JP4577009B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび熱収縮性ラベル - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび熱収縮性ラベル Download PDF

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Description

本発明は、ペットボトルのリサイクルに役立つ熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、優れた力学的特性、耐薬品性等を有していることから、成形容器、フィルムラベル等に使用されており、特に近年は、PET製の容器がペット(PET)ボトルと称され、飲料用ボトルに多用されている。このPETボトルの使用量の飛躍的な増大に伴い、近年の環境問題や省資源の観点から、使用済みのPETボトルを回収し、資源としてリサイクル使用する動きが活発である。例えば、特許文献1には、PETボトルに代表されるリサイクル・ポリエステル系樹脂をフィラメント化し、衣料用や産業資材用の繊維製品として使用する発明が記載されている。
ところで、このようなPETボトルには、商品名や内容等を表示するためフィルムラベルが被覆されているが、容器の立体的形状に即して被覆装着させる必要があるため、通常、熱収縮性フィルムラベルが用いられる。熱収縮性フィルムとしては、従来から、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム等の延伸フィルムが多く使用されてきたが、最近ではポリエステル系フィルムが非常に期待されており、PETボトルの使用量増大に伴って、使用量も増加傾向にある。
そこで、回収PETボトルから熱収縮性ポリエステル系フィルムラベルを製造することが考えられた。ラベルのコストが減り、PETボトルのリサイクルも達成できるからである。しかし、回収PETボトルから得られるリサイクル原料は、様々なPETが無作為に混合されたものであり、溶融粘度や分子量等の物性が広くばらついている。このため、熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造する際に、PETボトルリサイクル原料を例えば45質量%程度使用すると、PETの繰り返し使用によって分子量等が低下しているため、得られるフィルムの機械的強度や耐熱性等が低いものとなってしまう。さらに、ポリエステル系フィルムを製膜する場合に、溶融押出し後、キャストロール上で静電密着させつつ急冷して未延伸フィルムとし、次いで縦方向および/または横方向に延伸して熱収縮性を発現させる必要があるが、前記PETボトルリサイクル原料を多く使用したフィルムは静電密着性が未使用PETから得られるフィルムに比べて劣っており、製膜速度を通常のフィルム並に上げることができず、生産性が悪くなる問題があった。
特開2000−282326号
本発明においては、PETボトルリサイクル原料を用いても、優れた特性を有すると共に、高速生産が可能な熱収縮性ポリエステル系フィルムの提供を課題とするものである。
上記課題を解決し得た本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ペットボトルリサイクル原料が含まれた層を有する3層構成の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
内層が両表面層よりもペットボトルリサイクル原料が多い層であり、前記両表面層の原料ポリエステルの構成ユニット100モル%中、結晶性低下成分としてのネオペンチルグリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むユニットが12モル%以上であり、前記フィルムを構成するポリエステルは、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸を50モル%以上、多価アルコール成分100モル%中、エチレングリコールを50モル%以上含有し、このフィルムを10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を95℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、少なくとも一軸に延伸されているところに要旨を有する。
両表面層のペットボトルリサイクル原料の含有量が7質量%以下であり、内層のペットボトルリサイクル原料の含有量が7〜40質量%である熱収縮性ポリエステル系フィルムは、本発明の好ましい実施態様である。
上記フィルムの極限粘度は0.62dl/g以上が好ましく、275℃での溶融比抵抗値は0.4×108(Ω・cm)以下が好ましい。また、上記フィルムを、30℃・相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後、複数のフィルム試験片について、最大収縮方向に直交する方向についての引張り試験を、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張り速度200mm/分の条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数が全試験片数の20%以下であることが推奨される。なお、上記の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いた熱収縮性ラベルも本発明に包含される。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、PETボトルリサイクル原料を用いているにもかかわらず、良好な熱収縮特性や機械的強度を示す。また、製膜性にも優れているので、熱収縮性ラベルのコスト削減に役立ち、しかもPETボトルのリサイクル技術としても有用である。よって、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび熱収縮性ラベルは、PETボトル等のラベルを始めとする各種被覆ラベル等に好適である。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ペットボトルリサイクル原料が含まれた層を1層以上有する2層以上の多層構成の熱収縮性ポリエステル系フィルムである。PETボトルリサイクル原料は、溶融粘度、分子量、分子量分布、モノマー組成、結晶化度、重合触媒等の添加剤の有無等が相違する様々なPETが無作為に混合されたものであり、これらの物性がリサイクル原料のロット毎に広くばらついている。このようなリサイクル原料を用いて1層構造の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造しても、安定した均一の製品を得ることはできず、また、45質量%以上のリサイクル原料を使用したフィルムでは、熱収縮性ラベルとして必要十分な機械的強度や熱収縮性が得られない。しかし、本発明では、熱収縮性ポリエステル系フィルムを多層構成として、PETボトルリサイクル原料が比較的多量に含まれる層とは別に、PETボトルリサイクル原料が少量の層あるいは含まない層を設けることにより、これらの層で熱収縮性フィルムとして必要な機械的強度、熱収縮特性、フィルムの溶剤接着性等を確保することができた。
よって、例えば2層の熱収縮性ポリエステル系フィルムの場合、1層はPETボトルリサイクル原料が比較的多量に含まれる層とし、1層はPETボトルリサイクル原料が少ないまたは含まない層とすることが好ましい。3層以上の多層構成の場合は、両表面をPETボトルリサイクル原料が少ないまたは含まない層とし、PETボトルリサイクル原料が比較的多量に含まれる層を、これらの両表面層の内層に設けることが好ましい。PETボトルリサイクル原料の少ない層では、熱収縮性フィルムとして必要十分な機械的強度、熱収縮特性、溶剤接着性等を確保するためには、層中、リサイクル原料を7質量%以下とすることが好ましい。また、PETボトルリサイクル原料を比較的多量に含む層では、リサイクル原料を7質量%以上とすることが好ましい。リサイクル原料が多ければ多いほど、PETボトルリサイクル効率が良くなるが、あまり多過ぎると、フィルム全体の強度が低下したり、熱収縮特性がばらつくことがあるので、40質量%を上限とすることが好ましい。最も好ましいのは、両表面層がリサイクル原料が7質量%以下の層で、その両表面層の間に、PETボトルリサイクル原料を7〜40質量%含む層が1層形成された3層構成の熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、95℃の温水中における最大収縮方向の熱収縮率が40%以上でなければならない。この熱収縮率が40%に満たないものは、ラベルとしてボトル等の容器に被覆収縮させたときに容器に密着せず外観不良が発生するからである。より好ましい最大方向の熱収縮率は、50%以上、さらに好ましくは60%以上である。
上記の「最大収縮方向の熱収縮率」とは、試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、最大収縮方向は、正方形状試料の縦方向または緯方向の長さで決められる。95℃での温水中における最大収縮方向の熱収縮率は95℃±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸漬した後の、フィルムの縦および横方向の長さを測定し、最も多く収縮した方向の収縮前の長さ(10cm)と収縮後の長さから、下式により求める。
熱収縮率=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとして有する。フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性等を考慮して、熱収縮性ポリエステル系フィルムの構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニットが50モル%以上となるように選択することが好ましい。従って、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸成分(テレフタル酸またはそのエステルからなる成分)を50モル%以上、多価アルコール成分100モル%中、エチレングリコール成分を50モル%以上、とする。エチレンテレフタレートユニットは、55モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましい。
エステルユニットにおいて多価アルコール成分を形成するための多価アルコール類としては、上記エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物、等も併用可能である。
また、多価カルボン酸成分を形成するための多価カルボン酸類としては、上述のテレフタル酸およびそのエステルの他に、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸等が利用可能である。芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。またこれらの芳香族ジカルボン酸やテレフタル酸のエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステル等の誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等や、通常ダイマー酸と称される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。さらに、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価カルボン酸を、必要に応じて併用してもよい。
この他、多価アルコール類、多価カルボン酸類ではないが、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン類も一部使用してもよい。ラクトン類は、開環して両端にエステル結合を有するユニットとなるものであり、1つのラクトン類由来のユニットが、カルボン酸成分であり、かつ、アルコール成分であると考えることができる。よって、ラクトン類を用いる場合、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分量や、他の多価アルコール成分の量は、多価アルコール成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%として計算する。また、各多価カルボン酸成分の量を計算する際も、多価カルボン酸成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%とする。
エチレンテレフタレートユニット以外のユニットを構成する好ましい成分としては、エチレンテレフタレートユニットによる高結晶性を低下させて、低温熱収縮性や溶剤接着性を確保することのできるものが好ましい。このような結晶性低下成分としては、多価カルボン酸成分では、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸が、多価アルコール成分では、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオールが好ましいものとして挙げられる。このうちでネオペンチルグリコール、あるいは1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれかを用いることが特に好ましい。これらの結晶性低下成分の併用によって、フィルムの熱収縮特性と、耐破れ性および溶剤接着性を、バランス良く向上させることができる。特に、溶剤接着性の観点からは、少なくとも表面層となる層に、これらの好ましい成分の少なくとも1種から構成されるユニットを含むポリエステルを原料の一部として用いることが望ましい。原料ポリエステルの構成ユニット100モル%中、これらの結晶性低下成分を含むユニットは、10モル%以上とすることが好ましく、12モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましい。
熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステルは常法により溶融重合することによって製造できるが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の製造法を適用することができる。また、その他の重合方法によって得られるポリエステルであってもよい。重合触媒としては、慣用の種々の触媒が使用でき、例えばチタン系触媒(チタニウムテトラブトキシド等)、アンチモン系触媒(三酸化アンチモン等)、ゲルマニウム系触媒(二酸化ゲルマニウム等)、コバルト系触媒(酢酸コバルト等)等が挙げられる。
本発明においては、フィルムの極限粘度が0.62dl/g以上であることが好ましい。フィルムの極限粘度が0.62dl/g以上であれば、フィルムの耐破れ性を確保することができ、印刷加工や溶剤接着加工時の破断等のトラブルや不良の発生を低減化することができる。フィルムの極限粘度を0.62dl/g以上とするためには、PETボトルリサイクル原料以外の他のポリエステル原料の極限粘度を制御することが好ましい。具体的には、他のポリエステル原料の極限粘度を、溶融押出しによる極限粘度の低下を考慮して、好ましくは0.68dl/g以上、より好ましくは0.70dl/g以上、さらに好ましくは0.72dl/g以上とすることが好ましい。なお、フィルムとしての極限粘度のより好ましい下限は0.63dl/g、さらに好ましくは0.64dl/gである。
本発明のフィルムの溶融比抵抗値は、275℃において、0.4×108(Ω・cm)以下であることが好ましい。熱収縮性フィルムは、生産性を高めることも要求され、さらには品質の観点から透明性が高いことも要求される。生産性を高めるためには、溶融押出ししたフィルムをキャスティングロールによって冷却する際に、フィルムとロールとを静電気的に密着させて冷却効率を高め、キャスト速度を高めることが考えられる。溶融比抵抗値が低く、静電密着性が高いと、フィルム品質を高めることもできる。すなわち、静電密着性が低い場合には、フィルムの冷却固化が不完全となって、キャスティングロールとフィルムとの間に局部的にエアが入り込み、フィルム表面にピンナーバブル(スジ状の欠陥)が発生するおそれがあるが、静電密着性に優れると前記ピンナーバブルの発生を低減することができ、フィルム外観を良好なものとすることができる。加えて溶融比抵抗値が十分に低く、静電密着性が十分に高い場合には、フィルムの厚みを均一化できる。すなわち、キャスティングロールへの静電密着性が低いと、キャスティングした未延伸フィルム原反の厚みが不均一化し、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムでは、厚みの不均一性がより拡大されてしまうが、静電密着性が十分に高い場合には、延伸フィルムにおいても厚みを均一化できる。
フィルムの溶融比抵抗値を上記範囲に制御するためには、フィルム中にアルカリ土類金属化合物と、リン含有化合物とを含有させることが望ましい。アルカリ土類金属化合物だけでも溶融比抵抗値を下げることができるが、リン含有化合物を共存させると溶融比抵抗値を著しく下げることができる。アルカリ土類金属化合物とリン含有化合物とを組み合わせることによって溶融比抵抗値を著しく低減できる理由は明らかではないが、リン含有化合物を含有させることによって、異物の量を減少でき、電荷担体の量を増大できるためと推定される。
フィルム中のアルカリ土類金属化合物の含有量は、アルカリ土類金属原子M2を基準として、例えば20〜400ppm(質量基準、以下同じ)程度が好ましく、リン含有化合物の含有量は、リン原子Pを基準として、例えば20〜600ppm程度が好ましい。また、フィルム中のアルカリ土類金属原子M2とリン原子Pとの質量比(M2/P)は0.7〜5.0程度とするのが良い。フィルムの溶融比抵抗値をさらに下げるために、さらに、フィルム中にアルカリ金属原子M1を5〜100ppm含有させることが望ましい。アルカリ金属化合物は、単独でフィルムに含有させても溶融比抵抗値を下げることはできないが、アルカリ土類金属化合物およびリン含有化合物の共存系に追加することで、溶融比抵抗値を著しく下げることができる。
上記アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、マグネシウムメトキシド、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム等、特に酢酸マグネシウムが挙げられる。上記リン含有化合物としては、リン酸、リン酸トリアルキル(リン酸トリメチル等)が挙げられる。上記アルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等、特に酢酸ナトリウムが挙げられる。
また、リン含有化合物としては、リン酸類(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等)およびそのエステル(アルキルエステル、アリールエステル等)、並びにアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸およびそれらのエステル(アルキルエステル、アリールエステル等)が挙げられる。好ましいリン化合物としては、リン酸、リン酸の脂肪族エステル(リン酸のアルキルエステル等;例えば、リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノブチルエステル等のリン酸モノC1-6アルキルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジブチルエステル等のリン酸ジC1-6アルキルエステル、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル等のリン酸トリC1-6アルキルエステル等)、リン酸の芳香族エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等のリン酸のモノ、ジまたはトリC6-9アリールエステル等)、亜リン酸の脂肪族エステル(亜リン酸のアルキルエステル等;例えば、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸のモノ、ジ、またはトリC1-6アルキルエステル等)、アルキルホスホン酸(メチルホスホン酸、エチルホスホン酸等のC1-6アルキルホスホン酸)、アルキルホスホン酸アルキルエステル(メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチル等のC1-6アルキルホスホン酸のモノまたはジC1-6アルキルエステル等)、アリールホスホン酸アルキルエステル(フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル等のC6-9アリールホスホン酸のモノまたはジC1-6アルキルエステル等)、アリールホスホン酸アリールエステル(フェニルホスホン酸ジフェニル等のC6-9アリールホスホン酸のモノまたはジC6-9アリールエステル等)等が例示できる。特に好ましいリン化合物には、リン酸、リン酸トリアルキル(リン酸トリメチル等)が含まれる。これらリン化合物は単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
PETボトルリサイクル原料は、上記添加剤を含有していないので、PETボトルリサイクル原料以外のポリエステル原料に上記添加剤を添加して、前記の好ましい量の範囲に制御することが好適な実施様態である。アルカリ土類金属化合物、リン含有化合物、アルカリ金属化合物の添加時期は特に限定されず、エステル化反応前、エステル化中、エステル化終了から重合工程開始までの間、重合中、および重合後のいずれの段階であってもよいが、好ましくはエステル化工程の後の任意の段階、さらに好ましくはエステル化終了から重合工程開始までの間である。エステル化工程の後に、アルカリ土類金属化合物、リン含有化合物(および必要に応じてアルカリ金属化合物)を添加すると、それ以前に添加する場合に比べて異物の生成量を低減できる。また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム等の微粒子や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤等の公知の添加剤をポリエステル原料に添加してもよい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、30℃、相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後のフィルムの最大収縮方向と直交する方向の初期破断率が20%以下であることが好ましい。この初期破断率とは、上記条件で保管した後、複数のフィルム試験片について、最大収縮方向に直交する方向についての引張り試験を、試験片長さ200mm、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張り速度200mm/分の条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数が、全試験片数のうちどれだけあるかという比率(百分率)のことである。この初期破断率が20%を超えると、フィルムを長期保管後に加工した場合、フィルムの耐破れ性の低下により、破断等のトラブルや不良が発生する。該初期破断率は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。初期破断率を20%以下とするためには、前述のフィルムの極限粘度を0.62dl/g以上とすると共に、フィルムの分子配向を高配向とすることが好ましい。フィルムの分子配向の指標としては、最大収縮方向における熱収縮応力値(測定方法は後述する)を好ましくは6MPa以上、より好ましくは7MPa以上、さらに好ましくは8MPa以上とする。熱収縮応力値の上限は好ましくは22MPa以下、より好ましくは21MPa以下、さらに好ましくは20MPa以下である。フィルムの分子配向(熱収縮応力)を制御するには、延伸倍率・延伸温度を適正な条件とし、適正な延伸応力で製膜することが好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造するには、以下の製法が望ましい。まず、チップ状のPETボトルリサイクル原料とそれ以外のポリエステル原料を用意し、これらをホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥する。その後、適宜混合して、押出機から、200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す。あるいは、未乾燥のチップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す。多層構成の積層フィルムにする方法には、共押出しすればよい。各層構成に併せて、PETボトルリサイクル原料とそれ以外のポリエステル原料の量を前記したように調整する。PETボトルリサイクル原料は、公知の方法で洗浄、粉砕されたチップ状のものを用いるとよい。
押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。押出後は、キャスティングロールで急冷して未延伸フィルムを得る。なお、「未延伸フィルム」には、製造工程でのフィルム送りのために必要な張力が作用したフィルムも含まれる。上記押出機とキャスティングロールの間に電極を配設し、電極とキャスティングロールとの間に電圧を印加し、静電気的にフィルムをロールに密着させることが、フィルムの厚み斑抑制の観点から好ましい。
上記未延伸フィルムに対して延伸処理を行う。延伸処理は、上記キャスティングロール等による冷却後、連続して行ってもよいし、冷却後、一旦ロール状に巻き取り、その後行ってもよい。なお、最大収縮方向がフィルム横(幅)方向であることが、生産効率上、実用的であるので、以下、最大収縮方向を横方向とする場合の延伸法の例を示す。最大収縮方向をフィルム縦(長手)方向とする場合も、下記方法における延伸方向を90゜変える等、通常の操作に準じて延伸することができる。
熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚み分布を均一化させるには、テンター等を用いて横方向に延伸する際、延伸工程に先立って予備加熱工程を行うことが好ましく、この予備加熱工程では、熱伝達係数が0.00544J/cm2・sec・℃(0.0013カロリー/cm2・sec・℃)以下となるように、低風速で、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg+60℃の範囲内のある温度になるまで加熱を行うことが好ましい。
横方向の延伸は、Tg−20℃〜Tg+40℃の範囲内の所定温度で、2.3〜7.3倍、好ましくは2.5〜6.0倍に延伸する。その後、50℃〜110℃の範囲内の所定温度で、0〜15%の伸張あるいは0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要に応じて40℃〜100℃の範囲内の所定温度でさらに熱処理をして、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。
この横延伸工程においては、フィルム表面温度の変動を小さくすることのできる設備を使用することが好ましい。すなわち、延伸工程には、延伸前の予備加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、再延伸処理工程等があるが、特に、予備加熱工程、延伸工程および延伸後の熱処理工程において、任意ポイントにおいて測定されるフィルムの表面温度の変動幅が、平均温度±1℃以内であることが好ましく、平均温度±0.5℃以内であればさらに好ましい。フィルムの表面温度の変動幅が小さいと、フィルム全長に亘って同一温度で延伸や熱処理されることになって、熱収縮挙動やその他の物性が均一化するためである。上記のフィルム表面温度の変動を小さくできる設備としては、例えば、フィルムを加熱する熱風の風速を制御するためにインバーターを取り付け、風速の変動を抑制できる設備や、熱源に500kPa以下(5kgf/cm2以下)の低圧蒸気を使用して、熱風の温度変動を抑制できる設備等が挙げられる。
延伸の方法としては、テンターでの横1軸延伸ばかりでなく、縦方向に1.0倍〜4.0倍、好ましくは1.1倍〜2.0倍の延伸を施してもよい。このように2軸延伸を行う場合は、逐次2軸延伸、同時2軸延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行ってもよい。また、逐次2軸延伸においては、延伸の順序として、縦横、横縦、縦横縦、横縦横等のいずれの方式でもよい。これらの縦延伸工程あるいは2軸延伸工程を採用する場合においても、横延伸と同様に、予備加熱工程、延伸工程等において、フィルム表面温度の変動をできるだけ小さくすることが好ましい。
延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制し、幅方向のフィルム温度斑を小さくする点に着目すれば、延伸工程の熱伝達係数は、0.00377J/cm2・sec・℃(0.0009カロリー/cm2・sec・℃)以上とすることが好ましい。0.00544〜0.00837J/cm2・sec・℃(0.0013〜0.0020カロリー/cm2・sec・℃)がより好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの全体の厚みは特に限定されないが、例えばラベル用熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、全体厚が20μm以上、好ましくは25μm以上であって、300μm以下、好ましくは200μm以下とすることが推奨される。各層の厚みは特に限定されないが、それぞれ10μm以上とすることが好ましい。
上記熱収縮性ポリエステル系フィルムを熱収縮性ラベルとするには、例えば、収縮前の熱収縮性フィルムを、温度・湿度を制御した環境内に所定時間保管した後取り出し、公知のチューブ状成形装置を用いて、フィルム片端の片面の端縁から少し内側に接着用溶剤を所定幅で塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着し、チューブに加工する。このチューブを所定長さに裁断して本発明の熱収縮性ラベルとすることができる。
フィルムの接着は、フィルムの一部を溶融させる溶融接着法を採用することも可能であるが、ラベルの熱収縮特性の変動等を抑制する観点からは、溶剤を用いて行うことが好ましい。使用し得る溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;フェノール等のフェノール類;テトラヒドロフラン等のフラン類;1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;等の有機溶剤が挙げられるが、中でも、安全性が高い点で、1,3−ジオキソランやテトラヒドロフランが望ましい。この熱収縮性ラベルは、PETボトル等の容器に装着した後、公知の熱収縮手段(熱風トンネルやスチームトンネル等)で熱収縮させて、被覆させることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、本実施例で用いる「ppm」は質量基準である。また、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
(1)フィルム組成
フィルムを、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定し、プロトンのピーク強度に基づいてフィルムを構成する成分の構成比率を算出した。
(2)極限粘度
試料(チップまたはフィルム)0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定する。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)によって求められる。
Figure 0004577009
ここで、ηsp:比粘度、t0:オストワルド粘度計を用いた溶媒の落下時間、t:オスワルド粘度計を用いた溶液の落下時間、C:溶液の濃度である。なお、実際の測定では、Huggins式においてk=0.375とした下記近似式で極限粘度を算出した。
Figure 0004577009
ここで、ηr:相対粘度である。
(3)熱収縮率
フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬し、その後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とする。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
(4)溶融比抵抗値
温度275℃で溶融した試料(チップまたはフィルム)中に一対の電極板を挿入し、120Vの電圧を印加し、流れた電流値を測定し、下記式に基づいて溶融比抵抗値(Si;単位Ω・cm)を求めた。
Si(Ω・cm)=(A/I)×(V/io)
[式中、Aは電極の面積(cm2)を示し、Iは電極間距離(cm)を示し、Vは電圧(V)を示し、ioは電流(A)を示す]
(5)製膜性(キャスト性)
押出し機のTダイと、表面温度を30℃に制御したキャスティングロールとの間に、タングステンワイヤー製の電極を配設し、電極とキャスティングロール間に7〜10kVの電圧を印加した。前記Tダイから樹脂を温度280℃で溶融押出しし、キャスティングロールで冷却することにより、厚さ180μmのフィルムを製造した(キャスティングロール速度=30m/分)。得られたフィルムの表面に発生したピンナーバブルを目視にて観察し、下記基準に従って評価した。
○:ピンナーバブルの発生なし
△:ピンナーバブルの発生が部分的に認められる
×:ピンナーバブルの発生大
(6)最大熱収縮応力値
加熱炉付き引張試験機(東洋精機株式会社製「テンシロン」)を用いて測定する。熱収縮前のフィルムから、最大収縮方向の長さが200mmで、幅が20mmの試料を切り出し、予め90℃に加熱しておいた引張試験機の送風を止め、試料をチャック間距離100mmとし、試験片のチャック間長さと、チャック間距離が、1:0.9となるように、試験片を弛ませて取り付けた後、速やかに加熱炉の扉を閉め、送風(温度90℃、吹き出し速度5m/秒の熱風を、奥、左および右の三方向から供給)を開始して、検出される収縮応力を測定し、測定チャートから最大熱収縮応力値(MPa)を求めた。
(7)初期破断率
30℃、相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後の熱収縮性ポリエステル系フィルムの最大収縮方向に直交する方向について、JIS K 7127に準じて引張り試験を行った。試験片数は20とした。試験片長さ200mm、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張り速度200mm/分の条件で行った。伸度5%以下で破断した試験片数を数え、全試験片(20個)に対する百分率(%)を求め、初期破断率(%)とした。
(8)溶剤接着性
1,3−ジオキソランを用いてフィルムをチューブ状に接合加工し、得られたチューブを、接合加工時の流れ方向と直交方向に15mm幅に切断して試料を作製し、接合部分の接着性をチェックした。手で容易に剥がれる部分があるものを×、軽い抵抗感をもって手で剥がれるものを△、手で容易に剥がれる部分のないものを○として評価した。○が合格である。
(9)金属成分量
試料に含まれるNa、Mg、Pの含有量は、以下に示す方法に従って測定した。
[Na]:試料2gを白金ルツボに入れ、温度500〜800℃で灰化分解した後、塩酸(濃度:6mol/L)を5ml加えて蒸発乾固した。残渣を1.2mol/Lの塩酸10mlに溶解し、Na濃度を原子吸光分析装置[「AA−640−12」;(株)島津製作所製]を用いて測定(検量線法)した。
[Mg]:試料2gを白金ルツボに入れ、温度500〜800℃で灰化分解した後、塩酸(濃度:6mol/L)を5ml加えて蒸発乾固した。残渣を1.2mol/Lの塩酸10mlに溶解し、Mg濃度をICP発光分析装置[「ICPS−200」;(株)島津製作所製]を用いて測定(検量線法)した。
[P]:試料を用いて下記(A)〜(C)のいずれかの方法により、試料中のリン成分を正リン酸にした。この正リン酸とモリブデン酸塩とを硫酸(濃度:1mol/L)中で反応させて、リンモリブデン酸とした後、硫酸ヒドラジンを加えて還元した。生じたヘテロポリ青の濃度を、吸光光度計[「UV−150−02」;(株)島津製作所製]を用いて830nmの吸光度を測定することによって求めた(検量線法)。
(A)試料と炭酸ソーダとを白金ルツボに入れ、乾式灰化分解する
(B)硫酸・硝酸・過塩素酸系における湿式分解
(C)硫酸・過塩素酸系における湿式分解
実験1
内層(コア層)にポリエステルB:55質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:35質量%を混合したポリエステル系樹脂を用い、両表面層(スキン層)にポリエステルA:35質量%、ポリエステルB:55質量%、ポリエステルC:10質量%を混合したポリエステル系樹脂を用いて、Tダイを備えた単軸押出機によって280℃で共押出し、その後急冷して、スキン層/コア層/スキン層の3層構造からなる未延伸フィルムを得た(厚み:195μm)。この未延伸フィルムを88℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で3.9倍延伸し、続いて78℃で10秒間熱処理を行って、厚さ40μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:10μm/20μm/10μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルム1を得た。延伸プロセスの各工程においては、フィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。使用したポリエステル系樹脂の組成・内容を表1に示す。
表1中、TPAはテレフタル酸を、EGはエチレングリコールを、BDは1,4−ブタンジオールを、NPGはネオペンチルグリコールを、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノールを意味する。金属成分(Na、Mg、P)の含有量は各原子の濃度(単位:ppm;質量基準)で示した。なお、Naは主に酢酸ナトリウムに由来し、Mgは主に酢酸マグネシウム・4水塩に由来し、Pは主にトリメチルホスフェートに由来している。また、各層の構成と得られたフィルムの組成を表2に、フィルムの特性を表3に示した。
実験2
コア層にポリエステルB:75質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:15質量%を混合したポリエステル系樹脂を用い、両スキン層にポリエステルA:15質量%、ポリエステルB:75質量%、ポリエステルC:10質量%を混合したポリエステル系樹脂を用いて、Tダイを備えた単軸押出機によって280℃で共押出し、その後急冷して、スキン層/コア層/スキン層の3層構造からなる未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを88℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に75℃で5.2倍延伸し、続いて65℃で10秒間熱処理を行って、厚さ40μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:10μm/20μm/10μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルム2を得た。延伸プロセスの各工程においては、フィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。各層の構成と得られたフィルムの組成を表2に、フィルムの特性を表3に示した。
実験3〜5
表2に示すように、ポリエステル系樹脂の組成を代えた以外は実験1と同様にして、厚さ40μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:10μm/20μm/10μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。各層の構成と得られたフィルムの組成を表2に、フィルムの特性を表3に示した。
Figure 0004577009
Figure 0004577009
Figure 0004577009

Claims (7)

  1. ペットボトルリサイクル原料が含まれた層を有する3層構成の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
    内層が両表面層よりもペットボトルリサイクル原料が多く、内層のペットボトルリサイクル原料の含有量が7〜40質量%、両表面層のペットボトルリサイクル原料の含有量が7質量%以下であり、
    前記両表面層の原料ポリエステルの構成ユニット100モル%中、結晶性低下成分としてのネオペンチルグリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むユニットが12モル%以上であり、前記フィルムを構成するポリエステルは、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸を50モル%以上、多価アルコール成分100モル%中、エチレングリコールを50モル%以上含有し、
    このフィルムを10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を95℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が40%以上であり、
    少なくとも一軸に延伸されていることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. 上記フィルムの極限粘度が0.62dl/g以上である請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 上記フィルムにはアルカリ土類金属とリン化合物が含まれており、フィルム中のアルカリ土類金属M2の含有量が20〜400ppmであり、リン原子Pの含有量が20〜600ppmである請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. 上記フィルムの275℃での溶融比抵抗値が0.4×108(Ω・cm)以下である請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 上記フィルムを、30℃、相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後、複数の試験片について、最大収縮方向に直交する方向についての引張り試験を、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張り速度200mm/分の条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数が全試験片数の20%以下である請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  6. 一軸延伸は、予備加熱後に、Tg−20℃〜Tg+40℃の範囲内の温度で、2.3〜7.3倍に延伸することにより行われたものである請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いたことを特徴とする熱収縮性ラベル。
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