JP4411251B2 - セリウム系研摩材 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素を含有するセリウム系研摩材及びその製造方法並びに該セリウム系研摩材にて研摩されたガラス基板に関する。
従来より、フッ素成分を含有したガラス基板用のセリウム系研摩材として、例えば、La及びNdをセリウム(Ce)に対して0.5原子%以上含有し、比表面積が12m/g以下で、X線回折におけるCeOを含有する希土類酸化物のメインピークの強度に対する、希土類三フッ化物、のピーク強度の比の範囲を規定したもの、加えて希土類オキシフッ化物の強度の比の範囲を規定したセリウム系研摩材が知られている。(特許文献1及び特許文献2参照)。また、全細孔容積が0.002〜0.1cmであるセリウム系研摩材もある(特許文献3参照)。
特開2002−97457号公報 特開2002−97458号公報 特開2002−241740号公報
希土類元素であるセリウム(Ce)を必須とし、酸素、場合によってはフッ素を主成分とするセリウム系研摩材は、ハードディスク(HD)用、フォトマスク用、液晶(LCD)用などのガラス基板や、半導体基板の研摩に用いられている。このセリウム系研摩材には、研摩速度を高めること、研摩対象物への研摩材の付着を減らすとともにたとえ付着しても容易に洗浄できることなどの特性が要求される。
上記特許文献1及び特許文献2に開示されたセリウム系研摩材は、研摩速度に優れ、研摩傷の発生も少ない優れた研摩材である。しかしながら、近年、研摩後のガラス基板(ハードディスク用、フォトマスク用、フラットパネルディスプレイ用等)及び水晶基板の表面粗さ及び微小うねりの低減要求は非常に厳しくなり、特許文献1及び特許文献2のセリウム系研摩材では、特に表面粗さ及び微小うねりの低減が厳しく要求されるガラス基板の仕上げ研摩には適用が困難となっている。また、特許文献3のセリウム系研摩材についても、ある程度の仕上げ研摩ができるものの、特許文献1及び特許文献2のセリウム系研摩材と同様に、近年のガラス基板における仕上げ研摩用途としては満足できるものではない。
そこで、本発明は、被研摩物の表面、特に、ガラス基板及び水晶基板の表面粗さ及び微小うねりを極力小さくした状態に研摩できる、フッ素含有セリウム系研摩材並びにその製造方法を提供することを目的とする。また、非常に厳しい研摩後の表面性状、即ち、表面粗さ及び微小うねりが極力小さく研摩ガラス基板を実現することを課題とする。
本発明は、フッ素を含有し、CeO/TREO≧40質量%であるセリウム系研摩材において、前記セリウム研摩材をガス吸着法で測定した吸着等温線から細孔径分布を微分細孔容積(dV/dD)として算出する際に、少なくとも細孔径3.2nm〜100nmを含む範囲において、複数の級に分割し、各級の幅を、級の上限値の常用対数値から級の下限値の常用対数値を引いた値が0.10以下となるようにして細孔径分布を特定し、細孔径の最小の級から細孔径100nmを含む級の間における微分細孔容積(dV/dD)が、級の中心値が5.0〜30nmの範囲にある級において最大値をとることを特徴とするものとした。
本発明では、ガス吸着法で測定した吸着等温線から得られる細孔径分布より算出される微分細孔容積(dV/dD)によって、セリウム系研摩材を特定したことに特徴がある。この微分細孔容積(dV/dD)は、広い範囲の細孔分布を表現する際に利用されるもので、特に細孔径の小さな値を領域の細孔径分布を強調して表現できるファクターである。この微分細孔容積(dV/dD)とは、差分細孔容積(dV)を級の幅、即ち、級の上限値から級の下限値についての差の値により割ったものをいう。そして、差分細孔容積(dV)とは、細孔径分布を特定する際における、各級の細孔径を有する細孔の容積をいう。この差分細孔容積は級の幅により大きく変化するので、級の幅が異なる細孔径分布について、その差分細孔容積の最大値をもってセリウム径研摩材を特徴付けることは殆ど意味がないものといえる。一方、本発明のように、差分細孔容積(dV)を級の幅(dD)で割ることにより、級の幅の影響を排除した、微分細孔容積(dV/dD)の最大値によりセリウム系研摩材を特定すると、その研摩特性を的確に表現できるようになるのである。
本発明における細孔径分布に関する用語は、JIS Z 8101−1:統計−用語と記号−第1部 確率及び一般統計用語 に記載されたものである。ちなみに、「級」とは計量特性の変動の全範囲を順次分割して作る一連の区間をいい、「級の幅」とは計量特性に対する級の上限と下限の差をいい、「級の中心」とは計量特性に対する級の上限と下限の算術平均をいうものである。
本発明に係るセリウム径研摩材を特定する際の細孔径分布の測定について説明する。本発明では、いわゆるガス吸着法で測定した吸着等温線からその細孔径分布を特定する。このとき、細孔径の測定範囲は、少なくとも細孔径3.2nm〜100nmを含むようにする。そして分布状態を特定する為の級の幅は、級の上限値の常用対数値から級の下限値の常用対数値を引いた値が0.10以下となるようする。このようにして特定した細孔径分布に基づき、各級における微分細孔容積(dV/dD)を算出し、その最大値を見つけだす。この微分細孔容積の最大値が、級の中心値が5.0〜30nmの範囲にある級に存在するものが、本発明のセリウム径研摩材となる。
本発明のセリウム系研摩材において、上記微分細孔容積の最大値を示す級が、級の中心値が5nm未満の領域に存在する場合、被研摩物における研摩面の表面粗さ及び微小うねりが大きくなり易くなる。また、級の中心値が30nmを超える級に存在する場合には、研摩速度が低くなる傾向となる。実用的には、級の中心値で7〜25nmの範囲にあることが好ましく、10〜20nmの範囲にあることが更に望ましい。尚、本発明において細孔径分布を特定する際の級については、級の幅を定める上限値の常用対数値から下限値の常用対数値を引いた値が0.10以下となるように決定するが、好ましくは0.08以下、より好ましくは0.06以下とする。この級の幅が広すぎる場合、つまり、0.10を超えると、細孔径分布の最大値の精度が悪くなり、本発明に係るセリウム系研摩材の研摩特性に対する信頼性が低下する傾向となる。
本発明に係るセリウム系研摩材は、フッ素を含有していることが前提で、フッ素を含有していないと研摩速度が低いものとなる。このフッ素含有量は、好ましくは3.0〜5.5質量%、より好ましくは4.0〜5.0質量%である。3.0質量%未満であると、研摩速度が低くなる傾向となる。また、5.5質量%を超えると、研摩面の表面粗さが大きくなり易くなる傾向となる。
また、本発明のセリウム系研摩材は、CeO/TREO、即ち、酸化セリウム/全酸化希土が、実用的な研摩速度の点から40質量%以上が必要であり、望ましくは50質量%以上である。また、上限としては、焙焼時にフッ素の揮発が少なく、フッ素含有量の制御が容易である点を考慮すると95質量%以下であればよく、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。加えて、本発明のセリウム系研摩材では、(U+Th)/TREO、即ち(ウラン+トリウム)/全酸化希土が、0.01質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.001質量%以下である。本発明のセリウム系研摩材においても、当然に放射性元素は少ない方が好ましい。
そして、本発明のセリウム系研摩材では、BET法比表面積が10〜30m/gであることが好ましい。10m/g未満であると、研摩面の表面粗さが大きくなり易く、30m/gを超えると研摩速度が低下する傾向となる。この比表面積は、11〜25m/g がより好ましく、12〜20m/g がさらに好ましい。
次に、本発明のセリウム系研摩材は、レーザ回折散乱法による粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径(D50)が、0.3〜1.2μmであることが好ましい。0.3μm未満であると、研摩速度が低くなり易く、1.2μmを超えると、研摩面の表面粗さが大きくなる傾向となる。このD50は、0.4〜1.1μmがより好ましく、0.5〜1.0μmがさらに好ましい。
さらに、本発明のセリウム系研摩材は、前記セリウム研摩材をガス吸着法で測定した吸着等温線から細孔径分布を差分細孔容積(dV)及び微分細孔容積(dV/dD)として算出する際に、少なくとも細孔径3.2nm〜200nmを含む範囲において、複数の級に分割して、各級の幅を、級の上限値の常用対数値から級の下限値の常用対数値を引いた値が0.10以下となるようにして細孔径分布を特定し、細孔径の最小の級から細孔径200nmを含む級の間における差分細孔容積(dV)を算出し、細孔径の最小の級から細孔径200nmを含む級までの差分細孔容積(dV)の積算値に対する、細孔径の最小の級から級の上限値が50nmを超えない級までの差分細孔容積(dV)の積算値の割合が、50%以上であることが好ましい。この場合のガス吸着法で測定した吸着等温線からその細孔径分布を特定する際の細孔径の測定範囲は、少なくとも細孔径3.2nm〜200nmを含むようにする。そして、上記と同様に、細孔径分布の級の幅を決定し、細孔径の最小の級から細孔径200nmを含む級の間における、各級の差分細孔容積を算出する。この各級の差分細孔容積より、細孔径の最小の級から細孔径200nmを含む級までの差分細孔容積(dV)の積算値(ここではΣdV200とする)と、細孔径の最小の級から級の上限値が50nmを超えない級までの差分細孔容積(dV)の積算値(ここではΣdV50とする)とを求め、その割合(ΣdV50/ΣdV200×100)を計算する。この割合が50%以上であるセリウム系研摩材が優れた研摩特性を備えるのである。
割合(ΣdV50/ΣdV200×100)が50%未満であると、研摩面の表面粗さや微小うねりが大きくなる傾向となる。この割合の上限に特段の制限はないが、製造の容易性を考慮すると95%以下が好ましい。実用的には、90%以下であればよく、より望ましくは85%以下である。
上記した本発明のセリウム系研摩材においては、その他の条件として、全細孔容積、粗粒子含有量、X線回折におけるLnF/CeOピーク強度比及びLnOF/CeO
ピーク強度比を満足することが望ましい。まず、本発明のセリウム系研摩材の全細孔容積は、0.03〜0.11cmであることが好ましい。0.03cm未満であると研摩面に傷が発生し易くなり、0.11cmを超えると研摩速度が低くなる傾向となる。好ましくは0.04〜0.10cmであり、0.05〜0.09cmであることがさらに好ましい。尚、この全細孔容積とは、上記した細孔径分布における差分細孔容積の全積算値とは異なり、対象となるセリウム系研摩材全体の細孔容積を示すもので、具体的にはガス吸着法における、いわゆるT−プロット法により測定されるものである(参考:特許文献3)。
また、本発明のセリウム系研摩材の粗粒子含有量は、ストークス径5μm以上の研摩材粒子の含有量が200質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下がより好ましく、50質量ppm以下がさらに好ましい。粗大粒子の含有量が多くなると研摩面に傷が発生し易くなるからである。
そして、本発明のセリウム系研摩材のX線回折測定を行った場合は、LnF/CeOピーク強度比は0.1以下であることが好ましい。具体的には、CuKα線を使用したX線回折において、2θ=約28°に出現する立方晶のCeOを主成分とする希土類酸化物の最大ピークのピーク強度に対する2θ=24.2±0.5°に出現する希土類三フッ化物(LnF)のこの範囲における最大ピークのピーク強度の比が0.1以下であることが好ましい。0.05以下であることがより好ましく、実質的には観察されないことがさらに好ましいものである。0.1を超えると研摩傷の発生が多くなるからである。立方晶のCeOを主成分とする希土類酸化物のピークは純粋なCeOでは2θ=約28.6°に立方晶のCeOを主成分とする希土類酸化物のピークは純粋なCeOでは2θ=約28.6°に出現するが、LaやNdの含有量が増えると低角度側にシフトし、2θ=28.0°以下になる場合もある。
さらに、本発明のセリウム系研摩材のX線回折測定を行った場合は、LnOF/CeO ピーク強度比が0.25以下であることが好ましい。具体的には、CuKα線を使用するX線回折において、2θ=約28°に出現する立方晶のCeOを主成分とする希土類酸化物の最大ピークのピーク強度に対する2θ=26.0±0.5°に出現する希土類オキシフッ化物(LnOF)のこの範囲における最大ピークのピーク強度の比が0.25以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。0.25を超えると、LnFの場合ほどではないが研摩傷が発生し易くなる傾向となる。
上述した本発明のセリウム系研摩材は、次のような原料により製造することができる。まず、研摩材の原料としては、(1)セリウム系希土類炭酸塩、(2)セリウム系希土類酸化物、或いは(3)セリウム系希土類炭酸塩及びセリウム系希土類酸化物を混合して乾燥質量基準の強熱減量を5〜20%、好ましくは5〜15%にしたもの、若しくは(4)セリウム系希土類炭酸塩を仮焼して乾燥質量基準の強熱減量を5〜20%、好ましくは5〜15%にしたものを用いることができる。研摩面の研摩傷が少ないという観点からは(1)又は(4)の原料が好ましく、研摩速度が高いという観点からは、(2)、(3)或いは(4)の原料が好ましい。フッ素を含有しているバストネサイト精鉱をさらなる精製処理しないで原料として使用してもよいが、フッ化処理を行わなくてもフッ素含有量が若干多すぎ、U、Thの含有量が若干多いという不具合がある。
そして、原料のフッ素含有量、F/TREOは、(1)〜(4)の原料において、通常0.5質量%以下である。フッ素含有量がばらついている原料ではフッ素添加量の計算が煩雑になるので、0.5質量%以下で安定していることが好ましい。また、原料におけるCeO/TREO及び(U+Th)/TREOについては、本発明のセリウム系研摩材と同じとする。
上記したセリウム系研摩材の原料についての製造方法としては、例えば、バストネサイト精鉱、モナザイト精鉱、中国複雑鉱精鉱等のCe含有希土類精鉱を硫酸分解法又はアルカリ分解法等により分解し、分別沈澱、分別溶解等の処理を行い、F、U、Th及びその他の希土類元素以外の不純物を低減した後、溶媒抽出によりCe以外の希土類元素を必要に応じて低減したCe系希土類溶液を得て、該希土類溶液と炭酸水素アンモニウム等の炭酸系沈澱剤を混合して沈澱を生成し、ろ過、水洗してCe系希土類炭酸塩を得る。このCe系希土類炭酸塩を十分に焙焼して、ほぼ完全に酸化物にしたものがCe系希土類酸化物である。Ce系希土類炭酸塩を完全には酸化物にならないように仮焼して、乾燥質量基準の強熱減量を調整した原料を得ることもできる。
上記した原料については、粉砕することにより次のような粒径にする。粉砕原料の粒径は、レーザ回折・散乱法粒子径分布における体積基準の積算分率における50%径(D50)が0.5〜1.3μm(より好ましくは0.6〜1.0μm)であり、90%径(D90)が、1.4〜2.5μm(より好ましくは1.5〜2.3μm)がとする。D50が0.5μm未満であると、製造された研摩材の研摩速度が低くなり易く、1.3μmを超えると、製造された研摩材にて研摩された面の表面粗さが大きくなり易くなる。また、D90が1.4μm未満であると、製造された研摩材の研摩速度が低くなり易く、2.5μmを超えると、製造された研摩材にて研摩すると研摩傷が発生し易くなる。
粉砕により上記の粒径にする方法に制限はないが、多段階粉砕、特に二段階粉砕が上記粒径を達成することが容易であるため好ましい。媒体ミルの場合、第一段階に使用する粉砕媒体の個数平均体積は0.065〜530mm(球状媒体の場合、直径0.5〜10mmに相当)が好ましく、0.26〜280mm(球状媒体の場合、直径0.8mmに相当)がより好ましく、0.52〜150mm(球状媒体の場合、直径1.0〜6.5mmに相当)が、さらに好ましい。また、第2段階以降に使用する粉砕媒体の個数平均体積は、その前段階で使用した粉砕媒体の個数平均体積の0.1〜55%が好ましく、0.2〜45%がより好ましく、0.5〜35%がさらに好ましい。
粉砕した原料に対しては、次のようなフッ化処理を施す。粉砕原料を、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶性フッ素含有化合物と混合することによりフッ化処理する。この場合、均一にフッ化処理するためには、粉砕原料はスラリーとし、フッ素含有化合物は水溶液として混合に供用するのが好ましい。また、水に不溶の希土類フッ化物の場合、希土類フッ化物を微粒に粉砕した後、粉砕原料と混合する方法も適用可能であるが、水溶性フッ素化合物を使用した場合と比べてフッ化処理が不均一になり、焙焼時に異常粒成長を起こしして粗大粒子の多い研摩材になりやすいため、水溶性フッ素化合物を使用する方が好ましい。フッ化処理は、焙焼によるフッ素の揮発を考慮して、研摩材中のフッ素が目的含有量になるよう調整して行う。なお、焙焼によるフッ素の揮発は、原料のCeO/TREO含有量が多いほど、また、焙焼温度が高いほど多くなる。
フッ化処理後の原料は、水洗により酸や塩を低減した後、ろ過等により固液分離してから、乾燥するのが好ましい。そして、乾燥品は解砕してから焙焼に供用するのが好ましい。
続いて、フッ化処理後の原料(ろ過ケーキ、乾燥ケーキ又は乾燥ケーキ解砕品)は、焙焼温度700〜1000℃により焙焼する。より好ましくは750〜950℃であるが、700℃未満であると、製造される研摩材の研摩速度が低くなり易く、1000℃を超えると、研摩面の表面粗さや微小うねりが大きくなるセリウム系研摩材になり易い。また、焙焼時間としては、0.2〜72時間が好ましく、0.5〜60時間がより好ましく、1〜48時間がさらに好ましい。0.2時間未満であると、製造される研摩材の研摩速度が低くなる恐れが高く、逆に72時間を超えて焙焼を行っても、 ほとんど変化がなく、エネルギーの無駄となる。
焙焼を行った後は、乾式粉砕又は乾式分級を実施することで、粉末状の本発明のセリウム系研摩材を得ることができる。この粉末状のセリウム系研摩材を得る場合には、通常、乾式粉砕又は乾式分級の両方の処理を実施するものである。また、スラリー研摩材を乾燥、解砕することにより、粉末状の本発明のセリウム系研摩材を得ることもできる。そして、焙焼後、湿式粉砕又は湿式分級を実施することでスラリーの本発明のセリウム系研摩材を得ることができる。スラリーのセリウム系研摩材を得る場合、湿式粉砕又は湿式分級の両方の処理を実施してもよいが、湿式粉砕だけでもよい。乾式粉砕後湿式分級を行ったり、乾式分級後湿式粉砕することにより、スラリーの本発明のセリウム系研摩材を得ることもできる。
上記した本発明のセリウム系研摩材を用いてガラス基板を研摩すると、研摩面の表面粗さ及び微小うねりが非常に小さく、ハードディスク、フォトマスク、フラットパネルディスプレイ(液晶、プラズマ)等の用途に好適なものとなる。ガラス基板の研摩面における表面性状としては、算術平均表面粗さ(Ra)で0.5nm以下である。より好ましくは0.4nm以下で、0.3nm以下がさらに望ましい。また、表面性状としての算術平均微小うねりは、0.6nm以下であり、0.5nm以下がより好ましく、0.4nm以下がさらに好ましい。この算術平均表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)にて測定することができ、算術平均微小うねりは、3次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製NewView200)を用い、測定波長を0.2〜1.4mmとして基板の所定領域を白色光で走査して測定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、研摩面の表面粗さ及び微小うねりが非常に小さく、ハードディスク、フォトマスク、フラットパネルディスプレイ(液晶、プラズマ)等のガラス基板の仕上げ用のセリウム系研摩材として非常に好適なものとなる。
本発明の最良の実施形態について、実施例、参考例及び比較例を参照しながら詳説する。まず初めに、本実施例、参考例及び比較例のセリウム系研摩材を製造する際に用いた原料について説明する。表1には、各原料の強熱減量、全酸化希土(TREO)、その他組成成分量等を示す。
表1に示すように、原料は、Ce系稀土類酸化物(記号O)、Ce系稀土類炭酸塩(記号C)、Ce系稀土類酸化物及びCe系稀土類炭酸塩の混合品(記号M)、Ce系稀土類炭酸塩仮焼品(記号S)、バストネサイト精鉱(記号B)、Ce系稀土類酸化物及びバストネサイト精鉱の混合品(記号BC)の6種類を使用した。表1中の原料記号がそれぞれの原料を示し、記号の添え数字が異なるものは同一種類の原料であっても混合比率や強熱減量等が相違する原料を示している。表1のM1〜M6原料については、原料記号C1と、この原料記号C1を850℃にて10時間焼成して得た原料記号O1とを、所定比率で混合したものである。また、表1のM7〜M13原料については、各々原料記号O1とは異なる組成のCe系希土類酸化物と、その炭酸塩を850℃にて10時間焙焼して得たCe系希土類酸化物とを、所定比率で混合したものである。さらに、表1のBM1原料については、O1原料とB1原料とを1:1比率で混合したものである。尚、原料記号S1は、原料記号C1を500℃にて12時間焼成して得たものである。
また、表1における各原料の(U+Th)/TREOは、B1原料が0.089質量%、BM1原料が0.037質量%、その他の原料は全て0.0005質量%以下である。そして、各原料のF/TREOは、B1原料が7.0質量%、BM1原料が4.1質量%、その他の原料は全て0.1質量%以下である。
次に、各セリウム系研摩材の製造について説明する。基本的な製造フローを図1に示す。製造手順としては、原料の粉砕、フッ化処理、洗浄、乾燥、焙焼を行い、その後粉砕、分級を順次行うものである。本実施形態における各実施例、参考例及び比較例については、表2及び表3に示す各製造条件にして製造されたセリウム系研摩材である。
まず、参考例1、参考例2、実施例3〜5、参考例6、参考例7、比較例1及び2についての製造条件を説明する。原料(M3)及び湿式媒体ミルによる原料粉砕の条件は一定とし、焙焼温度はそれぞれ変化させた。また、フッ化処理については、製造されるセリウム系研摩材のフッ素含有量が4.5質量%となることを目標にして実施した。このフッ化処理では、焙焼温度によって、焙焼中のフッ素の揮発しやすさが変化することを考慮してフッ化処理量を変えて行った。
次に参考例8、参考例9、実施例10、実施例11、参考例12、参考例13の製造条件は、原料(M3)、原料粉砕条件及び焙焼温度(850℃)は一定とした。そして、フッ化処理量を変化させた。
参考例14、参考例15、実施例16〜18、参考例19、参考例20(実施例4)の製造条件は、原料の乾燥質量基準強熱減量を変化させ、原料粉砕条件、フッ化処理条件及び焙焼温度は一定とした。
参考例21、実施例22、参考例23(実施例4)、比較例3〜5の製造条件は、原料(M3)、フッ化処理条件及び焙焼温度は一定とし、原料粉砕条件(各粉砕状の詳細は表3に示す通りである)を変化させた。
比較例24、参考例25、参考例26、実施例27、参考例28〜30(実施例4)の製造条件は、原料粉砕条件及び焙焼温度は一定とし、原料のCeO/TREO含有量を変えた。また、フッ化処理は、研摩材中でほぼ一定になるように、原料のCeO/TREO含有量によりあわせて変化させた。
実施例31、参考例32、比較例6の製造条件は、原料として希土類炭酸塩仮焼品、バストネサイト精鉱又はバストネサイト精鉱と希土類酸化物の混合物を用い、表3に示す条件とした。
尚、表2及び表3に示した製造条件により得られた各セリウム系研摩材の(U+Th)/TREOは、実施例31が0.037質量%、比較例6が0.089質量%、その他は全て0.0005質量%以下であった。
以上のようにして製造した各実施例、参考例及び比較例のセリウム系研摩材について、比表面積、細孔径分布、全細孔容積、粗粒子含有量、X線回折などの各測定、そして、ガラス基板についての研摩評価を行った結果を表4、表5に示す。
ここで、表4及び表5に示す各測定条件及び研摩評価条件について説明する。
BET法比表面積(BET)の測定:
JIS R 1626-1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)の「6.2 流動法 の(3.5)一点法」に準拠して測定を行った。その際、キャリアガスであるヘリウムと、吸着質ガスである窒素の混合ガスを使用した。なお、スラリー研摩材についての測定では、当該スラリーを十分に乾燥(105℃に加熱)させることにより得られた乾燥品についてBET法比表面積を測定した。
平均粒径(D50)の測定:
レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製:LA−920)を使用して粒度分布を測定することにより、平均粒径(D50:小粒径側からの累積質量50質量%における粒径<メジアン径>)を求めた。
細孔径分布及び全細孔容積の測定条件:
ここでは、表4及び表5で示す、微分細孔容積(dV/dD)が最大値を示す級の中心値(本実施形態ではこの級の中心値を平均細孔径と称す)、細孔容積比率、全細孔容積の各測定値を得るために行った、セリウム系研摩材の細孔径分布及び全細孔容積の測定条件について説明する。
細孔径分布及び全細孔容積の測定は、比表面積・細孔分布測定装置(SA3100 BECKMAN COULTER社製)により行った。測定手順を説明すると、まず始めに、細孔容積測定用のガラス製サンプルセルを乾燥秤量した(Ag)。次ぎに、このサンプルセルへ、測定対象となるセリウム系研摩材を約0.3g秤量して投入した。そして、この研摩材が投入されたサンプルセルを、測定装置内の脱ガスポートにセットして脱ガス処理(120℃に加熱、真空ポンプで吸引しながら15分間保持)し、室温まで放冷した。放冷されたサンプルセルは脱ガスポートから取り外され、測定装置内の測定ポートにセットし、サンプルセル内を真空に引いた後、デュワー(液体窒素用保温容器)の液体窒素にサンプルセルの一部を浸漬した。この状態でサンプルセル内の自由容積をヘリウムガスにより、3基準のガス圧力で測定した。この自由容積とは、サンプルセル内の容積であり、サンプルセルに投入する研摩材の占める容積によって変動するものである。尚、このサンプルセルは、各ポート間の移動時には密閉された状態となり、測定ポートセット時には、測定用のガスのみをサンプルセルに流通できるような装置構造とされている。
続いて、吸着質として窒素ガスを用い、吸着等温線測定を行った。この吸着等温線は、一定容積の窒素ガスをサンプルセルに加えた際、吸着現象が平衡状態となった時の窒素ガス圧力をその時の窒素ガス飽和蒸気圧力で除した値を相対圧力としてX軸にとり、吸着した窒素ガス容積をY軸にプロットすることにより得られる。吸着した窒素ガス容積は、サンプルセルに加えた窒素ガスの容積から、自由容積(サンプルセル内部の全容積から投入した研摩材の占める容積を引いた容積)中にある窒素ガス容積(標準状態に換算したもの)を差し引いて得られる。そして、この吸着等温線測定は、吸着質の窒素ガスの圧力を最高約101kPa(760mmHg)まで小刻みに変化させて、測定、プロットを繰り返して行った。吸着等温線測定後、サンプルセルを取り外し、該セルに付着する水分除去の乾燥処理を行って、そのサンプルセルを秤量した(Bg)。
微分細孔容積(dV/dD)が最大値を示す級の中心値(平均細孔径):
微分細孔容積(dV/dD)が最大値を示す級の平均細孔径は、上記した比表面積・細孔分布測定装置の測定において、細孔径3.19〜211.57nmの変量域について64の級に区分することで細孔径分布を特定した結果より算出されたものである。その算出法は、上記のように窒素ガスを用いて測定した吸着(脱離)等温線より、測定対象である研摩材の細孔が円柱状と仮定し、ケルビンの式(窒素ガスが凝縮する毛管の太さと平衡ガス圧との関係の定量化式)を適用して、BJH(Barrett,Joyner,Halenda)法により細孔径分布を解析し、級毎の差分細孔容積(dV)、微分細孔容積(dV/dD)が自動計算され、そして、細孔径の最小の級から細孔径100nmを含む級において、微分細孔容積(dV/dD)の最大値を見つけだし、その最大値が存在する級を特定したものである。その最大値が存在する級における級の中心値(平均細孔径)を表4及び表5に示す(表4及び表5中、「細孔径分布(dV/dD)MAX平均細孔径」の欄)。
尚、上記細孔径分布における級については、64区間の各級における級の幅、即ち、級の上限の常用対数値から級の下限の常用対数値を引いた値を調べたところ、最も小さい値は0.0147であり、最も大きな値は0.0658であった。また、最小の級は上限3.33nm、下限3.19nmであり、最大の級は上限211.57nm、下限190.68nmであった。
細孔容積比率:
細孔容積比率は、上記のようにして得られた差分細孔容積(dV)の結果より算出した。算出法は、細孔径が最小の級(3.19nmから3.33nm)から、級の上限細孔径が50nmを超えない級(49.29〜46.65nm)までの、差分細孔容積の積算値(ΣdV50)を求め、また、細孔径が最小の級(3.19nmから3.33nm)から、級の上限細孔径が200nmを含む級(190.68〜211.57nm)までの差分細孔容積の積算値(ΣdV200)を求めて、その割合(ΣdV50/ΣdV200×100)を算出した。その結果を表4及び表5に示す。
全細孔容積:
この全細孔容積は、上記した細孔径測定器の測定によって得られる吸着等温線データより算出した。その算出法は、いわゆるハーキンス及びジュラ計算式により、吸着質分子の膜の厚みtに換算され、測定した吸着ガス容積(窒素ガス容積)に対してその膜厚tをプロットした‘T−プロット’グラフを作成し(X軸に膜厚t、Y軸に吸着ガス容積)、この‘T−プロット’グラフからY切片の値を読み取り、このY切片値と、秤量して得られた研摩材重量値(B−A)gとの値により、各研摩材の細孔容積を算出した。尚、上記した細孔容積の測定に関する吸着等温線及びT−プロットグラフ、細孔容積算出については、測定装置により自動的に作成計算されるようになっている。また、この測定における容積は、全て標準状態に換算した値である(参照:特許文献3)。この全細孔容積の測定結果を表4及び表5に示す。
ストークス径5μm以上の粗大粒子:
この粗大粒子の含有量は、次の手順により行った。まず、測定用容器に、測定対象のセリウム系研摩材を200g入れると共に、0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を容器上部標線まで入れて十分に混合した。指定時間経過後、上部標線から下部標線の間のスラリーを抜き出した。スラリーを抜き出し終えると、新たな0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を容器上部標線まで再度投入して十分に混合して、指定時間、容器を静置して沈降させた後、上部標線から下部標線の間のスラリーを抜き出しという、一連の操作(ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液の注液、静置・沈降、スラリーの抜き出しからなる操作)を繰り返した(本実施形態では、全部で8回の操作を行った)。最後の操作を行った後、下部標線以下に残留した研摩材粒子を105℃で十分に乾燥した。このようにして得られた乾燥残留粒子の質量A(g)を精密天秤似て測定した。そして、ストークス径が5μm以上の粗大粒子の含有率S(質量ppm)を、算出式(S=A÷200×1000000)を用いて算出した。指定時間(静置・沈降時間)は、上部標線(スラリー上面)の位置にあるストークス径が5μmの粒子が下部標線まで沈降するのに要する時間であり、上部標線と下部標線間の距離をストークスの式から算出される沈降速度で割ることにより算出される。上記一連の操作を一回だけしか行わないと、下部標線以下の部分にストークス径が5μm以下の粒子が多く混入してしまうが、操作回数を増やすことでその混入量は少なくなる。尚、測定対象がスラリー研摩材である場合、BET法比表面積測定で乾燥品を得るときに、スラリー重量に対する乾燥品の重量の割合を予め測定しておき、この割合から200gに相当するスラリー量を分取して試料とした。
X線回折ピーク強度比:
X線分析装置(マックサイエンス(株)製、MXP18)により、各セリウム系研摩材の結晶回折分析を行った。具体的には、CuKα線を使用したX線回折において、2θ=約28°に出現する立方晶のCeOを主成分とする希土類酸化物の最大ピークのピーク強度に対する2θ=24.2±0.5°に出現する希土類三フッ化物(LnF)のこの範囲における最大ピークのピーク強度の比と、2θ=約28°に出現する立方晶のCeOを主成分とする希土類酸化物の最大ピークのピーク強度に対する2θ=26.0±0.5°に出現する希土類オキシフッ化物(LnOF)のこの範囲における最大ピークのピーク強度の比を算出した。
研摩速度:
研摩機として、研摩試験機(HSP−2I型、台東精機(株)製)を用意した。この研摩試験機は、スラリー状の研摩材を研摩対象面に供給しながら、当該研摩対象面を研摩パッドで研摩するものである。研摩材スラリーの砥粒濃度は、100g/Lとした(分散媒は水のみ)。そして、本研摩試験では、スラリー状の研摩材を5リットル/分の割合で供給することとし、研摩材を循環使用した。なお、研摩対象物は65mmφの平面パネル用ガラスとした。また、研摩パッドはポリウレタン製のものを使用した。研摩面に対する研摩パッドの圧力は9.8kPa(100g/cm2)とし、研摩試験機の回転速度は100min−1(rpm)に設定し、所定時間研摩をした。そして、特定時間の研摩処理を行い、研摩前後のガラス重量を測定して研摩によるガラス重量の減少量を求め、この値に基づき研摩値を求めた。本研摩評価では、この研摩値を用いて研摩速度を評価した。なお、この研摩速度の評価値は、表4で示すように、比較例1のセリウム系研摩材により得られた研摩値を基準(100)とし、他の研摩速度の評価値を算定した。
研摩傷:
研摩傷評価は、30万ルクスのハロゲンランプを光源として用いる反射法で研摩後のガラス表面を観察し、大きな傷および微細な傷の数を点数化し、100点を満点として減点評価する方式で行った。この傷評価では、ハードディスク用あるいはLCD用のガラス基板の仕上げ研摩で要求される研摩精度を判断基準とした。具体的には表4及び表5中、「◎」は、98点以上(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に非常に好適)であることを、「○」は、98点未満95点以上(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に好適)であることを、「△」は、95点未満90点以上(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に使用可能)であることを、そして「×」は、90点未満(HD用・LCD用ガラス基板の仕上げ研摩に使用不可)であることを示す。
算術平均表面粗さ:
算術平均表面粗さ(Ra)は、プローブ顕微鏡SP−400(エスエスアイ・ナノテクノロジー(株)社製)を用いてDFMモード(ダイナミックフォース顕微鏡モード)にて、研摩面の10μm×10μmの範囲を測定をして得られたものである。
算術平均微小うねり:
算術平均微小うねりは、3次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製NewView200)を用い、測定波長を0.2〜1.4mmとして基板の所定領域を白色光で研摩面を走査して測定した。
表4及び5に示す結果より、各実施例のセリウム系研摩材は、比較例のものよりも、研摩特性に非常に優れることが判明した。この各実施例に関する微分細孔容積の最大値を示す平均細孔径<(dV/dD)MAX平均細孔径>は、全て5.0nm〜30nmの範囲の中の10nm〜20nmの範囲にあり、細孔容積比率は50%以上であることが判った。一方、比較例のセリウム径研摩材については、細孔容積比率が50%以上のものも存在していた(比較例2、比較例4、比較例6)が、(dV/dD)MAX平均細孔径は5.0nm〜30nmの範囲から外れていることが判明した。この表4及び表5の研摩評価結果では、各実施例では、研摩面の表面粗さ、微小うねりは極めて小さなものとなっており、ハードディスク、フォトマスク、フラットパネルディスプレイ(液晶、プラズマ)等の用途に非常に好適なガラス基板に仕上がっていることが判明した。
セリウム系研摩材の概略製造フロー図。

Claims (5)

  1. フッ素を含有し、CeO/TREO≧40質量%であるセリウム系研摩材において、
    前記セリウム研摩材をガス吸着法で測定した吸着等温線から細孔径分布を微分細孔容積(dV/dD)として算出する際に、
    少なくとも細孔径3.2nm〜100nmを含む範囲において、複数の級に分割し、各級の幅を、級の上限値の常用対数値から級の下限値の常用対数値を引いた値が0.10以下となるようにして細孔径分布を特定し、
    細孔径の最小の級から細孔径100nmを含む級の間における微分細孔容積(dV/dD)が、級の中心値が10〜20nmの範囲にある級において最大値をとることを特徴とするセリウム系研摩材。
  2. フッ素含有量が3.0〜5.5%である請求項1に記載のセリウム系研摩材。
  3. BET法比表面積が10〜30m/gである請求項1又は請求項2に記載のセリウム系研摩材。
  4. レーザ回折・散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径(D50)が0.3〜1.2μmである請求項1〜請求項3いずれかに記載のセリウム系研摩材。
  5. 前記セリウム研摩材をガス吸着法で測定した吸着等温線から細孔径分布を差分細孔容積(dV)及び微分細孔容積(dV/dD)として算出する際に、
    少なくとも細孔径3.2nm〜200nmを含む範囲において、複数の級に分割して、各級の幅を、級の上限値の常用対数値から級の下限値の常用対数値を引いた値が0.10以下となるようにして細孔径分布を特定し、
    細孔径の最小の級から細孔径200nmを含む級までの差分細孔容積(dV)の積算値に対する、細孔径の最小の級から級の上限値が50nmを超えない級までの差分細孔容積(dV)の積算値の割合が、50%以上である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のセリウム系研摩材。
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