JP2008112580A - イオンフロー制御型プラズマ源、及び、誘導フラーレンの製造方法 - Google Patents

イオンフロー制御型プラズマ源、及び、誘導フラーレンの製造方法 Download PDF

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力三 畠山
Toshiro Kaneko
俊郎 金子
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和貴 高橋
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泰彦 笠間
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Abstract

【課題】誘導フラーレンの製造に適した低エネルギー大電流のプラズマ流を取り出すことが可能なプラズマ源と、誘導フラーレンの大量合成が可能な製造方法を提供する。
【解決手段】イオンエネルギーを制御可能なプラズマ源のプラズマ発生部は、金属板2、ヒーター1、ヒーター加熱電源6から構成される。空間電位設定電極3、電子反射電極4、電子供給電極5は、互いに平行に、かつ、金属板2とほぼ平行に配置する。金属板2と空間電位設定電極3の間には、プラズマ生成電源7が接続され、空間電位設定電極3側が高電位になるように電圧が印加されている。また、接地電位に対して、空間電位設定電極3には電源8により正の電圧が印加され、電子反射電極4には、電源9により負の電圧が印加され、電子供給電極5には電源10により電極5が発熱するように電流が供給される。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオンフロー領域におけるプラズマ特性を制御可能なプラズマ源、及び、該プラズマ源を用いた誘導フラーレンの製造方法に関する。
特開2004-102330号公報 特開2004-146820号公報 米国特許20030220518号明細書 特表2005-527687号公報 特開2005-331145号公報 特許第3076843号公報 Y.B.Zhao, et al, Appl.Phys.Lett.64(5), 31 Jan. 1994
球状炭素分子であるフラーレンの内部空間に窒素原子を内包した窒素内包フラーレンは、特有の安定したスピン特性を持つことから、量子演算素子、記憶素子、MRI用造影剤などへの応用が期待される材料である(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。一方、フラーレンにアルゴン原子を内包したアルゴン内包フラーレンは、超伝導特性を示すという報告がある。また、フラーレンを構成する炭素原子を窒素原子で置換した窒素へテロフラーレンを炭素材料に混合して燃料電池の電極材料として用いると、電子伝導性やプロトン伝導性が向上するとの報告がある(特許文献4)。
(内包フラーレンの製造方法及び製造装置)
これらのフラーレンをベースにした合成材料(以下、誘導フラーレンと呼ぶ)を製造する技術として、基板バイアス法による製造方法が特許文献5に記載されている。基板バイアス法は、真空中でプラズマを生成し、バイアス電圧を印加した堆積基板にプラズマとフラーレンガスを照射し、プラズマ中のイオンとフラーレン分子又はフラーレンイオンの反応により堆積基板上に誘導フラーレンを合成する技術である。
図7は、基板バイアス法によるアルゴン内包フラーレンの製造装置の断面図である。図7に示す内包フラーレンの製造装置は、筒状の真空容器101、電磁コイル102、図示しない真空ポンプ、プラズマ生成部、フラーレンガス導入管110、堆積基板111から構成される。プラズマ生成部は、アルゴンガス導入管105、ヒーター加熱電源108、ヒーター106、金属板107から構成される。真空容器101を、排気管103、104を介して排気する。次に、タングステン製の金属板107をヒーター106により加熱して、熱電子を放出させる。さらに、真空容器101内に、ガス導入管105を介してアルゴンガスを導入する。金属板107から放出された熱電子が導入されたアルゴン原子に衝突して、アルゴン原子が電離し、アルゴンイオンと熱電子からなるプラズマが生成する。真空容器101の軸方向に磁場Bを電磁コイル102により印加している。生成されたプラズマ中の荷電粒子は、磁場の作用により真空容器101の軸に垂直な断面内でラーモア運動と呼ばれる円運動を行う。そのため、プラズマは金属板107の断面形状とほぼ同じ断面を持つ空間に閉じ込められる。アルゴンイオンは真空容器の軸方向には特定の力を受けていないが、プラズマ生成部からアルゴンイオンが次々に生成されるので、拡散により真空容器101の軸方向に沿って移動し、プラズマ流となる。プラズマ流の途中で、フラーレンガス導入管110を介しフラーレンガスを導入する。また、プラズマ流の下流には導電性の堆積基板111が配置されている。堆積基板111には、バイアス電圧印加電源112により、負のバイアス電圧を印加する。プラズマ流中のアルゴンイオンは正の荷電粒子であるため、負のバイアス電圧により加速され、エネルギーを得てフラーレンに衝突する。衝突のエネルギーをバイアス電圧により制御し、最適なエネルギーで衝突させることにより、アルゴンイオンがフラーレンに内包され、堆積基板111上にアルゴン内包フラーレンが堆積する。
しかし、基板バイアス法によりプラズマ中のイオンのエネルギーを制御可能な領域は、図7においてイオンエネルギー制御領域113で示す堆積基板から数mm以内の極めて狭い領域に限られている。領域113よりも上流の広いプラズマ空間では、イオンが拡散により移動するだけで反応に必要な十分大きなエネルギーを持っておらず、内包フラーレンの合成反応が起きない。そのため、基板バイアス法による製造方法では、内包フラーレンの純度が低く、かつ、合成量が極めて少ないという問題があった。
(プラズマビーム生成装置)
誘導フラーレンを効率的に合成するためには、イオンエネルギーを適切な範囲に制御しなければならない。すなわち、低すぎるエネルギーでは、合成に必要な十分高いエネルギーが供給されず、誘導フラーレンが合成されない、また、高すぎるエネルギーでは、フラーレンが変質又は破壊してしまうという問題がある。誘導フラーレンの合成には、誘導フラーレンの種類にもよるが、約10eV以上のイオンエネルギーが必要である。また、約500eV以上のエネルギーのイオンを照射するとフラーレンの変質や破壊が発生する。
さらに、誘導フラーレンの大量合成を図るためには、高密度のイオンをフラーレンに照射する必要がある。具体的には、誘導フラーレンの合成には、イオン電流が10mA以上のプラズマを取り出すことができるプラズマ源を用いることが好ましい。
特許文献6には、エネルギー50〜100eV、イオン電流50〜70mAのプラズマビームを取り出す従来のプラズマビーム生成装置が開示されている。特許文献6に開示されたプラズマビーム生成装置は、プラズマ源で生成したプラズマ中のイオンのみを引き出し電極、加速電極、減速電極からなる3枚の電極により引き出すものである。
従来のプラズマビーム生成装置では、ビームエネルギーが100V以下では電流が得られないので、加速電極により一旦、加速電圧を2kVぐらいに上げてイオン電流を引き出し、その後、減速電極により減速して、100eV以下のイオンビームを生成している。また、3枚の電極の後方、電極から離れた位置にタングステンフィラメントでできた電子源を設けイオンの空間電荷を消し去ることにより、ウェファのチャージアップを抑制している。
従来のプラズマビーム生成装置では、数kVの加速電圧でイオンを加速しているため、電極などの部材に対するイオン衝撃による大きな熱負荷が発生し、部材が熱歪みを起すという問題があった。そのため、部材材料を高融点、高熱伝導性材料で構成し、冷却装置により部材を冷却するなどの対策が必要であった。
また、減速電極からは、電子が除去された正イオンのみからなるイオンビームが取り出されるため、減速電極と電子源の間で荷電粒子が反発することによりイオンビームが発散する。また、正イオンにより形成される自己電場により、イオンビームが反射して減速電極から取り出しにくくなる。そのため、高い加速電圧を印加しないと大きなイオン電流を取り出せないという問題があった。
本発明は、低い加速電圧を印加する場合でも、誘導フラーレンの製造に適した低エネルギー大電流のプラズマ流を取り出すことが可能なプラズマ源を開発すること、及び、基板バイアス法の問題点を解決し、堆積基板の近傍だけでなく、プラズマ流が流れる広い領域において誘導フラーレンの合成反応が起こり、誘導フラーレンの大量合成が可能な製造方法を開発することを目的とする。
本発明(1)は、プラズマを発生するプラズマ発生部と、前記プラズマの空間電位を設定する空間電位設定電極と、前記プラズマ中の電子を除去し、前記プラズマ中の正イオンを加速し、イオンビームを生成する電子反射電極と、前記イオンビームに電子を供給しプラズマ流を生成する電子供給電極とからなり、前記空間電位設定電極により前記プラズマ流におけるイオンエネルギーを制御することを特徴とするイオンフロー制御型プラズマ源である。
本発明(2)は、前記電子反射電極と前記電子供給電極の間隔を1mm以上、20mm以下の範囲内に設定することを特徴とする前記発明(1)のイオンフロー制御型プラズマ源である。
本発明(3)は、前記電子供給電極が、六硼化ランタン、酸化バリウムを塗布したタングステン、又は、トリエーテッドタングステンからなるメッシュ板、又は、多孔板であることを特徴とする前記発明(1)又は前記発明(2)のイオンフロー制御型プラズマ源である。
本発明(4)は、プラズマ発生部でプラズマを発生させ、正電圧を印加した空間電位設定電極により前記プラズマの空間電位を設定し、負電圧を印加した電子反射電極により前記プラズマ中の電子を除去し、前記プラズマ中の正イオンを加速し、イオンビームを生成し、電力を供給し加熱した電子供給電極により前記イオンビームに電子を供給し、プラズマ流を生成し、前記空間電位設定電極により前記プラズマ流におけるイオンエネルギーを制御することを特徴とするプラズマ流の生成方法である。
本発明(5)は、前記電子反射電極に印加する電圧を-200V以上、0V以下の範囲に設定することを特徴とする前記発明(4)のプラズマ流の生成方法である。
本発明(6)は、前記電子供給電極に供給する電力が、交流電力であることを特徴とする前記発明(4)又は前記発明(5)のプラズマ流の生成方法である。
本発明(7)は、真空容器と、磁場印加手段と、前記発明(1)乃至前記発明(3)のプラズマ源と、フラーレンガス導入手段と、堆積基板とから構成される誘導フラーレンの製造装置である。
本発明(8)は、前記発明(4)乃至前記発明(6)のプラズマ流の生成方法により生成した誘導対象イオンを含むプラズマ流とフラーレンガス又はフラーレンイオンをイオンフロー領域において反応させ、堆積基板上に誘導フラーレンを堆積させることを特徴とする誘導フラーレンの製造方法である。
本発明(9)は、前記誘導フラーレンが、アルゴン原子内包フラーレン、窒素原子内包フラーレン、又は、窒素原子置換へテロフラーレンであることを特徴とする前記発明(8)の誘導フラーレンの製造方法である。
本発明(10)は、前記フラーレンが、C60、C70、又は、C60とC70からなる混合フラーレンであることを特徴とする前記発明(8)又は前記発明(9)の誘導フラーレンの製造方法である。
1.本発明のプラズマ源は、空間電位設定電極、電子反射電極、電子供給電極の3枚の電極により、イオンの引き出し、プラズマ源で生成した電子の反射、低温度電子の供給、イオンエネルギー制御を行っている。生成したイオンビームに対し電子供給電極から電子を供給し、イオンビームと電子を合成してプラズマを生成しているので、イオンエネルギーを低く設定してもプラズマの収束性が高く、イオンの自己電場によるプラズマの反射が起きない。また、イオンエネルギーは、空間電位設定電極電位と電子供給電極電位により制御することができる。従って、10〜500eV程度の低いエネルギーでも大電流のプラズマ流を生成することができる。
2.本発明のプラズマ源は、電子反射電極と電子供給電極を、間隔が1mm以上20mm以下となるように配置しているので、電子反射電極と電子供給電極の間でイオンビームが発散することがなく、高密度のプラズマを取り出すことができる。
3.本発明のプラズマ源は、メッシュ電極又は多孔電極である電子供給電極から電子をイオンビームに供給しプラズマを生成しているので、イオンビームが電子供給電極を通過する際にビーム断面において均一に電子の供給を受けるので、イオンと電子の密度が空間的に均一に合成されたプラズマを生成することができる。
4.本発明のプラズマ源は、プラズマ流の移動方向に磁場を印加することにより、イオン、電子の磁場を横切る拡散を抑制し、プラズマ流の収束性を向上することができる。さらに、電子供給電極を加熱する電力として交流電力を用いることにより、電子供給電極において発生するプラズマ流横方向の電界によるイオン、電子のドリフトを振動的な動きとすることができるので、プラズマのドリフトによる散逸を防止することができる。
5.本発明のプラズマ源は、電子反射電圧の絶対値を低く設定することにより、プラズマ源における電極などの部材に対する熱負荷を低減できるので、特に冷却装置などの発熱対策を行わなくても、長時間、安定して大電流のプラズマを取り出すことができる。製造装置の消費電力低減も可能である。
6.本発明のプラズマ源は、電子供給電極として、熱電子放出効率の良い六硼化ランタン(LaB6)、酸化バリウム(BaO) を塗布したタングステン、又は、トリエーテッドタングステンを用いている。比較的低い温度で熱電子を放出することができるので、熱による部材の劣化が小さく、製造装置の長時間安定稼動が可能になる。
7.本発明の誘導フラーレンの製造方法は、プラズマフロー領域におけるイオンエネルギーを制御できるので、気相中での合成による誘導フラーレンの大量合成及び高純度合成が可能になる。
8.基板バイアス法を用いた誘導フラーレンの製造方法は、堆積膜の絶縁性が高い場合にイオンエネルギーの制御が困難であった。それに対し、本発明の誘導フラーレンの製造方法では、堆積膜の誘電率やシート抵抗に関らず、イオンエネルギーを正確に制御できるので、合成時間や堆積膜の厚さによらず最適な製造条件で誘導フラーレンを合成することができる。
9.本発明のプラズマ源は、生成プラズマにおける高温度電子を含めた電子を一度除去してから、比較的低い温度の電子をプラズマに供給している。このプラズマ源を用いて誘導フラーレンを合成すると、合成された誘導フラーレンに対し高温度電子の照射がないので、高温度電子によるフラーレンの変質、ポリマー化を防止できる。
以下、本発明の最良形態について説明する。
(プラズマ源)
図1(a)は、本発明に係るイオンフロー制御型プラズマ源の具体例の断面図である。また、図1(b)は、図1(a)のプラズマ源の断面図に対応する位置における空間電位を示す図である。対応する位置は、一点鎖線で示してある。
図1(a)に示すプラズマ源は、プラズマ発生部、空間電位設定電極3、電子反射電極4、電子供給電極5、及び、それぞれの電極に電圧を印加する電源から構成される。プラズマ発生部は、金属板2、ヒーター1、ヒーター加熱電源6から構成される。空間電位設定電極3、電子反射電極4、電子供給電極5は、互いに平行に、かつ、金属板2とほぼ平行に配置する。金属板2と空間電位設定電極3の間には、プラズマ生成電源7が接続され、空間電位設定電極3側が高電位になるように電圧が印加されている。また、接地電位に対して、空間電位設定電極3には電源8により正の電圧が印加され、電子反射電極4には、電源9により負の電圧が印加され、電子供給電極5には電源10により電極5が発熱するように電流が供給されている。
図1(a)に示すプラズマ源は、少なくとも電源以外の部分は真空容器中に格納されている。金属板は、熱電子放出効率の良い、例えば、表面に酸化バリウムを塗布したタングステン板を用いる。金属板2を約1200℃に加熱すると、金属板2から熱電子が放出される。次に、金属板2の近傍に、プラズマ生成ガス、例えば、アルゴンガスを供給する。熱電子は、プラズマ生成電源7により形成された電場により加速されて、アルゴン原子に衝突し、アルゴン原子が電離して、アルゴンイオンになる。その結果、熱電子、電離した電子、及び、アルゴンイオンからなるプラズマが生成する。生成したプラズマは、拡散により金属板2から空間電位設定電極3に向かうプラズマ流となる。
プラズマの電位、すなわち、プラズマ生成領域における空間電位は空間電位設定電極に印加する電源8の電圧Vaにより設定される。空間電位設定電圧Vaは、0V以上、500V以下の範囲で設定するのが好ましい。
空間電位設定電極3のプラズマ下流側に、電子反射電極4が配置されている。電子反射電極4には、電源9により負の電圧Vrを印加している。プラズマ生成領域で放電により生じた高温の電子を含め、負の荷電粒子は、電子反射電圧Vrを適切な値に設定することにより、電子反射電極のところでほぼ全て反射させて、プラズマ流から除去することができる。電子反射電圧Vrは、-200V以上、0V以下の範囲で設定するのが好ましい。電子反射電圧の絶対値を低く設定することにより、プラズマ源における電極などの部材に対する熱負荷を低減できるので、特に冷却装置などの発熱対策を行わなくても、長時間、安定して大電流のプラズマを取り出すことができる。製造装置の消費電力低減も可能である。
電子反射電極の位置で、空間電位が大きく負になるため電子が反射される状態を図1(b)に示す。一方、アルゴンイオンは、正イオンであるため、電子反射電圧Vrにより加速されて電子反射電極4を通過し、正イオンのみからなるイオンビームになる。
電子反射電極の下流側に、電子供給電極5が配置されている。電子供給電極5は、熱電子放出効率が高く、電気抵抗のある材料で作製されている。電子供給電極5に、電源10により電流を流し、1000〜2000℃程度に加熱して熱電子を放出させる。電子供給電極5を通過したイオンビームと放出された熱電子は合成してプラズマ流となる。合成されたプラズマ流におけるイオンのエネルギーは、空間電位設定電圧Vaと電子供給電圧Vmeの電圧差として制御可能である。電子供給電圧Vmeは、0V以上、10V以下の範囲で設定するのが好ましい。
係る構成の電極を有しているため、本発明のプラズマ源は、イオンエネルギーの制御された高温度電子を含まない誘導フラーレンの合成に適したプラズマ流を、電子供給電極から取り出すことができる。
電子供給電極
図3は、本発明に係る電子供給電極の具体例の平面図、及び、側面図である。右側に示す側面図は、図1を用いて説明したプラズマ源の3枚の電極を示す側面図であり、空間電位設定電極Anodeと、電子反射電極Reflectorと、電子供給電極Mesh Emitterとから構成される。また、図1と異なり、図3に示す側面図は、プラズマ流が右から左に流れる場合に対応する電極配置を示している。
本発明のプラズマ源は、電子を除去しイオンを加速する電子反射電極と生成されたイオンビームに電子を供給する電子供給電極を近接させて配置していることを特徴とする。図3では、電子反射電極Reflectorと電子供給電極Mesh Emitterの間隔を10mmとした例を示しているが、これらの電極間隔は、20mm以下とするのが好ましい。電子源を電子反射電極の近くに配置しているので、電子反射電極において電子を除去したイオンビームが発散しにくく、高密度のプラズマを取り出すことができる。電極間隔を1mm未満にすると、電子反射電極と電子供給電極が互いに接触しないようにプラズマ源を作製するのが困難になるので電極間隔は、1mm以上とするのが好ましい。
図3に示す具体例では、電極の形態を、金属線を並べたメッシュ板を用いている。金属線の材料としては、タングステン線に酸化バリウム(BaO)を塗布している。
電子供給電極の形態としては、メッシュ板以外にも、多孔板を用いることができる。メッシュ電極又は多孔電極から電子をイオンビームに供給しプラズマを生成することで、イオンビームが均一に電子の供給を受ける。そのため、イオンと電子の密度が空間的に均一に合成されたプラズマを生成することができる。
また、金属線の材料としては、タングステン線に酸化バリウム(BaO)を塗布した金属線の他に、タングステン線に六硼化ランタン(LaB6)を塗布したもの、又は、トリエーテッドタングステン(ThO2-W)を用いるのが好ましい。LaB6、BaO、ThO2-Wは、熱電子放出効率が高く、比較的低い動作温度(それぞれ、1500℃、1200℃、1600℃程度)で熱電子を放出できる。そのため、電極温度を2000℃以上に設定する必要がなく、熱による材質の劣化が小さく、長時間運転が可能になる。また、単に、タングステンからなる金属線を用いることも可能である。
電子供給電極は、抵抗性の金属線により作製しているので、電極の両端に配置した端子に電流を流すことにより発熱し、真空中で熱電子を生成する。電流を流すために供給する電力は、直流電力でもよいし、交流電力でもよい。特に、交流電力を用いるのが好ましい。交流電力を用いることにより、プラズマ流におけるイオン、電子の横方向へのドリフトを振動的な動きとすることができるので、プラズマのドリフトによる散逸を防止することができる。
さらに、プラズマ流方向に磁場が印加されるように、プラズマ源に電磁コイルや永久磁石などの磁場印加手段を設けるのが好ましい。プラズマ流方向に磁場が印加されることにより、プラズマ流を構成する荷電粒子がプラズマ流断面内にてラーモア運動をするため、プラズマ流の横方向への拡散を防止することが可能になる。
電子温度の制御
フラーレンに照射されるプラズマ中の電子の温度が高すぎると、フラーレンが変質又はポリマー化するという報告がある(非特許文献1)。非特許文献1によると、約3eV以上の高温の電子をフラーレンに照射すると、フラーレンの変質が始まり、さらに高い温度の電子照射により、フラーレンがポリマー化すると報告されている。
図7に示す背景技術による誘導フラーレンの製造装置では、従来型のプラズマ源を用いていたため、プラズマ発生部で放電により発生した高温度の電子がフラーレンに作用し、フラーレンの変質、ポリマー化が生じることも大きな問題であった。
本発明のイオンフロー制御型プラズマ源は、プラズマ発生部で生成した電子を電子反射電極でほぼ完全に除去し、正イオンからなるイオンビームに電子供給電極により再度電子を供給し、正イオンと電子を合成したプラズマ流をイオンフロー領域に取り出している。
放電ではなく金属の加熱により生成した熱電子は温度が低く、電子温度をフラーレンの変質、ポリマー化が生じない0.5eV以下に抑制することができる。
プラズマ発生部
プラズマ発生部は、図1(a)に示すようなイオン化対象物質を含むガスを導入し、加熱金属板から発生する熱電子をガス分子に衝突させる接触電離方式のプラズマ発生部に限定されない。高周波放電方式、或いは、ECR(電子サイクロトロン共鳴)放電方式、マイクロトロン放電方式など他の方式のプラズマ発生部を用いることも可能である。
(用語の定義)
ここで、本明細書中で用いる用語について説明する。
誘導フラーレン
「フラーレン」とは、Cn(n=60, 70, 76, 78・・・)で示される中空の炭素クラスター物質であり、例えば、C60やC70を挙げることができる。また、「誘導フラーレン」とは、フラーレンをベース材料として製造した物質のことであり、内包フラーレン、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレン重合体を含むものとする。
原料となるフラーレンとしては、1種類のフラーレンだけでなく、混合フラーレンを用いることも可能である。「混合フラーレン」とは、種類の異なる複数のフラーレンが混合した炭素クラスター物質のことであり、例えば、C60とC70からなる混合フラーレンが市販されており、容易に入手することが可能である。
プラズマ中でイオン化し、フラーレンと反応して誘導フラーレンを生成する原子、分子を「誘導対象物質」と呼ぶ。誘導対象物質から生成され、フラーレンと反応するイオンを「誘導対象イオン」と呼ぶ。誘導対象物質は、アルゴン、窒素に限定されない。本発明のプラズマ源の特性を生かすには、イオン化した際に正イオンになる原子又は分子を用いるのが好ましい。アルゴン、窒素以外に、水素、リチウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属などを含む原子、又は、分子を好適に使用することが可能である。
プラズマ生成領域、イオンフロー領域
本明細書中では、プラズマ発生部と空間電位設定電極の間のプラズマが生成される空間のことを「プラズマ生成領域」、生成されたプラズマが、空間電位設定電極、電子反射電極、電子供給電極を通過して、エネルギーを制御されたイオンフローとして流れ出す、電子供給電極よりプラズマ流の下流の領域を「イオンフロー領域」と呼ぶ。
イオンフロー制御法
バイアス電圧を印加した堆積基板にプラズマとフラーレンガスを照射し、堆積基板上に誘導フラーレンを合成する「基板バイアス法」に対し、本発明に係る、イオンフロー領域のイオンエネルギーを制御して、イオンとフラーレンの反応により堆積基板上に誘導フラーレンを合成する方法を「イオンフロー制御法」と呼ぶ。
(誘導フラーレンの製造方法及び製造装置)
アルゴン原子内包フラーレンの製造
図2は、イオンフロー制御法によるアルゴン内包フラーレンの製造装置の具体例の断面図である。図2に示す内包フラーレンの製造装置は、筒状の真空容器21、電磁コイル22、図示しない真空ポンプ、プラズマ生成部、フラーレンガス導入管31、堆積基板37から構成される。プラズマ生成部は、アルゴンガス導入管25、ヒーター加熱電源32、ヒーター26、金属板27から構成される。真空容器21を、排気管23、24を介して排気する。次に、タングステン製の金属板27をヒーター26により加熱して、熱電子を放出させる。さらに、真空容器21内に、ガス導入管25を介してアルゴンガスを導入する。金属板27から放出された熱電子が導入されたアルゴン分子に衝突して、アルゴン分子が電離し、アルゴンイオンと熱電子からなるプラズマが生成する。真空容器21の軸方向に磁場Bを電磁コイル又は永久磁石などの磁場印加手段22により印加している。プラズマ生成領域38において生成したプラズマは、空間電位設定電極28、電子反射電極29、電子供給電極30を通過してイオンフロー領域39に流れるプラズマ流となる。
プラズマ流は、空間電位設定電極28、電子反射電極29、電子供給電極30を通過することにより、高温度電子が除去され、プラズマ中のイオンが制御されたエネルギーを持つ大電流のプラズマ流となって、イオンフロー領域39に流れ出す。
プラズマ流の途中で、フラーレンガス導入管31を介しフラーレンガスを導入する。また、プラズマ流の下流には堆積基板37が配置されている。プラズマ中のイオンのエネルギーは、イオンフロー領域39全体で制御され、アルゴン原子内包フラーレンの合成に適したものになっている。そのため、フラーレンガス導入管31と堆積基板37の間の広い空間でアルゴン原子内包フラーレンの合成反応が起きる(気相中合成)。従って、高純度アルゴン原子内包フラーレンの大量合成が可能になる。アルゴン原子内包フラーレンの合成には、空間電位設定電圧Vaを制御して、イオンエネルギーを60~100eVにするのが好ましい。
イオンフロー制御型プラズマ源を用い、生成プラズマにおける高温度電子を含めた電子を一度除去してから、比較的低い温度の電子をプラズマに供給している。このプラズマ源を用いて誘導フラーレンを合成すると、合成された誘導フラーレンに対し高温度電子の照射がないので、高温度電子によるフラーレンの変質、ポリマー化を防止できる。
内包フラーレンの生成領域を広くするためには、フラーレンガス導入管の位置を電子供給電極の近傍に配置するのが好ましいが、例えば、酸化バリウムはフラーレンが付着すると電子放出効率が低下するので、その点も考慮して最適な配置とするのが好ましい。
フラーレンガス導入管の向きは、フラーレンガスがプラズマ流に向けて噴射する向きにしてもよいし、堆積基板に向けて噴射する向きにしてもよい。
基板バイアス法と異なり、堆積基板にバイアス電圧をかけて、イオンエネルギーを制御する必要はない。そのため、堆積基板の材料は金属などの導電性材料に限定されず、例えば、ガラスなどの絶縁性材料を用いることも可能である。
また、基板バイアス法を用いた誘導フラーレンの製造方法は、堆積膜の絶縁性が高い場合にイオンエネルギーの制御が困難であった。それに対し、本発明の誘導フラーレンの製造方法では、堆積膜の誘電率やシート抵抗に関らず、イオンエネルギーを正確に制御できるので、合成時間や堆積膜の厚さによらず最適な製造条件で誘導フラーレンを合成することができる。
窒素原子内包フラーレン、窒素原子置換へテロフラーレンの製造
窒素原子内包フラーレン、窒素原子置換へテロフラーレンも、プラズマ生成ガスをアルゴンから窒素に換えることにより、図2に示すアルゴン原子内包フラーレンの製造装置と同様の装置を用いて製造することが可能である。プラズマ発生部については、窒素イオンの生成に適した、例えば、ECRプラズマ方式、或いは、マグネトロン放電方式のプラズマ発生部に置き換えればよい。
また、窒素原子内包フラーレンの合成には、イオンエネルギーを30~500eVにするのが好ましい。窒素原子置換へテロフラーレンの合成には、イオンエネルギーを10~50eVにするのが好ましい。
その他の誘導フラーレンの製造
図2に示す誘導フラーレンの製造装置において、プラズマ発生部を変更することによりアルカリ金属内包フラーレンを製造することも可能である。アルゴンガス導入管のかわりに、アルカリ金属昇華オーブンを取り付け、アルカリ金属ガスをプラズマ生成ガスとして加熱金属板に導入し、接触電離によりアルカリ金属プラズマを発生し、イオンエネルギー、電子温度を制御して堆積基板に照射する。同時にフラーレンを堆積基板に照射し、高純度アルカリ金属内包フラーレンの大量合成を行うことが可能である。
(プラズマパラメータの測定)
空間電位
図4は、プラズマ生成領域とイオンフロー領域における空間電位の空間電位設定電極電圧依存性を示すグラフである。プラズマ生成ガスとしては、アルゴンガスを用いた。空間電位は静電プローブにより測定した。空間電位設定電極電圧を0〜80Vの範囲で制御した場合に、プラズマ生成領域の空間電位は該電位に対応してリニアに0〜80Vの範囲で変化するのに対し、イオンフロー領域における空間電位は変化しないことがわかる。すなわち、イオンフロー領域の空間電位に影響を与えずに、イオンエネルギーの基準電位となるプラズマ生成領域における空間電位を制御可能なことが示されている。
イオンエネルギー
図5は、イオンフロー領域におけるイオンエネルギー分布関数の空間電位設定電極電圧依存性のグラフである。プラズマ生成ガスとしては、アルゴンガスを用いた。イオンエネルギー分布関数は静電プローブにより測定したデータから算出した。電子反射電極電圧Vrを-100Vとし、空間電位設定電極電圧Vaを25、45、65Vと変化させた。イオンエネルギーの分布は、およそVaで決まるエネルギーに最大密度ピークを持つ分布になることが確認できた。イオンエネルギーは、空間電位設定電極電圧を制御することにより精度よく制御可能で、誘導フラーレン合成の最適条件を容易に設定できる。
電子温度
図6は、イオンフロー領域における電子温度Te、電子密度ne、空間電位φsの電子反射電極電圧依存性のグラフである。プラズマ生成ガスとしては、アルゴンガスを用いた。電子温度Te、電子密度ne、空間電位φsは静電プローブにより測定したデータから算出した。電子反射電極電圧Vrを0〜-120Vの範囲で変化させた。図6のグラフから、Vr>-40Vの範囲では、電子温度が高くTe>0.5eVであるが、Vr≦-40Vに設定することにより、Te<0.5eVとなることがわかる。
これは、Vr≧-40Vの条件では、プラズマ発生部における放電で生成した高温度の電子を電子反射電極により十分反射することができず、高温度電子がイオンフロー領域にも入り込む。それに対し、Vr≦-40Vの条件では、プラズマ源で発生した高温度電子を含む電子が全て反射されていると考えられる。電子反射電極電圧の絶対値を十分高く設定することにより、イオンフロー領域におけるプラズマ中の電子温度を低くすることが可能である。同時に、電子反射電極電圧を数kVと高く設定しなくても、100V程度の低い電圧でも十分に電子を反射できることがわかる。
(誘導フラーレンの製造装置)
イオン電流
本発明の誘導フラーレンの製造装置及びイオンフロー制御型プラズマ源を用いプラズマ流を取り出し、導電性の堆積基板に照射し、堆積基板に流れる電流からイオン電流を測定した。
プラズマ生成条件は以下のように設定した。
プラズマ生成ガス :アルゴン、窒素
背景真空度 :10-4Pa
ガス圧 :10-2Pa
磁場強度 :1.6kG
プラズマ生成電源 Vgen :30V, 3A
空間電位設定電極電源 Va :0~100V
電子反射電極電源 Vr :-120~0V
電子供給電極電源 Vme :4V, 30A,50Hzのパルス電流を供給
その結果、10cmφの円柱プラズマを照射した場合に、イオンエネルギーが10〜100eV の範囲で50〜130mA、100〜500eVの範囲で50~300mAのイオン電流を取り出すことができた。この時、電子反射電極電圧Vrは、-100Vに設定した。本発明のイオンフロー制御型プラズマ源を用いれば、電子反射電極電圧を数kVと高く設定しなくても、10mAを超える大電流を取り出せることが実証された。この時のプラズマ源の、電子反射電極と電子供給電極の間隔は10mmであった。一方、前記間隔が20mmを超えたプラズマ源を用いた場合は、取り出せるイオン電流は10mA未満であった。
(a)、(b)は、本発明に係るイオンフロー制御型プラズマ源の具体例の説明図である。 本発明に係る内包フラーレンの製造装置の具体例の断面図である。 本発明に係る電子供給電極の具体例の平面図、及び、側面図である。 プラズマ生成領域とイオンフロー領域における空間電位の電極電圧依存性のグラフである。 イオンフロー領域におけるイオンエネルギー分布関数の電極電圧依存性のグラフである。 イオンフロー領域における電子温度、電子密度、空間電位の電極電圧依存性のグラフである。 背景技術による内包フラーレンの製造装置の断面図である。
符号の説明
1、26、106 ヒーター
2、27、107 金属板
3、28 空間電位設定電極
4、29 電子反射電極
5、30 電子供給電極
31、110 フラーレンガス導入管
6、32、108 ヒーター加熱電源
7、33、109 プラズマ生成電源
8、34 空間電位設定電源
9、35 電子反射電源
10、36 電子供給電極加熱電源
11、38 プラズマ生成領域
12、39 イオンフロー領域
21、101 真空容器
22、102 電磁コイル
23、24、103、104 排気管
25、105 ガス導入管
37、111 堆積基板
112 バイアス電圧印加電源
113 イオンエネルギー制御領域

Claims (10)

  1. プラズマを発生するプラズマ発生部と、前記プラズマの空間電位を設定する空間電位設定電極と、前記プラズマ中の電子を除去し、前記プラズマ中の正イオンを加速し、イオンビームを生成する電子反射電極と、前記イオンビームに電子を供給しプラズマ流を生成する電子供給電極とからなり、前記空間電位設定電極により前記プラズマ流におけるイオンエネルギーを制御することを特徴とするイオンフロー制御型プラズマ源。
  2. 前記電子反射電極と前記電子供給電極の間隔を1mm以上、20mm以下の範囲内に設定することを特徴とする請求項1記載のイオンフロー制御型プラズマ源。
  3. 前記電子供給電極が、六硼化ランタン、酸化バリウムを塗布したタングステン、又は、トリエーテッドタングステンからなるメッシュ板、又は、多孔板であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のイオンフロー制御型プラズマ源。
  4. プラズマ発生部でプラズマを発生させ、正電圧を印加した空間電位設定電極により前記プラズマの空間電位を設定し、負電圧を印加した電子反射電極により前記プラズマ中の電子を除去し、前記プラズマ中の正イオンを加速し、イオンビームを生成し、電力を供給し加熱した電子供給電極により前記イオンビームに電子を供給し、プラズマ流を生成し、前記空間電位設定電極により前記プラズマ流におけるイオンエネルギーを制御することを特徴とするプラズマ流の生成方法。
  5. 前記電子反射電極に印加する電圧を-200V以上、0V以下の範囲に設定することを特徴とする請求項4記載のプラズマ流の生成方法。
  6. 前記電子供給電極に供給する電力が、交流電力であることを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項記載のプラズマ流の生成方法。
  7. 真空容器と、磁場印加手段と、請求項1乃至3のいずれか1項記載のプラズマ源と、フラーレンガス導入手段と、堆積基板とから構成される誘導フラーレンの製造装置。
  8. 請求項4乃至6のいずれか1項記載のプラズマ流の生成方法により生成した誘導対象イオンを含むプラズマ流とフラーレンガス又はフラーレンイオンをイオンフロー領域において反応させ、堆積基板上に誘導フラーレンを堆積させることを特徴とする誘導フラーレンの製造方法。
  9. 前記誘導フラーレンが、アルゴン原子内包フラーレン、窒素原子内包フラーレン、又は、窒素原子置換へテロフラーレンであることを特徴とする請求項8記載の誘導フラーレンの製造方法。
  10. 前記フラーレンが、C60、C70、又は、C60とC70からなる混合フラーレンであることを特徴とする請求項8又は9のいずれか1項記載の誘導フラーレンの製造方法。
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