以下、図1〜図11を用いて本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、画像形成装置として、プリンター100を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
(プリンター100の概略)
次に、図1に基づき、実施形態に係るプリンター100の概略を説明する。図1は、実施形態に係るプリンター100の一例を示す図である。
プリンター100内に、制御部1(制御基板)が設けられる。制御部1は、プリンター100の動作を制御する。制御部1は、CPU11と画像処理部12を含む。CPU11は、CPU11のような集積回路である。CPU11は、記憶装置部2a(記憶部2に相当)に記憶されるプログラム、データに基づきプリンター100の各部の制御を行う。また、CPU11は、記憶装置部2aに記憶されるプログラム、データに基づき、各種の演算処理を行う。画像処理部12は、コンピューター200から受信したプリント用データに含まれるページ記述言語で記述されたデータや、画像データ、印刷の設定データに基づき、濃度変換や拡大、縮小のような画像処理を印刷に用いる画像データに施す。記憶装置部2aは、ROM21、RAM22、HDD23を含む。記憶装置部2aは、プリンター100の制御用の設定データ、画像データのようなデータや制御用のプログラムを記憶する。
また、プリンター100は、操作パネル3を含む、操作パネル3は、プリンター100の状態や各種メッセージや各種設定画面を表示する表示パネル31(報知部に相当)を含む。また、操作パネル3は、タッチ位置を検知し、表示パネル31に表示されたソフトキーやボタンやタブのような操作用画像を検知するためのタッチパネル部32を含む。また、操作パネル3は、設定操作用の複数のハードキー33を含む。
また、プリンター100は、印刷部4を含む。印刷部4は、エンジン制御部5、給紙部6、搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cを含む。制御部1は、エンジン制御部5に動作指示を与える。エンジン制御部5は、給紙部6、搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cの動作を制御して、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着のような印刷関連処理を実際に制御する。
印刷ジョブのとき、エンジン制御部5は、搬送部4aに向けて給紙部6に用紙を1枚ずつ供給させる。なお、給紙部6の詳細は後述する。エンジン制御部5は、給紙部6から供給された用紙を搬送部4aに搬送させる。エンジン制御部5は、画像データに基づくトナー像を画像形成部4bに形成させ、搬送される用紙にトナー像を転写させる。エンジン制御部5は、用紙に転写されたトナー像を定着部4cに定着させる。搬送部4aは、トナー定着後の用紙を機外に排出する。印刷済の用紙は、排出トレイ(不図示)に排出される。
また、プリンター100には、ネットワーク300との通信用の各種ソケット、チップを備えた通信部7が設けられる。制御部1の基板に通信部7が搭載される(別基板としてもよい)。通信部7はLANのようなネットワーク300と通信可能に接続される。また、通信部7は、PCやサーバーのようなコンピューター200とネットワーク300を介してデータの送受信を行える。なお、USBケーブルを用いてプリンター100とコンピューター200を直接、通信可能に接続することもできる。通信部7は、コンピューター200から送信されたプリント用データを受信する。制御部1は、印刷用データに基づく画像処理を画像処理部12に行わせ、画像処理後の画像データに基づく印刷を印刷部4に行わせる。
(給紙部6)
次に、図2、図3を用いて、実施形態に係る給紙部6を説明する。図2は、実施形態に係る給紙部6の一例を示す図である。図3は、実施形態に係るプリンター100のうち、給紙に関係する部分の一例を示す図である。
図2は、給紙部6のうち、用紙を送り出す部分を拡大した図である。図2に示す給紙部6は、用紙を上方に向けて送り出す(用紙の搬送方向を破線で図示)。また、図2に示すように、給紙部6は、用紙カセット61、用紙トレイ62、ピックアップローラー81(給紙回転体8に相当)、第1捌きローラー82(給紙回転体8に相当)、第2捌きローラー83(給紙回転体8に相当)を含む。
用紙カセット61は、用紙補給や用紙交換のとき、用紙カセット61はプリンター100に引き出される。補給、交換後、用紙カセット61は、プリンター100に再セットされる。用紙トレイ62が用紙カセット61内に設けられる。用紙束が用紙トレイ62にセットされる。用紙トレイ62は用紙搬送方向下流側の端部が上方に持ち上げられる。用紙トレイ62にセットされた用紙のうち、最上位の用紙がピックアップローラー81と接する。ピックアップローラー81は、用紙の搬送方向下流側の端部と接する。
ピックアップローラー81には、給紙モーター63(図3参照)の駆動力が伝達される。用紙を供給するとき、エンジン制御部5は、給紙モーター63を回転させる。これにより、ピックアップローラー81が回転する。ピックアップローラー81の周面と紙面の摩擦により、用紙が用紙搬送方向下流側に送り出される。
第1捌きローラー82と第2捌きローラー83は、重なった状態で給紙された用紙(重送された用紙)を捌く。第1捌きローラー82と第2捌きローラー83には、給紙モーター63の駆動力が伝達される。給紙モーター63が回転すると、第1捌きローラー82と第2捌きローラー83も回転する。第1捌きローラー82は、用紙を下流側に送る方向に回転する。第2捌きローラー83は、用紙を用紙トレイ62に戻す方向に回転する。これにより、重送があったとき、上側の用紙は下流方向に搬送され、下側の用紙は用紙トレイ62方向に戻される。なお、搬送力は、第2捌きローラー83よりも第1捌きローラー82の方が大きい。
なお、給紙モーター63からピックアップローラー81への駆動の伝達経路に給紙クラッチ64(図3参照)が設けられる。エンジン制御部5は、給紙クラッチ64の連結、解放を制御する。そして、エンジン制御部5は、給紙モーター63を回転させた状態でもピックアップローラー81の回転、停止を制御できる。連続して複数枚の印刷を行うとき、エンジン制御部5は、給紙モーター63を回転させ続けつつ、一時的にピックアップローラー81の回転を停止させ、紙間を設ける。
また、第1捌きローラー82と第2捌きローラー83の下流側に、用紙の存在を検知しているか否かにより出力レベル(HighとLow)が変わる給紙センサー9が設けられる。給紙センサー9は、給紙部6から供給された用紙の到達及び通過を検知するために設けられる。給紙センサー9の出力は、エンジン制御部5に入力される。エンジン制御部5(エンジンCPU51)は、給紙センサー9の出力に基づき、給紙センサー9の設置位置に用紙が存在しているか否か、用紙の先端が到達したか、及び、用紙の後端が通過したかを認識する。例えば、給紙センサー9は、透過型の光センサーである。給紙センサー9は、他種のセンサーでもよい。
(給紙制御)
次に、図3、図4を用いて、実施形態に係るプリンター100の給紙制御を説明する。図4は、実施形態に係るプリンター100での給紙の流れの一例を示す図である。
エンジン制御部5は、給紙部6、印刷部4の動作を制御する。エンジン制御部5は、エンジンCPU51、エンジンメモリー2b(記憶部2に相当)、時間をカウントするタイマー53(計時部に相当)、RTC回路54を含む。エンジンCPU51は、印刷部4、給紙部6の動作制御及び必要な演算を行う制御回路である。エンジンメモリー2bは、給紙部6、印刷部4を制御するためのプログラム、データを記憶する。
エンジンCPU51は、エンジンメモリー2bに記憶されたプログラム、データに基づき、給紙モーター63、給紙クラッチ64を制御して、ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、第2捌きローラー83の動作を制御する。タイマー53は、給紙センサー9の出力に基づき、給紙回転体8(ピックアップローラー81)の回転開始から給紙センサー9が用紙先端を検知するまでの所要時間を測る。なお、エンジンCPU51が所要時間を測ってもよい。RTC回路54(Real Time Clock)は、時計であり、時刻、日時を知るための回路である。
また、エンジン制御部5は、給紙遅れ判定部5a、発生率算出部5b、兆候判定部5c、対策要求部5d、交換認識部5e、ジャム発生検知部5f、予備報知部5gを含む。これらの部分はハードウェア(回路)として設けられてもよいし、エンジンCPU51、エンジンメモリー2b、プログラム、データにより機能的に実現されてもよい。各部分の処理内容の詳細は後述する。
次に、図4を用いて、プリンター100での給紙処理の流れの一例を説明する。図4のスタートは、通信部7がプリント用データを受信し、プリント用データに基づく印刷のためにエンジン制御部5が給紙部6に給紙を開始させる時点である。
まず、エンジン制御部5は、給紙モーター63を回転させ、給紙回転体8を回転させ、給紙を開始する(ステップ♯11)。以下、ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、及び、第2捌きローラー83を給紙回転体8と称する。あわせて、エンジン制御部5(タイマー53)は、所要時間(ピックアップローラー81の回転開始から給紙センサー9が用紙の到達を検知するまでの時間)の計測を開始する(ステップ♯12)。
エンジン制御部5(エンジンCPU51)は、給紙センサー9が用紙の先端の到達を検知したか否かを確認する(ステップ♯13)。先端到達が検知されたとき(ステップ♯13のYes)、エンジン制御部5(タイマー53)は、今回の給紙の所要時間を確定する(ステップ♯14)。
一方、先端到達がまだ検知されていないとき(ステップ♯13のNo)、エンジン制御部5(ジャム発生検知部5f)は、無給紙ジャムが発生したか否かを確認する(ステップ♯15)。エンジン制御部5は、給紙センサー9で用紙到達を検知できない状態が給紙開始(ピックアップローラー81の回転開始)から予め定められた上限時間T1続いたとき、無給紙ジャムが発生したと判定する。なお、エンジン制御部5は、リトライ(ピックアップローラー81の停止と回転の再開)を複数回行い、複数回続けて、ピックアップローラー81の回転開始から紙センサーで用紙到達を検知できない状態が上限時間T1、続いたとき、無給紙ジャムが発生したと認識してもよい。上限時間T1は、データとして記憶部2(記憶装置部2aとエンジンメモリー2bの何れか一方又は両方。以下同様)に記憶される(図3参照)。エンジン制御部5は、記憶装置部2aと通信可能である。
無給紙ジャムが発生していないとき(ステップ♯15のNo)、フローは、ステップ♯13に戻る。一方、無給紙ジャム発生と判定したとき(ステップ♯15のYes)、エンジン制御部5(ジャム発生検知部5f)は、給紙モーター63を含む印刷部4の動作を停止させ、表示パネル31に無給紙ジャム発生のエラーを表示させる(ステップ♯16)。また、エンジン制御部5は、通信部7にプリント用データを送信したコンピューター200に向けて無給紙ジャムが発生したことの通知を通信部7に送信させてもよい。そして、本フローは終了する(エンド)。無給紙ジャム発生によりフローが終了した後、カセットの取り外しのようなジャム処理が使用者により行われる。
今回の給紙の所要時間を確定したとき(ステップ♯14の後)、エンジン制御部5(給紙遅れ判定部5a)は、今回の給紙において、給紙遅れが発生したか否かを判定する(ステップ♯17)。給紙遅れ判定部5aは、所要時間に基づき給紙遅れが発生したか否かを判定する。具体的に、給紙遅れ判定部5aは、所要時間が予め定められた許容時間T2を超えているとき、給紙遅れが発生したと判定する。一方、給紙遅れ判定部5aは、所要時間が許容時間T2以下のとき、給紙遅れが発生していないと判定する。
許容時間T2は、理想所要時間に予め定められたマージンを加算した時間である。例えば、理想所要時間は、理想的にセットされた用紙の先端位置から給紙センサー9までの距離を、理想的な(仕様上の)用紙搬送速度で除して得られる時間である。許容時間T2は、データとして記憶部2に記憶される(図3参照)。エンジン制御部5は、記憶部2に記憶された許容時間T2を読み出して判定を行う。給紙遅れが発生したとき(ステップ♯17のYes)、エンジン制御部5は、現在の給紙から特定枚数間での給紙遅れが発生した用紙の枚数のカウントを開始する(ステップ♯18)。この枚数カウント値P1は、記憶部2に記憶される。
ここで、エンジン制御部5(発生率算出部5b)は、給紙遅れが発生した用紙を1枚目とし、50枚、100枚のような特定枚数、給紙する間で給紙遅れが生じた用紙の枚数をカウントする。そして、エンジン制御部5(発生率算出部5b)は、特定枚数の給紙がなされたとき1枚目から特定枚数給紙する間の給紙遅れの発生率を求める(詳細は後述)。
なお、エンジン制御部5は、初めて給紙を行ったときから現在までの累計給紙枚数P2(給紙枚数の累計値)を記憶部2に記憶させている。そして、エンジン制御部5は、1枚の給紙が完了するごとに(給紙センサー9が用紙の先端検知後、後端通過を検知するごとに)、累計給紙枚数P2に1を加算して、累計給紙枚数P2を記憶部2に更新させる。そこで、エンジン制御部5(エンジンCPU51)は、給紙遅れ発生時の累計給紙枚数P2を記憶部2に記憶させてもよい。
ステップ♯17のNo、及び、ステップ♯18の後、エンジン制御部5は、未印刷のページがあるか否かを確認する(ステップ♯19)。全ページ印刷済のとき(ステップ♯19のNo)、エンジン制御部5(エンジンCPU51)は、給紙モーター63を停止させ、給紙動作を停止させる(ステップ♯210→エンド)。
一方、まだ印刷するページが残っているとき(ステップ♯19のYes)、エンジン制御部5は、紙間形成のため、給紙クラッチ64を一端OFFしてピックアップローラー81を一端停止し、先行用紙の後端とこれから給紙する用紙の先端との距離が所定の紙間となった時点で給紙クラッチ64をONしてピックアップローラー81の回転を再開する(ステップ♯111)。ステップ♯111の後、フローは、ステップ♯12に戻る。
(給紙回転体8の摩耗と給紙遅れ発生率算出時の処理)
次に、図5、図6を用いて、給紙回転体8の摩耗と給紙遅れを説明する。図5は、給紙遅れの発生率の一例を示す図である。図6は、実施形態に係る給紙遅れの発生率の算出の流れの一例を示すフローチャートである。
エンジン制御部5(給紙遅れ判定部5a)は、所要時間に基づき、給紙遅れが発生したか否かを判定する。この判定は、ピックアップローラー81のような給紙回転体8の摩耗が進み、交換すべき時点か否かを確認するために行われる。
プリンター100には、給紙回転体8として、ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、第2捌きローラー83が設けられる。各ローラーは、用紙との摩擦やローラー間での摩擦により、摩耗する。摩耗により、各ローラーの径が小さくなる。また、摩耗量が位置によってばらつくこともある。また、摩耗と紙粉の組み合わせにより、スリップが生じやすくなることもある。いずれにしても、用紙を送り出す力が弱くなったり、スリップしやすくなったりして、給紙遅れが生じ易くなる。
図5は、給紙枚数に対する給紙遅れの累積回数と、給紙遅れ発生率との関係を示す図である。なお、図5において給紙遅れの累計発生件数を太めの実線で図示している。また、図5では、所定の枚数間での給紙遅れ発生率を◇でプロットしている。また、図5では、2点鎖線は、無給紙ジャムが生じた時点を示す。図5のデータを取得した画像形成装置では、累計の給紙枚数がおよそ73000枚の時点で無給紙ジャムが発生している。
図5を用いて、給紙遅れの発生傾向を説明する。図5に示すように、給紙枚数が増加して行く過程で、突発的に給紙遅れの発生が増えることがある。例えば、用紙がずれた位置にセットされた場合、給紙遅れが一時的に増えることがある。しかし、給紙用のローラーの摩耗があまり進んでいなければ、やがて給紙遅れの発生数は減る。場合によっては、しばらく給紙遅れが発生しなくなる。
摩耗が進むに従って、給紙遅れが発生しやすくなる。また、図5において一点鎖線で囲って示すように、無給紙ジャムの発生時点に近づくほど、給紙遅れの発生率は平均的に高くなる。更に、無給紙ジャムの発生の数千枚前から、給紙遅れがまとまって発生する傾向が現れる。無給紙ジャムの発生の数千枚前から多発する給紙遅れは、給紙用のローラーの磨耗・劣化に起因する。単純に給紙遅れの発生率を監視するのではなく、突発的に給紙遅れが比較的多く発生している状態(無給紙ジャムと関連性が弱い状態)と、摩耗により給紙遅れが多発している状態を正確に見分けることが好ましい。単純に発生率だけを監視すると、突発的な給紙遅れが発生している状態で、給紙用のローラーの交換の報知を誤って行ってしまう可能性がある。
以下、図6を用いて、発生率の算出の流れを説明する。図6のスタートは、エンジン制御部5(給紙遅れ判定部5a)が給紙遅れ発生と判定した時点である。まず、エンジン制御部5(発生率算出部5b)は、給紙遅れが発生した用紙の給紙枚数から、50枚、100枚のような特定枚数を給紙する間に給紙遅れが発生した用紙の枚数をカウントする(ステップ♯21)。特定の枚数が100枚のとき、最初に給紙遅れが発生した用紙を一枚目として残り99枚を給紙する間に給紙遅れが発生した用紙の枚数をカウントする。
そして、エンジン制御部5(発生率算出部5b)は、給紙遅れが発生した用紙を1枚目とした特定枚数での給紙遅れの発生率を求める(ステップ♯22)。例えば、特定の枚数が100枚のとき、最初に給紙遅れが発生してから残り99枚の給紙を終えるまでに給紙遅れが生じなかったとき、発生率算出部5bは、1/100×100=1%を発生率として求める。
なお、エンジン制御部5(発生率算出部5b)は、給紙遅れが発生するごとに、特定枚数を給紙したとき発生率を算出する。言い換えると、発生率算出部5bは、それぞれの給紙遅れが発生した用紙を1枚目とし、各1枚目を含む特定枚数の給紙が終わるたびに給紙遅れ発生率を算出する。従って、図6のフローチャートは、給紙遅れが発生するたびに開始される。例えば、特定枚数が100枚のとき、10001枚目と10002枚目の両方で給紙遅れが発生したとき、発生率算出部5bは、10101枚目の給紙を行ったとき発生率を算出し、10102枚目の給紙を行ったとき別の発生率を算出する。
突発的な給紙遅れが起きても、給紙回転体8の摩耗が進んでいなければ、間もなく給紙遅れは生じなくなる。従って、突発的に生じた給紙遅れを特定枚数の1枚目とする発生率は、大きな値とはならない。一方、給紙用のローラーの摩耗が進み、無給紙ジャムが発生する前では、連続的に給紙遅れが発生する。つまり、連続的、高頻度の給紙遅れの発生を無給紙ジャム発生の兆候と捉えることができる。無給紙ジャムが発生する数千枚〜数百枚前の時点で発生した給紙遅れを特定枚数の1枚目とする発生率は、大きな値となる。
そして、エンジン制御部5(兆候判定部5c)は、求めた発生率が予め定められた閾値を超えているか否かを確認する(ステップ♯23)。無給紙ジャム発生の兆候ありの判定のための閾値としては、第1閾値TH1と第2閾値TH2が予め用意される。
第1閾値TH1は、まだ給紙回転体8の交換が一度もなされていないときに適用される。また、前回の給紙回転体8の交換を求める報知(対策要求通知、詳細は後述)から実際に給紙回転体8が交換されるまでの間に無給紙ジャムが発生しなかったとき、第1閾値TH1が適用される(詳細は後述)。一方、前回の給紙回転体8の交換を求める報知から実際に給紙回転体8が交換されるまでの間に無給紙ジャムが発生したとき、第2閾値TH2が適用される。
第1閾値TH1、第2閾値TH2は、突発的な給紙遅れが発生したときに算出される発生率を超える値とする。また、第1閾値TH1は、無給紙ジャムの発生のよりも数千枚〜1万枚前で発生する給紙遅れに基づき算出される平均的な発生率程度の値に設定してもよい。例えば、第1閾値TH1は、5%〜10%の値に設定される。実験に基づき第1閾値TH1、第2閾値TH2を定めても良い。第1閾値TH1、第2閾値TH2は、記憶部2に記憶される(図3参照)。また、無給紙ジャムが発生せず、第1閾値TH1を用いるときよりも対策要求通知がなされるタイミングを早めるため、第1閾値TH1>第2閾値TH2とされる。
発生率が予め定められた閾値(第1閾値TH1、第2閾値TH2のうち適用する閾値)を超えているとき(ステップ♯23のYes)、エンジン制御部5(兆候判定部5c)は、無給紙ジャムの発生の兆候あり、と判定する(ステップ♯24)。いったん兆候あり判定を行えば、給紙回転体8の交換がなされるまで、給紙遅れの発生率の算出と兆候有無の判定は不要である。従って、給紙回転体8の交換がなされるまで、図4のステップ♯14と図6のフローチャートは実行しなくてよい。
一方、発生率が閾値を超えていないとき(ステップ♯23のNo)、エンジン制御部5(兆候判定部5c)は、無給紙ジャムの発生の兆候無し、と判定する(ステップ♯25)。ステップ♯24とステップ♯25の後、本フローは終了する(エンド)。
(兆候あり判定後の対策要求通知及び給紙回転体8の交換)
次に、図7、図8を用いて、実施形態に係るプリンター100での兆候あり判定後の対策要求通知及び給紙回転体8の交換を説明する。図7は、実施形態に係るプリンター100での兆候あり判定後の処理の流れの一例を示す図である。図8は、実施形態に係る対策要求通知の実行時点の変化の一例を示す図である。図9は、実施形態に係る交換値V1と開始条件枚数(又は開始条件期間)の関係の一例を示す図である。
まず、図7のスタートは、エンジン制御部5(兆候判定部5c)が無給紙ジャムの発生の兆候ありと判定した時点である。エンジン制御部5はプリンター100の使用開始後、最初に兆候あり判定がなされたとき、及び、給紙回転体8の交換後(交換完了入力後)、最初に兆候あり判定がなされたときに本フローの実行を開始する。
まず、エンジン制御部5は、以前に給紙回転体8を交換したことがあるか否かを確認する(ステップ♯31)。なお、交換したことがあるか否かは、給紙回転体8の交換時に記憶され、交換を要求する報知から実際に給紙回転体8が交換されるまでの長さを示す交換値V1(詳細は後述、図3参照)が記憶されているか否かにより確認することができる。
以前に給紙回転体8を交換したことがないとき(初めての兆候あり判定のとき、ステップ♯31のNo)、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、初めての兆候あり判定から予め定められたデフォルト枚数給紙を行ったとき、又は、初めての兆候あり判定から予め定められたデフォルト期間経過したときに表示パネル31及び通信部7に対策要求通知を行わせる(ステップ♯32、図8の最上段の図の白抜矢印参照)。枚数に基づいて対策要求通知を行うか、期間に基づき対策要求通知を行うかを操作パネル3で設定することができる。エンジン制御部5は、設定に従って対策要求通知を行う。
デフォルト枚数及びデフォルト期間は適宜定められる期間である。実験により、兆候あり判定から無給紙ジャム発生までの平均的な印刷枚数を実験により定め、その平均的な印刷枚数の50%程度の値をデフォルト枚数としてもよい。また、実験により、兆候あり判定から無給紙ジャム発生までの平均的な期間を実験により定め、その平均的な期間の半分程度の期間をデフォルト期間としてもよい。
また、対策要求通知は、給紙回転体8の交換を要求する報知である。エンジン制御部5(対策要求部5d)は、表示パネル31に「給紙部のローラーを交換して下さい。」というメッセージや、メンテナンス会社への連絡方法やメンテナンス会社のアドレスのような情報を含む対策要求画面(不図示)を表示パネル31に表示させる。また、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、管理者のコンピューター200に向けて、対策要求画面と同様の画面を管理者のコンピューター200のディスプレイに表示させるデータを通信部7に送信させてもよい。
なお、操作パネル3は、タッチパネル部32への操作やハードキー33が操作されたとき、表示パネル31に表示された対策要求画面を消す。しかし、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、給紙回転体8の交換がなされるまで、表示パネル31に設けられたメッセージ表示欄(不図示)に、「給紙部6のローラーを交換して下さい。」のようなメッセージを表示させ続ける。
そして、エンジン制御部5(交換認識部5e)は、給紙回転体8(ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、第2捌きローラー83)の交換がなされたか否かを確認する(ステップ♯33)。
ここで、給紙回転体8の交換を説明する。使用しているうちに、給紙回転体8(ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、第2捌きローラー83)は摩耗し、劣化する。プリンター100では、交換時、ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、第2捌きローラー83の各ローラーは、まとめて交換される。なお、機種によっては、1本ずつ交換できるものもある。交換には専門的に知識が必要である。通常、各ローラーの交換は、プリンター100の製造会社又はその関連会社から派遣されるサービスマンによって行われる。
交換が完了したとき、サービスマンは操作パネル3(タッチパネル部32やハードキー33)に給紙部6の給紙回転体8の交換が完了した旨の入力(交換完了入力)を行う。この入力は、制御部1やエンジン制御部5に通知される。制御部1やエンジン制御部5は、給紙回転体8の交換を認識する。
一方、給紙回転体8の交換がなされていないとき(ステップ♯33のNo)、エンジン制御部5(ジャム発生検知部5f)は、交換前に無給紙ジャムが発生したか否かを確認する(ステップ♯34)。エンジン制御部5は、対策要求通知後、給紙回転体8の交換完了入力までの印刷ジョブ中に無給紙ジャムが発生したか否かを確認する。
無給紙ジャムが発生していないとき(ステップ♯34のNo)、フローはステップ♯33に戻る。一方、無給紙ジャムが発生したとき(ステップ♯34のYes)、エンジン制御部5(兆候判定部5c)は、給紙回転体8の交換後に第2閾値TH2を用いる設定を記憶部2に記憶させる(ステップ♯35)。つまり、兆候あり判定及び対策要求通知を行うタイミングを早めるため、給紙回転体8の交換後では、第2閾値TH2を用いるフラグを立てる。なお、第2閾値TH2を用いるフラグがないとき、エンジン制御部5(兆候判定部5c)は、第1閾値TH1を用いる。そして、フローは、ステップ♯33に戻る。
そして、給紙回転体8の交換がなされたとき(ステップ♯33のYes)、エンジン制御部5(交換認識部5e)は、交換認識部5eは、対策要求通知から交換完了入力までの給紙枚数と期間の何れか一方、又は、両方を交換値V1として記憶部2に記憶させる(ステップ♯36)。つまり、対策要求通知から実際に給紙回転体8が交換されるまでの時間は、多様な事情によりばらつく。そこで、対策要求通知から実際に給紙回転体8が交換されるまでの長さを示す値として交換値V1を記憶する。
給紙枚数を交換値V1として記憶するとき、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、対策要求通知を行った時点の累計印刷枚数(要求通知時枚数P3)を記憶部2に記憶させる。また、給紙枚数を交換値V1として記憶するとき、エンジン制御部5(交換認識部5e)は、交換完了入力があった時点の累計印刷枚数から要求通知時枚数P3を減じた値を交換値V1として記憶部2に記憶させる。
期間を交換値V1として記憶するとき、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、RTC回路54が測る日時であって対策要求通知を行った時点の日時(要求通知日時T3)を記憶部2に記憶させる。また、期間を交換値V1として記憶するとき、エンジン制御部5(交換認識部5e)は、RTC回路54が測る日時であって交換完了入力があった時点の日時と要求通知日時T3との差を交換値V1として記憶部2に記憶させる。また、日数の差のみを交換値V1としても記憶させてもよい。
給紙回転体8は新品の状態に戻ったので、ステップ♯36の後、エンジン制御部5は、累計印刷枚数のような必要な累計値をリセットする(ゼロに戻す、ステップ♯37)。そして、フローは終了する。
一方、以前に給紙回転体8を回転したことがあるとき(交換値V1が記憶されているとき、ステップ♯31のYes)、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、交換値V1に基づき、兆候あり判定から対策要求通知を開始するまでの開始条件を定める(ステップ♯38)。開始条件には、開始条件枚数と開始条件期間がある。開始条件枚数に基づいて対策要求通知を行うか、開始条件期間に基づき対策要求通知を行うかを操作パネル3で設定することができる。エンジン制御部5は、設定に従って対策要求通知を行う。
そして、エンジン制御部5(対策要求部5d)は、兆候あり判定から開始条件枚数、給紙を行ったとき、又は、兆候あり判定から開始条件期間経過したとき、表示パネル31及び通信部7に対策要求通知を行わせる(ステップ♯39)。対策要求通知の処理は、ステップ♯32と同様であるので、説明を省略する。
エンジン制御部5(対策要求部5d)は、交換値V1が大きいほど開始条件枚数を少なくする、又は、交換値V1が大きいほど開始条件期間を短くする。エンジン制御部5は、交換値V1が小さいほど開始条件枚数を多くする、又は、交換値V1が小さいほど開始条件期間を長くする。
記憶部2に、交換値V1に対応する開始条件枚数と開始条件期間を定めたテーブルデータD1を記憶させてもよい。テーブルデータD1は、図9に示すように、負に線形で交換値V1と開始条件枚数(開始条件期間)が対応する関係のデータとなる。
図8を用いて、交換値V1の大小に応じた対策要求通知のタイミングの変化を説明する。図8の中段の図は、前回の交換時に記憶された交換値V1が小さかった場合を示している。前回の交換時に記憶された交換値V1が小さかったということは、前の対策要求通知から給紙回転体8が交換されるまでの印刷枚数が少なかった、あるいは、期間が短かったことになる。
対策要求通知後、給紙回転体8を素早く交換できるのであれば、対策要求通知を遅めに行っても、無給紙ジャムが発生するまでに交換が完了する。そこで、前回の交換時に記憶された交換値V1が小さいほど、エンジン制御部5は、開始条件枚数を多くし、あるいは、開始条件期間を長くする。これにより、前回の交換時に比べ、対策要求通知がなされるタイミングが基本的に遅くなる。
図8の最下段の図は、前回の交換時に記憶された交換値V1が大きい場合を示している。前回の交換時の交換値V1が大きいということは、前回の交換では、対策要求通知から交換までの印刷枚数が多かった、あるいは、期間が長かったことになる。
対策要求通知後、交換までの時間が長くかかるとき、対策要求通知を早めに行わなければ、交換前に無給紙ジャムが発生するおそれがある。そこで、前回の交換時に記憶された交換値V1が大きいほど、エンジン制御部5は、開始条件枚数を少なくし、あるいは、開始条件期間を短くする。これにより、前回の交換時に比べ、対策要求通知がなされるタイミングが基本的に早くなる。
交換値V1に応じて開始条件枚数、又は、開始条件期間を定めることにより、兆候あり判定から給紙回転体8の交換までの印刷枚数や期間をどの画像形成装置でもほぼ一致させることができる。つまり、設置環境やメンテナンス事情を問わず、給紙回転体8は、無給紙ジャムが生ぜず、かつ、給紙回転体8を十分に使い切った状態で交換される。
(予備報知)
次に、図10、図11を用いて、実施形態に係るプリンター100での予備報知を説明する。図10は、実施形態に係る予備報知の実行タイミングの一例を示す図である。図11は、実施形態に係る予備報知の流れの一例を示すフローチャートである。
プリンター100の設置地域によっては、サービスマンが交換用の給紙回転体8を取り寄せるまでに時間がかかる場合がある。また、地域内のサービスマンの数が少ない場合、給紙回転体8の交換の依頼から訪問まで時間がかかる場合もある。対策要求通知から給紙回転体8の交換までの印刷枚数が多く、期間が長い画像形成装置では、対策要求通知から交換までに無給紙ジャムが生ずることがある。
無給紙ジャムが生じたとき、図8のステップ♯35で説明したように、給紙回転体8の交換後、エンジン制御部5(兆候判定部5c)は、第1閾値TH1よりも小さい第2閾値TH2を用いて、無給紙ジャム発生の兆候があるか否かを判定する。
その結果、図10に示すように、兆候あり判定のタイミングは、第1閾値TH1を適用した場合(無給紙ジャムが発生した場合)に比べ、早くなる。言い換えると、第1閾値TH1を適用した場合に比べ、兆候あり判定から無給紙ジャムが発生するまでの印刷枚数、期間が長くなる。
更に、図10に示すように、対策要求通知が出されるタイミングは、第1閾値TH1を適用した場合に比べ、早くなる。言い換えると、第1閾値TH1を適用した場合に比べ、対策要求通知から無給紙ジャムの発生までの印刷枚数、期間が長くなる。
従って、第2閾値TH2を適用することにより、対策要求通知から交換の間に無給紙ジャムが生じにくくなる。しかし、第2閾値TH2は第1閾値TH1よりも小さいので、給紙回転体8の摩耗が進んでいないのに、兆候ありと判定してしまう可能性が高くなる。そこで、プリンター100では、第2閾値TH2を用いているとき、兆候あり判定の前に給紙回転体8の点検を促す予備報知を行う。兆候あり判定の前に給紙回転体8の点検を行う機会を設けることで、給紙回転体8の状態(摩耗の進行具合)を確認する機会を増やす。その結果、対策要求通知がタイミング的に早くても、使用者は、まだ使用できる状態の給紙回転体8の交換依頼や部品発注をせずに済む。
図11のスタート、ステップ♯41、ステップ♯42は、図6のスタート、ステップ♯21、ステップ♯22と同じでよい。上述した図6に関する説明を援用するものとして説明を省略する。
ステップ♯42の後、エンジン制御部5(予備報知部5g)は、求めた発生率が予め定められた第3閾値TH3を超えているか否かを確認する(ステップ♯43)。第3閾値TH3は、第1閾値TH1よりも小さい。また、第3閾値TH3は、第2閾値TH2よりも小さい。できれば、第3閾値TH3は、突発的な給紙遅れが発生したときに算出される発生率を超える値とする。第3閾値TH3は、記憶部2に記憶される(図3参照)。
発生率が第3閾値TH3を超えていないとき(ステップ♯43のNo)、本フローは終了する(エンド)。一方、発生率が第3閾値TH3を超えているとき(ステップ♯43のYes)、エンジン制御部5(予備報知部5g)は予備報知を報知部に行わせる(ステップ♯44)。
対策要求通知と同じく、予備報知でも表示パネル31と通信部7が報知部として用いられる。予備報知は、給紙回転体8の点検を促す報知である。エンジン制御部5(予備報知部5g)は、表示パネル31に「給紙部6のローラーを点検して下さい。」、「紙粉を取り除いて下さい。」のような点検を促すメッセージを含む予備報知画面(不図示)を表示パネル31に表示させる。また、エンジン制御部5(予備報知部5g)は、管理者のコンピューター200に向けて、同様のメッセージを含む画面を管理者のコンピューター200のディスプレイに表示させるデータを通信部7に送信させてもよい。
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、報知部(表示パネル31、通信部7)、給紙部6、給紙センサー9、計時部、給紙遅れ判定部5a、発生率算出部5b、兆候判定部5c、対策要求部5d、記憶部2(記憶装置部2a、エンジンメモリー2b)を含む。報知部は、情報を知らせる。給紙部6は、給紙を行う給紙回転体8(ピックアップローラー81、第1捌きローラー82、第2捌きローラー83)を含む。給紙センサー9は、給紙回転体8よりも用紙搬送方向下流側に設けられ、用紙の存在を検知しているか否かにより出力レベルが変わる。計時部は、給紙回転体8の回転開始から給紙センサー9が用紙先端を検知するまでの所要時間を測る。給紙遅れ判定部5aは、所要時間に基づき給紙遅れが発生したか否かを判定する。発生率算出部5bは、特定枚数に対して給紙遅れが発生した枚数に基づき給紙遅れの発生率を求める。兆候判定部5cは、求められた発生率が予め定められた第1閾値TH1を超えたとき無給紙ジャムの発生の兆候ありと判定する。対策要求部5dは、兆候あり判定から開始条件枚数だけ給紙を行ったとき、又は、兆候あり判定から開始条件期間経過したとき、給紙回転体8の交換を要求する対策要求通知を報知部に行わせる。記憶部2は、前回の対策要求通知から給紙回転体8が交換されるまでの長さを示す交換値V1を記憶する。そして、対策要求部5dは、交換値V1が大きいほど開始条件枚数を少なくする、又は、交換値V1が大きいほど開始条件期間を短くする。
給紙回転体8の摩耗が進むと、無給紙ジャムが生ずる前に給紙遅れの発生頻度が大きくなる傾向がある。一方、給紙回転体8の摩耗の速度は画像形成装置によりバラツキがある。プリンター100では、給紙遅れの発生頻度が大きくなるという無給紙ジャム発生の兆候を認識してから、対策要求通知が出される。言い換えると、実際の給紙回転体8の摩耗の進行程度に応じて対策要求通知がなされる。従って、対策要求通知のタイミングは早すぎない。つまり、給紙回転体8があまり摩耗していない状態で対策要求通知はなされない。また、対策要求通知のタイミングは遅すぎることもない。つまり、無給紙ジャムが生ずるほど給紙回転体8が摩耗する前に対策要求通知がなされる。
また、前回の交換で対策要求通知から実際に交換されるまでの印刷枚数が多く、期間が長かった使用者に対しては、次回の兆候あり判定から比較的短い時間で対策要求通知が行われる。一方、前回の交換で対策要求通知から実際に交換されるまでの印刷枚数が少なく、期間が短かった使用者に対しては、次回の兆候あり判定から比較的長い時間が経過してから対策要求通知が行われる。従って、どの画像形成装置(プリンター100)でも、給紙回転体8を使い切り、かつ、無給紙ジャムが生ずる前の時点で給紙回転体8を交換させることができる。その結果、交換時の給紙回転体8の摩耗の程度のバラツキを小さくなる。従って、早すぎず、遅すぎないタイミングで対策要求通知及び給紙回転体8の交換を行うことができる。
また、画像形成装置(プリンター100)は、給紙回転体8の交換完了を知らせる交換完了入力を受け付ける操作パネル3と、交換完了入力に基づき給紙回転体8が交換された時点を認識する交換認識部5eと、所要時間が予め定められた上限時間T1を超えたとき無給紙ジャムが発生したと判定するジャム発生検知部5fと、を含む。前回の対策要求通知から前回の交換完了入力までに無給紙ジャムが発生したとき、兆候判定部5cは、第1閾値TH1に代えて第1閾値TH1よりも小さい第2閾値TH2を適用し、発生率が第2閾値TH2を超えたとき兆候あり判定を行う。これにより、次回の給紙回転体8の交換では、兆候あり判定及び対策要求通知のタイミングが、早くなる方向にずらされる。従って、次回の無給紙ジャムが生ずる前に給紙回転体8が交換されるように早めに対策要求通知を出すことができる。
また、画像形成装置は、前回の対策要求通知から前回の交換完了入力までに無給紙ジャムが発生したとき、交換完了入力後、発生率が第2閾値TH2よりも小さい第3閾値TH3を超えたとき給紙回転体8の点検を促す予備報知を報知部(表示パネル31、通信部7)に行わせる予備報知部5gを含む。これにより、対策要求通知の時点から給紙回転体8の交換までの時間が長いために無給紙ジャムが発生した可能性が高い使用者に対して、給紙回転体8の状態及び交換の必要性の確認を促すことができる。
また、交換認識部5eは、対策要求通知から交換完了入力がなされるまでの給紙枚数と期間の何れか一方、又は、両方を交換値V1として記憶部2に記憶させる。これにより、前回の対策要求通知から給紙回転体8が交換されるまでの給紙枚数の大小又は期間の長短に準拠して、今回の対策要求通知の実行タイミングを定めることができる。
また、給紙回転体8の交換が一度もなされていないとき、対策要求部5dは、兆候あり判定からデフォルト枚数だけ給紙を行ったとき、又は、兆候あり判定からデフォルト期間経過したとき、対策要求通知を報知部に行わせる。これにより、交換値V1が記憶されていなくても対策要求通知を出すことができる。
また、発生率算出部5bは、給紙遅れが発生したとき、給紙遅れが発生した用紙を1枚目として以後、特定枚数を給紙するまでの間の発生率を求める。なお、特定枚数は、複数枚である。これにより、突発的な給紙遅れが生じたときに兆候ありと判定してしまうことを無くし、給紙回転体8の摩耗が進み、給紙遅れが頻発する状態となってから兆候ありと判定することができる。従って、無給紙ジャムの発生の兆候があることを正確に判定することができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
上記の実施形態では、給紙部6を設ける例を説明した。しかし、給紙部6は複数設けてもよい。この場合、給紙部6に対し1つの給紙センサー9を設け、エンジン制御部5は、給紙部6ごとに所要時間を測り、給紙部6ごとに、給紙部6ごとに給紙遅れが発生したか否かを判定し、給紙部6ごとに特定枚数を給紙する間での発生率を求め、給紙部6ごとに無給紙ジャムの発生の兆候があるか否かを判定し、兆候あり判定から兆候ありと判定した給紙部6で開始条件枚数だけ給紙を行ったとき、候あり判定から開始条件期間経過したとき、兆候あり判定に対応する給紙部6の対策要求通知を報知部に行わせる。エンジン制御部5は、複数の給紙部6(今回兆候あり判定がなされた給紙部6を含む)のそれぞれの交換値V1のうち、最新の交換値V1を用いて開始条件枚数、開始条件期間を定める。
また、複数の給紙部6のうち、ある給紙部6に対してなされた対策要求通知からその給紙部6の交換完了入力までに無給紙ジャムが発生したとき、以後、兆候判定部5cは、第1閾値TH1に代えて第2閾値TH2を適用して、それぞれの給紙部6の兆候の有無を判定してもよい。また、複数の給紙部6のうち、ある給紙部6に対してなされた対策要求通知からその給紙部6の交換完了入力までに無給紙ジャムが発生したとき、以後、予備報知部5gは、いずれかの給紙部6の発生率が第3閾値TH3を超えたとき、予備報知を報知部に行わせてもよい。