JP6371906B2 - 感熱記録材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
中でも、医療用画像診断機器で画像記録する記録媒体として用いられる感熱記録体では、シャーカステンで照らして映し出される濃淡画像を観察するため、透明性に優れ、画像部において正確な記録濃度が表現されていることが必要とされる。したがって、画像に求められる品質は極めて高い。
また、シャーカステンにかけて感熱記録体を繰り返し曝すことによって画像が黄色に変化する現象(黄変)が発生することがある。黄変は、診断に支障を来たす場合がある。
また、互いに接する感熱記録層と保護層とが接触界面で混合(界面混合)することによる透明性の低下を防ぐため、感熱記録層と保護層との間に水溶性樹脂を主成分とする中間層を設けることが提案されている(例えば、特開2003−94826号公報、国際出願第2010/038864号参照)。
また、中間層にウレタン樹脂成分を含有するポリマーラテックスを用いる技術も提案されている(例えば、国際出願第2010/038864号参照)。
しかしながら、上記のように、保護層又は中間層を改良する従来の技術だけでは、必ずしも満足し得る効果が得られるに至っていない。また、中間層にウレタン樹脂成分を含有するポリマーラテックスを用いる技術では、乖離したイソシアネート基によるブロッキング反応により、ロイコ色素の発色率が抑制され、所望濃度を得るにはロイコ色素の塗布量増加が必要になり、コストの増大を伴う。さらに、診断する上で支障を来たしかねない画像の黄変は悪化する傾向がある。
<1> 支持体上に、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層と、樹脂成分を含有する保護層と、を支持体側から順に有し、感熱記録層及び保護層の少なくとも一方が、更に、スチレン・イソプレン系樹脂を含有する感熱記録材料である。
<2> 保護層に含まれる樹脂成分は、ポリビニルアルコールを含む<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> スチレン・イソプレン系樹脂が2つのガラス転移点を有する<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
<4> 2つのガラス転移点として、25℃以下の第1のガラス転移点と50℃以上の第2のガラス転移点とを有する<3>に記載の感熱記録材料である。
<5> 第2のガラス転移点から第1のガラス転移点を減じた差が30℃を超える<4>に記載の感熱記録材料である。
<6> スチレン・イソプレン共重合体における、スチレン由来の構造単位Stとイソプレン由来の構造単位Ipとの質量比が、55:45〜90:10である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<7> 少なくとも保護層に含有されるポリビニルアルコールは、アセトアセチル基を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<8> スチレン・イソプレン系樹脂が、スチレン由来の構造単位と、イソプレン由来の構造単位と、アクリル酸又はメタクリル酸に由来の構造単位と、を有する共重合体である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<9> 発色成分は、発色する第1成分と第1成分を発色させる第2成分とを含み、少なくとも第1成分がマイクロカプセルに内包されている<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<10> 支持体が、高分子フィルムである<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<11> 感熱記録層と保護層との間に、ポリビニルアルコールを含有する少なくとも1層の中間層を有する<1>〜<10>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<12> 感熱記録層及び保護層は、それぞれゼラチンの含有量が層の総質量に対して10質量%未満である<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感熱記録材料である。
<13> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の感熱記録材料の製造方法であって、支持体上に、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層を塗布により形成することと、支持体上に形成された感熱記録層の上に、更に、樹脂成分を含有する保護層を塗布により形成することと、保護層の形成後、少なくとも感熱記録層及び保護層を熱処理することと、を有し、感熱記録層及び保護層の少なくとも一方は、更に、スチレン・イソプレン系樹脂を含有し、熱処理の温度範囲は、スチレン・イソプレン系樹脂の最も高いガラス転移点以上、かつ、感熱記録層の発色温度以下である、感熱記録材料の製造方法である。
<14> 保護層の形成後、熱処理の前に、更に、少なくとも感熱記録層及び保護層を調湿することを有する<13>に記載の感熱記録材料の製造方法である。
<15> 調湿は、温度10℃以上40℃以下及び相対湿度50%以上の環境条件下で行う<14>に記載の感熱記録材料の製造方法である。
<感熱記録材料>
本発明の一実施形態の感熱記録材料は、支持体と、支持体上に配置され、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層と、感熱記録層上に配置され、樹脂成分を含有する保護層と、を有し、感熱記録層及び保護層の少なくとも一方には、更に、スチレン・イソプレン系樹脂が含有されている。
本発明の一実施形態の感熱記録材料は、支持体上に、感熱記録層と保護層とが支持体側から順に配置されている。
上記の状況に鑑み、本発明の一実施形態においては、支持体上の感熱記録層及び保護層の少なくとも一方に、スチレン・イソプレン系樹脂を含有する。これにより、透明性に優れ、サーマルヘッドの劣化、特に水もしくは熱による酸化に起因するサーマルヘッドの劣化で生じる白スジ等の画像欠陥の発生を抑制することができ、ウレタン系樹脂のラテックスを用いた場合の欠点である発色効率の低下、及び画像の黄変を招来する懸念もない。換言すると、本発明の一実施形態の感熱記録材料は、感熱記録材料における熱発色性及び画像の黄変耐性を保ったまま、耐水性が改善されていることに特徴がある。
本発明の一実施形態の感熱記録材料は、支持体上の感熱記録層の上に、樹脂成分を含有する保護層を有している。
保護層は、少なくとも樹脂成分を含有し、更に他の成分を含有してもよい。保護層は、画像記録の際に接触するサーマルヘッドから受ける熱的もしくは物理的な負荷(傷、接触跡など)を軽減し、感熱記録材料の記録面を保護する。
保護層に含まれる樹脂成分の1つとしては、透明性を良好なものとする観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。本発明の一実施形態におけるポリビニルアルコールには、未変性のポリビニルアルコール(PVA)、変性ポリビニルアルコール(変性PVA)、並びに未変性のPVAの誘導体及び変性PVAの誘導体が含まれる。ポリビニルアルコールは、1種単独のみならず、2種以上を併用することもできる。また、ポリビニルアルコールと他の水溶性樹脂とを併用することもできる。併用する場合、ポリビニルアルコールの水溶性樹脂の全質量に対する量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
本発明の一実施形態においては、未変性のポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれも好適であるが、サーマルヘッドの劣化抑制効果が大きく、画像欠陥の発生をより効果的に抑制する観点から、変性ポリビニルアルコールが更に好ましい。
また、保護層は、スチレン・イソプレン系樹脂を含有することができる。
本発明の一実施形態においては、保護層がスチレン・イソプレン系樹脂を含み、かつ、後述の感熱記録層がスチレン・イソプレン系樹脂を含まない態様、保護層がスチレン・イソプレン系樹脂を含まず、かつ、後述の感熱記録層がスチレン・イソプレン系樹脂を含む態様、保護層及び後述の感熱記録層の双方がスチレン・イソプレン系樹脂を含む態様のいずれの態様であってもよい。また、保護層及び感熱記録層の少なくとも一方に加え、必要に応じて中間層又はその他の層にスチレン・イソプレン系樹脂を添加してもよい。
スチレン・イソプレン系樹脂が第1のガラス転移点(Tg1)と第2のガラス転移点(Tg2)との2つのTgを有する場合、Tg1を25℃以下の低温領域に有し、Tg2を50℃以上の高温領域に有していることが好ましい。具体的には、Tg1の温度領域としては、10℃〜25℃(更には13℃〜23℃)が好ましく、Tg2の温度領域としては、50℃〜70℃(更には55℃〜65℃)が好ましい。
中でも、Tg1及びTg2は、Tg2−Tg1>30℃を満たすことが好ましく、Tg2−Tg1≧35℃を満たすことがより好ましい。
具体的には、測定Tgとしては、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。但し、ポリマーの分解等により測定が困難な場合には、下記の計算式で算出される計算Tgを適用する。計算Tgは、下記の式(1)で計算されるものである。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) ・・・(1)
ここで、計算対象となるポリマーは、i=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
また、スチレン・イソプレン系樹脂は、更にアクリル酸又はメタクリル酸を、スチレンとイソプレンと共重合した共重合体、つまりスチレン由来の構造単位と、イソプレン由来の構造単位と、アクリル酸又はメタクリル酸に由来の構造単位と、を有する共重合体であることが好ましい。
スチレン由来の構造単位とイソプレン由来の構造単位との和に対して、アクリル酸又はメタクリル酸に由来の構造単位を、1質量%〜6質量%有していることが好ましく、2質量%〜5質量%有していることがより好ましい。
なお、括弧内の数値は共重合比(単位:質量%)であり、Tgはガラス転移温度である。また、構造中の略号で表されるモノマーの詳細は、St:スチレン,Ip:イソプレン,AA:アクリル酸,Bu:ブタジエンである。
(P−1)−St(61.5)−Ip(35.5)−AA(3)−共重合体
(P−2)−St(67)−Ip(28)−Bu(2)−AA(3)−共重合体
スチレン・イソプレンラテックスとしては、上市されている市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、日本ゼオン社製のLX464PX等、DIC社製のパテラコール700D等を挙げることができる。
保護層には、上記成分のほか、各種添加剤(例えば、スティッキング防止剤、顔料、離型剤、潤滑剤、すべり剤、表面光沢調整剤、マット剤、等)を含有することができる。
中でも、顔料の50%体積平均粒径は、サーマルヘッドにより記録する際のヘッドと感熱記録材料との間におけるスティッキング及び異音等の発生を防止する観点から、0.20μm〜0.50μmの範囲がより好ましい。
顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
すなわち、顔料の50%体積平均粒径が0.10μm〜5.00μmの範囲になるまで分散した後に使用されることが好ましい。
また、保護層用塗布液の全固形量に対する顔料の合計量は15質量%〜35質量%程度が好ましい。
n+mは、n=0の場合は0〜4(特に2)が好ましく、n=1の場合は0〜2が好ましい。
乳化物の好ましい平均粒子径は0.1μm〜5.0μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましい。
ここでの平均粒子径は、ホリバ製作所社製のレーザー回折粒度分布測定装置LA700を用いて透過率75%±1%にて測定された50%平均粒子径を指す。
表面光沢調整剤及びマット剤としては、でんぷん粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粒子、無機顔料等が用いられる。これらは、スティッキング防止に使用の顔料と同様に分散物として用いられる。
界面活性剤としては、スルホ琥珀酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホ琥珀酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
保護層の乾燥塗布量は、0.2g/m2〜7g/m2が好ましく、1g/m2〜4g/m2がより好ましい。
感熱記録層は、少なくとも発色成分を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
感熱記録層は、未処理時には優れた透明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いずれの組成でもよい。感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分A(第1成分)と、発色成分Aと反応して発色させる実質的に無色の発色成分B(第2成分)と、を含有する層(いわゆる2成分型感熱記録層)が挙げられる。中でも、発色成分A又は発色成分Bのいずれかが、マイクロカプセルに内包されている態様が好ましい。
(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組み合わせ。
(b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組み合わせ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組み合わせ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組み合わせ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組み合わせ、又は、有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組み合わせ。
(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組み合わせ。
(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組み合わせ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組み合わせ。
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組み合わせ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組み合わせのようなオキサジン染料を形成する物。
(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組み合わせ。
電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であることが好ましい。
電子受容性化合物の具体的な例としては、ビスフェノール化合物〔例えば、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等〕、サリチル酸誘導体〔例えば、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等〕及びその多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい)、オキシ安息香酸エステル類〔例えば、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等〕、フェノール類〔例えば、p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等〕が挙げられる。
中でも、良好な発色特性を得る観点から、ビスフェノール化合物が特に好ましい。
また、電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N2 + + X−
式中、Arは、置換基を有する又は無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 +はジアゾニウム基を表し、X−は酸アニオンを表す。
有機金属塩としては、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらのうち、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀に加えて使用してもよい。
以下、マイクロカプセルの製造方法について詳述する。
マイクロカプセルの製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。上記の通り、本発明の一実施形態の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テトライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
分散粒子径は、0.2μm〜10μm程度が一般的である。
中でも、乳化分散物の乳化安定性の点で、エステル化合物を用いることが特に好ましい。
中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を芯物質としてカプセル化した場合には、用いる電子受容性化合物、又はカプラーは、例えば、水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いる。この場合、好ましい分散粒子の径は、1μm以下である。
また、本発明の一実施形態の感熱記録材料において、カプラーを用いる場合、カプラーは、ジアゾ化合物1質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましい。
感熱記録層は、樹脂成分として、ポリビニルアルコール、スチレン・イソプレン系樹脂、及びこれら以外の他の樹脂を含有することができる。
ポリビニルアルコールには、未変性のポリビニルアルコール(PVA)、変性ポリビニルアルコール(変性PVA)、並びに未変性のPVA及び変性PVAの誘導体が含まれる。ポリビニルアルコールは、1種単独のみならず、2種以上を併用することもできる。また、ポリビニルアルコールと他の水溶性樹脂とを併用することもできる。ポリビニルアルコールと他の水溶性樹脂とを併用する場合、ポリビニルアルコールの水溶性樹脂の全質量に対する量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
本発明の一実施形態においては、未変性のポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれも好適であるが、サーマルヘッドの劣化抑制効果が大きく、画像欠陥の発生をより効果的に抑制する観点から、変性ポリビニルアルコールが更に好ましい。
また、スチレン・イソプレン系樹脂は、2つのガラス転移点(Tg)を有する樹脂であることが好ましい。2つのTgを有するスチレン・イソプレン系樹脂を用いることで、従来にない特異な効果として、サーマルヘッドの劣化を抑え、画像中に現れる白スジ等の画像欠陥の発生が効果的に抑制される。
感熱記録層に含有することができるその他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
なお、その他の成分は、マイクロカプセル内に添加してもよいし、マイクロカプセル外に添加してもよい。
感熱記録層は、2層以上が積層された構造でもよい。この場合、全ての感熱記録層が塗布、乾燥された後の乾燥塗布量が1g/m2〜25g/m2の範囲にあることが好ましい。
感熱記録層用塗布液は、例えば、上記のように調製したマイクロカプセル液と固体分散液とを用いて調製することができる。ここで、マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子、及び乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子は、感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これらの保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、カゼイン等が挙げられる。また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、弾性応力を変化させるためにシリカ粒子やジルコニア粒子などを添加することもできる。
本発明の一実施形態の感熱記録材料は、少なくとも感熱記録層及び保護層を含む複数の層の、少なくとも1組の隣接する2つの層の間に中間層を設けることができる。複数の層とは、感熱記録層及び保護層の他に、ガス遮断層、紫外線フィルター層、光反射防止層、下塗り層等である。
中間層には、中間層に対して隣接する隣接層との密着性を高めるため、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスとして、スチレン・イソプレン系樹脂の粒子が分散されたラテックスを用いて形成されていることが好ましい。
ポリビニルアルコールの量に対するスチレン・イソプレン系樹脂の粒子の量は、0質量%〜20質量%の範囲が好ましい。
フェノール性化合物は、中間層に含まれるポリビニルアルコールとポリマーラテックスが相互作用を起こし、層同士の界面がゲル化し、層の混合防止の効果が改善される。
さらに、中間層を50℃前後又はそれ以上の温度で乾燥すると、フェノール性化合物とポリビニルアルコールとの相互作用が加わるので、層同士の混合防止効果が極めて大きくなる。また、相互作用及びポリビニルアルコールのセット性の少なくとも一方によって、高速の風で乾燥を行っても面状が悪化することがなく、面状が優れた感熱記録材料が得られる。特に、中間層に接する2つの層がバインダーとしてポリビニルアルコール又はポリマーラテックスを主成分として含む場合、中間層に接して2つの層を塗布により形成する際の塗布性が著しく向上する。
フェノール性化合物としては、分子中にフェノール性水酸基を1個あるいは2個以上有する化合物のいずれも用いることができる。例えば、以下に示すビスフェノール系化合物、ビスフェノールスルホン系化合物、ビスフェノールスルフィン系化合物の他、感熱記録材料の発色成分(第1成分)である電子供与性無色染料を発色させる第2成分である電子受容性化合物として用いられるフェノール性化合物(例えば特開2000−272243号公報の段落0032及び0033に記載のフェノール類)を用いることができる。
なお、下記の化合物において、「t−Bu」はターシャリーブチル基を表し、「i−pr」はイソプロピル基を表す。
フェノール性化合物を各層に含ませるためには、各層の塗布液に、特開2003−94826号公報では、フェノール性化合物の乳化液を添加することにより行うことが好ましいとされているが、ポリマーラテックスとポリビニルアルコールの相互作用が強くなり過ぎるため、フェノール性化合物は固体分散物として塗布液に添加されることが好ましい。分散物を調製する際には、ポリビニルアルコールを安定剤として用いることが、分散物の安定性、塗液のハンドリング、重層塗布時の拡散性の観点から好ましい。さらに、分散物を調製する際には、フェノール性化合物は水を用いてビーズミルにより固体分散されていることが好ましい。
本発明の一実施形態の感熱記録材料は、支持体上に、その他の層として、下塗り層、紫外線フィルター層、光反射防止層等のその他の層を設けることができる。
本発明の一実施形態の感熱記録材料においては、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、マイクロカプセルなどを含有する感熱記録層及び後述の光反射防止層を塗布する前に、支持体上に下塗り層を設けることが望ましい。下塗り層としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、水性ポリエステル等を用いることができる。下塗り層の上に感熱記録層を形成する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、グルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びホウ酸等の硬膜剤を用いて感熱記録層を硬膜させることが望ましい。
これらの硬膜剤の添加量は、下塗り層の全質量に対して0.20質量%〜3.0質量%の範囲で、所望の硬化度に合わせて適切な添加量を選ぶことができる。下塗り層の膜厚は0.05μm〜0.5μm程度にすることが望ましい。
本発明の一実施形態の感熱記録材料においては、画像の光による褪色及び地肌カブリ防止のために光遮断層を設けてもよい。光遮断層は、結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって、地肌が変色したり、画像部が変色又は褪色することを防止する。光遮断層の作製方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤の他、特開平4−197778号公報等に記載されているものが利用できる。
支持体の感熱記録層が塗布された面と反対の面(支持体裏面)側に、平均粒径が1μm〜20μm、好ましくは1μm〜10μmの微粒子を含有する光反射防止層を設けてもよい。この光反射防止層の塗設により、入射光角20°で測定した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。光反射防止層に含有される微粒子としては、大麦、小麦、コーン、米、豆類より得られる澱粉等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニル等の共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機物の微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、感熱記録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が1.45〜1.75の微粒子状物質であることが好ましい。
本発明の一実施形態の感熱記録材料では、透明な感熱記録材料を得るために、透明支持体を用いることが好ましい。「透明」とは、光源から照射された光量のうち透明支持体を通過した光量の比率が80%以上である性質をいう。
支持体は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を貼り合わせて使用してもよい。
支持体としては、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
バック層については、特開平11−65021号公報の段落番号[0128]〜[0130]の記載を参照することができる。
また、支持体上に設けたバック層の上に、更にバック保護層を有していてもよい。
合成高分子フィルムを着色する方法としては、樹脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィルムを成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
また、支持体の感熱記録層を設けない側には、バックコート層を設けてもよい。
既述の本発明の一実施形態の感熱記録材料は、既述のような感熱記録層と保護層とを設けて製造する方法であれば特に制限はなく、公知の製造方法を選択して製造することができる。
中でも好ましくは、支持体上に、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層を塗布により形成すること(以下、感熱記録層形成工程ともいう。)と、支持体上に形成された感熱記録層の上に、更に、樹脂成分を含有する保護層を塗布により形成すること(以下、保護層形成工程ともいう。)と、保護層の形成後、少なくとも感熱記録層及び保護層を熱処理すること(以下、熱処理工程ともいう。)と、を有し、感熱記録層及び保護層の少なくとも一方に、更に、スチレン・イソプレン系樹脂を含め、熱処理の温度範囲を、スチレン・イソプレン系樹脂の最も高いガラス転移点(Tg;以下「Tg」と略記する)以上、かつ、感熱記録層の発色温度以下とする方法(本発明の一実施形態の感熱記録材料の製造方法)によって製造される。
本発明の一実施形態の感熱記録材料の製造方法は、支持体上に、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層を塗布により形成すること(感熱記録層形成工程)を有する。
感熱記録層形成用の塗布液に含まれる成分の詳細については、既述の通りである。
本発明の一実施形態の感熱記録材料の製造方法は、支持体上に形成された感熱記録層の上に、更に、樹脂成分を含有する保護層を塗布により形成すること(保護層形成工程)を有する。
保護層形成用の塗布液に含まれる成分の詳細については、既述の通りである。
調湿は、温度10℃以上40℃以下、かつ、相対湿度50%以上の環境条件下で行うことが好ましく、温度15℃以上35℃未満、かつ、相対湿度60%以上90%未満の環境条件下で行うことがより好ましい。調湿する時間は、感熱記録層及び保護層の成分組成、温度及び湿度により異なるが、好ましくは30秒〜200秒の範囲である。
本発明の一実施形態の感熱記録材料の製造方法は、保護層を形成した後、少なくとも感熱記録層及び保護層を熱処理すること(熱処理工程)を有する。
熱処理工程では、塗布し乾燥させた後、スチレン・イソプレン系樹脂の最も高いTg以上の温度で塗膜を熱処理し、熱融着すること(熱融着工程)が設けられる。この場合、熱処理の温度は、発色成分の発色を防ぐため、感熱記録層の発色温度以下とされる。
更には、50%以上に調湿した後、50℃以上130℃未満の温度で熱処理される場合が特に好ましい。
また、複数の層を同時に重層塗布する方法としては、押出しダイ法が挙げられる。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作を適宜選択することができる。中でも、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer 著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁〜536頁に記載のエクストルージョンコーティング又はスライドコーティングが好ましく、特に好ましくはスライドコーティングである。
スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は、同書427頁のFigure 11b.1に記載がある。また、所望により、同書399頁〜536頁に記載の方法、米国特許第2,761,791号明細書及び英国特許第837,095号明細書に記載の方法により、2層又はそれ以上の層を同時に成膜することができる。
本発明の一実施形態の感熱記録材料に画像を記録する場合に用いられるサーマルヘッドは、特に制限はなく、特開2003−94826号公報に記載の、感熱記録材料に接触する最上層の炭素比率が90%以上となるように既知の製膜装置を用いてグレーズ層上に発熱抵抗体と電極を具備する加熱素子に保護層を設けたものでもよい。また、一般的な窒化珪素を主体とするサーマルヘッドでもよい。
顔料を分散助剤共存下で分散し、分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5質量%に希釈した被検液を、40℃の温水中に投入して光透過率が75±1.0%になるように調整し、さらに30秒間超音波処理した後、レーザー回折粒度分布測定装置(商品名:LA700,(株)堀場製作所製)により測定した。
なお、以下において、「平均粒径」は全て同様の方法により測定した平均粒径を表す。
また、表1中の「−」の表記は、その成分を含まないことを示す。
[保護層用塗布液Aの調製]
−保護層用顔料分散液の調製−
水110gに、顔料としてステアリン酸処理水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH42S,昭和電工(株)製)30gを加え3時間撹拌した後、これに分散助剤(商品名:ポイズ532A,花王(株)製)0.8g、ポリビニルアルコール10質量%水溶液(商品名:PVA−105,(株)クラレ製)30g、2質量%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液10gを加えサンドミルで分散し、平均粒径0.30μmの保護層用顔料分散液を得た。
下記の組成中の成分を混合して保護層用塗布液Aを得た。
<組成>
・ポリビニルアルコール6質量%水溶液 ・・・1000g
(商品名:ゴーセネックスZ410,アセトアセチル変性PVA、(株)日本合成化学製)
・ステアリン酸亜鉛20.5質量%分散物 ・・・10g
(商品名:F−115,中京油脂(株)製)
・21.5質量%ステアリン酸アミド化合物 ・・・38g
(商品名:G−270,中京油脂(株)製)
・18.0質量%ステアリン酸 ・・・11g
(商品名:セロゾール920,中京油脂(株)製)
・ホウ酸4質量%水溶液 ・・・10g
・グリオキザール50質量%水溶液 ・・・1g
・上記の保護層用顔料分散液(顔料濃度:18質量%)・・・169g
・35質量%シリコーンオイル水分散液 ・・・20g
(ポリジメチルシロキサン;BY22−840,東レ・ダウコーニング(株)製)
・ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩10質量%水溶液
・・・7g
・ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸のアンモニウム塩(日油社製、ニッサンエレクトールSAL1)の75質量%液 ・・・3g
・スチレン−マレイン酸共重合体アンモニウム塩の6質量%水溶液
・・・18g
(商品名:ポリマロン385,荒川化学(株)製)
・20質量%コロイダルシリカ ・・・25g
(商品名:スノーテックス,日産化学(株)製)
・10質量%サーフロンS231W(セイミケミカル(株)製)
・・・16g
・プライサーフA217(第一工業製薬(株)製) ・・・1g
・2質量%酢酸 ・・・8g
・水 ・・・10g
以下に示すように、乳化により発色成分を内包させたマイクロカプセル液と、固体分散(ビーズミル)により顕色剤を分散含有させた顕色剤固体分散液と、を調製した。
発色剤として、以下に示す量の構造式[201]〜[207]で表される化合物(発色成分)を酢酸エチル24.3gに添加して70℃に加熱、溶解した後、45℃まで冷却した。冷却後の溶液に、カプセル壁材(商品名:タケネートD140N,武田薬品工業(株)製)13.1g、及びバーノックD750(DIC社製)2.3gを加えて混合し、油相を得た。得られた油相を、水16gにポリビニルアルコール8質量%水溶液(商品名:PVA−217、(株)クラレ製)48g及び下記の構造式〔307〕で表される化合物を混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い、回転数15000rpmで5分間乳化を行った。
得られた乳化液に、更に水110g及びテトラエチレンペンタミン1.0gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均粒径が0.35μmのマイクロカプセルを含むマイクロカプセル液A(固形分濃度:23質量%)を調製した。
・下記構造式[202]で表される化合物 ・・・1.5g
・下記構造式[203]で表される化合物 ・・・2.2g
・下記構造式[204]で表される化合物 ・・・5.65g
・下記構造式[205]で表される化合物 ・・・1.2g
・下記構造式[206]で表される化合物 ・・・1.1g
・下記構造式[207]で表される化合物 ・・・0.57g
顕色剤として以下に示す量の構造式[301]〜[306]で表される化合物を、水380g及びポリビニルアルコール10質量%水溶液(商品名:MP203,(株)クラレ製)100gを混合した水相中に加えた。その後、ビーズミル分散機(WAB DYNO−MILL KDL PILOT型、シンマルエンタープライゼス製)を用い、以下の条件にて分散処理を行い、分散された顕色剤の粒子サイズが0.6μmに到達したところで分散処理を終了した。このようにして、顕色剤固体分散液(固形分濃度:25質量%)を調製した。
<条件>
・ビーズ種:ユニビーズ
(ソーダ石灰ガラス、ビーズ径0.5μm〜0.7μm)
・ビーズの充填率:80%
・回転周速:14m/sec
・流量:0.5Kg/min
・下記構造式[302]で表される化合物 ・・・8g
・下記構造式[303]で表される化合物 ・・・3g
・下記構造式[304]で表される化合物 ・・・3g
・下記構造式[305]で表される化合物 ・・・0.9g
・下記構造式〔306〕で表される化合物 ・・・0.9g
(パイオニンA−43−S(界面活性剤)、竹本油脂社製)
下記組成の成分を混合し、感熱記録層用塗布液Aを調製した。
<組成>
・上記の顕色剤固体分散液 ・・・293g
・上記のマイクロカプセル液A ・・・70g
・グリオキザール50質量%水溶液 ・・・18g
・スチレン・イソプレンラテックス(表1中、SIRと略記する。)
・・・100g
(LX464PX、日本ゼオン社製;スチレン・イソプレン共重合体、固形分濃度:40質量%)
・コロイダルシリカ ・・・142g
(スノーテックス(固形分濃度:20質量%)、日産化学社製)
下記組成の成分を混合し、感熱記録層用塗布液Bを調製した。
・上記の顕色剤固体分散液 ・・・293g、
・上記のマイクロカプセル液A ・・・70g
・グリオキザール50質量%水溶液 ・・・18g
・スチレンブタジエン樹脂ラテックス ・・・100g
(固形分濃度:41質量%、パテラコール H2020A DIC社製;表1中、SBRと略記する。)
・コロイダルシリカ ・・・142g
(スノーテックス(固形分濃度:20質量%)、日産化学社製)
下記組成の成分を混合し、感熱記録層用塗布液Cを調製した。
・上記の顕色剤固体分散液 ・・・293g、
・上記のマイクロカプセル液A ・・・70g
・グリオキザール50質量%水溶液 ・・・18g
・ウレタン樹脂ラテックス ・・・100g
(固形分濃度:41質量%、パテラコールH2020A、DIC社製)
・コロイダルシリカ ・・・142g
(スノーテックス−O(固形分濃度:20質量%)、日産化学社製)
下記組成の成分を混合し、感熱記録層用塗布液Dを調製した。
・上記の顕色剤固体分散液 ・・・293g、
・上記のマイクロカプセル液A ・・・70g
・グリオキザール50質量%水溶液 ・・・18g
・ポリビニルアルコール8質量%水溶液 ・・・100g
(商品名:PVA−217、(株)クラレ製)
・コロイダルシリカ ・・・142g
(スノーテックス-O(固形分濃度:20質量%)、日産化学社製)
下記組成の成分を混合、溶解し、中間層用塗布液を調製した。
<組成>
・PVA−124C ・・・100g
(ポリビニルアルコール、重合度:2400、(株)クラレ製)
・ナトリウムビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)=2−スルフィナトオキシスクエート ・・・40g
(固形分濃度:1質量%、富士フイルムファインケミカルズ社製)
・ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(固形分濃度:72質量%)
・・・24g
・サーフィノール104E ・・・26g
(固形分濃度:50質量%、日信化学工業社製)
・4−{2−{2−(2−テトラデシルオキシ−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ}−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム(固形分濃度:10質量%)・・・8g
・水 ・・・1800g
下記組成の成分を混合し、全量が62.77リットルとなるように水を加えてバック層用塗布液を調製した。
<組成>
・石灰処理ゼラチン ・・・1000g
・マット剤(平均粒子径5.7μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)球形粒子)12質量%及びゼラチンを含むゼラチン分散物 ・・・757g
・構造式[501]〜[505]で表される化合物を含む紫外線吸収剤乳化物 ・・・3761g
紫外線吸収剤乳化物1000g当たりの紫外線吸収剤の含有量を以下に示す。
・構造式[501]で表される化合物・・・9.8g
・構造式[502]で表される化合物・・・8.4g
・構造式[503]で表される化合物・・・9.8g
・構造式[504]で表される化合物・・・13.9g
・構造式[505]で表される化合物・・・29.3g
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン ・・・1.75g
・ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
(分子量:約40万) ・・・64.2g
・下記の構造式[506]で表される化合物 ・・・10.0g
・ポリエチルアクリレートのラテックス(固形分濃度:20質量%)
・・・3180ml
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)
・・・75.0g
・1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン
・・・25.0g
・水 ・・・62.77リットルへの調製に必要な残量(g)
下記組成の成分を混合し、苛性ソーダでpH7.0に調製した後、全量が66.79リットルとなるように水を加え、バック保護層用塗布液を調製した。
<組成>
・石灰処理ゼラチン ・・・1000g
・マット剤(平均粒子径0.70μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)球形粒子)15質量%及びゼラチンを含むゼラチン分散物
・・・2000g
・メタノール ・・・1268ml
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン ・・・1.75g
・ポリアクリル酸ナトリウム(分子量:約10万)・・・64.4g
・ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)・・・54.0g
(分子量:約40万)
・p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン−エチルスルホン酸ナトリウム ・・・25.2g
・N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸アミドブチルスルホン酸ナトリウム ・・・5.3g
・パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム ・・・7.1g
・水 ・・・66.79リットルへの調製に必要な残量(g)
上記で調製したBC層用塗布液及びBPC層用塗布液を、日本工業規格(JIS−Z8701)に規定された色度座標においてx=0.2850、y=0.2995に青色染色された透明なポリエチレンテレフタレート(PET)支持体(厚さ175μm)上に、PET支持体側から順に、BC層用塗布液、BPC層用塗布液をそれぞれスライドビード方式により同時重層塗布し、乾燥させた。PET支持体は、塗布前に予めイオン風をあてて徐電した。なお、塗布条件及び乾燥条件は以下の通りである。
<条件>
・BC層用塗布液の塗布量:44.0ml/m2
・BPC層用塗布液の塗布量:18.5ml/m2
・塗布速度:160m/分
・コーティングダイ先端とPET支持体との間隙:0.10mm〜0.30mm
・減圧室の圧力:大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定
−感熱記録材料の作製−
上記のBC層及びBPC層が塗設された支持体のBC層及びBPC層の塗設面側とは反対側の面に、支持体に近い側から順に感熱記録層用塗布液A、中間層用塗布液A、及び保護層塗布液Aを、それぞれ塗布量が85ml/m2、20ml/m2、44ml/m2になるように、スライドビード方式により同時重層塗布し(塗布工程:感熱記録層形成工程、中間層形成工程、保護層形成工程)、乾燥し、支持体側から感熱記録層、中間層、及び保護層を有する透明な感熱記録材料を得た。
塗布条件及び乾燥条件は以下の通りである。
塗布スピードを160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定した。支持体は、塗布前に予めイオン風にて徐電した。
引き続いて、塗布後の支持体を第1乾燥ゾーンに搬送し、乾球温度40℃〜60℃、露点0℃、膜面風速5m/sec以下の風で初期乾燥を行った後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23℃〜45℃、相対湿度20%〜70%、膜面風速15m/sec〜25m/secの乾燥風で、膜面温度を18℃〜23℃に調節して乾燥させた(乾燥工程)。
その後、温度25℃、相対湿度80%の調湿ゾーンを通過した後(調湿工程)、膜面温度を90℃まで加熱して熱処理する加熱ゾーンを通過させ(熱処理工程)、温度25℃、相対湿度60%の条件にて巻き取って完成させた。
保護層の固形分中、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム塩の含有量は、7.2質量%であった。
得られた感熱記録材料を用い、サーマルヘッド(商品名:KGT、358−12PAN22、京セラ(株)製)により、ヘッド圧10kg/cm2、記録エネルギー85mJ/mm2を印加して発色させ、画像サンプルを作製した。その後、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<発色効率>
Macbeth TD904を用いてVisualフィルターにて測定し、透過光学濃度の最大値(Dmax)を測定した。測定値であるDmaxを、ロイコ染料の1m2あたりの重さg(単位:グラム)で除算した値を発色効率(Dmax/g)とした。
評価は、下記の評価基準にしたがって、発色効率の値が高いものから優劣(良5→1劣)を5段階評価した。評価結果は、3以上が実用上許容されるレベルである。
<評価基準>
5:発色効率(Dmax/g)が1.0以上である。
4:発色効率(Dmax/g)が0.9以上1.0未満である。
3:発色効率(Dmax/g)が0.8以上0.9未満である。
2:発色効率(Dmax/g)が0.7以上0.8未満である。
1:発色効率(Dmax/g)が0.7未満である。
感熱記録材料を25cm×20cmに裁断して試料片を作製し、この試料片を、試料片の短尺方向がサーマルヘッドの幅方向に対して垂直になるようにセットし、10000枚連続印画を行った。印画は、サーマルヘッド(商品名:KGT、358−12PAN22、京セラ(株)製)を用いて、ヘッド圧10kg/cm2、記録エネルギー85mJ/mm2の条件下で行った。
連続印画する過程でサーマルヘッドの磨耗及びヘッド汚れが発生すると、白スジ(white streaks)状の明確な筋故障を検出することができる。評価は、下記の評価基準にしたがって、筋故障の発生タイミングが遅いものから優劣(良5→1劣)を5段階評価した。評価結果は、3以上が実用上許容されるレベルである。
<評価基準>
5:10000枚を印画した時点でも印画スジが発生していない。
4:5000枚を超え10000枚未満の印画途中で印画スジの発生が確認できる。
3:5000枚を印画した時点で印画スジが発生していない。
2:100枚を超え5000枚未満の印画途中で印画スジの発生が確認できる。
1:100枚を印画した時点で印画スジが発生している。
温度25℃、相対湿度60%の環境下、1000Luxの蛍光灯の光を7日間曝光した。画像黄変の程度は、目視にて黄色味の変化を確認した。
評価は、下記の評価基準にしたがって、黄色味の変化の小さいものから優劣(良5→1劣)を5段階評価した。評価結果は、3以上が実用上許容されるレベルである。
<評価基準>
5:7日目時点でも黄色味変化は確認されなかった。
4:7日目時点で極わずかな黄色味変化が確認された。
3:7日目時点でわずかな黄色味変化が確認された。
2:7日目時点で明らかに黄色味変化が確認された。
1:7日目以前の時点で明らかに黄色味変化が確認された。
2枚の感熱記録材料を用意し、感熱記録層等が形成された側の表面(オモテ面)とオモテ面とは反対側の表面(ウラ面)とが互いに向き合うように重ね、800g/5cm2の加重をかけた。加重状態のまま、温度40℃、相対湿度80%の環境下に10日間放置した。放置後、2枚の感熱記録材料を剥離した。この際、下記の評価基準にしたがって接着面積の小さいものから優劣(良5→1劣)を5段階評価した。評価結果は、3以上が実用上許容されるレベルである。
<評価基準>
5:一方の感熱記録材料を持って剥がした際、接着面が無くスムーズに剥がれた。
4:一方の感熱記録材料を持って剥がした際、接着面がほとんどなくスムーズに剥がれた。
3:一方の感熱記録材料を持って剥がした際、接着面があったがスムーズに剥がれた。
2:一方の感熱記録材料を持って剥がした際、接着面があり、スムーズに剥がすのが困難であった。
1:一方の感熱記録材料を持って剥がした際、ほとんどの面が接着して剥がすのが困難であった。
実施例1において、感熱記録層、中間層、及び保護層における組成、及び熱処理の有無について、下記表1に示すように変更を施したこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録材料を作製し、評価を行った。評価結果は、表1に示す。
・SIR:スチレン・イソプレンラテックス(LX464PX、日本ゼオン社製;スチレン・イソプレン共重合体、固形分濃度:40質量%)
・ウレタン:ウレタン樹脂ラテックス(固形分濃度:41質量%、パテラコールH2020A、DIC社製)
・SBR:スチレンブタジエン樹脂ラテックス(固形分濃度:41質量%、パテラコール H2020A DIC社製)
・アジピン酸ジヒドラジド:ADH−35、大塚化学社製
・オキサゾール:東京化成社製
・PVA:ポリビニルアルコール8質量%水溶液(商品名:PVA−217、(株)クラレ製)
実施例1〜20において、感熱記録層用塗布液の調製に用いたスチレン・イソプレンラテックス(SIR;LX464PX、日本ゼオン社製)100gを、下記のスチレン・イソプレンラテックス100gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録材料を作製し、評価を行った。評価結果は、表1に示す。
[スチレン・イソプレンラテックス]
・パテラコール700D(DIC社製、スチレン・イソプレン共重合体、固形分濃度:40質量%、Tg1:20℃,Tg2:55℃)
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (15)
- 支持体上に、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層と、樹脂成分を含有する保護層と、を前記支持体側から順に有し、
前記感熱記録層及び前記保護層の少なくとも一方が、更に、スチレン・イソプレン系樹脂を含有する感熱記録材料。 - 前記保護層に含まれる前記樹脂成分は、ポリビニルアルコールを含む請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記スチレン・イソプレン系樹脂が2つのガラス転移点を有する請求項1又は請求項2に記載の感熱記録材料。
- 前記2つのガラス転移点として、25℃以下の第1のガラス転移点と50℃以上の第2のガラス転移点とを有する請求項3に記載の感熱記録材料。
- 前記第2のガラス転移点から前記第1のガラス転移点を減じた差が30℃を超える請求項4に記載の感熱記録材料。
- 前記スチレン・イソプレン共重合体における、スチレン由来の構造単位Stとイソプレン由来の構造単位Ipとの質量比が、55:45〜90:10である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 少なくとも保護層に含有されるポリビニルアルコールは、アセトアセチル基を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記スチレン・イソプレン系樹脂が、スチレン由来の構造単位と、イソプレン由来の構造単位と、アクリル酸又はメタクリル酸に由来の構造単位と、を有する共重合体である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記発色成分は、発色する第1成分と前記第1成分を発色させる第2成分とを含み、少なくとも前記第1成分がマイクロカプセルに内包されている請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記支持体が、高分子フィルムである請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記感熱記録層と前記保護層との間に、ポリビニルアルコールを含有する少なくとも1層の中間層を有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記感熱記録層及び前記保護層は、それぞれゼラチンの含有量が層の総質量に対して10質量%未満である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の感熱記録材料の製造方法であって、
支持体上に、ポリビニルアルコール及び発色成分を含有する感熱記録層を塗布により形成することと、
支持体上に形成された前記感熱記録層の上に、更に、樹脂成分を含有する保護層を塗布により形成することと、
前記保護層の形成後、少なくとも前記感熱記録層及び前記保護層を熱処理することと、
を有し、
前記感熱記録層及び前記保護層の少なくとも一方は、更に、スチレン・イソプレン系樹脂を含有し、前記熱処理の温度範囲は、前記スチレン・イソプレン系樹脂の最も高いガラス転移点以上、かつ、前記感熱記録層の発色温度以下である、感熱記録材料の製造方法。 - 前記保護層の形成後、前記熱処理の前に、更に、少なくとも前記感熱記録層及び前記保護層を調湿することを有する請求項13に記載の感熱記録材料の製造方法。
- 前記調湿は、温度10℃以上40℃以下及び相対湿度50%以上の環境条件下で行う請求項14に記載の感熱記録材料の製造方法。
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