JP5943529B2 - セリア含有廃研磨材の再生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セリア含有廃研磨材の再生方法に関するものである。より具体的には、本発明は、セリア含有廃研磨材に含まれている不純物を効果的に除去しながら、適切な粒度分布および結晶サイズと、これに伴う好ましい研磨率などを示すセリア含有再生研磨材への再生を可能にするセリア含有廃研磨材の再生方法に関するものである。
一般に、TVブラウン管や、液晶パネルに使用されるTFT−LCD用ガラス基板などは、生産工程中に表面の平坦度や粗度などが不良な状態で生産され、原板ガラスをそのままTVブラウン管や液晶パネル用ガラス基板に使用することが難しい。特に、液晶パネルに使用されているTFT−LCD用ガラスパネルは、製品の輝度、視野角、コントラストなどを改善するために多様な方法などが検討されており、そのような特性はTFT−LCD用ガラス基板の表面によっても多くの影響を受けることが知られている。このために、ガラス基板を生産する会社では、ガラス基板の表面を改善するための努力をしており、多様なガラス基板研磨材が使用されている。そのうち、一般的な研磨材として、セリア(CeO2)を含有する研磨材が幅広く使用されている。
しかし、このようなセリア含有研磨材は、一定時間のガラス研磨工程後、研磨効率の減少によって廃スラッジとして廃棄処分されている。これは、一定時間の研磨工程後に、前記研磨材の研磨効率が減少し、研磨材粒子間の凝集が発生して、スクラッチが多量発生する恐れが高まるからである。しかも、研磨中に発生した研磨パッド由来の不純物が研磨材スラリーに流入して、スクラッチの発生の可能性をより高めてしまう。
これによって、前記研磨材は、一定期間研磨工程で使用された後に廃棄される必要があり、これは工程の効率や経済性を低下させることがある。これによって、前記研磨材を再活用するためのいくつかの技術が検討されている。
しかし、従来知られているセリア含有研磨材の再活用および再生方法の場合、再生された研磨材粒子の粒度分布や結晶サイズが最適化されず、再生された研磨材の研磨率が十分でなかったり、再生過程で粒子間の凝集による巨大粒子の生成などが発生して、再生研磨材を用いた研磨時にスクラッチなどが発生する問題があった。
そこで、本発明は、セリア含有廃研磨材に含まれている不純物を効果的に除去しながら、適切な粒度分布および結晶サイズと、これに伴う好ましい研磨率などを示すセリア含有再生研磨材への再生を可能にするセリア含有廃研磨材の再生方法を提供する。
本発明は、セリア(CeO2)含有廃スラッジを強塩基およびフッ酸を含む溶解剤溶液に溶解させる段階と、前記セリア含有廃スラッジを洗浄してシリカ(SiO2)含有不純物を除去する段階と、前記洗浄されたセリア含有廃スラッジをCD乾燥機(Compact Disc dreyer)で乾燥する段階と、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、金属酸化物、金属酸素酸、またはアルカリ土類金属塩を含むフラックスの存在下、前記廃スラッジを800℃以上の温度で焼成する段階とを含むセリア含有廃研磨材の再生方法を提供する。
以下、発明の実施形態にかかるセリア含有廃研磨材の再生方法などについて詳細に説明する。
発明の一実施形態によれば、セリア(CeO2)含有廃スラッジを強塩基およびフッ酸を含む溶解剤溶液に溶解させる段階と、前記セリア含有廃スラッジを洗浄してシリカ(SiO2)含有不純物を除去する段階と、前記洗浄されたセリア含有廃スラッジをCD乾燥機(Compact Disc dreyer)で乾燥する段階と、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、金属酸化物、金属酸素酸、またはアルカリ土類金属塩を含むフラックスの存在下、前記廃スラッジを800℃以上の温度で焼成する段階とを含むセリア含有廃研磨材の再生方法が提供される。
一実施形態のセリア含有廃研磨材の再生方法では、廃研磨材に由来のセリア含有廃スラッジを所定の溶解剤溶液に溶解させて、ガラス基板などに由来の不純物を溶解させ、洗浄によりこのような不純物を除去した後、乾燥および焼成工程を経て、セリア含有廃研磨材を再生研磨材に再生することができる。
特に、一実施形態の再生方法では、前記乾燥工程を、通常のオーブン乾燥機(oven dryer)の代わりにCD乾燥機(Compact Disc dreyer)で進行させ、焼成工程で所定のフラックスを用いて高温焼成を進行させることで、前記セリア含有廃研磨材を再生することができる。
このような乾燥および焼成工程は、主に、前記不純物除去のための溶解剤溶液処理および洗浄工程で使用された水分を乾燥し、再生研磨材の表面状態を回復させる一方、研磨パッドまたはバックパッドなどに由来の不純物や金属含有不純物などのその他の不純物を追加除去するためのものである。本発明者らの実験結果、このような乾燥および焼成工程の進行条件をこのように調節することにより、パッド不純物をより効率的に除去できながらも、再生研磨材の粒度分布および結晶サイズを最適化し、再生過程中の研磨材粒子間の凝集およびこれによる巨大粒子の形成を抑制できることが確認された。
付加して、通常のオーブン乾燥機を用いたオーブン乾燥方式は、前の段階としてフィルタープレス工程が必要であり、後の工程であるロールクラッシャー工程が入らなければならないため、工程費用の増加と収率の減少などが発生することがある。しかし、一実施形態では、このようなオーブン乾燥方式の代わりに、CD乾燥機の適用により複数段階の工程を1つの工程で処理可能であり、収率も高めることができる。
したがって、一実施形態の再生方法によれば、セリア含有廃研磨材に含まれている不純物を効果的に除去しながら、適切な粒度分布および結晶サイズと、これに伴う好ましい研磨率を示し、巨大粒子によるスクラッチの発生が減少した再生研磨材への再生および再活用が可能になる。しかも、このような再生工程の効率性および収率も大きく向上させることができる。
以下、図面を参照して、一実施形態のセリア含有廃研磨材の再生方法を各段階別により具体的に説明する。参照として、図1は、一実施形態にかかるセリア含有廃研磨材の再生方法の一例を各段階別に概略的に示す図である。
まず、一実施形態の再生方法の対象となるセリア含有廃研磨材およびこれに由来の廃スラッジは、TFT−LCDの製造工程などでガラス基板研磨用に使用されたセリア含有研磨材に由来のものとなってよい。これによって、前記セリア含有廃スラッジなどは、ガラス基板由来のシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al23)を主な不純物として含むことになる。また、前記廃スラッジや廃研磨材は、研磨の進行した研磨パッドや、研磨対象のガラス基板を支持するのに使用されたバックパッド由来の各種有機物などを不純物として含むことができ、鉄(Fe)、クロム(Cr)、またはニッケル(Ni)などの金属成分含有不純物をさらに含むことができる。
したがって、前記セリア含有廃スラッジなどを再生するにあたっては、このようなシリカおよびアルミナを除去する工程、前記研磨パッド、バックパッドなどに由来するか、金属成分を含有するその他の不純物を除去する工程、およびセリア含有研磨材の表面特性、粒度分布および結晶サイズなどを調節する工程の進行が必要になる。
図1を参照すれば、一実施形態の再生方法では、まず、セリア(CeO2)含有廃スラッジを強塩基およびフッ酸を含む溶解剤溶液に溶解させる工程を進行させることができる。このような工程で、前記強塩基としては水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどを使用できるが、これは前記ガラス基板由来のシリカなどの不純物を溶解させることができる。また、前記フッ酸は主にガラスエッチング液に使用される成分であって、これも前記ガラス基板由来のシリカやアルミナなどの不純物を溶解させることができる。
したがって、前記セリア含有廃スラッジを強塩基およびフッ酸を含む溶解剤溶液、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの強塩基と、フッ酸とを含む溶解剤水溶液に分散させて処理すると、前記廃スラッジ中に含まれているガラス基板由来の不純物、例えば、シリカやアルミナなどが溶解剤によって溶けて前記廃スラッジと分離可能になる。
この時、前記廃スラッジ中に含まれているシリカまたはアルミナなどの不純物の含有量などを考慮して、前記溶解剤溶液中の強塩基およびフッ酸の濃度を適切に調節することができる。ただし、通常のLCD用ガラス基板の研磨に使用された廃スラッジから、前記シリカやアルミナなどの不純物を効果的に除去するために、前記強塩基および/またはフッ酸はそれぞれ、溶解剤溶液中に約0.01〜20M、あるいは約0.1〜15M、あるいは約1〜10Mの濃度で含まれることが適切である。前記強塩基およびフッ酸の濃度が低すぎる場合、不純物の除去効率が低下することがあり、逆に高すぎる場合、原料の使用量が不必要に増加することがある。
一方、前記セリア含有廃スラッジを所定の溶解剤溶液に溶解させた後には、このような廃スラッジを洗浄して、シリカ含有不純物を廃スラッジから除去することができる。この時、前記洗浄工程の前、あるいは洗浄工程の進行中に、前記溶解剤溶液で処理された廃スラッジを、遠心分離、ろ過または沈降などの方法で処理して固液分離する工程をさらに含むことができる。
このような固液分離工程を進行させると、前記廃スラッジと、前記溶解剤溶液に溶解したシリカまたはアルミナなどのガラス基板含有不純物とが固液分離されて、前記廃スラッジから不純物を分離および除去することができ、脱イオン水、水またはその他の水溶媒を用いた洗浄工程の進行により、前記不純物をより完全に除去することができる。
この時、前記遠心分離、ろ過または沈降などの工程は、通常の遠心分離工程で不純物が除去されたセリア含有廃スラッジと、不純物が含まれている液体成分とを分離したり(遠心分離工程)、前記不純物が除去されたセリア含有廃スラッジを沈降させて、これから不純物が含まれている液体成分を分離したり(沈降工程)、またはフィルタなどを用いて、前記不純物が除去されたセリア含有廃スラッジから、不純物が含まれている液体成分をろ過および分離(ろ過工程)するなどの方法で進行させることができる。さらに、このような遠心分離、ろ過または沈降中に2つ以上を組み合わせて進行させてもよいことはいうまでもない。
また、前記水溶媒を用いた洗浄工程においては、前記溶解剤溶液に溶解した不純物のより効果的な洗浄および除去のために、pH1〜4またはpH10〜14に調節された水溶媒で進行させることができる。このようなpHの適切な調節のために、前記水または脱イオン水に酸または塩基を適切に溶解して、これを洗浄液として使用することができる。
そして、このような洗浄工程で、後述する焼成工程で使用されるフラックスが前記再生対象の廃スラッジに投入されてよい。
一方、図1に示されているように、前記洗浄工程を進行させた後には、前記洗浄されたセリア含有廃スラッジをCD乾燥機(Compact Disc dreyer)で乾燥することができる。このような乾燥工程では、上述した溶解剤溶液処理工程および洗浄工程で使用された水分を、前記不純物が除去された廃スラッジから乾燥および除去することができ、このように乾燥工程の進行した廃スラッジは、約1重量%以下、あるいは約0〜1重量%の含水率を有するように乾燥してよい。
特に、一実施形態の再生方法では、このような乾燥工程でディスクタイプの乾燥機の一種であるCD乾燥機を用いて乾燥工程を進行させることができる。このようなCD乾燥機は、熱供給される回転ディスク上で前記廃スラッジを乾燥する方式のディスクタイプの乾燥機の一種であって、このようなCD乾燥機を用いることにより、前記乾燥工程中の研磨材粒子(例えば、セリア粒子)間の凝集を抑制可能で、これによって巨大粒子の生成を抑制して、再生されたセリア含有研磨材の使用時にスクラッチの発生を抑制できることが確認された。また、このようなCD乾燥機の使用によって、乾燥工程の進行も効率化することができる。これは、前記CD乾燥機で乾燥を進行させることにより、前記廃スラッジに熱を高効率で均一に伝達できるからであると予測される。
前記CD乾燥機で乾燥工程を進行させるにあたっては、約1〜10rpm、あるいは約5〜10rpm、あるいは約6〜9rpmで回転するCD乾燥機上で、約100〜200℃の温度で約1〜30秒間乾燥工程を進行させることができる。仮に、前記回転速度が過度に低くなったり、乾燥時間が過度に長くなれば、粒子間の凝集の発生によるスクラッチ発生の恐れが増加し、逆に回転速度が過度に速くなったり、乾燥時間が過度に短くなれば、乾燥工程が効率的に行われないことがある。
これに対し、最適化された条件下でCD乾燥機で乾燥工程を進行させる場合、再生されたセリア含有再生研磨材が約0.5〜3.0μmの適切な平均粒度を有することができ、約6.0μmの巨大粒子の生成が抑制されて、スクラッチ発生の恐れが減少するだけでなく、乾燥が効率的に進行して含水率が約1重量%以下になった再生研磨材を容易に得ることができる。
一方、上述した乾燥工程を進行させた後には、図1に示されているように、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、金属酸化物、金属酸素酸、またはアルカリ土類金属塩を含む所定のフラックスの存在下、前記乾燥した廃スラッジを約800℃以上の温度で焼成する工程を進行させることができる。このような焼成工程の進行により、廃スラッジに含まれているセリア含有研磨材の表面特性および結晶特性が回復して再生研磨材の研磨率が高くなり得、さらに、研磨の進行した研磨パッドや、研磨対象のガラス基板を支持するのに使用されたバックパッド由来の各種有機物、あるいは鉄(Fe)、クロム(Cr)、またはニッケル(Ni)などの金属成分含有不純物などのその他の不純物が除去可能になる。
特に、上述した特定のフラックスの使用によって、前記焼成工程の進行後に、前記再生研磨材の表面特性または結晶特性などが好ましい範囲に調節できる。その結果、再生研磨材の粒度分布および結晶サイズが適切な範囲に制御され、巨大粒子の生成が抑制されることが可能である。
より好ましくは、このようなフラックスを使用する一方、このようなフラックスを、前記廃スラッジの重量に対して約1〜1.5重量%に相当する含有量の範囲で使用し、前記焼成工程の温度を約800〜900℃の範囲に制御することにより、再生研磨材の粒度分布および結晶サイズがより最適化できることが確認された。より具体的には、このような条件下で焼成工程を進行させることにより、前記再生研磨材の粒度分布および結晶サイズがそれぞれ、約0.5μm〜3.0μm、あるいは約1.0μm〜3.0μm、および約60〜90nm、あるいは約70〜90nmの結晶サイズに最適化される一方、巨大粒子の生成が抑制されて、再生研磨材の研磨率が優れたものに調節され、巨大粒子の生成によるスクラッチの発生が抑制されることが可能である。
したがって、一実施形態の方法で得られた再生研磨材がより好ましく使用できる。
上述した焼成工程で、前記フラックスは、アンモニウムフルオライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムホスフェート、または硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩;塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化カリウム、ソジウムボレート、または塩化バリウムなどのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩;酸化ボロンなどの金属酸化物や;ホウ酸(H3BO3)などの金属酸素酸になってよいし、これらの中から選択された2種以上を共に使用してもよい。上述のように、このようなフラックスの使用によって、前記焼成工程の進行後に、前記再生研磨材の表面特性または結晶特性などが好ましい範囲に調節され、再生研磨材の粒度分布および結晶サイズが適切な範囲に制御可能になる。
そして、すでに上述したように、前記フラックスは、前に進行した洗浄段階で投入されて湿式混合されたり、焼成工程の直前に乾式混合されてもよく、好適には洗浄段階で湿式混合されてよい。また、前記焼成段階は、上述した温度で約1〜4時間進行できる。
上述の最適化された焼成工程の進行により、約60〜90nmの結晶サイズおよび約0.5〜3.0μmの平均粒度を有し、巨大粒子の形成が抑制された最適化されたセリア含有再生研磨材が得られる。仮に、前記結晶サイズや平均粒度が過度に小さくなれば、再生研磨材の研磨率が十分でないことがあり、逆に結晶サイズや平均粒度が過度に大きくなれば、再生研磨材を用いた研磨工程でスクラッチが発生したり、焼成工程後に必要に応じて進行させる粉砕および分級工程が不必要に非効率化されることがある。しかも、大きすぎる粒度や結晶サイズを小さくするために、粉砕および分級工程を過度に進行させる場合、再生工程の効率が大きく減少するだけでなく、このような粉砕工程などの進行中に再生研磨材の表面特性がむしろ損傷して再生研磨材の特性が低下することがある。
一方、上述した焼成工程を進行させた後には、必要に応じて、再生研磨材の粒度分布または結晶サイズを小さくしたり、巨大粒子を除去するために、粉砕または分級工程を追加的に進行させることができ、このような粉砕および分級工程は、当業者に広く知られている方法で進行させることができる。例えば、前記粉砕工程は、ジェットミル(jet−mill)などを用いて進行させることができ、前記分級工程は、サイクロンのような風力分級機、乾式分級機、2極点または3極点Tipを用いたEJ−ELBO分級機または分級のための篩などを用いて進行させることができる。
上述した再生方法によれば、不純物が実質的に完全に効果的に除去され、最適化された結晶サイズおよび粒度分布を示すだけでなく、粉砕または分級工程の前にも巨大粒子の生成が抑制されたセリア含有再生研磨材が得られる。したがって、このようなセリア含有再生研磨材を単独または新規研磨材と共に用いて、LCD用ガラス基板などの研磨に再活用することができ、これは工程の経済性および収率の向上に大きく寄与することができる。
本発明によれば、セリア含有廃研磨材に含まれている不純物を効果的に除去しながら、適切な粒度分布および結晶サイズと、これに伴う好ましい研磨率を示し、巨大粒子によるスクラッチの発生が減少した再生研磨材への再生および再活用を可能にするセリア含有廃研磨材の再生方法が提供できる。
一実施形態にかかるセリア含有廃研磨材の再生方法の一例を各段階別に概略的に示す図である。 実施例1および2でCD乾燥機で乾燥して再生されたセリア含有再生研磨材の粒度分布を示すグラフである。 比較例1でオーブン乾燥機で乾燥して再生されたセリア含有再生研磨材の粒度分布を示すグラフである。 実施例2で得られた再生研磨材のSEM写真である。 比較例2で得られた再生研磨材のSEM写真である。
以下、発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は発明を例示するためのものに過ぎず、発明をこれらにのみ限定するのではない。
実施例1:セリア含有廃研磨材の再生
セリア(CeO2)含有廃スラッジを、フッ酸および水酸化ナトリウムをそれぞれ10Mの濃度で含む溶解剤水溶液に溶解させた。次に、その結果物を遠心分離機(製品名:Supra22k、ハニルサイメド)で遠心分離して固液分離し、pH7に調節された脱イオン水を用いて前記廃スラッジを洗浄して、シリカおよびアルミナなどのガラス基板由来の不純物を前記廃スラッジから分離および除去した。
以降、CD乾燥機(製品名:CD500、クムサン技術産業)を用いて、3rpmの回転下、120℃の温度で10秒間乾燥工程を進行させた。乾燥工程後、廃スラッジの含水率は1重量%以下になることを確認した。また、このような乾燥工程進行後の粒度分布を粒度分析器(製品名:LA950、Horiba)で測定して、図2の黒色線で示した。さらに、この時の平均粒度の測定結果、約2.28μmであることが確認された。
引き続き、上述した洗浄工程で添加されたアンモニウムフルオライド1重量%(最初の再生対象となった廃スラッジの重量対比)の存在下、前記乾燥した廃スラッジを850℃で2時間焼成して、実施例1の再生研磨材を得た。
実施例2:セリア含有廃研磨材の再生
CD乾燥機の回転速度を7rpmにしたことを除いては、実施例1と同様の方法で乾燥工程まで進行させた。乾燥工程後、廃スラッジの含水率は1重量%以下になることを確認した。また、このような乾燥工程進行後の粒度分布を粒度分析器(製品名:LA950、Horiba)で測定して、図2の赤色線で示した。さらに、この時の平均粒度の測定結果、約1.73μmであることが確認された。
次に、実施例1と同様の方法で焼成工程を進行させて、実施例2の再生研磨材を得た。
実施例3:セリア含有廃研磨材の再生
焼成温度を800℃にしたことを除いては、実施例2と同様の方法で実施例3の再生研磨材を得た。
実施例4:セリア含有廃研磨材の再生
洗浄工程でアンモニウムフルオライド1.5重量%(最初の再生対象となった廃スラッジの重量対比)を添加し、その存在下、焼成工程を進行させたことを除いては、実施例2と同様の方法で実施例4の再生研磨材を得た。
実施例5:セリア含有廃研磨材の再生
洗浄工程でアンモニウムフルオライド1重量%の代わりに水酸化ナトリウム1.5重量%(最初の再生対象となった廃スラッジの重量対比)を添加し、その存在下、焼成工程を進行させたことを除いては、実施例2と同様の方法で実施例5の再生研磨材を得た。
実施例6:セリア含有廃研磨材の再生
洗浄工程でアンモニウムフルオライド1重量%の代わりにKOH1.5重量%(最初の再生対象となった廃スラッジの重量対比)を添加し、その存在下、焼成工程を進行させたことを除いては、実施例2と同様の方法で実施例6の再生研磨材を得た。
比較例1:セリア含有廃研磨材の再生
CD乾燥機の代わりにオーブン乾燥機を用いて、150℃の温度で24時間乾燥工程を進行させたことを除いては、実施例1と同様の方法で乾燥工程まで進行させた。乾燥工程後、廃スラッジの含水率は1重量%以下になることを確認した。また、このような乾燥工程進行後の粒度分布を粒度分析器(製品名:LA950、Horiba)で測定して、図3の赤色線で示した。さらに、この時の平均粒度の測定結果、約6.34μmであり、約10μm超の粒度を有する巨大粒子が相当数存在することが確認された。
次に、洗浄工程で添加されたアンモニウムフルオライド2重量%(最初の再生対象となった廃スラッジの重量対比)の存在下、前記乾燥した廃スラッジを850℃で2時間焼成して、比較例1の再生研磨材を得た。
比較例2:セリア含有廃研磨材の再生
洗浄工程でアンモニウムフルオライドを添加せず、アンモニウムフルオライドなしに焼成温度を950℃にして焼成工程を進行させたことを除いては、実施例2と同様の方法で比較例2の再生研磨材を得た。
上述した実施例1、2および比較例1の平均粒度の測定結果と、図2および図3を参照すれば、廃スラッジの再生中に乾燥工程をCD乾燥機で進行させた実施例1および2では、乾燥後に適切な平均粒度を有する再生研磨材が得られ、スクラッチを誘発し得る巨大粒子の生成も大きく減少することが確認された。特に、CD乾燥機の回転速度が7rpmになった実施例2で、粒子間の凝集による巨大粒子の生成がさらに減少し、平均粒度がより最適化できることが確認された。
これに対し、オーブン乾燥機で乾燥工程を進行させた比較例1の場合、乾燥工程中に粒子間の凝集が相当数発生して平均粒度が非常に大きくなるだけでなく、図3から明らかなように、約10μm超の粒度を有する巨大粒子が相当数存在することが確認された。したがって、比較例1で得られた再生研磨材で研磨を進行させる場合、スクラッチの発生の可能性が高かったり、巨大粒子を小さくするために、粉砕または分級工程を過度に進行させる必要があることが確認された。
一方、実施例1〜6、比較例1および2で得られた再生研磨材に対して、
の方法で結晶サイズを測定し、各再生研磨材の平均粒度を粒度分析器(製品名:LA950、Horiba)で測定した。また、前記再生研磨材を用いた研磨率を測定した。研磨率は、再生前の研磨率に対する割合で測定した。このような結晶サイズ、平均粒度および研磨率に対する測定結果は、下記の表1にまとめて示した。また、図4および図5には、実施例2および比較例2で得られた再生研磨材のSEM写真を示した。
前記表1を参照すれば、乾燥条件および焼成条件が最適化された実施例1〜6で得られた再生研磨材の場合、平均粒度および結晶サイズが好ましい範囲にあり、これによって、新規研磨材に準ずる優れた研磨率が発現することが確認された。これに対し、比較例1および2の再生研磨材は、巨大粒子が含まれて平均粒度が過度に大きかったり、結晶サイズが過度に大きくて研磨率がむしろ低下し、スクラッチの発生の可能性が高いことが確認された。
また、図4および図5を参照すれば、焼成温度がより最適化され、フラックスが使用された実施例2の再生研磨材は、研磨材として好ましい表面形状を示し、巨大粒子の生成が観察されなかったのに対し、比較例2の再生研磨材は、焼成温度が比較的高く、フラックスが使用されなかったもので、巨大粒子の生成が観察され、これによるスクラッチの発生の可能性が高いことが確認された。

Claims (15)

  1. セリア(CeO2)含有廃スラッジを強塩基およびフッ酸を混合した溶解剤溶液に溶解させる段階と、
    前記セリア含有廃スラッジを洗浄してシリカ(SiO2)含有不純物を除去する段階と、
    前記洗浄されたセリア含有廃スラッジを1〜10rpmのCD乾燥機(Compact Disc dreyer)で1〜30秒間乾燥する段階と、
    アンモニウム塩、アルカリ金属塩、金属酸化物、金属酸素酸、またはアルカリ土類金属塩を含むフラックスの存在下、前記廃スラッジを800℃以上の温度で焼成する段階とを含むことを特徴とする、セリア含有廃研磨材の再生方法。
  2. セリア(CeO2)含有廃スラッジは、シリカおよびアルミナを不純物として含有することを特徴とする、請求項1に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  3. 溶解剤溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの強塩基と、フッ酸とを含む水溶液であることを特徴とする、請求項1または2に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  4. 前記溶解剤溶液は、強塩基またはフッ酸をそれぞれ0.01〜20Mの濃度で含むことを特徴とする、請求項3に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  5. 前記洗浄段階の前に、あるいは前記洗浄段階の進行中に、遠心分離、ろ過または沈降による固液分離段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  6. 前記洗浄段階は、pH1〜4またはpH10〜14に調節された水溶媒で進行することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  7. 前記フラックスは、アンモニウムフルオライド、アンモニウムクロライド、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化カリウム、ポタシウムクロライド、ホウ酸、ソジウムボレート、アンモニウムホスフェート、硫酸アンモニウム、酸化ボロン、および塩化バリウムからなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  8. 前記フラックスは、洗浄段階で投入されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  9. 前記フラックスは、前記廃スラッジの重量に対して1〜1.5重量%の量で投入されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  10. 前記焼成段階は、800〜900℃で進行することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  11. 前記焼成段階は、1〜4時間進行することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  12. 前記焼成段階の後に、前記焼成された廃スラッジから得られたセリア含有再生研磨材を粉砕および分級する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  13. 前記粉砕段階は、ジェットミル(jet−mill)を用いて進行し、前記分級段階は、風力分級機、乾式分級機、2極点または3極点Tipを用いたEJ−ELBO分級機または分級のための篩を用いて進行することを特徴とする、請求項12に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  14. 60〜90nmの結晶サイズおよび0.5μm〜3.0μmの平均粒度を有するセリア含有再生研磨材が得られることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
  15. セリア含有廃スラッジは、ガラス基板の研磨用に使用されたセリア含有研磨材に由来のものであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のセリア含有廃研磨材の再生方法。
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