JP2002030272A - 研磨用組成物およびそれを用いた酸化ケイ素材料の研磨方法 - Google Patents

研磨用組成物およびそれを用いた酸化ケイ素材料の研磨方法

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JP2002030272A
JP2002030272A JP2000218303A JP2000218303A JP2002030272A JP 2002030272 A JP2002030272 A JP 2002030272A JP 2000218303 A JP2000218303 A JP 2000218303A JP 2000218303 A JP2000218303 A JP 2000218303A JP 2002030272 A JP2002030272 A JP 2002030272A
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cerium
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Kiminobu Ohashi
公宣 大橋
Masatoshi Tomatsu
正利 戸松
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Fujimi Inc
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高能率かつ高精度で研磨し、砥粒の固い沈殿
の形成を防いで再分散性に優れ、繰り返し使用していも
その再分散性が持続でき、研磨後の砥粒の洗浄性の高い
研磨用組成物およびそれを用いた酸化ケイ素材料の研磨
方法を提供する。 【解決手段】 酸化ケイ素材料の研磨に使用される研磨
用組成物であって、セリウムを含む希土類酸化物を主成
分とする砥粒と、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸
アンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、硫酸ナトリ
ウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸セリ
ウムアンモニウムから選ばれる少なくとも1種類の水溶
性塩類と、水とを含んでなり、これを用いた酸化ケイ素
材料の研磨方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス等の酸化ケ
イ素材料の研磨に特に有効な研磨用組成物に関するもの
であり、さらに詳しくは、研磨中の組成物による固い沈
殿の形成を防ぎ、再分散を容易にするとともに、研磨後
の被研磨物の洗浄性を良好にすることが可能な研磨用組
成物およびそれを用いた酸化ケイ素材料の研磨方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化ケイ素材料であるガラス材料は、窓
ガラスやレンズといった用途のほかに、近年ではフォト
マスク、ガラスディスクあるいは半導体デバイスにおけ
る絶縁材料など、幅広く利用されている。このようなガ
ラス材料(酸化ケイ素材料)の表面を研磨する方法とし
ては、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、
酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素、酸化鉄
および水酸化鉄等の砥粒を用いる方法が知られている
が、より効果的に研磨する方法としては、セリウムを含
む希土類酸化物を主成分とする砥粒(以下、単に「砥
粒」と記す)を用いた研磨方法が知られている。
【0003】この砥粒は、一般的にモナザイト、バスト
ネサイトおよびその他からなる天然鉱物を出発原料と
し、これらを焼成、粉砕、分級することによって製造さ
れるセリウム等の希土類酸化物を主成分とする粒子が使
用されることが多い。これらの粒子は、酸化セリウム
(CeO2 )の他に、フッ化セリウム(CeF3 )およ
びオキシフッ化セリウム(CeOF)等のセリウム化合
物や、ランタン(La)、プラセオジウム(Pr)、ネ
オジウム(Nd)およびサマリウム(Sm)等の希土類
成分を含んでいるが、通常はセリウム成分が30%程度
含まれているものを使用している。
【0004】このような砥粒を用いて酸化ケイ素材料を
研磨する場合、一般的に砥粒を水等の液体に分散させた
状態で使用するが、さらに添加剤を加えることで砥粒の
特性をさらに向上させるようにもしている。例えば特公
昭38−24294号公報には、硼酸または硼酸塩及び
強酸を添加した硝子の研磨方法が開示され、特公昭39
−25619号公報には、希土類の硝酸塩を添加したガ
ラスみがき組成物が開示され、また、特公昭46−73
号公報には、水溶性の亜鉛塩を添加したガラスの研磨用
組成物が開示されており、上記の各研磨用組成物は、単
に砥粒を水に分散させた研磨用組成物に比べて加工速度
が向上する。
【0005】しかしながら、上記各研磨用組成物は、い
ずれも砥粒が容易に沈殿しやすいという問題があった。
そのため、研磨用組成物の保存容器での保存中および研
磨中に、容器の底部あるいは機械内部に沈殿が形成さ
れ、研磨用組成物の組成が不安定になったり、沈殿を取
り除くための機械の洗浄を行う必要があった。
【0006】このような研磨用組成物の砥粒の分散性を
向上させる方法として、砥粒の大きさを小さくし、沈殿
を起こしにくくする方法、あるいは、公知のいくつかの
界面活性剤を用いる方法がある。前者の方法の顕著な例
として、セリウム化合物の化学反応による酸化セリウム
ゾルがある。これは、粒子径を極端に小さくし、沈殿を
起こしにくくしたものであるが、砥粒の加工性は非常に
小さくなり、研磨用組成物として有用なものであるとは
言いがたかった。また、砥粒を小さくしたり、界面活性
剤を用いて砥粒の分散性をよくすれば、砥粒の沈殿を防
ぐことが可能であるが、この場合、一旦沈殿してしまう
と微細な粒子は緻密で固い沈殿を形成するため、これを
再分散させて砥粒として使用したり、沈殿の除去および
洗浄を行うことは非常に困難であった。
【0007】そこで、このような問題を解決するため
に、例えば特開昭50−13405号公報(従来技術
1)には、リン酸カルシウムを添加した硝子研摩の方法
並びに研磨材が、特開平6−330025号公報(従来
技術2)には、フッ化セリウムおよびカルシウム化合物
が含有されたガラス研磨用研磨材が、特開平3−146
585号公報(従来技術3)には、塩化マグネシウムが
含有されたガラス研磨用研磨材が提案されており、砥粒
の沈殿を柔らかいものとし、沈殿した砥粒を容易に再分
散させるものが得られるとしている。また、その他の方
法として、コロイド状の酸化物粒子(例えばコロイド状
シリカ、コロイド状アルミナなど)を添加したもの(従
来技術4)もあり、同様に再分散性が得られるとしてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの確認によれば、上記従来技術1乃至4において、
研磨後の被研磨物の加工表面に砥粒が付着し、それを除
去することが大変困難であるという問題があった。ま
た、従来技術1の研磨材は、研磨後の被研磨面に傷等の
欠陥が多く見られ、従来技術2のガラス研磨用研磨材
は、被研磨面にフッ素イオンが浸食したと思われる微小
な欠陥が見られた。さらに、上記のようなガラス研磨用
研磨材は、一般的に、一旦研磨に使用したものを数回繰
り返し使用して研磨材コストの低減を図っているが、繰
り返し使用した場合、従来技術3の研磨材では、その再
分散性が循環使用によって低下し、従来技術4では、組
成全体の粘度が高くなるため、再生使用のための処理で
あるフィルタリングを行う際に妨げとなるという問題が
あった。
【0009】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、酸化ケイ素材料を高能率かつ高精
度で研磨し、砥粒の固い沈殿の形成を防いで再分散性に
優れ、繰り返し使用していもその再分散性が持続でき、
研磨後の砥粒の洗浄性の高い研磨用組成物およびそれを
用いた酸化ケイ素材料の研磨方法を提供することを目的
としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る研磨用組成
物は、酸化ケイ素材料の研磨に使用される研磨用組成物
であって、(a)セリウムを含む希土類酸化物を主成分
とする砥粒と、(b)硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、
硝酸アンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、硫酸ナ
トリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸
セリウムアンモニウムから選ばれる少なくとも1種類の
水溶性塩類と、(c)水とを含んでなるものである。
【0011】本発明に係る研磨用組成物は、(b)の水
溶性塩類の含有量が、(a)の砥粒の含有量に対して
0.001〜20wt%の範囲内である。
【0012】また、本発明に係る研磨用組成物は、
(a)の砥粒の平均粒子径が、0.1〜3μmの範囲内
である。
【0013】本発明に係る酸化ケイ素材料の研磨方法
は、前記研磨用組成物を用いて、酸化ケイ素材料を研磨
する方法である。
【0014】以下、本発明をさらに詳細に説明する。な
お、以下の説明は本発明の理解を容易にするためのもの
であり、本発明を限定するものではない。
【0015】<砥粒>本発明に係る研磨用組成物の成分
の1つである砥粒としては、セリウムを含む希土類酸化
物を主成分とするものである。この砥粒は、一般に天然
鉱物から製造されたものを用いており、具体的には、バ
ストネサイトを原料とし、必要に応じて化学処理を行っ
た後、焼成、粉砕、分級することにより製造されたも
の、モナザイトを原料とし、トリウムおよびウランを除
去して残りの希土類を塩化し、さらに硫酸およびアルカ
リによって塩基性硫酸塩としたものを焼成、粉砕、分級
することにより製造されたもの、およびその他が挙げら
れる。そして、これらの砥粒は、酸化セリウム以外に、
フッ化セリウム(CeF3 )、オキシフッ化セリウム
(CeOF)等のセリウム化合物、ランタン(La)、
ネオジウム(Nd)およびサマリウム(Sm)など、他
の希土類成分を含んでいる。
【0016】このような天然鉱物から製造される砥粒に
含まれる酸化セリウムの含有量は、一般に30%以上で
あるが、焼成によりフッ化物を除くことによって希土類
酸化物の純度を上げたり、さらに化学反応等の精製によ
ってその酸化セリウムの含有量をさらに向上することが
可能であり、酸化セリウムを90%以上含むものも知ら
れている。
【0017】また、上記のような天然鉱物から製造され
たものの他に、炭酸セリウム、硝酸セリウム等のセリウ
ム化合物から化学的に合成される、いわゆる高純度酸化
セリウムと呼ばれるものがあり、これを用いてもよい。
この砥粒は、前述の鉱物から得られるものに比べて酸化
セリウムの含有量が高いのが特徴で、99.9%以上の
含有量を持つものもある。半導体デバイスの研磨など、
金属不純物の存在を嫌う環境下で用いられる場合は、こ
のような純度の高い砥粒を用いることが有効であり、ま
た必要とされることがある。しかしながら、上記の鉱物
から精製された砥粒に比べて非常に高価である。
【0018】本発明に係るセリウムを含む希土類酸化物
を主成分とする砥粒は、任意の粒子径のものを用い、測
定装置:マイクロトラックFRA(Dr.Philip
E.Plantz社製)で測定した平均粒子径(D5
0)の大きさが0.1〜3μmであり、20μm以上の
粗粒子を含まないことが好ましい。平均粒子径がこの範
囲よりも小さいと、十分な研磨速度を得られず、平均粒
子径がこの範囲よりも大きい、あるいは、20μm以上
の粗粒子を含むと、スクラッチが発生したり表面粗さが
大きくなって被研磨物の加工表面状態が劣化する。
【0019】<水溶性塩類>本発明に係る研磨用組成物
の成分の1つである水溶性塩類としては、硝酸ナトリウ
ム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸セリウムア
ンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アン
モニウムおよび硫酸セリウムアンモニウムから選ばれる
少なくとも1種類であり、上述の水溶性塩類のいずれか
2種類または3種類等の混合物でもよい。これは、砥粒
の固化を防いで再分散性を良好にし、研磨後の被研磨物
の洗浄性を向上させるものであり、研磨後の廃液を再び
使用する場合においても、優れた分散性および洗浄性を
維持することが可能である。
【0020】上記物質の中でも、硝酸セリウムアンモニ
ウム、硫酸セリウムアンモニウムまたはこれらの混合物
を使用することが好ましい。これらの水溶性塩類を用い
た場合、砥粒による酸化ケイ素材料の加工能率の低下が
起こらず、高い加工能率を維持することが可能である。
【0021】研磨用組成物中の水溶性塩類の含有量は、
用いる種類によっても若干異なるが、砥粒の量に対して
0.002〜20重量%、好ましくは0.01〜5%、
より好ましくは0.1〜3%である。水溶性塩類の含有
量がこの範囲よりも少ないと、十分な効果が期待できな
いため、研磨用組成物を繰り返し使用し続けることによ
り砥粒の分散性が悪化したり、研磨後の被研磨物の洗浄
性が悪化する。また、逆に過剰に多いと、再分散性およ
び洗浄性のさらなる向上は期待できないばかりか、使用
する水溶性塩類の種類によっては、砥粒による研磨加工
性を妨げて加工能率が低下することがある。
【0022】<水>本発明に係る研磨用組成物の成分の
1つである水は、工業用水、市水、脱イオン水、イオン
交換水、蒸留水、純水および超純水のいずれをも使用す
ることが可能であるが、研磨用組成物の安定性および研
磨加工において金属不純物が敬遠されることを考慮する
と、不純物を極力排除した脱イオン水、イオン交換水、
蒸留水、純水および超純水などを使用することが好まし
い。
【0023】<研磨用組成物>本発明に係る研磨用組成
物は、上記各成分、すなわちセリウムを含む希土類酸化
物を主成分とする砥粒を所望の含有量で水に分散させ、
水溶性塩類をさらに溶解させることにより調整する。こ
れらの成分の混合順序は任意であり、砥粒の水への分散
と水溶性塩類の溶解とのどちらを先に行うことも可能で
ある。
【0024】また、上記研磨用組成物の調整に際して
は、製品の品質保持や安定化を図る目的、被研磨物の種
類、研磨条件およびその他の研磨加工上の必要に応じ
て、各種の公知の添加剤をさらに加えてもよい。
【0025】すなわち、添加剤の好適な例としては、下
記のものが挙げられる。 (イ)無機の酸。例えば硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素
酸およびその他。 (ロ)アルカリ。例えばアルカリ金属およびアルカリ土
類金属の水酸化物。 (ハ)界面活性剤。例えばアルキルベンゼンスルホン酸
ソーダ、ポリアクリル酸塩およびその他。 (ニ)キレート剤。例えばEDTA、DTPA、NTA
およびその他。 (ホ)金属酸化物ゾル。例えばコロイダルシリカ、アル
ミナゾル、フュームドアルミナおよびその他。
【0026】さらに、本発明に係る研磨用組成物は、使
用時よりも高濃度の原液あるいは水を含まない粉末状の
混合物として輸送または保管することができ、前者の場
合は、実際の研磨加工時に希釈して使用し、後者の場合
は、実際の研磨加工時に混合物を水に分散および溶解さ
せて使用することもできる。前述の各成分の濃度範囲
は、実際の研磨加工時のものとして記載したのであり、
使用時に希釈する使用方法をとる場合は、輸送または保
管などの状態においてより高濃度の溶液となることは言
うまでもない。また、高濃度な溶液においても水溶性塩
類の溶解によって再分散性に優れているため、使用前の
組成物の調整が容易になることも言うまでもない。
【0027】ところで、本発明に係る研磨用組成物が、
砥粒の固い沈殿の形成を防いで再分散性に優れ、繰り返
し使用してもその再分散性が持続でき、研磨後の被研磨
物の洗浄性が優れている理由について、以下のように推
察される。
【0028】砥粒が分散された水に溶解する硝酸ナトリ
ウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸セリウム
アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ア
ンモニウムおよび硫酸セリウムアンモニウムから選ばれ
る少なくとも1種類の水溶性塩類の中の陽イオン(ナト
リウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩)の作用に
よって、セリウム粒子同士が緩やかな凝集状態となり、
砥粒の沈降時でも固い沈殿を形成せず、容易再分散可能
な沈殿を形成するためである。
【0029】また、洗浄性の向上については、前述の陽
イオンが、被研磨物である酸化ケイ素材料表面に吸着
し、砥粒が被研磨面に吸着するのを防いでいると考えら
れる。
【0030】<研磨方法>本発明に係る研磨方法は、上
記各成分、すなわちセリウムを含む希土類酸化物を主成
分とする砥粒と、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸
アンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、硫酸ナトリ
ウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸セリ
ウムアンモニウムから選ばれる少なくとも1種類の水溶
性塩類と、水とが含有された研磨用組成物を用いて、被
研磨物である酸化ケイ素材料を研磨することを含んでな
る。
【0031】この研磨方法は、酸化ケイ素材料を高能率
かつ高精度で研磨することができるとともに、砥粒の再
分散性および洗浄性にも優れた研磨方法である。さら
に、この研磨方法によれば、特に研磨用組成物を再生使
用した場合に優れた研磨能率および研磨精度を維持する
ことが可能であり、研磨後の被研磨物の洗浄性も同じく
維持することができる。
【0032】本発明に係る研磨用組成物が再生使用に優
れいている理由は以下の2点である。まず、その1つの
理由は、本発明に係る研磨用組成物が砥粒の再分散性に
優れているため、再生使用の際に行う処理であるフィル
タリングが容易に行えることである。研磨用組成物を再
生使用する場合、研磨済みの砥粒には、被研磨物の加工
時の切屑やそれらに砥粒が付着したものなどが存在し、
それらが組成物の性能を妨げるため、それらの物質のう
ち比較的大きいものをフィルタリングで除去するのであ
る。なお、再分散性の悪い砥粒を含んでいる場合は、フ
ィルタリングの際に凝集した砥粒が除去されるため、フ
ィルターに多くの砥粒が残ることになり、フィルターの
目詰まりが生じるなど、フィルタリングが能率的でない
ばかりか砥粒濃度が低下して、研磨性能が変化するおそ
れがある。
【0033】再生使用に優れいているもう1つの理由
は、その再分散性、洗浄性が再生使用の場合においても
維持されることである。その維持される理由については
明らかではないが、従来、添加剤として使用されていた
塩類は、研磨が進むにつれて被研磨物やその切屑と反応
を起こし、これによって消費されて、それらの効果を失
ってしまっていたと考えられている。しかしながら、本
発明に係る研磨用組成物に含まれる塩類による効果は、
被研磨物の表面への付着効果と考えられ、研磨によって
それらの反応が起こらず、従って研磨が進んでも添加物
の効果が持続されるものであると推測される。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は
その要旨を越えない限り、以下に説明する実施の形態に
限定されるものではない。
【0035】
【実施例】実施例1〜4および比較例1,2 <研磨用組成物の調整>砥粒として、炭酸希土からなる
天然鉱物を原料とし、これを焼成したものであって、全
酸化希土の含有量が砥粒全体に対して約99重量%、酸
化セリウムの含有量が全酸化希土に対して約60重量%
含まれたものを使用した。まず、この砥粒を水中に分散
させ、表1(表2)に示す水溶性塩類を砥粒に対して2
重量%となるように添加し、さらに水を加えて、砥粒濃
度が組成物全体に対して10重量%となるように調整し
た。そして、その組成物を撹拌して砥粒を十分に分散さ
せ、実施例1〜4および比較例1,2の各研磨用組成物
を調整した。なお、比較例1は水溶性塩類が添加されて
いないものであり、比較例2は硝酸セリウムを砥粒に対
して2重量%となるように添加されたものである。
【0036】<研磨試験>次に、実施例1〜4および比
較例1,2の各研磨用組成物を用いて、被研磨物として
平面用ガラスの表面を下記条件で研磨加工した。なお、
その研磨加工は、後述する研磨装置(図1参照)を用い
て行い、被研磨物の平面用ガラスを3枚、15分間研磨
する工程を1バッチとし、各バッチ毎に被研磨物を交換
して同様の研磨加工を行い、これを5バッチ行った。 被研磨物 2.5インチ アルミノシリケート平面用ガラス 研磨加工枚数 15枚(3枚/バッチとして5バッチ連続研磨した) 研磨機 片面研磨機(定盤径 380mm) 研磨パッド Surfin−000 ((株)フジミインコーポレーテッド製) 研磨加工圧力 70g/cm2 定盤回転数 100rpm 研磨用組成物供給量 300cc/分 研磨用組成物の総量 600cc 研磨時間 15分/バッチ
【0037】ここで、図1に示す研磨装置について説明
する。図において、3は上面に研磨パッド2が取り付け
られた鉄板からなる研磨機の研磨用定盤で、その下部に
は使用されて廃液となった研磨用組成物を回収する回収
皿4が設けられている。1は上面側が研磨パッド2に対
向するように設置されるキャリアで、上面には複数個
(ここでは3枚)の被研磨物7がその被研磨面がキャリ
ア1の上面より突出するように嵌合されるホルダー1a
が設けられており、研磨パッド2上に設置されたとき
に、キャリア1の重みで被研磨物7が押圧されるように
なっている。5は未使用の研磨用組成物および回収皿4
で回収された使用済み研磨用組成物が収容される収容容
器、6は収容容器5内の研磨用組成物を研磨パッド2側
に供給するポンプである。
【0038】このように構成された研磨装置において、
被研磨物7を配置したキャリア1を研磨パッド2上に設
置し、ポンプ6を駆動すると、研磨パッド2に収容容器
5内の研磨用組成物が所定量供給される。ついで、研磨
用定盤3を回転すると、被研磨物7は自転するキャリア
1の動きと相俟って被研磨面が研磨用組成物により研磨
される。この研磨加工を15分間行い、研磨加工終了
後、新しい被研磨物7と交換して同様の研磨加工を行
う。研磨中、廃液となった研磨用組成物は回収皿4で回
収されて収容容器5に送られ、次の研磨加工に使用され
る。なお、実施例では上述した研磨加工を5バッチ連続
で行った。
【0039】<再分散性の評価>研磨加工終了後、各バ
ッチ毎に収容容器5から研磨用組成物を10ccずつ抜
き出し、それぞれを小ビンに詰めて24時間放置し、そ
の後、各小ビンを軽く上下に振ることで再分散性の確認
を行った。その評価基準は以下の通りである。 ○:容易に再分散し、小ビンの底に硬い凝集物は見られ
ない。 ×:小ビンの底に硬い凝集物が残る。
【0040】<洗浄性の評価>さらに、研磨加工後の各
平面用ガラスを純水にて洗浄し、乾燥した後、各バッチ
毎の平面用ガラスの表面を目視により観察して、砥粒の
残留による汚れから評価を行った。その評価基準は以下
の通りである。 ○:ガラス表面に砥粒の残留による汚れが確認されな
い。 ×:ガラス表面に砥粒の残留による汚れが確認される。
【0041】以上、再分散性および洗浄性の評価結果を
表1および表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1から明らかなように、例えば硫酸第二
セリウムアンモニウムおよび硝酸第二セリウムアンモニ
ウム等の水溶性塩類を含む実施例1〜4は、いずれのバ
ッチにおいても砥粒の固い沈殿が形成されず繰り返し使
用しても再分散性が持続されていることがわかる。これ
に対して、水溶性塩類を含まない比較例1および本発明
に係る水溶性塩類以外の塩類が含有された比較例2は、
いずれも初期の1バッチ目から砥粒の固い沈殿が形成さ
れ、再分散性が悪いことがわかる。
【0045】また、表2から明らかなように、実施例1
〜4は、いずれのバッチにおいても砥粒が残留せず洗浄
性に優れていることがわかる。これに対して、比較例
1,2は、いずれのバッチにおいても砥粒の残留が目視
でき、洗浄性が悪いことがわかる。
【0046】なお、上述に実施例では、水溶性塩類とし
て硫酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウムアンモニウ
ム、硝酸ナトリウムおよび硝酸アンモニウムを用いた場
合を例示して説明したが、他の水溶性塩類、つまり硝酸
カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸ア
ンモニウムを用いた場合も同様の効果を奏する。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明に係る研磨用組成物
は、酸化ケイ素材料の研磨に使用される研磨用組成物で
あって、(a)セリウムを含む希土類酸化物を主成分と
する砥粒と、(b)硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝
酸アンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、硫酸ナト
リウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸セ
リウムアンモニウムから選ばれる少なくとも1種類の水
溶性塩類と、(c)水とを含んでなるものである。
【0048】これにより、酸化ケイ素材料の研磨におい
て、砥粒の固い沈殿の形成を防ぎ、再分散性に優れ、繰
り返し使用していもその再分散性が持続でき、研磨後の
砥粒の洗浄性の高い研磨用組成物が得られる。
【0049】本発明に係る研磨用組成物は、(b)の水
溶性塩類の含有量が、(a)の砥粒の含有量に対して
0.001〜20wt%の範囲内であるので、繰り返し
使用しても再分散性および洗浄性に優れた研磨用組成物
が得られる。
【0050】本発明に係る研磨用組成物は、(a)の砥
粒の平均粒子径が、0.1〜3μmの範囲内であるの
で、十分な研磨速度を得ることができるとともに、スク
ラッチの発生を防いで優れた加工表面を得ることができ
る研磨用組成物が得られる。
【0051】本発明に係る酸化ケイ素材料の研磨方法
は、前記研磨用組成物を用いて、酸化ケイ素材料を研磨
する方法であるので、砥粒の固い沈殿の形成を防ぎ、再
分散性に優れ、高能率でしかも高精度に加工することが
でき、研磨後の被研磨物に付着した砥粒を洗浄によって
容易に除去することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】研磨試験に用いられる研磨装置の模式図および
その要部の上面図である。
【符号の説明】 1 キャリア 2 研磨パッド 3 研磨用定盤 4 回収皿 5 収容容器 6 ポンプ 7 被研磨物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸松 正利 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領2丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内 Fターム(参考) 3C058 AC04 CA05 CB01 CB03 CB05 CB10 DA02 4G059 AA01 AA11 AB03 AB09 AC03 5D112 AA02 AA24 BA03 GA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ケイ素材料の研磨に使用される研磨
    用組成物であって、(a)セリウムを含む希土類酸化物
    を主成分とする砥粒と、(b)硝酸ナトリウム、硝酸カ
    リウム、硝酸アンモニウム、硝酸セリウムアンモニウ
    ム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム
    および硫酸セリウムアンモニウムから選ばれる少なくと
    も1種類の水溶性塩類と、(c)水とを含んでなる研磨
    用組成物。
  2. 【請求項2】 前記(b)の水溶性塩類の含有量が、前
    記(a)の砥粒の含有量に対して0.001〜20wt
    %の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の研磨
    用組成物。
  3. 【請求項3】 前記(a)の砥粒の平均粒子径が、0.
    1〜3μmの範囲内であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の研磨用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の研磨
    用組成物を用いて、酸化ケイ素材料を研磨することを特
    徴とする研磨方法。
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