以上、さらに好ましくは5.0MPa以上である。
【0031】[溶融比抵抗値]本発明に係る熱収縮性ポ
リエステル系フィルムは、上記のように、フィルムの長
さ方向に直交する方向の厚み変動を抑制する観点から、
温度275℃における溶融比抵抗値が0.70×108
Ω・cm以下であることも推奨される。このようなフィ
ルムを用いると、以下に詳細に説明するように、フィル
ムの直交方向の厚みの均一性を高めることができ、フィ
ルムへの印刷性や、フィルムを容器に装着可能な形態に
加工する際の加工性(安定加工性)を高めることができ
る。
【0032】すなわち本発明では、押出機から溶融押出
ししたフィルムを導電性冷却ロール(キャスティングロ
ールなど)で冷却するに際して、押出機とキャスティン
グロールの間に電極を配設し、電極とキャスティングロ
ールとの間に電圧を印加し(すなわち、前記電極からフ
ィルムに電気を与え)、静電気的にフィルムをロールに
密着させることが推奨される。溶融比抵抗値が小さい
と、フィルムとロールとの密着性(静電密着性)を高め
ることができる。ロールへの静電密着性が低いと、キャ
スティングした未延伸フィルム原反の厚みが不均一化
し、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムにおい
ては厚みの不均一性がより拡大されてしまうのに対し、
静電密着性が十分に高い場合には、延伸フィルムにおい
ても厚みを均一化できる。
【0033】なお溶融比抵抗値を下げて静電密着性を高
めると、フィルムの長さ方向に直交する方向の厚みの均
一性を高めることができるだけでなく、フィルムの生産
性を高めることができ、フィルムの外観も向上できる。
すなわち、静電密着性が高いと、フィルムの冷却固化の
安定性を高めることができ、キャスティング速度(生産
速度)を高めることができる。また、静電密着性が高い
と、フィルムの冷却固化が不完全となって、ロールとフ
ィルムとの間に局部的にエアーが入り込み、フィルム表
面にピンナーバブル(スジ状の欠陥)が発生するのを防
止でき、フィルム外観を高めることもできる。
【0034】上記溶融比抵抗値は、好ましくは0.65
×108Ω・cm以下、さらに好ましくは0.60×1
8Ω・cm以下である。なお、ここでいう溶融比抵抗
値は、後述する実施例において用いる方法により測定さ
れる値である。
【0035】[耐破れ性]本発明のフィルムロールに巻
回されているフィルムは、良好な機械的強度を有してい
ることが好ましく、その目安として、フィルムの最大収
縮方向と直交する方向についての引張試験を、上記の各
試料切り出し部から切り出した複数の熱収縮性ポリエス
テル系フィルム試験片について、チャック間距離100
mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200
mm/分の条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験
片数が、試験片を採取したフィルムの各試料切り出し部
において、各試料切り出し部毎の全試験片数の10%以
下である。
【0036】なお、この試験条件は、JIS K 71
27に準じ、最大収縮方向と直交する方向の長さ200
mm、幅15mmの試験片を複数作成し、上記条件で引
張試験を行う。この際に、破断伸度が5%以下の試験片
数を各試料切り出し部毎に数え、これを各試料切り出し
部毎の試験片総数に対する百分率とし、上記破断率を算
出する。
【0037】上記条件は、換言すれば、5%も伸びない
うちに破断してしまう試験片が、いずれの試料切り出し
部においても、夫々の試料切り出し部毎の全試験片数の
10%(1割)以下である、という意味である。破断伸
度5%以下の試験片数は少なければ少ないほど好まし
く、0%であれば最も好ましい。
【0038】本発明に用いられる熱収縮性ポリエステル
系フィルムでは、主に最大収縮方向にポリエステル分子
が配向しているが、こうしたフィルムでは一般に、分子
の配向方向に沿って最も裂け易い。よって、上記条件を
満足し得ないフィルムでは、印刷やスリット、溶剤接着
などの工程において、フィルムにかかる張力の変動に基
づく破断のトラブルが発生し易くなるのである。
【0039】上記破断率を10%以下とするためには、
例えば、原料となるポリエステルの極限粘度は0.5d
l/g以上、好ましくは0.6dl/g以上であって、
1.3dl/g以下、好ましくは1.2dl/g以下と
し、さらに押出工程での極限粘度の低下を抑制すること
が望ましい。この詳細については、後述する。
【0040】次に、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムロールに巻回されたフィルムの組成について説明
する。
【0041】[フィルム組成]本発明では、熱収縮工程
において、低温から高温までの幅広い温度域において優
れた収縮仕上り性を有し、特に比較的低温域においても
収縮斑、シワ、歪みが少ない収縮仕上り外観を得ること
ができ、また美麗な光沢感や透明性を得ることができる
ことから、ポリエステル系樹脂から構成されるフィルム
を採用する。
【0042】ポリエステル系樹脂としては、多価カルボ
ン酸成分として、芳香族ジカルボン酸、それらのエステ
ル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸の1種以上を用い、
多価アルコール成分と重縮合した公知の(共重合)ポリ
エステルを用いることができる。芳香族ジカルボン酸と
して、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。またこれら
のエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリ
ールエステルなどの誘導体が挙げられる。また脂肪族ジ
カルボン酸としては、ダイマー酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸
などが挙げられる。その他、p−オキシ安息香酸などの
オキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリ
ット酸などの多価のカルボン酸を、必要に応じて併用し
てもよい。
【0043】多価アルコール成分としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、
1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリ
コール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアル
キレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グ
リセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキシテトラメ
チレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げ
られる。
【0044】また、多価アルコール類ではないが、ε−
カプロラクトンに代表されるラクトン類も一部使用して
よい。ラクトン類は、開環して両端にエステル結合を有
するユニットとなるものであり、1つのラクトン類由来
のユニットがカルボン酸成分であり、かつ、アルコール
成分であると考えることができる。よって、ラクトン類
を用いる場合、各多価アルコール成分の量は、フィルム
の全多価アルコール成分量に、ラクトン類由来のユニッ
ト量を加えた量を100モル%として計算する。また、
各多価カルボン酸成分の量を求める場合も、フィルムの
全多価カルボン酸成分量に、ラクトン類由来のユニット
量を加えたものを100モル%として計算する。
【0045】なお、本発明に係るフィルムでは、耐破れ
性、強度、耐熱性などを発揮させるために、結晶性のエ
チレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とする
ことが望ましい。しかし、エチレンテレフタレートユニ
ットは、フィルムの結晶性を高めるユニットであり、該
ユニットの含有率が高いフィルムでは、1,3−ジオキ
ソランなどによる溶剤接着性や、熱収縮率が不十分とな
る。よって、フィルムの結晶性を下げ、非晶化度合いを
高める成分を導入する必要がある。
【0046】フィルム中で非晶性のユニットを形成し得
るものとしては、上記例示の多価カルボン酸類や多価ア
ルコール類の中でも、例えば、イソフタル酸、ナフタレ
ン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、1,3
−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ルなどが特に好ましいものとして挙げられ、これら由来
の成分を少なくとも一種フィルム中に存在させること
で、フィルムの非晶化度合いを高めることができる。ま
た、1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオー
ルなどは、ポリエステルのガラス転移温度(Tg)を低
下させ、低温域での熱収縮性を向上させる作用も有す
る。
【0047】テレフタル酸成分以外の多価カルボン酸成
分を導入する場合、フィルム中の全多価カルボン酸成分
100モル%中、例えば、5モル%以上、好ましくは7
モル%以上、さらに好ましくは9モル%以上とすること
が推奨される。またエチレングリコール成分以外の多価
アルコール成分を導入する場合でも、フィルム中の全多
価アルコール成分100モル%中、例えば、5モル%以
上、好ましくは6モル%以上、さらに好ましくは7モル
%以上とすることが望ましい。非晶性向上成分を上記程
度導入することで、フィルムの溶剤接着性や熱収縮性を
確保することが可能となる。
【0048】また、上述したように、フィルムの耐破れ
性、強度、耐熱性などを考慮すれば、結晶性のエチレン
テレフタレートユニットが主たる構成成分であることが
好ましく、具体的には、構成ユニット100モル%中、
エチレンテレフタレートユニットが50モル%以上とな
るように選択することが推奨される。従って、多価カル
ボン酸成分100モル%中、テレフタル酸成分を50モ
ル%以上、多価アルコール成分100モル%中、エチレ
ングリコール成分を50モル%以上、とすることが好ま
しい。エチレンテレフタレートユニットは、55モル%
以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好まし
い。
【0049】ポリエステル系熱収縮性フィルムを構成す
るポリエステル原料は、単独でもよいし、2種以上を混
合して用いてもよい。単独の場合は、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエチレンテ
レフタレート以外のホモポリエステルが好ましい。ポリ
エチレンテレフタレート単独では、熱収縮性が発現しな
いからである。
【0050】熱収縮特性の点からは、Tgの異なる2種
以上のポリエステルをブレンドして使用することが好ま
しい。ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステ
ル(2種以上であってもよい)を混合して使用すること
が好ましいが、共重合ポリエステル同士の組み合わせで
あってもよい。また、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リシクロヘキシレンジメチルテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート同士を組み合わせたり、これらと他の
共重合ポリエステルを組み合わせて用いることもでき
る。最も熱収縮特性的に好ましいのは、ポリエチレンテ
レフタレートと、ポリブチレンテレフタレートと、エチ
レングリコールとネオペンチルグリコールとの混合ジオ
ール成分とテレフタル酸とからなる共重合ポリエステル
との3種類のブレンドタイプである。2種以上のポリエ
ステルを併用する場合は、例えば、夫々のポリマーのチ
ップをホッパ内でブレンドする(後述する)ことが、生
産効率の点からは好ましい。
【0051】また、フィルムの溶融比抵抗値を上記範囲
に制御するためには、フィルム中にアルカリ土類金属化
合物と、リン化合物とを含有させるのが望ましい。アル
カリ土類金属化合物だけでも溶融比抵抗値を下げること
ができるが、リン化合物を共存させると溶融比抵抗値を
著しく下げることができる。アルカリ土類金属化合物と
リン化合物とを組合わせることによって溶融比抵抗値を
著しく下げることができる理由は明らかではないが、リ
ン化合物を含有させることによって、異物の量を減少で
き、電荷担体の量を増大できるためと推定される。
【0052】フィルム中のアルカリ土類金属化合物の含
有量は、アルカリ土類金属原子M2を基準にして、例え
ば、20ppm(質量基準、以下同じ)以上、好ましく
は40ppm以上、さらに好ましくは50ppm以上、
特に60ppm以上であることが推奨される。アルカリ
土類金属化合物の量が少なすぎると溶融比抵抗値の低下
効果が十分に発揮されない。なお、アルカリ土類金属化
合物の含有量を多くし過ぎても、溶融比抵抗値の低減効
果が飽和してしまい、むしろ異物生成や着色などの弊害
が大きくなる。そのためアルカリ土類金属化合物の含有
量は、アルカリ土類金属原子M2を基準にして、例え
ば、400ppm以下、好ましくは350ppm以下、
さらに好ましくは300ppm以下であることが望まし
い。
【0053】フィルム中のリン化合物の含有量は、リン
原子Pを基準にして、例えば、5ppm(質量基準、以
下同じ)以上、好ましくは20ppm以上、さらに好ま
しくは40ppm以上、特に60ppm以上であること
が推奨される。リン化合物の量が少なすぎると、溶融比
抵抗値の低下効果が不十分となり、異物の生成量を低減
することもできない。なおリン化合物の含有量を多くし
すぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまう。
さらにはジエチレングリコールの生成を促進してしま
い、しかもその生成量をコントロールすることが困難で
あるため、フィルムの物性が予定していたものと異なる
虞がある。そのためリン化合物の含有量は、リン原子P
を基準にして、例えば、500ppm以下、好ましくは
450ppm以下、さらに好ましくは400ppm以
下、特に350ppm以下であることが望ましい。
【0054】アルカリ土類金属化合物、およびリン化合
物でフィルムの溶融比抵抗値を下げる場合、フィルム中
のアルカリ土類金属原子M2とリン原子Pとの質量比
(M2/P)は、1.2以上(好ましくは1.3以上、
さらに好ましくは1.4以上)であることが望ましい。
質量比(M2/P)を1.2以上にすることによって、
溶融比抵抗値を著しく低減できる。なお、質量比(M2
/P)が5.0を超えると、異物の生成量が増大した
り、フィルムが着色したりする。そのため質量比(M 2
/P)は、5.0以下、好ましくは4.5以下、さらに
好ましくは4.0以下であることが望ましい。
【0055】フィルムの溶融比抵抗値をさらに下げるた
めには、上記アルカリ土類金属化合物、およびリン化合
物に加えて、フィルム中にアルカリ金属化合物を含有さ
せることが望ましい。アルカリ金属化合物は、単独でフ
ィルムに含有させても溶融比抵抗値を下げることはでき
ないが、アルカリ土類金属化合物、およびリン化合物の
共存系に追加することで、溶融比抵抗値を著しく下げる
ことができる。その理由については明確ではないが、ア
ルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、およびリ
ン化合物の三者で錯体を形成することによって、溶融比
抵抗値を下げているものと推定される。
【0056】フィルム中のアルカリ金属化合物の含有量
は、アルカリ金属原子M1を基準にして、例えば、0p
pm(質量基準、以下同じ)以上、好ましくは5ppm
以上、さらに好ましくは6ppm以上、特に7ppm以
上であることが推奨される。なお、アルカリ金属化合物
の含有量を多くしすぎても、溶融比抵抗値の低減効果が
飽和してしまい、さらには異物の生成量が増大する。そ
のためアルカリ金属化合物の含有量は、アルカリ金属原
子M1を基準にして、例えば、100ppm以下、好ま
しくは90ppm以下、さらに好ましくは80ppm以
下であることが望ましい。
【0057】上記アルカリ土類金属化合物としては、ア
ルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、脂肪族カル
ボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、
芳香族カルボン酸塩(安息香酸塩)、フェノール性水酸
基を有する化合物との塩(フェノールとの塩など)など
が挙げられる。またアルカリ土類金属としては、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど
(好ましくはマグネシウム)が挙げられる。好ましいア
ルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、
マグネシウムメトキシド、酢酸マグネシウム、酢酸カル
シウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなどが例示
でき、特に酢酸マグネシウムが好ましい。上記アルカリ
土類金属化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組
み合わせて使用してもよい。
【0058】上記リン化合物としては、リン酸類(リン
酸、亜リン酸、次亜リン酸など)、およびそのエステル
(アルキルエステル、アリールエステルなど)、並びに
アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸およびそれら
のエステル(アルキルエステル、アリールエステルな
ど)などが挙げられる。好ましいリン化合物としては、
リン酸、リン酸の脂肪族エステル(リン酸のアルキルエ
ステルなど;例えば、リン酸モノメチルエステル、リン
酸モノエチルエステル、リン酸モノブチルエステルなど
のリン酸モノC1-6アルキルエステル、リン酸ジメチル
エステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジブチルエ
ステルなどのリン酸ジC1-6アルキルエステル、リン酸
トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン
酸トリブチルエステルなどのリン酸トリC1-6アルキル
エステルなど)、リン酸の芳香族エステル(リン酸トリ
フェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸のモノ、
ジ、またはトリC6-9アリールエステルなど)、亜リン
酸の脂肪族エステル(亜リン酸のアルキルエステルな
ど;例えば、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチル
などの亜リン酸のモノ、ジ、またはトリC1-6アルキル
エステルなど)、アルキルホスホン酸(メチルホスホン
酸、エチルホスホン酸などのC1-6アルキルホスホン
酸)、アルキルホスホン酸アルキルエステル(メチルホ
スホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチルなどのC
1-6アルキルホスホン酸のモノまたはジC1-6アルキルエ
ステルなど)、アリールホスホン酸アルキルエステル
(フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジ
エチルなどのC6-9アリールホスホン酸のモノまたはジ
1-6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸ア
リールエステル(フェニルホスホン酸ジフェニルなどの
6-9アリールホスホン酸のモノまたはジC6-9アリール
エステルなど)などが例示できる。特に好ましいリン化
合物には、リン酸、リン酸トリアルキル(リン酸トリメ
チルなど)が含まれる。これらリン化合物は単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0059】上記アルカリ金属化合物としては、アルカ
リ金属の水酸化物、炭酸塩、脂肪族カルボン酸塩(酢酸
塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、芳香族カルボン
酸塩(安息香酸塩)、フェノール性水酸基を有する化合
物との塩(フェノールとの塩など)などが挙げられる。
またアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウムなど(好ましくはナトリウム)が挙げられる。好
ましいアルカリ土類金属化合物としては、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウムなどが例示でき、特に酢酸
ナトリウムが好ましい。
【0060】本発明に係るポリエステル系フィルムを構
成するポリエステルは、常法により溶融重合することに
よって製造できるが、ジカルボン酸類とグリコール類と
を直接反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわ
ゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体と
グリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合す
る、いわゆるエステル交換法などが挙げられ、任意の製
造法を適用することができる。また、その他の重合方法
によって得られるポリエステルであってもよい。
【0061】なお、ポリエステル系フィルムの場合、押
出工程では、熱分解や加水分解によるポリエステルの極
限粘度の低下を考慮することが好ましい。極限粘度が低
過ぎると、フィルム中のポリエステルの分子量が低くな
るため、熱収縮する際の収縮応力が、収縮時間の経過に
したがって急激に低下するようになり、収縮初期に発生
した収縮白化や収縮斑などの欠点が、その後時間が経過
しても改善されることはなく、収縮仕上り性や外観が劣
るものとなる。さらにポリエステル系フィルムの分子量
の低下は、フィルムの機械的強度や耐破れ性を低下さ
せ、破断率悪化の原因ともなる。
【0062】本発明で用いるポリエステルは、上記の通
り、結晶性のエチレンテレフタレートユニットに、非晶
化度合いを高め、熱収縮性を確保するための他のユニッ
ト(例えば、テレフタル酸と、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールやネオペンチルグリコール、1,4−ブタ
ンジオールなどとから形成されるユニット)を導入して
得られるものである。このようなポリエステルをフィル
ム化するためには、少なくとも結晶性のエチレンテレフ
タレートユニット部分が溶融する温度で押出す必要があ
る。しかし、上記他のユニット部分は、エチレンテレフ
タレートユニット部分が溶融する温度よりも低い温度で
溶融(軟化)し得ると共に、エチレンテレフタレートユ
ニット部分よりも耐熱分解性・耐加水分解性が低い。よ
って、本発明のフィルムロールを製造する際に採用すべ
き溶融押出温度では、上記他のユニット部分において、
熱分解や加水分解が生じ易いのである。
【0063】このような事情から、本発明では、上記の
通り、原料となるポリエステルの極限粘度は0.5dl
/g以上、好ましくは0.6dl/g以上であって、
1.3dl/g以下、好ましくは1.2dl/g以下と
し、さらに押出工程での極限粘度の低下を抑制すること
が望ましい。上記極限粘度の低下抑制方法としては、原
料となるポリエステルを予備乾燥して水分率を好ましく
は100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下
とすることによって、溶融時のポリエステルの加水分解
を抑制することが挙げられる。この他、酸化防止剤を添
加し、熱分解を抑制することも有効である。
【0064】上記酸化防止剤の具体例としては、フェノ
ール類、ビスフェノール類、チオビスフェノール類、ポ
リフェノール類などのフェノール系酸化防止剤;ジフェ
ニルアミン類、キノリン類などのアミン系酸化防止剤;
ホスファイト類、ホスホナイト類などのリン系酸化防止
剤;チオジプロピオン酸エステル類等のイオウ系酸化防
止剤などが挙げられる。
【0065】より具体的な化合物を示せば、n−オクタ
デシル−β−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−
ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕(この化合物は、チバ
スペシャリティケミカルズ社から商品名「イルガノック
ス1010」として市販されている)、1,1,3−ト
リス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフ
ェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン
−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(こ
の化合物は、チバスペシャリティケミカルズ社から商品
名「イルガノックス1330」として市販されてい
る)、トリス(ミックスドモノおよび/またはジノニル
フェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタテト
ライルビス(オクタデシルホスファイト)(この化合物
は、旭電化社から商品名「PEP−36」として市販さ
れている)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル
ホスファイト)、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト)、ジラウ
リルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピ
オネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが挙
げられる。
【0066】これらの酸化防止剤は単独で使用しても良
く、2種以上を併用しても良い。一次酸化防止剤と二次
酸化防止剤とを併用することもできる。中でも二次酸化
を抑制する酸化防止剤が好ましく、中でもリン系の化合
物が特に好ましい。酸化防止剤の好ましい使用量は、押
出原料組成物中で0.01〜1質量%である。
【0067】なお、原料ポリエステルが、複数種のポリ
エステルの混合物である場合は、混合前の各ポリエステ
ルの極限粘度と質量比の積を算出し、混合物中に含まれ
る全ポリエステルの前記積を全て足して得られるポリエ
ステル混合物の極限粘度が、上記の範囲内であればよ
い。例えば、原料ポリエステルが、極限粘度:0.7の
ポリエステルaと極限粘度:1.2のポリエステルbの
混合物(質量比で、ポリエステルa:ポリエステルb=
0.6:0.4)の場合、該ポリエステル混合物の極限
粘度は、0.7×0.6+1.2×0.4=0.9であ
る。
【0068】ここで、上記のポリエステルの極限粘度
は、後述する実施例において用いる方法により測定され
る値である。
【0069】重合触媒としては、慣用の種々の触媒が使
用でき、例えば、チタン系触媒、アンチモン系触媒、ゲ
ルマニウム系触媒、スズ系触媒、コバルト系触媒、マン
ガン系触媒など、好ましくはチタン系触媒(チタニウム
テトラブトキシドなど)、アンチモン系触媒(三酸化ア
ンチモンなど)、ゲルマニウム系触媒(二酸化ゲルマニ
ウムなど)、コバルト系触媒(酢酸コバルトなど)など
が挙げられる。
【0070】上述の溶融比抵抗値を下げるための化合物
(アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン
化合物など)の添加時期は特に限定されず、エステル化
反応前、エステル化中、エステル化終了から重合工程開
始までの間、重合中、および重合後のいずれの段階であ
ってもよい。好ましくはエステル化工程の後の任意の段
階、さらに好ましくはエステル化終了から重合工程開始
までの間である。エステル化工程の後にアルカリ土類金
属化合物、リン化合物(および必要に応じてアルカリ金
属化合物)を添加すると、それ以前に添加する場合に比
べて異物の生成量を低減できる。
【0071】また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタ
ン、カオリン、炭酸カルシウム等の微粒子をフィルム原
料に添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤などを添加することも
できる。
【0072】次に、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムロールを得るための好ましい製造方法について説
明する。
【0073】本発明のフィルムロール、すなわち、フィ
ルムの長さ方向の厚み変動が抑制された長尺フィルムが
巻回されたフィルムロールを製造するに当たっては、
[I]フィルム組成の変動を抑制すること、[II]フィ
ルムの溶融押出工程において、原料ポリマーの吐出量の
変動を抑制すること、および/または溶融押出後のキャ
スティング工程において、キャスティングロールの回転
速度の変動を抑制すること、[III]フィルムの延伸工
程においてフィルム表面の温度変動を抑制すること、が
重要となる。このような製造方法を採用することで、フ
ィルムの長さ方向の厚み変動を、上記範囲内に制御する
ことが可能となる。また、特に[I]および[III]を実
施することは、上述したフィルムの熱収縮率や最大熱収
縮応力値を確保すると共に、この最大熱収縮応力値の変
動を抑制したり、耐破れ性を向上させる上でも好まし
い。
【0074】[フィルム組成の変動抑制]上述のよう
に、一般に熱収縮性ポリエステル系フィルムは、熱収縮
特性と強度などを両立させる観点から、2種以上の種類
・組成の異なるポリマーをブレンドしたり、共重合モノ
マー成分を複数にするなどして、主たる構成ユニット以
外に他の構成ユニットを原料ポリマー中に導入して、得
られるフィルムの特性を変化させる手法が採用されてい
る。ここで、他の構成ユニットをフィルム中に含有させ
る手法としては、共重合を行ってこの共重合ポリマーを
単独使用する方式と、異なる種類のホモポリポリマーあ
るいは共重合ポリマーをブレンドする方式とがある。
【0075】共重合ポリマーを単独使用する方式では、
フィルムロールに巻回された長尺フィルムにおいて、組
成の変動はほとんど起こらない。
【0076】一方、ブレンド方式では、ブレンド比率を
変更するだけでフィルムの物性を容易に変更でき、多品
種のフィルムの工業生産にも対応できるため、工業的に
は広く行われている。そして、このようなポリマーブレ
ンドの場合に、1本のロールに巻回されるフィルムの組
成変動や物性変動(厚みや最大熱収縮応力値などの変
動)が大きくなり易いことが見出されている。よって、
ブレンド方式の場合には、下記の手法を用いることが好
ましい。
【0077】(a)チップ形状の均一化 ブレンド方式では、通常、組成の異なる複数の原料ポリ
エステルチップをホッパ内でブレンドした後、溶融混練
して押出機から押出して、フィルム化する。例えば、原
料となるポリエステルが3種類ある場合、3個のホッパ
に夫々のポリエステルチップを連続式あるいは間欠式に
供給し、必要に応じて緩衝ホッパを介して、最終的に
は、押出機直前あるいは直上のホッパ(便宜上「最終ホ
ッパ」という)で3種類のポリエステルチップを混ぜな
がら、押出機の押出量に合わせて原料チップを定量的に
押出機に供給してフィルムを形成する。
【0078】ところが、最終ホッパの容量あるいは形状
によっては、最終ホッパ内のチップ量が多い場合と残量
が少なくなった場合に、最終ホッパから押出機へと供給
されるチップの組成が異なってくるという原料偏析の現
象が発生していることが本発明者等によって見出され
た。この問題は、各種ポリエステルチップの形状あるい
は比重が異なっている場合、特に、顕著に現れる。その
結果、長尺フィルムの組成(各エステルユニットなどの
含有率)が変動してしまうのである。
【0079】組成の変動の少ないフィルムを得るために
は、フィルムを構成するポリエステルの組成変動を低減
する手段として、使用する複数種のポリエステルチップ
の形状を合わせて、最終ホッパ内での原料偏析の現象を
抑止することが好ましい。
【0080】ポリエステルの原料チップは、通常、重合
後に溶融状態で重合装置よりストランド状で取り出さ
れ、直ちに水冷された後、ストランドカッターでカット
されて形成される。このため、ポリエステルのチップ
は、通常、断面が楕円形の楕円柱状となる。このとき、
使用量の最も多いポリエステルチップに混合される他の
ポリエステルチップとして、使用量の最も多いポリエス
テルの原料チップの断面楕円の平均長径(mm)、平均
短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対して、
夫々±20%以内の範囲であるものを用いれば、上記原
料偏析を低減させ得ることを突き止めた。これらの平均
値が夫々±15%以内の範囲のものを用いることがより
好ましい。
【0081】チップの大きさに違いがある場合、最終ホ
ッパ内をチップの混合物が落下していくときに、小さい
チップは先に落下し易い。このため、最終ホッパ内のチ
ップ残量が少なくなると、大きいチップの比率が多くな
り、これが原料偏析の原因になるのである。しかし、上
記範囲内のチップを用いることで、これらの原料偏析を
低減させることができ、組成の均一な長尺フィルムを得
ることができる。
【0082】なお、異なる組成のホモポリエステル同
士、あるいはホモポリエステルと共重合ポリエステルを
ブレンドして用いても、例えば、相溶性が悪いことに起
因するフィルムの白化などの問題は起こらない。これ
は、後述する押出機内での溶融混練工程で、原料ポリエ
ステルがかなり加熱されるため、夫々のポリエステルの
間でエステル交換反応が起こり、押出機から押出される
ときには、同じような組成の共重合ポリエステルの混合
物に変性する傾向があるからである。このことは、フィ
ルムのTgを示すピークが一つしか観察されないことか
らも確認できる。
【0083】(b)ホッパ形状の適正化 上述の最終ホッパ形状の適正化も、組成が均一な長尺フ
ィルムを得るための好ましい手段である。すなわち、最
終ホッパとして漏斗状ホッパを用い、その傾斜角を65
゜以上にすることで、大きいチップも小さいチップと同
様に落とし易くすることができ、内容物の上端部が水平
面を保ちつつ下降していくため、原料偏析の低減に効果
的である。より好ましい傾斜角は70゜以上である。な
お、ホッパの傾斜角とは、漏斗状の斜辺と、水平な線分
との間の角度である。最終ホッパの上流に複数のホッパ
を使用してもよく、この場合、いずれのホッパにおいて
も、傾斜角を65゜以上、より好ましくは70゜以上と
するとよい。
【0084】(c)ホッパ容量の適正化 ホッパ内での原料偏析を低減する手段として、使用する
ホッパの容量を適正化することも好ましい手段である。
ここで、ホッパの適正な容量としては、押出機の1時間
当たりの吐出量の15〜120質量%の範囲内である。
この吐出量の15質量%程度以上の容量がホッパにない
と、原料の安定供給が難しいこと、また、大きすぎるホ
ッパでは、原料チップ混合物が長時間に亘ってホッパ内
に留まることとなり、その間にチップの偏析が生じる恐
れがあること、などがホッパ容量を上記範囲内とする理
由である。ホッパ容量は、押出機の1時間当たりの吐出
量の20〜100質量%の範囲内であることがより好ま
しい。
【0085】(d)微粉体の低減 使用する原料チップの削れなどにより発生する微粉体の
比率を低減することも、フィルムの組成の変動を抑制す
るために好ましい手段である。微粉体が原料偏析の発生
を助長するので、工程内で発生する微粉体を除去して、
ホッパ内に含まれる微粉体の比率を低減することが好ま
しい。含まれる微粉体の比率は、原料チップが押出機に
入るまでの全工程を通じて、1質量%以内に制御するこ
とが好ましく、0.5質量%以内に制御することがさら
に好ましい。具体的には、ストランドカッターでチップ
形成時に篩を通す方法、原料チップを空送などする場合
にサイクロン式エアフィルタを通す方法などにより、微
粉体を除去すればよい。
【0086】長尺フィルムの組成の均一化を図るために
は、上記(a)〜(d)のいずれかを採用すればよい。
これらの4つの手段のうち、2つ以上を採用することが
より好ましく、(a)〜(d)のすべてを採用すること
がさらに好ましい。
【0087】[溶融押出工程および/またはキャスティ
ング工程における変動の抑制]本発明に係る熱収縮性ポ
リエステル系フィルムは、通常、原料ポリエステルをフ
ィルム形状に溶融押出し、これを冷却するためにキャス
ティングロールでキャスティングして未延伸フィルムと
し、この未延伸フィルムを延伸して製造される。そし
て、こうして得られた熱収縮性ポリエステル系フィルム
を巻き取って、本発明のフィルムロールが得られる。な
お、「未延伸フィルム」には、製造工程でのフィルム送
りのために必要な張力が作用したフィルムも含まれる。
【0088】こうしたフィルムロールの製造工程におい
て、フィルムロール内でのフィルムの長さ方向における
厚みの変動要因として、上記のフィルム組成の変動の他
に、ポリマーを押出す工程(溶融押出工程)での吐出量
変動と、溶融押出後、フィルムを冷却するためのキャス
ティング工程におけるキャスティングロールの回転速度
の変動が挙げられる。
【0089】溶融押出工程での吐出量の変動が大きい
と、未延伸フィルムにおいて、吐出量が大きい部分では
厚みが大きくなり、他方、吐出量が小さい部分では厚み
が小さくなる。また、キャスティング工程でのキャステ
ィングロールの回転速度の変動が大きいと、未延伸フィ
ルムにおいて、該ロールの回転速度が速いときにキャス
ティングされた部分では厚みが小さくなり、他方、回転
速度が遅いときにキャスティングされた部分では厚みが
大きくなる。このような厚みの不均一な未延伸フィルム
を延伸すると、より厚みの不均一性が拡大されてしま
う。
【0090】ポリマーの吐出量の変動については、溶融
押出工程中にギアポンプなどを導入して、常に一定量の
ポリマーを押出せるようにすることが好ましく、吐出量
を平均吐出量±2%以内の範囲とすることが推奨され
る。より好ましくは、平均吐出量±1%以内の範囲であ
る。
【0091】また、キャスティングロールの回転速度の
変動については、ロール駆動系の回転精度をインバータ
ーなどにより制御してキャスティングロールの回転速度
の変動を平均速度±2%以内の範囲とすることが好まし
い。より好ましくは、平均速度±1%以内の範囲であ
る。
【0092】なお、溶融押出工程での吐出量変動抑制
と、キャスティングロールの回転速度の変動抑制は、い
ずれか一方を行えばフィルムの長さ方向の厚み変動は改
善されるが、両方を実施することがより好ましい。
【0093】[延伸工程におけるフィルム表面温度の均
一化]長尺フィルムの物性(特に長さ方向の厚み)を変
動させる要因には、上述のポリマー成分の組成変動や、
溶融押出工程・キャスティング工程での変動の他に、フ
ィルムを延伸する際の工程変動も挙げられる。すなわ
ち、長尺フィルムの長さ方向の厚み変動を低減するに
は、フィルムを延伸する工程での温度変動を抑制して、
フィルムの表面温度の変動幅をできるだけ低減すること
が好ましい。
【0094】ポリエステル系フィルムの場合、テンター
を用いて横方向に一軸延伸する際には、延伸前の予備加
熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、再
延伸処理工程などがある。特に、予備加熱工程、延伸工
程の各段階および延伸後の熱処理工程において、任意ポ
イントにおいて測定されるフィルムの表面温度の変動幅
が、平均温度±1℃以内であることが好ましく、平均温
度±0.5℃以内であればさらに好ましい。
【0095】特に予備加熱工程、延伸工程、および延伸
後の熱処理工程での温度変動は、熱収縮率の変動に大き
く影響を及ぼす。従って、これらの工程でのフィルムの
表面温度の変動幅が小さいと、フィルム全長に亘って同
一温度で延伸や熱処理されることになって、フィルムの
物性(厚みなど)が均一化する。勿論、緩和処理や再延
伸処理工程においても、フィルムの表面温度の変動幅が
小さいことが好ましい。
【0096】フィルム表面温度の変動を小さくするに
は、例えば、フィルムを加熱する熱風の風速を制御でき
るようにインバーターを取り付けた風速変動抑制設備を
用いたり、熱源に500kPa以下(5kgf/cm2
以下)の低圧蒸気を使用して、熱風の温度変動を抑制で
きる設備などを用いるとよい。
【0097】任意ポイントにおいて測定されるフィルム
の表面温度の変動幅とは、例えば、延伸工程に入ってか
ら2m経過したところで、フィルム製造中、連続的にフ
ィルム表面温度を、例えば赤外式の非接触表面温度計で
測定した場合の変動幅をいう。1ロール分のフィルム製
造が終了した時点で、平均温度が算出できるので、フィ
ルム表面温度の変動幅が、平均温度±1℃以内であれ
ば、フィルムの定常領域の全長に亘って同条件で延伸さ
れていることとなり、フィルム物性(厚みなど)の変動
も小さくなる。
【0098】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
ロールを製造するに当たっては、以上の[I]〜[III]
以外にも、特に、フィルムの長さ方向に直交する方向の
厚みの変動を抑制する点で、以下の手法を採用すること
も好ましい。
【0099】[キャスティング工程における導電性冷却
ロールの採用]本発明に係るフィルムにおいては、フィ
ルムの長さ方向に直交する方向の厚みの変動を抑制する
ためには、上述したように、キャスティングロールに導
電性冷却ロールを採用し、押出機とキャスティングロー
ルの間に電極を配設し、電極とキャスティングロールと
の間に電圧を印加し(すなわち、前記電極からフィルム
に電気を与え)、静電気的にフィルムをロールに密着さ
せることが好ましい。なお、フィルムとロールの静電密
着性を確保するためには、フィルム中に、アルカリ土類
金属化合物、リン化合物、アルカリ金属化合物を、夫々
上述の範囲で含有させることが望ましい。
【0100】また、フィルムの長さ方向に直交する方向
の厚み変動を、長尺フィルム全長に亘って抑制するため
には、溶融ポリエステルを押出して冷却用ロールで冷却
する際のフィルムの静電密着性を、フィルム製造の初期
から終期に亘って安定化することが望ましい。そこで、
上記冷却の際に使用する電極として、電極汚染面の退避
手段と、電極非汚染面の供給手段とを備えている電極を
使用することが推奨される。すなわち溶融ポリエステル
の製膜中に電極から電気を与えて、フィルムを静電密着
させる場合、前記ポリエステルは複数種のポリマー(ホ
モポリマー、共重合ポリマーなど)やモノマーを含有し
ており、種々の低分子量成分を含有していることが多い
ため、溶融押出時に前記低分子量成分が揮発し、電極を
徐々に汚染する。そのためフィルムの生産を続けると、
徐々に電極の汚染が激しくなり、フィルムに十分な電気
を与えることができなくなり、フィルムの静電密着性が
低下してくる虞がある。そこで、上記特定の電極を用い
ることにより、電極汚染面を退避させ、代わりに非汚染
面を供給させて、電極面を汚れの少ないフレッシュな状
態に維持するのである。これにより、フィルムの生産を
続けても、静電密着性が低下してくる虞がなく、フィル
ムの長さ方向に直交する方向の厚み変動を、上記所定範
囲内とすることができる。
【0101】上記特定の電極としては、例えば、下記
(1)〜(3)の電極が例示できる。
【0102】(1)上記フィルム面と対面可能なワイヤ
ー状の電極であって、ワイヤーの送り出し装置(供給手
段)と、ワイヤーの巻取装置などの収納装置(退避手
段)とを備えた電極; (2)円筒状の電極であって、モーターなどの前記円筒
電極を回転させるための回転手段(この場合、回転手段
が供給手段と退避手段の双方を兼ねる)を備えた電極; (3)複数の電極ユニット(ワイヤー状電極ユニット、
ブラシ状電極ユニットなど)を備え、各電極ユニットを
独立してフィルムに近接させる近接手段(供給手段)
と、各電極ユニットを独立してフィルムから遠ざける手
段(退避手段)を備えた電極。
【0103】なお上記電極(1)および電極(2)を用
いる場合、送り出し装置からのワイヤー状電極の送り出
しや、回転手段による円筒状電極の回転は、連続的に行
ってもよく、断続的に行ってもよいが、連続的に行うの
が好ましい。
【0104】電極の材質は特に限定されないが、タング
ステン製の電極を用いることが、静電密着の安定性およ
び電極の強度の観点から好ましい。
【0105】またワイヤー状の電極を用いる場合、ワイ
ヤー径は、0.15〜0.35mm程度の範囲にあるこ
とが静電密着の安定性および電極の強度の観点から好ま
しい。
【0106】一方冷却用ロールは、導電性を有する限り
特に限定されないが、表面が金属で被覆されているのが
好ましく、特に表面がクロムメッキされているのが好ま
しい。また冷却用ロールは、表面温度が25〜50℃の
範囲で制御されているのが好ましい。
【0107】印加電圧は、静電密着の安定性の観点か
ら、例えば、6.5kV以上、好ましくは7.5kV以
上、さらに好ましくは8.5kV以上であり、通常、1
0kV以下である。また、電流値は、例えば、3.0m
A以上、好ましくは3.5mA以上、さらに好ましくは
4.0mA以上であり、通常、5.0mA以下である。
【0108】[フィルム延伸工程での各条件の制御]さ
らに、本発明に係るフィルムの長さ方向や、これに直交
する方向の厚み変動を均一化させることに着目すれば、
テンターなどを用いて横方向に延伸する際の、延伸工程
の前の上記予備加熱工程では、フィルムを徐々に加熱す
るように制御するのが望ましい。予備加熱工程でフィル
ムを徐々に加熱すると、フィルムの温度分布を略均一に
できるため、延伸後のフィルム(熱収縮性ポリエステル
系フィルム)の厚みの均一性を高めることができる。
【0109】上記加熱条件としては、熱伝達係数が0.
00544J/cm2・sec・℃(0.0013カロ
リー/cm2・sec・℃)以下となるように、低風速
で、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg+60℃の範
囲内のある温度になるまで加熱を行うことが好ましい。
【0110】また、延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑
制すると、延伸方向(幅方向など)のフィルム温度斑を
小さくでき、延伸後のフィルム(熱収縮性ポリエステル
系フィルム)の厚みの均一性を高めることができる。フ
ィルムの内部発熱を抑制するためには、加熱条件を適宜
制御して(例えば、熱風の供給速度を速くして)フィル
ムを加熱し易くするのが望ましい。加熱不足の部分があ
ると延伸配向に伴う内部発熱が発生するのに対し、フィ
ルムが十分に加熱されていると延伸時に分子鎖が滑り易
くなるため、内部発熱が発生し難くなる。
【0111】上記加熱条件は、例えば、熱伝達係数を
0.0038J/cm2・sec・℃(0.0009カ
ロリー/cm2・sec・℃)以上、好ましくは0.0
046〜0.0071J/cm2・sec・℃(0.0
011〜0.0017カロリー/cm2・sec・℃)
程度とすることが望ましい。
【0112】次に具体的なポリエステル系フィルムの製
造例を説明する。
【0113】[ポリエステル系フィルムの製造例]上記
手段(a)を満足する大きさに制御した原料ポリエステ
ルチップを、ホッパドライヤー、パドルドライヤーなど
の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、押出機を
用いて200〜300℃の温度でフィルム状に押出す。
あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップをベント式
押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押出
す。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法など、既
存のどの方法を採用しても構わない。上記押出し後は、
キャスティングロールで冷却(急冷)して未延伸フィル
ムを得る。
【0114】次いで、上記未延伸フィルムに対して延伸
処理を行う。最大収縮方向がフィルム横(幅)方向であ
ることが、生産効率上、実用的であるので、ここでも、
最大収縮方向を横方向とする場合の延伸法の例を示す。
なお、最大収縮方向をフィルム縦(長手)方向とする場
合も、下記方法における延伸方向を90゜変えるなど、
通常の操作に準じて延伸することができる。
【0115】延伸前の予備加熱工程では、加熱条件を上
述のように制御することが好ましい。
【0116】横方向の延伸は、Tg−20℃〜Tg+4
0℃の範囲内の所定温度で、2.3〜7.3倍、好まし
くは2.5〜6.0倍に延伸する。その後、60℃〜1
10℃の範囲内の所定温度で、0〜15%の伸張あるい
は0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要に応じ
て40℃〜100℃の範囲内の所定温度でさらに熱処理
をして、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。この
横延伸工程においては、上記したようにフィルム表面温
度の変動を小さくすることのできる設備を使用すること
が推奨される。
【0117】延伸の方法としては、テンターでの横1軸
延伸ばかりでなく、縦方向に1.0倍〜4.0倍、好ま
しくは1.1倍〜2.0倍の延伸を施してもよい。この
ように2軸延伸を行う場合は、逐次2軸延伸、同時2軸
延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行って
もよい。また、逐次2軸延伸においては、延伸の順序と
して、縦横、横縦、縦横縦、横縦横などのいずれの方式
でもよい。これらの縦延伸工程あるいは2軸延伸工程を
採用する場合においても、横延伸と同様に、予備加熱工
程、延伸工程などにおいて、フィルム表面温度の変動を
できるだけ小さくすることが好ましい。
【0118】[その他]本発明における熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムロールは、幅0.2m以上の熱収縮性
フィルムを巻き取りコア(芯)に長さ300m以上巻取
ったものであることが好ましい。幅が0.2mに満たな
いフィルムのロールは、工業的に利用価値の低いもので
あり、また、長さ300mに満たないフィルムロール
は、フィルムの巻長が少ないために、フィルムの全長に
亘る厚みや最大熱収縮応力値の変動が小さくなるので、
本発明の効果が発現し難くなる。フィルムロールの幅は
0.3m以上がより好ましく、0.4m以上がさらに好
ましい。また、ロールに巻回されるフィルムの長さは4
00m以上がより好ましく、500m以上がさらに好ま
しい。
【0119】フィルムロールの幅および巻長の上限は特
に制限されるものではないが、取扱いのし易さから、一
般的には幅1.5m以下、巻長はフィルム厚み45μm
の場合に6000m以下であることが好ましい。また、
巻き取りコアとしては、通常、3インチ、6インチ、8
インチなどのプラスチックコア、金属製コア、あるいは
紙管を使用することができる。
【0120】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
ロールを構成するフィルムの厚みは特に限定するもので
はないが、例えばラベル用熱収縮性ポリエステル系フィ
ルムとしては、10〜200μmであることが好まし
く、20〜100μmであることがさらに好ましい。
【0121】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳述す
るが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本
発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本
発明に含まれる。なお、合成例で得られたチップ、およ
び実施例や比較例で得られたフィルムの物性の測定方法
は、以下の通りである。
【0122】(1)定常領域の確認と試料切り出し部の
設定 後述する実施例および比較例で得られた長さ1000m
のフィルムが巻回されたフィルムロールについて、フィ
ルムの第2端部(巻き終り部)から20m間隔で5点試
料を切出し、フィルムの第1端部(巻き始め部)から2
00m内側の部分から前記第1端部に向けて20m間隔
で5点の試料を切り出し、これら試料について、後述す
る方法で最大収縮方向の熱収縮率を測定した。各試料の
熱収縮率は、20%以内の幅に収まっていた。しかもフ
ィルムの製造中、製造・延伸工程は安定していた。従っ
て各フィルムロールは、フィルムの全長に亘って定常領
域に該当していることが確認された。
【0123】また、各物性測定においては、1番目の試
料切り出し部をフィルムの第2端部(巻き終わりから0
m)とし、最終の試料切り出し部は、フィルムの第1端
部(巻き始めから0m)とし、全部で11箇所の試料切
り出し部から試料を採取した。各物性測定においては、
特に断らない限り、各試料切り出し部から10個の試料
(試験片)を切り出し、各試料切り出し部における10
個の試料(試験片)の物性の平均値を、その切り出し部
における試料の物性値とした。
【0124】(2)組成 試料を、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフ
ルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積
比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、
NMR(「GEMINI−200」;Varian社
製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件
で試料溶液のプロトンのNMRを測定する。NMR測定
では、プロトンのピーク強度に基づいて、フィルムを構
成する成分の構成比率を算出する。
【0125】フィルム組成は、実施例1および比較例5
において、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分含
有率を測定することとし、結果を表8に示す。表8にお
いて、平均値(S)は測定した11試料の全ての1,4
−シクロヘキサンジメタノール成分含有率(モル%)の
平均値を、最大値(Tmax)は11試料のうちの1,
4−シクロヘキサンジメタノール成分含有率の最大値
を、最小値(Tmin)は11試料のうち最小の1,4
−シクロヘキサンジメタノール成分含有率を夫々示し、
平均値との差も示す。
【0126】(3)金属成分 試料(チップまたはフィルム)に含まれるNa,Mg,
Pの量を以下に示す方法によって測定する。
【0127】[Na]試料2gを白金ルツボに入れ、温
度500〜800℃で灰化分解した後、塩酸(濃度:6
mol/L)を5mL加えて蒸発乾固する。残渣を1.
2mol/Lの塩酸10mLに溶解し、Na濃度を原子
吸光分析装置(島津製作所製「AA−640−12」を
用いて測定(検量線法)する。
【0128】[Mg]試料2gを白金ルツボに入れ、温
度500〜800℃で灰化分解した後、塩酸(濃度:6
mol/L)を5mL加えて蒸発乾固する。残渣を1.
2mol/Lの塩酸10mLに溶解し、Na濃度をIC
P発光分析装置(島津製作所製「ICPS−200」を
用いて測定(検量線法)する。
【0129】[P]下記〜のいすれかの方法によ
り、試料中のリン成分を正リン酸にする。この正リン酸
と、モリブデン酸塩とを硫酸(濃度:1mol/L)中
で反応させて、リンモリブデン酸とした後、硫酸ヒドラ
ジンを加えて還元する。生ずるヘテロポリ青の濃度を、
吸光光度計(島津製作所製「UV−150−02」)を
用いて830nmの吸光度を測定することによって求め
る(検量線法)。 試料と炭酸ソーダとを白金ルツボに入れ、乾式灰化分
解する。 硫酸・硝酸・過塩素酸系における湿式分解。 硫酸・過塩素酸系における湿式分解。
【0130】(4)極限粘度 原料チップ0.1gを精秤し、25mlのフェノール/
テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶
解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定
する。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)に
よって求められる。
【0131】
【数1】
【0132】ここで、ηsp :比粘度、t0:オストワル
ド粘度計を用いた溶媒の落下時間、t:オスワルド粘度
計を用いたフィルム溶液の落下時間、C:フィルム溶液
の濃度である。
【0133】なお、実際の測定では、Huggins式
においてk=0.375とした下記近似式で極限粘度を
算出する。
【0134】
【数2】
【0135】ここで、ηr:相対粘度である。
【0136】(5)熱収縮率 フィルムを走行方向およびその直交方向に沿うように1
0cm×10cmの正方形に裁断し、85℃±0.5℃
の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させ
た後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬し、
その後試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に
従って求めた値である。 熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長
さ)÷(収縮前の長さ) 最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とする。結果を
表10に示す。
【0137】なお、実施例1、比較例4,5について
は、11箇所の試料切り出し部での熱収縮率の変動も、
表10に併記する。すなわち、表10において、平均値
(U)は測定した11試料の全ての熱収縮率(%)の平
均値を、最大値(Vmax)は11試料のうちの熱収縮
率の最大値を、最小値(Vmin)は11試料のうち最
小の熱収縮率を夫々示し、平均値との差も示す。
【0138】(6)溶融比抵抗値 温度275℃で溶融した試料中に一対の電極板を挿入
し、120Vの電圧を印加した。電流を測定し、下記式
に基づいて溶融比抵抗値(Si;単位Ω・cm)を求め
る。 Si(Ω・cm)=(A/I)×(V/io) [式中、Aは電極の面積(cm2)を示し、Iは電極間
距離(cm)を示し、Vは電圧(V)を示し、ioは電
流(A)を示す]。
【0139】(7)厚み変動 上記各試料切り出し部から、フィルムの長さ方向の長さ
50cm、幅5cmの試験片と、フィルムの長さ方向と
直交する方向の長さ20cm、幅5cmの試験片を夫々
10枚ずつ切り出す(厚み変位測定用試験片)。接触式
厚み計[「KG60/A」;アンリツ(株)製]を用い
て、フィルムの各方向毎に各試験片の長さ方向の厚みを
連続的に測定してチャートに出力し、該出力結果から、
最大厚み、最小厚み、および平均厚みを求め、下記式
(1)に基づいて厚み変動を算出した後、その平均値を
各試料切り出し部におけるフィルムの各方向の厚み変動
とする。 厚み変動=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100 (1)。
【0140】(8)印刷加工性 熱収縮性ポリエステル系フィルムロールのフィルム全長
に東洋インキ製造社製の草色インキをベタ印刷後、格子
模様(1cm角格子)のグラビア版を使い、金色、白色
の順に印刷して、印刷時のシワの発生、色の重ね合わせ
の不良、フィルムの破断の発生状況を下記の3段階で評
価する。○:印刷性良好、△:印刷時部分的にシワ入
り、または色の重ね合わせ不良が発生、×:印刷時シワ
入り大、または破断発生、として、○を合格レベルとす
る。なお、後述する「耐破れ性」評価を行う実施例4,
5、および比較例3,4については、上記印刷時の10
00m当たりの破断回数も測定する。
【0141】(9)収縮仕上り性 熱収縮性ポリエステル系フィルムロールに巻回されてい
たフィルム全長に、東洋インキ製造社製の草色、金色、
白色のインキで3色印刷した後、フィルムをスリット
し、続いて、センターシールマシンを用いて1,3−ジ
オキソランで溶剤接着してチューブを作り、二つ折り状
態で巻き取る。
【0142】このチューブを適宜長さに裁断して、熱収
縮性フィルムラベルを作成し、1.5Lペットボトルに
熱収縮性フィルムラベルを装着する。これをフジ・アス
テック社製のスチームトンネル(型式:SH−1500
−L)を使用し、トンネル通過時間10秒、1ゾーン温
度/2ゾーン温度=80℃/90℃の条件で、作製した
ラベル全量を通過させ、収縮仕上り性を目視で判定す
る。なお、収縮仕上り性は、下記5段階評価で行う。
5:仕上り性最良、4:仕上り性良、3:欠点少し有り
(2ヶ所以内)、2:欠点有り(3〜5ヶ所)、1:欠
点多い(6ヶ所以上)、として、4以上を合格レベル、
3以下のものを不良とし、下記式に従って収縮仕上り不
良率(%)を求める。なお、ここで欠点とは、シワ、ラ
ベル端部折れ込み、色斑、収縮不足である。 収縮仕上り不良率=100×不良サンプル数÷全サンプ
ル数。
【0143】(10)最大熱収縮応力値 加熱炉付引張試験機(東洋精機(株)製「テンシロ
ン」)を用い、熱収縮性フィルムロールから後述するサ
ンプリング方法で、最大収縮方向の長さ200mm、幅
20mmのサンプルを切り出し、予め90℃に加熱した
加熱炉中の送風をとめて、サンプルの両端からそれぞれ
50mmの位置でサンプルをチャックに取付けてチャッ
ク間距離が100mmとなるようにし、その後速やかに
加熱炉の扉を閉め、送風(温度90℃、吹き出し速度5
m/秒の熱風を、奥、左および右の三方向から供給)を
再開し検出される収縮応力を測定し、チャートから求ま
る最大値を最大熱収縮応力値(MPa)とする。結果を
表11に示す。
【0144】表11において、平均値(X)は測定した
11試料全ての最大熱収縮応力値の平均値を、最大値
(Ymax)は11試料のうちの最大熱収縮応力値の最
大値を、最小値(Ymin)は11試料のうち最小の最
大熱収縮応力値を夫々示しており、平均値との差も示し
ている。
【0145】(11)耐破れ性(破断率) JIS K 7127に準じ、熱処理前のフィルムの最
大収縮方向と直交する方向についての引張試験を行う。
上記厚み変動測定における各試料切り出し部から、長さ
200mm(フィルムの最大収縮方向と直交する方
向)、幅15mmの試験片を、各試料切り出し部毎に2
0個作成する。試験条件は、チャック間距離100m
m、温度23℃、引張速度200mm/分とする。伸度
5%以下で破断した試験片数を数え、各試料切り出し部
の全試験片数(20個)に対する百分率を求め破断率と
する。耐破れ性の評価は、実施例4,5、および比較例
3,4について行うこととする。後述する表12におけ
る破断率には、各試料切り出し部の測定結果のうち、最
大の破断率を示す。
【0146】合成例1 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を備えたステン
レススチール製オートクレーブに、多価カルボン酸成分
としてジメチルテレフタレート100モル%と、多価ア
ルコール成分として、エチレングリコール68モル%と
1,4−シクロヘキサンジメタノールCHDM32モル
%を、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍
になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛
を0.05モル%(酸成分に対して)と、重縮合触媒と
して三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対し
て)添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながら
エステル交換反応を行った。その後、280℃で26.
7Paの減圧条件の下で重縮合反応を行い、極限粘度
0.80dl/gのポリエステルAを得た。重合後に溶
融状態で重合装置からストランド状で取り出し、直ちに
水冷し、その後、ストランドカッターでカットして、原
料チップAを得た。チップのサイズと極限粘度を表4に
示す。
【0147】合成例2,3 合成例1と同様の方法により、表1に記載のポリエステ
ルチップB,Cを得た。各チップのサイズと極限粘度を
表4に示す。
【0148】
【表1】
【0149】なお、表1中、DMTはジメチルテレフタ
レートを,EGはエチレングリコールを、CHDMは
1,4−シクロヘキサンジメタノールを、BDは1,4
−ブタンジオールを示す。
【0150】合成例4 エステル化反応釜に、57036質量部のテレフタル
酸、35801質量部のエチレングリコール、および1
1461質量部のネオペンチルグリコールを仕込み、圧
力:0.25MPa,温度:220〜240℃の条件で
120分間エステル化反応を行った。次いで、反応釜内
を常圧とし、酢酸コバルト・4水塩(重合触媒)6.0
2質量部、チタニウムテトラブトキシド(重合触媒)
7.60質量部、酢酸マグネシウム・4水塩(アルカリ
土類金属化合物)125.72質量部、トリメチルホス
フェート(リン化合物)58.4質量部を加え、10分
間撹拌後、反応系内を徐々に減圧し、75分間で0.5
hPaとすると共に、温度を280℃に昇温した。温度
280℃で溶融粘度が7000ポイズとなるまで撹拌を
続けて重合反応を行い(約40分間)、その後水中にス
トランド状に吐出して冷却し、得られたストランドをス
トランドカッターで切断してポリエステルのチップDを
得た。各チップ中の無機成分量を表3に、サイズと極限
粘度を表4を示す。
【0151】合成例5〜12 合成例4と同様の方法により、表2に記載のポリエステ
ルチップE〜Kを得た。各チップ中の無機成分量を表3
に、サイズと極限粘度を表4に示す。
【0152】
【表2】
【0153】なお、表2中、DMT,EG,CHDM,
BDは、夫々表1と同じ意味であり、NPGはネオペン
チルグリコールを示す。
【0154】
【表3】
【0155】なお、表3中、各無機成分の由来は下記の
通りである。Na:主に酢酸ナトリウムに由来する、M
g:主に酢酸マグネシウム・4水塩に由来する、P:主
にトリメチルホスフェートに由来する、Ti:主にチタ
ニウムテトラブトキシドに由来する、Co:主に酢酸コ
バルト・4水塩に由来する、Sb:主に三酸化アンチモ
ンに由来する。
【0156】
【表4】
【0157】実施例1 上記合成例1で各チップを別個に予備乾燥し、表5に示
したように、チップA:75質量%、チップB:10質
量%およびチップC:15質量%を、押出機直上のホッ
パに定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給し
ながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸式押出
機で溶融押出しし、その後キャスティングロールで急冷
して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。原料ポ
リエステルの構成ユニットは表2の通りである。ホッパ
は、原料チップが100kg入る容量を有しており、押
出機の吐出量は、1時間あたり450kgである。ま
た、ホッパの傾斜角は70゜であった。未延伸フィルム
製造時における原料ポリマーの吐出量の変動は、上記押
出機に取り付けたギアポンプによって抑制し、キャステ
ィングロールの回転速度の変動は、ロール駆動系の回転
精度をインバーターで制御することにより抑制した。未
延伸フィルム製造開始時から終了時までに亘る原料ポリ
マーの吐出量の変動を表6に、キャスティングロールの
回転速度の変動を表7に示す。
【0158】上記の未延伸フィルムについて、100℃
で10秒間予熱した後、テンターで横方向に82℃で
4.0倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行っ
て、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを
1000m以上に亘って連続的に製膜した。フィルムを
連続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱
工程で平均温度±0.5℃、延伸工程で平均温度±0.
5℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内に制御
した。なお、フィルムの表面温度は、赤外式の非接触表
面温度計を用いて測定した(以下の実施例、比較例でも
同じ)。得られた各フィルムを幅0.4m、長さ100
0mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮
性ポリエステル系フィルムロールを得た。
【0159】すなわち、実施例1の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールでは、原料チップの適正化、ホッパ
形状の適正化、およびホッパ容量の適正化といった手法
を採用しており、長尺フィルムの全長に亘って組成の変
動を小さくしている。また、溶融押出工程での原料ポリ
マーの吐出量の変動およびキャスティング工程でのキャ
スティングロールの回転速度の変動を抑制しており、さ
らにフィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の各工程
で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度±1.
0℃の範囲内に制御して製造した例である。得られたフ
ィルムロールのフィルムの特性値を表8、表10および
表11に示す。
【0160】実施例2 上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表
5に示したように、チップD:69質量%、チップG:
6質量%、およびチップH:25質量%を、押出機直上
のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々
に供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単
軸式押出機で溶融押出しし、その後、表面温度を30℃
±1℃に制御したキャスティングロール(クロムメッキ
ロール)で急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム
を得た。
【0161】未延伸フィルム製造時における原料ポリマ
ーの吐出量の変動、およびキャスティングロールの回転
速度の変動は、実施例1と同様にして抑制した。未延伸
フィルム製造開始時から終了時までに亘る原料ポリマー
の吐出量の変動を表6に、キャスティングロールの回転
速度の変動を表7に示す。
【0162】なお、上記押出しの際には、押出された未
固化のフィルムと対面するようにタングステン製ワイヤ
ー(直径0.25mm)を配設し、このワイヤーからフ
ィルムに電気を与え(印加電圧9.5kV、電流値4m
A)、フィルムをキャスティングロールに静電気的に密
着させた。また、上記ワイヤーは、速度1.8m/hr
の速度で片側から連続的に供給し、他方の側で巻き取っ
た。
【0163】ホッパは、原料チップが150kg入る容
量を有しており、押出機の吐出量は、1時間あたり40
0kgである。また、ホッパの傾斜角は75゜であっ
た。
【0164】上記未延伸フィルムを100℃で10秒間
予熱した後、テンターで横方向に80℃で4.0倍延伸
し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45
μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以
上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m連
続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱工
程で平均温度±0.4℃、延伸工程で平均温度±0.5
℃、熱処理工程で平均温度±0.6℃の範囲内に制御し
た。得られたフィルムを幅0.4m、長さ1000mに
スリットして、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮性ポリ
エステル系フィルムロールを得た。
【0165】すなわち、実施例2の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールでは、原料チップの適正化、ホッパ
形状の適正化、およびホッパ容量の適正化といった手法
を採用しており、長尺フィルムの全長に亘って組成の変
動を小さくしている。また、溶融押出工程での原料ポリ
マーの吐出量の変動およびキャスティング工程でのキャ
スティングロールの回転速度の変動を抑制しており、さ
らにフィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の各工程
で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度±1.
0℃の範囲内に制御して製造した例である。加えて、実
施例2では、キャスティングロールへの静電密着性が良
好な条件でキャスティング工程を実施している。得られ
たフィルムロールのフィルムの特性値を表9〜表11に
示す。
【0166】実施例3 上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表
5に示したように、チップF:62質量%、チップG:
18質量%、およびチップH:20質量%を、押出機直
上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別
々に供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で
単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ1
80μmの未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チッ
プが100kg入る容量を有しており、押出機の吐出量
は、1時間あたり450kgである。また、ホッパの傾
斜角は75゜であった。
【0167】未延伸フィルム製造時における原料ポリマ
ーの吐出量の変動、およびキャスティングロールの回転
速度の変動は、実施例1と同様にして抑制した。未延伸
フィルム製造開始時から終了時までに亘る原料ポリマー
の吐出量の変動を表6に、キャスティングロールの回転
速度の変動を表7に示す。
【0168】また、溶融押出し後のキャスティング工程
(急冷)は、実施例2と同様のキャスティングロールお
よびタングステン製ワイヤーを用い、実施例2と同じ条
件でフィルムをキャスティングロールに静電気的に密着
させて実施した。
【0169】上記未延伸フィルムを80℃で10秒間予
熱した後、テンターで横方向に72℃で4.0倍延伸
し、続いて76℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45
μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以
上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m連
続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱工
程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±0.5
℃、熱処理工程で平均温度±0.6℃の範囲内に制御し
た。得られたフィルムを幅0.4m、長さ1000mに
スリットして、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮性ポリ
エステル系フィルムロールを得た。
【0170】すなわち、実施例3の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールでは、原料チップの適正化、ホッパ
形状の適正化、およびホッパ容量の適正化といった手法
を採用しており、長尺フィルムの全長に亘って組成の変
動を小さくしている。また、溶融押出工程での原料ポリ
マーの吐出量の変動およびキャスティング工程でのキャ
スティングロールの回転速度の変動を抑制しており、さ
らにフィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の各工程
で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度±1.
0℃の範囲内に制御して製造した例である。加えて、実
施例3では、キャスティングロールへの静電密着性が良
好な条件でキャスティング工程を実施している。得られ
たフィルムロールのフィルムの特性値を表9〜表11に
示す。
【0171】実施例4 上記合成例で得られたチップを夫々別個に予備乾燥し、
表5に示すように、チップI:68質量%、チップG:
8質量%およびチップK:24質量%を、押出機直上の
ホッパに定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供
給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸押
出機で溶融押出し、その後急冷して、厚さ180μmの
未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チップが150
kg入る容量を有しており、押出機の吐出量は、1時間
当たり450kgである。また、ホッパの傾斜角は70
゜であった。
【0172】未延伸フィルム製造時における原料ポリマ
ーの吐出量の変動、およびキャスティングロールの回転
速度の変動は、実施例1と同様にして抑制した。未延伸
フィルム製造開始時から終了時までに亘る原料ポリマー
の吐出量の変動を表6に、キャスティングロールの回転
速度の変動を表7に示す。
【0173】また、溶融押出し後のキャスティング工程
(急冷)は、実施例2と同様のキャスティングロールお
よびタングステン製ワイヤーを用い、実施例2と同じ条
件でフィルムをキャスティングロールに静電気的に密着
させて実施した。
【0174】上記未延伸フィルムを100℃で10秒間
予熱した後、テンターを用いて横方向に80℃で4.0
倍延伸し、その後80℃で10秒間熱処理して、厚さ4
5μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m
以上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m
連続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱
工程で平均温度±0.4℃、延伸工程で平均温度±0.
5℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内に制御
した。得られたフィルムを幅0.5m、長さ1000m
にスリットして、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮性ポ
リエステル系フィルムロールを得た。
【0175】すなわち、実施例4の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールでは、原料チップの適正化、ホッパ
形状の適正化、およびホッパ容量の適正化といった手法
を採用しており、長尺フィルムの全長に亘って組成の変
動を小さくしている。また、溶融押出工程での原料ポリ
マーの吐出量の変動およびキャスティング工程でのキャ
スティングロールの回転速度の変動を抑制しており、さ
らにフィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の各工程
で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度±1.
0℃の範囲内に制御して製造した例である。加えて、実
施例4では、キャスティングロールへの静電密着性が良
好な条件でキャスティング工程を実施している。得られ
たフィルムロールのフィルムの特性値を表9〜表12に
示す。
【0176】実施例5 上記合成例で得られたチップを夫々別個に予備乾燥し、
表5に示すように、チップI:55質量%、チップG:
34質量%およびチップK:11質量%を、押出機直上
のホッパに定量スクリューフィーダーで連続的に別々に
供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸
押出機で溶融押出し、その後急冷して、厚さ180μm
の未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チップが10
0kg入る容量を有しており、押出機の吐出量は、1時
間当たり450kgである。また、ホッパの傾斜角は7
5゜であった。
【0177】未延伸フィルム製造時における原料ポリマ
ーの吐出量の変動、およびキャスティングロールの回転
速度の変動は、実施例1と同様にして抑制した。未延伸
フィルム製造開始時から終了時までに亘る原料ポリマー
の吐出量の変動を表6に、キャスティングロールの回転
速度の変動を表7に示す。
【0178】また、溶融押出し後のキャスティング工程
(急冷)は、実施例2と同様のキャスティングロールお
よびタングステン製ワイヤーを用い、実施例2と同じ条
件でフィルムをキャスティングロールに静電気的に密着
させて実施した。
【0179】上記未延伸フィルムを98℃で10秒間予
熱した後、テンターを用いて横方向に80℃で4.0倍
延伸し、その後81℃で10秒間熱処理して、厚さ45
μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以
上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m連
続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱工
程で平均温度±0.7℃、延伸工程で平均温度±0.5
℃、熱処理工程で平均温度±0.6℃の範囲内に制御し
た。得られたフィルムを幅0.5m、長さ1000mに
スリットして、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮性ポリ
エステル系フィルムロールを得た。
【0180】すなわち、実施例5の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールでは、原料チップの適正化、ホッパ
形状の適正化、およびホッパ容量の適正化といった手法
を採用しており、長尺フィルムの全長に亘って組成の変
動を小さくしている。また、溶融押出工程での原料ポリ
マーの吐出量の変動およびキャスティング工程でのキャ
スティングロールの回転速度の変動を抑制しており、さ
らにフィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の各工程
で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度±1.
0℃の範囲内に制御して製造した例である。加えて、実
施例5では、キャスティングロールへの静電密着性が良
好な条件でキャスティング工程を実施している。得られ
たフィルムロールのフィルムの特性値を表9〜表12に
示す。
【0181】比較例1 表5に示した配合で、すなわち、チップE:69質量
%、チップG:6質量%、およびチップH:25質量%
を事前に混合し、その後予備乾燥した。原料チップが4
00kg入り、ホッパの傾斜角が60゜である同一の形
状のホッパを4個直列に並べて一番上流のホッパにチッ
プ混合物を入れ、2個目、3個目および4個目(最終ホ
ッパ)へと移動させたこと以外は、実施例2と同様にし
て、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムが
1000m巻回された熱収縮性ポリエステル系フィルム
ロールを得た。
【0182】すなわち、比較例1の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールは、原料偏析の発生を抑制する手法
を積極的に採用しておらず、長尺フィルムの全長に亘っ
て組成の変動が大きくなっている例である。得られたフ
ィルムロールのフィルムの特性値を表9〜表11に示
す。
【0183】比較例2 実施例2と同じ方法で未延伸フィルムを得た。この未延
伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンター
で横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80℃で1
0秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製
膜した。フィルムを1000m連続製造したときのフィ
ルム表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±1.5
℃、延伸工程で平均温度±2.0℃、熱処理工程で平均
温度±2.5℃の範囲内であった。得られたフィルムを
幅0.4m、長さ1000mにスリットして、3インチ
紙管に巻き取り、熱収縮性ポリエステル系フィルムロー
ルを得た。
【0184】すなわち、比較例2の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールは、原料偏析を抑制する手段を採用
して長尺フィルムの全長に亘って組成の変動を小さくし
ているが、フィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の
各工程で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度
±1.0℃の範囲内に制御せずに製造した例である。得
られたフィルムロールのフィルムの物性値を表9〜表1
2に示す。
【0185】比較例3 上記合成例で得られたチップJ:68質量%、チップ
G:8質量%、チップK:24質量%を混合した後乾燥
し、原料チップが400kg入り、傾斜角が60゜であ
る同一形状のホッパを4個直列に並べ、一番上流のホッ
パにこの混合物を入れ、2個目、3個目および4個目
(最終ホッパ)の各ホッパへと移動させたこと以外は、
実施例4と同様にして、厚さ45μmの熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムが1000m巻回された熱収縮性ポリ
エステル系フィルムロールを得た。
【0186】すなわち、比較例3の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールは、原料偏析の発生を抑制する手法
を積極的に採用しておらず、長尺フィルムの全長に亘っ
て組成の変動が大きくなっている例である。得られたフ
ィルムロールのフィルムの特性値を表9〜表12に示
す。
【0187】比較例4 実施例4と同様にして未延伸フィルムを得た。この未延
伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンター
を用いて横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80
℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性
ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続
的に製膜した。フィルムを1000m連続製造したとき
のフィルム表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±
1.0℃、延伸工程で平均温度±2.5℃、熱処理工程
で平均温度±2.1℃の範囲内であった。得られたフィ
ルムを幅0.5m、長さ1000mにスリットして、3
インチ紙管に巻き取り、熱収縮性ポリエステル系フィル
ムロールを得た。
【0188】すなわち、比較例4の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールは、原料偏析を抑制する手段を採用
して長尺フィルムの全長に亘って組成の変動を小さくし
ているが、フィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の
各工程で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均温度
±1.0℃の範囲内に制御せずに製造した例である。得
られたフィルムロールのフィルムの物性値を表9〜表1
2に示す。
【0189】比較例5および6 押出機にギアポンプを取り付けずに原料ポリマーを溶融
押出し、さらに、キャスティングロールの回転精度をイ
ンバーターによって制御しなかった以外は、実施例1と
同様にして未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルム
を長さ方向に2等分し、2本の未延伸フィルムロールを
得た。各未延伸フィルムについて、100℃で10秒間
予熱した後、テンターで横方向に82℃で4.0倍延伸
し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45
μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以
上に亘って連続的に製膜した。フィルムを連続製造した
ときのフィルム表面温度の変動幅は、比較例5では、予
熱工程で平均温度±1.0℃、延伸工程で平均温度±
2.5℃、熱処理工程で平均温度±2.0℃の範囲内で
あった。また、比較例6では、予熱工程で平均温度±
0.6℃、延伸工程で平均温度±0.5℃、熱処理工程
で平均温度±0.5℃の範囲内に制御した。得られた各
フィルムを幅0.4m、長さ1000mにスリットし
て、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮性ポリエステル系
フィルムロールを得た。
【0190】すなわち、比較例5の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムロールでは、原料偏析を抑制する手段を採
用して長尺フィルムの全長に亘って組成の変動を小さく
しているが、溶融押出工程時の原料ポリマーの吐出量の
変動およびキャスティング工程でのキャスティングロー
ルの回転速度の変動を抑制する手法を積極的に採用して
おらず、さらにフィルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処
理の各工程で、該フィルムの表面温度の変動幅を、平均
温度±1.0℃の範囲内に制御せずに製造した例であ
る。また、比較例6の熱収縮性ポリエステル系フィルム
ロールは、原料偏析を抑制する手段を採用して長尺フィ
ルムの全長に亘って組成の変動を小さくしており、フィ
ルム延伸の際に、予熱、延伸、熱処理の各工程で、該フ
ィルムの表面温度の変動幅を、平均温度±1.0℃の範
囲内に制御しているが、溶融押出工程時の原料ポリマー
の吐出量の変動およびキャスティング工程でのキャステ
ィングロールの回転速度の変動を抑制する手法を積極的
に採用せずに製造した例である。これらのフィルムロー
ルのフィルムの特性値を表8(比較例4のみ)、表10
および表11に示す。
【0191】
【表5】
【0192】
【表6】
【0193】なお、表6では、未延伸フィルム製造開始
時から終了時までに亘り、製膜したフィルムの質量を3
0秒毎に測定して求めた吐出量の平均値(kg/時間)
を表している。また、吐出量測定時の最大値Omaxと
最小値Ominについて、平均吐出量を100(%)と
した場合(表6中、P)の百分率で表わし、Pとの差も
表している。
【0194】
【表7】
【0195】なお、表7では、未延伸フィルム製造開始
時から終了時までに亘り、レーザードップラー速度計を
用いて連続的に測定したキャスティングロールの回転速
度の平均値(m/秒)を表している。また、この回転速
度測定時の最大値Qmaxと最小値Qminについて、
平均回転速度を100(%)とした場合(表7中、R)
の百分率で表わし、Rとの差も表している。
【0196】
【表8】
【0197】
【表9】
【0198】
【表10】
【0199】なお、表10中、「長さ方向」は、フィル
ムロールに巻回されたフィルムの長さ方向を、「直交方
向」は、該長さ方向に直交する方向を意味する。
【0200】
【表11】
【0201】
【表12】
【0202】
【発明の効果】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル
ムロールは、該ロールに巻回された長尺フィルムにおい
て、長さ方向での厚み変動が少ないため、加工工程での
シワの発生や、ラベルなどに加工後、該ラベルを容器な
どに装着する際の不良などのトラブルの発生が極めて少
ない。また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
ロールの製造方法は、加工性に優れた長尺フィルムを容
易に得ることができるので、工業生産上において非常に
有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武川 善紀 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 伊藤 勝也 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 米田 茂 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 (72)発明者 野瀬 克彦 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 Fターム(参考) 4F210 AA24 AE01 AG01 AH54 AP05 AR06 AR12 QA02 QC03 QD25 QG01 QG18 QL16 QL17 QW05 RA03 RC02 RG02 RG04 RG43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱収縮性ポリエステル系フィルムを巻き
    取ってなるフィルムロールであって、この熱収縮性ポリ
    エステル系フィルムは、 フィルムの長さ方向にフィルム物性が安定している定常
    領域におけるフィルムの巻き始め側の端部を第1端部、
    巻き終わり側の端部を第2端部とし、前記第2端部の内
    側2m以内の箇所に1番目の試料切り出し部を、また、
    前記第1端部の内側2m以内の箇所に最終の試料切り出
    し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約1
    00m毎に試料切り出し部を設け、夫々の試料切り出し
    部から10cm×10cmの正方形状に切り出した試料
    を、85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで
    25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収
    縮方向の熱収縮率が、全ての試料について20%以上で
    あり、 上記試料切り出し部毎にフィルムの長さ方向の長さが5
    0cm、幅が5cmの試験片を複数採取し、該試験片に
    ついて、前記長さ方向における厚み変位測定を行ったと
    き、全ての試料切り出し部において、下式(1)で規定
    される厚み変動が、10%以下であることを特徴とする
    熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。 厚み変動=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100 (1)
  2. 【請求項2】 上記各試料切り出し部から採取した、フ
    ィルムの長さ方向に直交する方向の長さが20cm、幅
    が5cmの複数の試験片について、該試験片の長さ方向
    の厚み変位を測定したとき、各試料切り出し部におい
    て、上式(1)で規定される厚み変動が、8%以下であ
    る請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロ
    ール。
  3. 【請求項3】 上記熱収縮性ポリエステル系フィルム
    が、2種以上の異なるポリマーの混合物から形成されて
    いるものである請求項1または2に記載の熱収縮性ポリ
    エステル系フィルムロール。
  4. 【請求項4】 上記熱収縮性ポリエステル系フィルム
    は、幅0.2m以上、長さ300m以上である請求項1
    〜3のいずれかにに記載の熱収縮性ポリエステル系フィ
    ルムロール。
  5. 【請求項5】 原料ポリマーを溶融押出後冷却して得ら
    れるフィルムを一旦巻き取った後に、あるいは該冷却後
    引き続いて、延伸することによって請求項1〜4のいず
    れかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロールを
    製造する方法であって、 前記溶融押出工程において、原料ポリマーの吐出量を平
    均吐出量±2%以内の範囲とすることを特徴とする熱収
    縮性ポリエステル系フィルムロールの製造方法。
  6. 【請求項6】 原料ポリマーを溶融押出後冷却して得ら
    れるフィルムを一旦巻き取った後に、あるいは該冷却後
    引き続いて、延伸することによって請求項1〜4のいず
    れかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロールを
    製造する方法であって、 前記溶融押出工程後のキャスティング工程において、キ
    ャスティングロールの回転速度の変動を平均速度±2%
    以内の範囲とすることを特徴とする熱収縮性ポリエステ
    ル系フィルムロールの製造方法。
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