JP6437272B2 - 組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、組成物および筋萎縮抑制剤に関する。
3−ヒドロキシイソ吉草酸(以下、「HMB」と称する)は、運動との併用で健常な筋肉量および強度の構築または維持を助ける作用を有することが知られている。HMBは、加齢に伴う筋肉の萎縮(サルコペニア)改善効果を有しており、注目されている。HMBは食事に含まれているものの微量であるため、食事以外から摂取する必要がある。しかし食事以外の摂取量が増加すると、食事量を減少させる可能性がある。食事量の減少は様々な栄養不足にもつながるため、十分な食事量を確保しつつHMBを補給することが望ましい。
HMBは、特有の苦味や経時的に増強する薬品様のにおいが摂取する際の課題であった。特許文献1には、脂肪、炭水化物、タンパク質およびカルシウムHMBを含む栄養エマルションであって、該タンパク質が約50重量%〜100重量%の可溶性タンパク質を含む、栄養エマルションが、貯蔵寿命中に物理的に安定なままであり、および/または苦い風味もしくは後味を経時的に発生しないことが記載されている。
グルコサミンは一般的に関節の滑らかな動きをサポートする目的で摂取されている。特許文献2には、酸性ムコ多糖またはその塩を含むことを特徴とする骨格筋成長剤が記載されている。特許文献3には、クレアチン類とビタミンD類、グルコサミン類、グリコサミノグリカン類とを有効成分として含有する骨・筋肉増強用食品組成物が記載されている。しかしこれらの文献にはグルコサミン自体の筋肉増強効果について記載がなかった。
特表2013−517804号公報 特開平10−265503号公報 特開2008−237070号公報
しかしながら、特許文献1の組成物では、HMBの不快な苦味や薬品臭を十分に改善することができなかった。また、特許文献2は骨格筋の成長についての検討であり筋萎縮抑制効果については検討されていない。さらに特許文献3では、統計的に有意な筋肉の萎縮改善効果が見られなかった。
本発明は、HMBの味および/または臭いを十分に改善することができ、良好な筋肉の萎縮改善効果を発揮することのできる組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、HMBにアミノ糖を組み合わせることにより、HMBの苦味と経時的に増強する薬品臭が改善されることを見出した。また、アミノ糖単独では筋管細胞を太くする効果が見られないにもかかわらず、アミノ糖をHMBと併用することにより、HMBの有する筋管細胞萎縮抑制効果を増強することができることを見出した。
本発明は以下の〔1〕〜〔11〕を提供する。
〔1〕(A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有する組成物。
〔2〕(A)成分の含有量/(B)成分の含有量(質量比)が1/1000〜1000/1である、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕(B)成分が、グルコサミン、グルコサミンの塩、およびN−アセチルグルコサミンからなる群より選ばれる1種以上である、〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕(A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有する筋萎縮抑制剤。
〔5〕(B)成分が、グルコサミン、グルコサミンの塩、およびN−アセチルグルコサミンからなる群より選ばれる1種以上である、〔4〕に記載の筋萎縮抑制剤。
〔6〕(A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有するロコモティブシンドローム予防または改善剤。
〔7〕(A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有するサルコペニア予防または改善剤。
〔8〕(A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有するフレイル予防または改善剤。
〔9〕3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、もしくはこれを含む組成物に、アミノ糖および/またはその塩を添加して、3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩の味および/または臭気を改善する方法。
〔10〕アミノ糖および/またはその塩の添加量が、〔3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩の含有量〕/〔アミノ糖および/またはその塩の添加量〕(質量比)が1/1000〜1000/1となる量である、〔9〕に記載の方法。
〔11〕アミノ糖および/またはその塩を含む、3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩の苦味および/または臭気改善剤。
本発明によれば、HMBの不快な味および/または臭いを十分に改善することができ、良好な筋肉の萎縮改善効果を発揮することができ、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイルの予防または改善も可能な組成物が提供される。
図1は、実施例15および比較例8〜11における筋管細胞径の測定結果を示す図である。
本発明において(A)成分は、3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩である。
3−ヒドロキシイソ吉草酸(3−Hydroxy−3−MethylButyrate,β−Hydroxy−β−Methylbutyrate、HMB)は、天然物由来でもよいし、人工的に製造したものでもよいし、遺伝子組み換えにより製造されたものでもよいし、市販品であってもよい。HMBは、遊離型であってもよい。
HMBの塩は、薬理学的に許容される塩であればよい。例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、またはパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、カルシウム塩がより好ましい。
(A)成分は、HMB、HMBの塩、または、HMBおよびHMBの塩の組み合わせであればよい。様々な取得方法で得られる2種以上のHMBおよび/またはその塩の組み合わせであってもよい。HMBの2種以上の塩の組み合わせであってもよい。
本発明において(B)成分は、アミノ糖および/またはその塩である。
アミノ糖とは、アミンを含む糖であり、通常は、ヒドロキシル基がアミノ基に置換されている糖およびその誘導体である。アミノ糖の糖としては例えば、単糖(例:五炭糖(リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボースなど)、六炭糖(プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプツロースなど))、二糖(スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオースなど)、三糖(ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース)、四糖(アカルボース、スタキオース)またはオリゴ糖(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖)が挙げられ、単糖であることが好ましい。アミノ糖としては例えば、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸およびシアル酸が挙げられ、N−アセチルグルコサミン、グルコサミンが好ましい。
アミノ糖は、天然物由来でもよいし、人工的に製造したものでもよいし、遺伝子組み換えにより製造されたものでもよいし、市販品であってもよい。アミノ糖は、遊離型であってもよい。
アミノ糖の塩は、薬理学的に許容される塩であればよい。塩の例は、HMBの塩の例と同様である。アミノ糖の塩は、アミノ糖の無機酸塩であることが好ましく、アミノ糖の塩酸塩であることがより好ましい。アミノ糖の塩は、グルコサミンの塩であることが好ましく、グルコサミンの無機酸塩であることがより好ましく、グルコサミンの塩酸塩であることがさらに好ましい。
(B)成分は、アミノ糖、アミノ糖の塩、または、アミノ糖およびアミノ糖の塩の組み合わせであればよい。様々な取得方法で得られる2種以上のアミノ糖および/またはその塩の組み合わせであってもよい。アミノ糖の2種以上の塩の組み合わせであってもよい。(B)成分は、グルコサミン、グルコサミンの塩、およびN−アセチルグルコサミンからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の、(A)成分および(B)成分を含有する組成物は、(A)成分の不快な味および/または臭いが改善されているだけでなく、良好な筋萎縮抑制効果を発揮することができる。
(A)成分および(B)成分の組み合わせは、筋萎縮抑制剤の有効成分として有用である。本発明は、このような筋萎縮抑制剤、さらにサルコペニア予防または改善剤も提供する。また、(B)成分であるアミノ糖は、関節の滑らかな働きをサポートする作用を有することが知られているので、(A)成分および(B)成分の組み合わせは、ロコモティブシンドローム、サルコペニアやフレイルの予防または改善剤をも提供する。
本発明の剤および組成物において、(A)成分の含有量/(B)成分の含有量(A/B)は、特に限定されないが、A/B(質量比)が1/1000以上であることが好ましく、味および/または臭いをより改善できることから、1/100以上であることがより好ましく、1/10以上であることがさらに好ましく、1/2以上であることがさらにより好ましい。上限は、1/1000以下であることが好ましく、味および/または臭いをより改善できることから、1/100以下であることが好ましく、1/10以下であることがさらに好ましく、1/2以下であることがさらにより好ましい。従って、1/1000〜1000/1であることが好ましく、味および/または臭いをより改善できることから、1/100〜100/1であることがより好ましく、1/10〜10/1であることがさらに好ましく、1/2〜2/1であることがさらにより好ましい。コストに見合う効果を得ることができ、かつ入手が容易であることを考慮すると、1:1であることがより好ましい。
本発明の剤および組成物における(A)成分と(B)成分のそれぞれの含有量は、所望の効果を損なわない限り特に制限は無く、また適応される被投与生体の年齢、状態などの種々の要因により適宜変えることができる。目的の効果を得るために好ましい含有量は、剤および組成物の用途により適宜設定すればよい。
(A)成分の1日当たり投与量は、0.1g/日以上であることが好ましく、0.5g/日以上であることがより好ましく、1g/日以上であることがさらに好ましい。上限は、10g/日以下であることが好ましく、5g/日以下であることがより好ましく、3g/日以下であることがさらに好ましい。(A)成分の1日当たり投与量は、好ましくは0.1〜10g/日であり、より好ましくは0.5〜5g/日であり、さらに好ましくは1〜3g/日である。
(B)成分の1日当たり投与量は、0.01g/日以上であることが好ましく、0.05g/日以上であることがより好ましく、0.1g/日以上であることがさらに好ましい。上限は、10g/日以下であることが好ましく、5g/日以下であることがより好ましく、3g/日以下であることがさらに好ましい。(B)成分の1日当たり投与量は、好ましくは0.01〜10g/日、より好ましくは0.05〜5g/日、さらに好ましくは0.1〜3g/日である。
上記の投与量はほんの一例にすぎず、製剤化技術により、生体吸収性、生物学的利用率を高めた製剤の場合については、より低濃度で効果を及ぼすことから、さらに低い濃度での適用が可能である。
本発明の剤および組成物は、上記の成分を有効成分としていればよく、上記以外の成分を有していてもよい。上記以外の成分としては、薬理学的に許容される基剤が例示される。薬理学的に許容される基剤の一例としては、主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分(例えば保存安定剤など)が挙げられる。その他、目的の最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)を構成する諸成分から選ばれる1または2種類以上の成分(好ましくは1〜3種類程度、より好ましくは1種類程度)を含有していてもよい。
本発明の剤および組成物は、そのままの形態で、最終製品として用いることもできる。また、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、医薬品、医薬部外品に、各種効果を付与することができる。
薬理学的に許容される基剤は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などの中から、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわないものであって、最終製品(例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品)の剤形に応じたものを1種または2種以上選択することができる。
本発明の剤および組成物が薬理学的に許容される基材を含む場合、有効成分(2種以上の成分の組み合わせである場合には、合計量)の配合量は、有効量であれば特に限定されないが、通常は0.01〜80質量%の範囲である。
本発明の剤および組成物の投与形態は、特に限定されない。例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与(内服)であることがより好ましい。
本発明の剤または組成物の剤形は、飲食品、医薬品および医薬部外品のいずれとするかによって適宜決定することができ、特に限定されない。経口投与される際の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、錠剤、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒状(顆粒剤)、細粒(散剤))、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、固形状(固形製剤)、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。
本発明の組成物およびの摂取対象者は、特に限定されない。例えば、ロコモティブシンドロームやサルコペニア、フレイルの該当者が挙げられるが、特段の疾病に罹患していると医師や医療機関から診断されている必要はない。ロコモティブシンドローム、サルコペニア、フレイル等に該当する可能性がある対象者、当該状態になりたくないと考えている対象者、当該状態になってほしくないと第三者が考えている対象者であってもよい。対象者としては例えば、筋肉、骨および関節のうちの少なくともいずれかが衰えたと感じている対象者、親族にロコモティブシンドローム、またはサルコペニア、フレイルの該当者がいる対象者、高齢者、筋肉、骨および関節のうちの少なくともいずれかの衰えを予防または改善したいと考えている対象者などが挙げられる。特段の不安などがない対象者であっても、ロコモティブシンドローム予防、サルコペニア予防、フレイル予防を目的として日常的に摂取することができる。
日本整形外科学会が2007年に提唱するロコモティブシンドロームの定義は、運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態となることである。運動器の障害とは、筋肉、関節および骨のうちの少なくとも1つの不具合またはバランス能力の低下によるものと解釈される。ロコモティブシンドロームが進行すると、最終的には要介護、寝たきりの状態となるとされている。
サルコペニアとは、加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力が低下する状態を意味する。筋肉の衰えを抑制することはロコモティブシンドロームの予防においても非常に重要である。サルコペニアから更に生活機能が全体的に低くなるとフレイルと呼ばれる。
本発明の剤および組成物の投与時期は特に限定されないが、食事の前後がより好ましい。
本発明の剤および組成物は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の食品として利用してもよい。
上記のように、(A)成分と(B)成分を組み合わせることにより、(A)成分特有の苦みや薬品臭を改善することができる。従って、本発明は、HMBおよび/またはその塩、もしくは、HMBおよび/またはその塩を含む組成物に、アミノ糖および/またはその塩を添加してHMBおよび/またはその塩の味および/または臭気を改善する方法も提供する。HMB、アミノ糖、これらの塩の定義および例については、先に説明したとおりである。
本発明の方法において、アミノ糖および/またはその塩の添加量は、特に限定されないが、〔HMBおよび/またはその塩の含有量〕/〔アミノ糖および/またはその塩の添加量〕(質量比)が1/1000以上であることが好ましく、味および/または臭いをより改善できることから、1/100以上であることがより好ましく、1/10以上であることがさらに好ましく、1/2以上であることがさらにより好ましい。上限は、1/1000以下であることが好ましく、味および/または臭いをより改善できることから、1/100以下であることが好ましく、1/10以下であることがさらに好ましく、1/2以下であることがさらにより好ましい。従って、1/1000〜1000/1であることが好ましく、味および/または臭いをより改善できることから、1/100〜100/1であることがより好ましく、1/10〜10/1であることがさらに好ましく、1/2〜2/1であることがさらにより好ましい。コストに見合う効果を得ることができ、かつ入手が容易であることを考慮すると、1:1であることがより好ましい。添加されるアミノ糖および/またはその塩は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。2種類以上を添加する場合には、上記添加量は、アミノ糖および/その塩の合計量を示す。
HMBおよび/またはその塩(1種類でも2種類以上であってもよい)を含む組成物は、特に限定されないが、食品、医薬品または医薬部外品であることが好ましく、食品であることがより好ましい。食品としては例えば、健康食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品が挙げられる。HMBおよび/またはその塩を含む組成物が含有してもよいHMBおよび/またはその塩以外の成分については、前述の薬理学的に許容される基剤が例示される。
上記のように、(A)成分と(B)成分を組み合わせることにより、(A)成分特有の苦みや薬品臭を改善することができる。従って、アミノ糖および/またはその塩は、HMBおよび/またはその塩の味および/または臭気改善剤(風味改善剤、マスキング剤)としても有用である。本発明はこのような剤も提供する。HMB、アミノ糖、これらの塩の定義および例については、先に説明したとおりである。
味および/または臭気改善剤における、アミノ糖および/またはその塩の含有量は、特に限定されないが、〔HMBおよび/またはその塩の含有量〕/〔アミノ糖および/またはその塩の添加量〕(質量比)が上記本発明の方法において示した数値範囲となるように、HMBおよび/またはその塩に添加できるよう調整されていることが好ましい。味および/または臭気改善剤は、アミノ糖および/またはその塩を1種類含んでいてもよく、2種類以上の組み合わせを含んでいてもよい。2種類以上を添加する場合には、上記含有量は、アミノ糖および/その塩の合計量を示す。
HMBおよび/またはその塩(1種類でも2種類以上であってもよい)は、単独であってもよいしこれを含む組成物であってもよく、特に限定されない。組成物の場合の用途の定義および例、HMBおよび/または塩以外の他の成分については、本発明の方法にて説明したとおりである。
実施例1〜14および比較例1〜3
3−ヒドロキシイソ吉草酸カルシウム(以下、「HMBカルシウム」という。)(東京化成工業株式会社製)とD(+)−グルコサミン塩酸塩(以下、「グルコサミン塩酸塩」という。)(和光純薬工業株式会社製)あるいはN−アセチル−D−グルコサミン(以下、「N−アセチルグルコサミン」という。)(東京化成工業株式会社製)とをそれぞれ、表2および3に示す質量比でスクリューキャップ付透明ビンに入れ、試験サンプルとした。
(1)薬品臭改善効果:官能評価
上記試験サンプルをそれぞれ50℃、相対湿度75%の条件下で、1週間静置した。その後、パネラー男女6名にビンから取り出した各組成物のにおいをかがせ、下記の評点に従い官能評価を行い、6名の平均値を算出し、下記評価基準に従い評価した。結果を表1〜3に示す。
評点
5点:薬品臭がほとんど感じられず、非常に良好
4点:わずかに薬品臭が感じられるものの良好
3点:やや薬品臭が感じられる。
2点:薬品臭が感じられる。
1点:強く薬品臭が感じられ、飲食が難しい。
評価基準
◎:パネラー6名の評点の平均点が4.5点以上
○:パネラー6名の評点の平均点が4点以上4.5点未満
△:パネラー6名の評点の平均点が3点以上4点未満
×:パネラー6名の評点の平均点が3点未満
官能評価は、△(3点以上)を有効とする。
(2)苦味改善効果:官能評価
上記試験サンプルを調製直後に、パネラー男女6名にビンから取り出した各組成物を試食させ、下記の評点に従い官能評価を行い、6名の平均値を算出し、下記評価基準に従い評価した。結果を表1〜3に示す。
評点
5点:苦味がほとんど感じられず、非常に良好
4点:わずかに苦味が感じられるものの良好
3点:やや苦味が感じられる。
2点:苦味が感じられる。
1点:強く苦味が感じられ、飲食が難しい。
評価基準
◎:パネラー6名の評点の平均点が4.5点以上。
○:パネラー6名の評点の平均点が4点以上4.5点未満。
△:パネラー6名の評点の平均点が3点以上4点未満。
×:パネラー6名の評点の平均点が3点未満。
苦味改善評価は、△(3点以上)を有効とする。
Figure 0006437272
Figure 0006437272
Figure 0006437272
表1〜3から明らかなとおり、比較例1のサンプルは苦味が強く保存後は薬品臭も発生していたのに対し、実施例1〜14のサンプルは、苦味および薬品臭のいずれも発生が抑えられていた。この結果は、本発明の組成物においては、HMBカルシウムの薬品臭および苦味が改善されることを示す。
比較例4〜7
HMBカルシウム(東京化成工業株式会社製)と結晶セルロース(和光純薬工業社製)とをそれぞれ、表4に示す質量比で用いたほかは、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006437272
表4の結果から、比較例4〜7のように賦形剤として一般的な結晶セルロースをHMBカルシウムに配合した組成物では、結晶セルロースによるHMBカルシウムの薬品臭および苦味が改善されないことが分かる。
実施例15および比較例8〜11(細胞試験による筋管細胞径増加作用の確認)
対象の細胞として、マウス由来筋芽細胞(C2C12 from American Type Culture Collection)を用いた。C2C12を10cm2プレート中で、10質量% fetal bovine serum(FBS)および1質量%ストレプトマイシン/ペニシリン(Life Technologies社製)を含むDMEM培地(Sigma−Aldrich社製;Cat.No.D5796)中で培養した。その後12wellプレートを、タイプIコラーゲン(新田ゼラチン製)を0.02N HClで10倍希釈した溶液で1時間処理した後、2×105個の培養細胞を播種した。翌日、2質量%FBSおよび1質量%ストレプトマイシン/ペニシリンを含むDMEM培地に交換して、7〜8日間培養することで筋管細胞様に分化させた。翌日、筋管細胞様の細胞にシトシン−1−β−D(+)−アラビノフラノシド(Ara−C)(和光純薬工業株式会社製)を0.4μl/well添加し、その翌日からはAra−Cに加えて4μl/wellのデキサメタゾンと、HMBカルシウム(東京化成工業株式会社製)および/またはグルコサミン塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)を添加した。素材は表5の量で添加し、終濃度で計100あるいは200ppmになるようにした。素材添加開始から6日後にIn Cell Analyzer(GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いて写真を撮影した。画像から各素材450本の筋管細胞の最も太い部分の長さを、画像処理ソフトウェアであるImage Jを用いて測定した。統計処理はDunnettの検定を用いた。デキサメタゾン処置群をコントロールに設定した。結果を図1に示す。
Figure 0006437272
図1より、以下のことが分かる。まず、無処置と比較してデキサメタゾン処置では、筋管細胞径が有意に細くなった。すなわちデキサメタゾンを添加することで筋管細胞に萎縮が見られた。デキサメタゾン処置の際の筋管細胞径と比べて、比較例8〜11における筋管細胞径は、ほとんど増加せず有意差もなかったが、実施例15における筋管細胞径は、有意に太くなった。この結果は、本発明の組成物が、デキサメタゾンによる筋管細胞萎縮の予防および改善効果を発揮できることを示す。
HMBは筋管細胞萎縮緩和効果を有することが報告されているが、比較例10および11では萎縮緩和効果はわずかであった。比較例11ではHMBカルシウムの添加量が200ppmであるにもかかわらず、HMBカルシウムの添加量が100ppmである比較例10との間で、筋管細胞萎縮緩和効果はほとんど差がなかった。また、比較例8および9によればグルコサミン塩酸塩はその添加量に拘らず筋管細胞萎縮緩和効果が見られなかった。一方、実施例15においては、グルコサミン塩酸塩とHMBカルシウムの添加量がそれぞれ100ppmと比較的少量であるにもかかわらず、優れた筋管細胞萎縮緩和効果が見られた。このことは、本発明の組成物においてはアミノ糖および/またはその塩がHMBおよび/またはその塩と組み合わせられているので、HMBの添加量が少量であっても、筋管細胞萎縮緩和効果が相乗的に増大されていることを示している。

Claims (13)

  1. (A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有する組成物(但し、塩酸グルコサミン、サンゴカルシウム、3−ヒドロキシイソ吉草酸のカルシウム塩、乳タンパク質、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微粒二酸化ケイ素、カルメロースカルシウム、及びステアリン酸カルシウムを含有する組成物を除く)。
  2. (A)成分の含有量/(B)成分の含有量(質量比)が1/1000〜1000/1である、請求項1に記載の組成物。
  3. (A)成分の含有量/(B)成分の含有量(質量比)が1/2〜2/1である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. (B)成分が、グルコサミン、グルコサミンの塩、およびN−アセチルグルコサミンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. (A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有する筋萎縮抑制剤。
  6. (B)成分が、グルコサミン、グルコサミンの塩、およびN−アセチルグルコサミンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項に記載の筋萎縮抑制剤。
  7. (A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有するロコモティブシンドローム予防または改善剤。
  8. (A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有するサルコペニア予防または改善剤。
  9. (A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有するフレイル予防または改善剤。
  10. (A)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、および(B)成分:アミノ糖および/またはその塩を含有する、筋萎縮抑制用、ロコモティブシンドローム予防または改善用、サルコペニア予防または改善用、もしくはフレイル予防または改善用の食品用組成物。
  11. 3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩、もしくはこれを含む組成物に、アミノ糖および/またはその塩を添加して、3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩の味および/または臭気を改善する方法。
  12. アミノ糖および/またはその塩の添加量が、〔3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩の含有量〕/〔アミノ糖および/またはその塩の添加量〕(質量比)が1/1000〜1000/1となる量である、請求項11に記載の方法。
  13. アミノ糖および/またはその塩を含む、3−ヒドロキシイソ吉草酸および/またはその塩の苦味および/または臭気改善剤。
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