JP6432532B2 - ステータ - Google Patents

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Description

本発明は、ステータに関し、特に、絶縁紙がスロットに装着された回転電機に関する。
コイルとステータコアとの間の絶縁性を確保する絶縁性のカフスを含むステータについて各種提案されている(特許文献1,2)。
たとえば、特開2014−135865号公報に記載されたステータは、内周面に複数のステータティースが形成されたステータコアと、ステータコアの端面に設けられた環状のカフスと、ステータティース間に形成されたスロット内に挿入された絶縁紙とを含む。そして、スロットには、コイルが装着されている。
特開2007−312549号公報 特開2003−299289号公報 特開2014−135865号公報
特開2014−135865号公報に記載されたステータにおいては、絶縁紙の端部は、カフスとステータコアとの間に挟み込まれる。スロットにコイルを巻回する工程において、カフスに外力が加えられ、カフスが少し動く場合がある。この際、絶縁紙のうち、カフスとステータコアとの間で挟み込まれている部分が破れるおそれがある。絶縁紙に破れが生じると、ステータコアが絶縁紙から露出し、コイルおよびステータコアとの間の絶縁性を確保することが困難となる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ステータコアとコイルとの間の絶縁性が確保されたステータを提供することである。
本発明に係るステータは、環状に延びるヨーク部と、ヨーク部の周面に形成されると共にヨーク部の周方向に間隔をあけて形成された複数のステータティースとを含む環状のステータコアと、ステータコアの厚さ方向に配列する一対の端面のうち一方の端面に配置され、ステータティースに配置されている絶縁部材と、周方向に隣り合うステータティースの間に形成されたスロットに配置されると共に、一方の端面に位置するスロットの開口部から外部に突出しているコイルと、スロットに配置されると共にコイルとステータコアの間に配置されており、スロットの開口部から突出するように設けられている絶縁紙とを備える。上記絶縁紙は、ステータティースに沿って延びる側壁部と、ヨーク部の周面に沿って延びると共に側壁部に接続された底壁部とを含み、スロットを形成するステータコアの内表面には、絶縁紙の側壁部および底壁部の接続部分と隣り合う位置に、凹部が形成されており、凹部は、凹部を形成するステータコアの内表面が接続部分から離れるように形成されると共に、一方の端面から厚さ方向に延びるように形成されており、絶縁部材は、凹部に配置された突起部を含む。
上記のステータにおいては、ステータティースにコイルを巻きつける際に、絶縁紙の側壁部のうち、スロットの開口部から突出する突出部分はコイルによって周方向に押される。当該突出部分は、周方向に押されると、ステータティース上に配置されている絶縁部材の表面に沿って変形する。その一方で、絶縁紙の底壁部は、周方向に延びるように形成されており、周方向に変形し難くなっている。
そのため、側壁部および底壁部の接続部分において、接続部分の端部が裂けやすくなる。接続部分の端部が裂けると、まず、絶縁部材の上面が露出する。絶縁部材の上面が露出した時点では、ステータコアとコイルとの間の絶縁性は確保されている。
接続部分の端部で生じた裂け部分が進展して、裂け部分がスロットにまで達する場合がある。その一方で、ステータコアのうち、接続部分と隣り合う位置には、凹部が形成されており、この凹部には絶縁部材の突起部が配置されている。
このため、絶縁紙の裂け部分がスロットにまで達したとしても、絶縁部材の突起部が絶縁紙から露出することになり、ステータコアが絶縁紙から露出することが抑制される。
その結果、ステータコアとコイルとの間の絶縁性を確保することができる。
好ましくは、上記側壁部は、周方向に隣り合う2つのステータティースの一方に沿って延びる第1側壁部と、他方のステータティースに沿って延びる第2側壁部を含む。上記接続部分は、第1側壁部および底壁部を接続する第1接続部分と、第2側壁部および底壁部を接続する第2接続部分とを含む。上記凹部は、第1側壁部と隣り合う第1隣接位置から、第1接続部分と隣り合う位置および第2接続部分と隣り合う位置を通り、第2側壁部と隣り合う第2隣接位置に達するように形成されている。上記突起部は、第1隣接位置から第2隣接位置に亘って延びるように形成されている。
上記ステータにおいては、凹部および突起部は、第1側壁部と隣り合う第1隣接位置から、第1接続部分と隣り合う位置および第2接続部分と隣り合う位置を通り、第2側壁部と隣り合う第2隣接位置に達するように形成されている。このため、絶縁紙において、第1接続部分およびその周囲に位置する部分と、第2接続部分およびその周囲に位置する部分とで裂けが生じたとしても、突起部が露出することになり、ステータコアが露出することが抑制されている。
好ましくは、上記ステータティースのうち、凹部よりもステータコアの径方向内方側に位置する部分には、先端凹部が形成されている。上記絶縁部材は、先端凹部に配置されている先端突起部を含む。
上記のステータにおいては、絶縁部材は、凹部に配置される突出部と、先端凹部に配置される先端突起部とによってステータコアと係合する。そのため、絶縁部材がステータコアの端面からずれることを抑制することができる。
本発明に係るステータによれば、ステータコアとコイルとの間の絶縁性を確保することができる。
本実施の形態1に係るステータを含む回転電機を示す断面図である。 ステータ4の内周面の一部を展開した展開図である。 ステータ4を示す分解斜視図である。 絶縁紙40、カフス20およびステータコア10の一部を示す斜視図である。 ステータコア10、カフス20および絶縁紙40を示す分解斜視図である。 スロット24の開口部およびその周囲に位置する構成を示す斜視図である。 凹部45を示す平面図である。 カフス20の表面のうち、端面11に装着される装着面47側を示す斜視図である。 カフス20を端面11に装着した状態を示す斜視図である。 図9に示す状態において、突起部48およびその周囲に位置する構成を示す断面斜視図である。 絶縁紙40、突起部48およびその周囲の構成を示す断面斜視図であり、端面11における断面図である。 ステータ4の製造工程を示す工程フロー図である。 図12に示す工程2〜工程4を模式的に示す斜視図である。 複数のセグメント83が各スロット24などに挿入された状態を示す展開図である。 図14に示す工程を模式的に示す展開図である。 セグメント83の脚部を曲げる工程を示す展開図である。 図16に示す工程を模式的に示す図である。 図17に示すセグメントの曲げ工程を実施した後における絶縁紙40およびその周囲の構成を示す斜視図である。 絶縁紙40を示す斜視図である。 絶縁紙40の接続部分59の上端が裂けた状態を示す斜視図である。 ステータティース23およびその周囲の構成を示す一部断面図である。 実施の形態2に係る回転電機1Aを示す分解斜視図である。 カフス20Aの装着面47を示す斜視図である。 ステータティース23の先端部側における断面図である。 突起部48および凹部45の構造の変形例を示す斜視図である。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係るステータを含む回転電機を示す断面図である。この図1に示すように、回転電機1は、回転中心線Oを中心として回転する回転シャフト2と、回転シャフト2の外周面に固定されたロータ3と、ロータ3の周囲を取り囲むように形成されたステータ4とを含む。
ロータ3は、円筒状のロータコア5と、ロータコア5に形成された磁石挿入孔6に挿入された永久磁石7とを含む。V字配置された一対の永久磁石7によって1つの磁極8が形成されており、この図1に示す例においては、ロータ3には、8磁極形成されている。
ステータ4は、環状に形成されたステータコア10と、ステータコア10に装着されたステータコイル9とを含む。
ステータコア10は、環状に形成されたヨーク部22と、ヨーク部22の内周面に間隔をあけて形成された複数のステータティース23とを含む。ヨーク部22の周方向D2に隣り合うステータティース23の間には、スロット24が形成されている。図2は、ステータ4の内周面の一部を展開した展開図であり、ステータコア10は、たとえば、複数の積層鋼鈑13を積層することで形成されている。この図2に示すように、ステータコイル9の一部は、スロット24に挿入されている。
図1に示すように、ステータコイル9は、互いに並列に接続された2つのU相コイルU1,U2と、並列に接続された2つのV相コイルV1,V2と、並列に接続された2つのW相コイルW1,W2とを含む。ステータコア10には、スロット24が48個形成されている。
たとえば、U相コイルU1は、スロット24U1およびスロット24U3に挿入されており、スロット24U1とスロット24U3の間で、複数回、巻回されている。そして、所定回、巻回されると、スロット24U5に引き出されている。そして、U相コイルU1は、スロット24U5およびスロット24U7の間で、複数回、巻回されている。そして、離れたスロットに引き出されており、同様に巻回されて、ステータコア10を一周するように形成されている。なお、U相コイルU2、V相コイルV1,V2およびW相コイルW1,W2も同様に形成されている。このように、本実施の形態1のステータ4は、分布巻のモータである。
図3は、ステータ4を示す分解斜視図である。なお、図3においては、コイルは図示していない。図3に示すように、ステータ4は、ステータコア10の端面11に配置されたカフス(絶縁部材)20と、ステータコア10の端面12に配置されたカフス(絶縁部材)21と、絶縁紙40とを含む。
ステータコア10の端面11および端面12は、ステータコア10の厚さ方向D1に配列しており、スロット24は、端面11から端面12に亘って形成されている。
カフス20,21は、樹脂などの絶縁材料によって形成されている。カフス20は環状に形成された内側枠部30と、内側枠部30の外周を取り囲むように形成された外側枠部31と、内側枠部30および外側枠部31を接続するように形成された複数のカバー部32とを含む。
外側枠部31は、内側枠部30よりも大径に形成されている。カバー部32は、内側枠部30および外側枠部31の周方向に間隔をあけて配置されている。隣り合うカバー部32の間には、スロット24に連通する連通孔33が形成されている。カバー部32は、端面11側において、ステータコア10のステータティース23上に配置される。
カフス21は、カフス20と同様に形成されている。カフス21は、環状に延びる内側枠部35と、内側枠部35の外側に配置された環状の外側枠部36と、内側枠部35および外側枠部36を接続するカバー部37とを含む。カバー部37は、内側枠部35および外側枠部36の周方向に間隔をあけて配置されている。周方向に隣り合うカバー部37の間には、連通孔38が形成されている。カバー部37は、端面12側において、ステータティース23に配置される。
図4は、絶縁紙40、カフス20およびステータコア10の一部を示す斜視図であり、図5は、ステータコア10、カフス20および絶縁紙40を示す分解斜視図である。図4および図5においては、ステータコイル9を省略している。図4に示すように、絶縁紙40は、スロット24およびカフス20の連通孔33内に挿入されている。絶縁紙40は、周方向D2に隣り合う一対のステータティース23に沿って延びる一対の側壁部56,57と、側壁部56および側壁部57を接続する底壁部58とを含む。底壁部58は、ヨーク部22の周方向D2に延びるように配置されている。
図5に示すように、スロット24は、ステータコア10の端面11において開口するように形成されている。図2に示すように、ステータコイル9は、スロット24を通り、ステータコア10の端面11に形成されたスロット24の開口部から外部に突出するように形成されている。ステータコイル9は、端面11に配置されたカバー部32の上面に沿って曲げられている。絶縁紙40は、スロット24内に配置されると共に、ステータコア10とステータコイル9との間に配置されている。そして、絶縁紙40は、端面11に位置するスロット24の開口部から突出するように形成されている。
側壁部56および側壁部57は、スロット24の開口部から離れるにつれて、互いの周方向D2の間隔が広がるように形成されている。側壁部56のうち、スロット24の開口部から突出する部分は、カバー部32Aの上面に沿って曲げられている。側壁部57のうち、スロット24の開口部から突出する部分は、カバー部32Bの上面に沿って曲げられている。
図6は、スロット24の開口部およびその周囲に位置する構成を示す斜視図である。この図6に示すように、ステータコア10には、スロット24の大部分を形成するスロット本体孔46と、スロット24の開口面積を広げるように形成された凹部45とが形成されている。スロット本体孔46を形成するステータコア10の内表面は、周方向D2に対向する一対の内側面70,71と、周方向D2に延びる底面72とを含む。
なお、厚さ方向D1における凹部45の深さは、たとえば、積層鋼鈑の数枚分の厚さである。凹部45の内表面は、端面11から厚さ方向D1に延びる内周面73と、スロット本体孔46の縁部に沿って延びる底面74とを含む。
なお、図7に示すように、端面11から離れた位置からステータコア10を平面視すると、凹部45は、径方向外方側に位置するスロット本体孔46の端部を取り囲むように形成されている。
図8は、カフス20の表面のうち、端面11に装着される装着面47側を示す斜視図である。この図8に示すように、カフス20の外側枠部31には、複数の突起部48が形成されている。この突起部48は、図7に示す凹部45に配置される。
図9は、カフス20を端面11に装着した状態を示す斜視図である。図10は、図9に示す状態において、突起部48およびその周囲に位置する構成を示す断面斜視図である。図9において、ステータティース23の上面にはカバー部32が配置され、連通孔33がスロット24と連通するようにカフス20が配置されている。
カバー部32がステータティース23の上面に配置された状態においては、図10に示すように、突起部48が凹部45に挿入されている。突起部48が凹部45に配置された状態において、突起部48の内表面53と、スロット本体孔46を形成するステータコア10の内表面とによって、スロット24が形成されている。
図11は、絶縁紙40、突起部48およびその周囲の構成を示す断面斜視図であり、端面11における断面図である。
この図11に示すように、絶縁紙40は、内側面70に沿って延びる側壁部56と、内側面71に沿って延びる側壁部57と、底面72に沿って延びる底壁部58とを含む。なお、この図11においては、図2に示すような絶縁紙40の端部側の部分は図示されていない。
絶縁紙40は、側壁部56および底壁部58を接続する接続部分59と、側壁部57および底壁部58を接続する接続部分60とを含む。接続部分59および接続部分60は、湾曲または屈曲するように形成されている。
ここで、凹部45は、絶縁紙40の接続部分59,60から離れるように形成されている。具体的には、凹部45は、絶縁紙40の側壁部56と隣り合う第1隣接位置P1から、接続部分59と隣り合う位置P3および接続部分60と隣り合う位置P4を通り、側壁部57と隣り合う第2隣接位置P2にまで延びるように形成されている。なお、第1隣接位置P1から位置P3までの距離は、周方向D2におけるスロット24の幅よりも小さく、第2隣接位置P2から位置P4までの距離は、周方向D2におけるスロット24の幅よりも小さい。
そして、突起部48は、凹部45に配置されており、凹部45の第1隣接位置P1から第2隣接位置P2に亘って延びるように形成されている。突起部48は、絶縁紙40の側壁部56を支持する側壁部80と、絶縁紙40の底壁部58を支持する底壁部81と、側壁部57を支持する側壁部82とを含む。
図12は、ステータ4の製造工程を示す工程フロー図である。この図12に示すように、ステータコア10を準備する(工程1)。なお、ステータコア10を準備する工程には、複数の積層鋼鈑を積層する工程と、各積層鋼鈑をかしめて一体化する工程とを含む。
図13は、図12に示す工程2〜工程4を模式的に示す斜視図である。この図13および図12に示すように、ステータコア10の端面11にカフス20を配置すると共に、端面12にカフス21を配置する(工程2)。
次に、絶縁紙40を連通孔33、スロット24および連通孔38内に挿入する(工程3)。次に、複数のセグメント83をステータコア10の下方からステータコア10に挿入する(工程4)。
図13に示すように、セグメント83は、一対の脚部84,85と、脚部84の端部および脚部85の端部を接続する湾曲部86とを含む。
図14は、複数のセグメント83が各スロット24などに挿入された状態を示す展開図である。この図14に示すように、各セグメント83の脚部84,85は、端面11から大きく突出した状態になる。
なお、図15は、図14に示す工程を模式的に示す展開図である。この図15においては、スロット24U1,24U3に、図13に示すセグメント83a,83bが挿入されている。なお、セグメント83aは、図の手前側(ステータコア10の径方向内方側)に配置されており、セグメント83bは、セグメント83aの背面側(ステータコア10の径方向外方側)に配置されている。
具体的には、スロット24U1に、セグメント83a,83bの脚部84a,84bが挿入されており、スロット24U3に、セグメント83a,83bの脚部85a,85bが挿入されている。
次に、セグメント83の脚部84,85を曲げる(工程5)。セグメント83の脚部84,85を曲げる工程は、図14に示すように、脚部84,85の上端部を保持する金型90を準備する工程と、図16に示すように、脚部85,84の上端部を金型90が保持した状態で金型90を螺旋状に回転駆動させる工程とを含む。
なお、図14および図15に示す金型90は、円環状に形成されいる。図14および図15は、ステータ4の内周面を展開した状態で示しているため、図14および図15においては、金型90は、長方形形状のように図示されている。金型90には、脚部84,85の上端部が挿入される複数の凹部91が形成されている。そして、凹部91内に脚部84,85の上端部が挿入される。
次に、図16に示すように、ステータコア10を固定した状態で、金型90を回転させながら、ステータコア10に近づけるように駆動させる。これにより、セグメント83の各脚部84および脚部85が曲げられる。
図17は、図16に示す工程を模式的に示す図である。この図17に示すように、セグメント83aの脚部84aと、セグメント83bの脚部85bとが近づくように、脚部84aおよび脚部84bを周方向D2に曲げる。そして、脚部84aの先端部と、脚部84bの先端部とを溶接する。これにより、スロット24U1およびスロット24U3の間で一巻きされたコイルが形成される。
そして、複数のセグメンをスロット24U1およびスロット24U3に挿入し、各セグメントについて、図17に示すように各セグメントを接続することで、スロット24U1およびスロット24U3の間で複数巻回されたコイルを形成することができる。
なお、図1において、スロット24U5およスロット24U7においても、同様にスロット24U5およびスロット24U7に亘って複数、巻回されたコイルが形成される。
そして、図16に示す曲げ工程において、スロット24U1,24U3に挿入された複数のセグメントのうち、最も径方向外方側または径方向内方側に配置されたセグメントと、スロット24U5,24U7に配置された複数のセグメントのうち、最も径方向外方側または径方向内方側に配置されたセグメントとが接続される。これにより、図17の二点鎖線示す渡り線39が形成される。この渡り線39によって、スロット24U1,24U3に形成されたコイルと、スロット24U5,24U7に形成されたコイルとが接続される。
このようにして、U相コイルU1が形成される。同様にして、U相コイルU2と、V相コイルV1,V2と、W相コイルW1,W2とが形成され、図1に示す回転電機1が形成することができる。
図18は、図17に示すセグメントの曲げ工程を実施した後における絶縁紙40およびその周囲の構成を示す斜視図である。この図18においては、ステータコイル9を省略している。
この図18に示すように、図17に示すU相コイルU1および渡り線39を形成すると、絶縁紙40の側壁部56,57の上端部も曲げられる。その結果、側壁部56,57の上端部は、カバー部32の上面に沿って湾曲する。
図19に示すように、側壁部56および側壁部57の上端部は、周方向D2に曲げられる一方で、底壁部58は周方向D2に沿って配置されており、周方向D2に底壁部58は殆ど変形しない。このため、側壁部56の端辺94およびその周囲に位置する部分は、内端辺92側から接続部分59に近づくにつれて、周方向D2に曲げにくくなっている。同様に、側壁部57の端辺95およびその周囲に位置する部分は、内端辺93から接続部分60に向かうにつれて、周方向D2に曲げにくくなっている。
そのため、各相コイルおよび渡り線を形成する際に、絶縁紙40において、接続部分59、60およびその近傍で絶縁紙40が裂けるおそれがある。
ここで、図20は、絶縁紙40の接続部分59の上端が裂けた状態を示す斜視図である。接続部分59の上端は、ステータコア10の端面11よりも外部に突出した位置に設けられているため、接続部分59の上端が裂け始めると、まず、カフス20のカバー部32が絶縁紙40から露出することになる。一旦、接続部分59が裂け始めると、裂け部分は進展し易い。その結果、接続部分59の上端で生じた裂け部分がスロット24まで達する場合がある。
本実施の形態1に係るステータ4においては、ステータコア10のうち、接続部分59と隣り合う位置に凹部45が形成されており、この凹部45は、端面11から厚さ方向D1に延びるように形成されている。そして、この凹部45にカフス20の突起部48が配置されている。このため、接続部分59の裂け部分がスロット24内に達したとしても、突起部48が露出することになり、ステータコア10が絶縁紙40から露出することが抑制されている。
特に、突起部48の内表面は、端面11から厚さ方向D1に延びている。そのため、セグメントの曲げ工程において、絶縁紙40のうち端面11よりも上方に位置する部分が曲げられる一方で、側壁部56および接続部分59のうち、突起部48と隣り合う部分に曲げが生じることが抑制されている。
その結果、絶縁紙40の接続部分59の上端が裂けたとしても、突起部48を超えて裂け部分が進展することが抑制されており、ステータコア10が絶縁紙40から露出することを抑制することができる。
同様に、絶縁紙40の接続部分60において、裂け部分が発生したとしても、接続部分60と隣り合う位置に突起部48が設けられているため、ステータコア10の内表面が露出することを抑制することができる。
なお、セグメント83a,83bの脚部84a,84b,85a,85bを曲げる工程において、絶縁紙40に裂け部分が発生していない状態であっても、接続部分59および接続部分60には引張方向の内部応力が生じている場合がある。そのため、絶縁紙40が経時的劣化した場合に、絶縁紙40の接続部分59,60に裂け部分が生じる場合があるが、このような場合においても、絶縁紙40からステータコア10が露出することを抑制することができる。
図16および図17に示すように、カバー部32の上面は、湾曲面状に形成されている。このため、セグメント83a,83bの脚部84a,84b,85a,85bを曲げる際に、セグメント83a,83bの各脚部84a,84b,85a,85bがカバー部32の上面に沿って曲げられる。これに伴い、絶縁紙40の側壁部56および側壁部57の上端部およびその近傍に位置する部分においても、カバー部32の上面に沿って湾曲する。
そのため、絶縁紙40の側壁部56,57およびその近傍に位置する部分が、鋭角に曲げられることが抑制されており、絶縁紙40の接続部分59,60に大きな破れが生じることを抑制することができる。
このように、絶縁紙40の接続部分59,60に破れが生じることが抑制されると共に、仮に、接続部分59,60が裂けたとしても、ステータコイル9とステータコア10との絶縁性が確保されている。
図9などに示すように、カフス20の突起部48が凹部45に嵌め込まれているため、カフス20がステータコア10に対して位置ずれすることが抑制されている。このため、図17のように、各セグメント83a、83bの脚部84a,84b,85a,85bを曲げる際に、カフス20が位置ずれすることを抑制することができ、各セグメント83a、83bの脚部84a,84b,85a,85bをカバー部32の上面に押し付けるようにして曲げたとしても、カフス20が位置ずれすることを抑制することができる。このため、各セグメント83a、83bの脚部84a,84b,85a,85bを曲げる際に、大きな荷重をセグメント83a、83bの脚部84a,84b,85a,85bに加えることができ、短時間でセグメント83a、83bの加工を完了することができる。
ここで、仮に、図20に示す突起部48が設けられていない場合には、絶縁紙40の接続部分59が裂けることを抑制する必要が生じる。そのため、セグメント83a,83bの脚部84a,84b,85a,85bを曲げる際に、絶縁紙40の側壁部56,57が曲げられることを抑制するために、図17において、脚部84a,84b,85a,85bなどをカバー部32の上面から離れた位置で曲げる必要が生じる。
しかし、上記のように、脚部84a,84b,85a,85bを曲げる位置をカバー部32から離れた位置とすると、ステータコイル9の厚さ方向D1の長さが長くなり、回転電機1が大型化しやすい。
その一方で、本実施の形態1に係る回転電機1においては、図20などに示すように、突起部48が設けられているため、図17に示すように、各セグメン83a,83bをカバー部32の上面に沿って曲げたとしても、ステータコア10とステータコイル9との絶縁性を確保することができる。その結果、各セグメント83a,83bをカバー部32に沿って曲げることができ、厚さ方向D1における回転電機1の小型化を図ることができる。
ここで、図21は、ステータティース23およびその周囲の構成を示す一部断面図である。この図21に示すように、ステータティース23は、ヨーク部22から径方向内方に突出するティース本体96と、ティース本体96の先端部に形成された幅広部97とを含む。なお、ティース本体96は、凹部45よりも径方向内方側に位置している。
ティース本体96は、ヨーク部22側から径方向内方に向けて周方向D2の幅が小さくなるように形成されている。幅広部97は、ティース本体96の先端部の幅L2よりも広くなるように形成されている。回転電機1の駆動中において、ロータ3からの磁束は、幅広部97から入り込み、ステータティース23内を通り、ヨーク部22に達する。
ここで、周方向D2に隣り合う凹部45の間の距離L1は、幅L2よりも大きい。このため、ステータコア10の径方向に対して垂直な方向で、隣り合う凹部45を通るようにステータコア10を断面視したときの断面積は、ティース本体96および幅広部97の接続部分における断面積よりも広くなる。その結果、幅広部97からヨーク部22までの磁気経路において、幅広部97とティース本体96との接続部分が最も磁気抵抗が高くなっており、凹部45を形成することで、磁気経路の磁気抵抗が高くなることが抑制されている。
(実施の形態2)
上記実施の形態1に係る回転電機1においては、突起部48を凹部45に係合させることで、ステータコア10とカフス20とを係合させているが、ステータコア10にカフス20を係合させる部材をさらに設けてもよい。
図22は、実施の形態2に係る回転電機1Aを示す分解斜視図である。この図22に示すように、回転電機1Aは、ステータコア10と、ステータコア10の端面11に配置されたカフス20Aと、絶縁紙40Aとを含む。なお、ステータコア10の反対側の端面には、図示されないカフスが配置されている。カフス20Aは、内側枠部30と、外側枠部31と、カバー部32と、突起部48と、内側枠部30の装着面47に形成された突起部98,99とを含む。ステータコア10のステータティース23には、凹部75,76が形成されている。
凹部75は、ティース本体96の一方の側面から幅広部97の背面に達するように形成されている。凹部76も、ティース本体96の他方の側面から幅広部97の背面に達するように形成されている。なお、凹部75,76は、端面11から厚さ方向D1に延びるように形成されている。絶縁紙40Aは、側壁部56と、側壁部57と、底壁部58と、側壁部56および底壁部58を接続する接続部59と、側壁部57および底壁部58を接続する接続部60を含む。さらに、絶縁紙40Aは、側壁部56の内端辺に接続された内端片54と、側壁部57の内端辺に接続された内端片55とを含む。
図23は、カフス20Aの装着面47を示す斜視図である。この図23に示すように、突起部98,99は、連通孔33に対して径方向内方側に隣り合う位置に形成されている。
図24は、ステータティース23の先端部側における断面図である。この図24に示すように、絶縁紙40Aの側壁部56は、ティース本体96Aの側面に沿って配置されている。内端片54は、幅広部97Aの背面に沿って配置されている。そして、内端片54および側壁部56の接続部87は、ティース本体96Aの側面および幅広部97Aの背面によって形成される角部に沿って曲げられている。凹部76は、側壁部56と隣り合う位置P5から、接続部87と隣り合う位置P6を通り、内端片54と隣り合う位置P7に達するように延びている。突起部98は、凹部76に嵌め込まれている。このため、接続部87と隣り合う位置には、突起部98が配置されている。同様に、絶縁紙40Aは、側壁部57および内端片55と、側壁部57および内端片55との接続部88とを含む。そして、突起部99は、接続部88と隣り合う位置に配置されている。
このように、実施の形態2に係るステータコア10Aにおいては、カフス20Aは、突起部48,98,99がステータコア10と係合するため、上記実施の形態1に係るステータコア10と比較して、ステータの製造過程において、カフス20Aが位置ずれすることをさらに抑制することができる。
なお、ステータコイル9を形成する工程において、側壁部56および側壁部57の上端部は、周方向D2の距離が広がるように曲げられる。その一方で、内端片54および内端片55は、周方向D2に引っ張れる一方で、内端片54および内端片55は、周方向D2に延びにくい。その結果、接続部87および接続部88の上端部において、裂け部分が生じるおそれがある。その一方で、本実施の形態2に係る回転電機1Aにおいては、接続部87および接続部88と隣り合う位置には、突起部98および突起部99が配置されている。そのため、仮に、接続部87および接続部88の上端部において、裂け部分が生じたとしても、ステータコア10が露出することが抑制されている。
なお、本実施の形態2に係る回転電機1Aにおいても、突起部48が形成されているため、絶縁紙40Aの接続部分59,60およびその周囲に位置する部分に破れが生じたとしても、ステータコイル9とステータコア10との間の絶縁性を確保することができる。
なお、上記の実施の形態1,2に係る回転電機1,1Aにおいては、カフス20,20Aに形成された突起部48および凹部45は、図11に示すように、絶縁紙40Aの側壁部56と隣り合う位置から接続部分59および接続部分59と隣り合う位置を通り、側壁部57と隣り合う位置に達するように形成されているが、突起部48および凹部45の構成としては、上記の構成に限られない。
図25は、突起部48および凹部45の構造の変形例を示す斜視図である。この図25に示す例においては、ステータコア10の端面11には、接続部分59から離れるように形成された凹部45Aと、接続部分60から離れるように形成された凹部45Bとが形成されている。なお、凹部45Aと凹部45Bとは互いに間隔をあけて設けられている。
そして、カフス20は、凹部45Aに挿入される突起部48Aと、凹部45Bに挿入される突起部48Bとを含む。
このように形成された回転電機1Bにおいても、回転電機1Bの製造過程において、絶縁紙40Aの接続部分59,60およびその近傍におい破れが発生したとしても、ステータコイルと、ステータコア10との間の絶縁性を確保することができる。なお、絶縁紙40Aにおいて、接続部59,60の端部に予め切れ込みを入れておいてもよい。このような切れ込みを入れておくことで、セグメント83の曲げ加工において、接続部59に大きな引張力が加えられることを抑制することができる。なお、切れ込み部分は、接続部59の端部から延び、スロット24に達しない程度に形成される。
なお、上記実施の形態1,2においては、分布巻のステータについて説明したが、集中巻のステータにも適用することができる。なお、カフス20およびカフス21を周方向に複数に分割してもよい。たとえば、周方向に隣り合うカバー部32,37間において分割するようにしてもよい。さらに、ステータコアとして、分割ステータコアとしてもよい。分割ステータコアに適用する場合にはカフス20およびカフス21も当該分割ステータコアと同様に分割する。さらに、上記実施の形態1,2においては、ヨーク部22の内周面にステータティース23が形成されたインナーロータ型の回転電機について説明したが、ヨーク部22の外周面にステータティース23が形成されたアウターロータ型の回転電機にも適用することができる。
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、ステータに適用することができる。
1,1A,1B 回転電機、2 回転シャフト、3 ロータ、4 ステータ、5 ロータコア、6 磁石挿入孔、7 永久磁石、8 磁極、9 ステータコイル、10 ステータコア、11,12 端面、13 積層鋼鈑、20,20A,21 カフス、22 ヨーク部、23 ステータティース、24,24U5,24U3,24U7,24U1 スロット、30,35 内側枠部、31,36 外側枠部、32,37 カバー部、33,38 連通孔、39 渡り線、40 絶縁紙、45,45A,45B,75,76,91 凹部、46 スロット本体孔、47 装着面、48,48A,48B,98,99 突起部、53 内表面、56,57,80,82 側壁部、58,81 底壁部、59,60 接続部分、70,71 内側面、72,74 底面、73 周面、83,83a,83b セグメント、84,84a,84b,85,85a,85b 脚部、86 湾曲部、90 金型、92,93 内端辺、94,95 端辺、96 ティース本体、97 幅広部。

Claims (2)

  1. 環状に延びるヨーク部と、前記ヨーク部の周面に形成されると共に前記ヨーク部の周方向に間隔をあけて形成された複数のステータティースとを含む環状のステータコアと、
    前記ステータコアの厚さ方向に配列する一対の端面のうち一方の端面に配置され、前記ステータティースに配置されている絶縁部材と、
    前記周方向に隣り合うステータティースの間に形成されたスロットに配置されると共に、前記一方の端面に位置する前記スロットの開口部から外部に突出しているコイルと、
    前記スロットに配置されると共に前記コイルと前記ステータコアの間に配置されており、前記スロットの開口部から突出するように設けられている絶縁紙と、
    を備え、
    前記絶縁紙は、前記ステータティースに沿って延びる側壁部と、前記ヨーク部の前記周面に沿って延びると共に前記側壁部に接続された底壁部とを含み、
    前記スロットを形成する前記ステータコアの内表面には、前記絶縁紙の前記側壁部および前記底壁部の接続部分と隣り合う位置に、凹部が形成されており、
    前記凹部は、前記凹部を形成する前記ステータコアの前記内表面が前記接続部分から離れるように形成されると共に、前記一方の端面から前記厚さ方向に延びるように形成されており、
    前記絶縁部材は、前記凹部に配置された突起部を含み、
    前記側壁部は、前記周方向に隣り合う2つのステータティースの一方に沿って延びる第1側壁部と、他方のステータティースに沿って延びる第2側壁部とを含み、
    前記接続部分は、前記第1側壁部および前記底壁部を接続する第1接続部分と、前記第2側壁部および前記底壁部を接続する第2接続部分とを含み、
    前記凹部は、前記第1側壁部と隣り合う第1隣接位置から、前記第1接続部分と隣り合う位置および前記第2接続部分と隣り合う位置を通り、前記第2側壁部と隣り合う第2隣接位置に達するように形成されており、
    前記突起部は、前記第1隣接位置から前記第2隣接位置に亘って延びるように形成されており、
    前記第1隣接位置と、前記第1接続部分と隣り合う位置との間の距離は、前記スロットの幅よりも小さく、
    前記第2隣接位置と、前記第2接続部分と隣り合う位置との間の距離は、前記スロットの幅よりも小さい、ステータ。
  2. 前記ステータティースのうち、前記凹部よりも前記ステータコアの径方向内方側に位置する部分には、先端凹部が形成されており、
    前記絶縁部材は、前記先端凹部に配置されている先端突起部を含む、請求項に記載のステータ。
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