本発明は、1つまたは数個の有用なエフェクター機能を付与する、野生型Fc領域に比べて、いくつかの特異的なアミノ酸修飾を有する変異体Fc領域を有する抗CD19抗体に関する。本発明は、特に、そのような変異体Fc領域を含むキメラ、ヒト化、または完全ヒト抗CD19抗体に関する。本発明は、有利には、興味深く有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ、低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高レベルのシアリル化グリコフォームを有する抗体に関する。本発明はまた、癌、とりわけB細胞悪性疾患および自己免疫性疾患などのような疾患または障害の治療、予防、または管理におけるこれらの抗体の使用にも関する。
自己免疫性および/または炎症性障害では、通常は身体の防御的な免疫系が、戦う異物がない場合に誤って自己を攻撃することによって、それ自体の組織に対して損傷を引き起こし、炎症応答を引き起こす。様々な方法で身体を冒す、多くの様々な自己免疫性障害がある。たとえば、多発性硬化症を有する個人においては、脳が冒されており、クローン病を有する個人においては、腸が冒されており、関節リウマチを有する個人においては、様々な関節の滑膜、骨、および軟骨が冒されている。
B細胞悪性疾患は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)およびヘアリー細胞白血病、ならびにB細胞急性リンパ性白血病(B-ALL)を含む癌の重要な群を構成する。
現在、癌療法は、患者における新生細胞を根絶するための外科手術、化学療法、ホルモン療法、および/または放射線治療を含み得る。最近、癌療法はまた、生物学的療法または免疫療法をも含むことができる。
代替の癌治療について、特に、外科手術、放射線療法、化学療法、およびホルモン療法などのような、標準的な癌治療に対して不応性であることが証明されている癌の治療について、深刻な必要性がある。
有望な代替案は、免疫療法であり、癌細胞が癌抗原特異的抗体によって特異的に標的にされる。
主な試みは、免疫応答の特異性を利用することに向けられており、たとえば、ハイブリドーマ技術は、腫瘍選択的モノクローナル抗体の開発を可能にし、過去数年で、Food and Drug Administrationは、癌療法のための第1のMAb:非ホジキンリンパ腫のためのRituxan(登録商標)(抗CD20)および転移性乳癌のためのハーセプチン[抗(c-erb-2/HER-2)]を承認した。
Rituxan(登録商標)(一般名はリツキシマブである)は、末梢血およびリンパ組織における大多数のB細胞の表面上で見つけられる35キロダルトンの、4つの膜貫通型タンパク質であるヒトCD20に対するキメラマウスヒトモノクローナル抗体である。
抗体療法(Rituxan(登録商標)米国特許第5,736,137号)は、再発したまたは不応性で低度のまたは濾胞性のCD20陽性B細胞非ホジキンリンパ腫の治療のために、United States Food and Drug Administration(FDA)によって承認された。
さらに、放射標識抗CD20抗体を用いるリンパ腫療法が米国特許第5,595,721号、第5,843,398号、第6,015,542号、および第6,090,365号において記載されている。
腫瘍学では、Rituxan(登録商標)/MabThera(登録商標)もまた、単一の作用物質として、再発したまたは不応性で低度のまたは濾胞性のCD20陽性B細胞NHLの治療について、NHLの治療について、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン(CVP)化学療法と組み合わせた、以前に治療したことがない濾胞性のCD20陽性B細胞NHLについて、第一CVP化学療法後の単一の作用物質として、非進行性で(安定病態を含む)、低度のCD20陽性B細胞NHLの治療について、および標準的な化学療法(CHOP)または他のアントラサイクリンベースの化学療法レジメンと組み合わせた、以前に治療したことがないびまん性大細胞型B細胞CD20陽性NHLについて、米国で示されている。
腫瘍学では、Rituxan(登録商標)/MabThera(登録商標)は、化学療法と組み合わせた、以前に治療したことがないまたは再発した/不応性の慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者の治療について、化学療法と組み合わせた、第III〜IV期濾胞性リンパ腫を有する以前に治療したことがない患者の治療について、Rituxan(登録商標)/MabThera(登録商標)を用いるまたは用いない化学療法による導入療法に応答する、再発した/不応性の濾胞性リンパ腫を有する患者のための維持療法として、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)化学療法と組み合わせた、CD20陽性びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者の治療について、および化学療法抵抗性であるまたは化学療法後に彼らが2回目もしくはそれに続く再発の状態にある、第III〜IV期濾胞性リンパ腫を有する患者の治療のための単独療法としてEUで示されている。
さらに、リウマチ学では、メトトレキサートと組み合わせたRituxan(登録商標)/MabThera(登録商標)は、1つまたは複数の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤療法を含む他の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)に対する不十分な応答または不耐性を有している、重度の活動性関節リウマチを有する成人患者の治療について示されている。MabTheraは、米国、日本、およびカナダにおいてRituxanとして知られている。
アレムツズマブは、再発した慢性リンパ性白血病(CLL)において使用するために承認されている、CD52を標的にする他の抗体であるが、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を含むほとんどの正常免疫細胞上での標的抗原の遍在性の発現のために深刻な毒性と関連する。
しかしながら、リツキシマブ治療に対するいくつかの抵抗性または再発が、現れている。再発は、様々なメカニズムを通して現れ得、これらのうちのいくつかは、CD20発現の消失およびさらなるリツキシマブ治療に対する抵抗性に至る。CD20発現の消失または修飾に至り得、繰り返しのリツキシマブ治療の有効性の欠乏によってまたはいくつかの症例では、初期のリツキシマブ治療の有効性の欠乏によって特徴付けられる抵抗性が、現れ得る。抵抗性はまた、形質芽球性リンパ腫などのような、いくつかのB細胞リンパ腫を含むCD20発現を恒常的に欠くリンパ腫の症例においても生じる。さらに、CD20+患者は、Rituxan(登録商標)療法に対して応答しないかもしれないまたはそれに対して抵抗性を獲得するかもしれない。
さらに、非常にB細胞に負担がある状態の下で、身体のエフェクターメカニズム、たとえばNK細胞媒介性の殺傷が枯渇すると、このMAbの免疫療法の有効性における実質的な減少に至り得る。さらに、慢性リンパ性白血病および高レベルの循環B細胞を有する患者のリツキシマブ治療は、細胞からのCD20の除去に至り得、したがって、それらが存続し、かつ排除に抵抗するのを可能にする。
リツキシマブおよびアレムツズマブの成功および限界、特に、リツキシマブ療法による抵抗性および再発の現象に基づいて、B細胞上の代替の抗原を標的にする代替の抗体の同定が、必要である。
CD19は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの95kDa糖タンパク質メンバーである。CD19は、濾胞樹状細胞および形質細胞分化の時までのそれらの初期プレB細胞段階由来のすべてのB細胞上に発現される。CD19表面発現は、B細胞発生の間に緻密に調節され、より高度なレベルは、より成熟した細胞およびCD5+(B-1)B細胞において見られる。CD19は、B細胞分化の形質芽球段階を通してCD20よりも遅く発現される。その結果として、CD19発現は、多くのプレBおよび未成熟Bリンパ芽球性白血病ならびにCD20の発現が乏しいB細胞悪性疾患において比較的高度である。CD19+形質芽球はまた、自己免疫性疾患の永続化においても役割を果たし得る。
CD19は、CD21、CD81、およびCD225との多重分子複合体としてB細胞の表面上に発現される。この複合体と一緒に、CD19は、B細胞受容体との共シグナル伝達(co-signaling)に関与し、Bリンパ細胞の分化、活性化、および増殖の制御において役割を果たす(Sato et al., 1997)。
CD19は、プロおよびプレB細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)、子供および若年成人の一般的なALL(cALL)、NHL、B-CLL、ならびにヘアリー細胞白血病(HCL)を含む、様々なタイプのヒトB細胞悪性疾患の芽細胞上に存在する。それは、悪性細胞から脱落せず、いくつかの抗体の結合後に内部移行しない(Press et al., 1989)。抗原密度は、健康な末梢B細胞上で細胞当たり10000〜30000分子、様々なリンパ癌由来の悪性細胞上で細胞当たり7000〜30000分子に及ぶ(Olejniczak et al., 1983)。
CD19は、市販の抗癌性MAb Rituxan(登録商標)によって標的にされるCD20よりもB細胞発生においてより広く、早く発現され、そのため、非ホジキンリンパ腫および急性リンパ芽球性白血病ならびにCLLを含む広範囲の癌において適用することができる。
CD19は、20年間にわたって免疫療法開発の焦点となってきたが、CD19に対するモノクローナル抗体による最初の臨床試験は、単一の作用物質としてまたは他の治療剤と組み合わせて何人かの患者において応答を実証したにもかかわらず、永続性のある効果をもたらさなかった(Hekman et al., 1991 ; Vlasved et al., 1995)。
数個のCD19特異的抗体は、in vitroにおいて、マウスモデルにおいて、および臨床試験においてB系列悪性疾患の治療について評価されてきた。これらは、細胞傷害性リンパ球エフェクター機能を作動させるために、非修飾抗CD19抗体、抗体-薬物コンジュゲート、ならびにCD19およびCD3またはCD16を標的にする二特異性抗体を含んだ。
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、つまり、集団を構成する個々の抗体は、ハイブリドーマまたは組換えDNA技術から産生されるかどうかにかかわらず、わずかな量で存在し得る、可能性のある、天然に存在する突然変異または他の翻訳後修飾を除いて、同一である。
抗体は、特異的な抗原に対して結合特異性を示すタンパク質である。天然の抗体は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は、1つの共有結合ジスルフィド結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変動する。それぞれの重鎖および軽鎖はまた、鎖内ジスルフィドブリッジをも規則的に有する。
それぞれの重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)を有し、多くの定常ドメインが後続する。それぞれの軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)および他方の末端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと並び、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並ぶ。
用語「可変」は、可変ドメインのある部分が、抗体の中で、配列が広範囲に異なり、その特定の抗原に対するそれぞれの特定の抗体の結合特異性を担うという事実を指す。しかしながら、多様性は、抗体の可変ドメインを通して均一に分布しない。それは、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方において相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。
可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、4つのFR領域を含み、大部分は、β-シート構造の一部を結び付ける、いくつかの場合ではそれを形成するループを形成する3つのCDRによってつながれるβ-シート立体配置を取っている。それぞれの鎖におけるCDRは、他方の鎖由来CDRと、FR領域によって、極めて接近した状態で一緒に保持され、抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する(Kabat et al, 1991)。
定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、様々なエフェクター機能を示す。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、抗体または免疫グロブリンは、異なるクラスに指定することができる。5つの主なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgG、IgD、IgE、およびIgMがあり、これらのいくつかのものは、サブクラス(アイソタイプ)、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4;IgA1およびIgA2にさらに分けられてもよい。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。様々なヒト免疫グロブリンクラスのうち、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgMのみが、補体を活性化することが知られている。
抗体媒介性細胞傷害に寄与することが示されている免疫エフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)、および補体依存性細胞傷害(CDC)を含む。
細胞傷害はまた、抗増殖性効果を介して媒介されてもよい。腫瘍細胞増殖の抗体修飾のメカニズムは、十分に理解されていない。しかしながら、免疫エフェクター細胞上のFcg受容体(FcgR)との抗体の相互作用の理解における進歩は、著しく改善されたエフェクター機能を有する抗体の遺伝子操作を可能にした。
MAbの作用のメカニズムは、複雑であり、様々なMAbについて異なるように思われる。MAbが標的細胞の死を引き起こす複数のメカニズムがある。これらは、アポトーシス、CDC、ADCC、およびシグナル伝達の阻害を含む。
最も研究されているのは、ADCCであり、これは、ナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介される。これは、癌細胞上の特異的なエピトープへの抗体のFab部分の結合およびNK細胞上のFc受容体への抗体のFc部分のそれに続く結合を含む。これは、パーフォリンおよびDNA分解に至り、アポトーシスを誘発し、かつ細胞死をもたらすグランザイムの放出を引き起こす。MAbのFc部分に対する様々な受容体の中で、FcgRIIIaはADCCにおいて主な役割を果たす。
以前の研究は、FcgRIIIa遺伝子の多型がアミノ酸158でフェニルアラニン(F)またはバリン(V)をコードすることを示した。バリンアイソフォームの発現は、MAbに対する親和性および結合の増加と相関する(Rowland et al., 1993; Sapra et al., 2002; Molhoj et al., 2007)。いくつかの臨床研究は、V/V多型を示す、非ホジキンリンパ腫を有する患者におけるリツキシマブに対するより大きな臨床応答により、この発見を支援した(Cartron et al., 2002, Bruenke et al. 2005, Hekmann et al., 1991, Bargou et al, 2008)。
WO1999051642は、位置270もしくは329または位置270、322、329、および331の2つ以上でアミノ酸置換を含む変異体ヒトIgG Fc領域を記載する。これらの修飾は、CDCおよびADCCエフェクター機能を増加させることを目的とする。
WO2002080987は、抗CD19免疫毒素、特に、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体を投与することを含む、対象におけるB細胞悪性疾患を治療するための方法を記載する。B細胞悪性疾患は、CD20を発現しないB細胞を含むものであってもよい。
WO2007024249は、FcγRによって媒介されるエフェクター細胞機能、とりわけADCCを増加させるための、ヒトIgG Fc領域の修飾に関する。Fc領域は、様々なアミノ酸位置で特異的な修飾を含む。
WO2008022152もまた、CD19を標的にする抗体に関し、抗体は、Fc受容体に対する修飾を含み、ADCC、ADCP、およびCDCを含む1つまたは複数のエフェクター機能を媒介するための抗体の能力を改変する。ADCCアッセイが、例証されている。
抗CD19抗体に関する他の特許出願は、WO2009052431、WO2009054863、WO2008031056、WO2007076950、WO2007082715、WO2004106381、WO1996036360、WO1991013974、米国特許第7,462,352号、US20070166306、およびWO2005092925を含む。
US20090098124もまた、1つまたは複数のアミノ酸修飾を有する、IgG2、3、または4のFc領域を含有する変異体重鎖を有する抗体の遺伝子操作に関する。Fc領域内の多くの突然変異および突然変異の群が提唱されている。それらのうちの1つは、ロイシンとの位置243での、プロリンとの位置292での、ロイシンとの位置300での、イソロイシンとの位置305での、およびロイシンとの位置396での置換である(MgFc88)。さらなる突然変異は、C1q結合および/またはCDC機能の改変を提供するために、Fc領域中に導入されてもよい。修飾されることとなるアミノ酸位置は、一般に、位置270、322、326、327、329、331、333、および334から選択されると言われている。
J. B. Stavenhagen et al. (Cancer Res. 2007, 67 (18): 8882-8890)は、治療用抗体のFc最適化を開示する。高レベルのADCCは、突然変異体18(F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L)により得られた。この突然変異Fcを有する抗CD20および抗CD32Bモノクローナル抗体が、開示されている。
CD19が、慢性リンパ性白血病(CLL)細胞上に発現されるB細胞特異的抗原であるにもかかわらず、現在まで、CD19は、治療用モノクローナル抗体により有効に標的にされていない。著者らは、FcγRIIIaの結合を増強するように設計された修飾Fcドメインを有する、新規の遺伝子操作された抗CD19モノクローナル抗体であるXmAb5574を記載する。彼らは、この抗体が、強力なADCC、中程度の直接的な細胞傷害、およびADCPを媒介するが、CDCを媒介しないことを実証する(Awan et al., 2010)。
さらに、糖タンパク質は、触媒作用、シグナル伝達、細胞間連絡、ならびに分子認識および結合を含む人間における多くの本質的な機能を媒介する。多くの糖タンパク質は、治療目的のために利用されてきた。タンパク質のオリゴ糖構成成分は、物理的安定性、プロテアーゼ攻撃に対する抵抗性、免疫系との相互作用、薬物動態、および特異的な生物学的活性を含む、治療用糖タンパク質の有効性に関連する特性に影響を与え得る。そのような特性は、オリゴ糖の存在または不在だけではなく、特異的な構造にも依存し得る。たとえば、ある種のオリゴ糖構造は、特異的な炭水化物結合タンパク質との相互作用を通して、血流からの糖タンパク質の迅速な排除を媒介するが、他のものは、抗体が結合し、望まれない免疫反応を引き起こし得る(Jenkins et al., 1996)。
医薬品として許可を与えられており、開発されてきたほとんどの既存の治療用抗体は、分子量が約150kDaであるヒトIgG1アイソタイプである。ヒトIgG1は、抗体定常領域(Fc)に結合した2つのN結合型二分岐複合型オリゴ糖を有する糖タンパク質であり、大多数のオリゴ糖は、コアがフコシル化されており、それは、白血球受容体(FcγR)または補体とのFcの相互作用を通して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)のエフェクター機能を働かせる。
最近、治療用抗体は、乳房、結腸、および血液癌などのような様々なヒト悪性疾患における疾患進行に対する全生存および時間を改善することが示され、癌患者のFcγR多型の遺伝子分析は、ADCCが、臨床効果を担う主な抗新生物メカニズムであることを実証した。しかしながら、既存の許可を与えられた治療用抗体のADCCは、ナチュラルキラー細胞上のFcγRIIIaに対する治療薬の結合について競合する非特異的IgGにより血清によって強く阻害されることが分かり、これは、そのような療法と関連する著しい量の薬物および非常に高い費用の必要性に至る。
FcγRIIIa結合の改善を通しての治療用抗体の非フコシル化形態のADCCの増強は、フコシル化された対応物によって阻害されることが示される。実際に、フコシル化形態を含まない非フコシル化治療用抗体は、血漿IgGの存在下でさえ、天然に存在するオリゴ糖多様性および人工的なアミノ酸突然変異を有するもののように、改善されたFcγRIIIa結合を有するそのような抗体変異体の中で、最も強力で最も飽和可能なin vitroおよびex vivo ADCCを示す。
ツニカマイシンの存在下において培養することによる、ヒトIgG1のグリコシル化の阻害は、たとえば、単球およびマクロファージ上に存在するFcγRI受容体に対するこの抗体の親和性における1/50の減少を引き起こす(Leatherbarrow et al., 1990)。非グリコシル化IgG3が、NK細胞のFCγRIII受容体を介してのADCCタイプの溶解を誘発することができないことが記載されている(Lund et al., 1995)ので、FCγRIII受容体への結合はまた、IgG上の炭水化物の消失によっても影響を与えられる。しかしながら、グリカン含有残基の存在の必要をしのいで、エフェクター機能を開始する能力における差異をもたらし得るのは、より正確には、それらの構造の多様性である。
研究は、抗体生物学的活性に対するオリゴ糖残基の機能を調査するために行われた。IgGのシアル酸は、ADCCに対して効果を有さないことが示されている(Boyd et al., 1995)。いくつかの報告書は、Gal残基がADCCを増強することを示している(Kumpel et al., 1994)。コアベータマンノース(Man)残基に転移するベータ,4-GlcNac残基であるバイセクティングGlcNac(bisecting GlcNac)は、治療用抗体の生物学的残基に関係し(Lifely et al., 1995、Shield et al., 2002)、抗体エフェクター機能に対するフコシル化オリゴ糖の効果を明らかにし、Fuc欠損IgG1は、FCγRIIIへの結合の50倍の増加を示し、ADCCを増強した。
今日、治療用の適用(つまり癌、炎症性疾患)のための広範囲の組換えタンパク質は、グリコシル化モノクローナル抗体から構成される。治療上のおよび経済的な理由で、より高い特異的な抗体活性を得ることに関心が高い。細胞系における単純な産生方法を維持し、場合によっては、深刻で望ましくない副作用を回避しながら、効力における大きな増加を得るための1つの方法は、MAbの天然の細胞媒介性エフェクター機能を増強することである。その結果として、抗体が、複数の治療上の機能(たとえば抗原結合、アポトーシスの誘発、およびCDC)を有するが、IgGのオリゴ糖の遺伝子操作は、治療用抗体のいくつかの主な機能であると考えられる、最適化されたADCCをもたらし得る。
一般に、キメラおよびヒト化抗体は、遺伝子組換え技術を使用して、調製され、宿主細胞としてCHO細胞を使用して産生される。抗体の糖鎖構造を修飾するために、糖鎖の修飾に関する酵素に対する阻害剤の適用、突然変異体の選択、または糖鎖の修飾に関する酵素をコードする遺伝子の導入などのような様々な方法が、試みられてきた。
GLYCART BIOTECHNOLOGY AG(Zurich、CH)は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系において、N結合型オリゴ糖へのバイセクティングGlcNac残基の追加を触媒するN-アセチル-グルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)を発現させ、産生されたIgG1抗体のより大きなADCCを示した(WO 99/54342; WO 03/011878; WO 2005/044859)。
抗体のFc部分からフコースを除去するまたは置き換えることによって、KYOWA HAKKO KOGYO(Tokyo、Japan)は、Fc結合を増強し、ADCC、したがって、MAbの有効性を改善した(米国特許第6,946,292号)。
より最近では、Laboratoire Francais du Fractionnement et des Biotechnologies(LFB)(France)は、高ADCCを有する抗体を得るためには、MAbオリゴ糖におけるFuc/Gal比が0.6以下であるべきであることを示した(FR 2 861 080)。
P. M. Cardarelli et al. (Cancer Immunol. Immunother. 2010, 59:257-265)は、アルファ1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が欠損しているMs-704PF CHO細胞において抗CD19抗体を産生する。この論文における抗体の非フコシル化は、酵素欠損細胞系の遺伝子操作を必要とする。この論文は、アミノ酸突然変異を考慮している。
John Lund et al. (Journal of Immunology, 1996, vol. 157, no. 11, pp4963-4969)は、アグリコシル化(aglycosylated)ヒトキメラIgG3が、ヒトC1qに結合し、モルモットCを通して媒介される溶解を引き起こす著しい能力を保持したことを記載している。
CDCおよびADCCなどのようなエフェクター機能は、MAbの臨床効果にとって重要となり得るエフェクター機能である。これらのエフェクター機能はすべて、抗体Fc領域によって媒介され、著者らに、多かれ少なかれ成功を伴うアミノ酸修飾を試みさせるものである。Fc領域のグリコシル化、とりわけフコシル化は、抗体の有効性に対して劇的な効果を有する。これは、著者らに、さらに、もう一度、多かれ少なかれ成功を伴う、いくつかのエフェクター機能を改善するための本明細書での試みにおいて、グリコシル化プロファイルを変化させるために、CHO細胞における抗体の産生の条件を修飾させるものである。
キメラMAb抗CD19 MAb 4G7のADCCを増強するための方法は、US 2007/0166306において開示された。MAb 4G7は、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)酵素の存在下においてヒト哺乳動物293T細胞系を使用することによって、(1)少なくとも60%のN-アセチルグルコサミンバイセクティングオリゴ糖および(2)わずか10%の非フコシル化N-アセチルグルコサミンバイセクティングオリゴ糖を含有するAsn297連結オリゴ糖によって特徴付けられるFc断片を抗体において産生するのに有効な条件下で産生された。
H. M. Horton et al. (Cancer Res. 2008, 68 (19) : 8049-8057)は、S239DおよびI332E突然変異を有するFc遺伝子操作抗CD19抗体を記載している。本明細書においてFc14と呼ばれるこのFcドメインは、chR005-Fc20(F243L/R292P/Y300L/V305L/P396L)と呼ばれる本発明のFcドメインと比較された。本発明のFcドメインは、全血エフェクター細胞の存在下においてADCCを示すのに対して、著しいADCC活性は、循環天然免疫グロブリンを含有する全血の存在下における同じ条件下で、Fc14で検出されなかった。
哺乳動物細胞は、ヒトへの適用に最も適合した形態でタンパク質をグリコシル化するそれらの能力により、治療用糖タンパク質の産生のための好ましい宿主となる(Jenkins et al., 1996)。細菌は、タンパク質を非常にまれにグリコシル化し、酵母、糸状菌、昆虫、および植物細胞などのような他のタイプの一般的な宿主のように、血流からの迅速な排除と関連するグリコシル化パターンをもたらす。
哺乳動物細胞の中で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、最近20年間で最も一般的に使用されてきた。適したグリコシル化パターンを与えることに加えて、これらの細胞は、遺伝的に安定しており、非常に生産的なクローン細胞系の持続的な生成を可能にする。それらは、無血清培地を使用して、単純なバイオリアクターにおいて高密度まで培養することができ、安全で再現可能なバイオプロセスの開発を可能にする。他の一般的に使用される動物細胞は、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、NSOおよびSP2/0-マウスミエローマ細胞を含む。トランスジェニック動物からの産生もまた、試験されている(Jenkins et al., 1996)。
糖鎖構造が、抗体のエフェクター機能において著しく重要な役割を果たし、差異が、宿主細胞によって発現される糖タンパク質の糖鎖構造において観察されるので、より高いエフェクター機能を有する抗体の産生のために使用することができる宿主細胞の開発が目的となってきた。
産生される糖タンパク質の糖鎖構造を修飾するために、(1)糖鎖の修飾に関する酵素に対する阻害剤の適用、(2)細胞突然変異体の選択、(3)糖鎖の修飾に関する酵素をコードする遺伝子の導入、およびその他同種のものなどのような様々な方法が、試みられてきた。具体的な例は、下記に記載される。
糖鎖の修飾に関する酵素に対する阻害剤の例は、N-グリコシド連結糖鎖の前駆物質であるコアオリゴ糖の形成の第1のステップであるGlcNAc-P-P-Dolの形成を選択的に阻害するツニカマイシン、グリコシダーゼIの阻害剤であるカスタノスペルミンおよびW-メチル-1-デオキシノジリマイシン、グリコシダーゼIIの阻害剤であるブロモコンズリトール、マンノシダーゼIの阻害剤である1-デオキシノジリマイシンおよび1,4-ジオキシ-1,4-イミノ-D-マンニトール、マンノシダーゼIIの阻害剤であるスウェインソニン、マンノシダーゼIIの阻害剤であるスウェインソニン、ならびにその他同種のものを含む。
グリコシルトランスフェラーゼに対して特異的な阻害剤の例は、N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼV(GnTV)に対する基質のデオキシ誘導体およびその他同種のものを含む。さらに、1-デオキシノジリマイシンが、複合型糖鎖の合成を阻害し、高マンノース型およびハイブリッド型糖鎖の割当量を増加させることが知られている(Glycobiology series 2 - Destiny of Sugar Chain in Cell, edited by Katsutaka Nagai, Senichiro Hakomori and Akira Kobata, 1993)。
糖鎖の修飾に関する酵素の活性に関する細胞突然変異体は、主として、選択され、レクチン抵抗性細胞系として得られる。たとえば、様々な糖鎖構造を有するCHO細胞突然変異体は、WGA(タチジャコウソウに由来するコムギ胚芽凝集素)、ConA(タチナタマメに由来するコンカナバリンA)、RIC(トウゴマに由来する毒素)、L-PHA(ウツボグサ(P. vulgaris)に由来する白血球凝集素)、LCA(ヒラマメに由来するヒラマメ凝集素)、PSA(エンドウに由来するエンドウマメレクチン)、またはその他同種のものなどのようなレクチンを使用してレクチン抵抗性細胞系として得られてきた(Genet et al. 1986)。
宿主細胞の中に、糖鎖の修飾に関する酵素の遺伝子を導入することによって得られる産物の糖鎖構造の修飾の例として、多くのシアル酸が糖鎖の非還元末端に追加されるタンパク質が、CHO細胞の中に、ラットβ-ガラクトシダーゼ-a-5,6-シアリルトランスフェラーゼを導入することによって産生することができることが報告されている。GnT IIIまたはその代わりに、b(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(GnT V)、β(1,4)-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)、およびマンノシダーゼII(Man II)などのような、様々なタイプの糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼもまた、宿主系において発現されてもよい。
WO20070166306は、タンパク質、特に、通常のCHO細胞ほどフコシル化されていない抗体などのような糖タンパク質の産生のための、EBx(登録商標)という名前のトリ胚由来幹細胞系の使用に関する。
Ramesh Jassal et al.は、ラットa2,6-シアリルトランスフェラーゼトランスフェクトCHO-K1細胞系を使用することによって、FA243突然変異を有する抗NIP IgG3抗体のシアリル化を生じさせる。a2,6およびa2,3シアリル化の両方を有するFA243 IgG3は、補体による標的細胞溶解を回復させた。
John Lund et al. (Journal of Immunology, 1996, vol. 157, no. 11, pp4963-4969)は、アグリコシル化ヒトキメラIgG3が、ヒトC1qに結合し、モルモットCを通して媒介される溶解を引き起こす著しい能力を保持したことを記載している。
本発明者らは、グリコシル化阻害剤により修飾されておらず、処理されていないチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO/DG44細胞(ECACCにより購入)によって産生される、CD19抗原に向けられるヒトIgG1サブクラスの様々なFcキメラ変異体抗体のグリコシル化プロファイルを評価した。産生されるchR005-1 Fc0および最適化されたchR005-1 Fc20変異体抗体の糖鎖の構造を分析し、比較することによって、本発明は、いかなる遺伝子操作も伴わない野生型CHO宿主細胞が興味深い有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを発現することを定める。
米国特許第5,736,137号
米国特許第5,595,721号
米国特許第5,843,398号
米国特許第6,015,542号
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WO1999051642
WO2002080987
WO2007024249
WO2008022152
WO2009052431
WO2009054863
WO2008031056
WO2007076950
WO2007082715
WO2004106381
WO1996036360
WO1991013974
米国特許第7,462,352号
US20070166306
WO2005092925
US20090098124
WO 99/54342
WO 03/011878
WO 2005/044859
米国特許第6,946,292号
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WO20070166306
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Glycobiology series 2 - Destiny of Sugar Chain in Cell, edited by Katsutaka Nagai, Senichiro Hakomori and Akira Kobata, 1993
本発明は、ヒトB細胞マーカーに結合するキメラ、ヒト化、およびヒト抗CD19抗体、抗CD19抗体融合タンパク質、ならびにその断片を提供する。
治療用抗体の機能性(たとえばADCC、CDC)を最適化するための現在のアプローチは、天然のFc領域のアミノ酸修飾またはグリコシル化状態の修飾に集中してきた。対照的に、本発明は、アミノ酸修飾およびグリコシル化修飾に関する同時の組み合わせのアプローチに基づく。
本発明は、タンパク質のグリコシル化遺伝子操作の分野に関する。特に、本発明は、効率的なADCCなどのような改善された治療上の特性を有する、アミノ酸突然変異後の変異体タンパク質を提供するための、野生型哺乳動物CHO細胞系を使用することによるタンパク質のグリコシル化遺伝子操作に関し、それに対して、親分子(マウスまたは野生型キメラ抗体)は検出可能な程度にこの機能を示さない。
本発明の分子は、なお、親マウス抗体によって付与されるアポトーシスエフェクター機能を維持した。
特に、本発明の革新は、CDCエフェクター機能を引き起こすための能力を有するようするための、IgG1アイソタイプ由来のFc領域を有する免疫グロブリンにおける抗体機能性の修飾に関する。
特に、本発明の分子は、補体活性化およびADCCの効率的な誘発の両方を示す。
本発明の分子は、特に、これに限定されないがB細胞悪性疾患などのようなB細胞障害の治療に、自己免疫性疾患の治療および予防に、ヒト移植レシピエントにおける移植片対宿主疾患(GVHD)、体液性拒絶反応、および移植後リンパ増殖性障害の治療および予防に、これに限定されないが抗CD20抗体などのような既存の治療用抗体による治療に不応性の患者に、またはこれに限定されないが抗CD20抗体などのような既存の治療用抗体による併用治療に有用である。
本発明の研究は、これらの欠点を克服する修飾Fc領域を有する抗CD19抗体を生成することを目的とする。本発明者らは、これらの抗CD19抗体のFc領域におけるアミノ酸修飾が、ADCCおよび/またはCDCを含むエフェクター機能に対してだけではなく、抗体のグリコシル化プロファイルに対して直接効果を有し得ることを実証した。本発明者らは、特に、抗体が、野生型哺乳動物細胞、特にげっ歯動物細胞、とりわけ、野生型dhfr-/-CHO細胞(ATCC収集物により購入)などのようなCHO細胞を含む哺乳動物細胞において産生されるまたは発現される場合、Fc領域におけるいくつかの修飾が、興味深く有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを有する抗CD19抗体に至り得ることを実証した。
本発明の第1の目的は、興味深く有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを、哺乳動物細胞、とりわけ、CHO細胞、好ましくは、野生型CHO細胞などのような野生型細胞などのようなげっ歯動物細胞において産生されるまたは発現される抗体を含む抗CD19抗体に付与する修飾Fc領域を提供することである。定義によると、野生型は、細胞が、天然の細胞のグリコシル化機構を修飾するために修飾されていないまたは遺伝子操作されていないことを意味する。
本発明の第2の目的は、このFc領域を含有する抗CD19抗体にADCC機能を付与する修飾Fc領域を提供することである。
本発明の第3の目的は、このFc領域を含有する抗CD19抗体にCDC機能を付与する修飾Fc領域を提供することである。
本発明の第4の目的は、このFc領域を含有する抗CD19抗体にADCCおよびCDC機能を付与する修飾Fc領域を提供することである。
本発明の第5の目的は、哺乳動物細胞、特に、野生型ものを含むCHO細胞などのようなげっ歯動物細胞おいて産生されるまたは発現される場合、このFc領域を含有する抗CD19抗体にADCCおよび/またはCDC機能ならびにさらに、興味深く有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを付与する修飾Fc領域を提供することである。
本発明の第1の目的は、変異体ヒトIgG1 Fc領域を含むように修飾される抗CD19抗体であり、この変異体領域は、ヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸位置243、292、300、305、326、396または243、292、300、305、326、333、396のそれぞれでアミノ酸置換を含む。Fc領域におけるアミノ酸残基は、Kabat(登録商標)のナンバリング方式によってナンバリングされる。
本発明による組換え抗CD19抗体は、野生型細胞、とりわけ、特に野生型CHOなどのようなげっ歯動物細胞における産生後に興味深いグリコシル化プロファイルを有する。
特に、トランスフェクト細胞、たとえば野生型CHOから、本発明は、ガラクトシル化されており、フコシル化されていない末端GlcNacを有する長い鎖を含む二分岐型の一般的なN結合型オリゴ糖構造を持つ多くの組換え抗体またはその断片を発現することを可能にする。
1つまたは複数のグリコフォームは、組換え抗CD19抗体集団中に存在する。グリコフォームは、付加されたグリカンの数または型に関してのみ異なるタンパク質のアイソフォームである。
非常に驚くべき有益な実施形態では、抗体は、低フコースレベルを有する。これは、これらの細胞、たとえば野生型CHOにおいて産生される組換え抗CD19抗体集団の中で、本実施形態において、非フコシル化抗体の割合が、およそ少なくとも40%、好ましくはおよそ少なくとも60%、より好ましくはおよそ少なくとも80%の抗体、またはそれ以上、たとえば少なくとも85%に相当することを意味する。特に、非フコシル化は、Fcに関する。
CHO細胞として、CHO dhfr-/-、CHO/DG44、およびCHO Easy Cが言及されてもよい。
本発明の特定の目的は、変異体ヒトIgG1 Fc領域を含むように修飾される抗CD19抗体であり、この変異体領域は、ヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸位置243、292、300、305、326、396または243、292、300、305、326、333、396のそれぞれでアミノ酸置換を含み、抗体は、野生型げっ歯動物細胞、好ましくは野生型CHO細胞において産生される。好ましい特徴によれば、この抗体は、低レベルのフコースを有する。
本発明の他の目的は、変異体ヒトIgG1 Fc領域を含むように修飾される抗CD19抗体であり、この変異体領域は、低フコースレベルを有するヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸位置243、292、300、305、326、396または243、292、300、305、326、333、396のそれぞれでアミノ酸置換を含む。
本発明に従って、低レベルのフコースは、(1)ある抗体における、とりわけそのFcにおけるフコースの量の低下または(2)とりわけそれらのFcにおいて、フコースの量が低下したおよび/もしくはフコースを有していない、プールにおける多くの抗体を意味する。
本発明の記載において、本発明による抗体の1つのFcまたは2つのFcについて述べる。たとえ常に言及されなくても、すべての実施形態について、抗体が2つのFcを有し、それぞれのFcが類似する構造(同じ突然変異)および類似するグリコシル化プロファイルを有するという好ましい場合がある。
一実施形態では、本発明の抗体は、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有しない1つのFc、好ましくは2つのFcを有する。
一実施形態では、本発明の抗体は、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有しない1つのFc、好ましくは2つのFcを有する。
一実施形態では、本発明の抗体は、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有さず、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有しない1つのFc、好ましくは2つのFcを有する。
一実施形態では、本発明の抗体は、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む。一実施形態では、本発明の抗体は、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有し、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有さず、および/または好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有していない1つのFc、好ましくは2つのFcを含む。
一実施形態では、抗体は、1つまたは2つの以下のグリカン:
-(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2
-(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2
を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む。
一実施形態では、本発明の抗体は、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有し、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有さず、ならびに/または好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有さず、1つまたは2つの以下のグリカン:
-(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2
-(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2
を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む。
本発明の他の目的は、抗CD19抗体であり、抗CD19抗体は、変異体ヒトIgG1 Fc領域を含むように修飾され、この変異体領域は、ヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸位置243、292、300、305、326、396または243、292、300、305、326、333、396のそれぞれでアミノ酸置換を含み、抗体は、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有さず、および/または好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有していない1つのFc、好ましくは2つのFcを有する。一実施形態では、本発明の抗体は、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む。一実施形態では、抗体は、1つまたは2つの以下のグリカン:
-(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2
-(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2
を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む。
非常に驚くべき有益な実施形態では、抗体は、高オリゴマンノースレベルを有する。これは、これらの細胞、たとえば野生型CHOにおいて産生される組換え抗CD19抗体集団の中で、より高いレベルのオリゴマンノースを特徴とする抗体の割合が、およそ少なくとも20%、好ましくはおよそ少なくとも30%、より好ましくはおよそ少なくとも40%、より好ましくはおよそ少なくとも50%の抗体、またはそれ以上に相当することを意味する。
非常に驚くべき有益な実施形態では、これらの細胞、たとえば野生型CHOにおいて産生される組換え抗体集団の中で、より高いレベルのシアリル化グリコフォームを特徴とする抗体の割合は、およそ少なくとも1.5%、好ましくはおよそ少なくとも2.5%、より好ましくはおよそ少なくとも5%の抗体、またはそれ以上に相当する。
好ましい実施形態では、本発明の抗体は、これらの特徴のうちの3つ、とりわけ低フコースレベルおよび高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを兼ね備える。
特に、本発明のトランスフェクト細胞、たとえば野生型CHO細胞は、ガラクトシル化され、フコシル化されておらず、抗体に強力なADCC活性を付与する、末端GlcNacを有する長い鎖を含む二分岐型の一般的なN結合型オリゴ糖構造を持つ多くの抗体またはその断片を発現することを可能にする。
一実施形態では、本発明による特異的なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを有する抗CD19抗体は、哺乳動物細胞、好ましくは野生型哺乳動物細胞、好ましくはげっ歯動物起源のもの、とりわけCHO細胞において、産生されるもしくは発現されるまたは産生されるもしくは発現されるものである。
本発明はまた、目的として、本発明による抗体(または抗体の組成物)のプールを有し、それは、変異体ヒトIgG1 Fc領域を含むように修飾された抗CD19抗体を含み、この変異体領域は、ヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸位置243、292、300、305、326、396または243、292、300、305、326、333、396のそれぞれでアミノ酸置換を含む。特徴によれば、抗体プールは、野生型げっ歯動物細胞、好ましくは野生型CHO細胞において産生されたものである。他の特徴によれば、抗体プールは、低レベルのフコースを有する。他の特徴によれば、抗体プールは、野生型げっ歯動物細胞、好ましくは野生型CHO細胞において産生されたものである。
第1の実施形態では、このプールは、15%以下の、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗CD19抗体および/または20%以下の、好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。グリコフォームパーセンテージは、%の数字で表現される。
他の実施形態では、抗体のプールは、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む、少なくとも15、20、30、40、または50%の抗体を含む。一実施形態では、値は、少なくとも15%である。
他の実施形態では、プールは、15%以下の、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗CD19抗体および/または20%以下の、好ましくは、 (Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体および(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む、少なくとも15、20、30、40、または50%の抗体を含む。好ましい実施形態では、抗体のプールは、これらの特徴をすべて含む。一実施形態では、オリゴマンノースについての値は、少なくとも15%である。
他の実施形態では、抗体のプールは、
- 1.5もしくは1%未満の、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体(典型的な範囲0.1〜1.5%)
- および/または、2もしくは1.5%未満の、好ましくは、(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体(典型的な範囲0.1〜2)
を含む。
他の実施形態では、プールは、15%以下の、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗CD19抗体ならびに/または20%以下の、好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体ならびに少なくとも15、20、30、40、または50%の、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体ならびにさらに、
- 1.5もしくは1%未満の、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体
- および/または、2もしくは1.5%未満の、好ましくは、(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。好ましい実施形態では、抗体のプールは、これらの特徴をすべて含む。一実施形態では、オリゴマンノースについての値は、少なくとも15%である。
本発明の他の目的は、本発明による抗体(または抗体の組成物)のプールであり、それは、変異体ヒトIgG1 Fc領域を含むように修飾された抗CD19抗体を含み、この変異体領域は、ヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸位置243、292、300、305、326、396または243、292、300、305、326、333、396のそれぞれでアミノ酸置換を含み、プールは、15%以下の、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗CD19抗体および/または20%以下の、好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。
他の実施形態では、抗体のプールは、少なくとも20、30、40、または50%の、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。一実施形態では、値は、少なくとも15%である。
他の実施形態では、プールは、15%以下の、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗CD19抗体および/または20%以下の、好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体および少なくとも15、20、30、40、または50%の、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。好ましい実施形態では、抗体のプールは、これらの特徴をすべて含む。一実施形態では、オリゴマンノースについての値は、少なくとも15%である。
他の実施形態では、抗体のプールは、
- 1.5もしくは1%未満の、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体
- および/または、2もしくは1.5%未満の、好ましくは、(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。
他の実施形態では、プールは、15%以下の、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗CD19抗体ならびに/または20%以下の、好ましくは、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体ならびに少なくとも15、20、30、40、または50%の、(Man)5(GlcNAc)2グリカンを有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体ならびにさらに、
- 1.5もしくは1%未満の、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体
- および/または、2もしくは1.5%未満の、好ましくは、(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2を有する1つのFc、好ましくは2つのFcを含む抗体を含む。好ましい実施形態では、抗体のプールは、これらの特徴をすべて含む。一実施形態では、オリゴマンノースについての値は、少なくとも15%である。
一実施形態では、細胞は、げっ歯動物細胞、特にCHO細胞である。
一実施形態では、細胞は、野生型げっ歯動物細胞、とりわけ野生型CHO細胞である。
一実施形態では、抗CD19抗体は、CDCまたはCDC+ADCC活性を生じさせることができる。
一実施形態では、この抗CD19抗体は、CDCまたはCDC+ADCC活性を生じさせることができ、本発明による特異的なグリコシル化プロファイル、とりわけ、本発明による低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを提示することができる。
本発明の抗体は、Fc領域において補足の突然変異を含んでいてもよい。
一実施形態では、Fc領域は、アミノ酸位置333でアミノ酸置換をさらに含む。
ヒトIgG Fc領域は、IgGサブクラスの領域であってもよい。それは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域であってもよい。好ましい実施形態では、Fc領域は、IgG1 Fc領域である。
本発明に従って置換されるFc領域のアミノ酸は、任意のアミノ酸によって置換されてもよく、条件は、置換アミノ酸のセット全体が、このCDCもしくはCDC+ADCC活性を生じさせることができるおよび/または本発明による特異的なグリコシル化プロファイル、とりわけ、本発明による低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを付与することができるということである。可能な置換の例は、後に示す。
一実施形態では、Phe243は、Leuによって置換される。
一実施形態では、Arg292は、Proによって置換される。
一実施形態では、Tyr300は、Leuによって置換される。
一実施形態では、Val305は、Leuによって置換される。
一実施形態では、Lys326は、Alaによって置換される。
一実施形態では、Glu333は、Alaによって置換される。
一実施形態では、Pro396は、Leuによって置換される。
一実施形態では、抗CD19抗体は、Phe243がLeuによって置換され、Arg292がProによって置換され、Tyr300がLeuによって置換され、Val305がLeuによって置換され、Lys326がAlaによって置換され、Pro396がLeuによって置換されている、Fc領域を含む。
一実施形態では、このFc領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する(Fc34)。このFc領域についてのコード核酸は、配列番号2に示される。
他の実施形態では、抗CD19抗体は、Phe243がLeuによって置換され、Arg292がProによって置換され、Tyr300がLeuによって置換され、Val305がLeuによって置換され、Lys326がAlaによって置換され、Glu333がAlaによって置換され、Pro396がLeuによって置換されているFc領域を含む。
他の実施形態では、このFc領域は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する(Fc24)。このFc領域についてのコード核酸は、配列番号4に示される。
修飾および変化は、本発明のポリペプチドの構造において成され、なお、類似の特徴を有する分子を得ることができる。たとえば、あるアミノ酸は、活性の明らかな消失を伴うことなく、配列において他のアミノ酸と置換されてもよい。そのポリペプチドの生物学的機能的活性を定めるのはポリペプチドの相互作用の能力および性質であるので、あるアミノ酸配列置換は、ポリペプチド配列(またはもちろんその基礎をなすDNAコード配列)において成され、それにもかかわらず、類似の特性を有するポリペプチドを得ることができる。
そのような変化を加える際に、アミノ酸のヒドロパシー指標を考慮することができる。ポリペプチドに対して相互作用の生物学的機能を付与する際のヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、当技術分野において一般に理解されている(Kyte et al. 1982)。あるアミノ酸が、類似するヒドロパシー指標またはスコアを有する他のアミノ酸と置換され、なお、類似する生物学的活性を有するポリペプチドをもたらし得ることが知られている。アミノ酸はそれぞれ、その疎水性および電荷の特徴に基づいてヒドロパシー指標が指定されてきた。
アミノ酸の相対的なヒドロパシー特徴は、結果として生ずるポリペプチドの二次構造を決定し、これは、次には、他の分子、たとえば酵素、基質、受容体、抗体、抗原、およびその他同種のものとのポリペプチドの相互作用を定めると考えられている。アミノ酸が、類似するヒドロパシー指標を有する他のアミノ酸によって置換され、なお、生物学的に、機能的に等価なポリペプチドを得ることができることは、当技術分野において知られている。そのような変化では、そのヒドロパシー指標が±2内にあるアミノ酸の置換が、好ましく、±1内にあるものが、特に好ましく、±0.5内にあるものが、さらに特に好ましい。
類似のアミノ酸の置換はまた、特に、それによって生成される、生物学的に、機能的に等価なペプチドまたはポリペプチドが免疫学的な実施形態において使用される予定である場合、親水性に基づいて成すこともできる。参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第4,554,101号は、その隣接するアミノ酸の親水性によって決定される、ポリペプチドの最も大きな局所的な平均親水性が、その免疫原性および抗原性と、つまり、ポリペプチドの生物学的特性と相関することを明示する。
米国特許第4,554,101号において詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に指定された:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(-0.5±1);トレオニン(-0.4);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。アミノ酸が、類似する親水性値を有する他のものと置換され、なお、生物学的に等価な、特に、免疫学的に等価なポリペプチドを得ることができることが理解される。そのような変化では、その親水性値が±2内にあるアミノ酸の置換が、好ましく、±1内にあるものが、特に好ましく、±0.5内にあるものが、さらに特に好ましい。
上記に概説されるように、アミノ酸置換は、そのため、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性、たとえばそれらの疎水性、親水性、電荷、サイズ、およびその他同種のものに基づく。
アミノ酸 指標 アミノ酸 指標
イソロイシンL (+4.5) トリプトファンW (-0.9)
バリンV (+4.2) チロシンY (-1.3)
ロイシンL (+3.8) プロリンP (-1.6)
フェニルアラニン (+2.8) ヒスチジンH (-3.2)
システインC (+2.5) グルタミン酸E (-3.5)
メチオニンM (+1.9) グルタミンQ (-3.5)
アラニンA (+1.8) アスパラギン酸D (-3.5)
グリシンG (-0.4) アスパラギンN (-3.5)
トレオニンT (-0.7) リシンK (-3.9)
セリンS (-0.8) アルギニンR (-4.5)
アミノ酸置換は、種々に選ばれてもよいまたは選択されてもよい。可能な置換は、WO99/51642、WO2007024249、およびWO2007106707において立証されている。
一実施形態では、Phe243は、Leu、Trp、Tyr、Arg、およびGlnの中から選ばれるアミノ酸によって置換される。好ましくは、Phe243は、Leuによって置換される。
一実施形態では、Arg292は、GlyおよびProの中から選ばれるアミノ酸によって置換される。好ましくは、Arg292は、Proによって置換される。
一実施形態では、Tyr300は、Lys、Phe、Leu、およびIleの中から選ばれるアミノ酸によって置換される。好ましくは、Tyr300は、Leuによって置換される。
一実施形態では、Val305は、LeuおよびIleの中から置換される。好ましくは、Val305は、Leuによって置換される。
一実施形態では、Lys326は、Val、Glu、Ala、Gly、Asp、Met、Ser、Asn、およびTrpの中から選ばれるアミノ酸によって置換される。好ましくは、Lys326は、Alaによって置換される。
一実施形態では、Glu333は、Val、Gly、Ala、Gln、Asp、Asn、Lys、Arg、およびSerの中から選ばれるアミノ酸によって置換される。好ましくは、Glu333は、Alaによって置換される。
一実施形態では、Pro396は、Leuによって置換される。
一実施形態では、本発明は、任意の抗CD19抗体に適用される。すなわち、抗CD19抗体は、CD19抗原に対して特異的な可変領域またはCD19抗原に対して特異的なCDRを含む可変領域および本発明による突然変異体Fc領域を含む。可変領域は、US20090098124、WO2002080987、WO2007024249、WO2008022152、WO2009052431、WO2009054863、WO2008031056、WO2007076950、WO2007082715、WO2004106381、WO1996036360、WO1991013974、米国特許第7,462,352号、US20070166306、およびWO2005092925において見つけられてもよい。当業者は、CD19に対して特異的な可変領域またはCDRの供給源としてこれらの文書を参照してもよい。
一実施形態では、抗体は、CD19抗原上の内部移行しないエピトープに対して特異的であるまたはそれを認識する。出願人は、可変領域が配列決定されており、CDRが同定されているmR005-1およびmR005-2と呼ばれる2つのマウス抗CD19抗体を開発した。本発明は、したがって、好ましい実施形態として、mR005-1およびmR005-2に由来する可変領域またはCDRの使用を含む。
好ましい実施形態では、本発明の抗CD19抗体mR005-1は、以下のCDRを含む。
好ましい実施形態では、本発明の抗CD19抗体mR005-2は、以下のCDRを含む。
定義によると、これらのCDRは、1つまたは複数のアミノ酸の欠失、置換、または追加による変異体CDRを含み、この変異体は、もとのCDRの特異性を保持する。共通のナンバリング方式は、最も短いアミノ酸配列を有するCDR定義または最小限のCDR定義を提供する。
一実施形態では、抗体は、VHおよびVLアミノ酸配列が以下の表に示される抗体mR005-1もしくはmR005-2のCDRを含むまたはより好ましくは、抗体は、それらの配列を含む。
一実施形態では、抗体は、その配列が配列番号16、6、13および/または8、9、10に示されるCDRを含む。
一実施形態では、抗体は、その配列が配列番号5、6、7および/または8、9、10に示されるCDRを含む。
一実施形態では、抗体は、その配列が配列番号11、12、13および/または14、15、10に示されるCDRを含む。
一実施形態では、抗体は、その配列が配列番号28、18、25および/または20、21、22に示されるCDRを含む。
一実施形態では、抗体は、その配列が配列番号17、18、19および/または20、21、22に示されるCDRを含む。
一実施形態では、抗体は、その配列が配列番号23、24、25および/または26、27、22に示されるCDRを含む。
本発明は、抗体が、配列番号1または3に示されるアミノ酸配列を有するFc領域をさらに含むこれらの実施形態のそれぞれの1つをさらに含む。
抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、二特異性抗体、抗体薬物コンジュゲート、または抗体断片であってもよい。「ヒト化抗体」または「キメラヒト化抗体」は、親抗体の抗原結合性特性を保持するまたは実質的に保持するが、ヒトにおいてそれほど免疫原性ではない非ヒト抗体、典型的にマウス抗体に由来する抗体を意味するものとする。
一実施形態では、抗体は、プログラム細胞死またはアポトーシスを引き起こす。
一実施形態では、抗体は、CD19陽性B細胞障害のための使用のためのものである。
一実施形態では、抗体は、不応性のまたは再発した、抗CD20抗体により治療されている患者に対する使用のためのものである。
一実施形態では、本発明の抗体は、本発明による特異的なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを有するFc領域を有し、野生型げっ歯動物哺乳動物細胞、好ましくは野生型CHO細胞において産生されたものである。定義によると、本発明の研究では、これらの細胞は、グリコシル化を改変するように修飾されていないまたは特異的な条件において培養されていない。たとえば、これらの細胞は、1,6-フコシルトランスフェラーゼが欠損するように修飾されていない。本発明は、したがって、Fc領域に突然変異を有する、興味深く有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを有するそのような抗CD19抗体の産生に基づく。
本発明は、哺乳動物細胞、とりわけ野生型を含むCHO細胞などのようなげっ歯動物細胞におけるトランスフェクションおよび発現後に、非常に興味深いグリコシル化プロファイルを有する、特に、興味深く有益なグリコシル化プロファイル、とりわけ低フコースレベルおよび/または高オリゴマンノースレベルおよび/またはより高いレベルのシアリル化グリコフォームを有するこの抗CD19抗体を提供する。
本発明は、当業者に、たとえば、1,6-フコシルトランスフェラーゼをこれらの細胞から欠損させるようにもしくはグリコシル化プロファイル、たとえばフコースレベルに影響を与えることができる作用物質の存在下においてこれらの細胞を遺伝子操作するまたは特異的なグリコシル化機能を有する特有の細胞系を使用する必要性を伴わないで、哺乳動物細胞において抗CD19抗体を産生するための方法を提供する。
一実施形態では、方法は、抗CD19抗体をもたらすための、少なくとも1つの可変領域を有する本明細書において開示されるFcの組み合わせを含む。
一実施形態では、抗体は、哺乳動物細胞、特にげっ歯動物細胞、好ましくはCHO細胞、好ましくは、野生型DG44 CHO細胞(ATCCにより購入)などのような野生型で産生される。
抗CD19抗体を産生するための方法は、本発明の他の目的である。哺乳動物細胞、好ましくはCHO細胞などのようなげっ歯動物細胞、好ましくは野生型細胞は、1つまたは数個の発現ベクターによりトランスフェクトされる。好ましくは、細胞は、軽鎖についての発現ベクターおよび重鎖についての発現ベクターによりコトランスフェクトされる。
重鎖についての発現ベクターは、本発明による変異体Fc領域をコードする核酸配列配列番号2、4を含有する。
細胞トランスフェクションもまた、本発明の目的である。実行されてもよいトランスフェクションとして、限定を伴うことなく、リン酸カルシウム沈降、DEAE-デキストラン媒介性のトランスフェクション、エレクトロポレーション、nucleofection(AMAXA Gmbh、GE)、リポソーム媒介性のトランスフェクション(たとえばlipofectin(登録商標)もしくはlipofectamine(登録商標)技術を使用)、またはマイクロインジェクションなどのような、当業者によく知られている標準的なトランスフェクション手順が挙げられてもよい。
重鎖についての発現ベクターは、アミノ酸位置243、292、300、305、326、および396、任意選択で333のそれぞれでアミノ酸置換を含む本発明による変異体Fc領域をコードする核酸配列を含有する。一実施形態では、この核酸配列はまた、CD19抗原に対して特異的なまたはそれを特異的に認識する抗体可変領域をコードする核酸配列をも含む。好ましくは、可変領域は、内部移行しないCD19エピトープまたは決定基を認識する。
好ましくは、ベクターは、内部移行しないCD19エピトープまたは決定基を認識する、親マウスR005-1の可変領域をコードする核酸配列を含有する。
好ましくは、ベクターは、内部移行しないCD19エピトープまたは決定基を認識する、親マウスR005-2の可変領域をコードする核酸配列を含有する。
発現ベクターは、核酸配列または望まれる可変領域をコードする核酸配列を含む。ベクターによって発現することができる可変領域の様々な実施形態は、下記に提示される。
第1の実施形態では、可変領域VHは、R005-1のVH CDRであるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
一実施形態では、可変領域VHは、その配列が配列番号16、6、13に示されるR005-1 CDRを含む。他の実施形態では、可変領域VHは、その配列が配列番号5、6、7に示されるCDRを含む。他の実施形態では、可変領域VHは、その配列が配列番号11、12、13に示されるCDRを含む。
第2の実施形態では、可変領域VHは、R005-2のVH CDRであるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
一実施形態では、可変領域VHは、その配列が配列番号28、18、25に示されるCDRを含む。他の実施形態では、可変領域VHは、その配列が配列番号17、18、19に示されるCDRを含む。他の実施形態では、可変領域VHは、その配列が配列番号23、24、25に示されるCDRを含む。
一実施形態では、可変領域VH(R005-1)は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、ベクターは、配列番号30に示される核酸配列を含む。
他の実施形態では、可変領域VH R005-2は、配列番号33に示される核酸配列を有する。他の実施形態では、ベクターは、配列番号34に示される核酸配列を含む。
一実施形態では、ベクターは、配列番号16、6、13または5、6、7または11、12、13によるCDRをコードする核酸および配列番号1または3に示されるアミノ酸配列を有するFc領域をコードする核酸を含む核酸配列を含む。
一実施形態では、ベクターは、配列番号30に示される核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
他の実施形態では、ベクターは、配列番号29に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
他の実施形態では、ベクターは、配列番号18、28、25または17、18、19または23、24、25によるCDRを含む核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
一実施形態では、ベクターは、配列番号34に示される核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
他の実施形態では、ベクターは、配列番号33に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
軽鎖についての発現ベクターは、ヒトカッパまたはラムダ領域、好ましくはヒトカッパ領域およびCD19抗原に対して特異的なまたはそれを特異的に認識する抗体可変領域をコードする核酸配列を含有する。好ましくは、可変領域は、内部移行しないCD19エピトープまたは決定基を認識する。
発現ベクターは、核酸配列または望まれる可変領域をコードする核酸配列を含む。ベクターによって発現することができる可変領域の様々な実施形態は、下記に提示される。
第1の実施形態では、可変領域VLは、R005-1のVL CDRであるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
一実施形態では、可変領域VLは、その配列が配列番号8、9、10に示されるCDRを含む。他の実施形態では、抗体は、その配列が配列番号14、15、10に示されるCDRを含む。一実施形態では、可変領域は、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、ベクターは、配列番号32に示される核酸配列を含む。
第2の実施形態では、可変領域VLは、R005-2のVL CDRであるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
一実施形態では、可変領域VLは、その配列が配列番号20、21、22に示されるCDRを含む。他の実施形態では、抗体は、その配列が配列番号26、27、22に示されるCDRを含む。一実施形態では、可変領域は、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、ベクターは、配列番号36に示される核酸配列を含む。
発現ベクターは、前者の発現を可能にする核酸配列および調節配列を含む。一実施形態では、特有のベクターは、両方の核酸配列を含み、VHおよびVLをコードすることができる。
好ましくは、本発明は、(1)上記に言及されるVH CDRを含む抗体可変領域ならびにアミノ酸位置243、292、300、305、326、および396、任意選択で333のそれぞれでアミノ酸置換を含む変異体Fc領域をコードする核酸配列ならびに(2)上記に言及されるVL CDRを含む抗体可変領域およびヒトカッパ領域をコードする核酸配列を含む1つの単一のベクターまたはベクターのセットの使用を含む。
これらのベクターもまた、単独でまたはベクターのセットとして本発明の目的である。
これらのベクターもまた、単独でまたはベクターのセットとして本発明の目的である。使用されてもよいベクターとして、限定を伴うことなく、pcDNA3.3、pOptiVEC、pFUSE、pMCMVHE、pMONO、pSPORT1、pcDV1、pCDNA3、pCDNA1、pRc/CMV、pSECが挙げられてもよい。
本発明による特異的なアミノ酸置換に基づいて、当業者は、遺伝子コードの縮重を考慮に入れて、配列が本発明による変異体Fc領域をコードするのを可能にする、コドン突然変異を有する核酸配列を完全に設計することができる。
一実施形態では、配列は、Phe243が、Leu、Trp、Tyr、Arg、およびGlnの中から選ばれるアミノ酸によって置換される変異体Fc領域をコードする。好ましくは、Phe243は、Leuによって置換される。
一実施形態では、核酸配列は、Arg292が、GlyおよびProの中から選ばれるアミノ酸によって置換される変異体Fc領域をコードする。好ましくは、Arg292は、Proによって置換される。
一実施形態では、核酸配列は、Tyr300が、Lys、Phe、Leu、およびIleの中から選ばれるアミノ酸によって置換される変異体Fc領域をコードする。好ましくは、Tyr300は、Leuによって置換される。
一実施形態では、核酸配列は、IleおよびLeuの中からの変異体Fc領域をコードする。好ましくは、Val305は、Leuによって置換される。
一実施形態では、核酸配列は、Lys326が、Val、Glu、Ala、Gly、Asp、Met、Ser、Asn、およびTrpの中から選ばれるアミノ酸によって置換される変異体Fc領域をコードする。好ましくは、Lys326は、Alaによって置換される。
一実施形態では、核酸配列は、Glu333が、Val、Gly、Ala、Gln、Asp、Asn、Lys、Arg、およびSerの中から選ばれるアミノ酸によって置換される、変異体Fc領域をコードする。好ましくは、Glu333は、Alaによって置換される。
一実施形態では、核酸配列は、Pro396が、Leuによって置換される、変異体Fc領域をコードする。
一実施形態では、核酸配列は、Phe243がLeuによって置換され、Arg292がProによって置換され、Tyr300がLeuによって置換され、Val305がLeuによって置換され、Lys326がAlaによって置換され、Pro396がLeuによって置換される、変異体Fc領域をコードする。
一実施形態では、核酸配列は、Phe243がLeuによって置換され、Arg292がProによって置換され、Tyr300がLeuによって置換され、Val305がLeuによって置換され、Lys326がAlaによって置換され、Glu333がAlaによって置換され、Pro396がLeuによって置換される、変異体Fc領域をコードする。
一実施形態では、核酸配列は、本発明によるCDRまたは可変領域および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
一実施形態では、核酸配列は、上記に挙げられるVH CDRおよび配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
一実施形態では、核酸は、配列番号30に示される核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
他の実施形態では、核酸は、配列番号34に示される核酸配列および配列番号1または3に示される配列を有するFc領域をコードする核酸を含む。
一実施形態では、核酸は、配列番号32に示される核酸配列およびヒトカッパまたはラムダ領域をコードする核酸を含む。
他の実施形態では、核酸は、配列番号36に示される核酸配列およびヒトカッパまたはラムダ領域をコードする核酸を含む。
本発明の他の目的は、本発明による核酸配列ならびに哺乳動物細胞、特に、好ましくは野生型のCHO細胞における抗CD19抗体のVHおよびVL領域の発現を可能にする調節配列を含有するこれらの発現ベクターまたは発現ベクターのセットの使用である。
本発明の他の目的は、本発明のベクターまたはベクターのセットを含有する宿主細胞である。宿主細胞は、哺乳動物細胞、好ましくはげっ歯動物細胞、より好ましくはCHO細胞であってもよい。さらにより好ましくは、宿主細胞は、野生型哺乳動物細胞、好ましくは野生型げっ歯動物細胞、最も好ましくは野生型CHO細胞であってもよい。
当業者は、そのようなベクターおよびCHO細胞などのような細胞を使用して本発明による抗体を生成するための方法を完全に認める。
本発明の他の目的は、R005-1またはR005-2に由来するCDRを含み、CD19抗原に特異的に結合する特性を有する分子またはポリペプチドまたは抗体である。抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、または抗体薬物コンジュゲートであってもよい。それはまた、抗体断片であってもよい。
抗体断片は、1つまたは2つのVHおよびVL領域を含むまたは本質的にそれからなる分子であってもよく、VHは、配列番号16、6、13または5、6、7または11、12、13のCDRを含み、VLは、配列番号8、9、10または14、15、10のCDRを含む。この分子または抗体は、疾患の治療においてCD19抗原を標的にするために使用されてもよい。残りの記載は、療法におけるそれらの使用のために、これらの分子および抗体に十分に適用される。
抗体断片は、1つまたは2つのVHおよびVL領域を含むまたは本質的にそれからなる分子であってもよく、VHは、配列番号28、18、25または17、18、19または23、24、25のCDRを含み、VLは、配列番号20、21、22または26、27、22のCDRを含む。この分子または抗体は、疾患の治療においてCD19抗原を標的にするために使用されてもよい。残りの記載は、療法におけるそれらの使用のために、これらの分子および抗体に十分に適用される。
本発明の他の目的は、したがって、配列番号16、6、13または5、6、7または11、12、13による1つ、2つ、好ましくはすべてのCDRを含有するポリペプチドをコードする核酸配列である。
配列またはベクターの一実施形態では、可変領域VHもしくはVLは、配列番号30もしくは32に示される核酸配列または配列番号29もしくは31に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
一実施形態では、VHについての核酸配列はまた、Fc領域、特に、配列番号1または3の本発明による突然変異Fc領域をもコードする。
本発明の他の目的は、したがって、配列番号28、18、25または17、18、19または23、24、25による1つ、2つ、好ましくはすべてのCDRを含有するポリペプチドまたはアミノ酸配列をコードする核酸配列である。
配列またはベクターの一実施形態では、可変領域VHまたはVLは、配列番号34または36に示される核酸配列および配列番号33または35に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
一実施形態では、この核酸配列はまた、カッパ領域、特にヒトカッパ領域をもコードする。
本発明の他の目的は、そのような核酸配列および核酸配列によってコードされるポリペプチドの発現を可能にするための調節配列を含有する発現ベクターである。他の目的は、そのようなベクターによりトランスフェクトされる宿主細胞である。
本発明の他の目的は、本発明による抗CD19抗体およびビヒクルを含有する組成物である。
一実施形態では、本発明は、本発明による抗CD19抗体および生理学的に許容できるビヒクルまたは賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
一実施形態では、当該組成物は、少なくとも1つの他の抗体を含む。この補足のまたは他の抗体は、抗CD19抗体または他の腫瘍抗原に向けられる抗体であってもよい。この他の腫瘍抗原は、CD20、CD52、CD22、EGF受容体、VEGF受容体、模倣物ガングリオシド、GD3、CEA、HER-2であってもよい。
一実施形態では、組成物は、抗CD20抗体を含む。
一実施形態では、組成物は、抗CD52抗体を含む。
この他の腫瘍抗原は、特に、マウスモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体であってもよい。
特定の実施形態では、医薬組成物は、本発明による抗CD19抗体および抗CD20抗体を含む。抗CD20抗体の中で、特にリツキシマブが挙げられてもよい。
本発明の他の目的は、本発明による抗CD19抗体を含む少なくとも2つの抗体および同時の、別々の、または遅発性の投与のための生理学的に許容できるビヒクルまたは賦形剤を含むそのような医薬組成物である。この場合、有効成分はそれぞれ、薬学的に許容できるビヒクル中で別々にコンディショニングされる。
本発明の他の目的は、抗腫瘍医薬として、本発明による抗CD19抗体を含む医薬組成物である。
本発明の他の目的は、本発明による抗CD19抗体および抗腫瘍医薬としてCD20などのような他の腫瘍抗原に向けられる少なくとも1つの他の抗体を含む医薬組成物である。
本発明の他の目的は、本発明による抗CD19抗体および少なくとも1つの化学療法薬を含む医薬組成物である。この薬物は、エンドキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンカアルカロイド、ステロイド、白金(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アラシチン、ブレオマイシン、エトポシド、ベンダムスチンであってもよい。一実施形態では、さらなる薬物は、ドキソルビシンである。
一実施形態では、組成物は、薬学的に許容できるビヒクルと共に、同じ組成物中に両方の有効成分を含む。
本発明の他の目的は、本発明による抗CD19抗体およびさらなる薬物ならびに同時の、別々の、または遅発性の投与のための生理学的に許容できるビヒクルまたは賦形剤を含むそのような医薬組成物である。この場合、有効成分はそれぞれ、薬学的に許容できるビヒクル中で別々にコンディショニングされる。
一実施形態では、これらの組成物は、B細胞リンパ腫の治療における使用のためのものである。一実施形態では、これらの組成物は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)およびヘアリー細胞白血病、ならびにB細胞急性リンパ性白血病(B-ALL)の治療における使用のためのものである。
本発明の他の目的は、本発明による抗体または医薬組成物を投与することを含む、その必要性のある患者の治療のための方法である。方法は、癌または炎症または自己免疫性疾患を治療するまたは予防することを目的とする。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、治療または予防有効量の1つまたは複数の抗癌剤、治療用抗体、または癌、炎症、および/または自己免疫性疾患の治療および/または予防のための当業者らに知られている他の作用物質と組み合わせて投与されてもよい。
一実施形態では、方法は、これに限定されないがB細胞悪性疾患などのようなB細胞障害を治療するまたは予防することを目的とする。B細胞悪性疾患は、NHL、B-CLL、ヘアリー細胞白血病、およびB-ALLを含む。
一実施形態では、方法は、抗CD20抗体により治療されている不応性のまたは再発した患者に適用される。
一実施形態では、方法は、多発性硬化症、関節リウマチ、およびSLEなどのような自己免疫性疾患を治療するまたは予防することを目的とする。
一実施形態では、方法は、抗CD20抗体により治療されている不応性のまたは再発した患者に適用される。
一実施形態では、方法は、ヒト移植レシピエントにおける移植片対宿主疾患(GVHD)、体液性拒絶反応、または移植後リンパ増殖性障害を治療するまたは予防することを目的とする。一実施形態では、方法は、抗CD20抗体により治療されている不応性のまたは再発した患者に適用される。
一実施形態では、方法は、本発明による抗CD19抗体および他の腫瘍抗原に向けられる抗体の患者への投与を含む。この他の腫瘍抗原は、CD20、CD52、CD22、EGF受容体、VEGF受容体、模倣物ガングリオシド、GD3、CEA、HER-2であってもよい。この他の腫瘍抗原は、特に、マウスモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、薬物コンジュゲート抗体であってもよい。一実施形態では、組成物は、抗CD20抗体を含む。他の実施形態では、組成物は、抗CD52抗体を含む。
他の実施形態では、方法は、本発明による抗CD19抗体の患者への投与を含み、患者は、化学療法薬により治療されている、治療されたことがある、または治療されるであろう。この薬物は、たとえば、エンドキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンカアルカロイド、ステロイド、白金(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アラシチン、ブレオマイシン、エトポシド、ベンダムスチンであってもよい。一実施形態では、さらなる薬物は、ドキソルビシンである。好ましくは、患者は、本発明による抗体およびさらなる薬物の両方により治療される。抗体および薬物は、同じ組成物でまたは別々の組成物で投与されてもよい。
CD19エピトープマッピング。細胞溶解物は、それぞれ、トレーサー(ビオチン化MAb)としてまたはキャッチャーMAb(精製MAb)として使用した様々な組み合わせのMAbを試験することによって、CD19抗原供給源として使用した。
バーキットリンパ腫細胞系におけるマウスMAb抗CD19 R005-1によるより高いレベルのアポトーシス。バーキットリンパ腫細胞系Rajiは、5時間、様々なMAb濃度と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。2つの独立した実験からの平均値+/-SDを示す。
マウスMAb R005-1は、初代B-CLL細胞におけるアポトーシスの最良の誘発因子のうちの1つである。初代B-CLL細胞は、ficoll遠心分離後に単離した。4×106細胞を、完全培地において37℃で24時間、興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。次いで、細胞を、収集し、アネキシン-V FITC/ヨウ化プロピジウムにより染色した。20000細胞を、LSRIIサイトメーター(BD bioscience、USA)上で得、分析をFlowJoソフトウェア上で行った。アポトーシス細胞は、アネキシンV+/PI-細胞として定義した。データは、5つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
マウスMAb R005-1およびR005-2 MAb(A):VH(B):VLのヌクレオチドおよびアミノ酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。
マウスMAb R005-1およびR005-2 MAb(A):VH(B):VLのヌクレオチドおよびアミノ酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。
マウスMAb R005-1およびR005-2 MAb(A):VH(B):VLのヌクレオチドおよびアミノ酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。
マウスMAb R005-1およびR005-2 MAb(A):VH(B):VLのヌクレオチドおよびアミノ酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。
PBMNC細胞に対する天然キメラR005-1 Fc0およびマウス親mR005-1 MAbの間の比較染色。灰色の線は、陰性アイソタイプマウスIgG1またはヒトIgG1対照MAbの細胞蛍光測定法のヒストグラムを示し、黒色の線は、1.106細胞/mlについて5μg/mlで末梢血リンパ球または単球から得られた細胞蛍光測定法のヒストグラムを示した。3つの独立した実験についての代表的な実験。
天然キメラR005-1 Fc0およびマウス親mR005-1 MAbの間の交差ブロック実験。細胞は、Rajiバーキットリンパ腫細胞の10μl/ウェルのFITCコンジュゲートmR005-1による染色前に、天然chR005-1 Fc0またはhIgG1対照MAb(5μg/ml)により前処理したまたはしなかった。灰色の線は、陰性アイソタイプマウスIgG1対照MAbの細胞蛍光測定法のヒストグラムを示し、黒色の線は、FITCコンジュゲートmR005-1により得られた細胞蛍光測定法のヒストグラムを示した。データは、3つの独立した実験の1つの代表的な実験を示す。
親mR005-1またはchR005-1 Fc0 MAbにより標識する細胞は、CD19発現レベルの下方修飾を引き起こした。B-CLL細胞は、30分間、4℃で、ビオチン化MAbと共にインキュベートした。T0、T3h、およびT24hで、細胞を、4℃で、30分、ストレプトアビジン-Alexa 488nm(最終希釈液1/1000)により染色し、ホルムアルデヒド1%中で固定した。次いで、20000細胞を、LSRIIサイトメーター(BD bioscience、USA)上で得、FlowJo分析を行った。データは、9つの独立した実験の1つの代表的な実験を示す。
chR005-1 Fc0 MAbは、バーキットリンパ腫細胞に対して中程度のADCC活性を示す。カルセインAMをロードしたRaji細胞(1×105細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。エフェクター細胞(PBMNC)を、振盪条件下で37℃で4時間、E/T比50:1で追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出)/(最大の放出-標的の自発放出)*100に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、3つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
chR005-1 Fc0 mabは、初代B-CLL細胞に対して中程度のADCC活性を示す。初代B-CLL細胞は、ficoll遠心分離後に単離した。1×105細胞/mlカルセイン-AMロード細胞を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。エフェクター細胞(PBMNC)を、振盪条件下で37℃で4時間、E/T比50:1で追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、5つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
chR005-1 Fc0は、バーキットリンパ腫細胞に対してCDC活性を引き起こさなかった。Raji細胞(2.106細胞/ml)を、4℃で20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。次いで、5μlの天然ヒト補体を、振盪条件下で37℃で4時間、追加した。インキュベーション後、上清を収集し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を蛍光光度計で測定した。CDC溶解レベルは、式:(実験による放出-標的の自発放出)/(最大の放出-標的の自発放出)*100に従って計算し、ここで、天然補体なしの標的は自発放出を示した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、3つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
キメラFc24(配列番号3および4)またはFc34(配列番号1および2)変異体MAbのアミノ酸および核酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。文献によれば、Fc領域のアミノ酸ナンバリングは、Kabat(登録商標)のデータベースに基づく(CH1:aa n°118〜215;ヒンジ:aa n°216〜230;CH2:aa n°231〜340;CH3:aa n°341〜447)。本発明において使用される様々なFcの間の変異は天然Fc(Fc0)を基準にする。
キメラFc24(配列番号3および4)またはFc34(配列番号1および2)変異体MAbのアミノ酸および核酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。文献によれば、Fc領域のアミノ酸ナンバリングは、Kabat(登録商標)のデータベースに基づく(CH1:aa n°118〜215;ヒンジ:aa n°216〜230;CH2:aa n°231〜340;CH3:aa n°341〜447)。本発明において使用される様々なFcの間の変異は天然Fc(Fc0)を基準にする。
キメラFc24(配列番号3および4)またはFc34(配列番号1および2)変異体MAbのアミノ酸および核酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。文献によれば、Fc領域のアミノ酸ナンバリングは、Kabat(登録商標)のデータベースに基づく(CH1:aa n°118〜215;ヒンジ:aa n°216〜230;CH2:aa n°231〜340;CH3:aa n°341〜447)。本発明において使用される様々なFcの間の変異は天然Fc(Fc0)を基準にする。
キメラFc24(配列番号3および4)またはFc34(配列番号1および2)変異体MAbのアミノ酸および核酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。文献によれば、Fc領域のアミノ酸ナンバリングは、Kabat(登録商標)のデータベースに基づく(CH1:aa n°118〜215;ヒンジ:aa n°216〜230;CH2:aa n°231〜340;CH3:aa n°341〜447)。本発明において使用される様々なFcの間の変異は天然Fc(Fc0)を基準にする。
キメラFc24(配列番号3および4)またはFc34(配列番号1および2)変異体MAbのアミノ酸および核酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。文献によれば、Fc領域のアミノ酸ナンバリングは、Kabat(登録商標)のデータベースに基づく(CH1:aa n°118〜215;ヒンジ:aa n°216〜230;CH2:aa n°231〜340;CH3:aa n°341〜447)。本発明において使用される様々なFcの間の変異は天然Fc(Fc0)を基準にする。
キメラFc24(配列番号3および4)またはFc34(配列番号1および2)変異体MAbのアミノ酸および核酸配列。アミノ酸は、1文字コードとして示す。文献によれば、Fc領域のアミノ酸ナンバリングは、Kabat(登録商標)のデータベースに基づく(CH1:aa n°118〜215;ヒンジ:aa n°216〜230;CH2:aa n°231〜340;CH3:aa n°341〜447)。本発明において使用される様々なFcの間の変異は天然Fc(Fc0)を基準にする。
エフェクター細胞としてのPBMNCの存在下における、バーキットリンパ腫細胞に対するchR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34 MAbによるADCC活性の増強。カルセインAMをロードしたRaji細胞(1×105細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。エフェクター細胞(PBMNC)を、振盪条件下で37℃で4時間、E/T比50:1で追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:(実験による放出-(標的+エフェクターの自発的な放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、4つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
chR005-1 Fc24は、初代B-CLL細胞に対して強力なADCC活性を媒介した。初代B-CLL細胞は、ficoll遠心分離後に単離した。(1×105細胞/ml)カルセイン-AMロードRaji細胞を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。エフェクター細胞(PBMNC)を、振盪条件下で37℃で4時間、E/T比50:1で追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、5つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34 MAbは、バーキットリンパ腫細胞に対するCDC活性を誘発した。Raji細胞(2.106細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。次いで、5μlの天然ヒト補体を、振盪条件下で37℃で4時間、追加した。インキュベーション後、上清を収集し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を蛍光光度計で測定した。CDC溶解レベルは、式:(実験による放出-自発放出)/(最大の放出-自発放出)*100に従って計算し、ここで、天然補体なしの標的は自発放出を示した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、3つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
chR005-2 Fc24もまた、バーキットリンパ腫細胞に対するCDC活性を誘発した。Raji細胞(2.106細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。次いで、5μlの天然ヒト補体を、振盪条件下で37℃で4時間、追加した。インキュベーション後、上清を収集し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を蛍光光度計で測定した。CDC溶解レベルは、式:(実験による放出-自発放出)/(最大の放出-自発放出)*100に従って計算し、ここで、天然補体なしの標的は自発放出を示した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、1つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
chR005-1 Fc24 MAbは、初代B-CLL細胞に対する強力なCDC活性を媒介した。B-CLL細胞(2-106細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。次いで、5μlの天然ヒト補体を、振盪条件下で37℃で4時間、追加した。インキュベーション後、上清を収集し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を蛍光光度計で測定した。CDC溶解レベルは、式:(実験による放出-自発放出)/(最大の放出-自発放出)*100に従って計算し、ここで、天然補体なしの標的は自発放出を示した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、1つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
野生型chR005-1または突然変異体MAbに対する組換えヒトC1q結合。ヒト組換えC1qの結合は、ELISA結合アッセイによって評価した。マウス親MAb mR005-1は陰性対照として、リツキシマブは陽性対照として使用した。データは、2つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
抗CD19 chR005-1のFc24またはFc34遺伝子操作は、バーキットリンパ腫細胞系におけるPCDに作用しなかった。バーキットリンパ腫細胞系Rajiは、5時間、様々なMAb濃度と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、2つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
抗CD19 chR005-1のchR005-1 Fc24またはFc34遺伝子操作は、初代B-CLL細胞におけるPCDに作用しなかった。細胞は、5時間、様々なMAb濃度でインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、4つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
キメラ抗CD20(リツキシマブ)と組み合わせたmR005-1 MAbは、バーキットリンパ腫細胞におけるそれらのアポトーシスの効果の作用を助けた。Daudi細胞(4×104細胞)は、完全培地において37℃で、5時間、組み合わせのまたは組み合わせでない興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、3つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
キメラ抗CD20(Rituxan(登録商標))と組み合わせたchR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34 MAbは、バーキットリンパ腫細胞におけるそれらのアポトーシスの効果の作用を助けた。Daudi細胞(4×104細胞)は、完全培地において37℃で、5時間、組み合わせのまたは組み合わせでない興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、2つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
キメラ抗CD20(リツキシマブ(登録商標))と組み合わせた親mR005-1は、初代B-CLL細胞におけるそれらのアポトーシスの効果の作用を助けた。初代B-CLL細胞は、ficoll遠心分離後に単離した。B-CLL(4×104細胞)を、完全培地において37℃で、24時間、組み合わせのまたは組み合わせでない興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、7つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
キメラ抗CD20(Rituxan(登録商標))と組み合わせたchR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34は、初代B-CLL細胞におけるそれらのアポトーシスの効果の作用を助けた。初代B-CLLは、ficoll遠心分離後に単離した。B-CLL(4×104細胞)を、完全培地において37℃で、24時間、組み合わせのまたは組み合わせでない興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、4つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
マウスMAb R005-1は、Rituxan(登録商標)不応性の初代B-CLL細胞においてアポトーシスを引き起こした。初代B-CLL細胞は、ficoll遠心分離後に単離した。4×106細胞を、完全培地において37℃で24時間、興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。次いで、細胞を、収集し、アネキシン-V FITC/ヨウ化プロピジウムにより染色した。アポトーシス細胞は、アネキシンV+/PI-細胞として定義した。データは、2つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
MAb chR005-1 Fc24またはMAb chR005-1 Fc34は、Rituxan(登録商標)不応性の初代B-CLL細胞においてアポトーシスを引き起こした。初代B-CLLは、ficoll遠心分離後に単離した。B-CLL(4×104細胞)を、完全培地において37℃で、24時間、組み合わせのまたは組み合わせでない興味のあるMAbおよび対照と共にインキュベートした。B細胞は、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により二重染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、1つの代表的な実験を示す。
いかなるFcγRIIIAアロタイプF/FまたはV/Vでも、同様のレベルのADCCが観察された。リンパ球染色を、MAb非コンジュゲート3G8またはMEM-154により実行した。それぞれのFcγRIIIA-158多型(VVまたはFF)について。データは、2つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
iDD biotech MAb重鎖または軽鎖発現ベクターの一般的な特徴。空のCHO細胞を、発明者らの研究所において確立した一時的トランスフェクション手順に従って軽鎖についてのpcDNA3.3-TOPO発現ベクター(Invitrogen)および重鎖についてのpcDNA3.3発現ベクター(Invitrogen)によりコトランスフェクトした。
MAb chR005-1 Fc0のグリコシル化プロファイル。PNGase F消化によって放出された抗体オリゴ糖は、MALDI-TOF Voyager DE PROスペクトロメーターを使用して分析した。m/z値は、ナトリウム結合オリゴ糖イオンに対応する。示されるそれぞれのピークの糖組成を図32に詳述する。それぞれの主なピークの模式的なオリゴ糖構造を、チャートの右側に示す:GlcNAc(塗りつぶしの丸)、マンノース(白抜きの正方形)、ガラクトース(白抜きの菱形)、およびフコース(白抜きの三角形)。
MAb chR005-1 Fc24のグリコシル化プロファイル。PNGase F消化によって放出された抗体Fcオリゴ糖は、MALDI-TOF MSスペクトロメーターReflex IIIを使用して分析した。m/z値は、ナトリウム結合オリゴ糖イオンに対応する。示されるそれぞれのピークの糖組成を図32に詳述する。それぞれの主なピークの模式的なオリゴ糖構造を、チャートの右側に示す:GlcNAc(塗りつぶしの丸)、マンノース(白抜きの正方形)、ガラクトース(白抜きの菱形)、およびフコース(白抜きの三角形)。
MAb chR005-1 Fc24のグリコシル化プロファイル。PNGase F消化によって放出された抗体Fcオリゴ糖は、MALDI-TOF MSスペクトロメーターReflex IIIを使用して分析した。m/z値は、ナトリウム結合オリゴ糖イオンに対応する。示されるそれぞれのピークの糖組成を図32に詳述する。それぞれの主なピークの模式的なオリゴ糖構造を、チャートの右側に示す:GlcNAc(塗りつぶしの丸)、マンノース(白抜きの正方形)、ガラクトース(白抜きの菱形)、およびフコース(白抜きの三角形)。
野生型CHO細胞において発現された親chR005-1 Fc0および最適化chR005-1 Fc24またはFc34 MAbの間の、N-グリカン型のレーザー誘起蛍光検出相対強度によるキャピラリー電気泳動法後のグリカン標準物質との比較による炭水化物構造の指定。
変異体MAb抗CD19のオリゴ糖分析。野生型CHO細胞において発現された親chR005-1 Fc0および最適化chR005-1 Fc24またはFc34 MAbの間のN-グリカン型の相対強度の比較。
Fc変異体を与えるグリカンプロファイル。野生型CHO Easy C細胞から産生されたchR005-1 Fc変異体抗体のIgG N結合型グリカン。分子の質量は、Maldi質量分析法(A-B)によって[M+Na]+として検出された完全メチル化グリカンである。MAbパネルは、CHO Easy C細胞から産生された。Fc変異体抗体パネルの中の様々なグリコシル化プロファイルが観察された。1つの代表的な実験。
Fc変異体を与える特異なMAb活性。A-カルセインAMをロードしたRaji細胞(1×105細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。エフェクター細胞(PBMNC)を、振盪条件下で37℃で4時間、E/T比50:1で追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:[(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100]に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、5つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
Fc変異体を与える特異なMAb活性。B-Raji細胞(2ー106細胞/ml)は、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。次いで、5μl/ウェルの天然ヒト補体を、振盪条件下で37℃で4時間、追加した。インキュベーション後、上清を収集し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を蛍光光度計で測定した。CDC溶解レベルは、式:(実験による放出-標的の自発放出)/(最大の放出-標的の自発放出)*100に従って計算し、ここで、天然補体なしの標的は自発放出を示した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、3つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
Fc変異体を与える特異なMAb活性。A-カルセインAMをロードしたRaji細胞(1×105細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。エフェクター細胞(PBMNC)を、振盪条件下で37℃で4時間、E/T比50:1で追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:[(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100]に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。データは、3つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
Fc変異体を与える特異なMAb活性。B-カルセインAMをロードしたRaji細胞(1×105細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。ウェル当たり50μlの、全血由来のエフェクター細胞を、振盪条件下で37℃で、4時間、追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:[(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100]に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。1つの代表的な実験。
Fc変異体を与える特異なMAb活性。カルセインAMをロードしたRaji細胞(1×105細胞/ml)を、4℃で、20分間、興味のあるMAbと共にインキュベートした。ウェル当たり50μlの、全血由来のエフェクター細胞を、振盪条件下で37℃で、4時間、追加した。遠心分離後、上清を収集し、カルセイン-AM蛍光を蛍光光度計で測定した。ADCC溶解レベルは、式:[(実験による放出-(標的+エフェクターの自発放出))/(最大の放出-標的の自発放出)*100]に従って計算した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。1つの代表的な実験。
chR005-1 MAb Fc24またはchR005-1 Mab Fc34によるin vivoにおける腫瘍増殖の阻害。Raji細胞を皮下注射したマウスを、白血球ありまたはなしで、100mg/kgで週に一度21日目に開始して、静脈内MAb注入によって治療した。腫瘍は、週に二度、測定した。
chR005-1 MAb Fc24またはchR005-1 Mab Fc34によるin vivoにおける腫瘍増殖の阻害。Raji細胞を皮下注射したマウスを、白血球ありまたはなしで、100mg/kgで週に一度21日目に開始して、静脈内MAb注入によって治療した。腫瘍は、週に二度、測定した。
野生型chR005-1または突然変異体MAbに対する補体ヒト血清結合。MAbに対するヒト補体血清の結合は、ELISA結合アッセイによって評価した。96ウェルプレート(Nunc)を、様々なMAb濃度により4℃で一晩コートした。洗浄後、プレートを、1時間、PBS-5% BSAによりブロックし、2.5μlの天然ヒト補体(Sigma)と共に1時間インキュベートした。次いで、ヒツジ抗ヒトC1qペルオキシダーゼ-コンジュゲートAb(Abd Serotec)の1/500希釈液の100μlを追加し、1時間インキュベートした。プレートを、ウェル当たり100μlのTMB基質(Uptima Interchim)により現像した。H2SO4追加後に、ODを、MRX IIマイクロプレートリーダーを使用して、450nm/630nmで測定した。データは、2つの独立した実験の平均値+/-SDを示す。
Rituxan不応性のRL定着腫瘍の増殖は、Fc24最適化chR005-1 MAbにより阻害された。Rituxan不応性のRL細胞を皮下注射したマウスを、100mg/kgで週に一度20日目に開始して、静脈内MAb注入によって治療した。
Fc24最適化chR005-1 MAbおよび薬物ドキソルビシンの組み合わせは、Raji定着腫瘍の増殖阻害のレベルを増加させた。定着SCバーキットリンパ腫腫瘍を有するマウスを毎週治療した。対照群は、ビヒクル(NaCl 0.9%)を受けたが、治療群は、以下のうちの1つを受けた:chR005-1 Fc24 MAb 100mg/kg、ドキソルビシン2mg/kg、chR005-1 Fc24 MAb+ドキソルビシン。
材料および方法
細胞:CHO dhfr-/-細胞系は、ATCC(American Type Culture Collection、USA)から研究目的のために得た。バーキットリンパ腫RajiまたはDaudi細胞系は、T細胞リンパ腫Cem細胞のように、ECACC(European Collection of Cell Culture、UK)から得た。ヒトPBMNCは、Ficoll-Histopaque密度勾配(Sigma、Saint Quentin Fallavier、France)を使用して、匿名の健康なボランティアドナーの白血球搬出から精製した(Blood Center、Lyon France)。この研究に登録されたB-CLL患者はみな、National Cancer Institute Working Group in 1996からの基準によって概説されるように、免疫表現型により定義した(Hallek et al., 2008)。血液は、ヘルシンキ宣言に従って、書面のインフォームドコンセント後に患者から得た。
試薬および抗体:IgG1キメラ陰性対照は、iDD biotech(Dardilly、France)で産生した。マウス親MAb mR005-1またはmR005-2は、iDD biotechハイブリドーマライブラリーから単離した。野生型chR005-1 Fc0(天然IgG1とも呼ばれる)およびすべての修飾抗体は、iDD biotech(Dardilly、France)によって生成し、産生した。FITC標識アネキシン-Vおよびヨウ化プロピジウム(PI)は、それぞれ、BD Bioscience(Pont de Claix、France)およびSigma(Saint Quentin Fallavier、France)から購入した。ヤギFab'2抗ヒトRPE IgG抗体およびヤギ抗マウスFITC Ig抗体は、それぞれ、Sigma(Saint Quentin Fallavier、France)およびMP Biomedical(Illkirch、France)により購入した。リツキシマブは、Genentechによって産生されており、市販で購入した。他のMAb抗CD19 4G7(IgG1)、Bu12(IgG1)、HD37(IgG1)、B4(IgG1)は、それぞれ、Santa Cruz Biotechnology(California、USA)、Abd Serotec(Dusselldorf、Germany)、Santa Cruz Biotechnology(California、USA)、Biogenex(San Ramon、USA)により購入した。アポトーシスアッセイのための陽性対照として使用したカンプトテシンは、Sigma(Saint Quentin Fallavier、France)により購入した。
マウス抗体生成:Balb/cマウスは、ヒト慢性リンパ性白血病細胞などのようなCD19発現細胞により免疫した。マウスMAbは、標準的なハイブリドーマ技術を使用して生成し(Zola et al., 1987)、フローサイトメトリーによってCD19陽性細胞系のみに結合するそれらの能力について最初にスクリーニングした。精製MAbは、腹水精製後に産生し、次いで、プロテインA Sepharose(Pharmacia、Uppsala、Sweden)を使用することによって精製した。
天然キメラMAbへのマウスMAbの変換:ハイブリドーマの可変領域に対応するcDNAは、2つのアプローチを使用して得た。第1のアプローチは、N末端配列決定から生成された縮重N末端アミノ酸関連プライマーセットのPCRにおける利用に基づき、第2のアプローチは、IMGT(登録商標)プライマーデータベースによって生成された縮退プライマーセットおよび以前に記載された特異的なプライマーのPCRにおける利用に基づく(Essono et al., 2003; Wang et al., 2000)。N末端可変領域の配列は、エドマン分解によって決定した。全RNA抽出は、サプライヤーSigmaによって説明されるプロトコールに従ってTri Reagentキットを使用して実行した。増幅したVLおよびVH断片は、ジデオキシターミネーション(dideoxytermination)法(Sanger et al., 1977)による配列分析のためにTOPO-TAクローニングベクター(Invitrogen)の中にクローニングした。次いで、抗体変異体構築物は、PCRによって増幅し、ベクターpcDNA3.3の中にクローニングした。
抗体変異体の構築:Fcドメインにおける置換は、部位特異的突然変異誘発の「メガプライマー(megaprimer)」法(Sarkar et al., 1990)を使用して導入した。位置は、Kabat(登録商標)指標(Identical V region amino acid sequences and segments of sequences in antibodies of different specificities)に従ってナンバリングし、抗体結合部位の結合に対する、VHおよびVL遺伝子、ミニ遺伝子、ならびに相補性決定領域の相対的寄与を分析した(Kabat et al., 1991)。重鎖および軽鎖構築物は、MAbスクリーニングに適したCHO DG44(ATCC)の中にコトランスフェクトした。抗体は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー(GE Healthcare)を使用して精製した。
CD19 MAb ELISA競合:競合結合ELISA実験のために、細胞溶解物は、それぞれ、トレーサー(ビオチン化MAb)としてまたはキャッチャーMAb(精製MAb)として使用した様々な組み合わせのMAbを試験することによって、CD19抗原供給源として使用した。
ヒトCD19に結合するMAbのFACS分析:本発明の研究において生成したすべてのMAbのヒトCD19への結合は、マウスMAbの検出についてはSigma(Saint Quentin Fallavier、France)からのヤギ抗マウスFITC Igを使用し、キメラMAbの検出についてはSigma(Saint Quentin Fallavier、France)からのヤギ抗ヒトPE Igを用いて、FACScan(BD Bioscience、Pont de Claix、France)により測定した。競合結合実験のために、細胞は、過剰量の親MAbまたはマウスIgG1アイソタイプ対照抗体と共にあらかじめインキュベートした。
ビオチン化抗体を使用することによるレーザー走査型共焦点顕微鏡法:細胞の蛍光は、ビオチン化MAbによる細胞標識後に、Inverted Zeiss Axiovert 100M LSM 510 Meta共焦点顕微鏡を使用して可視化した。
グリコシル化分析:N-グリカンの放出&完全メチル化(permethylation)は、標準的な手順に従って実行した(Ciucanu et al., 1984)。タンパク質グリコシル化の分析は、質量分析法(Morelle et al., 2007)によって決定した。
抗体親和性:抗体KD値の決定は、細胞結合抗体を検出するためにフローサイトメトリーによって分析した結合アッセイを使用することによって、以前に記載されるように(Benedict et al., 1997)実行した。
フローサイトメトリーによるアポトーシスの評価:抗体とのインキュベーション後の細胞のアポトーシスは、アネキシンV/PI染色、その後に続くFACS分析を使用して測定した。アポトーシス細胞は、アネキシンVについて陽性染色およびヨウ化プロピジウムについて陰性染色を示すゲートにおいて決定した。
抗体依存性細胞傷害アッセイ(ADCC);初代B-CLL細胞またはB細胞系(Raji)(標的細胞)に、12.5μΜカルセイン-AM色素(Sigma、France)をロードした。ウェル当たり5000の標的細胞を、+4℃で、20分間、様々な濃度の興味のあるMAbおよび対照と共にあらかじめインキュベートした。次いで、エフェクター細胞を、50:1に等しいE/T比で標的細胞に追加した。特異的なADCC溶解は、上記の式を使用して計算した:(実験による放出-(自発放出標的+エフェクター))/(最大の放出-自発放出標的)*100、ここで、抗体なしの標的およびエフェクター細胞は、自発放出に相当した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。
補体依存性細胞傷害アッセイ(CDC):初代B-CLL細胞またはB細胞系の標的細胞(ウェル当たり50000細胞)(Ramos、Raji、およびDaudi細胞系)を様々なMAb濃度でインキュベートした。次いで、ヒト正常血清を培養物に追加し、次いで、細胞を、振盪条件下で+37℃で4時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、上清に存在する乳酸デヒドロゲナーゼを、LDHアッセイキット(Promega、France)により測定した。蛍光は、590nmの励起波長で記録した。特異的なCDC溶解は、上記の式を使用して計算した:(実験による放出-標的の自発放出)/(最大の放出-標的の自発放出)*100、ここで、抗体なしの標的およびエフェクター細胞は、自発放出に相当した。最大の放出値は、Triton X-100により標的細胞を処理することによって得た。
補体結合測定法:MAbに対するヒトC1qの結合は、ELISA結合アッセイによって評価した。96ウェルプレート(Nunc)を、様々なMAb濃度により4℃で一晩コートした。洗浄後、プレートを、1時間、PBS-5% BSAによりブロックし、0.2μg/mlの組換えヒトC1q(Abd Serotec)または2.5μlの天然ヒト補体(Sigma)と共に1時間インキュベートした。次いで、ヒツジ抗ヒトC1qペルオキシダーゼ-コンジュゲートAb(Abd Serotec)の1/500希釈液の100μlを追加し、1時間インキュベートした。プレートを、ウェル当たり100μlのTMB基質(Uptima Interchim)により現像した。H2SO4追加後に、ODを、MRX IIマイクロプレートリーダーを使用して、450nm/630nmで測定した。
フローサイトメトリーによるVVまたはFF多型検出:FCγRIIIA-158V/F多型は、記載されるようにMEM-154/3G8蛍光比に基づくものとした(Bottcher et al., 2005)。ヒト血液試料(50μl)を、10μg/mlの非コンジュゲート3G8(Becton Dickinson、USA)、MEM-154(Abcam、USA)、またはアイソタイプ対照MAbと共にRTで15分、暗中でインキュベートした。1/10に希釈した2mlの赤血球溶解バッファー(BD biosciences、USA)を5分間、追加する。洗浄後、Sigma(Saint Quentin Fallavier、France)からのヤギ抗マウスFITC Igを追加する(1/800に希釈した100μl)。細胞を、RTでさらに30分インキュベートし、次いで、2回洗浄し、FACScan(BD biosciences、Pont de Claix、France)を使用してアッセイした。
結果
1.CD19エピトープマッピング。
ELISA競合によって、発明者らは、MAb mR005-1、mR005-2、4G7、B4、Bu12、HD37を含むMAbパネル抗CD19を使用することによってCD19エピトープマッピングを決定した。図1において示されるように、強力な競合は、トレーサー/キャッチャーMAbとして、組み合わせ4G7/mR005-1およびHD37/mR005-1を使用することによって観察され、これらの抗体が、同じエピトープまたは隣接するエピトープを認識したことを明らかにした。対照的に、著しい競合は、mR005-2またはBU12MAbで観察されなかった。
2.親マウスMAb mR005-1は、バーキットリンパ腫細胞系または初代B-CLL細胞においてアポトーシスを引き起こす。
マウスMAb mR005-1は、バーキットリンパ腫Raji細胞系においてマウスMAb mR005-2よりもPCDを誘発するのに非常に有効であった(図2)。mR005-1 MAbの優れたアポトーシス効果がこれらの分子の素晴らしい特異性に関連し得るということを示唆したくなる。発明者らの結果はまた、mR005-1 MAbがリツキシマブよりもPCDを引き起こすのがより効率的であることをも実証した。
3.アポトーシスを引き起こすためのマウスMAb生物学的活性は、CD19上のエピトープに関連づけられる。
ヒトCD19に対するマウスMAbのパネルを、様々なクローンのアポトーシスの可能性を評価するために試験した。発明者らは、インキュベーションの24時間後に、これらの抗体によって誘発されるアポトーシスのレベルを決定するためにアネキシン-V/PIアプローチを使用した。発明者らは、mR005-1が、患者から単離されたB-CLL細胞におけるアポトーシスプロセスの誘発因子として最良のMAbのうちの1つであることを発見した(図3)。同様のデータは、バーキットリンパ腫細胞系を使用することによって観察された(データ示さず)。本明細書で示される発明者らの観察は、アポトーシスシグナルを誘発することができるmR005-1 MAbに関連する、誘導されたキメラMAbによるB-CLL腫瘍細胞の治療が、それらの直接的な殺傷および排除に寄与し得ることを示唆する。
4.マウスMAb R005-1およびマウスMAb R005-2のキメラ化。
IMGT(登録商標)データベースと比較して、VL mR005-1の配列およびVH mR005-1の配列を検証し、それぞれ、少なくとも96%および少なくとも92%が認識された(図4)。VL mR005-2およびVH mR005-2の配列もまた、検証した(それぞれ99%および98%)。cDNAクローニングによって得られたVHおよびVL配列の確実性もまた、標的マウスモノクローナル抗体のN末端アミノ酸配列によって確認した。重鎖および軽鎖は、還元条件下で、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によってアミノ酸配列決定前に分離し、20の最初のアミノは、エドマン分解によって配列決定した。その後、配列を、次いで、軽鎖発現ベクター(VL mR005-1またはVL mR005-2)およびFc0という名前の天然のFc領域をもコードする重MAb発現ベクター(VH mR005-2またはVH mR005-2)の中にクローニングした。リポフェクションによるCHO dhfr-/-細胞に対する一時的なトランスフェクションを実行した。
5.フローサイトメトリー分析によって確認したVHおよびVL chR005-1鎖の確実性および選択。
VH1およびVL1配列から構築された天然のキメラMAb chR005-1 Fc0は、染色および特異性について親マウスMAb mR005-1と直接比較した。図5において示されるように、同等の染色が末梢血リンパ球上で観察された。マウス親mR005-1および天然のchR005-1 Fc0の細胞結合競合もまた、図6に示した。chR005-1 Fc0は、マウス親mR005-1 MAb結合を完全にブロックした。
6.MAb結合後のCD19内部移行の誘発は、全般的な結果ではなく、使用される様々なMAb抗CD19に関連し得る。
フローサイトメトリーにおける間接的な染色によって、4℃または37℃でのインキュベーション後のB-CLL細胞表面の裸の(naked)抗体の存在または不在を、決定した(図7)。幾何平均蛍光強度の著しい変化は、3または24時間を超える長時間の37℃でのリツキシマブにより観察された。同様の効果は、親マウスMAb mR005-1で認められたが、幾何平均蛍光強度のより小さな変化は、野生型キメラMAb chR005-1 Fc0で観察された。
7. 天然のchR005-1 Fc0細胞傷害活性の特徴付け。
多くの適用では、キメラ抗体は、親マウスモノクローナル抗体と比較して、補体媒介性の腫瘍細胞溶解および抗体依存性細胞傷害活性アッセイにおいて改善されたエフェクター機能を実証してきた(Liu et al., 1987; Nishimura et al., 1987; Hamada et al., 1990)。天然のキメラMAb chR005-1 Fc0は、バーキットリンパ腫細胞系(図8)に対してまたは患者由来のex vivo B-CLL細胞に対して(図9)、中程度のADCCを誘発した。標準的な、補体依存性の細胞傷害アッセイにおいて、陽性対照として使用したリツキシマブのみがRaji細胞を殺傷したのに対して、chR005-1 Fc0は、細胞傷害を引き起こさなかった(図10)。
8.ヒトIgG1 CH2ドメインについての変異体の生成。
本明細書において使用されるように、用語「重鎖」は、IgG抗体の重鎖を定義するために使用される。インタクトで天然のIgGでは、重鎖は、免疫グロブリンドメインVH、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3を含む。本明細書の全体にわたって、IgG重鎖における残基のナンバリングは、参照によって本明細書において明確に組み込まれるEU指標(Kabat et al, 1991)のものとする。「KabatにおけるEU指標」は、ヒトIgG1 EU抗体のナンバリングを指す。
発明者らは、エフェクター機能を媒介する能力を増強するために、単一、二重、3、4、または5置換変異体を含む数個の変異体を構築した(図11)。
Fc34 LPLLAL F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/P396L
Fc24 LPLLAAL F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/E333A/P396L
9.Fc24またはFc34変異体chR005-1は、ADCCを効率的に引き起こした。
MAb変異体パネル由来のADCCを媒介するためのMAb活性は、最初に全血ベースのアッセイにおいてRaji標的細胞を使用して測定した(図12)。chR005-1 Fc24またはFc34 MAbの効力および有効性は、親chR005-1 Fc0と比較した場合、顕著により高かった。
chR005-1 Fc24の活性もまた、患者由来のex vivo B-CLL細胞を使用することによって評価した(図13)。Raji細胞系に対するADCCによる観察と同様に、chR005-1 Fc20 MAbの効力および有効性は、親chR005-1 Fc0と比較した場合、顕著により高かった。
10.B細胞リンパ腫を使用するCDCに対するMAb変異体パネルについての調査。
図14に示すように、野生型chR005-1 Fc0から生成された6突然変異体Fc34(F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/P396L)または7突然変異体Fc24(F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/E333A/P396L)は、Raji細胞系を使用するとCDCを誘発した。
図15に示すように、野生型chR005-2 Fc0から生成された5突然変異体Fc24(F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/E333A/P396L)もまた、Raji細胞系を使用するとCDCを誘発した。
野生型chR005-1 Fc0から生成された6突然変異体Fc34(F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/P396L)または5突然変異体Fc24(F243L/R292P/Y300L/V305L/K326A/E333A/P396L)もまた、ex vivo B-CLLを標的にした場合、CDCを誘発した(図16)。
11.chR005-1 Fc34についてより高く、効率的に補体に結合する変異体chR005-1 Fc24またはFc34。
血清中に存在するヒトまたは天然補体は、変異体chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34に結合し(図17)、chR005-1 Fc34変異体でより高い有効性を明らかにした。
12.MAb変異体は、同様のレベルの細胞アポトーシスを引き起こした。
chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34 MAbのプログラム細胞死についての生物学的活性を、Raji CD19陽性細胞系(図18)またはex vivo B-CLL(図19)に対して試験した。Fc MAb遺伝子操作は、CD19により引き起こされるアポトーシスに作用しなかった。
13.モノクローナル抗体は組み合わせて使用されてもよい。
PCDを単独でまたは組み合わせて媒介するためのMAb活性は、Daudi標的細胞を使用して比較した。より高いレベルのアポトーシス細胞は、リツキシマブと組み合わせたマウス親mR005-1(図20)の存在下においてまたは変異体Fc24またはFc34 chR005-1 MAb(図21)で観察され、MAbの組み合わせの実現可能性および利点を実証した。
PCDを単独でまたは組み合わせて媒介するためのMAb活性は、ex vivo B-CLLを使用して比較した。より高いレベルのアポトーシス細胞は、リツキシマブと組み合わせたマウス親mR005-1(図22)の存在下においてまたは変異体Fc24またはFc34 chR005-1 MAb(図23)で観察され、MAbの組み合わせの実現可能性および利点を実証した。
14.CD19に向けられるMAbは、リツキシマブ再発性および不応性疾患を有する患者において使用することができる。
リツキシマブ治療後に再発性および不応性疾患を有する患者由来のex vivo B-CLL試料を、マウス親mR005-1(図24)またはMAb chR005-1 Fc24もしくはchR005-1 Fc34(図25)によりin vitroにおいて治療した。リツキシマブと比較した、CD19に対するMAbにより観察されたアポトーシスのより高いレベルは、CD20以外の他の抗原に向けられるMAbを使用する実現可能性および有効性を実証した。
15.Fc多型の影響はない。
いかなるFcγRIIIAアロタイプF/FまたはV/Vでも、同様のレベルのADCCが観察された。リンパ球染色を、MAb非コンジュゲート3G8またはMEM-154により実行した(図26)。
16.MAb発現。
空のCHO dhfr-/-細胞(ATCC collectionにより購入)は、発明者らの研究所において確立した一時的トランスフェクション手順に従って、軽鎖についてのpcDNA3.3発現ベクターおよび重鎖についてのpcDNA3.3発現ベクターによりコトランスフェクトした。このMAb発現ベクターの一般的な特徴を図27に示す。空のCHO細胞は、発明者らの研究所において確立した一時的トランスフェクション手順に従って軽鎖についてのpcDNA3.3発現ベクター(Invitrogen)および重鎖についてのpcDNA3.3発現ベクター(Invitrogen)によりコトランスフェクトした。この研究のMAb発現ベクターの一般的な特徴を図27に示す。pcDNA3.3ベクターを使用することによって、哺乳動物細胞におけるこれらのキメラ抗体鎖の発現を、完全長ヒトCMV最初期プロモーター/エンハンサーによって制御した。H鎖およびL鎖の分泌は、それぞれのヒトIgHリーダー配列によって可能になった。また、3'領域において、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼポリAテールは、mRNAの効率的な誘発および安定化を可能にする。MAb抗CD19の軽鎖および重鎖についてのコード領域は、TOPOクローニング部位において発現ベクターpcDNA3.3-TOPOの中に導入する。形質転換体は、正確な方向づけおよびリーディングフレームについて分析し、発現ベクターは、CHO細胞系の中にトランスフェクトされてもよい。
17.低フコシル化抗CD19 MAb chR005-1の生成。
IgGのFc領域において見つけられる糖コアは、二分岐複合体[Asn297-GN-GN-M-(M-GN)2]であり、ここで、GNは、N-アセチルグルコサミンであり、Mは、マンノースである。オリゴ糖は、ゼロ(G0)、1つ(G1)、または2つ(G2)のガラクトース(G)を含有することができる。IgGグリコシル化パターンの変異は、コアフコシル化(F)を含むことができる。図28および31に示すように、chR005-1 Fc0試料における3つの主なピークは、(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2(m/z 1836)、(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2(m/z 2040)、および(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1+(Man)3(GlcNAc)2(m/z 2245)のフコシル化オリゴ糖の質量に対応する。対照的に、図29〜30に示すように、2つのピークG0FおよびG1Fは、天然のchR005-1 Fc0(それぞれ28%または38.3%)と比較して、chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34抗体においてはるかに低レベルで存在した(それぞれ7.2%または5.2%および16.8%または16.1%)。著しいインパクトは、ピークG2Fで観察されなかった。(Man)5(GlcNAc)2(m/z 1579)、(Man)6(GlcNAc)2(m/z 1784)、(Man)7(GlcNAc)2(m/z 1988)、(Man)8(GlcNAc)2(m/z 2192)、および(Man)9(GlcNAc)2(m/z 2396)の間で、より高いレベルのオリゴマンノースが、これもまたより高いレベルのシアリル化グリコフォーム(1.6%%または2.4%対0.8%)のように、観察された(29.9%または27.9%対0%)。(Gal)1(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2(m/z 2401)、(Gal)2(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2(m/z 2605)、および(Gal)3(GlcNAc)2(Fuc)1(NeuAc)1+(Man)3(GlcNAc)2(m/z 2966)を含めて、天然のchR005-1 Fc0と比較して、chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34抗体において。
図32において示されるように、データは、天然のキメラchR005-1 Fc0抗体におけるフコシル化構造の代わりに、MAb chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34由来の最適化された抗体における非フコシル化の蓄積を実証した。
18.結合MAb親和性の決定。
MAb mR005-1、chR005-1 Fc0、chR005-1 Fc24、およびchR005-1 Fc34の結合特性は、CD19陽性Raji細胞系について、フローサイトメトリー分析および結合平衡研究によって検査した。そのため、キメラ化もMAb最適化も、MAb親和性において著しい変化をもたらさなかった。
19.Fc変異体を与える様々なグリカンプロファイル
図33は、天然のchR005-1 Fc0と比較した、フコシル化オリゴ糖(m/z 1836、2040、2245)、オリゴマンノース(m/z 1579、1784、1988、2192、2396)、および/またはシアリル化グリコフォーム(2401)、2605、2966)などのようなグリカンについてのFc変異体インパクトを示す。
20.Fc変異体を与える特異なMAb活性。
図34は、様々なFc変異体抗CD19抗体およびそれらの能力が単離PBMNCによるCDCおよび/またはADCCを引き起こすことを示す。本発明は、chR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34変異体のみがADCCおよびCDC MAb活性の両方を引き起こしたことを提供した。
21.図35は、様々なFc変異体抗CD19抗体(Fc14、chR005-1、Fc34)ならびに全血の存在下においてCDCおよび/またはADCCを引き起こすそれらの能力を示す。chR005-1 Fc34のみが、天然の循環免疫グロブリンの存在下においてADCCを引き起こした。
22.図36は、様々なFc変異体抗CD19抗体(chR005-1 Fc24;Fc39)および最適化されたFcを与える様々なレベルで、全血の存在下においてADCCを引き起こすそれらの能力を示す。
23.本発明は、chR005-1 Fc34によるADCCの改善が、CD16Aオフ速度に限られなかったことを含む。
図37は、ヒト白血球接種ありまたはなしの、定着マウスRajiリンパ腫異種移植片モデルにおける腫瘍排除に対する、chR005-1 MAb Fc24またはFc34最適化変異体のin vivoにおける相対的な効果を示す。本発明は、chR005-1 Fc34によるADCCの改善が、E333A修飾をさらに含有するchR005-1 Fc24と比較して、CD16Aオフ速度に限られなかったことを含む。
24.CDC能力に対するシアリル化の影響。
図38は、さらなるシアリル化をもたらす位置243での修飾が、補体による標的細胞溶解の認識を回復させるのに十分に十分でなかったことを示す。本発明は、およそ同じchR005-1 Fc20シアリル化グリコフォームパターンを示すが、異なるタンパク質配列および結合補体のより高いレベルを有するchR005-1 Fc24またはchR005-1 Fc34 MAbのみが、補体による標的細胞溶解を誘発したことを明らかにする。
25.Rituxanの不応性の濾胞性リンパ腫に対するMAb抗CD19の影響。
図39は、Rituxan不応性のRL定着腫瘍の増殖がFc24最適化chR005-1 MAbにより阻害されたことを示す。
26.MAbおよび薬物の組み合わせの影響
図40は、Fc24最適化chR005-1 MAbおよび薬物ドキソルビシンの組み合わせが、Raji定着腫瘍の増殖阻害のレベルを増加させたことを示す。
[参考文献]