JP2014024157A - 研磨用組成物、硬脆材料の研磨方法及び硬脆材料基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジルコニウム含有酸化物の分散に関する特性を改善することの容易な研磨用組成物を提供する。また、その研磨用組成物を用いた硬脆材料の研磨方法及び硬脆材料基板の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する。硬脆材料の研磨方法は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する研磨用組成物を用いて硬脆材料を研磨する。硬脆材料基板の製造方法は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する工程を含む。添加剤は、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種である。
【選択図】なし
【解決手段】研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する。硬脆材料の研磨方法は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する研磨用組成物を用いて硬脆材料を研磨する。硬脆材料基板の製造方法は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する工程を含む。添加剤は、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ジルコニウム含有酸化物を含有する研磨用組成物、それを用いた硬脆材料の研磨方法及び硬脆材料基板の製造方法に関する。
例えば、硬脆材料からなる基板を研磨する用途で使用される研磨用組成物としては、酸化セリウム系の研磨材を含有する研磨用組成物が知られている(特許文献1参照)。また、特許文献2には、研磨用組成物に用いられる酸化セリウム系の研磨材について、分散性を高める構成が開示されている。しかしながら、現在の日本では酸化セリウムを始めとするレアアースは国外からの輸入に依存している。そのため、レアアースには国際情勢による供給不足や、それに伴う価格上昇等が起こる懸念がある。したがって、レアアースに代わる代替材料を用いた研磨材の開発が望まれている。
一方、従来、ジルコニウム含有酸化物を含有する研磨用組成物が知られている(特許文献3参照)。特許文献3の研磨用組成物は、めっきの施されたアルミニウム基板を研磨する用途に用いられる。
ジルコニウム含有酸化物及び水を含有する研磨用組成物において、ジルコニウム含有酸化物の分散状態の維持や、一旦沈降したジルコニウム含有酸化物の再分散性は、研磨用組成物としての使い易さや高い研磨精度を実現する上で重要である。こうした研磨用組成物中のジルコニウム含有酸化物の分散に関する特性を改善し、好適な研磨用組成物を得るという点で未だ改善の余地を残している。なお、上述した特許文献1〜3は、ジルコニウム含有酸化物を含有する研磨用組成物において、添加剤により分散性を改善する点について何ら教示していない。
そこで、本発明の目的は、ジルコニウム含有酸化物の分散に関する特性を改善することの容易な研磨用組成物を提供することにある。また、その研磨用組成物を用いた硬脆材料の研磨方法及び硬脆材料基板の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様では、ジルコニウム含有酸化物と、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種の添加剤と、水とを含有する研磨用組成物が提供される。
上記研磨用組成物では、前記添加剤が界面活性剤を含む態様、前記添加剤が重合体を含む態様、前記添加剤がリン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種を含む態様とされることが好ましい。
本発明の別の態様では、上記研磨用組成物を用いて硬脆材料を研磨する硬脆材料の研磨方法が提供される。
本発明の別の態様では、上記研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する工程を含む硬脆材料基板の製造方法が提供される。
本発明の別の態様では、上記研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する工程を含む硬脆材料基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、ジルコニウム含有酸化物の分散に関する特性を改善することの容易な研磨用組成物が提供される。また、その研磨用組成物を用いた硬脆材料の研磨方法及び硬脆材料基板の製造方法が提供される。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する。添加剤は、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種である。研磨用組成物は、硬脆材料を研磨する用途に好適に用いられる。硬脆材料とは、脆性材料の中でも硬度の高いものを示し、例えばガラス、セラミックス、石材及び各種半導体材料が挙げられる。本実施形態の研磨用組成物は、硬脆材料の中でも、例えば、サファイア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、ガラス、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウム、及びリン化インジウムに対して好適に用いられる。
本実施形態の研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物と添加剤と水とを含有する。添加剤は、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種である。研磨用組成物は、硬脆材料を研磨する用途に好適に用いられる。硬脆材料とは、脆性材料の中でも硬度の高いものを示し、例えばガラス、セラミックス、石材及び各種半導体材料が挙げられる。本実施形態の研磨用組成物は、硬脆材料の中でも、例えば、サファイア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、ガラス、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウム、及びリン化インジウムに対して好適に用いられる。
ジルコニウム含有酸化物は、研磨用組成物中に砥粒(研磨材)として含有される。ジルコニウム含有酸化物は、特に種類を限定されるものではなく、例えば酸化ジルコニウム及びジルコンが挙げられる。酸化ジルコニウムとしては、立方晶系、正方晶系、単斜晶系等の結晶系酸化ジルコニウムを用いてもよいし、非晶質の酸化ジルコニウムを用いてもよい。酸化ジルコニウムの中でも、正方晶系酸化ジルコニウム又は単斜晶系酸化ジルコニウムが好ましい。ジルコンは、ジルコンサンドとして天然に産出する鉱物である。ジルコンの理想化学組成はZrSiO4で表される。
ジルコニウム含有酸化物には、カルシウム、マグネシウム、ハフニウム、イットリウム等が含有されていてもよい。また、酸化ジルコニウムにはケイ素が含有されていてもよい。但し、ジルコニウム含有酸化物の純度は、できる限り高いことが好ましい。ジルコニウム含有酸化物の純度は、好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上、更に好ましくは99.8質量%以上である。
ジルコニウム含有酸化物の純度が99質量%以上の範囲においては、純度の増大によって研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度が向上する。この点、ジルコニウム含有酸化物の純度が好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上、更に好ましくは99.8質量%以上であれば、研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度を実用上、特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。ジルコニウム含有酸化物の中でも、高純度の酸化物が得られ易いという観点から、酸化ジルコニウムが好ましい。
なお、ジルコニウム含有酸化物の純度は、例えば株式会社島津製作所製XRF−1800等の蛍光X線分析装置による酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及びジルコンの合計量の測定値より算出された値を示す。
ジルコニウム含有酸化物中の金属不純物の含有量は少ないことが好ましい。金属不純物としては、カルシウム、マグネシウム、ハフニウム、イットリウムの他、アルミニウム、鉄、銅、クロム、チタン等が挙げられる。金属不純物は、金属酸化物としてジルコニウム含有酸化物に含有される場合もある。ジルコニウム含有酸化物中に不純物として酸化アルミニウム及び酸化鉄が含有される場合、酸化アルミニウム及び酸化鉄の含有量は、それぞれ0.1質量%以下が好ましい。なお、酸化アルミニウム及び酸化鉄の含有量は、例えばICP発光分光分析装置による測定値より算出される。
ジルコニウム含有酸化物の比表面積は15.0m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは13.0m2/g以下、更に好ましくは9.0m2/g以下である。ジルコニウム含有酸化物の比表面積は、1.0m2/g以上であることが好ましく、より好ましくは2.0m2/g以上である。ジルコニウム含有酸化物の比表面積が1.0m2/g以上15.0m2/g以下の範囲であることで、研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度を実用上好適なレベルにまで向上させることが容易となる。なお、ジルコニウム含有酸化物の比表面積は、例えば島津株式会社製FlowSorbII2300等の窒素吸着法による比表面積測定装置により測定が可能である。
ジルコニウム含有酸化物の平均一次粒子径は0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2μm以下であり、更に好ましくは0.15μm以下である。平均一次粒子径の減少によって、研磨後の硬脆材料の表面粗さが低減する。従って、平均一次粒子径が好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下、更に好ましくは0.15μm以下のジルコニウム含有酸化物を用いることで、硬脆材料の研磨面における表面粗さを実用上、特に好適なレベルにまで低減させることが容易となる。
なお、酸化ジルコニウム含有酸化物の一次粒子径は、例えば株式会社日立ハイテクノロジーズ製S−4700等の走査型電子顕微鏡により撮影される写真に基づいて算出できる。例えば、倍率10,000〜50,000倍で撮影された酸化ジルコニウム粒子の電子顕微鏡写真から所定数(例えば、100個以上)の粒子を無作為に選択する。選択した粒子について、電子顕微鏡写真の画像から面積を計測し、その面積と同じ面積となる円の直径を酸化ジルコニウム粒子の一次粒子径として求める。そして、その一次粒子径の平均値(体積基準の積算分率における50%粒子径)を平均一次粒子径として算出する。なお、一次粒子径及び平均一次粒子径の算出は市販の画像解析装置を用いて行うことができる。
ジルコニウム含有酸化物の平均二次粒子径は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。平均二次粒子径の増大によって、研磨用組成物による硬脆材料基板の研磨速度は向上する。従って、ジルコニウム含有酸化物の平均二次粒子径が好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上のジルコニウム含有酸化物を用いることで、研磨用組成物による硬脆材料基板の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。
ジルコニウム含有酸化物の平均二次粒子径は5μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下である。平均二次粒子径の減少によって、研磨用組成物の分散安定性が向上する。また、硬脆材料の研磨面におけるスクラッチ発生は、ジルコニウム含有酸化物の平均二次粒子径の減少によって抑制される。従って、平均二次粒子径が好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下のジルコニウム含有酸化物を用いることで、研磨用組成物の分散安定性、並びに、硬脆材料の研磨面における表面精度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。
なお、ジルコニウム含有酸化物の平均二次粒子径は、例えば、株式会社堀場製作所製LA−950等のレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置によって求められる、体積基準の積算分率における50%粒子径である。
研磨用組成物中のジルコニウム含有酸化物の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。ジルコニウム含有酸化物の含有量の増大によって、研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度は向上する。従って、ジルコニウム含有酸化物の含有量が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上の研磨用組成物を用いることで、研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。
研磨用組成物中のジルコニウム含有酸化物の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下である。ジルコニウム含有酸化物の含有量の減少によって、高精度の研磨面を得ることが容易となる。
研磨用組成物には、ジルコニウム含有酸化物以外の砥粒(研磨材)を含有していてもよい。ジルコニウム含有酸化物以外の砥粒としては、酸化アルミニウム砥粒、二酸化ケイ素砥粒、酸化セリウム砥粒、及び酸化チタニウム砥粒が挙げられる。研磨用組成物には、例えばジルコニウム含有酸化物及び酸化セリウムが含有されていてもよい。但し、研磨用組成物中の砥粒の全体において、ジルコニウム含有酸化物以外の砥粒の割合はより低いことが好ましい。研磨用組成物中におけるジルコニウム含有酸化物以外の砥粒の含有量は、研磨用組成物中の砥粒全体の質量に対して50質量%未満が好ましく、より好ましくは20質量%未満、更に好ましくは1質量%未満である。
研磨用組成物は、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する。添加剤は、ジルコニウム含有酸化物の沈降を抑制する分散剤としての働き、及び、一旦沈殿したジルコニウム含有酸化物の再分散を容易にする再分散性向上剤としての働きの少なくとも一方の働きを有する。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤に分類される。界面活性剤の中でも、アニオン界面活性剤又は両性界面活性剤が好適に用いられる。
アニオン界面活性剤は、例えば、硫酸系、スルホン酸系、ホスホン酸系、及びカルボン酸系に分類される。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、タウリン系界面活性剤、ザルコシネート系界面活性剤、イセチオネート系界面活性剤、N−アシル酸性アミノ酸系界面活性剤、高級脂肪酸塩及びアシル化ポリペプチドが挙げられる。
両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン型活性剤、アミドプロピルベタイン型界面活性剤及びイミダゾリニウムベタイン型界面活性剤に分類される。両性界面活性剤としては、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキルアミノプロピオン酸ナトリウム、及びラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムが挙げられる。
ノニオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、及びアルキレンソルビタン脂肪酸エステルに分類される。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタンが挙げられる。
カチオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルアミン塩、アミンオキサイド、及び第四級アンモニウム塩に分類される。カチオン界面活性剤としては、例えば、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及びラウリルジメチルアミンオキサイドが挙げられる。
重合体は、少なくとも一種以上の単量体からなる重合度が2以上の重合体である。重合体としては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、及びカルボン酸エステルの少なくとも1つが主鎖に結合している重合体、アミノ酸、アミン、イミンや4級アンモニウム塩の構造を有する重合体、及びポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等の親水性基を有する重合体が挙げられる。重合体としては、具体的に、例えば、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリイソプレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸塩、ポリペプチド、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、水系ウレタン樹脂、アラビアゴム、キトサン、セルロース、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、カルボキシメチルセルロース、リグニンスルホン酸塩、澱粉、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリアクリルアミドとポリアクリル酸塩の共重合体、ポリエチレンイミン、及びジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体が挙げられる。
リン酸塩としては、例えば、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、及び有機リン酸塩が挙げられる。
鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、及び塩化第一鉄が挙げられる。
鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、及び塩化第一鉄が挙げられる。
アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、及びアルミン酸ナトリウムが挙げられる。
カルシウム塩としては、例えば、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、及び第二リン酸カルシウム等が挙げられる。
カルシウム塩としては、例えば、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、及び第二リン酸カルシウム等が挙げられる。
分散剤としての働きを有する添加剤としては、リン酸塩、スルホン酸系重合体及びアミン系重合体が好ましい。分散剤としての働きを有する添加剤として、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体、ジアリルアミン塩酸塩マレイン酸共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、アリルアミン塩酸塩重合体、ポリアクリル酸塩重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウム、ナフタレンスルホン酸縮合物、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
分散剤としての働きを有する添加剤の含有量は、研磨用組成物中において、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上である。分散剤としての働きを有する添加剤の含有量が0.001質量%以上の場合、研磨用組成物中におけるジルコニウム含有酸化物の分散性が維持され易く、研磨用組成物の安定性が発揮されやすくなる。分散剤としての働きを有する添加剤の含有量は、研磨用組成物中において、1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.2質量%以下である。分散剤としての働きを有する添加剤の含有量が10質量%以下の場合、研磨用組成物中においてジルコニウム含有酸化物の再分散性も発揮され易くなり、また研磨用組成物の保存安定性を良好に保つことがより容易となる。
再分散性向上剤としての働きを有する添加剤としては、リン酸塩、アニオン系界面活性剤、スルホン酸系重合体及びアミン系重合体が好ましく、ピロリン酸ナトリウム、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、ナフタレンスルホン酸縮合物、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
再分散性向上剤としての働きを有する添加剤の含有量は、研磨用組成物中において、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上である。再分散性向上剤としての働きを有する添加剤の含有量が0.001質量%以上の場合、研磨用組成物中におけるジルコニウム含有酸化物の再分散性がより向上され易くなる。再分散性向上剤としての働きを有する添加剤の含有量は、研磨用組成物中において、1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.2質量%以下である。再分散性向上剤としての働きを有する添加剤の含有量が10質量%以下の場合、研磨用組成物中におけるジルコニウム含有酸化物の分散性も維持され易く、研磨用組成物の保存安定性を良好に保つことがより容易となる。
研磨用組成物のpHは2以上であることが好ましい。研磨用組成物のpHが2以上の場合、研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。
研磨用組成物のpHは12以下であることが好ましい。研磨用組成物のpHが12以下の場合、研磨用組成物による硬脆材料の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。
研磨用組成物中のpHは公知の酸、塩基、又はそれらの塩により調整される。具体的には、カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸などの有機酸や、燐酸、亜燐酸、硫酸、硝酸、塩酸、ホウ酸、炭酸などの無機酸、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメタノールアミン、モノエタノールアミンなどの有機塩基、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアなどの無機塩基、又はそれらの塩が好ましく用いられる。
研磨用組成物には、研磨促進のためにセリウム塩又はジルコニウム塩を添加してもよい。セリウム塩としては、例えば、硝酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、硫酸セリウム等が挙げられる。ジルコニウム塩としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
次に、実施形態の研磨用組成物の調製方法について説明する。
研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物を水に分散させ、添加剤を添加することで調製される。研磨用組成物を調製する際の各成分の混合順序は任意である。例えば、ジルコニウム含有酸化物、水及び添加剤を含有する濃縮組成物を製造し、その濃縮組成物を水希釈することにより研磨用組成物を調製してもよい。また、添加剤を溶解させた水溶液にジルコニウム含有酸化物を分散させることにより研磨用組成物を調製してもよい。また、粉末状のジルコニウム含有酸化物に粉末状の添加剤を混合し、その混合物に水を加えることより研磨用組成物を調製してもよい。
研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物を水に分散させ、添加剤を添加することで調製される。研磨用組成物を調製する際の各成分の混合順序は任意である。例えば、ジルコニウム含有酸化物、水及び添加剤を含有する濃縮組成物を製造し、その濃縮組成物を水希釈することにより研磨用組成物を調製してもよい。また、添加剤を溶解させた水溶液にジルコニウム含有酸化物を分散させることにより研磨用組成物を調製してもよい。また、粉末状のジルコニウム含有酸化物に粉末状の添加剤を混合し、その混合物に水を加えることより研磨用組成物を調製してもよい。
次に、実施形態の研磨用組成物を用いた硬脆材料基板の製造方法について説明する。
硬脆材料基板の製造方法は、研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する研磨工程を含む。研磨工程は、一般的な基板原料の研磨に用いられる装置及び条件と同様に装置及び条件を選択して行うことができる。研磨装置としては、例えば、片面研磨装置や両面研磨装置を用いることができる。片面研磨装置を使用する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて基板原料を保持し、研磨パッドを貼付した定盤を基板原料の片面に押しつけた状態で、基板原料に対して研磨用組成物を供給しながら定盤を回転させることにより基板原料の片面を研磨する。両面研磨装置を使用する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて基板原料を保持し、研磨パッドをそれぞれ貼付した上下の定盤を基板原料の両面に押しつけた状態とする。そして、上方から基板原料に対して研磨用組成物を供給しながら、2つの定盤を互いに反対方向に回転させることにより基板原料の両面を研磨する。研磨工程においては、研磨パッド及び研磨用組成物と基板原料との摩擦による物理的作用、並びに研磨用組成物が基板原料にもたらす化学的作用によって基板原料が研磨される。
硬脆材料基板の製造方法は、研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する研磨工程を含む。研磨工程は、一般的な基板原料の研磨に用いられる装置及び条件と同様に装置及び条件を選択して行うことができる。研磨装置としては、例えば、片面研磨装置や両面研磨装置を用いることができる。片面研磨装置を使用する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて基板原料を保持し、研磨パッドを貼付した定盤を基板原料の片面に押しつけた状態で、基板原料に対して研磨用組成物を供給しながら定盤を回転させることにより基板原料の片面を研磨する。両面研磨装置を使用する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて基板原料を保持し、研磨パッドをそれぞれ貼付した上下の定盤を基板原料の両面に押しつけた状態とする。そして、上方から基板原料に対して研磨用組成物を供給しながら、2つの定盤を互いに反対方向に回転させることにより基板原料の両面を研磨する。研磨工程においては、研磨パッド及び研磨用組成物と基板原料との摩擦による物理的作用、並びに研磨用組成物が基板原料にもたらす化学的作用によって基板原料が研磨される。
研磨工程時の荷重、すなわち研磨荷重を高くするほど、研磨速度が上昇する。研磨用組成物を用いて基板原料を研磨するときの研磨荷重は特に限定されないが、基板表面の面積1cm2当たり50g以上1,000g以下であることが好ましく、より好ましくは70g以上800g以下である。研磨荷重が上記範囲内である場合には、実用上、十分な研磨速度が得られるとともに、基板の研磨面に生じるスクラッチ等の表面欠陥が抑制される。
研磨工程時の線速度、すなわち研磨線速度は一般に、研磨パッドの回転数、キャリアの回転数、基板原料の大きさ、基板原料の数等のパラメータの影響を受ける。線速度が大きくなるほど、基板原料に加わる摩擦力が大きくなるため、基板原料はより強く機械的な研磨作用を受ける。また、摩擦熱が大きくなるために、研磨用組成物による化学的な研磨作用が強まることもある。但し、線速度が大きすぎると、研磨パッドが基板原料に対して十分に摩擦せず、研磨速度の低下をきたすことがある。研磨用組成物を用いて基板原料を研磨するときの線速度は特に限定されないが、10m/分以上150m/分以下であることが好ましく、より好ましくは30m/分以上100m/分以下である。線速度が上記範囲内である場合には、実用上、十分な研磨速度を得ることが容易である。
研磨工程時における研磨装置への研磨用組成物の供給速度は、研磨する基板原料の種類、研磨装置の種類、研磨条件等によって適宜設定される。但し、基板原料及び研磨パッドの全体に対してむら無く研磨用組成物が供給されるのに十分な供給速度であることが好ましい。
研磨用組成物を用いた基板原料の研磨に使用される研磨パッドは、その材質、硬度や厚み等の物性等について特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等のいずれのタイプのものを使用してもよい。また、研磨パッドは、砥粒を含むものであっても、砥粒を含まないものであってもよい。また、研磨パッドの硬度や厚みも特に限定されない。
なお、基板原料が半導体基板、ハードディスク用基板、液晶ディスプレイパネル、フォトマスク用合成石英基板等の特に高い面精度が要求される基板である場合には、研磨工程後に更に精研磨工程を行うことが好ましい。精研磨工程では、上記研磨用組成物を用いてもよいし、例えばジルコニウム含有酸化物以外の砥粒を含有した研磨用組成物を用いてもよい。精研磨用組成物のpHは、1以上4以下、又は9以上11以下であることが好ましい。精研磨用組成物のpHの調整は、研磨用組成物と同様に、種々の酸、塩基又はそれらの塩を用いて行うことができる。
精研磨用研磨材は、基板表面のうねり、粗さ、欠陥を低減する観点から、平均粒子径が0.15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.10μm以下であり、更に好ましくは0.07μm以下である。また、研磨速度向上の観点から、精研磨用研磨材の平均粒子径は0.01μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.02μm以上である。精研磨用研磨材の平均粒子径は、例えば日機装株式会社製Nanotrac UPA−UT151を用いて、動的光散乱法により測定することができる。
上記研磨工程、及び必要に応じて上記精研磨工程を経ることによって、硬脆材料からなる基板原料は、表面の面精度が高められた硬脆材料基板となる。
次に、研磨用組成物の作用について説明する。
次に、研磨用組成物の作用について説明する。
研磨用組成物中に含有される添加剤は、ジルコニウム含有酸化物の沈降を抑制する分散剤、又は、一旦沈殿したジルコニウム含有酸化物を容易に再分散させる再分散性向上剤としての働きを有する。分散剤としての作用としては、研磨用組成物の研磨装置への供給中や研磨中におけるジルコニウム含有酸化物の沈降を抑制する作用、及び研磨中における研磨用組成物の撹拌による均一化を容易とする作用が挙げられる。再分散性向上剤としての作用としては、研磨用組成物の保管又は輸送の際に、沈降又は凝集したジルコニウム含有酸化物を柔軟な状態とし、研磨用組成物の使用時にジルコニウム含有酸化物を容易に再分散させる作用が挙げられる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤は、ジルコニウム含有酸化物に対する分散剤又は再分散性向上剤としての働きを有する。このため、研磨用組成物中のジルコニウム含有酸化物の分散性の改善、又は再分散性の向上を容易とする。従って、ジルコニウム含有酸化物の分散に関する特性を改善することの容易な研磨用組成物が提供される。
(1)界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤は、ジルコニウム含有酸化物に対する分散剤又は再分散性向上剤としての働きを有する。このため、研磨用組成物中のジルコニウム含有酸化物の分散性の改善、又は再分散性の向上を容易とする。従って、ジルコニウム含有酸化物の分散に関する特性を改善することの容易な研磨用組成物が提供される。
(2)ジルコニウム含有酸化物を含有する研磨用組成物は、硬脆材料を研磨する用途に好適である。本実施形態の研磨用組成物は、上記添加剤を含有するため、硬脆材料の砥粒としてのジルコニウム含有酸化物の働きが発揮され易くなる。従って、硬脆材料を研磨する研磨速度を高く保ち、かつ、硬脆材料の研磨面の表面粗さを良好に維持することが可能となる。
(3)ガラス又は酸化物基板を研磨する研磨用組成物は、主に、酸化セリウム系研磨材が含有されている。酸化セリウムは、レアアースに該当し、国際情勢による供給不足や、それに伴う価格上昇等が起こることが懸念される。こうした実情からレアアース以外の材料を用いた研磨用組成物の開発が望まれている。この点、本実施形態の研磨用組成物は、酸化セリウム系研磨材を含有する研磨用組成物が対象としている被研磨物に対して良好な研磨特性を有しているため、従来のセリウム系研磨材を含有する研磨用組成物の代替品として有用である。研磨対象となるガラス又は酸化物基板としては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、無アルカリガラス、結晶化ガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、及びシリコン酸化膜が挙げられる。
(4)硬脆材料の研磨方法では、上記研磨用組成物を用いて硬脆材料を研磨する工程を含む。この方法によれば、ジルコニウム含有酸化物の分散性が改善された研磨用組成物であるため、硬脆材料の研磨を安定して行うことが可能となる。また、ジルコニウム含有酸化物の再分散性が向上されることで、ジルコニウム含有酸化物を円滑に再分散させて研磨用組成物を研磨に用いることができる。
(5)硬脆材料基板の製造方法は、上記研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する研磨工程を含む。これにより、表面の面精度が高められた硬脆材料基板を得ることが容易となる。また、研磨用組成物による基板原料の研磨速度を向上させることが容易となる。
前記実施形態は、次のようにして変更されてもよい。
・必要に応じて上記研磨用組成物中に添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて上記精研磨用組成物中に添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、キレート剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤が挙げられる。
・必要に応じて上記研磨用組成物中に添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて上記精研磨用組成物中に添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、キレート剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤が挙げられる。
・上記研磨用組成物及び上記精研磨用組成物は、希釈用原液の形態で製造及び販売されるとともに、希釈して使用されるものであってよい。つまり、希釈用原液を水で希釈することにより調製されるものであってもよい。
・上記研磨用組成物及び上記精研磨用組成物は、分散・溶解用粉末の形態で製造及び販売されるとともに、水に分散・溶解させて使用されるものであってよい。つまり、分散・溶解用粉末を水に混合することにより調製されるものであってもよい。
・上記研磨工程の際に、使用された研磨用組成物を回収して再利用(循環使用)してもよい。例えば、研磨装置から排出される使用済みの上記研磨用組成物をタンク内に一旦回収し、タンク内から再び研磨装置へと供給するようにしてもよい。この場合、使用済みの研磨用組成物を廃液として処理する必要が減るため、環境負荷の低減及びコストの低減が可能である。
更に、上記研磨用組成物を循環使用するときには、被研磨物の研磨に使用されることにより消費されたり損失したりした研磨用組成物中の成分の少なくとも一種の成分をその減少分に応じての補充を行うようにしてもよい。補充する成分は個別に使用済みの研磨用組成物に添加してもよいし、二以上の成分を任意の濃度で含んだ混合物の状態で使用済みの研磨用組成物に添加してもよい。
・上記研磨用組成物は、硬脆材料以外の材料の研磨に用いることもできる。
・上記研磨用組成物は、硬脆材料基板以外の硬脆材料として例えば柱状をなす硬脆材料を研磨する用途に用いてもよい。
・上記研磨用組成物は、硬脆材料基板以外の硬脆材料として例えば柱状をなす硬脆材料を研磨する用途に用いてもよい。
・酸化ジルコニウム含有酸化物としての酸化ジルコニウムの製造方法は特に限定されるものではない。例えば、湿式法及び乾式法のいずれの方法により製造された酸化ジルコニウム粒子も使用することができる。湿式法では、ジルコンやジルコン砂等のジルコニウム含有鉱石を原料とし、それを溶融、溶解及び精製して得られるジルコニウム化合物を加水分解して水酸化ジルコニウムを得た後、それを焼成及び粉砕して酸化ジルコニウム粒子が得られる。乾式法では、高温処理によりジルコンやジルコン砂等のジルコニウム含有鉱石から酸化ケイ素を取り除くこと、或いはバデライト等の酸化ジルコニウム鉱石を粉砕した後、不純物を除くことにより酸化ジルコニウム粒子が得られる。なお、乾式法における高温処理は、例えば、アーク炉を用いて、通常2000℃以上、好ましくは約2700℃以上にまで原料鉱石を加熱することにより行われる。この高温処理により、酸化ケイ素等の不純物が昇華される。湿式法よりも乾式法のほうが製造コストを抑えることができる。しかし、乾式法よりも湿式法のほうが、純度の高い酸化ジルコニウム粒子を得ることが可能であることに加え、焼成、粉砕、分級等の操作により、得られる酸化ジルコニウム粒子の粒度や比表面積の調整が比較的容易である。そのため、本実施形態で使用される酸化ジルコニウム粒子は湿式法で製造されることが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜28及び比較例1〜5の研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物としての酸化ジルコニウムを水に混合し、添加剤を加えた後、亜リン酸又は水酸化カリウムによってpHを調整することで調製した。各研磨用組成物の詳細を表1に示す。
実施例1〜28及び比較例1〜5の研磨用組成物は、ジルコニウム含有酸化物としての酸化ジルコニウムを水に混合し、添加剤を加えた後、亜リン酸又は水酸化カリウムによってpHを調整することで調製した。各研磨用組成物の詳細を表1に示す。
表1の“純度”欄には、各研磨用組成物で使用した酸化ジルコニウムの純度を測定した結果を示す。純度の測定には、蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製、XRF−1800)を使用した。
表1の“SA”欄には、各研磨用組成物で使用した酸化ジルコニウムの比表面積を測定した結果を示す。比表面積の測定は、窒素吸着法による比表面積測定装置(島津株式会社製、商品名:FlowSorbII 2300)を用いて窒素吸着法により行った。
表1の“一次粒子径”欄には、各研磨用組成物で使用した酸化ジルコニウムの平均一次粒子径を測定した結果を示す。平均一次粒子径の測定は、島津株式会社製FlowSorbII2300を用いて窒素吸着法により測定した比表面積と、質量とから算出した。
表1の“二次粒子径”欄には、各研磨用組成物で使用した酸化ジルコニウムの平均二次粒子径を測定した結果を示す。平均二次粒子径は、散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA−950)によって測定した。
表1の“製法”欄には、酸化ジルコニウムの製造方法を示す。
表1の“種類”欄に示した記号は、表2に示される添加剤を表す。表1の“平均分子量”欄及び“pH”欄には、添加剤の重量平均分子量及び各研磨用組成物のpHを示す。表1の“ジルコニウム含有酸化物”欄及び“添加剤”欄における“含有量”欄には、各研磨用組成物中の酸化ジルコニウムの含有量及び添加剤の含有量を示す。
表1の“種類”欄に示した記号は、表2に示される添加剤を表す。表1の“平均分子量”欄及び“pH”欄には、添加剤の重量平均分子量及び各研磨用組成物のpHを示す。表1の“ジルコニウム含有酸化物”欄及び“添加剤”欄における“含有量”欄には、各研磨用組成物中の酸化ジルコニウムの含有量及び添加剤の含有量を示す。
各研磨用組成物を用いて分散性及び再分散性の評価を行った。
<分散性の評価>
各研磨用組成物を、成分が均一になるまで撹拌した後、100mLのメスシリンダーに100mL採取した。各メスシリンダーを約25℃の室内に静置し、1分後において目視で研磨用組成物の分散状態を確認した。表1の“分散性”欄には、研磨用組成物全体が均一な状態である場合を“○”、ジルコニウム含有酸化物の沈降により研磨用組成物の濃度に偏りがある不均一な状態である場合を“×”で示した。
<分散性の評価>
各研磨用組成物を、成分が均一になるまで撹拌した後、100mLのメスシリンダーに100mL採取した。各メスシリンダーを約25℃の室内に静置し、1分後において目視で研磨用組成物の分散状態を確認した。表1の“分散性”欄には、研磨用組成物全体が均一な状態である場合を“○”、ジルコニウム含有酸化物の沈降により研磨用組成物の濃度に偏りがある不均一な状態である場合を“×”で示した。
<再分散性の評価>
各研磨用組成物を、成分が均一になるまで撹拌した後、PP製の容器に100mL採取した。各容器を約25℃の室内において24時間静置することで、ジルコニウム含有酸化物を沈降させた。各容器を逆さにする動作を2秒に1回行うことで、沈降したジルコニウム含有酸化物を再分散させた。ジルコニウム含有酸化物が再分散するまでに要した動作の回数が10回以下の場合には4点、11回以上かつ30回以下の場合には3点、31回以上かつ100回以下の場合には2点、101回以上の場合には1点と採点した。その結果を表1の“再分散性”欄に示す。
各研磨用組成物を、成分が均一になるまで撹拌した後、PP製の容器に100mL採取した。各容器を約25℃の室内において24時間静置することで、ジルコニウム含有酸化物を沈降させた。各容器を逆さにする動作を2秒に1回行うことで、沈降したジルコニウム含有酸化物を再分散させた。ジルコニウム含有酸化物が再分散するまでに要した動作の回数が10回以下の場合には4点、11回以上かつ30回以下の場合には3点、31回以上かつ100回以下の場合には2点、101回以上の場合には1点と採点した。その結果を表1の“再分散性”欄に示す。
実施例2、実施例9〜14及び実施例23〜27の研磨用組成物はいずれも、比較例1〜5の研磨用組成物に比して優れた再分散性を示した。この結果から、実施例2、実施例9〜14及び実施例23〜27で用いた添加剤は、研磨用組成物の再分散性を向上させることが分かる。
以上の結果から、各実施例の研磨用組成物では、各比較例の研磨用組成物に比して分散性又は再分散性から評価される分散に関する特性が改善されることが分かる。
Claims (6)
- ジルコニウム含有酸化物と、界面活性剤、重合体、リン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種の添加剤と、水とを含有することを特徴とする研磨用組成物。
- 前記添加剤が界面活性剤を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
- 前記添加剤が重合体を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
- 前記添加剤がリン酸塩、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて硬脆材料を研磨することを特徴とする硬脆材料の研磨方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて硬脆材料からなる基板原料を研磨する工程を含むことを特徴とする硬脆材料基板の製造方法。
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WO2015170743A1 (ja) * | 2014-05-08 | 2015-11-12 | 花王株式会社 | サファイア板用研磨液組成物 |
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-
2012
- 2012-07-26 JP JP2012166290A patent/JP2014024157A/ja active Pending
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