JP2003238943A - セリウム系研磨材及びそれに含有される酸化セリウムの製造方法 - Google Patents

セリウム系研磨材及びそれに含有される酸化セリウムの製造方法

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JP2003238943A
JP2003238943A JP2002040206A JP2002040206A JP2003238943A JP 2003238943 A JP2003238943 A JP 2003238943A JP 2002040206 A JP2002040206 A JP 2002040206A JP 2002040206 A JP2002040206 A JP 2002040206A JP 2003238943 A JP2003238943 A JP 2003238943A
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rare earth
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Ryoichi Asano
良一 浅野
Kiminobu Ohashi
公宣 大橋
Masatoshi Tomatsu
正利 戸松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨性能が良好で、なおかつ洗浄性も良好な
セリウム系研磨材の製造方法、及びそのセリウム系研磨
材に含有される酸化セリウムの製造方法を提供する。 【解決手段】 セリウム塩をはじめとする希土類塩が含
まれた希土類原料と、前記希土類塩との反応における化
学量論量よりも過剰量のアルカリ化合物とを水に混ぜて
加熱したときに沈殿生成する希土類水酸化炭酸塩(RC
3OH)を焼成することによってセリウム系研磨材を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化セリウムを含
有するセリウム系研磨材の製造方法、及びセリウム系研
磨材に含有される酸化セリウムの製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】酸化セリウムを含有するセリウム系研磨
材としては、バストネサイトを焼成して所望の粒度に調
整したものが従来知られている。このバストネサイトを
原料とするセリウム系研磨材は研磨性能が良好なことか
ら、ガラス用の研磨材としての用途を中心にして汎用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のセリウム系研磨材の場合、酸化セリウムが被研磨物
の表面に付着しやすく洗浄性があまり良くないという問
題があった。すなわち、研磨加工の終了後に洗浄をして
も酸化セリウムが被研磨物に付着して残留してしまうこ
とがあった。
【0004】本発明は、上記のような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、研磨性能が良好で、なおかつ洗浄性も良好
なセリウム系研磨材の製造方法、及びそのセリウム系研
磨材に含有される酸化セリウムの製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、酸化セリウムを含有す
るセリウム系研磨材の製造方法であって、セリウム塩を
はじめとする希土類塩が含まれた希土類原料と、前記希
土類塩との反応における化学量論量よりも過剰量のアル
カリ化合物とを水に混ぜて加熱したときに沈殿生成する
希土類水酸化炭酸塩を焼成することを要旨とする。
【0006】請求項2に記載の発明は、セリウム系研磨
材に含有される酸化セリウムの製造方法であって、セリ
ウム塩と、該セリウム塩との反応における化学量論量よ
りも過剰量のアルカリ化合物とを水に混ぜて加熱したと
きに沈殿生成する水酸化炭酸セリウムを焼成することを
要旨とする。
【0007】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の酸化セリウムの製造方法において、前記セリウム塩が
塩化セリウムであることを要旨とする。請求項4に記載
の発明は、請求項2又は請求項3に記載の酸化セリウム
の製造方法において、前記アルカリ化合物が炭酸水素ア
ンモニウムであることを要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形
態について説明する。本実施形態においては、セリウム
系研磨材は次のようにして製造される。すなわち、セリ
ウム塩をはじめとする希土類塩が含まれた希土類原料
と、前記希土類塩との反応における化学量論量よりも過
剰量のアルカリ化合物とを水に混ぜて加熱したときに沈
殿生成する希土類水酸化炭酸塩(RCO3OH)を随意
に脱水・乾燥した後に焼成し、所望の粒度となるように
解砕・分級する。こうして得られるセリウム系研磨材に
は、微小な一次粒子が半焼結した粒塊状の酸化セリウム
(CeO2)が含有されている。
【0009】セリウム系研磨材は、例えば二酸化ケイ素
を主成分とするガラスの研磨加工における砥粒として好
適に用いられる。具体的には、光ディスクや磁気ディス
ク用のガラス基板、アクティブマトリックス型LCD・
液晶テレビ用カラーフィルタ・時計・電卓・カメラ用L
CDなどのディスプレイ用ガラス基板、太陽電池・LS
Iフォトマスク用ガラス基板の研磨加工において好適に
用いられる。ただし、用途は上記に限定されるものでな
く、その他のセラミックスや結晶化ガラスなどの研磨加
工で用いてもよい。
【0010】以下、セリウム系研磨材の製造方法につい
てさらに詳しく説明する。前記希土類原料は、セリウム
塩をはじめとする希土類塩が主成分又は副成分として含
まれた鉱物をいう。この希土類原料には一般に、希土類
塩の他にアルカリ金属やアルカリ土類金属(例えばバリ
ウムやカルシウム)、リン、硫黄、ウラン、トリウム等
が含まれている。また、セリウム塩以外の希土類塩とし
ては、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウ
ム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウムなどの塩
が含まれている。ただし、希土類原料は少なくともセリ
ウム塩を含んでいればよく、希土類原料に含まれるセリ
ウム塩以外の成分については特に限定されない。
【0011】また希土類原料は、セリウム塩として塩化
セリウム又は硝酸セリウムを含むものが好ましく、その
中でも塩化セリウムを含むものがより好ましい。という
のも、塩化セリウム又は硝酸セリウムを含む希土類原料
は入手が容易であり、特に塩化セリウムを含む希土類原
料は比較的安価であるからである。加えて、塩化セリウ
ム及び硝酸セリウムは水溶性でもある。なお、希土類原
料としては、セリウム塩を複数種類含有するものであっ
ても、一種類のみ含有するものであってもよい。
【0012】一方、アルカリ化合物は、前記希土類原料
とともに水に混ぜて加熱したときに希土類水酸化炭酸塩
を生成しうる種類のアルカリ化合物、すなわち分子中に
炭素原子及び酸素原子を有するアルカリ化合物であれば
いずれでもよいが、その中でも炭酸アンモニウム、炭酸
水素アンモニウム又は尿素が好ましい。
【0013】というのも、炭酸アンモニウム、炭酸水素
アンモニウム及び尿素は入手が容易であるだけでなく、
アルカリ金属塩をアルカリ化合物として用いてセリウム
系研磨材を製造した場合に起こりうるセリウム系研磨材
の研磨速度の低下を防ぐことができるからである。すな
わち、アルカリ金属塩をアルカリ化合物として用いてセ
リウム系研磨材を製造した場合には、そのアルカリ金属
塩のアルカリ金属が中間生成物である希土類水酸化炭酸
塩中に取り込まれることに起因して、最終生成物である
セリウム系研磨材の研磨速度が小さくなる傾向がある。
それに対し、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム
又は尿素をアルカリ化合物として用いた場合には、そう
したおそれがない。
【0014】なお、上記した通りアルカリ化合物は、炭
酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又は尿素が好ま
しいが、その中でも炭酸水素アンモニウムがより好まし
い。というのも炭酸水素アンモニウムの場合は、その緩
衝作用によって、希土類水酸化炭酸塩を生成する反応の
際のpHを安定させるという効果も奏しうるからであ
る。
【0015】ちなみに、アルカリ化合物は、複数種類を
組み合わせて使用してもよいし、一種類を単独で使用し
てもよい。希土類原料とアルカリ化合物とを水に混ぜる
にあたってアルカリ化合物は、希土類原料に含まれる希
土類塩との反応における化学量論量よりも過剰量加えら
れるが、アルカリ化合物の添加量の好ましい範囲として
は一般に、希土類塩との反応における化学量論量の3倍
以上であることが好ましい。アルカリ化合物の添加量が
希土類塩との反応における化学量論量の3倍未満である
と、研磨材として機能しない非晶質の酸化セリウムが最
終的に生成することがあり好ましくない。
【0016】また、希土類原料とアルカリ化合物とを水
に混ぜた直後の混合液のpHは5以上であることが好ま
しく、6以上であることがより好ましい。pHが5未満
であると、研磨材として機能しない非晶質の酸化セリウ
ムが最終的に生成することがあり好ましくない。
【0017】なお、希土類原料とアルカリ化合物とを水
に混ぜるにあたっては、まず希土類原料とアルカリ化合
物をそれぞれ別に水に溶解して二つの水溶液を用意し、
希土類原料の水溶液を撹拌しながら、そこにアルカリ化
合物の水溶液を少しずつ滴下して加えることが好まし
い。というのも、このようにすれば均一な反応を得るこ
とができるからである。
【0018】一方、希土類原料とアルカリ化合物と水の
混合液を加熱するときの加熱温度は70〜100℃が好
ましく、90〜100℃がより好ましい。加熱温度が7
0℃未満であると、希土類水酸化炭酸塩を生成させる反
応に要する時間が著しく長くなったり、研磨材として機
能しない非晶質の酸化セリウムが最終的に生成すること
があり好ましくない。加熱時間は、加熱温度が90〜1
00℃の場合は1〜3時間が好ましい。この加熱の際に
は前記混合液を撹拌しながら行なうことが好ましい。
【0019】また、希土類水酸化炭酸塩を焼成するにあ
たっての焼成温度は700℃以上が好ましく、焼成時間
(前記焼成温度で保持する時間)は1時間以上が好まし
い。焼成温度が700℃未満であると、焼成物の比表面
積が大きくなりすぎて十分な研磨速度を有するセリウム
系研磨材が得られないことがある。また焼成時間が1時
間未満であると、焼成物の比表面積が大きくなりすぎた
り、焼成物に焼成ムラが生じて均一な焼成物が得られな
いことがあり好ましくない。
【0020】希土類水酸化炭酸塩を焼成して得られる焼
成物の比表面積(BET法)は、3〜15m2/gが好
ましく、4〜8m2/gがより好ましい。比表面積の値
が3m 2/gよりも小さいと、研磨加工で用いたとき
に、表面粗さが小さくかつ傷などの表面欠陥の少ない仕
上がり面を得られないことがあるため好ましくない。逆
に15m2/gよりも大きいと、十分な研磨速度を有す
るセリウム系研磨材が得られないことがあるため好まし
くない。
【0021】本実施形態によって得られる効果につい
て、以下に記載する。 ・ 本実施形態によれば、バストネサイトを原料とする
セリウム系研磨材と同等以上の優れた研磨性能を発揮す
るセリウム系研磨材を提供することができる。すなわ
ち、研磨速度が大きいうえに、表面粗さが小さくかつ傷
などの表面欠陥の少ない仕上がり面を得られるセリウム
系研磨材を提供することができる。
【0022】・ 本実施形態によれば、洗浄性に優れた
セリウム系研磨材を提供することができる。すなわち、
研磨加工に引き続いて被研磨物を洗浄したときに、セリ
ウム系研磨材に含まれる酸化セリウムが被研磨物の表面
に付着して残留するのを抑制することができる。
【0023】・ 本実施形態によれば、セリウム系研磨
材の構成成分として有用な酸化セリウムを提供すること
ができる。なお、前記実施形態を次のように変更して構
成することもできる。
【0024】・ 希土類水酸化炭酸塩を生成させる反応
の際、希土類原料とアルカリ化合物に加えてさらにバリ
ウム、カルシウム、リン及び硫黄のうちいずれかの原子
を分子中に有する化合物を水に混ぜて加熱するようにし
てもよい。なお、前記化合物の具体例としては、塩化バ
リウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、リン酸ア
ンモニウムなどが挙げられる。
【0025】・ トリウムやウランといった放射性元素
及びフッ素が化学的処理によって実質的に除去された希
土類原料を出発原料として用いるようにしてもよい。こ
のようにすれば、セリウム系研磨材に含まれる放射性元
素及びフッ素の量を可及的に少なくすることができ、環
境に対する負荷を軽減することができる。
【0026】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、以下の各例における
「%」は「重量%」を意味する。また、平均粒径は粒度
測定機(LS−230;ベックマン・コールター社製)
により測定されたD50%の値、比表面積はBET法で
測定される比表面積である。
【0027】(実施例1)希土類塩化物が含まれた希土
類原料(TREO:51%、CeO2/TREO:60
%)500gを4500gの水に溶解して希土類原料水
溶液を調製するとともに、炭酸水素アンモニウム101
8gを3982gの水に溶解して炭酸水素アンモニウム
水溶液を調製した。そして、希土類原料水溶液を撹拌し
ながら、そこに炭酸水素アンモニウム水溶液を少しずつ
滴下して両者を混合し、90℃で2時間加熱した。この
とき沈殿生成した希土類水酸化炭酸塩を脱水(アスピレ
ーターによる吸引濾過)・乾燥(エアバスで105℃、
12時間)した後、1150℃で5時間焼成し、解砕・
分級して平均粒径が0.6μmのセリウム系研磨材を得
た。なお、解砕前の焼成物の比表面積を測定したとこ
ろ、5.2m2/gであった。
【0028】(実施例2)希土類塩化物が含まれた希土
類原料(TREO:51%、CeO2/TREO:60
%)500gを4500gの水に溶解し、続いてこの水
溶液に塩化バリウム64g及び塩化カルシウム89gを
添加して希土類原料水溶液を調製した。また、炭酸水素
アンモニウム1018g、硫酸アンモニウム49g及び
リン酸アンモニウム46gを3982gの水に溶解して
炭酸水素アンモニウム水溶液を調製した。そして、希土
類原料水溶液を撹拌しながら、そこに炭酸水素アンモニ
ウム水溶液を少しずつ滴下して両者を混合し、90℃で
2時間加熱した。このとき沈殿生成した希土類水酸化炭
酸塩を脱水(アスピレーターによる吸引濾過)・乾燥
(エアバスで105℃、12時間)した後、1150℃
で5時間焼成し、解砕・分級して平均粒径が0.6μm
のセリウム系研磨材を得た。なお、解砕前の焼成物の比
表面積を測定したところ、5.5m2/gであった。
【0029】(比較例1)市販のバストネサイト系酸化
セリウム(商品名:ミレークS−0、三井金属鉱業株式
会社製)から平均粒径が1.1μmのセリウム系研磨材
を準備した。
【0030】(比較例2)希土類水酸化物が含まれた希
土類原料(TREO:63%、CeO2/TREO:9
9%)を800℃で5時間焼成し、解砕・分級して平均
粒径が0.5μmのセリウム系研磨材を得た。なお、解
砕前の焼成物の比表面積を測定したところ、12m2
gであった。
【0031】(比較例3)希土類水酸化物が含まれた希
土類原料(TREO:51%、CeO2/TREO:6
0%)を950℃で5時間焼成し、解砕・分級して平均
粒径が0.4μmのセリウム系研磨材を得た。なお、解
砕前の焼成物の比表面積を測定したところ、6m2/g
であった。
【0032】(比較例4)希土類水酸化物が含まれた希
土類原料(TREO:60%、バリウム化合物:2.5
%、カルシウム化合物:2.6%、リン化合物:1.3
%、硫黄化合物:1.2%、CeO2/TREO:60
%)を1150℃で5時間焼成し、解砕・分級して平均
粒径0.4μmのセリウム系研磨材を得た。なお、解砕
前の焼成物の比表面積を測定したところ、5m2/gで
あった。
【0033】(比較例5)希土類水酸化物が含まれた希
土類原料(TREO:62%、フッ素化合物:6.2
%、CeO2/TREO:60%)を820℃で5時間
焼成し、解砕・分級して平均粒径が0.4μmのセリウ
ム系研磨材を得た。なお、解砕前の焼成物の比表面積を
測定したところ、5m2/gであった。
【0034】(比較例6)希土類水酸化物が含まれた希
土類原料(TREO:44%、CeO2/TREO:6
0%)を900℃で5時間焼成し、解砕・分級して平均
粒径が0.5μmのセリウム系研磨材を得た。なお、解
砕前の焼成物の比表面積を測定したところ、6.1m2
/gであった。
【0035】(比較例7)希土類炭酸塩が含まれた希土
類原料(TREO:40%、フッ素化合物:6.1%、
CeO2/TREO:60%)を700℃で5時間焼成
し、解砕・分級して平均粒径が0.5μmのセリウム系
研磨材を得た。なお、解砕前の焼成物の比表面積を測定
したところ、4.3m2/gであった。
【0036】(比較例8)希土類炭酸塩が含まれた希土
類原料(TREO:46%、バリウム化合物:2.4
%、カルシウム化合物:2.4%、リン化合物:0.9
%、硫黄化合物:0.9%、フッ素化合物:3.2%、
CeO2/TREO:60%)を900℃で5時間焼成
し、解砕・分級して平均粒径0.6μmのセリウム系研
磨材を得た。なお、解砕前の焼成物の比表面積を測定し
たところ、5.3m2/gであった。
【0037】(比較例9)前記実施例1と同様にして希
土類原料水溶液と炭酸水素アンモニウム水溶液を調製し
た。そして、希土類原料水溶液を撹拌しながら、そこに
炭酸水素アンモニウム水溶液を少しずつ滴下して両者を
混合した。このとき混合液中に生成した沈殿物を混合液
から取り出して蒸留水で十分に洗浄し、脱水(アスピレ
ーターによる吸引濾過)・乾燥(エアバスで105℃、
12時間)した後、1150℃で5時間焼成し、解砕・
分級して平均粒径が0.6μmのセリウム系研磨材を得
た。なお、解砕前の焼成物の比表面積を測定したとこ
ろ、3.0m2/gであった。
【0038】以上の実施例1、2及び比較例1〜9の各
例のセリウム系研磨材について、(1)異常成長粒、
(2)トリウム含量、(3)フッ素含量の各項目に関し
て下記の評価基準に従って評価した。その結果を下記表
1に示す。
【0039】また、各例のセリウム系研磨材を濃度が1
0重量%となるように水に混合してスラリー状の研磨用
組成物をそれぞれ1リットルずつ調製し、各研磨用組成
物を用いて下記の条件で研磨加工を行なった。このとき
の(4)研磨速度、(5)表面粗さ、(6)傷、(7)
洗浄性の各項目に関して下記の評価基準に従って評価し
た。その結果を下記表1に併せて示す。
【0040】(研磨加工の条件) 研磨機:片面研磨機(EJ−380IN;Engis社
製)、被研磨物:φ2.5インチ(64mm)ガラスデ
ィスク(表面粗さRa=12Å)、研磨パッド:POL
ITEX DG(Rodel社製)、加工圧力:70g
/cm2(≒7kPa)、定盤回転数:100rpm、
加工時間:15分間、研磨用組成物供給量:300ml
/分(リサイクル使用) <1.異常成長粒>走査型電子顕微鏡(S−4700;
株式会社日立製作所製、倍率:20000倍、5000
0倍)を使って各例のセリウム系研磨材を観察し、粗大
単結晶粒の有無を確認した。0.2μm未満の一次粒子
のみで成り立っているものを○、0.2μm以上0.5
μm未満の単結晶粒が認められたものを△、0.5μm
以上の粗大単結晶粒が認められたものを×と評価した。
【0041】<2.トリウム含有量>表面元素分析装置
(EMAX−550;株式会社堀場製作所製)を使って
各例のセリウム系研磨材表面のトリウム含有量を測定し
た。トリウム含有量が0.1重量%未満のものを○、
0.1重量%以上のものを×と評価した。
【0042】<3.フッ素含有量>表面元素分析装置
(同上)を使って各例のセリウム研磨材表面のフッ素含
有量を測定した。フッ素含有量が1重量%未満のものを
○、1重量%以上のものを×と評価した。
【0043】<4.研磨速度>以下に示す計算式に基づ
いて研磨速度の値を求めた。比較例1の研磨速度を10
0%としたときの研磨速度が110%以上のものを◎、
90〜110%のものを○、80〜90%のものを△、
80%以下のものを×と評価した。 研磨速度[μm/min]=研磨加工による被研磨物の
重量減[g]÷(被研磨物の被研磨面の面積[cm2
×被研磨物の密度[g/cm3]×加工時間[mi
n])×10000 <5.表面粗さ>原子間力顕微鏡(D3000;Dig
ital Instrument社製)を使って研磨加
工後の被研磨面のRa値を測定した(測定した領域の大
きさ:10μm×10μm、走査線:256本、スキャ
ンスピード:1.00Hz)。Ra値が4Å未満のもの
を◎、4Å以上6Å未満のものを○、6Å以上8Å未満
のものを△、8Å以上のものを×と評価した。
【0044】<6.傷>原子間力顕微鏡(同上)を使っ
て研磨加工後の被研磨面の一部(10μm×10μm)
を観察して傷の有無を確認した。さらに外観目視検査装
置(KDX−980;株式会社カザマエンジニアリング
製)を使って被研磨面全面を観察して傷の有無を確認し
た。被研磨面に傷が認められなかったものを◎、原子間
力顕微鏡で長さ1μm未満の傷が認められたものを○、
原子間力顕微鏡で長さ1μm以上の傷が認められたもの
を△、外観目視検査装置で傷が認められたものを×と評
価した。
【0045】<7.洗浄性>原子間力顕微鏡(同上)を
使って研磨加工後の被研磨面の一部(10μm×10μ
m)を観察して酸化セリウムの付着痕(0.1μm以上
の突起)の有無を確認した。付着痕が10個未満のもの
を◎、10個以上20個未満のものを○、20個以上3
0個未満のものを△、30個以上のものを×と評価し
た。
【0046】なお、研磨加工後の被研磨物の洗浄は次の
ようにして行なった。まず被研磨物を純水でスクラブ洗
浄した後に、純水を満たした超音波洗浄槽(40kH
z)に10分間浸し、さらに純水で流水洗浄した後、ス
ピン乾燥した。
【0047】
【表1】 表1に示すように、実施例のセリウム系研磨材はいずれ
も、研磨速度、表面粗さ、傷及び洗浄性の各項目に関し
ての評価が全てにおいて良好(◎又は○)であり、研磨
性能、洗浄性とも優れることが示された。それに対して
比較例のセリウム系研磨材はいずれも、研磨速度、表面
粗さ、傷及び洗浄性の各項目に関しての評価がいずれか
において不良(△又は×)であり、研磨性能及び洗浄性
の少なくとも一方に劣ることが示された。
【0048】次に、前記実施形態から把握できる技術的
思想について以下に記載する。・ 前記希土類原料が、
化学的処理によって放射性元素及びフッ素を実質的に除
去したものであることを特徴とする請求項1に記載のセ
リウム系研磨材の製造方法。
【0049】・ 前記セリウム塩が、化学的処理によっ
て放射性元素及びフッ素を実質的に除去した希土類原料
に由来するものである請求項2から請求項4のいずれか
一項に記載の酸化セリウムの製造方法。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明
によれば、研磨性能が良好で、なおかつ洗浄性も良好な
セリウム系研磨材を製造することができる。
【0051】請求項2から請求項4に記載の発明によれ
ば、セリウム系研磨材の構成成分として有用な酸化セリ
ウムを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 公宣 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領2丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内 (72)発明者 戸松 正利 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領2丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内 Fターム(参考) 4G076 AA02 AB12 AC10 BA39 CA02 DA30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化セリウム(CeO2)を含有するセ
    リウム系研磨材の製造方法であって、セリウム塩をはじ
    めとする希土類塩が含まれた希土類原料と、前記希土類
    塩との反応における化学量論量よりも過剰量のアルカリ
    化合物とを水に混ぜて加熱したときに沈殿生成する希土
    類水酸化炭酸塩(RCO3OH)を焼成することを特徴
    とするセリウム系研磨材の製造方法。
  2. 【請求項2】 セリウム系研磨材に含有される酸化セリ
    ウム(CeO2)の製造方法であって、セリウム塩と、
    該セリウム塩との反応における化学量論量よりも過剰量
    のアルカリ化合物とを水に混ぜて加熱したときに沈殿生
    成する水酸化炭酸セリウム(CeCO3OH)を焼成す
    ることを特徴とする酸化セリウムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記セリウム塩が塩化セリウムであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の酸化セリウムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ化合物が炭酸水素アンモニ
    ウムであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記
    載の酸化セリウムの製造方法。
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