JP2003027044A - セリウム系研摩材 - Google Patents

セリウム系研摩材

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JP2003027044A
JP2003027044A JP2001220979A JP2001220979A JP2003027044A JP 2003027044 A JP2003027044 A JP 2003027044A JP 2001220979 A JP2001220979 A JP 2001220979A JP 2001220979 A JP2001220979 A JP 2001220979A JP 2003027044 A JP2003027044 A JP 2003027044A
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Hidehiko Yamazaki
秀彦 山▲崎▼
Yoshiji Uchino
義嗣 内野
Shigeru Kuwabara
滋 桑原
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ素及びSc、Y、Ceを含む希土類元素
の組成を最適化し、研摩傷の発生が少なく、かつ、研摩
後の洗浄性の良好なセリウム系研摩材を提供する。 【解決手段】 フッ素の含有量が0.1%以上で、全希
土酸化物含有量中のCeOの含有量が30%以上の組
成を有し、Lnの形態の酸化物を安定相とするS
c、Y、La等の希土類元素を、フッ素に対してLnF
を形成するのに必要な量以上又はフッ素に対してLn
OFを形成するのに必要な量以上にし、すべての上記希
土類元素の酸化物換算量を全希土酸化物中で70%以下
とするセリウム系研摩材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素及びセリウ
ム等の希土類元素の含有量を一定の範囲にすることで、
特に研摩後の被研摩面への残留研摩材が少なく、さら
に、研摩傷も少ない等の研摩特性に優れたセリウム系研
摩材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、様々な用途に研摩材が用いられて
いる。この中で特に、光ディスクや磁気ディスク用ガラ
ス基板、半導体製造用フォトマスクのガラス基板、LC
D用ガラス基板、あるいは光学用レンズ等のガラス基板
や光学用レンズ等においては、高精度に表面研摩するこ
とが要求されている。これらのガラス基板等の表面研摩
に用いられている研摩材としては、希土類酸化物、特に
酸化セリウム(以下、「CeO」と記す。)を主成分
とするセリウム系研摩材(以下、「セリウム系研摩材」
と記す。)が用いられている。その理由は、CeO
は、ガラスの研摩において酸化ジルコニウム(以下、
「ZrO」と記す。)やシリカ(以下、「SiO
と記す。)に比べて研摩性が優れているからである。こ
れは、CeOは、ZrO、SiO、アルミナ(以
下、「Al」と記す。)等に比べて研摩力が高く
研摩速度が大きいことと、硬度があまり高くないために
研摩後のガラス表面が滑らかに研摩されるためである。
【0003】しかし、セリウム系研摩材の研摩性を決め
るのは、フッ素及びCeO等の希土類酸化物の含有量
等の組成、比表面積等の多くの因子がある。したがっ
て、研摩性を制御するには、個々の特性を正確に評価し
て、総合的に判断しなければならないという問題があ
る。特に、セリウム系研摩材の組成としては、TREO
中のCeOが高いほど研摩速度が高い優れた研摩材に
なるといわれている。また、フッ素の含有量が高いほ
ど、同様に、研摩速度が高くなるといわれている。
【0004】したがって、例えば、特開平9−1839
66号公報では、アルカリ金属、アルカリ土類金属、放
射性物質が化学的に分離除去されて、これらの含有量が
低減されたセリウムを主成分とする軽希土原料を、フッ
酸(フッ化水素酸)により部分フッ素化あるいはフッ化
希土類を添加した後、焼成する研摩材の製造方法が開示
されている。この中で、軽希土原料ではフッ素がすべて
除去されているが、研摩性を維持するため及びランタン
全部をフッ化ランタンとして中和して、塩基性の強い酸
化ランタンの悪影響を軽減するために、最終製品中でフ
ッ素が3〜9%となるように、製造工程中でフッ素含有
物質を添加している。
【0005】しかしながら、セリウム系研摩材では、フ
ッ素の含有量とTREOの含有量、及びフッ素の含有量
とTREO中の希土類酸化物の組成と含有量について最
適化されておらず、そのためにセリウム系研摩材の被研
摩材への付着力が強く、研摩後に洗浄しても被研摩材表
面から除去できず研摩材が残留する等の問題が発生す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記問題点に鑑みてなされたものであり、フッ素とTRE
O及びフッ素とTREO中のSc、Y、Ceを含む希土
類元素(以下、これを「Ln」と記す。)の組成と含有
量を最適化し、研摩傷の発生が少なく、かつ、研摩後の
洗浄性の良好なセリウム系研摩材を提供することを課題
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、 フッ素の含有量(W
(F))が0.1%以上で、 TREO(全希土類酸化
物換算量)中のCeOの含有量(w(CeO))が
30%以上の組成を有するセリウム系研摩材であって、
希土類元素であって、その酸化物の形態が通常三二酸化
物である希土類元素(Ln)の含有量が、セリウム系
研摩材中の合計量として、フッ素に対してLn
形成するのに必要な量以上である セリウム系研摩材と
する。(ここで、「Ln」は、「Sc、Y、La、N
d、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Luからなる群から選択される1以上の希土類元
素」を表す。)請求項2に記載の発明は、 請求項1に
記載のセリウム系研摩材において、Lnの含有量が、
セリウム系研摩材中の合計量として、フッ素の含有量に
対してLnOFを形成するのに必要な量以上である
セリウム系研摩材とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、 請求項1に記
載のセリウム系研摩材において、Lnの含有量が、次
式(1)を満たす、w(ΣLn )≧W(F)×
336÷114÷W(TREO)×100………式
(1)(ここで、「w(ΣLn )」は「TRE
O中のΣLn 含有量(%)」、「W(TRE
O)」は「セリウム系研摩材中のTREO含有量
(%)」を表す。) セリウム系研摩材とする。請求項
4に記載の発明は、 請求項2又は3に記載のセリウム
系研摩材において、 Lnの含有量が、次式(2)を
満たす、w(ΣLn )≧W(F)×336÷3
8÷W(TREO)×100………式(2) セリウム
系研摩材とする。請求項5に記載の発明は、 請求項3
に記載のセリウム系研摩材において、LnのうちLa
とNdの含有量が、次式(3)を満たす、w(La
)+w(Nd)≧W(F)×336÷114÷
W(TREO)×100………式(3) セリウム系研
摩材とする。請求項6に記載の発明は、 請求項4又は
5に記載のセリウム系研摩材において、 Lnのうち
LaとNdの含有量が、次式(4)を満たす、w(La
)+w(Nd)≧W(F)×336÷38
÷W(TREO)×100………式(4) セリウム系
研摩材とする。
【0009】請求項7に記載の発明は、 請求項1ない
し6のいずれかに記載のセリウム系研摩材において、
W(F)とW(TREO)との合計が、90%以上であ
るセリウム系研摩材とする。請求項8に記載の発明は、
請求項1ないし7のいずれかに記載のセリウム系研摩
材において、 w(La)÷w(ΣLn
)×100の値が、50〜100%である セ
リウム系研摩材とする。請求項9に記載の発明は、 請
求項1ないし8のいずれかに記載のセリウム系研摩材に
おいて、 w(La)が、50%以下である セ
リウム系研摩材とする。請求項10に記載の発明は、
請求項1ないし9のいずれかに記載のセリウム系研摩材
において、 W(F)が、3%以下である セリウム系
研摩材とする。
【0010】請求項11に記載の発明は、 請求項1な
いし10のいずれかに記載のセリウム系研摩材におい
て、 BET法による比表面積が0.5〜30m/g
であり、 レーザー回折粒度分布測定方法による累積5
0%粒径(D50)が0.1〜5.0μmである セリ
ウム系研摩材とする。請求項12に記載の発明は、 請
求項1ないし11のいずれかに記載のセリウム系研摩材
において、 セリウム系研摩材原料の組成、フッ化処理
量及び焙焼条件を制御して、 請求項1ないし11のい
ずれかに記載のセリウム系研摩材になるように製造する
セリウム系研摩材とする。請求項13に記載の発明
は、 請求項12に記載のセリウム系研摩材において、
セリウム系研摩材原料のTREO中のΣLn
CeO、La、Ndの含有量(%)をそ
れぞれw(ΣLn )、w(CeO )、w
(La)、w(Nd)とし、セリウム
系研摩材中のフッ素の含有量(%)の目標値をW
**(F)とすると、 W**(F)が0.1%以上
で、w(CeO)が30%以上であり、次式(5)
〜(8)のいずれかを満足するw(ΣLn
≧W**(F)×336÷114÷{90−W
**(F)}×100………式(5)、 w(ΣLn
)≧W**(F)×336÷38÷{90−W
**(F)}×100………式(6)、 w(La
)+w(Nd)≧W**(F)×336÷
114÷{90−W**(F)}×100………式
(7)、 w(La)+w(Nd)≧
**(F)×336÷38÷{90−W**(F)}
×100………式(8) セリウム系研摩材である。請
求項14に記載の発明は、 請求項1ないし13のいず
れかに記載のセリウム系研摩材を砥粒として含有し、か
つ、分散媒を含有するセリウム系研摩材スラリーであっ
て、該スラリーがセリウム系研摩材砥粒を1〜50%含
有する セリウム系研摩材スラリーである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。本発明のセリウム系研摩材は、フッ素の
含有量W(F)が、0.1%以上である。以下、W(元
素記号又は分子式)は、元素記号又は分子式で表された
物質のセリウム系研摩材中の含有量(%)を表し、ま
た、スラリー状の研摩材ではセリウム系研摩材中の含有
量は固形分中の含有量であり、スラリー状の研摩材にも
そのまま適用することができる。w(元素記号又は分子
式)は、元素記号又は分子式で表された研摩材のTRE
O中の含有量(%)を表す。したがって、例えば、セリ
ウム系研摩材中の元素であって、TREO中の元素は、
w(元素記号又は分子式)=W(元素記号又は分子式)
÷W(TREO)×100で表される関係を満足する。
また、w(元素記号又は分子式)は、元素記号又は分
子式で表された物質のセリウム系研摩材原料のTREO
中の含有量(%)を表す。また、W (元素記号又は
分子式)は、元素記号又は分子式で表された物質のセリ
ウム系研摩材中含有量の目標値(%)である。ここで、
原料であっても、それを使用して製造した研摩材であっ
ても、TREOの組成は同じである。したがって、w
(元素記号又は分子式)=w(元素記号又は分子式)
である。ただし、これらの含有量は、セリウム系研摩材
中又はTREO中で元素又は分子に換算した場合の含有
量であり、元素単体又は分子の形態で存在しなくともよ
い。また、例えば、請求項及び2に記載の「Ln含有
量」も、元素に換算した場合の含有量であり、元素単体
として存在しなくともよい。
【0012】フッ素は、他の元素との反応性が大きいた
め、研摩したガラスの主成分であるSiOを研摩表面
から分離する。フッ素によるこの作用により、常に新た
なガラス表面を露出させて研摩を促進し、さらに、迅速
に研摩表面から分離することで研摩傷の発生を防止する
ことができる。そのために、フッ素は少なくとも0.1
%以上を含有させることで、研摩速度を大きくすること
ができる。
【0013】本発明のセリウム系研摩材は、TREO中
のCeOの含有量が30%以上である。TREO中に
は、CeO以外の他の希土類元素(Sc及びYを含
む)の酸化物(LnO:ここで、LnOはCeO
をも含む。xは1.5以上2以下である)を含んでい
る。ただし、TREOは、すべての種類のLnOを含
んでいる必要はなく、通常は、酸化セリウム(Ce
)、酸化ランタン(La)、酸化プラセオジ
ウム(Pr11)、酸化ネオジウム(Nd
)、酸化サマリウム(Sm)等のLnO
を含んでいる。
【0014】本発明のセリウム系研摩材は、とくに、C
eOは、含有量が高くなると研摩速度を高くすること
ができるため、実用上使用するために必要なものであ
り、TREO中のCeOの含有量が30%以上あれば
ガラス研摩用途として使用できる。しかし、高含有量に
すると研摩速度は高くなるが、原料が高価であり、実用
上は90%以下が好ましい。なお、例えば、Fe、S
i、Al、Na、K、Ca、Ba、P、S、Cl等が残
留してもよい。含有する不純物が多くなると、例えば、
Clでは研摩材の付着性が強くなり残留研摩材が多くな
り、Feでは磁気特性に悪影響を及ぼす等の不純物によ
る悪影響が生ずるので、少ない方が好ましい。さらに、
本発明のセリウム系研摩材は、Lnの酸化物換算量が
TREO中で70%以下とする。希土類金属酸化物Ln
の中でもLn は、CeO 等のLn
と異なり、研摩速度の向上に大きく寄与しないため、T
REO中で70%以下にし、上述したようにCeO
含有量を30%以上にしないとガラス研摩用途として使
用できない。
【0015】ここで、Lnは、希土類元素であって、
酸化物の前駆体化合物(蓚酸塩、水酸化物等)を空気中
で加熱分解して得られる酸化物が、三二酸化物(Ln
)であるものを表す。この酸化物中のLnの酸
化数は、+3である。また、このLnの具体的な希土
類元素は、Sc、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、
Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luであり、これらか
らなる群より選択される1以上の希土類元素である。一
方、Lnの中でLnを除いたLnは、希土類元素で
あって、酸化物の前駆体化合物(蓚酸塩、水酸化物等)
を空気中で加熱分解して得られる酸化物が、三二酸化物
(Ln )でないものを表す。この酸化物中のL
の酸化数は、+3を越えて4以下である。このLn
の具体的な希土類元素は、Ce、Pr、Tbであり、
これらからなる群より選択される1以上の希土類元素で
ある。酸化物としては、それぞれCeO、Pr
11、Tbと表記される。これらのLn
で、特にCeOの研摩特性に対する寄与が大きいため
に、多く含有させる必要がある。なお、Tbは単
相ではなく、Tb12とTb1120との2相の
混合相と考えられている。なお、ここで、Lnとして
Pmを入れていないのは、Pmは天然には存在しない放
射性元素であるといわれており、人工的につくることは
可能であるが、放射性のため危険であり、Pmが入って
も研摩材として使用できないと思われるためである。
【0016】ここで、セリウム系研摩材に含有するLn
の含有量が、フッ素に対してLn を形成するの
に必要な量以上である。例えば、原料が酸化物でフッ化
処理した場合、焙焼前、LnとLnは、Ln
、Ln、Ln 、Lnとして
存在しているものと考えられる。焙焼時に起こりやすい
反応から順に、以下のi)〜v)の反応が起こるものと
考えられる。 i) LnがLn と反応して、Ln
FとLnOFとを生成する。ii) LnがLn
と反応して、LnOFを生成する。 iii) LnがLnと反応して、LnOF
を生成する。 iv) Ln1がLnと反応して、LnOF
とLnOFとを生成する。 v) LnOFがLn と反応して、Ln
FとLnとを生成する。 しかし、i)〜v)のすべての反応が起こるわけではな
いと考えられる。例えば、i)の反応でLn
なくなれば、ii)とv)の反応は起こらず、逆に、i)
の反応でLnがなくなれば、iii)の反応は起こ
らず、また、ii)の反応でLn1がなくなればiv)
の反応は起こらないものと考えられる。また、原料が酸
化物でなくとも、あるいは、原料中にフッ素が含まれて
おり、フッ化処理しなくても、最終生成物は同じである
と考えられる。したがって、上記i)〜v)の反応に基
づいて説明することは、原料やフッ化処理が異なる場合
においても適用可能であると考えられる。ここで、セリ
ウム系研摩材中のLnOFは、研摩材が研摩面に付着
しやすいという悪影響及び研摩傷が発生しやすいという
悪影響がなく、研摩速度の向上に寄与するものと考えら
れる。また、LnOFは、研摩速度の向上に寄与する
が、研摩面に付着しやすいという悪影響及び研摩傷が発
生しやすいという悪影響があるものと考えられる。ま
た、Ln及びLnが存在すれば、研摩面に
非常に付着しやすく、研摩傷も非常に発生しやすいもの
と考えられる。
【0017】セリウム系研摩材に含有するLnの含有
量が、フッ素に対してLnを形成するのに必要な
量と等しい場合、i)、iii)、iv)の反応により、焙
焼後LnOFとLnOFとが、mol比で1対2の割
合で存在しているものと考えられる。セリウム系研摩材
に含有するLnの含有量が、フッ素に対してLn
を形成するのに必要な量より少ない場合、生成するL
OFとLnOFとがmol比で1対2の割合より、
LnOFの割合が多くなり、もはや研摩面に研摩材が
付着しやすく、付着すると除去しにくいという悪影響を
抑えることができないとともに、セリウム系研摩材中に
Lnが残留しやすくなり、研摩傷が非常に発生し
やすくなる。セリウム系研摩材中にLnが残留し
やすくなるのは、Lnがiii)の反応に優先的に
消費されてしまい、iv)の反応が起こりにくくなるた
めと考えられる。セリウム系研摩材に含有するのLn
の含有量が、フッ素に対してLnを形成するのに
必要な量以上である場合、生成するLnOFとLn
OFとがmol比で1対2に等しいかあるいは1対2より
LnOFの割合が多くなり、LnOFの研摩面に付
着しやすく、研摩傷も発生しやすいという悪影響はほと
んど抑えられると考えられる。したがって、セリウム系
研摩材に含有するLnの含有量が、フッ素に対してL
を形成するのに必要な量以上であることが必要
である。
【0018】また、ここで、Lnの含有量は、フッ素
に対してLnOFを形成するのに必要な量以上であ
る。例えば、原料が酸化物でフッ化処理した場合、焙焼
前、LnとLnは、Ln、Ln、Ln
、Lnとして存在しているものと考えら
れ、焙焼時に起こりやすい反応から順に、上記のi)〜
v)の反応が起こるものと考えられ、しかも、i)〜
v)のすべての反応が起こるわけではないのは、既に説
明した通りである。
【0019】セリウム系研摩材に含有されるLnの含
有量が、フッ素に対してLnOFを形成するのに必要
な量以上である場合、主として、i)、ii)、iv)の
反応によって、計算上すべてのフッ素をLnOFとし
て固定することが可能な量のLnが存在するために、
フッ素を含有していても研摩面に付着するという悪影響
はほとんどない。しかしながら、セリウム系研摩材に含
有されるLnの含有量が、フッ素に対してLnOF
を形成するのに必要な量より少ない場合、LnOFの
影響により研摩面への付着がでてくるが、セリウム系研
摩材に含有されるLnの含有量が、フッ素に対してL
OFを形成するのに必要な量以上であれば、付着の
程度は少ないことは既に説明した通りである。したがっ
て、セリウム系研摩材に含有されるLnの含有量が、
フッ素に対してLnOFを形成するのに必要な量以上
であることが好ましい。
【0020】本発明のセリウム系研摩材は、LnとL
で焙焼時にフッ素を揮発しないで保持する能力が異
なることを見出し、この差に着目して鋭意研究努力した
結果から得られたものである。したがって、LnとL
で焙焼時にフッ素保持能力に差があることを実例で
示す。ここで、Lnの例としてLa、Nd、Sm、G
dを、Lnの例としてCe、Pr、Tbを取り上げ、
これらの酸化物をフッ化処理後焙焼して、焙焼後のフッ
素の含有量を測定することによりフッ素の揮発性を測定
した。純度99.99%以上の CeO、Pr
11、Tb、La、Nd、Sm
、Gdを別々にボールミルで粉砕した後、5%
フッ酸を5%フッ化する量を添加して、濾過・乾燥させ
た後に900℃にて5時間焙焼した。焙焼した後、サン
プルミルで粉砕後、フッ素の含有量を測定した。そのと
きの5%フッ化量に対する残留したフッ素含有量の比で
示した。各サンプルの比を表1に示す。
【0021】
【表1】<表1:各サンプルのフッ化量に対する残留し
たフッ素含有量の比> この表1から、Ce、Pr、TbのLnは、残留する
フッ素が少ないことから、フッ素が揮発しやすいことが
わかる。逆に、La、Nd、Sm、GdのLn は、フ
ッ素が揮発しにくいことがわかる。
【0022】本発明のセリウム系研摩材は、Lnの含
有量が、次式(1)を w(ΣLn )≧W(F)×336÷114÷W(TREO)×100 ………式(1) を満足するものである。Lnを形成するのに必要
なLnを酸化物換算して求めると、Ln が1
molに対してフッ素(F)は6molとなる。したがって、
Lnの含有量が、Lnを形成するのに必要な量
以上ということは、Ln の平均分子量をM、セ
リウム系研摩材の質量をPとすると、フッ素(F)の分
子量を19であることから、 P×W(ΣLn )÷100÷M≧P×W(F)
÷100÷(19×6) と表せる。この式を整理すると、 W(ΣLn )÷M≧W(F)÷(19×6)………式(9) と表せる。ここで、TREO中のΣLn に換算
するために、w(ΣLn )=W(ΣLn
)÷W(TREO)×100の式を変形して、式
(9)に代入すると、 w(ΣLn )×W(TREO)÷100÷M≧
W(F)÷114 となり、これを整理すると、 w(ΣLn )≧W(F)×M÷114÷W(TREO)×100 … ……式(10) となる。
【0023】したがって、この式(10)を用いて判定
してもよいが、Ln の平均分子量Mの値は、L
の組成により変動するため、多くの成分を分
析して計算する必要があり手間がかかる。Mの値の計算
は、以下のように考えることができる。例えば、セリウ
ム系研摩材が5種類のLnを含み、各w(Ln
)をS、S、S、S、Sとすると、w(Σ
Ln )=S+S+S+S+Sと表す
ことができる。この各Ln の分子量をM、M
、M、M、Mとすると、Ln の平均分
子量M=w(ΣLn )÷{(S÷M)+
(S÷M)+(S÷M)+(S÷M)+
(S÷M)}となる。しかし、ここで、セリウム系
研摩材は、Lnとしては、La、Ndがほとんどであ
り、Ndより原子量の大きい希土類元素及びNdよりか
なり原子量の小さいSc及びYは含有量が少ないため
に、Mの値は、Laの分子量である326以上で
あり、Ndの分子量である336以下であるとす
ることができる。したがって、MとしてNdの分
子量である336を使用すれば、通常は式(10)の範
囲を広げないで、分析及び平均分子量の計算の手間を省
いて簡単に判定できる。そこで、式(10)にMとして
336を用いて、 w(ΣLn )≧W(F)×336÷114÷W(TREO)×100 ………式(1) を得ることができる。
【0024】また、本発明のセリウム系研摩材は、Ln
の含有量が、 w(ΣLn )≧W(F)×336÷38÷W(TREO)×100… ……式(2) を満たすものである。LnOFを形成するのに必要な
Lnを酸化物換算して求めると、Ln が1mo
lに対してフッ素(F)は2molとなる。Ln
平均分子量をM、フッ素(F)の分子量を19、セリウ
ム系研摩材の質量をPとすると、 P×W(ΣLn )÷100÷M≧P×W(F)
÷100÷(19×2) と表せる。この式を整理すると、 W(ΣLn )÷M≧W(F)÷(19×2)………式(11) と表せる。ここで、TREO中のΣLn に換算
するために、w(ΣLn )=W(ΣLn
)÷W(TREO)×100の式を変形して、式(1
1)に代入すると、 w(ΣLn )×W(TREO)÷100÷M≧
W(F)÷38 となり、これを整理すると、 w(ΣLn )≧W(F)×M÷38÷W(TREO)×100 …… …式(12) となり、ここで、式(10)の場合と同様の理由で、M
としてNdの分子量である336を用いると、 w(ΣLn )≧W(F)×336÷38÷W(TREO)×100 ………式(2) を得ることができる。したがって、この式(2)を満足
するw(ΣLn )によって、セリウム系研摩材
は、含有するフッ素に対してLnOFを形成するのに
必要な量以上のLnを含有させることができる。
【0025】また、w(ΣLn )は、各成分を
分析して合計して算出してもよいのはもちろんである
が、成分数が多くなると分析に時間、費用等がかかる。
ここで、w(ΣLn )+w(ΣLn)=
w(LnO)=100(%)であり、w(ΣLn
)=w(CeO)+w(Pr11)+w(Tb
)であるから、w(ΣLn )=100−
w(ΣLn)であり、 w(ΣLn )=100−{w(CeO)+w(Pr11)+w (Tb)}………式(13) と表すことができる。これにより、w(ΣLn
)は、Ln の各成分を分析して、合計
して計算しなくとも、CeO、Pr11、Tb
の3成分を分析して計算してもよいのは明らかであ
る。
【0026】また、セリウム系研摩材は、Lnとして
は、La、Ndがほとんどであり、w(ΣLn
)≧w(La)+w(Nd)であ
るから、式(1)及び式(2)において、w(ΣLn
)に代えて、w(La)+w(Nd
)を使用したとしても、式(1)及び式(2)が
成立する範囲は広くならない。したがって、式(1)に
代えて式(3)を、式(2)に代えて式(4)を使用す
ることで、より簡便に判別することが可能になる。
【0027】本発明のセリウム系研摩材は、W(F)と
W(TREO)との合計が、90%以上であることがさ
らに好ましく、95%以上であることが一層好ましい。
焙焼後、TREOとフッ素の合計量が90%未満では、
その他の不純物が多すぎて悪影響を及ぼすからである。
TREOが少なく、アルカリ金属やアルカリ土類金属の
酸化物を多く含むと、セリウム系研摩材の粒子が焙焼時
異常粒成長しやすく、研摩材中に粗粒子が多くなり研摩
傷が発生しやすい。そこで、フッ素とTREOの含有量
の合計を90%以上とすることで、粗粒子が少なく研摩
傷の発生を抑え、さらに、研摩速度の大きい研摩材とす
ることができる。
【0028】なお、理論的には、W(F)とW(TRE
O)との合計は、100%をわずかに越えることもあり
得る。例えば、研摩材中に含まれるLnOFは、W
(F)は変わらないが、W(TREO)はLnOではL
nOなくとして測定されるためO(酸素)が増えた分
だけ質量が増える。したがって、希土類元素、酸素及び
フッ素以外の不純物が非常に少ない場合は、W(F)と
W(TREO)の合計量は、100%をわずかに超える
場合がある。
【0029】次に、フッ素の含有量とw(ΣLn
)の関係を図に示す。図1は、本発明のセリウム系研
摩材のフッ素の含有量とw(ΣLn )の適正範
囲を示す図であり、W(F)+W(TREO)がほぼ上
限値である100(%)の場合である。左はW(F)=
0.1%の線で、本発明のセリウム系研摩材は、W
(F)≧0.1%が適正な範囲であり、さらに、上はw
(ΣLn )=70%の線で、w(ΣLn
)≦70%が適正な範囲である。これは、w(ΣLn
)=100−{w(CeO)+w(Pr
11)+w(Tb)}であるから、w(ΣLn
)≦100−w(CeO)が成立する。また、
w(CeO)≧30%であるから、w(ΣLn
)≦100−w(CeO)≦70%が成立する。さ
らに、式(1)にW(F)+W(TREO)=100の
関係を代入すると、式(1)は、 w(ΣLn )≧W(F)÷{100−W(F)}×336÷114× 100………式(14) と表される。この3線により、図1に示すように形成さ
れるハッチング部分が、セリウム系研摩材としてフッ素
とTREO及びフッ素とTREO中の希土類元素Ln
の組成と含有量との適正な範囲になる。
【0030】図2は、本発明のセリウム系研摩材のフッ
素の含有量とw(ΣLn )の適正範囲を示す図
であり、W(F)+W(TREO)が好ましい範囲の下
限値である90(%)の場合である。同様に処理する
と、式(1)は、 w(ΣLn )≧W(F)÷{90−W(F)}×336÷114×1 00………式(15) と表される。この3線により、図2に示すように形成さ
れるハッチングのある部分が、セリウム系研摩材として
フッ素とTREO及びフッ素とTREO中の希土類元素
Ln の組成と含有量との適正な範囲になる。
【0031】図3は、本発明のセリウム系研摩材のフッ
素の含有量とw(ΣLn )の適正範囲を示す図
であり、W(F)+W(TREO)がほぼ上限値である
100(%)の場合である。左はW(F)=0.1%の
線で、本発明のセリウム系研摩材は、W(F)≧0.1
%が適正な範囲であり、さらに、上はw(ΣLn
)=70%の線で、w(ΣLn )≦70%が
適正な範囲である。さらに、式(2)にW(F)+W
(TREO)=100の関係を代入すると、式(1)
は、 w(ΣLn )≧W(F)÷{100−W(F)}×336÷38×1 00………式(16) と表される。この3線により、図3に示すように形成さ
れるハッチング部分が、セリウム系研摩材としてフッ素
とTREO及びフッ素とTREO中の希土類元素Ln
の組成と含有量との適正な範囲になる。
【0032】図4は、本発明のセリウム系研摩材のフッ
素の含有量とw(ΣLn )の適正範囲を示す図
であり、W(F)+W(TREO)が好ましい範囲の下
限値である90(%)の場合である。式(2)にW
(F)+W(TREO)=90の関係を代入すると、式
(2)は、 w(ΣLn )≧W(F)÷{90−W(F)}×336÷38×10 0………式(17) と表される。この3線により、図4に示すように形成さ
れるハッチング部分が、セリウム系研摩材としてフッ素
とTREO及びフッ素とTREO中の希土類元素Ln
の組成と含有量との適正な範囲になる。
【0033】本発明のセリウム系研摩材は、w(La
)÷w(ΣLn )×100(%)の値が、
50%以上100%以下とする。Laは、特に、フッ素
との親和力が強く、研摩面が荒れたり、付着力が強くな
るといったフッ素の悪影響を抑制する力が強くなる。
【0034】本発明のセリウム系研摩材は、w(La
)の値を、50%以下とする。Laは、他の
希土類酸化物に比べて極端に水和反応が起こりやすい。
フッ素を含有することで、ある程度水和反応は抑制され
るが、研摩時は部分的には温度が100℃を超えるため
に、w(La)が50%を越えると、La
の水和反応を完全に抑えることは困難である。また、水
酸化物は研摩力がほとんどなく、また、研摩パッドの目
詰まりの原因となる。そこで、LaをTREO中
で50%以下にして、研摩時の水和反応を抑えセリウム
系研摩材の寿命を長くすることができる。
【0035】本発明のセリウム系研摩材は、BET法に
よる比表面積が0.5m/g以上30m/g以下に
し、レーザー回折粒度分布測定方法による累積50%粒
径(D50)が0.1μm以上5.0μm以下とする。
BET比表面積が0.5m/g未満では又は累積50
%粒径(D50)が5.0μmを越えると、研摩値が大
きく研摩速度は速いが、研摩によるキズが多くなる。B
ET比表面積が30m /gを越えると又は累積50%
粒径(D50)が0.1μm未満では、研摩キズはほと
んどつかないために研摩精度は高いが、研摩値は極端に
低下する。そこで、平均粒径(D50)とBET比表面
積の両方を制御することで、研摩値が高く研摩力があ
り、かつ研摩キズがなく研摩精度の高い研摩材となる。
【0036】本発明のセリウム系研摩材は、フッ素の含
有量を19.2%以下、好ましくは10%以下、さらに
好ましくは7%以下、さらに一層好ましくは3%以下と
する。フッ素の含有量が0.1%未満では研摩速度が小
さく、フッ素を含有させる効果がない。しかし、フッ素
の含有量が、19.2%を越えると、Lnの含有量が
合計量として、フッ素に対してLnを形成するの
に必要な量以上とすることが困難で、研摩材の被研摩面
へのセリウム系研摩材の付着が非常に強く研摩傷の原因
となり、また、フッ素による研摩面のあれがひどくな
る。フッ素の含有量が、10%を越えると、研摩時の被
研摩面表面に研摩傷が発生しやすくなる。フッ素の含有
量が、7%を越えると、Lnの含有量が合計量とし
て、フッ素に対してLnOFを形成するのに必要な量
以上とすることが困難で、被研摩面への研摩材の付着が
発生しやすくなる。フッ素の含有量が、3%を越える
と、研摩材の付着や研摩傷はほとんどないが、フッ素に
より研摩面がわずかに荒れやすくなる。
【0037】さらに、本発明のセリウム系研摩材は、セ
リウム系研摩材原料の組成、フッ化処理量及び焙焼条件
を制御して、請求項1ないし11のいずれかに記載のセ
リウム系研摩材になるように製造するものである。原料
の組成は、TREO中で目標とする原料を選択するが、
1種類の原料では対応できない場合は異なる組成の原料
を複数混合して目標組成にする。セリウム系研摩材原料
の組成について詳しく述べる。セリウム系研摩材原料の
TREO中のΣLn 、CeO、La
Ndの含有量(%)をそれぞれw(ΣLn
)、w(CeO)、w(La)、w
(Nd)とし、セリウム系研摩材中のフッ素の含
有量(%)の目標値をW**(F)とすると、W
**(F)が0.1%以上で、w(CeO)が30
%以上であり、次式(5)〜(8)であるw(ΣLn
)≧W**(F)×336÷114÷{90−
**(F)}×100………式(5)、 w(ΣL
)≧W**(F)×336÷38÷{90−
**(F)}×100………式(6)、 w(La
)+w(Nd)≧W**(F)×336
÷114÷{90−W**(F)}×100………式
(7)、 w(La)+w(Nd)≧
**(F)×336÷38÷{90−W**(F)}
×100………式(8)のいずれかを満足するセリウム
系研摩材原料を使用して製造することが好ましい。ここ
で、W(F)が0.1%以上であるから、その目標値で
あるW**(F)も0.1%以上である。また、w(C
eO)=w(CeO)であるから、w(CeO
)が30%以上であることが必要である。式(1)〜
式(4)に、w(ΣLn )=w(ΣLn
)、w(CeO)=w(CeO)、w(La
)=w(La)、w(Nd)=w
(Nd)を代入し、さらに、W(F)、W(T
REO)として目標値であるW**(F)、W**(T
REO)を代入し、さらに、W**(TREO)はW
**(F)より予想しにくいため、W**(F)+W
(TREO)=90%が好適値の下限であることを利
用して、これを変形したW**(TREO)=90−W
**(F)を代入すれば、式(5)〜式(8)が得られ
る。式(5)〜式(8)のいずれかを満たすようなセリ
ウム系研摩材原料を使用してセリウム系研摩材を製造す
れば、式(1)〜式(4)のいずれかを満足するセリウ
ム系研摩材を容易に製造することができる。複数種類の
原料を混合して使用する場合には、式(5)〜式(8)
の混合後の組成について適用すればよい。ここで、後述
するようにフッ化処理条件及び焙焼条件を適正に制御す
れば、W **(F)とW(F)の差は1%以内になる。
フッ素は、原料中に含有されている必要はなく、製造時
のフッ化処理で調整することができる。また、特に、セ
リウム系研摩材として、フッ素含有量の少ないものを目
的とする場合は、フッ素がほとんど含まれていない原料
の方が好ましい。また、製造時のフッ化処理量は、粉末
状の原料又はスラリー状の原料にフッ素あるいはフッ素
含有化合物を添加することによって行うことができる。
特に、1%以上30%未満のフッ化水素酸又は5〜15
0g/Lのフッ化アンモニウムを含む水溶液により行う
のが好ましい。中でも、1〜20%のフッ化水素酸又は
10〜100g/Lのフッ化アンモニウムを含む水溶液
により行うのが好ましい。これは、フッ素含有化合物の
濃度が高いとフッ化反応が均一に起こらず、焙焼時に異
常粒成長が起こりやすく、セリウム系研摩材中に粗粒子
が多くなり研摩傷が発生しやすくなり、また、あまりフ
ッ素含有化合物の濃度が低いと液量が増えて、フッ化処
理に大きな槽が必要となるとともに排水量が増えるため
コストが高くなるためである。フッ化処理量は、原料の
組成と焙焼条件により、焙焼時に揮発するフッ素の量を
予測してセリウム系研摩材中で目的とするフッ素の含有
量となるように決めることができる。
【0038】次に、焙焼条件について説明する。焙焼温
度は、700〜1200℃である。研摩精度をそれほど
要求されない一般研摩用であれば850〜1200℃、
研摩精度を高度に要求される精密研摩用であれば700
〜1000℃である。焙焼温度は、セリウム系研摩材中
のフッ素の含有量によっても異なり、一般研摩用、精密
研摩用ともそれぞれの温度範囲の中でフッ素の含有量が
高くなるほど比較的高温で焙焼すればよい。700℃未
満ではセリウム系研摩材の研摩速度が非常に低くなり、
1200℃を超えると研摩傷が発生しやすくなる。焙焼
時間は炉の形式により大きく異なるが0.5〜72時間
が好ましい。焙焼炉は、ロータリーキルン、トンネルキ
ルン等の連続式、あるいは、シャトルキルン等のバッチ
式等のいずれも使用可能である。
【0039】本発明のセリウム系研摩材の製造方法につ
いて説明する。図5は、本発明のセリウム系研摩材の製
造方法を示すフローチャートである。原料としては、希
土類の酸化物、炭酸塩、水酸化物、蓚酸塩、バイストネ
サイト精鉱等を単独又は任意に組み合わせて使用して、
(Ce)が30%以上で、w(ΣLn
)が目的の含有量であって、式(5)〜式(8)の
いずれかを満たすようにすればよい。このためには、例
えば、原料の酸化物を2種類組み合わせ調整することが
できる。また、これらの原料は高純度のものでなくとも
よい。高純度のものを使用する場合は、1種類の原料で
は、w(Ce)が30%以上で、w(ΣLn
)が目的の含有量であって、式(5)〜式
(8)のいずれかを満たすようにすることは困難であ
り、2種類以上を組み合わせて使用することが好まし
い。次に、原料は十分微粒である場合を除いて、D50
が0.01〜5μmになるまで粉砕することが望まし
い。D50が5μmを越えると、後のフッ化処理にて粉
砕効果がえられたとしてもセリウム系研摩材中で粗粒子
が多く残り、研摩傷が発生する。D50が0.01μm
未満では、粉砕にコストがかかる。また、湿式粉砕、乾
式粉砕のいずれも採用可能であるが、均一な粒度分布が
得られやすい点で湿式粉砕が好ましい。
【0040】次に、通常、フッ化処理を行う。ただし、
原料にフッ素が適正量含まれている場合はフッ化処理を
しない場合もある。このフッ化処理を行うことにより、
最終製品であるセリウム系研摩材中に必要に応じてフッ
素を含有させて研摩力を高めることが可能である。ただ
し、フッ素を含有させるフッ化処理は、粉砕の前のスラ
リー化して実施してもよい。フッ化処理は、粉末状の原
料又はスラリー状の原料にフッ素又はフッ素含有化合物
を添加することにより行うことができるが、1〜30%
のフッ化水素酸又は5〜150g/Lのフッ化アンモニ
ウムを含む水溶液により行うのが好ましい。中でも、1
〜20%のフッ化水素酸又は10〜100g/Lのフッ
化アンモニウムを含む水溶液により行うのが好ましい。
フッ化処理は、原料の組成と焙焼条件により、焙焼時に
揮発するフッ素の量を予測してセリウム系研摩材中で目
的とするフッ素の含有量となるように決めることが望ま
しい。次に、濾過、乾燥を行うことが好ましい。濾過
は、フィルタープレス、真空濾過機、ベルトフィルター
等の濾過機を用いて、布等の濾材を通して溶液を抜き出
して、原料を濾材上に残す操作である。さらに、乾燥
は、濾材上の原料(濾過ケーキ)の水分を大部分除去し
て、焙焼し易くする操作である。スラリーを噴霧乾燥等
により直接乾燥する方法もあり、この場合、濾過は不要
である。乾燥は実施しないで、濾過したケーキを直接焙
焼してもよいが、乾燥を実施することにより焙焼がより
均一に進行するため、乾燥を実施するのが好ましい。こ
の乾燥後は、解砕を行うことが好ましい。解砕機は、バ
イブロミル、ローラーミル、サンプルミル等を用いるこ
とができる。
【0041】次に、焙焼する。焙焼温度としては700
〜1200℃で、このときに、一般研摩用、精密研摩用
等の研摩材の等級別にそれぞれの温度範囲の中で温度を
選択して焙焼すればよく、一般研摩用であれば850〜
1200℃、精密研摩用であれば700〜1000℃で
焙焼することが好ましい。700℃未満ではセリウム系
研摩材の研摩速度が非常に低くなり、1200℃を超え
ると研摩傷が発生しやすくなる。焙焼時間は、バッチ式
では1〜48時間、連続式では0.2〜8時間が好まし
い。焙焼炉は、ロータリーキルン、トンネルキルン等の
連続式、あるいは、シャトルキルン等のバッチ式等のい
ずれも使用可能である。雰囲気は酸化性雰囲気がよく通
常大気中で行う。次いで、解砕、分級してセリウム系研
摩材を得る。解砕は、粗大粒子が低減され分級歩留が向
上するため、実施することが好ましく、乾式で行うこと
が好ましい。解砕は、ジェットミル、ターボミル、ビー
ズミル、ボールミル、アトライタ等の粉砕器を用いるこ
とができる。分級は、風力分級機等を用いることができ
る。また、スラリー状の研摩材の場合は、粉末状研摩材
をスラリー化してもよいが、解砕時に湿式解砕、湿式分
級して製造してもよい。
【0042】また、本発明のセリウム研摩材スラリー
は、以上説明したよう請求項1ないし13のいずれかに
記載のセリウム系研摩材を砥粒として含有し、かつ、分
散媒を含有する研摩材スラリーであって、該スラリーが
セリウム系研摩材砥粒を1〜50%含有するものであ
る。セリウム系研摩材スラリーが含有するセリウム系研
摩材砥粒が1%未満では研摩効率が低く、排水量が増
え、セリウム系研摩材砥粒が50%を越えると高粘度に
なり製造するのが困難である。分散媒としては、水又は
水溶性有機溶媒あるいはそれらの混合物が好適に使用す
ることができる。なかでも、水が最も好適である。ここ
で、水溶性有機溶媒は、水にあらゆる割合で溶解するも
のだけではなく、水への溶解度が、20℃において5%
以上のものも含むものとする。水溶性有機溶媒の例とし
て、メタノール、エタノール、1−プロパノール(n−
プロピルアルコール)、2−プロパノール(iso−プ
ロピルアルコール)、2−メチル−プロパノール(is
o−ブチルアルコール)、2−メチル−2プロパノール
(tert−ブチルアルコール)、1−ブタノール(n
−ブチルアルコール)、2−ブタノール(sec−ブタ
ノール)、1,2−エタンジオール(エチレングリコー
ル)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコー
ル)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコ
ール)、1,2,3−プロパントリオール(グリセリ
ン)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケト
ン)、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルホルムキシド、1,4−ジオキサン等が
ある。また、分散媒の他に、分散剤やpH調整剤等の添
加剤を適宜に含有していてもよい。セリウム系研摩材ス
ラリー中のセリウム系研摩材砥粒の含有量は、均一状態
からスラリーをサンプリングして、その質量を測定し
て、約105℃にて乾燥後、得られた固形分の質量を測
定することによって測定できる。
【0043】
【実施例】以下に、本発明の好適な実施例について説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。 (実施例1)本発明のセリウム系研摩材におけるフッ素
と希土類元素との含有量が研摩特性へ及ぼす影響を評価
した。最初に、純度99.9%以上のCeO、Pr
11、Tb、La、Nd、Sm
を一定の割合で処方し、希土類酸化物の1.5倍の
質量の水とともに直径5mmのジルコニア(YTZ)ボ
ールを使用した湿式ボールミルにて10〜14時間混合
・粉砕して累積50%粒径(D50)約0.5μmのス
ラリーにした原料a1〜a9を作製した。混合・粉砕時
間は使用した希土類酸化物の粒度及び粉砕の難易を予め
確認しておき、混合・粉砕後のD50が約0.5μmに
なるように調整した。各原料の組成を表2に示す。用い
た酸化物中のフッ素含有量はいずれも0.001%以下
であった。
【表2】<表2:原料の組成>
【0044】次に、これらのスラリーを攪拌機の付属し
たFRP製の容器に入れ、攪拌しながら、最終製品であ
る研摩材中のフッ素含有量を、0.01%、0.2%、
6%、12%、20%にすることを目標に、研摩材中の
フッ素含有量目標値が0.01%及び0.2%では1%
フッ化水素酸を、その他の場合は5%フッ化水素酸を表
2に示すフッ化処理量になるように添加した。フッ化処
理は、室温約20℃の室内で行い、加熱及び冷却は実施
しなかった。フッ化処理量は焙焼によるフッ素の揮発を
考慮して決定した。
【0045】ここで、フッ化処理量は、下記の式(1
8)を適用することが可能である。
【数1】 この式(18)は、希土類元素、フッ素及び酸素以外の
不純物で、焙焼時に揮発しない不純物含有量が特に多く
なければ適用可能である。
【0046】次に、フッ化処理されたスラリーのうち原
料がa1〜a4であるものを濾過、乾燥、解砕、焙焼、
解砕、分級してセリウム系研摩材を得た。濾過は真空濾
過にて実施し、乾燥は強制対流式箱型乾燥機で120℃
の温度で12時間行い、解砕はロールクラッシャー
((株)ダルトン製)、次に、サンプルミル(不二パウ
ダル(株)製)にて行った。焙焼は、バッチ式で静置式
の電気炉を用いて900℃で、8時間行った。ただし、
実施例1−9、1−10の焙焼時間はそれぞれ800
℃、1000℃にて行った。焙焼後の解砕は、焙焼前の
解砕と同じ装置を使用して行った。分級は、エルボージ
ェット(日鉄鉱業(株)製)にて分級点7μmに設定し
て行った。作製された実施例1−1〜実施例1−10、
比較例1−1〜比較例1−6の研摩材と研摩材中のTR
EO中の組成を表3に示す。
【0047】
【表3】<表3:実施例・比較例の研摩材と研摩材中の
TREOとの組成>
【0048】フッ素の含有量は、0.1%以上ではアル
カリ溶融・温水抽出・フッ素イオン電極法で測定し、
0.1%以下では熱加水分解・ランタン−アリザリンコ
ンプレクソン吸光光度法で測定した。アルカリ溶融・温
水抽出・フッ素イオン電極法は、以下のような測定法で
ある。研摩材又は研摩材原料を試料として、アルカリ融
剤にて溶融し、放冷後温水にて抽出し、定容する。その
適量を分取し、バッファー液を添加後、PHを約5.3
に調整し、定容して試料溶液とする。標準液は、試料を
用いないこと及び分取後フッ素の標準液を添加すること
以外は、試料と同様に操作して、フッ素濃度を変えて数
種類準備する。標準液及び試料溶液を、フッ素イオン電
極を取り付けたイオンメータにて測定し、標準液測定に
よって得られる検量線から試料溶液のフッ素濃度を求
め、それを試料のフッ素の含有量に換算する。なお、焙
焼前のフッ素の含有量は、焙焼前の試料を120℃で2
時間乾燥させ、この試料を用いて焙焼後の研摩材と同様
の操作によってフッ素の含有量を定量した。熱加水分解
・ランタン−アリザリンコンプレクソン吸光光度法は、
JIS H 1698「タンタル中のフッ素定量方法」
(現在は廃止)に記載されていた方法であり、試料を水
蒸気を含む窒素気流中で加熱して、その際生成するフッ
化水素酸を水酸化ナトリウム溶液に吸収させ、ランタン
−アリザリンコンプレクソンを加えて呈色させ、吸光度
を測定してフッ素の含有量を定量した。
【0049】TREO含有量は、試料を過塩素酸と過酸
化水素とを用いて分解し、蓚酸を溶液に加え、さらにそ
の溶液のpHを約1.5に保持することによって得られ
た沈殿物を濾別し、得られた沈殿物を1,000℃で焙
焼して酸化物化する。この焙焼物をTREOとし、試料
に対する重量によってTREO含有量を測定した。TR
EO中のCeO、Pr11、Tb、La
、Nd、Smは、アルカリ融剤で溶融
後ICP発光分光法で測定した。測定は、以下のように
行う。研摩材を試料として、酸溶解又はアルカリ溶融し
た後に、その適量を取り、定容して試料とする。標準試
料は、Ce等の濃度を変えて数種類準備し、これにより
得られる検量線から、試料のCe等の含有量を定量し、
TREOに対する含有量に換算した。なお、ここでは、
実施例3及び4では測定を行ったが、実施例1及び2は
計算値である。
【0050】また、上記組成の式(1)、式(2)、式
(5)、式(6)の右辺の計算値をそれぞれA、B、
C、Dとして表4に示す。さらに、フッ素比率を次式
(19)により、計算して表4に示す。
【数2】
【0051】
【表4】<表4:実施例・比較例の計算値とフッ素比率
【0052】次に、これらの作製したセリウム系研摩材
の粉体特性として比表面積(m/g)と累積50%粒
径(D50:μm)を、さらに、研摩試験として研摩
値、研摩傷、残留研摩材について測定した。その結果を
表5に示す。なお、比表面積の測定は、JIS R 1
626「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法
による比表面積の測定方法」に記載の流動法のうち一点
法により行った。累積50%粒径(D50)は、約0.
1gのセリウム系研摩材を0.1%ヘキサメタ燐酸ナト
リウム水溶液100mlに入れ、超音波ホモジナイザー
((株)日本精機製作所 MODEL US−300
T)にて300Wで10分間かけて分散した。得られた
分散液を一部取り、マイクロトラック(日機装(株):
マイクロトラックMK−II粒度分析計(SPA MOD
EL7997−20))にて、粒度分布を測定して、D
50を得た。
【0053】研摩値は、オスカー型研摩試験機(台東精
機(株)社製HSP−2I型)で、65mmφの平面パ
ネル用ガラス材料を、ポリウレタン製の研摩パッドを用
いて研摩した。研摩条件は、回転数1700rpmでガ
ラス材料を回転させ、パッドを、圧力98kPa(1k
g/cm)で10分間研摩した。研摩前後の重量を測
定し、研摩量を求め、比較例1−1を100とした相対
値で表わした。研摩傷は、研摩後の平面パネル用ガラス
の表面に、光源30万ルクスのハロゲンランプを照射し
て反射法により、傷の数と大きさを判別して、100点
満点からの減点法にて評価した。95点以上100点以
下であれば精密研摩用に非常に好適であること、90点
以上95点未満であれば精密研摩用に好適であること、
80点以上90点未満であれば一般研摩用として使用可
能であること、80点未満であれば研摩材として不適で
あることを示している。残留研摩材は、研摩後のガラス
を純水中で、超音波洗浄機を用いて洗浄した後、無塵状
態で乾燥させ、その表面を光学顕微鏡にて観察し、ガラ
ス表面に付着している残留研摩材の有無を観察した。こ
こでは、「◎」は残留研摩材がほとんどなく、研摩材と
して非常に好適であることを示し、「○」は残留研摩材
が若干あるが少なく、研摩材として好適であることを示
し、「×」は残留研摩材が多く、研摩材として不適であ
ることを示している。
【0054】
【表5】<表5:実施例・比較例の研摩試験結果>
【0055】実施例1の結果より明らかなように、比較
例1−1では、研摩材組成のフッ素の含有量(表3を参
照:W(F))が、0.01%と0.1%以下のため
に、実施例1−1〜実施例1−8と比較して研摩値も高
くなく、さらに、残留研摩材が多く研摩材には不適なこ
とがわかる(表5を参照)。比較例1−2では、w(Σ
Ln )の値が0%とまったく含有していないた
めに、LnOFが形成されずLnOFが形成される
ために残留研摩材が多く研摩材には不適なことがわかる
(表5を参照)。特に、フッ素の含有量(表3中のW
(F))を比較しても、比較例1−2が2.1%で、実
施例1−3と実施例1−4がともに2.0%であり、ほ
ぼ同じ値であるにもかかわらず、比較例1−2だけが、
研摩傷と残留研摩材が多いことがわかる。比較例1−3
では、w(CeO)が25%と30%以下になってい
ることから、研摩速度が低く、研摩傷、残留研摩材も多
くなっており研摩材として不適であることがわかる。比
較例1−4〜比較例1−6では、いずれもw(ΣLn
)の値がA及びBの値より小さいために、すなわ
ち、式(1)及び式(2)を両方とも満足していないた
めに、研摩傷、残留研摩材が多く研摩材として不適であ
ることがわかる。
【0056】また、原料組成が同じで、セリウム系研摩
材中のフッ素含有量もほとんど同じで、焙焼温度が異な
る実施例1−4、実施例1−9、実施例1−10を比較
して焙焼温度の影響を確認した。研摩速度については、
焙焼温度でかなり大きさ差があり、高温で焙焼した方が
研摩速度が高い。研摩傷については、焙焼温度が高くな
るとごくわずかに増えるが、全く問題のない範囲であ
る。残留研摩材は、いずれもほとんどなく研摩材として
非常に好適であることがわかる。これらのセリウム系研
摩材は、いずれもw(ΣLn )の値がBの値以
上であることから、式(2)をみたしているために非常
に好適なセリウム系研摩材であり、焙焼温度が異なって
も本発明が適用できることを示している。
【0057】実施例1−1〜実施例1−4は、いずれも
w(ΣLn )の値がBの値以上である。すなわ
ち、式(2)を満足しているため、当然のごとく式
(1)も満足している、研摩傷、残留研摩材ともほとん
どなく、研摩材として非常に好適であることがわかる。
実施例1−5〜実施例1−8は、いずれもw(ΣLn
)の値がAの値以上であるが、Bの値より小さ
い。すなわち、式(1)を満足するが、式(2)を満足
しないため、実施例1−1〜実施例1−4のセリウム系
研摩材には劣るが、研摩傷、残留研摩材とも少なく、研
摩材として好適であることがわかる。したがって、W
(F)が0.1%以上で、w(CeO)が30%以上
であって、式(1)又は式(2)を満足することで、研
摩傷及び残留研摩材の少ない好適な研摩材が得られるこ
とがわかる。さらに、セリウム系研摩材原料の組成につ
いては、W**(F)が0.1%以上で、w(CeO
)が30%以上であって、w(ΣLn
が、C又はD以上であれば、すなわち、式(5)又は式
(6)を満足する原料を使用すれば、研摩傷及び残留研
摩材の少ない好適な研摩材を得ることができる。
【0058】(実施例2)本発明のセリウム系研摩材に
おける希土類酸化物中のPr11、La 、N
、Smの含有量が研摩特性へ与える影響
を評価した。実施例2では、実施例1でフッ化処理した
スラリー(原料a5〜a9)を、以降は実施例1と同様
に処理してセリウム系研摩材を作製した。ただし、焙焼
はすべて900℃で8時間実施した。実施例2の評価方
法は実施例1と同じである。ただし、実施例2−4、実
施例2−5については各10枚のガラスを1枚当たり1
時間研摩する試験を実施した。このときの研摩値は10
分間当たりに換算して計算した。作製された実施例2−
1〜実施例2−5の研摩材と研摩材中のTREO中の組
成を表6に示す。
【0059】
【表6】<表6:実施例の研摩材と研摩材中のTREO
との組成>
【0060】また、それぞれ計算値A、B、C、Dとフ
ッ素比率を計算して表7に示す。
【表7】<表7:実施例の計算値とフッ素比率>
【0061】次に、これらの研摩試験を行った。研摩試
験の結果を表8に示す。
【表8】<表8:実施例の研摩試験結果>
【0062】実施例2−1と実施例1−3の組成を比較
すると、実施例2−1は実施例1−3のCeOの一部
がPr11に置き換わっているだけで、その他の組
成はほぼ同じであり、いずれもw(ΣLn )の
値がBの値以上である、すなわち、式(2)を満足して
いる。したがって、実施例2−1は、実施例1−3と比
較して研摩速度が若干劣るものの研摩傷及び残留研摩材
については、実施例1−3とほぼ同じ非常に優れた研摩
材である。実施例2−2及び実施例2−3と実施例1−
4の組成を比較すると、w(CeO)及びw(ΣLn
)は同じ値で、Ln の組成が異なるだ
けで、いずれもw(ΣLn )の値がBの値以上
である、すなわち、式(2)を満足している。したがっ
て、実施例2−2及び実施例2−3は、実施例1−4と
同様に非常に優れた研摩材である。また、実施例2−4
と実施例2−5の組成を比較すると、w(La
が50%を越えるか、50%以下であるかの差がある
が、いずれも、w(ΣLn )の値は60%とB
の値以上である、すなわち、式(2)を満足しているた
め、研摩傷及び残留研摩材ともほとんどなく、研摩材と
して非常に好適であることがわかる。以上により、W
(F)が0.1%以上であり、w(CeO)が30%
以上であれば、組成が種々変わっても、式(1)又は式
(2)を満足すれば研摩材として好適であることがわか
る。しかし、実施例2−4では、w(La)が5
0%を越えているため、研摩パッドを交換しない試験の
10枚目の研摩値が水酸化物の目詰まりにより1枚目の
研摩値より大幅に低下していると考えられる。したがっ
て、w(La)は50%以上が好ましい。
【0063】(実施例3)実施例3では、原料にセリウ
ム含有希土類炭酸塩を用いてフッ素と希土類酸化物との
含有量が研摩特性へ及ぼす影響を評価した。原料の組成
を表9に示す。
【0064】
【表9】<表9:セリウム含有希土類炭酸塩の組成>
【0065】これらの原料を実施例1と同様に、湿式粉
砕、フッ化処理、濾過、乾燥、解砕、焙焼、解砕、分級
してセリウム系研摩材を作製した。ただし、フッ化処理
はW(F)が3%になることを目標に行い、焙焼は90
0℃にて実施した。作製された実施例3−1、実施例3
−2、比較例3−1の研摩材と研摩材中のTREO中の
組成を表10に示す。
【0066】
【表10】<表10:実施例の研摩材と研摩材中のTR
EOとの組成>
【0067】また、それぞれ計算値A、B、C、Dとフ
ッ素比率を計算して表11に示す。
【表11】<表11:実施例の計算値とフッ素比率> 次に、これらの研摩試験を行った。研摩試験の結果を表
12に示す。
【0068】
【表12】<表12:実施例の研摩試験結果>
【0069】実施例3−1及び実施例3−2と比較例3
−1とも、W(F)が0.1%以上であり、w(CeO
)が30%以上である。比較例3−1は、w(ΣLn
)の値がA及びBの値より小さい、すなわち、
式(1)及び式(2)を両方とも満足していない。した
がって、研摩傷、残留研摩材とも多く研摩材として不適
であることがわかる。実施例3−1は、w(ΣLn
)の値がAの値以上であるが、Bの値より小さい、
すなわち、式(1)を満足するが、式(2)は満足して
いない。したがって、研摩傷、残留研摩材とも少なく、
研摩材として好適であることがわかる。実施例3−2
は、w(ΣLn )の値がBの値以上である、す
なわち、式(2)を満足し、当然のごとく式(1)を満
足している。したがって、研摩傷、残留研摩材ともほと
んどなく研摩材として非常に好適であることがわかる。
したがって、調合した希土類酸化物の混合物ではなくと
も、実際の原料を用いる場合であっても、フッ素の含有
量が0.1%以上で、w(CeO)が30%以上で、
式(1)又は式(2)を満足することで、研摩傷、残留
研摩材の少ない好適な研摩材が得られることがわかる。
【0070】(実施例4)実施例4では、原料にバスト
ネサイト精鉱単独(原料c1)、バストネサイト精鉱と
希土類炭酸塩(b3)をTREO換算で1:2で混合し
た混合品(原料c2)を用いてフッ素と希土類酸化物と
の含有量が研摩特性へ及ぼす影響を評価した。実施例4
−1では、原料にバストネサイト精鉱単独で用い、フッ
化処理を行わない以外は実施例3と同様に研摩材を作製
する。実施例4−2では、原料にバストネサイト精鉱と
希土類炭酸塩(b3)をTREO換算で1:2で混合し
た混合品(原料c2)を用い、フッ化処理を行わない以
外は実施例3と同様に研摩材を作製する。実施例4−3
では、原料にバストネサイト精鉱と希土類炭酸塩(b
3)をTREO換算で1:2で混合した混合品を用い、
実施例3と同様にフッ化処理を行い研摩材を作製する。
ここでは、研摩材のフッ素の含有量が、実施例4−1と
同等になるように制御する。作製された実施例4−1〜
実施例4−3の研摩材と研摩材中のTREO中の組成を
表13に示す。
【0071】
【表13】<表13:実施例の研摩材と研摩材中のTR
EOとの組成>
【0072】また、それぞれ計算値A、Bとフッ素比率
を計算して表14に示す。
【表14】<表14:実施例の計算値とフッ素比率>
【0073】次に、これらの研摩試験を行った。研摩試
験の結果を表15に示す。
【表15】<表15:実施例の研摩試験結果>
【0074】実施例4−1及び実施例4−3は、w(Σ
Ln )の値がAの値以上であるが、Bの値より
小さい、すなわち、式(1)を満足するが、式(2)は
満足していない。したがって、研摩傷、残留研摩材とも
少なく、研摩材として好適であることがわかる。実施例
4−2は、w(ΣLn )の値がBの値以上であ
る、すなわち、式(2)を満足し、当然のごとく式
(1)を満足している。したがって、研摩傷、残留研摩
材ともほとんどなく研摩材として非常に好適であること
がわかる。したがって、バストネサイト精鉱単独及び他
の希土類原料を混合した混合品であっても、優れた研摩
材が得られることがわかる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のセリウム
系研摩材では、フッ素の含有量とCeOの含有量及び
フッ素に対するLn の三二酸化物を形成する、
Sc、Y、Ceを含む希土類元素の組成を最適化するこ
とで、研摩傷、残留研摩材の少ない優れた研摩特性を有
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセリウム系研摩材のフッ素の含有量と
w(ΣLn )の適正範囲を示す図であり、W
(F)+W(TREO)がほぼ上限値である100
(%)の場合である。
【図2】本発明のセリウム系研摩材のフッ素の含有量と
w(ΣLn )の適正範囲を示す図であり、W
(F)+W(TREO)が好ましい範囲の下限値である
90(%)の場合である。
【図3】本発明のセリウム系研摩材のフッ素の含有量と
w(ΣLn )の適正範囲を示す図であり、W
(F)+W(TREO)がほぼ上限値である100
(%)の場合である。
【図4】本発明のセリウム系研摩材のフッ素の含有量と
w(ΣLn )の適正範囲を示す図であり、W
(F)+W(TREO)が好ましい範囲の下限値である
90(%)の場合である。
【図5】本発明のセリウム系研摩材の製造方法を示すフ
ローチャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月12日(2002.2.1
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】また、それぞれ計算値A、B、C、Dとフ
ッ素比率を計算して表7に示す。
【表7】<表7:実施例の計算値とフッ素比率>
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内野 義嗣 東京都品川区大崎1丁目11番1号 三井金 属鉱業株式会社機能材料事業本部レアメタ ル事業部内 (72)発明者 桑原 滋 東京都品川区大崎1丁目11番1号 三井金 属鉱業株式会社機能材料事業本部レアメタ ル事業部内 Fターム(参考) 3C058 AA09 CB10 DA02 4G076 AA02 CA02 DA30

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素の含有量(W(F))が0.1%
    以上で、 TREO(全希土類酸化物換算量)中のCeOの含有
    量(w(CeO))が30%以上の組成を有するセリ
    ウム系研摩材であって、 希土類元素であって、その酸化物の形態が通常三二酸化
    物である希土類元素(Ln)の含有量が、セリウム系
    研摩材中の合計量として、フッ素に対してLn
    形成するのに必要な量以上であることを特徴とするセリ
    ウム系研摩材。(ここで、「Ln」は、「Sc、Y、
    La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、T
    m、Yb、Luからなる群から選択される1以上の希土
    類元素」を表す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のセリウム系研摩材にお
    いて、 Lnの含有量が、セリウム系研摩材中の合計量とし
    て、フッ素の含有量に対してLnOFを形成するのに
    必要な量以上であることを特徴とするセリウム系研摩
    材。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のセリウム系研摩材にお
    いて、 Lnの含有量が、次式(1)を満たす w(ΣLn )≧W(F)×336÷114÷W(TREO)×100 ………式(1) (ここで、「w(ΣLn )」は「TREO中の
    ΣLn 含有量(%)」、「W(TREO)」は
    「セリウム系研摩材中のTREO含有量(%)」を表
    す。)ことを特徴とするセリウム系研摩材。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載のセリウム系研摩
    材において、 Lnの含有量が、次式(2)を満たす w(ΣLn )≧W(F)×336÷38÷W(TREO)×100… ……式(2) ことを特徴とするセリウム系研摩材。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のセリウム系研摩材にお
    いて、 LnのうちLaとNdの含有量が、次式(3)を満た
    す w(La)+w(Nd)≧W(F)×336÷114÷W(TR EO)×100………式(3) ことを特徴とするセリウム系研摩材。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載のセリウム系研摩
    材において、 LnのうちLaとNdの含有量が、次式(4)を満た
    す w(La)+w(Nd)≧W(F)×336÷38÷W(TRE O)×100………式(4) ことを特徴とするセリウム系研摩材。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のセ
    リウム系研摩材において、 W(F)とW(TREO)との合計が、90%以上であ
    ることを特徴とするセリウム系研摩材。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載のセ
    リウム系研摩材において、 w(La)÷w(ΣLn )×100の値
    が、50〜100%であることを特徴とするセリウム系
    研摩材。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載のセ
    リウム系研摩材において、 w(La)が、50%以下であることを特徴とす
    るセリウム系研摩材。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    セリウム系研摩材において、 W(F)が、3%以下であることを特徴とするセリウム
    系研摩材。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    のセリウム系研摩材において、 BET法による比表面積が0.5〜30m/gであ
    り、 レーザー回折粒度分布測定方法による累積50%粒径
    (D50)が0.1〜5.0μmであることを特徴とす
    るセリウム系研摩材。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    のセリウム系研摩材において、 セリウム系研摩材原料の組成、フッ化処理量及び焙焼条
    件を制御して、請求項1ないし11のいずれかに記載の
    セリウム系研摩材になるように製造することを特徴とす
    るセリウム系研摩材。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のセリウム系研摩材
    において、 セリウム系研摩材原料のTREO中のΣLn
    CeO、La、Ndの含有量(%)をそ
    れぞれw(ΣLn )、w(CeO )、w
    (La)、w(Nd)とし、セリウム
    系研摩材中のフッ素の含有量(%)の目標値をW
    **(F)とすると、 W**(F)が0.1%以上で、w(CeO)が3
    0%以上であり、次式(5)〜(8)のいずれかを満足
    する w(ΣLn )≧W**(F)×336÷114÷{90−W**( F)}×100………式(5) w(ΣLn )≧W**(F)×336÷38÷{90−W**(F )}×100………式(6) w(La)+w(Nd)≧W**(F)×336÷114÷ {90−W**(F)}×100………式(7) w(La)+w(Nd)≧W**(F)×336÷38÷{ 90−W**(F)}×100………式(8) ことを特徴とするセリウム系研摩材。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13のいずれかに記載
    のセリウム系研摩材を砥粒として含有し、かつ、分散媒
    を含有するセリウム系研摩材スラリーであって、該スラ
    リーがセリウム系研摩材砥粒を1〜50%含有すること
    を特徴とするセリウム系研摩材スラリー。
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Cited By (2)

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