JP6435597B2 - 透明導電性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、表示素子用の透明導電性フィルムに関するものである。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。これら表示素子に用いられている透明電極あるいは透明導電性膜の特性向上が急務となっている。
一般に、このような透明電極は透明導電膜をガラス基板上に形成して得られる。しかしながら、基板として用いられるガラス材料は、割れやすい、比重が大きい、柔軟性および加工性に乏しい等の課題を有する。最近では、これらガラス材料の欠点を補い、代替するものとして透明樹脂からなる光学フィルムが検討されている。光学フィルムには、耐衝撃性、可とう性、軽量性、加工性に優れるなどの利点がある。光学フィルムを使用することにより、ディスプレイの薄型化、軽量化、形態化が可能となり、薄型テレビ、ノート型パソコン、携帯端末、携帯電話等への応用が急速に展開されることが期待される。
現在、ガラス基板上に形成される透明導電膜は、導電性と透明性に優れ、パターン加工性が容易であり、耐久性に優れるITO膜が主流である。該ITO膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが知られている。表示素子用のITO膜を形成する方法としては、膜の均一性に優れる、膜組成の再現性が良い、高い生産性が得られるなどの理由により、スパッタリング法が多く利用されている。
一方、光学フィルムに透明導電膜を形成した透明導電性フィルムは表示素子用ではなく、タッチパネルに多く用いられ、透明導電膜としてはITO膜が主流である。ここで、タッチパネルに用いられる透明導電性フィルムには一定の耐熱性が必要となるが、従来一般的に知られている光学フィルムは十分な耐熱性を有さず、表示素子用の透明導電性フィルムとしての適用が困難という問題があった。例えば、光学フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、非晶質のITO膜をフィルム上に形成させてから、150℃程度の温度で数時間から数十時間のアニーリングを行い、非晶質のITOを結晶化して得られる透明導電性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ITOの膜厚は10〜50nmであり、低シート抵抗が必要な表示素子用では、ITOの膜厚は100nm以上が必要なため、200℃以上の高温でアニーリングにおいてフィルムが変形するという課題があった。また、ガラス転移温度が180℃以上であるポリアリレートフィルムを用い、ガラス転移温度−50℃から+10℃の温度範囲で透明導電膜を形成させた透明導電性フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、ITO膜を室温で形成した後に加熱処理することで結晶化するのではなく、ITO膜をフィルム上に形成させる時に同時に加熱処理することで結晶質に転移することで耐久性の高いITO膜を得ているが、透明導電性フィルムとしては熱膨張係数が高く加熱後の収縮により大きくな反りが発生するという課題があった。
一方、透明性、光学特性等に優れた光学フィルムを得るために、フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムが提案されており、架橋フマル酸ジエステル系樹脂からなるディスプレイ用光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に記載のフィルムは、繰り返し加熱処理後の密着性が充分ではなく、密着性に優れるフィルムが求められていた。
また、繰り返し加熱処理後の密着性、導電性および透明性に優れる表示素子用の透明導電性フィルムを得るために、少なくとも片側に無機粒子と有機成分からなるハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂よりなるフィルム基板上に、透明導電性膜が設けられている透明導電性フィルムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、耐熱性、吸湿性および光学特性に優れ、かつ熱膨張性係数が小さい表示素子用プラスチック基板用フィルムを得るために、無機粒子と有機成分からなるハードコート層が両側に設けられたフマル酸ジエステル系樹脂よりなる透明フィルムであって、該透明フィルムの両側に無機物層を1.3〜4.0μm有し、熱膨張係数が30ppm以下で、かつ全光線透過率が85%以上である透明積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特許文献4及び特許文献5に記載のフィルムは各種性能に優れたものであるが、ディスプレイに係る薄膜化、軽量化、形態化への要求の観点から、より反りが小さく、表示素子に用いるためには抵抗率がより小さい透明導電性フィルムが求められている。
特開平08−64034号公報 特開2000−255016号公報 特開2006−249318号公報 特開2009−143026号公報 特開2011−116054号公報
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ITOを非晶構造で成膜し加熱することにより結晶構造に転移することで、反りが小さく、導電性および透明性に優れる表示素子用の透明導電性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、フマル酸ジエステル系樹脂、ハードコート層及びITOを非晶構造で成膜し加熱することにより結晶構造に転移した透明導電膜からなる透明導電性フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明完成するに至った。
即ち本発明は、両側に無機粒子と有機成分を含有するハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板上の片側に、スパッタリングにより形成したITOを含む透明導電膜が設けられた透明導電性フィルムであって、抵抗率が2×10−4Ω・cm以下で、かつ全光線透過率が80%以上であることを特徴とする透明導電性フィルムに関するものである。
以下、本発明の透明導電性フィルムについて詳細に説明する。
本発明の透明導電性フィルムは、ハードコート層が設けられたフィルム基板上の片側に、スパッタリングにより形成したITOを含む透明導電膜が設けられた透明導電性フィルムである。
そして、本発明のフィルム基板は、フマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板である。
本発明のフマル酸ジステル系樹脂は、下記一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位を50モル%以上含むことが好ましく、70モル%以上含むことがさらに好ましく、80モル%以上含むことが特に好ましく、90モル%以上含むことが最も好ましい。
Figure 0006435597
(ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は環状アルキル基を示す。)
ここで、一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位のエステル置換基であるR、Rは、それぞれ独立して、炭素数3〜12の分岐アルキル基又は環状アルキル基であり、フッ素,塩素などのハロゲン基、エーテル基、エステル基若しくはアミノ基で置換されていても良い。炭素数3〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数3〜12の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。その中でも耐熱性、機械特性により優れた透明導電性フィルムとなることから、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れた透明導電性フィルムとなることから、イソプロピル基がさらに好ましい。
一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位としては、具体的には、フマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジ−s−ペンチル残基、フマル酸ジ−t−ペンチル残基、フマル酸ジ−s−ヘキシル残基、フマル酸ジ−t−ヘキシル残基、フマル酸ジシクロプロピル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が挙げられ、その中でも、フマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基が好ましく、フマル酸ジイソプロピル残基がさらに好ましい。
一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上を含むフマル酸ジエステル系樹脂としては、実質的には一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上、及びフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位50モル%以下を含む樹脂であり、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位としては、例えば、スチレン残基、α−メチルスチレン残基等のスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基等のアクリル酸エステル類残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基、メタクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基等のメタクリル酸エステル類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基等のビニルエステル類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;エチレン残基、プロピレン残基等のオレフィン類残基、等の1種又は2種以上を挙げることができる。
本発明で用いるフマル酸ジエステル系樹脂は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、機械特性により優れ、製膜時の加工特性に優れた透明導電性フィルムとなることから1×10以上が好ましく、2×10以上2×10以下がさらに好ましい。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂の製造方法としては、該フマル酸ジエステル系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えば、フマル酸ジエステル類、場合によってはフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合を行うことにより製造することができる。この際のフマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−s−ブチル、フマル酸ジ−t−ブチル、フマル酸ジ−s−ペンチル、フマル酸ジ−t−ペンチル、フマル酸ジ−s−ヘキシル、フマル酸ジ−t−ヘキシル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられ、フマル酸ジエステルと共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等の1種又は2種以上を挙げることができる。
ラジカル重合法としては、本発明のフマル酸ジエステル系樹脂が製造可能であれば特に制限がなく、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして、溶液重合法又は沈殿重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルムの製造方法としては、例えば、前記フマル酸ジエステル系樹脂を溶液キャスト法、溶融キャスト法によりフィルム化することが挙げられる。溶液キャスト法は、フマル酸ジエステル系樹脂をテトラヒドロフラン等の溶媒に溶解した溶液(以下、ドープと称する。)を支持体基板上に流延した後、加熱等により溶媒を除去しフィルムを得る方法である。また、溶融キャスト法は、フマル酸ジエステル系樹脂を押出機内で溶融し、Tダイスリットからフィルム状に押出した後、ロールやエアーなどで冷却しつつ引き取る成形法である。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルムの厚みは、フィルムの加工性向上のため、30〜200μmが好ましく、さらに好ましくは50〜150μmである。
本発明におけるハードコート層は無機粒子と有機成分を含有するものである。有機成分のみでは得られる透明導電性フィルムが変形し、平らにする時に亀裂が生じる。また、無機粒子のみでは、フィルムとして成形する事が困難である。
本発明における無機粒子としては、例えば、コロイダルシリカ微粒子等のシリカ系粒子、炭酸カルシウム等の炭酸塩、酸化チタン等の金属酸化物系粒子などが挙げられ、その中でも表面修飾の容易さや入手しやすさからシリカ系粒子が好ましく、特に粒子径の制御が容易であることから、コロイダルシリカ微粒子がさらに好ましい。全光線透過率の向上のため、無機粒子の平均粒子径は400nm以下が好ましく、さらに好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
また、無機粒子として好ましく用いられるコロイダルシリカ微粒子は、平均粒子径が1〜400nmの範囲の無水ケイ酸の超微粒子を、水または有機溶媒に分散させた状態のものである。このようなコロイダルシリカ微粒子は、公知の方法で製造することもできるが市販もされている。
ここで、無機粒子としては、透明フィルムにおける分散性や強度などの点で重合性不飽和基によって表面処理されていることが好ましく、該重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基などが挙げられ、特に反応性が高く、生産性に優れることから(メタ)アクリロイル基が好ましい。
無機粒子の表面処理方法は特に制限はなく、特に重合性不飽和基を有する有機シラン化合物を用いる表面処理方法が好ましく、該表面処理方法としては、例えば、無機粒子と重合性不飽和基を有する有機シラン化合物を混合した後、加水分解触媒を加え、常温または加熱下で攪拌する方法などで行われる。ここで、加水分解反応は、無機粒子中の分散触媒と反応で生じる水を常圧または減圧下で共沸留出させながら行う。この際、反応を促進させる目的で、水、酸、塩基、塩等の触媒を用いてもよい。このようにして、表面修飾した無機粒子を得ることができる。
表面処理方法に用いる重合性不飽和基を有する有機シラン化合物としては、特に限定はなく、例えば、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリス(3−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を併用して用いることができる。また、これらの化合物のエポキシ基やグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加したシラン化合物、アミノ基に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有する化合物をマイケル付加したシラン化合物、アミノ基やメルカプト基に(メタ)アクリロイルオキシ基およびイソシアネート基を有する化合物を付加したシラン化合物、イソシアネート基に(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物を付加したシラン化合物等も用いることができる。これらの中でも、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択されるシラン化合物は反応性が優れる点で好ましい。
有機成分としては、例えば、重合性基を有する有機化合物が挙げられ、該重合性基を有する有機化合物とは、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物、スチリル基を有する有機化合物、ビニル基を有する有機化合物等のラジカル重合性基を有する有機化合物;エポキシ基を有する有機化合物、オキセタン基を有する有機化合物等のイオン重合性基を有する有機化合物等が挙げられる。この中でも、反応性の高さ、生成する硬化物の熱的な安定性からラジカル重合性基有する有機化合物が好ましく、特に生産性の点から(メタ)アクリロイル基有する有機化合物がさらに好ましい。ここで、有機化合物とは、例えば、ウレタン、エポキシ、ポリエステル、(メタ)アクリレート等が挙げられる。
具体的な(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、モノ及びジ(メタ)アクリルアミド等の単官能または多官能(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物と;ポリエチレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、ポリプロピレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、ポリブチレングリコール(繰返し単位数:6〜20)1−メチルブチレングリコール(繰り返し単位数:6〜20)、ポリテトラメチレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、ポリカプロラクトンジオール、アルキレン(炭素数:2〜10)ジオールのカプロラクトン付加(繰返し単位数:2〜10)ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、フタル酸とアルキレンジオールから誘導されたポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール(炭素数4〜6の脂肪族骨格)等のジオール化合物と;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート;1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物の単量体や、それらの多量体に;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートやそれらのカプロラクトン付加体等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを付加したウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル化合物に(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに生成する硬化物の機械物性を調整する目的で、分子内に1〜2個のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を、必要に応じて適宜含有させてもよい。該ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、各種のアルキルモノ、もしくはポリアルコールから誘導されるエステル型モノ、またはジ(メタ)アクリレート;モノ、またはジ(メタ)アクリルアミド類;ビニルエーテル化合物;ビニルエステル化合物;その他ビニル系化合物;アリル化合物等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸等の多塩基酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、カプロラクタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA等の多価アルコール類;(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(繰返し単位数:5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(繰返し単位数:5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(繰返し単位数:3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(繰返し単位数:5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのジ(メタ)アクリレートや、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
また、モノおよびジ(メタ)アクリルアミド類の具体例としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
これらの中でも有機成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
これらは、一種を単独で、または二種以上を併用して用いることができる。
ハードコート層における無機粒子と有機成分の割合は、ハードコートの塗布性の点から、無機粒子1〜95重量%、有機成分99〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは無機粒子10〜80重量%、有機成分90〜20重量%であり、特に好ましくは無機粒子40〜70重量%、有機成分60〜30重量%である。
そして、ハードコート層としては、無機粒子と有機成分を含有する組成物を硬化してなるものであり、該ハードコート層の製造方法としては、例えば、無機粒子および有機成分を含有する組成物を活性エネルギー線の照射および/または加熱によりラジカル重合して硬化してなるハードコート層が挙げられる。
ラジカル重合する際には、重合開始剤を用いることが好ましく、該重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の光重合開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の熱重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は、生産性や保存安定性などの製造加工面、着色などの品質面を考慮して選択され、特に生産性に優れることから光重合開始剤が好ましく用いられる。
また、活性エネルギー線の種類としては、例えば、電子線、紫外線、赤外線、可視光線等の公知の活性エネルギー線が挙げられる。それらの中でも、汎用性が高く、装置のコストや生産性に優れることから、紫外線を利用することが好ましい。その紫外線を発生させる光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高周波誘導水銀ランプ等が適している。
活性エネルギー線の照射による硬化時の雰囲気下は、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下であっても、空気雰囲気下であってもよい。それらの中でも、簡便で低コストであることから、空気雰囲気下であることが好ましい。
硬化条件についても特に制限されるものではなく、例えば、活性エネルギー線を用いた場合、硬化反応を完結させるため、照射量を0.01〜10J/cmの範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜5J/cmの範囲内の値とするのがさらに好ましく、0.3〜3J/cmの範囲内の値とするのが特に好ましい。また、加熱して硬化させる場合には、硬化反応を完結させるため、30〜200℃の範囲内の温度で1〜180分間加熱するのが好ましく、50〜180℃の範囲内の温度で2〜120分間加熱するのがさらに好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で5〜60分間加熱するのが特に好ましい。
本発明のハードコート層として市販のハードコート剤を用いることもできる。無機粒子を含有する市販のハードコート剤としては、例えば、JSR製ハードコート剤デソライト、三菱レイヨン製ハードコート剤レイクイーン、荒川化学工業製ハードコート剤コンポラセン、株式会社アデカ製ハードコート剤アデカナノハイブリッドシリコーンFX−Vなどが挙げられる。
ハードコート層の厚みは生産性向上のため、1〜20μmが好ましく、さらに好ましくは5〜15μmである。
本発明の透明導電性フィルムにおける両側に無機粒子と有機成分を含有するハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板の製造方法としては、例えば、フマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルムに、ハードコート層を形成する組成物を塗布して塗膜を形成した後、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりラジカル重合することにより、フマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板を製造することが挙げられる。
塗布する際には、粘度調整の他、分散安定性、さらには基材との密着性およびハードコート層の平滑性、均一性などの面から、有機溶剤を用いることが好ましい。該有機溶剤を使用する場合、硬化反応を完結させるため、塗布後、硬化を行う前に溶剤を揮発させることが好ましい。その手法としては特に限定されるものではなく、自然乾燥の他、赤外線乾燥または熱風炉による乾燥等公知の手段を用いてハードコート層を形成させることができる。
本発明における無機粒子と有機成分を含有するハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板の厚みは、生産性向上のため、30〜200μmが好ましく、さらに好ましくは40〜150μmの範囲である。また、表示素子としての視認性向上のため、全光線透過率は85%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上である。
本発明におけるフィルム基板は、熱安定性または光安定性を向上させる目的で酸化防止剤または光安定剤を含んでいてもよい。該酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシル系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられる。また、該光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これら酸化防止剤または光安定剤をそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれ併用して用いてもよい。
また、本発明におけるフィルム基板は、表示素子の劣化防止などの目的で、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。該紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて添加することもできる。これら紫外線吸収剤は一種類以上組み合わせて用いることもできる。
さらに、本発明におけるフィルム基板は、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明における透明導電膜は、金属酸化物(ITO)を含み、透明導電膜の厚みは100〜300nmが好ましく、200〜300nmがさらに好ましい。
上記酸化インジウムと酸化スズとの混合物からなる金属酸化物(ITO)における酸化インジウムと酸化スズの割合は、抵抗率向上のため、酸化インジウム80重量%以上および酸化スズ20重量%以下が好ましく、酸化インジウム90〜95重量%および酸化スズ5〜10重量%がさらに好ましい。
一般的に、透明導電性フィルムの製造方法は、透明導電膜をスパッタリングによりフィルム基板上に形成するものである。この製造方法において、用いられるフィルム基板がガラスと比較し、柔らかく、熱膨張が大きいものである場合、特にフィルム基板上の片側に、200nm以上の膜厚で、かつITOが結晶化する150℃以上の温度で成膜すると反りが生じるという問題が生じる。
一方、一般的に透明導電性フィルムの製造方法では、150℃以上の温度で加熱して透明導電膜中のITOを結晶化させ、表示素子に対する抵抗を小さくすることが必要となるため、加熱時に生じる透明導電膜の反りを抑えることが要求される。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法では、透明導電膜をスパッタリングによりフィルム基板上に形成する時、ITOを室温付近で形成することにより、ITOが非晶構造となり、反りのない透明導電膜が作られるものである。ただし、この温度で透明導電膜を形成する場合、抵抗率が5×10-4Ω・cmであり、表示素子として適用するには抵抗率が高い。そこで、本発明は、表示素子に適した抵抗率の透明導電膜を得るため、フィルム基板上に透明導電膜を形成後、200℃以上で加熱を行い、ITOを結晶化して抵抗率を低減するものである。
ここで、本発明は、ITOを結晶化して抵抗率を低減させ、かつ反りを抑えるため、スパッタリングによりITOを含む透明導電膜を形成して透明導電フィルムを製造する方法において、ITOによるスパッタリングにより非晶構造の透明導電膜を形成してから、透明導電膜を200〜250℃の温度で加熱することにより非晶構造から結晶構造へ転移させることが好ましい。
そして本発明は、透明導電膜が形成されるフィルム基板が、両側に無機粒子と有機成分を含有するハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板であることで、200℃以上の温度で加熱しても、ITOを結晶構造に転移する際の反りが抑制できるものであり、反りの小さい透明導電性フィルムを製造することができるものである。
本発明におけるプラスチック基板上に透明導電膜を形成して透明導電性フィルムを得る場合において、表示素子用途としてより適したものとするため、該透明導電性フィルムとしての反りは1mm以下とすることが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムでは、透明性及び透湿度に優れたフィルムとなることから、フィルム基板と透明導電膜の間に透明バリア膜が設けられていることが好ましい。
該透明バリア膜としては、例えば、無機膜、有機膜が挙げられ、該無機膜としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化タンタル等の金属酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化タンタル等の金属窒化物;窒化酸化ケイ素、窒化酸化アルミ、窒化酸化タンタル等の金属窒化酸化物を含む膜、アルミ膜等が挙げられ、該有機膜としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン等からなる膜が挙げられる。これらの中でも、透明性に優れた無機膜が好ましく、金属酸化物、金属窒化物、金属窒化酸化物を含む膜がさらに好ましい。
透明バリア膜の厚みは、無機膜の場合には、水蒸気バリア性向上のため、1〜1000nmが好ましく、10〜300nmがさらに好ましく、有機膜の場合にはガスバリア性向上のため、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがさらに好ましい。これら透明バリア膜は有機膜と無機膜を積層化、多層化することもできる。透明バリア膜は、蒸着、スパッタ、PECVD、CatCVD、コーティングやラミネーティングなど公知の手法により形成することができる。
本発明の透明導電性フィルムの透湿度は、表示素子の保護のため、1g/m/日以下であることが好ましい。
そして、本発明の透明導電性フィルムは、表示素子用電極としての抵抗率と表示に必要な視認性を確保するため、抵抗率が2×10−4Ω・cm以下であり、かつ全光線透過率が80%以上である。
本発明の透明導電性フィルムは、表示に必要な抵抗率と視認性を十分兼ね備えているため、液晶表示素子用透明プラスチック基板、有機EL表示素子用透明プラスチック基板、電気泳動型表示素子用透明プラスチック基板、静電気力駆動型表示素子用透明プラスチック基板等に好ましく用いることができる。
本発明によると、表示素子用として有用な透明導電性フィルム、特に反りが小さく、導電性および透明性に優れた透明導電性フィルムを提供することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
<フマル酸ジエステル系樹脂の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、THFを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
<透明性の評価方法>
全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名NDH2000)を使用し、JIS K 7361−1に準拠して測定した。
<透湿度の測定>
透湿度試験方法(カップ法)JIS Z 0208に準拠して測定した。
<抵抗率の測定>
抵抗率はファン・デル・パウ法により測定した。
<密着性の評価方法>
200℃1時間の加熱処理を5回繰り返した後、JIS K 5600−5−6による方法で、有効面に1mmの碁盤目100個(10×10)を作り、セロハン粘着テープを用い、有効面に密着させた後剥離した。判定は碁盤目100個の内、剥離しないマス目の数で表し、マス目100個が剥離しない場合を○、マス目10個以上が剥離した場合を×として表した。
<反りの評価方法>
100mm角のフィルムを平面に置き、フィルムの角4点について平面からの高さを測定し、最大高さを反りとして表した。
合成例1(フマル酸ジエステル系樹脂の製造例)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mLの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(分子量2,000、けん化度80%)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル137.5g(0.687モル)、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル2.5g(0.015モル)および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル共重合を行なった。共重合反応の終了後、フラスコ中の重合物をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:82%)。H−NMR測定により、得られたフマル酸ジエステル系樹脂は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=96/4(モル%)であった。なお、フマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は47,000であった。
合成例2(フィルム作成例)
合成例1で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し20重量%溶液とし、さらにフマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対し、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト1.0重量部およびペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5重量部を添加し、支持体基板上に流延し、70℃で10分乾燥後、更に120℃で10分乾燥した。厚み120μm、厚みムラ3μmのロールフィルムを作製した。
合成例3(ハードコート溶液作製例1)
攪拌機、温度計およびコンデンサーを備えた5リットルの4ツ口フラスコに、無機粒子としてイソプロパノールシリカゾル(コロイダルシリカ微粒子 SiO2濃度;30重量%、平均粒子径;20nm、日産化学工業(株)製)2,000重量部と、重合性基としてメタアクリロイル基を有する3−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコン(株)製)160重量部を計量し、攪拌しながら昇温させ、揮発分の還流が始まると同時に純水100重量部を徐々に滴下させ、滴下終了後、還流下で2時間攪拌しながら加水分解を行った。反応後にトルエン500重量部を追加し、アルコール、水等をトルエンと一緒に共沸留出させた。次に、トルエン1,000重量部を追加し、トルエンを留出させながら110℃で4時間反応を行った。得られた分散液は、固形分濃度65重量%、粘度55cpsであった。無機粒子として得られた分散液100重量部(固形分;65重量%)、有機成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名;カヤラッドDPHA、日本化薬(株)社製)23.3重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機(株)社製)20重量部、光重合開始剤(チバスペシャリテーケミカルズ(株)社製 商品名;ダロキュア1173)1重量部を混合攪拌して組成物(無機粒子60重量%、有機成分40重量%)を得た。得られた組成物にメチルエチルケトン100重量部を加え、ハードコート溶液とした。
合成例4(ハードコート溶液作製例2)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名;カヤラッドDPHA、日本化薬(株)製)50重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機(株)社製)35重量部、アクリル酸イソボルニル(大阪有機(株)社製)10重量部、アクリル酸4−ヒドロキシエチル5重量部、光重合開始剤(チバスペシャリテーケミカルズ(株)社製 商品名;ダロキュア1173)1重量部、酸化防止剤(チバスペシャリテーケミカルズ(株)社製 商品名;Irganox1010)1.4重量部を混合攪拌して組成物(無機粒子0重量%、有機成分100重量%)を得た。得られた組成物にメチルエチルケトン100重量部を加え、ハードコート溶液とした。
実施例1
合成例2で作製したロールフィルムを用い、合成例3で作製したハードコート溶液をコーターで塗布して塗膜を形成し、60℃で2分間乾燥した後、高圧水銀灯で紫外線を照射し(照射量300mJ/cm)、フマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルムに、硬化してなる厚さ10μmのハードコート層が設けられているフィルム基板を得た。フィルム基板の裏面にも同様に10μmのハードコート層を形成し、フィルム基板を得た。
得られたフィルム基板は全光線透過率92%、ヘーズ0.7%であった。
得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、O20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、酸化ケイ素を含む100nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に透明導電膜を次のように形成した。透明導電膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は80%、透湿度は0.6g/m/日、抵抗率は2×10−4Ω・cm、反りは0.5mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。
実施例2
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとNを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、N20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、窒化ケイ素を含む100nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に透明導電性膜を次の様に形成した。透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、300nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は80%、透湿度は0.4g/m/日、抵抗率は1.5×10−4Ω・cm、反りは1mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。
実施例3
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとNを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、N20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、窒化ケイ素を含む50nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に透明導電性膜を次の様に形成した。透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は80%、透湿度は0.6g/m/日、抵抗率は2×10−4Ω・cm、反りは0.5mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。
実施例4
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電性膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとNを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、N5%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、窒化酸化ケイ素を含む50nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に次の様に透明導電性膜を形成した。透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は82%、透湿度は0.9g/m/日、抵抗率は2×10−4Ω・cm、反りは0.5mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。
実施例5
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明導電性膜をフィルム基板上に形成した。
透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は84%、透湿度は20g/m/日、抵抗率は2×10−4Ω・cm、反りは0.8mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。バリア膜を形成しなかったことより、透湿度が大きなものではあったが、全光線透過率が高く、抵抗率が低く、かつ反りが小さいものであったため、表示素子用の透明導電性フィルムとして優れた性能を有するものであった。
実施例6
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電性膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、O20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、酸化ケイ素を含む100nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に次の様に透明導電性膜を形成した。透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを5wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は85%、透湿度は0.9g/m/日、抵抗率は2×10−4Ω・cm、反りは0.5mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。
実施例7
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電性膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、O20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、酸化ケイ素を含む100nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に次の様に透明導電性膜を形成した。透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を250℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は81%、透湿度は0.9g/m/日、抵抗率は1.6×10−4Ω・cm、反りは0.9mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった
比較例1
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、O20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、酸化ケイ素を含む100nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に透明導電膜を次のように形成した。透明導電膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱温度200℃で成膜を行い、200nm厚みのITOを含む結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は78%、透湿度は0.6g/m/日、抵抗率は1.9×10−4Ω・cm、反りは30mmと大きいものであった。透明フィルム基板を加熱して透明導電膜を形成したことにより、反りが大きくなった。
比較例2
合成例2で作製したロールフィルムを用い、合成例4で作製したハードコート溶液をコーターで塗布して塗膜を形成し、60℃で2分間乾燥した後、高圧水銀灯で紫外線を照射し(照射量300mJ/cm)、架橋フマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルムに、硬化してなる厚さ10μmのハードコート層が設けられているフィルム基板を得た。フィルム基板の裏面にも同様に10μmのハードコート層を形成し、フィルム基板を得た。
得られたフィルム基板は全光線透過率91%、ヘーズ0.8%であった。
得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を200℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムは変形が大きく、反りは22mmであった。ハードコート層として有機成分100%のハードコート層を用いたことから、反りが大きくなった。
比較例3
実施例1で得られたフィルム基板を用い、直径8インチのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッタ装置を用いて、次の様に透明バリア膜および透明導電性膜をフィルム基板上に形成した。
透明バリア膜の形成にターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス80%、O20%)、RFパワー500Wの条件で成膜を行い、酸化ケイ素を含む100nm厚みの透明バリア膜をフィルム基板上に形成した。
さらに、この透明バリア膜上に次の様に透明導電性膜を形成した。透明導電性膜の形成にターゲットとしてSnOを10wt%含むITOターゲットを用い、スパッタガスはアルゴンとOを用いた。到達真空度5×10−5Pa、スパッタリングガス圧0.5Pa(アルゴンガス95%、O5%)、DCパワー300W、透明フィルム基板を加熱なしで成膜を行い、200nm厚みのITOを含む非晶質構造の透明導電膜を得た。この後、非晶質構造の透明導電膜を180℃で加熱し、結晶質構造の透明導電膜を得た。
得られた透明導電性フィルムの全光線透過率は82%、透湿度は0.9g/m/日、抵抗率は2.2×10−4Ω・cm、反りは0.9mmであった。また、密着性の評価では、○と繰り返し加熱処理後の密着性に優れるものであった。

Claims (5)

  1. 両側に無機粒子と有機成分を含有するハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂を含むフィルム基板上の片側に、スパッタリングにより室温付近でITOを含む透明導電膜を形成し、200〜250℃で加熱することにより透明導電性フィルムを得る透明導電性フィルムの製造方法であって、該透明導電性フィルムの抵抗率が2×10 −4 Ω・cm以下で、かつ全光線透過率が80%以上であることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法
  2. フマル酸ジエステル系樹脂が、下記一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
    Figure 0006435597
    (ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は環状アルキル基を示す。)
  3. 透明導電膜の膜厚が100〜300nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  4. フィルム基板と透明導電膜の間に透明バリア膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  5. 透明バリア膜が、金属酸化物、金属窒化物、金属窒化酸化物からなる群より選ばれ、かつ得られる透明導電性フィルムの透湿度が1g/m/日以下であることを特徴とする請求項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
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