JP6357536B2 - 研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊 - Google Patents
研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6357536B2 JP6357536B2 JP2016538472A JP2016538472A JP6357536B2 JP 6357536 B2 JP6357536 B2 JP 6357536B2 JP 2016538472 A JP2016538472 A JP 2016538472A JP 2016538472 A JP2016538472 A JP 2016538472A JP 6357536 B2 JP6357536 B2 JP 6357536B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- raw material
- abrasive grains
- polishing
- binder
- polysaccharide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B24—GRINDING; POLISHING
- B24B—MACHINES, DEVICES, OR PROCESSES FOR GRINDING OR POLISHING; DRESSING OR CONDITIONING OF ABRADING SURFACES; FEEDING OF GRINDING, POLISHING, OR LAPPING AGENTS
- B24B37/00—Lapping machines or devices; Accessories
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C19/00—Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by mechanical means
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09G—POLISHING COMPOSITIONS; SKI WAXES
- C09G1/00—Polishing compositions
- C09G1/02—Polishing compositions containing abrasives or grinding agents
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K3/00—Materials not provided for elsewhere
- C09K3/14—Anti-slip materials; Abrasives
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B5/00—Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
- G11B5/84—Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
Description
セリウム系研磨材を再利用するための再生方法は、例えば、使用済みの研磨スラリーから異物を除去した後、固液分離を行い、その固形分を乾燥、焼成、解砕し、さらにフィルタリングを行うことで行われる。従来の研磨材の再生方法として、低下した使用済み研磨材の研磨レートを、未使用の研磨材の研磨レートに近づけるために、例えば、使用済み研磨スラリーに対し、固液分離する前に、酸処理を施すことが知られている(例えば、特許文献1)。
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、
前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmである、ことを特徴とする。
前記第1の態様の別の一態様は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、ことを特徴とする。
前記第1の態様の別の一態様は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、ことを特徴とする。
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましい。
前記乾燥処理において、前記バインダは、前記バインダ凝集抑制剤を介して前記原料砥粒の塊中に分散して配されることが好ましい。
ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒であって、当該研磨砥粒において、セリアまたはジルコニアの粒子の間にシリカ粒子がバインダとして存在することを特徴とする。
前記別の一態様に係る研磨砥粒を含むことを特徴とする。
前記研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリー、前記研磨砥粒、あるいは前記研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とする。
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに造孔剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記多糖類を含有する原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成して前記造孔剤の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類剤が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の塊において前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする。
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましい。
前記乾燥処理において、前記バインダは、前記造孔剤を介して前記原料砥粒の塊中に分散して配されることが好ましい。
前記研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とする。
上記第2の態様の別の一態様は、原料砥粒の塊であって、
ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒の原料となる原料砥粒と、
前記原料砥粒が付着した多糖類と、を有し、
前記原料砥粒の塊は、前記原料砥粒の粒子の間にシリカ粒子がバインダとして存在し、
前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする。
本発明の研磨砥粒および研磨スラリーは、表面にバインダが配されたセリアまたはジルコニアの粒子を含んでおり、バインダを有しない研磨砥粒と比べて研磨砥粒が砕けにくく、研磨レートの低下が抑えられる。
本発明のガラス基板の作製方法によれば、高い研磨レートでガラス基板を研磨できるとともに、傷の少ないガラス基板が得られる。
(研磨スラリーの作製方法)
本発明の第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態の研磨スラリーの作製方法は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、添加処理、乾燥処理、焼成処理の各処理を備える。添加処理では、研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーにバインダを添加する。乾燥処理では、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥させて、バインダを含有する原料砥粒の塊を作製する。焼成処理では、原料砥粒の塊を焼成し、バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する。
原料スラリーは、原料砥粒を、水を分散媒として分散させたものである。
原料砥粒の塊は、複数の原料砥粒が集まって形成された塊状物をいい、原料砥粒の塊は、原料砥粒と、バインダと、任意に配合されるバインダ凝集抑制剤と、を有している。原料砥粒の塊は、例えば、水分を含んだバインダ凝集抑制剤に、その表面を覆うように多数の原料砥粒が付着し、原料砥粒の間にバインダが分散して配された形態を有している。
原料砥粒の集合体は、原料砥粒の塊において、少なくとも一部のバインダによって(例えば、バインダが溶けて固まることで)原料砥粒同士が接合したものをいう。原料砥粒の集合体は、原料砥粒と、バインダと、を有している。原料砥粒の集合体は、原料砥粒の塊に含まれる少なくとも一部のバインダ凝集抑制剤が消失することで形成された孔(空隙)を有していることが好ましい。
また、乾燥処理後、焼成処理前の状態を、原料砥粒の塊といい、焼成処理後、解砕処理前の状態を、原料砥粒の集合体ということができる。
研磨砥粒は、特に制限されないが、機械的な作用に加えて化学的な作用によってガラス基板を研磨できる点で、セリウム系研磨材、または酸化ジルコニウム(ジルコニア)を主成分とするジルコニア系研磨材が好ましく用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒を、水を分散媒として分散させたものであり、研磨砥粒は、研磨処理において遊離砥粒として用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒、水のほか、例えばリン酸系分散剤等、他の成分を含んでいてもよい。研磨スラリー中の研磨砥粒の濃度は、特に制限されないが、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%である。
原料砥粒は、第1の実施形態の方法によって作製される研磨スラリーに含まれる研磨砥粒の原料であり、原料砥粒として後述する使用済み研磨スラリーに含まれる研磨砥粒が用いられる場合は、当該使用済みの研磨砥粒を意味する。原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmであることが好ましい。このような平均粒径の原料砥粒を用いることで、ガラス基板の研磨処理を行うのに適した大きさの研磨砥粒を作製できる。0.3〜2.0μmの範囲にある原料砥粒のうち平均粒径の比較的小さいもの(例えば0.3〜0.5μm未満のもの)の原料砥粒は、固液分離で回収され難く、また、回収することができたとしても、従来の方法で再生したものは、研磨処理において、小径化して研磨レートが低下したり、ガラス基板に傷を発生させたりすることが分かった。第1の実施形態の作製方法によれば、後述するように適度な硬さ(圧壊強度)の研磨砥粒が作製されるため、平均粒径の比較的小さいものを原料砥粒として研磨スラリーを作製するのに好適である。なお、原料砥粒は、数個から数十個の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、原料砥粒の平均粒径は、二次粒子の平均粒径を意味する。なお、実際の研磨時に1つの研磨砥粒の粒子として作用するのは、二次粒子である。また、本明細書において、平均粒径は、メジアン径(d50)を意味する。d50は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積粒径が微粒側から累積50%に相当する粒子径である。
原料スラリーは、未使用のものであってもよく、使用済みの研磨スラリーであってもよい。本明細書において、使用済みとは、少なくとも一度、ガラス基板の研磨処理に使用されたものであることを意味する。使用済み研磨スラリーを用いて研磨スラリーを作製した場合は、使用済みの研磨砥粒をリサイクルすることができ、研磨スラリーのコストを抑えることができる。なお、本明細書において、原料スラリーとして使用済み研磨スラリーを用いる場合に、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を、使用済み研磨スラリーの再生方法ということができ、その研磨スラリーがセリア粒子を主成分とするセリウム系研磨材を含む場合には、使用済みセリアスラリーの再生方法ということができる。
また、原料砥粒として用いられる使用済み研磨スラリーは、使用済み研磨スラリーの再生方法によって再生されたものであってもよい。この場合は、使用済み研磨スラリーを繰り返し再生して使用することで、研磨スラリーのコストをより低く抑えることができる。
また、研磨処理中に容易に砕けてしまうと、小さい粒子の割合が増加し、相対的に少なくなった大きな粒子に研磨荷重が大きくかかるようになるため研磨キズが発生しやすくなる。よって、バインダにより砥粒同士を接合することにより、研磨キズの発生を抑制することができる。
一方で、バインダを含んだ原料砥粒の集合体は、粒界の強度が強すぎることがないため、超音波照射等によって容易に解砕することができ、研磨処理に適切なサイズで粒度分布が均一な研磨砥粒を得ることができる。このため、コストのかかる粉砕等によって解砕を行う必要がなく、また、分級の必要もないため、低コストで簡便に研磨砥粒を作製できる。
バインダの添加量は、原料砥粒100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると、バインダの効果が十分得られずに研磨砥粒が砕けやすくなり、研磨レートが低下する場合がある。また、10質量部より多いと、バインダ同士が凝集してガラス基板に傷を発生させる原因となる粗大な粒子が生成する場合がある。また、10質量部より多いと、セリアの研磨砥粒の表面に過剰な量のバインダが付着することで砥粒表面による研磨機能が低下し、研磨レートが低下する恐れもある。特に、研磨砥粒がセリウム系研磨材の場合、ガラス基板に対して化学的作用を発揮して高い研磨レートとなるといわれているため、表面をセリア以外の物質が過剰に覆うと被研磨基板との接触面積が小さくなり研磨レートが低下する。
バインダ凝集抑制剤は、例えば、水等の溶媒に分散させた状態で原料スラリーに添加される。
また、固液分離の後、上澄み液である残液をさらに固液分離し、得られた固形分を解砕したものを原料スラリーに用いてもよい。これにより、最初の固液分離で回収されなかった平均粒径の小さい(例えば0.3〜2μm)の使用済み研磨砥粒を回収し、原料砥粒として用いて、研磨砥粒を再生させることができる。このように固液分離を複数回行う場合は、特にセリウム系研磨材のような高価な研磨砥粒の回収率を高められるため、研磨スラリーのコスト抑制効果が大きくなる。なお、この場合に、最初の固液分離で得られた平均粒径の大きい(例えば0.5〜5μm)固形分は、別途、注水後、解砕し、さらにフィルタリングを行った後、ガラス基板の研磨処理を行う間、循環して使用してもよく、研磨スラリーを貯留するタンクに保管してもよく、また、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を用いて再生させてもよい。
乾燥処理では、スプレードライ法によって、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥させることが好ましい。スプレードライを行うことで、原料砥粒の塊のサイズを制御できる。スプレードライ法は、他の方法に比べて平均粒径を小さくすることができ、さらに、粒径のバラツキを小さくすることができるので好ましい。スプレードライは、具体的に、回転円板式、二流体ノズル式、圧力ノズル式等の公知の噴霧手段を用いて噴霧して、スプレードライヤの乾燥室内に供給し、乾燥させることで行うことができる。噴霧手段の種類や、ノズルの孔径、原料スラリーの供給圧力等の条件は、目標とする原料砥粒の塊のサイズに応じて、適宜設定される。スプレードライによって得られる原料砥粒の塊のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。
また、スプレードライ前の原料スラリーに造孔剤を添加する場合、造孔剤の大きさ(造孔剤の平均粒径)は、3〜20μmであることが好ましい。造孔剤がこのような大きさの範囲にあることで、焼成後の原料砥粒の集合体の空孔の大きさを適正なものとして、解砕された研磨砥粒の大きさを適正なもの(例えば、平均粒径0.5〜10μm)にすることができる。乾燥温度(乾燥室内の雰囲気温度)は、例えば、乾燥室の入口温度が150〜250℃である。なお、乾燥処理は、加熱せずに行ってもよい。
ここで、図1(a)に、乾燥処理で作製される原料砥粒の塊を示す。ここでは、バインダ凝集抑制剤を含んだ原料スラリーを乾燥させて作製した原料砥粒の球状の塊を例に示す。原料砥粒の塊10は、水分を含んだバインダ凝集抑制剤7に、その表面を覆うように多数の原料砥粒3が付着してなり、原料砥粒3の間には、図示されないバインダが分散して配されている。なお、原料砥粒の塊10には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(a)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。
焼成処理を行う装置は、特に制限されないが、例えば、マッフル炉が挙げられる。焼成処理における焼成温度は、800℃以下であることが好ましい。焼成温度とは、焼成を行う空間内の雰囲気温度である。焼成温度を800度以下とすることで、研磨スラリーを作製するエネルギーコストを低減できる。焼成温度が800度を超えると、原料砥粒同士の粒界での結合が進行して、研磨砥粒の粒界の強度が高くなりすぎる場合がある。また、バインダ同士が結合して粗大粒子となる場合がある。これらの場合、ガラス基板の傷が発生しやすくなる。また、焼成温度が800℃を超えると、原料砥粒の組成が変化して硬さが増して、ガラス基板に傷を発生させる場合がある。また、焼成処理における焼成温度は500℃以上、より好ましくは600℃以上であることが好ましい。500℃未満の場合、原料砥粒同士の結合が不十分となる場合がある。
ここで、図1(b)に、焼成処理で作製される原料砥粒の集合体を示す。ここでは、バインダ凝集抑制剤を含んだ原料スラリーを乾燥、焼成して作製した原料砥粒の集合体が例に示される。原料砥粒の集合体20は、バインダ凝集抑制剤が消失して形成された空孔9を有している。なお、原料砥粒の集合体は、図示される空孔9のほか、空孔9を取り囲む原料砥粒同士の間に配されていたバインダ凝集抑制剤も消失することで形成された原料砥粒同士の間の多数の微小な空隙を有していることによって多孔質になっている。原料砥粒の集合体20のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。原料砥粒の集合体20は、焼成処理において図示されないバインダが溶融し、その後固まる際に原料砥粒3同士を接合することで、原料砥粒3の粒界の強度が適度な大きさ(例えば、後述する圧壊強度の平均値が0.1〜20MPa)になっている。なお、原料砥粒の集合体20には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(b)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。原料砥粒3同士の間にバインダが介在していることは、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray microanalyzer)による元素マッピングによって確認できる。
第1の実施形態の研磨スラリーの作製方法は、さらに、原料砥粒の集合体を解砕して研磨砥粒を作製する解砕処理を備えていることが好ましい。これにより、研磨処理に適した大きさの研磨砥粒を得ることができる。原料砥粒の集合体に空孔が形成されている場合は、より解砕しやすくなっている。
解砕は、例えばホモジナイザを用いて、原料砥粒の集合体に超音波照射を行うことによって行われる。超音波の周波数は、16〜120kHzであることが好ましい。解砕は、ホモジナイザ以外の手段を用いて行ってもよい。解砕時間は、特に制限されないが、例えば1〜20分である。
解砕は、研磨砥粒の平均粒径が0.5〜10μmとなるよう行うことが好ましい。より好ましくは0.5〜5μm、0.7〜3μmである。このような平均粒径の研磨砥粒を用いて研磨処理を行うと、高い研磨レートで研磨を行えるとともに、ガラス基板の表面に傷を発生させるのを抑えることができる。
解砕処理は、ボールミル等を用いて物理的に破壊するミリング法で行ってもよいが、上記の超音波法の方が簡便さにおいてすぐれている。
また、第1の実施形態の方法により作製された研磨砥粒は、原料砥粒同士がバインダを介して接合し大径化していることで研磨レートが向上しているとともに、適度な粒界の強度を有していることで使用中に砕け難く、高い研磨レートが維持される。
図2に、第1の実施形態の研磨砥粒1を概念的に示す。
研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる、セリアまたはジルコニアの粒子を含む原料砥粒3と、原料砥粒3の表面に配されたバインダ5と、を備える。より具体的には、研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒であって、セリアまたはジルコニアの粒子の間にシリカ粒子がバインダ5として存在する。
なお、原料砥粒3は、図1に示されるように、原料砥粒の塊10および原料砥粒の集合体20のそれぞれに多数含まれる。
原料砥粒3は、上記説明した原料砥粒のうちセリウム系研磨材またはジルコニア系研磨材と同様のものである。セリウム系研磨材は、セリアの他に、高い研磨レートを達成しつつガラス基板に傷が発生するのを抑えるために、ランタン、プラセオジム、ネオジム等の他の希土類元素の酸化物、これらのフッ化物等のうち少なくとも1種を含んだ混合物であることが好ましい。ジルコニア系研磨材は、ジルコニアのほか、二酸化ケイ素を含んだ混合物であってもよい。
原料砥粒3の平均粒径は、例えば0.3〜2μmであり、例えば80〜150nm程度の一次粒子径の粒子が凝集してなる。
バインダ5は、上記説明したバインダと同様のものである。なお、図2において、バインダ5は、二次粒子である原料砥粒3の表面に配されているが、原料砥粒3を構成する一次粒子の表面に配されていてもよい。バインダ5は、原料砥粒3の表面の表面積の50%未満を覆うことが好ましい。50%以上では、研磨砥粒の表面と被研磨基板との接触面が小さくなり、研磨レートが低下しやすい。
研磨砥粒1の平均粒径は、例えば0.5〜10μmである。研磨砥粒1に含まれる原料砥粒3の数は、特に制限されず、例えば数個から十数個である。
第1の実施形態の研磨砥粒および研磨スラリーは、例えば、上記説明した研磨スラリーの作製方法によって作製される。
(研磨スラリーの作製方法)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の研磨スラリーの作製方法は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、添加処理、乾燥処理、焼成処理の各処理を備える。添加処理では、研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに造孔剤を添加する。乾燥処理では、造孔剤を含んだ原料スラリーを乾燥させて、造孔剤を含有する原料砥粒の塊を作製する。焼成処理では、砥粒の塊を焼成して造孔剤の少なくとも一部を消失させることで、造孔剤が位置した原料砥粒の塊の部分に孔を形成する。
原料スラリーは、原料砥粒を、水を分散媒として分散させたものである。
原料砥粒の塊は、複数の原料砥粒が集まって形成された塊状物をいい、原料砥粒の塊は、原料砥粒と、造孔剤と、任意に配合されるバインダと、を有している。原料砥粒の塊は、例えば、水分を含んだ造孔剤に、その表面を覆うように多数の原料砥粒が付着した形態を有している。原料砥粒の間には、バインダが分散して配されていることが好ましい。
原料砥粒の集合体は、原料砥粒の塊において、少なくとも一部の造孔剤が消失することで孔(空隙)が形成されたものをいう。原料砥粒の集合物は、原料砥粒と、任意に配合されたバインダと、を有している。原料砥粒の集合体では、バインダによって(例えば、バインダが溶けて固まることで)原料砥粒同士が接合していることが好ましい。
また、乾燥処理後、焼成処理前の状態を、原料砥粒の塊といい、焼成処理後、解砕処理前の状態を、原料砥粒の集合体ということができる。
第2の実施形態の研磨スラリーの作製方法によれば、造孔剤を用いることで、孔(空隙)が形成された、解砕されやすい原料砥粒の集合体が作製される。このため、原料砥粒の集合体を、簡単な方法で解砕でき、低コストで簡便に研磨スラリーを作製できる。また、研磨砥粒は、原料砥粒が乾燥、焼成を経て大径化したものであるため、研磨レートが向上している。また、第2の実施形態のガラス基板の作製方法によれば、高い研磨レートでガラス基板を研磨できる。
研磨砥粒は、特に制限されないが、機械的な作用に加えて化学的な作用によってガラス基板を研磨できる点で、セリウム系研磨材、または酸化ジルコニウム(ジルコニア)を主成分とするジルコニア系研磨材が好ましく用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒を、水を分散媒として分散させたものであり、研磨砥粒は、研磨処理において遊離砥粒として用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒、水のほか、例えばリン酸系分散剤等、他の成分を含んでいてもよい。研磨スラリー中の研磨砥粒の濃度は、特に制限されないが、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%である。
原料砥粒は、第2の実施形態の方法によって作製される研磨スラリーに含まれる研磨砥粒の原料であり、原料砥粒として後述する使用済み研磨スラリーが用いられる場合は、当該使用済みの研磨砥粒を意味する。原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmであることが好ましい。このような平均粒径の原料砥粒を用いることで、ガラス基板の研磨処理を行うのに適した大きさの研磨砥粒を作製できる。0.3〜2.0μmの範囲にある原料砥粒のうち平均粒径の比較的小さいもの(例えば0.3〜0.5μm未満のもの)の原料砥粒は、固液分離で回収され難く、また、回収することができたとしても、従来の方法で再生したものは、研磨処理において、小径化して研磨レートが低下したり、ガラス基板に傷を発生させたりすることが分かった。第2の実施形態の作製方法によれば、後述するように適度な硬さ(圧壊強度)の研磨砥粒が作製されるため、平均粒径の比較的小さいものを原料砥粒として研磨スラリーを作製するのに好適である。なお、原料砥粒は、数個から数十個の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、原料砥粒の平均粒径は、二次粒子の平均粒径を意味する。なお、実際の研磨時に1つの研磨砥粒の粒子として作用するのは、二次粒子である。また、本明細書において、平均粒径は、メジアン径(d50)を意味する。d50は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積粒径が微粒側から累積50%に相当する粒子径である。
原料砥粒は、未使用のものであってもよく、使用済みの研磨スラリーであってもよい。本明細書において、使用済みとは、少なくとも一度、ガラス基板の研磨処理に使用されたものであることを意味する。使用済み研磨スラリーを用いて研磨スラリーを作製した場合は、使用済みの研磨砥粒をリサイクルすることができ、研磨スラリーのコストを抑えることができる。なお、本明細書において、原料スラリーとして使用済み研磨スラリーを用いる場合に、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を、使用済み研磨スラリーの再生方法ということができ、その研磨スラリーがセリア粒子を主成分とするセリウム系研磨材を含む場合には、使用済みセリアスラリーの再生方法ということができる。
また、原料砥粒として用いられる使用済み研磨スラリーは、使用済み研磨スラリーの再生方法によって再生されたものであってもよい。この場合は、使用済み研磨スラリーを繰り返し再生して使用することで、研磨スラリーのコストをより低く抑えることができる。
また、上記多糖類は、原料スラリーに後述するバインダが添加されている場合に、乾燥処理において乾燥される過程で、バインダが付着しやすい状態となるため、バインダ同士の凝集を抑えつつ、バインダが原料砥粒の間に分散して配置されるのを助ける働きを有している。この働きは、水を含んだ多糖類がバインダを捕捉することによって、バインダを原料砥粒に対して位置決めすることによって行われると考えられる。この点で、造孔剤は、バインダ凝集抑制剤ということができる。
造孔剤は、例えば、水等の溶媒に分散させた状態で原料スラリーに添加される。
また、研磨処理中に容易に砕けてしまうと、小さい粒子の割合が増加し、相対的に少なくなった大きな粒子に研磨荷重が大きくかかるようになるため研磨キズが発生しやすくなる。よって、バインダにより砥粒同士を接合することにより、研磨キズの発生を抑制することができる。
一方で、バインダを含んだ原料砥粒の集合体は、粒界の強度が強すぎることがないため、超音波照射等によって容易に解砕することができ、研磨処理に適切なサイズで粒度分布が均一な研磨砥粒を得ることができる。このため、コストのかかる粉砕等によって解砕を行う必要がなく、また、分級の必要もないため、低コストで簡便に研磨砥粒を作製できる。
バインダの添加量は、原料砥粒100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると、バインダの効果が十分得られずに研磨砥粒が砕けやすくなり、研磨レートが低下する場合がある。また、10質量部より多いと、バインダ同士が凝集してガラス基板に傷を発生させる原因となる粗大な粒子が生成する場合がある。また、10質量部より多いと、セリアの研磨砥粒の表面に過剰な量のバインダが付着することで砥粒表面による研磨機能が低下し、研磨レートが低下する恐れもある。特に、研磨砥粒がセリウム系研磨材の場合、ガラス基板に対して化学的作用を発揮して高い研磨レートとなるといわれているため、表面をセリア以外の物質が過剰に覆うと被研磨基板との接触面積が小さくなり研磨レートが低下する。
また、固液分離の後、上澄み液である残液をさらに固液分離し、得られた固形分を解砕したものを原料スラリーに用いてもよい。これにより、最初の固液分離で回収されなかった平均粒径の小さい(例えば0.3〜2μm)の使用済み研磨砥粒を回収し、原料砥粒として用いることで、再生させることができる。このように固液分離を複数回行う場合は、特にセリウム系研磨材のような高価な研磨砥粒の回収率を高められるため、研磨スラリーのコスト抑制効果が大きくなる。なお、この場合に、最初の固液分離で得られた平均粒径の大きい(例えば0.5〜5μm)固形分は、別途、注水後、解砕し、さらにフィルタリングを行った後、ガラス基板の研磨処理を行う間、循環して使用してもよく、研磨スラリーを貯留するタンクに保管してもよく、また、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を用いて再生させてもよい。
乾燥処理では、スプレードライ法によって、造孔剤を含んだ原料スラリーを乾燥させることが好ましい。スプレードライを行うことで、原料砥粒の塊のサイズを制御できる。スプレードライ法は、他の方法に比べて平均粒径を小さくすることができ、さらに、粒径のバラツキを小さくすることができるので好ましい。スプレードライは、具体的に、回転円板式、二流体ノズル式、圧力ノズル式等の公知の噴霧手段を用いて噴霧して、スプレードライヤの乾燥室内に供給し、乾燥させることで行うことができる。噴霧手段の種類や、ノズルの孔径、原料スラリーの供給圧力等の条件は、目標とする原料砥粒の塊のサイズに応じて、適宜設定される。スプレードライによって得られる原料砥粒の塊のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。
また、スプレードライ前の原料スラリーに造孔剤を添加する場合、造孔剤の大きさ(造孔剤の平均粒径)は、3〜20μmであることが好ましい。造孔剤がこのような大きさの範囲にあることで、焼成後の原料砥粒の集合体の空孔の大きさを適正なものとして、解砕された研磨砥粒の大きさを適正なもの(例えば、平均粒径0.5〜10μm)にすることができる。乾燥温度(乾燥室内の雰囲気温度)は、例えば、乾燥室の入口温度が150〜250℃である。なお、乾燥処理は、加熱せずに行ってもよい。
ここで、図1(a)に、乾燥処理で作製される原料砥粒の塊を示す。ここでは、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥させて作製した原料砥粒の球状の塊が例に示される。原料砥粒の塊10は、水分を含んだ造孔剤7に、その表面を覆うように多数の原料砥粒3が付着してなり、原料砥粒3の間には、図示されないバインダが分散して配されている。なお、原料砥粒の塊10には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(a)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。
焼成処理を行う装置は、特に制限されないが、例えば、マッフル炉が挙げられる。焼成処理における焼成温度は、800℃以下であることが好ましい。焼成温度とは、焼成を行う空間内の雰囲気温度である。焼成温度を800度以下とすることで、研磨スラリーを作製するエネルギーコストを低減できる。焼成温度が800度を超えると、原料砥粒同士の粒界での結合が進行して、研磨砥粒の粒界の強度が高くなりすぎる場合がある。また、バインダ同士が結合して粗大粒子となる場合がある。これらの場合、ガラス基板の傷が発生しやすくなる。また、焼成温度が800℃を超えると、原料砥粒の組成が変化して硬さが増して、ガラス基板に傷を発生させる場合がある。また、焼成処理における焼成温度は500℃以上、より好ましくは600℃以上であることが好ましい。500℃未満の場合、原料砥粒同士の結合が不十分となる場合がある。
ここで、図1(b)に、焼成処理で作製される原料砥粒の集合体を示す。ここでは、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥、焼成して作製した原料砥粒の集合体が例に示される。原料砥粒の集合体20は、造孔剤が消失して形成された空孔9を有している。なお、原料砥粒の集合体は、図示される空孔9のほか、空孔9を取り囲む原料砥粒同士の間に配されていたバインダ凝集抑制剤も消失することで形成された原料砥粒同士の間の多数の微小な空隙を有していることによって多孔質になっている。原料砥粒の集合体20のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。原料砥粒の集合体20は、焼成処理において図示されないバインダが溶融し、その後固まる際に原料砥粒3同士を接合することで、原料砥粒3の粒界の強度が適度な大きさ(例えば、後述する圧壊強度の平均値が0.1〜20MPa)になっている。なお、原料砥粒の集合体20には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(b)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。原料砥粒3同士の間にバインダが介在していることは、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray microanalyzer)による元素マッピングによって確認できる。
本実施形態の研磨スラリーの作製方法は、さらに、原料砥粒の集合体を解砕して研磨砥粒を作製する解砕処理を備えていることが好ましい。これにより、研磨処理に適した大きさの研磨砥粒を得ることができる。原料砥粒の集合体に空孔が形成されている場合は、より解砕しやすくなっている。
解砕は、例えばホモジナイザを用いて、原料砥粒の集合体に超音波照射を行うことによって行われる。超音波の周波数は、16〜120kHzであることが好ましい。解砕は、ホモジナイザ以外の手段を用いて行ってもよい。解砕時間は、特に制限されないが、例えば1〜20分である。
解砕は、研磨砥粒の平均粒径が0.5〜10μmとなるよう行うことが好ましい。より好ましくは0.5〜5μm、0.7〜3μmである。このような平均粒径の研磨砥粒を用いて研磨処理を行うと、高い研磨レートで研磨を行えるとともに、ガラス基板の表面に傷を発生させるのを抑えることができる。
解砕処理は、ボールミル等を用いて物理的に破壊するミリング法で行ってもよいが、上記の超音波法の方が簡便さにおいてすぐれている。
図2に、上記方法により作製された研磨砥粒1を概念的に示す。
ここでは、原料砥粒3が、セリウム系研磨材またはジルコニア系研磨材である場合を例に説明する。
研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる、セリアまたはジルコニアの粒子を含む原料砥粒3と、原料砥粒3の表面に配されたバインダ5と、を備える。より具体的には、研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒であって、セリアまたはジルコニアの粒子の間にシリカ粒子がバインダ5として存在する。
なお、原料砥粒3は、図1に示されるように、原料砥粒の塊10および原料砥粒の集合体20のそれぞれに多数含まれる。
原料砥粒3に用いられるセリウム系研磨材は、セリアの他に、高い研磨レートを達成しつつガラス基板に傷が発生するのを抑えるために、ランタン、プラセオジム、ネオジム等の他の希土類元素の酸化物、これらのフッ化物等のうち少なくとも1種を含んだ混合物であることが好ましい。ジルコニア系研磨材は、ジルコニアのほか、二酸化ケイ素を含んだ混合物であってもよい。
原料砥粒3の平均粒径は、例えば0.3〜2μmであり、例えば80〜150nm程度の一次粒子径の粒子が凝集してなる。
バインダ5は、図2において、二次粒子である原料砥粒3の表面に配されているが、原料砥粒3を構成する一次粒子の表面に配されていてもよい。バインダ5は、原料砥粒3の表面の表面積の50%未満を覆うことが好ましい。50%以上では、研磨砥粒の表面と被研磨基板との接触面が小さくなり、研磨レートが低下しやすい。
研磨砥粒1の平均粒径は、例えば0.5〜10μmである。研磨砥粒1に含まれる原料砥粒3の数は、特に制限されず、例えば数個から十数個である。
次に、本実施形態のガラス基板の製造方法について説明する。
ここでは、磁気ディスクに用いられるガラス基板を製造する場合を例に説明する。
本実施形態の製造方法は、上記第1および第2の実施形態で説明した研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とする。つまり、本実施形態の製造方法は、第1および第2の実施形態で説明した研磨スラリーを共通して用いることのできる方法である。
成形処理では、例えばプレス成形法を用いて成形を行う。プレス成形法により、円板状のガラスブランクを得ることができる。プレス法に代えて、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の成形方法を用いて、ガラスブランクを製造してもよい。これらの方法で作られた板状ガラスブランクに対し、後述する形状加工処理を適宜施すことによって、磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラス基板が得られる。
次に、粗研削処理が行われる。粗研削処理では、上記ガラスブランクを、周知の両面研削装置のキャリア(不図示)に保持させながら、ガラスブランクの両側の主表面の研削を行う。具体的には、ガラスブランクを、キャリアに設けられた保持穴に保持させるとともに、上定盤と下定盤の間に挟持し、研削剤を含む研削液を供給しつつ、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させて、ガラス基板の両主表面を研削する。研削剤として、例えば遊離砥粒が用いられる。粗研削処理では、ガラスブランクが目標とする板厚寸法及び主表面の平坦度に略近づくように研削される。なお、粗研削処理は、成形されたガラスブランクの寸法精度あるいは表面粗さに応じて行われるが、適宜省略できる。
次に、形状加工処理が行われる。形状加工処理では、ガラスブランクに、公知の加工方法を用いて円孔を形成することにより、円孔を有する円板状のガラス基板を得る。その後、ガラス基板の端面の面取りを行う。面取りは、ガラス基板の内周側および外周側の両方の端面に対して行われる。面取りが行われることで、ガラス基板の端面には、主表面と直交する側壁面と、側壁面と主表面を繋ぐ面取り面(介在面)とが形成される。
次に、ガラス基板の端面研磨処理が行われる。端面研磨処理では、研磨ブラシとガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して、研磨ブラシとガラス基板とをガラス基板の厚み方向に相対的に移動させることにより研磨を行う。端面研磨処理によって、ガラス基板の内周側及び外周側の端面が研磨され、鏡面状態にされる。
次に、ガラス基板の主表面に精研削処理が施される。精研削処理では、定盤に固定砥粒を貼り付けた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削を行う。具体的には、上記遊離砥粒の代わりに固定砥粒を用いて研削を行う点を除いて、上記粗研削処理とほぼ同様にガラス基板の両主表面を研削する。
次に、ガラス基板の主表面に第1研磨処理が施される。第1研磨処理は、周知の両面研磨装置を用いて、ガラス基板を、キャリアに保持させてガラス基板の両側の主表面の研磨を行う。第1研磨処理では、遊離砥粒を用いて、定盤に貼り付けられた研磨パッドをガラス基板の主表面と接触させて研磨を行う。上記第1研磨処理の間、遊離砥粒を含むスラリーが、両面研磨装置の供給タンク(不図示)から配管(不図示)を経由してガラス基板と研磨パッドとの間に供給される。スラリーは循環して用いることが好ましい。遊離砥粒を含むスラリーには、上記実施形態で説明した研磨スラリーが用いられる。遊離砥粒には、例えば、セリウム系研磨材またはジルコニア系研磨材が用いられる。
第1研磨処理の好ましい条件として、下記の条件を挙げることができる。
・研磨砥粒濃度:1〜20重量%
・両面研磨装置の上定盤と下定盤によるガラス基板への荷重:50〜200g/cm2
・研磨時間:10〜120分
研磨パッドは、スエードタイプであるものが、微小キズの発生を防止できるため、好ましい。研磨パッドの硬度は、研磨レート向上及び微小キズ低減の観点から、アスカーC硬度で60〜90であることが好ましい。
次に、第2研磨処理が施される。第2研磨処理は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨処理は、第1研磨処理で用いたのと同様の両面研磨装置及び研磨方法を用いてよいが、第1研磨処理よりも研磨砥粒のサイズを小さくすることが好ましい。これにより、主表面の端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面の粗さを低減することができる。第2研磨処理後、ガラス基板は、キャリアごと両面研磨装置から取り出され、洗浄される。第2研磨処理で用いられる遊離砥粒は、例えばコロイダルシリカである。なお、第2研磨処理で用いた使用済み研磨スラリーは、回収して、上記実施形態の研磨スラリーの作製方法の添加処理において、原料スラリーに添加することができる。
(1)第1の実施形態に関する実施例
本発明の第1の実施形態の効果を確認するために、下記の実験を行った。具体的には、原料砥粒として使用済み研磨スラリーを、表1に示すように条件を種々異ならせて再生し、再生させた研磨砥粒(サンプル1〜5)の圧壊強度を測定し、さらに、研磨処理を行ったときの研磨レートを測定し、ガラス基板に生じた傷の発生の程度を評価した。
フィルタリングによって、研磨パッド屑、研磨処理において乾燥して粗大化した粒子が混入したもの、ガラスチップ等の異物を、使用済み研磨スラリーから除去した。除去する粒子等のサイズは15μm以上とした。
処理1の後、使用済み研磨スラリーを、遠心分離機を用いて800Gで20分、固液分離を行い、上澄み液を回収した。続けて、上澄み液を、遠心分離機を用いて800Gで1時間、固液分離を行い、固形分を回収した。
処理2の2回目の固液分離によって得られた固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加し、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行った。なお、解砕処理の時間は固定せず、十分に解砕されるまで行った。
処理4:造粒・乾燥処理
解砕した固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加して原料スラリーを作製し、表1に従ってバインダおよびバインダ凝集抑制剤を添加した。バインダの添加は、使用済みのコロイダルシリカ(使用済みの状態での平均粒径3〜20nm)を含んだ使用済み研磨スラリーを添加することで行った。バインダ凝集抑制剤には、コーンスターチ、小麦粉を用いた。
次に、原料スラリーを、並流型のスプレードライヤを用いて、噴霧乾燥させることで造粒し、原料砥粒の塊を作製した。並流型のスプレードライヤは、スラリーを乾燥室内に噴霧し、これに並行して熱風を吹き付けることでスラリーを乾燥させる装置である。噴霧手段には回転円板式のものを用いた。噴霧条件は、回転円板(アトマイザ)の直径が50mm、円板回転数20000回転/分、噴出量30mL/分、乾燥室の入口温度(回転円板位置温度)150度、出口温度50度とした。
処理5:焼成処理
原料砥粒の塊をるつぼに入れ、マッフル炉内で、表1に示す温度で2時間焼成し、原料砥粒の集合体を作製した。
処理6:解砕処理
800℃以下で焼成した原料砥粒の集合体を、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行い、研磨砥粒を作製した。一方、800℃を超える温度で焼成した原料砥粒の集合体を、ボールミルを用いて4時間粉砕を行った。
処理7:粗大粒子除去処理
研磨砥粒に混入した15μm以上の粗大粒子をフィルタリングにより除去した。
JIS R1639−5に準拠して、処理7によって得られた各サンプルの研磨砥粒の圧壊強度を測定した。結果を、表1に示す。表1には、各サンプルから無作為に抽出したn(n=20以上)個のサンプルについての圧壊強度を、測定値の範囲と平均値で示す。
各サンプルの研磨砥粒を水に分散させて研磨スラリーを作製し、作製した研磨スラリーを用いて、遊星歯車機構を備える両面研磨装置として、特開2012−133882号公報に記載の第1研磨処理に用いられた両面研磨装置400を用い、下記研磨条件にて、ガラス基板に対し上記実施形態の第1研磨処理を行った。なお、上下の定盤の表面には発泡ポリウレタン製のスエードタイプの研磨パッドを用いた。また、研磨後に定盤から排出されたスラリーが再び研磨装置に戻るように、循環して使用した。
・研磨砥粒濃度:10重量%
・上定盤と下定盤によるガラス基板への荷重:100g/cm2
・研磨時間:60分
ガラス基板には、2.5インチのアルミノシリケートガラスを用いた。1回の研磨処理において研磨されるガラス基板の枚数は、100枚とした。
第1研磨処理を行った後、ガラス基板を洗浄、乾燥後、研磨レートを、研磨前後のガラス基板の重量差から計算した。また、レーザー式の表面検査装置を用いてガラス基板表面の両面のスクラッチ及びピットの数をカウントし、20個/片面未満の場合をA、20以上100個/片面未満の場合をB、100個/片面以上の場合をCと評価した。AおよびBであれば、ガラスの傷の発生が抑制できている。研磨レートはサンプル4を100%として相対値で示した。結果を表1に示す。
一方、バインダを添加して再生したサンプル3〜5の研磨砥粒は、圧壊強度が0.1〜20MPaの範囲内であり、研磨レートは高く、ガラス基板の傷の発生が抑えられることが分かった。特にバインダ凝集抑制剤を添加したサンプル4,5の研磨砥粒は、圧壊強度はサンプル3と同程度でありながら、研磨レートが十分高く、ガラス基板の傷は発生しないことが分かった。
なお、バインダ凝集抑制剤を添加したサンプル4および5の原料砥粒の集合体を顕微鏡で観察したところ、添加したバインダ凝集抑制剤の大きさとほぼ同等の大きさの空孔が存在することが確認された。また、バインダを添加したサンプル3〜5の研磨砥粒の表面には、EDXによる元素マッピングを行ったところ、バインダが配置されていることが確認された。
また、焼成温度の影響を調査すべく、焼成温度を800℃、1000℃と変更したほかは、サンプル3と同じ条件で使用済みスラリーを再生した(サンプル6,7)。その結果、サンプル6については、圧壊強度の平均値が14MPa、研磨レートの相対値は112、傷発生の程度はBランクであった。他方、サンプル7は、圧壊強度の平均値が53MPa、研磨レートの相対値は112、傷発生の程度はBランクであった。ただし、傷発生の程度を詳細に比較したところ、サンプル3が31個/面であったのに対し、サンプル7は87個/面であった。すなわち、焼成温度によってBランクの中でも差が生じることがわかった。
また、サンプル1,3〜5の再生スラリーを用いて、上記の第1研磨処理を5バッチ分(加工基板枚数500枚分)連続して行い、その後、傷発生の程度を評価した。その結果、サンプル1はCランクとなったが、その他のサンプルについてはそれぞれ、表1に示すランクと同じランクであった。これは、サンプル1の再生スラリーは圧壊強度が低かったため、研磨処理により破壊されてしまい、小さな粒子が増大したためと推察される。
本発明第2の実施形態の効果を確認するために、下記の実験を行った。具体的には、原料砥粒として使用済み研磨スラリーを、表2および表3に示すように条件を種々異ならせて再生し、再生させた研磨砥粒(サンプル11〜13、12A、13A)に関して、サンプル11、12A、13Aの解砕に要した時間を測定したほか、サンプル11〜13に関して、圧壊強度を測定し、さらに、研磨処理を行ったときの研磨レートを測定した。また、サンプル11〜13に関してガラス基板に生じた傷の発生の程度を評価した。
フィルタリングによって、研磨パッド屑、研磨処理において乾燥して粗大化した粒子が混入したもの、ガラスチップ等の異物を、使用済み研磨スラリーから除去した。除去する粒子等のサイズは15μm以上とした。
処理1の後、使用済み研磨スラリーを、遠心分離機を用いて800Gで20分、固液分離を行い、上澄み液を回収した。続けて、上澄み液を、遠心分離機を用いて800Gで1時間、固液分離を行い、固形分を回収した。
処理2の2回目の固液分離によって得られた固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加し、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行った。なお、解砕処理の時間は固定せず、十分に解砕されるまで行った。
処理4:造粒・乾燥処理
解砕した固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加して原料スラリーを作製し、表2および表3に従って造孔剤およびバインダを添加した。バインダの添加は、使用済みのコロイダルシリカ(使用済みの状態での平均粒径3〜20nm)を含んだ使用済み研磨スラリーを添加することで行った。造孔剤には、コーンスターチ、小麦粉を用いた。
次に、原料スラリーを、並流型のスプレードライヤを用いて、噴霧乾燥させることで造粒し、原料砥粒の塊を作製した。並流型のスプレードライヤは、スラリーを乾燥室内に噴霧し、これに並行して熱風を吹き付けることでスラリーを乾燥させる装置である。噴霧手段には回転円板式のものを用いた。噴霧条件は、回転円板(アトマイザ)の直径が50mm、円板回転数20000回転/分、噴出量30mL/分、乾燥室の入口温度(回転円板位置温度)150度、出口温度50度とした。
処理5:焼成処理
原料砥粒の塊をるつぼに入れ、マッフル炉内で、600度で2時間焼成し、原料砥粒の集合体を作製した。
処理6:解砕処理
原料砥粒の集合体を、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行い、研磨砥粒を作製した。
処理7:粗大粒子除去処理
研磨砥粒に混入した15μm以上の粗大粒子をフィルタリングにより除去した。
JIS R1639−5に準拠して、処理7によって得られた各サンプルの研磨砥粒の圧壊強度を測定した。結果を、表3に示す。表3には、各サンプルから無作為に抽出したn(n=20以上)個のサンプルについての圧壊強度を、測定値の範囲と平均値で示す。
各サンプルの研磨砥粒を水に分散させて研磨スラリーを作製し、作製した研磨スラリーを用いて、遊星歯車機構を備える両面研磨装置として、特開2012−133882号公報に記載の第1研磨処理に用いられた両面研磨装置400を用い、下記研磨条件にて、ガラス基板に対し上記実施形態の第1研磨処理を行った。なお、上下の定盤の表面には発泡ポリウレタン製のスエードタイプの研磨パッドを用いた。また、研磨後に定盤から排出されたスラリーが再び研磨装置に戻るように、循環して使用した。
・研磨砥粒濃度:10重量%
・上定盤と下定盤によるガラス基板への荷重:100g/cm2
・研磨時間:60分
ガラス基板には、2.5インチのアルミノシリケートガラスを用いた。1回の研磨処理において研磨されるガラス基板の枚数は、100枚とした。
第1研磨処理を行った後、ガラス基板を洗浄、乾燥後、研磨レートを、研磨前後のガラス基板の重量差から計算した。また、レーザー式の表面検査装置を用いてガラス基板表面の両面のスクラッチ及びピットの数をカウントし、20個/片面未満の場合をA、20以上100個/片面未満の場合をB、100個/片面以上の場合をCと評価した。AおよびBであれば、ガラスの傷の発生が抑制できている。研磨レートはサンプル12を100%として相対値で示した。結果を表3に示す。
表2および表3中、配合比は、原料砥粒、造孔剤、バインダの3種の成分の配合比(質量部)を表す。
また、焼成温度の影響を調査すべく、焼成温度を500℃、80
0℃に変更したほかは、サンプル11、12A、13Aのそれぞれと同じ条件で使用済みスラリーを再生し、上記と同様に解砕に要した時間を評価したところ、同じ結果であった。
なお、サンプル12,13の原料砥粒の集合体を顕微鏡で観察したところ、添加した造孔剤の大きさとほぼ同等の大きさの空孔が存在することが確認された。また、バインダを添加したサンプル12,13の研磨砥粒の表面には、EDXによる元素マッピングを行ったところ、バインダが配置されていることが確認された。
3 原料砥粒(砥粒)
5 バインダ
7 バインダ凝集抑制剤(造孔剤)
9 空孔
10 原料砥粒の塊
20 原料砥粒の集合体
Claims (16)
- ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、
前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmである、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。 - 前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、請求項1に記載の研磨スラリーの作製方法。
- 前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、請求項1又は2に記載の研磨スラリーの作製方法。
- ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。 - 前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、請求項4に記載の研磨スラリーの作製方法。
- ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。 - 前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、請求項6に記載の研磨スラリーの作製方法。
- さらに、前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理を備え、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmである、請求項4から7のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法。 - 前記焼成を800℃以下の温度で行う、請求項1から8のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法。
- 前記乾燥処理では、スプレードライによって前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させる、請求項1から9のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とするガラス基板の製造方法。
- ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに造孔剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記多糖類を含有する原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成して前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の塊において前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。 - 請求項12に記載の研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とするガラス基板の製造方法。
- ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒の原料となる原料砥粒と、
前記原料砥粒が付着した多糖類と、を有し、
前記原料砥粒の粒子の間にシリカ粒子がバインダとして存在し、
前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする原料砥粒の塊。 - 前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、請求項14に記載の原料砥粒の塊。
- 前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、請求項14又は15に記載の原料砥粒の塊。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014156776 | 2014-07-31 | ||
JP2014156779 | 2014-07-31 | ||
JP2014156779 | 2014-07-31 | ||
JP2014156776 | 2014-07-31 | ||
PCT/JP2015/071894 WO2016017819A1 (ja) | 2014-07-31 | 2015-07-31 | 研磨スラリーの作製方法、研磨砥粒、研磨スラリー、およびガラス基板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2016017819A1 JPWO2016017819A1 (ja) | 2017-05-25 |
JP6357536B2 true JP6357536B2 (ja) | 2018-07-11 |
Family
ID=55217713
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016538472A Active JP6357536B2 (ja) | 2014-07-31 | 2015-07-31 | 研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6357536B2 (ja) |
CN (1) | CN106661428B (ja) |
MY (1) | MY182259A (ja) |
SG (2) | SG10202102010YA (ja) |
WO (1) | WO2016017819A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019164722A1 (en) * | 2018-02-20 | 2019-08-29 | Engis Corporation | Fixed abrasive three-dimensional lapping and polishing plate and methods of making and using the same |
JP7074644B2 (ja) * | 2018-10-31 | 2022-05-24 | 信越化学工業株式会社 | 合成石英ガラス基板の研磨用研磨粒子の製造方法、並びに合成石英ガラス基板の研磨方法 |
CN110756006B (zh) * | 2019-07-10 | 2021-09-28 | 内蒙古中泰汇金环保科技有限公司 | 一种用于处理危废无机盐资源化产生的废气的急冷吸收塔 |
Family Cites Families (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3446988B2 (ja) * | 1997-04-10 | 2003-09-16 | 三井金属鉱業株式会社 | 廃セリウム研摩材からの研摩材原料の回収方法 |
JP2001009723A (ja) * | 1999-07-02 | 2001-01-16 | Kurita Water Ind Ltd | 研磨材の回収装置 |
JP2001277132A (ja) * | 2000-03-31 | 2001-10-09 | Ando Michihiro | 研磨用砥石及びその製造方法 |
EP1332194B1 (en) * | 2000-10-06 | 2007-01-03 | 3M Innovative Properties Company | Ceramic aggregate particles |
TWI281493B (en) * | 2000-10-06 | 2007-05-21 | Mitsui Mining & Smelting Co | Polishing material |
US6551366B1 (en) * | 2000-11-10 | 2003-04-22 | 3M Innovative Properties Company | Spray drying methods of making agglomerate abrasive grains and abrasive articles |
US6797023B2 (en) * | 2002-05-14 | 2004-09-28 | Saint-Gobain Abrasives Technology Company | Coated abrasives |
JP4301434B2 (ja) * | 2003-03-04 | 2009-07-22 | 株式会社リコー | 研磨砥粒及び研磨具 |
JP2004306210A (ja) * | 2003-04-08 | 2004-11-04 | Speedfam Co Ltd | ガラス研磨における排出水中の酸化セリウム系研磨剤と水を再利用するための処理方法とその処理装置 |
JP4849590B2 (ja) * | 2004-12-28 | 2012-01-11 | 株式会社リコー | 研磨工具及びその製造方法 |
JP2007136559A (ja) * | 2005-11-15 | 2007-06-07 | Kurenooton Kk | ビトリファイド砥石及びその製造方法 |
JP4729428B2 (ja) * | 2006-04-07 | 2011-07-20 | Agcセイミケミカル株式会社 | セリウム系研磨剤の再生方法 |
JP5150833B2 (ja) * | 2006-07-07 | 2013-02-27 | 国立大学法人 熊本大学 | 複合粒子の製造方法 |
PL2125984T3 (pl) * | 2007-01-23 | 2012-09-28 | Saint Gobain Abrasives Inc | Powlekane produkty ścierne zawierające agregaty |
WO2010149434A1 (en) * | 2009-06-25 | 2010-12-29 | Evonik Degussa Gmbh | Dispersion comprising cerium oxide and silicon dioxide |
JP2011011307A (ja) * | 2009-07-03 | 2011-01-20 | Sumco Corp | ウェーハ研磨用スラリーのリサイクル方法およびそのリサイクル装置 |
JP2012011525A (ja) * | 2010-07-02 | 2012-01-19 | Admatechs Co Ltd | 研磨材およびその製造方法 |
WO2012092619A2 (en) * | 2010-12-30 | 2012-07-05 | Saint-Gobain Abrasives, Inc. | Coated abrasive aggregates and products containg same |
JP2013129056A (ja) * | 2011-11-21 | 2013-07-04 | Tosoh Corp | 研磨用ジルコニア複合粉末及びその製造方法 |
-
2015
- 2015-07-31 JP JP2016538472A patent/JP6357536B2/ja active Active
- 2015-07-31 SG SG10202102010YA patent/SG10202102010YA/en unknown
- 2015-07-31 SG SG11201610743PA patent/SG11201610743PA/en unknown
- 2015-07-31 WO PCT/JP2015/071894 patent/WO2016017819A1/ja active Application Filing
- 2015-07-31 CN CN201580040539.2A patent/CN106661428B/zh active Active
- 2015-07-31 MY MYPI2016704793A patent/MY182259A/en unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2016017819A1 (ja) | 2017-05-25 |
CN106661428A (zh) | 2017-05-10 |
CN106661428B (zh) | 2020-01-31 |
MY182259A (en) | 2021-01-18 |
WO2016017819A1 (ja) | 2016-02-04 |
SG11201610743PA (en) | 2017-02-27 |
SG10202102010YA (en) | 2021-04-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW593649B (en) | Cerium-based abrasive slurry and method for manufacturing cerium-based abrasive slurry | |
JPH07315833A (ja) | 平板状アルミナ粒子からなる粉末及びその製造方法 | |
JP6357536B2 (ja) | 研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊 | |
CN104395039B (zh) | 研磨用组合物以及使用其的基板的制造方法 | |
KR100453802B1 (ko) | 세륨계 연마제, 그 원료물질 및 그 제조방법 | |
JP2007276055A (ja) | セリウム系研磨剤の再生方法 | |
TWI301643B (ja) | ||
JPH03234785A (ja) | 焼結アルミナ砥粒及びその製造方法 | |
TWI761649B (zh) | 多孔二氧化矽粒子及其製造方法 | |
TWI499481B (zh) | 鈰系研磨材之再生方法 | |
TW593651B (en) | Description method for producing cerium-based abrasive and cerium-based abrasive produced thereby | |
CN101426625A (zh) | 二氧化钛冲洗介质及其制造方法 | |
WO2002097004A1 (en) | Method for producing cerium-based polishing agent | |
US7255815B2 (en) | Titanium dioxide scouring media and method of production | |
JP4420391B2 (ja) | セリウム系研摩材 | |
JP6204506B2 (ja) | 使用済み研磨スラリーの再生方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 | |
CN101157848B (zh) | 氧化铈类研磨材料 | |
JP5682222B2 (ja) | 酸化セリウム系研磨剤の製造方法 | |
JP2008001907A (ja) | セリウム系研摩材スラリー及びセリウム系研摩材スラリーの製造方法 | |
JP4301434B2 (ja) | 研磨砥粒及び研磨具 | |
JP3986384B2 (ja) | セリウム系研摩材およびその製造方法 | |
JP4290465B2 (ja) | 酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材の製造方法 | |
JP2004175964A (ja) | 高純度酸化セリウム研摩材の製造方法及びそれにより得られた高純度酸化セリウム研摩材 | |
JP2006181683A (ja) | 研磨工具及びその製造方法 | |
JP2005349542A (ja) | 砥石およびそれの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20161207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170919 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20171116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171205 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180131 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180306 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180425 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180605 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180618 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6357536 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |