以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な概略構成
図1は本発明に係る画像形成装置1の一例の概略構成図である。この装置1は電子写真レーザープリンタである。装置1のCPU(制御手段)13に対して通信可能にネットワーク接続されたホスト装置300から入力する電気的な画像情報に対応したトナー像をシート(記録材:記録媒体)P(Pa,Pb)に形成して出力することができる。
CPU13は、装置300や、操作部(コンソール部)200、各種作像機器との間において電気的な信号の授受をして、画像形成シーケンス制御を実行する。装置300は、例えば、パーソナルコンピュータ、イメージリーダー、ファクシミリ等である。シートPとは、装置1によってトナー像を形成できるものであって、例えば、用紙、OHTシート、葉書、封筒などが含まれる。
装置1の内部にはシート搬送路の上流側から下流側に順に、シート給送機構7、シート斜送機構2、シートシフト機構(シートシフト手段)3、画像形成部(画像形成手段)5、定着装置(定着手段)6等が配設されている。
画像形成部5は、未定着のトナー像を像担持体5aに形成しシートPに転写する画像形成手段である。本例においては転写式電子写真画像形成機構である。画像形成部5は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)5aを有する。ドラム5aは駆動部(不図示)により矢印の時計方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。また、ドラム5aの周囲にはドラム回転方向に沿ってドラム5aに作用するプロセス手段としての、帯電器5b、画像露光装置5c、現像器5d、転写器4、クリーニング器5eが配設されている。
帯電器5aは回転するドラム5aの表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段であり、本例においては電源部(不図示)から所定の帯電バイアスが印加される接触帯電ローラ(導電性ローラ)である。
露光装置5cはドラム5aの帯電処理面に画像情報に対応した画像露光をする画像露光手段である。本例においては、CPU13から画像信号が入力されるレーザースキャナーである。スキャナー5cはレーザー光源から画像信号に対応して変調されて発せられたレーザー光をポリゴンミラーを回転させて走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏光し、fθレンズによりドラム5aの母線上に集光して露光Lする。これにより、ドラム5aの表面に画像信号に対応した画像パターンの静電潜像が形成される。
現像器5dはドラム5aの表面に形成された静電潜像をトナー(現像剤)により未定着のトナー像として顕像化(現像)する現像手段である。転写器4は画像形成部5の転写位置Tに給送されたシートPに対してドラム5aに形成されたトナー像を転写するトナー像転写手段である。本例においては電源部(不図示)から所定の転写バイアスが印加される転写ローラ(導電性ローラ)である。転写ローラ4はドラム5aに所定の押圧力で圧接されている。その圧接部が転写位置(トナー像転写部:以下、転写ニップ部と記す)Tである。
クリーニング器5eは、シートPに対するトナー像転写後のドラム5a面から転写残トナー等の残留付着物を除去してドラム面を清掃するドラムクリーニング手段である。シート給送機構7は画像形成部5の転写ニップ部Tに対してシートPを給送するシート給送手段である。本例の機構7は、上下2段の第1と第2のカセット7a,7bを有する。カセット7a,7bには、それぞれ、互いにサイズの異なる複数枚のシートPaとPbがサイズ規制板(サイドガイド板)71a,71bによりシート搬送方向に対して平行に積載されるよう規制されて収容されている。
操作部200もしくは装置300からCPU13にプリンタジョブが投入されると、指定されたサイズのシートを収容したカセット7aまたは7bの分離ローラ(給送ローラ)8aもしくは8bが駆動される。これにより、カセット7aまたは7bからシートPが一枚ずつ分離されて搬送ローラ9aまたは9bと9aを有するシート搬送路10を通って斜送機構2に導入される。斜送機構2はシートPの斜行を補正(矯正)する機構である。斜送機構2については(2)項で詳述する。
斜送機構2を出たシートPは、シートPが最大通紙幅WPmaxよりも小さい小サイズのシートの場合には、シートシフト機構(シートシフト手段)3によりシート搬送路面内においてシート搬送方向Bに対して直交方向へ後述するシフト量について移動される。シフト機構3については(3)項で詳述する。そして、シフト機構3によりシフトされたシートPが画像形成部5の転写ニップ部Tに導入され、ドラム5a側の未定着トナー像の転写を順次に受ける。
転写ニップ部Tを出たシートPはドラム5aの表面から順次に分離(剥離)されて、定着装置6へ導入される。そして、定着装置6においてトナー像が熱と圧によりシートPに固着画像として定着される。画像が定着されたシートPは装置外に排出される。定着装置6については(4)項で詳述する。
(2)斜送機構2
図2は斜送機構2、シフト機構3、転写ローラ4の部分の平面模式図である。斜送機構2は、シート給送機構7から搬送路10を通って給送されたシートPについて、シートPがシフト機構3に進入する前に斜行補正すると共に、シート搬送方向Bに対して直交するシート幅方向のレジストレーション(横レジストレーション)を行う。
WPmaxは装置1に通紙可能なシートPの最大通紙幅である。斜送機構2は突き当て板21と上下一対のシート搬送ローラ対からなる斜送ローラ22を有する。板21は、シート搬送路10の最大通紙幅WPmaxの一方の側に配設されており、内面側はシート側辺を突き当てるための規制面21aとされている。規制面21aはシート搬送方向Bに並行な面である。板21は、CUP13で制御されるステッピングモータ(不図示)を含むシフト機構21Aによりシート搬送方向Bと直交するD方向に移動可能(位置調節可能)に配置されている。
斜送ローラ22は板21よりもシート搬送方向Bの上流側に配設されている。斜送機構2は斜送ローラ22を回転駆動するための駆動機構部(不図示)と上下のローラ対を所定のニップ圧で当接させた接触状態と離間させた離間状態とに転換する切換え機構部(不図示)を有する。駆動機構部と切換え機構部はCPU13で制御される。
斜送ローラ22は給送機構7から給送されたシートPを挟持搬送して突き当て板21の規制面21a側に寄せ移動するように回転軸線方向をシート搬送方向Bに対して傾斜させて配設されている。これにより、シートPは斜送ローラ22により突き当て板21に向かって矢印Cの方向に斜めに搬送される。斜送ローラ22はニップ圧が所定に弱く設定されている。そのため、シートPが給送機構7側から斜行して給送されても突き当て板21の規制面21aに沿ってシートPは回転しながら移動することで斜行が補正される。またシートPの横レジストレーションがなされる。
斜送機構2で斜行が補正され、また横レジストレーションされたシートPがシフト機構3の上下一対シフトローラ対31・32のニップ部に到達して挟持される。CPU13はシートPの先端部がローラ対31・32に到達して挟持されたタイミングにおいて切換え機構部の動作により斜送ローラ22の対を離間させる。上記のタイミングはシートPの搬送速度とサイズ(搬送方向の寸法)から演算することができる。
あるいは、シートPの先端部がローラ対31・32に到達して挟持されたことを検知するセンサを配設し、そのセンサから入力するシート検知信号に基づいて切換え機構部を動作させてり斜送ローラ22の対を離間させる構成にすることもできる。
斜送ローラ22の対が離間することでシートPの斜送ローラ22による挟持が解除される。これにより、次に説明するシフト機構3によるシートPのシート搬送方向Bに直交する方向への所定量の移動が斜送ローラ22によって障害されずになされる。
(3)シフト機構3
シフト機構3は、画像形成部5の転写ニップ部Tよりもシート搬送方向上流側に配置されており、斜送機構2により斜行補正と横レジストレーションがなされたシートPを受ける。そして、シートPが最大通紙幅WPmaxよりも小さい小サイズのシートの場合に、そのシートPを、シートPとドラム5a上の画像の主走査位置(ドラム5aの母線方向)を合せるために、主走査方向に移動しつつ転写ニップ部Tに向かってシートPを搬送する。即ち、転写ニップ部Tに給送されるシートをシート搬送方向Bに対して直交する方向に後述するシフト量について移動する。
図3はシフト機構3の説明図である。シフト機構3は、回転軸線方向をシート搬送方向Bに直交する方向にして配設された上下並行一対のシフトローラ31・32を有する。下側のローラ32の軸32aの左右両端部はそれぞれの側の固定の装置フレーム板11L,11Rに対して軸受部材41を介して回転可能に、かつスラスト方向にスライド移動可能に支持されている。上側のローラ31の軸31aの左右両端部はそれぞれの側の装置フレーム板11L,11Rに具備させた上下方向の長穴42に挿通されて回転可能に、かつ長穴42に沿って上下方向にスライド移動可能に支持されている。
ローラ31と32は、装置フレーム板11L,11Rの間において、連結枠体43により連結されている。枠体43は、左右方向に長い上側板部43Aと、この上側板部43Aの左右側をそれぞれ下向きに90°折り曲げた左右の脚板部43L,43Rを有する。下側のローラ32の左側の軸32aは左側の脚板部43Lに設けられた丸穴44に回転可能に挿通され、かつ止め輪45により脚板部43Lに対してスラスト方向への移動が阻止されている。右側の軸32aは右側の脚板部43Rに設けられた丸穴44に回転可能に挿通されており、かつ止め輪45により脚板部43Rに対してスラスト方向への移動が阻止されている。
上側のローラ31の左側の軸31aは左側の脚板部43Lに設けられた上下方向の長穴46に回転可能に、また長穴46に沿って上下方向にスライド移動可能に挿通され、かつ止め輪45により脚板部43Lに対してスラスト方向への移動が阻止されている。右側の軸31aは右側の脚板部43Rに設けられた上下方向の長穴46に回転可能に、また長穴46に沿って上下方向にスライド移動可能に挿通されており、かつ止め輪45により脚板部43Rに対してスラスト方向への移動が阻止されている。
枠体43の左右部には、それぞれ、上側のローラ32を下側のローラ32に対して接離させるローラ接離機構47L,47Rが配設されている。本実施例において接離機構47L,47Rはそれぞれ電磁ソレノイド−プランジャである。即ち、枠体43の左右部にはそれぞれソレノイド47aが固定して配設されている。それら左右のソレノイド47aのプランジャ47bがそれぞれ下向きに配設されていて下端部に軸受部47cが設けられている。
左側の軸受部47cには上側のローラ31の左側の軸部31aが回転可能に挿通され、左側の軸受部47cには左側の軸部31aが回転可能に挿通されている。また、左右のプランジャ47bにはそれぞれ付勢部材としてのコイルばね47dが外嵌されてソレノイド47aと軸受部47cとの間に縮設されている。左右のソレノイド47aはCPU13により通電がオン−オフ制御される。
左右のソレノイド47aに対する通電がオフの時は、ばね47dの突っ張り力により左右のプランジャ47bが、ローラ31がローラ32に当って受け止められるまで、それぞれ押し下げられている。これにより、上側のローラ31が下側のローラ32にばね47dの突っ張り力で所定の押圧力をもって接触した接触状態に保持されて、ローラ31・32間にシートPを挟持して搬送するためのニップ部N3が形成されている。
一方、左右のソレノイド47aに対する通電がオンの時は、ソレノイド47aの磁力により左右のプランジャ47bがそれぞればね47dの突っ張り力に抗して引き上げられる。これにより、上側のローラ31が下側のローラ32から所定量引き上げ移動されて図5のように離間αした離間状態に保持される。即ち、ローラ31と32のニップ部N3が解除された状態に保持される。
下側のローラ32の一端側には、このローラ32を回転駆動させる機能と、ローラ31・32をシート搬送方向Bに対して直交方向のシート幅方向へ移動させるシフト機能とを有する駆動部33が配設されている。
本実施例においては、駆動部33は左側の装置フレーム板11L側に配設されている。即ち、ローラ32の軸32aの左側端部は軸受部材41から装置フレーム板11Lの外側に突き出ている。その突出軸部に対して幅広のギアG2が固定して配設されている。このギアG2に対して第1モータ(シフトローラモータ:ステッピングモータ)M1側のギアG1が噛合している。モータM1は装置フレーム(不図示)に固定して配設されている。
モータM1はCPU13により駆動がオン−オフ制御される。モータM1が所定の回転方向に駆動されることで、ギアG1,G2により軸32aに回転力が伝達される。これにより下側ローラ32がシート搬送方向に回転駆動される。上側ローラ31は下側ローラ32に対して接触していればローラ32の回転に従動して回転する。即ち、モータM1が駆動されることで、ローラ31・32がシートPを搬送方向Bに搬送する回転動作を行う。上側ローラ31は下側ローラ32に対して離間(図5)しているときには回転しない。
また、軸32aの左側端部にはギアG2よりも外側に軸受部材34が止め輪45により軸32aに対してスラスト移動止めされて配設されている。また、装置フレーム(不図示)に第2モータ(シフトモータ:ステッピングモータ)M2とベルトプーリ35bが配設されている。プーリ35bとモータM2の軸に配設された駆動プーリ35aとの間にベルト(タイミングベルト)35cが懸回張設されている。そして、ベルト35cの下行側ベルト部分に対して軸受部材34が連結部34aを介して結合されている。
モータM2はCPU13により所定の制御パルス数だけ正転駆動される制御と、また逆に同じパルス数だけ逆転駆動される制御がなされる。モータM2の正転駆動が開始される時点では連結部34aは図3においてホームポジションSLに位置している。これにより、ローラ31・32を含む枠体43は左右の装置フレーム板11L,11R間において図3のように左側の装置フレーム板11L側に寄り移動している左寄せ位置Eに位置している。
この状態において、モータM2が所定の制御パルス数だけ正回転駆動されると、ベルト35cが反時計方向に回動して、連結部34aが図3においてホームポジションSLから右方向に所定の制御量移動して右方の所定の終点位置SRに移動して止まる。これにより、軸32aが左方向にスライド移動されて、ローラ31・32を含む枠体43が左右の装置フレーム板11L,11R間において図3の左寄せ位置Eから図4のように右寄せ位置Fの右方向Rに所定の制御量移動する。
そして、ローラ31・32を含む枠体43が図4のように右側の装置フレーム板11R側に所定の制御量寄り移動Rすると、モータM2が正転駆動時と同じ所定のパルス数だけ逆転駆動される。これにより、連結部34aが右方の所定の終点位置SRから左方の所定のホームポジションSLに戻し移動される。これに伴い、ローラ31・32を含む枠体43が始めの図3の左寄せ位置Eに戻し移動される。
上記のように、モータM2が所定の制御パルス数だけ正転駆動され、逆に同じパルス数だけ逆転駆動されことで、ローラ31・32がシート搬送路面内においてシートPの搬送方向Bに直交するシート幅方向R・Lに往復移動動作(シフト)することが可能である。
CPU13はシフト機構3について次のような制御を行う。常時は、連結部34aをホームポジションSLに位置させている。これにより、ローラ31・32を含む枠体43は図3の左寄せ位置Eに位置している。この状態において、ソレノイド37aに対する通電をオフに制御する。これにより、上側のローラ31は下側のローラ32に当接した接触状態となっている。
CPU13(シートシフト制御部)は給紙スタート信号に基づいてモータM1をオンにする。これにより、ローラ31・32はシート搬送方向に回転駆動される。この状態において、斜送機構2側から板21の規制面21aに沿って搬送されてきたシートPの先端部がローラ31・32のニップ部N3に到達して挟持される。CPU13は、シートPの先端部がローラ31・32のニップ部N3に到達して挟持されたことを例えば次ぎのようにして検知する。
即ち、シート給送機構7からのシート送り出し開始時点と、シートPの搬送速度と、シートPのシート給送機構7からニップ部N3までの搬送路長と、により演算して検知する。あるいは、ローラ31・32のニップ部N3のシート出口側に配設したシートセンサ(不図示)により検知する。CPU13はその検知信号に基づいて斜送機構2側の斜送ローラ22のローラ対を離間させる。これにより、斜送ローラ22によるシートPの挟持が解除される。
また、CPU13は、シートPが最大通紙幅WPmaxよりも小さい小サイズのシートの場合に、上記の検知信号に基づいて、シフト機構3の第2モータM2を所定の制御パルス数だけ正転駆動させる。そうすると、ローラ31・32を含む枠体43が左寄せ位置E(図3)から右寄せ位置F(図4)に向かう右方向Rに移動する。即ち、ローラ31・32に挟持されたシートPがB方向に搬送されつつ、シート搬送方向Bに直交するシート幅方向において右方向Rに移動(シフト)される。
そして、CPU13はローラ31・32に挟持されてB方向に搬送されたシートPの先端部が転写ニップ部Tに到達して挟持されたタイミングで、左右のソレノイド47aに対する通電をオンにする。これにより、ローラ31がローラ32から引き上げられて離間した状態になる(図5)。即ち、ローラ31・32によるシートPの挟持が解除される。シートPは転写ニップ部Tに挟持されて引き続き搬送される。
CPU13は、シートPの先端部が転写ニップ部Tに到達して挟持されたこと例えば次のようにして検知する。即ち、シートPの先端部がニップ部N3に到達して挟持されたことを検知した時点と、ローラ31・32によるシート搬送速度と、ニップ部N3と転写ニップ部Tとの間のシート搬送路長とから演算して検知する。あるいは、転写ニップ部Tのシート出口側に配設したシートセンサ(不図示)により検知する。
CPU13はその検知信号に基づいて、シフト機構3の第2のモータM2を正転駆動時と同じ所定のパルス数だけ逆転駆動させる。そうすると、離間状態に保持されているローラ31・32を含む枠体43が右寄せ位置E(図3)側から左方向Fに移動して始めの左寄せ位置F(図4)に戻される。
CPU13は転写ニップ部Tにより搬送されているシートPの後端部が斜送機構2のローラ22の離間状態にあるローラ対の位置を通過したことを演算或いはシートセンサ(不図示)により検知したら、そのローラ対を離間状態から接触状態に戻す。また、シートPの後端部が離間状態にあるローラ31・32の間を通過したことを演算或いはシートセンサ(不図示)により検知したら、左右のソレノイド47aに対する通電をオフにする。これにより、ローラ31・32が離間状態から接触状態に戻される。シートシフト機構3はこの状態において、次のシートPが斜送機構2側から到来するのを待つ。
(4)定着装置6
図6は本実施例における定着装置6の構成説明図である。本実施例において定着装置6は誘導加熱ベルト式の定着装置である。未定着トナー像を担持したシートPは、定着装置6内の約200°Cの温度に加熱されている加熱ベルト130(定着部材)と加圧ベルト120との圧接部である定着ニップ部N6に導入されて挟持搬送される。そして、未定着トナー像が定着ニップ部N6にて熱とニップ圧によりシートPに固着画像として定着される。画像が定着されたシートPは装置外に排出される。
図6の(a)は定着装置6の横断面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。加圧ベルト120は、2個の支持ロールすなわち加圧ロール121とベルトテンションを付与する機能を有するテンションロール122に循環回転可能に、且つ、所定の張力(例えば200N)で掛け渡されている。ここで本実施例において、加圧ベルト120としては耐熱性を具備したものであれば適宜選定して差し支えない。例えば厚さ50μm、幅380mm、周長200mmのニッケル金属層に例えば厚さ300μmのシリコンゴムをコーティングし、表層にPFAチューブを被覆したベルトが用いられる。
加熱ベルト130は、2個の支持ロールすなわち駆動ロール131とベルトテンションを付与する機能を有するステアリングロール132に循環回転可能に、且つ、所定の張力(例えば200N)で掛け渡されている。加熱ベルト130としては、誘導加熱コイル135により発熱させられるとともに耐熱性を具備したものであれば適宜選定して差し支えない。例えば厚さ75μm、幅380mm、周長200mmのニッケル金属層もしくはステンレス層などの磁性金属層に例えば厚さ300μmのシリコンゴムをコーティングし、表層にPFAチューブを被覆したものが用いられる。
加圧ベルト120と加熱ベルト130との圧接部であるニップ域の入口側(加圧ロール121の上流側)に対応する加圧ベルト120の内側にはパッド125が配設されている。パッド125は例えばシリコンゴムで形成されている。パッド125は所定圧(例えば400N)で加圧ベルト120に押し当てられており、加圧ロール121とともにニップ部N6を形成している。
加圧ロール121は例えば中実ステンレスによって外径がφ20に形成された加圧ベルト120を懸架するロールであり、加圧ベルト120と加熱ベルト130のニップ域の出口側に配設されている。また、テンションロール122は例えばステンレスによって外径がφ20、内径φ18程度に形成された中空ロールであり、ベルト張架ロールとして働く。テンションロール122の両端部は図6の(b)と(c)のように軸受126によって支持され、テンションバネ127によって20kgfのテンションをベルト120に掛けている。
加熱ベルト130と加圧ベルト120とのニップ域の入口側(駆動ロール131の上流側)に対応する加熱ベルト130の内側にはパッドステー137が配設されている。ステー137は例えばステンレス鋼(SUS材)で形成されている。ステー137は所定圧(例えば400N)で加圧パッド125に押し当てられており、駆動ロール131とともにニップを形成している。
駆動ロール131は例えば中実ステンレスによって外径がφ18に形成された芯金表層に耐熱シリコンゴム弾性層を一体成型により形成したロールである。このロール131は、加熱ベルト130と加圧ベルト120とのニップ域の出口側に配設され、加圧ロール121の圧接により弾性層が所定量弾性的に歪ませられるものである。また、ステアリングロール132は例えばステンレスによって外径がφ20、内径φ18程度に形成された中空ロールであり、加熱ベルト130の移動方向に直交する幅方向の蛇行を調整するステアリングロールとして働くとともに、ベルト張架ロールとしても働く。
駆動ロール131に対して駆動源であるモータ(不図示)によって、外部から駆動が入力され、加熱ベルト130は駆動ロール131の回転によって搬送される。シートPを安定的に搬送するために、加熱ベルト130と駆動ロール131間では確実に駆動を伝達している。加熱ベルト130の定着装置手前側(装置左側)の端部近傍にベルト端部位置を検知するためのセンサ部150が設けられている。センサ部150によって加熱ベルト130の端部位置を検出し、それに応じて、ステアリングロール132の傾きを変化させることで、ベルトの片寄り制御を行っている。
側板140の外側に固定された軸151にはこの軸151を中心に回動可能にステアリングロール支持アーム154が支持されている。このアーム154にはステアリングロール132を回転可能にかつベルトテンション方向にスライド可能に支持したステアリングロール軸受153が配設されている。そして、アーム154には軸受153をベルトテンション方向に付勢しテンションを付与するためのテンションバネ156が配設されていて、加熱ベルト130に20kgfのテンションを掛けている。
アーム154の外周には扇形ギア152が固定されていてステッピングモータ159の駆動により回転駆動可能なウォーム157と噛合している。センサ部150によって加熱ベルト130の端部位置を検出し、それに応じて、ステッピングモータ159を所定の回転数回転させ、ステアリングロール132の傾きを変化させることで、ベルトの片寄り制御を行っている。
センサ部150は、二つのセンサ150a、150bとセンサフラグ150c、センサアーム150dを有する。また、センサアーム150d、加熱ベルト130の動きに追従してセンサアーム150dが動作するためのセンサバネ150eを有し、センサアーム150dを加熱ベルト130の端面に3gfの力で押圧当接させている。そして、センサ150a、150bそれぞれのON/OFF信号の組合せより、ベルト130のローラ131,132の軸線方向に沿うベルト幅方向の位置検出(ベルト片寄り検出)を行う。
上記において、ステアリングロール132、アーム154、扇形ギア152、ウォーム157、ステッピングモータ159等が、ベルト130(定着部材)をシート搬送方向Bに対して直交する方向(定着部材幅方向)に移動させる定着部材シフト手段である。そして、この定着部材シフト手段により移動されたベルト130の定着部材位置情報に基づきCPU(シートシフト制御部)13によりシフト機構(シートシフト手段)3が制御される。また、センサ部150がベルト130(定着部材)のシート搬送方向Bに対して直交する方向の移動位置を定着部材位置情報として検知する定着部材位置検知手段である。
センサ150a、bのON/OFF信号の組合せとその時の加熱ベルト130の端面位置の関係を図7の(a)に、その時の位置を図6の(e)に、片寄り制御フローチャートを図7の(b)に示す。なお、各センサ150a、150bをフラグが遮光した時に信号はOFFとなり、投光したときにON信号となる。
図7の(a)と(b)の通り、加熱ベルト130はセンサ150aがON、センサ150bがOFFの位置(ステップS106)とセンサ150aがOFF、センサ150bがONとなる位置(ステップS109)の間を往復する。そして、その区間内で加熱ベルト130が存在する様に片寄り制御を行っている。その区間の距離は、加熱ベルト130がその回転軸方向に、中心位置から±1.5mmとしている。
図8の(a)は装置1の制御系のブロック図である。ベルト片寄り制御を介してセンサ部150で検知した加熱ベルト130の位置よりモータドライバ160を介してステッピングモータ159に所定の駆動パルスを出力する(ステップS107、S110)。ステアリングロール132はモータ159に駆動され駆動ロール131に対して±2°傾けることで制御を行う(ステップS108、S111)。
片寄り制御が不能となる状態では、加熱ベルト130の端面が中心位置から±3mmの位置にくると、センサ150a、150bが共にOFFとなる(ステップS03)。この時、CPU13は異常発生と判断し(ステップS104)、定着装置6の加熱及び加熱ベルト130の回転動作を停止させる(ステップS105)。
(5)定着部材シフト手段とシートシフト手段の連携動作
記録された定着部材シフト量に基づき前記定着部材シフト手段を制御する定着部材シフト制御部(CPU)13を有し、定着部材位置情報が定着部材シフト制御部13に記録された定着部材シフト量である。
図8の(a)に示すように、CPU13はROMに記憶されているプログラムを解釈してRAM、SRAM(記憶手段)15、及びその他の周辺回路へのデータ読み出し/書き込みを行いながら、所定の制御を行う。CPU13は操作部200もしくはネットワーク接続されたホストコンピュータなどのホスト装置300からのジョブを受け付けると、ジョブ管理部14にジョブデータを蓄積し、1ページごとに画像形成動作を行う。
また、CPU13は、ベルト片寄り制御部161を介してセンサ部150で検知した加熱ベルト130の位置とシートPのシート幅方向のサイズより次の制御を行う。即ち、図8の(b)に示すテーブルに基づいて、シフト量制御部(シフト制御部)12にシフトローラ31・32のシフト位置(以降,ローラシフト量と称する)をセットする。
シフト量制御部12は、シフトローラ31・32をシフトさせるステッピングモータM2を、セットされたローラシフト量に応じて駆動する。また、CPU13は、図8の(c)に示すテーブルに基づいて、画像位置制御部41にドラム5aに対する画像書き出し位置を設定変更し、設定した画像書き出し位置で画像が形成されるようにレーザースキャナー5cのレーザードライバ42を動作させる。
図9の(A)〜(C)は、図8の(a)における画像位置制御部41及びレーザードライバ42によって変更される画像位置書き出し位置を説明するための図である。通常は(A)に示すように、CPU13は、ドラム5aのドラム面中央線(ドラム軸線方向中央部)にシート幅方向の画像の中心が来るように画像位置制御部41及びレーザードライバ42を制御する。レーザーのスキャニングの基準位置をBD(Beam Detector)により検知し、画像クロックを距離L1分カウントしたところで区間マスクを解除する。
この解除位置はドラム面中央線からシート幅方向の画像長さの半分を引き算した位置となる。ドラム面中央線からシート幅方向の画像長さの半分を足し算した位置が区間マスクの解除を終了する位置である。この区間マスクが解除されている領域内で画像クロックに同期して画像データがレーザーによりドラム5a上に潜像化される。
図2のR方向に画像をずらす場合は、図9の(B)に示すように、画像クロックを距離L2分カウントした位置に画像書き出し位置を変更する。図2のF方向(R方向とは逆の方向)に画像をずらす場合、図9の(C)に示すように、画像クロックを距離L3分カウントした位置に画像書き出し位置を変更する。
図10はシフト機構3によるシートPのシート幅方向へのシフト動作を説明するための図である。シートPは前述のように斜送機構2の突き当て板21の規制面21aに突き当てられ、斜行が補正される。その補正の後、転写ニップ部Tに到達するまでにシフトローラ31・32によりシート幅方向に移動されつつ、搬送される。シフトローラ31・32のシフト位置はR1〜R3の3段階(複数の設定値)に設定されている。シフトローラ31・32は、シフト位置R1〜R3から突き当て板21の原点位置(HP)までの距離をCPU13によりシフト量制御部12にセットされたローラシフト量に応じて移動する。
次に、図11を参照して、装置1のドラム5aへの画像形成動作の一例を説明する。なお、図11での各処理は、図8の(a)のROM等に記憶されたプログラムがRAMにロードされて、CPU13により画像位置制御部41及びレーザードライバ42を介して実行される。
まず、CPU13はドラム5aを帯電器5bにより帯電させる(ステップS100)。そして、ドラム5aに形成する画像のシート幅方向のサイズを判断する(ステップS101)。なお、サイズの判断は画像データに付随するパラメータから判断すればよい。そして、CPU13は、画像の形成位置のシフト量を図8の(b)に示すテーブルを参照して決定する(ステップS102)。
次に、CPU13は、シート幅方向における画像書き出し位置を(ドラム中心位置−画像幅/2+シフト量)で決定し、画像位置制御部41に設定する(ステップS103)。また、画像書き終わり位置を(ドラム中心位置+画像幅/2+シフト量)で決定し、画像位置制御部41に設定する(ステップS104)。
次に、CPU13は、ドラム5aに形成する画像のシート搬送方向のサイズを判断する(ステップS105)。そして、CPU13はシート搬送方向の画像長区間を画像位置制御部41に設定する(ステップS106)。CPU13は、設定した画像書き出し位置、画像書き終わり位置、及び画像長区間に従った画像形成が行われるように画像位置制御部41、レーザードライバ42を制御してドラム5a上に潜像形成を行わせる(ステップS107)。そして、CPU13は、ドラム5a上に形成された潜像をトナー等の現像剤で現像し(ステップS108)、シートPに転写する(ステップS109)。
次に、図12を参照して、シフト機構3の動作例を説明する。なお、図12での各処理は、図8の(a)のROM等に記憶されたプログラムがRAMにロードされて、CPU13によりシフト量制御部12及びステッピングモータM2を介して実行される。
まず、CPU13は、ローラシフト量を設定する(ステップS200)。次に、CPU13はSRAM15からシフト位置R1〜R3のデータを読み出し(ステップS201)、ステッピングモータ31の駆動パルス数に換算する(ステップS202)。そして、CPU13は、換算した駆動パルス数をシフト量制御部12に設定し、シフト量制御部12に設定した駆動パルス数に従ってステッピングモータ31を駆動させる(ステップS203)。
上記の処理は、搬送されるシート毎にシフト位置R1〜R3の何れかが選択されて行われる。なお、CPU13がローラシフト量をシフト量制御部12に設定したら、シフト量制御部12が駆動パルス数を決定する構成としても良い。
次に、図13を用いて定着装置6の加熱ベルト130位置とシートPの通紙位置、及び加熱ベルト130上の通紙位置の加熱ベルト中央からのシフト量の関係の概略を説明する。
検知部150による加熱ベルト130の検知位置から図8の(b)のテーブルに基づき、加熱ベルト130のシフト移動領域における中心からの移動量170に対して、シートPのシフト移動領域における中心から移動量171は図13に示すように制御される。
即ち、CPU(シートシフト制御部)13はシフト機構(シートシフト手段)3を次のように制御する。CPU13は、加熱ベルト130がその移動領域における中心から奥側(他方側)の位置に移動する時にはシートPの移動位置がシート移動領域における中心から手前側(一方側)の位置となるようにシフト機構3を制御する。また、CPU13は、加熱ベルト130がその移動領域における中心から手前側(一方側)の位置に移動する時にはシートPの移動位置がシート移動領域における中心から奥側(他方側)となるようにシフト機構3を制御する。
それにより加熱ベルト130とシートPが同じ方向に移動することがないため、加熱ベルト130上におけるシートPのコバ部の通過領域における中心からの移動量172となる。加熱ベルト130のシートPのシフト移動範囲を広く採ることが可能になる。
また、紙サイズ(シートサイズ)が紙パス幅(シート搬送路幅)に対して大きくシフト量を確保できない場合には、シートPの幅方向のサイズによりR2の位置に通紙するようにシフト位置を選択する。本実施例では、シート幅方向が330mm以上となる時にR2の位置をCPU13が選択する構成としている。
上述の説明では、ベルト片寄り制御によるベルト130の移動を正弦波で表現しているが、定着部材がシート幅方向に移動し、その移動を検知する検知手段と、その検知情報に基づきシートシフト位置を制御する構成であれば本実施例に限定されない。
また上述の説明では、シートシフト実施時と定着部材にシートPが到達する時間にタイムラグがある。しかし、定着部材の片寄り制御における往復時間に対して通常シートPのシートシフト実施から定着部材の到達時間は十分に短いため、加熱ベルト130とシートPのシフトに対する効果への影響は少ない。
また、シートシフト制御時の加熱ベルト130の位置によりシートシフト量を決定している。しかし、シートシフト制御時のシートシフト量とシフトしたシートPが定着装置6に到達する時の定着ベルトの位置の関係を予測するテーブルをあらかじめ記憶しておき、該テーブルからシートシフト量を参照する構成としても良い。その場合には、上述のタイムラグの影響を抑止することが可能になる。
また上述の説明では、加熱ベルト130の位置に対する通紙位置のシフト位置をR1〜R3までの3段階に設定しているが、シフト位置をより多くしても良い。この場合には加熱ベルト130位置検知を細かく行うことで、より制度良く加熱ベルト130上の通紙領域を制御することが可能になる。
また上述の説明では、シートPのシート搬送方向のサイズ及び、加熱ベルト130の位置に応じて、シートPが1枚搬送されるごとにR1、R2、R3いずれかの位置にシフト位置を変化させるものとしている。しかし、所定枚数、例えば2枚搬送する毎や、プリントジョブ毎にシフト位置を変化させても良い。
また上述の説明では、画像書き出し位置と画像書き終り位置を演算により求めた。しかし、画像のサイズ、シフトローラ31・32のシフト位置、画像書き出し位置及び画像書き終り位置の関係を示すテーブルを予め記憶しておき、該テーブルから画像書き出し位置と画像書き終り位置を参照する構成としても良い。
なお、上述したシート幅方向は、電子写真方式の画像形成装置の説明で一般的に使用される主走査方向に相当し、シート搬送方向は副走査方向に相当する。
なお、実施の形態は本実施例で説明した構成に限定されない。通紙位置の定着部材の通紙と直交する方向の移動を、定着部材の通紙と直交する方向に移動させた移動量から決定することで、定着部材上における通紙領域を好適に広げる制御を行う構成に適用されるものである。
[実施例2]
以下、本発明の実施の形態2を図面を参照しながら詳細に説明する。図14は本実施例における定着装置6の定着部材シフト機構(定着部材シフト手段)を説明するための概略図、図15に画像形成装置1(図1)での制御系を示すブロック図を示す。なお、画像形成及びシートシフトのプロセスは実施例1と同様とする。
図14において、定着部材である加熱ベルト130は、端部をベルトシフトフランジ170に支持されている。フランジ170にはベルトシフトアーム171が、フランジ170を動作させることで加熱ベルト130を移動可能に取り付けられている。アーム171は、付勢ばね172により、ステッピングモータ173に取り付けられたレシプロカム174に押し付けられる。
ステッピングモータ173は、CPU13に記録されたベルトシフト量に従い、モータドライバ150に所定の駆動パルス入力することで、ステッピングモータ173が回転しレシプロカム174がベルトシフトアーム171を押圧する。それにより、加熱ベルト130のシートの通紙方向と直交する方向に加熱ベルト130を移動させる。
本実施例においては、上記のフランジ170、アーム171、カム174、ばね172、モータ173が、定着部材である加熱ベルト130をシート搬送方向Bと直交する略水平方向に移動させる定着部材シフト手段である。
図16の(a)はシートシフト量と画像シフト量を決定するテーブル図である。(b)は加熱ベルト130の位置とシートPの通紙位置、及び加熱ベルト130上の通紙位置の加熱ベルト130中央からのシフト量の関係の概略を説明するグラフ図である。
CPU13は、通紙枚数カウント手段(カウンタ)13aより検知したシートの通紙枚数とSRAM15に記録された情報から、モータドライバ150に所定の駆動パルスを入力する。これによりレシプロカム174をベルトシフトアーム171に対してU1、U2、U3の位置が接触するように回転移動させる。
シートシフト制御部12と画像位置制御部41は、図16の(a)のテーブルに従い、ステッピングモータM2と、レーザードライバ42を制御することでシートPの通紙位置と画像形成位置を移動させる。加熱ベルト130のシフト移動領域における中心からの移動量175に対して、シートPのシフト移動領域における中心から移動量176は図16の(b)に示すように制御される。それにより、加熱ベルト130上におけるシートPのコバ部の通過領域における中心からの移動量177は、加熱ベルト130のシートPのシフト移動範囲を広く採ることが可能になる。
本実施例では、定着部材のシフト量と1対1で通紙位置のシフト量をCPU13に記録されたテーブルを用いて決定しているが、ある定着部材のシフト量に対して複数の通紙位置を対応させるテーブルとしても良い。
また上述の説明では、加熱ベルト130の位置を1枚毎に移動させているが、所定枚数、例えば2枚搬送する毎や、プリントジョブ毎にシフト位置を変化させても良い。
また上述の説明では、用紙のシート搬送方向のサイズ及び、加熱ベルト130の位置に応じて、1枚シートPが搬送されるごとにR1、R2、R3いずれかの位置にシフト位置を変化させるものとしている。しかし、所定枚数、例えば2枚搬送する毎や、プリントジョブ毎にシフト位置を変化させても良い。
[実施例3]
以下、本発明の実施の形態3を図面を参照しながら詳細に説明する。
図17は本実施例におけるシートシフト機構3と定着部材130のシフト位置を説明するための概略図である。図18は画像形成装置1(図1)での制御系を示すブロック図である。図19の(a)はシート端位置検知センサ180で検知した信号から定着部材シフト量を決定するテーブル図である。図19の(b)は加熱ベルト130の位置とシートPの通紙位置、及び加熱ベルト130上の通紙位置の加熱ベルト130の中央からのシフト量の関係の概略を説明するグラフ図である。なお、本実施例において、画像形成及びシートPの通紙位置移動プロセスは実施例1と、定着装置構成は実施例2と同様である。
シートPの通紙位置を検知する通紙位置センサ180で検知されたON/OFFの検知信号をシート位置検知制御部181を介してCPU13に伝達する。ここで、通紙位置センサ180の検知信号は、シートPが通紙位置における中央から手前側(一方側)にあるときに通紙位置センサ180は遮光されてOFF、奥側(他方側)にあるときは透光してONとなる。
上記の通紙位置センサ180がシート搬送方向Bに対して直交する方向RのシートPの移動位置をシート位置情報として検知するシート位置検知手段である。そして、シフト機構3により移動されたシートPのシート位置情報に基づきCPU(定着部材シフト制御部)13により前記定着部材シフト手段170・171・174・172・173(図14)を制御する。
CPU13では図19の(a)のテーブルに従い、SRAM15に記憶された情報から、モータドライバ150に所定の駆動パルス入力することで、ステッピングモータ173が回転しレシプロカム174がベルトシフトアームを押圧する。それにより、加熱ベルト130のシートの通紙方向と直交する方向に加熱ベルト130を移動させる。
図19の(b)において、シートPのシフト移動領域における中心からの移動量182に対して、加熱ベルト130のシフト移動領域における中心から移動量183は図16の(b)に示すように制御される。即ち、それにより、加熱ベルト130上におけるシートPのコバ部の通過領域における中心からの移動量184は、加熱ベルト130のシートPのシフト移動範囲を広く採ることが可能になる。
上述の実施例では、通紙位置センサの検知情報に基づき定着部材のシフト量を制御しているが、SRAM15に記憶されたシートシフト量から定着シフト量を制御しても良い。即ち、記録されたシートシフト量に基づきシフト機構3を制御するシートシフト制御部(CPU)13を有し、シート位置情報がシートシフト制御部13に記録されたシートシフト量である。
また上述の説明では、シートのシート搬送方向のサイズ及び、位置に応じて、シートPが1枚搬送されるごとにV1、V3いずれかの位置に定着部材130のシフト位置を変化させるものとする。しかし、所定枚数、例えば2枚搬送する毎や、プリントジョブ毎に定着部材のシフト位置を変化させても良い。
また上述の実施例では、定着部材のみをシフトする構成としているが、定着部材を支持する構成毎シフトさせる構成、例えば定着部材を支持するフレームや、定着装置をシフトさせる構成も同様の効果を得ることができる。
なお実施の形態は本実施例で説明した構成に限定されず、定着部材の通紙と直交する方向の移動を、通紙位置の通紙と直交する方向に移動させた移動量から決定することで、定着部材上における通紙領域を好適に広げる制御を行う構成に適用するものである。
即ち、CPU(定着部材シフト制御部)13は定着部材シフト手段を次のように制御する。CPU13は、シートPの移動位置がシート移動領域における中心から奥側(他方側)の位置に移動する時には加熱ベルト130がその移動領域における中心から手前側(一方側)の位置となるように定着部材シフト手段を制御する。また、CPU13は、シートPの移動位置がシート移動領域における中心から手前側(一方側)の位置に移動する時には加熱ベルト130がその移動領域における中心から奥側の位置となるように定着部材シフト手段を制御する。
本発明によれば、画像形成層や定着装置において、定着部材と用紙の走行位置をそれぞれの移動位置に対して最適に移動するように制御することで、定着部材表層におけるシートのコバ部による磨耗や表面粗さの差によるグロスむらを低減することができる。そして、シートに高品位な画像を印字することができる画像形成装の提供や、定着部材の長寿命化が可能になる。