JP2016117232A - フィルム基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、耐熱性、低熱線膨張係数、低複屈折、透明性に優れた特定の樹脂を用いてなる透明フィルム、特定のハードコート層、及び該ハードコート層と密着性の高い無機膜を用いることによって、高性能な光量絞り装置に好適なフィルム基板を提供する。【解決手段】 フマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムと、該透明フィルムの表面の両側に設けられたハードコート層と、該ハードコート層上に積層された無機膜とを備えるフィルム基板であり、該ハードコート層が無機粒子と有機成分を含有し、かつ、該ハードコート層上に積層された無機膜とハードコート層との間の界面エネルギー差が10mN/m以下であることを特徴とするフィルム基板。【選択図】 なし
Description
本発明は、固体撮像装置またはカメラモジュールに用いられるフィルム基板に関するものである。
従来のビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像機器には撮像素子に入射する光量の調整を目的として絞り羽根を有する光量絞り装置が組み込まれており、快晴時や高輝度の被写体を撮影する場合にその開口が小さく絞り込まれるようになっている。
しかしながら、開口を絞りすぎると、通過する光の回折の影響で像性能の劣化を生ずる問題が発生する。この問題の対策の為、絞り羽根に光量を低減させるフィルタを取り付けることが提案されており、該光量絞り装置を用いれば、被写界の明るさが大きくなっても絞り開口が極端に小さくなることを防止し、所定の大きさのままで光量を減衰させることが出来る。
従来から上記フィルタは固体撮像装置またはカメラモジュール内に設置されるため、薄くて軽い材料が求められており、該フィルタの基材として樹脂製のフィルムが広く使用されている。該フィルタは樹脂製のフィルムの表面に無機膜よりなる蒸着膜を形成し、この蒸着膜にフィルタ特性を発現させている。
近年、ビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像機器の高画質化に伴い、光量調製装置に使用される光量を低減させるフィルタの光学特性への要求も厳しくなってきている。従来の該フィルタの基材としてはPETが一般に使用されてきたが、PETは製造時の延伸に由来する大きな複屈折を有するため、更なる高画質化のためには低複屈折材料を用いる必要がある。
また、基材の材料としては撮像機器等の製造時の加工性や無機膜の蒸着における成膜温度を確保するために耐熱性が高く、線膨張係数が低いことが望ましい。さらに基材と無機膜の密着性が悪いと撮像機器等の製造加工時の無機膜の剥離や成膜時のクラックが発生するため、基材と無機膜の密着性が求められる。
一方、光学特性に優れたフィルムとして、フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムが提案されており、架橋フマル酸ジエステル系樹脂からなるディスプレイ用光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載のフィルムは、繰り返し加熱処理後の密着性が充分ではなく、繰り返し加熱処理後の密着性に優れるフィルムが求められていた。
また、透明導電性フィルムの構成の一部として、繰り返し加熱処理後の密着性に優れるフィルムを得るために、少なくとも片側に無機粒子と有機成分からなるハードコート層が設けられたフマル酸ジエステル系樹脂よりなるフィルム基板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、耐熱性、吸湿性および光学特性に優れ、かつ熱膨張係数が小さい表示素子用プラスチック基板用フィルムを得るために、無機粒子と有機成分からなるハードコート層が両側に設けられたフマル酸ジエステル系樹脂よりなる透明フィルムであって、該透明フィルムの両側に無機物層を1.3〜4.0μm有し、熱膨張係数が30ppm以下で、かつ全光線透過率が85%以上である透明積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献2及び特許文献3に記載のフィルムは各種性能に優れたものであるが、光量絞り装置に用いられる場合の特性については何らの記載がないものである。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性、低熱線膨張係数、低複屈折、透明性に優れた特定の樹脂を用いてなる透明フィルム、特定のハードコート層、及び該ハードコート層と密着性の高い無機膜を用いることによって、高性能な光量絞り装置に好適なフィルム基板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、フマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムと、無機粒子と有機成分を含有するハードコート層と、該ハードコート層との間の界面エネルギー差が特定の値以下である無機膜とを備えるフィルム基板が上記課題を解決することを見出し、本発明を解決するに至った。
即ち本発明は、フマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムと、該透明フィルムの表面の両側に設けられたハードコート層と、該ハードコート層上に積層された無機膜とを備えるフィルム基板であり、該ハードコート層が無機粒子と有機成分を含有し、かつ、該ハードコート層上に積層された無機膜とハードコート層との間の界面エネルギー差が10mN/m以下であることを特徴とするフィルム基板に関するものである。
以下、本発明のフィルム基板について詳細に説明する。
本発明のフィルム基板は、透明フィルムと、該透明フィルムの表面の両側に設けられたハードコート層と、該ハードコート層上に積層された無機膜とを備えるフィルム基板である。そして、該透明フィルムは、フマル酸ジエステル系樹脂を用いてなるフィルムである。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂としては、フィルム基板として用いられるときの耐熱温度を高くし、複屈折を小さくするのに好適であるため、下記一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上を含む樹脂であることが好ましく、70モル%以上を含む樹脂であることがさらに好ましく、80モル%以上を含む樹脂であることが特に好ましく、90モル%以上を含む樹脂であることが最も好ましい。
ここで、一般式(1)において、R1、R2は、フマル酸ジエステル残基単位のエステル置換基である。R1、R2は、耐熱性を高くできることから、それぞれ独立して、炭素数3〜12の分岐アルキル基又は環状アルキル基であることが好ましく、フッ素,塩素などのハロゲン基、エーテル基、エステル基又はアミノ基で置換されていても良い。炭素数3〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数3〜12の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。その中でも、フィルム基板として用いられるときに、特に耐熱性、機械特性に優れたフィルム基板が得られることから、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、より耐熱性、及び機械特性のバランスに優れたフィルム基板が得られることから、イソプロピル基がさらに好ましい。
一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位としては、具体的にはフマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジ−s−ペンチル残基、フマル酸ジ−t−ペンチル残基、フマル酸ジ−s−ヘキシル残基、フマル酸ジ−t−ヘキシル残基、フマル酸ジシクロプロピル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が挙げられ、その中でも耐熱性、機械特性に優れるため、フマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基が好ましく、フマル酸ジイソプロピル残基がさらに好ましい。
本発明で好ましく用いられるフマル酸ジエステル系樹脂は、一般式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上、及びフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位50モル%以下を含む樹脂であり、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位としては、例えば、スチレン残基、α−メチルスチレン残基等のスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基等のアクリル酸エステル類残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基、メタクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基等のメタクリル酸エステル類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基等のビニルエステル類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;エチレン残基、プロピレン残基等のオレフィン類残基、等の1種又は2種以上を挙げることができる。
本発明で用いるフマル酸ジエステル系樹脂は、自立したフィルムを形成するのに好適であることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×104以上であることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の加工特性に優れたフィルムとなることから、2×104以上2×105以下であることがさらに好ましい。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂の製造方法としては、該フマル酸ジエステル系樹脂が得られる限りにおいて如何なる製造方法でもよく、例えば、フマル酸ジエステル類、場合によってはフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合を行うこと等が挙げられる。この際のフマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−s−ブチル、フマル酸ジ−t−ブチル、フマル酸ジ−s−ペンチル、フマル酸ジ−t−ペンチル、フマル酸ジ−s−ヘキシル、フマル酸ジ−t−ヘキシル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられ、フマル酸ジエステルと共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等の1種又は2種以上を挙げることができる。
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等の1種又は2種以上を挙げることができる。
本発明において、フマル酸ジエステル系樹脂をラジカル重合により製造する場合には、用いるラジカル重合法としては特に制限がなく、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等が挙げられ、これらのいずれもが採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
そして、本発明において、溶液重合法又は沈殿重合法を採用する場合には、溶液重合法又は沈殿重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムの製造方法としては、前記フマル酸ジエステル系樹脂を溶液キャスト法、溶融キャスト法等によりフィルム化すること等が挙げられる。溶液キャスト法は、フマル酸ジエステル系樹脂をテトラヒドロフラン等の溶媒に溶解した溶液(以下、ドープと称する。)を支持体基板上に流延した後、加熱等により溶媒を除去しフィルムを得る方法である。また、溶融キャスト法は、フマル酸ジエステル系樹脂を押出機内で溶融し、Tダイスリットからフィルム状に押出した後、ロールやエアーなどで冷却しつつ引き取る成形法である。
本発明におけるフマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムの厚みとしては特に制限はなく、使用する用途に対応した厚みとして、20〜150μmが好ましく、さらに好ましくは30〜100μmである。
本発明におけるハードコート層はフマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムの表面の両側に設けられたものであり、無機粒子と有機成分を含有するものである。本発明において、無機粒子のみでは、ハードコート層として成形することが困難である。また、有機成分のみでは、透明フィルムの表面の両側にハードコート層を設けた際に、透明フィルム及びハードコート層が変形し、平らにする時に亀裂が生じる。
ここで、無機粒子としては、例えば、コロイダルシリカ微粒子等のシリカ系粒子、炭酸カルシウム等の炭酸塩、酸化チタン等の金属酸化物系粒子などが挙げられ、その中でも表面修飾の容易さや入手しやすさからシリカ系粒子が好ましく、特に粒子径の制御が容易であることから、コロイダルシリカ微粒子がさらに好ましい。無機粒子の平均粒子径は、透明性の良好な膜が形成できる点で400nm以下が好ましく、さらに好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは50nm以下である。
また、無機粒子として好ましく用いられるコロイダルシリカ微粒子は、平均粒子径が1〜400nmの範囲の無水ケイ酸の超微粒子を、水または有機溶媒に分散させた状態のものである。このようなコロイダルシリカ微粒子は、公知の方法で製造することもできるが市販もされている。
ここで、無機粒子としては、透明フィルムにおける分散性や強度などの点で重合性不飽和基によって表面処理されていることが好ましく、該重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基などが挙げられ、特に反応性が高く、生産性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
無機粒子の表面処理方法は特に制限はなく、ハードコート層の有機成分と反応し、ハードコート膜が形成できるため、重合性不飽和基を有する有機シラン化合物を用いる表面処理方法が好ましい。該表面処理方法としては、例えば、無機粒子と重合性不飽和基を有する有機シラン化合物を混合した後、加水分解触媒を加え、常温または加熱下で攪拌する方法などが挙げられる。ここで、当該表面処理方法では、無機粒子中の分散触媒と反応で生じる水を常圧または減圧下で共沸留出させながら、縮合反応を行う。この際、反応を促進させる目的で、水、酸、塩基、塩等の触媒を用いてもよい。このようにして、表面修飾した無機粒子を得ることができる。
表面処理方法に用いる重合性不飽和基を有する有機シラン化合物としては、特に限定はなく、例えば、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリス(3−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を併用して用いることができる。また、これらの化合物のエポキシ基やグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加したシラン化合物、アミノ基に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有する化合物をマイケル付加したシラン化合物、アミノ基やメルカプト基に(メタ)アクリロイルオキシ基およびイソシアネート基を有する化合物を付加したシラン化合物、イソシアネート基に(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物を付加したシラン化合物等も用いることができる。これらの中でも3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択されるシラン化合物は反応性が優れる点で好ましい。
有機成分としては、例えば、重合性基を有する有機化合物等が挙げられ、該重合性基を有する有機化合物とは、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物、スチリル基を有する有機化合物、ビニル基を有する有機化合物等のラジカル重合性基を有する有機化合物;エポキシ基を有する有機化合物、オキセタン基を有する有機化合物等のイオン重合性基を有する有機化合物等が挙げられる。これらの中でも、反応性の高さ、生成する硬化物の熱的な安定性からラジカル重合性基を有する有機化合物が好ましく、特に生産性の点から(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物がさらに好ましい。
ここで、有機化合物としては、例えば、ウレタン、エポキシ、ポリエステル、(メタ)アクリレート等が挙げられる。
具体的な(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、モノまたはジ(メタ)アクリルアミド等の単官能または多官能(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物と;ポリエチレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、ポリプロピレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、ポリブチレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、1−メチルブチレングリコール(繰り返し単位数:6〜20)、ポリテトラメチレングリコール(繰返し単位数:6〜20)、ポリカプロラクトンジオール、アルキレン(炭素数:2〜10)ジオールのカプロラクトン付加(繰返し単位数:2〜10)ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、フタル酸とアルキレンジオールから誘導されたポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール(炭素数4〜6の脂肪族骨格)等のジオール化合物と;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート;1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,12−
ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカンヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物の単量体または多量体に;2−ヒドロキシエチル(
メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートやそれらのカプロラクトン付加体等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを付加したウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカンヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物の単量体または多量体に;2−ヒドロキシエチル(
メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートやそれらのカプロラクトン付加体等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを付加したウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル化合物に(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに生成する硬化物の機械物性を調整する目的で、分子内に1〜2個のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を、必要に応じて適宜含有させてもよい。該ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、各種のアルキルモノ、もしくはポリアルコールから誘導されるエステル型モノ、またはジ(メタ)アクリレート;モノ、またはジ(メタ)アクリルアミド類;ビニルエーテル化合物;ビニルエステル化合
物;その他ビニル系化合物;アリル化合物等が挙げられる。
物;その他ビニル系化合物;アリル化合物等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸等の多塩基酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、カプロラクタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA等の多価アルコール類;(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)
アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。
アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(繰返し単位数:5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(繰返し単位数:5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(繰返し単位数:3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(繰返し単位数:5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのジ(メタ)アクリレートや、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
また、モノまたはジ(メタ)アクリルアミド類の具体例としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物のうち、透明性、透明フィルムとの密着性に優れるため、モノまたはジ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらは、一種を単独で、または二種以上を併用して用いることができる。
ハードコート層における無機粒子と有機成分の割合は、ハードコートの塗工性の点から、無機粒子1〜95重量%、有機成分99〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは無機粒子10〜80重量%、有機成分90〜20重量%であり、特に好ましくは無機粒子40〜70重量%、有機成分60〜30重量%である。
そして、本発明におけるハードコート層は、無機粒子と有機成分を含有する組成物を硬化してなるものであり、該ハードコート層の製造方法としては、例えば、無機粒子および有機成分を含有する組成物を活性エネルギー線の照射および/または加熱によりラジカル重合して硬化してなる方法等が挙げられる。
ラジカル重合する際には、反応速度を速くすることができ、反応の制御をしやすいことから、重合開始剤を用いることが好ましく、該重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の光重合開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の熱重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、生産性や保存安定性などの製造加工面、着色などの品質面を考慮して選択され、特に生産性に優れることから、光重合開始剤が好ましく用いられる。
また、活性エネルギー線の種類としては、例えば、電子線、紫外線、赤外線、可視光線等の公知の活性エネルギー線が挙げられる。それらの中でも、汎用性が高く、装置のコストや生産性に優れることから、紫外線を利用することが好ましい。その紫外線を発生させる光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高周波誘導水銀ランプ等が適している。
活性エネルギー線の照射による硬化時の雰囲気下は、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下であっても、空気雰囲気下であってもよい。それらの中でも、簡便で低コストであることから、空気雰囲気下であることが好ましい。
硬化条件についても特に制限されるものではなく、例えば、活性エネルギー線を用いた場合、硬化反応を完結させるため、照射量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜5J/cm2の範囲内の値とするのがさらに好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのが特に好ましい。また、加熱して硬化させる場合には、硬化反応を完結させるため、30〜200℃の範囲内の温度で1〜180分間加熱するのが好ましく、50〜180℃の範囲内の温度で2〜120分間加熱するのがさらに好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で5〜60分間加熱するのが特に好ましい。
本発明のハードコート層として市販のハードコート剤を用いることもできる。無機粒子を含有する市販のハードコート剤としては、例えば、JSR製ハードコート剤デソライト、三菱レイヨン製ハードコート剤レイクイーン、荒川化学工業製ハードコート剤コンポラセン、株式会社アデカ製ハードコート剤アデカナノハイブリッドシリコーンFX−Vなどが挙げられる。
ハードコート層の厚みは、生産性向上のため、片面につき1〜15μmが好ましく、さらに好ましくは2〜10μmである。
本発明において、透明フィルムの表面の両側にハードコート層を設ける方法としては、例えば、フマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムに、ハードコート層を形成する組成物を塗布して塗膜を形成した後、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりラジカル重合することが挙げられる。
塗布する際には、粘度調整の他、分散安定性、さらには透明フィルムとの密着性およびハードコート層の平滑性、均一性などの面から、有機溶剤を用いることが好ましい。該有機溶剤を使用する場合、硬化反応を完結させるため、塗布後、硬化を行う前に溶剤を揮発させることが好ましい。その手法としては特に限定されるものではなく、自然乾燥の他、赤外線乾燥または熱風炉による乾燥等公知の手段を用いてハードコート層を形成させることができる。
本発明において、透明フィルムの表面の両側にハードコート層を設けたとき、透明フィルム及びハードコート層(以下、「ハードコート層付透明フィルム」という)の厚みは、生産性向上のため、22〜180μmが好ましく、さらに好ましくは32〜120μmの範囲である。また、フィルム基板の透明性向上のため、全光線透過率は90%以上が好ましく、さらに好ましくは92%以上であり、ヘーズは1%以下が好ましい。
本発明において、ハードコート層付透明フィルムの耐熱温度は、フィルム基板としたときに、優れた耐熱性を有するフィルム基板が得られるため、150℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは180℃以上である。
本発明において、ハードコート層付透明フィルムの熱線膨張係数は、フィルム基板としたときに、優れた耐クラック性及び耐剥離性を有するフィルム基板が得られるため、8.0×10−5/℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは7.0×10−5/℃以下であり、特に好ましくは6.5×10−5/℃以下である。
本発明において、ハードコート層付透明フィルムは、熱安定性または光安定性を向上させる目的で酸化防止剤または光安定剤を含んでいてもよい。該酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシル系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられる。また、該光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これら酸化防止剤または光安定剤をそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれ併用して用いてもよい。
また、本発明において、ハードコート層付透明フィルムは、その劣化防止などの目的で、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。該紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて添加することもできる。これら紫外線吸収剤は一種類以上組み合わせて用いることもできる。
さらに、本発明において、ハードコート層付透明フィルムは、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明における無機膜は、ハードコート層上に積層されたものであり、該ハードコート層との間の界面エネルギー差が10mN/m以下であることを特徴とする。そして、本発明において、ハードコート層と無機膜との間の界面エネルギー差が10mN/mよりも大きい場合、ハードコート層表面と無機膜との密着性を十分確保することができなくなり、無機膜のクラックや剥離の発生を防止することが困難となる。また、ハードコート層表面と無機膜との密着性を確保し、無機膜のクラックや剥離の発生防止により好適であることから、ハードコート層と無機膜との界面エネルギー差が5mN/m以下であることが好ましく、無機膜の材料としては、酸化アルミや酸化チタンが好ましい。これらの材料にその他金属酸化物が少量含まれていても構わない。
本発明において、無機膜の積層体は高い耐熱性、低熱線膨張係数、低複屈折、優れた透明性を有するものであり、フィルム基板の耐熱性、熱線膨張係数、複屈折及び透明性は、専らハードコート層付透明フィルムに依存するものである。そして、本発明において、フィルム基板の耐熱温度、熱線膨張係数、複屈折並びに全光線透過率及びヘーズは、それぞれハードコート層付透明フィルムの耐熱温度、熱線膨張係数、複屈折並びに全光線透過率及びヘーズに依存する。
本発明におけるフィルム基板の耐熱温度は、無機膜の形成時に掛かる温度によってフィルム基板が変形することを防止するのに好適であるため、150℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは180℃以上である。
本発明におけるフィルム基板の熱線膨張係数は、無機膜のクラック、剥がれのないフィルム基板を得るのにより好適であるため、8.0×10−5/℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは7.0×10−5/℃以下であり、特に好ましくは6.5×10−5/℃以下である。
本発明におけるフィルム基板の複屈折は、固体撮像装置等に組み込まれたときに良好な画質を得るのにより好適であるため、20nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10nm以下である。
本発明におけるフィルム基板の全光線透過率は、透明性向上のため、90%以上が好ましく、さらに好ましくは92%である。
本発明におけるフィルム基板のヘーズは、透明性向上のため、1%以下が好ましい。
本発明において、積層された無機膜は、特定の反射防止膜と光吸収膜を積層してなる無機多層膜である。そして、本発明において、このような無機多層膜を少なくとも透明フィルム基板の一方の面または両方の面に有することにより、光量絞り装置として用いられるときに、光透過性を高度に制御することができるものである。ここで、本発明において、無機膜が多層膜ではなく、単層膜である場合、光の吸収や反射を制御できず光量絞り装置として性能が低いものとなるとなる。
本発明において、反射防止膜として酸化アルミ、光吸収膜として酸化チタンを用いたとき、良好な光学特性を有するフィルム基板を得ることが出来る。
一般に上記反射防止膜、光吸収膜の製膜には真空蒸着法が用いられるが、本発明でハードコート層上に無機膜を製膜する場合または製膜した無機膜上に重ねて無機膜を製膜する場合、イオンスプレーティング法またはスパッタリング法等によっても同様の効果を得ることができる。また、本発明において、無機膜の層数、膜厚等はこれらに限定されるものではない。
また、本発明のフィルム基板には発明の主旨を超えない範囲でフィルムとハードコート層の間、またはハードコート層と光吸収膜、反射防止膜の間にガスバリア層を積層させても構わない。このガスバリア層の製膜には真空蒸着法、イオンスプレーティング法、スパッタリング法などを用いることができる。
本発明のフィルム基板は、光量絞り装置の材料としてビデオカメラやデジタルカメラの固体撮像素子に組み込まれた際、被写界の明るさが大きい場合でも良好な撮影を可能にする。さらに、耐熱性と低熱線膨張係数を有することにより、固体撮像装置やカメラモジュール製造での加熱プロセスや高温雰囲気下での使用にも好適である。
本発明によると、PETなど従来の樹脂と比較して分光特性、耐熱性等に優れた、高性能な光量絞り装置の材料として有用なフィルム基板を提供することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
<フマル酸ジエステル系樹脂の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)スペクトル分析より求めた。
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<数平均分子量の測定>
フマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、THFを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
フマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、THFを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
<耐熱性の評価方法>
ハードコート層付透明フィルムを150℃から250℃のオーブン内に1時間保持し、変色、変形の有無を目視により判定した。
ハードコート層付透明フィルムを150℃から250℃のオーブン内に1時間保持し、変色、変形の有無を目視により判定した。
<熱線膨張係数の測定>
ハードコート層付透明フィルムを無荷重条件において、10℃から240℃まで5℃/min.で昇降温させ、測定2回目の昇降温から求められる膨張係数の平均値を熱線膨張係数とした。
ハードコート層付透明フィルムを無荷重条件において、10℃から240℃まで5℃/min.で昇降温させ、測定2回目の昇降温から求められる膨張係数の平均値を熱線膨張係数とした。
<透明性の評価方法>
ハードコート層付透明フィルムの全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名NDH2000)を使用し、JIS K 7361−1に準拠して測定した。
ハードコート層付透明フィルムの全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名NDH2000)を使用し、JIS K 7361−1に準拠して測定した。
<複屈折の測定>
ハードコート層付透明フィルムの複屈折は、光学特性評価装置(王子計測機器製、商品名KOBRA−WPR)を使用して測定した。
ハードコート層付透明フィルムの複屈折は、光学特性評価装置(王子計測機器製、商品名KOBRA−WPR)を使用して測定した。
<界面エネルギー差の評価方法>
ハードコート層と無機膜との間の界面エネルギー差は、接触角計(協和界面化学社製、商品名DM−300)を使用して、θ/2法により接触角を測定し、Owens−Wendtの方法を用いて算出した。
ハードコート層と無機膜との間の界面エネルギー差は、接触角計(協和界面化学社製、商品名DM−300)を使用して、θ/2法により接触角を測定し、Owens−Wendtの方法を用いて算出した。
合成例1(フマル酸ジエステル系樹脂の製造例)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mLの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(分子量2,000、けん化度80%)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル137.5g(0.687モル)、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル2.5g(0.015モル)および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル共重合を行なった。共重合反応の終了後、フラスコ中の重合物をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:82%)。1H−NMR測定により、得られたフマル酸ジエステル系樹脂は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=96/4(モル%)であった。なお、フマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は47,000であった。
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mLの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(分子量2,000、けん化度80%)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル137.5g(0.687モル)、アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル2.5g(0.015モル)および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル共重合を行なった。共重合反応の終了後、フラスコ中の重合物をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:82%)。1H−NMR測定により、得られたフマル酸ジエステル系樹脂は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸−3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=96/4(モル%)であった。なお、フマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は47,000であった。
合成例2(透明フィルム作成例)
合成例1で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し20重量%溶液とし、さらにフマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対し、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト1.0重量部およびペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5重量部を添加し、支持体基板上に流延し、70℃で10分乾燥後、更に120℃で10分乾燥した。厚み80μm、厚みムラ3μmの透明フィルムを作製した。
合成例1で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し20重量%溶液とし、さらにフマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対し、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト1.0重量部およびペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5重量部を添加し、支持体基板上に流延し、70℃で10分乾燥後、更に120℃で10分乾燥した。厚み80μm、厚みムラ3μmの透明フィルムを作製した。
合成例3(ハードコート溶液作製例)
攪拌機、温度計およびコンデンサーを備えた5リットルの4ツ口フラスコに、無機粒子としてイソプロパノールシリカゾル(コロイダルシリカ微粒子 SiO2濃度;30重量%、平均粒子径;20nm、日産化学工業(株)製)2,000重量部と、重合性基としてメタアクリロイル基を有する3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコン(株)製)160重量部を計量し、攪拌しながら昇温させ、揮発分の還流が始まると同時に純水100重量部を徐々に滴下させ、滴下終了後、還流下で2時間攪拌しながら加水分解を行った。反応後にトルエン500重量部を追加し、アルコール、水等をトルエンと一緒に共沸留出させた。次に、トルエン1,000重量部を追加し、トルエンを留出させながら110℃で4時間反応を行った。得られた分散液は、固形分濃度65重量%、粘度55cpsであった。無機粒子として得られた分散液100重量部(固形分;65重量%)、有機成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名;カヤラッドDPHA、日本化薬(株)社製)23.3重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機(株)社製)20重量部、光重合開始剤(チバスペシャリテーケミカルズ(株)社製 商品名;ダロキュア1173)1重量部を混合攪拌して組成物(無機粒子60重量%、有機成分40重量%)を得た。得られた組成物にメチルエチルケトン100重量部を加え、ハードコート溶液とした。
攪拌機、温度計およびコンデンサーを備えた5リットルの4ツ口フラスコに、無機粒子としてイソプロパノールシリカゾル(コロイダルシリカ微粒子 SiO2濃度;30重量%、平均粒子径;20nm、日産化学工業(株)製)2,000重量部と、重合性基としてメタアクリロイル基を有する3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコン(株)製)160重量部を計量し、攪拌しながら昇温させ、揮発分の還流が始まると同時に純水100重量部を徐々に滴下させ、滴下終了後、還流下で2時間攪拌しながら加水分解を行った。反応後にトルエン500重量部を追加し、アルコール、水等をトルエンと一緒に共沸留出させた。次に、トルエン1,000重量部を追加し、トルエンを留出させながら110℃で4時間反応を行った。得られた分散液は、固形分濃度65重量%、粘度55cpsであった。無機粒子として得られた分散液100重量部(固形分;65重量%)、有機成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名;カヤラッドDPHA、日本化薬(株)社製)23.3重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機(株)社製)20重量部、光重合開始剤(チバスペシャリテーケミカルズ(株)社製 商品名;ダロキュア1173)1重量部を混合攪拌して組成物(無機粒子60重量%、有機成分40重量%)を得た。得られた組成物にメチルエチルケトン100重量部を加え、ハードコート溶液とした。
実施例1
合成例2で作製した透明フィルムを用い、合成例3で作製したハードコート溶液をコーターで塗布して塗膜を形成し、60℃で2分間乾燥した後、高圧水銀灯で紫外線を照射し(照射量300mJ/cm2)、厚さ8μmのハードコート層を形成した。そして、片面にハードコート層を形成したフィルムに対し、反対面にも同様に厚さ8μmのハードコート層を形成し、ハードコート層付透明フィルムを得た。
合成例2で作製した透明フィルムを用い、合成例3で作製したハードコート溶液をコーターで塗布して塗膜を形成し、60℃で2分間乾燥した後、高圧水銀灯で紫外線を照射し(照射量300mJ/cm2)、厚さ8μmのハードコート層を形成した。そして、片面にハードコート層を形成したフィルムに対し、反対面にも同様に厚さ8μmのハードコート層を形成し、ハードコート層付透明フィルムを得た。
得られたハードコート層付透明フィルムの熱線膨張係数は6.0×10−5/℃で、200℃加熱1時間で変形や変色は見られなかった。さらに、全光線透過率93%、ヘーズ0.5%であった。
また、得られたハードコート層付透明フィルムの複屈折は1nmであった。
得られたハードコート層付透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、酸化アルミ層(膜厚10nm)と酸化チタン層(膜厚10nm)を交互に4層ずつ蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を両面に形成して、フィルム基板を得た。
得られたフィルム基板は、ハードコート層と接する酸化アルミ膜とハードコート層との間の界面エネルギー差が4.0mN/mであった。また、外観評価では、目視により、酸化アルミ層にクラック・剥がれがないことを確認した。
実施例2
実施例1で得られたハードコート層付透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、酸化チタン層(膜厚10nm)と酸化アルミ層(膜厚10nm)を交互に4層ずつ蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を両面に形成して、フィルム基板を得た。
実施例1で得られたハードコート層付透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、酸化チタン層(膜厚10nm)と酸化アルミ層(膜厚10nm)を交互に4層ずつ蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を両面に形成して、フィルム基板を得た。
得られたフィルム基板は、ハードコート層と接する酸化チタン膜とハードコート層との間の界面エネルギー差が0.5mN/mであった。また、外観評価では、目視により酸化チタン層にクラック・剥がれがないことを確認した。
比較例1
実施例1で得られたハードコート層付透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、二酸化珪素(膜厚5nm)を両面に形成したのち酸化アルミ層(膜厚100nm)と酸化チタン層(膜厚10nm)を交互に4層ずつ両面に形成して蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を形成して、フィルム基板を得た。
実施例1で得られたハードコート層付透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、二酸化珪素(膜厚5nm)を両面に形成したのち酸化アルミ層(膜厚100nm)と酸化チタン層(膜厚10nm)を交互に4層ずつ両面に形成して蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を形成して、フィルム基板を得た。
得られたフィルム基板は、ハードコート層と接する無機膜(二酸化珪素膜)とハードコート層との間の界面エネルギー差が21mN/mであり、目視による外観評価において、二酸化珪素の層にクラックが多数確認され、密着性に劣るものであった。
比較例2
合成例2で作製した透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、酸化アルミ層(膜厚100nm)と酸化チタン層(膜厚100nm)とを交互に積層蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を形成した。
合成例2で作製した透明フィルムを用い、電子ビーム蒸着(EB)法(真空蒸着法)により、酸化アルミ層(膜厚100nm)と酸化チタン層(膜厚100nm)とを交互に積層蒸着し、反射率を低下させるための反射防止膜および透過率を低下させるための光吸収膜からなる無機多層膜を形成した。
合成例2で製した透明フィルムは、熱線膨張係数が10×10−5/℃であるため、目視による外観評価において、透明フィルムと接する酸化アルミの層にクラックが多数確認された。
透明フィルムと接する酸化アルミの層にクラックが多数確認されたことから、光量絞り装置に組み込むフィルム基板として使用できないものであった。
Claims (6)
- フマル酸ジエステル系樹脂を用いてなる透明フィルムと、該透明フィルムの表面の両側に設けられたハードコート層と、該ハードコート層上に積層された無機膜とを備えるフィルム基板であり、該ハードコート層が無機粒子と有機成分を含有し、かつ、該ハードコート層上に積層された無機膜とハードコート層との間の界面エネルギー差が10mN/m以下であることを特徴とするフィルム基板。
- 無機膜が酸化アルミ又は酸化チタンを用いてなる無機膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルム基板。
- フィルム基板の耐熱温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフィルム基板。
- フィルム基板の熱線膨張係数が8.0×10−5/℃以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフィルム基板。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフィルム基板を用いてなることを特徴とする固体撮像装置またはカメラモジュール。
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-
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- 2014-12-22 JP JP2014258805A patent/JP2016117232A/ja active Pending
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