説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。
実施の形態1
図1に実施の形態1にかかる半導体装置1のブロック図を示す。図1に示したブロック図は、半導体装置1に含まれる発振器を示すものであり、半導体装置1には、他のブロックも含まれていても構わない。以下の説明では、この発振器を半導体装置1と称す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置1は、W/L比制御部10、定電流バイアス電圧生成回路11、積分器12、レベル検出器13、発振制御回路14を有する。
W/L比制御部10は、半導体装置1の外部、或いは、図示しない他のブロックから与えられる接続形態選択信号(例えば、WL比選択信号WLSEL)の値に応じて定電流バイアス電圧生成回路11及びレベル検出器13内のトランジスタのW/L比を制御するための制御信号(例えば、WL比制御信号WLC)を出力する。ここで、W/L比とは、トランジスタのゲート幅Wとゲート長Lの比を言う。
定電流バイアス電圧生成回路11は、積分器12内で利用される定電流の電流値を決定するバイアス電圧Vbiasを生成する。この定電流バイアス電圧生成回路11は、インバータゲート回路を含む帰還回路を備え、帰還回路の出力電流の電流量に応じて変動するバイアス電圧Vbiasを出力する。この定電流バイアス電圧生成回路11の詳細は後述する。
積分器12は、充電動作と充電リセット動作とを切り替える充放電制御信号CCSに応じて、バイアス電圧Vbiasにより電流量が決定される定電流の充電と、充電された電荷のリセットとを行うことでノコギリ波(例えば、積分結果IR)を生成する。この充放電制御信号CCSは、発振制御回路14が出力する信号である。
レベル検出器13は、積分結果信号IRの電圧レベルとレベル判定閾値電圧との大小関係に応じてレベル検出信号LDETの論理レベルを切り替える。より具体的には、レベル検出器13は、積分結果信号IRを受信するインバータゲート回路を有し、このインバータゲート回路の論理閾値電圧をレベル判定閾値電圧とし、このレベル判定閾値電圧と積分結果信号IRの電圧レベルとを比較してレベル検出信号LDETを出力する。このレベル検出器13の詳細については、後述する。
発振制御回路14は、レベル検出信号LDETに応じてクロック信号の論理レベルを切り替える。例えば、発振制御回路14は、レベル検出信号LDETを分周することによってクロック信号を出力する。また、発振制御回路14は、レベル検出信号LDETに応じて積分器12に与える充放電制御信号CCSを出力する。より具体的には、発振制御回路14は、積分結果信号IRがレベル検出器13のレベル判定閾値電圧を超えたことに応じてレベル検出信号LDETの論理レベルが切り替わったことに応じて、充放電制御信号CCSを一定期間、積分器12にリセット動作を指示する状態(例えば、ロウレベル)とする。
続いて、実施の形態1にかかる半導体装置1の動作について説明する。そこで、図2に実施の形態1にかかる半導体装置1の動作を示すタイミングチャートを示す。図2に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置1は、定電流バイアス電圧生成回路11で生成されたバイアス電圧Vbiasにより決定された定電流で積分器12内のコンデンサへの充電が行われることで、積分結果信号IRの電圧レベルが上昇する。
そして、タイミングt1で積分結果信号IRの電圧レベルがレベル検出器13のレベル判定閾値電圧を超えると、レベル検出信号LDETがロウレベルからハイレベルに切り替わる。これにより、発振制御回路14は、タイミングt2において、充放電制御信号CCSをハイレベル(例えば、充電動作を指示する状態)からロウレベル(例えば、リセット動作を指示する状態)とする。そして、充放電制御信号CCSがロウレベルとなったことに応じて、積分器12がそれまで充電していた電荷を放電し、積分結果信号IRの電圧レベルが低下する。また、積分器12におけるリセット動作により、積分結果信号IRの電圧レベルがレベル判定閾値電圧以下になったことに応じてレベル検出器13はレベル検出信号LDETをハイレベルからロウレベルに切り替える。
そして、図2に示す例では、レベル検出信号LDETがロウレベルになったことに応じて発振制御回路14がクロック信号の論理レベルを切り替える。なお、図2では、充放電制御信号CCSは、タイミングt3でロウレベルからハイレベルに復帰し、このタイミングt3から再び積分器12が充電動作を開始する。
実施の形態1にかかる半導体装置1では、積分結果信号IRのリセットが開始される間隔Trcによりクロック信号の周波数が決定される。つまり、実施の形態1にかかる半導体装置1において、クロック信号の周波数の精度を高める場合、積分器12内の定電流のばらつき及びレベル判定閾値電圧のばらつきを抑制する必要がある。そこで、実施の形態1にかかる半導体装置1の、定電流バイアス電圧生成回路11及びレベル検出器1インバータゲート回路3について説明する。
図3に実施の形態1にかかる定電流バイアス電圧生成回路11のブロック図を示す。図3に示すように、定電流バイアス電圧生成回路11は、インバータゲート回路20、PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22、抵抗23を有する。
PMOSトランジスタ21は、第1の端子(例えば、ソース)が第1の電源配線(例えば、電源電圧VDDが供給される電源配線)に接続され、第2の端子(例えば、ドレイン)が制御端子(例えば、ゲート)に接続される。また、PMOSトランジスタ21のドレインは、NMOSトランジスタ22の第2の端子(例えば、ドレイン)と接続される。NMOSトランジスタ22の第1の端子(例えば、ソース)と、第2の電源配線(例えば、接地電圧VSSが供給される接地配線)と、の間には、抵抗23が接続される。インバータゲート回路20は、抵抗23とNMOSトランジスタ22のソースとの間に生成される電圧を入力信号Vinとし、出力信号VoをNMOSトランジスタ22の制御端子(例えば、ゲート)に出力する。なお、インバータゲート回路20には、WL比制御信号WLCが入力されている。インバータゲート回路20は、WL比制御信号WLCに基づき内部のトランジスタのゲート幅とゲート長の比を切り替える。
上記定電流バイアス電圧生成回路11では、インバータゲート回路20、NMOSトランジスタ22、抵抗23により定電流源回路が構成され、定電流Ipが生成される。そして、生成された定電流Ipがダイオード接続されたPMOSトランジスタ21に流れることにより、PMOSトランジスタ21のゲートにバイアス電圧Vbiasが生成される。実施の形態1にかかる半導体装置1では、PMOSトランジスタ21は、カレントミラー回路において元電流Ipに応じたバイアス電圧Vbiasを生成するトランジスタであり、カレントミラー回路においてバイアス電圧Vbiasに応じた枝電流を出力するトランジスタは積分器12内に設けられている。半導体装置1では、定電流バイアス電圧生成回路11で生成されたバイアス電圧Vbiasに基づき積分器12内で生成される定電流を積分器12内のコンデンサに充電する充電時間によりクロック信号の周波数を制御する。
また、インバータゲート回路20、NMOSトランジスタ22、抵抗23により構成される定電流源回路は、インバータゲート回路20の入力信号Vinの電圧がインバータゲート回路20の論理閾値の電圧となるように定電流Ipを制御する帰還回路である。そのため、インバータゲート回路20では、インバータゲート回路を構成するトランジスタに貫通電流が流れる問題がある。
続いて、図4に実施の形態1にかかるレベル検出器13のブロック図を示す。図4に示すように、レベル検出器13は、インバータゲート回路30、インバータ31を有する。インバータゲート回路30は、定電流バイアス電圧生成回路11のインバータゲート回路20と実質的に同じ回路である。レベル検出器13は、インバータゲート回路30の論理閾値電圧をレベル判定閾値電圧とし、積分結果信号IRの電圧レベルを判定する。インバータ31は、インバータゲート回路30の出力を次段の回路に伝達するバッファ回路として機能する。
ここで、定電流バイアス電圧生成回路11及びレベル検出器13のインバータゲート回路の論理閾値VTHと図2で説明した積分結果信号IRの1周期の長さを示す間隔Trcとの関係について説明する。なお、以下の説明では、インバータゲート回路20とインバータゲート回路30の論理閾値は同じ電圧とする。
まず、実施の形態1にかかる半導体装置1では、積分結果信号IRの電圧の上昇率を決定する定電流Ipは、(1)式によって与えられる。なお、(1)式においてVTHはインバータゲート回路20の論理閾値、Rは抵抗23の抵抗値である。
次いで、実施の形態1にかかる半導体装置1では、積分器12における充電時間Trcは、インバータゲート回路30の論理閾値VTHと、定電流Ip及び積分器12内のコンデンサよ容量値Cによって(2)式で表される
そして、(2)式に(1)式を代入すると(3)式が得られる。
上記(1)式〜(3)式より、実施の形態1にかかる半導体装置1では、定電流バイアス電圧生成回路11内のインバータゲート回路20の論理閾値と、レベル検出器13のインバータゲート回路30の論理閾値とを一致させることで、トランジスタの閾値電圧のばらつきによらず期間Trcの長さを一定に維持し、クロック信号の周波数精度を向上させることができる。しかしながら、特に定電流バイアス電圧生成回路11内の定電流バイアス電圧生成回路11では、論理閾値付近の電圧が入力されるため、インバータゲート回路を構成するトランジスタに流れる貫通電流が問題となる。そこで、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30に特徴の1つを有することで、貫通電流による消費電力の上昇を抑制する。以下で、インバータゲート回路20、30の詳細について説明する。
図5に、実施の形態1にかかるインバータゲート回路20の回路図を示す。なお、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路30もインバータゲート回路20と同じ回路を用いるため、ここでは、インバータゲート回路20について説明する。まず、インバータゲート回路20は、入力信号の論理レベルを反転して出力する回路である。インバータゲート回路20は、入力信号の電圧レベルが論理閾値よりも高ければ出力信号をロウレベル(例えば、接地電圧)とし、入力信号の電圧レベルが論理閾値よりも低ければ出力信号をハイレベル(例えば、電源電圧)とする。しかし、インバータゲート回路20は、入力信号の電圧レベルが論理閾値近傍であった場合、後述する定電流源40とスイッチユニット41との抵抗比によって決まる中間電圧(電源電圧と接地電圧との間の電圧)の出力信号を出力する。
図5に示すように、インバータゲート回路20は、定電流源40、スイッチユニット41を有する。定電流源40は、第1の電源配線(例えば、電源配線VDD)に一端が接続され、出力端子(例えば、出力信号Voを出力端子)に他端が接続される。スイッチユニット41は、出力端子と第2の電源配線(例えば、接地配線VSS)との間に接続され、入力信号Vinに応じて導通状態と遮断状態とを切り換える。スイッチユニット41は、定電流源40から出力される定電流を接地配線側に流すか遮断するかを切り替えるスイッチトランジスタとして機能するものである。また、スイッチユニット41には、制御信号(例えば、WL比制御信号WLC)が入力され、WL比制御信号WLCに応じてスイッチトランジスタのW/L比を切り替える機能を有する。
定電流源40は、PMOSトランジスタMPLを有する。PMOSトランジスタMPLは、ソースが電源配線VDDに接続され、ドレインが出力端子に接続され、ゲートに定電圧Vsetが入力される。これにより、PMOSトランジスタMPLは、定電圧Vsetの電圧レベルに応じた電流値の定電流を出力する。なお、定電圧Vsetは、電圧値が一定の電圧レベルを維持される電圧であれば良く、必ずしも1つの電圧値で固定されていなければならないわけではない。
スイッチユニット41は、単位セル42を有する。そして、単位セル42は、入力信号が制御端子に入力される複数のトランジスタと、接続形態切替回路43と、を有する。実施の形態1にかかるインバータゲート回路20では、単位セル42には、第1のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN11)及び第2のトランジスタ(例えばNMOSトランジスタN12)が設けられる。スイッチユニット41は、NMOSトランジスタN11、N12の一方若しくは両方を用いてスイッチトランジスタを構成する。接続形態切替回路43は、定電流源40より出力される電流が複数のNMOSトランジスタの一方若しくは両方に印加される差異の電流経路を、WL比制御信号WLCに応じて切り替える。これにより、スイッチトランジスタのゲート長及びゲート幅の実質値を制御する。
NMOSトランジスタN11は、出力端子に第1の端子(例えば、ドレイン)が接続され、制御端子(例えば、ゲート)に入力信号Vinが入力される。また、NMOSトランジスタN11の第2の端子(例えば、ソース)は、接続形態切替回路43に接続される。NMOSトランジスタN12は、第2の端子(例えば、ソース)が接地配線VSSに接続され、制御端子(例えば、ゲート)に入力信号Vinが入力される。NMOSトランジスタN12の第1の端子(例えば、ドレイン)は、接続形態切替回路43に接続される。
接続形態切替回路43は、WL比制御信号WLCに応じて、出力端子と接地配線VSSとの間におけるNMOSトランジスタN11、N12の接続形態を切り替える。接続形態切替回路43は、出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続され、WL比制御信号WLCに応じて導通状態と遮断状態とが切り替えられる第1のスイッチ(例えば、スイッチSW11)、第2のスイッチ(例えば、スイッチSW12)及び第3のスイッチ(スイッチSW13)を有する。なお、スイッチSW11〜SW13のオン抵抗は、NMOSトランジスタN11、N12のオン抵抗に比べて十分に小さくなるように設定されている。
スイッチSW11は、一端がスイッチSW13の他端及びNMOSトランジスタN12のドレインと接続され、他端がスイッチSW12の一端及びNMOSトランジスタN11のソースに接続される。スイッチSW12は、一端がスイッチSW11の他端及びNMOSトランジスタN11のソースと接続され、他端が接地配線VSSに接続される。スイッチSW13は、一端が出力端子と接続され、他端がスイッチSW11の一端及びNMOSトランジスタN12のドレインに接続される。そして、接続形態切替回路43では、スイッチSW11〜SW13のうち1つ又は2つのスイッチが導通状態となることで、出力端子と接地配線VSSとの間でNMOSトランジスタN11、N12の接続形態を直列又は並列にする。さらに、接続形態切替回路43は、出力端子と接地配線VSSとの間に接続されるNMOSトランジスタの個数を切り替える。
ここで、インバータゲート回路20及びインバータゲート回路30における貫通電流について説明する。インバータゲート回路20、30は、定電流源40が出力する定電流とスイッチユニット41内で構成されるスイッチトランジスタが流す電流Idsとが一致する入力信号Vinの電圧レベルが論理閾値となる。そして、インバータゲート回路20、30は、スイッチトランジスタが流すことができる電流Idsが定電流の電流量よりも大きくなる入力信号Vinが入力されたことで出力信号Voをロウレベルとする。つまり、インバータゲート回路20、30では、定電流源40が出力する定電流が貫通電流の最大値となる。
そこで、まず、スイッチユニット41内で構成されるスイッチトランジスタのドレイン電流Idsについて説明する。スイッチトランジスタのドレイン電流Idsは、(4)式で表すことができる。なお、(4)式において、Wはスイッチトランジスタのゲート幅であり、Lはスイッチトランジスタのゲート長、μは半導体中の電子の移動度、Coxは単位面積当たりのゲート酸化膜容量、Vgsはスイッチトランジスタのソース・ゲート間電圧、Vtnはスイッチトランジスタの閾値電圧である。
続いて、インバータゲート回路20、30の論理閾値VTHについて説明する。論理閾値VTHは、スイッチトランジスタのドレイン電流Idsと定電流源40が出力する定電流とがほぼ一致した状態となったときに入力される入力信号Vinの電圧レベルである。この論理閾値VTHは、(5)式により表される。ここで、Ipは定電流源40が出力する定電流の電流量である。
上記(5)式より、インバータゲート回路20、30の論理閾値VTHは、W/L比が大きい場合に下降し、W/L比が小さい場合に上昇する。つまり、インバータゲート回路20、30は、スイッチトランジスタのW/L比をWL比制御信号WLCに応じて変更することで論理閾値が制御可能となる。そこで、インバータゲート回路20、30のW/L比の変更例について以下で説明する。
図6に、実施の形態1にかかるインバータゲート回路における接続形態の種類を説明する図を示す。なお、ここでは、NMOSトランジスタN11、N12のトランジスタのW/L比は同じものとする。図6に示すように、実施の形態1にかかるインバータゲート回路20、30は、スイッチユニット41内のトランジスタの接続形態を3種類の中から選択できる。
第1の接続形態(WL比選択信号WLSEL=1)では、スイッチSW11をオン状態とし、スイッチSW12、SW13をオフ状態とする。これにより、インバータゲート回路20、30のスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12が出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続される形態となる。つまり、この第1の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12が直列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタが1つの場合に比べて1/2倍となる。
第2の接続形態(WL比選択信号WLSEL=2)では、スイッチSW11、SW13がオフ状態となり、スイッチSW12がオン状態となる。これにより、インバータゲート回路20、30のスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11のみが出力端子と接地配線VSSとの間に接続される形態となる。つまり、この第2の接続形態では、NMOSトランジスタN11のみでスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタが1つの場合のW/L比と同じになる。
第3の接続形態(WL比選択信号WLSEL=3)では、スイッチSW11がオフ状態となり、スイッチSW12、SW13がオン状態となる。これにより、インバータゲート回路20、30のスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12が出力端子と接地配線VSSとの間で並列接続された形態となる。つまり、この第3の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12が並列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタが1つの場合に比べて2倍となる。
このように、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30のW/L比を可変することで、インバータゲート回路の論理閾値を変更することができる。
上記説明より、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30が、電源配線VDDと接地配線VSSとの間に直列に接続される定電流源40とスイッチユニット41とにより実現する。これにより、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30内で流れる貫通電流の電流量を定電流源40が出力する定電流の電流量とすることができる。従って、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30で発生する貫通電流の電流量を削減して、半導体装置の消費電力を削減することができる。
また、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30の論理閾値を変更出来ることで、クロック信号の発振周波数の変動を抑制できる効果を有する。インバータゲート回路の論理閾値が変化する要因には、電源電圧変動、温度変動、プロセス変動がある。これら変動要因のうち電源電圧変動に関しては論理閾値の変化はわずかであり、大きな影響はない。しかしながら、温度変動及びプロセス変動に関しては、論理閾値を変更する効果が大きい。
より具体的には、プロセス変動に起因してNMOSトランジスタの閾値電圧が低くなり論理閾値が低い半導体装置が製造された場合、或いは、高温状態に半導体装置が置かれることでNMOSトランジスタの閾値電圧が低下して論理閾値が低くなることがある。このような場合、インバータゲート回路30等で遅延量が増加して、発振周波数がずれることがある。なぜならば、(1)〜(3)式において、発振周期は、積分器の充電時間Trcで決定されると仮定して定式化したが、実際には、発振周期には、充電時間Trcだけでなく、レベル検出器の遅延時間も含まれるためである。論理閾値VTHが極端に低い場合、レベル検出器の遅延時間が顕在化して、結果として発振精度の悪化を招く。
また、プロセス変動に起因してNMOSトランジスタの閾値電圧が高くなり論理閾値が高い半導体装置が製造された場合、或いは、低温状態に半導体装置が置かれることでNMOSトランジスタの閾値電圧が上昇して論理閾値が高くなることがある。このような場合、インバータゲート回路20、30等で貫通電流が増加して、半導体装置1の消費電力が増加する。
しかしながら、実施の形態1にかかる半導体装置1では、インバータゲート回路20、30において論理閾値を適切に操作することで、上記の周波数ズレ及び消費電力の増加を抑制することができる。そこで、図7に実施の形態1にかかる半導体装置1の論理閾値のばらつきを説明する図を示す。図7に示したグラフは、多数の半導体装置について、論理閾値の出現頻度をグラフ化したものである。図7の上のグラフは、論理閾値の操作を行っていない場合を示すものである。この図7の上のグラフに示すように、インバータゲート回路の論理閾値は、中央値付近のものが多いが、それよりもずれた低閾値のもの及び高閾値のものも存在する。そこで、低閾値のものに関しては、WL比選択信号WLSELを2から1とすることで、スイッチユニットのW/L比を1倍から1/2倍とすることで論理閾値を上昇させる。また、高閾値のものに関してはWL比選択信号WLSELを2から3とすることで、スイッチユニットのW/L比を1倍から2倍とすることで論理閾値を低下させる。このような操作を行う事で、論理閾値VTHの変動幅を小さくすることができる。
このように、実施の形態1にかかる半導体装置1は、インバータゲート回路の論理閾値VTHを操作可能にすることで、トランジスタの閾値電圧の温度変動及びプロセス変動に対して、発振周波数のズレを小さくし、かつ、消費電力を抑制することができる。
実施の形態2
実施の形態2では、インバータゲート回路の別の形態となるインバータゲート回路20a、30aについて説明する。なお、インバータゲート回路20a、30aは実質的に同じ回路であるため、以下ではインバータゲート回路20aについて説明を行う。また、実施の形態1で説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
図8に実施の形態2にかかるインバータゲート回路20aの回路図を示す。図8に示すように、インバータゲート回路20aは、インバータゲート回路20のスイッチユニット41をスイッチユニット41aに置き換えたものである。スイッチユニット41aは、接続形態切替回路43を接続形態切替回路43aに置き換えたものである。
接続形態切替回路43aは、接続形態切替回路43に第4のスイッチ(例えば、スイッチSW14)を追加したものである。スイッチSW14は、第1のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN21)の第1の端子(例えば、ドレイン)と出力端子との間に接続される。このスイッチSW14は、スイッチSW11〜SW13と同様に制御信号(例えば、WL比制御信号WLC)によって開閉状態が制御される。
また、スイッチユニット41aは、スイッチユニット41と同様に、第1のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN21)及び第2のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN22)を有する。スイッチユニット41では、2つのトランジスタのW/L比を同じ設定とした。しかし、NMOSトランジスタN21、N22は、異なるW/L比のトランジスタである。例えば、NMOSトランジスタN21のW/L比は、NMOSトランジスタN21の1.5倍に設定する。
このインバータゲート回路20aは、インバータゲート回路20と同様に、WL比制御信号WLCに応じてスイッチユニット41a内に構成されるスイッチトランジスタのW/L比を変更することができる。そこで、図9に実施の形態2にかかるインバータゲート回路20aの接続形態の種類を説明する図を示す。なお、図9において、「+」はトランジスタを直列接続する状態を示し、「||」はトランジスタを並列接続する状態を示す。
図9に示すように、インバータゲート回路20aでは、4種類の接続形態を取りうる。第1の接続形態(WL比選択信号WLSEL=1)では、スイッチSW11、SW14をオン状態とし、スイッチSW12、SW13をオフ状態とする。これにより、インバータゲート回路20aのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12が出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続される形態となる。つまり、この第1の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12が直列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタN11のW/L比を1倍とした場合に比べて0.6倍となる。
第2の接続形態(WL比選択信号WLSEL=2)では、スイッチSW11、SW13がオフ状態となり、スイッチSW12、SW14がオン状態となる。これにより、インバータゲート回路20aのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11のみが出力端子と接地配線VSSとの間に接続される形態となる。つまり、この第2の接続形態では、NMOSトランジスタN11のみでスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタN11のW/L比となる1倍となる。
第3の接続形態(WL比選択信号WLSEL=3)では、スイッチSW11、SW14がオフ状態となり、スイッチSW12、SW13がオン状態となる。なお、この第3の接続形態では、スイッチSW12の開閉状態はオン状態とオフ状態とのいずれであっても良い。これにより、インバータゲート回路20aのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN12のみが出力端子と接地配線VSSとの間に接続された形態となる。つまり、この第3の接続形態では、NMOSトランジスタN12のみでスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタN12のW/L比となる1.5倍となる。
第4の接続形態(WL比選択信号WLSEL=4)では、スイッチSW11がオフ状態となり、スイッチSW12、SW13、SW14がオン状態となる。これにより、インバータゲート回路20aのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12が出力端子と接地配線VSSとの間で並列接続された形態となる。つまり、この第4の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12が並列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、NMOSトランジスタN11のW/L比を1倍とした場合に比べて2.5倍となる。
上記説明より、実施の形態2にかかるインバータゲート回路20aを用いた半導体装置では、実施の形態1にかかるインバータゲート回路20を用いた半導体装置に比べてスイッチユニット内で構成されるスイッチトランジスタのW/L比の可変幅が広い。これにより、実施の形態2にかかる半導体装置は、実施の形態1にかかる半導体装置よりも消費電力を削減する効果と発振精度を向上させる効果が高い。
実施の形態3
実施の形態3では、インバータゲート回路の別の形態となるインバータゲート回路20b、30bについて説明する。なお、インバータゲート回路20b、30bは実質的に同じ回路であるため、以下ではインバータゲート回路20bについて説明を行う。また、実施の形態1で説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
図10に実施の形態3にかかるインバータゲート回路20bの回路図を示す。図10に示すように、実施の形態3にかかるインバータゲート回路20bは、スイッチユニット41に代えてスイッチユニット41bを有する。スイッチユニット41bは、単位セル42に加えて、第3のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN31)及び第2の接続形態切替回路(例えば、接続形態切替回路43b)を有する。また、インバータゲート回路20bでは、単位セル42がユニット内電源配線UP11と出力端子との間に設けられる。なお、実施の形態3の説明では、接続形態切替回路43を第1の接続形態切替回路とする。また、実施の形態3では、NMOSトランジスタN11、N12、N31のW/L比は同じであるものとする。
NMOSトランジスタN31は、第2の端子(例えば、ソース)が接地配線VSSに接続され、第1の端子(例えば、ドレイン)が接続形態切替回路43bに接続される。接続形態切替回路43bは、出力端子と接地配線VSSとの間に設けられる。そして、接続形態切替回路43bは、制御信号(例えば、WL比制御信号WLC)に応じて、出力端子と接地配線VSSとの間における単位セル42とNMOSトランジスタN31との接続形態を切り替える。
接続形態切替回路43bは、出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続され、WL比制御信号WLCに応じて導通状態と遮断状態とが切り替えられる第4のスイッチ(例えば、スイッチSW31)、第5のスイッチ(例えば、スイッチSW32)及び第6のスイッチ(スイッチSW33)を有する。スイッチSW31は、一端がスイッチSW33の他端及びNMOSトランジスタN31のドレインと接続され、他端がスイッチSW32の一端及びユニット内電源配線UP11に接続される。スイッチSW32は、一端がスイッチSW31の他端及びユニット内電源配線UP11と接続され、他端が接地配線VSSに接続される。スイッチSW33は、一端が出力端子と接続され、他端がスイッチSW31の一端及びNMOSトランジスタN31のドレインに接続される。
このインバータゲート回路20bは、インバータゲート回路20と同様に、WL比制御信号WLCに応じてスイッチユニット41b内に構成されるスイッチトランジスタのW/L比を変更することができる。そこで、図11に実施の形態3にかかるインバータゲート回路20bの接続形態の種類を説明する図を示す。
図11に示すように、インバータゲート回路20bでは、7種類の接続形態を取りうる。第1の接続形態(WL比選択信号WLSEL=1)では、スイッチSW11、SW31をオン状態とし、その他のスイッチをオフ状態とする。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12、N31が出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続される形態となる。つまり、この第1の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31が直列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/3倍となる。
第2の接続形態(WL比選択信号WLSEL=2)では、スイッチSW12、SW31がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N31が出力端子と接地配線VSSとの間に直列接続される形態となる。つまり、この第2の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N31でスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/2倍となる。
第3の接続形態(WL比選択信号WLSEL=3)では、スイッチSW12、SW13、SW31がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12が並列接続され、かつ、この並列接続されたトランジスタにNMOSトランジスタN31が直列接続された形態となる。つまり、この第3の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて2/3倍となる。
第4の接続形態(WL比選択信号WLSEL=4)では、スイッチSW12、SW32がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11のみが出力端子と接地配線VSSとの間に接続された形態となる。つまり、この第4の接続形態では、NMOSトランジスタN11のみによりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合と同じ1倍となる。
第5の接続形態(WL比選択信号WLSEL=5)では、スイッチSW11、SW32、SW33がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12が直列接続され、かつ、この直列接続されたトランジスタにNMOSトランジスタN31が並列接続された形態となる。つまり、この第5の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて3/2倍となる。
第6の接続形態(WL比選択信号WLSEL=6)では、スイッチSW12、SW32、SW33がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N31が並列接続された形態となる。つまり、この第6の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N31によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて2倍となる。
第7の接続形態(WL比選択信号WLSEL=7)では、スイッチSW12、SW13、SW32、SW33がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20bのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12、N31が並列接続された形態となる。つまり、この第7の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて3倍となる。
上記説明より、実施の形態3にかかるインバータゲート回路20bを用いた半導体装置では、実施の形態1にかかるインバータゲート回路20を用いた半導体装置に比べてスイッチユニット内で構成されるスイッチトランジスタのW/L比の可変幅が広い。これにより、実施の形態3にかかる半導体装置は、実施の形態1にかかる半導体装置よりも消費電力を削減する効果と発振精度を向上させる効果が高い。
実施の形態4
実施の形態4では、インバータゲート回路の別の形態となるインバータゲート回路20c、30cについて説明する。なお、インバータゲート回路20c、30cは実質的に同じ回路であるため、以下ではインバータゲート回路20cについて説明を行う。また、実施の形態1、3で説明した構成要素については、実施の形態1、3と同じ符号を付して説明を省略する。
図12に実施の形態4にかかるインバータゲート回路20cの回路図を示す。図12に示すように、実施の形態4にかかるインバータゲート回路20cは、スイッチユニット41bに代えてスイッチユニット41cを有する。スイッチユニット41cは、インバータゲート回路20bに加えて、第4のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN41)及び第3の接続形態切替回路(例えば、接続形態切替回路43c)を有する。また、インバータゲート回路20cでは、単位セル42が第1のユニット内電源配線UP21と出力端子との間に設けられ、接続形態切替回路43bが第2のユニット内出源配線UP22と出力端との間に設けられ、NMOSトランジスタN31のソースが第2のユニット内電源配線UP21に接続される。なお、実施の形態4の説明では、接続形態切替回路43を第1の接続形態切替回路とする。また、実施の形態4では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41のW/L比は同じであるものとする。
NMOSトランジスタN41は、第2の端子(例えば、ソース)が接地配線VSSに接続され、第1の端子(例えば、ドレイン)が接続形態切替回路43cに接続される。接続形態切替回路43cは、出力端子と接地配線VSSとの間に設けられる。そして、接続形態切替回路43cは、制御信号(例えば、WL比制御信号WLC)に応じて、出力端子と接地配線VSSとの間における、単位セル42及びNMOSトランジスタN31からなるスイッチユニットと、NMOSトランジスタN41と、の接続形態を切り替える。
接続形態切替回路43cは、出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続され、WL比制御信号WLCに応じて導通状態と遮断状態とが切り替えられる第7のスイッチ(例えば、スイッチSW41)、第8のスイッチ(例えば、スイッチSW42)及び第9のスイッチ(スイッチSW43)を有する。スイッチSW41は、一端がスイッチSW43の他端及びNMOSトランジスタN41のドレインと接続され、他端がスイッチSW42の一端及びユニット内電源配線UP22に接続される。スイッチSW42は、一端がスイッチSW41の他端及びユニット内電源配線UP22と接続され、他端が接地配線VSSに接続される。スイッチSW43は、一端が出力端子と接続され、他端がスイッチSW41の一端及びNMOSトランジスタN41のドレインに接続される。
このインバータゲート回路20cは、インバータゲート回路20と同様に、WL比制御信号WLCに応じてスイッチユニット41c内に構成されるスイッチトランジスタのW/L比を変更することができる。そこで、図13に実施の形態4にかかるインバータゲート回路20cの接続形態の種類を説明する図を示す。
図13に示すように、インバータゲート回路20cでは、15種類の接続形態を取りうる。第1の接続形態(WL比選択信号WLSEL=1)では、スイッチSW11、SW31、SW41をオン状態とし、その他のスイッチをオフ状態とする。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41が出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続される形態となる。つまり、この第1の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41が直列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/4倍となる。
第2の接続形態(WL比選択信号WLSEL=2)では、スイッチSW12、SW31、SW41がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N31、N41が出力端子と接地配線VSSとの間に直列接続される形態となる。つまり、この第2の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N31、N41でスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/3倍となる。
第3の接続形態(WL比選択信号WLSEL=3)では、スイッチSW12、SW13、SW31、SW41がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12が並列接続され、かつ、この並列接続されたトランジスタにNMOSトランジスタN31、N41が直列接続された形態となる。つまり、この第3の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて2/5倍となる。
第4の接続形態(WL比選択信号WLSEL=4)では、スイッチSW12、SW32、SW41がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N41が直列接続された形態となる。つまり、この第4の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/2倍となる。
第5の接続形態(WL比選択信号WLSEL=5)では、スイッチSW11、SW32、SW33、SW41がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12とが直列に接続され、この直列接続されたNMOSトランジスタN11、N12にNMSOトランジスタN31が並列接続され、かつ、NMOSトランジスタN11、N12、N13にNMOSとトランジスタN41が直列接続された形態となる。つまり、この第5の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて3/5倍となる。
第6の接続形態(WL比選択信号WLSEL=6)では、スイッチSW12、SW32、SW33、SW41がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N31とが並列に接続され、この並列接続されたNMOSトランジスタN11、N31にNMSOトランジスタN41が直列接続された形態となる。つまり、この第6の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて2/3倍となる。
第7の接続形態(WL比選択信号WLSEL=7)では、スイッチSW12、SW13、SW32、SW33、SW41がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12、N31が並列に接続され、かつ、この並列接続されたNMOSトランジスタN11、N12、N31にNMSOトランジスタN41が直列接続された形態となる。つまり、この第7の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて3/4倍となる。
第8の接続形態(WL比選択信号WLSEL=8)では、スイッチSW12、SW32、SW42がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11のみが接続された形態となる。つまり、この第8の接続形態では、NMOSトランジスタN11によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合と同じ1倍となる。
第9の接続形態(WL比選択信号WLSEL=9)では、スイッチSW11、SW31、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12、N31が直列接続され、かつ、この直列接続されたトランジスタにNMOSトランジスタN41が並列接続された形態となる。つまり、この第9の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて4/3倍となる。
第10の接続形態(WL比選択信号WLSEL=10)では、スイッチSW12、SW31、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N31、N41が並列接続された形態となる。つまり、この第10の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N31、N31によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて3/2倍となる。
第11の接続形態(WL比選択信号WLSEL=11)では、スイッチSW12、SW13、SW31、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12が並列接続され、この並列接続されたNMOSトランジスタN11、N12にNMOSトランジスタN31が直列接続され、さらに、NMOSトランジスタN11、N12、N13に対してNMOSトランジスタN41が並列接続された形態となる。つまり、この第11の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて5/3倍となる。
第12の接続形態(WL比選択信号WLSEL=12)では、スイッチSW12、SW32、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N41が並列接続された形態となる。つまり、この第12の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて2倍となる。
第13の接続形態(WL比選択信号WLSEL=13)では、スイッチSW11、SW32、SW33、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12が直列接続され、この直列接続されたNMOSトランジスタN11、N12にNMOSトランジスタN31とNMOSトランジスタN41が並列接続された形態となる。つまり、この第13の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて5/2倍となる。
第14の接続形態(WL比選択信号WLSEL=14)では、スイッチSW12、SW32、SW33、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N31、N41が並列接続された形態となる。つまり、この第14の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて3倍となる。
第15の接続形態(WL比選択信号WLSEL=15)では、スイッチSW12、SW13、SW32、SW33、SW42、SW43がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20cのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12、N31、N41が並列接続された形態となる。つまり、この第14の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N31、N41によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて4倍となる。
上記説明より、実施の形態4にかかるインバータゲート回路20cを用いた半導体装置では、実施の形態1にかかるインバータゲート回路20を用いた半導体装置に比べてスイッチユニット内で構成されるスイッチトランジスタのW/L比の可変幅が広く、かつ、可変ステップが多い。これにより、実施の形態4にかかる半導体装置は、実施の形態1にかかる半導体装置よりも消費電力を削減する効果と発振精度を向上させる効果が高い。
実施の形態5
実施の形態5では、インバータゲート回路の別の形態となるインバータゲート回路20d、30dについて説明する。なお、インバータゲート回路20d、30dは実質的に同じ回路であるため、以下ではインバータゲート回路20dについて説明を行う。また、実施の形態1、3で説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
図14に実施の形態5にかかるインバータゲート回路20dの回路図を示す。図14に示すように、実施の形態5にかかるインバータゲート回路20dは、スイッチユニット41に代えてスイッチユニット41dを有する。スイッチユニット41dは、単位セル42(以下、第1の単位セルと称す)に加えて、第2の単位セル(例えば、単位セル44)及び第3の接続形態切替回路(例えば、接続形態切替回路46)を有する。
単位セル42は、第1のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN11)、第2のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN12)、第1の接続形態切替回路(例えば、接続形態切替回路43)を有する。NMOSトランジスタN11は、出力端子にドレインが接続され、ソースが接続形態切替回路43に接続される。NMOSトランジスタN12は、第1のユニット内電源配線UP31にソースが接続され、ドレインが接続形態切替回路43に接続される。接続形態切替回路43は、出力端子と第1のユニット内電源配線UP31との間に設けられ、WL比制御信号WLCに応じて、出力端子と第1のユニット内電源配線UP31との間におけるNMOSトランジスタN11、N12の接続形態を切り替える。
単位セル44は、第3のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN51)、第4のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN52)、第2の接続形態切替回路(例えば、接続形態切替回路45)を有する。NMOSトランジスタN51は、第2のユニット内電源配線UP32にドレインが接続され、ソースが接続形態切替回路45に接続される。NMOSトランジスタN52は、ソースが接地配線VSSに接続され、ドレインが接続形態切替回路45に接続される。接続形態切替回路45は、出力端子と第2のユニット内電源配線UP32との間に設けられ、WL比制御信号WLCに応じて、第2のユニット内電源配線UP32と出力端子との間におけるNMOSトランジスタN51、N52の接続形態を切り替える。
接続形態切替回路46は、出力端子と接地配線VSSとの間に設けられ、WL比制御信号WLCに応じて、出力端子と接地配線VSSとの間における単位セル42、44の接続形態を切り替える。
ここで、接続形態切替回路43、接続形態切替回路45、接続形態切替回路46は以下のような構成となる。接続形態切替回路43は、出力端子と第1のユニット内電源配線UP31との間に直列に接続され、WL比制御信号WLCに応じて導通状態と遮断状態とが切り替えられる第1のスイッチ(例えば、スイッチSW11)、第2のスイッチ(例えば、スイッチSW12)及び第3のスイッチ(例えば、スイッチSW13)を有する。スイッチSW11は、一端がスイッチSW13の他端及びNMOSトランジスタN12のドレインと接続され、他端がスイッチSW12の一端及びNMOSトランジスタN11のソースに接続される。スイッチSW12は、一端がスイッチSW11の他端及びNMOSトランジスタN11のソースと接続され、他端が第1のユニット内電源配線UP31に接続される。スイッチSW13は、一端が出力端子と接続され、他端がスイッチSW11の一端及びNMOSトランジスタN12のドレインに接続される。
接続形態切替回路45は、第2のユニット内電源配線UP32と接地配線VSSとの間に直列に接続され、WL比制御信号WLCに応じて導通状態と遮断状態とが切り替えられる第4のスイッチ(例えば、スイッチSW51)、第5のスイッチ(例えば、スイッチSW52)及び第6のスイッチ(例えば、スイッチSW53)を有する。スイッチSW51は、一端がスイッチSW53の他端及びNMOSトランジスタN52のドレインと接続され、他端がスイッチSW52の一端及びNMOSトランジスタN51のソースに接続される。スイッチSW52は、一端がスイッチSW51の他端及びNMOSトランジスタN51のソースと接続され、他端が接地配線VSSに接続される。スイッチSW53は、一端が第2のユニット内電源配線UP32と接続され、他端がスイッチSW51の一端及びNMOSトランジスタN52のドレインに接続される。
接続形態切替回路46は、出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続され、WL比制御信号WLCに応じて導通状態と遮断状態とが切り替えられる第7のスイッチ(例えば、スイッチSW61)、第8のスイッチ(例えば、スイッチSW62)及び第9のスイッチ(スイッチSW63)を有する。スイッチSW61は、一端がスイッチSW63の他端及び第2のユニット内電源配線UP32と接続され、他端がスイッチSW62の一端及び第1のユニット内電源配線UP31に接続される。スイッチSW62は、一端がスイッチSW61の他端及び第1のユニット内電源配線UP31と接続され、他端が接地配線VSSに接続される。スイッチSW63は、一端が出力端子と接続され、他端がスイッチSW61の一端及び第2のユニット内電源配線UP32に接続される。
このインバータゲート回路20dは、インバータゲート回路20と同様に、WL比制御信号WLCに応じてスイッチユニット41d内に構成されるスイッチトランジスタのW/L比を変更することができる。そこで、図15に実施の形態5にかかるインバータゲート回路20dの接続形態の種類を説明する図を示す。
図15に示すように、インバータゲート回路20dでは、5種類の接続形態を取りうる。第1の接続形態(WL比選択信号WLSEL=1)では、スイッチSW11、SW51、SW61をオン状態とし、その他のスイッチをオフ状態とする。これにより、インバータゲート回路20dのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12、N51、N52が出力端子と接地配線VSSとの間に直列に接続される形態となる。つまり、この第1の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N51、N52が直列接続されたものがスイッチトランジスタとなる。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/4倍となる。
第2の接続形態(WL比選択信号WLSEL=2)では、スイッチSW11、SW51、SW62がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20dのスイッチユニットは、NMOSトランジスタN11、N12が出力端子と接地配線VSSとの間に直列接続される形態となる。つまり、この第2の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12でスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて1/2倍となる。
第3の接続形態(WL比選択信号WLSEL=3)では、スイッチSW12、SW13、SW52、SW53、SW61がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20dのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12を直列接続したものと、NMOSトランジスタN51、N52を直列接続したものと、が並列接続された形態となる。つまり、この第3の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N51、N52によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合と同じ1倍となる。
第4の接続形態(WL比選択信号WLSEL=4)では、スイッチSW12、SW13、SW52、SW53、SW62がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20dのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12が並列接続された形態となる。つまり、この第4の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて2倍となる。
第5の接続形態(WL比選択信号WLSEL=5)では、スイッチSW11、SW12、SW52、SW53、SW62、SW63がオン状態となり、その他のスイッチがオフ状態となる。これにより、インバータゲート回路20dのスイッチユニットは、出力端子と接地配線VSSとの間においてNMOSトランジスタN11、N12、N51、N52が並列接続に接続された形態となる。つまり、この第5の接続形態では、NMOSトランジスタN11、N12、N51、N52によりスイッチトランジスタが構成される。このスイッチトランジスタのW/L比は、1つのNMOSトランジスタによりスイッチトランジスタを構成した場合に比べて4倍となる。
上記説明より、実施の形態5にかかるインバータゲート回路20dでは、単位セル42と単位セル44を同じ制御信号を用いて制御する。これにより、実施の形態5にかかるインバータゲート回路20dを用いた半導体装置では、実施の形態1にかかるインバータゲート回路20を用いた半導体装置に比べてスイッチユニット内で構成されるスイッチトランジスタのW/L比の可変幅を広くしながら、WL比制御信号WLCの数を削減することができる。これにより、実施の形態5にかかる半導体装置は、実施の形態1にかかる半導体装置よりも消費電力を削減する効果と発振精度を向上させながら、回路を簡略化する事ができる。
実施の形態6
実施の形態6では、実施の形態1で説明した半導体装置1に、外部環境の変化に応じてWL比選択信号WLSELの値を切り替える選択信号生成部50を有する半導体装置2について説明する。なお、実施の形態6の説明において、他の実施の形態で説明した構成要素については、他の実施の形態の説明で用いた符号と同じ符号を用いて説明を省略する。また、実施の形態6の説明では、半導体装置1を発振回路1と称す。
図16に実施の形態6にかかる半導体装置2のブロック図を示す。図16に示すように、実施の形態6にかかる半導体装置2は、発振回路1に選択信号生成部50を追加したものである。選択信号生成部50は、外部環境に応じた接続形態選択信号(例えば、WL比選択信号WLSEL)を出力する。選択信号生成部50は、基準電圧生成回路51、閾値判定部52、選択ロジック部56を有する。
基準電圧生成回路51は、基準電圧Vrefを生成する。この基準電圧Vrefは、温度に対する変動量が極めて小さな定電圧である。基準電圧生成回路51は、例えば、バンドギャップリファレンス回路(BGR:Band Gap Reference)が用いられる。これにより、実動作時に電源電圧や温度が変動した場合や、出来上がり時にプロセス変動が発生した場合においても、常に一定値の基準電圧Vrefを出力することができる。
閾値判定部52は、基準電圧Vrefを入力電圧として、スイッチユニットの複数のトランジスタの接続形態がそれぞれ異なる形態に予め固定された複数のインバータゲート回路を有する。図16に示す例では、閾値判定部52は、インバータゲート回路53〜55を有する。インバータゲート回路53は、WL比制御信号WLCがWL比選択信号WLSELの値が1に対応する値に固定されたインバータゲート回路20である。インバータゲート回路54は、WL比制御信号WLCがWL比選択信号WLSELの値が2に対応する値に固定されたインバータゲート回路20である。インバータゲート回路55は、WL比制御信号WLCがWL比選択信号WLSELの値が3に対応する値に固定されたインバータゲート回路20である。なお、ここでのWL比選択信号WLSELの値は、例えば、図6に示した表の値である。また、インバータゲート回路53は出力値CMP1を出力し、インバータゲート回路54は出力値CMP2を出力し、インバータゲート回路55は出力値CMP3を出力する。
選択ロジック部56は、複数のインバータゲート回路の出力値CMP1〜CMP3の組み合わせに応じてWL比選択信号WLSELの値を切り替える。
選択信号生成部50は、上記構成により、半導体チップの温度が変化に応じてハイレベルとなるインバータゲート回路の個数が変化する。例えば、半導体チップの温度が上昇していくにつれて、インバータゲート回路の論理閾値VTHが低下する。一方、基準電圧Vrefは、半導体チップの温度に対して一定の電圧を維持する。そのため、閾値判定部52では、半導体チップの温度が上昇していくにつれて、出力値がハイレベルとなるインバータゲート回路の数が減少する。そして、選択信号生成部50では、選択ロジック部56によりハイレベルとなるインバータゲート回路の出力値の個数に応じてWL比選択信号WLSELの値を変化させる。
ここで、選択ロジック部56における出力値CMP1〜3の組み合わせに対するWL比選択信号WLSELの値の例を説明する。図17に実施の形態6にかかる半導体装置2における最適制御例を説明する表を示す。なお、図17では2つの制御例を示した。
図17の上図に示した制御例1では、ハイレベル(例えば、H)の数が増加する毎にWL比選択信号WLSELの値を増加させる。インバータゲート回路53〜55の論理閾値VTHが全て基準電圧Vrefよりも低いことにより、出力値CMP1〜CMP2がロウレベルとなった場合、発振回路1内のインバータゲート回路20、30の論理閾値VTHを最も高くすることが最適である。そのため、制御例1では、出力値CMP1〜CMP3がロウレベルである場合は、最も高い論理閾値VTHを指定できるWL比選択信号WLSELの値(例えば、1)を選択ロジック部56が出力する。
インバータゲート回路53の論理閾値VTHのみが基準電圧Vrefよりも高いことにより、出力値CMP1のみがハイレベルとなった場合、発振回路1内のインバータゲート回路20、30の論理閾値VTHが最も高くなるレベルから1段低くすることが最適である。そのため、制御例1では、全ての出力値CMP1のみがハイレベルである場合は、最も高い論理閾値VTHから1段低い論理閾値VTHを指定できるWL比選択信号WLSELの値(例えば、2)を選択ロジック部56が出力する。
インバータゲート回路53、54の論理閾値VTHが基準電圧Vrefよりも高いことにより、出力値CMP1、CMP2がハイレベルとなった場合、発振回路1内のインバータゲート回路20、30の論理閾値VTHが最も低くすることが最適である。そのため、制御例1では、全ての出力値CMP1、CMP2がハイレベルである場合は、最も低い論理閾値VTHを指定できるWL比選択信号WLSELの値(例えば、3)を選択ロジック部56が出力する。なお、実施の形態6にかかる選択ロジック部56は、3つのWL比選択信号WLSELを選択できるのみであるため、出力値CMP1〜CMP3がハイレベルとなった場合は、最も低い論理閾値VTHを指定するWL比選択信号WLSELを出力する。
また、図17の下図に示した制御例2は、制御例1の別の形態であり、出力値CMP1〜CMP3の全てがロウレベル及び出力値CMP1のみがハイレベルの2つの状態でWL比選択信号WLSELの値を1とし、他の2つの状態ではそれぞれWL比選択信号WLSELを2、3とするものである。
上記説明より、実施の形態6にかかる半導体装置2では、インバータゲート回路20と同じ構成のインバータゲート回路を複数個用い、複数のインバータゲート回路に与えるWL比制御信号WLCを固定値とする。そして、このような複数のインバータゲート回路を用いて閾値判定部52を構成する。これにより、実施の形態6にかかる半導体装置2では、閾値判定部52内の比較器を小さな回路により実現することができる。
また、閾値判定部52内のインバータゲート回路の個数は、WL比選択信号WLSELの値の個数に応じて増減させることができる。このとき、実施の形態6にかかる半導体装置2では、閾値判定部52内の比較器としてインバータゲート回路20と同じ構成のインバータゲート回路を用いることで回路面積の増加を抑制することができる。
また、閾値判定部52内のインバータゲート回路の数は1つでも良い。この場合、時間変化に応じてインバータゲート回路に与えるWL比制御信号WLCを変更し、個々の接続形態における出力値をレジスタ等に記憶しておき、一定時間経過した後に図17で示した表を参照してWL比選択信号WLSELの値を決めることができる。なお、複数個のインバータゲート回路で構成された閾値判定部52と比較して、判定結果が出力されるまでの遅延が増加するが、インバータゲート回路の論理しきい値は温度変動に伴って高速に変動することはないため大きな問題はない。
また、選択信号生成部50では、基準電圧生成回路51を用いたが、出力される基準電位Vrefの電圧精度は高くなくともよい。また、外部に基準電位発生器が用意されている場合には、選択信号生成部50から基準電圧生成回路51を削除することも可能である。
実施の形態7
実施の形態7では、実施の形態6にかかる半導体装置2の変形例となる半導体装置3について説明する。なお、実施の形態7の説明において、他の実施の形態で説明した構成要素については、他の実施の形態の説明で用いた符号と同じ符号を用いて説明を省略する。また、実施の形態7の説明では、半導体装置1を発振回路1と称す。
図18に実施の形態7にかかる半導体装置3のブロック図を示す。図18に示すように、実施の形態7にかかる半導体装置3は、実施の形態2にかかる半導体装置2にレジスタ60、間欠動作制御部61を追加したものである。間欠動作制御部61は、一定の間隔で選択信号生成部50を動作させるための間欠動作制御信号を出力する。より具体的には、間欠動作制御部61は、発振回路1が出力するクロック信号をカウントし、カウント値が一定の値に達したことに応じて間欠動作制御信号を出力する。選択信号生成部50は、この間欠動作制御信号が活性化状態(例えば、ハイレベル)となったことに応じてWL比選択信号WLSEL0の値を更新する動作を行う。レジスタ60は、接続形態選択信号の値を保持し、保持した値に応じて発振回路1内のW/L比制御部10にWL比選択信号WLSEL1を出力する。
続いて、実施の形態7にかかる半導体装置3の動作について説明する。そこで、実施の形態7にかかる半導体装置の動作を説明するタイミングチャートを図19に示す。図19に示す例では、横軸を経過時間とするものである。そして、図19に示すタイミングチャートは、時間経過と共に半導体チップの温度が上昇した場合を示すものである。
図19に示すように、実施の形態7にかかる半導体装置3では、間欠動作制御部61が一定の周期で間欠動作制御信号をハイレベルとして、定期的に論理閾値VTHの変動を監視する。そして、温度の上昇と共にインバータゲート回路の論理閾値VTHが低下する。なお、図19に示すタイミングチャートでは、タイミングT1より前の期間はWL比選択信号WLSELの値を2とする。そして、図19に示す例では、タイミングT1で間欠動作制御信号がハイレベルとなる時点で、インバータゲート回路の論理閾値が基準電圧生成回路51が出力する基準電圧Vrefを下回った状態となっている。そのため、タイミングT1で間欠動作制御信号に応じて動作する選択信号生成部50はWL比選択信号WLSELの値を2から1に切り替える。これにより、実施の形態7にかかる半導体装置3は、温度に応じて低下したインバータゲート回路の論理閾値を高い値に切り替える。
上記説明より、実施の形態7にかかる半導体装置3では、間欠動作制御部61により選択信号生成部50を間欠的に動作させることで、選択信号生成部50の消費電力を低減することができる。また、実施の形態7にかかる半導体装置3では、レジスタ60により選択信号生成部50が動作している期間に出力するWL比選択信号WLSELの値を保持する。これにより、実施の形態7にかかる半導体装置3では、選択信号生成部50に供給する電源を停止しても、発振回路1に与えるWL比選択信号WLSELを維持することができる。なお、レジスタ60は、値の更新時に電力を消費するが、値の保持にかかる電力はごくわずかであるため、レジスタ60の消費電力は無視できる程度である。
実施の形態8
実施の形態8では、実施の形態1にかかる半導体装置2の変形例となる半導体装置3について説明する。なお、実施の形態8の説明において、他の実施の形態で説明した構成要素については、他の実施の形態の説明で用いた符号と同じ符号を用いて説明を省略する。また、実施の形態8の説明では、半導体装置1を発振回路1と称す。
実施の形態8にかかる半導体装置4のブロック図を図20に示す。図20に示すように、実施の形態8にかかる半導体装置4は、1つの半導体チップCH上に発振回路1、選択信号生成部50、チェックトランジスタ領域71、パッドP1〜P4、内部回路が形成される。なお、内部回路は、発振回路1が出力するクロック信号に基づき所定の機能を実現する論理回路である。
記憶素子70は、パッドP1を介して他の装置から与えられるWL比選択信号WLSELの値を記憶し、記憶した値をWL比選択信号WLSELとして発振回路1に出力する。なお、記憶素子70としては、不揮発性の記憶素子を用いることが好ましい。チェックトランジスタ領域71は、半導体装置は、同一チップ内に形成されるトランジスタの閾値を確認するチェックトランジスタが形成される領域である。また、チェックトランジスタ領域71にはパッドP2〜P4が接続される。このパッドP2〜P4は、チェックトランジスタ領域71内に形成されているチェックトランジスタへのアクセスを可能にするためのパッドである。
続いて、実施の形態8にかかる半導体装置4におけるWL比選択信号WLSELの値の決定方法について説明する。実施の形態8にかかる半導体装置4では、例えば、出荷テスト等の検査においてチェックトランジスタ領域71のチェックトランジスタの閾値電圧を確認する。そして、確認したチェックトランジスタの閾値電圧に基づき、WL比選択信号WLSELの値をテスター等の他の装置で決定する。その後、決定したWL比選択信号WLSELの値を記憶素子70に書き込む。
上記説明より、実施の形態8にかかる半導体装置4では、チェックトランジスタにより確認した半導体チップ上のトランジスタの閾値特性に応じてWL比選択信号WLSELを決定することができる。これにより、実施の形態8にかかる半導体装置4では、プロセス変動により正常に動作できない半導体チップを救済することができ、歩留まりを向上させることができる。
なお、記憶素子70として、揮発性の記憶素子を利用することもできる。この場合、半導体装置4の起動時に、他の不揮発性の記憶媒体からチェックトランジスタの閾値特性に基づき決定したWL比選択信号WLSELの値を読み出して記憶素子70に書き込むことで、記憶素子70として不揮発性メモリを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記の実施の形態にかかる半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。