JP3850624B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シンジオタクチックポリスチレンフィルムに関し、詳しくはシンジオタクチックポリスチレン樹脂の特性を生かして、プリント基板成形時の離型用フィルム或いはマスキングフィルム用途として好適に使用できる積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板成形時の離型用フィルムやマスキング用フィルムとして、フッ素樹脂からなるフィルムが使用されているが、コスト高のため各種被離型体との離型性に優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂を使用したフィルムが検討されている。
シンジオタクチックポリスチレン樹脂を使用したフィルムは、離型性と共に、耐熱性、電気特性、寸法安定性及び耐薬品性等に優れているが、樹脂自体の立体構造に起因した低靱性のためフィルムに成形した場合、機械的強度が低くフィルムの割れや破れが発生し易い欠点を有している。
この欠点を改良する技術として、シンジオタクチックポリスチレン樹脂にスチレンブタジエンゴム等の熱可塑性樹脂を混合した組成物を単層フィルムに成形したものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなシンジオタクチックポリスチレン樹脂に熱可塑性樹脂を混合してなる単層フィルムでは、熱可塑性樹脂の添加により確かに機械的強度は向上するが、シンジオタクチックポリスチレン樹脂が有する特性を十分発揮できず、使用上において下記のような問題点があることが判明した。
即ち、シンジオタクチックポリスチレン樹脂の欠点である低靱性を改良するために熱可塑性樹脂を増加させると確実に機械的物性は向上するが、本来シンジオタクチックポリスチレン樹脂が持っている優れた離型性が低下するだけでなく、添加した熱可塑性樹脂がプリント基板の成形時に熱分解してその一部がフィルム表面に出て被離型体に転写物を発生させる原因となる。
【0004】
また、上記転写物の発生を抑制させるために熱可塑性樹脂量を減らすと機械的強度を得ることができず、たとえ機械的強度を上げるために単層フィルム厚みを厚くしても、シンジオタクチックポリスチレン樹脂の欠点である低靱性に起因する耐折強度はさほどの向上は見られない。
そこで、耐折強度を改良するためには、当該フィルムの厚みをかなり厚くする必要があり、その結果、加熱プレスをする場合に当該厚手のフィルムによって加熱板からの伝熱を阻害して加工上の不具合等が発生すると云う問題があった。
【0005】
実際にプリント基板等の離型フィルムとして使用する場合は、機械的強度の点からシンジオタクチックポリスチレ樹脂に熱可塑性樹脂を少なくとも30重量%含有しなければ強度的に十分でない。
しかし、このような配合組成で成形された単層フィルムでは、プリント基板との離型性が十分でなく剥離困難となり、さらにフィルムから熱可塑性樹脂の熱分解物等が吹き出し、プリント基板に転写する不具合が発生し易い。
また、熱可塑性樹脂が30重量%未満の含有では、通常の厚みフィルムでは機械的強度が得られずフィルムの割れや破れが酷くプリント基板等の離型フィルムとして使用できなかった。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明は、上記問題を解決したシンジオタクチックポリスチレン樹脂を使用した積層フィルムを提供しようとするもので、その要旨は、(1)シンジオタクチックポリスチレンを主成分とする樹脂で最外層を構成し、その中間層を構成する樹脂は、シンジオタクチックポリスチレン樹脂70〜40重量%に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を30〜60重量%含有した混合樹脂で構成したことを特徴とする積層フィルムである。
(2)最外層を構成する樹脂は、70重量%以上のシンジオタクチックポリスチレ樹脂に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を30重量%未満含有した混合樹脂であることを特徴とする上記(1)の積層フィルムである。
(3)最外層を構成する樹脂は、85重量%以上のシンジオタクチックポリスチレン樹脂に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を15重量%未満含有した混合樹脂であることを特徴とする上記(1)の積層フィルムである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明おけるシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)は、立体規則性がシンジオタクチック構造、すなわち炭素−炭素結合からなる形成された主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を持つものである。
【0008】
本発明の中間層に使用されるエラストマー樹脂とは、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)等のスチレン系エラストマー;エチレン・プロピレン系等のオレフィン系エラストマー等を挙げることができる。
また、オレフィン系樹脂とは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。
さらに、これらエラストマー樹脂、オレフィン系樹脂はポリマーブレンドして使用してもよい。
そして、中間層を構成する混合樹脂の配合割合は、シンジオタクチックポリスチレン樹脂70〜40重量%に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を30〜60重量%含有した混合樹脂が、フィルム性能の点、材料単価の点、厚み構成及び層厚みの点等を総合的に考慮すると、この範囲の混合割合が実用上最適である。
【0009】
本発明の最外層に使用される樹脂は、シンジオタクチックポリスチレン樹脂単体或いは少なくとも70重量%以上がシンジオタクチックポリスチレン樹脂で、その外にエラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を30重量%未満含有した混合樹脂が使用でき、特にシンジオタクチックポリスチレン樹脂が85重量%以上の混合樹脂であると好適である
【0010】
最外層に使用される樹脂として、シンジオタクチックポリスチレン樹脂を70重量%以上の混合した樹脂を使用すると、シンジオタクチックポリスチレン樹脂の有する優れた特性を十分に得ることが可能になり、耐熱性、離型性、分解物等の吹き出しに対し十分な性能を発揮することが可能になる。
例えば、プリント基板等の離型シートに使用する場合には、当該樹脂が70重量%未満になるとプリント基板に用いるエポキシ樹脂との離型性が悪くなり、フィルム破断等が発生して離型用フィルムとしては使用できなくなる。
【0011】
最外層と中間層において密着強度が十分得ることができない場合には、その間にアンカー層、若しくは接着層を介在させることが好ましい。また必要に応じ、別工程で予めシンジオタクチックポリスチレンフィルムを作成し、表面コロナ処理をした面に上記のアンカー層を設けてもよい。
【0012】
本発明の積層フィルムの厚み構成比としては、最外層が中間層に対して1/3以下が良く、好ましくは1/8が好適であった。
尚、積層フィルムの総厚みについては、例えば25〜300μm程度のものが機械的強度及びコストの点から有利である。
【0013】
本発明の積層フィルムの成形方法は、特に制限はなく、例えば押出しキャスト法で製造する場合には、シンジオタクチックポリスチレン樹脂層を押出機シリンダーの温度を270〜350℃に設定して押出し、中間層と合流して積層する押出しラミネート法や、フィードブロック、マルチマニホールドダイを使用して共押出し法により両最外層と中間層の間に接着剤層を介在させて積層してもよい。さらに、最外層、または中間層にアンカー剤を塗布してアンカー層を形成しドライラミネート方法により積層フィルムを作成しても良い。
【0014】
製造コスト等を考慮すると、フィードブロック等にて共押出し法により積層するのが好ましい。
尚、耐熱性得るためには、シンジオタクチックポリスチレン樹脂層を十分に結晶化する必要があり、公知の熱処理装置により結晶化処理を行う必要がある。
例えばテンター装置を使用し乾燥機の中にてフィルムを熱固定する方法や熱処理ロールを使用し150〜220℃近辺で熱処理を行えばよい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の一つの用途についての実施例及び比較例を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
評価方法については、プリント基板成形時に使用する離型シートの特性に基づいて、1)フィルム強度、2)離型性、3)材料単価の3項目について実用評価を実施した。
【0016】
[プリント基板成形方法]
プリント基板成形用のプレス加工機をを用いて、下記内容で装置内にセットした。
クッション材/SUS化粧板/離型フィルム/積層成形材料(外層用銅張積層板、内層用銅張積層板、エポキシ樹脂含浸ガラスクロス入りプリプレグ)/離型フィルム/SUS化粧板/クッション材をプレス中央にセットし、プレス圧:1.96×106Pa、加熱温度:190℃、加熱時間:2時間の条件で加熱、加圧プレスを実施した。
【0017】
[評価方法]
上記プリント基板を加熱プレス成形し常温冷却した後、SUS化粧板との離型、及び積層成形材料との離型を実施したときのフィルムの強度を4段階で評価した。
(1)フィルム強度
◎は離型する際、全く破断、破れがない。
○は端部に破断、破れが少々有るが、離型する際には破断、破れなし。
△は離型する際、少々破断、破れるが使用上問題にならない。
×は離型する際、破断、破れがあり剥離することが不可。
【0018】
(2)離型性
◎はSUS化粧板、外層用銅張積層板とも問題なく軽く剥離した。
○はSUS化粧板とは問題なく軽く剥離したが、外層用銅張積層板とは少し重いが簡単に剥離した。
△はSUS化粧板とは問題なく軽く剥離したが、外層用銅張積層板とは剥離が重いが使用上問題にならない。
×は剥離が重く使用不可。
【0019】
(3)コスト性
市販のフッ素樹脂からなる離型フィルムの原料コストを1とした場合の相対原料コストで比較した。
◎は0.7未満。
○は0.7〜0.8。
△は0.8を越える。
【0020】
[実施例1〜6及び比較例1〜4]
最外層がSPS単体、中間層がSPSを80〜20重量%とエラストマー樹脂としてSEBSを20〜80重量%の混合物で2種3層のフィルムで、総厚みが100μmであって各層の層構成厚みを最外層/中間層/最外層=1/98/1、10/80/10及び20/60/20と換えて共押出法によりた積層フィルムAを得た。
得られた積層フィルムについて上記方法でプリント基板成形を行って評価をし、その結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
[実施例7〜8]
最外層がSPS/SEBS=70/30重量%の混合物であり、それ以外は積層フィルムAの実施例1及び2と同一構成である積層フィルムBを共押出法により得た。
得られた積層フィルムについて上記方法でプリント基板成形を行って評価をし、その結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】
[比較例5〜8]
最外層がSPS/SEBS=60/40重量%の混合物であり、それ以外は積層フィルムAの比較例1、実施例1〜2、比較例2と同一構成である積層フィルムCを共押出法により得た。
得られた積層フィルムについて上記方法でプリント基板成形を行って評価をし、その結果を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】
本発明の積層フィルムは、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムの離型性、耐熱性である熱安定性、電気特性、寸法安定性等の優れた特性を維持し、当該シンジオタクチックポリスチレンを主成分とする層を最外層とし、その最外層の低靱性を補強する樹脂材料を中間層に混合した構成にすることにより機械的強度を改良したもので、特にプリント基板成形時の離型用フィルム或いはマスキングフィルム用途として好適に使用できる積層フィルムが得られる。
さらに当該積層フィルムの材料単価も低く押さえることができ、必要な性能を保持しつつ低価格で積層フィルムを製造できる。
Claims (3)
- シンジオタクチックポリスチレンを主成分とする樹脂で最外層を構成し、その中間層を構成する樹脂は、シンジオタクチックポリスチレン樹脂70〜40重量%に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を30〜60重量%含有した混合樹脂で構成したことを特徴とする積層フィルム。
- 最外層を構成する樹脂は、70重量%以上のシンジオタクチックポリスチレ樹脂に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を30重量%未満含有した混合樹脂であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
- 最外層を構成する樹脂は、85重量%以上のシンジオタクチックポリスチレン樹脂に、エラストマー樹脂単体、オレフィン系樹脂単体又はこれらの混合物を15重量%未満含有した混合樹脂であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
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