JP2004276462A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】面状が良好で、高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有する感熱記録材料において、前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有し、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液により塗設された層であることを特徴とする感熱記録材料である。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有する感熱記録材料において、前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有し、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液により塗設された層であることを特徴とする感熱記録材料である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関し、特に、医療用記録媒体等に適した高画質の感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が一般紙に近い、(3)取扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く、安価である、(6)記録時の騒音が無い、(7)メンテナンスが不要である、等の利点があることから近年様々な分野で発達しており、例えば、ファクシミリやプリンター等の分野、POS等のラベル分野等に用途が拡大している。
【0003】
上記感熱記録に用いる感熱記録材料としては、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾ化合物とカプラーとの反応を利用したもの、等が従来から広く知られている。
【0004】
また、近年では、画像等をオーバーヘッドプロジェクターにより投影したり、画像等をライトテーブル上で直接観察したりする等のために、サーマルヘッドで直接記録することのできる、透明な支持体に感熱記録層を設けた感熱記録材料の開発が望まれている。特に透明な感熱記録材料は、医療用診断画像を作製するたものものとして、注目されている。
【0005】
このような透明な感熱記録材料は、それ自体の透明性は良好であるが、感熱プリンター等の感熱記録装置で印画等した場合にスティッキングや騒音が発生しやすいという問題があった。特に透明な感熱記録材料を医療用として用いる場合、高い透過濃度が要求されるため、サーマルヘッドで印加する熱エネルギーが大きくなり、スティッキング、記録時の騒音、サーマルヘッド摩耗等が問題が重大化する。そのため、スティッキング、騒音を改善する目的で、感熱記録層上に顔料、潤滑剤、及びバインダーを主成分とする保護層を設けることが行われている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0006】
また、保護層の他に、ガス遮断層、下塗り層、紫外線フィルター層、光反射防止層等も適宜設けられる。これらの層を支持体に設けるには、支持体上に順次各層を形成する方法の他、総ての層を一遍に押出しダイ方式等により重層塗布する方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
しかし、上記何れの方法を適用する場合においても、塗膜が混合すると面状が悪化し高品位な感熱記録材料が得られなくなることから、塗膜同士の混合を防ぐことが高品位な感熱記録材料を得るうえで必要となる。
また、感熱記録材料を製造に際して高速塗布が適用される場合には、面状故障(ザラツキ、風ムラ、等)を生じる場合があった。面状故障に関しては、保護層(最上層)で故障が生じた場合であっても、下層にまで影響が及んでしまうという問題があった。
さらには、製造効率を高めるために、乾燥工程で高速の風を当てて乾燥させると、乾燥面にムラが生じ面状が悪化することがあった。
【0008】
特に、透明な感熱記録材料を用いて、医療用診断画像を作製する場合、細部まで明瞭な画像が形成されなければ正確な診断ができない。このような観点からも、感熱記録材料における上記したような面状悪化は、画像形成に悪影響を与え問題となる。従って、高い製造効率を有しながら、医療用記録媒体等に適しており、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料が望まれているが、未だ提供されるに至っていないのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特許第318225号明細書
【特許文献2】
特開平8−90916号公報
【特許文献3】
特開2000−355164号公報
【特許文献4】
特開平4−97886号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い製造効率を維持しつつ、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有する感熱記録材料において、
前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有し、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液により塗設された層であることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記中間層は、ウェット膜面温度を35℃以下に制御して乾燥された層であることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記複数の層及び中間層の総てを、押出しダイ方式により、同時に重層塗布してなることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有し、前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有して構成される。さらに必要に応じて、その他の層を有していてもよい。
【0013】
[中間層及びこれに関連する事項]
本発明に係る中間層は、少なくとも感熱記録層を含む複数の層の、少なくとも1組の隣接する2つの層の間に形成された層である。ここで、複数の層とは、感熱記録層の他に、保護層、ガス遮断層、紫外線フィルター層、光反射防止層、下塗り層、等が含まれる。
【0014】
本発明に係る中間層は、ゼラチンをバインダーとして含む層であり、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液(以下、適宜「中間層用塗布液」と称する。)により塗設された層であることを要する。中間層用塗布液の粘度は、効果及び塗布液のハンドリング性の観点からは、100mPa・s以上300mPa・s以下であることがより好ましく、150mPa・s以上250mPa・sであることが最も好ましい。粘度が、40mPa・s未満であると、高速塗布時の風ムラが顕著に悪化し、また面状故障頻度も増加する。一方、粘度が500mPa・sを越えると、塗布液のハンドリングが困難になることから、塗布液の送液や塗布時の脱泡が不充分となり、延いては面状故障の原因となる。
【0015】
なお、本明細書における粘度の値は、JIS(Z8803)規定に準じ、ロータ回転数60rpmでの40℃保温時のB型粘度測定により規定されるものである。
【0016】
中間層塗布液の粘度を調整する方法としては、粘度を上記した範囲に制御しうるものであれば、特に制限はされないが、例えば、ゼラチン溶解濃度による調整、増粘調整剤添加による調整、などが好適に挙げられる。また、これらの調整方法を組み合わせて適用してもよい。
【0017】
塗布液の粘度は、前述のゼラチン濃度による調整、さらにゼラチンと硬膜作用を有する素材による溶液中の反応により調整可能である。具体的には、アニオン性高分子(ビニルスルフォン系化合物)、ジアルデヒド類等、例えば、T.H.James著 “THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(MacmillanPublishing Co., Inc.刊、1977年刊) p77〜78、に記載のものを添加することよる粘度調整が挙げられる。本発明においては、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアニオン系高分子の添加による粘度調整が特に好適である。
前記増粘調整剤の添加量としては、溶液のゼラチン濃度により大きく好ましい領域が変化するため、液物性に応じて適宜添加量の調整が必要である。
【0018】
中間層用塗布液におけるゼラチン濃度としては、2〜20質量%程度が好ましく、3〜12質量%程度がより好ましい。
【0019】
本発明に係る中間層は、上述の如く、ゼラチンをバインダーとして含むことを特徴とする。ゼラチンは、高温では水溶液が流動性を有しているが、低温(例えば、35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるという性質を有する。このため、中間層のバインダーとしてゼラチンを用いると、支持体の上に複数の層を形成するための塗布液を塗布・乾燥して層を設ける場合や、複数の層を順次塗布・乾燥する方法でも、また、押し出しダイ方式等で一度に重層塗布・乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止され、得られる感熱記録材料の面状が良好となる。
また、本発明の感熱記録材料の作製においては高速塗布が好適に用いられるが、ゼラチンをバインダーとして含む中間層用塗布液を特定の粘度範囲に調整することで、高速塗布が適用される場合であっても塗布安定性が発揮され、ゼラチンが有する上記した特性と相俟って、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができる。さらには、高い風速で乾燥しても、面状が悪化せず、製造効率が向上する。
【0020】
中間層に含まれるゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチンあるいは修飾(処理)ゼラチンが挙げられ、いずれも支障なく用いることができる。修飾ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。
【0021】
なお、中間層に含まれるバインダーとしては、上記したゼラチンの他、本発明の効果を損ねない範囲で、他の公知のバインダーを併用してもよい。併用されるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、等を用いることができる。
【0022】
また、中間層には、塗布適性付与のため、種々の界面活性剤を添加してもよい。また、ガスバリヤー性をより高めるため、雲母等の無機微粒子を前記バインダーに対して2〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。
【0023】
中間層の乾燥塗布量は、0.5〜6g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
【0024】
さらに、前記複数の層又は中間層のいずれかの層が、フェノール性化合物を含むことが好ましい。フェノール性化合物は中間層に含まれるゼラチンと相互作用を起こし、層同士の界面がゲル化し、層の混合防止の効果が一層改善される。
さらに、中間層をゼラチンのセット温度である35℃前後以下で乾燥すると、ゼラチン自身のセット性に加え、前記フェノール性化合物とゼラチンとの相互作用が加わるので、層同士の混合防止効果が極めて大きくなる。また、前記相互作用及び/またはゼラチンのセット性により、高速の風で乾燥を行っても面状が悪化することがなく、面状が優れた感熱記録材料が得られる。
【0025】
前記複数の層及び中間層を順次、塗布・乾燥により形成する場合、フェノール性化合物は、中間層に隣接する層に含ませることが好ましいが、同時に重層塗布する場合には、どの層に含ませてもセット性向上の効果が得られる。
フェノール性化合物としては、分子中にフェノール性水酸基を1個あるいは2個以上有する化合物のいずれも用いることができる。例えば、以下に示すようなビスフェノール系化合物、ビスフェノールスルホン系化合物、ビスフェノールスルフィン系化合物の他、感熱記録材料の発色成分として用いる電子供与性無色染料を発色させるための電子受容性化合物として用いられるフェノール性化合物(例えば、特開2000−272243号公報の段落[0032]及び[0033]に記載のフェノール類)が特に制限なく用いられる。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
また、後述する感熱記録層の発色成分として電子供与性無色染料を用い、これを発色させるための電子受容性化合物としてフェノール類を用いる場合には、このフェノール類を、ゼラチンを含む中間層のセット性向上のためのフェノール性化合物として兼用させることができる。
【0029】
なお、フェノール性化合物を各層中に含ませるためには、各層の塗布液に、フェノール性化合物の乳化液を添加することにより行うことが好ましい。乳化液を調製する際には、ポリビニルアルコールを乳化安定剤として用いることが、乳化液の安定性、塗液のハンドリング(注.ゼラチン乳化液は非常にベトつき高粘液となる)、重層塗布時の拡散性の観点から好ましい。さらに、乳化液を調製する際、フェノール性化合物を低分子有機溶媒に溶解させたものを乳化することが好ましい。低分子有機溶媒を用いることにより、乳化がし易くなるほか、乳化液滴からフェノール性化合物が連続層に移行しやすくなり、セット性向上が得られ易くなる。低分子有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好適に用いられる。中でも、フェノール性化合物の溶解性、乳化適性、乳化液の安定性、水相への溶解度の観点から、エステル類が好ましい。
【0030】
フェノール性化合物の添加量は、使用する保護コロイド、ゼラチンの分子量分布等によって変化するが、隣接する層のゼラチン固形分に対して、5質量%以上であるのが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましい。
【0031】
中間層は、層を構成する各成分を溶媒に溶解又は分散させることにより得られた中間層塗布液を、支持体上に塗布、乾燥することにより設けられる。
また、中間層は、ウェット膜面温度を35℃前後(ゼラチンの種類によりセット温度は若干異なるが、一般に35℃前後がゼラチンのセット温度である。)以下に制御して乾燥された層であることが、ゼラチンのセット性を利用して層同士の混合を防止することができる観点から好ましい。
なお、中間層を塗布形成する場合に適用される塗布方法の詳細については、後述する感熱記録材料の作製方法において述べるが、前記複数の層及び中間層の総てを、押出しダイ方式により、同時に重層塗布した場合に、本発明の効果が端的に発揮されるため、かかる塗布方式は本発明おいて好適に用いられる。
【0032】
[感熱記録層]
本発明に係る感熱記録層は、少なくとも発色成分を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
【0033】
(発色成分)
前記感熱記録層は、未処理時には優れた透明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いかなる組成のものでも使用することができる。
このような感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bとを含有する、いわゆる二成分型感熱記録層が挙げられるが、発色成分A又は発色成分Bは、マイクロカプセルに内包されることが好ましい。この二成分型感熱記録層を構成する二成分の組合せとしては、下記(a)〜(m)のようなものが挙げられる。
【0034】
(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組合せ。
(b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成する物。
(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
【0035】
これらの中でも、本発明の感熱記録材料においては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ、又は(c)有機金属塩と還元剤との組合せを用いることが好ましく、特に上記(a)又は(b)の組合せであることがより好ましい。
【0036】
また、本発明の感熱記録材料は、(拡散透過率/全光透過率)×100(%)から算出されるヘイズ値を下げるように感熱記録層を構成することにより、透明性に優れた画像を得ることができる。このヘイズ値は材料の透明性を表す指数で、一般には、ヘイズメーターを使用して全光透過量、拡散透過光量、平行透過光量から算出される。
【0037】
本発明において、上記ヘイズ値を下げる方法としては、例えば、感熱記録層に含まれる前記発色成分A、Bの両成分の50%体積平均粒径を1.0μm以下、好ましくは、0.6μm以下とし、かつバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、前記発色成分A、Bのいずれか一方をマイクロカプセル化し、他方を塗布乾燥後に実質的に連続層を構成するような、例えば、乳化物のようなもの(乳化分散物など)として使用する方法等が挙げられる。また、感熱記録層に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける方法も有効である。
尚、前記50%体積平均粒径とは、レーザ回折粒度分布測定装置LA700((株)堀場製作所製)により測定した、顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径(以下、単に「平均粒径」という。)をいう。以下同様とする。
【0038】
次に、前記感熱記録層に好ましく使用される、前記組成の組合せ(a、b、c)について、以下に詳細に説明する。
−(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ−
本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であることが好ましい。
【0039】
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
【0040】
前記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許第23,024号明細書、米国特許第3,491,111号明細書、同第3,491,112号明細書、同第3,491,116号明細書、同第3,509,174号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオラン類の具体例としては、米国特許第3,624,107号明細書、同第3,627,787号明細書、同第3,641,011号明細書、同第3,462,828号明細書、同第3,681,390号明細書、同第3,920,510号明細書、同第3,959,571号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記スピロピラン類の具体例としては、米国特許第3,971,808号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記ピリジン系及びピラジン系化合物類としては、米国特許第3,775,424号明細書、同第3,853,869号明細書、同第4,246,318号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオレン系化合物の具体例としては、特願昭61−240989号公報等に記載された化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。
【0041】
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0042】
前記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;
【0043】
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体;
【0044】
又は、その多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。
中でも、良好な発色特性を得る観点からビスフェノール類が特に好ましい。
また、上記の電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
−(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ−
前記光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。
この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
【0046】
本発明において好ましく使用される光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられる。
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N2 + X−
上記式中、Arは、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 +はジアゾニウム基を表し、X−は酸アニオンを表す。
【0047】
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
【0048】
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
【0049】
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
【0050】
前記感熱記録層において、ジアゾ化合物とカプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができる観点から、増感剤として、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0051】
−(c)有機金属塩と還元剤との組合せ−
前記有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらの内、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
【0052】
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
上記のうち、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
【0053】
感熱記録材料の充分な透明性を確保するためには、前記感熱記録層に(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、又は(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用いることが好ましい。また、本発明では、前記発色成分Aと発色成分Bのいずれか一方を、マイクロカプセル化して使用することが好ましく、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して使用することがより好ましい。
【0054】
(マイクロカプセル)
以下に、マイクロカプセルの製造方法について詳述する。
マイクロカプセルの製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。
上記の通り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
【0055】
前記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。
【0056】
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テトライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
【0057】
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド若しくはポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
【0058】
前記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよい。
具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0059】
前記ポリイソシアナートは、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
【0060】
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0061】
また、前記マイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
【0062】
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするため、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。このうち、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0063】
油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
【0064】
前記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエステル及びジエステル等のエチレングリコールエステル類;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
【0066】
カプセル化しようとする電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物の前記疎水性有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。このような低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げられる。
【0067】
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に含有する場合、該電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.1〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。また、光分解性ジアゾ化合物の含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
電子供与性染料前駆体の含有量が上記範囲にあると、充分な発色濃度が得られ、また、両者の含有量が5.0g/m2以内であると、充分発色濃度が保持され、かつ、感熱記録層の透明性を保持することができる。
【0068】
一方、用いる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
【0069】
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0070】
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行うことが好ましい。
【0071】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
【0072】
(乳化分散物)
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を芯物質としてカプセル化した場合には、用いる電子受容性化合物、又はカプラーは、例えば、水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0073】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点がら好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0074】
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコール又はその変成物、ポリアクリル酸アミド又はその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体が特に好ましい。
【0075】
また、油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましい。該混合比が0.02〜0.6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液安定性に優れる。
【0076】
本発明の感熱記録材料において電子受容性化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0077】
(感熱記録層用塗布液)
感熱記録層用塗布液は、例えば、上記のように調製したマイクロカプセル液と乳化分散物とを混合することにより、調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子は、前記感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
【0078】
添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
【0079】
感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全かつ均一に塗布するとともに、塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
【0080】
(他の成分)
以下に、感熱記録層に用いることのできる他の成分について述べる。
他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0081】
熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。
熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
【0082】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書等に記載されている。
【0083】
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
【0084】
前記他の成分の塗布量としては、0.05〜1.0g/m2程度が好ましく、0.1〜0.4g/m2がより好ましい。なお、前記他の成分は、前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、前記マイクロカプセル外に添加してもよい。
【0085】
感熱記録層は、サーマルヘッドの僅かな熱伝導の差異等から生ずる濃度ムラ等を抑え高画質な画像を得るため、飽和透過濃度(DT−max)を得るのに必要なエネルギー量幅、即ち、ダイナミックレンジが広い感熱記録層であることが好ましい。本発明の感熱記録材料は上記のような感熱記録層を有し、90〜150mJ/mm2の範囲の熱エネルギー量で、透過濃度DT−max3.0を得ることができる特性を有する感熱記録層であることが好ましい。
【0086】
感熱記録層は、塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2になるように塗布されること、及び該層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。感熱記録層は、2層以上積層して用いることも可能である。この場合、全感熱記録層の塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2であることが好ましい。
【0087】
[保護層]
保護層は、感熱記録層上に、又は、中間層を感熱記録層上に設ける場合には、中間層上に形成される層である。
保護層には、各種添加剤、例えば、スティッキング防止剤、離型剤、潤滑剤、すべり剤、表面光沢調整剤、マット剤、等を挙げることができる。
前記スティッキング防止剤は、感熱記録の際にサーマルヘッドが感熱記録材料に融着(スティッキング)したり、サーマルヘッドに記録カスが付着したり、異音が発生することを防止する等のために添加するものであり、各種の顔料が挙げられる。
【0088】
保護層に用いることのできる顔料としては、その平均粒径、詳しくは、レーザー回折法で測定した50%体積平均粒径(レーザー回折粒度分布測定装置LA700((株)堀場製作所製)により測定した、顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径。以下、単に、「平均粒径」ということがある。)が、0.10〜5.00μmであることが好ましく、特に、サーマルヘッドにより記録する際のヘッドと感熱記録材料との間におけるスティッキングや異音等の発生を防止する観点から、上記50%体積平均粒径が0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。
この50%体積平均粒径が0.10〜5.00μmの範囲にあると、サーマルヘッドに対する摩耗の低減効果が大きく、サーマルヘッドと保護層中のバインダーとの間の溶着を防止する効果が大きく、その結果、印画時にサーマルヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着する、いわゆるスティッキングを効果的に防止すことができる。
【0089】
保護層中に含有される顔料としては、特に限定されるものではなく、公知の有機、無機の顔料を挙げることができるが、特に、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料が好ましい。中でも、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカがより好ましい。これらの顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、前記顔料を、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、及び高級アルコールからなる群より選択される少なくとも一種により表面被覆してもよい。
前記高級脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0090】
これらの顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分散助剤、好ましくは、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニウム塩の共存下で、ディゾルバー、サンドミル、ボールミル等の既知の分散機で、上述した平均粒径にまで分散して使用されることが好ましい。即ち、顔料の50%体積平均粒径が0.10〜5.00μmの範囲の粒径になるまで分散してから使用されることが好ましい。
【0091】
また、前記の離型剤、潤滑剤及びすべり剤としては、高級脂肪酸(炭素数8〜24)、又はこの金属塩の他、以下の構造式(1)ないし(3)で示されるアミド化合物が挙げられる。前記離型剤等としては、たとえば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド等が好ましく用いられる。
【0092】
【化3】
【0093】
構造式(1)、(2)及び(3)中、XはH、又はCH2OHを表し、R1、R2、R3、R4は炭素数8〜24の飽和又は不飽和のアルキル基で分岐してもよく、ヒドロキシ化しても良い。R3とR4は同一でも異なっていても良い。
Lは下記の構造式(4)で表される。
【0094】
【化4】
【0095】
構造式(4)中、n+m=0〜8である。
これらのうち、特に構造式(1)、構造式(3)で表される化合物が好ましく、R1、R3とR4は炭素数が12〜20の飽和又は不飽和のアルキル基が好ましい。アルキル基は、分岐してもよく、構造中にヒドロキシ基を有していても良い。n+mは、h=0の場合、0〜4、特に2が好ましく、h=1の場合、0〜2が好ましい。
【0096】
前記離型剤、潤滑剤又はすべり剤は、固体の場合、1)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、サンドミル等の既知の分散機で水分酸物の形で用いられるか、2)溶剤に溶かした後、水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、コロイドミル等の既知の乳化装置で乳化物の形で用いられる。
離型剤、潤滑剤又はすべり剤が、液体の場合、上記のような乳化物の形で用いられ、乳化物の好ましい平均粒子径は0.1〜5.0μmで、0.1〜2μmが更に好ましい。ここでいう平均粒子径は、ホリバ製作所 レーザー回折粒度分布測定装置 LA700で透過率75%±1%で測定した50%平均粒子径をさす。
【0097】
前記離型剤、潤滑剤又はすべり剤が疎水性有機材料の場合には、これらを有機溶媒に溶解させたものを乳化して用いることが好ましい。離型剤等を乳化物として用いる場合、保護層には、水不溶性の粒子は、これらを含む液滴粒子として存在することになる。
【0098】
前記表面光沢調整剤及びマット剤としては、でんぷん粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粒子、無機顔料等が用いられる。これらは、前記スティッキング防止に使用の顔料と同様に分散物として用いられる。
【0099】
(バインダー)
保護層には透明性を良好なものとする観点から、バインダーとして、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール等が好ましい。
【0100】
(他の成分)
保護層には、公知の硬膜剤等が含有されていてもよい。
また、感熱記録層上、又は中間層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液に界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤としては、スルホ琥珀酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホ琥珀酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩、アセチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
【0101】
更に、保護層中には感熱記録材料の帯電防止の目的で界面活性剤、金属酸化物微粒子、無機電解質、高分子電解質等を添加してもよい。
【0102】
保護層は、単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。前記保護層の乾燥塗布量は0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
【0103】
[その他の層]
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、前記した各層の他、その他の層として、下塗り層、紫外線フィルター層、光反射防止層等を設けることができる。
【0104】
<下塗り層>
また、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、前記感熱記録層や保護層等を塗布する前に支持体上に予め下塗り層を形成しておいてもよい。前記下塗り層は、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いてなり、該層の厚みとしては、0.05〜0.5μmが好ましい。
【0105】
前記下塗り層上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層はグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類又はホウ酸等の硬膜剤を用いて硬膜させることが好ましい。前記硬膜剤の添加量は、下塗り層の乾燥質量に対して0.2〜3.0質量%の範囲で、所望の硬化度に合わせて適宜、添加することができる。
【0106】
<光遮断層(紫外線フィルター層)>
本発明の感熱記録材料おいては、画像の光による褪色及び地肌カブリ防止のために光遮断層を設けてもよい。光遮断層は、結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって、地肌が変色したり、画像部が変色又は褪色することを防止する。光遮断層の作製方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤の他、特開平4−197778号等に記載されているものが利用できる。
【0107】
<光反射防止層>
本発明の感熱記録材料おいては、感熱記録層の塗布面と反対の支持体裏面側に、平均粒径が1〜20μm、好ましくは1〜10μmの微粒子を含有する光反射防止層を設けてもよい。
この光反射防止層の塗設により、入射光角20°で測定した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。
前記光反射防止層に含有される微粒子としては、大麦、小麦、コーン、米、豆類より得られる澱粉等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニル等の共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機物の微粒子等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、感熱記録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が1.45〜1.75の微粒子状物質であることが好ましい。
【0108】
[支持体]
本発明の感熱記録材料では、透明な感熱記録材料を得るために、透明支持体を用いることが好ましい。透明支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられ、これらを単独で、或いは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚みとしては、25〜250μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
【0109】
また、上記の合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよい。高分子フィルムを着色する方法としては、樹脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィルムを成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0110】
特に、本発明の透明な感熱記録材料をシャーカステン上で支持体側から観察した場合、透明な非画像部分を透過するシャーカステン光により幻惑が生じ見ずらい画像になることがある。したがって、これを回避する観点から、JIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標上の、A(x=0.2805,y=0.3005)、B(x=0.2820,y=0.2970)、C(x=0.2885,y=0.3015)、D(x=0.2870,y=0.3040)の4点で形成される四角形の領域内に青く着色された合成高分子フィルムを用いることが特に好ましい。
また、支持体の感熱記録層を設けない側には、バックコート層を設けてもよい。
【0111】
[感熱記録材料の製造方法]
以下、本発明の感熱記録材料の製造方法について説明する。
本発明の感熱記録材料を構成する各層は、前述した感熱記録層、中間層、保護層、等を含む複数の層を形成するための塗布液を調整し、該塗布液を支持体上に、順次あるいは同時に重層塗布し、乾燥することにより形成される。
【0112】
ここで使用される支持体は、本発明の感熱記録材料に使用される既に説明した支持体を用いることができる。また、感熱記録層塗布液、中間層用塗布液、保護護層用塗布液、等の各層形成用の塗布液についても、前術した各層の説明において記載したものを用いることができる。
【0113】
本発明の感熱記録材料の製造方法では、支持体上に、下塗り層、感熱記録層、中間層、保護層等を順次形成するために、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法が用いられる。また、複数の層を同時に重層塗布する方法としては押出しダイ法が挙げられる。
【0114】
さらに具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer 著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL 社刊、1997年)399頁から536頁に記載のエクストルージョンコーティング又はスライドコーティングが好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は、同書427頁のFigure 11b.1 にある。また、所望により、同書399頁から536頁に記載の方法、米国特許第2,761,791号明細書及び英国特許第837,095号明細書に記載の方法により2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0115】
[サーマルヘッド]
本発明の感熱記録方式に用いられるサーマルヘッドは、感熱記録材料に接触する最上層の炭素比率が90%以上となるように既知の製膜装置を用いてグレーズ層上に発熱抵抗体と電極を具備する加熱素子に保護層を設けたものである。ヘッド保護層は、2層以上でもよいが、少なくとも最上層は炭素比率が90%以上であることが必要である。
【0116】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、以下において、「%」は「質量%」を意味する。
【0117】
<保護層用塗布液の調製>
−保護層用顔料分散液の調製−
水110gに、顔料としてステアリン酸処理水酸化アルミニウム(ハイジライトH42S,昭和電工(株)製)30gを加え3時間撹拌した後、これに分散助剤(ポイズ532A,花王(株)製)0.8g、10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA105,(株)クラレ製)30g、及び2%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液10gを加えてサンドミルで分散し、平均粒径0.30μmの保護層用顔料分散液を得た。
【0118】
尚、「平均粒径」は、用いる顔料を分散助剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5%に希釈した被検液を、40℃の温水中に投入し光透過率が75±1.0%になるように調整した後、30秒間超音波処理しレーザー回折粒度分布測定装置(LA700,(株)堀場製作所製)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を使用し、以下に記載の「平均粒径」は全て同様の方法により測定した平均粒径を表す。
【0119】
【化5】
【0120】
−保護層用塗布液の調製−
水65gに、下記組成の化合物を混合して保護層用塗布液を得た。
・8%ポリビニルアルコール水溶液 …90g
(PVA124C,(株)クラレ製)
・20.5%ステアリン酸亜鉛分散物 … 5.5g
(F−115,中京油脂(株)製)
・21.5%ステアリン酸アミド化合物 … 3.8g
(G−270,中京油脂(株)製)
・18.0%ステアリン酸 … 2.8g
(セロゾール920,中京油脂(株)製)
・4%ホウ酸水溶液 …10g
・前記保護層用顔料分散液(18%) …70g
・35%シリコーンオイル水分散液 … 4.7g
(ポリジメチルシロキサン,BY22−840,東レ・ダウコーニング(株)製)
・10%ドデシルベンゼンスルフォン酸Na塩水溶液 … 6.5g
・ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸のアンモニウム塩 … 3.28g
(日本油脂(株)製、ニッサンエレクトールSAL1の75%液)
・6%スチレン−マレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 …17.5g
(ポリマロン385,荒川化学(株)製)
・20%コロイダルシリカ …14g
(スノーテックス,日産化学(株)製)
・10%サーフロンS131S(セイミケミカル(株)製) …16g
・プライサーフA217(第一工業製薬(株)製) … 1.1g
・2%酢酸 … 8g
【0121】
<感熱記録層用塗布液の調製>
以下のように、マイクロカプセル液、顕色剤乳化分散物の各液を調製した。
−マイクロカプセル液Aの調製−
酢酸エチル24.3gに、発色剤として、
下記構造式[201]で表される化合物 …11.7g
下記構造式[202]で表される化合物 … 1.5g
下記構造式[203]で表される化合物 … 2.2g
下記構造式[204]で表される化合物 … 5.65g
下記構造式[205]で表される化合物 … 1.2g
下記構造式[206]で表される化合物 … 1.1g
下記構造式[207]で表される化合物 … 0.57g
【0122】
【化6】
【0123】
【化7】
【0124】
【化8】
【0125】
を添加して70℃に加熱、溶解した後、45℃まで冷却した。これに、カプセル壁材(タケネートD140N,武田薬品工業(株)製)13.1g、及びバーノックD750(大日本インキ工業(株)製)2.3gを加え、混合した。
【0126】
得られた溶液を、水16gに8%のポリビニルアルコール水溶液(PVA217C,(株)クラレ製)48gを混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に、更に水110g及びテトラエチレンペンタミン1.0gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均粒径0.35μmのマイクロカプセル液A(固形分濃度23%)を調製した。
【0127】
−マイクロカプセル液Bの調製−
酢酸エチル21gに、
前記構造式[201]で表される化合物 …12.2g
前記構造式[202]で表される化合物 … 1.6g
前記構造式[203]で表される化合物 … 2.4g
前記構造式[204]で表される化合物 … 3.3g
前記構造式[205]が表される化合物 … 1.5g
前記構造式[206]で表される化合物 … 0.2g
前記構造式[207]が表される化合物 … 0.5g
を添加し、70℃に加熱、溶解した後、35℃に冷却した。これにn−ブタノール0.5g、タケネートD127N(武田薬品工業(株)製)14.1g、及びタケネートD110N(武田薬品工業(株)製)2.5gを加え、35℃のまま40分間保温した。
【0128】
得られた溶液を、水16.6gに8%のポリビニルアルコール(PVA217C,(株)クラレ製)48.1gを混合した水相中に加え、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い、15000rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に更に水112g及びテトラエチレンペンタミン0.9gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均粒径0.35μmのマイクロカプセル液B(固形分濃度24%)を調製した。
【0129】
−顕色剤乳化分散液の調製−
顕色剤として、
下記構造式[301]で表される化合物 …6.7g
下記構造式[302]で表される化合物 …8.0g
下記構造式[303]で表される化合物 …5.8g
下記構造式[304]で表される化合物 …1.5g
下記構造式[305]で表される化合物 …2.2g
下記構造式[306]で表される化合物 …0.8g
下記構造式[307]で表される化合物 …4.3g
【0130】
【化9】
【0131】
【化10】
【0132】
をトリクレジルフォスフェート1.0g、マレイン酸ジエチル0.5gと共に、酢酸エチル16.5gに添加し、70℃に加熱して溶解した。この溶液を、水70g、8質量%ポリビニルアルコール水溶液(PVA217C、(株)クラレ製)57g、15質量%のポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA205C,(株)クラレ製)20g、下記構造式[401]で挙げられる化合物及び下記構造式[402]で表される化合物の2質量%水溶液11.5gを混合した水相中に加えた後、
【0133】
【化11】
【0134】
エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000rpmで平均粒径0.7μmになるように乳化し、顕色剤乳化分散物(固形分濃度22%)を得た。
【0135】
−感熱記録層用塗布液Aの調製−
前記マイクロカプセル液A12g、前記マイクロカプセル液B2.5g、前記顕色剤乳化分散液50g、下記構造式[403]で表される化合物の50%水溶液0.7g、及びコロイダルシリカ(スノーテックス、日産化学(株)製)1.8gを混合して、感熱記録層用塗布液Aを調製した。
【0136】
【化12】
【0137】
−感熱記録層用塗布液Bの調製−
下記組成の化合物を混合し、感熱記録層用塗布液Bを調製した。
・前記マイクロカプセル液A … 2.3g
・前記マイクロカプセル液B … 6.6g
・前記顕色剤乳化分散液 …33g
・コロイダルシリカ(スノーテックス、日産科学(株)製) … 1.5g
・前記構造式[403]で表される化合物の50%水溶液 … 0.4g
【0138】
−感熱記録層用塗布液Cの調製−
6%のPVA水溶液(PVA124C、(株)クラレ製)35g、下記構造式[404]で表される化合物の2%水溶液2g、及び前記マイクロカプセル液A0.5gを水5gに溶解し、感熱記録層用塗布液Cを調製した。
【0139】
【化13】
【0140】
<中間層用塗布液Aの調製>
石灰処理ゼラチン3.2kgに水53.7kg、ジ−2−エチルヘキシルスルフォコハク酸Na塩(ニッサンラピゾールB90、日本油脂(株)製)の5%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)を442g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量約40万)90g加えたのち、さらに加水し全体が56.6Lとなるように溶解・調整し、中間層用塗布液(1)を得た。
中間層用塗布液(1)の40℃での粘度を、B型粘度計(商品名:B型粘度計BL式、東京計器製、No2ローター/60rpm)で測定したところ120mPa・sであった。
【0141】
<第一バック層用塗布液の調製>
下記組成に水を加え、全量を28.54Lとなるよう調製し、第一バック層用塗布液(以下、「BC層用塗布液」という。)を得た。尚、本層における水溶性バインダー量は、下記石灰処理ゼラチンと「球形PMMAマット剤12%を含むゼラチン分散物」中のゼラチンとの合計量である。
【0142】
[BC層用塗布液の組成]
・石灰処理ゼラチン(水溶性バインダー) …1kg
・球形PMMAマット剤(平均粒子径5.7μm)12%を含むゼラチン分散
物 … 334g
・下記構造式[501]〜[505]で表わされる化合物を以下の含有率で含
む紫外線吸収剤の乳化物 …1517g
〔乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤含有量は、
構造式[501]で表される化合物 ・・・14.9g
構造式[502]で表される化合物 ・・・12.7g
構造式[503]で表される化合物 ・・・14.9g
構造式[504]で表される化合物 ・・・21.1g
構造式[505]で表される化合物 ・・・44.5g
である。〕
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン … 1.72g
・ポリ−p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム … 22.5g
(分子量約40万)
・下記構造式[506]で表わされる化合物 … 8.45g
・ポリエチルアクリレートのラテックス20%液 …3219ml
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)… 75.0g
・1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン… 25.0g
【0143】
【化14】
【0144】
<第二バック層用塗布液の調製>
下記組成に水を加え、全量を25.00リットルとなるよう調製し、第二バック層用塗布液(以下、「BPC層用塗布液」という。)を得た。尚、本層における水溶性バインダー量は、下記石灰処理ゼラチンと「球形PMMAマット剤15%を含むゼラチン分散物」中のゼラチンとの合計量である。
【0145】
[BPC層用塗布液の組成]
・石灰処理ゼラチン(水溶性バインダー) …1000g
・球形PMMAマット剤(平均粒子径0.70μm)15%を含むゼラチン分
散物 …1038g
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン … 2.09g
・p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエチルスルホン酸ナトリウ
ム … 9.53g
・ポリアクリル酸ナトリウム(分子量約10万) … 57.9g
・ポリ−p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(分子量約40万)… 22.5g
・N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸
アミドブチルスルホン酸ナトリウム … 0.37g
・ヘキサデシルオキシ−ノニル(エチレンオキシ)−エタノール… 8.97g
・1N水酸化ナトリウム水溶液 … 28.1g
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)… 18.0g
・1,3−(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン … 6.0g
【0146】
<BC層及びBPC層の形成>
JIS−Z8701に記載の方法により規定された色度座標でx=0.2850、y=0.2995に青色染色した透明PET支持体(厚さ180μm)を用意し、上記より得たBC層用塗布液及びBPC層用塗布液を、該透明PET支持体上に、支持体に近い側からBC層用塗布液、BPC層用塗布液の順でそれぞれの塗布量が47.4ml/m2、13.4ml/m2となるように、スライドビード方式により同時重層塗布、乾燥した。塗布、乾燥条件は以下の通りである。
【0147】
塗布スピードは160m/min.とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は予め塗布前にイオン風にて徐電しておいた。
引き続き、チリングゾーンにおいて、乾球温度10〜20℃の風で塗布液を冷却した後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
以上のようにして、透明PET支持体の一方の側に、二層からなるバック層を形成した。二層のバック層に含まれる水溶性バインダーの総塗布量は2.20g/m2である。
【0148】
<感熱記録材料の作製>
前記透明PET支持体(厚み175μm)のBC層及びBPC層が塗設された側と逆側の表面に、支持体に近い側から前記感熱記録層用塗布液A、前記感熱記録層用塗布液B、前記中間層用塗液、前記感熱記録層用塗布液C、及び前記保護層用塗布液の順で、それぞれの塗布量が50ml/m2、20ml/m2、18.2ml/m2、25ml/m2、25ml/m2になるように、スライドビード方式により同時重層塗布・乾燥し、支持体側から感熱記録層A、感熱記録層B、中間層、感熱記録層C及び保護層を有する、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
尚、塗布、乾燥条件は以下の通りである。
【0149】
塗布スピードは160m/min.とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。透明PET支持体は予め塗布前にイオン風にて徐電しておいた。
引き続き、第1乾燥ゾーンにおいて、乾球温度40〜60℃、露点0℃、膜面風速5m/sec以下の風をあてて初期乾燥を行った後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、相対湿度20〜70%RH、膜面風速15〜25m/secの乾燥風で、膜面温度を18〜23℃に調節して乾燥した。なお、塗布時における各塗布液の温度は、40℃であった。
【0150】
(実施例2)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を114gに変更して得られた中間層用塗布液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(2)を作製した。
中間層用塗布液(2)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、195mPa・sであった。
【0151】
(実施例3)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を126gに変更して得られた中間層用塗布液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(3)を作製した。
中間層用塗布液(2)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、290mPa・sであった。
【0152】
(実施例4)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を104gに変更して得られた中間層用塗布液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(4)を作製した。
中間層用塗布液(4)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、170mPa・sであった。
【0153】
(実施例5)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を76.5gに変更して得られた中間層用塗布液(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(5)を作製した。
中間層用塗布液(5)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、80mPa・sであった。
【0154】
(比較例1)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を48gに変更して得られた中間層用塗布液(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較用の感熱記録材料(6)を作製した。
中間層用塗布液(6)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、32mPa・sであった。
【0155】
(比較例2)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を159gに変更して得られた中間層用塗布液(7)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較用の感熱記録材料(7)を作製した。
中間層用塗布液(7)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、580mPa・sであった。
【0156】
[測定、評価]
以上により得られた感熱記録材料(1)〜(7)〔各々35cm×43cmのサンプル〕に対し、耐可塑剤性、風邪ムラ、及び面証故障の各々について評価を行った。
【0157】
1.耐可塑剤性
耐可塑剤性の評価は、以下の評価方法及び評価基準により行った。結果を表1に示す。
−評価方法−
サーマルヘッド(KGT、260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧10kg/cm2、記録エネルギー85mJ/mm2で記録した。その後以下の評価方法及び評価基準により評価した。
【0158】
印字後の上記サンプルを、食品用ラップ(塩化ビニルラップ)の間に挟み、40℃/60%RH環境下に、ガラス板で加圧して3日放置後、変化を目視で確認した。
【0159】
−評価基準−
AA 全く変化がない。
A 変色、消色はほぼないといえるが、変化が認識される。
B ごく僅かに変色、消色が発生するが、印字部の読み取りに全く問題はない。
C 変色、消色、滲みが発生し、印字部は読み取り可能であるが、実用上問題となるレベルである。
D 変色、消色、滲みが発生し、印字部の読み取りも困難であり、実用上問題となるレベルである。
【0160】
2.風ムラ
風ムラの評価は、以下の評価方法及び評価基準により行った。結果を表1に示す。
−評価方法−
1) 感熱記録材料を120℃オーブン中で4分間放置処理し、均一に発色させてで目視でムラを評価した。
2) サーマルヘッド(KGT260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧980kPa(10kg/cm2)で、透過濃度がOD1.2になるようにエネルギーを調整して、B4サイズのベタサンプルを作製し、シャーカステン上でムラを目視評価した。なお、透過濃度は、マクベス社製RD912型濃度計ビジュアルフィルター条件で測定した。
【0161】
−評価基準−
AA 全くムラがなく均一である。
A 殆ど均一であるが、観察条件によってはムラが視認される。
B 若干ムラが見えるが、濃度差は小さく、実画像では全く影響がない程度である。
C ムラは明瞭に発生しているが、画像読取り不良とはならず品位に欠けるレベルである。
D ムラが強く、実用上問題となるレベルである。
【0162】
3.面状故障
面状故障の評価は、以下の評価方法及び評価基準により行った。結果を表1に示す。
−評価方法−
サーマルヘッド(KGT260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧980kPa(10kg/cm2)で、記録エネルギー85mJ/mm2でのベタ印画サンプルをB4サイズ面積で各5枚作製し目視観察した。
−評価基準−
印画後のサンプルにおける直径0.5mm以上の黒ポツ故障発生頻度をカウントし、B4サイズ1枚当たりに平均化すること評価した。なお、実画像上では20個/B4以上は医療診断用として実用上懸念されるレベルである。
【0163】
【表1】
【0164】
表4から明らかなように、粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下である中間層用塗布液を用いて作製された感熱記録材料(1)〜(5)は、耐可塑剤性、風ムラ、面状故障の何れにおいても優れていることがわかる。
一方、比較例の感熱記録材料(6)及び(7)は、耐可塑剤性、風ムラのいずれかが劣っており、面状故障も多いものであった。なお、表1中、耐可塑剤性の評価ランクがCとなっている感熱記録材料(7)は、スポット状にカブリが発生していたものである。
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を提供することができる
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関し、特に、医療用記録媒体等に適した高画質の感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が一般紙に近い、(3)取扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く、安価である、(6)記録時の騒音が無い、(7)メンテナンスが不要である、等の利点があることから近年様々な分野で発達しており、例えば、ファクシミリやプリンター等の分野、POS等のラベル分野等に用途が拡大している。
【0003】
上記感熱記録に用いる感熱記録材料としては、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾ化合物とカプラーとの反応を利用したもの、等が従来から広く知られている。
【0004】
また、近年では、画像等をオーバーヘッドプロジェクターにより投影したり、画像等をライトテーブル上で直接観察したりする等のために、サーマルヘッドで直接記録することのできる、透明な支持体に感熱記録層を設けた感熱記録材料の開発が望まれている。特に透明な感熱記録材料は、医療用診断画像を作製するたものものとして、注目されている。
【0005】
このような透明な感熱記録材料は、それ自体の透明性は良好であるが、感熱プリンター等の感熱記録装置で印画等した場合にスティッキングや騒音が発生しやすいという問題があった。特に透明な感熱記録材料を医療用として用いる場合、高い透過濃度が要求されるため、サーマルヘッドで印加する熱エネルギーが大きくなり、スティッキング、記録時の騒音、サーマルヘッド摩耗等が問題が重大化する。そのため、スティッキング、騒音を改善する目的で、感熱記録層上に顔料、潤滑剤、及びバインダーを主成分とする保護層を設けることが行われている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0006】
また、保護層の他に、ガス遮断層、下塗り層、紫外線フィルター層、光反射防止層等も適宜設けられる。これらの層を支持体に設けるには、支持体上に順次各層を形成する方法の他、総ての層を一遍に押出しダイ方式等により重層塗布する方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
しかし、上記何れの方法を適用する場合においても、塗膜が混合すると面状が悪化し高品位な感熱記録材料が得られなくなることから、塗膜同士の混合を防ぐことが高品位な感熱記録材料を得るうえで必要となる。
また、感熱記録材料を製造に際して高速塗布が適用される場合には、面状故障(ザラツキ、風ムラ、等)を生じる場合があった。面状故障に関しては、保護層(最上層)で故障が生じた場合であっても、下層にまで影響が及んでしまうという問題があった。
さらには、製造効率を高めるために、乾燥工程で高速の風を当てて乾燥させると、乾燥面にムラが生じ面状が悪化することがあった。
【0008】
特に、透明な感熱記録材料を用いて、医療用診断画像を作製する場合、細部まで明瞭な画像が形成されなければ正確な診断ができない。このような観点からも、感熱記録材料における上記したような面状悪化は、画像形成に悪影響を与え問題となる。従って、高い製造効率を有しながら、医療用記録媒体等に適しており、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料が望まれているが、未だ提供されるに至っていないのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特許第318225号明細書
【特許文献2】
特開平8−90916号公報
【特許文献3】
特開2000−355164号公報
【特許文献4】
特開平4−97886号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い製造効率を維持しつつ、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有する感熱記録材料において、
前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有し、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液により塗設された層であることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記中間層は、ウェット膜面温度を35℃以下に制御して乾燥された層であることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記複数の層及び中間層の総てを、押出しダイ方式により、同時に重層塗布してなることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有し、前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有して構成される。さらに必要に応じて、その他の層を有していてもよい。
【0013】
[中間層及びこれに関連する事項]
本発明に係る中間層は、少なくとも感熱記録層を含む複数の層の、少なくとも1組の隣接する2つの層の間に形成された層である。ここで、複数の層とは、感熱記録層の他に、保護層、ガス遮断層、紫外線フィルター層、光反射防止層、下塗り層、等が含まれる。
【0014】
本発明に係る中間層は、ゼラチンをバインダーとして含む層であり、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液(以下、適宜「中間層用塗布液」と称する。)により塗設された層であることを要する。中間層用塗布液の粘度は、効果及び塗布液のハンドリング性の観点からは、100mPa・s以上300mPa・s以下であることがより好ましく、150mPa・s以上250mPa・sであることが最も好ましい。粘度が、40mPa・s未満であると、高速塗布時の風ムラが顕著に悪化し、また面状故障頻度も増加する。一方、粘度が500mPa・sを越えると、塗布液のハンドリングが困難になることから、塗布液の送液や塗布時の脱泡が不充分となり、延いては面状故障の原因となる。
【0015】
なお、本明細書における粘度の値は、JIS(Z8803)規定に準じ、ロータ回転数60rpmでの40℃保温時のB型粘度測定により規定されるものである。
【0016】
中間層塗布液の粘度を調整する方法としては、粘度を上記した範囲に制御しうるものであれば、特に制限はされないが、例えば、ゼラチン溶解濃度による調整、増粘調整剤添加による調整、などが好適に挙げられる。また、これらの調整方法を組み合わせて適用してもよい。
【0017】
塗布液の粘度は、前述のゼラチン濃度による調整、さらにゼラチンと硬膜作用を有する素材による溶液中の反応により調整可能である。具体的には、アニオン性高分子(ビニルスルフォン系化合物)、ジアルデヒド類等、例えば、T.H.James著 “THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(MacmillanPublishing Co., Inc.刊、1977年刊) p77〜78、に記載のものを添加することよる粘度調整が挙げられる。本発明においては、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアニオン系高分子の添加による粘度調整が特に好適である。
前記増粘調整剤の添加量としては、溶液のゼラチン濃度により大きく好ましい領域が変化するため、液物性に応じて適宜添加量の調整が必要である。
【0018】
中間層用塗布液におけるゼラチン濃度としては、2〜20質量%程度が好ましく、3〜12質量%程度がより好ましい。
【0019】
本発明に係る中間層は、上述の如く、ゼラチンをバインダーとして含むことを特徴とする。ゼラチンは、高温では水溶液が流動性を有しているが、低温(例えば、35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるという性質を有する。このため、中間層のバインダーとしてゼラチンを用いると、支持体の上に複数の層を形成するための塗布液を塗布・乾燥して層を設ける場合や、複数の層を順次塗布・乾燥する方法でも、また、押し出しダイ方式等で一度に重層塗布・乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止され、得られる感熱記録材料の面状が良好となる。
また、本発明の感熱記録材料の作製においては高速塗布が好適に用いられるが、ゼラチンをバインダーとして含む中間層用塗布液を特定の粘度範囲に調整することで、高速塗布が適用される場合であっても塗布安定性が発揮され、ゼラチンが有する上記した特性と相俟って、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができる。さらには、高い風速で乾燥しても、面状が悪化せず、製造効率が向上する。
【0020】
中間層に含まれるゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチンあるいは修飾(処理)ゼラチンが挙げられ、いずれも支障なく用いることができる。修飾ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。
【0021】
なお、中間層に含まれるバインダーとしては、上記したゼラチンの他、本発明の効果を損ねない範囲で、他の公知のバインダーを併用してもよい。併用されるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、等を用いることができる。
【0022】
また、中間層には、塗布適性付与のため、種々の界面活性剤を添加してもよい。また、ガスバリヤー性をより高めるため、雲母等の無機微粒子を前記バインダーに対して2〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。
【0023】
中間層の乾燥塗布量は、0.5〜6g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
【0024】
さらに、前記複数の層又は中間層のいずれかの層が、フェノール性化合物を含むことが好ましい。フェノール性化合物は中間層に含まれるゼラチンと相互作用を起こし、層同士の界面がゲル化し、層の混合防止の効果が一層改善される。
さらに、中間層をゼラチンのセット温度である35℃前後以下で乾燥すると、ゼラチン自身のセット性に加え、前記フェノール性化合物とゼラチンとの相互作用が加わるので、層同士の混合防止効果が極めて大きくなる。また、前記相互作用及び/またはゼラチンのセット性により、高速の風で乾燥を行っても面状が悪化することがなく、面状が優れた感熱記録材料が得られる。
【0025】
前記複数の層及び中間層を順次、塗布・乾燥により形成する場合、フェノール性化合物は、中間層に隣接する層に含ませることが好ましいが、同時に重層塗布する場合には、どの層に含ませてもセット性向上の効果が得られる。
フェノール性化合物としては、分子中にフェノール性水酸基を1個あるいは2個以上有する化合物のいずれも用いることができる。例えば、以下に示すようなビスフェノール系化合物、ビスフェノールスルホン系化合物、ビスフェノールスルフィン系化合物の他、感熱記録材料の発色成分として用いる電子供与性無色染料を発色させるための電子受容性化合物として用いられるフェノール性化合物(例えば、特開2000−272243号公報の段落[0032]及び[0033]に記載のフェノール類)が特に制限なく用いられる。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
また、後述する感熱記録層の発色成分として電子供与性無色染料を用い、これを発色させるための電子受容性化合物としてフェノール類を用いる場合には、このフェノール類を、ゼラチンを含む中間層のセット性向上のためのフェノール性化合物として兼用させることができる。
【0029】
なお、フェノール性化合物を各層中に含ませるためには、各層の塗布液に、フェノール性化合物の乳化液を添加することにより行うことが好ましい。乳化液を調製する際には、ポリビニルアルコールを乳化安定剤として用いることが、乳化液の安定性、塗液のハンドリング(注.ゼラチン乳化液は非常にベトつき高粘液となる)、重層塗布時の拡散性の観点から好ましい。さらに、乳化液を調製する際、フェノール性化合物を低分子有機溶媒に溶解させたものを乳化することが好ましい。低分子有機溶媒を用いることにより、乳化がし易くなるほか、乳化液滴からフェノール性化合物が連続層に移行しやすくなり、セット性向上が得られ易くなる。低分子有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好適に用いられる。中でも、フェノール性化合物の溶解性、乳化適性、乳化液の安定性、水相への溶解度の観点から、エステル類が好ましい。
【0030】
フェノール性化合物の添加量は、使用する保護コロイド、ゼラチンの分子量分布等によって変化するが、隣接する層のゼラチン固形分に対して、5質量%以上であるのが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましい。
【0031】
中間層は、層を構成する各成分を溶媒に溶解又は分散させることにより得られた中間層塗布液を、支持体上に塗布、乾燥することにより設けられる。
また、中間層は、ウェット膜面温度を35℃前後(ゼラチンの種類によりセット温度は若干異なるが、一般に35℃前後がゼラチンのセット温度である。)以下に制御して乾燥された層であることが、ゼラチンのセット性を利用して層同士の混合を防止することができる観点から好ましい。
なお、中間層を塗布形成する場合に適用される塗布方法の詳細については、後述する感熱記録材料の作製方法において述べるが、前記複数の層及び中間層の総てを、押出しダイ方式により、同時に重層塗布した場合に、本発明の効果が端的に発揮されるため、かかる塗布方式は本発明おいて好適に用いられる。
【0032】
[感熱記録層]
本発明に係る感熱記録層は、少なくとも発色成分を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
【0033】
(発色成分)
前記感熱記録層は、未処理時には優れた透明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いかなる組成のものでも使用することができる。
このような感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bとを含有する、いわゆる二成分型感熱記録層が挙げられるが、発色成分A又は発色成分Bは、マイクロカプセルに内包されることが好ましい。この二成分型感熱記録層を構成する二成分の組合せとしては、下記(a)〜(m)のようなものが挙げられる。
【0034】
(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組合せ。
(b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成する物。
(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
【0035】
これらの中でも、本発明の感熱記録材料においては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ、又は(c)有機金属塩と還元剤との組合せを用いることが好ましく、特に上記(a)又は(b)の組合せであることがより好ましい。
【0036】
また、本発明の感熱記録材料は、(拡散透過率/全光透過率)×100(%)から算出されるヘイズ値を下げるように感熱記録層を構成することにより、透明性に優れた画像を得ることができる。このヘイズ値は材料の透明性を表す指数で、一般には、ヘイズメーターを使用して全光透過量、拡散透過光量、平行透過光量から算出される。
【0037】
本発明において、上記ヘイズ値を下げる方法としては、例えば、感熱記録層に含まれる前記発色成分A、Bの両成分の50%体積平均粒径を1.0μm以下、好ましくは、0.6μm以下とし、かつバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、前記発色成分A、Bのいずれか一方をマイクロカプセル化し、他方を塗布乾燥後に実質的に連続層を構成するような、例えば、乳化物のようなもの(乳化分散物など)として使用する方法等が挙げられる。また、感熱記録層に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける方法も有効である。
尚、前記50%体積平均粒径とは、レーザ回折粒度分布測定装置LA700((株)堀場製作所製)により測定した、顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径(以下、単に「平均粒径」という。)をいう。以下同様とする。
【0038】
次に、前記感熱記録層に好ましく使用される、前記組成の組合せ(a、b、c)について、以下に詳細に説明する。
−(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ−
本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であることが好ましい。
【0039】
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
【0040】
前記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許第23,024号明細書、米国特許第3,491,111号明細書、同第3,491,112号明細書、同第3,491,116号明細書、同第3,509,174号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオラン類の具体例としては、米国特許第3,624,107号明細書、同第3,627,787号明細書、同第3,641,011号明細書、同第3,462,828号明細書、同第3,681,390号明細書、同第3,920,510号明細書、同第3,959,571号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記スピロピラン類の具体例としては、米国特許第3,971,808号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記ピリジン系及びピラジン系化合物類としては、米国特許第3,775,424号明細書、同第3,853,869号明細書、同第4,246,318号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオレン系化合物の具体例としては、特願昭61−240989号公報等に記載された化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。
【0041】
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0042】
前記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;
【0043】
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体;
【0044】
又は、その多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。
中でも、良好な発色特性を得る観点からビスフェノール類が特に好ましい。
また、上記の電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
−(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ−
前記光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。
この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
【0046】
本発明において好ましく使用される光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられる。
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N2 + X−
上記式中、Arは、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 +はジアゾニウム基を表し、X−は酸アニオンを表す。
【0047】
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
【0048】
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
【0049】
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
【0050】
前記感熱記録層において、ジアゾ化合物とカプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができる観点から、増感剤として、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0051】
−(c)有機金属塩と還元剤との組合せ−
前記有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらの内、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
【0052】
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
上記のうち、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
【0053】
感熱記録材料の充分な透明性を確保するためには、前記感熱記録層に(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、又は(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用いることが好ましい。また、本発明では、前記発色成分Aと発色成分Bのいずれか一方を、マイクロカプセル化して使用することが好ましく、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して使用することがより好ましい。
【0054】
(マイクロカプセル)
以下に、マイクロカプセルの製造方法について詳述する。
マイクロカプセルの製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。
上記の通り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
【0055】
前記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。
【0056】
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テトライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
【0057】
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド若しくはポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
【0058】
前記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよい。
具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0059】
前記ポリイソシアナートは、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
【0060】
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0061】
また、前記マイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
【0062】
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするため、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。このうち、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0063】
油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
【0064】
前記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエステル及びジエステル等のエチレングリコールエステル類;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
【0066】
カプセル化しようとする電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物の前記疎水性有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。このような低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げられる。
【0067】
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に含有する場合、該電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.1〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。また、光分解性ジアゾ化合物の含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
電子供与性染料前駆体の含有量が上記範囲にあると、充分な発色濃度が得られ、また、両者の含有量が5.0g/m2以内であると、充分発色濃度が保持され、かつ、感熱記録層の透明性を保持することができる。
【0068】
一方、用いる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
【0069】
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0070】
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行うことが好ましい。
【0071】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
【0072】
(乳化分散物)
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を芯物質としてカプセル化した場合には、用いる電子受容性化合物、又はカプラーは、例えば、水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0073】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点がら好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0074】
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコール又はその変成物、ポリアクリル酸アミド又はその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体が特に好ましい。
【0075】
また、油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましい。該混合比が0.02〜0.6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液安定性に優れる。
【0076】
本発明の感熱記録材料において電子受容性化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0077】
(感熱記録層用塗布液)
感熱記録層用塗布液は、例えば、上記のように調製したマイクロカプセル液と乳化分散物とを混合することにより、調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子は、前記感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
【0078】
添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
【0079】
感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全かつ均一に塗布するとともに、塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
【0080】
(他の成分)
以下に、感熱記録層に用いることのできる他の成分について述べる。
他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0081】
熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。
熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
【0082】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書等に記載されている。
【0083】
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
【0084】
前記他の成分の塗布量としては、0.05〜1.0g/m2程度が好ましく、0.1〜0.4g/m2がより好ましい。なお、前記他の成分は、前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、前記マイクロカプセル外に添加してもよい。
【0085】
感熱記録層は、サーマルヘッドの僅かな熱伝導の差異等から生ずる濃度ムラ等を抑え高画質な画像を得るため、飽和透過濃度(DT−max)を得るのに必要なエネルギー量幅、即ち、ダイナミックレンジが広い感熱記録層であることが好ましい。本発明の感熱記録材料は上記のような感熱記録層を有し、90〜150mJ/mm2の範囲の熱エネルギー量で、透過濃度DT−max3.0を得ることができる特性を有する感熱記録層であることが好ましい。
【0086】
感熱記録層は、塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2になるように塗布されること、及び該層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。感熱記録層は、2層以上積層して用いることも可能である。この場合、全感熱記録層の塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2であることが好ましい。
【0087】
[保護層]
保護層は、感熱記録層上に、又は、中間層を感熱記録層上に設ける場合には、中間層上に形成される層である。
保護層には、各種添加剤、例えば、スティッキング防止剤、離型剤、潤滑剤、すべり剤、表面光沢調整剤、マット剤、等を挙げることができる。
前記スティッキング防止剤は、感熱記録の際にサーマルヘッドが感熱記録材料に融着(スティッキング)したり、サーマルヘッドに記録カスが付着したり、異音が発生することを防止する等のために添加するものであり、各種の顔料が挙げられる。
【0088】
保護層に用いることのできる顔料としては、その平均粒径、詳しくは、レーザー回折法で測定した50%体積平均粒径(レーザー回折粒度分布測定装置LA700((株)堀場製作所製)により測定した、顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径。以下、単に、「平均粒径」ということがある。)が、0.10〜5.00μmであることが好ましく、特に、サーマルヘッドにより記録する際のヘッドと感熱記録材料との間におけるスティッキングや異音等の発生を防止する観点から、上記50%体積平均粒径が0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。
この50%体積平均粒径が0.10〜5.00μmの範囲にあると、サーマルヘッドに対する摩耗の低減効果が大きく、サーマルヘッドと保護層中のバインダーとの間の溶着を防止する効果が大きく、その結果、印画時にサーマルヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着する、いわゆるスティッキングを効果的に防止すことができる。
【0089】
保護層中に含有される顔料としては、特に限定されるものではなく、公知の有機、無機の顔料を挙げることができるが、特に、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料が好ましい。中でも、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカがより好ましい。これらの顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、前記顔料を、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、及び高級アルコールからなる群より選択される少なくとも一種により表面被覆してもよい。
前記高級脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0090】
これらの顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分散助剤、好ましくは、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニウム塩の共存下で、ディゾルバー、サンドミル、ボールミル等の既知の分散機で、上述した平均粒径にまで分散して使用されることが好ましい。即ち、顔料の50%体積平均粒径が0.10〜5.00μmの範囲の粒径になるまで分散してから使用されることが好ましい。
【0091】
また、前記の離型剤、潤滑剤及びすべり剤としては、高級脂肪酸(炭素数8〜24)、又はこの金属塩の他、以下の構造式(1)ないし(3)で示されるアミド化合物が挙げられる。前記離型剤等としては、たとえば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド等が好ましく用いられる。
【0092】
【化3】
【0093】
構造式(1)、(2)及び(3)中、XはH、又はCH2OHを表し、R1、R2、R3、R4は炭素数8〜24の飽和又は不飽和のアルキル基で分岐してもよく、ヒドロキシ化しても良い。R3とR4は同一でも異なっていても良い。
Lは下記の構造式(4)で表される。
【0094】
【化4】
【0095】
構造式(4)中、n+m=0〜8である。
これらのうち、特に構造式(1)、構造式(3)で表される化合物が好ましく、R1、R3とR4は炭素数が12〜20の飽和又は不飽和のアルキル基が好ましい。アルキル基は、分岐してもよく、構造中にヒドロキシ基を有していても良い。n+mは、h=0の場合、0〜4、特に2が好ましく、h=1の場合、0〜2が好ましい。
【0096】
前記離型剤、潤滑剤又はすべり剤は、固体の場合、1)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、サンドミル等の既知の分散機で水分酸物の形で用いられるか、2)溶剤に溶かした後、水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、コロイドミル等の既知の乳化装置で乳化物の形で用いられる。
離型剤、潤滑剤又はすべり剤が、液体の場合、上記のような乳化物の形で用いられ、乳化物の好ましい平均粒子径は0.1〜5.0μmで、0.1〜2μmが更に好ましい。ここでいう平均粒子径は、ホリバ製作所 レーザー回折粒度分布測定装置 LA700で透過率75%±1%で測定した50%平均粒子径をさす。
【0097】
前記離型剤、潤滑剤又はすべり剤が疎水性有機材料の場合には、これらを有機溶媒に溶解させたものを乳化して用いることが好ましい。離型剤等を乳化物として用いる場合、保護層には、水不溶性の粒子は、これらを含む液滴粒子として存在することになる。
【0098】
前記表面光沢調整剤及びマット剤としては、でんぷん粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粒子、無機顔料等が用いられる。これらは、前記スティッキング防止に使用の顔料と同様に分散物として用いられる。
【0099】
(バインダー)
保護層には透明性を良好なものとする観点から、バインダーとして、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール等が好ましい。
【0100】
(他の成分)
保護層には、公知の硬膜剤等が含有されていてもよい。
また、感熱記録層上、又は中間層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液に界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤としては、スルホ琥珀酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホ琥珀酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩、アセチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
【0101】
更に、保護層中には感熱記録材料の帯電防止の目的で界面活性剤、金属酸化物微粒子、無機電解質、高分子電解質等を添加してもよい。
【0102】
保護層は、単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。前記保護層の乾燥塗布量は0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
【0103】
[その他の層]
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、前記した各層の他、その他の層として、下塗り層、紫外線フィルター層、光反射防止層等を設けることができる。
【0104】
<下塗り層>
また、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、前記感熱記録層や保護層等を塗布する前に支持体上に予め下塗り層を形成しておいてもよい。前記下塗り層は、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いてなり、該層の厚みとしては、0.05〜0.5μmが好ましい。
【0105】
前記下塗り層上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層はグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類又はホウ酸等の硬膜剤を用いて硬膜させることが好ましい。前記硬膜剤の添加量は、下塗り層の乾燥質量に対して0.2〜3.0質量%の範囲で、所望の硬化度に合わせて適宜、添加することができる。
【0106】
<光遮断層(紫外線フィルター層)>
本発明の感熱記録材料おいては、画像の光による褪色及び地肌カブリ防止のために光遮断層を設けてもよい。光遮断層は、結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって、地肌が変色したり、画像部が変色又は褪色することを防止する。光遮断層の作製方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤の他、特開平4−197778号等に記載されているものが利用できる。
【0107】
<光反射防止層>
本発明の感熱記録材料おいては、感熱記録層の塗布面と反対の支持体裏面側に、平均粒径が1〜20μm、好ましくは1〜10μmの微粒子を含有する光反射防止層を設けてもよい。
この光反射防止層の塗設により、入射光角20°で測定した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。
前記光反射防止層に含有される微粒子としては、大麦、小麦、コーン、米、豆類より得られる澱粉等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニル等の共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機物の微粒子等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、感熱記録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が1.45〜1.75の微粒子状物質であることが好ましい。
【0108】
[支持体]
本発明の感熱記録材料では、透明な感熱記録材料を得るために、透明支持体を用いることが好ましい。透明支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられ、これらを単独で、或いは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚みとしては、25〜250μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
【0109】
また、上記の合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよい。高分子フィルムを着色する方法としては、樹脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィルムを成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0110】
特に、本発明の透明な感熱記録材料をシャーカステン上で支持体側から観察した場合、透明な非画像部分を透過するシャーカステン光により幻惑が生じ見ずらい画像になることがある。したがって、これを回避する観点から、JIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標上の、A(x=0.2805,y=0.3005)、B(x=0.2820,y=0.2970)、C(x=0.2885,y=0.3015)、D(x=0.2870,y=0.3040)の4点で形成される四角形の領域内に青く着色された合成高分子フィルムを用いることが特に好ましい。
また、支持体の感熱記録層を設けない側には、バックコート層を設けてもよい。
【0111】
[感熱記録材料の製造方法]
以下、本発明の感熱記録材料の製造方法について説明する。
本発明の感熱記録材料を構成する各層は、前述した感熱記録層、中間層、保護層、等を含む複数の層を形成するための塗布液を調整し、該塗布液を支持体上に、順次あるいは同時に重層塗布し、乾燥することにより形成される。
【0112】
ここで使用される支持体は、本発明の感熱記録材料に使用される既に説明した支持体を用いることができる。また、感熱記録層塗布液、中間層用塗布液、保護護層用塗布液、等の各層形成用の塗布液についても、前術した各層の説明において記載したものを用いることができる。
【0113】
本発明の感熱記録材料の製造方法では、支持体上に、下塗り層、感熱記録層、中間層、保護層等を順次形成するために、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法が用いられる。また、複数の層を同時に重層塗布する方法としては押出しダイ法が挙げられる。
【0114】
さらに具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer 著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL 社刊、1997年)399頁から536頁に記載のエクストルージョンコーティング又はスライドコーティングが好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は、同書427頁のFigure 11b.1 にある。また、所望により、同書399頁から536頁に記載の方法、米国特許第2,761,791号明細書及び英国特許第837,095号明細書に記載の方法により2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0115】
[サーマルヘッド]
本発明の感熱記録方式に用いられるサーマルヘッドは、感熱記録材料に接触する最上層の炭素比率が90%以上となるように既知の製膜装置を用いてグレーズ層上に発熱抵抗体と電極を具備する加熱素子に保護層を設けたものである。ヘッド保護層は、2層以上でもよいが、少なくとも最上層は炭素比率が90%以上であることが必要である。
【0116】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、以下において、「%」は「質量%」を意味する。
【0117】
<保護層用塗布液の調製>
−保護層用顔料分散液の調製−
水110gに、顔料としてステアリン酸処理水酸化アルミニウム(ハイジライトH42S,昭和電工(株)製)30gを加え3時間撹拌した後、これに分散助剤(ポイズ532A,花王(株)製)0.8g、10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA105,(株)クラレ製)30g、及び2%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液10gを加えてサンドミルで分散し、平均粒径0.30μmの保護層用顔料分散液を得た。
【0118】
尚、「平均粒径」は、用いる顔料を分散助剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5%に希釈した被検液を、40℃の温水中に投入し光透過率が75±1.0%になるように調整した後、30秒間超音波処理しレーザー回折粒度分布測定装置(LA700,(株)堀場製作所製)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を使用し、以下に記載の「平均粒径」は全て同様の方法により測定した平均粒径を表す。
【0119】
【化5】
【0120】
−保護層用塗布液の調製−
水65gに、下記組成の化合物を混合して保護層用塗布液を得た。
・8%ポリビニルアルコール水溶液 …90g
(PVA124C,(株)クラレ製)
・20.5%ステアリン酸亜鉛分散物 … 5.5g
(F−115,中京油脂(株)製)
・21.5%ステアリン酸アミド化合物 … 3.8g
(G−270,中京油脂(株)製)
・18.0%ステアリン酸 … 2.8g
(セロゾール920,中京油脂(株)製)
・4%ホウ酸水溶液 …10g
・前記保護層用顔料分散液(18%) …70g
・35%シリコーンオイル水分散液 … 4.7g
(ポリジメチルシロキサン,BY22−840,東レ・ダウコーニング(株)製)
・10%ドデシルベンゼンスルフォン酸Na塩水溶液 … 6.5g
・ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸のアンモニウム塩 … 3.28g
(日本油脂(株)製、ニッサンエレクトールSAL1の75%液)
・6%スチレン−マレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 …17.5g
(ポリマロン385,荒川化学(株)製)
・20%コロイダルシリカ …14g
(スノーテックス,日産化学(株)製)
・10%サーフロンS131S(セイミケミカル(株)製) …16g
・プライサーフA217(第一工業製薬(株)製) … 1.1g
・2%酢酸 … 8g
【0121】
<感熱記録層用塗布液の調製>
以下のように、マイクロカプセル液、顕色剤乳化分散物の各液を調製した。
−マイクロカプセル液Aの調製−
酢酸エチル24.3gに、発色剤として、
下記構造式[201]で表される化合物 …11.7g
下記構造式[202]で表される化合物 … 1.5g
下記構造式[203]で表される化合物 … 2.2g
下記構造式[204]で表される化合物 … 5.65g
下記構造式[205]で表される化合物 … 1.2g
下記構造式[206]で表される化合物 … 1.1g
下記構造式[207]で表される化合物 … 0.57g
【0122】
【化6】
【0123】
【化7】
【0124】
【化8】
【0125】
を添加して70℃に加熱、溶解した後、45℃まで冷却した。これに、カプセル壁材(タケネートD140N,武田薬品工業(株)製)13.1g、及びバーノックD750(大日本インキ工業(株)製)2.3gを加え、混合した。
【0126】
得られた溶液を、水16gに8%のポリビニルアルコール水溶液(PVA217C,(株)クラレ製)48gを混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に、更に水110g及びテトラエチレンペンタミン1.0gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均粒径0.35μmのマイクロカプセル液A(固形分濃度23%)を調製した。
【0127】
−マイクロカプセル液Bの調製−
酢酸エチル21gに、
前記構造式[201]で表される化合物 …12.2g
前記構造式[202]で表される化合物 … 1.6g
前記構造式[203]で表される化合物 … 2.4g
前記構造式[204]で表される化合物 … 3.3g
前記構造式[205]が表される化合物 … 1.5g
前記構造式[206]で表される化合物 … 0.2g
前記構造式[207]が表される化合物 … 0.5g
を添加し、70℃に加熱、溶解した後、35℃に冷却した。これにn−ブタノール0.5g、タケネートD127N(武田薬品工業(株)製)14.1g、及びタケネートD110N(武田薬品工業(株)製)2.5gを加え、35℃のまま40分間保温した。
【0128】
得られた溶液を、水16.6gに8%のポリビニルアルコール(PVA217C,(株)クラレ製)48.1gを混合した水相中に加え、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い、15000rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に更に水112g及びテトラエチレンペンタミン0.9gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均粒径0.35μmのマイクロカプセル液B(固形分濃度24%)を調製した。
【0129】
−顕色剤乳化分散液の調製−
顕色剤として、
下記構造式[301]で表される化合物 …6.7g
下記構造式[302]で表される化合物 …8.0g
下記構造式[303]で表される化合物 …5.8g
下記構造式[304]で表される化合物 …1.5g
下記構造式[305]で表される化合物 …2.2g
下記構造式[306]で表される化合物 …0.8g
下記構造式[307]で表される化合物 …4.3g
【0130】
【化9】
【0131】
【化10】
【0132】
をトリクレジルフォスフェート1.0g、マレイン酸ジエチル0.5gと共に、酢酸エチル16.5gに添加し、70℃に加熱して溶解した。この溶液を、水70g、8質量%ポリビニルアルコール水溶液(PVA217C、(株)クラレ製)57g、15質量%のポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA205C,(株)クラレ製)20g、下記構造式[401]で挙げられる化合物及び下記構造式[402]で表される化合物の2質量%水溶液11.5gを混合した水相中に加えた後、
【0133】
【化11】
【0134】
エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000rpmで平均粒径0.7μmになるように乳化し、顕色剤乳化分散物(固形分濃度22%)を得た。
【0135】
−感熱記録層用塗布液Aの調製−
前記マイクロカプセル液A12g、前記マイクロカプセル液B2.5g、前記顕色剤乳化分散液50g、下記構造式[403]で表される化合物の50%水溶液0.7g、及びコロイダルシリカ(スノーテックス、日産化学(株)製)1.8gを混合して、感熱記録層用塗布液Aを調製した。
【0136】
【化12】
【0137】
−感熱記録層用塗布液Bの調製−
下記組成の化合物を混合し、感熱記録層用塗布液Bを調製した。
・前記マイクロカプセル液A … 2.3g
・前記マイクロカプセル液B … 6.6g
・前記顕色剤乳化分散液 …33g
・コロイダルシリカ(スノーテックス、日産科学(株)製) … 1.5g
・前記構造式[403]で表される化合物の50%水溶液 … 0.4g
【0138】
−感熱記録層用塗布液Cの調製−
6%のPVA水溶液(PVA124C、(株)クラレ製)35g、下記構造式[404]で表される化合物の2%水溶液2g、及び前記マイクロカプセル液A0.5gを水5gに溶解し、感熱記録層用塗布液Cを調製した。
【0139】
【化13】
【0140】
<中間層用塗布液Aの調製>
石灰処理ゼラチン3.2kgに水53.7kg、ジ−2−エチルヘキシルスルフォコハク酸Na塩(ニッサンラピゾールB90、日本油脂(株)製)の5%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)を442g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量約40万)90g加えたのち、さらに加水し全体が56.6Lとなるように溶解・調整し、中間層用塗布液(1)を得た。
中間層用塗布液(1)の40℃での粘度を、B型粘度計(商品名:B型粘度計BL式、東京計器製、No2ローター/60rpm)で測定したところ120mPa・sであった。
【0141】
<第一バック層用塗布液の調製>
下記組成に水を加え、全量を28.54Lとなるよう調製し、第一バック層用塗布液(以下、「BC層用塗布液」という。)を得た。尚、本層における水溶性バインダー量は、下記石灰処理ゼラチンと「球形PMMAマット剤12%を含むゼラチン分散物」中のゼラチンとの合計量である。
【0142】
[BC層用塗布液の組成]
・石灰処理ゼラチン(水溶性バインダー) …1kg
・球形PMMAマット剤(平均粒子径5.7μm)12%を含むゼラチン分散
物 … 334g
・下記構造式[501]〜[505]で表わされる化合物を以下の含有率で含
む紫外線吸収剤の乳化物 …1517g
〔乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤含有量は、
構造式[501]で表される化合物 ・・・14.9g
構造式[502]で表される化合物 ・・・12.7g
構造式[503]で表される化合物 ・・・14.9g
構造式[504]で表される化合物 ・・・21.1g
構造式[505]で表される化合物 ・・・44.5g
である。〕
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン … 1.72g
・ポリ−p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム … 22.5g
(分子量約40万)
・下記構造式[506]で表わされる化合物 … 8.45g
・ポリエチルアクリレートのラテックス20%液 …3219ml
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)… 75.0g
・1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン… 25.0g
【0143】
【化14】
【0144】
<第二バック層用塗布液の調製>
下記組成に水を加え、全量を25.00リットルとなるよう調製し、第二バック層用塗布液(以下、「BPC層用塗布液」という。)を得た。尚、本層における水溶性バインダー量は、下記石灰処理ゼラチンと「球形PMMAマット剤15%を含むゼラチン分散物」中のゼラチンとの合計量である。
【0145】
[BPC層用塗布液の組成]
・石灰処理ゼラチン(水溶性バインダー) …1000g
・球形PMMAマット剤(平均粒子径0.70μm)15%を含むゼラチン分
散物 …1038g
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン … 2.09g
・p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエチルスルホン酸ナトリウ
ム … 9.53g
・ポリアクリル酸ナトリウム(分子量約10万) … 57.9g
・ポリ−p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(分子量約40万)… 22.5g
・N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸
アミドブチルスルホン酸ナトリウム … 0.37g
・ヘキサデシルオキシ−ノニル(エチレンオキシ)−エタノール… 8.97g
・1N水酸化ナトリウム水溶液 … 28.1g
・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)… 18.0g
・1,3−(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン … 6.0g
【0146】
<BC層及びBPC層の形成>
JIS−Z8701に記載の方法により規定された色度座標でx=0.2850、y=0.2995に青色染色した透明PET支持体(厚さ180μm)を用意し、上記より得たBC層用塗布液及びBPC層用塗布液を、該透明PET支持体上に、支持体に近い側からBC層用塗布液、BPC層用塗布液の順でそれぞれの塗布量が47.4ml/m2、13.4ml/m2となるように、スライドビード方式により同時重層塗布、乾燥した。塗布、乾燥条件は以下の通りである。
【0147】
塗布スピードは160m/min.とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は予め塗布前にイオン風にて徐電しておいた。
引き続き、チリングゾーンにおいて、乾球温度10〜20℃の風で塗布液を冷却した後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
以上のようにして、透明PET支持体の一方の側に、二層からなるバック層を形成した。二層のバック層に含まれる水溶性バインダーの総塗布量は2.20g/m2である。
【0148】
<感熱記録材料の作製>
前記透明PET支持体(厚み175μm)のBC層及びBPC層が塗設された側と逆側の表面に、支持体に近い側から前記感熱記録層用塗布液A、前記感熱記録層用塗布液B、前記中間層用塗液、前記感熱記録層用塗布液C、及び前記保護層用塗布液の順で、それぞれの塗布量が50ml/m2、20ml/m2、18.2ml/m2、25ml/m2、25ml/m2になるように、スライドビード方式により同時重層塗布・乾燥し、支持体側から感熱記録層A、感熱記録層B、中間層、感熱記録層C及び保護層を有する、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
尚、塗布、乾燥条件は以下の通りである。
【0149】
塗布スピードは160m/min.とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。透明PET支持体は予め塗布前にイオン風にて徐電しておいた。
引き続き、第1乾燥ゾーンにおいて、乾球温度40〜60℃、露点0℃、膜面風速5m/sec以下の風をあてて初期乾燥を行った後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、相対湿度20〜70%RH、膜面風速15〜25m/secの乾燥風で、膜面温度を18〜23℃に調節して乾燥した。なお、塗布時における各塗布液の温度は、40℃であった。
【0150】
(実施例2)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を114gに変更して得られた中間層用塗布液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(2)を作製した。
中間層用塗布液(2)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、195mPa・sであった。
【0151】
(実施例3)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を126gに変更して得られた中間層用塗布液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(3)を作製した。
中間層用塗布液(2)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、290mPa・sであった。
【0152】
(実施例4)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を104gに変更して得られた中間層用塗布液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(4)を作製した。
中間層用塗布液(4)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、170mPa・sであった。
【0153】
(実施例5)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を76.5gに変更して得られた中間層用塗布液(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(5)を作製した。
中間層用塗布液(5)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、80mPa・sであった。
【0154】
(比較例1)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を48gに変更して得られた中間層用塗布液(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較用の感熱記録材料(6)を作製した。
中間層用塗布液(6)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、32mPa・sであった。
【0155】
(比較例2)
実施例1において、中間層用塗布液(1)に含まれるポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)の添加量を159gに変更して得られた中間層用塗布液(7)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較用の感熱記録材料(7)を作製した。
中間層用塗布液(7)の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、580mPa・sであった。
【0156】
[測定、評価]
以上により得られた感熱記録材料(1)〜(7)〔各々35cm×43cmのサンプル〕に対し、耐可塑剤性、風邪ムラ、及び面証故障の各々について評価を行った。
【0157】
1.耐可塑剤性
耐可塑剤性の評価は、以下の評価方法及び評価基準により行った。結果を表1に示す。
−評価方法−
サーマルヘッド(KGT、260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧10kg/cm2、記録エネルギー85mJ/mm2で記録した。その後以下の評価方法及び評価基準により評価した。
【0158】
印字後の上記サンプルを、食品用ラップ(塩化ビニルラップ)の間に挟み、40℃/60%RH環境下に、ガラス板で加圧して3日放置後、変化を目視で確認した。
【0159】
−評価基準−
AA 全く変化がない。
A 変色、消色はほぼないといえるが、変化が認識される。
B ごく僅かに変色、消色が発生するが、印字部の読み取りに全く問題はない。
C 変色、消色、滲みが発生し、印字部は読み取り可能であるが、実用上問題となるレベルである。
D 変色、消色、滲みが発生し、印字部の読み取りも困難であり、実用上問題となるレベルである。
【0160】
2.風ムラ
風ムラの評価は、以下の評価方法及び評価基準により行った。結果を表1に示す。
−評価方法−
1) 感熱記録材料を120℃オーブン中で4分間放置処理し、均一に発色させてで目視でムラを評価した。
2) サーマルヘッド(KGT260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧980kPa(10kg/cm2)で、透過濃度がOD1.2になるようにエネルギーを調整して、B4サイズのベタサンプルを作製し、シャーカステン上でムラを目視評価した。なお、透過濃度は、マクベス社製RD912型濃度計ビジュアルフィルター条件で測定した。
【0161】
−評価基準−
AA 全くムラがなく均一である。
A 殆ど均一であるが、観察条件によってはムラが視認される。
B 若干ムラが見えるが、濃度差は小さく、実画像では全く影響がない程度である。
C ムラは明瞭に発生しているが、画像読取り不良とはならず品位に欠けるレベルである。
D ムラが強く、実用上問題となるレベルである。
【0162】
3.面状故障
面状故障の評価は、以下の評価方法及び評価基準により行った。結果を表1に示す。
−評価方法−
サーマルヘッド(KGT260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧980kPa(10kg/cm2)で、記録エネルギー85mJ/mm2でのベタ印画サンプルをB4サイズ面積で各5枚作製し目視観察した。
−評価基準−
印画後のサンプルにおける直径0.5mm以上の黒ポツ故障発生頻度をカウントし、B4サイズ1枚当たりに平均化すること評価した。なお、実画像上では20個/B4以上は医療診断用として実用上懸念されるレベルである。
【0163】
【表1】
【0164】
表4から明らかなように、粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下である中間層用塗布液を用いて作製された感熱記録材料(1)〜(5)は、耐可塑剤性、風ムラ、面状故障の何れにおいても優れていることがわかる。
一方、比較例の感熱記録材料(6)及び(7)は、耐可塑剤性、風ムラのいずれかが劣っており、面状故障も多いものであった。なお、表1中、耐可塑剤性の評価ランクがCとなっている感熱記録材料(7)は、スポット状にカブリが発生していたものである。
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、面状が良好で高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を提供することができる
Claims (3)
- 支持体上に、少なくとも感熱記録層を含む複数の層を有する感熱記録材料において、
前記複数の層の少なくとも1組の隣接する2層の間に、ゼラチンをバインダーとして含む中間層を有し、該中間層は40℃におけるB型粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下の塗布液により塗設された層であることを特徴とする感熱記録材料。 - 前記中間層は、ウェット膜面温度を35℃以下に制御して乾燥された層であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記複数の層及び中間層の総てを、押出しダイ方式により、同時に重層塗布してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
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JP2003072431A JP2004276462A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 感熱記録材料 |
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