JP6371712B2 - プラズマ生成方法及び内包フラーレンの生成方法 - Google Patents

プラズマ生成方法及び内包フラーレンの生成方法 Download PDF

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本発明は、接触電離方式により金属イオンを発生するプラズマ源、イオン源、及び、イオン生成方法に関する。
内包フラーレンは、フラーレンに、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの内
包対象原子を内包した炭素クラスターである。
内包フラーレンの製造方法としては、真空容器中でプラズマ源から内包原子イオンと電子からなるプラズマを発生させ、発生したプラズマを下流に配置した堆積プレートに照射し、同時に、フラーレン蒸気をプラズマ中に噴射してフラーレンイオンを発生させ、内包原子イオンとフラーレンイオンを反応させることにより内包フラーレンを生成する方法が知られている。(非特許文献1)
内包対象原子が、電離電圧の低いアルカリ金属やアルカリ土類金属である場合は、接触電離方式のプラズマ源を使用することにより、放電プラズマと比較してノイズの少ないプラズマを生成することができる。接触電離方式のプラズマ源では、内包対象原子の蒸気を加熱金属体に噴射し、加熱金属体表面で内包対象原子を電離させ、内包対象原子のイオンと電子からなるプラズマを生成する。生成したプラズマを磁界で閉じ込めることにより、イオンと電子からなる高密度のプラズマ流を発生させ、該プラズマ流をターゲット基板に照射することができる。
従来の接触電離方式のプラズマ源では、オーブンで加熱昇華させた内包対象原子蒸気を、1500〜3000℃に加熱した平坦なタングステン製の円板状金属体に噴射していた。
プラズマ・核融合学会誌 第75巻第8号 1999年8月p.927〜933「フラーレンプラズマの性質と応用」
内包フラーレンは、その特異な分子構造、電子的特性、磁気的特性を利用して、医薬品、電子デバイス、記録媒体、燃料電池などの材料として応用が期待されている。特に、内包対象原子として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属などの金属原子を内包した金属内包フラーレンが興味深い特性を示すとの報告がなされている。しかし、新規材料としての期待は大きいものの、内包フラーレンの生成自体がまだ研究開発の領域を出ておらず、製品への応用という点では十分な成果が得られていない。従って、工業用材料として用いるのに十分な量の高純度内包フラーレンの製造方法の確立が望まれている。
内包フラーレンを大量に生産するには、(1)高電流プラズマ源の開発、(2)高効率フラーレン昇華オーブンの開発、(3)内包原子とフラーレンの反応確率(内包確率)の向上、(4)内包フラーレンの高純度高効率精製方法の確立が必要である。
以上の課題の中で、特に、従来、内包フラーレンを大量に生成できない大きな原因として、高いイオン電流でプラズマを生成することのできる金属プラズマ源がなかったという問題がある。
図4(a)は、従来の接触電離方式のプラズマ源の概略図である。プラズマ源101の先端には、W(タングステン)からなる平坦な円板状の加熱金属体102が取り付けられており、プラズマ源に内蔵された電熱線により加熱される。内包対象原子として例えばLiを用いる場合、金属昇華オーブン103にLiが充填されており、電熱線105で加熱することによりLi蒸気を発生させ、ノズル状の金属蒸気導入管104を通して加熱金属体102に向けてLi蒸気を噴射する。
しかし、従来のプラズマ源では、十分に高密度なイオンを発生することができず、直径4cmの加熱金属体102を用いた時に、イオン電流にして約0.1mA程度のイオンしか発生させることができなかった。
本発明(1)は、アルカリ金属からなる蒸気を、該アルカリ金属よりエネルギー準位が高い金属からなる加熱金属体の熱電子放出面に噴射し、同時に、前記加熱金属体の金属のエネルギー準位を超え、真空準位は超えない励起エネルギーを前記アルカリ金属原子中の電子に与えることが可能な光を前記加熱金属体の前記熱電子放出面に外部から照射することにより前記アルカリ金属イオンを生成することを特徴とするプラズマ生成方法である。
本発明()は、前記発明(1)のプラズマ生成方法を用い金属内包フラーレンの生成する内包フラーレンの製造方法である。
(1)接触電離方式のプラズマ源又はイオン源において、金属原子からなる蒸気を噴射する加熱金属体に光を照射して、金属原子中の電子エネルギーを高めることにより、金属原子が電離しやすくなるので、イオン化確率が向上し、イオン電流を大きくすることができる。
(2)加熱金属体の表面粗さ係数を10以上、1000以下とすることにより、金属原子と加熱金属体が接触する確率が大きくなるので、イオン化確率が向上し、イオン電流を大きくすることができる。
(3)加熱金属体の材料に仕事関数の大きいRe、Os、Irを用いることにより、金属原子が電離しやすくなるので、イオン化確率が向上し、イオン電流を大きくすることができる。(4)照射する光の波長を200nm以上、800nm以下とすることにより、イオン化確率を効率的に高めるだけの光エネルギーを金属原子中の電子に対して与えることが可能である。(5)アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、電離電圧が低いので、接触電離により十分な量のイオンを生成することが可能である。
(6)加熱金属体の温度を1000℃から3000℃とすることにより、融点の高い金属材料であるW、Re、Os、Irを加熱金属体に使用して、接触電離により十分な量のイオンを生成することが可能である。
(7)本発明の高電流プラズマ源を用いることで、アルカリ金属やアルカリ土類金属内包フラーレンの大量生成が可能になる。
(a)、(b)、及び(c)は、本発明の第一の実施形態に係るプラズマ源の概略図である。 (a)及び(b)は、本発明の他の実施形態に係るプラズマ源の概略図である。 (a)及び(b)は、本発明のプラズマ源に係る金属イオンの生成原理を説明するための図である。 (a)は、従来のプラズマ源の概略図であり、(b)は、従来のプラズマ源に係る金属イオンの生成原理を説明するための図である。 Liイオン電流の測定データである。 内包フラーレンの質量分析データである。
以下、本発明に係る各用語の意義について明らかにすると共に、本発明の最良形態について説明する。
「フラーレン類」とは、フラーレン、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレンダイマーのようなフラーレン同士の繰り返し結合体(イオン結合、共有結合等)を包含する概念であり、例えば、窒素ヘテロフラーレンや酸化フラーレンを含む。ここで、「フラーレン」とは、Cn(n=60,70,76,78,・・・)で示される中空の炭素クラスター物質であり、例えば、C60やC70を挙げることができる。「フラーレン類」には、混合フラーレンと呼ばれるnの異なるフラーレンの混合物も含まれる。
「金属内包」とは、篭状のフラーレン分子の中空部に炭素以外の金属原子を閉じ込めた状態として定義される。内包される金属原子の数は、一個でもよいし、複数個でもよいが、内包される金属原子の最大数は、フラーレン分子の大きさと金属原子の大きさに制限される。C60にLiを内包する場合は、1個または2個の金属原子を内包するのが好ましい。また、繰り返し結合体に金属を内包した内包フラーレンは、すべてのフラーレン単位中に原子が内包されていなくともよい(例えば、ダイマーの場合、一方のフラーレンのみ原子が内包されている態様を挙げることができる)。
「プラズマ」とは、正の荷電粒子と負の荷電粒子を含み、全体的にほぼ電気的中性を保った荷電粒子集団のことである。
「プラズマ源」とは、プラズマを生成する装置のことである。プラズマは、荷電粒子間にクーロン力による相互作用が働く、荷電粒子の移動により電流が流れるなど特有の性質を示す。通常、プラズマ源では、気体放電、衝突電離、接触電離などの電離方法で原子を励起してイオンと電子からなるプラズマを生成する。プラズマは、外部電界や外部磁界により荷電粒子の動きを制御でき、CVD、スパッタリング、エッチングなどの微細加工技術に応用されている。
「イオン源」とは、イオン又はイオンビームを生成する装置のことである。通常、イオン源では、プラズマ源によりイオンと電子を含むプラズマを生成し、引き出し電極による電界印加と質量分析により必要なイオンだけ加速してイオンビームとして取り出す方式が用いられている。イオン源で生成したイオンビームは、イオン注入、FIBなどの微細加工技術に応用されている。
「表面粗さ係数」とは、対象物の表面粗さの程度を示す係数である。対象物表面の凹凸を考慮した表面積を実効表面積とし、対象物表面が平坦であると仮定した時の表面積を基準表面積とした時に、表面粗さ係数を、実効表面積 / 基準表面積 として定義する。
「からなる」とは、「のみからなる」という概念と「含む」という概念を意味する。従って、本発明(3)に係る加熱金属体は、Re、Os、又はIr以外の成分を含有していてもよいし、Re、Os、又はIrが混合した材料であってもよい。
(接触電離によるイオン化確率)
以下の説明では、イオン生成対象原子として、例えば、Liを用いた場合について説明するが、Li以外のアルカリ金属や、アルカリ土類金属をイオン生成対象原子とした場合についても、本発明の効果が得られることは明らかである。
まず、発明者等は、加熱金属体の材料として従来使用されてきたタングステンと代表的なイオン生成対象原子であるリチウムのエネルギー準位に注目し、プラズマのイオン電流を改善する方法を検討した。
図4(b)は、従来のプラズマ源に係るLiイオンの生成原理を説明するための図である。図中左側には加熱金属体を構成するタングステン結晶のエネルギー準位図が示され、図中右側にはLi蒸気を構成するLi原子のエネルギー準位図が示されている。Li原子の最外殻電
子は真空準位E0から電離電圧5.36eVだけ低いエネルギー準位にあり、黒丸で示す最外殻電
子は高温の加熱金属体に接触すると、熱エネルギーを得て、タングステン結晶における白丸で示す空位のエネルギー準位(真空準位から仕事関数4.55eVだけ低い準位)に移動する。Li原子は電子を奪われ正イオンになる。同時に加熱金属体からは熱電子が放出されているので、加熱金属体の表面からLiイオンと電子からなるプラズマが発生する。
接触電離によるイオン化確率Piは、加熱金属体の仕事関数をW、イオン生成対象原子の電離電圧をEiとして、式
Pi = ρ / [ 1 + 2 exp( e ( W - Ei ) / kT ) ] ・・・(1)
で表される。ここで、ρはイオン生成対象原子が加熱金属体に衝突する確率を表す係数であり、kはボルツマン定数(1.38×10-23 J/K)、Tは加熱金属体の表面温度である。
(加熱金属体の材料)
従来のWからなる加熱金属体を用いてLiイオンを生成する場合のイオン化確率Piは、式(1)により、ρ=1と仮定した場合、例えば、加熱金属体の温度が2500℃の時に、
Pi(W、Li、2500℃) = 0.0166
になる。
本発明に係るイオン化確率向上の第一の方法として、加熱金属体の材料をWよりも仕事関数の大きい材料を用いることで、イオン化確率を向上させた。加熱金属体の材料としては、高温に加熱しても熔解しないように、融点の高い材料を用いることが好ましく、例えば、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)を用いることができる。
材料 仕事関数
融点
Re 4.96Ev 3180℃
Os 4.83eV 3045℃
Ir 5.27eV 2443℃
W 4.35eV 3407℃
図3(b)は、本発明のプラズマ源に係るLiイオンの生成原理を説明するための図である。図中左側には加熱金属体を構成するレニウム結晶のエネルギー準位図が示され、図中右側にはLi蒸気を構成するLi原子のエネルギー準位図が示されている。Li原子の最外殻電子は真空準位E0から電離電圧5.36eVだけ低いエネルギー準位にあり、黒丸で示す最外殻電子
は高温の加熱金属体に接触すると、熱エネルギーを得て、レニウム結晶における白丸で示す空位のエネルギー準位(真空準位から仕事関数4.96eVだけ低い準位)に移動する。Li原
子は電子を奪われ正イオンになる。同時に加熱金属体からは熱電子が放出されているので、加熱金属体の表面からLiイオンと電子からなるプラズマが発生する。
Reの仕事関数のデータにより、2500℃の場合のLiのイオン化確率を計算すると、
Pi(Re、Li、2500℃) = 0.0857
となり、加熱金属体の材料にReを用いれば、Wを用いた場合に比べ8倍以上にイオン化確率を向上させることが可能になる。
同様に、Osの仕事関数のデータにより、2500℃の場合のLiのイオン化確率を計算すると、Pi(Os、Li、2500℃) = 0.0516
となり、加熱金属体の材料にOsを用いれば、Wを用いた場合に比べ5倍以上にイオン化確率を向上させることが可能になる。
一方、Irは2500℃まで加熱することはできないが、Irは仕事関数が大きな材料であり、1000℃又は2000℃に加熱するだけでも、
Pi(Ir、Li、1000℃) = 0.1804
Pi(Ir、Li、2000℃) = 0.2400
と低い加熱温度でもイオン化確率を向上することが可能で、加熱に要する電力消費を低減
できるという効果もある。
加熱金属体の加熱温度は、加熱金属体にW、Re、Osを用いた場合は、1500〜3000℃とし、加熱金属体にIrを用いた場合は、1000〜2000℃とするのが、イオン化確率向上と熱電子放出率向上の点で好ましい。
また、例えば、Reは高価な材料であり、部材コスト低減のためには、加熱金属体の厚さは薄いほうが好ましい。しかし、厚さ50μmの金属箔にすると高温に加熱したときに変形又は破損するという問題がある。そのため、タングステンの板の上にRe薄膜をスパッターなどの方法で形成した多層構造の金属板を用いることも可能である。また、加熱金属体の厚さが薄いとイオン電流の面内均一性が悪いという問題もある。イオン電流の面内均一性向上のためには、加熱金属体の厚さは100μm以上とするのが好ましい。
(光照射)
本発明に係るイオン化確率向上の第二の方法として、イオン生成対象の金属蒸気を加熱金属体に噴射する時、同時に、加熱金属体に光を照射することで、金属原子中の電子エネルギーを高め、イオン化確率を向上した。
図1(a)は、本発明の第二の方法に係るプラズマ源の概略図である。プラズマ源1の先端には、タングステンからなる円板状の加熱金属体4が取り付けられており、プラズマ源に内蔵された電熱線により加熱される。図1(b)は、加熱金属体の平面形状を示す図であり、図1(c)は、プラズマ源に内蔵された電熱線の形状を示す図である。内包対象原子として例えばLiを用いる場合、金属昇華オーブン5にLiが充填されており、電熱線7で加熱することによりLi蒸気を発生させ、ノズル状の金属蒸気導入管6を通して加熱金属体4に向けてLi蒸気を噴射する。この時、同時に、光源9から光を加熱金属体4に照射する。光源として、例えば、波長694nmのルビーレーザー光源を用いる。波長694nmの光は、Li原子中の電子に1.79eVのエネルギーを与えるので、電子は励起されて加熱金属体の空位の状態エネルギーに移りやすくなるので、イオン化確率が向上する。
図3(a)は、本発明のプラズマ源に係るLiイオンの生成原理を説明するための図である。図中左側には加熱金属体を構成するタングステン結晶のエネルギー準位図が示され、図中右側にはLi蒸気を構成するLi原子のエネルギー準位図が示されている。Li原子の最外殻
電子は真空準位E0から電離電圧5.36eVだけ低いエネルギー準位にあり、黒丸で示す最外殻電子は光照射により励起されて、タングステン結晶における白丸で示す空位のエネルギー準位(真空準位から仕事関数4.55eVだけ低い準位)に移動する。Li原子は電子を奪われ正イオンになる。同時に加熱金属体からは熱電子が放出されているので、加熱金属体の表面からLiイオンと電子からなるプラズマが発生する。
照射する光の強度は1mW以上、100W以下が好ましい。また、照射光は、必ずしもレーザー光である必要はない。照射光の波長は、200nmから800nmの紫外光から可視光の範囲が好ましく、市販の光源を容易に入手することができる。この波長範囲は、エネルギーに換算すると1.55eVから6.2eVに対応し、金属原子中の電子に適切な励起エネルギーを与えることが可能である。
本発明のプラズマ生成方法は、接触電離又は光照射のいずれか一方の作用により、電離を行うのではなく、接触電離と光照射を組み合わせてイオンを生成しているので、それぞれの相乗効果によりイオン化確率を高くすることが可能である。
(加熱金属体の形状)
本発明に係るイオン化確率向上の第三の方法として、加熱金属板の表面形状を凹凸のあるものとすることで、イオン化確率を向上した。
図2(a)は、加熱金属板の表面を凹凸とした場合の、プラズマ源の概略図である。凹凸のある加熱金属板22に対し、金属蒸気導入管24からイオン生成対象金属の蒸気を噴射し、接触電離によりプラズマ27を発生する。加熱金属板の表面が平坦な従来のプラズマ源と比較し、図2(a)に示すプラズマ源は、加熱金属板22の表面に凹凸があるので、金属原子の加熱金属板への接触確率が向上し、イオン化確率も向上する。
加熱金属体は、例えば、サンドブラスト処理又はケミカルエッチングで加工して表面に凹凸を形成する。また、加熱金属体表面の凹凸の程度としては、先に定義した表面粗さ係数を10以上、1000以下とするのが、イオン化確率の向上と加工のしやすさという点で好ましい。
また、加熱金属体の形状は、必ずしも、円板などの板状にする必要はない。例えば、図2(b)は、メッシュ状の加熱金属体32に、金属昇華オーブン28から金属蒸気を噴射し、同時に光源33により、光を加熱金属体32に照射し、プラズマ34を生成するプラズマ源である。金属蒸気が加熱金属体に接触する確率が大きくなり、同時に、光を照射して金属原子中の電子を励起するので、イオン化確率が大きくなる。メッシュ状の加熱金属体32の材料として、W以外に、Re、Os、Irを用いることも可能であり、さらにイオン化確率向上の効果が高い。
(本発明に係る手段の組み合わせ)
本発明に係るイオン化確率向上方法として、以上説明した第一の方法から第三の方法を組み合わせてプラズマ源又はイオン源を構成することも可能であり、各方法を単独で実施した場合にくらべ、より高いイオン電流をとれるプラズマ源又はイオン源をつくることができる。
(プラズマ源及びイオン源の応用)
以上、本発明の接触電離方式によりイオンを生成する装置に関しては、内包フラーレンの製造装置に用いられるプラズマ源を中心に説明してきたが、本発明のプラズマ源は、内包フラーレンの製造装置以外にもプラズマ加工装置などの一般的なプラズマ応用装置にも使用可能である。また、プラズマを発生した後、引き出し電極などからの電界印加によりイオンのみ取り出すイオン源としても使用することができ、イオン電流を向上する効果が高い。係る本発明のイオン源は、イオン注入などの一般的なイオン応用装置に使用することができる。
本発明のプラズマ源は、内包フラーレンの製造装置のように、高イオン電流は必要であるが、フラーレンを破壊しないように低エネルギーのプラズマ流が必要な装置に適用する場合、特に高い効果が得られる。非特許文献1に開示された内包フラーレン製造装置では、イオンと電子からなるプラズマを生成した後、磁界によりプラズマを閉じ込めることで、イオンと電子の相互作用によりプラズマが発散せず、低エネルギーでも高いプラズマ密度を維持したまま、堆積プレートまでプラズマ流を輸送することができる。このような装置で本発明のプラズマ源を使用した場合に、特に、高イオン電流という特徴を生かして、製造装置の生産性を向上することができる。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(Re製ホットプレートを用いたプラズマ源)
Re製ホットプレートを用いたプラズマ源を作製し、W製ホットプレートを用いたプラズマ源と比較した。ホットプレート(加熱金属板)の形状は、Re製が厚さ1mm、直径50mmの
円板、W製が厚さ4mm、直径50mmの円板とした。
(イオン電流の測定)
プラズマ源を真空室中に配置し、ホットプレートの裏面に配置した加熱ヒータによりホットプレートを1700〜1900℃に加熱した。ホットプレート表面に、Li蒸気を噴射してLi分子をイオン化しプラズマを生成した。真空室の周りに配置した電磁コイルで発生させた磁場によりプラズマを閉じ込め、イオンプローブによりプラズマ中のLiイオン電流を測定した。
図5は、Liイオン電流のホットプレート温度依存性の測定データを示すグラフである。Li昇華オーブンの温度は540℃とした。ホットプレートを加熱するヒータに印加した電力は2〜2.4kW、磁場強度は、Reプラズマ源では0.03T、Wプラズマ源では0.1Tとした。グラフから、Reプラズマ源、Wプラズマ源とも、温度が上昇するとイオン電流が増加することがわかる。また、Reプラズマ源はWプラズマ源と比較して、イオン電流が3.5〜3.8倍多くとれることがわかる。
(Li内包フラーレンの合成実験)
Reプラズマ源をLi内包フラーレン製造装置に取付け、プラズマ源により生成したLiイオンプラズマを堆積基板に照射し、同時に、フラーレン昇華オーブンからフラーレン蒸気を堆積基板に噴射してLi内包フラーレンを堆積基板上に合成した。合成条件は以下の通りである。
ホットプレート投入電力:2.3〜2.5kW、磁場強度:0.03T、基板バイアス電圧:-30V、Liイオン電流:4.5〜6.6mA、C60オーブン温度:580〜600℃、合成時間:4時間
図6は、合成物のLDTOF-MASSによる質量分析データである。Li@C60の存在を示す727のピークがあり、Re製ホットプレートを用いて内包フラーレンを合成可能なことが確認できた。
21、101 プラズマ源
2 絶縁被膜
3、7、8、25、26、29、105、106 電熱線
4、22、32、102 加熱金属体
5、23、28、103 金属昇華オーブン
6、24、104 金属蒸気導入管
9、33 光源
10、27、34、107 プラズマ
30 金属
31 金属蒸気

Claims (2)

  1. アルカリ金属からなる蒸気を、該アルカリ金属よりエネルギー準位が高い金属からなる加熱金属体の熱電子放出面に噴射し、同時に、前記加熱金属体の金属のエネルギー準位を超え、真空準位は超えない励起エネルギーを前記アルカリ金属原子中の電子に与えることが可能な光を前記加熱金属体の前記熱電子放出面に外部から照射することにより前記アルカリ金属イオンを生成することを特徴とするプラズマ生成方法
  2. 請求項1に係るプラズマ生成方法により生成したプラズマを用いた内包フラーレンの生成方法。
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