JP2006150897A - 感熱記録材料及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 感熱記録に際しての搬送時における帯電が少ない感熱記録材料及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、バックコート層と、支持体と、感熱記録層とをこの順に有する感熱記録材料であって、前記バックコート層が、マット剤を含有しており、AFMで測定したバックコート層の表面からのマット剤の突出高さが2.7μm以上であること、及び前記マット剤の添加量が0.01〜5g/m2の範囲であること、を特徴とする感熱記録材料、及びサーマルヘッドと、該サーマルヘッドに向けて前記感熱記録材料を押しつけるプラテンロールとを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記画像形成装置のプラテンロールの材質がゴムであることを特徴とする画像形成方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感熱記録材料及び感熱記録材料を用いる画像形成方法に関する。
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が一般紙に近い、(3)取り扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く、安価である、(6)記録時の騒音が少ない、(7)メンテナンスが不要である、等の利点があることから近年さまざまな分野で発達しており、例えばファクシミリやプリンターの分野、POS等のラベル分野、医療用画像等の分野等に用途が拡大している。
このような感熱記録方法に用いられる感熱記録材料は、記録時、サーマルヘッドに接触した状態で搬送されるため、帯電が問題となる場合がある。従来の感熱記録材料では、帯電防止のために、支持体の感熱記録層とは反対側に設けられたバックコート層表面や内部にに、カチオン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や高分子帯電防止剤及び導電性微粒子などを含有させる手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、感熱記録材料がサーマルヘッドにて印画されるときに、プラテンロール(バックアップロール)によって背面より押しつけられるために、帯電防止剤のみでは、帯電防止が十分にされないことがあり、特に、冬場などで、印画時の環境湿度が低い場合は、帯電を防止しきれなくなることがある。具体的には、感熱記録装置(DRYPIX−1000)での画像形成に際し、印画環境条件が25℃25%RH以下では、印画されて搬送される感熱記録材料が帯電しやすくなる。印画環境が25℃15%RHでは、より帯電しやすくなり、搬出された感熱記録材料の帯電量が5kVを超えてしまう場合が生じる。
帯電防止のために、さらに多量の界面活性剤を塗布すると、高湿時の発色面(感熱記録層)への転写による印画濃度が低下したり、ベタツキ、ヘッド損傷の弊害が生じてきたり、誘電性微粒子などを多量に使用した場合、透明の感熱記録材料の用途(特に医療用途)においては、地肌濃度増加やヘイズの増加の弊害が生じたりする。また、誘電性微粒子を使用することで、コストが高くなる問題もある。
特開平5−570号公報
本発明は、前記従来の技術に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、感熱記録に際しての搬送時における帯電が少ない感熱記録材料及び画像形成方法を提供することにある。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。すなわち、
<1> 少なくとも、バックコート層と、支持体と、感熱記録層とをこの順に有する感熱記録材料であって、前記バックコート層が、マット剤を含有しており、AFMで測定したバックコート層の表面からのマット剤突出高さが2.7μm以上であること、前記マット剤の添加量が0.01〜5g/m2の範囲であることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記バックコート層が帯電防止剤を含有し、該バックコート層の表面抵抗値が1015Ω/m2以下であることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記バックコート層のバインダーが、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及びメチルセルロースのうちの少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の感熱記録材料である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の感熱記録材料に、サーマルヘッドと、該サーマルヘッドに向けて前記感熱記録材料を押しつけるプラテンロールとを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記画像形成装置のプラテンロールの材質がゴムであることを特徴とする画像形成方法である。
本発明によれば、感熱記録に際しての搬送時における帯電が少ない感熱記録材料及び画像形成方法を提供することができる。
以下、先ず、本発明の感熱記録材料について説明する。
<感熱記録材料>
本発明の感熱記録材料は、少なくとも、バックコート層、支持体、感熱記録層とをこの順に有し、前記バックコート層がマット剤を含有しており、AFM(原子間力顕微鏡)で測定したバックコート層の表面からのマット剤の突出高さが2.7μm以上であること、及びマット剤の添加量が0.01〜5g/m2であることを特徴としている。
[バックコート層]
バックコート層は、支持体の感熱記録層とは反対側に形成される層である。本発明の感熱記録材料においては、バックコート層の表面は、前述の通り、AFMにて測定した表面からのマット剤の突出高さが2.7μm以上であり、マット剤の添加量が0.01〜5g/m2である。バックコート層の表面がこのようなマット剤による凸部を有することにより、プラテンロール(バックアップロール)と感熱記録材料のバックコート層表面の接触面積が小さくなり、剥離帯電量が大幅に減少して帯電を防止することができる。
本発明においては、AFMで測定したバックコート層の表面からのマット剤の突出高さを2.7μm以上としているが、2.7μm未満では、搬出される感熱記録材料の帯電量が増加してしまう。
前記マット剤の突出高さは、2.8μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましい。
ここで、「AFMで測定したバックコート層の表面」とは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときの高さZ方向の平均値Z0となる高さの平面である。つまり、Z=Z0で表される平面で、XY平面と平行な面である。
また、本発明において、マット剤の添加量が0.01g/m2未満では、感熱記録材料とプラテンロールとの接触面積が大きくなり、帯電量が増加する。また、5g/m2では感熱記録材料のヘイズが著しく増加してしまう。マット剤の添加量は0.05g/m2以上がより好ましい。
バックコート層表面におけるマット剤による突出高さは、AFMによって測定することができる。
本発明では、前述の通り、マット剤を添加することにより、バックコート層表面における凸部の高さ及び含有量を前記範囲とするが、マット剤としては、有機微粒子又は無機微粒子を使用することができる。有機微粒子としてのマット剤は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各ポリマー粒子、その他のラジカル重合系ポリマー微粒子、ポリエステル、ポリカーボネート、の縮合ポリマー微粒子が挙げられる。このような有機微粒子としてのマット剤は、乳化重合や既に作製されたポリマーをサンドミル等で分散して微粒子化するなどして作製することができる。マット剤の形状としては、球型が好ましく、真球状がより好ましい。
無機微粒子としてのマット剤は、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ粉、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
マット剤の粒子径は、通常1〜30μmであるが、本発明においてはマット剤の突出により、高さ2.7μm以上の凸部を形成するため、2.8〜10μmが好ましく、3.0〜7μmがより好ましい。
また、マット剤によって凸部を形成する場合におけるバックコート層の層厚(凸部を含まない層厚)としては、0.1〜7μmであることが好ましく、1.0〜3.5μmであることがより好ましい。
バックコート層に添加可能な成分としては、既述のマット剤、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
該バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
上記バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及びメチルセルロースのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
バックコート層には帯電防止剤を含有し、該バックコートの表面抵抗値が1015Ω/m2以下であることが好ましい。バックコート層をこのように設定することにより、感熱記録装置内を搬送する際に生じる帯電著を低下させることなり好ましい。前記表面抵抗値は、より好ましくは1014Ω/m2以下であり、さらに好ましくは1013Ω/m2以下である。
バックコート層には、その他の成分として、消泡剤や抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等を含有させることができる。
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、少なくとも発色成分を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
(発色成分)
前記感熱記録層は未処理時には優れた透明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いかなる組成のものでも使用することができる。このような感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分Aと該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bとを含有するいわゆる2成分型感熱記録層が挙げられるが、発色成分Aまたは発色成分Bはマイクロカプセルに内包されることが好ましい。この2成分型感熱記録層を構成する2成分の組み合わせとしては下記(a)〜(m)のようなものが挙げられる。
(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組合せ。
(b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成する物。
(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
これらの中でも、本発明の感熱記録材料においては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ、及び(c)有機金属塩と還元剤との組合せを用いることが好ましく、特に上記(a)及び(b)の組合せであることがより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料はヘイズ値を下げるように感熱記録層を構成することにより、透明性にすぐれた画像を得ることができる。本発明において、上記ヘイズ値を下げる方法としては、たとえば感熱記録層に含まれる前記発色成分A,Bの量成分の50%体積平均粒径を1.0μm以下、好ましくは0.6μm以下とし、かつバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、前記発色成分A,Bのいずれか一方をマイクロカプセル化し、他方を塗布乾燥後に実質的に連続層を形成するような、たとえば乳化物のようなものとして使用する方法等が挙げられる。また感熱記録層に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける方法も有効である。
次に、本発明の感熱記録層に好ましく使用される、上記発色成分の組合せ(a)、(b)、(c)について、以下に詳細に説明する。
先ず、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組合せについて説明する。
本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であるものが好ましい。
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
上記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許明細書第23024号、米国特許明細書第3491111号、同第3491112号、同第3491116号、同第3509174号等に記載された化合物が挙げられる。
上記フルオラン類の具体例としては、米国特許明細書第3624107号、同第3627787号、同第3641011号、同第3462828号、同第3681390号、同第3920510号、同第3959571号等に記載された化合物が挙げられる。
上記スピロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,971,808号等に記載された化合物が挙げられる。
上記ピリジン系及びピペラジン系化合物類としては、米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号等に記載された化合物が挙げられる。
上記フルオレン系化合物の具体例としては、特開昭63−94878号公報等に記載された化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−Nシクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3―メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフリフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2―アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6―N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン、3’,6’−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−チエニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントレン]、3’,6’−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−フェニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントレン]、等が挙げられる。
上記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体;
又は、その多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。中でも、良好な発色特性を得る観点からビスフェノール類が特に好ましい。
また、上記の電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーの組合せについて説明する。
上記光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。
この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
本発明において好ましく使用される光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられる。
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N2 + -
上記式中、Arは置換基を有する、或いは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 + はジアゾニウム基を、X- は酸アニオンを表す。
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
前記感熱記録層において、ジアゾ化合物とカプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができる観点から、増感剤として、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
次に、(c)有機金属塩と還元剤との組合せについて説明する。
前記有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらの内、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
上記のうち、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
感熱記録材料の十分な透明性を確保するためには、前記感熱記録層に(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組み合わせ、又は(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組み合わせを用いることが好ましい。また本発明では前記発色成分Aと発色成分Bのいずれか一方をマイクロカプセル化して使用することが好ましく、前記電子供与性染料前駆体または光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して使用することがより好ましい。
(マイクロカプセル)
次に、マイクロカプセルの製造方法について詳述する。
マイクロカプセルの製造には、界面重合法や内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。
前述の通り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体或いは光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、或いは光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させて調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に投入し、ホモジナイザー等の攪拌手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質からなるマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
上記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。上記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、特に、ポリウレタンとポリウレアが好ましい。
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁或いはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート若しくはそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド又はポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、例えば、特開昭58−66948号公報に記載されている。
上記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよい。具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体或いは3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特開平10−114153号公報等に記載の化合物が好ましい。
前記ポリイソシアナートは、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、或いは壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については、例えば、岩田敬治編「ポリウレタンハンドブック」(日刊工業新聞社、1987)に詳しい。
また、前記マイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするために、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。この内、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレアやポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
上記の油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては、沸点50〜300℃の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
上記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;エチレングリコールとギ酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸とのモノエステル及びジエステル;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
芯素材として電子供与性染料前駆体を使用する場合は、油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性の有機溶媒としては、溶解性が高くカプセル化反応後にカプセル内に残存しない、沸点50〜150℃の低沸点有機溶媒が画像保存性を考慮すると好ましい。このような低沸点有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メチレンクロライド等が好適に挙げられ、酢酸エチルが最も好ましい。
溶質となる電子供与性染料前駆体の溶解性が劣る場合や、電子供与性染料前駆体の極性が高くマイクロカプセル壁と良好に分離できない場合は、比較的高沸点の疎水性オイルを併用することができる。該疎水性オイルはカプセル化反応後にもカプセル内に残存するため、画像保存性等の悪化など弊害をもたらす場合があるが、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、安息香酸イソペンチル等の安息香酸エステル類、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、ホウ酸トリブチル等のホウ酸エステル類は好ましく使用することができ、特にリン酸トリクレジルは乳化安定性、画像保存性などが比較的良好であるため好ましい。
−高分子への含有方法−
本発明の感熱記録材料においては、電子供与性染料前駆体を高分子中に含ませて含有する形態も好ましい態様の一つである。電子供与性染料前駆体を高分子中に含ませる方法としては、有機溶剤を用いずに、重合成分の多価イソシナネート化合物を溶媒とし、その中に電子供与性染料前駆体を溶解させるようにすること以外、前記マイクロカプセルの製造方法と同様の手法によって、電子供与性染料前駆体を含む高分子となる複合微粒子を作製(複合微粒子化)することができる。
複合微粒子については、例えば特開平9−263057号公報等に記載された詳細を参照することができる。なお、この複合微粒子の態様は、溶質の溶解度が制限され、必要以上に複合微粒子の塗布量が多くなったり、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物(顕色剤)との隔離を完全に行うことが難しく、地肌着色や画像保存性の悪化を伴いやすいことから、本発明においてはマイクロカプセルに内包させる態様がより好適である。
本発明において、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合、該電子供与性染料前駆体の含有量は、0.1〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。
また、光分解性ジアゾ化合物の含有量は、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
前記電子供与性染料前駆体の含有量が0.1〜5.0g/m2の範囲にあると、充分な発色濃度が得られ、また、両者の含有量が5.0g/m2以内であると、充分な発色濃度が保持され、且つ感熱記録層の透明性を保持することができる。
一方、用いる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、上記水溶性高分子は、分散を均一に且つ容易にすると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。上記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。該界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルフォン酸、アルキル硫酸、スルフォコハク酸ジオクチル、スルフォコハク酸ジ−2−エチルヘキシルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩や、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アセチレングリコール)等が挙げられる。
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌や超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。該乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、乳化中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたりすることにより、充分な攪拌を行うことが好ましい。
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもってそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
(乳化分散物)
染料前駆体(電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物)を芯物質としてカプセル化した場合には、用いる顕色剤(電子受容性化合物、又はカプラー)は、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらにカプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点から特にリン酸トリクレジル、マレイン酸ジエチルが好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、ポリアクリル酸アミドまたはその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、セルロース誘導体等が特に好ましい。
また、油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましい。該混合比が0.02〜0.6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液安定性に優れる。
本発明の感熱記録材料において電子受容性化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
(感熱記録層用塗布液)
感熱記録層用塗布液は、例えば、上記のように調製したマイクロカプセル液と乳化分散物とを混合することにより、調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子は、上記感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
上記添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
上記感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全且つ均一に塗布すると共に、塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
(その他の成分)
以下に、感熱記録層に用いることのできるその他の成分について述べる。
上記その他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の増感剤、熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
前記増感剤は熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。前記熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。該熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。
これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
これらのその他の成分の塗布量としては、0.05〜2.0g/m2程度が好ましく、0.1〜1.0g/m2がより好ましい。尚、前記その他の成分は、前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、マイクロカプセル外に添加してもよい。
前記感熱記録層は、サーマルヘッドの僅かな熱伝導の差異等から生ずる濃度ムラ等を抑え高画質な画像を得るため、飽和透過濃度(Dt-max)を得るのに必要なエネルギー量幅、即ち、ダイナミックレンジが広い感熱記録層であることが好ましい。本発明の感熱記録材料は上記のような感熱記録層を有し、70〜130mJ/mm2の範囲の熱エネルギー量で、透過濃度(Dt-max)=3.0を得ることができる特性を有する感熱記録層であることが好ましい。
前記感熱記録層は、塗布・乾燥後の固形塗布量が1〜25g/m2になるように塗布されること、及び該層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。また感熱記録層は、2層以上積層して用いることも可能である。この場合、全感熱記録層の塗布・乾燥後の固形塗布量が1〜25g/m2になるのが好ましい。
次いで、その他の層として、保護層、中間層、下塗り層、紫外線フィルター層について説明する。
(保護層)
前記保護層は、前記感熱記録層上に、又は前記その他の層として中間層を感熱記録層上に設ける場合には前記中間層上に形成される。前記保護層は保護層用塗布液を塗布してなり、該保護層用塗布液は広い記録エネルギー領域にわたり、良好なヘッドマッチング性を付与するため、顔料と、潤滑剤とこれらを結合するためのバインダーを主成分として含有する。
−潤滑剤−
潤滑剤としては、常温で固体ないし液体のものを、単独あるいは2種以上併用して用いることができる。
常温で固体の潤滑剤としては、融点160℃以下、好ましくは融点140℃以下のものが好ましく、ステアリン酸アミド(融点100℃)、メチロールステアリン酸アミド(101℃)、ポリエチレンワックス(融点110℃以下)、融点50〜90℃のパラフィンワックス、グリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート(融点88℃)、オレイン酸アミド(融点73℃)、オレイン酸亜鉛(融点75℃)、ラウリン酸アミド(融点84℃)、ステアリン酸アルミニウム(融点102℃)、ステアリン酸マンガン(融点112℃)、ステアリン酸亜鉛(融点125℃)、ステアリン酸カルシウム(融点160℃)、エチレンビスステアロアミド(融点140℃)、ステアリン酸マグネシウム(融点132℃)、パルミチン酸マグネシウム(融点122℃)、ミリスチン酸マグネシウム(融点131℃)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩(融点35℃)等を挙げることができる。このなかでも特にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、ステアリン酸、グリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート、下記構造式[001]で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩を適宜組み合わせたものが、搬送トルク、記録音、スティッキング等の観点で好ましい。
Figure 2006150897
上記構造式[001]中、Rはアルキル基を表し、該アルキル基は置換基によって置換されていてもよい。nは1又は2を表す。
常温で液体の潤滑剤としては、シリコーンオイル、流動パラフィン、ラノリン等が挙げられる。このなかでは特にシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては常温での粘度200〜10万mPa・sのものが好ましい。シリコーンオイルはカルボキシル基、ポリオキシエチレン基、アミノ基等で変性されていてもよい。
潤滑剤が水に不溶の場合は、分散または乳化物の形で保護層に添加される。固体の場合、1)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、サンドミル等の既知の分散機で分散した水分散物の形で用いられるか、2)溶剤に溶かした後、水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、コロイドミル等の既知の乳化装置で乳化した乳化物の形で用いられる。液体の場合、上記のような乳化物の形で用いられる。
−顔料−
保護層に含まれる顔料は通常、サーマルヘッドによる記録を好適なものとする、即ち、スティッキングや異音等の発生を抑える目的で、有機及び/又は無機の顔料が用いられる。
前記保護層に用いることができる顔料としては、その平均粒径、詳しくはレーザー回折法で測定した50%体積平均粒径(レーザー回折粒度分布測定装置LA700 堀場製作所製)により測定した顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径、以下単に「平均粒径」ということがある)が、0.10〜5μmであるものが好ましく、特にサーマルヘッドにより記録する際サーマルヘッドと感熱記録材料の間におけるスティッキングや異音等の発生を防止する観点から、上記50%体積平均粒径が0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。この50%体積平均粒径が0.10〜5.0μmの範囲にあると、サーマルヘッドに対する摩擦の低減効果が大きく、その結果印画時にサーマルヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着する、いわゆるスティッキングを効果的に防止することができる。
前記保護層に用いることのができる顔料としては、特に限定されるものではなく、公知の有機、無機の顔料を挙げることができるが、特に炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料が好ましい。なかでもカオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカがより好ましい。これらの顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。またこれらのなかでも高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級アルコールからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上により表面被覆されていてもよい。前記高級脂肪酸としてはステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
これらの顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、部分鹸化または完全鹸化のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分散助剤、好ましくは部分鹸化または完全鹸化のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニウム塩の共存下で、ディゾルバー、サンドミル、ボールミル等の既知の分散機で上述した平均粒径にまで分散して使用されることが好ましい。すなわち顔料の50%体積平均粒径が0.1〜5.0μmの範囲の粒径になるまで分散してから使用されることが好ましい。
−バインダー−
前記保護層には耐熱性、透明性を良好なものとする観点から、前記バインダーとしてポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール等を用いることが好ましい。
−その他の成分−
保護層には公知の硬膜剤等が含有されていてもよい。該硬膜剤としては、硼酸、硼砂、コロイダルシリカ等の無機化合物、及び下記構造式[002]で表わされるジアルデヒド誘導体を挙げることができる。
Figure 2006150897
本発明において、感熱記録層又は中間層上に均一に保護層を形成させるために、保護層用塗布液に界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤についての詳細は後述する。
更に上記保護層中には、感熱記録材料の帯電防止の目的で、金属酸化物微粒子、無機電解質、高分子電解質等を添加してもよい。また、上記保護層は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
上記保護層の乾燥塗布量は0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
(中間層)
上記中間層は、前記感熱記録層上に形成されることが好ましい。該中間層は層の混合防止や画像保存性に対して有害なガス(酸素等)の遮断のために設けられる。使用するバインダーは特に制限はなく、系に応じてポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等を用いることができる。中でもゼラチンは、高温では水溶液が流動性を有しているが、低温(例えば35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるため、一度に重層塗布、乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止され、得られる感熱記録材料の面状が良好になり、高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができるため、細部まで明瞭な画像を形成する必要のある医療診断用記録材料に好適である。更に高い風速で乾燥しても面状が悪化しないので、製造効率が向上する。
このようなゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチンあるいは修飾(処理)ゼラチンがいずれも支障なく用いられる。修飾ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化処理ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。また塗布性付与のため、種々の界面活性剤を添加してもよい。またガスバリアー性をより高めるために雲母等の無機微粒子を前記バインダーに対し2〜20質量%より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。中間層用塗布液のバインダー濃度は3〜25質量%、好ましくは5〜15質量%程度が適切である。また中間層の乾燥塗布量は0.5〜6g/m2、好ましくは0.8〜4g/m2が適切である。
(下塗り層)
本発明の感熱記録材料においては、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、マイクロカプセル等を含有する感熱記録層や光反射防止層等を塗布する前に、支持体上に下塗り層を設けることができる。
該下塗り層としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いることができ、層の厚みは0.05〜0.5μmが好ましい。
上記下塗り層上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層にはグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びホウ酸等の硬膜剤を用いて硬化させることが好ましい。これらの硬膜剤の添加量は、下塗り素材の質量に応じて0.2〜3.0質量%の範囲で、所望の硬化度に合わせて適宜に添加することができる。
(紫外線フィルター層)
本発明の感熱記録材料においては、画像の光による褪色および地肌かぶり防止のために紫外線フィルター層を設けてもよい。紫外線フィルター層は結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって地肌が変色したり、画像部が変色または褪色することを防止する。紫外線フィルター層の形成方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤のほか、特開平4−197778号公報に記載されているものを利用することができる。
(支持体)
本発明の感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができるほか、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、或いは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
一方、透明な感熱記録材料は、透明支持体を用いることにより得られる。透明支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられ、これらを単独で或いは貼り合わせて使用することができる。
医療用途の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号公報の実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体にはゼラチンや水溶性ポリエステル等の下塗りを施すことが好ましい。下塗り層に関しては例えば、特開昭51−11420号公報、同51−123139号公報、同52−65422号公報に記載のものが利用できる。上記支持体の厚みは25〜250μmが好ましく、50〜210μmがより好ましい。
また、上記の合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよい。高分子フィルムを着色する方法としては、樹脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィルムを成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
特に、本発明の透明な感熱記録材料をシャーカステン上で支持体側から観察した場合、透明な非画像部分を透過するシャーカステン光により幻惑が生じ見づらい画像になることがある。
これを避けるため、透明支持体としては、JIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標上の、A(x=0.2805,y=0.3005)、B(x=0.2820,y=0.2970)、C(x=0.2885,y=0.3015)、D(x=0.2870,y=0.3040)の4点で形成される四角形の領域内に青く着色された合成高分子フィルムを用いることが特に好ましい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、既述の本発明の感熱記録材料に、サーマルヘッドと、該サーマルヘッドに前記感熱記録材料を押しつけるプラテンロールとを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記画像形成装置のプラテンロールの材質がゴム又は樹脂であることを特徴としている。本発明の画像形成方法によると、既述の本発明の感熱記録材料を使用するため、感熱記録時に際しての搬送時の帯電を抑えられるとともに、プラテンロールの材質がゴムであるため、記録材料に均一に押圧することができる。
本発明に係る画像形成装置のプラテンロールの材質として使用されるゴムとしては、ネオプレンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム及びウレタンゴム等を好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に断わりがない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[実施例1]
〈保護層用塗布液の調製〉
(1)顔料分散液の調製
水900gに、顔料としてステアリン酸で表面処理を施した水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製の商品名「ハイジライトH42S」)280gを加え、3時間攪拌した後、これに分散助剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」)8.5g、10%ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「PVA105」)300g、2%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液75gを加え、サンドミルで平均粒径0.33μmに分散し、これに水を加えて濃度18%に調整して保護層用顔料分散液を得た。
Figure 2006150897
尚、上記の平均粒径は、用いる顔料を分散剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5%になるように希釈した被検液を、40℃の温水中に投入し、光透過率が72±1%になるように調整した後、30秒間かけて超音波処理を行い、(株)堀場製作所製のレーザー回折粒度分布測定装置(商品名「LA700」)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を指し、以下に記載の平均粒径は全て同ようの方法により測定した平均粒径を表す。
(2)潤滑剤分散液の調製
水280gに、潤滑剤としてグリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート(川研ファインケミカル(株)製の商品名「K3ワックス500」)110gを加え3時間攪拌した後、これに分散助剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」)3g、10%ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP103」)340g、2%に調整した前記構造式[100]で表される化合物の水溶液34gを加え、サンドミルで平均粒径0.26μmに分散し、これに水を加えて18%に調整して保護層用潤滑剤分散液を得た。ここで、潤滑剤であるグリセリントリ−12−ヒドロキシステアラートの濃度は13.6%である。
(3)保護層用塗布液の調製
水400gにポリビニルアルコール(商品名;PVA124C、(株)クラレ製)21.5g、72%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液5g、アセチレングリコール系界面活性剤(商品名;サーフィノール104日進化学製)の50%液5g、サーフロンS131S(旭ガラス(株)製)10g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩プライサーフA217E(融点35℃,第一工業製薬(株)製)2g、前記18%顔料分散液245g、前記18%潤滑剤分散液10g、20.5%ステアリン酸亜鉛分散物(商品名;F115、中京油脂(株)製)21g、18%ステアリン酸分散物(商品名;セロゾール920、中京油脂(株)製)31g、35%シリコンオイル水分散液(商品名;BY22−840 東レダウコーニング(株)製)41.5g、5%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(商品名;ポリマロン385、荒川化学(株)製)110g、20%コロイダルシリカ(商品名;スノーテックス、日産化学(株)製)53g、4%硼酸水溶液70g、2%酢酸水溶液30g、前記構造式[002]で示される化合物の50%水溶液22gを混合した。これに水を加えて濃度12%に調整し保護層用塗布液を得た。
〈感熱記録層用塗布液の調製〉
以下の手順に従って、電子供与性染料前駆体を芯物質とするマイクロカプセル液、電子受容性化合物乳化分散液をそれぞれ調製した。
(1)マイクロカプセルA液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物63.7g、下記構造式[202]で表される化合物21g、下記構造式[203]で表される化合物10.8g、下記構造式[204]で表される化合物5.8g、下記構造式[205]で表される化合物2.2g、下記構造式[206]で表される化合物2.7g、下記構造式[207]で表される化合物2.6g、を酢酸エチル110gに添加して、70℃に加熱し溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD140N」)70gを加え混合した
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP−103」)300gの水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで乳化分散を行った。得られた乳化液に水275g及びテトラエチレンペンタミン6.5gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25%に調整して、平均粒径0.8μmのマイクロカプセル液Aを得た。
(2)マイクロカプセルB液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物54.5g、下記構造式[202]で表される化合物14.8g、下記構造式[203]で表される化合物10.5g、下記構造式[204]で表される化合物6.4g、下記構造式[205]で表される化合物3.4g、下記構造式[206]で表される化合物0.5g、下記構造式[207]で表される化合物2.1g、を酢酸エチル110gに添加して、70℃に加熱し溶解した後、温度45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD127N」)65.5gを加え混合した
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP−103」)275gの水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで乳化分散を行った。得られた乳化液に水275g及びテトラエチレンペンタミン5.70gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を28%に調整して、平均粒径0.3μmのマイクロカプセル液Bを得た。
Figure 2006150897
Figure 2006150897
(3)電子受容性化合物乳化分散液の調製
電子受容性化合物として、下記構造式[301]で表される化合物220g、下記構造式[302]で表される化合物80g、下記構造式[303]で表される化合物26g、下記構造式[304]で表される化合物26g、下記構造式[305]で表される化合物4.8g、下記構造式[306]で表される化合物41g、をトリクレジルフォスフェート10g及びマレイン酸ジエチル5gと共に酢酸エチル160gに添加して70℃に加熱して溶解した。この溶液を水1340g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製の商品名「PVA217C」)43.5g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製の商品名「PVA205C」)29g、下記構造式[401]で表される化合物の2%水溶液110g及び下記構造式[402]で表される化合物の2%水溶液110gを混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000rpmで平均粒径0.7μmになるように乳化分散して、濃度22%になるように水で調整して、電子受容性化合物の乳化分散物を得た。
Figure 2006150897
Figure 2006150897
(4)感熱記録層用塗布液(A)の調製
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25%)160g、前記マイクロカプセルB液(固形分濃度28%)30g、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22%)710g、前記構造式[002]で表される化合物の50%水溶液7.2g、及びコロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」)25.5gを混合し、水で濃度を21.5%になるように調整して、目的とする感熱記録層用塗布液(A)を調製した。
(5)感熱記録層用塗布液Bの調製
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25%)60g、上記マイクロカプセルB液(固形分濃度28%)110g、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22%)725g、前記構造式[403]で表される化合物の50%水溶液6.5g、及びコロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」)23.5gを混合し、水で濃度を21.5%になるように調整して、目的とする感熱記録層用塗布液(B)を調製した。
〈中間層用塗布液の調製〉
石灰処理ゼラチン1kgに水14500gを加えて溶解した後、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸Na塩(日本油脂(株)製の「ニッサンラピゾールB90」)の5%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)を137g、3.5%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液25g、3.0%のポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量:約40万)の1080gを加え、目的とする中間層用塗布液を調製した。
〈バックコート層用塗布液の調製〉
(第1バックコート層用塗布液の調製)
下記の組成に水を加えて、全量を21.03リットルになるように調製し、第1バックコート層用塗布液(以下、「BC層用塗布液」という。)を得た。また、ラテックスのポリマー含有量は、下記組成中の「ポリエチルアクリレートのラテックス(20%液)」中の固形分である。
<BC層用塗布液の組成>
・石灰処理ゼラチン(水溶性バインダー) ………1000g
・球形PMMAマット剤(平均粒径:5.7μm)12%を含むゼラチン分散物(ゼラチン濃度3.72%のゼラチン分散物) ………180g
・下記構造式[1]〜[5]で表わされる化合物を以下の含有量で含む紫外線吸収剤の乳化物 ………1028g
〔上記乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤の含有量は、構造式[1]で表される化合物14.9g、構造式[2]で表される化合物12.7g、構造式[3]で表される化合物14.9g、構造式[4]で表される化合物21.1g、及び構造式[5]で表される化合物44.5gである。〕
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン ………0.98g
・ポリ−p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム ………16.4g
(分子量:約40万)
・下記構造式[6]で表わされる化合物 ………3.79g
・ポリエチルアクリレートのラテックス(20%液) ………1448ml
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド) ………52.2g
・1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン ………17.4g
Figure 2006150897
Figure 2006150897
(第2バックコート層用塗布液の調製)
下記の組成に水を加え、全量を26.59リットルとなるように調製して、第2バックコート層用塗布液(以下、「BPC層用塗布液」という。)を得た。
<BPC層用塗布液の組成>
・石灰処理ゼラチン(水溶性バインダー) ………1000g
・球形PMMAマット剤(平均粒径:0.7μm)15%を含むゼラチン濃度3.72%のゼラチン分散物
………1015g
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン ………2.09g
・p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエチルスルホン酸ナトリウム
………9.53g
・ポリアクリル酸ナトリウム(分子量:約10万) ………57.9g
・ポリ−p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(分子量:約40万)
………22.9g
・N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸アミドブチルスルホン酸ナトリウム ………0.37g
・ヘキサデシルオキシ−ノニル(エチレンオキシ)−エタノール ………8.97g
・1mol/l(1N)水酸化ナトリウム水溶液 ………28.1g
・ポリエチルアクリレートのラテックス(20%液) ………2087ml
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド) ………18.0g
・1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン ………6.0g
(バックコート層付支持体の作製)
JIS−Z8701(1999)に記載の方法により規定された色度座標で、x=0.2850、y=0.2995に青色染色した透明PET支持体(厚さ175μm)を用意し、上記より得たBC層用塗布液及びBPC層用塗布液を、該透明PET支持体上に、支持体に近い側からBC層用塗布液及びBPC層用塗布液の順にそれぞれの塗布量が49.2ml/m2及び14.70ml/m2となるように、スライドビード方式により同時重層塗布し乾燥した。ここで、該塗布及び乾燥条件は以下の通りである。
塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Paだけ低く設定した。支持体は塗布前に予めイオン風にて徐電しておいた。引き続き、チリングゾーンにおいて、乾球温度10〜20℃の風で塗布液を冷却した後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
以上のようにして、透明PET支持体の一方の側に、2層からなるバックコート層を形成した。
(感熱記録材料の作製)
(1)感熱記録層の作製
上記バックコート層を塗布した支持体のバックコート層と反対の面に、支持体に近い側から、前記感熱記録層用塗布液(A)、前記感熱記録層用塗布液(B)、前記中間層用塗布液、前記保護層用塗布液の順でそれぞれ塗布量が41.3mL/m2、22.5mL/m2、24.7mL/m2、27.5mL/m2になるようにスライドビード法により同時重層塗布し乾燥して、支持体上に感熱記録層(A)、感熱記録層(B)、中間層及び保護層を有する本発明の透明な感熱記録材料を得た。各層の塗布液は33℃〜37℃の温度範囲に調整した。上記の乾燥条件は以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜1000Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続く初期乾燥ゾーンにおいて、温度45℃〜55℃、露点0〜5℃の風にて乾燥後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度30〜45℃、湿球温度17〜23℃の乾燥風で乾燥させ、乾燥後25℃で湿度40〜60%にて調湿した。
(実施例2)
実施例1の(バックコート層付支持体の作製)において、BC層用塗布液の塗布量を34.7ml/m2に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2の感熱記録材料を作製した。
(実施例3)
実施例1の(第1バックコート層用塗布液の調製)において、「球形PMMAマット剤(平均粒径:5.7μm)12%を含むゼラチン分散物」の添加量を36.7gに変更したこと、及び(バックコート層付支持体の作製)において、BC層用塗布液の塗布量を49.2ml/m2に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例3の感熱記録材料を作製した。
(比較例1)
実施例1の(バックコート層付支持体の作製)において、BC層用塗布液の塗布量を55.8ml/m2に変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の感熱記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例1の(第1バックコート層用塗布液の調製)において、「球形PMMAマット剤(平均粒径:5.7μm)12%を含むゼラチン分散物」の添加量を34.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例2の感熱記録材料を作製した。
[評価]
・帯電量の測定
以上のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1〜2の感熱記録材料を、25℃25%RHの環境下にて2時間調湿した後、25℃25%RH環境下にて、画像形成装置として富士メディカルドライレーザーイメージャDRYPIX1000(プラテンロールの材質:シリコンゴム)を用いて画像を形成し、10枚目に搬出された感熱記録材料に対し、シシド静電気(株)製のスタチロンM2を使用して帯電量を測定した。なお、帯電レベルは、5kVを超えると放電しやすくなり、搬出された感熱記録材料に触れると放電現象を知覚してしまうため感熱記録材料として使用不可能なレベル(×)とし、5kV以下を良好なレベル(○)とし、1kV以下をさらに良好なレベル(◎)として評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006150897
表1より、バックコート層のマット剤が本発明の範囲内にある実施例1〜3は、帯電レベルが良好かそれ以上のレベルを示し、帯電の少ない感熱記録材料が得られたことが分かる。また、バックコート層におけるマット剤の突出量が本発明の範囲外である比較例1、及びマット剤の添加量が本発明の範囲外である比較例2はいずれも帯電量が多く使用不可能であった。

Claims (4)

  1. 少なくとも、バックコート層と、支持体と、感熱記録層とをこの順に有する感熱記録材料であって、
    前記バックコート層が、マット剤を含有しており、AFMで測定したバックコート層の表面からのマット剤の突出高さが2.7μm以上であること、及び
    前記マット剤の添加量が0.01〜5g/m2の範囲であること、を特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記バックコート層が帯電防止剤を含有し、該バックコート層の表面抵抗値が1015Ω/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 前記バックコート層のバインダーが、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及びメチルセルロースのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の感熱記録材料に、サーマルヘッドと、該サーマルヘッドに向けて前記感熱記録材料を押しつけるプラテンロールとを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法であって、
    前記画像形成装置のプラテンロールの材質がゴムであることを特徴とする画像形成方法。
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