JP4463134B2 - セリウム系研摩材及びその中間体並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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本発明はセリウム系研摩材及びセリウム系研摩材中間体並びにセリウム系研摩材中間体の製造方法及びセリウム系研摩材の製造方法に関する。
希土類元素であるセリウムを必須としたセリウム系研摩材は、ハードディスク(HD)用、フォトマスク用、液晶(LCD)用などのガラス基板や、半導体基板の研摩に用いられている。このセリウム系研摩材には、研摩速度が高く、研摩精度に優れていること等の特性が要求される。
このようなセリウム系研摩材の製造方法として、希土類塩含有希土類原料と希土類塩との反応における化学量論よりも過剰量の炭酸水素アンモニウムとを水に混ぜて加熱し、沈澱生成する希土類水酸化炭酸塩を焼成する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2003−238943号公報
この特許文献1に記載の製造方法により得られたセリウム系研摩材は、ある程度の高い研摩速度を実現できるものの、研摩精度の点においては十分に満足できるものとは言えなかった。
そこで、本発明は高い研摩速度を実現するとともに、研摩精度の非常に優れたセリウム系研摩材を提供することを目的とし、このような優れた研摩特性を備えるセリウム系研摩材を容易に製造可能な研摩材中間体を提供するものである。また、本発明は、これらのセリウム系研摩材及びその中間体を容易に得ることができる製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明のセリウム系研摩材を用いて研摩することにより、表面粗さ及び表面微小うねりの小さなガラス基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るセリウム系研摩材は、TREO(全酸化希土含有量)中の酸化セリウム含有率(CeO/TREO)が30質量%以上であるセリウム系研摩材において、レーザ回折散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径(D50)が0.1〜0.5μmであり、走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定した個数平均粒子径(DSEM)に対する50%径(D50)の比(D50/DSEM)が1.0〜2.0であるものとした。このような特徴を備えるセリウム系研摩材であれば、高い研摩速度を実現できるとともに、非常に優れた研摩精度を実現可能となる。
本発明に係るセリウム系研摩材の特徴のひとつは、レーザ回折散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分布における50%径(D50)が0.1〜0.5μmである。このD50が0.1μm未満になると研摩速度が低下する傾向になり、0.5μmを超えると研摩後の研摩面における表面粗さ(Ra)が大きくなる傾向となる。この50%径(D50)は、0.15〜0.4μmであることがさらに望ましいものである。加えて、本発明に係るセリウム系研摩材のもうひとつの特徴は、走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定した個数平均粒子径(DSEM)に対する50%径(D50)の比(D50/DSEM)が1.0〜2.0である。このD50/DSEMの値が2.0を超えると、研摩後の研摩面表面の表面粗度(Ra)が大きくなる傾向がある。また、このD50/DSEMの値は、1.0〜1.7であることがより好ましく、1.0〜1.5であることがさらに望ましいものである。尚、50%径(D50)は凝集粒子から測定されるものであるため、通常、個数平均粒子径(DSEM)の値より大きな値となる。
本発明における、走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像による個数平均粒子径(DSEM)は、SEMの観察画像を画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング(株)製IP−1000PC)を用いて円形近似して測定し、その測定値より算出するものである。この個数平均粒子径(DSEM)を算出する場合、測定精度を保つためには少なくとも40個以上の粒子を測定する必要があり、100個以上の粒子について測定することが望ましい。また、この円形近似する際のSEM観察画像としては、走査型電子顕微鏡で直接観察している画像またはその画像を電子的に保存した画像を使用することが好ましいが、走査型電子顕微鏡の観察画像を撮影した写真をスキャナーで読み込んだものを使用してもよい。
そして、本発明に係るセリウム系研摩材は、SEMの観察画像を円形近似して測定した粒子径の標準偏差(σSEM)が、DSEM値の40%以下であることが好ましい。より好ましくは35%以下で、30%以下であることがさらに望ましい。つまり、SEMの観察画像を円形近似して測定した粒子径の標準偏差(σSEM)と、個数平均粒子径(DSEM)とにより算出されるCVSEM(=σSEM÷DSEM×100)が、40%以下が好ましいものといえる。従って、このCVSEM値は、35%以下がより好ましく、30%以下であることがさらに望ましいものである。このCVSEMが、40%を超えると、研摩後の研摩表面の微小うねりが大きくなる傾向となる。
また、上記した本発明に係るセリウム系研摩材の中間体としては、セリウム系希土類水酸化炭酸塩を主成分とするセリウム系研摩材中間体において、TREO(全酸化希土含有量)中の酸化セリウム含有率(CeO/TREO)が30質量%以上であり、レーザ回折散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径(D50 )が0.1〜0.5μmであるとともに、走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定した個数平均粒子径(DSEM )に対する前記50%径(D50 )の比(D50 /DSEM )が1.0〜2.0であるものが好ましい。このような研摩材中間体から得られるセリウム系研摩材であれば、高い研摩速度、非常に優れた研摩精度を実現できるからである。この本発明に係るセリウム系研摩材中間体は、その特徴が上記本発明のセリウム系研摩材と同様であり、各所定数値範囲を満足しない中間体であると、非常に優れた研摩特性を備える、上記本発明に係るセリウム系研摩材を得られなくなる。そして、本発明のセリウム系研摩材中間体は、X線による回折分析した際に、希土類水酸化炭酸塩のピークが確認できる形態を有している。このX線回折において、希土類モノオキシ炭酸塩のピークは確認できないほうが好ましいが、確認されたものであってもよい。希土類モノオキシ炭酸塩のピーク確認できる場合、CuKα線に基づくX線回折にて2θ=15.9°付近のモノオキシ炭酸塩のピーク高さよりも2θ=17.8°付近の水酸化炭酸塩のピークのピーク高さのほうが高いものの形態が好ましい。そして、CuKα線に基づくX線回折にて2θ=10.4°付近の炭酸塩のピークが観察されない形態であることが好ましい。
上述した本発明のセリウム系研摩材及びその中間体は、ストークス径で2μm以上の粗粒子を500ppm以下で含有していることが好ましい。このような粗粒子を500ppmよりも多く含有していると、研摩後の研摩面における表面粗度(Ra)が大きくなり、研摩傷が発生しやすくなる。また、TREO(全酸化希土含有量)中の酸化セリウム含有率(CeO/TREO)は、30質量%以上あることが必要で、好ましくは50質量%以上である。30質量%未満であると、研摩速度が低くなる。この酸化セリウム含有率(CeO/TREO)の上限値は特に制限はないが、原料価格などを考慮すると、99.99質量%以下であることが望ましい。そして、フッ素含有量(F/TREO)は0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下で、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
上記した本発明に係るセリウム系研摩材は、以下の製造方法により得られたセリウム系研摩材中間体により製造することができる。この本発明に係るセリウム系研摩材中間体の製造方法は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択された少なくとも1種の炭酸系沈澱剤の水溶液と、CeO/TREOが30質量%以上である希土類化合物の水溶液とを、化学量論的に炭酸系沈澱剤が過剰となるように混合して沈澱を生成し、該混合液を固液分離することなく60℃以上に加熱することを特徴とする。
この中間体の製造方法では、水溶液の混合の際に、化学量論的に炭酸系沈澱剤が過剰となるようにする点と、沈澱生成後、該混合液を固液分離することなく60℃以上に加熱する点との2点が重要である。このような製造方法によれば、微粒の沈澱が生成され易くなり、その生成される沈殿粒子がより微粒となるとともに粒子形状も丸みを帯びるようになる。つまり、この中間体の製造方法において、化学量論的に炭酸系沈澱剤を過剰にしない状態で水溶液を混合すると、角張った大きな粒子が沈殿生成してしまう。また、固液分離して60℃以上に加熱しても、角張った粒子からなる中間体が製造されることになる。
本発明者らの研究によると、セリウム系研摩材の中間体を製造する際、炭酸系沈殿剤を過剰にすることなく水溶液を混合して、角張った粒子を沈殿生成し、その後、固液分離することなく加熱処理すると、ある程度の微粒な粒子からなる中間体が得られるものの、その粒子形状は、本発明に係るセリウム系研摩材中間体の製造方法により得られた中間体のそれよりも、角張った粒子となることを確認している。また、逆に、本発明のように炭酸系沈殿剤を過剰に混合して微細な粒子を沈殿生成させた後に、固液分離を行ってしまうと、得られる中間体の粒子が角張ったものとなることも確認している。このような角張った粒子からなる中間体を原料として、焙焼や粉砕の処理を行って製造されたセリウム系研摩材では、中間体の段階での粒子形状が影響して、研摩時の研摩精度を低下させることが想定される。
本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法において、その混合液は、炭酸系沈殿剤の少なくとも一部と希土類化合物水溶液の少なくとも一部が混合されたものであって、沈澱を生成してスラリーとなっているものでもよい。また、本発明における化学量論とは、炭酸系沈澱剤水溶液と希土類化合物水溶液が反応して希土類炭酸塩を生成する反応と、希土類化合物水溶液が含有する過剰な酸と炭酸系沈澱剤の中和反応との両方を考慮するものとする。ただし、過剰な酸は少なければ無視することができる。例えば、希土類化合物水溶液のTREO濃度が低い場合でも、pHが2以上あれば無視できるのである。この希土類化合物水溶液が含有する過剰な酸の量は、例えばブロモクレゾールグリーン―メチルレッド溶液を指示薬とした中和滴定により求めることができる。
本発明に係るセリウム系研摩材中間体の製造方法では、炭酸系沈澱剤の水溶液と、希土類化合物の水溶液との混合においては、化学量論的に炭酸系沈澱剤が過剰となるようにすることが重要である。そのため、混合液は化学量論的に炭酸系沈澱剤が常に過剰であることが好ましいが、混合する希土類化合物水溶液の総量80%を混合に供用された後は、希土類化合物水溶液の方が化学量論的に過剰となってもよいものである。混合する希土類化合物水溶液の総量の80%を混合に供用した後は、化学量論的に炭酸系沈澱剤を過剰にするという製造条件は、混合する希土類化合物水溶液の総量が80%未満の混合状態の時期に比べて、生成される沈澱粒子の性状に与える影響が少ない。そして、水溶液を混合して沈殿生成させている時間のすべてにおいて、常に炭酸系沈澱剤の化学量が過剰になっているようにした方が、角張った粒子の沈殿生成がさらに抑制することができるものとなる。本発明に係るセリウム系研摩材中間体の製造方法では、上述したような混合状態となるのであれば、水溶液の混合方法には特に制限はないが、実用的には次のような混合を行うことが好ましい。
本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法における水溶液の混合は、前記炭酸系沈澱剤の水溶液を攪拌しながら希土類化合物の水溶液を添加することにより行う方法が採用できる。この混合方法によれば、混合に供用する炭酸系沈澱剤の水溶液総量が、化学量論的に、混合に供用する全希土類化合物の水溶液の総量の80%以下となっている場合を除いて、混合液は、希土類化合物水溶液総量の少なくとも80%を添加するまで、炭酸系沈澱剤が化学量論的に過剰になった状態を維持することが可能となる。混合に供用する炭酸系沈澱剤水溶液の総量が、混合に供用する全希土類化合物水溶液の総量よりも、化学量論的に過剰であれば、混合液では常に炭酸系沈澱剤が過剰な状態となる。
また、別の混合方法としては、炭酸系沈澱剤の水溶液と、希土類化合物の水溶液とを、同時に混合容器に投入することにより行ってもよい。この同時添加による混合を行う場合、混合に供用する希土類化合物水溶液の総量の少なくとも80%を添加するまで、化学量論的に炭酸系沈澱剤が過剰となるような状態を維持することが必要となる。例えば、水を始液として、炭酸系沈殿剤水溶液と希土類化合物水溶液とを、常に化学量論的に炭酸系沈殿剤水溶液が過剰となる比率で添加する。具体的には、炭酸系沈殿剤水溶液総量を、希土類化合物水溶液総量よりも化学量論的に過剰な状態として、両水溶液を添加して同時にその添加を終了させるか、或いは炭酸系沈殿剤水溶液の添加が先に終了するように所定の添加速度で添加していく方法がある。また、別の態様としては、炭酸系沈殿剤水溶液の一部を予め混合容器などに始液として投入しておき、その混合容器へ、残りの炭酸系沈殿剤水溶液と希土類化合物水溶液とを同時に添加する方法がある。この場合も炭酸系沈殿剤水溶液総量を、希土類化合物水溶液総量よりも化学量論的に過剰な状態としておくことが好ましく、両水溶液が同時にその添加を終了させるか、或いは炭酸系沈殿剤水溶液の添加が先に終了するように所定の添加速度で添加していくことが好ましい。このようにすると、炭酸系沈殿剤水溶液を容易に過剰な状態にすることができる。但し、始液として希土類化合物水溶液の一部或いは全部を使用すると、少なくとも混合の初期時点では、希土類化合物水溶液が過剰となる状態が生じてしまうため、本願発明に係るセリウム系研摩材中間体を得ることが困難となる。さらに、同時添加ではないものの類似の添加態様として、例えば、水又は炭酸系沈殿剤水溶液の一部を始液とし、炭酸系沈殿剤水溶液と希土類化合物水溶液とを交互に添加する方法がある。このような添加方法の場合、添加操作の間、混合液において、炭酸系沈殿剤水溶液が希土類化合物水溶液よりも化学量論的に過剰な状態を維持できるように添加量を調整すればよい。
また、本発明者等の研究によると、希土類化合物の水溶液を攪拌しているところへ、炭酸系沈澱剤の水溶液を添加する混合方法では、混合時の少なくとも初期においては、混合液は化学量論的に希土類化合物が過剰となるため本発明を達成することが困難である。つまり、この混合方法によると、角張った大きい粒子の沈澱が生成し、後の60℃以上の加熱処理を行っても微粒なものとなるが、上述した本発明における混合方法の場合よりは、大きな粒子で、しかも角張った粒子からなる中間体となる。そして、このような中間体を用いて製造したセリウム系研摩材では、研摩精度が低くなることを確認している。炭酸系沈澱剤を化学量論量の3倍以上添加すれば粒子形状を若干制御することもできるが、上述した本発明における混合方法の場合と比べると、粒子が大きく、角張ったものとなるのである。尚、ここでは、希土類化合物水溶液総量のすべて(100%)を始液にするという方法を典型例としているが、このような方法においては、上述した「希土類化合物水溶液総量の少なくとも80%を添加するまで」という条件は適用されない。つまり、「希土類化合物の水溶液総量の少なくとも80%を添加するまで」という条件においては、始液に、希土類化合物水溶液を用いないということが前提となっているからである。
本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法における水溶液の混合では、水溶液の液温を高くしすぎると大きな粒子の沈澱が生成し易くなる。また、このような大きな粒子として沈殿した混合液を、後に60℃以上の加熱処理(浸漬加熱粉砕)を行っても、大きい粒子は残存したままとなり、このような研摩材中間体を用いて製造された研摩材では、研摩精度が低くなる傾向となる。そのため、沈澱(通常、炭酸塩の沈殿)生成時の液温としては、浸漬加熱粉砕時の温度より5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましく、20℃以上低いことがさらに望ましいものである。具体的には、この沈澱(通常、炭酸塩の沈殿)生成時の液温としては、55℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに望ましい。高い研摩精度を実現できる研摩材を製造するためには、液温は低いほうが好ましいため、基本的には加熱を行わないほうが望ましいといえる。ただし、加熱しない場合、例えば、0℃未満になってしまう場合にあっては、0℃以上になるように加熱することが望ましいものである。
本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法では、炭酸系沈澱剤として、アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素塩炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムを用いることができ、これら沈殿剤は無水物でも水和物でも良い。アルカリ金属としては通常、Na、K、Liなど挙げられるが、コストの点でNaが好ましい。
また、混合する水溶液濃度は0.2mol/L〜2.0mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜1.5mol/Lがさらに好ましい。水溶液濃度が0.2mol/L未満になると、排水量が増えすぎて実用的でなくなる。逆に、2.0mol/Lを超えると、沈澱生成反応が不均一となり、粗粒子を多く含む沈澱が生成し易くなる。
そして、混合する際の水溶液量は、希土類化合物水溶液の希土類元素と反応して希土類炭酸塩を生成する反応の化学量論、及び希土類化合物水溶液が含有する過剰の酸を中和する反応の化学量論の合計に対して3倍未満とるようにすることが好ましい。つまり、希土類化合物水溶液量に対する炭酸系沈殿剤の水溶液量が、0.95倍〜2.5倍であることが好ましく、1.0倍〜2.0倍となるようとより好ましく、1.1倍〜1.5倍の液量とすることが特に望ましい。希土類化合物水溶液量に対する炭酸系沈殿剤の水溶液量が0.95倍未満になると、 沈澱中への希土類元素の回収率が低下し、水溶液中に希土類元素が多く残留する傾向となる。上述した希土類化合物の水溶液が含有する過剰な酸の量は、例えばブロモクレゾールグリーン―メチルレッド溶液を指示薬とした中和滴定により求めることができ、希土類化合物水溶液の過剰な酸の量が少なければ、炭酸系沈澱剤の量を決定する際に、その酸を中和する反応を無視することができる。例えば、希土類化合物水溶液のTREO濃度が低い場合でも、pHが2以上あれば無視できるのである。
混合に供用する希土類化合物の水溶液は、例えば、モナザイト精鉱やバストネサイト精鉱などのセリウム含有希土類精鉱を、硫酸分解法やアルカリ分解法にて分解し、分別沈澱や分別溶解等の処理を行ってウラン、トリウム、カルシウム、バリウム、鉄、リン等の不純物を低減・除去することにより希土類溶液を得て、必要に応じて有機溶媒を用いた溶媒抽出にてネオジムやランタン等を低減してCeO/TREOを高めたものを用いることができる。また、このようにして得られた塩酸系の希土類溶液を煮詰めて、冷却・固化させた塩化希土を、水または希薄塩酸にて再溶解したものを用いても良い。さらには、中国等から入手可能な、セリウム系希土類炭酸塩を塩酸等の酸にて溶解して得た、水溶液を用いることもできる。この混合に供用する希土類化合物の水溶液濃度としては、TREOで10g/L〜250g/Lであることが好ましく、20g/L〜200g/Lがより好ましい。TREOが10g/L未満であると、排水量が増えすぎて実用的でなくなる。逆に、250g/Lを超えると、全体的には微粒の沈殿を生成し易いものの、反応が不均一となることがあり、粗粒子も生成し易くなる。
本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法における水溶液の混合では、その混合時間を5分〜1200分とすることが好ましく、10分〜600分がより好ましく、20分〜300分がさらに望ましい。この混合時間とは、炭酸系沈殿剤水溶液又は希土類化合物水溶液の少なくとも一方を添加している時間をいう。混合時間が5分間未満であると、超微粒の粒子を含む不均一な粒子からなる沈殿を生成する。そのため、そのような沈殿生成から得た中間体を用いて製造したセリウム系研摩材では、研摩速度が低下するとともに研摩精度も若干低下するものとなる。一方、混合時間が1200分間を超えると、沈殿における粒子が大きくなりなりすぎ、そのような中間体から製造されたセリウム系研摩材では、研摩精度が大きく低下することになる。
上記した本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法において、水溶液の混合により生成される沈澱の形態は、基本的には希土類炭酸塩である。つまり、60℃以上に加熱する前の沈殿状態では、希土類炭酸塩の形態となっており、X線回折にてその沈殿物を測定した際に、モノオキシ炭酸塩や希土類水酸化炭酸塩のピークが観察されるものであってもてもよい。しかしながら、60℃以上に加熱する前の沈殿状態で希土類水酸化炭酸塩になっていると、60℃以上に加熱しても微粒化しないため、60℃以上に加熱する前の沈殿は、X線回折で測定した際、希土類水酸化炭酸塩のピークは観察されないものか、観察されたとしても僅かであることが好ましい。炭酸系沈殿剤水溶液を化学量論の4倍を超えて使用すると、60℃以上に加熱する前の沈殿状態で希土類水酸化炭酸塩となり易くなる傾向があるので好ましい添加比率ではない。
上記した本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法において、す溶液の混合後、該混合液を固液分離することなく、60℃以上に加熱処理(浸漬加熱粉砕)するものであるが、この「固液分離」とは、沈殿とろ液とに実質的に分離しないこという。ただし、ろ過を行った場合であっても、ろ過した沈澱とろ液とを再度混ぜ合せた混合液を加熱する場合は、実質的に固液分離していないこととみなして、本発明における「固液分離」を行っていないことに該当するものとする。通常、混合終了後の混合液はその全量を60℃以上に加熱するものであるが、例えば、混合液の固形成分に比べて液成分が非常に多い場合には、加熱コストを削減するために、ある程度の沈降をさせて上澄液の一部を抜出して加熱しても良い。また、逆に、固形成分が液成分に比べて非常に多い場合には水を加えることにより調整することも可能である。この加熱温度は、60℃以上が必要で、好ましくは80℃以上である。60℃未満であると加熱処理による微粒化効果が不十分になる傾向がある。上限温度は特に限定されないが、加熱のために用いる圧力容器等の機器準備が不要な点から、スラリーを構成する水溶液(スラリー中の固形分を除いた液体部分)の1気圧での沸点以下であることが好ましく、さらに、安全面を考慮すると100℃以下にすることが好ましいものである。また、加熱時間は、0.5〜24時間が好ましく、1〜16時間がより好ましく、1.5〜12時間がさらに望ましい。0.5時間未満であると、加熱による微粒化効果が不十分になり易い。一方、24時間を超える加熱処理をしても、微粒化の効果を更に向上させることができない。
本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法により得られる中間体は、X線による回折分析した際に、希土類水酸化炭酸塩のピークが確認できる形態を有している。このX線回折において、希土類モノオキシ炭酸塩のピークは確認できないほうが好ましいが、確認されたものであってもよい。希土類モノオキシ炭酸塩のピーク確認できる場合、CuKα線に基づくX線回折にて2θ=15.9°付近のモノオキシ炭酸塩のピーク高さよりも2θ=17.8°付近の水酸化炭酸塩のピークのピーク高さのほうが高いものの形態が好ましい。そして、CuKα線に基づくX線回折にて2θ=10.4°付近の炭酸塩のピークが観察されない形態であることが好ましい。
上記した本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法においては、混合終了後60℃以上での加熱処理終了前に、炭酸系沈澱剤、アンモニア、又は希土類化合物水溶液と炭酸系沈澱剤を混合したとき生じる希土類の沈澱以外に生じる塩(例えば、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、硝酸アンモニウム等)を添加することができる。この場合、pHは13以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは11以下になるように添加すればよい。pHが13を超えると、水酸化物が生成し易くなり、焙焼した際に異常成長した粒子が発生する恐れがある。また、加熱処理終了前に或いは後に、湿式の機械的粉砕を行ってもよい。
上記した本発明のセリウム系研摩材中間体の製造方法においては、加熱処理後の混合液をそのまま或いは冷却後、ろ過を行い、得られた中間体を水洗するものである。また、上述した機械的粉砕を行う場合には、機械粉砕処理の後にろ過等を行って、固液分離を行えばよい。水洗は、付着している塩類やアルカリを低減させるものであるが、具体的には塩素、アルカリ金属、アンモニア等を低減させるように行うものである。
本発明に係るセリウム系研摩材は、上記した製造方法により得られたセリウム系研摩材中間体を用いて製造することができる。具体的には、上記したセリウム系研摩材中間体を焙焼するものである。この焙焼処理の前に乾燥処理を行ってもよく、焙焼後、粉砕、分級してもよいものである。
このセリウム系研摩材中間体を焙焼する場合、焙焼温度を300〜1100℃とすることが好ましい。400〜1050℃の焙焼温度範囲がより好ましく、450〜1000℃であることがさらに望ましい温度範囲である。また、この焙焼温度は、CeO/TREOの値を考慮して決定するほうがよく、例えば、CeO/TREO≧99質量%の場合では300〜800℃が好ましく、400〜750℃がより好ましく、450〜700℃がさらに好ましい温度範囲である。焙焼温度範囲が好ましく、CeO/TREOが50質量%〜70質量%の場合では、700〜1100℃が好ましく、800〜1050℃がより好ましく、900〜1000℃がさらに好ましい温度範囲である。焙焼温度が300℃未満であると、研摩速度が低いセリウム系研摩材となり、1100℃を超えると、研摩材粒子が粗大になり、中間体を微粒にした効果が喪失し、研摩精度の低下を引き起こす。また、焙焼時間としては、0.2〜72時間とすればよく、好ましくは0.5〜60時間で、1〜48時間の焙焼であるとさらに望ましい。0.2時間未満の焙焼時間では、研摩速度の低いセリウム系研摩材となる可能性が高くなり、72時間以上の焙焼を行っても、研摩材特性などにはほとんど変化がなく、熱エネルギーの無駄となり、製造コスト的に好ましくない。
上記した本発明に係るセリウム系研摩材を用いてガラス基板を研摩すると、算術平均表面粗さRaが0.4nm以下であるとともに算術平均微小うねりが0.5nm以下である表面となるガラス基板を実現することができる。ハードディスク用、フォトマスク用、液晶やプラズマディスプレイのフラットパネルディスプレイ用などのガラス基板には、表面粗度及び表面微小うねりの小さいものが要求されているが、本発明に係るセリウム系研摩材を用いて研摩すれば、これらの各種用途のガラス基板に極めて好適な表面性状を実現できるのである。このガラス基板の算術平均表面粗さRaは0.4nm以下とあることが実用的で、好ましくは0.3nm以下、さらに望ましくは0.2nm以下であり、算術平均微小うねりは0.5nm以下であることが実用的で、好ましくは0.4nm以下、さらに望ましくは0.3nm以下である。
以上説明したように、本発明によれば、高い研摩速度と、研摩精度の非常に優れたセリウム系研摩材を実現できる。そして、このような優れた研摩特性を備えるセリウム系研摩材を容易に製造可能な研摩材中間体を容易に製造可能となる。また、本発明に係るセリウム系研摩材を用いてガラス基板を研摩することで、表面粗さ及び表面微小うねりの非常に小さな表面性状を有する、各種用途に好適なガラス基板を実現することができる。
本発明の最良の実施形態について、実施例及び比較例を参照しながら詳説する。尚、以下の実施例及び比較例は、2種類の中国産希土類炭酸塩を原料としたものである。この2種類の中国産希土類炭酸塩(A、B)についての各組成を表1に示す。
まず最初に、以下で説明する実施例及び比較例のセリウム系研摩材中間体を製造するための、希土類化合物水溶液の製造方法について説明する。中間体を製造する際に用いた希土類化合物水溶液は、図1に示す製造フローに従って作製した。希土類化合物水溶液の作製手順は、表1に示す炭酸塩原料A2220kgを35%塩酸1550Lに溶解し、その後原料Aを少量ずつ加えてpH3.0に調整し、その溶解液をろ過し、希土類化合物水溶液の原液を得た。表1に示す炭酸塩原料Bでは、原料B222kgと35%塩酸155Lとして、同様な手順で希土類化合物水溶液の原液を得た。このときの原料Aにより得られた原液中のTREOは285g/Lで、原料Bでの原液では279g/Lであった。また、この2つの原液のTREO中の希土類酸化物の含有量は、原料である中国産希土類炭酸塩AまたはBの含有量と同じであった。そして、各原液を水で希釈することにより、混合に用いる希土類化合物水溶液(TREO50g/L)を作製した。但し、後述する比較例2及び3に用いた希土類化合物水溶液は、TREOは55g/Lであった。
次に、実施例、比較例のセリウム系研摩材中間体の製法及びそれを用いたセリウム系研摩材の製法について説明する。研摩材中間体及びそれを用いた研摩材の製法フローを図2に示す。まず、研摩材中間体の製造の基本的な手順を説明すると、炭酸系沈殿剤として、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウムを用い、所定濃度の沈殿剤水溶液を作製し、上記希土類化合物水溶液と各種の方法にて混合し、沈殿生成させ、その後所定の加熱処理を行って、浸漬加熱粉砕処理をし、ろ過、水洗を行うものとした。表2及び表3に示す各実施例、各比較例は、混合方法、混合に使用した水溶液量、混合時の水溶液温度、混合時間、固液分離処理の有無、加熱処理の有無及びその処理条件、機械的粉砕処理の有無に関し、各条件を種々組み合わせて中間体を製造した。
ここで、表2及び表3に示す各中間体製造条件について説明する。混合方法としては、沈殿剤水溶液と希土類化合物水溶液とを、正添加、逆添加、同時添加の3種類の方法を行った。正添加とは、撹拌した希土類化合物水溶液に沈殿剤水溶液を添加して混合するもので、逆添加は撹拌した沈殿剤水溶液に希土類化合物水溶液を添加して混合する方法である。また、同時添加とは、混合容器に、希土類化合物水溶液と沈殿剤水溶液と同時に投入して混合する方法である。また、表中の始液とは、例えば逆添加の混合で説明すると、混合容器に予め投入しておく水溶液としての沈殿剤水溶液をいう。同時添加の場合では、始液が既に投入された状態の混合容器に対して、沈殿剤水溶液と希土類混合物水溶液を同時に添加する混合する方法も行った。このときの沈殿剤水溶液における始液の割合は、沈殿剤水溶液のうち始液に使用した割合を示すものである。例えば、表2の実施例1の場合、混合に供用する沈殿剤水溶液のすべてを始液に用いているため、始液の割合が100%として記載している。
混合液の液温については、基本的には加熱を行わない状態、即ち液温約20℃とし、それ以外として混合液を加熱して30〜90℃の液にした。固液分離については、本願発明に対応する実施例に関してはすべて固液分離を行わず、比較例では、混合後沈殿生成させた混合液をろ過して、加熱処理を行ったものも製造した。そして、機械的粉砕処理は、浸漬加熱粉砕処理後の混合液を、直径0.8mmのジルコニアボールを用いたビーズミルに一回通液して粉砕処理を行ったものである。
表2及び表3には、各中間体製造条件を異なる実施例1〜18、比較例1〜11を示している。各製造条件により得られた研摩材中間体について、CeO/TREOの測定、X線回折分析、レーザ回折散乱法粒子径分布測定、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子径測定を行い、表2及び表3に示す各評価数値データを得た。以下に、各測定について説明する。
レーザ回折散乱法による平均粒径(D 50 )の測定
レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製:LA−920)を使用して粒度分布を測定することにより、平均粒径(D50:小粒径側からの体積基準の積算分率における50%径<メジアン径>)を求めた。尚、表2及び表3では、中間体より得られた50%径をD50 として*を付し、研摩材より測定された50%径(表4及び表5の研摩材の場合は*付さない:D50)と区別をしている<表中の他の数値についても、*の有無により区別している>。
SEMによる粒子径測定
フィールドエミッション走査型電子顕微鏡(日本電子(株)社製JSM−6330F)により各中間体を観察し、その観察画像を電子的に保存した画像を用いて、各中間体粒子を円形近似して測定することにより個数平均粒子径(DSEM )を算出した。このDSEM は、SEMの観察画像を画像解析ソフト
( 旭化成エンジニアリング(株)製 IP−1000PC ) を用いて円形近似して測定したものである。また、以下の式からCV値(%)を計算した。
続いて、上記した各研摩材中間体を用いて製造したセリウム系研摩材について説明する。製造したセリウム系研摩材は、表2及び表3で示した各研摩材中間体を用い、表4及び表5に示すように製造条件としての乾燥及び焙焼の温度、時間を様々変更して製造したものである。そして、製造した各研摩材について、CeO/TREOの測定、X線回折分析、レーザ回折散乱法粒子径分布測定、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子径測定、研摩評価(研摩速度、研摩面傷評価、研摩面粗度、表面微小うねり測定)を行い、表4及び表5に示す各評価数値データを得た。以下に、各測定について説明する。尚、レーザ回折散乱法及びSEMによる粒子径測定については上記中間体の測定と同様である。
研摩速度
研摩機として、研摩試験機(HSP−2I型、台東精機(株)製)を用意した。この研摩試験機は、スラリー状の研摩材を研摩対象面に供給しながら、当該研摩対象面を研摩パッドで研摩するものである。研摩材スラリーの砥粒濃度は、100g/Lとした(分散媒は水のみ)。そして、本研摩試験では、スラリー状の研摩材を5リットル/分の割合で供給することとし、研摩材を循環使用した。なお、研摩対象物は65mmφの平面パネル用ガラスとした。また、研摩パッドはポリウレタン製のものを使用した。研摩面に対する研摩パッドの圧力は9.8kPa(100g/cm2)とし、研摩試験機の回転速度は100min−1(rpm)に設定し、所定時間研摩をした。そして、研摩速度は、特定時間の研摩処理を行い、研摩前後のガラス重量を測定して研摩によるガラス重量の減少量を求め、この値に基づき研摩値を求めた。そして、表4及び表5に示す研摩速度の評価値は、表4の比較例1の研摩材により得られた研摩値を基準(100)とし、他の研摩速度の評価値を算定したものである。
研摩面傷評価
上記した研摩後のガラス表面について、30万ルクスのハロゲンランプを照射し、反射法にてガラス表面を観察して、傷の程度(大きさおよび個数)を見極めて点数化し、100点満点からの減点方式にて評価点を定めた。各表では、95点以上を◎、94〜90点を○、89〜85点を△、84点以下を×として記載している。
研摩面粗度
上記の研摩後のガラス表面について、原子間力顕微鏡 (
AFM )を用いて、研摩表面の中の10μm×10μm積面について算術平均表面粗さ(Ra:nm)を測定した。
表面微小うねり
研摩表面の微小うねり測定は、3次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製NewView200)を用い、測定波長を0.2〜1.4mmとして基板表面の所定領域を白色光で走査して測定し、算術平均微小うねりを求めた。
表2〜表5で示す各評価数値データから判るように、本願発明に基づく実施例の研摩材では、研摩速度が高く、研摩精度にも優れることが判明した。一方、各比較例の研摩材では、研摩速度或いは研摩精度のいずれかが十分な特性でないことが確認された。この結果は、研摩材中間体の時点で、実施例と比較例との各特性値が異なることに対応したものと考えられる。
希土類化合物水溶液の製造フロー図。 セリウム系研摩材中間体及び研摩材の製造フロー図。

Claims (7)

  1. セリウム系研摩材中間体の製造方法において、
    アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択された少なくとも1種の炭酸系沈澱剤の水溶液と、CeO/TREOが30質量%以上である希土類化合物の水溶液とを、化学量論的に炭酸系沈澱剤が過剰となるよう液温0℃以上55℃以下で混合して沈澱を生成し、
    固形成分と液成分とを含む混合液を固液分離することなく60℃以上100℃以下に加熱した後、ろ過により固形成分と液成分とを固液分離する方法であり、
    炭酸系沈殿剤の水溶液と希土類化合物の水溶液との混合は、炭酸系沈澱剤の水溶液を攪拌しながら希土類化合物の水溶液を添加するか、あるいは、炭酸系沈澱剤の水溶液と、希土類化合物の水溶液とを同時に混合容器に投入して行うことを特徴とするセリウム系研摩材中間体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法で製造されたセリウム系研摩材中間体を焙焼する工程を備えるセリウム系研摩材の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のセリウム系研摩材中間体を焙焼する工程を備えるセリウム系研摩材の製造方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載されたセリウム系研摩材の製造方法により得られるセリウム系研摩材において、
    TREO(全酸化希土含有量)中の酸化セリウム含有率(CeO/TREO)が30質量%以上であ
    レーザ回折散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径(D50)が0.1〜0.5μmであり、走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定された個数平均粒子径(DSEM)に対する前記50%径(D50)の比(D50/DSEM)が1.0〜2.0であり、
    ストークス径で2μm以上の粗粒子含有量が500ppm以下であるセリウム系研摩材。
  5. 走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定した粒子径のCV値(CVSEM)が40%以下である請求項4に記載のセリウム系研摩材。
  6. 請求項1に記載されたセリウム系研摩材中間体の製造方法により得られたセリウム系研摩材中間体において、
    セリウム系希土類水酸化炭酸塩を主成分としており、
    TREO(全酸化希土含有量)中の酸化セリウム含有率(CeO/TREO)が30質量%以上であり、
    レーザ回折散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径(D50 )が0.1〜0.5μmであるとともに、走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定した個数平均粒子径(DSEM )に対する前記50%径(D50 )の比(D50 /DSEM )が1.0〜2.0であり、
    ストークス径で2μm以上の粗粒子含有量が500ppm以下であるセリウム系研摩材中間体。
  7. 走査型電子顕微鏡による研摩材の観察画像における研摩材粒子を円形近似して測定した粒子径のCV値(CVSEM )が40%以下である請求項6に記載のセリウム系研摩材中間体。
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