JP2007005021A - プラズマ源、フラーレンベース材料の製造方法及び製造装置 - Google Patents

プラズマ源、フラーレンベース材料の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Toshiro Kaneko
俊郎 金子
Rikizo Hatakeyama
力三 畠山
Kenji Omote
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泰彦 笠間
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Abstract

【課題】従来、高周波プラズマを用いて、窒素プラズマとフラーレンを反応させて窒素内包フラーレンを製造していた。従来の方法では、内包フラーレンの生成に必要な窒素原子イオンの生成効率が低く、また、生成されたイオンのエネルギー制御性が悪いために、内包フラーレンの収率が極めて低いという問題があった。
【解決手段】熱陰極と直流マグネトロン放電を用いたプラズマ源により窒素プラズマを生成し、さらに、窒素イオンのエネルギーを制御して高密度のフラーレンガス中に照射し、窒素内包フラーレンを生成した。窒素原子イオン密度が高く、イオンエネルギーを最適制御して高密度フラーレンに照射しているため、高い収率で窒素内包フラーレンを製造することが可能になった。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオン生成効率の高い新規なプラズマ源と、プラズマを利用したフラーレンベース材料の製造方法及び製造装置に関する。
特開2004-102330号公報 特開2004-146820号公報 米国特許20030220518号明細書 特開2005-1970号公報 "Endofullerenes: A New Family of Carbon Clusters" T.Akasaka and S.Nagase, Kluwer Academic Publishers, p.14 - 18 プラズマ・核融合学会誌第75巻第8号1999年8月p.927〜933「フラーレンプラズマの性質と応用」
フラーレンとして知られる球状炭素分子に窒素原子を内包した窒素内包フラーレンは、特有の安定したスピン特性を持つことから、量子演算素子、記憶素子、MRI用造影剤などへの応用が期待される材料である。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)
窒素内包フラーレンの製造方法として、イオン注入法、グロー放電法、高周波プラズマ法が知られている。(非特許文献1)
イオン注入法は、イオンエネルギーの制御性は優れているが、イオン電流密度が大きくとれないために、窒素内包フラーレンの収率が極めて低いという問題がある。また、装置構造が複雑になるという問題もある。
グロー放電法は、装置構造が単純であるため研究室でのフラーレンベース材料の生成実験には適しているが、プロセスの制御性が悪く、窒素内包フラーレンの収率はイオン注入法よりも低いという問題がある。
高周波プラズマ法は、高周波放電により生成したプラズマ中で窒素イオンとフラーレン分子を反応させる方法であり、比較的簡単な構造の装置で大きなイオン電流密度を得られるという利点があるが、窒素ガスをイオン化したときに生成するN+イオンとN2 +イオンのうち、窒素内包フラーレンの生成に必要なN+イオンの生成効率が低く、イオンエネルギーの制御性もよくない。そのため、やはり窒素内包フラーレンの収率が低いという問題があった。
高周波プラズマを用い窒素内包フラーレンの生成を試みた例として、特許文献4に開示された製造方法が知られている。特許文献4に記載された製造方法では、窒素含有雰囲気中で窒素分子を高周波プラズマにより励起して窒素イオンを生成し、同時にフラーレン分子を気化して、前記窒素イオンと前記フラーレン分子を反応させていた。
図8は、特許文献4に開示された従来の高周波プラズマ処理装置の断面図である。この装置は窒素ガス導入部105を有し、ここから導入された窒素ガスが、窒素ガス排出口106からチャンバー101内部に充填される。チャンバー101内の上部には高周波電極103が設置され、これによりプラズマを発生させる。そして、チャンバー101内の中央部に設置されたヒーター付きモリブデンボート107上に配置されたフラーレン分子108を気化させる。プラズマ中の窒素ラジカルや窒素イオンとフラーレン分子の反応により窒素内包フラーレンの生成が試みられた。
高周波プラズマ処理装置を用いて窒素プラズマとフラーレン分子を反応させた場合、窒素内包フラーレンの収率は極めて低く、生成される化合物の多くはフラーレン分子を構成する炭素原子に窒素が付加した物質であった。(特許文献4)
このフラーレン分子に窒素が付加した物質は窒素内包フラーレンのような特有のスピン特性を持たず、前記した磁性を利用した応用に用いることはできない。
従って、さまざまな応用が期待され産業上有用な窒素内包フラーレンを、工業的に十分な純度、生成量で効率的に合成できる製造方法及び製造装置は現時点で知られておらず、その開発が強く望まれていた。
本発明(1)は、アノード電極と、前記アノード電極の周囲に配置されたカソード電極に対し電圧を印加して径方向の直流電界を形成し、前記直流電界に対し直交する方向に一様定常磁界を形成し、前記アノード電極と前記カソード電極の間に原料ガスを導入し、前記カソード電極を加熱して熱電子を放出し、前記電界と前記磁界の作用により前記アノード電極の周りを周回運動する前記熱電子を前記原料ガスに衝突させることにより前記原料ガスを解離及び/又は電離してイオンを生成するプラズマ生成方法である。
本発明(2)は、前記イオンが窒素原子イオンであることを特徴とする前記発明(1)のプラズマ生成方法である。
本発明(3)は、前記イオンがアルカリ金属イオンであることを特徴とする前記発明(1)のプラズマ生成方法である。
本発明(4)は、筐体と、前記筐体内部に配置されたアノード電極と、前記アノード電極の周囲に前記アノード電極と離間して配置されたカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極間に直流電界を形成する電源と、前記直流電界と直交する方向に一様定常磁界を形成する磁界形成手段と、前記筐体内に原料ガスを導入する原料ガス導入手段とからなるプラズマ源である。
本発明(5)は、筐体内で請求項1記載のプラズマ生成方法により生成した前記イオンのエネルギーを電界の作用で制御し、前記筐体内に導入したフラーレンガスに対し前記イオンを照射することにより、前記筐体内でフラーレンベース材料を含む生成物を生成するフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(6)は、前記筐体の端面に形成した開口部から前記生成物を前記筐体の外に噴出させ、噴出した生成物を容器に導入して回収することを特徴とする前記発明(5)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(7)は、前記フラーレンベース材料が、内包フラーレン、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレン重合体、又は、フラーレンポリマーであることを特徴とする前記発明(5)又は前記発明(6)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(8)は、前記フラーレンベース材料が、窒素内包フラーレンであることを特徴とする前記発明(5)又は前記発明(6)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(9)は、前記フラーレンベース材料が、アルカリ金属内包フラーレンであることを特徴とする前記発明(5)又は前記発明(6)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(10)は、前記発明(4)のプラズマ源と、前記プラズマ源により生成されたイオンのエネルギーを制御するイオンエネルギー制御手段と、前記筐体内にフラーレンガスを導入するフラーレンガス導入手段とからなるフラーレンベース材料の製造装置である。
本発明(11)は、前記イオンエネルギー制御手段が、独立に電位制御が可能な2枚のグリッド電極からなることを特徴とする前記発明(10)のフラーレンベース材料の製造装置である。
1.本発明のプラズマ源は、熱陰極直流マグネトロン放電によるプラズマ源であるため、イオン生成効率が高い。特に、高エネルギー電子による放電が必要な窒素原子イオンの生成において大きな効果が得られる。また、ガス圧力の低い原料を用いる場合でも、プラズマ生成が可能になる。
2.本発明のフラーレンベース材料の製造方法は、エネルギー制御されたイオンを含むプラズマを高密度のフラーレンガス中に照射してフラーレンベース材料の生成反応を行う。従って、フラーレンベース材料の生成効率が高く、大量生成が可能になる。
3.原料フラーレンが製造装置内に広く拡散せず、かつ、生成物の大半を回収可能であり、原料の利用効率が高い。
4.プロセスの主要パラメータを電圧により制御できる。そのため、製造プロセスの最適化や、プロセス条件の自動化が容易に実施できる。
5.気相中でフラーレンとプラズマが反応しフラーレンベース材料が生成される体積生成であるため、時間当たり生成量が多い。
6.生成物の時間連続的回収が可能である。作業性の改善、装置稼動率の向上に効果がある。
(高周波プラズマによる製造方法の問題点)
本願発明者は、高周波プラズマを用いた場合に窒素内包フラーレンが効率的に生成されない原因について検討を行った。
第一の原因は、窒素イオンを生成するのに必要な電子エネルギーに関するものである。窒素ガスを構成する窒素分子N2に電子を衝突させイオン化すると窒素原子イオンN+と窒素分子イオンN2 +が生成される。ここで、スピン特性の点で工業的に価値があり、イオンサイズの点で内包化が可能なイオンはN+である。N2からN+を生成するには、窒素原子を単原子化し(解離:N2 -> N)、さらに解離した窒素原子をイオン化する(電離:N -> N+)必要がある。実測データによると、窒素原子イオンの生成には、23.6eV以上のエネルギーを持つ電子を窒素分子に衝突させる必要があり、これは窒素分子イオンの生成(N2 -> N2 +)に必要なエネルギー15.5eVよりも大きい。
一方、高周波プラズマで生成される電子の速度分布は、基本的にMaxwell分布に従う。そのため、窒素原子イオンの生成に必要な高エネルギー電子として利用できるのは、生成された電子全体の中で電子速度分布のテールに分布する一部の電子であり、電子の利用効率が低かった。さらに、電子のエネルギーは、窒素分子又は窒素原子との衝突で低下する。従って、高周波プラズマを用いた場合は、窒素分子に対し高エネルギーの電子を安定して十分な量で供給することができず、窒素原子イオンを大量に生成できなかった。
また、高周波プラズマでは、無電極放電又は冷陰極放電によりプラズマ生成が行われる。これらの放電方式では、イオン化に用いられる電子が原料ガスを電離してできた電子のみであり、電子密度が原料ガスの供給量により制限されていた。さらに、プラズマ源を内包フラーレンの製造に用いる場合、生成した電子の一部がフラーレンの負イオン化に消費されるため、電子密度が生成電子密度よりも低下する。従って、高周波プラズマでは、電子不足により放電が安定しない、N+イオンの生成効率が低いという問題があった。
第二の原因は、窒素イオンがフラーレンに衝突するときのイオンエネルギーに関するものである。窒素内包フラーレンの生成には、窒素イオンとフラーレンが衝突する時に、窒素イオンのエネルギーを内包フラーレン生成に適したエネルギー範囲に制御することが重要である。すなわち、衝突エネルギーが小さすぎると窒素イオンが6員環を通過してフラーレンの内部に入り込まない、衝突エネルギーが大きすぎるとフラーレン分子が破壊される、或いは、イオンがフラーレン分子を通過するという現象が生じ、内包フラーレンが生成されない。ところが、高周波プラズマ中にフラーレンを導入するだけではイオンの衝突エネルギーを適切に制御できなかった。
本願発明者は、以上の原因を検討した結果、窒素内包フラーレンを効率的に生成するには、以下に示す3つの要件が必要であると考えた。
(1)イオン電流を大きくとるため、電子を含まないイオンビームのみではなく、電子とイオンビームを含むプラズマを利用する。
(2)窒素原子イオンを効率的に生成できるプラズマ源を用いる。
(3)生成されたプラズマ中のイオンエネルギーを高精度で制御して、前記プラズマを高密度のフラーレンに照射する。
(本発明のプラズマ源)
最初に、本発明のプラズマ源について説明する。
図1は、本発明のプラズマ源を含む内包フラーレン製造装置の部分図である。図1に示す部分図は、内部に配置された部材の位置及び各部材に印加される電圧の極性がわかるように描かれている。
プラズマ源は、再昇華円筒1、アノード電極4、カソード電極5から構成され、アノード電極4とカソード電極5は再昇華円筒1の内部に配置されている。プラズマ源は、10-4〜10-2Paの真空領域に置かれている。また、プラズマ源は、図示していない磁界形成手段により印加された一様定常磁界中に置かれている。
<再昇華円筒>
再昇華円筒1は、中空の筒状体で、プラズマの軸対称性が保たれるように円筒形をしている。筒状体の両端部には、一端がマイカなどの絶縁性材料でできた終端板16が取り付けられ、もう一端が銅などの導電性材料でできた終端板17が取り付けられている。再昇華円筒1の側面部も、熱伝導性が良好な銅などの導電性材料でできている。
<アノード電極>
アノード電極4は、両端部が閉じた中空の筒状電極である。アノード電極4も、プラズマの軸対称性が保たれるように円筒形をしている。アノード電極4の一端部には原料ガス導入管2が接続されている。プラズマ生成時には、原料ガス導入管2を通してアノード電極4内に原料ガスを導入する。例えば、窒素イオンプラズマを生成する場合には、窒素ガスを導入する。
<方向の定義>
以下、図1に示すように、アノード電極4の長手方向を軸方向と呼び、軸方向と直交する平面内で、アノード電極断面の中心点から外側に向かう方向を径方向と呼ぶことにする。プラズマ生成に用いる磁界は、沿磁力線方向が軸方向となるように印加する。
<カソード電極>
カソード電極5は、アノード電極4の側面を取り囲むように配置したワイヤー状の電極であり、好ましくは、図1に示すように端部が開いた円形の電極である。カソード電極5は、アノード電極4の側面から一定距離(約1 〜10 mm)離間して配置している。
アノード電極4の側面において、カソード電極5と対向する位置に原料ガス噴出孔6が配置されている。ガス噴出孔6は、複数個配置するのが好ましい。カソード電極の位置に近接して原料ガス噴出孔を配置することにより、原料ガスの圧力が局所的に高くなり、カソード電極から放出される熱電子と原料ガス分子が衝突する確率が高くなる。また、原料ガスを、それが必要となる一部の領域に限定して供給することにより、原料ガスの使用量を抑制することができる。特に、原料ガスが常温固体物質の場合は、原料の利用効率向上に効果が高い。
また、図1に示すように、カソード電極が沿磁力線方向に重ならないように配置するのが好ましい。カソード電極が沿磁力線方向に重なると、重なった部分のプラズマ密度が局所的に高くなる。このため、熱負荷が増大する、或いは、イオン衝撃により終端板16、17や、後述するグリッド電極7、8に穴があくなどの問題が発生する。これらの問題を防止するため熱電子放出量を抑制するとプラズマ密度が減少するという別の問題が発生する。
また、図1に示すような1ターンのカソード電極だけでなく、複数ターンのカソード電極を用いることも可能である。例えば、プラズマ流の断面積を増やすために、巻直径の異なる複数のカソード電極を配置することも可能である。
<電位制御電源、ヒーター電源>
アノード電極4とカソード電極5には、それぞれの電位を制御するための電源11と12、及び、カソード電極5を加熱するヒーター電源13が接続されている。プラズマ生成時はカソード電極5の両端部に接続したヒーター電源13により電流を流し、カソード電極を高温に加熱する。カソード電極の形状は、特に、ワイヤー状とするのが好ましい。テープ状のカソード電極と比較して少ない電力でカソード電極を高温に加熱することが可能である。
<プラズマの生成>
プラズマ生成時は、軸方向に一様定常磁界を印加する。この状態で、カソード電極5に電流を流して、2000℃〜3000℃に加熱し、熱電子を発生させる。再昇華円筒1の側面部と終端板17を接地電位とし、アノード電極4にアノード電圧制御電源11により正の電圧Vaを印加し、カソード電極5にカソード電圧制御電源12により負の電圧Vkを印加する。原料ガス導入管2から窒素ガスを導入し、原料ガス噴出孔6から窒素分子をカソード電極5に向けて噴出させる。
<直流マグネトロン放電>
図2は、本発明のDCマグネトロン放電の説明図であり、プラズマ源の径方向の断面図である。アノード電極21の中空部を通って、窒素分子が原料ガス噴出孔23から、アノード - カソード間の空間に噴出する。一方、カソード電極22は高温に加熱されており、電極表面から熱電子が放出される。また、軸方向には一様定常磁界Bが印加されており、磁界と直交する径方向にVaとVkによる一様定常電界が印加されている。カソード電極22から放出された熱電子を含め、アノード - カソード間に存在する電子は、磁界の作用でラーモア運動と呼ばれる円運動をし、同時に、電界Eと磁界Bの作用によりE×B方向にドリフトする。電界方向が、一定方向ではなく径方向であるため、電子のドリフト運動は、アノード - カソード間で、カソード電極22の中心点の回りを軸方向に垂直な平面内で回る運動となり(以下、周方向のドリフト、又は、E×Bドリフトと呼ぶ)、特に、カソード電極22の断面が円形である場合は、電子はアノード電極21の周りを円運動する。また、カソード電極22の断面形状は円形に限定されず、例えば、楕円形であってもよい。周方向にドリフト運動する電子は一定のエネルギーを持ち、原料ガス噴出孔23から噴出した窒素分子に衝突して、窒素分子イオンと窒素原子イオンを生成する。窒素分子から電離して発生した電子も、熱電子と同様に、アノード電極の回りを運動し、イオン生成に寄与する。生成した窒素分子イオン、窒素原子イオン及び電子は空間内で混在して窒素プラズマとなる。
<アノードとカソードの配置>
プラズマ源の断面において、アノード電極21を内側に、カソード電極22を外側にする理由は次の通りである。本発明によるプラズマ源のカソード電極は、加熱して熱電子を放出する熱陰極であり、加熱効率を高めるためワイヤー形状とするのが好ましい。また、熱電子放出量はイオン生成量よりもはるかに多い。そのため、カソード電極の近傍に自己電界(シース電界)が形成され、ドリフト運動する電子はこのシース電界領域に集中する。従って、仮にカソード電極を内側にすると、ワイヤー状のカソード電極近傍のきわめて狭い領域に電子が集中するため、周方向の電子飛行距離が短く原料ガス分子との衝突確率を十分高くできない。一方、図2に示すように、カソード電極を外側にする場合は、電子の運動領域が大きくなるので原料ガス分子との衝突確率を高くできるという利点がある。
<アノード - カソード間距離>
アノード - カソード間距離dは、Va、Vk一定の場合、dが小さいほどE×Bドリフトに利用する電界Eが大きくなるので有利である。Vkを低くして、dを小さくすることによりEを大きくできれば、沿磁力線方向の直流放電を抑制でき、マグネトロン放電の寄与を高めることができるので、N+生成効率をさらに向上できる。ただし、カソードには加熱電流を流しており、加熱電流密度Jに対し、J×Bの力がカソードに対して作用する。この力によりカソードに多少の変形が生じるが、変形によるカソードとアノードの接触を防止するために、アノード-カソード間距離dには、多少の遊びが必要で、現在の加工精度ではd=5mm程度にするのが好ましい。
<プラズマ流>
カソード電極5には負電圧を印加する。さらに、終端板17を接地電位とすることで、終端板17からカソード電極5に向かう電界が形成される。そのため、アノード電極4とカソード電極5とからなるプラズマ源で生成された窒素プラズマは、終端板17に向かうプラズマ流となる。プラズマ流は、プラズマ源と終端板17の間に配置された第1グリッド電極7を通過し、続いて、第2グリッド電極8を通過し、フラーレンガス導入管10から導入されるフラーレンガスに照射され、フラーレン分子又はフラーレンイオンと窒素原子イオンが反応して窒素内包フラーレンが生成する。
<グリッド電極>
第1グリッド電極7と第2グリッド電極8は、プラズマ中のイオンのエネルギーを制御するもので、プラズマ流全体を制御できるように、グリッド電極7、8の断面形状はカソード電極5の断面形状よりも大きくするのが好ましい。
さらに、第1グリッド電極7には、カソード電極5に対し正電位となるように制御電圧を印加し、第2グリッド電極8には、カソード電極5に対し負電位となるように制御電圧を印加する。プラズマ源で生成した電子は、第1グリッド電極7の手前まで加速され、第1グリッド電極-第2グリッド電極間で減速される。しかし、最初の加速後に持つエネルギーが減速エネルギーよりも大きくなるように制御電圧を設定することにより、イオンだけでなく電子も第2グリッド電極8の下流にする入射するように制御することができる。
<直流放電>
カソード電極5、第1グリッド電極7、第2グリッド電極8の間に形成された電界により加速された電子と窒素分子の衝突により、カソード電極5とグリッド電極7、8の間及び近傍の空間で直流放電が発生する。この直流放電により生成されたバルクプラズマ中のイオンは、多くが窒素分子イオンであり、内包フラーレンの生成には寄与しない。特に、カソード-第1グリッド電極間で発生する直流放電は前述のマグネトロン放電を妨げて、窒素原子イオンの生成効率を低下させる。従って、窒素原子イオンの生成効率向上のために直流放電の寄与がマグネトロン放電の寄与に対し抑制されるように、Va、Vk、Vdなどの制御電圧を設定するのが好ましい。
(従来のプラズマ源との比較)
<高周波プラズマ源との比較>
本発明のプラズマ源は、従来の高周波プラズマ源と異なり、加熱されたカソード電極(熱陰極)から放出される熱電子を原料ガスに衝突させ、原料ガスを構成する分子をイオン化してプラズマを生成する。そのため、プラズマ生成部における電子密度を十分に高くできる。放出された熱電子の一部がフラーレンなどの負イオンの生成により消費されても、原料ガスの解離・電離に必要な十分な量の電子を供給でき、無電極放電や冷陰極放電を用いる高周波プラズマ源と比較しイオン生成効率が高い。
また、本発明のプラズマ源における電子は、互いに直交する電界と磁界の作用を受けて周方向にドリフト運動をするが、その速度VE×Bは、電界強度をE、磁界強度をBとすると、VE×B= E/Bで表される。電界強度Eは、アノード電圧Vaとカソード電圧Vkで制御できるので、原料ガス分子に衝突する電子の運動エネルギーは、磁界強度、アノード電圧、カソード電圧で制御できる。従って、電子が原料ガス分子又は原子と衝突しても運動エネルギーが低下せず、高エネルギーの衝突が連続的に起こる。特に、窒素分子を解離・電離して窒素原子イオンを生成する場合のように高エネルギー高密度の電子を安定に供給する必要がある場合には、本発明のプラズマ源はイオン生成効率の向上に効果が大きい。
<従来のマグネトロン放電プラズマ源との比較>
E×Bドリフト電子により電離を引き起こすマグネトロン放電は、マグネトロン放電スパッタリングなどで用いられている技術である。しかし、従来のマグネトロン放電プラズマ源では、電極の加熱を行わない冷陰極放電が用いられている。そのため、窒素内包フラーレンのプラズマ源として用いる場合、従来のマグネトロン放電プラズマ源では、電子エネルギーを電界と磁界により制御しても、ガス圧力が低い原料ガスを用いる場合や負イオン生成を伴う場合は、放電に用いる電子が不足するために、窒素原子イオン密度が高いプラズマを生成することができなかった。
(本発明のプラズマ源の特徴)
本発明のプラズマ源の特徴をまとめると以下のようになる。
1.熱陰極放電であるため、従来のプラズマ源で用いられている無電極放電や冷陰極放電と比較し、放電に用いる電子密度が高く、イオン生成効率が高い。アルカリ金属などガス圧力の低い(10-4〜10-2Pa)原料を用いる場合でもプラズマ生成が可能である。また、多価イオンの生成が容易にできるという特徴もある。
2.アノード電極と、その周りに配置したカソード電極により径方向に電界を印加し、電界と直交する軸方向に磁界を印加している。この電極構造及び電界・磁界方向配置により、電子軌道を周方向に閉じ込めることができる。電子のエネルギーは、電界強度と磁界強度により制御され、電子と他の粒子の衝突前後で変化しない。制御された高いエネルギーを持つ電子が、アノード電極の開口部から噴出する原料ガス分子に繰り返し衝突するので、イオン生成効率が高い。特に、解離・電離に高エネルギーを必要とする窒素原子イオンの生成に用いると効果が大きい。窒素プラズマの生成に用いる場合は、従来の高周波放電やマグネトロン放電と比較して、N+とN2 +の生成比率でみると、N+の生成比率を大きくできるので、例えば、窒素内包フラーレン製造に用いる場合に収率向上に効果が大きい。
3.直流電界によるマグネトロン放電であるため、交流電界又は高周波電界によるマグネトロン放電と異なり、電界強度の時間変化がない。すなわち、ドリフト電子のエネルギーの時間変化がないので、常に高いエネルギーで原料ガスと電子の衝突を繰り返すことが可能である。
(内包フラーレンの製造装置)
<内包フラーレンの生成部>
図1は、内包フラーレン製造装置の部分図であり、プラズマ源及び内包フラーレンの生成部が示されている。図1に示す内包フラーレンの生成部は、両端に終端板16、17を有する筒状体の再昇華円筒1、第1グリッド電極7、第2グリッド電極8、フラーレン導入部から構成される。第1グリッド電極7、第2グリッド電極8は、再昇華円筒1の内部に配置されている。フラーレン導入部は、フラーレン昇華オーブン9とフラーレンガス導入管10とから構成される。フラーレンガス導入管10の先端は、再昇華円筒内にガスを導入するように再昇華円筒1に対し配置されている。終端板17には、反応生成物噴出孔3と呼ばれる開口部がある。噴出孔3の手前には、噴出孔3よりも大きい遮蔽板15が配置されている。
窒素内包フラーレンを含む生成物は、噴出孔3から再昇華円筒1の外部に噴出する。噴出孔3の大きさは、5mm〜20mm程度にするのが好ましい。噴出孔の大きさをある程度小さくすることにより、再昇華円筒1内のフラーレンガス密度を高める効果がある。遮蔽板15は、未反応のフラーレンガスが噴出孔3から外部に漏れるのを抑制するために取り付けられている。
<内包フラーレン製造装置の全体図>
図3(a)は、内包フラーレン製造装置の全体断面図である。図3(a)には、図1に示すプラズマ源と内包フラーレン生成部も含まれている。図3(a)に示す内包フラーレン製造装置は、真空容器31、電磁石コイル32、真空ポンプ33、アノード電極25、カソード電極26、再昇華円筒34、再昇華円筒用ヒーター35、原料ガス導入管36、第1グリッド電極27、第2グリッド電極28、フラーレン昇華オーブン40、フラーレンガス導入管29、遮蔽板37、生成物噴出ノズル38、生成物回収容器39、ゲートバルブ41、オーブン引き出しロッド42、予備排気室30、真空ポンプ43から構成される。
真空容器31は、内壁にEP処理やCRP処理を施したステンレス材料でできた容器であり、真空ポンプ33により背景真空度が約10-4Paになるように排気されている。真空容器31の内部には、内包フラーレン製造装置を構成するプラズマ源、グリッド電極27、28、再昇華円筒34、回収容器39などの部材が配置されている。真空容器の周りには、沿磁界方向が再昇華円筒の軸方向と一致するように磁界を発生する電磁石コイル32などの磁界発生手段が配置されている。磁界発生手段として永久磁石を用いることも可能である。
フラーレン導入部において、昇華オーブン40により固体(通常、粉末状)のフラーレンを加熱し、昇華したフラーレンガスを導入管29から再昇華円筒34内に導入する。再昇華円筒34は、加熱用ヒーター35により、500〜600℃に加熱する。再昇華円筒34内に導入されたフラーレンガスが内壁との接触で冷却されて凝固し円筒容器内壁に付着するのを防止するためである。再昇華円筒34内部のフラーレンガス密度を高くする、及び、原料のフラーレンを有効に利用する効果がある。
図3(a)では、フラーレンオーブン40の取り出し部を詳細に描いている。内包フラーレンの製造プロセスを行うと、フラーレンオーブン40に充填したフラーレンが消費されるので、必要に応じフラーレンオーブン40を真空容器31の外部に取り出し、フラーレンを再充填する必要がある。この場合、図に示すような予備排気システムを備えていると原料交換の作業性が改善する、真空容器31の清浄度を維持できるという効果がある。
フラーレンの充填作業を行うときは、まず予備排気室30を真空ポンプ43により排気した後、ゲートバルブ41を開く。次に、オーブン引き出しロッド42によりフラーレンオーブン40を引き出し、ゲートバルブ41を閉じる。予備排気室30を大気圧にしてからフラーレンオーブン40にフラーレンを充填し、予備排気室30を真空引きしてゲートバルブを開け、フラーレンオーブン40を真空容器31内の再昇華円筒34側部に挿入する。
再昇華円筒34で、プラズマとフラーレンの反応により生成した生成物は再昇華円筒34の終端板に形成した開口部から再昇華円筒外部に噴出する。図3(a)に示す装置の具体例では、該開口部をノズル状にしている。回収容器39は、コップ状又はシャーレ状の容器で、生成物噴出ノズル38を覆うように配置している。回収容器においては、気体状の生成物を固体(例えば粉末状)にして回収するために、回収容器の温度は0〜100℃程度であるのが好ましい。一方、再昇華円筒34は500℃程度に加熱されている。そこで、再昇華円筒34から回収容器39に熱伝導が起こらないように、回収容器39は再昇華円筒34に対し若干の隙間を開けて配置している。この隙間を通して噴出孔38から噴出する気体がある程度リークすることで、回収容器内圧力が過度に高くなるのを防止するという効果もある。また、遮蔽板37には、プラズマが回収容器39に到達することを防ぐという効果もある。
(内包フラーレンの製造方法)
図3(a)に示す製造装置を用いた本発明の内包フラーレンの製造方法を、従来の内包フラーレンの製造方法と比較しながら説明する。
<従来の内包フラーレンの製造方法>
図9は、非特許文献2に開示された従来の内包フラーレンの製造方法を示す概念図である。非特許文献2には、接触電離プラズマ源を用いたKイオンプラズマの生成、及び、K内包フラーレンの製造方法について記載されている。従来の内包フラーレンの製造装置は、プラズマ源111、フラーレン導入部、堆積基板116、バイアス電圧制御電源117から構成されている。図9に示す各部材は図示しない真空容器内に配置されている。
プラズマ源111から正イオン(Kイオン)118及び電子119からなるプラズマ流が生成され、図示しない磁界の作用で下流に配置された堆積基板116に向かって流れる。フラーレン導入部は、フラーレン昇華オーブン112、フラーレンガス導入管113、再昇華円筒114から構成される。フラーレン昇華オーブン112で加熱昇華したフラーレンガスは、フラーレンガス導入管113から真空容器内に噴射する。再昇華円筒は、真空容器内に噴射されたフラーレンガスが真空容器の内壁に凝固付着しないようにするものである。フラーレンガスは、真空容器の全体に広く拡散するため、フラーレンガスの空間密度は低い。フラーレンガスを構成するフラーレン分子120に、プラズマ流の電子119が付着して、フラーレンの負イオン121が生成する。堆積基板116には、バイアス電圧制御電源117により正の電圧を印加している。そのため、堆積基板116のプラズマ流側に、シース領域115と呼ばれるプラズマ電位が高い領域が形成される。正イオン118とフラーレン負イオン121は、シース領域115に到達するとエネルギーが制御される。前記したように内包フラーレンの生成効率向上には、内包イオンの運動エネルギーを適切に制御することが重要であり、従来の方法では堆積基板に印加するバイアス電圧を制御して、内包フラーレンの生成効率の最適化を行っていた。しかし、シース領域115の厚さは、たかだか数mm程度であり、ほぼ堆積基板の表面だけで内包フラーレンの生成が行われていた(表面生成)。フラーレンの空間密度が低く、かつ、生成反応が行われる空間が狭いために、内包フラーレン生成に関与するフラーレンの絶対量が少なく、内包フラーレンの生成効率が低いという問題があった。
<本発明の内包フラーレンの製造方法>
図4は、本発明の内包フラーレンの製造方法を説明する概念図である。図4には、本発明の内包フラーレンの製造装置における再昇華円筒55と回収容器56が示されている。再昇華円筒55の内部には、プラズマ生成領域51、イオンエネルギー制御領域52、内包フラーレン生成領域53がある。
プラズマ生成領域51では、好ましくは、本発明の熱陰極直流マグネトロン放電プラズマ源を用いる。図4に示すプラズマ源は、アノード電極57とカソード電極58とからなり、カソード電極58に負電圧Vkを印加、アノード電極57に正電圧Vaを印加し、カソード電極58を加熱し、窒素ガスを導入して、電子67、窒素原子イオン68、窒素分子イオン69からなる窒素プラズマを生成する。
プラズマ源から流れ出したプラズマ流は、最初に、イオンエネルギー制御領域52を通過する。イオンエネルギー制御領域52には、第1グリッド電極59と第2グリッド電極60が配置されている。第1グリッド電極59には、グリッド電圧制御電源66により正のグリッド電圧Vgを印加する。第2グリッド電極60は、例えば、接地電位とする。プラズマ中の正イオンである窒素原子イオン68と窒素分子イオン69は、第1グリッド電極59と第2グリッド電極60間に形成される電界により加速される。また、イオンの加速エネルギーは、第1グリッド電極59と第2グリッド電極60に印加する電圧により制御することができる。また、イオンエネルギー制御が可能であれば、エネルギー制御手段はグリッド電極に限定されない。他のエネルギー制御手段を用いても、本発明の製造方法の効果がグリッド電極を用いた場合と同様に得られる。
以上の説明では、再昇華円筒を接地電位として各部材に印加する電圧の極性について説明した。しかし、本発明のプラズマ源及び内包フラーレン製造装置において、正常にプラズマを生成し、イオンエネルギーを制御するには、必ずしも、再昇華円筒を電位の基準とする必要はない。重要なのは、各部材の印加電圧の相対関係として、
Va > Vg1 > Vg2 = V(再昇華円筒) > Vk (1)
とすることである。(Vg1、Vg2は、それぞれ第1グリッド電極、第2グリッド電極の印加電圧である。)(1)の関係が満たされていれば、例えば、カソード電極を接地電位として、他の部材を正電圧とすることも可能である。
内包フラーレン生成領域53には、フラーレン昇華オーブン62とフラーレンガス導入管61とからなるフラーレン導入部が配置されている。また、再昇華円筒55は、全体が密閉された容器であるが、プラズマ生成領域と反対側の終端板に開口部があり、生成領域53において生成した生成物が開口部を通して再昇華円筒55の外部に噴出する。図4に示す開口部は、噴出する生成物の流れが方向性を持つようにノズル63が取り付けられている。また、開口部から離間して開口部よりも大きい遮蔽板72が取り付けられており、未反応のフラーレンガスが開口部を通して流出することを抑制している。フラーレンガス導入管61から内包フラーレン生成領域53に導入したフラーレンガスは、再昇華円筒55を加熱しているため、円筒55の内壁に接触しても凝固して付着することがない。導入されたフラーレンガスを構成するフラーレン分子70は、一部がプラズマ中の電子と衝突し、或いは、プラズマ源まで拡散して電離し、フラーレンの正イオンやフラーレンの負イオンになる。内包フラーレン生成領域53において、プラズマ中の窒素原子イオン68が制御されたエネルギーを持ってフラーレン分子又はフラーレンイオンに衝突し、内包フラーレン71が形成され、一部未反応のフラーレンや他の反応生成物も混じった生成物として、噴出ノズル63を通って、再昇華円筒55の外部に噴出する。
内包フラーレン回収領域54には、噴出ノズル63を覆うように、かつ、再昇華円筒55に対し非接触となるように、回収容器56が配置されている。噴出した内包フラーレン71を含む生成物は回収容器56によりその大半が回収される。
(生成物回収方法)
生成物の回収は、図4に示すように、コップ状又はシャーレ状の回収容器を用いて回収してもよい。また、噴出ノズルよりも下方に回収容器を設置して、噴出ノズルから該回収容器まで生成物を導入する管を設けて、重力により生成物を落下させて回収してもよい。これらの方法を用いた場合でも、回収容器の大きさを十分大きくすれば、フラーレンの充填やカソード電極の劣化断線による交換作業など保守作業を行うときに、同時に生成物を回収することにより、生成物の回収に伴う装置停止をしないで済むので、製造装置の稼働率向上に寄与する。
図3(b)は、本発明の内包フラーレン回収装置の断面図である。図3(b)に示す回収装置は、真空装置を大気開放せずに、さらに内包フラーレンの生成プロセスを停止せずに、時間連続的に生成物の回収を行う回収装置の具体例である。生成物噴出ノズル38の形状は、下方に曲げた管とする。湾曲部は一定の曲率でなめらかに曲がる形状とするのが好ましい。また、生成物噴出ノズル38は、再昇華円筒34と接触させて加熱するのが好ましい。湾曲部において生成物が凝固し、管が詰まるのを防止する効果がある。噴出ノズル38を通過した生成物は、重力により落下し、生成物回収管44により回収される。生成物回収管44はゲートバルブ45を介して予備排気室46と接続している。予備排気室46には、生成物回収容器47が設置されている。生成物の回収は、内包フラーレン生成や製造装置の保守作業に関係なく、必要に応じ適時行うことができる。真空ポンプ48により予備排気室46を排気して、ゲートバルブ45を開ける。生成物回収管44に回収された生成物は回収容器47に落下する。ゲートバルブ45を閉じて、予備排気室を大気に開放して、予備排気室を開き、回収容器46を取り出して、生成物の回収を行う。
(本発明の内包フラーレンの製造方法及び製造装置の特徴)
本発明の内包フラーレンの製造方法及び製造装置の特徴をまとめると以下のようになる。
1.プロセスの制御性が高い。アノード電圧、カソード電圧、グリッド電圧を制御することにより、イオン生成効率、イオンエネルギーを最適化し、内包フラーレンの生成効率を向上することができる。製造プロセスを電圧で制御できるので、プロセス条件制御の自動化も容易である。
2.密閉性の高い容器内にフラーレンガスを高密度に充填した空間に、加速エネルギーを制御した内包イオンを照射して内包フラーレンを生成している。内包フラーレンは、従来方法のような基板表面ではなく、3次元空間で生成し(体積生成)、イオン密度、フラーレン密度とも高くできるので、生成反応に関与する分子又はイオンの絶対量を増やすことができる。その結果、内包フラーレンの時間あたり生成量を多くすることができる。窒素内包フラーレンの工業利用に必要な大量生成が可能になる。
3.フラーレンが製造装置内に広く拡散したり、装置内壁に付着したりしないので、原料フラーレンの利用効率が高い。
4.生成物の回収を時間連続的に行えるので、オペレータの負担が少なく、装置のダウンタイムを短縮できる。また、生成物が真空容器の内壁に付着する量が極めて少なく、生成物の大半を回収できる。
5.回収容器にバイアス電圧を印加する必要がない。回収容器の材料として、例えばガラスを用いることができる。そのため、回収容器に金属など生成物が強固に付着して生成物回収が困難になる材料を用いる必要がない。
6.イオン注入装置と比較し、装置構造が簡単である。
(プラズマ源の応用)
本発明のプラズマ源は、窒素イオン以外のイオンを含むプラズマの生成に用いることが可能であり、例えば、アルカリ金属プラズマ、ハロゲン元素プラズマ、不活性元素プラズマ、フラーレンプラズマの生成に用いることができる。アルカリ金属プラズマを生成する場合は、アルカリ金属材料が常温で固体であるため、オーブンで加熱昇華して、プラズマ源に導入する。上述したように、ガス圧力の低いアルカリ金属でも、本発明のプラズマ源を用いることによりプラズマ生成が可能である。通常アルカリ金属プラズマ生成に用いられる接触電離プラズマ源のように、大面積の金属板を高温に加熱する必要がないので、電力消費を低減できるという効果もある。
(フラーレンベース材料の製造)
本明細書中で、「フラーレン」とは、Cn(n=60, 70, 76, 78・・・)で示される中空の炭素クラスター物質であり、例えば、C60やC70を挙げることができる。また、「フラーレンベース材料」とは、フラーレンをベースにして製造した材料のことであり、篭状のフラーレン分子の中空部に炭素以外の原子又は分子を閉じ込めた内包フラーレン以外にも、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレン重合体、フラーレンポリマーを含むものとする。本発明の内包フラーレンの製造装置は、内包フラーレンの製造以外にも、プラズマとフラーレンの反応により、これらのフラーレンベース材料の製造に用いることが可能である。
また、原料となるフラーレンとして、混合フラーレンを用いることも可能である。「混合フラーレン」とは、種類の異なる複数のフラーレンが混合した炭素クラスター物質のことである。抵抗加熱法やアーク放電法でフラーレンを製造する場合、生成されたフラーレンの中で、重量比にして、70〜85%がC60、10〜15%がC70、残りがC76、C78、C84などの高次フラーレンとなる。燃焼法によるフラーレンの製造においても、C60、C70の重量比は高次フラーレンよりも大きい。従って、C60、C70は、他の高次フラーレンと比較して入手が容易でかつ安価である。また、C60とC70からなる混合フラーレンも、フロンティアカーボンなどから市販されており、容易に入手してフラーレンベース材料の製造に利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(窒素内包フラーレンの生成)
図1、図3(a)に示す構造の本発明のプラズマ源、及び、内包フラーレンの製造装置を用い、窒素内包フラーレンの生成を行った。生成物の噴出部は図3(a)に示すようにノズル状の出口として、ガラス製のシャーレ状容器で生成物を回収した。
内包フラーレンの生成に使用した製造装置の材質、寸法、及び、代表的な製造条件は以下の通りである。
<製造装置の部材の材質、寸法>
再昇華円筒: 材質 銅、直径 8cm、長さ 30cm
生成物噴出ノズル直径 8mm
アノード電極: 材質 ステンレス、直径 2cm、長さ 3cm
原料ガス噴出孔直径 2mm
カソード電極: 材質 タングステン、1ターン、ワイヤー径0.5mmφ
アノード-カソード間距離 5mm
第1グリッド電極: 材質 銅、アノード電極からの距離 2cm、メッシュ間隔 5mm
第2グリッド電極: 材質 銅、第1グリッド電極からの距離 5mm、メッシュ間隔 5mm
<製造条件>
背景真空度 3×10-4Pa、ガス導入時真空度 4×10-2Pa
磁界強度 0.15T
再昇華円筒温度 約500℃
アノード電圧Va +360V、カソード電圧Vk -120V、第1グリッド電圧Vg +120V
再昇華円筒、第2グリッド電極は、接地電位とした。
カソード電極加熱:Ph = Vh×Ih = 9.5V×15Aの電力を供給した。推定温度 2300℃
(オメガトロン質量分析)
生成した内包フラーレンの分析結果を説明する前に、オメガトロン型質量分析器によるプラズマ中のイオン種同定結果について説明する。オメガトロン型質量分析器は、再昇華円筒の生成物噴出孔部に設置した。プラズマ流が分析器に到達するように、噴出孔の大きさを多少大きく(約2cm)し、遮蔽板は取り外した。制御電圧は、Va = 0〜+400V、Vk = 0〜-160V、Vg = 0〜+120Vの範囲で設定した。それ以外の条件は、上記した内包フラーレンの生成と同じ条件を用いた。図5(a)、(b)は、オメガトロン型質量分析器の説明図である。分析器本体は、ステンレス製電極により構成された正立方体であり、測定は、直交した高周波電界と静磁界を印加して行う。上下電極間に周波数(ω/2π)可変の高周波電圧を印加した場合、生成物噴出孔から入射したイオン種のサイクロトロン周波数fciと一致した周波数で共鳴を起こす。よって共鳴周波数friは、
fri = fci = ZeB / 2πM
で表される。ここで、Z、e、B、Mは、それぞれイオン種の電荷数、電子の電荷、磁界強度、イオン種の質量である。この時、サイクロトロン軌道半径が増大し、イオンは下方に設置した微小抵抗を通して接地されているコレクタ電極に到達するので、質量数はコレクタ電流Icのピーク位置における共鳴周波数より求まる(M/ze = B/2πfri)。
図3(c)は、本発明のプラズマ源で生成した窒素プラズマの代表的なイオン種同定結果である。窒素分子イオンN2 +(82kHz)と窒素原子イオンN+(163kHz)のそれぞれに相当するピークが観測されている。
(イオン密度の制御電圧依存性)
図6 (a)〜(d)は、オメガトロンにより測定したイオン電流の制御電圧依存性を示すデータである。イオン電流の大きさは、プラズマ中のイオン密度に対応する。図6(a)、(c)は、それぞれ、窒素分子イオンに対応するイオン電流のVa、Vk依存性を示すデータであり、図6(b)、(d)は、それぞれ、窒素原子イオンに対応するイオン電流のVa、Vk依存性を示すデータである。
Va依存性に関しては、Vaが大きいほど、窒素分子イオン、窒素原子イオンともイオン電流が大きい。特に、窒素原子イオンのイオン電流はVa依存性の直線性が高く、Vaによる制御性が高いことがわかる。今回測定した製造条件Va=0〜+360Vの範囲では、Vaが高いほどイオン電流が大きい。しかし、Vaが360Vを超える領域では、異常放電が起きるという問題があるため、アノード電圧は300〜360Vが最適範囲である。
Vk依存性に関しては、窒素原子イオン生成に対する最適範囲が存在し、Vk = -90〜-120Vの範囲でイオン電流が大きくなる。これは、Vkが小さい範囲(0〜-90V)では、窒素原子イオン生成に十分なドリフト速度を持つ電子数がVkに比例して多くなるため、窒素原子イオン生成量が増加する。窒素原子イオンが生成されるのに最適な範囲は、Vk=-90〜-120Vである。一方、Vkが大きくなると(Vk < -120V)、カソード-グリッド間における直流放電が顕著になり、相対的にマグネトロン放電の寄与が低下して、窒素原子イオン生成効率が減少する。このデータは、窒素原子イオンの生成効率は直流放電では低いが、本発明のマグネトロン放電により生成効率向上が可能なことを示している。
(LDTOF質量分析)
本発明の製造方法により生成した生成物を回収、トルエンに溶解し、LDTOF質量分析装置を用い含有物質の同定を行った。図7(a)〜(c)は、測定した質量分析データである。図7(a)は、m/q = 600〜1600の範囲の質量スペクトルを示すグラフであり、図7(b)、(c)は、図7(a)に示すスペクトルを拡大したグラフである。
図7(a)に示すように、生成物中には、質量数734付近と質量数1452付近に対応する物質が含有されていることがわかる。734付近のピークを拡大した図7(b)によると、窒素内包フラーレンN@C60に対応する質量数734のピークが存在することがわかる。スペクトル中には、酸化フラーレンである可能性のある質量数736のピークも存在する。生成物に含まれるこれらの窒素内包フラーレン以外の不純物については、溶媒抽出、HPLCなどの方法により除去し、窒素内包フラーレンを分離精製することが可能である。
(フラーレン重合体の生成)
また、図7(c)に示すように、LDTOF質量分析結果から、m/q = 1452に対応するピークが観察された。これらは、フラーレン分子2個から合成されたフラーレンダイマーC121の存在を示すピークである。上述したように、再昇華円筒に導入されたフラーレンは一部がプラズマ源まで拡散し、高エネルギー電子の衝突によりC60 +が生成される。生成されたC60 +が、再昇華円筒内でC60やC60 -と反応してこれらのフラーレンダイマーが生成されるものと考えられる。
(ESR測定)
LDTOF質量分析以外の窒素内包フラーレンの存在確認方法として、ESR(電子スピン共鳴)が知られている。測定する試料を磁界中に置くと、試料内に存在する不対電子のスピン準位が分裂する。試料にμ波を照射してスピン準位のエネルギー差に等しいμ波が照射された時、μ波の吸収強度が大きくなることを利用して、試料に含まれる物質の同定や含有量の測定を行う。通常、μ波の周波数を一定にして、磁界を変化させ、μ波の吸収強度をプロットして分析を行う。窒素内包フラーレンは、原子核スピンの影響によるハイパーファインピークと呼ばれる3本の分裂ピークが観測される。本発明の内包フラーレン製造装置を用いて生成した生成物のESR測定を行った結果、窒素内包フラーレンの存在を示す特有のスペクトルが観測された。
以上のように、本発明に係るプラズマ源、フラーレンベース材料の製造方法及び製造装置は、フラーレンベース材料、特に、窒素内包フラーレンを工業レベルの純度、生成量で合成可能にした技術であり、エレクトロニクス、医療などの分野で有用である。
本発明のプラズマ源を含む内包フラーレン製造装置の部分図である。 本発明のDCマグネトロン放電の説明図である。 (a)は、本発明の内包フラーレン製造装置の全体断面図であり、(b)は、本発明の内包フラーレン回収装置の断面図である。 本発明の内包フラーレンの製造方法を説明する概念図である。 (a)、(b)は、オメガトロン型質量分析器の説明図であり、(c)は、オメガトロンによる窒素プラズマの共鳴スペクトルを示すデータである。 (a)〜(d)は、オメガトロンによる各イオン電流の制御電圧依存性を示すデータである。 (a)〜(c)は、LDTOF質量分析装置による質量分析データである。 従来の高周波プラズマ処理装置の断面図である。 従来の内包フラーレンの製造方法を説明する概念図である。
符号の説明
1、34、55、114 再昇華円筒
2、36 原料ガス導入管
3 反応生成物噴出孔
4、21、25、57 アノード電極
5、22、26、58 カソード電極
6、23 原料ガス噴出孔
7、27、59 第一グリッド電極
8、28、60 第二グリッド電極
9、40、62、112 フラーレン昇華オーブン
10、29、61、113 フラーレンガス導入管
11、64 アノード電圧制御電源
12、65 カソード電圧制御電源
13 カソード加熱ヒーター電源
14、66 グリッド電圧制御電源
15 遮蔽板
16、17 終端板
30、46 予備排気室
31 真空容器
32 電磁石コイル
33、43、48 真空ポンプ
35 再昇華円筒用ヒーター
37 遮蔽板
38、63 生成物噴出ノズル
39、47、56 生成物回収容器
41、45 ゲートバルブ
42 オーブン引き出しロッド
44 生成物回収管
51、111 プラズマ生成領域
52 イオンエネルギー制御領域
53 内包フラーレン生成領域
54 内包フラーレン回収領域
67、119 電子
68 窒素原子イオン
69 窒素分子イオン
118 正イオン
70、120 フラーレン分子
121 フラーレン負イオン
71、122 内包フラーレン分子
115 シース領域
116 堆積基板
117 バイアス電圧制御電源
101 チャンバー
102 真空排気管
103 高周波電極
104 電極
105 窒素ガス導入部
106 窒素ガス排出部
107 ヒーター付きモリブデンボート
108 フラーレン分子
109 高周波電源

Claims (11)

  1. アノード電極と、前記アノード電極の周囲に配置されたカソード電極に対し電圧を印加して径方向の直流電界を形成し、前記直流電界に対し直交する方向に一様定常磁界を形成し、前記アノード電極と前記カソード電極の間に原料ガスを導入し、前記カソード電極を加熱して熱電子を放出し、前記電界と前記磁界の作用により前記アノード電極の周りを周回運動する前記熱電子を前記原料ガスに衝突させることにより前記原料ガスを解離及び/又は電離してイオンを生成するプラズマ生成方法。
  2. 前記イオンが窒素原子イオンであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成方法。
  3. 前記イオンがアルカリ金属イオンであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成方法。
  4. 筐体と、前記筐体内部に配置されたアノード電極と、前記アノード電極の周囲に前記アノード電極と離間して配置されたカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極間に直流電界を形成する電源と、前記直流電界と直交する方向に一様定常磁界を形成する磁界形成手段と、前記筐体内に原料ガスを導入する原料ガス導入手段とからなるプラズマ源。
  5. 筐体内で請求項1記載のプラズマ生成方法により生成した前記イオンのエネルギーを電界の作用で制御し、前記筐体内に導入したフラーレンガスに対し前記イオンを照射することにより、前記筐体内でフラーレンベース材料を含む生成物を生成するフラーレンベース材料の製造方法。
  6. 前記筐体の端面に形成した開口部から前記生成物を前記筐体の外に噴出させ、噴出した生成物を容器に導入して回収することを特徴とする請求項5記載のフラーレンベース材料の製造方法。
  7. 前記フラーレンベース材料が、内包フラーレン、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレン重合体、又は、フラーレンポリマーであることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項記載のフラーレンベース材料の製造方法。
  8. 前記フラーレンベース材料が、窒素内包フラーレンであることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項記載のフラーレンベース材料の製造方法。
  9. 前記フラーレンベース材料が、アルカリ金属内包フラーレンであることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項記載のフラーレンベース材料の製造方法。
  10. 請求項4記載のプラズマ源と、前記プラズマ源により生成されたイオンのエネルギーを制御するイオンエネルギー制御手段と、前記筐体内にフラーレンガスを導入するフラーレンガス導入手段とからなるフラーレンベース材料の製造装置。
  11. 前記イオンエネルギー制御手段が、独立に電位制御が可能な2枚のグリッド電極からなることを特徴とする請求項10記載のフラーレンベース材料の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010541167A (ja) * 2007-09-27 2010-12-24 東京エレクトロン株式会社 負イオンプラズマを生成する処理システム
CN103813607A (zh) * 2013-04-16 2014-05-21 杜志刚 等离子二氧化碳高压气体发热装置
JP2015185233A (ja) * 2014-03-20 2015-10-22 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 フラーレン及び有機高分子の負イオンビーム生成方法

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