以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にて説明する各種構成にのみに限定されるものではない。即ち、本発明の思想の範囲内において実施例にて説明する各種構成を他の公知の構成に代替可能である。
《実施例1》
本実施例1では、ローラ方式の定着装置を有する画像形成装置において、転写部の上流側に設けられたシートシフト機構を利用して、クリーニング用シート(記録材)を給送する。
(1−1)画像形成装置の全体構成
図1は本実施例1に係る画像形成装置1の一例の概略構成図である。この装置1は電子写真レーザープリンタである。装置1のCPU(制御部:実行部)13に対して通信可能にネットワーク接続されたホスト装置300から入力する電気的な画像情報に対応したトナー像を記録材(以下、シートと記す)P(Pa,Pb)に形成して出力することができる。
図8は本実施例における制御ブロック図である。CPU13は、操作部(コンソール部)200やホスト装置300からの入力信号に基づき、シフト量制御部12、画像位置制御部41、ジョブ管理部14等を制御する。ホスト装置300はパーソナルコンピュータ(PC)、イメージリーダー、ファクシミリ等である。シフト量制御部12は後述するシートシフト機構(変更機構:記録材位置制御機構)3を制御する。画像位置制御部41は後述するレーザースキャナー5cを制御する。
装置1の内部にはシート搬送路のシート搬送方向上流側(記録材搬送方向上流側)から下流側に順に、シート給送機構7、シート斜送機構2、シートシフト機構3、画像形成部5、定着装置(定着部)6等が配設されている。
画像形成部5は、未定着のトナー像を像担持体5aに形成してシートPに転写する画像形成手段である。本例においては転写式電子写真画像形成機構である。画像形成部5は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)5aを有する。ドラム5aは駆動部(不図示)により矢印の時計方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。また、ドラム5aの周囲にはドラム回転方向に沿ってドラム5aに作用するプロセス手段としての、帯電器5b、画像露光装置5c、現像器5d、転写器4、クリーニング器5eが配設されている。
帯電器5bは回転するドラム5aの表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段であり、本例においては電源部(不図示)から所定の帯電バイアスが印加される接触帯電ローラ(導電性ローラ)である。
露光装置5cはドラム5aの帯電処理面に画像情報に対応した画像露光をする画像露光手段である。本例においては、CPU13から画像信号が入力されるレーザースキャナーである。スキャナー5cはレーザー光源から画像信号に対応して変調されて発せられたレーザー光を、ポリゴンミラーを回転させて走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏光し、fθレンズによりドラム5aの母線上に集光して露光Lする。これにより、帯電器5bで所定の極性と電位に一様に帯電されているドラム表面に画像信号に対応した画像パターンの静電潜像が形成される。
現像器5dはドラム5aの表面に形成された静電潜像をトナー(現像剤)により未定着のトナー像として顕像化(現像)する現像手段である。
転写器4は画像形成部5の転写位置Tに給送されたシートPに対してドラム5aに形成されたトナー像を転写するトナー像転写手段である。本例においては電源部(不図示)から所定の転写バイアスが印加される転写ローラ(導電性ローラ)である。転写ローラ4はドラム5aに所定の押圧力で圧接されている。その圧接部が転写位置(トナー像転写部:以下、転写ニップ部と記す)Tである。クリーニング器5eは、シートPに対するトナー像転写後のドラム5a面から転写残トナー等の残留付着物を除去してドラム面を清掃するドラムクリーニング手段である。
シート給送機構7は画像形成部5の転写ニップ部Tに対してシートPを給送するシート給送手段である。本例の機構7は、シート収容部としての上下2段の第1と第2のカセット7a,7bを有する。カセット7a,7bには、それぞれ、互いにサイズの異なる複数枚のシートP(Pa、Pb)がサイズ規制板(サイドガイド板)71a,71bによりシート搬送方向に対して平行に積載されるよう規制されて収容されている。
ここで、上下は重力方向において上と下である。本例の装置において、画像形成時におけるシートPの搬送は大小各種幅サイズの何れのシートPも幅中心を基準とする所謂中央基準搬送でなされる。
操作部200もしくは装置300からCPU13にプリントジョブが投入されると、指定されたサイズのシートPを収容したカセット7aまたは7bの分離ローラ(給送ローラ)8aもしくは8bが駆動される。これにより、カセット7aまたは7bからシートPが一枚ずつ分離されて搬送ローラ9a,9bを有するシート搬送路10を通って斜送機構2に導入される。斜送機構2はシートPの斜行を補正(矯正)する機構である。斜送機構2については(1−2)項で詳述する。
斜送機構2を出たシートPは、シートシフト機構3によりシート搬送路面内においてシート搬送方向(記録材搬送方向)Bに対して直交方向するシート幅方向へ所定のシフト量について移動される。そして、シフト機構3により所定にシフトされたシートPが画像形成部5の転写ニップ部Tに導入され、ドラム5a側の未定着トナー像の転写を順次に受ける。シートシフト機構3については、(1−3)項で詳述する。
転写ニップ部Tを出たシートPはドラム5aの表面から順次に分離(剥離)されて、定着装置6へ導入される。そして、定着装置6においてトナー像が熱と圧によりシートPに固着画像として定着される。定着装置6にて画像が定着されたシートPは、片面プリントモードの場合は排出搬送路に入って装置外部に排出される。定着装置6については、(1−4)項で詳述する。
両面プリントモードの場合は、定着装置6を出た1面目画像形成済みのシートPが両面搬送路(両面パス部:再導入機構)11に導入されて表裏反転され、再度斜送機構2に向けて搬送される。そして、そのシートPの2面目に対して転写ニップ部Tでトナー像が転写形成される。そのシートPが再度定着装置6に再導入されて2面目に形成されたトナー像が定着される。当該シートPが両面画像形成物として装置外部へと排出される。
(1−2)斜送機構2
図2は斜送機構2、シートシフト機構3、転写ローラ4の部分の平面模式図である。斜送機構2は、シート給送機構7から搬送路10に給送されたシートPについて、シートPがシートシフト機構3に進入する前に斜行補正すると共に、シート搬送方向Bに対して直交するシート幅方向のレジストレーション(横レジストレーション)を行う。
WPmaxは装置1に使用可能(給送可能)なシートPの最大幅サイズである。斜送機構2は突き当て板21と上下一対のシート搬送ローラ対からなる斜送ローラ22を有する。板21は、シート搬送路10におけるシート最大幅サイズWPmaxの一方の側に配設されており、内面側はシート側辺を突き当てるための規制面21aとされている。規制面21aはシート搬送方向Bに平行な面である。
板21は、CPU13で制御されるステッピングモータ(不図示)を含むシフト機構21Aによりシート搬送方向Bと直交するD方向(シート幅方向)に移動可能(位置調節可能)に配置されている。
斜送ローラ22は板21よりもシート搬送方向Bの上流側に配設されている。斜送機構2は斜送ローラ22を回転駆動するための駆動機構部(不図示)と上下のローラ対を所定のニップ圧で当接させた接触状態と離間させた離間状態とに転換する切換え機構部(不図示)を有する。駆動機構部と切換え機構部はCPU13で制御される。
斜送ローラ22は給送機構7から給送されたシートPを挟持搬送して突き当て板21の規制面21a側に寄せ移動するように回転軸線方向をシート搬送方向Bに対して傾斜させて配設されている。これにより、シートPは斜送ローラ22により突き当て板21に向かって矢印Cの方向に斜めに搬送される。斜送ローラ22はニップ圧が所定に弱く設定されている。そのため、シートPが給送機構7側から斜行して給送されても突き当て板21の規制面21aに沿ってシートPは回転しながら移動することで斜行が補正される。またシートPの横レジストレーションがなされる。
斜送機構2で斜行が補正され、また横レジストレーションされたシートPがシートシフト機構3の上下一対シフトローラ対31・32のニップ部に到達して挟持される。CPU13はシートPの先端部がローラ対31・32に到達して挟持されたタイミングにおいて切換え機構部の動作により斜送ローラ22の対を離間させる。上記のタイミングはシートPの搬送速度とサイズ(搬送方向の寸法)から演算することができる。
あるいは、シートPの先端部がローラ対31・32に到達して挟持されたことを検知するセンサを配設し、そのセンサから入力するシート検知信号に基づいて切換え機構部を動作させ、斜送ローラ22の対を離間させる構成にすることもできる。
斜送ローラ22の対が離間することでシートPの斜送ローラ22による挟持が解除される。これにより、次に説明するシートシフト機構3によるシートPのシート搬送方向Bに直交するシート幅方向への所定量の移動が斜送ローラ22によって障害されずになされる。
(1−3)シートシフト機構3
シートシフト機構3(アクティブレジ機構:以下、シフト機構と記す)は、転写ニップ部Tの幅方向(長手方向)対するシートPの給送位置を調整し、給送位置ばらつきなどに起因したシート上の画像位置ばらつきを抑えるために設けられている。また、本実施例における画像形成装置1と同様のシフト機構3によって、定着ニップ部通過時における定着部材に対するシートの幅方向の相対位置を、シート毎にずらして、シートの幅方向端部バリによる定着部材表面の摩耗を軽減している機種もある。
シフト機構3は、画像形成部5の転写ニップ部Tよりもシート搬送方向上流側に配置されており、斜送機構2により斜行補正と横レジストレーションがなされたシートPを受ける。そのシートPを、シートPとドラム5a上の画像の主走査位置(ドラム5aの母線方向)を合せるために、主走査方向に移動しつつ転写ニップ部Tに向かってシートPを搬送する。即ち、転写ニップ部Tに給送されるシートをシート搬送方向Bに対して直交するシート幅方向に後述するシフト量について移動する。
図3はシフト機構3の説明図である。シフト機構3は、回転軸線方向をシート搬送方向Bに直交するシート幅方向にして配設された上下平行一対のシフトローラ31・32を有する。
下側のローラ32の軸32aの一端側と他端側はそれぞれの側の固定の装置フレーム板11L,11Rに対して軸受部材41を介して回転可能に、かつスラスト方向にスライド移動可能に支持されている。上側のローラ31の軸31aの一端側と他端側はそれぞれの側の装置フレーム板11L,11Rに具備させた上下方向の長穴42に挿通されて回転可能に、かつ長穴42に沿って上下方向にスライド移動可能に支持されている。
ここで、本例において一方側或いは一端側は図3において左側であり、他方側或いは他端側は右側である。以下の説明においては、一方側或いは一端側を左側或いは左端側、他方側或いは他端側を右側或いは右端側と記す。
ローラ31と32は、装置フレーム板11L,11Rの間において、連結枠体43により連結されている。枠体43は、左右方向に長い上側板部43Aと、この上側板部43Aの左右側をそれぞれ下向きに90°折り曲げた左右の脚板部43L,43Rを有する。
下側のローラ32の軸32aは左側が左側の脚板部43Lに設けられた丸穴44に回転可能に挿通され、かつ止め輪45により脚板部43Lに対してスラスト方向への移動が阻止されている。また、軸32aの右側が右側の脚板部43Rに設けられた丸穴44に回転可能に挿通されており、かつ止め輪45により脚板部43Rに対してスラスト方向への移動が阻止されている。
上側のローラ31の軸31aの左側が左側の脚板部43Lに設けられた上下方向の長穴46に回転可能に、また長穴46に沿って上下方向にスライド移動可能に挿通されている。そして、止め輪45により脚板部43Lに対してスラスト方向への移動が阻止されている。また、軸31aの右側が右側の脚板部43Rに設けられた上下方向の長穴46に回転可能に、また長穴46に沿って上下方向にスライド移動可能に挿通されている、そして、かつ止め輪45により脚板部43Rに対してスラスト方向への移動が阻止されている。
枠体43の左右部には、それぞれ、上側のローラ32を下側のローラ32に対して接離させるローラ接離機構47L,47Rが配設されている。本実施例において接離機構47L,47Rはそれぞれ電磁ソレノイド−プランジャである。即ち、枠体43の左右部にはそれぞれソレノイド47aが固定して配設されている。それら左右のソレノイド47aのプランジャ47bがそれぞれ下向きに配設されていて下端部に軸受部47cが設けられている。
左側の軸受部47cには上側のローラ31の軸部31aの左側が回転可能に挿通され、右側の軸受部47cには軸部31aの右側が回転可能に挿通されている。また、左右のプランジャ47bにはそれぞれ付勢部材としてのコイルばね47dが外嵌されてソレノイド47aと軸受部47cとの間に縮設されている。左右のソレノイド47aはCPU13により通電がオン−オフ制御される。
左右のソレノイド47aに対する通電がオフの時は、ばね47dの突っ張り力により左右のプランジャ47bが、ローラ31がローラ32に当って受け止められるまで、それぞれ押し下げられている。これにより、上側のローラ31が下側のローラ32にばね47dの突っ張り力で所定の押圧力をもって接触した接触状態に保持されて、ローラ31・32間にシートPを挟持して搬送するためのニップ部N3が形成されている。
一方、左右のソレノイド47aに対する通電がオンの時は、ソレノイド47aの磁力により左右のプランジャ47bがそれぞればね47dの突っ張り力に抗して引き上げられる。これにより、上側のローラ31が下側のローラ32から所定量引き上げ移動されて図5のように離間αした離間状態に保持される。即ち、ローラ31と32のニップ部N3が解除された状態に保持される。
下側のローラ32の一端側には、このローラ32を回転駆動させる機能と、ローラ31・32をシート搬送方向Bに対して直交方向のシート幅方向へ移動させるシフト機能とを有する駆動部33が配設されている。
本実施例においては、駆動部33は左側の装置フレーム板11L側に配設されている。即ち、ローラ32の軸32aの左側の端部は軸受部材41から装置フレーム板11Lの外側に突き出ている。その突出軸部に対して幅広のギアG2が固定して配設されている。このギアG2に対して第1モータ(シフトローラモータ:ステッピングモータ)M1側のギアG1が噛合している。モータM1は装置フレーム(不図示)に固定して配設されている。
モータM1はCPU13により駆動がオン−オフ制御される。モータM1が所定の回転方向に駆動されることで、ギアG1,G2により軸32aに回転力が伝達される。これにより下側ローラ32がシート搬送方向に回転駆動される。上側ローラ31は下側ローラ32に対して接触していればローラ32回転に従動して回転する。即ち、モータM1が駆動されることで、ローラ31・32がシートPを搬送方向Bに搬送する回転動作を行う。上側ローラ31は下側ローラ32に対して離間(図5)しているときには回転しない。
また、軸32aの左側端部にはギアG2よりも外側に軸受部材34が止め輪45により軸32aに対してスラスト移動止めされて配設されている。また、装置フレーム(不図示)に第2モータ(シフトモータ:ステッピングモータ)M2とベルトプーリ35bが配設されている。プーリ35bとモータM2の軸に配設された駆動プーリ35aとの間にベルト(タイミングベルト)35cが懸回張設されている。そして、ベルト35cの下行側ベルト部分に対して軸受部材34が連結部34aを介して結合されている。
図3のように、連結部34aが、L側寄りのポジションSLに位置している場合、ローラ31・32を含む枠体43は左右の装置フレーム板11L,11R間において左側の装置フレーム板11L側に寄り移動している。即ち、左側寄せ位置Eに位置している。
一方、図4のように、連結部34aが、R側寄りのポジションSRに位置している場合、ローラ31・32を含む枠体43は左右の装置フレーム板11L,11R間において右側の装置フレーム板11R側に寄り移動している。即ち、右側寄せ位置Fに位置している。
モータM2はCPU13によりシフト量制御部12を介して制御される。即ち、所定の制御パルス数だけ正転駆動される制御と、また逆に同じパルス数だけ逆転駆動される制御がなされる。モータM2の正転駆動が開始される時点では、連結部34aは、ホームポジションとして、ポジションSL(図3)とポジションSR(図4)との中間のポジションSCに位置している。
この状態において、モータM2が所定の制御パルス数だけ正回転駆動されると、ベルト35cが反時計方向に回動して、連結部34aがホームポジションSCから右側方向に所定の制御量について移動する。そして、右側の所定の終点位置SRに移動して止まる。これにより、軸32aが右方向にスライド移動されて、ローラ31・32を含む枠体43が左右の装置フレーム板11L,11R間において、図4のように右側寄せ位置Fの右方向Rに所定の制御量について移動する。
そして、枠体43が図4のように右側の装置フレーム板11R側に所定の制御量寄り移動Rすると、モータM2が正転駆動時と同じ所定のパルス数だけ逆転駆動される。これにより、連結部34aが右側の所定の終点位置SRから所定のホームポジションSCに戻し移動される。これに伴い、枠体43が始めの位置に戻し移動される。
また、連結部34aがホームポジションSCに位置している状態において、モータM2が所定の制御パルス数だけ逆回転駆動されると、ベルト35cが時計方向に回動して、連結部34aがホームポジションSCから左方向に所定の制御量について移動する。そして、左側の所定の終点位置SLに移動して止まる。これにより、軸32aが左方向にスライド移動されて、枠体43が左右の装置フレーム板11L,11R間において、図3のように左寄せ位置Eの左方向Lに所定の制御量について移動する。
そして、枠体43が図3のように左側の装置フレーム板11L側に所定の制御量寄り移動Lすると、モータM2が逆転駆動時と同じ所定のパルス数だけ正転駆動される。これにより、連結部34aが左側の所定の終点位置SLから所定のホームポジションSCに戻し移動される。これに伴い、枠体43が始めの位置に戻し移動される。
上記のように、モータM2が所定の制御パルス数だけ正回転駆動され、逆に同じパルス数だけ逆回転駆動される。これにより、ローラ31・32がシート搬送路面内においてシートPの搬送方向Bに直交するシート幅方向R・Lに往復移動動作(シフト)することが可能である。
本装置1のシートシフト機構3では、左側寄せ位置Eと右側寄せ位置FとのシートPの移動可能量を6mm(中心位置に対し片側3mm)としている。この片側移動量3mmは、シートPの画像形成時のシート幅方向の左右の最小余白幅2mmよりも大きく設定した。このようにすることで、後述する定着ローラ60のクリーニングモード(清掃モード)実行時の清掃効果がより発揮できるようにしている。
CPU13はシフト機構3について次のような制御を行う。常時は、連結部34aをホームポジションSCに位置させている。この状態において、ソレノイド37aに対する通電をオフに制御する。これにより、上側のローラ31は下側のローラ32に当接した接触状態となっている。
CPU13(シートシフト制御部)はシートPの給送スタート信号に基づいてモータM1をオンにする。これにより、ローラ31・32はシート搬送方向に回転駆動される。この状態において、斜送機構2側から板21の規制面21aに沿って搬送されてきたシートPの先端部がローラ31・32のニップ部N3に到達して挟持される。CPU13は、シートPの先端部がローラ31・32のニップ部N3に到達して挟持されたことを例えば次ぎのようにして検知する。
即ち、シート給送機構7からのシート送り出し開始時点と、シートPの搬送速度と、シートPのシート給送機構7からニップ部N3までの搬送路長と、により演算して検知する。あるいは、ローラ31・32のニップ部N3のシート出口側に配設したシートセンサ(不図示)により検知する。CPU13はその検知信号に基づいて斜送機構2側の斜送ローラ22のローラ対を離間させる。これにより、斜送ローラ22によるシートPの挟持が解除される。
また、CPU13は、上記の検知信号に基づいて、シフト機構3の第2モータM2を所定の制御パルス数だけ回転駆動させる。そうすると、ローラ31・32を含む枠体43が左側寄せ位置E(図3)に向かう左方向F、もしくは、右側寄せ位置F(図4)に向かう右方向Rに移動する。即ち、ローラ31・32に挟持されたシートPがB方向に搬送されつつ、シート搬送方向Bに直交するシート幅方向において左方向F、もしくは、右方向Rに移動(シフト)される。
このように、第2モータM2に正転駆動させる制御パルス数を変えることで、転写ニップ部Tの長手方向(幅方向)におけるシートPの給送位置を変えることができる。
そして、CPU13はローラ31・32に挟持されてB方向に搬送されたシートPの先端部が転写ニップ部Tに到達して挟持されたタイミングで、左右のソレノイド47aに対する通電をオンにする。これにより、ローラ31がローラ32から引き上げられて離間した状態になる(図5)。即ち、ローラ31・32によるシートPの挟持が解除される。シートPは転写ニップ部Tに挟持されて引き続き搬送される。
CPU13は、シートPの先端部が転写ニップ部Tに到達して挟持されたこと例えば次のようにして検知する。即ち、シートPの先端部がニップ部N3に到達して挟持されたことを検知した時点と、ローラ31・32によるシート搬送速度と、ニップ部N3と転写ニップ部Tとの間のシート搬送路長とから演算して検知する。あるいは、転写ニップ部Tのシート出口側に配設したシートセンサ(不図示)により検知する。
CPU13は転写ニップ部Tにより搬送されているシートPの後端部が斜送機構2のローラ22の離間状態にあるローラ対の位置を通過したことを演算或いはシートセンサ(不図示)により検知したら、そのローラ対を離間状態から接触状態に戻す。
また、シートPの後端部が離間状態にあるローラ31・32の間を通過したことを演算或いはシートセンサ(不図示)により検知したら、左右のソレノイド47aに対する通電をオフにする。これにより、ローラ31・32が離間状態から接触状態に戻される。シートシフト機構3はこの状態において、次のシートPが斜送機構2側から到来するのを待つ。
(1−4)定着装置6<ローラ方式>
図6は本実施例に関する定着装置6の構成の説明図である。この定着装置6は、画像形成部5によりシートPに形成された未定着トナー像Kを定着するニップ部Nを形成する加熱回転体と加圧回転体としての平行2本の加熱ローラ(以下、定着ローラと記す)60と加圧ローラ61を有する。定着ローラ60と加圧ローラ61はそれぞれ内部にハロゲンヒータ62a、62bが配設されている。また、ニップ部通過後のシートPが定着ローラ60に巻きつくのを防止する分離爪66、67等を有する。
この定着装置6は、未定着のトナー像Kを静電的に担持しているシートPを矢印の方向に回転している定着ローラ60と加圧ローラ61との圧接部であるニップ部Nで挟持搬送してトナー像Kを熱圧定着(溶融定着)させる熱ローラ方式である。定着ローラ60と加圧ローラ61との圧接は、加圧ローラ61を定着ローラ60に対して加圧する構成、定着ローラ60を加圧ローラ61に対して加圧する構成、定着ローラ60と加圧ローラ61の双方を加圧する構成のどの構成であってもよい。
定着ローラ60は、外径50mmで、厚みが12mmのAlの中空芯金上に、中間層として12mm程度のSiゴム層を有し、Siゴム層の上にPTFE等のフッ素樹脂を20μm程度コートして表層を形成している。加圧ローラ61は、外径50mmで、厚みが12mmのAlの中空芯金上に、25μmのシリコンゴム層と、50μm程度のPFAチューブの離型層をこの順で形成している。
定着ローラ60および加圧ローラ61は圧脱着可能であり、それぞれ、図示しない駆動モータにより駆動される。ハロゲンヒータ62a、62bは、それぞれ、定着ローラ60と加圧ローラ61の内側面を赤外線加熱する。63a、63bはサーミスタ、サーモパイル等の温度検知素子である。この温度検知素子63a、63bの出力信号に基づいて、定着ローラ60および加圧ローラ61の表面温度を検知し、温度制御装置64をへてハロゲンヒータ62a、62bが制御される。本例においては、画像形成中、定着ローラ60は160℃、加圧ローラ61は100℃に保つように制御されている。
未定着トナー像Kを担持したシートPは、定着装置6内の定着ローラ60(定着部材)と加圧ローラ61(加圧部材)との圧接部である定着ニップ部Nに挿通されて挟持搬送される。そして、未定着トナー像Kが定着ニップ部Nにて熱とニップ圧によりシートPに固着画像として定着される。
(1−5)クリーニングモード(清掃モード)
本実施例では、転写ニップ部Tのシート搬送方向上流側に設けられたシートシフト機構3を利用して定着装置6の定着ローラ60を清掃するクリーニング用のシートを導入する。即ち、本実施例では、シートシフト機構3を、清掃モードにおいてシートをニップ部Nに挿通させるとき、定着ローラ60の幅方向における定着ローラ60に対するクリーニング用のシートの相対位置を変更させる変更機構として利用している。
図7に本実施例における定着ローラ60のクリーニングモードの実施フローチャートを示す。操作部200上の実行キー200a(図8)や外部接続PCなどのホスト装置300によって本モードの実行命令300aがCPU13に入力される。実行キー200aはクリーニングモードの実行命令をユーザが任意にCPU13に入力することができるマニュアル入力手段である。
そうすると、CPU13はシート給送機構7を動作させて1枚のシートPを画像形成部5へ給送する(S501)。本装置1のように、シート収容部としてのカセットが7aと7bのように複数ある場合は、シートの給送は次のようにすることができる。即ち、ユーザがクリーニングモード実行時にシートを送り出すカセットをあらかじめ選択できるようにしてもよいし、シートを送り出すカセットを優先順位に基づいて自動選択するようにしてもよい。本例では装置に使用可能な最大幅サイズのシートが給送される。
次にシートPがシフト機構3に到達すると、CPU13はモータM2へ所定の制御パルスP(−)を入力して、シートPを幅中心から幅方向左側(図3においてL方向)に3mmシフトするように制御する(S502)。そして、このシートPの1面目に画像形成部5によって全面ベタ黒画像(クリーニング用の所定の画像)を形成することで、クリーニング用のシート(以下、清掃シートと記す)Pcを作成する(S503)。
この際、この清掃シートPcの幅方向左右の余白幅は最小になるように、本装置1では左右ともに2mmになるように画像形成する。即ち、シートの画像形成可能な幅方向における全域にトナー像を形成する。なお、清掃シートPcの搬送方向における先後端余白については清掃効果には影響しないため任意で構わないが、本実施例のモードでは10mmと設定した。
このように、1面目にベタ黒画像が形成された清掃シートPcが左側に3mmシフトした状態で定着装置6を通過する。これにより、画像形成時の定着ローラ表面に付着した左右両端部の汚れのうち左側の汚れが、清掃シートPcの画像部に接触し、トナー同士の接着力によって清掃シートPc側に転写して除去される。
CPU13は、定着装置6を通過した清掃シートPcを両面搬送路(両面パス部)11に導入する。これにより清掃シートPcは表裏反転されて2面目に画像形成するように搬送される(S504)。この清掃シートPcの2面目に対する画像形成は、当該清掃シートPcの転写ニップ部Tに対する給送位置が次のように制御されてなされる。
即ち、CPU13はモータM2へ所定の制御パルスP(+)を入力して、清掃シートPcをシフト機構3によって1面目とは逆方向、すなわち幅中心から右側(図3においてR方向)に3mmシフトするように制御する(S505)。そして1面目と同様に、画像形成部5でベタ黒画像を形成する(S506)。この清掃シートPcが定着装置6を通過することで、今度は右側端部の定着ローラ上の汚れが清掃される。そして、定着装置6を通過した清掃シートPcは装置1外へと排出され(S507)、クリーニングモードの終了となる。
本例では、図9のように、1枚の清掃シートPcを両面給送することで、清掃シートPcが定着ニップ部Tを2回通過するようにしている。
本実施例1における上記の定着装置6の清掃実行構成をまとめると次のとおりである。
画像形成部5により所定の画像が形成された清掃シートPcをニップ部Nへ挿通させることにより定着ローラ60を清掃する清掃モードを実行する実行部13を有する。そして、清掃モードにおいて少なくとも2回に亘りシートをニップ部Nへ挿通させるとき、定着ローラ60の幅方向における定着ローラ60に対する1回目と2回目のシートの相対位置を変更させる変更機構3を有する。相対位置の変更量は画像形成時に選択できうるシートの幅方向における一方側と他方側の最小余白幅よりも大きい。
1回目と2回目のシートは同一1枚のシートであり、2回目のシートは1面目に所定の画像が形成されてニップ部Nを通過した1回目のシートが表裏反転されて画像形成部5に両面搬送されることで2面目に所定の画像が形成されたシートである。
両面搬送路(両面パス部)11のない小型の画像形成装置等においては、図10のように2枚の清掃シートPcを順次に片面給送する制御方式にしても同様の効果が得られる。即ち、上記における1回目と2回目のシートはそれぞれ別々の2枚のシートである。
また、シートPの幅方向端部バリによる定着ローラ表面の摩耗を軽減するため、定着ニップ部通過時における定着ローラ60に対するシートPの幅方向における相対位置を、シフト機構3を制御してシート毎にずらす場合、次のような制御をするとよい。
モータM2の制御パルス数に関して、画像形成時における制御パルス数Pは、Pmin〜Pmaxの範囲で使っている。これに対し、クリーニングモード時に使用する制御パルス数P(−),P(+)を、P(−)<Pmin,P(+)>Pmaxの関係になるように設定する。
これにより、画像形成時にシートPが通過する領域外に、清掃シートPcを通過させることが可能となり、清掃シートPc上の未定着のトナー像がトナー汚れと確実に接触できるようになりトナー汚れを除去することができる。
《実施例2》
本実施例では、ベルト方式の定着装置6を有する画像形成装置において、実施例1と同様、転写ニップ部Tの上流側に設けられたシートシフト機構3を利用して、クリーニング用のシートPcを給送する。
本実施例では、清掃シートPcの転写ニップ部Tに対する給送位置(通過位置)を、ベルト方式の定着装置6における加熱回転体としての加熱ベルト(以下、定着ベルトと記す)の寄り制御を考慮して制御する。即ち、ベルト寄り制御に伴う定着ベルトの位置変化を加味して、シートシフト機構3で制御する必要がある。そのため、実施例1のような定着部材が長手方向に動かない場合に比べて、清掃シートPcの定着ニップ部通過時の1回目と2回目の給送位置を、より大きく変える必要がある。
(2−1)定着装置6<TBF>
図11は本実施例における定着装置6の構成説明図である。本実施例において定着装置6は誘導加熱ベルト式の定着装置である。未定着トナー像Kを担持したシートPは、定着装置6内の約200°Cの温度に加熱されている加熱回転体としての定着ベルト130と加圧回転体としての加圧ベルト120との圧接部であるニップ部N6に導入されて挟持搬送される。そして、未定着トナー像Kがニップ部N6にて熱とニップ圧によりシートPに固着画像として定着される。画像が定着されたシートPは装置外に排出される。
図11の(a)は定着装置6の横断面図、(b)は左側(一端側)の側面図、(c)は右側(他端側)の側面図である。加圧ベルト120は、2個の支持ロールすなわち加圧ロール121とベルトテンションを付与する機能を有するテンションロール122に循環回転可能に、且つ、所定の張力(例えば200N)で掛け渡されている。加圧ベルト120としては耐熱性を具備したものであれば適宜選定して差し支えない。例えば厚さ50μm、幅380mm、周長200mmのニッケル金属層に例えば厚さ300μmのシリコンゴムをコーティングし、表層にPFAチューブを被覆したベルトが用いられる。
定着ベルト130は、2個の支持ロールすなわち駆動ロール131とベルトテンションを付与する機能を有するステアリングロール132に循環回転可能に、且つ、所定の張力(例えば200N)で掛け渡されている。定着ベルト130としては、誘導加熱コイル135により発熱させられるとともに耐熱性を具備したものであれば適宜選定して差し支えない。例えば厚さ75μm、幅380mm、周長200mmのニッケル金属層もしくはステンレス層などの磁性金属層に例えば厚さ300μmのシリコンゴムをコーティングし、表層にPFAチューブを被覆したものが用いられる。
加圧ベルト120と定着ベルト130との圧接部である定着ニップ部域のシート入口側(加圧ロール121のシート搬送方向上流側)に対応する加圧ベルト120の内側にはパッド125が配設されている。パッド125は例えばシリコンゴムで形成されている。パッド125は所定圧(例えば400N)で加圧ベルト120に押し当てられており、加圧ロール121とともにニップ部N6を形成している。
加圧ロール121は例えば中実ステンレスによって外径がφ20に形成された加圧ベルト120を懸架するロールであり、加圧ベルト120と定着ベルト130の定着ニップ部域のシート出口側に配設されている。また、テンションロール122は例えばステンレスによって外径がφ20、内径φ18程度に形成された中空ロールであり、ベルト張架ロールとして働く。テンションロール122の両端部は図11の(b)と(c)のように軸受126によって支持され、テンションバネ127によって20kgfのテンションをベルト120に掛けている。
定着ベルト130と加圧ベルト120とのニップ部域のシート入口側(駆動ロール31のシート搬送方向上流側)に対応する定着ベルト130の内側にはパッドステー137が配設されている。ステー137は例えばステンレス鋼(SUS材)で形成されている。ステー137は所定圧(例えば400N)で加圧パッド125に押し当てられており、駆動ロール131とともに定着ニップ部N6を形成している。
駆動ロール131は例えば中実ステンレスによって外径がφ18に形成された芯金表層に耐熱シリコンゴム弾性層を一体成型により形成したロールである。このロール131は、定着ベルト130と加圧ベルト120とのニップ部域のシート出口側に配設され、加圧ロール121の圧接により弾性層が所定量弾性的に歪ませられるものである。
また、ステアリングロール132は例えばステンレスによって外径がφ20、内径φ18程度に形成された中空ロールである。そして、定着ベルト130の移動方向に直交する幅方向の蛇行を調整するステアリングロールとして働くとともに、ベルト張架ロールとしても働く。
駆動ロール131に対して駆動源であるモータ(不図示)によって、外部から駆動が入力され、定着ベルト130は駆動ロール131の回転によって搬送される。シートPを安定的に搬送するために、定着ベルト130と駆動ロール131間では確実に駆動を伝達している。定着ベルト130の定着装置左側の端部近傍にベルト端部位置を検知するためのセンサ部150が設けられている。センサ部150によって定着ベルト130の端部位置を検出し、それに応じて、ステアリングロール132の傾きを変化させることで、ベルトの片寄り制御を行っている。
側板140の外側に固定された軸151にはこの軸151を中心に回動可能にステアリングロール支持アーム154が支持されている。このアーム154にはステアリングロール132を回転可能にかつベルトテンション方向にスライド可能に支持したステアリングロール軸受153が配設されている。そして、アーム154には軸受153ベルトテンション方向に付勢しテンションを付与するためのテンションバネ156が配設されていて、定着ベルト130に20kgfのテンションを掛けている。
アーム154の外周には扇形ギア152が固定されていてステッピングモータ159の駆動により回転駆動可能なウォーム157と噛合している。センサ部150によって定着ベルト130の端部位置を検出し、それに応じて、ステッピングモータ159を所定の回転数について回転させ、ステアリングロール132の傾きを変化させることで、ベルトの片寄り制御を行っている。
センサ部150は、二つのセンサ150a、150bとセンサフラグ150c、センサアーム150dを有する。また、センサアーム150d、定着ベルト130の動きに追従してセンサアーム150dが動作するためのセンサバネ150eを有し、センサアーム150dを定着ベルト130の端面に3gfの力で押圧当接させている。そして、センサ150a、150bそれぞれのON/OFF信号の組合せより、ベルト130のローラ131,132の軸線方向に沿うベルト幅方向の位置検出(ベルト片寄り検出)を行う。
上記において、ステアリングロール132、アーム154、扇形ギア152、ウォーム157、ステッピングモータ159等が、定着ベルト130をシート搬送方向Bに対して直交する方向に移動させる定着部材位置制御機構である。また、センサ部150が定着ベルト130のシート搬送方向Bに対して直交する方向の移動位置を定着部材位置情報として検知する定着部材位置検知手段である。
センサ150a、bのON/OFF信号の組合せとその時の定着ベルト130の端面位置の関係を図12の(a)に、その時の位置を図11の(e)に、片寄り制御フローチャートを図12の(b)に示す。なお、各センサ150a、150bをフラグが遮光した時に信号はOFFとなり、投光したときにON信号となる。
図12の(a)と(b)の通り、定着ベルト130はセンサ150aがON、センサ150bがOFFの位置(ステップS106)とセンサ150aがOFF、センサ150bがONとなる位置(ステップS109)の間を往復する。そして、その区間内で定着ベルト130が存在する様に片寄り制御を行っている。
その区間の距離は、定着ベルト130がその回転軸方向に、中心位置から±1.5mmとしている。ベルト片寄り制御を介してセンサ部150で検知した定着ベルト130の位置よりモータドライバ160を介してステッピングモータ159に所定の駆動パルスを出力する(ステップS107、S110)。ステアリングロール132はモータ159に駆動され駆動ロール131に対して±2°傾けることで制御を行う(ステップS108、S111)。
片寄り制御が不能となる状態では、定着ベルト130の端面が中心位置から±3mmの位置にくると、センサ150a、150bが共にOFFとなる(ステップS03)。この時、CPU13は異常発生と判断し(ステップS104)、定着装置6の加熱及び定着ベルト130の回転動作を停止させる(ステップS105)。
(2−2)クリーニングモード<定着部材の寄り位置を加味したシフト量>
本実施例で採用したベルト式定着装置6においても、定着ベルトの清掃を実行する際のフローについては図7のフローに基づき実行する。
ただし、上記のように片寄り制御される定着ベルト130と清掃シートPcとの幅方向位置関係(長手位置関係)を図13に示すとおり、清掃効果を得るためには、清掃シートPcの幅方向搬送位置について考慮する必要がある。すなわち、定着ベルト130が寄り制御によって幅方向にシフトする場合、それによって清掃シートPcによる清掃効果が失われないようにする。そのため、清掃シートPcの幅方向における片側移動量を、定着ベルト130の片側移動量と片側最小余白を加味して決定する必要がある。
本実施例では、定着ベルト130の片側移動量が1.5mmであるため、定着ベルト表面に3mm幅のトナー汚れが発生する。さらに、片側最小余白2mmであるため、5.0mm以上になるように清掃シートPcの片側移動量を5.5mmに設定した。このようにすることで、定着ベルト130が寄り制御によって幅方向に往復シフト動作している際のどの状態においても、清掃シートPcの幅方向位置を両端に5.5mmシフトして通過する。これにより、定着ベルト130上のトナー汚れを確実に清掃することができる。
また別の方法として、定着ベルト130の幅方向位置をCPU13によって判定し、より清掃効果のでるタイミングで清掃シートPcを通過させることもできる。すなわち清掃シートPcを幅方向左側にシフトして定着ニップ部N6を通過させる際は、定着ベルト130が幅方向左側に位置するタイミングで通過するように制御する。逆に清掃シートPcを幅方向右側にシフトして定着ニップ部N6を通過させる際は、定着ベルト130が幅方向右側に位置するタイミングで通過するように制御する。
このようにすることで、より効果的に、定着ベルト130の通常搬送位置よりも外側に付着したトナー汚れを清掃することができる。
また、さらに別の方法として、シートPの給送位置を変えず、定着ベルト130の寄り制御機構(定着部材位置制御機構)によって、定着ベルト130の幅方向位置のみを変更するように移動させて、クリーニングモードを実行する方法も考えられる。
この場合は、少なくとも通常動作時に比べて、定着ベルト・加圧ベルトの移動幅を大きくする必要がある。そのため、寄り制御機構が複雑になる。また、定着ベルト・加圧ベルトが寄り切って破損する可能性がある。また、定着ベルト・加圧ベルトが幅方向両端を往復する時間を要するのでクリーニングモード実施に要する時間が長くなる。このことから、ベルト系の定着装置であっても、清掃シートPcの給送を本実施例のようにシートシフト機構3で制御する方が好ましい。
また、加熱回転体とクリーニングシートPcとの相対位置を変えるため、加熱回転体を移動させる代替方法には、定着装置(加熱回転体と加圧回転体)そのものをレシプロさせる機構(定着部材位置制御機構)を設ける。そして、レシプロ動作と同期して、清掃シートPcを給送する方法もある。この方法は、定着ベルト130の寄り制御と同期する場合に比べて、定着装置6を所望の位置に移動させ停止させることができるので、弊害は少なくなる。
上記の定着装置6の清掃実行構成をまとめると次のとおりである。清掃モードにおいて少なくとも2回に亘りシートをニップ部へ挿通(順次導入、2回導入)させるとき、定着ベルト130の幅方向における定着ベルト130に対する1回目と2回目のシートの相対位置(相対位置関係)を変更させるシフト機構を有する。
その変更機構として、上記のように加熱回転体若しくは加熱回転体及び加圧回転体を前記幅方向に移動させることができる定着部材位置制御機構とシートシフト機構(記録材位置制御機構)3との双方を備える。そして、定着部材位置制御機構の前記幅方向における最大移動量よりも、シートシフト機構3の前記幅方向における最大移動量の方が大きい。
《実施例3》
実施例1、2では、ユーザが定着装置の加熱回転体の清掃の必要性を感じた時に、任意に実行できるクリーニングモードとして説明した。これに対して、画像形成装置に、予め、自動的にクリーニンモードを実行する制御モードを設定したり、または必要時にクリーニンモードの実施をユーザに促す推奨メッセージを操作部200の画面部200b(図8)に表示する制御構成にしてもよい。
本実施例3では、そのための清掃必要カウンタ(加熱回転体の表面の汚れ具合を判定する判定手段)16(図8)について説明する。図14、図15は、本実施例3における清掃必要カウンタ16に関するシーケンス図である。
通常プリント時にシート給送機構7によってシートPを給送すると、CPU13は予め登録してあるシートPの幅サイズを確認する(S301)。そして、ステップS302、S304によって、幅サイズに応じてグルーピングされた給送カウンタを読み出し、1給送につき1をカウントアップする(S303、S305、S308)。
ここでは、A4R等、幅サイズ257mm以下のものを幅サイズ第1グループ、A4等の幅サイズ297mm以下のものを幅サイズ第2グループ、それより超過する13inch紙等を幅サイズ第3グループとした。さらに、幅サイズが大きい大サイズシートがある程度給送されると、それよりも幅サイズの小さいサイズの小サイズシートの幅方向両端部に付着した定着部材表面汚れは、大サイズシートの画像部等によって除去されていく。
このことから、ステップS306、S309のように大サイズシートの積算の給送枚数が所定枚数以上になったときには、それより幅サイズの小さい小サイズシートの給送カウンタをリセットするようにする(S307、S310)。
次に、第1〜3の幅サイズグループの給送カウンタによって、定着部材のクリーニングモードが必要かを判断する。本実施例の定着装置では、同一サイズ紙約30000枚のシート給送で定着部材上の汚れ固着が始まることがわかっている。そこで、ステップため、S401〜S403によって、通過カウンタを判定し、判定情報に基づいてクリーニングモードの実施の必要性とそのシート幅サイズを確認する。
本実施例では、どの幅サイズカウンタも30000枚以上の場合に清掃が必要と判定するようにしている。しかし、定着装置6の方式によっては、定着装置におけるシートの所謂非通過部昇温の傾向が異なる等の理由で、幅サイズグループ毎に清掃が必要な閾値を変えるようにしてもよい。
そして、クリーニングモードの実施が必要なことをCPU13が認識した後は、CPU13は予め装置に設定した制御シーケンスを実行する。即ち、CPU13は、プリントの途中で自動的にクリーニングモードを実行するようにしたり、または清掃が必要なことを操作部200の画面部200bに表示してユーザにクリーニングモードを促したりすることができる。
このように、内部カウンタにより定着部材の汚れの蓄積を予測制御することで、ユーザにとってはより効率的に成果物を汚すことなく、無駄なプリントシートを浪費することなく、定着部材のクリーニングを実行することができる。
《その他の事項》
1)清掃シートとして給送するシートは、装置に使用可能な最大幅サイズのシートでなく、それよりも幅の小さいシートであってもよい。
2)記録材Pに未定着のトナー像Kを形成する画像形成部5は電子写真プロセスを用いるものに限られない。静電記録プロセスや磁気記録プロセスを用いた画像形成部であってもよい。また、カラー画像を形成する画像形成部であってもよい。転写方式に限らず、記録材として感光紙や静電記録紙を用いて直接方式でトナー像を形成する画像形成部であってもよい。