JP2008055642A - 感熱記録材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像濃度が良好で、かつ耐水性に優れた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に感熱記録層を有し、該感熱記録層にマイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有する感熱記録材料であって、ジクロロヒドリン含有量が前記エポキシ系架橋剤に対して10質量%以下であることを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱記録材料に関し、詳しくは、耐水性が求められる用途等に適した高画質の感熱記録材料に関する。
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が一般紙に近い、(3)取扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く、安価である、(6)記録時の騒音が無い、(7)メンテナンスが不要である、等の利点があることから近年様々な分野で発達しており、例えば、ファクシミリやプリンター等の分野、POS等のラベル分野等に用途が拡大している。
上記感熱記録に用いる感熱記録材料としては、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bと、を結着剤中に微粒子状に分散して、或いは、A、Bどちらか一方をマイクロカプセル化し、その他方を乳化物の形として形成される感熱記録層を支持体上に設ける等により作製される感熱記録材料の提案が行われている。
前記マイクロカプセルの形成には、カプセルの芯となる発色成分を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、保護コロイドとしてポリビニルアルコール等の水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる等の方法が開示されている(特許文献1、2参照。)。
しかし、従来この種の感熱記録材料は、保存性、特に耐水性に問題があり、水とともに摩擦されることで見栄えが悪くなるばかりか記録文字が読みづらくなるといった問題があった。また感熱記録紙が、ひろく使われるようになるにしたがい高級化の要求が強まりより白いものが求められるようになった。さらにサーマルヘッドの熱を効率よく利用するため高感度化の要求も依然として根強いものがある。しかし、従来の感熱記録材料は必ずしもこうした市場の高度の要求をすべて満足できていないのが現状であった。
特開2000−141907号公報 特開2000−272243号公報
本発明は、画像濃度が良好で、かつ耐水性に優れた感熱記録材料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記実情に鑑み本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<1>支持体上に感熱記録層を有し、該感熱記録層にマイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有する感熱記録材料であって、ジクロロヒドリン含有量が前記エポキシ系架橋剤に対して10質量%以下であることを特徴とする感熱記録材料。
<2>前記ジクロロヒドリン含有量が前記エポキシ系架橋剤に対して1質量%未満であることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<3>前記エポキシ系架橋剤がポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料。
<4>前記マイクロカプセル内にジアゾニウム化合物を内包することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
<5>マイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有する感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する工程を有する感熱記録材料の製造方法であって、前記エポキシ系架橋剤に対するジクロロヒドリン含有率が10質量%以下であるエポキシ系架橋剤を用いることを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
<6>前記感熱記録層用塗布液が前記マイクロカプセル外に発色成分Bを有する感熱記録材料の製造方法であって、前記発色成分Bを分散する工程を有し、該分散がカルボキシ変性ポリビニルアルコールの存在下で行われることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料の製造方法。
<7>前記感熱記録層用塗布液を自由落下カーテン塗布で塗布する工程および乾燥する工程を有することを特徴とする上記<5>又は<6>に記載の感熱記録材料の製造方法。
本発明によれば、画像濃度が良好で、かつ耐水性に優れた感熱記録材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、感熱記録層を有してなり、更に必要に応じて、その他の層を有してなる。
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、マイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有して成り、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
(発色成分)
前記感熱記録層は、未処理時には優れた透明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いかなる組成のものでも使用することができる。
このような感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bとを含有する、いわゆる二成分型感熱記録層が挙げられるが、前記マイクロカプセルには、発色成分Aを内包してもよいし、発色成分Bを内包してもよいが、好ましくは発色成分Bはマイクロカプセル外に有することが好ましい。この二成分型感熱記録層を構成する二成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ス)のようなものが挙げられる。
(ア)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組合せ。
(イ)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(カ)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成する物。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
これらの中でも、本発明の感熱記録材料においては、(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(イ)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ、又は(ウ)有機金属塩と還元剤との組合せを用いることが好ましく、特に上記(ア)又は(イ)の組合せであることがより好ましい。
次に、前記感熱記録層に好ましく使用される、前記組成の組合せ(ア、イ、ウ)について、以下に詳細に説明する。
まず、(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せについて説明する。
本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であることが好ましい。
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
前記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号、同第3,509,174号等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3,959,571号等に記載された化合物が挙げられる。
前記スピロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,971,808号等に記載された化合物が挙げられる。
前記ピリジン系及びピラジン系化合物類としては、米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオレン系化合物の具体例としては、特願昭61−240989号公報等に記載された化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン等が挙げられる。
前記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体;
又は、その多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。
中でも、良好な発色特性を得る観点からビスフェノール類が特に好ましい。
また、上記の電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、(イ)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せについて説明する。
前記光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。
この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
本発明において好ましく使用される光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられる。
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N
上記式中、Arは置換基を有する、或いは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N はジアゾニウム基を、Xは酸アニオンを表す。
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
前記感熱記録層において、ジアゾ化合物とカプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができる観点から、増感剤として、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
次に、(ウ)有機金属塩と還元剤との組合せについて説明する。
前記有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらの内、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
上記のうち、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
感熱記録材料の充分な透明性を確保するためには、前記感熱記録層に(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、又は(イ)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用いることが好ましい。
また、本発明では、前記発色成分Aと発色成分Bのいずれか一方は、マイクロカプセル化して使用されるが、発色成分Aである前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して、発色成分Bである電子受容性化合物、又はカプラーをマイクロカプセル外で使用することがより好ましい。
本発明において、画像形成後の画像部及び非画像部(地肌部)の耐水性向上のため、感熱記録層にジクロロヒドリン含有量が10質量%以下であるエポキシ系架橋剤を含有する必要がある。更にエポキシ系架橋剤に対して前記ジクロロヒドリン含有量は1質量%未満であることが好ましく、理想的にはゼロであることが好ましい。
ここで、本発明におけるエポキシ系架橋剤とは、分子中にエポキシ基を含む化合物であり、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ソルビト−ルポリグリシジルエ−テル、グリセロ−ルジグリシジルエ−テル、グリセロ−ルトリグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル等を挙げることができる。
前記の中でも、耐水性の観点からポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂が特に好ましい。
前記エポキシ系架橋剤はそれ自体を用いても、また、溶媒を含んだ形態で用いてもよい。
前記エポキシ系架橋剤を含むものとしては、市販のもの(例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂としてはFL71(東邦化学製)、ARAFIX100M(荒川化学工業製)、ARAFIX255(荒川化学工業製)、ARAFIX251R(荒川化学工業製))及び公知の方法により合成した化合物を含むものとしていずれも用いることができる。
(マイクロカプセルの製造)
以下に、マイクロカプセルの製造方法について詳述する。
マイクロカプセルの製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。
上記の通り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、保護コロイドとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコールを溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
本発明で使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールをカルボン酸で変性したものであり、前記カルボン酸としては、一塩基酸でも、二塩基酸でもよく、一分子中に存在するカルボキシル基の数については、特に制限はないが、二塩基酸が好ましい。
前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールの具体例としては、イタコン酸変性ポリビニルアルコール及びマレイン酸変性ポリビニルアルコールが特に好ましく挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種を併用してもよい。
また、本発明で使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、末端が更にアルキル変性されているものがより好ましい。具体的には、末端アルキル化イタコン酸変性ポリビニルアルコール及び末端アルキル化マレイン酸変性ポリビニルアルコールが特に好ましく挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数が6〜16程度のものが好ましく、炭素数が8〜14程度のものがより好ましい。このようなアルキル基の具体例としては、例えば、−C17、−C19、−C1021、−C1123、−C1225、−C1327、−C1429等が挙げられる。これらのアルキル基(−R)は、硫黄原子(−S−)を介してスルフィド(−SR)の形で末端に配置されることが好ましい。
前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、マイクロカプセルの形成に用いられる保護コロイドおよび結着剤として使用される。
また、前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールの製法についても、特に制限はなく、従来公知の製法を用いることができる。
前記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テトライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド若しくはポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
前記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよい。
具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
前記ポリイソシアナートは、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
また、本発明で調製するマイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするため、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。このうち、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
前記の油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
前記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエステル及びジエステル等のエチレングリコールエステル類;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
カプセル化しようとする電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物の前記疎水性有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。このような低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げられる。
前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合、該電子供与性染料前駆体の含有量は、0.1〜5.0g/mが好ましく、1.0〜3.5g/mがより好ましい。
また、光分解性ジアゾ化合物の含有量は、0.02〜5.0g/mが好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/mがより好ましい。
前記電子供与性染料前駆体の含有量が0.1g/m以上、或いは、前記光分解性ジアゾ化合物の含有量が0.02g/m以上の場合には、充分な発色濃度が得られ、また、両者の含有量が5.0g/m以下の場合には、コストや乾燥負荷の観点で好ましい。
一方、用いる水相には保護コロイドとしてカルボキシ変性ポリビニルアルコールを溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの添加量は、油相に対して4質量%〜20質量%が好ましく、7質量%〜13質量%がより好ましい。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の添加量は、油相に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜2質量%がより好ましい。
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行うことが好ましい。
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
(乳化分散物の製造)
後述の感熱記録層用塗布液は前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有するが、前記発色成分Bとして用いる電子受容性化合物、又はカプラー等を乳化分散物製造で分散する工程において、前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールの存在下で前記分散が行われることが好ましい。以下、具体的に説明する。
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を芯物質としてカプセル化した場合には、発色成分Bとして用いる電子受容性化合物、又はカプラーは、例えば、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いるか、または水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散した固体分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点から好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールまたはその変性物(前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含む。)、ポリアクリル酸アミドまたはその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコールまたはその変性物(前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含む。)、ゼラチン、セルロース誘導体が特に好ましい。
また、油相の水相に対する混合比(油相重量/水相重量)は、0.2〜1.2が好ましく、0.4〜0.8がより好ましい。該混合比が0.2〜1.2の場合、液粘度など製造適性の観点で好ましい。
本発明の感熱記録材料において電子受容性化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体1重量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、1.0〜10重量部がより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましい。
(顔料分散物の調製)
本発明における感熱記録層を形成するための後述の感熱記録層用塗布液には、顔料分散物を添加することがヘッド適性付与、印刷適性付与のため好ましい。
前記顔料としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
前記顔料分散物は、例えば、イオン交換水に炭酸カルシウム(金属塩)を加え、更に、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びアクリル酸・マレイン酸共重合体ソーダ塩等の界面活性剤を加え、サンドグラインダーで分散して分散液を得ることができる。
前記分散液の粒径としては、サーマルヘッド適性付与のため、メジアン粒径で0.4μm〜3.0μm(LA750 堀場製作所製で測定)であることが好ましい。
(感熱記録層用塗布液の調製)
上記のように調製したマイクロカプセル液と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有する乳化分散物と、前記エポキシ系架橋剤とを混合することにより、感熱記録層用塗布液を調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いたカルボキシ変性ポリビニルアルコール、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いたカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、前記感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
前記添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
前記感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全かつ均一に塗布するとともに、塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
(その他の成分)
以下に、感熱記録層に用いることのできるその他の成分について述べる。
前記その他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
前記熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。
前記熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。
これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書等に記載されている。
前記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
前記その他の成分の塗布量としては、0.05〜1.0g/m程度が好ましく、0.1〜0.4g/mがより好ましい。なお、前記その他の成分は、前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、前記マイクロカプセル外に添加してもよい。
前記感熱記録層は、塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/mになるように塗布されること、及び該層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。
[支持体]
支持体としては、紙が主として用いられるが、紙のほかに各種不織布、合成樹脂フィルム、ラミネート紙、合成紙、金属箔等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
支持体と感熱発色層の間に、必要に応じ、アンダーコート層を設けることも可能である。この場合、アンダーコート層を構成する成分としては、前記のフィラー、結合剤、熱可融性物質、界面活性剤等を用いることができる。またバックコート層を設けることもできる。フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレ−、焼成クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができる。
[その他の層]
本発明の感熱記録材料は、前記支持体上に、その他の層として、中間層、保護層等を設けることができる。
保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
上記バインダーは、バリアー性及び作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
上記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
上記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤及びその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。上記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、上記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
保護層中の顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または二種以上を混合して使用できる。
また、上記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
上記界面活性剤は、感熱記録層上に均一な保護層を形成するために用いられる。このような界面活性剤としては、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。上記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/mが好ましく、1〜4g/mがより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2〜7g/mにあると、耐水性及び熱感度に優れる。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
感熱記録層が複数層で構成される場合、各記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記の保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
[感熱記録材料の製造方法]
本発明の感熱記録材料の製造方法は、マイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有する感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する工程を有し、かつ、前述のとおり、前記エポキシ系架橋剤に対するジクロロヒドリン含有率が10質量%以下であることを特徴とする。本発明の製造方法において用いる構成成分等は、前記感熱記録材料において説明したものと同一であり、好ましい例も同じである。
上記構成とすることにより、画像濃度が良好で、かつ耐水性に優れた感熱記録材料を製造することができる。
前記塗布工程においては、前記感熱記録層のほかに、必要に応じて、前述の層の塗布液を塗布形成することができる。
前記塗布する方法としては、スライド塗布法、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法、カーテン塗布法(自由落下等)等の公知の塗布方法を用いることができるが、中でも、前記感熱記録層は、発色濃度や画質の向上の点で自由落下カーテン塗布法で行うことが好ましい。前記自由落下カーテン塗布法で行うことにより、支持体に接触することなく前記塗布液を塗布することができ、より少ない素材使用量で発色濃度の向上できる点で好ましい。
自由落下カーテン塗布法は、特開2003−181367号公報に記載されている塗布方法をいう。
前記感熱記録層以外に保護層等をも積層する場合には、カーテン塗布法(自由落下等)により複数層を同時重層塗布することにより、製造時の消費エネルギーをより低減することができる。
自由落下カーテン塗布に用いるカーテン塗布装置としては、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置などが挙げられる。
以下、実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に限定のない限り「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]:感熱記録材料の製造
(1)感熱記録層塗布液の調製
以下のようにして、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液、カプラー化合物分散液、炭酸カルシウム分散液の各液を調製した。
<イタコン酸変性PVA8%水溶液の調製>
イオン交換水92部にイタコン酸変性PVA(KL318:クラレ(株)製)8部を添加し、膨潤後、90℃下で攪拌、溶解し、イタコン酸変性PVA8%水溶液を得た。
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル84部に、ジアゾニウム塩化合物(A)16部、ジアゾニウム塩化合物(B)5.5部、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO,BASF製)2部、オイルとしてフタル酸ジフェニル 8.5部、ベンゾイルサリチル酸フェニルエステル(商品名:PBOB−2,吉富ファインケミカル製)8.5部、イソプロピルビフェニル(商品名:KMC−500,呉羽化学製)33部を添加し、均一に溶解させた。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液))9部,キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)18.5部、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン、ポリエチレンオキサイド付加物(タケネートD116N(E),三井武田ケミカル(株)製)4.5部を添加し、均一に攪拌して混合液(I)を得た。
別途、イオン交換水124部、イタコン酸変性PVA8%水溶液175部を計量し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ロボミクス(プライミクス(株)製)を用いて乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水80部を加え均一化した後、40℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながらカプセル化反応を行った。この後、この乳化液にイオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)14部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)28部を加えて、更に攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が25%になるように濃度調節してメジアン径0.35μm(LA750 堀場製作所製で測定)のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。
Figure 2008055642
<カプラー化合物分散液(a)の調製>
イオン交換水23部に、イタコン酸変性PVA8%水溶液を82部添加し、アルキルスルホン酸のナトリウム塩/ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル/水の混合物(商品名ネオスコアCM−57,東邦化学工業(株)製)を40部、トリフェニルグアニジン12部(保土ヶ谷化学製)、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM,三井石油化学製)29部、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボニルフェニルアミン10部、化合物(C)を2.5部加えてサンドグラインダーで分散し、分散液の固形分濃度が30%になるように調整し、メジアン粒径0.6μm(LA750 堀場製作所製で測定)のカプラー化合物分散液(a)を得た。
Figure 2008055642
<炭酸カルシウム分散液の調製>
イオン交換水180部に炭酸カルシウム110部、ヘキサメタリン酸ナトリウム40%水溶液(ヘキサメタリン酸ナトリウム、小泉化学薬品(株)製)3部、アクリル酸・マレイン酸共重合体ソーダ塩40%水溶液(商品名:ポイズ520、花王石鹸(株)製)1.5部を加え、サンドグラインダーで分散し、メジアン粒径1.0μm(LA750 堀場製作所製で測定)の炭酸カルシウム分散液を得た。
<感熱記録層用塗布液の調製>
イオン交換水7.5部に、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)7部、カプラー化合物分散液(a)6.5部、炭酸カルシウム分散液3部を加え、1,4−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(商品名:ラピゾールA−90,日本油脂製)2%液0.3部、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:エアロゾルMA−80,アメリカンシナミドアンドケミカル製)10%液0.2部、カルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:セロゲンEP,第一工業製薬(株)製)1%液4.5部、ステアリン酸亜鉛分散物(商品名:ハイドリンZ−7−30、中京油脂(株)製)31.5%3.2部、パラフィンワックスエマルジョン(商品名:ハイドリンL−703−35)35%液0.6部、スチルベン系蛍光増白剤(商品名:カヤホールFKY,日本化薬製)65%液0.4部、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(副生成物としてジクロロヒドリン含有率が約40000ppmである。商品名:FL71、東邦化学製)28.5%液1.3部を混合して感熱記録層用塗布液を調製した。
<感熱記録材料の作製>
厚み73μm、坪量75g/m、焼成カオリンを7g/mコートした紙支持体に、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)が固形分で1.75g/mになるように、自由落下カーテン塗布し、50℃の温風により乾燥させて感熱記録材料を作製した。
[実施例2]
実施例1において、副生成物としてジクロロヒドリンを約40000ppm含有するポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:FL−71、東邦化学製)28.5%液1.3部を、副生成物としてジクロロヒドリンを約800ppm含有するポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:ARAFIX100M,荒川化学工業製)10%液3.7部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[実施例3]
実施例1において、カプラー化合物分散液(a)のイタコン酸変性PVA8%水溶液を、PVA205C((株)クラレ製)8%水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[比較例1]
実施例1において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)のイタコン酸変性PVA8%水溶液を、PVA217((株)クラレ製)8%水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[比較例2]
実施例1において、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(副生成物としてジクロロヒドリンを約40000ppm含有)を未添加に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[実施例4]:感熱記録材料の製造
(1)感熱記録層塗布液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル2500部に、ロイコ染料(D)1050部、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ハイドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(商品名:アデカアークルズ,旭電化工業製)400部、2’,5’−ビス(5−n−ヘキシルオキシカルボニル−2−メチル−ペント−2−イル)ハイドロキノン(商品名:irgaperm2140,チバガイギー製)680部、オイルとして菜種白絞油(日清オイリオ製)825部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名:ライトエステルTMP,共栄社油脂化学製)358部を添加し、均一に溶解させた。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)1000部,ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)910部、TF469−F,三井武田ケミカル製360部を添加し、均一に攪拌して混合液(III)を得た。
別途、イタコン酸変性PVA8%水溶液8600部、イオン交換水900部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム60部、1−オルト−オクチル−D−グリコピラノサイド(SucraphAG−8,日本精化製)24部を計量し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ロボミクス(プライミクス(株)製)を用いて乳化分散した。得られた乳化液に水3000部、予めイオン交換水850部に溶解したテトラエチレンペンタミン17部を加え、均一化した後、60℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながらカプセル化反応を行った。
更に上記マイクロカプセル液650部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスG−15、花王(株)製)45部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体(商品名;Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)40部、カルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,住友ノーガタック)48部を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液を得た。
カプセル液の固形分濃度が32.5%になるように濃度調節してメジアン径0.95μm(LA750 堀場製作所製で測定)の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(b)を得た。
Figure 2008055642
<電子受容性化合物分散液(b)の調製>
イオン交換水1600部に50%ポリグリセリンラウリン酸エステル(商品名:PGLE,ダイセル化学製)220部にイタコン酸変性PVA8%水溶液4200部、予めイオン交換水650部に溶解しておいたラピゾールA90 11部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(商品名:デモールNL,花王アトラス製)7部を投入し、4−4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール(商品名:ビスフェノールAp,本州化学)2055部を投入し、攪拌後、イオン交換水1250部、1規定酢酸4部を投入し、サンドグラインダーで分散し、イオン交換水で濃度調製を実施し、メジアン粒径0.45μm(LA750 堀場製作所製で測定)の22%電子受容性化合物分散液(b)を得た。
<感熱記録層塗布液の調製>
電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(b)169部、電子受容性化合物分散液(b)475部、前記炭酸カルシウム分散液90部を加え、前記ステアリン酸亜鉛分散物31.5%13.5部、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(副生成物としてジクロロヒドリンを約40000ppm含有。商品名:FL71,東邦化学製)28.5%液7.5部を混合して感熱記録層塗布液を調製した。
<感熱記録材料の作製>
厚み73μm、坪量75g/m、焼成カオリンを7g/mコートした紙支持体に、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(b)が固形分で2.0g/mになるように自由落下カーテン塗布し、50℃の温風により乾燥させて感熱記録材料を作製した。
[実施例5]
実施例4において、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:FL71、東邦化学(株)製、副生成物としてジクロロヒドリンを約40000ppm含有する。)28.5%液7.5部を、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:ARAFIX100M,荒川化学工業製、副生成物としてジクロロヒドリンを約800ppm含む。)10%21.4部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[実施例6]
実施例4において、電子受容性化合物分散液(b)のイタコン酸変性PVA8%水溶液を、PVA205C((株)クラレ製)8%水溶液に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[比較例3]
実施例4において、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(b)のイタコン酸変性PVA8%水溶液をPVA217((株)クラレ製)8%水溶液に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[比較例4]
実施例4において、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:FL71、東邦化学(株)製、副生成物としてジクロロヒドリンを約40000ppm含有する。)を未添加に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[評価]
<地肌濃度の評価>
各感熱記録材料を25℃45%RH条件で2時間保存し、X−rite 310TR(日本平板機材(株)製)を用いて熱エネルギーを与えていない箇所(地肌)の濃度を測定した。
<耐水性の評価>
・浸漬(水中)前後の画像濃度
各感熱記録材料を25℃45%RH条件で2時間保存し、TDK製サーマルヘッドを用いてTRT−22(長野日本無線(株)製)で記録エネルギー76mJ/mm(実施例1〜3および比較例1,2)、166mJ/mm(実施例4〜6および比較例3,4)になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決めて各感熱記録材料に熱印画し、画像を形成した。
実施例1〜3および比較例1,2については、印画後の各感熱記録材料を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下で25秒間照射した。X−rite 310TR(日本平板機材(株)製)を用いて得られた画像の濃度を測定した。
それらの感熱記録材料を水中に30分(実施例1〜3および比較例1,2)、60分(実施例4〜6および比較例3,4)浸漬後、静かに取り出し、乾燥後の画像濃度を測定し、画像の残存率を算出した。
<実施例1〜3および比較例1,2の評価基準>
◎:95%以上残存
○:90%以上95%未満残存
△:80%以上90%未満残存
×:80%未満残存
<実施例4〜6および比較例3,4の評価基準>
◎:65%以上残存
○:60%以上65%未満残存
△:50%以上60%未満残存
×:50%未満残存
・浸漬後の耐摩擦性
各感熱記録材料を25℃45%RH条件で2時間保存し、TDK製サーマルヘッドを用いてTRT−22(長野日本無線(株)製)で記録エネルギー8〜135mJ/mm(実施例1〜3および比較例1,2)、13〜205mJ/mm(実施例4〜6および比較例3,4)を段階的に印加されるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決めて各感熱記録材料に熱印画し、画像を形成した。
実施例1〜3および比較例1,2については、印画後の各感熱記録材料を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下で25秒間照射した。
それらの感熱記録材料を水中に30分(実施例1〜3および比較例1,2)、60分(実施例4〜6および比較例3,4)浸漬後、静かに取り出し、直後に150g/cmの荷重をかけながら摩擦し、画像の状態を目視観察し、評価した。
<評価基準>
◎:画像に殆んど変化がない。
○:画像の乱れが僅かに認められるが、塗布層が剥離は認められない。
△:画像の乱れは認められるが、塗布層が剥離するほどではない。
×:塗布層の剥離がある。
<感度(画像濃度)の評価>
各感熱記録材料を25℃45%RH条件で2時間保存し、TDK製サーマルヘッドを用いてTRT−22(長野日本無線製)で記録エネルギー93mJ/mm(実施例1〜3および比較例1,2)、128mJ/mm(実施例4〜6および比較例3,4)になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決めて各感熱記録材料に熱印画し、画像を形成した。
実施例1〜3および比較例1,2については、印画後の各感熱記録材料を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下で25秒間照射した。X−rite 310TR(日本平板機材(株)製)を用いて熱エネルギーを与えた箇所(画像)の濃度を測定した。
Figure 2008055642
上記表から明らかな通り、実施例においては地肌(非印画部)の発色が少なく、画像濃度が高く、かつ耐水性に優れた感熱記録材料を得ることができた。また、実施例2及び5から、ジクロロヒドリン含有量を減らすことで耐水性能が更に優れ、環境負荷が少ない感熱記録材料を得ることが分かった。

Claims (7)

  1. 支持体上に感熱記録層を有し、該感熱記録層にマイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有する感熱記録材料であって、ジクロロヒドリン含有量が前記エポキシ系架橋剤に対して10質量%以下であることを特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記ジクロロヒドリン含有量が前記エポキシ系架橋剤に対して1質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 前記エポキシ系架橋剤がポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
  4. 前記マイクロカプセル内にジアゾニウム化合物を内包することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
  5. マイクロカプセル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及びエポキシ系架橋剤を含有する感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する工程を有する感熱記録材料の製造方法であって、前記エポキシ系架橋剤に対するジクロロヒドリン含有率が10質量%以下であるエポキシ系架橋剤を用いることを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
  6. 前記感熱記録層用塗布液が前記マイクロカプセル外に発色成分Bを有する感熱記録材料の製造方法であって、前記発色成分Bを分散する工程を有し、該分散がカルボキシ変性ポリビニルアルコールの存在下で行われることを特徴とする請求項5に記載の感熱記録材料の製造方法。
  7. 前記感熱記録層用塗布液を自由落下カーテン塗布で塗布する工程および乾燥する工程を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の感熱記録材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010204084A (ja) * 2009-02-04 2010-09-16 Fujifilm Corp 熱分布測定セット、熱分布測定体、及び熱分布確認方法

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