JP6467800B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂を含む離型層と、を含み
前記基層中、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と前記エラストマーとの合計量100質量部に対し、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂が70質量部以上90質量部以下、前記エラストマーが10質量部以上30質量部以下の割合で含まれることを特徴とする、離型フィルム。
[第1実施形態]
図1は、本実施の第1形態の離型フィルム100の一例を示す模式的断面図である。
基層110は、第1離型層120を支持するとともに、離型フィルム100にクッション性を付与する。
基層110の構成材料は、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と、エラストマーとから構成される樹脂混合物を主成分とする。シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と、エラストマーとは相溶性が良好であり、基層110においてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂を多く含ませることができ、良好な離型性を達成する。
シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂(SPS樹脂)は、シグマ結合を形成する炭素で構成される主鎖に対し、無置換フェニル基または置換フェニル基で構成される側鎖が交互に反対方向に位置する立体規則構造(シンジオタクチック構造)を有する樹脂である。
エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、直鎖状低密度ポリエチレン系エラストマー等のオレフィン系ゴム、もしくはブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)、メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート−シロキサン等のシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒子状弾性体、またはこれらを変性したゴム等が挙げられる。
基層110の構成材料は、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と、エラストマーとから構成される樹脂混合物を主成分とするが、ポリフェニレンエーテル系樹脂をさらに含むことが好ましい。これによりクッション性の調整およびロールトゥロール生産時のハンドリング性の向上効果を発現する。
基層110の構成材料は、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と、エラストマーとから構成される樹脂混合物を主成分とするが、ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS:ハイインパクトポリスチレン)をさらに含むことが好ましい。これによりフィルムの柔軟性が付与され、フィルムが割れにくくなる効果を発現する。
基層を構成する樹脂100質量部に対し、ゴム変性スチレン系樹脂が、0.1質量部以上、30質量部以下であることが好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の含量が上記上限値以下であることは、フィルムの耐熱性の点で好ましい。
基層110には、上記の主成分樹脂、および副成分樹脂に加えて、上記以外の他の樹脂および添加剤からなる群から選ばれる他の成分が含まれていてもよい。
第1離型層120は、例えば電気配線が形成された絶縁基板上にカバーレイフィルムをプレスラミネートする際、離型フィルム100と被処理物との密着を防ぎ、良好な離型性をもたらす。
上述の第1実施形態においては、基層110の表面上に接触して第1離型層120が積層されている態様を例示したが、基層110と第1離型層120との積層態様はこの態様に限定されない。たとえば、基層110と第1離型層120との間には、プライマー層などの接着層およびアンカー層の少なくともいずれかが介在していてもよい。
離型フィルム100aは、第2離型層130を有することにより、例えば回路パターンが形成された絶縁基板上にカバーレイフィルムをプレスラミネートする際、熱盤とカバーレイフィルムとの間の離型性を高めることができる。なお、熱盤とカバーレイフィルムとの間に中間部材が介挿されている場合には、その中間部材とカバーレイフィルムとの間の離型性を高めることができる。その結果、熱盤または中間部材と離型フィルム100aとの密着を抑制し、プレスラミネートの作業性をより高めることができる。
図1に示す離型フィルム100、および図2に示す離型フィルム100aはいずれも、共押出法または押出ラミネート法により製造することができる。
図4は、離型フィルム100の使用方法の例を説明するための模式図である。
[実施例1]
(1)第1離型層および第2離型層の原材料
第1離型層および第2離型層の原材料として、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPSホモポリマー、出光興産製)と水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS;クラレ製 セプトンS8104)を95:5重量比で2軸混練した組成物S2を用意した。
基層の原材料としてそれぞれ以下のものを用意した。
ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)(三菱エンジニアリングプラスチックス製 品番レマロイPX603Y) 20部
ゴム変性ポリスチレン系樹脂(HIPS)(CHI−MEI製 品番Polyrex PH−88S) 30部
(3)フィルム化
共押出法を利用して基層の表裏に同一の離型層(第1離型層および第2離型層)を有する積層フィルムを作製した。
離型フィルムの層構成を後述の表1に示すように変更したことを除いて、それぞれ実施例1と同様にして離型フィルムを製造した。
樹脂S3〜S6については以下の通りである。
シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPSホモポリマー、出光興産製)と水添スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ製 セプトンS8104)を90:10重量比で2軸混練した組成物S3
シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPSホモポリマー、出光興産製)と水添スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ製 セプトンS8104)を70:30重量比で2軸混練した組成物S4
シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPSホモポリマー、出光興産製)と水添スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ製 セプトンS8104)を95:5重量比で2軸混練した組成物S5
シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPSホモポリマー、出光興産製)と水添スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ製 セプトンS8104)を60:40重量比で2軸混練した組成物S6
2.離型フィルムの評価
製造した実施例および比較例の離型フィルムについて、以下の評価を行った。
フィルムの伸びの評価は、ロールトゥロール搬送時にフィルムの伸びが無く搬送できるかどうかの測定を行った。
○:ロールトゥロール搬送時にフィルムが伸びずに連続プレスが可能
×:ロールトゥロール搬送時にフィルムが伸びてプレス時にフィルムに折れシワが発生
2.2 搬送時の割れの評価は、プレス評価後のフィルムの割れ易さをMIT屈曲試験を用いて評価を行った。
○:プレス後のフィルムの耐屈曲性が5回以上
×:プレス後のフィルムの耐屈曲性が5回以下
2.3 離型性の評価
離型性の評価においては、離型時に離型フィルムが容易に剥離できた場合は離型性が良好として○判定とし、離型時に離型フィルムが金型にとられる場合は離型性が不十分として×判定とした。
<離型性の評価基準>
○:フレキシブル回路基板から容易に剥離可能
×:フレキシブル回路基板から引っかかり、容易に剥離不可
2.4 埋め込み性およびCL接着剤しみ出しの評価
各実施例および各比較例で得られた離型フィルムを用いて、L/Sが150/150μmの電気配線が形成された絶縁基板(FPC)上にカバーレイフィルムをプレスラミネートした。プレスラミネートでは、ステンレス鋼板、ゴムクッション、フッ素樹脂シート、離型フィルム、カバーレイフィルム、FPC、離型フィルム、フッ素樹脂シート、ゴムクッション、ステンレス鋼の順で各部材を重ね、これを一段型プレス機によりプレスした。プレスにあたっては、10MPaの圧力で加圧しながら185℃まで昇温させ、次いで2分間保持した後、常温まで冷却した。これにより、FPC上にカバーレイフィルムをプレスラミネートしたサンプルを得た。
○:接着剤の流れの最大値が0.10mm以下
×:接着剤の流れの最大値が0.10mm超
2.5 ワーク外はみ出しの評価
ワーク外はみ出し評価では、185℃、10MPa、120秒プレスし、離型フィルムの端部からの基層のはみ出し量を評価した。離型フィルムからはみ出した基層の重量を測定し、当該重量の測定値を離型フィルムの全体重量で割った値を基層はみだし量として算出した。
○:基層のはみ出し量が全体重量の1.0%以下である
×:基層のはみ出し量が全体重量の1.0%以上である
2.6 シワの評価
シワの評価では、対形状追従性および仕上がり外観シワを評価した。より具体的には、JPCA規格の「7.5.7.2項しわ」に準じて測定した。
○:2.0%未満
×:2.0%以上
2.7 層間強度の評価
層間強度の評価では、離型時に基層と離型層とが層間剥離を生じずに剥離出来た場合を○判定とし、離型時に基層と離型層とが層間剥離した場合を×判定とした。
○:フレキシブル回路基板からの剥離時に層間剥離が発生しない
×:フレキシブル回路基板からの剥離時に層間剥離が発生する
2.7 基層の弾性率の評価
基層のみのフィルムを単層押出機によって製膜し、厚さ100μmのフィルムを得た。
110 基層
120 第1離型層
130 第2離型層
Claims (10)
- シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂とエラストマーと、
ポリフェニレンエーテル系樹脂とを含む基層と、
シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂を含む離型層と、を含み
前記基層中、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と前記エラストマーとの合計量100質量部に対し、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂が70質量部以上90質量部以下、前記エラストマーが10質量部以上30質量部以下の割合で含まれることを特徴とする、ロールトゥロール生産用離型フィルム。 - 前記基層中、基層を構成する樹脂100質量部に対し、ポリフェニレンエーテル系樹脂が20質量部以上、30質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
- 前記基層が、ゴム変性スチレン系樹脂をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の離型フィルム。
- 前記基層中、基層を構成する樹脂100質量部に対し、ゴム変性スチレン系樹脂が0.1質量部以上、30質量部以下であることを特徴とする請求項3に記載の離型フィルム。
- 厚さ100μm、幅4mm、長さ20mmに成形した基層を、動的粘弾性測定装置で、引張りモード、周波数1Hz、昇温速度5℃/minで測定したときの、20℃以上185℃以下での弾性率の下限値が、5.0MPa以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の離型フィルム。
- 前記基層の厚みが、40μm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の離型フィルム。
- 前記離型層が、エラストマーをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の離型フィルム。
- 前記離型層中、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂と前記エラストマーとの合計量100質量部に対し、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂が90質量部以上95質量部以下の割合で含まれることを特徴とする、請求項7に記載の離型フィルム。
- 前記離型層の表面粗さ(Rz)が3μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の離型フィルム。
- 前記離型層の厚みが、10μm以上、40μm以下であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の離型フィルム。
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