JP6391915B2 - Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法 - Google Patents

Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法 Download PDF

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本発明は、Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法に関する。詳細には、本発明は、Nd−Fe−B系磁石の結晶粒界相に特定の重希土類金属元素を磁石表面から拡散浸透させて粒界改質した、保磁力に優れた高性能磁石(高保磁力磁石)の製造方法に関する。
従来、モータ等に使用される磁石成形体としては、永久磁石であるフェライト磁石が主に用いられてきた。しかし、近年、モータの高性能化・小型化に呼応して、より磁石特性に優れる希土類磁石の使用量が増加している。
希土類磁石、特に希土類元素−鉄−ホウ素系磁石は、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や磁気断層撮影装置(MRI)の磁気回路などに広く使用されており、近年は電気自動車の駆動モータにも応用範囲が拡大している。特に、自動車用途には耐熱性が要求され、150〜200℃の環境温度における高温減磁を避けるために高い磁気特性(保磁力)を有する磁石が求められている。
Nd−Fe−B系の焼結磁石は、Nd2Fe14B化合物主相をNdリッチな粒界相が取り囲んだ微細構造を有し、これら主相及び粒界相の成分組成やサイズなどが磁石の保磁力の発現に重要な役割を担っている。一般的な焼結磁石においては、Nd2Fe14B化合物より異方性磁界の大きなDy2Fe14BまたはTb2Fe14B化合物の磁気的性質を利用して、磁石合金中にDyやTbを数重量%〜十重量%程度含有させることによって高い保磁力を実現している。しかし、DyやTbの含有量の増加につれて飽和磁化の急激な減少を招いて最大エネルギー積((BH)max)と残留磁束密度(Br)を低下させる問題があった。また、DyやTbは希少資源であり、且つNdと比較して数倍の高価な金属であるために、その使用量を節減する必要があった。
上記課題を解決することを目的として、重希土類金属供給源を、Ca還元剤を用いて常圧下で高温で加熱して重希土類金属に還元させると同時に、該金属成分をNd−Fe−B系磁石内部の粒界相に選択的に拡散浸透させる方法が提案された(特許文献1)。この方法によると、Nd−Fe−B系磁石において、主相を取り囲む結晶粒界相中にDyやTbなどを高濃度に存在させること、すなわち粒界改質により残留磁束密度を低下させずに保磁力を効果的に増加させることができることが記載される。
国際公開第2006/064848号
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法により得られるNd−Fe−B系磁石の保磁力は十分とはいえず、より保磁力の向上が求められている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、保磁力が向上したNd−Fe−B系磁石を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、Ca蒸気の存在下で、Nd−Fe−B系磁石及び重希土類金属元素供給源を加熱処理することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の方法によれば、Nd−Fe−B系磁石の粒界相に所望の重希土類金属を高濃度に存在させることができるため、保磁力の高いNd−Fe−B系磁石が得られる。
本発明に係るNd−Fe−B系磁石の断面の結晶組織を概略的に示す断面図である。 従来のNd−Fe−B系磁石の断面の結晶組織を概略的に示す断面図である。 実施例6の磁石のEPMA画像におけるTb元素の分布状況を示すカラー写真である。 実施例1〜3並びに比較例1〜3及び4〜6における、加熱処理温度と保磁力との関係を示すグラフである。 実施例4〜6並びに比較例7〜9及び10〜12における、加熱処理温度と保磁力との関係を示すグラフである。 合成例のAl−Ca合金のXRDパターンを示す図である。 実施例7〜8の高保持磁石(7)及び(8)ならびに元磁石のB−H減磁曲線を示すグラフである。
本発明は、Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法に関する。本発明の方法では、カルシウム蒸気の存在下で、Nd−Fe−B系磁石、ならびにPr、Dy、Tb及びHoからなる群より選択される少なくとも一種の金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物を加熱処理する。この加熱処理により、前記金属を前記Nd−Fe−B系磁石の表層から内部に粒界拡散させる。なお、以下では、「Pr、Dy、Tb及びHoからなる群より選択される少なくとも一種の金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物」を、一括して、「重希土類金属源」とも称する。同様にして、以下では、「Nd−Fe−B系磁石」を単に「磁石」とも称する。
上記特許文献1では、固相還元法、液相還元法または溶融塩電解還元法によって、重希土類金属元素に還元させると共に、該金属成分を磁石の表面から内部の粒界相に選択的に拡散浸透させている。しかし、上記方法、特に固相還元法や液相還元法では、均一に還元剤を分布させにくいため、効果的に保磁力を増加することが困難である。また、所望の金属成分の粒界相への拡散浸透量が少なく、十分な保磁力を達成できず、また、バラツキが生じるという問題もある。
これに対して、本発明の方法では、カルシウム蒸気(Ca蒸気)の存在下で、磁石及び重希土類金属源を加熱処理して、重希土類金属源を重希土類金属(例えば、DyF3をDy)に還元する。Ca蒸気は、Caが固体あるいは液体状態である場合に比して、重希土類金属成分を磁石内部により効率的に拡散させることができる。ゆえに、重希土類金属の磁石内部への拡散が促進し、より高い濃度の重希土類金属が磁石の表層から内部に粒界拡散でき、高温での減磁を抑制・防止して、保磁力(Hcj)を向上できる。
また、Ca蒸気は、Caが固体あるいは液体状態である場合に比して、Nd−Fe−B系磁石及び重希土類金属源と均一にかつ効率的に接触する。ゆえに、Ca蒸気による還元反応が磁石で均一かつ効率的に起こる。したがって、本発明の方法により得られる磁石は、より高い保磁力(Hcj)を発揮でき、また、そのバラツキも小さい。上記に加えて、本発明の方法では、磁石の残留磁束密度(Br)の低下を回避できる。
ここで、本発明による拡散浸透(粒界拡散)処理により磁気特性を向上できる(保磁力を高め、残留磁束密度低下を低減する)メカニズムは、以下のように説明される。なお、本発明は、下記メカニズムに限定されない。一般のNd−Fe−B系磁石の内部は、大きさ約3〜10ミクロンのNd2Fe14B主結晶の周囲を粒界相(およそ10〜100ナノメートルの厚さで、主にNd,Fe,Oから構成されてNdリッチ相と呼称されている)が取り囲んだ構造をしている。Ca蒸気による重希土類金属源の還元によって、重希土類金属元素が磁石表面に還元析出し、さらに磁石内部にまで均一に拡散浸透する。このように重希土類金属が主結晶及び粒界相、特に粒界相に均等に分散することにより、逆磁区の発生源となりやすい結晶粒界や磁石表面層を清浄化して磁気を強化し、磁石の保磁力を増加できる。また、還元過程で、重希土類金属元素は、Nd2Fe14B主結晶のNdとほとんど置換せずに結晶粒界相に選択的に富化した構造を形成して、粒界改質を行うことが可能である。さらに、上記還元工程では、重希土類金属源(例えば、Dy23)はCa成分(還元剤)と反応して重希土類金属に還元されるが、磁石を構成するNd−Fe−B成分とは還元反応をほとんど生じない。このため、残留磁束密度(残留磁化)の低下を抑制でき、高いエネルギー積(最大エネルギー積)を達成できる。また、磁石は、損傷を受けることがほとんどないまたは全くない。
したがって、本発明に係る磁石は、耐熱性を必要とする車駆動用モータなどにも好適に使用できる。また、少量の重希土類金属で従来の焼結磁石並みまたはそれ以上の保磁力を得ることができ、希少な資源問題の解決にも寄与できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で対象とするNd−Fe−B系磁石は、焼結磁石である。Nd−Fe−B系焼結磁石は、Nd2Fe14B主相結晶をNdリッチな結晶粒界相が取り囲んだ結晶組織を有し、典型的な核発生型の保磁力機構を示す。このため、本発明による保磁力増加の効果がより有効に発揮されうる。
Nd−Fe−B系磁石の製造方法は、特に制限されず、公知の方法と同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。以下に、Nd−Fe−B系磁石の製造方法の好ましい実施形態を記載するが、本発明は下記に限定されない。すなわち、焼結磁石は、原料合金を数ミクロンに粉砕して成形、焼結して形成される。Nd−Fe−B系焼結磁石では、Nd量をNd2Fe14B組成(=27.5重量% Nd)より多くすると粒界相が形成される。しかし、焼結過程での酸化なども考慮すると、磁石の全重量に対して、29〜30重量%のNdが実用的なNd組成である。一般的な焼結磁石では、PrやYなどが不純物としてあるいはコスト低減のために含まれる。このため、全希土類金属元素の含有量は、磁石の全重量に対して、28〜35重量%程度であれば、磁気特性の向上効果が認められる。ここで、全希土類金属元素の含有量が35重量%以下であれば、適度な粒界相が形成され、保磁力および磁束密度を担うNd2Fe14B主相の割合が適度にバランスされて、実用的な残留磁束密度や最大エネルギー積が得られる。
本発明の方法は、Nd2Fe14B主相結晶を粒界相で取り囲む結晶組織をもつ磁石すべてに適用されうる。このため、Nd−Fe−B形成成分のみならず、その他の付加的成分、例えば、温度特性の改善用のCo、微細で均一な結晶組織を形成するためのAlやCuなどが添加されていてもよい。また、本発明の方法は、元とする磁石の磁気特性や、Nd以外の他の希土類金属元素の添加量には本質的に影響されない。このため、予め重希土類金属を焼結原料に加えて焼結して製造される、主相及び粒界相に重希土類金属元素を含む焼結磁石(高性能焼結磁石)を使用してもよい。ここで、重希土類金属元素の含有量は、特に制限されないが、重希土類金属元素の合計含有量が、磁石の全重量に対して、0.2重量%以上10重量%以下程度であることが好ましい。このような範囲であれば、本発明の方法により高性能焼結磁石に対しても保磁力の効果的な向上をもたらすことができる。
本発明では、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)およびホルミウム(Ho)からなる群より選択される少なくとも一種の金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物を重希土類金属源として用いる。すなわち、Pr,Dy,Tb,Hoから選ばれる重希土類金属(元素)が磁石表面に供給されて磁石内部に拡散浸透する。これらの重希土類金属源は、安定なために空気中で容易に取り扱いができるため、大気中での取り扱いが可能である。また、Ca蒸気による還元後はそれぞれ酸化カルシウム(CaO)やカルシウムのハロゲン化物(例えば、CaF2)が生成するが、これらは磁石体の表面から容易に分離が可能である。加えて、上記重希土類金属(元素)は、Nd−Fe−B系磁石を構成するNdより磁気異方性が大きく、磁石内部の主相を取り囲むNdリッチ相等に容易に拡散浸透する。このため、これらの重希土類金属をNd−Fe−B系磁石表面に還元析出させると同時に磁石表面から内部の結晶粒界に拡散浸透させることにより、保磁力を有意に向上できる。なお、上記重希土類金属源(重希土類金属)は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。後者の場合、重希土類金属源(重希土類金属)は、それぞれが別個に存在してもあるいは複合(合金化)した形態で存在してもよい。これらのうち、Dy、TbおよびHoのハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物が好ましく、DyおよびTbのハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物が好ましい。特に、Dy2Fe14B及びTb2Fe14B化合物の異方性磁界は、Nd2Fe14Bと比べて、それぞれおよそ2倍と3倍であることから、Dy、Tb元素は保磁力増加の効果が大きいため、特に好ましい。
ここで、ハロゲン化物としては、上記重希土類金属の、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられる。これらのうち、保磁力増加効果、取り扱いやすさなどを考慮すると、上記重希土類金属のフッ化物、塩化物が好ましく、安全性を考慮すると、フッ化物がより好ましい。また、酸ハロゲン化物(ハロゲンオキソ酸塩)としては、上記重希土類金属の、酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物が挙げられる。これらのうち、保磁力増加効果、取り扱いやすさ、安全性などを考慮すると、上記重希土類金属の酸フッ化物が好ましい。
本発明では、Ca蒸気の存在下で磁石及び重希土類金属源を加熱処理する。ここで、Ca蒸気を使用しないと、重希土類金属源が高温で磁石表面のNd成分とも反応して、Ndと結合することにより還元される。このため、磁石表面層の一部がNd欠損状態となって軟磁性の相(例えば、α−Fe相、DyFe2相)が副生し、保磁力が低下する。
また、従来では、Caは、空気中、特に高温での活性の理由により、Ca蒸気を磁石での重希土類金属源の還元に使用されなかった。
ここで、Ca蒸気の生成方法は、特に制限されないが、Ca蒸気源を減圧下に保持することによって生成する。なお、常圧下では、高温条件下であっても、Ca蒸気が生成することはほとんどないまたは全くない。すなわち、Ca蒸気源を減圧下に保持することによって、Ca蒸気は生成する。また、Ca蒸気源は、減圧下でCa蒸気を生成するものであれば特に制限されないが、カルシウム(Ca金属単体)、水素化カルシウム(CaH2)などが挙げられる。保磁力増加効果、取り扱いやすさなどを考慮すると、カルシウムが好ましい。なお、カルシウムや水素化カルシウム(CaH2)による重希土類金属源の還元反応を以下に示す。すなわち、重希土類金属源としてテルビウムのフッ化物(TbF3)またはジスプロシウムの酸化物(Dy23)を使用する場合で、下記反応式1(Caの場合)および反応式2(CaH2の場合)として示す。
ここで、還元剤である水素化カルシウムは水分と反応しやすい(下記反応式3参照)。このため、水素化カルシウムを使用する場合には、その取り扱いや磁石表面への水素化カルシウムの塗布作業を、水分や酸素量が低くまたはゼロに管理されたグローブボックス内で実施することが好ましい。一方、カルシウムは、水分や酸素量の管理を必要とせず、量産する場合には、特に好適に使用できる。すなわち、カルシウム蒸気は、カルシウムまたは水素化カルシウム(CaH2)を減圧下に保持することにより生成されることが好ましく、カルシウムを減圧下に保持することにより生成されることがより好ましい。
または、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に含む形態(混合物)をCa蒸気源として使用することも好ましい。カルシウムおよび金属Aを含有する合金をCa蒸気源として使用することがより好ましい。ここで、「カルシウム含有材料」は、カルシウムを含む化合物であればいずれの形態であってもよい。同様にして、「金属Aを含有する材料」は、金属Aを含む化合物であればいずれの形態であってもよい。また、「カルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に含む形態」とは、カルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とが別の物質として存在することを意味し、カルシウム含有材料と金属Aを含有する材料との混合物などを包含する。
上記金属Aは、カルシウムと同程度またはカルシウムより融点が低く、かつNd−Fe−B系磁石の粒界相より融点が低い金属であることが好ましい。すなわち、上記形態に加えて、カルシウム蒸気は、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に、減圧下に保持することにより生成され、この際、上記金属Aは、カルシウムと同程度またはカルシウムより融点が低く、かつNd−Fe−B系磁石の粒界相より融点が低い金属であることもまた好ましい。上述したように、一般のNd−Fe−B系磁石の内部は、Nd2Fe14B主結晶の周囲を粒界相が取り囲んだ構造をしている。ここで、カルシウムまたは水素化カルシウム(CaH2)を用いて形成された粒界相は、Nd2Fe14B化合物主相(融点:1000℃以上)に比して融点が低い。しかし、カルシウムやNd−Fe−B系磁石の粒界相より融点の低い金属Aを合金、複合体または別々の形態(例えば、混合物)(以下、単に「カルシウム供給源」とも称する)として添加することによって、粒界相の融点はさらに低下する。このため、このようなカルシウム供給源を用いてCa蒸気による重希土類金属源を還元することによって、重希土類金属源(例えば、Dy、Tb)が磁石表面により効率的に還元析出し、磁石内部にまでより均一に拡散浸透する。ゆえに、重希土類金属の磁石内部への拡散がより促進し、より高い濃度の重希土類金属が磁石の表層から内部に粒界拡散でき、高温での減磁を抑制・防止して、保磁力(Hcj)をさらに向上できる。上記に加えて、磁石の残留磁束密度(Br)の低下をより低減できる。また、金属Aの融点がカルシウムやNd−Fe−B系磁石の粒界相より融点の低い、すなわち、カルシウムと同程度に揮発し易い金属A(例えば、Al)をカルシウムと組み合わせて合金、複合体または混合物とすることで、金属Aが磁石の内部に混入する量を低減または0にでき、また、金属Aが磁石の内部に混入したとしても問題ないくらい、若干量となりうる。また、Al等金属Aが元来同磁石の添加成分である場合には、同時に粒界相の融点を低下させる効果もあるため、カルシウムによって還元された重希土類金属源(例えば、Dy、Tb)が磁石の深部粒界相まで効果的に拡散・導入できる。したがって、このようにして得られる磁石は、残留磁束密度や保磁力が大きく、B−H減磁曲線(J−H減磁曲線)の角型性に優れる(B−H極性(J−H曲線)が四角形に近い)。
ここで、カルシウムと合金、複合体または混合物を形成する金属Aは、カルシウム(融点:842℃、沸点:1503℃)と同程度またはカルシウムより融点が低く、かつNd−Fe−B系磁石の粒界相より融点が低い金属(以下、「他の金属」とも称する)であることが好ましい。これにより、粒界相の融点をさらに低下させ、保磁力(Hcj)をさらに向上し、磁石の残留磁束密度(Br)の低下をより低減できる。また、金属Aが磁石の内部に混入する量を低減または0にできる。具体的には、アルミニウム(Al)(融点:660℃、沸点:2520℃)、亜鉛(Zn)(融点:約420℃、沸点:907℃)、アンチモン(Sb)(融点:約631℃、沸点:1587℃)、イッテルビウム(Yb)(融点:824℃、沸点:1196℃)、インジウム(In)(融点:約157℃、沸点:2072℃)、カドミウム(Cd)(融点:321℃、沸点:767℃)、ガリウム(Ga)(融点:約30℃、沸点:2208℃)、スズ(Sn)(融点:約232℃、沸点:2603℃)、ストロンチウム(Sr)(融点:777℃、沸点:1414℃)、セシウム(Cs)(融点:約28℃、沸点:658℃)、セリウム(Ce)(融点:799℃、沸点:3426℃)、セレン(Se)(融点:約220℃、沸点:約685℃)、タリウム(Tl)(融点:約304℃、沸点:1473℃)、テルル(Te)(融点:約450℃、沸点:991℃)、鉛(Pb)(融点:約328℃、沸点:1750℃)、ビスマス(Bi)(融点:約271℃、沸点:1561℃)などが挙げられる。他の金属の融点は、上記の条件に合致すれば特に制限されない。また、Ca蒸気及び他の金属蒸気が同時に形成しやすいこと、Ca蒸気の方が優先的に形成されることなどを考慮すると、沸点が、カルシウムの沸点(1503℃)より高いことが好ましい。上記点を考慮すると、他の金属は、アルミニウムが好ましい。
カルシウム供給源は、カルシウム及び他の金属(金属A)を含有するものであれば、カルシウムより融点の高い金属を含んでも、あるいはカルシウムより融点の高い金属を含有材料をさらに含んでもよいが、重希土類金属(例えば、Dy,Tb)の磁石内部への均一な拡散浸透を考慮すると、カルシウムと他の金属(金属A)から構成されることが好ましい。また、カルシウム供給源がカルシウム合金である場合の、カルシウム合金の組成は、特に制限されないが、融点の低下効果を考慮すると、他の金属(金属A)がカルシウムより高い原子比であることが好ましい。なお、カルシウム合金は、原料に由来するその他の不可避的な不純物(不可避的な不純物元素)を含有することは許容される。この不可避的な不純物は、合金を構成する必須成分以外の不要と認められる成分であり、合金成分の原料や処理工程によって不可避的に混入する不純物である。上記不可避的な不純物の含有量は、通常合金に重大な影響を及ぼさない程度であれば特に制限されない。
Ca蒸気を生成する際の、減圧度は、Ca蒸気が生成すれば特に制限されない。Ca蒸気生成の容易さ、操作性などを考慮すると、圧力が、1〜1×10-7Torrであることが好ましく、1×10-2〜1×10-7Torrであることがより好ましい。すなわち、カルシウム蒸気は、カルシウム、水素化カルシウム(CaH2)、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に、1〜1×10-7Torrの減圧下に保持することにより生成されることが好ましい。より好ましくは、カルシウム、水素化カルシウム(CaH2)、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に、1×10-2〜1×10-7Torrの減圧下に保持することにより、カルシウム蒸気を生成する。
Ca蒸気の存在下で、磁石及び重希土類金属源を加熱処理するが、この際、加熱処理工程はCa蒸気を生成した後またはCa蒸気を生成しながら行われうる。ここで、Ca蒸気を生成するためのカルシウム源(還元剤)の仕込み量は、重希土類金属源を十分還元できる量であれば特に制限されず、重希土類金属源やカルシウム源の種類によって適宜選択される。例えば、カルシウムをカルシウム源として、重希土類金属のハロゲン化物を重希土類金属源として使用する場合には、上記反応式で示されるように、化学量論的には、カルシウムは、重希土類金属のハロゲン化物1モルに対して、1.5モル必要となる。しかし、完全に還元するという観点から、カルシウムの仕込み量は、重希土類金属のハロゲン化物1モルに対して、1.5〜3モルであることが好ましい。カルシウムをカルシウム源として、重希土類金属の酸化物を重希土類金属源として使用する場合には、上記反応式で示されるように、化学量論的には、カルシウム源は、重希土類金属の酸化物1モルに対して、3モル必要となる。しかし、完全に還元するという観点から、カルシウムの仕込み量は、重希土類金属の酸化物1モルに対して、3〜5モルであることが好ましい。
水素化カルシウムをカルシウム源として、重希土類金属のハロゲン化物を重希土類金属源として使用する場合には、上記反応式で示されるように、化学量論的には、水素化カルシウムは、重希土類金属のハロゲン化物と等モル必要である。しかし、完全に還元するという観点から、水素化カルシウムの仕込み量は、重希土類金属のハロゲン化物1モルに対して、1〜2モルであることが好ましい。水素化カルシウムをカルシウム源として、重希土類金属の酸化物を重希土類金属源として使用する場合には、上記反応式で示されるように、化学量論的には、水素化カルシウムは、重希土類金属の酸化物1モルに対して、3モル必要となる。しかし、完全に還元するという観点から、カルシウムの仕込み量は、重希土類金属の酸化物1モルに対して、3〜5モルであることが好ましい。

また、加熱処理工程は、磁石、重希土類金属源、及びカルシウム源を、カルシウム蒸気と反応しない金属材料で密閉した状態で行われることが好ましい。すなわち、磁石、重希土類金属源、及びカルシウム、水素化カルシウム(CaH2)、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料との混合物を、カルシウム蒸気と反応しない金属材料で密閉した状態で加熱処理を行うことがより好ましい。これにより、Ca蒸気が磁石周辺に留まり、重希土類金属源に効率よくいきわたる。このため、重希土類金属成分を磁石内部により効率的に拡散浸透させることができる。ゆえに、重希土類金属の磁石内部への拡散浸透が促進し、より高い濃度の重希土類金属が磁石の表層から内部に粒界拡散でき、保磁力をより向上できる。
なお、「磁石、重希土類金属源、及びカルシウム源を金属材料で密閉する」とは、減圧状態は維持しつつ、これらの3成分を一定空間に閉じ込めることを意味する。このため、Ca蒸気や空気の一部は、外界と流通してもよい。ここで、磁石、重希土類金属源、及びカルシウム源を金属材料で密閉する方法としては、特に制限されない。具体的には、
(ア)上記3成分を不活性金属材料からなる金属箔で包む;
(イ)上記3成分を、不活性金属材料からなる1つの容器に入れる;
(ウ)上記3成分を、不活性金属材料からなる大小2種の箱形の容器を入れ子にして組み合わせた容器に入れる;
(エ)上記3成分を、不活性金属材料で内壁をコーティングした1つの容器に入れる;および
(オ)上記3成分を、不活性金属材料で内壁をコーティングした大小2種の箱形の容器を入れ子にして組み合わせた容器に入れる;
などが挙げられる。これらのうち、(ア)が好ましい。(ア)の場合には、一旦上記3成分を不活性金属材料からなる金属箔で包んだ後、別の容器に入れて減圧した場合であっても、Ca蒸気が金属箔から散逸することを抑制・防止する。このため、容器の内壁にCaが付着するのを抑制・防止できる。このため、容器の材質を自由に選択することができる。また、減圧処理後の容器を清浄な状態に保つことができ、容器の洗浄・清掃などを省略あるいは軽減することができる。なお、上記のようにして3成分を密閉状態にしたものは、そのまま減圧若しくは加熱処理されても、または密閉状態の3成分をさらに別の容器(例えば、減圧容器、加熱処理容器)に入れた後、減圧若しくは加熱処理されてもよい。なお、上記(ア)、(ウ)及び(オ)は、別の容器(例えば、減圧容器、加熱処理容器)に入れた後、減圧若しくは加熱処理することが好ましい。上記(イ)及び(エ)は、そのまま減圧若しくは加熱処理することが好ましい。
上記カルシウム蒸気と反応しない金属材料としては、Ca蒸気と反応しない金属材料(不活性金属材料)であればいずれも使用できるが、高融点を有する金属材料であることが好ましい。このような金属材料としては、具体的には、ステンレス鋼、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)などが挙げられる。
また、加熱処理工程において、磁石表面を重希土類金属源で被覆した状態で加熱処理を行うことが好ましい。重希土類金属源が磁石表面と接触しているので、重希土類金属成分を磁石内部により効率的に拡散させることができる。ゆえに、重希土類金属の磁石内部への拡散が促進し、より高い濃度の重希土類金属が磁石の表層から内部に粒界拡散でき、高温での減磁を抑制・防止でき、高い保磁力を達成できる。ここで、磁石表面を重希土類金属源で被覆する方法は特に制限されないが、重希土類金属源を適用な溶媒に添加して、スラリーまたは溶液を調製し、これを磁石に塗布する方法がある。この方法は、水分や酸素量の制御をせずに、大気中で容易に行うことができるため、好ましい。
上記方法において使用できる溶媒としては、重希土類金属源に対して不活性な溶媒であれば特に制限されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコールが挙げられる。
また、溶液の磁石への塗布量もまた、特に制限されない。一般的に、磁石の保磁力は、磁石断面の深さ方向に重希土類金属元素の濃度勾配をもつ組織構造によって影響され、拡散層の深さが大きいほど大きな保磁力が得られる。一方、重希土類金属元素を拡散浸透させると、粒界相の厚さ(幅)は広がるが、この拡散層部分の粒界相の厚さが厚く且つ拡散層の深さが深くなるほど、重希土類金属成分を多量に含むことになって残留磁束密度の低下をもたらす。したがって、残留磁束密度の低下を抑制しつつ保磁力の大幅な増加を達成するには、重希土類金属元素が過剰とならないように、使用する重希土類金属源の量、加熱処理温度や時間を適正に制御することが重要である。このような観点から、磁石体に拡散した分及び拡散できずに表面に金属層として留まっている分を合わせた全重希土類金属成分は、磁石の全重量に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ましい。このような範囲であれば、磁石は高性能な磁気特性を発揮できる。このような範囲であれば、磁石は、残留磁束密度の低下は抑制しつつ、保磁力、さらには最大エネルギー積を向上できる。また、減磁曲線の角型性(squareness)も向上できる。
また、加熱処理条件は、重希土類金属に還元し、重希土類金属成分を磁石内部に拡散できる条件であれば特に制限されない。例えば、加熱処理温度は、700〜1000℃が好ましく、800〜1000℃がより好ましく、900〜1000℃が特に好ましい。また、加熱処理時間は、10分〜24時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。このような条件であれば、Ca蒸気により、重希土類金属源は効率よく重希土類金属に還元され、重希土類金属成分を磁石内部に拡散できる。
重希土類金属が拡散する深さは、加熱処理条件(加熱温度や時間)によって適宜調節されうる。通常、重希土類金属が拡散する深さは、磁石表面から20〜1000μm位でありうる。なお、拡散浸透後の粒界相の構成は、M−Nd−Fe−O(M=重希土類金属)系であることがEPMA(Electron Probe Micro-Analyzer)の分析結果より確認され、粒界相の厚さは10〜200nm位と見積られる。なお、磁石表面及び内部に還元析出する重希土類金属の量は、加熱処理温度及び時間によって容易に調整できる。本発明の方法においては、重希土類金属は、磁石表面に還元析出すると同時に一部は磁石内部に拡散浸透していく。このため、磁石表面の重希土類金属のみの厚さを明確に判定することが困難である。
本発明では、上記加熱処理後、さらに時効処理を行うことが好ましい。これにより、保磁力をさらに向上できる。ここで、時効処理は、加熱処理と同一工程で(即ち、加熱処理工程に引き続いて同一容器内で)行っても、あるいは別の容器に移して行ってもよいが、前者が操作の簡略化の観点から好ましい。ここで、時効処理条件は、特に制限されない。例えば、時効処理温度は、400〜700℃が好ましく、500〜650℃がより好ましい。また、時効処理時間は、10分〜3時間が好ましく、30分〜2時間がより好ましい。このような条件であれば、粒界のNdリッチ相の均一な生成を助長して、保磁力をさらに向上できる。なお、Ndリッチ相の生成温度領域は500〜600℃であるため、時効処理温が下限を下回ると、保磁力向上効果が少ない恐れがある。また、上限を超えると、Ndリッチ相が過大に成長して却って保磁力の低下を招く恐れがある。また、Ca蒸気を生成するために減圧雰囲気を維持したまま加熱処理を行う。このため、減圧条件を維持した容器(減圧容器)を大気中雰囲気中で加熱処理行うことができる。
上記したような加熱処理および必要であれば時効処理により、重希土類金属源は重希土類金属に還元されて磁石表面に析出すると共に、重希土類金属は磁石内部の結晶粒界相に選択的に拡散浸透する。また、重希土類金属は磁石表面には拡散せずに表面に留まるため、重希土類金属層が磁石表面に形成する。なお、磁石表面の重希土類金属層は、必要であれば、除去してもよい。磁石表面の重希土類金属層の除去厚さが0.05mm程度以下であれば、除去による保磁力の目減りはほとんどなく、また、残留磁束密度は削っても変わらない。ここで、磁石表面の重希土類金属層の除去方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、平面または円筒研削盤による表面研削方法などを好ましく用いることができる。また、酸を用いて表面層を溶解除去することも可能であるが、その場合には充分にアルカリ中和や洗浄を行うことが好ましい。
上記加熱処理および必要であれば時効処理または重希土類金属層の除去処理後、必要であれば、磁石を裁断して所定の形状寸法をした磁石を複数個作製してもよい。ここで、裁断方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、切断刃の外周部にダイヤやグリーンコランダム砥粒を固着させた円盤状の切断刃を用いて、磁石片を固定してから一枚一枚磁石を切断する方法、複数枚の刃を取り付けた切断機(マルチソー)によって同時に複数個を裁断する方法などが使用できる。なお、例えば、厚さが1mm以下の薄い磁石に本発明に係る粒界改質処理を行う場合には、少量の重希土類金属元素を利用した短時間処理で所望の磁気特性を得ることが容易である。一方、厚さが5〜10mm程度の厚い磁石では、重希土類金属元素を磁石深くまで充分に浸透させて、磁石全体をほぼ均質な組織状態にすることが好ましい。その後に裁断を行うことにより、磁石製造工程におけるプレス成形回数を節減することも好適な方法である。
本発明の方法によって得られる磁石(高保磁力磁石)は、図1に示されるような断面構造を有する。なお、図1では、Dyを重希土類金属の代表例として記載するが、他の重希土類金属でも同様の組織構造をとる。図1に示されるように、Dy元素は、磁石表面から拡散浸透し、磁石最表層の磁石粒子内には浸透してDy金属層を形成するが、内部の磁石粒子内にはほとんど浸透せずに粒界に拡散する。このように、本発明に係る磁石は、重希土類金属元素が結晶粒界に選択的に浸透するために保磁力を向上できる。また、Dy元素は、磁石の表面層のごく一部のNd2Fe14B結晶内には侵入するが、内部のほとんどのNd2Fe14B結晶内には侵入せず、Dy元素の多くはNdリッチ粒界相に侵入する。加えて、Ndリッチ粒界相への拡散浸透も、Dy元素濃度(拡散浸透度)が磁石表面側で濃く、内部に行くに従ってやや薄く存在する濃度勾配をもつ組織構造となる。このように、本発明に係る磁石は、磁石最表面層部分の磁石の主相結晶内へは重希土類金属元素は侵入するが、大部分(特に内部)の主相結晶には実質的に重希土類金属元素は侵入しないため、残留磁束密度の低下を抑制できる。
これに対して、従来の磁石は、図2に示されるように、Nd2Fe14B結晶粒をNdリッチ粒界相が取り囲んだ組織を有する。Dy元素を少量含有する場合であっても、Dy元素は、Nd2Fe14B結晶粒とNdリッチ粒界相それぞれに均一に分配されて存在し、また磁石内部と表面による組織構造に差異はない。
上述したように、本発明の方法によると、重希土類金属成分が磁石表面から内部に拡散浸透して、結晶粒界相に重希土類金属元素が富化した構造をとる。この表面層は、重希土類金属または磁石中のNdとFeが一部反応によって取り込まれた重希土類金属リッチな層となる。このため、Nd2Fe14Bより空気中でより安定であるため、数十℃でかつ比較的低湿度環境下で使用する場合にはニッケルメッキや樹脂塗装などの防錆皮膜を省略することも可能である。また、重希土類金属は、磁石の内深部よりも表層部に優先的に存在し、Nd2Fe14B主結晶のNdはM金属元素によりほとんど置換されない。このため、主結晶内よりも粒界相に選択的に重希土類金属元素が富化した構造をとるため、逆磁区の発生が抑制され、粒界改質前のNd−Fe−B系磁石にして、保磁力を向上できる。
また、本発明の方法は、重希土類金属への還元および重希土類金属成分の磁石内部の粒界相への選択的な拡散浸透を単一の処理工程でかつ容易に実現できる。また、Ndリッチ粒界相の融点は、Nd2Fe14B相の融点(1000℃以上)と比較して低いために、磁石の粒界相に選択的に拡散しやすい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)は、下記方法によって測定される。加えて、角型性は、下記方法によって評価される。
<保磁力(Hcj)および残留磁束密度(Br)の測定>
日本電磁測器製パルスB−Hカーブトレーサーを用いて磁化特性の測定を行い、保磁力(Hcj)及び残留磁束密度(Br)を求めた。
<最大エネルギー積((BH)max)の測定>
上記測定の磁束密度と磁界の大きさの積の最大値を、最大エネルギー積((BH)max)とする。
<角型性の評価>
日本電磁測器製パルスB−Hカーブトレーサーを用いて磁化特性の測定を行い、保磁力(Hcj)及び残留磁束密度(Br)を求め、保磁力(Hcj)に対して残留磁束密度(Br)をプロットし、B−H減磁曲線を作成し、この曲線により角型性を評価した。
実施例1〜3
以下の方法に従って、Nd−Fe−B系磁石[組成:Nd2Fe14B;Br=1.48(T)、Hcj=1.01(MA/m)、(BH)max=370kJ/m3]を作製した。すなわち、Nd12.5Fe79.58組成の合金インゴットから、ストリップキャスト法によって厚さ約0.2mmの合金薄片を製作した。次に、この薄片を容器内に充填して300kPaの水素ガスを室温で吸蔵させた後に放出させることにより、大きさ0.1〜0.2mmの不定形粉末を得て、引き続きジェットミル粉砕をして約3μmの微粉末を製作した。この微粉末を金型に充填し、800kA/mの磁界を印加しながら100MPaの圧力を加えて成形し、真空炉に装填して1080℃で1時間焼結をした。この焼結体を切断加工して、約5mm×約5mm×約4.8mmの厚さ方向に異方性をもつ板状試料を複数個製作した。以下では、この板状試料を磁石(元磁石)として使用した。
フッ化ジスプロシウム(III)(DyF3)を、20重量%の濃度となるように、ブタノールに添加して、スラリーを調製した。上記で作製したNd−Fe−B系磁石(大きさ:5mm×5mm×4.8mm)の表面に、大気中で、上記で調製したスラリーを、磁石片に含まれるNd成分量に対してDy成分量が約5原子%となるように塗布し、塗布磁石を作製した。
次に、この塗布磁石900mg及びCa金属(10mg:DyF3 1モルに対して1.5〜3モルに相当)を、Mo金属箔で包み、石英管(外径10mm,長さ100mm)内に入れた。この石英管内を10-2Torr以下となるように減圧排気した後、封入した。さらに、この石英管を、それぞれ、大気中で900℃、950℃または1000℃で4時間加熱処理した。この加熱処理後、そのまま、600℃で1時間、時効処理を実施して、高保持磁石(1)〜(3)(Ca蒸気−DyF3)を作製した。なお、上記加熱処理後、石英管内壁を目視したが、Caの付着は認められなかった。
上記で得られた高保持磁石(1)〜(3)について、保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表1及び図4に示す。
比較例1〜3
実施例1〜3と同様にして、Nd−Fe−B系磁石を作製した。
グローブボックス内(酸素量0.03ppm以下、露点−95℃以下に制御)で、水素化カルシウム(CaH2)0.2g及びフッ化ジスプロシウム(III)(DyF3)0.3gを混合し、ブタノール1mLに添加して、スラリーを調製した。上記で作製したNd−Fe−B系磁石(大きさ:5mm×5mm×4.8mm)の表面に、大気中で、上記で調製したスラリーを、磁石片に含まれるNd成分量に対してDy成分量が約5原子%となるように塗布し、塗布磁石を作製した。
この塗布磁石を、それぞれ、大気中で900℃、950℃または1000℃で4時間加熱処理した。この加熱処理後、そのまま、600℃で1時間、時効処理を実施して、比較磁石(1)〜(3)を作製した。
上記で得られた比較磁石(1)〜(3)について、保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表1及び図4に示す。
比較例4〜6
実施例1〜3において、Ca金属を使用しない以外は、それぞれ、実施例1〜3と同様にして、比較磁石(4)〜(6)を作製した。
上記で得られた比較磁石(4)〜(6)について、保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表1及び図4に示す。
実施例4〜6
実施例1〜3と同様にして、Nd−Fe−B系磁石を作製した。
フッ化テルビウム(III)(TbF3)を、20重量%の濃度となるように、ブタノールに添加して、スラリーを調製した。上記で作製したNd−Fe−B系磁石(大きさ:5mm×5mm×4.8mm)の表面に、大気中で、上記で調製したスラリーを、磁石片に含まれるNd成分量に対してTb成分量が約5原子%となるように塗布し、塗布磁石を作製した。
次に、この塗布磁石及びCa金属(10mg)を、Mo金属箔で包み、石英管(外径10mm,長さ100mm)内に入れた。この石英管内を10-2Torr以下となるように減圧排気した後、封入した。さらに、この石英管を、それぞれ、大気中で900℃、950℃または1000℃で4時間加熱処理した。この加熱処理後、そのまま、600℃で1時間、時効処理を実施して、高保持磁石(4)〜(6)を作製した。なお、上記加熱処理後、石英管内壁を目視したが、Caの付着は認められなかった。
上記で得られた高保持磁石(4)〜(6)について、保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表2及び図5に示す。
また、1000℃で4時間加熱処理した高保持磁石(実施例6)について、磁石断面のEPMA(Electron Probe Micro-Analyzer)によるTb元素マッピングを行い、その分析結果を図3に示す。図3から、Tb元素は表層から内部に粒界拡散していることが分かる。また、Tb元素は、磁石最表層の磁石粒子内には浸透してTb金属層を形成しているが、内部の磁石粒子内にはほとんど浸透せずに粒界に拡散していることが分かる。これから、本発明の方法によると、重希土類金属元素が結晶粒界に選択的に浸透するために保磁力を向上できると考察される。また、本発明の方法によると、磁石最表面層部分の磁石の主相結晶内へは重希土類金属元素は侵入するが、大部分(特に内部)の主相結晶には実質的に重希土類金属元素は侵入しないため、残留磁束密度の低下が抑制できると考察される。
比較例7〜9
実施例1〜3と同様にして、Nd−Fe−B系磁石を作製した。
グローブボックス内(酸素量0.03ppm以下、露点−95℃以下に制御)で、水素化カルシウム(CaH2)0.2g及びフッ化テルビウム(III)(TbF3)0.3gを混合し、ブタノール1mLに添加して、スラリーを調製した。上記で作製したNd−Fe−B系磁石(大きさ:5mm×5mm×4.8mm)の表面に、大気中で、上記で調製したスラリーを、磁石片に含まれるNd成分量に対してTb成分量が約5原子%となるように塗布し、塗布磁石を作製した。
この塗布磁石を、それぞれ、大気中で900℃、950℃または1000℃で4時間加熱処理した。この加熱処理後、そのまま、600℃で1時間、時効処理を実施して、比較磁石(4)〜(6)を作製した。
上記で得られた比較磁石(4)〜(6)について、保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表2及び図5に示す。
比較例10〜12
実施例4〜6において、Ca金属を使用しない以外は、それぞれ、実施例4〜6と同様にして、比較磁石(10)〜(12)を作製した。
上記で得られた比較磁石(10)〜(12)について、保磁力(Hcj)、残留磁束密度(Br)及び最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表2及び図5に示す。
表1及び2ならびに図4及び5から、Ca蒸気存在下で、磁石及び重希土類金属源を加熱処理することにより、全ての温度で、高い保磁力(Hcj)が発揮できることが示される。また、上記効果は、常圧下でCaH2による還元処理を行う場合(比較例1〜3、7〜9)やCa金属を用いない場合(比較例4〜6、10〜12)と比べて、全ての温度で保磁力(Hcj)を有意に高いことも示される。これから、本発明の方法により製造される磁石は、高い保磁力を発揮できる。なお、Mo箔で全体を被覆してCa蒸気を磁石周辺にとどめることにより、保磁力をより効果的に向上できると、推測される。また、本発明の方法によると、残留磁束密度(Br)の顕著な低下は認められないことも示される。
なお、上述したように、Tbが表層から内部に粒界拡散している(図3)ことを合わせて考慮すると、高濃度のTbが主相を取り囲む結晶粒界相中に存在しているため、保磁力が有意に向上したと推測される。
合成例
アルミニウム粉末(Al粉末)およびカルシウム粉末(Ca粉末)をAl2CaまたはAl4Caの元素組成になるように配合し、グローブボックス中でアルゴン雰囲気においてアーク溶解して合金をそれぞれ、カルシウム−アルミニウム合金インゴットを得た。この合金インゴットを前記グローブボックス中で、乳鉢粉砕により粗粉砕した後、ジェットミルにより粉砕して、粒径10μm以下のカルシウム−アルミニウム合金粉末を得た。得られたカルシウム−アルミニウム合金粉末について、X線回折装置(XRD)を用いて相(固溶体、金属間化合物)を特定した。これらのX線回折パターンを図6に示す。図6から、得られたカルシウム−アルミニウム合金は、それぞれ、Al2CaまたはAl4Caの元素組成を有することが確認できる。
実施例7
実施例1〜3と同様にして、Nd−Fe−B系磁石を作製した。
フッ化ジスプロシウム(III)(DyF3)を、20重量%の濃度となるように、ブタノールに添加して、スラリーを調製した。上記で作製したNd−Fe−B系磁石(大きさ:5mm×5mm×4.8mm)の表面に、大気中で、上記で調製したスラリーを、磁石片に含まれるNd成分量に対してDy成分量が約5原子%となるように塗布し、塗布磁石を作製した。
次に、この塗布磁石約900mg及びCa金属(10mg:DyF3 1モルに対して1.5〜3モルに相当)を、Mo金属箔で包み、石英管(外径10mm,長さ100mm)内に入れた。この石英管内を10-2Torr以下となるように減圧排気した後、封入した。さらに、この石英管を、それぞれ、大気中で900℃で4時間加熱処理した。この加熱処理後、そのまま、600℃で1時間、時効処理を実施して、高保持磁石(7)(DyF3+Ca vapor)を作製した。なお、上記加熱処理後、石英管内壁を目視したが、Caの付着は認められなかった。
上記で得られた高保持磁石(7)について、保磁力(Hcj)及び残留磁束密度(Br)を測定し、その結果を表3及び図7に示す。なお、図7中の「As−is」は、元磁石の特性を示す。
実施例8
実施例1〜3と同様にして、Nd−Fe−B系磁石を作製した。
フッ化ジスプロシウム(III)(DyF3)を、20重量%の濃度となるように、ブタノールに添加して、スラリーを調製した。上記で作製したNd−Fe−B系磁石(大きさ:5mm×5mm×4.8mm)の表面に、大気中で、上記で調製したスラリーを、磁石片に含まれるNd成分量に対してDy成分量が約5原子%となるように塗布し、塗布磁石を作製した。
次に、この塗布磁石約900mg及び上記合成例で作製したAl4Ca合金(16.5mg:DyF3 1モルに対してカルシウム 1.5〜3モルに相当)を、Mo金属箔で包み、石英管(外径10mm,長さ100mm)内に入れた。この石英管内を10-2Torr以下となるように減圧排気した後、封入した。さらに、この石英管を、それぞれ、大気中で900℃で4時間加熱処理した。この加熱処理後、そのまま、600℃で1時間、時効処理を実施して、高保持磁石(8)(DyF3+Al/Ca vapor)を作製した。なお、上記加熱処理後、石英管内壁を目視したが、Caの付着は認められなかった。
上記で得られた高保持磁石(8)について、保磁力(Hcj)及び残留磁束密度(Br)を測定し、その結果を表3及び図7に示す。
表3及び図7から、本発明の高保持磁石(7)及び(8)は、元磁石に比して、高い保磁力及び角型性を発揮できることが示される。特に、Al4Ca合金を用いて発生させたCa蒸気を存在下で、磁石及び重希土類金属源を加熱処理することにより得られた高保持磁石(8)では、特に保磁力が向上すると共に、角型性を高い水準で維持できることも示される。
本発明の方法によれば、重希土類金属成分を磁石の主相内にはほとんど取り込まれずに粒界相に選択的に存在させることができる。このため、保磁力を向上することが可能となる。さらには、本発明の方法によれば、残留磁束密度の低下を抑制・防止できる。このため、希少資源の節減と磁石コストの低減が達成しうる。

Claims (6)

  1. カルシウム蒸気の存在下で、Nd−Fe−B系磁石、ならびにプラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)およびホルミウム(Ho)からなる群より選択される少なくとも一種の金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物を加熱処理することにより、前記金属を前記Nd−Fe−B系磁石の表層から内部に粒界拡散させることを有する、Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法であって、
    前記カルシウム蒸気は、Ca蒸気源であるカルシウム、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に、減圧下に保持することにより生成され(ここで、前記金属Aは、カルシウムと同程度またはカルシウムより融点が低く、かつNd−Fe−B系磁石の粒界相より融点が低いものである。)、
    前記Nd−Fe−B系磁石、ならびにプラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)およびホルミウム(Ho)からなる群より選択される少なくとも一種の金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物の加熱処理は、Ca蒸気源を減圧下に保持した状態で、系外と完全に機密密閉された容器内で行う、Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法。
  2. 前記加熱処理は、00〜1000℃で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記カルシウム蒸気は、Ca蒸気源であるカルシウム、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料とを別々に、1〜1×10−7Torrの減圧下に保持することにより生成される、請求項またはに記載の方法。
  4. 前記Nd−Fe−B系磁石、前記金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物、およびCa蒸気源であるカルシウム、カルシウムおよび金属Aを含有する合金、カルシウム含有材料および金属Aを含有する材料を有する複合体、またはカルシウム含有材料と金属Aを含有する材料との混合物を、カルシウム蒸気と反応しない金属材料で密閉した状態で系外と完全に機密密閉された容器内で加熱処理を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記Nd−Fe−B系磁石表面を前記金属のハロゲン化物、酸化物または酸ハロゲン化物で被覆した状態で加熱処理を行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記加熱処理後、時効処理をさらに行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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