JP5512962B2 - フッ素及び硫黄を含有するセリウム系研摩材 - Google Patents

フッ素及び硫黄を含有するセリウム系研摩材 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素及び硫黄を含有するセリウム系研摩材及びその製造方法に関する。
従来より、フッ素(以下、場合によりFと記載する)若しくは硫黄(以下場合によりSと記載する)成分を含有したセリウム系研摩材として、例えば、F(フッ素)を0.8%、SOを1.2%(S換算で0.48%)含有し、平均粒径D50(レーザー回折・散乱法粒子径分布における体積基準の積算分率における50%径)が2.04μmであるものが開示されている(特許文献1、Example4参照)。このセリウム系研摩材は、セリウム水和物(水酸化物)を水に懸濁させ、フッ酸及び硫酸を添加し(一部のみ溶解)、固体の炭酸水素アンモニウムにてpH調整を行い、ろ過、洗浄、乾燥、焼成後ジェットミルにて粉砕して製造される。
また、SOを0.18%(S換算で0.07%)含有するセリウム系研摩材も開示されている(特許文献2、実施例6参照)。このセリウム系研摩材は、ガラスディスクの研摩加工に使用した廃研摩液を塩酸溶解、固液分離して得た塩化希土水溶液に炭酸水素アンモニウムを加えて炭酸希土を沈殿させ、固液分離し、焼成させて製造される。
国際公開第2007/009145号パンフレット 特開2004−175652号公報
上記特許文献1や特許文献2に開示されたセリウム系研摩材では、研摩時の初期は研摩速度が大きくとも、連続的に使用すると早期に研摩速度が低下する等の問題があり、実用的なセリウム系研摩材としては満足できるものではない。
そこで、本発明は、安定して研摩速度を維持できるセリウム系研摩材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、フッ素含有化合物をフッ素換算で1.0質量%〜10.0質量%と、硫黄含有化合物を硫黄換算で0.05質量%〜3.0質量%とを含有し、CeO/TREOが40質量%〜95質量%であり、BET法比表面積をAm/gとし、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準のメジアン径をDμmとしたときに、Aが1.0〜20であり、A×Dが2.5〜18であることを特徴とするものとした。
本発明のセリウム系研摩材は、フッ素含有化合物をフッ素換算で1.0質量%〜10.0質量%含有するものである。この範囲内であると、研摩時の研摩速度が高く、研摩傷の発生も少なくなる。フッ素が1.0質量%未満であると、研摩速度が低くなり、フッ素が10.0質量%を超えると、研摩傷の発生が多くなる。このフッ素含有量は、好ましくは2.0質量%〜9.0質量%であり、さらに好ましくは3.0質量%〜8.0質量%である。このフッ素は、希土類元素のフッ素含有化合物、例えば、希土類元素オキシフッ化物、希土類元素三フッ化物、希土類オキシフルオロ硫化物などとして含有されていることが好ましい。
そして、本発明のセリウム系研摩材は、硫黄含有化合物を硫黄換算で0.05質量%〜3.0質量%含有するものである。この範囲内であると、含有したフッ素と共に作用して、研摩時のpH上昇が抑制され、研摩速度が長時間維持できる。硫黄が0.05質量%未満であると、上述した効果がほとんど得られなくなり、硫黄が3.0質量%を超えると、研摩傷の発生が多くなる。この硫黄の含有量は、好ましくは0.1質量%〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%〜1.0質量%である。この硫黄は、希土類元素の硫黄含有化合物、例えば、希土類硫酸塩(硫酸セリウム(IV)、Ln(SO)、希土類オキシ硫化物(LnS、Ce)、希土類オキシフルオロ硫化物(Ln)などとして含有されていることが好ましい。
また、本発明のセリウム系研摩材は、上記した所定量のフッ素及び硫黄の含有するもので、CeO/TREOが40質量%〜95質量%であることが好ましい。すなわち、セリウム系研摩材の全酸化希土に対する酸化セリウムが、40質量%〜95質量%である。このCeO/TREOが40質量%未満であると、研摩速度が小さくなり、95質量%以上であると、研摩傷の発生が多くなる。このCeO/TREOは、より好ましくは50質量%〜85質量%であり、さらに好ましくは55質量%〜80質量%である。
さらに、本発明のセリウム系研摩材は、上記した所定量のフッ素及び硫黄の含有と、所定のCeO/TREOであることに加え、BET法比表面積をAm/gとし、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準のメジアン径をDμmとしたときに、Aが1.0〜20であり、A×Dが2.5〜18である。BET法比表面積Aが1.0未満であると、研摩傷の発生が多くなり、20よりも大きくなると、研摩速度が小さくなる。そして、A×Dが2.5未満であると、研摩傷が発生しやすくなり、18を超えると、研摩速度を長時間維持できなくなる。
このBET法比表面積Aと、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準のメジアン径Dとの積は、研摩速度の維持性及び研摩傷の発生しやすさを示す指標となる。BET法比表面積Aは、より好ましくは1.5〜12であり、A×Dは2.8〜11である。Aが1.5〜12であると、研摩速度と研摩傷の発生とのバランスがよく、A×Dが2.8〜11であると、研摩速度の維持性が非常に優れ、研摩傷の発生がほとんどないようになる。
上述した本発明のセリウム系研摩材は、セリウムを主成分とするフッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液と、沈殿剤とを混合して沈殿を生成し、固液分離して焼成することにより得ることができる。
本発明の製造方法では、フッ素と硫黄とが固形分中に存在した状態ではなく、水溶液となっているフッ素含有希土類硫酸塩に沈殿剤とを混合して沈殿を生成するようにしているので、フッ素及び硫黄が沈殿物中に均一に分布するようになり、結果として得られるセリウム系研摩材も、フッ素及び硫黄が均一に分布したものとなる。
沈殿剤は、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、しゅう酸、しゅう酸アンモニウム、しゅう酸ナトリウム、尿素、アンモニア、水酸化ナトリウムから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらを用いることで、フッ素及び硫黄が均一に分布した希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩、希土類しゅう酸塩、希土類水酸化物等の希土類化合物の沈殿を、希土類元素及びフッ素の損失を抑制して、得ることができる。
また、沈殿剤の使用量は、希土類元素に対する理論値の0.9〜3.0倍が好ましく、1.0〜2.0倍がより好ましく、1.05〜1.5が特に好ましい。通常、希土類元素は水溶液中ではCeも含めて、+3価である場合が多いため、Ce(IV)を含む水溶性塩を溶解した場合などの特殊な場合を除き、理論量を算出する際は+3価で計算してよい。Ce(IV)を含む場合は、Ceを+4価で、他の希土類元素を+3価で計算する。生成する沈殿は、フッ素が希土類元素と結合しているため、沈殿剤の使用量は希土類元素に対する理論量より少なくてもよい場合がある。沈殿剤の使用量が少なすぎると、希土類元素やフッ素の沈殿物への固定が不十分になりやすくなり、使用量が多すぎると高コストになる。
本発明の製造方法におけるフッ素を含有した希土類硫酸塩は、希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種を硫酸で溶解し、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも1種を加えることにより得られたものであることが好ましい。
また、本発明の製造方法におけるフッ素を含有した希土類硫酸塩は、希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種と、希土類のフッ素含有化合物とを硫酸で溶解して得られたものであることが好ましい。硫酸は、塩酸などと異なり、希土類のフッ素化合物を溶解することができるので、希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種と、希土類のフッ素含有化合物とを硫酸で溶解して、本発明の製造方法におけるフッ素を含有した希土類硫酸塩を得ることができる。
さらに、本発明の製造方法におけるフッ素を含有した希土類硫酸塩は、希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種と、希土類のフッ素含有化合物とを硫酸で溶解し、さらにフッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも1種を加えることにより得られたものであることが好ましい。
上記した本発明のセリウム系研摩材の製造方法においては、希土類酸化物として、使用済みのセリウム系研摩材を使用することができる。この使用済みのセリウム系研摩材がフッ素を含有する場合は、希土類酸化物と希土類のフッ素含有化合物との混合物に相当することになり、上記した本発明の製造方法が適用できる。
また、本発明の製造方法におけるフッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液は、希土類硫酸塩(固体)、水、及びフッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも一種を混合することによって得られるものであることが好ましい。
そして、いずれの場合においても、フッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液中には、ごくわずかな固形分が含まれる場合があるため、ろ過等の固液分離手段により固形分をほぼ完全に除去したものであることが好ましい。
さらに、いずれの場合、フッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液中のフッ素含有量が少ない場合には、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも一種を沈殿前に添加してフッ素含有量を調整することができる。また、生成した沈殿物のフッ素含有量が少ない場合には、スラリー状態となっている沈殿物に、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも一種を添加してフッ素含有量を高めることが可能である。但し、フッ素の均一性を考慮するならば、沈殿生成前の、フッ素含有希土類硫酸塩水溶液に対して行うことが好ましい。そして、生成した沈殿物に対してフッ素含有量を調整する場合は、調整前の沈殿物が含有するフッ素量の、好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下、特に好ましくは1/4以下のフッ素を添加する。沈殿物に添加するフッ素量が多すぎると、フッ素の分布が不均一になり、焼成時にフッ素濃度が高い部分が異常粒成長して粗粒となり、研摩傷を発生しやすくなる。
本発明のセリウム系研摩材の製造方法における焼成温度は、700℃〜1200℃が好ましく、750℃〜1150℃がより好ましく、800℃〜1100℃がさらに好ましい。700℃未満であると、研摩速度が低くなり、1200℃を超えると、研摩傷の発生しやすいセリウム系研摩材になる傾向となる。
以上説明したように、本発明によれば、フッ素及び硫黄を含有するセリウム系研摩材であって、安定して研摩速度を維持できるセリウム系研摩材を提供することができる。また、本発明によれば、使用済みのセリウム系研摩材を効率的に再利用に供することができる。
本発明の最良の実施形態について、実施例及び比較例を参照しながら詳説する。まず初めに、本実施例及び比較例のセリウム系研摩材を製造方法について説明する。表1〜表3に、各製造条件、組成成分量等を示す。
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実施例1〜実施例6、比較例1、比較例2:
表1に示すように、これらのセリウム系研摩材は、沈殿の水洗回数を変えて硫黄含有量を変化させたものを製造した。原料としては、CeO/TREOが63質量%のものを使用した。溶解時に使用する98%硫酸と原料の全酸化希土(TREO)との質量比(98%硫酸/TREO)は0.95とした。沈殿剤は、50g/Lの炭酸水素アンモニウム水溶液(表中、「AHC」と表示)を、希土類元素を3価として計算した理論量の1.1倍を添加した。また、焼成温度は850℃した。
製造手順は、所定量の98%硫酸と所定量の水とを混合して10%硫酸とし、この10%硫酸を撹拌しながら所定量の炭酸希土(S<0.02質量%、以下の炭酸希土も同じ)を適度な発砲状態を維持する速度で加えて溶解した。この溶解液を5μm及び1μmのカートリッジフィルターを二連で取り付けたろ過装置を通過させ、溶解液中に残存するわずかな固形分を除去した。そして。固形分を除去した溶解液を撹拌しながら、F(フッ素)/TREOが所定の割合になる量の55%フッ化水素酸を約30分間かけて添加し、さらに30分間撹拌を継続した後、真空ろ過を行い、わずかに発生した固形分を除去して、フッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液を作製した。続いて、この希土類硫酸素溶液を撹拌しながら50℃まで昇温し、所定量の50g/L炭酸水素アンモニウム水溶液を約30分間かけて添加して沈殿を生成した。生成した沈殿物を含むスラリーを平均粒径(D50:小粒径側からの累積体積50%における粒径)が約1.5μmになるまで湿式粉砕した。そして、湿式粉砕スラリーを真空ろ過機により固液分離した後、固形分を真空ろ過機に保持したまま、TREO1kg当たり1Lの水を上から加えて行う水洗処理を行った。この水洗は、各表に記載した回数行った。その後、真空ろ過機より取り出したものを、850℃にて6時間焼成して、解砕して分級処理をしてセリウム系研摩材を製造した。
実施例7:
この実施例7では、表1に示すように、溶解時に使用する98%硫酸と原料の全酸化希土(TREO)との質量比(98%硫酸/TREO)は1.4と、その他の条件は実施例1と同様にして、硫黄含有量が3.0質量%のものを製造した。
実施例8〜実施例12、比較例3、比較例4:
これらのセリウム系研摩材は、表1に示すように、焼成温度を変化させて製造した。沈殿時の水洗回数は3回に固定し、その他のその他の条件は実施例1と同様にして、BET法比表面積(Am/g)と、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準のメジアン径をDμmとを変化させたセリウム系研摩材を製造した。
実施例13〜実施例16、比較例6、比較例6:
これらのセリウム系研摩材は、表2(実施例3も含めて記載)に示すように、原料の炭酸希土におけるCeO/TREOを変化させたものを製造した。沈殿時の水洗回数は3回に固定し、その他のその他の条件は実施例1と同様にして、セリウム系研摩材を製造した。
実施例17〜実施例22、比較例7〜比較例9:
これらのセリウム系研摩材は、表2(実施例3も含めて記載)に示すように、HFの添加量を変化させて、フッ素含有量が異なるものを製造した。沈殿時の水洗回数は3回に固定し、その他のその他の条件は実施例1と同様にして、セリウム系研摩材を製造した。
実施例23〜実施例25:
これらのセリウム系研摩材は、表3(実施例3も含めて記載)に示すように、沈殿剤の種類を変えた。実施例23は、沈殿剤として50g/Lの炭酸ナトリウム水溶液(表中「SC」と記載)を、実施例24は、沈殿剤として50g/Lのしゅう酸水溶液(表中「OA」と記載)を、実施例25は、沈殿剤として5%のアンモニア水(表中「AW」と記載)を用い、それぞれ、希土類元素を3価として計算した理論量の1.1倍を添加した。沈殿時の水洗回数は3回に固定し、その他のその他の条件は実施例1と同様にして、セリウム系研摩材を製造した。但し、沈殿剤として50g/Lの炭酸ナトリウム水溶液(SC)を使用した場合は、沈殿後の固液分離した固形分に対して、Naを低減し、硫酸を若干残るようにするため、0.1mol/Lの硫酸水溶液にて、7回洗浄した。
実施例26、実施例27:
これらのセリウム系研摩材は、表3に示すように、原料として、炭酸希土に加えて、フッ化希土(CeO/TREO 61質量%、F(フッ素)/TREO 16質量%、S(硫黄)<0.02質量%)を、所定のF(フッ素)/TREOとなるように混合したものを使用した。沈殿時の水洗回数は3回に固定し、その他の条件は実施例1と同様にして、セリウム系研摩材を製造した。但し、実施例26の場合はHFの添加は無しである。実施例27の場合は、上記実施例1の場合と同様に、所定量の98%硫酸と所定量の水とを混合して10%硫酸とし、この10%硫酸を撹拌しながら所定量の炭酸希土及びフッ化希土を適度な発砲状態を維持する速度で加えて溶解し、この溶解液を5μm及び1μmのカートリッジフィルターを二連で取り付けたろ過装置を通過させ、溶解液中に残存するわずかな固形分を除去した後、固形分を除去した溶解液を撹拌しながら、F(フッ素)/TREOが7.4質量%となる量の55%フッ化水素酸を約30分間かけて添加し、さらに30分間撹拌を継続した後、真空ろ過を行い、わずかに発生した固形分を除去して、フッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液を作製したものである。
比較例10、比較例11:
これらのセリウム系研摩材は、次のような製造手順により製造した。その製造手順は、原料である炭酸希土を平均粒径(D50:小粒径側からの累積体積50%における粒径)が約1.5μmになるまで湿式粉砕し、F(フッ素)/TREOが7.4質量%となる量の55%フッ化水素酸を約30分間かけて添加し、さらに30分間撹拌を継続した後、真空ろ過機みて固液分離を行った。そして、固形分を真空ろ過機に保持したまま、TREO1kg当たり1Lの水を上から加えて行う水洗処理を3回行った。その後、真空ろ過機より取り出したものを、850℃にて6時間焼成して、解砕して分級処理をしてセリウム系研摩材を製造した(比較例10)。比較例11の場合、分級処理後のものに、乾式粉砕した石膏(CaSO)を研摩材中の硫黄含有量が0.5質量%となるように添加混合したセリウム系研摩材とした。
以上のようにして製造した各実施例及び比較例のセリウム系研摩材について、フッ素及び硫黄含有量、X線回折によるS含有化合物の定性分析、BET比表面積、レーザー回折・散乱法による体積基準のメジアン径の各測定、そして、ガラス基板についての研摩速度及び研摩傷評価を行った。その結果を表4〜表6に示す。
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ここで、表1〜表6に示す各数値の測定条件及び研摩評価条件について説明する。
全酸化希土(TREO)の測定:
研摩材原料或いは研摩材原料の全酸化希土は、シュウ酸塩沈殿・焼成・重量法により測定した(単位 固形物:質量%、液:g/L)。前処理として、固形物(研摩材原料或いは研摩材)は過塩素酸及び過酸化水素により溶解し、煮沸して行った。測定対象が液である場合は、そのまま煮沸して行った。また、CeO/TREOについては、上記した全酸化希土(TREO)測定を行って得られたTREO試料を、過塩素酸及び過酸化水素により溶解し、ICP−AES法により測定した。
フッ素及び硫黄含有量の測定:
フッ素(F)含有量は、フッ化物イオン電極法(単位 固形物:質量%、液:g/L)により測定した。測定対象となる固形物は(研摩材原料或いは研摩材)、アルカリ溶融・温湯抽出により溶液化して測定を行った。また、硫黄(S)含有量は、測定対象となる固形物(研摩材原料或いは研摩材)を過塩素酸及び過酸化水素により溶解し、ICP−AES法により測定した。尚、F(フッ素)/TREOについては、測定したフッ素含有量と、上記した全酸化希土とによりその比率を算出することにより特定した(F(フッ素)/TREO=F含有量(質量%又はg/L)÷TREO(質量%又はg/L)×100)。
X線回折でのS含有化合物の定性分析:
X線分析装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製、MPX18)により、各セリウム系研摩材のS含有化合物の定性分析を行った。測定条件は、Cu−Kα線を用い、管電圧40kV、管電流150mA、スキャン速度(2θ)4°/分、サンプリング幅0.02°、スキャン範囲2θ=5°〜90°とした。そして、得られたX線回折パターンより、2θ=30°付近に硫酸セリウム(IV)のピークが確認できるか否かにより、S含有化合物の判定をした。また表中、◎としたものは、石膏のピークは無かったが、2θ=30°付近に硫酸セリウム(IV)のピークが確認できたものである。○としたものは、石膏のピークが確認されたが、2θ=30°付近に硫酸セリウム(IV)のピークは確認されなかったものである。×としたものは、石膏のピークも確認できず、2θ=30°付近に硫酸セリウム(IV)のピークも確認できなかったものである。
BET比表面積(A)の測定:
JIS R 1626-1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)の「6.2 流動法 の(3.5)一点法」に準拠して測定を行った。その際、キャリアガスであるヘリウムと、吸着質ガスである窒素の混合ガスを使用した。なお、スラリー研摩材についての測定では、当該スラリーを十分に乾燥(105℃に加熱)させることにより得られた乾燥品についてBET法比表面積を測定した。
レーザー回折・散乱法による体積基準のメジアン径(D)の測定:
レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製:LA−920)を使用して粒度分布を測定することにより、体積基準のメジアン径(D:小粒径側からの累積体積50%における粒径)を求めた。
研摩速度:
研摩機として、研摩試験機(HSP−2I型、台東精機(株)製)を用意した。この研摩試験機は、スラリー状の研摩材を研摩対象面に供給しながら、当該研摩対象面を研摩パッドで研摩するものである。研摩材スラリーの砥粒濃度は、100g/Lとした(分散媒は水のみ)。そして、本研摩試験では、スラリー状の研摩材を5リットル/分の割合で供給することとし、研摩材を循環使用した。なお、研摩対象物は65mmφの平面パネル用ガラスとした。また、研摩パッドはポリウレタン製のものを使用した。研摩面に対する研摩パッドの圧力は9.8kPa(100g/cm2)とし、研摩試験機の回転速度は100min−1(rpm)に設定し、1枚のガラスにつき、5分間の研摩をした。この研摩作業を連続して行い、その10枚目の研摩速度と、100枚目の研摩速度を測定した。この研摩速度は、特定時間の研摩処理を行い、研摩前後のガラス重量を測定して研摩によるガラス重量の減少量を求め、この値に基づき研摩値を、比較例3の相対値(比較例3の10枚目の研摩値結果を100とした場合の相対値)として求めた。また、表4〜表6には、10枚目の研摩速度に対する100枚目の研摩速度の比率も算出し、記載した。
研摩傷:
研摩傷評価は、30万ルクスのハロゲンランプを光源として用いる反射法で研摩後のガラス表面を観察し、大きな傷および微細な傷の数を点数化し、100点を満点として減点評価する方式で行った。この傷評価では、ハードディスク用あるいはLCD用のガラス基板の仕上げ研摩で要求される研摩精度を判断基準とした。研摩傷を評価したガラスは、20、30、40、50、60、70、80、90枚目の計8枚を選び、8枚分の傷を合計して評価した。具体的には表4〜表6中、「◎」は、98点以上(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に非常に好適)であることを、「○」は、98点未満95点以上(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に好適)であることを、「△」は、95点未満90点以上(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に使用可能)であることを、そして「×」は、90点未満(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に使用不可)であることを示す。
表4〜表6に示す結果より、各実施例のセリウム系研摩材は、比較例のものよりも、研摩特性に非常に優れることが判明した。具体的には、10枚目の研摩速度と100枚目の研摩速度がほぼ同等の結果となり、長期間安定して優れた研摩速度が維持できることが判明した。また、研摩傷についても、仕上げ研摩レベルであった。これに対して、各比較例については、研摩速度の安定性、研摩傷のいずれか、或いは両者共に良好でない結果を示すものであった。

Claims (5)

  1. フッ素含有化合物をフッ素換算で1.0質量%〜10.0質量%と、硫黄含有化合物を硫黄換算で0.05質量%〜3.0質量%とを含有し、CeO/TREOが40質量%〜95質量%であり、
    フッ素は希土類元素のフッ素含有化合物として含有されており、硫黄は希土類元素の硫黄含有化合物として含有されているものであり、
    BET法比表面積をAm/gとし、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準のメジアン径をDμmとしたときに、Aが1.0〜20であり、A×Dが2.8〜11であることを特徴とするセリウム系研摩材。
  2. 請求項1に記載のセリウム系研摩材の製造方法であって、
    希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種を硫酸で溶解し、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも1種を加えることにより得られた、セリウムを主成分とするフッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液と、沈殿剤とを混合して沈殿を生成し、固液分離して焼成することを特徴するセリウム系研摩材の製造方法。
  3. 請求項1に記載のセリウム系研摩材の製造方法であって
    希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種と、希土類のフッ素含有化合物とを硫酸で溶解して得られた、セリウムを主成分とするフッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液と、沈殿剤とを混合して沈殿を生成し、固液分離して焼成することを特徴するセリウム系研摩材の製造方法。
  4. 請求項1に記載のセリウム系研摩材の製造方法であって、
    希土類酸化物、希土類水酸化物、希土類炭酸塩、希土類塩基性炭酸塩から選択された少なくとも1種と、希土類のフッ素含有化合物とを硫酸で溶解し、
    さらにフッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも1種を加えることにより得られた、セリウムを主成分とするフッ素を含有した希土類硫酸塩水溶液と、沈殿剤とを混合して沈殿を生成し、固液分離して焼成することを特徴するセリウム系研摩材の製造方法。
  5. 沈殿剤は、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、しゅう酸、しゅう酸アンモニウム、しゅう酸ナトリウム、尿素、アンモニア、水酸化ナトリウムから選択される少なくとも1種である請求項2〜請求項4いずれかに記載のセリウム系研摩材の製造方法。
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