以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」又はそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。「(メタ)アクリレート」等の他の類似表現についても同様である。
図1及び2は、本実施形態の透明基板の一態様を示す模式断面図である。図1に示す透明基板10は、無機ガラス1の一方の主面上に樹脂硬化物層3が形成された構成を有する。図2に示す透明基板20は、無機ガラス1の一方の主面上に樹脂硬化物層3aが、他方の主面上に樹脂硬化物層3bが形成された構成を有する。
図3及び4は、本実施形態の透明基板の他の態様を示す模式断面図である。図3及び図4に示す透明基板30及び40においては、無機ガラス1の側面の全面が、樹脂硬化物層3により覆われている。樹脂硬化物層3は、透明基板40に示すように、無機ガラス1の端部から飛び出していてもよい。無機ガラス1の側面を覆う樹脂硬化物層3の厚さ(図3及び4中、A〜Dで表される部分の厚さ)は、0.1μm以上であることが好ましい。図3及び4中、A及びB又はC及びDの厚さはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
図5は、本実施形態の透明基板の他の態様を示す模式断面図である。図5に示す透明基板50においては、無機ガラス1の側端部から樹脂硬化物層3がはみ出している。側端部からはみ出した樹脂硬化物層の長さは、0.01mm以上であることが好ましい。なお、透明基板50では、無機ガラス1の両側端部から樹脂硬化物層3がはみ出しているが、少なくとも一つの側端部から樹脂硬化物層3がはみ出していればよい。また、無機ガラス1の両側端部から樹脂硬化物層3がはみ出している場合には、側端部からはみ出した樹脂硬化物層の長さ(図5中、E及びFで表される部分の長さ)はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
上記樹脂層は、ガラス層と主に相互作用によって接着している。その結果、上記樹脂層とガラス層が強固に接着され、密着性に優れる透明基板を得ることができる。
上記透明基板の総厚は、好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは120μm以下であり、特に好ましくは50μm〜100μmである。本発明によれば、上記のように樹脂層を有することにより、無機ガラスの厚みを、従来のガラス基板よりも格段に薄くすることができる。すなわち、上記樹脂層は薄くても耐衝撃性及び靭性の向上に寄与し得るので、当該樹脂層を有する本発明の透明基板は軽量・薄型で、かつ優れたプロセス適合性を有する。
上記透明基板の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上である。好ましくは、上記透明基板は、180℃で2時間の加熱処理を施した後の光透過率の減少率が5%以内である。このような減少率であれば、表示素子及び太陽電池の製造プロセスにおいて必要な加熱処理を施しても、実用上許容可能な光透過率を確保できるからである。
上記透明基板の表面粗度Ra(実質的には、上記樹脂層又は上記その他の層の表面粗度Ra)は、好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。上記透明基板のうねりは、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以下である。このような特性の透明基板であれば、樹脂層側に有機EL層を形成しても、ガラス上に形成したときと同程度の性能が得られる。
上記透明基板の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。好ましくは、上記透明基板は、180℃で2時間の加熱処理を施した後の光透過率の減少率が5%以内である。このような減少率であれば、表示素子および太陽電池の製造プロセスにおいて必要な加熱処理を施しても、実用上許容可能な光透過率を確保できるからである。
上記透明基板の表面粗度Ra(実質的には、上記樹脂層または上記その他の層の表面粗度Ra)は、好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。上記透明基板のうねりは、好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以下である。このような特性の透明基板であれば、樹脂層側に有機EL層を形成しても、ガラス上に形成したときと同程度の性能が得られる。
上記透明基板の単位面積当たりの重量は0.2g/cm2以下である。
以下、上述の実施形態における透明基板の各構成について、詳細に説明する。
<無機ガラス>
上記無機ガラスは、板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。上記無機ガラスは、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラス等が挙げられる。上記無機ガラスのアルカリ金属成分(例えば、Na2O、K2O、Li2O)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
上記無機ガラスの厚みは、好ましくは700μm以下であり、より好ましくは10μm〜300μmであり、さらに好ましくは20μm〜70μmである。本実施形態においては、上記無機ガラスの少なくとも片側に樹脂層を有することによって、上記無機ガラスの厚みを薄くしても、プロセス適合性に優れる透明基板を得ることができる。
上記無機ガラスの全光透過率は好ましくは90%以上である。また、波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。上記無機ガラスの波長550nmにおける屈折率は、好ましくは1.4〜1.65である。
上記無機ガラスの密度は、好ましくは2.3g/cm3〜3.0g/cm3であり、さらに好ましくは2.3g/cm3〜2.7g/cm3である。上記範囲の薄型無機ガラスであれば、より軽量化された透明基板が得られる。
上記無機ガラスの成形方法は、任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記無機ガラスは、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃〜1600℃の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製される。上記無機ガラスの薄板成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形された無機ガラスは、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。
上記無機ガラスは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販の無機ガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。市販の無機ガラスとしては、例えば、コーニング社製「7059」、「1737」または「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、NHテクノグラス社製「NA−35」、日本電気硝子社製「OA−10」、ショット社製「D263」または「AF45」等が挙げられる。
<樹脂硬化物層>
上記樹脂硬化物層の厚みは、好ましくは1μm〜500μmであり、さらに好ましくは5μm〜70μmであり、特に好ましくは10μm〜50μmである。上記樹脂硬化物層が上記無機ガラスの両側の主面に配置される場合、それぞれの樹脂硬化物層の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。好ましくは、それぞれの樹脂硬化物層の厚みは同一である。さらに、それぞれの樹脂硬化物層は、同一の樹脂又は同一の特性を有する樹脂で構成されてもよく、異なる樹脂で構成されてもよい。好ましくは、それぞれの樹脂硬化物層は、同一の樹脂で構成される。したがって、最も好ましくは、それぞれの樹脂硬化物層は、同一の樹脂で同一の厚みになるように構成される。このような構成であれば、加熱処理されても、無機ガラスの両面に熱応力が均等に掛かるため、反りやうねりが極めて生じ難くなる。
上記樹脂硬化物層の厚みの和は、上記無機ガラスの厚みに対して、好ましくは0.01〜6であり、より好ましくは0.05〜3であり、最も好ましくは0.1〜1.5である。上記樹脂硬化物層の総厚の割合がこのような範囲であれば、屈曲性及び寸法安定性に優れる透明基板を得ることができる。
上記樹脂硬化物層の全光透過率は80%以上であり、上記樹脂硬化物層における樹脂硬化物の5%熱重量減少温度は150℃以上である。全光透過率及び5%熱重量減少温度は、例えば実施例に記載の方法により測定することができる。
このような樹脂硬化物層は、例えば下記の第1実施形態又は第2実施形態の樹脂組成物を硬化させることにより得ることができる。
<第1実施形態の樹脂組成物>
第1実施形態の樹脂組成物は、(a)重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体、(b)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び、(c)重合開始剤を含有する。なお、(a)成分における窒素原子含有基を有する構造単位は、アクリル重合体全体の5質量%以下であり、且つ(a)成分は、官能基を有する構造単位を含む。以下、具体的に説明する。
<(a)重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体>
本実施形態で用いられるアクリル重合体とは、(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するアクリルモノマーを1種で重合したもの又は2種以上組み合わせて共重合したものをいう。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物、又は(メタ)アクリロイル基を有していない重合性化合物(アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物)を、アクリルモノマーと共重合させたものであってもよい。このような観点から、本実施形態で用いられるアクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するアクリルモノマーを、アクリル重合体の総量を基準として30〜100質量%有していると好ましく、50〜100質量%有しているとより好ましい。
本実施形態に係る重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体は、官能基を有する構造単位を含む。
官能基をアクリル重合体に導入する方法は特に限定されないが、官能基を有する官能基含有単量体を、ビーズ重合、粒状重合、パール重合等とも呼ばれる懸濁重合の他、溶液重合、塊状重合、沈殿重合、乳化重合などの既存の方法でランダム共重合させることにより、官能基をアクリル重合体に導入することができる。中でも、低コストで高分子量化可能な点で、懸濁重合法を適用することが好ましい。
懸濁重合は、水性溶媒中で懸濁剤を添加して行う。懸濁剤としてはポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質などがあり、中でもポリビニルアルコール等の非イオン性の水溶性高分子が好ましい。非イオン性の水溶性高分子を用いた場合には、得られたアクリル共重合体内にイオン性不純物が残留する可能性が低い点で好ましい。水溶性高分子は、単量体の総量100質量部に対して0.01〜1質量部使用することが好ましい。
また、重合反応においては、一般的に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤等を使用してもよい。重合開始剤としては、後述する(c)重合開始剤と同様のものが挙げられる。連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン等のチオール類などを挙げることができる。
官能基含有単量体は、分子内にカルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、アミド基、リン酸基、シアノ基、マレイミド基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基と、少なくとも1つの重合性の炭素−炭素二重結合とを有することが好ましい。
官能基含有単量体として、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体、無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有単量体、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド類、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチルアクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体などを使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
この中で、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体を使用することが特に好ましい。さらに、このような単量体を使用することによって得られる例えばグリシジル基含有(メタ)アクリル重合体は、アクリル単量体又はオリゴマーと相溶であることが好ましい。グリシジル基含有(メタ)アクリル重合体は、常法によって合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、HTR−860P−3(ナガセケムテックス株式会社、商品名)等が挙げられる。
上記官能基を有する構造単位の量は、アクリル重合体の総量を基準として0.5〜6.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましく、0.8〜5.0質量%であることが特に好ましい。官能基を有する構造単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
また、本実施形態に係る重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体は、窒素原子含有基を有する構造単位がアクリル重合体全体の5質量%以下であり、3質量%以下であるとより好ましく、1質量%以下であると更に好ましく、窒素原子含有基を有する構造単位を含まないことが特に好ましい。上記窒素原子含有基としては、アミノ基、アミド基、シアノ基、マレイミド基等が挙げられる。また、窒素原子含有基を有する構造単位としては、上記に列挙した官能基含有単量体のうち、窒素原子を含む単量体由来の構造単位が挙げられ、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。
本実施形態に係るアクリル重合体を合成する際に使用する官能基含有単量体以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロルスチレン、α−ブロモスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、スチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルメチル、(メタ)アクリル酸フェニルノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−メチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル等の脂環式単量体などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
これらの中で、(メタ)アクリル酸エステル類は、ゲル化せずに重量平均分子量が10万以上の(a)成分を合成しやすくなるので、好ましく用いられる。(メタ)アクリル酸エステル類の中で、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルは、官能基含有単量体との共重合性に優れるため、更に好ましい。
(a)成分は脂環式又は複素環式構造を有する構造単位を含むことが好ましい。脂環式又は複素環式構造を有する構造単位を含むアクリル重合体を製造する際に用いられる脂環式又は複素環式構造含有単量体としては、例えば、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
[式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2は脂環式基又は複素環式基を示し、Xは炭素数1〜6のアルキレン基を示し、nは0〜10の整数を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するXは互いに同一であっても異なっていてもよい。ここで脂環式基とは、炭素原子が環状に結合した構造を有する基であり、複素環式基とは、炭素原子及び1以上のヘテロ原子が環状に結合した構造を有する基である。]
R
2としては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
[式(2)中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はOR
12で示される構造を示し、R
12は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの官能基含有単量体以外の単量体の含有量は、特に制限はないが、本実施形態に係る樹脂組成物に用いられる(a)成分のTgが−50〜50℃の範囲となるように調整されることが好ましく、例えば、単量体として、メタクリル酸グリシジルを2.5質量%、メタクリル酸メチルを43.5質量%、アクリル酸エチルを18.5質量%及びアクリル酸ブチルを35.5質量%用いることで、Tgが12℃で、重量平均分子量が10万以上のエポキシ基含有アクリル重合体である(a)成分を合成できる。
官能基含有単量体を組み合わせて使用する場合の混合比率は、アクリル重合体のTgを考慮して決定し、Tgは−50℃以上であることが好ましい。Tgが−50℃以上であると、Bステージ状態での樹脂組成物のタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じないからである。このような観点から、官能基含有単量体及び官能基含有単量体以外の単量体の混合比率は、100:0〜0.1:99.9であることが好ましく、100:0〜1:99であることがより好ましい。
上記単量体を重合させて、官能基を有する構造単位を含む重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、パール重合、溶液重合、懸濁重合等の方法を使用することができる。
本実施形態に係るアクリル重合体の重量平均分子量は、12万〜300万であることが好ましく、12万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、シート状又はフィルム状としたときの強度、可撓性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当なため配線の回路充填性が確保できる。なお、本実施形態において、重量平均分子量とは例えば以下に示す条件でゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。検量線は、標準ポリスチレンキットPStQuickシリーズ C(東ソー株式会社、商品名)を用いて3次式で近似することができる。
ポンプ:L6000 Pump(株式会社日立製作所)
検出器:L3300 RI Monitor(株式会社日立製作所)
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)(日立化成株式会社、商品名)
カラムサイズ:直径8mm×300mm
溶離液:DMF/THF(質量比1/1)+LiBr・H2O 0.03mol/l+H3PO4 0.06mol/l
試料濃度:0.1質量%
流量:1ml/min
測定温度:40℃
官能基を有する構造単位を含む重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体成分の使用量は、下記(b)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、10〜400質量部が好ましい。この範囲にあると、良好な貯蔵弾性率を示し、成型時のフロー性抑制が確保でき、且つ高温での取り扱い性も充分に得られる。このような観点から、上記使用量は、15〜350質量部がより好ましく、20〜300質量部が特に好ましい。
<(b)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物>
本実施形態に係る少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、特に限定されず、脂環式骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体、脂肪族骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体、ジオキサングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体、官能基を有する多官能(メタ)アクリル単量体等が挙げられる。なお、ここでの「多官能」とは、(メタ)アクリロイル基についていうものであり、化合物中に少なくとも2以上の(メタ)アクリロイル基を有することを意味する。
硬化物の透明性を向上させる観点からは、脂環式骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体及びジオキサングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体が好ましい。
多官能(メタ)アクリル単量体としては、下記の(メタ)アクリロイル基を2つ有する(メタ)アクリル単量体を挙げることができる。
(メタ)アクリロイル基を2つ有する(メタ)アクリル単量体としては、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬株式会社、KAYARAD R−684、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等)、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(例えば、新中村化学株式会社、A−DCP、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等)、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬株式会社、KAYARAD R−604、ジオキサングリコールジアクリレート、新中村化学株式会社、A−DOG、ジオキサングリコールジアクリレート等)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート(好ましくはポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、より好ましくはエチレンオキサイド5〜15モル変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート)、(ポリ)エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記の中では、硬化物の透明性を向上させる観点から、ジオキサングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等がより好ましい。
また、多官能(メタ)アクリル単量体としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を3つ有する(メタ)アクリル単量体を挙げることもできる。なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、(b)成分とは別に、単官能(メタ)アクリル単量体を含有してもよい。単官能(メタ)アクリル単量体としては、上記(a)成分で例示したアクリル単量体が挙げられる。
<(c)重合開始剤>
本実施形態に係る(c)重合開始剤としては、例えば、(c1)熱重合開始剤又は(c2)光重合開始剤、若しくはその両方を用いることができる。
(c1)熱重合開始剤としては、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、商品名;1時間半減期温度71.3℃、10時間半減期温度53.2℃)、ジラウロイルパーオキサイド(パーヘキシルL、商品名;1時間半減期温度79.3℃、10時間半減期温度61.6℃)、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(パーロイル355、商品名;1時間半減期温度76.8℃、10時間半減期温度59.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(パーオクタO、商品名;1時間半減期温度84.4℃、10時間半減期温度65.3℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(パーブチルO、商品名;1時間半減期温度92.1℃、10時間半減期温度72.1℃)、ベンゾイルパーオキサイド+水(ナイパーBW、商品名;1時間半減期温度92.0℃、10時間半減期温度73.6℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、商品名;1時間半減期温度106.4℃、10時間半減期温度86.7℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、商品名;1時間半減期温度107.3℃、10時間半減期温度87.1℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(パーヘキシルI、商品名;1時間半減期温度114.6℃、10時間半減期温度95.0℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(パーブチルI、商品名;1時間半減期温度118.4℃、10時間半減期温度98.7℃)、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、商品名;1時間半減期温度135.7℃、10時間半減期温度116.4℃)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(パーヘキサV、商品名;1時間半減期温度126.5℃、10時間半減期温度104.5℃)等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1,1−カルボニトリル)−2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
これらの熱重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの熱重合開始剤の中でも、硬化物の物性特性を向上する効果が大きいとの観点から、有機過酸化物が好ましく、10時間半減期温度が90〜150℃である有機過酸化物がより好ましい。
(c1)成分の配合量は、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.2〜20質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部である。
上記で挙げた熱重合開始剤の中でも好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド(パークミルD)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(パーヘキサV)が挙げられる。
(c2)光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル類、芳香族ケトン、キノン類、ベンゾインエーテル化合物、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、クマリン系化合物、N−フェニルグリシン誘導体等が挙げられる。なお、本実施形態で用いる光重合開始剤(c2)は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。
これらの中でも、光硬化性の向上、高感度化、硬化膜の透明性の観点から、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル類が好ましい。
なお、光重合開始剤(c2)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アシルフォスフィンオキサイドとしては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE−819、BASF社、商品名)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(LUCIRIN TPO、BASF社、商品名)等が挙げられる。
オキシムエステル類としては、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE−OXE01、BASF社、商品名)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE−OXE02、BASF社、商品名)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[o−(エトキシカルボニル)オキシム](Quantacure−PDO、日本化薬株式会社、商品名)等が挙げられる。
芳香族ケトンとしては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE−651、BASF社、商品名)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(IRGACURE−369、BASF社、商品名)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(IRGACURE−907、BASF社、商品名)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル-プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE−127、BASF社、商品名)等が挙げられる。
キノン類としては、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等が挙げられる。
ベンゾインエーテル化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等が挙げられる。
ベンジル誘導体としては、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物の他、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体としては、2−(2−クロロフェニル)−1−[2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル]−4,5−ジフェニルイミダゾール等が挙げられる。
アクリジン誘導体としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等が挙げられる。
クマリン系化合物としては、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−メチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、7−アミノシクロペンタ[c]クマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジメチルアミノクマリン、2,3,6,7,10,11−ヘキサンヒドロ−1H,5H−シクロペンタ[3,4][1]ベンゾピラノ−[6,7,8−ij]キノリジン12(9H)−オン、7−ジエチルアミノ−5’,7’−ジメトキシ−3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス[7−(ジエチルアミノ)クマリン]、7−ジエチルアミノ−3−チエノキシルクマリン等が挙げられる。
N−フェニルグリシン誘導体としては、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシンブチルエステル、N−p−メチルフェニルグリシン、N−p−メチルフェニルグリシンメチルエステル、N−(2,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−メトキシフェニルグリシン等が挙げられる。
(c2)光重合開始剤の配合量は、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.75〜5質量部である。
<有機溶媒>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(a)、(b)及び(c)成分以外に、必要に応じて後述の任意成分を、有機溶媒に溶解又は分散してワニス状とすることができる。これにより、基材への塗布性を向上させ、作業性を良好にすることができる。
ワニス状にするために用いる有機溶媒としては、樹脂組成物となる成分を均一に撹拌混合、溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。用いる有機溶媒としては、特に制限されないが、アルコール系、エーテル系、ケトン系、アミド系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系等が挙げられる。具体的には、低温での揮発性等を考慮して低沸点のジエチルエーテル、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、メチルエチルケトン、2−プロパノール等、塗膜安定性を向上させる等の目的で高沸点の、トルエン、メチルイソブチルケトン、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、キシレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、ブチルセロソルブ、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、溶解性に優れ、乾燥速度が速いことから、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を使用することが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物に用いられる有機溶媒の量は、ワニス状態にしたときの粘度等によって決定されるもので、特に制限はないが、樹脂組成物全体に対して、概ね、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%の範囲で用いられる。
<(d)酸化防止剤>
本実施形態に係る樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加することができる。本実施形態に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物に用いられる酸化防止剤の量は、(a)、(b)及び(c)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。
<カップリング剤>
本実施形態に係る樹脂組成物には、カップリング剤を添加することができる。用いられるカップリング剤としては特に制限はなく、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等の各種のものが用いられる。
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロキシエトキシ)シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(4,5−ジヒドロイミダゾリル)プロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリグリシドキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、エトキシシラントリイソシアネート等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピル(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピオネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、ジルコニウムアセチルアセトネートアセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート等が挙げられる。
ジルコアルミネート系カップリング剤は、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
(式(3)中、Rはカルボキシル基又はアミノ基を示す。)
上記Rがカルボキシル基である化合物としては、マンシェム CPG−カルボキシジルコアルミネート等があり、また、Rがアミノ基である化合物としては、マンシェム APO−X−アミノジルコアルミネート溶液等が挙げられ、それぞれローヌプーランク社より入手可能である。
カップリング剤の配合量は、(a)、(b)及び(c)成分の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜15質量部が特に好ましい。この配合割合が0.1質量部以上であれば、接着強度の向上効果が得られやすい傾向にあり、20質量部以下であれば、揮発分が少なく、硬化物中にボイドが生じにくくなる傾向がある。
これらのカップリング剤の中では、材料間の界面の結合又は濡れ性をよくする意味で効果が高いシランカップリング剤を選択することが好ましい。
<充填剤>
本実施形態に係る樹脂組成物には、更に必要に応じて充填剤を含有してもよい。充填剤の種類としては、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられるが、耐熱性若しくは熱伝導性を向上させる、又は溶融粘度の調整若しくはチキソトロピック性を付与する観点から、無機フィラーが好ましい。
無機フィラーとしては、特に制限はなく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ホウ酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整又はチキソトロピック性の付与には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
透明性及び作業性の観点から充填剤の配合量は溶媒を除く樹脂組成物全体の3質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物に充填剤を添加した際のワニスの製造には、分散性を考慮して、ライカイ機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル等によって物理的なせん断力を与え、二次凝集した粒子がないように充分に分散させた後に使用するのが好ましい。上記の分散方法は、組み合わせて使用することができる。
また、充填剤と低分子量物を予め混合した後、高分子量物を配合することによって、混合する時間を短縮することが可能になる。
各々の成分を均一に撹拌混合する方法については、特に制限はないが、デゾルバー、スタテックミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、プラネタリーミキサー、ミックスローター、万能撹拌機等の自転公転式撹拌機の他、ライカイ機、3本ロール等の混練装置などを用いる方法が挙げられ、適宜、組み合わせて用いることができる。ワニス状とした後は、ワニス中の気泡を除去することが好ましい。この意味で、自転公転式撹拌機は、混合及び溶解と気泡の除去とを同時に行うことができるため好適に用いられる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、更に必要に応じて酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高級脂肪酸等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤などを単独又は数種類組み合わせて、適宜添加することができる。
なお、本実施形態に係る溶媒を除いた樹脂組成物全体において、窒素含有率は8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。窒素含有率をこの範囲とすることにより、窒素酸化物由来の着色がより高度に抑えられるため好ましい。
<第2実施形態の樹脂組成物>
第2実施形態の樹脂組成物は、(a’)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物、(b’)熱重合開始剤、(c’)ヒンダードフェノール系化合物、(d’)チオエーテル系化合物、及び、(e’)チオール基を有する化合物、を含有する。また、第2実施形態の樹脂組成物は、上述の(a)重量平均分子量が10万以上であるアクリル重合体を更に含んでいてもよい。以下、具体的に説明する。
<(a’)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物>
本実施形態で用いられる少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、好ましくは、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物としては、脂環式骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体、脂肪族骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体、ジオキサングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体、官能基を有する多官能(メタ)アクリル単量体等が挙げられる。なお、ここでの「多官能」とは、エチレン性不飽和基についていうものであり、化合物中に少なくとも2以上のエチレン性不飽和基を有することを意味する。
硬化物の透明性を向上させる観点からは、脂環式骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体及びジオキサングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル単量体が好ましい。
多官能(メタ)アクリル単量体としては、下記の(メタ)アクリロイル基を2つ有する(メタ)アクリル単量体を挙げることができる。
(メタ)アクリロイル基を2つ有する(メタ)アクリル単量体としては、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬株式会社、KAYARAD R−684、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等)、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(例えば、新中村化学株式会社、A−DCP、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等)、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬株式会社、KAYARAD R−604、ジオキサングリコールジアクリレート、新中村化学株式会社、A−DOG、ジオキサングリコールジアクリレート等)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート(好ましくはポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、より好ましくはエチレンオキサイド5〜15モル変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート)、(ポリ)エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記の中では、硬化物の透明性を向上させる観点から、ジオキサングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等がより好ましい。
また、多官能(メタ)アクリル単量体としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を3つ有する(メタ)アクリル単量体を挙げることもできる。
さらに、多官能(メタ)アクリル単量体は、例えば、アミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、反応性が高い点等から、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物は、例えば、β位等に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物との付加反応物であるウレタン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO・PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート、ジオール化合物と2つの水酸基及び2つのエチレン性不飽和基を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記β位等に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記ジイソシアネート化合物は、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明の効果をより高いレベルで達成するために、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物の官能基数((メタ)アクリロイルオキシ基の数)及び重量平均分子量を最適化することが好ましい。これにより、粘度を過度に高めることなく選択できる材料の範囲が広くなるため、樹脂組成物の粘度を容易に調整することができる。樹脂組成物の粘度は溶媒を用いることでも低くすることが可能であるが、官能基数及び重量平均分子量が適正された(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物を用いることにより、溶媒の量を低減することができる。溶媒の量を低減することで、硬化後の樹脂層の良好な特性及び信頼性を維持しやすい。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物の官能基数は、好ましくは2〜15であり、より好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜10である。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは950〜25000である。この重量平均分子量は、塗布性向上の観点から、より好ましくは950〜15000であり、相溶性の観点から、更に好ましくは950〜11000である。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物としては、硬化後の耐熱性、パターンを有する樹脂層の強度及び密着性の観点から、下記一般式(11)で表される化合物が好ましい。
式(11)中、R
21及びR
22は、それぞれ独立に2価の有機基を示す。その具体例としては、炭素数1〜15の直鎖又は分枝アルキレン基及び置換基を有してもよい脂環式基を含む炭素数1〜20の基が挙げられる。ここで脂環式基とは、炭素原子が環状に結合した構造を有する基である。qは1以上の整数であり、例えば1〜5である。R
22は下記の構造で表される2価の基であることが好ましい。
代表的な(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物としては、他に下記式(12)、(13)、(14)、(15)及び(16)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記各式で表される化合物の市販品としては、上記式(12)で表される化合物であるUN−952(官能基数:10、Mw:6500〜11000)等が挙げられる。
その他、アクリロイル基を有するウレタン系化合物(アクリロイルオキシ基を有する化合物)の市販品としては、例えば、UN−904(官能基数:10、Mw:4900)、UN−333(官能基数:2、Mw:5000)、UN−1255(官能基数:2、Mw:8000)、UN−2600(官能基数:2、Mw:2500)、UN−6200(官能基数:2、Mw:6500)、UN−3320HA(官能基数:6、Mw:1500)、UN−3320HC(官能基数:6、Mw:1500)、UN−9000PEP(官能基数:2、Mw:5000)、UN−9200A(官能基数:2、Mw:15000)、UN−3320HS(官能基数:15、Mw:4900)、UN−6301(官能基数:2、Mw:33000)(以上はいずれも、根上工業株式会社、商品名)、TMCH−5R(日立化成株式会社、商品名;官能基数:2、Mw:950)、KRM8452(官能基数=10、Mw=1200)、及びEBECRYL8405(ウレタンアクリレート/1,6−ヘキサンジオールジアクリレート=80/20の付加反応物、官能基数:4、Mw:2700)(以上はいずれも、ダイセル・サイテック株式会社、商品名)が挙げられる。
メタクリロイル基を有するウレタン系化合物(メタクリロイルオキシ基を有する化合物)の市販品としては、例えば、UN−6060PTM(根上工業株式会社、商品名;官能基数:2、Mw:6000)、JTX−0309(日立化成株式会社、商品名)及びUA−21(新中村化学工業株式会社、商品名)が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物の含有量は、耐熱性を向上させる観点から、(a’)成分の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。この含有量が10質量%以上であると、塗工性及び樹脂組成物の硬化物に要求される各種特性をより高いレベルで保持できる。また、上記含有量は、(a’)成分の総量に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
樹脂組成物は、(a’)成分として、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物及びそれ以外の多官能(メタ)アクリル単量体を複合使用してもよい。この多官能(メタ)アクリル単量体としては、例えば、アミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、(a’)成分とは別に、単官能(メタ)アクリル単量体を含有してもよい。単官能(メタ)アクリル単量体としては、上述の(a)成分が挙げられる。
<(b’)熱重合開始剤>
本実施形態に係る(b’)熱重合開始剤としては、第1実施形態の樹脂組成物における(c1)熱重合開始剤と同様のものを用いることができる。
(b’)成分の配合量は、(a’)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.2〜20質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部である。
本実施形態においては(b’)熱重合開始剤を配合するが、状況に応じて光重合開始剤を配合してもよい。光重合開始剤としては、第1実施形態の樹脂組成物における(c2)光重合開始剤と同様のものが挙げられる。
光重合開始剤の配合量は、(a’)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.75〜5質量部である。
<(c’)ヒンダードフェノール系化合物>
本実施形態に係る(c’)ヒンダートフェノール系化合物は、分子中にフェノール性水酸基を有し、熱が起因となり樹脂中に発生した過酸化ラジカル(ROO・)を捕捉する能力を有する化合物である。ヒンダートフェノール系化合物としては、上記作用をもたらすものであれば特に限定はされないが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)及びトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒンダードフェノール系化合物は、一般的に市販させているものを用いてもよいし、常法に従い製造してもよい。
(c’)成分の市販品としては、株式会社ADEKAのアデカスタブAOシリーズ(30、50、60、70、80、330等)、チバ・ジャパン株式会社のイルガノックスシリーズ(イルガノックス1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425、1520、245、259、3114等)などが挙げられる。
(c’)成分の含有量は、相溶性及び着色性の観点から、(a’)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。
<(d’)チオエーテル系化合物>
本実施形態に係る(d’)チオエーテル系化合物は、分子内にチオエーテル結合を有する化合物であり、好ましくは下記一般式(17)で表される化合物である。
[式(17)中、R
aは同一でも異なっていてもよく、炭素数10〜20のアルキル基を
示す。]
チオエーテル系化合物は、一般的に硫黄系酸化防止剤として市販されているものを用いてもよいし、常法に従い製造してもよい。
式(17)で表されるチオエーテル系化合物としては、例えば、ジラウリルチオジイソプロピオネート(S(CH2CH2COOC12H25)2)、ジトリデシルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC13H27)2)、ジミリスチルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC14H29)2)、ラウリルステアリルチオジプロピオネート((H25C12O(O)CCH2CH2)S(CH2CH2COOC18H37))及びジステアリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC18H37)2)が挙げられる。
上記チオエーテル系化合物の含有量は、硬化物の酸化劣化抑制、相溶性及び着色性の観点から、(a’)成分の総量100重量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましい。
<(e’)チオール基を有する化合物>
本実施形態に係る(e’)チオール基を有する化合物は、沸点が250℃以上の化合物であることが好ましい。また、熱により樹脂中に生じる共役系に付加反応しその共役構造を切断する作用を有する化合物であることが好ましく、特に、キノンを分解できる塩基性を示さない水素供与体であることがより好ましい。また、チオール基を3つ以上有する化合物であることが好ましい。
分子中にチオール基を有する化合物としては、下記一般式(18)で表される化合物が好ましい。
[式(18)中、Eはp価の有機基を示し、pは1〜6の整数を示す。]
このような化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が挙げられる。これらの化合物は、カレンズMTシリーズ(カレンズ MT NR1、カレンズ MT PE1等)として、昭和電工株式会社から入手可能である。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分子中にチオール基を有する化合物の含有量は、硬化物の酸化劣化抑制、相溶性及び着色性の観点から、(a’)成分の総量100質量部に対して、0.01〜2質量部であることが好ましい。
<有機溶媒>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(a’)、(b’)、(c’)、(d’)及び(e’)成分以外に、必要に応じて後述の任意成分を、有機溶媒に溶解又は分散してワニス状とすることができる。有機溶媒としては、上記第1実施形態の樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、カップリング剤又は充填剤を含有してもよい。カップリング剤又は充填剤としては、上記第1実施形態の樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、更に必要に応じてバインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、アクリル重合体、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。透明性の観点から、バインダー樹脂はアクリル重合体が好ましく、上述の(a)成分がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物に充填剤を添加した際のワニスの製造には、分散性を考慮して、ライカイ機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル等によって物理的なせん断力を与え、二次凝集した粒子がないように充分に分散させた後に使用するのが好ましい。上記の分散方法は、組み合わせて使用することができる。
また、充填剤と低分子量物を予め混合した後、高分子量物を配合することによって、混合する時間を短縮することが可能になる。
各々の成分を均一に撹拌混合する方法については、特に制限はないが、デゾルバー、スタテックミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、プラネタリーミキサー、ミックスローター、万能撹拌機等の自転公転式撹拌機の他、ライカイ機、3本ロール等の混練装置などを用いる方法が挙げられ、適宜、組み合わせて用いることができる。ワニス状とした後は、ワニス中の気泡を除去することが好ましい。この意味で、自転公転式撹拌機は、混合及び溶解と気泡の除去とを同時に行うことができるため好適に用いられる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、更に必要に応じて硬化遅延剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、接着性付与剤、重合禁止剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤等を単独又は数種類組み合わせて、適宜添加してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物には、更に必要に応じて酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高級脂肪酸等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤などを単独又は数種類組み合わせて、適宜添加することができる。
上述の第1実施形態及び第2実施形態の樹脂組成物は、無機ガラスに直接塗工してもよく、フィルム状に形成した後に無機ガラスに貼り付けてもよい。
樹脂組成物を塗工する方法としては、ディスペンス法、スピンコート法、ダイコート法、ナイフコート法等の手法が挙げられるが、特に高分子量の化合物を含有する組成物の塗布に適しているスピンコート法又はダイコート法が好ましい。
上述の樹脂組成物は、例えば以下に示す方法によりフィルム状に形成することができる。
上述の樹脂組成物を、支持フィルム上に均一に塗布し、使用した溶媒が充分に揮散する条件、例えば、60〜200℃の温度で0.1〜30分間加熱することにより、フィルム状の樹脂組成物を形成する。このとき、フィルム状の樹脂組成物が所望の厚さとなるように、樹脂組成物の溶媒量、粘度、塗布初期の厚さ(ダイコーター、コンマコーター等のコーターを用いる場合は、コーターと支持フィルムのギャップを調整する)、乾燥温度、風量等を調整する。
支持フィルムは、平坦性を有することが好ましい。例えば、PETフィルムのような支持フィルムは静電気による密着が高いため、作業性を向上するために平滑剤を使用している場合がある。平滑剤の種類及び温度によっては、接着剤に微妙な凹凸を転写し平坦性を下げる場合がある。したがって、平滑剤を使用していない支持フィルム又は平滑剤の少ない支持フィルムを使用することが好ましい。また、ポリエチレンフィルム等の支持フィルムは柔軟性に優れる点で好ましいが、ラミネート時にロール痕等が樹脂層表面に転写しないよう、支持フィルムの厚さ及び密度を適宜選択することが好ましい。
<透明基板>
本実施形態の透明基板は、例えば、上述の樹脂組成物を塗工することにより上記無機ガラス上に樹脂層を形成した後に樹脂層を硬化させる方法や、無機ガラス上に樹脂フィルムを貼り付けて樹脂層を形成した後に樹脂層を硬化させる方法等が挙げられる。好ましくは、樹脂フィルムを貼り付けて上記無機ガラス上に樹脂層を形成した後に樹脂層を硬化させる方法である。このような方法であれば、R2Rプロセスに適合した形で製造が可能であり、低コストで透明基板を得ることができる。
上記貼付工程により上記無機ガラス上に樹脂層を形成して透明基板を得る方法は、好ましくは、樹脂フィルムを上記無機ガラスの片側又は両側に加熱・圧着する工程と、貼付後の樹脂フィルムを加熱あるいは紫外線照射処理して上記樹脂層を硬化する硬化工程を含む。
上記樹脂フィルムの貼付方法としては、熱ラミネータや真空ラミネータが挙げられる。
上記硬化工程としては、任意の適切な硬化方法(例えば、窒素フロー下)が採用され得る。例えば、加熱硬化の場合には、乾燥温度は代表的には120℃〜220℃であり、硬化時間は代表的には20分〜180分である。
次に、透明基板及び有機EL素子を製造する工程の一例について具体的に説明する。
(1)ワニスの調製
上述樹脂組成物の成分を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製する。
ワニスの調製に用いる際の有機溶媒の使用量には特に制限はなく、有機溶媒は加熱乾燥などにより樹脂フィルムから除去されるものであるが、樹脂フィルム作製後の有機溶媒量(残存揮発分)は全重量基準で0.01〜3重量%が好ましく、耐熱信頼性の観点からは全重量基準で0.01〜2重量%がより好ましく、全重量基準で0.01〜1.5重量%が更に好ましい。
上記の混合、混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
<フィルム塗工>
(2) 上記(1)で得られたワニスを基材上に塗工し、ワニスの層を形成する。基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルムなどを用いることができる。塗工には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができ、塗工厚みは、最終的な樹脂フィルムの厚さを考慮して決定されるが、5〜250μmとすることが好ましい。
(3)加熱乾燥
上記(2)で得られた、ワニスを塗工した基材を加熱乾燥する。加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。加熱乾燥後、基材を除去して樹脂フィルム(Bステージフィルム)を得ることができる。
樹脂フィルムの厚さは、基板の割れ防止を可能とするため、5〜250μmとすることが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果や全光透過率が低くなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、軽量化の要求に応えられない可能性がある。なお、応力緩和効果があり、また、基板を薄型化できる点で5〜50μmがより好ましく、さらに好ましくは5〜30μmである。
<真空ラミネート>
(4) (3)で得られた樹脂フィルムをガラスに貼りつける。貼り付けの条件は樹脂フィルムが気泡なく均一に貼り付けることができればその方法を問わない。真空ラミネートによって貼り付ける場合には、通常40〜120℃、0.2〜1.5MPaで貼り付ける。温度が40℃よりも低いまたは圧力が0.2MPaよりも小さい場合には樹脂がガラス層に接着しない可能性があり、温度が120℃よりも高い場合には樹脂が変性する可能性がある。また、圧力が1.5MPaよりも大きい場合にはガラスフィルムが割れる可能性がある。
<加熱硬化>
(5) (4)で得られた樹脂貼付けガラスフィルムをオーブン中で加熱し、樹脂成分を硬化することで透明基板を得る。
<電極の作成>
(6) 750μmのガラス板に真空蒸着法によりIZOをスパッタする。
<EL素子の作成>
(7) (6)で得られた基板に有機EL素子を形成し、上層を封止する。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(アクリル重合体1の合成)
アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(FA−513A、日立化成株式会社、商品名)300g、アクリル酸ブチル(BA)350g、メタクリル酸ブチル(BMA)300g、メタクリル酸グリシジル(GMA)50g及びメタクリル酸2−エチルヘキシル(2EHMA)50gを混合し、得られた単量体混合物に更にジラウロイルパーオキサイド5g及び連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.45gを溶解させて、混合液とした。
撹拌機及びコンデンサを備えた5Lのオートクレーブに懸濁剤としてポリビニルアルコール0.44g及びイオン交換水2000gを加えた。更に撹拌しながら上記混合液を加え、撹拌回転数250min−1、窒素雰囲気下において60℃で5時間、次いで90℃で2時間重合させ、樹脂粒子を得た(重合率は、質量法で99%であった。)。この樹脂粒子を水洗、脱水及び乾燥することによりアクリル重合体1を得た。得られたアクリル重合体1の重量平均分子量はMw=48万であった。
(樹脂フィルム1の作製)
表1に示す配合割合で各成分を配合し、樹脂組成物の溶液を得た。得られた樹脂組成物の溶液を、ガラス板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、100℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚が10μmである樹脂フィルム1を形成した。
(樹脂フィルム2の作製)
表2に示す配合割合で各成分を配合し、樹脂組成物の溶液を得た。得られた樹脂組成物の溶液を、ガラス板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、100℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚が10μmである樹脂フィルム2を形成した。
なお、表1及び2中の成分は、具体的には下記の成分を示す。
A−DOG:新中村化学株式会社製(商品名)、化学物質名:ジオキサングリコールジアクリレート
パークミルD:日油株式会社製(商品名)化学物質名;ジクミルパーオキサイド、1時間半減期温度135.7℃、10時間半減期温度116.4℃
KBM−503:信越化学工業株式会社製(商品名)、シランカップリング剤、化学物質名;メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル
PGMEA:関東化学株式会社製、化学物質名;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
AO−80:株式会社ADEKA製(商品名)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、化学物質名;ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸](2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイル)ビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)
NR1:共栄社化学株式会社製(商品名)、化学物質名;1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
AO−503:株式会社ADEKA製(商品名)、チオエーテル系酸化防止剤、化学物質名;3,3−チオビスプロピオン酸ジトリデシル
UN−952:根上工業株式会社製(商品名)、化学物質名;ウレタンアクリレートオリゴマー、官能基数:10、Mw=6500〜11000
BPE−100:新中村化学株式会社(商品名)、化学物質名;エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート
AO−412S:株式会社ADEKA製(商品名)、チオエーテル系酸化防止剤、化学物質名;ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル
カレンズ MT NR1:昭和電工株式会社製(商品名)、化学物質名;1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
DMAc:関東化学株式会社、化学物質名;ジメチルアセトアミド
(実施例1)
厚み50μm、縦100mm×横100mmの無機ガラス(OA−10、日本電気硝子社製)の片面表面をN2ブローで洗浄し、0.5MPa/65℃/60sの条件で縦130mm×横130mmの樹脂フィルム1を真空ラミネートした。180℃で120分間加熱硬化処理を行い、厚み60μmの透明基板を得た。
(実施例2)
樹脂フィルム1に代えて樹脂フィルム2を用いた他は実施例1と同様にして透明基板を得た。
(比較例1)
厚み700μmのガラス板を基板とした。
(比較例2)
厚み50μmのガラス板を基板とした。
(比較例3)
厚み50μmのPENフィルムを基板とした。
(比較例4)
樹脂フィルム1を基板とした。
(比較例5)
樹脂フィルム2を基板とした。
実施例及び比較例の基板(透明基板)について、それぞれ以下に示す3mm折曲試験、全光透過率試験、5%重量減少温度試験及び発光保持時間試験を行った。その結果を表3に示す。
(3mm折曲試験)
直径3cmの円柱(SUS製)に、5cm×5cmの基板を巻きつけ、割れが発生せずに巻きつけることができればOKとした。
(全光透過率試験)
全光透過率測定装置により、測定を行った。空気をリファレンスとした。
(5%重量減少温度試験)
Tg/DTAによって重量減少度を測定した。昇温速度:5℃/min
(発光保持時間試験)
85℃、85%RHに設定した恒温恒湿試験機内に、製作した有機EL素子を入れた。1、2、4、8、16、25、50、100、150、200、250hの各時間投入した後、発光を確認することができればOKとした。
(基板重量測定)
1cm
2の基板の重量を重量計によって測定した。
表3より、実施例1、2は透明性、発光保持時間が比較例1と同等レベルであることに加え、軽量化されていることを示している。また、5%重量減少温度も200℃以上であることから、本発明の透明基板はアウトガスが少なく、高い信頼性を有していることがわかる。一方で、比較例2は折曲試験時の割れが発生することから、本発明の基板構成のうち、樹脂層が割れを低減していることを示している。さらに、本発明の透明基板を用いた有機EL素子は、比較例3、4、5と比べて発光保持時間が長く、高い信頼性を有している。これは本発明の基板構成のうち、ガラス層が有する高い水蒸気バリア性によって信頼性を保持していることを示している。