JP2005271283A - 感熱記録材料の製造方法及び感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料の製造方法及び感熱記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 非画像部の着色がなくあるいは非常に少なく、高画質の感熱記録材料を製造する方法を提供すること、またこの製造方法により作製される感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】 支持体に少なくとも発色成分を含有する感熱記録層用塗布液を塗布して感熱記録層を形成する感熱記録材料の製造方法において、感熱記録層用塗布液をその調製後30分以内に支持体上に塗布することを特徴とする感熱記録材料の製造方法、及び前記製造方法により作製される感熱記録材料。
【選択図】 図1

Description

本発明は、感熱記録材料、特に医療用に適した感熱記録材料の製造方法及び感熱記録材料に関する。
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、(3))取扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡単で安価である、(6)記録時の騒音が無い等の利点があるためファクシミリやプリンターの分野、POS等のラベル分野等に用途が拡大している。
また近年、医療用の透明な感熱記録材料が開発されている(例えば以下の特許文献1及び2を参照)。これは、超音波スキャナー、CTスキャナー、レントゲン等の医療用機器から得られるデジタル情報を直接記録するための記録媒体であり、画像記録されたものは、医師等の診断に供される。通常診断は感熱記録材料に記録された画像に背後から蛍光灯などの光を当て(このような光を当てる装置をシャーカステンという)、画像を傷付けないように支持体側から観察することにより行われる。
このような医療診断用の透過型感熱記録材料においては、非画像部の着色(カブリ)は著しく画像品位を劣化させ、画像診断の妨げになる危険性があるため、このような用途に用いる感熱記録材料では、非画像部における着色を少なくすることが重要である。
感熱記録材料の発色系としてマイクロカプセルに内包させた電子供与性染料前駆体と、マイクロカプセル外の電子受容性化合物を組み合わせることはよく知られており(例えば以下の特許文献3及び4を参照)、また、前記電子受容性化合物を、難溶性又は不溶性の有機溶媒に溶解させた後水分散媒中に乳化分散させて得られる乳化分散液とし、これをマイクロカプセル液と混合して感熱記録層の塗布液を調製することもよく知られている(例えば以下の特許文献5を参照)。
さらに、軟調な画像形成が可能で、高感度であり、かつ非画像部の着色がない感熱記録材料を作るために、感熱記録層用塗布液を調製後、1時間以内に塗布する感熱記録材料の製造方法も知られている(例えば以下の特許文献6を参照)。そして、この特許文献6に具体的に開示されている製造例法では、いずれもの例でも、塗布液を調製後1時間後に塗布している。ところが、塗布液調製後1時間後に塗布すると、特に塗布液の温度が30℃以上の場合、非画像部の着色が大きくなることが判明した。
特開2000−318320号公報 特開2002−67500号公報 特開昭60−242093号公報 特開昭61−92891号公報 特開昭63−252782号公報 特開2000−233574号公報
本発明は前記のごとき状況のもとになされたものであり、その目的は、非画像部の着色がなくあるいは非常に少なく、高画質の感熱記録材料を製造する方法を提供すること、またこの製造方法により作製される感熱記録材料を提供することにある。
本発明の前記課題は、以下の感熱記録材料の製造方法、及び感熱記録材料を提供することにより解決される。
(1)支持体に少なくとも発色成分を含有する感熱記録層用塗布液を塗布して感熱記録層を形成する感熱記録材料の製造方法において、感熱記録層用塗布液をその調製後30分以内に支持体上に塗布することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
(2) 前記感熱記録層用塗布液の温度を、感熱記録層用塗布液の調製後から塗布するまでの間、30℃から40℃の範囲内に維持することを特徴とする前記(1)に記載の感熱記録材料の製造方法。
(3)前記発色成分が、電子供与性染料前駆体及び該電子供与性染料前駆体と反応して発色する電子受容性化合物であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の感熱記録材料の製造方法。
(4)前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の感熱記録材料の製造方法。
(5)前記感熱記録層用塗布液、中間層用塗布液、及び保護層用塗布液を支持体上に同時重層塗布することを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の感熱記録材料の製造方法。
(6)前記中間層用塗布液がゼラチンをバインダーとして含有することを特徴とする前記(5)に記載の感熱記録材料の製造方法。
(7)前記中間層用塗布液の温度を、中間層用塗布液の調製後から塗布するまでの間、30℃から40℃の範囲内に維持することを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の感熱記録材料の製造方法。
(8)前記(1)ないし(7)のいずれか1に記載の感熱記録材料の製造方法により製造された感熱記録材料。
本発明の製造方法により、非画像部の着色がないかあるいは非常に少ない、高画質の感熱記録材料を製造することができる。そのため、本発明の製造方法により、特に、医療診断用に供しうる優れた感熱記録材料が得られる。
以下、本発明の感熱記録材料の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料の製造方法は、少なくとも発色成分を含有する感熱記録層用塗布液をその調製後30分以内に支持体上に塗布することにより感熱記録層を形成することを特徴とする。前記の「感熱記録層用塗布液の調製後30分以内」とは、「感熱記録層用塗布液を調製するために、感熱記録層を構成する成分を含む各液を混合した時点から30分以内」を意味し、例えば、マイクロカプセル液と電子受容性化合物の分散液を混合した時点から30分以内をさす。
特に、塗布液組成によって塗布液の温度(塗布液調製後から塗布するまでの間)を30℃から40℃の温度範囲に調節する場合、前記のように塗布工程までの時間を限定して塗布を行うことにより、非画像部の着色が非常に少ない又はない感熱記録材料を製造することができる。
また、非画像部の着色を少なくする上で、感熱記録層用塗布液の調製後、10分以内に塗布することがより好ましい。
また、感熱記録層を2層設ける場合、2層の感熱記録層塗布液の塗布を、塗布液調製後30分以内に行うことがより好ましい。そして、より高感度の感熱記録層用塗布液の塗布は、該塗布液調製後、短時間で行うことが好ましい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に少なくとも感熱記録層を有し、さらに必要に応じて、その他の層(中間層、保護層、バック層等)を有する。
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、少なくとも発色成分を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
(発色成分)
前記(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組み合わせの他、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーの組み合わせ、( c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機銀塩とプロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤の組み合わせ、(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族カルボン酸塩と没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノールとの組み合わせ、(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の有機酸のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等の重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組み合わせ、又は前記有機酸重金属塩とS−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組み合わせ、(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩とNa−テトラチオネート、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素等の硫黄化合物との組み合わせ、(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族カルボン酸第二鉄塩と3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ、(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸貴金属塩とポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ、(i)ペラルゴン酸
第二鉄、ラルリン酸第二鉄等の脂肪族カルボン酸第二鉄塩とチオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組み合わせ、(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩とエチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組み合わせ、(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組み合わせ、(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組み合わせのような、オキサジン染料を形成するもの、(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩の組み合わせ等を用いることができる。
これらの発色成分の中でも、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組み合わせが、高い発色濃度が得られ、非画像部の着色(カブリ)が少ない点で好ましく用いられる。
電子供与性染料前駆体について以下に詳細に説明する。本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではない。前記電子供与性染料前駆体は、エレクトロンを供与して或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特にラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環、あるいは開裂する無色の化合物であることが好ましい。
前記電子供与性染料前駆体としては例えばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレイン系化合物、ピリジン系化合物、ピペラジン系化合物が挙げられる。
前記フタリド系化合物の具体例としては、米国再発行特許明細書第23024号、米国特許明細書第3491111号、同第3491112号、同第3491116号、同第3509174号等に記載された化合物が挙げられる。前記フルオラン類の具体例としては、米国特許明細書第3624107号、同第3627787号、同第3641011号、同第3462828号、同第3681390号、同第3920510号、同第3959571号等に記載された化合物が挙げられる。前記スピロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3971808号等に記載された化合物が挙げられる。前記ピリジン系及びピペラジン系化合物類としては米国特許明細書第3775424号、同第3853869号、同第4246318号等に記載された化合物が挙げられる。前記フルオレイン系化合物の具体例としては特開昭63−94878号公報等に記載された化合物が挙げられる。これらのなかでもとくに黒発色の2−アリールアミノ−3−[H,ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン}が好ましく挙げられる。
具体的には例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−NシクロヘキシルN−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチルN−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3―メチル−6−N−エチルN−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル6−N−エチルN−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチルN−テトラヒドロフリフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチルN−イソアミルアミノフルオラン、2―アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチルN−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6―N−エチルN−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン、3′,6′−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−チエニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9′−[9H]キサントレン、3′,6′−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−フェニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9′−[9H]キサントレン等が挙げられる。
次に電子受容性化合物について説明する。前記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸もしくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェインル)ペンタン,2,2−ビス(4’ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ヘキサン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、トリエチレングリコール−ビス[3,(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネーロ}、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、
3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−(tert−ブチル)サリチル酸、3,5−ジ−(tert−ブチル)サリチル酸、3−α―α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体、又はその多価金属塩(特に亜鉛、アルミニウムが好ましい)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2―エチルエキシル、β−レゾルシン酸−2−フェノキシエタン等のオキシ安息香酸エステル類、p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。
なかでも、良好な発色特性を得る観点から、ビスフェノール類及びサリチル酸誘導体亜鉛塩が特に好ましい。また上記の電子受容性化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物物が挙げられる。前記芳香族ジアゾ化合物としては、Ar−N2 +-の一般式(Arは置換基を有するあるいは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 +はジアゾニウム基を、X-は酸アニオンを表す。)で表される化合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。また前記芳香族ジアゾ化合物は光定着性に優れ、定着後の着色ステインの少ない、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
前記ジアゾスルフォネート化合物としては近年多数のものが知られており、各種のジアゾニウム塩を亜硫酸で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基をジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができる。これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドのほか、レゾルシンを始め特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
ジアゾ化合物とカプラーとの組み合わせを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができるため、増感剤として塩基性物質を添加してもよい。前記塩基性物質としては水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が得られる。これらの具体例として、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
また、前記有機金属塩と還元剤の組み合わせにおける有機金属塩としては、具体的にはラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩、ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩、s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩、安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩、エタンスルフォン酸銀等のスルフォン酸の銀塩、o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩、フェニルリン酸銀等の燐酸の銀塩、バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。これらのうち、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、なかでもベヘン酸銀塩がより好ましい。またベヘン酸をベヘン酸銀とともに使用してもよい。
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227ページ左下欄第14行目〜第229ページ右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。なかでもモノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。上記のうち、ポリフェノール類、スルフォンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
(マイクロカプセル)
本発明において用いる電子供与性染料前駆体はマイクロカプセルに内包される。以下にマイクロカプセルの製造方法について詳述する。マイクロカプセルの製造には界面重合法、内部重合法、外部重合法等がありいずれの方法も採用することができる。好ましいマイクロカプセル法は、電子供与性染料前駆体をあらかじめ疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させて油相を調製し、この油相を水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、ホモジナイザーやシリンドリカルミル等の手段により乳化分散した後加温して、その油滴界面で高分子形成反応を起こさせ、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法である。
前記マイクロカプセル壁を形成する高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらのなかでもポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポイウレアがとくに好ましい。
前記高分子物質を形成するリアクタントとしては、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。
例えば、ポリウレアをカプセル壁材高分子物質とする場合には、リアクタントとして、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリソシアナートプレポリマー等のポリソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジンもしくはその誘導体又はポリオール等を用い、上記水相中で界面重合法によって反応させることにより、容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
また例えばポリウレアとポリアミドからなる複合壁もしくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁を作る場合には、リアクタントとして、例えばポリソシアナート若しくはそれと反応してカプセル壁を形成する第二物質(例えば、酸クロライドもしくはポリアミン、ポリオール)と水溶性高分子水溶液(水相)中又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散したのち、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については特開昭58−66948号公報に記載されている。
前記ポリソシアナート化合物としては3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びそれらの水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビウレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジシソシアネート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能化したもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジシソシアネート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。特開昭和62−212190号公報、特開平4−26189号公報、同5−317694号公報、特開平11−114153号公報等に記載の化合物が好ましい。
前記ポリイソシアナートはマイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁を構成する成分の一つとして、水相中及び/又は油相中に添加するポリオール及び/又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合にはポリウレタン壁が、ポリアミンを添加した場合にはポリウレア壁が形成される。
上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を高める観点で好ましい。ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あるいは壁材の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい。(岩田敬治編ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社 1987)
また前記マイクロカプセル壁には必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、あるいはその他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
さらにマイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするため、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤はその融点が50℃以上のものが好ましく、さらに該融点が120℃以下のものがより好ましい。このうち常温で固体状のものを好適に選択して用いることができる。例えば壁材がポリウレア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルフォンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
前記の油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては沸点100〜300℃の有機溶剤が好ましい。具体的にはエステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−メチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えばターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えばプロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらのなかでもエステル類類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
前記エステル類としてはリン酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル、フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル、アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、アゼライン酸ジオクチル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル、マロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル、クエン酸トリブチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル、エチレングリコールとギ酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸とのモノエステル及びジエステル、トリアセチン、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、硼酸トリブチル、硼酸トリペンチル等の硼酸エステル等が挙げられる。
これらのなかでも、特にリン酸トリクレジルを単独あるいは混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
カプセル化しようとする電子供与性染料前駆体の前記疎水性有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に使用することもできる。このような低沸点溶媒としてはたとえば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げられる。
前記電子供与性染料前駆体を感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合、該電子供与性染料前駆体の含有量は0.1〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。
前記電子供与性染料前駆体の含有量が0.1〜5.0g/m2の範囲にあると、十分な発色濃度が得られ、かつ感熱記録層の透明性を保持することができる。
油相に添加する水相には、保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液が使用される。前記水溶性高分子は、乳化分散の際、分散を均一にかつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。
乳化分散を均一にしかつ分散液を安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の添加量は油相の質量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤のなかから、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としてはたとえばアルキルベンゼンスルフォン酸、アルキル硫酸、スルフォコハク酸ジオクチル、スルフォコハク酸ジ−2−エチルヘキシルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩や、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
乳化は上記成分を含有した油相と保護コロイド又はこれにさらに界面活性剤を含有する水相とを、高速攪拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、たとえばホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディミル、シリンドリカルミル等の公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。
乳化後はカプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また乳化中はカプセル同士の凝集を防止するために加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行うことが好ましい。
また反応中に改めて凝集防止用素材を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常数時間反応させることにより目的のマイクロカプセルを得ることができる。
(乳化分散液)
電子供与性染料前駆体と反応して発色させる電子受容性化合物は、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解したのち、これを水分散媒中に乳化分散させて用いるが、この他に例えば水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤とともにサンドミル等の手段により固体分散して用いることもできる。水分散媒は、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液とすることが好ましい。また、必要に応じて低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。乳化分散装置及び乳化条件は前記のごとく適宜選定される。
前記高沸点有機溶剤は例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルのなかから適宜選択することができる。なかでもエステル類を使用することが乳化分散液の乳化安定性の観点から好ましく、なかでもリン酸トリクレジルがとくに好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子のなかから適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としてはポリビニルアルコール又はその変性物、ポリアクリル酸アミド又はその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン―無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル―アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロール等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン及びその変性物、澱粉誘導体、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール又はその変性物、ゼラチン及びその変性物、セルロース誘導体が特に好ましい。
また油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4が特に好ましい。該混合比が0.02〜0.6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液安定性に優れる。
本発明の感熱記録材料において、電子受容性化合物は前記電子供与性染料前駆体1質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
(その他の成分)
感熱記録層におけるバインダーとして機能する、前記マイクロカプセル液調製の際及び前記乳化分散物調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子とは別に、バインダーを感熱記録層用塗布液に添加してもよい。前記バインダーとしては水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコール又はその変性物、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン―無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、澱粉誘導体、カゼイン、ゼラチン及びその変性物等が挙げられる。またこれらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的にはスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
また、感熱記録層用塗布液を水系又は有機溶剤系の塗布液用塗布手段により支持体上に塗布する際に、安定かつ均一に塗布するとともに塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン及びその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物(例えば、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、末端疎水化変性ポリビニルアルコールなど)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
この他、感熱記録層には適宜その他の成分を添加することができ、例えば公知の増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
前記増感剤は熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。前記熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。これらの例は特開昭58−57989号公報、同58−87094号公報、同61−58789号公報、同62−109681号公報、同62−132674号公報、同63−151478号公報、同63−235961号公報、特開平2−184489号公報、同2−215585号公報等に記載されている。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59―46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許2719086号、同3707375号、同3754919号、同4220711号の各明細書に記載されている。
前記酸化防止剤としてはヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は特開昭59−155090号公報、同60−107383号公報、同61−137770号公報、同61−139481号公報、同61−160287号公報等に記載されている。
前記増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の塗布量としては0.05〜2.0g/m2程度が好ましく、0.1〜1.0g/m2がより好ましい。なお前記その他の成分は前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、前記マイクロカプセル外に添加してもよい。
前記感熱記録層は塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2になるように塗布されること、及び該層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。
また、本発明の感熱記録材料は(拡散透過率/全光透過率)×100%から算出されるヘイズ値を下げるように感熱記録層を構成することにより、透明性にすぐれた画像を得ることができる。このヘイズ値は材料の透明性を表す指数で、一般にはヘイズメーターを使用して全光透過率、拡散透過光量、平行透過光量から算出される。本発明において、上記ヘイズ値を下げる方法としては、たとえば感熱記録層に含まれる前記発色成分である電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物の両成分の50%体積平均粒径を、1.0μm以下、好ましくは0.6μm以下とし、かつバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、前記発色成分である電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物のいずれか一方をマイクロカプセル化し、他方を塗布乾燥後に実質的に連続層を形成するような、たとえば乳化物のようなものとして使用する方法等が挙げられる。また感熱記録層に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける方法も有効である。
さらに、前記感熱記録層は、サーマルヘッドの僅かな熱伝導の差異等から生じる濃度ムラ等を抑え、高画質な画像を得るため、飽和透過濃度(Dt−max)を得るのに必要なエネルギー量幅、すなわちダイナミックレンジが広い感熱記録層であることが好ましい。本発明の感熱記録材料は上記のような感熱記録層を有し、90〜150mJ/mm2の範囲の熱エネルギー量で透過濃度Dt−max=3.0を得ることができる特性を有する感熱記録層であることが好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においては、前記のごとき発色成分を含む感熱記録層を2層設ける、特に熱感度が異なる2層の感熱記録層を設けることが、濃度階調再現性の観点からみて好ましい。この場合、全感熱記録層の塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2が好ましい。
[支持体]
支持体は、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用途の場合、透明支持体は青色染料(例えば特開平8−240877号公報、実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体にはゼラチンや水溶性ポリエステルなどの下塗りを施すことが好ましい。下塗り層に関しては例えば、特開昭51−11420号公報、同51−123139号公報、同52−65422号公報に記載のものが利用できる。上記支持体の厚みは25〜250μmが好ましく、50〜210μがより好ましい。
[その他の層]
本発明の感熱記録材料は前記支持体上にその他の層として中間層、保護層、下塗り層、紫外線フィルター層、バック層等を設けることができる
(保護層)
保護層は、通常、バインダー、顔料、潤滑剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、界面活性剤、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有する。
<バインダー>
保護層には透明性を良好なものとする観点から、バインダーとしてポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール等を用いることが好ましい。
<顔料>
保護層に含まれる顔料は、通常サーマルヘッドによる記録の際、スティッキングや異音等の発生を抑える目的で添加され、有機及び/又は無機の顔料が用いられる。
用いられる顔料の種類に特に制限はないが、公知の有機、無機の顔料を挙げることができるが、特に炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料が好ましい。なかでもカオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカがより好ましい。これらの顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。またこれらのなかでも高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級アルコールからなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上により表面被覆されていても良い。前記高級脂肪酸としてはステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
これらの顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、部分鹸化又は完全鹸化のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分散助剤、好ましくは部分鹸化又は完全鹸化のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニウム塩の共存下で、ディゾルバー、サンドミル、ボールミル等の既知の分散機で上述した平均粒径にまで分散して使用されることが好ましい。すなわち顔料の50%体積平均粒径が0.1〜5.0μmの範囲の粒径になるまで分散してから使用されることが好ましい。
前記顔料の平均粒径、詳しくはレーザー回折法で測定した50%体積平均粒径(レーザー回折粒度分布測定装置LA700 堀場製作所製)により測定した顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径、以下単に「平均粒径」ということがある)が、0.10〜5μmであるものが好ましく、特にサーマルヘッドにより記録する際サーマルヘッドと感熱記録材料の間におけるスティッキングや異音等の発生を防止する観点から、上記50%体積平均粒径が0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。この50%体積平均粒径が0.10〜5.0μmの範囲にあると、サーマルヘッドに対する摩擦の低減効果が大きく、その結果印画時にサーマルヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着する、いわゆるスティッキングを効果的に防止することができる。
<潤滑剤>
また、保護層には潤滑剤(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等)を添加することが好ましく、中でも、(A)常温で液体ないし融点40℃未満の潤滑剤と(B)融点40℃以上の潤滑剤を併用して加えると、広い記録エネルギー領域にわたり、良好なヘッドマッチング性を付与することができる。
常温で液体の潤滑剤としてはシリコンオイル、流動パラフィン、ラノリン等が挙げられ、特にシリコンオイルが好ましい。シリコンオイルはカルボキシル基、ポリオキシエチレン基等の置換基を有していてもよく、オイルの粘度としては100〜100000cpsのものが好ましい。
また、融点40℃未満の潤滑剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩等が挙げられ、特に下記構造式(001)で表すことができるポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩が好ましい。
Figure 2005271283
前記構造式(001)中、Rはアルキル基を表す、該アルキル基は置換基によって置換されていてもよい。nは2〜20を表す。
常温で液体の潤滑剤ないし融点40℃以下の潤滑剤は単独ないし2種以上を併用してもよい。
融点40℃以上の潤滑剤としては、融点160℃以下、好ましくは融点140℃以下のものが好ましく、ステアリン酸アミド(融点100℃)、メチロールステアリン酸アミド(融点101℃)、ポリエチレンワックス(融点110℃以下)、融点50〜90℃のパラフィンワックス、グリセリン−12−ヒドロキシステアラート(融点88℃)、オレイン酸アミド(融点73℃)、オレイン酸亜鉛(融点75℃)、ラウリン酸アミド(融点84℃)、ステアリン酸アルミニウム(融点102℃)、ステアリン酸マンガン(融点112℃)、ステアリン酸亜鉛(融点125℃)、ステアリン酸カルシウム(融点160℃)、エチレンビスステアロアミド(融点140℃)、ステアリン酸マグネシウム(融点132℃)、パルミチン酸マグネシウム(融点122℃)、ミリスチン酸マグネシウム(融点131℃)、等を挙げることができる。融点40℃以上の潤滑剤は単独ないし2種以上を併用してもよい。
また、前記(A)常温で液体ないし融点40℃未満の潤滑剤と(B)融点40℃以上の潤滑剤の質量比(A):(B)が65:35〜55:45の範囲にあると、保護層の塗膜強度、裁断時における塗膜の剥がれ、ハンドリング時における表面の傷つき、潤滑剤の記録材料表面での結晶化、潤滑剤の転写の観点から好ましい。
潤滑剤が水に不溶の場合は、分散物又は乳化物の形で保護層に添加される。潤滑剤が固体の場合、1)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、サンドミル等の既知の分散機で分散した水分散物の形で用いられるか、2)溶剤に溶かした後、水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、コロイドミル等の既知の乳化装置で乳化した乳化物の形で用いられる。また、潤滑剤が液体の場合、上記のような乳化物の形で用いられる。分散物及び乳化物の好ましい平均粒子径は0.1〜5.0μmで、0.1〜2.0μmが更に好ましい。ここでいう平均粒子径は堀場製作所、レーザー回折粒度分布測定装置LA−700で、透過率71±1%で測定した50%平均粒子径を指す。
水に可溶の潤滑剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩等の場合は、その溶解度を勘案したうえで、任意の濃度で溶解して保護層に添加することができる。
<他の成分>
また、保護層には公知の硬膜剤等が含有されていてもよい。硬膜剤としては、硼酸、硼砂、コロイダルシリカ等の無機化合物以外に、下記構造式(002)で表わされるジアルデヒド誘導体を挙げることができる。
Figure 2005271283
また前記感熱記録層上、又は前記中間層上に均一に保護層を形成させるために保護層形成用塗布液に界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤としてはスルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等があり、具体的にはジ−(2−エチルヘキシル)スルフォコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルフォコハク酸等のナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩、アセチレングリコール誘導体、パーフルオロアルキル硫酸ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン化合物等が挙げられる。
更に前記保護層中には、感熱記録材料の帯電防止の目的で、金属酸化物微粒子、無機電解質、高分子電解質等を添加してもよい。
前記保護層は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。前記保護層の乾燥塗布量は0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
(中間層)
中間層は層の混合防止や画像保存性に対して有害なガス(酸素等)の遮断のために設けられ、中間層は感熱記録層上に形成することが好ましい。
中間層に用いるバインダーは特に制限はなく、系に応じてポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等を用いることができる。
中でもゼラチンは、高温では水溶液が流動性を有しているが、低温(例えば35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるため、支持体上に複数の層を形成するための塗布液を塗布・乾燥して前記層を設ける場合、複数の層を順次塗布乾燥する方法でも、また押し出しダイ方式等で一度に重層塗布・乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止される。したがって、得られる感熱記録材料の面状が良好になり、高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができ、特に、細部まで明瞭な画像を形成する必要のある医療診断用に好適である。さらに高い風速で乾燥しても面状が悪化しないので、製造効率が向上する。
このようなゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチンあるいは修飾(処理)ゼラチンがいずれも支障なく用いられる。修飾ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化処理ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。また塗布性付与のため、種々の界面活性剤を添加してもよい。またガスバリアー性をより高めるために雲母等の無機微粒子を前記バインダーに対し2〜20質量%より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。中間層用塗布液のバインダー濃度は3〜25質量%、好ましくは5〜15質量%程度が適切である。また中間層の乾燥塗布量は0.5〜6g/m2、好ましくは1〜4g/m2が適切である。中間層にゼラチンを用いる場合には、中間層用塗布液はその調製後から塗布するまでの間、30〜40℃に保温しておくことが好ましい。
(下塗り層)
本発明の感熱記録材料においては、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的でマイクロカプセル等を含有する感熱記録層や光反射防止層を塗布する前に支持体上に下塗り層を設けることができる。前記下塗り層としてはアクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いることができ、層の厚みは0.05〜0.5μmが好ましい。
下塗り層の上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水により下塗り層が膨潤して感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層にはグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及び硼酸等の硬膜剤を用いて硬膜させることが好ましい。これらの硬膜剤の添加量は下塗り素材の質量に応じて、0.2〜3.0質量%の範囲で、希望する硬化度に合わせて、適切な添加量を選ぶことができる。
(紫外線フィルター層)
本発明の感熱記録材料においては、画像の光による褪色及び地肌かぶり防止のために光遮断層を設けてもよい。光遮断層は結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって地肌が変色したり、画像部が変色又は褪色することを防止する。光遮断層の作製方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤のほか、特開平4−197778号公報に記載されているものが利用できる。
(バック層)
本発明における感熱記録材料は支持体の一面に感熱記録層を有し、他方の面にバック層を有する片面感材であることが好ましい。バック層には搬送性付与及び光反射防止の目的でマット剤を添加することが好ましい。マット剤の添加により、入射光角20°で測定した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。
マット剤としては、大麦、小麦、コーン、米、豆類等より得られる澱粉等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニル等の共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機物の微粒子等が挙げられる。
マット剤の平均粒径は0.5〜20μm、好ましくは0.5〜10μmの範囲が好ましい。上記マット材は1種単独でも、2種以上併用してもよい。また感熱記録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が1.4〜1.8の範囲にあることが好ましい。バック層には、色相改良の観点から、各種染料(例えば、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。またバック層には硬膜材を用いても良い。硬膜材の例としては、T.H.James著“THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCES 4th EDITION”77頁〜87頁に記載のある各方法があり、ビニルスルフォン系化合物が好ましい。
[感熱記録材料の作製]
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層用塗布液をその調製後30分以内に塗布し、乾燥して作製される。また、必要に応じ更に前述のごとき層(中間層、保護層等)のための塗布液を塗布・乾燥する。
具体的な塗布方法としてはエクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、浸漬コーティング、フローコーティング又は米国特許第2681294号に記載の種類のホッパーを用いる押し出しコーティングを含む種々のコーティング方法が挙げられる。中でも、Stephen F.Kistler、Petert M.Schwaizer著”LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN&HALL社刊 1997)399頁〜536頁に
記載のエクストルージョンコーティング又はスライドコーティングが好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。
スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFogure 11b.1に記載されている。また所望により同書399頁〜536頁に記載の方法、米国特許第2761791号明細書及び英国特許第837095号明細書に記載の方法を用いて、支持体上に感熱記録層用塗布液をはじめとする各塗布液を同時に重層塗布することにより、前記感熱記録層及びその他の層(中間層、保護層等)を同時に形成することができる。
乾燥は、乾球温度20〜65℃、好ましくは25〜55℃、湿球温度10〜30℃、好ましくは15〜25℃の乾燥風でにより行われる。
[感熱記録]
本発明の感熱記録材料は通常のサーマルヘッドを用いて記録される。記録に用いられるサーマルヘッドは、感熱記録材料に接触する最上層の炭素比率が90%以上になるように既知の製膜装置を用いてグレーズ層上に発熱抵抗体と電極を具備する加熱素子に保護層を設けたものとすることができる。ヘッド保護層は2層以上でもよいが、少なくとも最上層は炭素比率が90%以上であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら制限されるものではない。なお以下においてとくに断りのない限り、「%」は質量%を意味し、「分子量」は重量平均分子量を意味する。また、以下の実施例において、マイクロカプセル等の「平均粒径」は、下記の保護層用顔料分散液の調製の説明において記載の顔料粒子の平均粒径の測定方法と同様の方法により測定した。
実施例1
[感熱記録層用塗布液の調製]
以下のように電子供与性染料前駆体を芯物質とするマイクロカプセル液、電子受容性化合物乳化分散液を調製した。
(マイクロカプセルA液の調製)
電子供与性染料前駆体として下記構造式(101)で表される化合物63.7g、下記構造式(102)で表される化合物21g、下記構造式(103)で表される化合物10.8g、下記構造式(104)で表される化合物5.8g、下記構造式(105)で表される化合物2.2g、下記構造式(106)で表される化合物2.7g及び下記構造式(107)で表される化合物2.6gを、酢酸エチル24.3gに添加して70℃に加熱、溶解した後、45℃まで冷却した。
Figure 2005271283
Figure 2005271283
これにカプセル壁材(商品名;タケネートD140N、武田薬品工業(株)製)15.4gを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液(商品名;MP−103、(株)クラレ製)300gの水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで乳化を行った。得られた乳化液に水275g及びテトラエチレンペンタミン6.5gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25%に調整し、平均粒径0.8μmのマイクロカプセル液Aを得た。
(マイクロカプセルB液の調製)
電子供与性染料前駆体として前記構造式(101)で表される化合物54.5g、前記構造式(102)で表される化合物14.8g、前記構造式(103)で表される化合物10.5g、前記構造式(104)で表される化合物6.4g、前記構造式(105)で表される化合物3.4g、前記構造式(106)で表される化合物0.5g及び前記構造式(107)で表される化合物2.1gを、酢酸エチル110gに添加して70℃に加熱、溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(商品名;タケネートD127N、武田薬品工業(株)製)65.5gを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液(商品名;MP−103、(株)クラレ製)275gの水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで乳化を行った。得られた乳化液に水275g及びテトラエチレンペンタミン5.70gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、最後に水で濃度を28%に調整し、平均粒径0.3μmのマイクロカプセル液Bを得た。
(電子受容性化合物乳化分散液の調製)
電子受容性化合物として下記構造式(201)で表される化合物220g、下記構造式(202)で表される化合物80g、下記構造式(203)で表される化合物26g、下記構造式(204)で表される化合物26g、下記構造式(205)で表される化合物4.8g及び下記構造式(206)で表される化合物41gを、トリクレジルフォスフェート10g及びマレイン酸ジエチル5gとともに酢酸エチル160gに添加し、70℃に加熱して溶解した。
Figure 2005271283
この溶液を水1340g、ポリビニルアルコール(商品名;PVA217C、(株)クラレ製)43.5g、ポリビニルアルコール(商品名;PVA205C、(株)クラレ製)29g、下記構造式(301)で表される化合物の2%水溶液110g及び下記構造式(302)で表される化合物の2%水溶液110gを混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い、回転数6000rpmで平均粒径が0.7μmになるように乳化し、電子受容性化合物乳化分散物を得た。
Figure 2005271283
[感熱記録層用塗布液Aの調製]
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25%)160g、前記マイクロカプセルB液(固形分濃度28%)30g、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22%)710g、下記構造式(303)で表される化合物の50%水溶液7.2g及びコロイダルシリカ(商品名;スノーテックスO 日産化学(株)製)25.5gを混合し、水で濃度を21.5%になるように調整して感熱記録層用塗布液Aを調製した。また、この感熱記録層用塗布液Aの温度を35℃に調節し、塗布するまでの間35±2℃に保った。
Figure 2005271283
[感熱記録層用塗布液Bの調製]
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25%)60g、前記マイクロカプセルB液(固形分濃度28%)110g、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22%)725g、前記構造式(303)で表される化合物の50%水溶液6.5g及びコロイダルシリカ(商品名;スノーテックス 日産化学(株)製)23.5gを混合し、水で濃度を21.5%になるように調整して感熱記録層用塗布液Bを調製した。また、この感熱記録層用塗布液Bの温度を35℃に調節し、塗布するまでの間35±2℃に保った。
[保護層用塗布液の調製]
(保護層用顔料分散液の調製)
水900gに顔料としてステアリン酸処理水酸化アルミニウム(商品名;ハイジライトH42S、昭和電工(株)製)280gを加え3時間攪拌した後、これに分散助剤(商品名;ポイズ532A、花王(株)製)8g、10%ポリビニルアルコール水溶液(商品名;PVA105、(株)クラレ製)30g及び2%に調整した下記構造式(401)で表される化合物の水溶液85gを加え、サンドミルで分散し、平均粒径0.33μmに分散させた。この分散液に水を加えて濃度18%に調整して保護層用顔料分散液を得た。
なお、平均粒径は次のようにして求めた。平均粒径の測定に用いる被検液は、用いる顔料を分散剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5%になるように希釈し、これを40℃の温水中に投入し、光透過率が72±1%になるように調整した後、30秒間超音波処理したものを用いた。この被検液を用いてレーザー回折粒度分布測定装置(商品名;LA700 (株)堀場製作所製)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の粒径を平均粒径とした。
Figure 2005271283
(潤滑剤分散液の調製)
水280gに潤滑剤としてグリセリン−トリ−12−ヒドロキシステアラート(商品名;K3ワックス500、川研ファインケミカル製)110gを加え3時間攪拌した後、これに分散助剤(商品名;ポイズ532A、花王(株)製)3g、10%ポリビニルアルコール水溶液(商品名;MP103、(株)クラレ製)340g及び2%に調整した前記構造式(401)で表される化合物の水溶液34gを加え、サンドミルで分散し平均粒径0.26μmに分散し、これに水を加えて18%に調整して保護層用潤滑剤分散液を得た。
(保護層用塗布液の調製)
水400gにポリビニルアルコール(商品名;PVA124C、(株)クラレ製)21.5g、72%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液5g、アセチレングリコール系界面活性剤(商品名;サーフィノール104日進化学製)の50%液5g、サーフロンS131S(旭ガラス(株)製)10g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩(プライサーフA217E、融点35℃、第一工業製薬(株)製)2g、前記18%顔料分散液245g、前記18%グリセリン−トリ−12−ヒドロキシステアラート分散液10g、20.5%ステアリン酸亜鉛分散物(商品名;F115、中京油脂(株)製)21g、18%ステアリン酸分散物(商品名;セロゾール920、中京油脂(株)製)31g、35%シリコンオイル水分散液(商品名;BY22−840 東レダウコーニング(株)製)41.5g、5%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(商品名;ポリマロン385、荒川化学(株)製)110g、20%コロイダルシリカ(商品名;スノーテックス、日産化学(株)製)53g、4%硼酸水溶液70g、2%酢酸水溶液30g及び下記構造式(402)で示される化合物の50%水溶液22gを混合した。これに水を加えて濃度12%に調整し保護層用塗布液を得た。
Figure 2005271283
[中間層塗布液の調製]
石灰処理ゼラチン1kgに水7848gを加え、溶解した後、ジ−2−エチルヘキシルスルフォコハク酸Na塩(日本油脂(株)製ニッサンラピゾールB90)の5%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)を137g加え、中間層用塗布液を調製した。
[バック層用塗布液Aの調製]
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径5.7μmの球形PMMA粒子12%を含むゼラチン分散物を180g、構造式(501)〜(505)で表される化合物を以下の含有率で含む紫外線吸収剤の乳化物を1028g(該乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤含有量は、構造式(501)で表される化合物14.9g、構造式(502)で表される化合物12.7g、構造式(503)で表される化合物14.9g、構造式(504)で表される化合物21.1g、構造式(505)で表される化合物44.5g)、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン0.98g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量約40万)16.4g、構造式(506)で表される化合物3.79g、ポリエチルアクリレートの20%ラテックス液1448mL、N,N−エチレン−ビス(ビニルスルフォニルアセトアミド)52.2g及び1,3−ビス(ビニルスルフォニルアセトアミド)プロパン17.4gに水を加えて全量を21.03リットルになるように調整した。
Figure 2005271283
[バック層用塗布液Bの調製]
石灰処理ゼラチン1kg、平均粒子径0.7μmの球形PMMA粒子15%を含むゼラチン分散物1015g、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン2.09g、p−tert−オクチルフェノキシポリオキシエチレン−エチレンスルフォン酸ナトリウム9.53g、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量約10万)57.9g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量約40万)22.9g、N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルフォン酸アミドブチルスルフォン酸ナトリウム0.37g、ヘキサデシルオキシ−ノニル(エチレンオキシ)−エタノール8.97g、1N苛性ソーダ28.1g、M,M−エチレン−ビス(ビニルスルフォニルアセトアミド)18.0g及び1,3−(ビニルスルフォニルアセトアミド)プロパンを6.0gに水を加えて全量を26.59リットルとなるように調整した。
[感熱記録材料の作製]
(バック層の作成)
JIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標でX=0.2850、Y=0.2995に青色染色をした透明PET支持体(厚み175μm)を用意し、支持体に近い側から、バック層塗布液A、バック層塗布液Bの順でそれぞれ塗布量が51.4mL/m2、14.7mL/m2になるようにスライドビード法により同時重層塗布、乾燥した。塗布乾燥条件は以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜900Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにおいて、乾球温度10〜20℃の風で塗布液を冷却したのち、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
(感熱記録層の作製)
上記のバック層を塗布した支持体のバック層と反対の面に、支持体に近い側から、感熱記録層用塗布液A、感熱記録層用塗布液B、中間層用塗布液、保護層用塗布液の順でそれぞれ塗布量が41.3mL/m2、22.5mL/m2、24.7mL/m2、27.5mL/m2になるようにスライドビード法により同時重層塗布、乾燥し、支持体から感熱記録層A、感熱記録層B、中間層及び保護層を有する本発明の透明な感熱記録材料を得た。感熱記録層用塗布液A、感熱記録層用塗布液B、及び中間層用塗布液はともに、調製後から塗布するまでの間35±2℃の範囲の温度に保たれた。また、感熱記録層用塗布液A及び感熱記録層用塗布液Bの調製後から塗布するまでの時間は10分とした。
乾燥条件は以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜1000Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続く初期乾燥ゾーンにおいて、45℃〜55℃、露点0〜5℃の風にて乾燥後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度30〜45℃、湿球温度17〜23℃の乾燥風で乾燥させ、乾燥後25℃で湿度40〜60%にて調湿した。
実施例2
実施例1の感熱記録材料の作製において、感熱記録層用塗布液A及び感熱記録層用塗布液Bの調製後から塗布するまでの時間を15分にする他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例3
実施例1の感熱記録材料の作製において、感熱記録層用塗布液A及び感熱記録層用塗布液Bの調製後から塗布するまでの時間を30分にする他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例1
実施例1の感熱記録材料の作製において、感熱記録層用塗布液A及び感熱記録層用塗布液Bの調製後から塗布するまでの時間を35分にする他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例2
実施例1の感熱記録材料の作製において、感熱記録層用塗布液A及び感熱記録層用塗布液Bの調製後から塗布するまでの時間を40分にする他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例3
実施例1の感熱記録材料の作製において、感熱記録層用塗布液A及び感熱記録層用塗布液Bの調製後から塗布するまでの時間を60分にする他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
<評価>
前記実施例1ないし3、比較例1ないし3で作製した感熱記録材料の非画像部の濃度(地肌濃度)を、マクベス濃度計「TD−904」(マクベス社製)を用いて測定した。結果を表1及び図1に示す。
Figure 2005271283
表1及び図1が示すように、感熱記録層用塗布液調製後30分以内に塗布すると、地肌濃度が小さい(0.18)ことが分かる。このように低い地肌濃度は、高い画質特性が要求される医療用感熱記録材料にも充分対応可能である。
これに対し、塗布液調製後30分を経過したわずか5分後でも(比較例1)、地肌濃度がかなり高く(0.22)なることが示され、更に1時間経過時では0.45と非常に高くなっている。
したがって、感熱記録層用塗布液調製後30分という時点は、特異的な点であることが分かる。。
実施例1ないし3及び比較例1ないし3の、感熱記録層用塗布液調製から塗布までの時間(分)と、その塗布液を用いて作製した感熱記録材料の地肌濃度をプロットしたグラフである。

Claims (8)

  1. 支持体に少なくとも発色成分を含有する感熱記録層用塗布液を塗布して感熱記録層を形成する感熱記録材料の製造方法において、感熱記録層用塗布液をその調製後30分以内に支持体上に塗布することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
  2. 前記感熱記録層用塗布液の温度を、感熱記録層用塗布液の調製後から塗布するまでの間、30℃から40℃の範囲内に維持することを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料の製造方法。
  3. 前記発色成分が、電子供与性染料前駆体及び該電子供与性染料前駆体と反応して発色する電子受容性化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱記録材料の製造方法。
  4. 前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の感熱記録材料の製造方法。
  5. 前記感熱記録層用塗布液、中間層用塗布液、及び保護層用塗布液を支持体上に同時重層塗布することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の感熱記録材料の製造方法。
  6. 前記中間層用塗布液がゼラチンをバインダーとして含有することを特徴とする請求項5に記載の感熱記録材料の製造方法。
  7. 前記中間層用塗布液の温度を、中間層用塗布液の調製後から塗布するまでの間、30℃から40℃の範囲内に維持することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の感熱記録材料の製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の感熱記録材料の製造方法により製造された感熱記録材料。
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