JP2006142771A - 感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発色濃度が高く、且つ伝熱不良による印画障害を効果的に防止することができる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】 発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色体を形成させる発色成分Bと、を含み、前記発色成分Aが高分子構造体中に存在することによって前記発色成分Bから隔離されている感熱記録層を、支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記感熱記録層を構成する化合物のうち、前記高分子構造体を構成する高分子及び該高分子構造体によって隔離されている化合物の塗設量を「a」とし、塗設量aに換算されない化合物のうち、前記感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物の塗設量を「b」としたとき、その比率a/b(質量比)が0.10〜0.33となることを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は感熱記録材料に関し、特に医療用記録材料等に好適であり、発色濃度が高く、且つ伝熱不良による印画障害を効果的に防止することができる感熱記録材料に関する。
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が普通紙に近い、(3)取り扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く安価である、(6)記録時の騒音が少ない、(7)メンテナンスが不要である、等の利点があることから、近年、様々な分野で利用されており、例えばファクシミリやプリンターの分野、POS等のラベル分野、医療用画像等の分野に用途が拡大している
紙を支持体とした感熱記録材料と比較すると、高分子フィルムを支持体とした感熱記録材料は支持体が高い剛性を持つため、ヘッドの押印圧による変形が小さく、サーマルヘッドと感熱記録材料の接触面積が小さくなり伝熱不良による印画障害が発生することがある。更に、医療用記録材料として用いる場合は、高い発色濃度が要求される(好ましくは、Dmax3.0以上)一方で、その取り扱い性から100〜250μmという厚手の支持体が好ましいためサーマルヘッドとの接触に支障が生じ、伝熱不良が顕著な問題となっていた。
そこで従来技術による対策として、サーマルプリンターのサーマルヘッドとプラテンの押印圧を高めることが挙げられるが、押印圧を上げすぎることで、印画面状の荒れやサーマルヘッドの磨耗による破壊等多くの弊害があった。
また、サーマルヘッドから感熱記録材料への伝熱を良好にするため、サーマルヘッドのオフセット位置を調整することにより、ヘッドとプラテンの押印圧中心をサーマルヘッドの発熱素子中心に合わせる方法もあるが、そのオフセット位置のラチチュードはかなり狭いため、サーマルプリンター製造上の大きな負荷となっていた。
更に、サーマルヘッドと接触する感熱記録材料の最上層に塗布された保護層に低融点若しくは常温で液体の潤滑剤等を添加することで印画障害を克服することが試みられた(例えば、特許文献1参照)。これにより伝熱不良を回避することはできたが、上記潤滑剤の含有量が増えると、膜強度の低下による記録材料表面の耐傷性の低下、脱膜、記録材料同士の接着など、他の弊害が発生することがあった。
特開2000−355164号公報
本発明は上記の従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、発色濃度が高く、且つ伝熱不良による印画障害を効果的に防止することができる感熱記録材料を提供することを目的とする。
発色成分Aを隔離するのに用いられるマイクロカプセル壁等の高分子架橋構造(高分子構造体)は感熱記録層中の素材の中で比較的剛性が高く、サーマルヘッドによる加熱印画時に生じる変形量が小さい。一方、発色成分Aと反応して発色体を形成させる発色成分Bは、加熱印画時に溶融し容易に変形する。この性質に着目し、一般的に感熱記録材料の構成層の大部分の体積を占める感熱記録層が、加熱印画時に適度に変形するように、上記高分子構造体や発色成分B等の組成物の塗設量比を設定することで、従来のように保護層の処方やプリンターの製造に大きな負荷をかけることなく、サーマルヘッドとの接触面積を増大させ、印画障害を克服できることを見出した。
つまり、上記の目的は、下記の発明により達成される。
<1> 発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色体を形成させる発色成分Bと、を含み、前記発色成分Aが高分子構造体中に存在することによって前記発色成分Bから隔離されている感熱記録層を、支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記感熱記録層を構成する化合物のうち、前記高分子構造体を構成する高分子及び該高分子構造体によって隔離されている化合物の塗設量を「a」とし、塗設量aに換算されない化合物のうち、前記感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物の塗設量を「b」としたとき、その比率a/b(質量比)が0.10〜0.33となることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記塗設量bに換算される化合物のうち、分子量が1500以下である化合物の塗設量を「c」としたとき、比率a/c(質量比)が0.10〜0.40となることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記比率a/c(質量比)が0.10〜0.33となることを特徴とする前記<2>に記載の感熱記録材料である。
<4> 高分子構造体によって発色成分Aを隔離する手段が、マイクロカプセルへの内包、若しくは高分子中に含有せしめた複合微粒子化であることを特徴とする前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の感熱記録材料である。
<5> 前記支持体が、実質的に透明性を有する合成高分子フィルムからなり、且つ該支持体の厚みが100μm以上であることを特徴とする前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の感熱記録材料である。
<6> 前記感熱記録層の厚みが20μm以下であることを特徴とする前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の感熱記録材料である。
<7> 前記感熱記録層が飽和発色したときの光学透過濃度が3.0以上であることを特徴とする前記<1>〜<6>の何れか1項に記載の感熱記録材料である。
<8> サーマルヘッドによって印画されることを特徴とする前記<1>〜<7>の何れか1項に記載の感熱記録材料である。
本発明によれば、発色濃度が高く、且つ伝熱不良による印画障害を効果的に防止することができる感熱記録材料を提供することができる。
以下、本発明の感熱記録材料について、詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に設けた感熱記録層中において、高分子構造体を構成する高分子及び該高分子構造体によって隔離されている化合物の塗設量を「a」とし、塗設量aに換算されない化合物のうち、感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物の塗設量を「b」としたとき、その比率a/b(質量比)が0.10〜0.33となることを特徴とする。
なお、本明細書において、「高分子構造体を構成する高分子及び該高分子構造体によって隔離されている化合物」を「塗設量aに換算される化合物」と、「塗設量aに換算されない化合物のうち、感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物」を「塗設量bに換算される化合物」と呼び、更に「塗設量bに換算される化合物のうち、分子量が1500以下である化合物」を「塗設量cに換算される化合物」と呼ぶことがある。
<感熱記録層>
(発色成分)
本発明において、感熱記録層は、未処理時には無色若しくは実用上問題のない淡色であり、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いかなる組成のものでも使用することができる。
この様な感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色体を形成させる実質的に無色の発色成分Bとを含有する、所謂、2成分型感熱記録層が挙げられる。尚、発色成分(発色体)とは、可視領域に吸収を有する色素をさし、例えば、下記の電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との反応によって形成されるロイコ染料や、下記の光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの反応によって形成されるアゾ色素等が挙げられる。
本発明においては、上記発色成分Aが、高分子構造体によって隔離されていることが必須である。この2成分型の感熱記録層を構成する2成分の組合せとしては、下記(a)〜(m)の様なものが挙げられる。
(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組合せ。
(b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等と、ニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成する物。
(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
これらの中でも、本発明の感熱記録材料においては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ、及び(c)有機金属塩と還元剤との組合せを用いることが好ましく、特に上記(a)及び(b)の組合せであることがより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料は、(拡散透過率/全光透過率)×100(%)から算出されるヘイズ値を下げる様に感熱記録層を構成することにより、透明性に優れた画像を得ることができる。このヘイズ値は材料の透明性を表す指数で、一般的には、ヘイズメーターを使用して全光透過量、拡散透過光量、及び平行透過光量から算出される。
本発明において、上記ヘイズ値を下げる方法としては、例えば、(1)感熱記録層に含まれる上記発色成分(A、B)の両成分の50%体積平均粒径を1.0μm以下、好ましくは、0.6μm以下とし、且つバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、或いは(2)発色成分Aを内包したマイクロカプセルを塗布乾燥した後に、発色成分Bを実質的に連続層を構成する様な、例えば、乳化物の様なものとして使用する方法等が挙げられる。また、(3)感熱記録層に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける方法も有効である。
次に、本発明の感熱記録層に好ましく使用される、上記発色成分の組合せ(a、b、c)について、以下に詳細に説明する。
(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組合せ
本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であるものが好ましい。
上記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
上記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許明細書第23024号、米国特許明細書第3491111号、同第3491112号、同第3491116号、同第3509174号等に記載された化合物が挙げられる。
上記フルオラン類の具体例としては、米国特許明細書第3624107号、同第3627787号、同第3641011号、同第3462828号、同第3681390号、同第3920510号、同第3959571号等に記載された化合物が挙げられる。
上記スピロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,971,808号等に記載された化合物が挙げられる。
上記ピリジン系及びピペラジン系化合物類としては、米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号等に記載された化合物が挙げられる。
上記フルオレン系化合物の具体例としては、特開昭63−94878号公報等に記載された化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−Nシクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3―メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフリフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2―アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6―N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン、3′,6′−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−チエニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントレン]、3′,6′−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−フェニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9′−[9H]キサントレン]、等が挙げられる。
上記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体;
又は、その多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。中でも、良好な発色特性を得る観点からビスフェノール類が特に好ましい。
また、上記の電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーの組合せ
上記光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。
この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
本発明において好ましく使用される光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられる。
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N2 +-
上記式中、Arは置換基を有する、或いは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 +はジアゾニウム基を、X-は酸アニオンを表す。
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
前記感熱記録層において、ジアゾ化合物とカプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができる観点から、増感剤として、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
(c)有機金属塩と還元剤との組合せ
前記有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらの内、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
上記のうち、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
感熱記録材料の充分な透明性を確保するためには、前記感熱記録層に(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、又は(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用いることが好ましい。また、本発明では、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して使用することがより好ましい。
(隔離手段)
本発明において、発色成分Aが高分子構造体中に存在することによって発色成分Bから隔離されている態様としては、例えば、発色成分Aを高分子構造体に含有させる複合微粒子の態様、発色成分Aをマイクロカプセルに内包させる態様等が挙げられる。
なお、高分子構造体を構成する高分子は熱応答性を有し、発色成分Aを高分子構造体内部から染み出させ、若しくは発色成分Bをその外部から侵入させる性質を有するものが好ましく、特にポリウレタン−ウレア樹脂が優れている。
(1)複合微粒子
複合微粒子は、多価イソシアネート化合物を含有する重合成分を溶媒とし、その中に発色成分Aを含有する溶質を溶解させて溶液を調製し、この溶液を親水性保護コロイド含有水溶液中に乳化分散し、この乳化分散物を前記重合成分の高分子反応に供することによって得られる。複合微粒子については、例えば、特開平9−263057号公報等に詳しく記載されている。尚、この複合微粒子の態様は、溶質の溶解度が制限され、必要以上に塗布量が多くなったり、発色成分Aの隔離を完全にすることが困難であり、地肌着色が生じ易いため、後述のマイクロカプセルに内包させる態様が好ましい。
(2)マイクロカプセル
マイクロカプセルの製造には、界面重合法や内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。
前述の通り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体或いは光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、或いは光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させて調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に投入し、ホモジナイザー等の攪拌手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質からなるマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
上記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。上記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、特に、ポリウレタンとポリウレアが好ましい。
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁或いはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド又はポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、例えば、特開昭58−66948号公報に記載されている。
上記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよく、また2官能のイソシアナート化合物を単独で用いてもよい。
具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体或いは3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特開平10−114153号公報等に記載の化合物が好ましい。
上記ポリイソシアナートは、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなる様に添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、或いは壁材の一部を形成させるためのポリアミン等については、例えば、岩田敬治編「ポリウレタンハンドブック」(日刊工業新聞社、1987)に詳しい。
また、上記マイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするために、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。この内、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレアやポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
上記の油相の調製に際に、電子供与性染料前駆体又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる溶媒としては、溶解性が高くカプセル化反応後にカプセル内に残存しない、沸点50〜150℃の低沸点溶媒が好ましい。
この様な低沸点溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メチレンクロライド等が好ましく挙げられ、酢酸エチルが最も好ましい。
溶質となる発色成分Aの溶解性が劣る場合や、発色成分Aの極性が高くマイクロカプセル壁と好ましく分離できない場合は、比較的高沸点の疎水性オイルを併用することができる。該疎水性オイルはカプセル化反応後にもカプセル内に残存するため、画像保存性等の悪化など弊害をもたらす場合があるが、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、安息香酸イソペンチル等の安息香酸エステル類、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、ホウ酸トリブチル等のホウ酸エステル類は好ましく使用することができ、特にリン酸トリクレジルは乳化安定性、画像保存性などが比較的良好であり好ましい。
本発明において、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合、該電子供与性染料前駆体の含有量は、0.1〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。また、光分解性ジアゾ化合物の含有量は、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
上記電子供与性染料前駆体、若しくは光分解性ジアゾ化合物の含有量が上記の範囲にあると、充分な発色濃度が保持され、且つ感熱記録層の透明性を保持することができる。
一方、用いる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、上記水溶性高分子は、分散を均一に且つ容易にすると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。上記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。該界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、アセチレングリコール等が挙げられる。
また、好ましい保護コロイドとしてはポリビニルアルコールが挙げられ、特に末端疎水化した変性ポリビニルアルコールが、乳化時やカプセル化反応時の凝集・沈降を抑制することができ好ましい。
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌や超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる攪拌手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。該乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行うことが好ましい。
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもって凡そのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
(乳化分散物)
発色成分Aを芯物質としてマイクロカプセル化した場合には、用いる発色成分Bは、例えば、水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、カプラーと有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点がら好ましく、特に、リン酸トリクレジルが好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコール又はその変成物、ポリアクリル酸アミド又はその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、セルロース誘導体等が特に好ましい。
また、油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましい。該混合比が0.02〜0.6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液安定性に優れる。
本発明の感熱記録材料において電子受容性化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
(感熱記録層用塗布液)
感熱記録層用塗布液は、例えば、上記の様に調製したマイクロカプセル液と乳化分散物とを混合することにより、調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子は、上記感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
上記添加されるバインダーとしては、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
上記感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全且つ均一に塗布すると共に、塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
(その他の成分)
以下に、感熱記録層に用いることのできるその他の成分について述べる。
上記その他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
上記熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。該熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。
これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
これらその他の成分の塗布量としては、0.05〜1.0g/m2程度が好ましく、0.1〜0.4g/m2がより好ましい。尚、上記その他の成分は、前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、マイクロカプセル外に添加してもよいが、本発明における比率a/bが0.10〜0.33となるように調整する必要がある。
本発明の感熱記録層は、サーマルヘッドの僅かな熱伝導の差異等から生ずる濃度ムラ等を抑え高画質な画像を得るため、飽和発色したときの光学透過濃度(Dt-max)を得るのに必要なエネルギー量幅、即ち、ダイナミックレンジが広い感熱記録層であることが好ましい。本発明の感熱記録材料は上記の様な感熱記録層を有し、70〜130mJ/mm2の範囲の熱エネルギー量で、光学透過濃度(Dt-max)=3.0を得ることができる特性を有する感熱記録層であることが好ましい。
本発明の感熱記録層は、塗布・乾燥後の固形塗布量が1〜25g/m2になる様に塗布されることが好ましい。尚、感熱記録層は2層以上積層して用いることも可能であり、この場合、全感熱記録層の塗布・乾燥後の固形塗布量が1〜25g/m2になるのが好ましい。
また、感熱記録層の厚みは20μm以下であることが好ましく、18μm以下であることがより好ましい。20μm以下であることにより、取り扱い時に傷・剥がれ等が発生することがなく、また特に医療用記録材料として用いた場合に求められる良好な透明性等が得られ、更にコストの面でも望ましい。
(比率a/b、及びa/c)
本発明においては、比率a/b(質量比)が0.10〜0.33であることが必須であり、0.20〜0.30であることがより好ましく、0.23〜0.28であることが特に好ましい。a/bの値が0.33より大きくなると、高分子構造体によって隔離されている、複合微粒子や、マイクロカプセル等の塗設量が増加するため、加熱印画時における記録材料自体の変形量が小さくなり、サーマルヘッドとの接触面積が小さくなって、印画障害が顕著となる。一方、0.10未満になると、高い発色濃度を実現することが困難となり、特に医療用の記録材料等として用いるような場合には支障をきたす。
また、より高い発色濃度を得る観点から、比率a/c(質量比)が0.10〜0.40であることが好ましく、0.10〜0.33であることがより好ましく、0.20〜0.30であることが更に好ましく、0.23〜0.28であることが特に好ましい。
なお、塗設量aに換算される化合物とは、具体的には、前述の(隔離手段)の項において説明した高分子構造体、及び該高分子構造体によって隔離されている化合物(前述の(発色成分)の項において列挙した各発色成分のうち、隔離される発色成分(発色成分A)を含む)が含まれる。
つまり、例えばマイクロカプセルを用いる場合には、マイクロカプセル自体を形成する化合物(マイクロカプセル壁)と、発色成分A等の、マイクロカプセルに内包される全ての化合物と、が含まれる。
また、塗設量bに換算される化合物(塗設量aに換算されない化合物のうち、感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物)とは、具体的には、前述の(乳化分散物)(感熱記録層用塗布液)(その他の成分)の項において説明した化合物のうち、塗設量aに換算される化合物以外であって、感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物、及び前述の(発色成分)の項において列挙した各発色成分のうち、高分子構造体の外部に存在する発色成分(発色成分B)が含まれる。
つまり、例えばマイクロカプセルを用いる場合には、マイクロカプセルに内包されていない化合物のうち、上記の溶融条件を満たす全ての化合物が含まれる。よって、発色成分として(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せを用い、該電子供与性性染料前駆体をマイクロカプセルに内包した場合であれば、電子受容性化合物等が塗設量bに換算される化合物に含まれる。また、発色成分として(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用い、該光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包した場合であれば、カプラー及び増感剤となる塩基等が塗設量bに換算される化合物に含まれる。
尚、本発明において「感熱記録層が発色する温度」とは、サーマルヘッド等の熱スタンプで感熱記録材料を20秒間押印した際、実質上発色させることのできる最低温度をさす。ちなみに、上記「実質上発色」とは、飽和発色濃度の1/10濃度の発色をさす。
また、本発明において「溶融状態」とは、感熱記録層が発色する温度において、粘度が低下しサーマルヘッドによる印画の際、実用上問題のない物質拡散が生じる状態をさす。ちなみに、溶融粘度が1×104Pa・s以下であれば実用上問題ない。尚、上記「溶融状態」には、必ずしもその化合物の融点において溶融した状態のみをさすわけではなく、融点以下の温度で溶融する場合、例えば、感熱記録層における他の含有物との相乗効果等により融点以下の温度で溶融した状態となる場合なども含む。
また、塗設量bに換算される化合物のうち、分子量が1500以下である化合物は、塗設量cに換算される化合物である。
感熱記録層中に、熱可塑性高分子、ラテックス等の分子量が1500を超える化合物を添加することによっても、本発明の課題である印画障害を効果的に防止することはできる。但し、これらの化合物は、特にマイクロカプセルを用いた場合には、印画時において当該マイクロカプセル内に拡散移動することができず発色に寄与しない。一方、分子量1500以下の化合物は、良好にマイクロカプセル内に拡散移動することができる。
従って、分子量1500以下の化合物の使用量を調整することによって、記録材料の変形量を大きくすることが好ましい。尚、分子量1000以下の化合物は、更に良好にマイクロカプセル内に拡散移動することができ、好ましい。
また、発色に寄与しない成分を大量に添加することは不必要に塗布物を増やすことになるため、塗設量b、cに換算される化合物として、顕色能、増感能等を有する化合物を多量に用いることがより好ましく、発色濃度の向上という観点から、前述の発色成分Bを多量に用いることが特に好ましい。
なお、比率a/b、a/cの値の制御は、発色性を損なわない範囲において、a、b、cそれぞれに該当する化合物を適宜選択し、感熱記録層用塗布液を調製して、前述の塗布方法によって感熱記録層を形成することにより達成される。
<支持体>
本発明の感熱記録材料では、透明な感熱記録材料を得るために、透明支持体を用いることが好ましい。透明支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられ、これらを単独で或いは貼り合わせて使用することができる。
医療用途の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号公報の実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体にはゼラチンや水溶性ポリエステル等の下塗りを施すことが好ましい。下塗り層に関しては例えば、特開昭51−11420号公報、同51−123139号公報、同52−65422号公報に記載のものが利用できる。上記支持体の厚みは、取り扱い性の観点から、100μm以上が好ましく、100〜250μmがより好ましい。
また、上記の合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよい。高分子フィルムを着色する方法としては、樹脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィルムを成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
特に、本発明の透明な感熱記録材料をシャーカステン上で支持体側から観察した場合、透明な非画像部分を透過するシャーカステン光により幻惑が生じ見ずらい画像になることがある。
これを避けるため、透明支持体としては、JIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標上の、A(x=0.2805,y=0.3005)、B(x=0.2820,y=0.2970)、C(x=0.2885,y=0.3015)、D(x=0.2870,y=0.3040)の4点で形成される四角形の領域内に青く着色された合成高分子フィルムを用いることが特に好ましい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、その他の層として、中間層、保護層、下塗り層、紫外線フィルター層、バック層等を設けることができる。
<保護層>
保護層は、通常、バインダー、顔料、滑剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、界面活性剤、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
前記バインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
前記バインダーの中でも、ゼラチン類が好ましく、該ゼラチンとしては、特に等電点の低いアルカリ処理ゼラチン、アミノ基を反応させた誘導体ゼラチン(例えば、フタル化ゼラチン等)等が好ましい。
前記顔料としては、特に制限はないが、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
前記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤及びその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、上記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
前記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
また、保護層は界面活性剤を含有していてもよく、界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の他、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
これらの成分を配合した保護層塗布液は、バブルプレッシャー差圧法による200msで1個の泡を発生させたときの動的表面張力が35mN/m以下であり、かつ、1000msで1個の泡を発生させたときの動的表面張力が30mN/m以下である場合はそのまま塗布される。それを超える場合には、制御の容易性からは、添加する界面活性剤の種類や量を調製することで、前記塗布液の動的表面張力の値を上記範囲に調製することが好ましい。
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
<中間層>
上記中間層は、前記感熱記録層上に形成されることが好ましい。該中間層は層の混合防止や画像保存性に対して有害なガス(酸素等)の遮断のために設けられる。使用するバインダーは特に制限はなく、系に応じてポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等を用いることができる。中でもゼラチンは、高温では水溶液が流動性を有しているが、低温(例えば35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるため、支持体上に複数の層を形成するための塗布液を塗布、乾燥して前記層を設ける場合、複数の層を順次塗布乾燥する方法でも、また押し出しダイ方式等で一度に重層塗布、乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止され、得られる感熱記録材料の面状が良好になり、高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができるため、細部まで明瞭な画像を形成する必要のある医療診断用記録材料に好適である。更に高い風速で乾燥しても面状が悪化しないので、製造効率が向上する。
この様なゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチンあるいは修飾(処理)ゼラチンがいずれも支障なく用いられる。修飾ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化処理ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。また塗布性付与のため、種々の界面活性剤を添加してもよい。またガスバリアー性をより高めるために雲母等の無機微粒子を前記バインダーに対し2〜20質量%より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。中間層用塗布液のバインダー濃度は3〜25質量%、好ましくは5〜15質量%程度が適切である。また中間層の乾燥塗布量は0.5〜6g/m2、好ましくは1〜4g/m2が適切である。
<下塗り層>
本発明の感熱記録材料においては、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、マイクロカプセル等を含有する感熱記録層やバック層等を塗布する前に、支持体上に下塗り層を設けることができる。
該下塗り層としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いることができ、層の厚みは0.05〜0.5μmが好ましい。
上記下塗り層上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層にはグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びホウ酸等の硬膜剤を用いて硬化させることが好ましい。これらの硬膜剤の添加量は、下塗り素材の質量に応じて0.2〜3.0質量%の範囲で、所望の硬化度に合わせて適宜に添加することができる。
<紫外線フィルター層>
本発明の感熱記録材料においては、画像の光による褪色及び地肌かぶり防止のために光遮断層を設けてもよい。光遮断層は結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって地肌が変色したり、画像部が変色又は褪色することを防止する。光遮断層の作成方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤のほか、特開平4−197778号公報に記載されているものが利用できる。
<バック層>
本発明における感熱記録材料は、支持体上の感熱記録層と反対の面にバック層を設けてもよい。バック層には搬送性付与及び光反射防止の目的でマット剤を添加することが好ましい。マット剤の添加により、入射光角20°で測定した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。
上記マット剤としては、大麦、小麦、コーン、米、豆類等より得られる澱粉等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニル等の共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘度、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機物の微粒子等が挙げられる。該マット剤の平均粒径は0.5〜20μm、好ましくは0.5〜10μmの範囲が好ましい。上記マット材は1種単独でも、2種以上併用してもよい。
また、感熱記録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が1.4〜1.8の範囲にあることが好ましい。バック層には、色相改良の観点から、各種染料(例えば、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。またバック層には硬膜剤を用いても良い。該硬膜剤の例としては、T.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCES 4th EDITION」(77頁〜87頁)に記載のある各方法があり、ビニルスルフォン系化合物が好ましい。
<感熱記録材料の製造方法>
以下、本発明の感熱記録材料の製造方法について説明する。
本発明の感熱記録材料の製造方法は、支持体上に、感熱記録層用塗布液を塗布して感熱記録層を形成し、更に必要に応じて保護層等のその他の層を形成してなる。
ここで使用される支持体は、本発明の感熱記録材料に使用される既に説明した支持体を用いることができる。また、上記感熱記録層用塗布液としては、前述した前記感熱記録層用塗布液を用いることができる。
また、上記その他の層としては、前述した中間層や下塗り層等のその他の層が挙げられる。
本発明の感熱記録材料の製造方法では、支持体上に、下塗り層、感熱記録層、中間層、保護層等を順次形成するために、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法が用いられる。
本発明の感熱記録材料の製造方法によれば、前述した本発明の感熱記録材料を製造することができる。
<サーマルヘッド>
本発明の感熱記録材料は、サーマルヘッドによって印画され、該印画時に感熱記録層が適度に変形し、サーマルヘッドとの十分な接触面積が得られるため、従来、特に医療用に用いられる厚手の感熱記録材料等において発生していた印画障害を効果的に防止することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら制限されるものではない。尚、以下において特に断りのない限り、%は質量%を表す。
[実施例1]
(保護層用塗布液の調製)
(1)顔料分散液の調製
水900gに、顔料としてステアリン酸で表面処理を施した水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製の商品名「ハイジライトH42S」)280gを加え、3時間攪拌した後、これに分散助剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」)8.5g、10%ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「PVA105」)300g、2%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液75gを加え、サンドミルで平均粒径0.33μmに分散し、これに水を加えて濃度18%に調整して保護層用顔料分散液を得た。
尚、上記の平均粒径は、用いる顔料を分散剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5%になる様に希釈した被検液を、40℃の温水中に投入し、光透過率が72±1%になる様に調整した後、30秒間かけて超音波処理を行い、(株)堀場製作所製のレーザー回折粒度分布測定装置(商品名「LA700」)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を指し、以下に記載の平均粒径は全て同様の方法により測定した平均粒径を表す。
Figure 2006142771
(2)潤滑剤分散液の調製
水280gに、潤滑剤としてグリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート(川研ファインケミカル(株)製の商品名「K3ワックス500」)110gを加え3時間攪拌した後、これに分散助剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」)3g、10%ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP103」)340g、2%に調整した前記構造式[100]で表される化合物の水溶液34gを加え、サンドミルで平均粒径0.26μmに分散し、これに水を加えて18%に調整して保護層用潤滑剤分散液を得た。ここで、潤滑剤であるグリセリントリ−12−ヒドロキシステアラートの濃度は13.6%である。
(3)保護層用塗布液の調製
5%ポリビニルアルコール((株)クラレ製の商品名「PVA124C」)水溶液430g、72%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液5g、アセチレングリコール系界面活性剤(日進化学(株)製の商品名「サーフィノール104」)の50%溶液5.5g、「サーフロンS131S」(旭ガラス(株)製)10g、融点35℃のポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩(第一工業製薬(株)製の「プライサーフA217E」)2g、上記で得られた18%顔料分散液245g、上記で得られた18%グリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート分散液10g、20.5%ステアリン酸亜鉛分散物(中京油脂(株)製の商品名「F115」)21g、18%ステアリン酸分散物(中京油脂(株)製の商品名「セロゾール920」)31g、35%シリコンオイル水分散液(東レ・ダウコーニング(株)製の商品名「BY22−840」)41.5g、5%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(荒川化学(株)製の商品名「ポリマロン385」)110g、20%コロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックス」)53g、4%硼酸水溶液70g、2%酢酸水溶液30g、下記構造式[002]で示される化合物の50%水溶液22gを混合した。これに水を加えて濃度12%に調整して、目的とする保護層用塗布液を得た。
この保護層用塗布液中に含まれる常温で固体の潤滑剤(B)の総質量は11.16g、一方常温で液体ないし融点40℃以下の潤滑剤(A)の総質量は16.53gであり、両者の質量比率(A):(B)は59.7:40.3である。
Figure 2006142771
(感熱記録層用塗布液の調製)
以下の手順に従って、電子供与性染料前駆体を芯物質とするマイクロカプセル液、電子受容性化合物乳化分散液をそれぞれ調製した。
(1)マイクロカプセル液(A)の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物63.7g、下記構造式[202]で表される化合物21g、下記構造式[203]で表される化合物10.8g、下記構造式[204]で表される化合物5.8g、下記構造式[205]で表される化合物2.2g、下記構造式[206]で表される化合物2.7g、下記構造式[207]で表される化合物2.6g、を酢酸エチル110gに添加して、70℃に加熱し溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートD140N」)70gを加え混合した
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP−103」)300gの水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで乳化分散を行った。得られた乳化液に水275g及びテトラエチレンペンタミン6.5gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25%に調整して、平均粒径0.8μmのマイクロカプセル液(A)を得た。
(2)マイクロカプセル液(B)の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物54.5g、下記構造式[202]で表される化合物14.8g、下記構造式[203]で表される化合物10.5g、下記構造式[204]で表される化合物6.4g、下記構造式[205]で表される化合物3.4g、下記構造式[206]で表される化合物0.5g、下記構造式[207]で表される化合物2.1g、を酢酸エチル110gに添加して、70℃に加熱し溶解した後、温度45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートD127N」)65.5gを加え混合した
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP−103」)275gの水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで乳化分散を行った。得られた乳化液に水275g及びテトラエチレンペンタミン5.70gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を28%に調整して、平均粒径0.3μmのマイクロカプセル液(B)を得た。
Figure 2006142771
Figure 2006142771
(3)電子受容性化合物乳化分散液の調製
電子受容性化合物として、下記構造式[301]で表される化合物220g、下記構造式[302]で表される化合物80g、下記構造式[303]で表される化合物26g、下記構造式[304]で表される化合物26g、下記構造式[305]で表される化合物4.8g、下記構造式[306]で表される化合物41g、をトリクレジルフォスフェート10g及びマレイン酸ジエチル5gと共に酢酸エチル160gに添加して70℃に加熱して溶解した。この溶液を水1340g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製の商品名「PVA217C」)43.5g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製の商品名「PVA205C」)29g、下記構造式[401]で表される化合物の2%水溶液110g及び下記構造式[402]で表される化合物の2%水溶液110gを混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000rpmで平均粒径0.7μmになる様に乳化分散して、濃度22%になる様に水で調整して、電子受容性化合物の乳化分散液を得た。
Figure 2006142771
Figure 2006142771
(4)感熱記録層用塗布液(A)の調製
上記マイクロカプセル液(A)(固形分濃度25%)160g、上記マイクロカプセル液(B)(固形分濃度28%)30g、上記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22%)994g、前記構造式[002]で表される化合物の50%水溶液7.2g、及びコロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」)25.5gを混合し、水で濃度を21.5%になる様に調整して、目的とする感熱記録層用塗布液(A)を調製した。
(5)感熱記録層用塗布液(B)の調製
上記マイクロカプセル液(A)(固形分濃度25%)60g、上記マイクロカプセル液(B)(固形分濃度28%)110g、上記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22%)725g、前記構造式[002]で表される化合物の50%水溶液6.5g、及びコロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」)23.5gを混合し、水で濃度を21.5%になる様に調整して、目的とする感熱記録層用塗布液(B)を調製した。
(中間層用塗布液の調製)
石灰処理ゼラチン1kgに水14500gを加えて溶解した後、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸Na塩(日本油脂(株)製の「ニッサンラピゾールB90」)の5%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)を137g、3.5%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液25g、3.0%のポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量:約40万)の1080gを加え、目的とする中間層用塗布液を調製した。
(バック層用塗布液(A)の調製)
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径5.7μmの球形PMMA粒子12%を含むゼラチン分散物を180g、下記構造式[501]〜[505]で表される化合物を以下の含有率で含む紫外線吸収剤の乳化物を1028g;
〔ここで、該乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤含有量は、構造式[501]で表される化合物14.9g、構造式[502]で表される化合物12.7g、構造式[503]で表される化合物14.9g、構造式[504]で表される化合物21.1g、及び構造式[505]で表される化合物44.5g〕、
及び1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン0.98g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量:約40万)16.4g、下記構造式[506]で表される化合物3.79g、ポリエチルアクリレートの20%ラテックス液1448mL、N,N−エチレン−ビス(ビニルスルフォニルアセトアミド)52.2g、及び1,3−ビス(ビニルスルフォニルアセトアミド)プロパン17.4g、以上に水を加えて全量を21.03リットルになる様に調整して、目的とするバック層用塗布液(A)を調製した。
Figure 2006142771
(バック層用塗布液(B)の調製)
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径0.7μmの球形PMMA粒子15%を含むゼラチン分散物を1015g、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン2.09g、p−tert−オクチルフェノキシポリオキシエチレン−エチレンスルフォン酸ナトリウム9.53g、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量:約10万)57.9g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量約:40万)22.9g、N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルフォン酸アミドブチルスルフォン酸ナトリウム0.37g、ヘキサデシルオキシ−ノニル(エチレンオキシ)−エタノール8.97g、1N苛性ソーダ28.1g、M,M−エチレン−ビス(ビニルスルフォニルアセトアミド)18.0g、及び1,3−(ビニルスルフォニルアセトアミド)プロパン6.0g、に水を加えて全量を26.59リットルとなる様に調整して、目的とするバック層用塗布液(B)を調製した。
(感熱記録材料の作製)
(1)バック層の形成
JIS−Z8701に記載の方法により規定された色度座標で、X=0.2850、Y=0.2995に青色染色をした透明PET支持体(厚み175μm)を用意し、支持体に近い側から、上記バック層用塗布液(A)、バック層用塗布液(B)の順でそれぞれ塗布量が51.4mL/m2、14.7mL/m2になる様にスライドビード法により同時重層塗布し乾燥した。該塗布乾燥条件は、以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜900Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにおいて、乾球温度10〜20℃の風で塗布液を冷却した後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
(2)感熱記録層の形成
上記のバック層を塗布した支持体のバック層と反対の面に、支持体に近い側から、前記感熱記録層用塗布液(A)、前記感熱記録層用塗布液(B)、前記中間層用塗布液、前記保護層用塗布液の順でそれぞれ塗布量が54.3mL/m2、22.5mL/m2、24.7mL/m2、27.5mL/m2になる様にスライドビード法により同時重層塗布し乾燥して、支持体上に感熱記録層(A)、感熱記録層(B)、中間層及び保護層を有する本発明の透明な感熱記録材料を得た。各層の塗布液は33℃〜37℃の温度範囲に調整した。上記の乾燥条件は以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜1000Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続く初期乾燥ゾーンにおいて、温度45℃〜55℃、露点0〜5℃の風にて乾燥後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度30〜45℃、湿球温度17〜23℃の乾燥風で乾燥させ、乾燥後25℃で湿度40〜60%にて調湿した。
なお、感熱記録層中の各組成物の塗設量を表1に示す。
(試験評価)
−オフセット位置のラチチュード−
富士メディカルドライイメージャーDrypix3000(富士写真フイルム(株)製)を用いて飽和発色時の光学透過濃度OD0.5のベタ画像を印画する際、画像のカスレ、印画面状の荒れ等の発生しないプラテンとサーマルヘッドの押印圧力中心に対するサーマルヘッドオフセット位置のラチチュードを測定し、その広さにより評価した。なお、光学透過濃度ODはビジュアルフィルター マクベスTD904(マクベス社製)により測定した。
−光学透過濃度−
熱スタンプ(140℃)で感熱記録層が塗布されている面を20秒間押印することで発色させ、上記光学透過濃度計を用いて発色部を測定することで飽和発色時の光学透過濃度ODを求めた。
評価の結果を表6に示す。
[実施例2]
実施例1の感熱記録層用塗布液(A)の調製における電子受容性化合物乳化分散液の量を、994gから787gに変更し、また、感熱記録層の形成における感熱記録層用塗布液(A)の塗布量を、54.3mL/m2から45.0mL/m2に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて感熱記録材料を得、評価を行った。感熱記録層中の各組成物の塗設量を表2に、評価の結果を表6に示す。
[実施例3]
実施例1の感熱記録層用塗布液(A)の調製における電子受容性化合物乳化分散液の量を、994gから600gに変更し、更に、スチレン−ブタジエン系ラテックス(旭化成工業(株)社製の商品名「L−1537」、固形分濃度48%)を280g混合し、また、感熱記録層の作製における感熱記録層用塗布液(A)の塗布量を、54.3mL/m2から56.1mL/m2に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて感熱記録材料を得、評価を行った。感熱記録層中の各組成物の塗設量を表3に、評価の結果を表6に示す。
[比較例1]
実施例1の感熱記録層用塗布液(A)の調製におけるマイクロカプセル液(A)の量を、160gから38.4gに、マイクロカプセル液(B)の量を、30gから7.2gに変更し、また、感熱記録層の形成における感熱記録層用塗布液(A)の塗布量を54.3mL/m2から195.0mL/m2に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて感熱記録材料を得、評価を行った。感熱記録層中の各組成物の塗設量を表4に、評価の結果を表6に示す。
[比較例2]
実施例1の感熱記録層用塗布液(A)の調製における電子受容性化合物乳化分散液の量を、994gから502gに変更し、また、感熱記録層の形成における感熱記録層用塗布液(A)の塗布量を、54.3mL/m2から33.0mL/m2に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて感熱記録材料を得、評価を行った。感熱記録層中の各組成物の塗設量を表5に、評価の結果を表6に示す。
Figure 2006142771
Figure 2006142771
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Figure 2006142771
Figure 2006142771
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上記表6の結果から、本発明に従う実施例1〜3の感熱記録材料では、光学透過濃度ODが高く、且つプラテンとサーマルヘッドの押印圧力中心に対するサーマルヘッドオフセット位置のラチチュードも広いことが分かる。それに比べて、比較例1の感熱記録材料では、上記ラチチュードは十分広いものの、光学透過濃度ODが低くなりすぎている。また、比較例2の感熱記録材料では、光学透過濃度ODはある程度得ることができるが、上記ラチチュードに難がある。
これらより、本発明によれば、発色濃度が高く、且つ伝熱不良による印画障害を効果的に防止することができる感熱記録材料を提供することができる。

Claims (8)

  1. 発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色体を形成させる発色成分Bと、を含み、前記発色成分Aが高分子構造体中に存在することによって前記発色成分Bから隔離されている感熱記録層を、支持体上に設けた感熱記録材料であって、
    前記感熱記録層を構成する化合物のうち、前記高分子構造体を構成する高分子及び該高分子構造体によって隔離されている化合物の塗設量を「a」とし、塗設量aに換算されない化合物のうち、前記感熱記録層が発色する温度において溶融状態である化合物の塗設量を「b」としたとき、その比率a/b(質量比)が0.10〜0.33となることを特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記塗設量bに換算される化合物のうち、分子量が1500以下である化合物の塗設量を「c」としたとき、比率a/c(質量比)が0.10〜0.40となることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 前記比率a/c(質量比)が0.10〜0.33となることを特徴とする請求項2に記載の感熱記録材料。
  4. 高分子構造体によって発色成分Aを隔離する手段が、マイクロカプセルへの内包、若しくは高分子中に含有せしめた複合微粒子化であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の感熱記録材料。
  5. 前記支持体が、実質的に透明性を有する合成高分子フィルムからなり、且つ該支持体の厚みが100μm以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の感熱記録材料。
  6. 前記感熱記録層の厚みが20μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の感熱記録材料。
  7. 前記感熱記録層が飽和発色したときの光学透過濃度が3.0以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の感熱記録材料。
  8. サーマルヘッドによって印画されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の感熱記録材料。
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