以下、図面を参照して、本発明の送風装置としての浴室換気乾燥暖房機の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の構成例>
図1、図2及び図3は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す構成図で、図1は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の内部構成を示す一の側面図、図2は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の内部構成を示す他の側面図、図3は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機を下側から見た平面図である。また、図4は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の設置例を示す構成図である。
本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aは、循環換気ファン2を有した本体部3が、フロントパネル4Aを露出させた形態で、浴室100の天井に取り付けられる。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、空気を吸い込んで吹き出す循環換気ファン2で、浴室100内の空気が吸い込まれる循環換気吸込口20と、ヒータ5を有して温風が吹き出される吹出口21を備える。
また、浴室換気乾燥暖房機1Aは、循環換気ファン2で循環換気吸込口20から吸い込んだ空気を室外に排気する換気吹出口23を備える。更に、浴室換気乾燥暖房機1Aは、吹出口21と換気吹出口23との間で風路を切り替える風路切替ダンパ6を備える。
循環換気ファン2は、多翼の羽根車25と、羽根車25を駆動する循環換気ファンモータ26と、風路を形成する循環換気ファンケース27を備える。羽根車25は、循環換気ファンモータ26に駆動されて回転することで、内側から外周側へと遠心方向に吹き出される空気の流れを発生させる。
循環換気ファンケース27は、羽根車25の外周に沿った円形の部位と、羽根車25の接線方向に沿った部位を組み合わせた形状で、羽根車25の遠心方向に吹き出される空気を整流して、羽根車25の接線方向に沿って吹き出される空気の流れを発生させる。
循環換気ファン2は、浴室換気乾燥暖房機1Aが所定の設置場所である浴室の天井に設置された状態で、羽根車25の回転軸の向きが上下方向に沿った配置で構成される。
これにより、循環換気ファン2は、羽根車25の回転軸に沿った下方から吸い込んだ空気を、羽根車25の接線方向に吹き出す吹出風路28が、循環換気ファンケース27により形成される。
循環換気ファン2は、循環換気ファンケース27の下面に、空気が吸い込まれる循環換気吸込口20を備える。また、循環換気ファン2は、循環換気ファンケース27の下面に、ヒータ5を駆動することで加熱された空気、あるいは、ヒータ5を非駆動とすることで浴室100内の温度に応じた空気が吹き出される吹出口21を備える。
更に、循環換気ファン2は、循環換気ファンケース27の側面に、室外へ空気が吹き出される換気吹出口23を備える。
循環換気吸込口20は、羽根車25の回転軸に沿った下方に、ベルマウスと称される円形の開口を設けて構成される。吹出口21は、循環換気ファンケース27による空気の吹出方向に沿った辺を短辺とした長方形の開口を、吹出風路28の下面に設けて構成される。
循環換気ファンケース27で構成される吹出風路28は、吹出口21が設けられる部位で広げられ、換気吹出口23が設けられる部位で狭められる。吹出口21は、循環換気ファンケース27による空気の吹出方向に沿った辺に対して交差する長辺が、本体部3の幅方向の長さに合わせられる。
風路切替ダンパ6は風路開閉手段の一例で、循環換気ファンケース27の下面に設けられる吹出口21と、循環換気ファンケース27の側面に設けられる換気吹出口23との間に、回転による開閉動作の軸60が設けられる。
風路切替ダンパ6は、図示しないダンパモータの駆動力が伝達され、軸60を支点に回転して吹出口21と、換気吹出口23との開閉動作を行う。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、風路切替ダンパ6の位置を、図1に実線で示すように換気吹出口23を閉じる循環位置とすると、吹出口21が開いて、循環換気吸込口20から吹出口21へ連通した循環風路が形成される。
また、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、風路切替ダンパ6の位置を、図1に一点鎖線で示すように吹出口21を閉じる換気位置とすると、換気吹出口23が開いて、循環換気吸込口20から換気吹出口23へ連通した換気風路が形成される。
更に、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、風路切替ダンパ6の位置を、図1に破線で示す循環位置と換気位置の間の循環換気位置とすると、吹出口21と換気吹出口23の双方が開いて、循環風路と換気風路の双方が形成される。
これにより、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、1つの循環換気ファン2で、浴室100内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を浴室100内に吹き出す動作、吸い込んだ空気を室外に排気する動作、吸い込んだ空気の一部を浴室100内に吹き出し、残部を室外に排気する動作が行われる。なお、室内の空気を循環させる循環用のファンと、室内の空気を排気する換気用のファンを独立して設ける構成としても良い。
ヒータ5は加熱手段の一例で、本例ではPTCヒータが吹出口21に取り付けられ、吹出口21で加熱空気吹出風路が形成される。
ヒータ5が駆動されて通電されると、ヒータ5が加熱されることで吹出口21を通る空気が加熱され、吹出口21から温風が吹き出される。ここで、ヒータ5は、棒状のヒータ部材に長手方向に沿って多数のフィンが取り付けられた構成で、フィンが並ぶ方向を、吹出口21の長手方向に沿った向きとして吹出口21に取り付けられる。
また、吹出口21の短手方向の幅は、2本のヒータ5が並べて取り付けられる長さを有し、本例では、2本のヒータ5が吹出口21の短手方向に並べて取り付けられる。なお、ヒータ5の本数は例えば電源電圧等に応じて設定され、1本のヒータ5が取り付けられる構成でも良い。また、本例では、加熱手段として電気により駆動されるヒータ5を例に説明したが、温水による熱交換器等のヒータでも良い。
本体部3は、循環換気ファンケース27を構成する本体シャーシ30と、本体シャーシ30を覆う金属ケース31を備える。本体シャーシ30は樹脂材料で構成され、金属ケース31で覆われる循環換気ファンケース27と、本体部3の下端の周縁から外側に突出するフランジ部32が一体で構成される。
本体シャーシ30は、金属ケース31から露出した下面に下カバー33が取り付けられる。循環換気ファン2は、循環換気吸込口20と、吹出口21が下カバー33に設けられる。
金属ケース31は、循環換気ファン2の換気吹出口23に対向して開口が設けられ、換気吹出口23と連通した排気ダクト接続部34が側面に取り付けられる。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、本体部3の下面に取り付けられるフロントパネル4Aを備える。フロントパネル4Aは、浴室100から吸い込まれる空気が通る吸込口40と、浴室100に吹き出される空気が通る吹出口グリル41を備える。
吸込口40は、フロントパネル4Aの室内に対向した面、本例では、浴室100に面したフロントパネル4Aの下側の面に設けられる外側吸込口42と、循環換気ファン2の循環換気吸込口20に対向したフロントパネル4Aの上側の面に設けられる内側吸込口43と、内側吸込口43の下側を覆う吸込口風路形成部44を備える。
また、吸込口40は、外側吸込口42と内側吸込口43をつなぐ吸込口風路45と、吸込口風路45を形成する吸込口風路形成枠部46を備える。
外側吸込口42は第1の吸込口の一例で、四角形状のフロントパネル4Aの下側の面において、所定の辺部に沿った位置に開口を設けて構成される。外側吸込口42は、本例では、吸込口40と吹出口グリル41が並ぶ方向に沿った2つの辺部と、吹出口グリル41が形成されている側と反対側の1つの辺部に沿った3方向に、連続した形状の開口を設けて構成される。
内側吸込口43は第2の吸込口の一例で、循環換気ファン2に吸い込まれる空気中の水分が内側吸込口43から外側吸込口42を通り外部に滴下しないようにするため、水分が滴下し得る方向である上下方向において外側吸込口42と重ならない位置に開口を設けて構成される。
内側吸込口43は、本例では、フロントパネル4Aの辺部に沿って形成される外側吸込口42に対して外側吸込口42より内側となる位置に設けられる。
吸込口風路形成部44は吸込口風路形成部材の一例で、内側吸込口43と対向して外側吸込口42の内側に設けられる部位で構成され、内側吸込口43より大きい形状を有して、内側吸込口43の下側の全面を覆う。吸込口風路形成部44は、内側吸込口43と対向する上側の面で、外側吸込口42に沿った周縁に凸部44aが設けられ、内側吸込口43を通り滴下する水分等を受けて、外側吸込口42から滴下しない形状を有した受け部44bが形成される。また、吸込口風路形成部44は、浴室100に面した下側の面が、フロントパネル4Aの下側の面と同一面となるような形状を有する。なお、外側吸込口42が下側を向いた開口であれば、吸込口風路形成部44は、浴室100に面した下側の面が、フロントパネル4Aの下側の面に対して突出した形状、あるいは、凹状に窪んだ形状であっても良い。
吸込口風路45は、吸込口風路形成部44の上側の面である受け部44bと吸込口風路形成枠部46とで囲われて、外側吸込口42と内側吸込口43とにつながる空間を、吸込口風路形成部44の上側に設けて構成される。
吸込口風路形成枠部46は、外側吸込口42の外周に沿ったフロントパネル4Aの上側の面から上方に向けて斜め方向に突出して、外側吸込口42の上側を覆う形状の部位を設けて構成される。吸込口風路形成枠部46は、外側吸込口42の上側を覆う部位の内側に設けた開口で、内側吸込口43が構成される。吸込口風路45は、吸込口風路形成枠部46が内側吸込口43に向けて斜め方向に立ち上がることで、吸込口風路45を形成する壁面が空気の流れに沿うような向きとなり、通気抵抗が低減される。
フロントパネル4Aは、吸込口風路形成枠部46が、本体部3の下カバー33の下側に入り込む形状を有することで、フロントパネル4Aの下側の面に外側吸込口42が設けられ、外側吸込口42の内側の吸込口風路形成部44の上側に所定の高さで吸込口風路45が設けられる構成であっても、フロントパネル4Aの高さ方向の寸法を少なくすることができる。
フロントパネル4Aは、内側吸込口43に取り付けられるフィルタ47と、フィルタ47が着脱可能に取り付けられるフィルタ取付部48を備える。フィルタ47は、空気は通し、塵、埃、虫等は捕集する通気部47aと、通気部47aを支持する枠部47bを備える。フィルタ47は、フィルタ取付部48で枠部47bが内側吸込口43に取り付けられることで、通気部47aで空気は通し、塵、埃、虫等は捕集する。
また、フィルタ47は、内側吸込口43の全体を覆い、かつ、通気部47aが外側吸込口42及び吸込口風路形成部44の内側に収まる形状を有することで、フィルタ47に付着した塵や水分等が、外側吸込口42から滴下することが防止される。更に、フィルタ47は、面方向に撓むことが可能な構成で、湾曲させた形態で、一の外側吸込口42からフィルタ取付部48に着脱される。
フィルタ取付部48は、内側吸込口43の対向する2辺に沿ってフィルタ47の挿抜をガイドする上下及び左右一対のガイド部48aの間隔を広げることで、フィルタ47を撓ませる空間を確保した着脱空間48bを設けて構成される。これにより、フロントパネル4Aの下面に形成された外側吸込口42から、フィルタ47を湾曲させた形態としてフィルタ取付部48に挿抜することで、フィルタ47が内側吸込口43に着脱される。
吹出口グリル41は、循環換気ファン2の吹出口21に対向した部位のフロントパネル4Aに開口を設けて構成される。
吹出口グリル41は、本体部3の一の辺に沿った方向の長さを長くした長方形の開口で構成される。吹出口グリル41は、長手方向に沿って空気が吹き出されるように、整流板が設けられる。
フロントパネル4Aは樹脂材料で構成され、吸込口風路形成部44、吸込口風路形成枠部46及びフィルタ取付部48が一体に成型される。また、フロントパネル4Aは、外側吸込口42を形成する部位及び吹出口グリル41を形成する部位には開口が設けられる。
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の設置例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aの設置例について説明する。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、図4に示すように、浴室100の天井パネル101に設置される。浴室100の天井パネル101には、浴室換気乾燥暖房機1Aの本体部3が取り付けられる開口部が形成され、浴室換気乾燥暖房機1Aは、例えば、フランジ部32が図示しないネジで補強部材に固定される形態で、天井パネル101に取り付けられる。
そして、浴室換気乾燥暖房機1Aは、本体部3の下面にフロントパネル4Aが取り付けられ、フロントパネル4Aの吸込口40の外側吸込口42と吹出口グリル41が、浴室100内に面して配置される。
浴室100の天井パネル101に設置された浴室換気乾燥暖房機1Aは、本体部3の排気ダクト接続部34に排気ダクト102が取り付けられる。排気ダクト102は、浴室100が設置される図示しない建物の外壁に取り付けられる屋外グリル102aと接続され、浴室換気乾燥暖房機1Aは、排気ダクト102を介して屋外とつながっている。
浴室100は、浴槽103と洗い場104を備える。浴槽103は一般的に長方形であり、浴槽103と洗い場104は、浴槽103の短手方向に沿って並んでいる。
浴室100は、浴槽103の上部に物干し部材であるランドリパイプ105を備える。ランドリパイプ105は、浴槽103の長手方向に沿って延び、浴室100の対向する壁面106a,106b間に取り付けられる。
なお、浴室100に設置されるランドリパイプ105の本数は、1本または2本程度であり、本例では、1本のランドリパイプ105が配置された例を示す。また、物干し部材は、洗濯物等の被乾燥物が乾燥できるようになっていれば、パイプ状の部材に限らず、紐状であっても良く、他のものであっても良い。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、吹出口グリル41の長手方向の向きが、ランドリパイプ105の長手方向に対して直交する向きで、浴槽103の上部に設置される。これにより、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、吹出口グリル41から吹き出される空気は、主にランドリパイプ105と直交する方向に広がる。
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aの動作例について説明する。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、暖房運転モードが選択されると、風路切替ダンパ6を図1に実線で示す循環位置にして、循環換気ファンモータ26を駆動して羽根車25を回転させると共にヒータ5に通電する。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25が回転することで、フロントパネル4Aの吸込口40において外側吸込口42から吸い込まれる浴室100内の空気が、吸込口風路45を通り内側吸込口43から循環換気吸込口20に吸い込まれる。
暖房運転モードでは、風路切替ダンパ6が循環位置にあるので、循環換気吸込口20から吸い込まれた浴室100の空気の略全量が、吹出口21へと流れる。暖房運転モードでは、吹出口21に流れる空気は、ヒータ5によって加熱されることで、フロントパネル4Aの吹出口グリル41から温風が吹き出される。
これにより、浴室100内の温度を入浴に適した温度に上昇させることができる。なお、暖房運転モードでは、入浴前等の浴室100に人が居ない状態で、所定の風量及びヒータ出力の設定により短時間で浴室100の温度を上昇させる予備暖房運転モードと、風量及びヒータ出力を低下させ、入浴中等に浴室100の温度を保つ入浴中暖房運転モードが切り替えられるようにしても良い。
浴室換気乾燥暖房機1Aで実行される他の運転モードとしては、乾燥運転モードでは、風路切替ダンパ6を図1に破線で示す循環換気位置にし、循環換気ファンモータ26を駆動して羽根車25を回転させると共に、ヒータ5に通電する。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25が回転することで、フロントパネル4Aの吸込口40において外側吸込口42から吸い込まれる浴室100内の空気が、吸込口風路45を通り内側吸込口43から循環換気吸込口20に吸い込まれる。
乾燥運転モードでは、風路切替ダンパ6が循環換気位置にあるので、吹出風路28では、循環換気吸込口20から吹出口21へ連通した循環風路と、循環換気吸込口20から換気吹出口23へ連通した換気風路の双方が形成されている。
これにより、羽根車25が回転することで循環換気吸込口20から吸い込まれた浴室100の空気の一部は、吹出口21へと流れる。また、循環換気吸込口20から吸い込まれた浴室100の空気の残部は、換気吹出口23へと流れ、排気ダクト102を通り屋外グリル102aから屋外へ排気される。
乾燥運転モードでは、吹出口21に流れる空気は、ヒータ5によって加熱されることで、フロントパネル4Aの吹出口グリル41から温風が吹き出される。
これにより、乾燥運転モードでは、ランドリパイプ105に掛けられた衣類等の被乾燥物に対して温風を当てて乾燥させることができると共に、浴室100内の湿気を含む空気を屋外へ排気し、洗面脱衣所等の空気取り込む換気を行って、乾燥を促進することができる。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、循環換気運転モードでは、風路切替ダンパ6を図1に破線で示す循環換気位置にし、ヒータ5を非駆動として、循環換気ファンモータ26を駆動して羽根車25を回転させる。ここで、上述した乾燥運転モードと循環換気運転モードでは、循環換気運転モードの方が、屋外へ排気される風量である換気風量が多くなるように、風路切替ダンパ6の開度を変更しても良い。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25が回転することで、フロントパネル4Aの吸込口40において外側吸込口42から吸い込まれる浴室100内の空気が、吸込口風路45を通り内側吸込口43から循環換気吸込口20に吸い込まれる。
循環換気運転モードでは、風路切替ダンパ6が循環換気位置にあるので、循環換気吸込口20から吸い込まれた浴室100の空気の一部は、吹出口21へと流れる。また、循環換気吸込口20から吸い込まれた浴室100の空気の残部は、換気吹出口23へと流れ、屋外へ排気される。
循環換気運転モードでは、吹出口21に流れる空気は、ヒータ5が非駆動であるので、フロントパネル4Aの吹出口グリル41から、室温に応じた空気が吹き出される。
これにより、循環換気運転モードでは、浴室100内で空気を循環させると共に、浴室100内の空気の一部が屋外に排気されて換気が行われるので、湿気等を排出して、浴室100の各壁面、床面等の乾燥を促進することができる。
換気運転モードでは、風路切替ダンパ6を図1に一点鎖線で示す換気位置にし、ヒータ5非駆動として、循環換気ファンモータ26を駆動して羽根車25を回転させる。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25が回転することで、フロントパネル4Aの吸込口40において外側吸込口42から吸い込まれる浴室100内の空気が、吸込口風路45を通り内側吸込口43から循環換気吸込口20に吸い込まれる。
換気運転モードでは、風路切替ダンパ6が換気位置にあるので、循環換気吸込口20から吸い込まれた浴室100の空気の略全量が換気吹出口23へと流れ、屋外へ排気される。従って、換気運転モードでは、浴室100内の湯気や湿気を排出して結露等を抑制し、カビの発生を抑えることができる。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、24時間換気運転モードを備える。24時間換気運転モードは、浴室換気乾燥暖房機1Aが設置された建物内の空気を、所定時間で換気できる風量で上述した換気モードが常時実行される。従って、24時間換気運転モードでは、室内の空気を新鮮な空気に入れ替えることができる。
浴室換気乾燥暖房機1Aで循環換気ファン2により吸い込まれる浴室100の空気には水分が含まれる。このため、フロントパネル4Aの吸込口40において外側吸込口42から吸い込まれる浴室100内の空気中の水分が、内側吸込口43に取り付けられたフィルタ47に付着して結露する場合がある。
また、フィルタ47を通過して循環換気ファン2に吸い込まれる空気中の水分が、循環換気ファン2内の羽根車25及び循環換気ファンケース27の内面等に付着して結露する場合がある。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、フィルタ47が取り付けられた内側吸込口43の下側が吸込口風路形成部44で覆われる。これにより、フィルタ47、循環換気ファン2内の羽根車25及び循環換気ファンケース27の内面等に付着して結露した水分が滴下しても、滴下した水分が吸込口風路形成部44の受け部44bで受けられる。吸込口風路形成部44は、受け部44bの外縁部に沿って凸部44aが形成されることで、受け部44bで受けた水分が受け部44bから外部に滴下することが抑制される。従って、循環換気ファン2で吸い込まれた空気中の水分が、外側吸込口42から外部に滴下することが抑制される。
また、浴室換気乾燥暖房機1Aは、外側吸込口42、内側吸込口43、吸込口風路形成部44、吸込口風路形成枠部46及びフィルタ取付部48がフロントパネル4Aと一体に形成されている。これにより、フロントパネル4Aの下側の面には、吸込口40を形成するための開口や隙間が、外側吸込口42以外には必要ない。従って、フロントパネル4Aには、フィルタ47、循環換気ファン2内の羽根車25及び循環換気ファンケース27の内面等に付着して結露した水分が外部に滴下するような開口や隙間が存在しない。よって、循環換気ファン2で吸い込まれた空気中の水分が、外側吸込口42から外部に滴下することが抑制される。
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、四角形状のフロントパネル4Aの下側の面において、吹出口グリル41が形成されている側を除く3方向に外側吸込口42が形成されている。これにより、吹出口グリル41から吹き出される空気が浴室100内を循環せずに外側吸込口42から吸い込まれるショートカットと称される現象の発生を抑制することができる。なお、本例では、3方向に設けられる外側吸込口42を連続した開口で構成したが、独立した開口で構成しても良い。
ここで、外側吸込口42は、四角形状のフロントパネル4Aの下側の面において、吹出口グリル41が形成されている側と反対側の1つの辺部に沿った1方向に設ける構成としても良いし、吸込口40と吹出口グリル41が並ぶ方向に沿った2つの辺部の2方向に設ける構成としても良い。但し、3方向に外側吸込口42を設けることで、所定の風量を得る場合に、1方向あるいは2方向に外側吸込口を設ける場合と比較して、風速を抑制することができ、風切音等の音の発生を抑制して静音化を図ることができる。また、吹出口グリル41の形状、具体的には、吹出口グリル41に設けられる図示しない吹出ルーバの形状や配置によってショートカットを抑制できる構成とすることで、吹出口グリル41が形成されている側の辺部を含む4方向に外側吸込口42を設けても良い。
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機のフィルタ着脱動作例>
図5及び図6は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機のフィルタ着脱動作例を示す説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aにおいてフロントパネル4Aにフィルタ47を着脱する動作について説明する。
フィルタ47を取り付ける動作では、図5に示すように、フロントパネル4Aの下面に形成された外側吸込口42から、フィルタ47を湾曲させた形態としてフィルタ取付部48のガイド部48aにフィルタ47の枠部47bが挿入される。フィルタ47は、ガイド部48aに沿って挿入されることで、図1及び図2に示すように、内側吸込口43に沿った向きで取り付けられる。
フィルタ47を取り外す動作では、図6に示すように、フィルタ取付部48の着脱空間48bを利用して、フィルタ47の端部を撓ませ、端部側の枠部47bをフィルタ取付部48から外す。そして、図5に示すように、フィルタ47を湾曲させた形態として、フロントパネル4Aの下面に形成された外側吸込口42から抜き取る。
浴室換気乾燥暖房機1Aは、内側吸込口43に取り付けられるフィルタ47の着脱を外側吸込口42から行うことで、フィルタ47を着脱するための開口や、開口を開閉するような構成は必要ない。これにより、循環換気ファン2で吸い込まれた空気中の水分が、フィルタ47を着脱するための開口から外部に滴下することが抑制される。
<吸込口の大きさと通気抵抗の関係>
図7は、吸込口の大きさと通気抵抗の関係を示すグラフ、図8は、比較例としてのフロントパネルの一例を示す平面図である。
本実施の形態のフロントパネル4Aにおいて、外側吸込口42の大きさを変えて、通気抵抗の変化を測定した。本例では、外側吸込口42の大きさとして、外側吸込口42の短手方向の寸法を変えて通気抵抗を測定した。具体的には、図1に示すように、外側吸込口42の内縁側の端部と、外側吸込口42の外縁を構成する吸込口風路形成枠部46との間で、長さが最も狭くなる位置の寸法Zを変えて、通気抵抗を測定した。
図7において、外側吸込口42の短手方向の寸法Zを10mm(外側吸込口42の開口面積、以下開口面積:7200mm2)とした場合の通気抵抗を二点鎖線で示し、寸法Zを20mm(開口面積:14400mm2)とした場合の通気抵抗を一点鎖線で示し、寸法Zを25mm(開口面積:18000mm2)とした場合の通気抵抗を実線で示す。
図8に示す比較例のフロントパネル400は、吸込口401と吹出口402がフロントパネル400の下側の面に設けられる。このような比較例のフロントパネル400における通気抵抗を、図7に破線で示す。
浴室換気乾燥暖房機において、必要とされる風量が300mm2程度とした場合、外側吸込口42の短手方向の寸法Zが10mmであると、比較例に対して通気抵抗が大きい。これに対して、寸法Zを大きくし、開口面積を大きくしていくと、通気抵抗が減少することが判り、寸法Zを25mm程度にすることで、比較例と同等程度の通気抵抗とできることが判った。
なお、図1に示すように、外側吸込口42とつながる吸込口風路45の高さ方向の寸法である外側吸込口42の内縁側の端部から内側吸込口43までの寸法をHとすると、外側吸込口42の短手方向の寸法Zを、吸込口風路45の高さ方向の寸法Hより大きくしても、最も狭くなる部位の寸法はHとなるので、寸法Zの上限は寸法Hとなる。本例では、吸込口風路45の高さ方向の寸法Hは40mmである。
このため、外側吸込口42の短手方向の寸法Zは、好ましくは20mm以上(開口面積:14400mm2以上)、40mm以下(開口面積:28800mm2以下)であり、更に好ましくは、25mm以上(開口面積:18000mm2以上)、40mm以下(開口面積:28800mm2以下)である。
フロントパネルの側面に吸込口が設けられる構成とした場合、吸込口の短手方向の寸法を25(mm)とするためには、フロントパネルの高さ方向の寸法を25(mm)以上にする必要がある。これに対して、本実施の形態のフロントパネル4Aでは、外側吸込口42は、フロントパネル4Aの下側の面に開口を設けて構成されるので、フロントパネル4Aの高さ方向の寸法は外側吸込口42の影響を受けない。
これにより、例えば、外側吸込口42の短手方向の寸法を25(mm)とした場合でも、フロントパネル4Aの高さ方向の寸法を25(mm)以下にすることができ、フロントパネル4Aの薄型化が可能である。従って、意匠性を向上させることができる。
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の変形例>
図9は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の変形例を示す構成図である。変形例の浴室換気乾燥暖房機では、フロントパネル4Bの外側吸込口42に水受け部49を備える。水受け部49は、外側吸込口42の外縁部に沿って形成され、吸込口風路形成枠部46に沿って流れる水を受ける。
これにより、フィルタ47で結露した水分が側方に流れる場合や、外側吸込口42から吸い込まれる空気中の水分が吸込口風路形成枠部46に付着して結露するような場合であっても、吸込口風路形成枠部46に沿って流れる水分が水受け部49で受けられる。従って、外側吸込口42から水分が外部に滴下することが抑制される。
図10は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の他の変形例を示す構成図である。他の変形例の浴室換気乾燥暖房機では、フロントパネル4Cの吸込口風路形成枠部46は、外側吸込口42の外周に沿ったフロントパネル4Cの上側の面から上方に向けて鉛直方向に突出して、外側吸込口42の上側を覆う形状の部位を設けて構成される。吸込口風路形成枠部46を鉛直方向に立ち上がる形状とすることで、吸込口風路45の開口面積が拡大される。
なお、本実施の形態では、フロントパネル4A〜4Cにおいて外側吸込口42からフィルタ47が挿抜される構成としたが、浴室100の天井パネル101から室内側に露出したフロントパネル4A〜4Cの側方、あるいは、フロントパネル4A〜4Cと本体部3との間の側方からフィルタ47を挿抜させる構成としても良い。
また、外側吸込口42からフィルタ47が挿抜される構成で、フィルタ取付部を本体部3側に設けても良い。更に、フロントパネル4A〜4Cの側方、あるいは、フロントパネル4A〜4Cと本体部3との間の側方からフィルタ47を挿抜させる構成で、フィルタ取付部はフロントパネル4A〜4Cに設けても良いし、フィルタ取付部を本体部3側に設けても良い。
フロントパネル4A〜4Cの側方、あるいは、フロントパネル4A〜4Cと本体部3との間の側方からフィルタ47を挿抜させる構成でも、フロントパネル4A〜4Cの下面には、フィルタ47を挿抜するための開口や開口を開閉する構成は必要ないため、フロントパネル4A〜4Cの外部へ水分が滴下することが抑制される。