JP6483357B2 - 風味油を含有するドレッシング - Google Patents

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本発明は、風味油を含有するドレッシングに関する。
野菜を含むサラダは、マヨネーズやドレッシング等と和えて食することが多い。また、スーパーマーケット等では、予めマヨネーズ等と和えたサラダが販売されている。このようなサラダは、食されるまでに店頭や家庭の冷蔵庫で冷蔵保管され、保管中に野菜から水分が浸出してしまう。そのため、サラダの外観が損なわれ、また、野菜の食感が水っぽくなり、食感が低下してしまう等の問題が生じている。
特許文献1(特開昭61−185161)には、野菜等からの離水を抑える方法として、野菜と水中油型の乳化食品とを混和させてサラダを製造するに際して、両者の混和段階で粉末ガムを添加する方法が開示されている。しかしながら、当該方法では、粉末ガムの均一分散が困難で、安定した離水抑制効果が得られない。
一方、風味油は、特有の風味を有するため、サラダ等にも使用されている。風味油の風味は、香りと味に大きく分けることができる。サラダ等に使用した場合、経時的に風味が低下することがあり、問題となっている。
特開昭61−185161号公報
このように、サラダ等に含まれる野菜は、保存時に離水等により、食感の低下が問題となっており、さらに、風味油をサラダ等に使用した場合、経時的な風味の低下が問題となっている。従って、本発明は、このような問題点に鑑み、サラダ等に含まれる野菜の食感を維持し、さらに、風味油の風味を向上するドレッシングを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、所定量のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよび風味油を含有するドレッシングが、サラダ等に含まれる野菜(葉菜類、根菜類等)の食感を維持することができ、さらに、風味油の風味を向上できることを見出した。
すなわち、本発明は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよび風味油を含有するドレッシングであって、風味油に対し前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下含有する前記ドレッシングである。
HLB 1〜9の乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを除く)を含有することが好ましい。
前記乳化剤の含有量が前記風味油に対し0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
前記乳化剤が有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルのいずれか1種または2種以上であることが好ましい。
前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと前記乳化剤の含有量の比が9:1〜1:9であることが好ましい。
前記風味油がガーリックオイル、唐がらし油またはバジルオイルであることが好ましい。
また、本発明は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよび風味油を含有するドレッシングであって、前記風味油に対し前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下含有する前記ドレッシングを添加したサラダである。
また、風味油にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下添加することを特徴とする風味油の風味を向上する方法である。好ましくは、サラダに添加したときのドレッシングに含まれる風味油の風味を向上する方法である。
また、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよび風味油を含有するドレッシングであって、前記風味油に対し前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下含有する前記ドレッシングを野菜に添加することで野菜の食感を維持する方法である。
本発明のドレッシングは、サラダ等に含まれる野菜(葉菜類、根菜類等)の食感を維持することができ、さらに、風味油の風味を向上することができる。
本発明は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよび風味油を含有するドレッシングであって、風味油に対し前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下含有する前記ドレッシングである。
本発明の風味油とは、第一の風味油としては、フレーバー等の香料を添加した油脂である。例えば、バターフレーバーオイル等である。第二の風味油としては、ねぎ、ガーリック等の香味を有する野菜等を油脂中で加熱することで得られる当該野菜等の風味を有する油脂、および、前記油脂と食用油を配合した油脂である。例えば、ねぎ油、ガーリックオイル、バジルオイル、唐辛子油等である。また、第二の風味油にフレーバー等の香料を配合してもよく、二種以上の風味油を混合してもよい。
風味油に使用される油脂には、その種類には特に限定がなく食用油として用いられるものであればよく、一般的に風味を有していない、あるいは、風味の少ない油脂が使用される。具体例として、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、パーム核油、ヤシ油などの植物油脂並びに牛脂、豚脂等の動物脂、並びにこれらに分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂の単品又は、これらの二種類以上の混合したものが挙げられる。また、顧客の好み等に合わせて、オリーブ油や焙煎ごま油等を配合してもよい。
ドレッシングに含まれる風味油の含有量は、通常、ドレッシングで使用される範囲である。好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。上限は特にないが、例えば、95質量%以下である。
本発明で使用するポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(以下、「PGPR」と記載することがある)は、通常、食品用として用いられるものを使用できる。
また、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、風味油に対し0.05質量%以上3質量%以下である。好ましくは0.07質量%以上2質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上2質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上1.5質量%以下である。
本発明で使用する乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを除く)は、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が1〜9である。好ましくは1.5〜8であり、より好ましくは1.5〜7.5であり、さらに好ましくは2〜7.5であり、最も好ましくは6〜7.5である。
また、前記乳化剤の含有量は、好ましくは、風味油に対し0.05質量%以上3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。
また、前記乳化剤として、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を使用することができる。好ましくは有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルのいずれか1種または2種以上であり、より好ましくは、有機酸モノグリセリドおよびショ糖脂肪酸エステルのいずれか1種または2種であり、さらに好ましくは、有機酸モノグリセリドであり、最も好ましくはクエン酸モノグリセリドである。
前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと前記乳化剤の含有量の比が9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜1:9であることがより好ましく、7:3〜2:8であることがさらに好ましく、4:6〜2:8であることが特に好ましい。所定の比にすることで風味油の後味を効果的に向上することができる。
本発明のドレッシングとは、サラダ等にかける液状または半固形状の調味料のことであり、乳化液状ドレッシング及び分離液状ドレッシングが好ましく、分離液状ドレッシングがより好ましい。通常、酢、油脂、塩をベースに作られるものである。本発明では、機能を阻害しない限り、通常のドレッシングに用いられる添加物等を適宜配合することができる。例えば、醤油等の調味料、胡椒等の香辛料、玉ねぎ等の刻み野菜等が挙げられる。
ドレッシングを製造する際、前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと前記乳化剤を予め配合した風味油と、酢および塩等を配合することが好ましいが、風味油、酢および塩等を配合した後に、所定の含有量となるよう前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと前記乳化剤を添加してもよい。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例1−1、4−1および5−1は、参考例である。
実施に際しては、以下のものを使用した。
<風味油>
ガーリックオイル
Savor−Up ガーリックオイル(株式会社J−オイルミルズ社製)
唐がらし油
Savor−Up 唐がらし油(株式会社J−オイルミルズ社製)
バジルオイル
Savor−Up オリーブ&バジルオイル(株式会社J−オイルミルズ社製)
<ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル>
CRS−75:ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(阪本薬品工業株式会社製)
818SK:縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン(太陽化学株式会社製)
<PGPR以外の乳化剤>
ER−290:ショ糖エルカ酸エステル、HLB 2(三菱化学フーズ株式会社製)
623M:クエン酸モノオレイン酸グリセリン、HLB 7(太陽化学株式会社製)
PO−5S:ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、HLB 4.9(阪本薬品工業株式会社製)
O−80V:ソルビタンモノオレイン酸エステル、HLB 4.9(理研ビタミン株式会社製)
PO−100V:プロピレングリコールモノオレイン酸エステル、HLB 3.6(理研ビタミン株式会社製)
下記方法により評価をおこなった。

<評価方法A>
1. 大根を3mm角、長さ約10cmにスライスした(DREMAX社製 DX−80マルチ1000切りロボ使用;スライスした大根は、使用するまで水につけておき、使用時に水を切った)。
2. 蓋付きプラスチック容器内に、下記配合になるように材料を加え、ドレッシングを調製した。
3. 小型ハンドミキサーで10秒間撹拌した。
4. スライスした前記大根を50g加えた。
5. 蓋をして、上下に10回振った。
6. 1時間室温に放置した。
7. 喫食して下記評価基準に従って、「大根の歯切れ」、「大根の味」、「風味油特有の香り」、「風味油特有の先味」、「風味油特有の後味」の評価をおこなった。なお、「風味油特有の」とは、例えば、ガーリックオイルの場合、「ガーリックの」という意味である。

(配合)
風味油 15g
酢 5g
塩 0.7g

(評価基準)
◎:対照より非常に良い
○:対照より良い
△:対照よりやや良い
×:対照と同等以下
<評価方法B:テクスチャーアナライザー>
上記評価方法Aの1〜6をおこなった大根の硬さをテクスチャーアナライザー(TA.XT plus;Stable Micro Systems社製)で分析した。
具体的には、テクスチャーアナライザーにプランジャー(歯形押棒B;株式会社レオテック社製)を装着し、大根に一定の力を加えた。その後、応力が最大ピークに達し、大根が折れることで、応力が減少した。この応力が最大ピークに達するまでの時間(秒)を測定した。10点測定をおこない、平均値を算出した。
この、応力が最大ピークに達するまでの時間が短いほど、大根が折れやすく、歯切れの良さを表していると考えられる。

テクスチャーアナライザー設定条件は、以下の通りである。
ロードセル:1kg
Test Mode:compression
Pre−Test Speed:5.00mm/sec
Test Speed:0.50mm/sec
Target Mode:Distance
Distance: 2.00mm
Trigger Type:Auto(Force)
Trigger Force:5.0g
Break Mode:Off
Stop Plot At:Start Position
Tare Mode:Auto
Advanced Options:On
Control Oven:Disbled

測定・解析は、TextureExponents32(Stable Micro Systems社製)のソフトを用いておこなった。
表1に示すようにガーリックオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法Aに従い、大根の歯切れ等、および、ガーリックの香り等の評価をおこなった。また、評価方法Bの評価をおこなった。その結果を表1に示す。
また、評価方法Bの結果については、実施例1−2〜1−5の理論値を算出し、記載した。理論値は以下のようにして求めた。818SK 1質量%を添加した実施例1−1と対照との差の時間を、各実施例で用いた818SKの添加量を掛けた値に実施例1−1での818SKの添加量で割った値を算出した(X)。623M 1質量%を添加した比較例1−1についてもXと同様に求めた(Y)。XとYの合計値を「対照との差の理論値」とした(Z)。例えば、実施例1−4の場合、X:0.64×0.3÷1.0=0.19、Y:0.50×0.7÷1.0=0.35、Z:0.19+0.35=0.54 と算出される。
Figure 0006483357
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)である818SKを添加した実施例1−1では、大根の歯切れ等の効果が、対照に比べ優れていることが判った。また、風味油のガーリックの香りが良く、先味、後味の点でも良いものであった。また、クエン酸モノオレイン酸グリセリン(623M)のみを添加した比較例1−1では、大根の味の点で充分ではなかった。
一方、818SKと623Mを併用した実施例1−2〜1−5では、特にガーリックの先味、後味での効果が高く、風味油の623Mの含有量が0.7質量%以上で特に後味での効果が高かった。また、さらに応力の最大ピークに達するまでの時間から、併用することで理論値よりも顕著な効果が得られることが判った。
(乳化剤の比率)
表2に示すようにガーリックオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法Aに従い、大根の歯切れ等、および、ガーリックの香り等の評価をおこなった。その結果を表2に示す。
Figure 0006483357
818SKと623Mの含有量の比が7:3〜3:7のいずれにおいても効果が確認できた。さらに、含有量の比が3:7である実施例2−3では、ガーリックの後味の点でより高い効果が得られた。
(乳化剤の種類)
表3に示すようにガーリックオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法Aに従い、大根の歯切れ等、および、ガーリックの香り等の評価をおこなった。その結果を表3に示す。
Figure 0006483357
乳化剤Bとして使用した乳化剤は、対照に比べ、いずれも効果があった風味油の先味の点では、クエン酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、後味の点では、クエン酸モノグリセリドおよびショ糖脂肪酸エステルが好ましく、特に、クエン酸モノグリセリドの効果が高かった。
また、乳化剤Aとして使用したPGPRについては、818SKおよびCRS−75のいずれでも効果があった。
(風味油の種類)
表4および表5に示すように唐がらし油、バジルオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法Aに従い、大根の歯切れ等、および、風味油特有の香り等の評価をおこなった。その結果を表4および表5に示す。
Figure 0006483357
Figure 0006483357
唐がらし油、バジルオイルのいずれの風味油においても、効果が確認された。

Claims (7)

  1. ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、HLB7のクエン酸モノグリセリドおよび風味油を含有するドレッシングであって、
    風味油に対して、前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下含有し、前記クエン酸モノグリセリドを0.05質量%以上3質量%以下含有する前記ドレッシング。
  2. 前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと前記クエン酸モノグリセリドの含有量の比が9:1〜1:9である請求項1に記載のドレッシング。
  3. 前記風味油がガーリックオイル、唐がらし油またはバジルオイルである請求項1又は2に記載のドレッシング。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のドレッシングを添加したサラダ。
  5. ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下含有し、HLB7のクエン酸モノグリセリドを0.05質量%以上3質量%以下含有する風味油、酢および塩を含有するドレッシング。
  6. 風味油にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上3質量%以下、およびHLB6〜7.5のクエン酸モノグリセリドを0.05質量%以上3質量%以下添加することを特徴とする風味油の風味を向上する方法であって、前記風味油の風味が風味油特有の風味である、前記方法。
  7. 前記クエン酸モノグリセリドのHLBが7である、請求項6に記載の方法。
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