JP5682222B2 - 酸化セリウム系研磨剤の製造方法 - Google Patents

酸化セリウム系研磨剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化セリウム系研磨剤の製造方法に関する。特に、本発明は、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤から酸化セリウム系研磨剤を製造する方法に関する。
従来、ガラスや無機酸化膜、無機半導体膜等の無機非晶質体の研磨に、酸化セリウム系研磨剤を用いたケミカルメカニカルポリッシングが行われている。酸化セリウム系研磨剤は、例えばシリカ粒子等と比べて硬度が低い。このため、酸化セリウム系研磨剤は、機械的に被研磨物を研磨するための研磨剤ではない。酸化セリウム系研磨剤は、無機非晶質体の表面に接触した際に、無機非晶質体の表層と化学反応し、非晶質体片が酸化セリウム系研磨剤の表面に付着する。これにより、無機非晶質体の表面が研磨されていく。
このため、酸化セリウム系研磨剤においては、表面に酸化セリウムが露出している必要がある。しかしながら、研磨を繰り返しているうちに、酸化セリウム系研磨剤の表面に非晶質体が付着する。このため、酸化セリウム系研磨剤は、経時的に研磨能力が低下していくという問題を有する。
このような問題に鑑み、例えば下記の特許文献1では、劣化した酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に分散剤を添加した後、この懸濁液のpHが10.5以上となるようにアルカリ成分を添加し、50℃以上に加熱することによって酸化セリウム系研磨剤の表面に付着したケイ素成分を除去する方法が提案されている。
また、例えば下記の特許文献2では、酸化セリウム研磨剤廃液中にアルカリ成分を添加してpH7〜11のアルカリ溶液に調整することにより研磨剤廃液のゼータ電位を−25〜−70mVに変化させた後に、酸化セリウム成分を分離処理する酸化セリウム回収方法が提案されている。
特開2003−205460号公報 特許第3413394号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法により再生した酸化セリウム系研磨剤では、十分に高い研磨速度を得ることが困難であるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラスなどの非晶質体が付着した酸化セリウム系研磨剤から、高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造できる方法を提供することにある。
本発明に係る第1の酸化セリウム系研磨剤の製造方法は、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤から酸化セリウム系研磨剤を製造する方法に関する。本発明に係る第1の酸化セリウム系研磨剤の製造方法は、溶解工程と、沈殿工程とを備えている。溶解工程は、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に第1のアルカリ成分を添加することにより酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を溶解させる工程である。沈殿工程は、溶解工程の後に、懸濁液に第2のアルカリ成分を添加し、酸化セリウム系研磨剤を沈殿させる工程である。このため、本発明に係る第1の酸化セリウム系研磨剤の製造方法では、相対的に低いpHで非晶質体の除去が行われ、相対的に高いpHで酸化セリウム系研磨剤の沈殿が行われる。このため、非晶質体の付着量が少なく、かつ、粒子径が大きな酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。従って、本発明に係る第1の酸化セリウム系研磨剤の製造方法により、高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
溶解工程は、懸濁液のpHが11より大きくなるように第1のアルカリ成分を添加する工程であることが好ましい。沈殿工程は、懸濁液のpHが11.5より大きくなるように第2のアルカリ成分を添加する工程であることが好ましい。この場合、沈殿する酸化セリウム系研磨剤の粒子径をより大きくすることができる。従って、より高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
第1及び第2のアルカリ成分のそれぞれとして、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の炭酸塩を用いることが好ましい。そうすることにより、非晶質体をより確実に除去することができる。
第2のアルカリ成分として、第1のアルカリ成分と同種のアルカリ成分を用いてもよい。
沈殿工程において、酸化セリウム系研磨剤のメディアン径(D50)が15μm以上となるように、第2のアルカリ成分を添加することが好ましい。この場合、沈殿した酸化セリウム系研磨剤を回収して水に分散させると、メディアン径(D50)が使用前の酸化セリウム系研磨剤を水に分散した場合と同程度の2μm〜4μmとなり、より高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量は、SiO換算で0.2質量%以上であってもよい。
沈殿工程において沈殿する酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%未満となるように第1のアルカリ成分を添加することが好ましい。この場合、より高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
非晶質体は、ガラスであってもよい。非晶質体は、硼珪酸塩系ガラスまたは珪酸塩系ガラスであってもよい。なお、本発明において、ガラスには、結晶化ガラスが含まれるものとする。
沈殿工程の後に、酸素を含む雰囲気中において、酸化セリウム系研磨剤を焼成する焼成工程をさらに行うことが好ましい。焼成工程を行うことにより、酸素欠落により生じた酸化セリウム系研磨剤の構造欠陥を効果的に修復することができる。従って、さらに高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
焼成工程において、酸化セリウム系研磨剤を700℃〜1000℃で焼成することが好ましい。
本発明に係る第2の酸化セリウム系研磨剤の製造方法は、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤から酸化セリウム系研磨剤を製造する方法に関する。本発明に係る第2の酸化セリウム系研磨剤の製造方法は、分離工程と、焼成工程とを含む。分離工程は、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤の懸濁液にアルカリ成分を添加することにより酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を溶解させた後に、酸化セリウム系研磨剤を分離する工程である。焼成工程は、分離された酸化セリウム系研磨剤を酸素を含む雰囲気中において焼成する工程である。本発明に係る第2の酸化セリウム系研磨剤の製造方法によれば、構造欠陥の少ない酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。従って、本発明に係る第2の酸化セリウム系研磨剤の製造方法により、高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
焼成工程において、分離された酸化セリウム系研磨剤を700℃〜1000℃で焼成することが好ましい。
アルカリ成分として、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の炭酸塩を用いることが好ましい。そうすることにより、非晶質体をより確実に除去することができる。
分離された酸化セリウム系研磨剤のメディアン径(D50)が2μm〜4μmとなるように、アルカリ成分を添加することが好ましい。この場合、より高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量は、SiO換算で0.2質量%以上であってもよい。
分離された酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%未満となるようにアルカリ成分を添加することが好ましい。この場合、より高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
非晶質体は、ガラスであってもよい。非晶質体は、硼珪酸塩系ガラスまたは珪酸塩系ガラスであってもよい。なお、本発明において、ガラスには、結晶化ガラスが含まれるものとする。
本発明によれば、ガラスなどの非晶質体が付着した酸化セリウム系研磨剤から、高い研磨速度で研磨可能な酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示である。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。
まず、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤を用意する。この非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤は、硼珪酸塩系ガラスや珪酸塩系ガラス(ソーダ石灰ガラスを含む)等のガラスなどの非晶質体の研磨に用いた使用済みの酸化セリウム系研磨剤である。
酸化セリウム系研磨剤は、非晶質体の表面に接触した際に、非晶質体と化学反応し、非晶質体片が酸化セリウム系研磨剤の表面に付着する。これにより、非晶質体の研磨が行われる。従って、使用済みの酸化セリウム系研磨剤には、研磨した非晶質体から発生した非晶質体が付着している。
例えば、ケイ素を含む非晶質体の研磨を行った場合は、通常、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量は、SiO換算で0.2質量%以上となる。
上述のように、酸化セリウム系研磨剤は、非晶質体との化学反応により非晶質体を研磨するものである。このため、表面に非晶質体が付着していると、研磨能力が低くなる。具体的には、高い研磨速度が得られなくなる。従って、この使用済みの酸化セリウム系研磨剤を再度使用するためには、表面に付着している非晶質体を除去する必要がある。本実施形態の酸化セリウム系研磨剤の製造方法は、このことに鑑みたものであり、非晶質体が表面に付着している酸化セリウム系研磨剤から、表面に非晶質体が付着していない酸化セリウム系研磨剤を製造するための方法に関する。
次に、非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に第1のアルカリ成分を添加する。そうすることにより、アルカリ成分に溶解しない酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を選択的に溶解させる。
この溶解工程では、懸濁液のpHが11より大きくなるような量の第1のアルカリ成分を添加することが好ましい。但し、懸濁液のpHが高くなりすぎると、非晶質体の除去が確実に行われなくなる場合があるため、懸濁液のpHが12以下となるような量の第1のアルカリ成分を添加することが好ましい。
溶解工程において使用する第1のアルカリ成分の種類は、特に限定されない。第1のアルカリ成分として好ましく用いられるアルカリ成分の具体例としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物や、アルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物の中でも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムがより好ましく用いられる。また、アルカリ金属の炭酸塩の中でも、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムがより好ましく用いられる。
なお、溶解工程においては、懸濁液に分散剤を添加しないことが好ましい。
次に、懸濁液に第2のアルカリ成分を添加する。これにより、懸濁液のpHをさらに上昇させ、酸化セリウム系研磨剤を沈殿させる沈殿工程を行う。なお、第2のアルカリ成分を添加することによって酸化セリウム系研磨剤を沈殿させることができるのは、pHが上昇することにより、ゼータ電位の絶対値が低くなることによって、粒子間の反発が弱まり、凝集しやすくなるためであると考えられる。
この沈殿工程においては、酸化セリウム系研磨剤のメディアン径(D50)が15μm以上となるように、第2のアルカリ成分を添加することが好ましい。具体的には、懸濁液のpHが11.5より大きくなるように第2のアルカリ成分を添加することが好ましい。
沈殿工程において用いる第2のアルカリ成分は、特に限定されず、第1のアルカリ成分と同種のアルカリ成分であってもよいし、第1のアルカリ成分と異種のアルカリ成分であってもよい。第2のアルカリ成分として好ましく用いられるアルカリ成分の具体例としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物や、アルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物の中でも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムがより好ましく用いられる。また、アルカリ金属の炭酸塩の中でも、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムがより好ましく用いられる。
次に、酸化セリウム系研磨剤が沈殿した液の上澄み液を除去し、酸化セリウム系研磨剤を収集する。その後、収集した酸化セリウム系研磨剤を水洗いする。その後、酸化セリウム系研磨剤を乾燥させる。乾燥した研磨剤のメディアン径(D50)は2μm〜4μmとなる。これにより、表面に付着した非晶質体が軽減された酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。
このように、本実施形態では、懸濁液を一旦相対的に低いpHにした後に、相対的に高いpHとするが、溶解工程から懸濁液のpHを高くすることも考えられる。しかしながら、溶解工程においてpHを高くしすぎると、懸濁液中の酸化セリウム系研磨剤の凝集及び沈殿が生じやすくなる。このため、酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体が除去される前に酸化セリウム系研磨剤の凝集及び沈殿が生じてしまう。その結果、酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を十分に除去することができない。従って、十分に高い研磨速度を有する酸化セリウム系研磨剤を得ることができない。
また、pHを高めた沈殿工程を行わず、アルカリ成分を添加して非晶質体を溶解させた懸濁液を遠心分離することにより、酸化セリウム系研磨剤を収集することも考えられる。しかしながら、その場合は、得られる酸化セリウム系研磨剤の粒子径が小さくなる。すなわち、十分に大きな粒子径の酸化セリウム系研磨剤を得ることが困難となる。従って、十分に高い研磨速度を有する酸化セリウム系研磨剤を得ることができない。
それに対して本実施形態では、相対的に低いpHで非晶質体の除去を行った後に、相対的に高いpHで酸化セリウム系研磨剤を沈殿させることにより、酸化セリウム系研磨剤を得る。このように、相対的に低いpHで非晶質体の除去を行うため、溶解工程において、酸化セリウム系研磨剤の凝集や沈殿が生じにくく、酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を確実に溶解させ、除去することができる。また、相対的に高いpHで酸化セリウム系研磨剤を沈殿させるため、大きな平均粒子径の酸化セリウム系研磨剤を製造することができる。すなわち、本実施形態の酸化セリウム系研磨剤の製造方法によれば、表面に付着した非晶質体を十分に少なくでき、かつ平均粒子径を十分に大きくすることができる。従って、本実施形態の酸化セリウム系研磨剤の製造方法により製造された酸化セリウム系研磨剤を用いることにより、高い研磨速度で非晶質体の研磨を行うことができる。
より高い研磨速度を得る観点からは、沈殿工程において、酸化セリウム系研磨剤のメディアン径(D50)が15μm以上となるように、第2のアルカリ成分を添加することが好ましい。具体的には、沈殿工程において、例えば、懸濁液のpHが11.5より大きくなるように第2のアルカリ成分を添加することが好ましい。
また、得られる酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体の量をより少なくする観点からは、沈殿工程において沈殿する酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%未満となるように第1のアルカリ成分を添加することが好ましい。
上述のように、溶解工程及び沈殿工程によって表面に付着した非晶質体の量が少ない酸化セリウム系研磨剤を得ることができる。また、例えば、特許文献1,2に記載の方法によっても、表面に付着した非晶質体の量が少ない酸化セリウム系研磨剤を得ることができる。
これらの方法によって得られる酸化セリウム系研磨剤は、これらの方法を実施する前の使用済みの酸化セリウム系研磨剤よりも高い研磨速度を有する。特に、本実施形態の方法によって製造される酸化セリウム系研磨剤は、特に高い研磨速度を有する。
しかしながら、非晶質体の研磨に使用する前の酸化セリウム系研磨剤と比べると、これらの方法によって得られた酸化セリウム系研磨剤であっても、研磨速度が低い。従って、再生された酸化セリウム系研磨剤の研磨速度をさらに高めたいという要望がある。
本実施形態では、これに鑑み、上記作製の酸化セリウム系研磨剤の研磨速度をさらに向上することを目的として、焼成工程をさらに行う。
焼成工程においては、酸素を含む雰囲気中において、酸化セリウム系研磨剤を焼成する。この焼成工程を行うことによって、研磨速度をさらに高めることができる。研磨速度をさらに高めることができる理由としては、以下の理由が考えられる。すなわち、酸化セリウム系研磨剤は、非晶質体と化学反応することにより非晶質体を研磨する。この化学反応において、酸化セリウム系研磨剤の酸素が欠損し、それにより、酸化セリウム系研磨剤に結晶の構造欠陥が生じるものと考えられる。それが、非晶質体の付着と共に、研磨速度が低下する一因となっているものと考えられる。上記溶解工程及び沈殿工程を行うことにより、表面に付着した非晶質体は除去することができる。しかしながら、上記溶解工程及び沈殿工程では、酸化セリウム系研磨剤の構造欠陥を修復することができない。このため、研磨速度を十分に回復できないものと考えられる。そこで、酸素を含む雰囲気中における焼成工程を行うことにより、酸化セリウム系研磨剤の酸素欠損を補うことができ、構造欠陥を効果的に修復することができる。その結果、より高い研磨速度を有する酸化セリウム系研磨剤を製造できるものと考えられる。
なお、焼成工程における酸化セリウム系研磨剤の焼成温度は、例えば、700℃〜1000℃程度とすることができる。
以下、本発明について、具体的な実験例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実験例1)
メディアン径(D50)が2.48μmであり、酸化セリウムの含有率が96.7質量%であり、酸化ケイ素の含有率が0.01質量%である酸化セリウム系研磨剤を、5質量%で含む酸化セリウム系研磨剤懸濁液3kgを用意した。用いた酸化セリウム系研磨剤のX線回折分析を行ったところ、(111)面に対応するピークの強度は、8450cpsであった。
酸化セリウム系研磨剤懸濁液を適宜供給しながら、4枚のガラス板(ホウケイ酸ガラス)の表面(鏡面)を研磨した。その際に、研磨開始後から60分までの間に研磨されたガラス板の厚みから、研磨開始後から60分までの研磨速度を算出した。その結果、研磨速度は、0.17μm/分であった。研磨開始後から60分までの間には、ガラス板の表面に傷が発生したものはなかった。
また、3万分使用した研磨剤の60分間の研磨速度を算出した。その結果、研磨速度は、0.10μm/分であった。さらに、研磨時間が長くなると、研磨速度が徐々に低下していくことを確認した。なお、3万分後においては、4枚のガラス板のうち、2枚の表面に傷が観察された。研磨開始後から3万分後におけるメディアン径(D50)は、1.53であった。
また、研磨を3万分行った後の酸化セリウム系研磨剤における酸化セリウム及び酸化ケイ素の含有量を、蛍光X線分析により測定した。酸化セリウムの含有量は、95.2質量%であった。酸化ケイ素の含有量は、1.13質量%であった。
研磨を3万分行った後の酸化セリウム系研磨剤のX線回折分析を行ったところ、(111)面に対応するピークの強度は、6580cpsであった。
次に、研磨を3万分行った後の酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に水酸化ナトリウムをpHが11.3となるように加え、5時間攪拌後、水酸化ナトリウムをpHが12.1となるように加え、16時間放置することにより、酸化セリウム系研磨剤を沈殿させた。得られた沈殿物を水洗いし、酸化セリウム系研磨剤懸濁液の再生品1を作製した。
その再生品1における酸化セリウムの含有率は、96.5質量%であり、酸化ケイ素の含有率は、0.05質量%であった。再生品1のメディアン径(D50)は、2.58μmであった。X線回折による(111)面に対応するピークの強度は、5780cpsであった。
次に、この再生品1を用いて、上記ガラス板と同様のガラス板4枚の表面を60分間研磨した。その結果、4枚のガラス板のいずれの表面にも傷は生じなかった。研磨速度は、0.13μm/分であった。
また、上記研磨を3万分行った後の酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に炭酸ナトリウムをpHが12となるように加えた。すると、酸化セリウム系研磨剤の沈殿が進行した。得られた酸化セリウム系研磨剤の沈殿物を水洗いし、酸化セリウム系研磨剤の再生品2を作製した。
その再生品2における酸化セリウムの含有率は、83.6質量%であり、酸化ケイ素の含有率は、9.30質量%であった。再生品2のメディアン径(D50)は、0.43μmであった。X線回折による(111)面に対応するピークの強度は、6200cpsであった。
次に、この再生品2を用いて、上記ガラス板と同様のガラス板4枚の表面を60分間研磨した。その結果、4枚のガラス板のうち3枚の表面に傷が発生した。研磨速度は、0.12μm/分であった。
Figure 0005682222
上記表1に示すように、上記実施形態の方法に従って再生することにより、酸化セリウム系研磨剤に含まれる酸化ケイ素の含有率を低減でき、酸化セリウムの含有率を向上できることが分かる。この結果から、上記実施形態の方法により、表面に付着したガラスを除去できることが分かる。
一方、炭酸ナトリウムを懸濁液のpHが12となるようにした再生品2では、酸化ケイ素の含有率がかえって上昇した。この結果から、再生品2においては表面に付着したガラスが除去できていないことが分かる。また、表面に付着したガラスが除去できていないことは、研磨によりガラス板表面に傷が発生することでも分かる。
また、再生品2では、沈殿物が多数発生し、正確なメディアン径(D50)は測定できなかった。また、上記実施形態の方法に従って再生した再生品1では、メディアン径(D50)が2.58μmと大きかった。
(実験例2)
上記実験例1で作製した再生品1を、空気雰囲気中において、10℃/分の昇温速度で800℃まで加熱し、その温度で維持することにより焼成した。その焼成後の再生品1を用いて、上記ガラス板と同様のガラス板4枚の表面を60分間研磨した。その結果、焼成前の再生品1を用いた場合よりも研磨速度が向上していることを確認した。

Claims (19)

  1. 非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤から酸化セリウム系研磨剤を製造する方法であって、
    前記非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に、pHが12以下となるような量の第1のアルカリ成分を添加することにより前記酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程の後に、前記懸濁液のpHが12.1以上となるように第2のアルカリ成分を添加し、前記酸化セリウム系研磨剤を沈殿させる沈殿工程と、
    を備える、酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  2. 前記溶解工程は、前記懸濁液のpHが11より大きくなるように前記第1のアルカリ成分を添加する工程である、請求項1に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  3. 前記第1及び第2のアルカリ成分のそれぞれとして、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の炭酸塩を用いる、請求項1または2に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  4. 前記第2のアルカリ成分として、前記第1のアルカリ成分と同種のアルカリ成分を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  5. 前記沈殿工程において、前記酸化セリウム系研磨剤のメディアン径(D50)が15μm以上となるように、前記第2のアルカリ成分を添加する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  6. 前記非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  7. 前記沈殿工程において沈殿する酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%未満となるように前記第1のアルカリ成分を添加する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  8. 前記非晶質体は、ガラスである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  9. 前記非晶質体は、硼珪酸塩系ガラスまたは珪酸塩系ガラスである、請求項8に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  10. 前記沈殿工程の後に、酸素を含む雰囲気中において前記酸化セリウム系研磨剤を焼成する焼成工程をさらに備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  11. 前記焼成工程において、前記酸化セリウム系研磨剤を700℃〜1000℃で焼成する、請求項10に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  12. 非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤から酸化セリウム系研磨剤を製造する方法であって、
    前記非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤の懸濁液に、pHが12以下となるような量の第1のアルカリ成分を添加することにより前記酸化セリウム系研磨剤の表面に付着した非晶質体を溶解させた後に、前記懸濁液のpHが12.1以上となるように第2のアルカリ成分を添加することにより前記酸化セリウム系研磨剤を沈殿させる沈殿工程と、
    前記沈殿させた酸化セリウム系研磨剤を酸素を含む雰囲気中において焼成する焼成工程
    と、
    を備える、酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  13. 前記焼成工程において、前記分離された酸化セリウム系研磨剤を700℃〜1000℃で焼成する、請求項12に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  14. 前記アルカリ成分として、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の炭酸塩を用いる、請求項12または13に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  15. 前記分離された酸化セリウム系研磨剤のメディアン径(D50)が2μm〜4μmとなるように、前記アルカリ成分を添加する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  16. 前記非晶質体が表面に付着した酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%以上である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  17. 前記分離された酸化セリウム系研磨剤におけるSiの含有量がSiO換算で0.2質量%未満となるように前記アルカリ成分を添加する、請求項12〜16のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  18. 前記非晶質体は、ガラスである、請求項12〜17のいずれか一項に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
  19. 前記非晶質体は、硼珪酸塩系ガラスまたは珪酸塩系ガラスである、請求項18に記載の酸化セリウム系研磨剤の製造方法。
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