JPH07323511A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

積層ポリエステルフィルム

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JPH07323511A
JPH07323511A JP12127394A JP12127394A JPH07323511A JP H07323511 A JPH07323511 A JP H07323511A JP 12127394 A JP12127394 A JP 12127394A JP 12127394 A JP12127394 A JP 12127394A JP H07323511 A JPH07323511 A JP H07323511A
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JP
Japan
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polyester
film
raw material
particles
recycled
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Application number
JP12127394A
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English (en)
Inventor
Akira Otonashi
皓 音無
Katsumi Kida
克己 木田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 品質の劣化なく、ポリエステルボトルのリサ
イクル原料を使用し、スリット特性に優れ、電磁変換特
性のよい磁気記録媒体用ベースフィルムとして有用な積
層ポリエステルフィルムを提供することにある。 【構成】 少なくとも一層にポリエステルボトルのリサ
イクル原料を使用することを特徴とする積層ポリエステ
ルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体用に好適な
ポリエステルフィルムに関するものである。詳しくはポ
リエステルボトルのリサイクル原料としての有効な活用
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PET)
やポリエチレンナフタレート(PEN)などで代表され
る芳香族ポリエステルは、優れた力学特性、耐薬品性な
どを有しており繊維、フィルムなどの成型品として広く
使用されている。特にPET樹脂は安価であり、さらに
衛生的な面でも優れていることから、食品容器、特に飲
料用の容器として幅広く使用されている。これらの容器
は一般に“ペット(PET)ボトル”と称され、その使
用量は膨大である。さらに、近年の環境問題の高まり、
および省資源の面から、使用済みのペットボトルを回収
し、資源としてリサイクルすることが緊急の課題となっ
ている。
【0003】ペットボトルのリサイクル品を粉砕し、ペ
ットボトル製造工程で新しい原料にリサイクル原料をブ
レンド使用する方法も用いられているが、衛生面から充
分な洗浄、異物管理が必要で、使用可能量も限界があっ
た。また、再溶融し成型品として再生することも可能で
あるが、成型品は、庭木用具、土木用資材などの低価格
な製品に限られ、リサイクルに要するコストを回収する
に不十分であった。そこで従来からPET樹脂からモノ
マー成分を回収する方法が検討されている。例えば、P
ETにメタノールを添加してジメチルテレフタレート
(DMT)エチレングリコール(EG)に分解する方法
(特公昭42−8855公報など)、PETにEGを添
加し解重合した後、メタノールを添加しDMTを回収す
る方法(特開昭48−62732公報など)が知られて
いる。しかし、いずれの方法も処理工程が複雑でコスト
的に全く採算が取れらないのが実情で、これらの方法に
替わる効率の良いリサイクル化が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリエステルフィルム
はポリエステル樹脂の大きな用途であり、二軸配向フィ
ルムは、その優れた特性から各種工業用途に幅広く使用
されている。特に、近年のビデオテープレコーダーの普
及により、磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの使用
量は増加している。ペットボトルのリサイクル品をフィ
ルム用途、特に磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの
原料に使用できれば大きな効果が期待できる。
【0005】一方、ポリエステルフィルムは製造工程で
の取扱い性を改良するため、その表面に微細な突起を形
成するため、炭酸カルシウムやコロイダルシリカなどの
不活性粒子を含有せしめたフィルムが知られている(た
とえば特開昭59−171623号公報)。しかし、磁
気記録媒体用ポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒
体は、磁気記録媒体製造工程での磁性体塗布・カレンダ
ー工程などで工程速度の増大にともない、接触するロー
ルなどによってポリエステルフィルム表面、特に微細な
突起を有するフィルム表面が削りとられたり、傷がつく
という欠点が最近問題となっている。また、ダビング時
の画質低下のために、画質すなわちS/N(シグナル/
ノイズ比)も不十分という欠点があった。本発明はかか
る従来の問題を解決し、特に高速工程で、フィルム表面
が削りとられたりフィルム表面に傷がつきにくく(以
下、耐スクラッチ性という)するとともに、画質低下の
少ない、すなわち電磁変換特性のよい(以下電磁変換特
性に優れるという)、優れた表面特性をもつ磁気記録媒
体用に適したポリエステルフィルムを提供することを目
的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
積層ポリエステルフィルムは、少なくとも一層にポリエ
ステルボトルのリサイクル原料を使用することを特徴と
し、好ましくは、3層構造であり、積層部の少なくとも
一層に不活性粒子を0.1〜1.5重量%含有し、基層
部に少なくとも1重量%以上のポリエステルボトルのリ
サイクル原料を使用することことから成る。
【0007】まず、本発明のフィルムは少なくとも2層
以上の積層構造である必要がある。3層、4層、5層で
あってもかまわないが、特に3層構造の場合に本発明の
効果がより一層良好となり好ましい。2層の場合は積層
部/基層部、3層の場合は積層部(A)/基層部/積層
部(B)であり、3層の場合、積層部(A)と積層部
(B)が同じ組成・構成であっても良く、異なった組
成、例えば、無粒子層/基層部/粒子含有層の構成であ
っても良い。また、実質的に同じ厚さであってよく、異
なった厚さであってもよい。好ましくは、積層部(A)
と積層部(B)が同じ組成に設計することが生産が容易
で望ましい。しかし、1層からなる単層のフィルムでは
重要なフィルム特性である耐スクラッチ性や電磁変換特
性を満足することができず、良好な画質や良好なドロッ
プアウト特性を得ることはできない。
【0008】次に、本発明のフィルムは、これを構成す
る上記各層の少なくとも一層が二軸に配向している必要
がある。2層以上の積層構造の内、全部の層が二軸に配
向していると特に好ましい。全ての層が無配向や一軸配
向では本発明の特性を満足することはできない。
【0009】本発明のフィルムを構成するポリエステル
は得に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートを
主成分とする場合が好ましい。なお、本発明を阻害しな
い範囲内で、他のポリマ、例えばポリエチレン2,6ナ
フタレートなどを混合しても良いし、共重合ポリエステ
ルであっても良い。共重合成分の例としては、アジピン
酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸、トリメリット酸などの多価カ
ルボン酸成分、あるいは、ジエチレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオ
キシアルキルグリコール、p−キレングリコール、1,
4−シクロヘキシルジメタノールなどの多価アルコール
成分などが挙げられる。また、熱安定剤、改質剤、酸化
防止剤などを含んでいても何等差し支えない。
【0010】磁気記録媒体として十分な走行性を得るた
めには、その少なくとも片面側のフィルム表面の粗さが
適正であることが求められ、フィルム表面の中心線平均
表面粗さRaは5〜50nmであることが好ましく、よ
り好ましくは8〜30nm、さらに好ましくは10〜2
5nmである。この表面粗さを達成するには、好ましく
は3層構造で、フィルム表面を構成する積層部の少なく
とも一層に不活性粒子を0.1〜1.5重量%、好まし
くは0.2〜1.2重量%、さらに好ましくは0.2〜
1.0重量%含有することにより達成できる。
【0011】さらに、不活性粒子を含有する積層部にお
いて、積層部の層厚さt(μm)と積層部に含有する不
活性粒子の平均粒径(μm)との関係が、 0.2d≦t≦10d になるように含有することが好ましく、tが0.2dよ
りも小さいと走行性が悪化したり、tが10dよりも大
きいと磁気テープとしたときの画質が低下する場合があ
る。
【0012】ここで、不活性粒子は一種である必要はな
く、2種類以上の不活性粒子の混合系であっても良い。
さらに、含有する不活性粒子の粒径は均一であることが
好ましく、特に粗大な粒子を含まないことが電磁変換特
性、耐スクラッチ性がより一層良好になるので望まし
い。必要に応じ、サンドグラインダーなどによる分散処
理、遠心沈降処理などによる分級処理、さらに濾過など
の方法を用いる。不活性粒子の種類は特に限定されるも
のでないが、上記の好ましい粒子特性を満足するには、
炭酸カルシウム、コロイダルシリカ、有機高分子微粒
子、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンなどの粒子が用
いられる。炭酸カルシウムは合成法によって製造された
ものが粒径分布が均一であり好ましく、コロイダルシリ
カもアルコキシド法、水ガラス法などで製造された球形
なシリカ粒子が粒径分布が均一で好ましい。有機高分子
微粒子としては、例えばポリスチレン、架橋ポリスチレ
ン、スチレン・アクリル系架橋粒子、シリコーン粒子、
など一部がポリエステルに不溶な粒子が挙げられる。好
ましくは、ブチルアクリレート−ジビニルベンゼン共重
合体、エチルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体、2
−エチルヘキシルアクリレート−エチレングリコ−ルジ
メタアクリレート共重合体などの架橋微粒子が挙げら
れ、さらにそれ以上のモノマー成分からなる共重合体で
あっても良い。また、その耐熱性は熱天秤による熱分解
温度(10%減量)が350℃以上であることが好まし
い。
【0013】これらの不活性粒子は、粒子表面を界面活
性剤、高分子化合物などで処理あるいはコーティングし
て用いることも何等さしつかえない。特に重合過程での
分散性の改良、フィルム中でのポリエステルとの親和性
改良のため、界面活性剤などで処理しポリエステルに対
する親和性を改善する方法が好ましく採用される。
【0014】また、本発明の効果を阻害されない範囲
で、カルシウムおよびリチウム元素などを含む析出内部
粒子を併用して含有せしめても何等さしつかえない。
【0015】本発明の積層フィルムの少なくとも1層に
はポリエステルボトルのリサイクル原料が好ましくは1
重量%以上使用されていることが必要である。
【0016】基層部のポリエステルは実質的に粒子を含
まないポリエステルであってもよいし、粒子を含んでい
ても良い。粒子種としては特に制限されるものでなく、
例えば、無機粒子として炭酸カルシウム、シリカ、カオ
リン、アルミナ、硫酸バリウム、酸化チタンなどポリエ
ステルに不溶な微細粒子でも良いし、また、架橋ポリス
チレンなどの有機粒子が含まれていても良いし、カルシ
ウムあるいはリチウムなどを含む内部粒子を含んでいて
も良い。
【0017】また、基層部ポリエステルに含まれる粒子
は、積層部によってなされる表面形成を実質的に阻害し
ないことが望ましく、含有粒子の平均粒子径は積層部に
含まれる平均粒子径の少なくとも2.0倍以下、好まし
くは1.5倍以下にするのが望ましい。2.0倍を越え
ると基層部の粒子の影響を積層部で隠蔽できず、粗大突
起発生の原因となる場合がある。また、基層部ポリエス
テルは該積層フィルムあるいは他の品種の生産段階など
で発生する非製品部分などを主体とする回収原料を含ん
でいても良い。
【0018】ここで、基層部に使用するポリエステルボ
トルのリサイクル原料は、ペットボトルと称するポリエ
ステルを主体とする容器のリサイクル品を主体とするも
のであり、例えば、炭酸飲料、醤油などの飲料用容器の
リサイクル品であり、二軸に配向されていても良く、無
色のものが好ましいが、若干の着色成分を含んでいても
よく、積層部に含まれる粒子の平均粒子径の2.0倍以
下の粒子であれば含有するものあっても構わない。
【0019】利用できるペットボトルからなるポリエス
テルは、通常の重合法で製造、成型されたポリエステル
であり、好ましくはポリエチレンテレフタレートを主体
とするものであり、他のポリエステル成分、共重合成分
を含んでいても差し支えない。触媒としてアンチモン、
ゲルマニウム、チタンなどの金属化合物、安定剤として
のリン化合物などを含んでいてもよく、固有粘度は0.
5以上であることが好ましく、0.55〜0.80の範
囲がより好ましい。
【0020】集約された使用済のリサイクルペットボト
ルから、金属成分などの、非ポリエステル異物を取り除
き、水洗、粉砕することにより、本発明の原料に供する
ことができる。粉砕などの処理方法は特に制限されるも
のではなく、公知の一般的な方法が適用でき、好ましく
は1〜10mm角程度に粉砕したものが好適である。
【0021】基層部へのペットボトルリサイクル原料の
使用量は基層部に対して1重量%以上とすることが好ま
しい。1重量%より少ないとリサイクル原料の活用効果
は少なく、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは
20重量%以上であり、リサイクル品の固有粘度などの
品質が、積層部設計組成を大きく逸脱しない範囲内で、
混合使用することができる。
【0022】本発明の積層フィルムは、磁性剤との接着
性の改良、帯電防止などのために、帯電防止剤などの塗
布層を少なくとも片面のフィルム表面に設けても何等差
し支えない。
【0023】次に本発明のフィルムの製造方法の一例に
ついて説明する。まず、ポリエステルに粒子を含有せし
める方法としては、例えばジオール成分であるエチレン
グリコール(EG)に不活性粒子を所定割合にスラリー
の形で分散せしめ、このEGを所定のジカルボン酸成分
と重合せしめる方法が好ましい。また粒子の水スラリー
を直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式
の二軸押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本
発明の効果をより一層良好とするのに非常に有効であ
る。上記方法で高濃度の粒子マスターをつくっておき、
それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステル
で希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0024】次に、このポリエステルペレットを用い
て、2層以上の積層構造をもったポリエステルフィルム
とする。上記の方法にて得られた粒子含有ポリエステル
ペレットおよび無粒子ポリエステルペレットを混合し積
層部原料とする。さらに上記の通り水洗、粉砕したペッ
トボトルリサイクル原料および無粒子ポリエステルペレ
ットを混合し基層部原料とする。積層部原料および基層
部原料をそれぞれ乾燥した後、公知の溶融積層用押出機
に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キ
ャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィル
ムを作る。すなわち、2または3台以上の押出機、3層
以上のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合
流部を有する合流ブロック)を用いて、各積層部および
基層部を構成するポリエステルム層を積層し、口金から
2層以上のシートを押出し、キャスティングロール上で
冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、ポリマ流路
にスタチックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有
効である。また、最外層積層側のポリマを押出す押出機
の溶融温度を基層部より5〜10℃低くすることが、積
層押出し工程の安定化に有効である。
【0025】次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、
二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法
または同時二軸延伸法を用いることができる。ここで、
最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦
延伸倍率を3.5〜6.5倍で行う方法が特に好まし
い。長手方向は延伸温度はポリエステルの種類によって
異なり一概に言えないが、通常、その1段目を50〜1
30℃とし、2段目以降はそれより高くすることが有効
である。長手方向延伸速度は5000〜50000%/
分の範囲が好適である。幅方向の延伸方法としてはステ
ンタを用いる方法が一般的である。延伸倍率は3.0〜
5.0倍の範囲が適当である。幅方向の延伸速度は、1
000〜20000%/分、温度は80〜160℃の範
囲が好適である。次にこの延伸フィルムを熱処理する。
この場合の熱処理温度は170〜220℃、特に180
〜200℃、時間は0.2〜20秒の範囲が好適であ
る。
【0026】本発明の特性値の測定方法および効果の評
価方法は次のとおりである。
【0027】(1)粒子の平均粒径 フィルムの表面からポリマをプラズマ低温灰化処理法で
除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化さ
れるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。
その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子
画像をイメージアナライザーで処理する。SEMの倍率
はおよそ2000〜10000倍、また、1回の測定で
の視野はおよそ10〜50μmから適宣選択する。観察
箇所をかえて粒子数1000個以上で、粒径とその体積
分率から、次式で平均径をdを得る。 d=Σdi・Nvi ここでdiは体積相当粒径、Nviはその体積分率であ
る。粒子が有機粒子などで、プラズマ低温灰化処理法で
大幅にダメージを受ける場合には、以下の方法を用いて
もよい。フィルム断面を透過型でにし顕微鏡(TEM)
を用い、3000〜100000倍で観察する。TEM
の切片厚さは約1000オングストロームとし、場所を
変えて500視野以上測定し、上記の式から平均径dを
求める。また、必要に応じ、例えば重合時に添加前の粒
子について同様に走査顕微鏡での測定も採用でき、遠心
沈降式の粒度分布測定器による測定値も採用できる。
【0028】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し、粒子は溶解しない溶媒を選択
し、粒子を溶媒から遠心分離し、粒子の量を全体重量に
対する比率(重量%)を持って粒子含有量とする。場合
によっては赤外分光法、蛍光X線分析法などの併用も有
効である。さらに、必要に応じフィルムをミクロトーム
で切断し、透過型電子顕微鏡で測定し、単位面積あたり
の粒子像の割合を求めることにより、該ポリエステルに
対する粒子添加量を算出すことができる。
【0029】(3)積層部ポリエステル厚さ(最外層の
厚さ:t) 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子農地最も
高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素
の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ
3000nmまでまで厚さ方向の分析を行う。表層では
表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざか
るにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場
合は一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め、これを積層厚さとした。
【0030】測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) ドイツ,ATOMIK
A 社製 A-DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲ−ト30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−Gun :0.5KV−3.0A なお、表層からの深さ3000nmの範囲にもっとも多
く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは
測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS
(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記
同様のデプスプロファイルを測定史跡沿う厚さを求めて
も良いし、また、電子顕微鏡などによる断面観察で粒子
濃度の変化状態やポリマの違いによるコトラストの差か
ら界面を認識し積層厚さを求めることもできる。さらに
は積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定器を用いて積層厚
さを求めることもできる。
【0031】(4)フィルムの中心線平均表面粗さ(R
a) JIS−B−0601に従い小坂研究所製触針型表面粗
さ計BE−3Eを用い、カットオフ0.25mm,測定
長4mmで中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。
【0032】(5)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から、下記式から計算される値を用いる。 ηsp/C=[η]+K[η]2 ・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100m
l、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とす
る)。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計
を用いて測定した。
【0033】(6)耐スクラッチ性 25℃相対湿度60%の雰囲気下で、外形6mmの固定
軸(表面粗さ0.2S)に1/2インチ幅のテープ状フ
ィルムを角度θ=π/3radで接触させ、250m/
分の早さで走行させる。入り口テンションT1 を90g
とし、100m走行後のフィルムをアルミ蒸着して、ス
クラッチ傷の本数、幅の大きさおよび白粉の発生状態を
微分干渉顕微鏡で観察した。全くスクラッチ傷が見られ
ずかつ白粉の発生のないものを耐スクラッチ性:5、ス
クラッチ傷が3本/mm未満でかつ白粉の発生が殆どな
いものを耐スクラッチ性:4、スクラッチ傷が3〜10
本/mmで幅の大きいものもあり、かつ白粉がかなり発
生しているものを耐スクラッチ性:3、スクラッチ傷が
10本/mm以上で幅も大きく、かつ白粉が著しく発生
しているものを耐スクラッチ性:2、それ以外を耐スク
ラッチ性:1と判定した。耐スクラッチ性が5または4
であれば実用上問題なく使用できる。
【0034】(7)電磁変換特性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型カレ
ンダー装置(スチロールロール/ナイロンロール、5
段)で温度70℃、線圧200kg/cmでカレンダー
処理後、70℃で48時間キュアリングする。この原反
を50m/分の速度で1/2インチ幅に切断スリット
し、パンケーキを作成した。
【0035】 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2 /g) :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 : 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ : 10重量部 ・ポリイソシアネ−ト : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソブチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 さらに、上記のパンケーキから長さ250mをVTRカ
セットに組み込み、VTRカセットテープとした。この
テープを家庭用VTRを用いてシバソク製のテレビ試験
波形発生器(TG7/U706)により100%クロマ
信号を記録し、その再生信号からシバソク製カラーノイ
ズ測定機(925D/1)でクロマS/Nを測定し画質
を判定した。
【0036】
【実施例】
実施例1〜4、比較例1〜2 平均粒径の異なる合成炭酸カルシウムをそれぞれEGの
10重量%スラリ−とし、サンドグラインダーで2時間
分散処理を行い、さらにスーパーデカンターで遠心分級
処理し、粗粒子を除去した。このスラリーを2μmのフ
ィルターで精密濾過を行い、粗粒の少ない、平均粒子径
の異なる炭酸カルシウムのEGスラリ−を準備した。
【0037】テレフタル酸ジメチル(DMT)100
部、EG70部、酢酸マグネシウム・4水塩0.04部
および酸化アンチモン0.04部を反応器に仕込み、内
温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応を
行った。エステル交換交換反応率が97%となった時点
で、安定剤としてトリメチルフォスフェート0.04部
および先に準備してある炭酸カルシウムのEGスラリー
20部を添加した。次いで反応生成物を重合反応器に移
し、高温真空下(最終内温290℃)にて常法に従い重
縮合反応を行い、固有粘度0.62の炭酸カルシウム粒
子を2重量%含有するポリエチレンテレフタレートを得
た。同様な方法で、粒径の異なる炭酸カルシウムを含む
ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0038】一方、上記重合法において、粒子のEGス
ラリーを添加することなく、エステル交換交換反応およ
び重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含まない固
有粘度0.62の無粒子ポリエチレンテレフタレートを
得た。
【0039】ベントタイプ二軸押出機を使用して、前記
無粒子ポリエチレンテレフタレートを溶融状態とし、最
終的なポリマ中の含有量が1重量%になるようにジビニ
ルベンゼン共重合体粒子(ジビニルベンゼン55%、エ
チルビニルベンゼン45%の共重合品)の水スラリーを
添加、ベント口を10Torrの真空度に保持し、ポリ
マ温度280℃でで溶融混練押出して、ジビニルベンゼ
ン共重合体粒子含有ポリエチレンテレフタレート(固有
粘度0.615)を得た。
【0040】炭酸飲料用、および醤油瓶用に使用した、
500mlおよび1リットルの使用済ペットボトルの蓋
部分を取り外し、プラスチック粉砕機を用い、平均3m
m角に粉砕処理した。粉砕品を水洗し、遠心分離機で脱
水処理し、リサイクル原料とした。固有粘度は0.68
で、灰分(10gを白金皿の中で燃焼、灰化し、500
℃,2時間灼熱後の残分量)は0.09%であった。さ
らに、赤外線分光々度計でポリエステル成分を確認した
結果、ポリエチレンテレフタレートであり、他のポリマ
−成分はほとんど確認できなかった。さらに、蓋の取り
外し、粉砕、水洗、脱水工程の処理費用は、無粒子ポリ
エチレンテレフタレートの製造費用の約30%で、新規
重合ポリエステルに替えリサイクル原料を使用すること
が達成できれば、大幅に安価にポリエステルフィルムが
製造できることを確認した。
【0041】次に、粒子マスターポリマ、および無粒子
ポリマを混合し積層部原料とし、さらにペットボトルか
ら得られた粉砕リサイクル原料と無粒子ポリマを混合し
基層部原料とした。それぞれ表1のとおり種類・量を変
えて混合し、180℃で3時間減圧(3Torr)乾燥
した。
【0042】基層部原料を押出機1に供給し310℃で
溶融し、さらに積層部原料を押出機2に供給し280℃
で溶融した。これらのポリマを矩形積層部を備えた合流
ブロックで口金に入る前に合流積層し、静電印加キャス
ト法を用いて表面温度45℃のキャスティング・ドラム
に巻き付けて冷却固化し、基層部ポリエステルの両面に
積層ポリエステルを積層した3層構造の未延伸フィルム
を作った。この時、それぞれの押出機の吐出量を調節
し、総厚さ、積層厚さを調節した。この未延伸フィルム
を80℃で長手方向に4.5倍延伸した。この延伸は2
組ずつのロ−ルの周速差で、2段階で行った。この一軸
延伸フィルムをステンタを用いて延伸速度2,000%
/分で100℃で幅方向に4.0倍延伸し、定長下で2
00℃にて5秒間熱処理し積層二軸配向ポリエチレンテ
レフタレートフィルムを得た。
【0043】このフィルムの諸物性を評価するととも
に、耐スクラッチ性、電磁変換特性を評価した。
【0044】得られたフィルムの各パラメーターおよび
フィルム品質は表1に示した通りであり、本発明の範囲
内でポリエステルボトルのリサイクル原料を使用した場
合、リサイクル原料を用いない従来の基準値(比較実施
例1)に対し何等遜色のないフィルム品質が得られてお
り、ポリエステルボトルのリサイクル原料の使用による
品質欠点はないことが確認され、積層ポリエステルフィ
ルムの製造費用削減効果、環境問題、省資源効果が確認
できた。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の積層ポリエステルフィルムは、
品質の劣化なく、ポリエステルボトルのリサイクル原料
を使用することを特徴とするものであり、社会的に要望
されている環境問題の改善および省資源効果に寄与し、
さらに安価な二軸配向積層ポリエステルフィルム、特に
安価な磁気媒体用、ビデオテープに最適なポリエステル
フィルムを提供することが可能であり極めて有効であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/704

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一層にポリエステルボトルの
    リサイクル原料を使用することを特徴とする積層ポリエ
    ステルフィルム。
  2. 【請求項2】 3層構造であり、積層部の少なくとも一
    層に不活性粒子0.1〜1.5重量%含有し、該粒子の
    平均粒径d(μm)と該最外層の層厚さt(μm)との
    関係が 0.2d≦t≦10d であり、かつ基層部に少なくとも1重量%以上のポリエ
    ステルボトルのリサイクル原料を使用することを特徴と
    する磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィル
    ム。
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