JP2015140402A - 遊離砥粒、遊離砥粒研磨用研磨剤及びその製造方法 - Google Patents

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Masato Uchida
雅人 内田
高東 修二
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修二 高東
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健一 高橋
陵二 田中
Ryoji Tanaka
陵二 田中
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Abstract

【課題】 ガラスに対して高い研磨速度を持ち、研磨速度が安定であり、研磨することによる傷も発生せず、表面粗さに優れた安価な遊離砥粒を提供すること。【解決手段】 Mn2O3及びCeO2を含んでなる遊離砥粒研磨用研磨剤であって、研磨剤中のCe含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%であり、Mn2O3及びCeO2からなる多結晶体を含むことを特徴とする遊離砥粒。【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶パネル用や磁気ディスク、光学用ガラスなどを研磨するために使用する遊離砥粒研磨用研磨剤及び遊離砥粒研磨用研磨剤の製造方法に関する。
液晶テレビやコンピューターの普及により、液晶パネルのマザーガラスやフォトマスク用石英ガラス、ハードディスク用強化ガラスなどのガラス材料の使用量が増大している。また、光学レンズにもガラスが用いられている。これらガラス材料の表面は、鏡面化することや平坦化させることが必要であることから、研磨が必須とされる。
ガラス材料の研磨には、機械的研磨作用ばかりでなく化学的研磨作用も発現することで大きい研磨速度を得ることができ、且つ研磨後の表面にスクラッチ等の傷が発生しにくいことから、近年は酸化セリウム(セリア)系研磨剤が用いられるようになってきている。
例えば、液晶用フォトマスク基板である石英ガラスの研磨では、研磨工具にウレタン製研磨パッドを張り付け、酸化セリウム砥粒を水で分散させたスラリーを供給しながら研磨する方式が用いられている。
しかし、市販のセリア系研磨剤は、天然鉱物由来のためLaやPrなどの不純物を30%以上含む場合があり、研磨後の表面粗さが悪化する場合がある。さらに酸化セリウムは、このように一般的にガラスの研磨に用いられているが、酸化セリウムは高価な希土類酸化物であり、その価格も安定しないことから、酸化セリウムの代替となる研磨砥粒が求められていた。
半導体基板上の層間絶縁膜の平坦化に用いられる化学的機械的研磨技術(CMP)用途として、安価な酸化マンガン砥粒が知られている。酸化マンガンの砥粒としては、例えばMnイオンを含む電解質溶液を電気分解して陽極上に析出した二酸化マンガンの塊を500℃〜900℃で加熱し、形成されたMnを粉砕し、その粒子を研磨砥粒とする方法(例えば、特許文献1参照)や、酸化マンガンソースとしてMnを用い、熱処理してMnとし、これを粉砕又は解砕することで研磨砥粒を製造する方法や(例えば、特許文献2参照)、酸化マンガンをセリウム塩溶液で被覆し焼成することで酸化セリウムで被覆された酸化マンガン研磨砥粒を製造する(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかしながら、これらの先行技術では研磨速度の安定性や表面平滑性については何ら考慮されていない。
特開平10−60415号公報 特開2006−128395号公報 WO2013/035545 A1号公報
本発明は、研磨加工において高い研磨速度と研磨速度の安定性、研磨基板の表面平滑性に優れ、経済的に有利な遊離砥粒研磨用研磨剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、研磨剤中のCe含有量(Ce/(Mn+Ce))が10〜40atom%であり、Mn及びCeOからなる多結晶体を含む、Mn及びCeOを含んでなる遊離砥粒研磨用研磨剤は十分な研磨速度と研磨安定性、良好な表面平滑性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、Mn及びCeOを含んでなり、Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%であり、Mn及びCeOからなる多結晶体を含む遊離砥粒に関する。
また、本発明は、Mnの結晶子径が1nm〜250nmであり、CeOの結晶子径が1nm〜50nmである遊離砥粒に関する。
また、本発明は、BET比表面積が5〜15m/gである遊離砥粒に関する。
また、本発明は、前記遊離砥粒と分散媒からなる遊離砥粒研磨用研磨剤に関する。
また、本発明は、遊離砥粒の2次粒子の50%径であるD50径が0.5〜3μmであり、2次粒子径10μm以上のMn粒子が含まれていない遊離砥粒研磨用研磨剤に関する。
また、本発明は、Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%である、炭酸塩、水酸化物又は塩基性炭酸塩を酸化性雰囲気で焼成する遊離砥粒の製造方法に関する。
また、本発明は、Mnの金属塩とCeの金属塩を、Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%であるように混合し前駆体を調製した後、得られた前駆体を酸化性雰囲気で焼成することを特徴とする遊離砥粒の製造方法に関する。
また、本発明は、前記前駆体が、Mn及びCeの炭酸塩、水酸化物又は塩基性炭酸塩である遊離砥粒の製造方法に関する。
また、本発明は、焼成温度を550℃以上850℃以下である遊離砥粒の製造方法に関する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の遊離砥粒は、Mn及びCeOを含んでなり、遊離砥粒中のCe含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%であり、Mn及びCeOからなる多結晶体を含むことを特徴とするものである。なお、遊離砥粒とは個々の研磨剤粒子が遊離状態になっているものであり、多結晶体とは1つの粒子に2つ以上の結晶を含むものを言う。
本発明の遊離砥粒研磨用研磨剤は、主成分であるMn及びCeO(前記多結晶体を含む)の砥粒と分散媒とを含んでなる。分散媒としては、水又はアルコール等を挙げることができるが、取り扱いが簡便な点で、水とアルコールの混合物、又は水であることが好ましい。また、必要に応じて本発明の遊離砥粒研磨用研磨剤には当業者が一般的に用いる分散剤やpH調整剤等を添加しても差し支えない。
本研磨剤中のCe含有量とは、MnとCeの原子数の合計を100atom%としたときの、Ceの占める割合のことであり、10〜40atom%であることが必要である。研磨速度等の研磨性能と価格のバランスを考慮すると、より好ましくは15〜40atom%であり、さらに好ましくは20〜35atom%である。
Mn及びCeOの比率は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)、原子吸光法などの化学分析法や、蛍光X線等の分析法により確認することが出来る。
また、本発明の遊離砥粒及び/又は遊離砥粒研磨用研磨剤は、研磨速度等の研磨性能が良い点で、1つの粒子にMn及びCeOのそれぞれから構成される多結晶体を含む。1つの粒子にMn及びCeOのそれぞれを含むかどうかの評価法として、透過型電子顕微鏡(TEM)や電子線マイクロアナライザー(EPMA)による評価などを例示できる。
また、本発明の遊離砥粒は、前述した前駆体を焼成することで、いわゆるピンニング効果により結晶の成長が阻害されるため、結晶子径が小さくなると考えられる。ガラス等を遊離砥粒研磨する際、研磨により砥粒は破砕されていくが、小さい結晶子径で構成される遊離砥粒であれば、破砕単位が小さくなるため良好な研磨速度維持性が得られ、また同時に破砕単位が小さいことでガラス等の被研磨面へのダメージも小さく出来ることから、本発明の遊離砥粒は、Mnの結晶子径が1nm〜250nm、CeOの結晶子径が1nm〜50nmであることが好ましく、Mnの結晶子径が50nm〜200nm、CeOの結晶子径が5nm〜40nmであることがより好ましく、Mnの結晶子径が80nm〜180nm、CeOの結晶子径が10nm〜30nmであることが特に好ましい。Mnの結晶子径が250nmより大きい場合、又はCeOの結晶子径が50nmより大きい場合、研磨速度が低くなる傾向にある。結晶子径は粉末X線回折ピークのピーク位置、半値幅を用いたいわゆるシェラーの式で求めることが出来る。この場合、Mnの結晶子径は最強ピークである面指数(222)面のピークを、CeOの結晶子径は同じく最強ピークである面指数(111)面のピークをそれぞれ用いることができる。また別の方法として透過型電子顕微鏡(TEM)観察等により求めることも出来る。
また、本発明の遊離砥粒は、研磨速度が高くなる点で、焼成時のBET法による比表面積が5〜15m/gであることが好ましく、5〜10m/gであることがより好ましい。
また、本発明の遊離砥粒は、2次粒子の50%径であるD50径が0.5〜3μmであることが研磨速度等の研磨性能が良い点で好ましい。D50径の測定方法としては、レーザー回折法や走査型電子顕微鏡による画像解析法を例示することが出来る。
また、本発明の遊離砥粒研磨用研磨剤には、2次粒子径10μm以上の粒子が含まれていないことが研磨加工時に被加工物の表面に傷が発生するのを防ぐ点で好ましい。
次に、本発明の遊離砥粒及び遊離砥粒研磨用研磨剤の製造方法について説明する。
本発明の遊離砥粒は、Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき10〜40atom%である、MnとCeを含んでなる前駆体を主要な結晶相がMn及びCeOとなるように焼成を行うことで製造することができる。また、得られた遊離砥粒を分散媒に加えることで遊離砥粒研磨用研磨剤を製造することができる。遊離砥粒と分散媒の比率は研磨材として利用できれば特に限定されないが、遊離砥粒の重量比率として5〜35wt%を例示できる。
前駆体としては、MnとCeを含んでなる炭酸塩、水酸化物又は塩基性炭酸塩を挙げることができる。また、別の前駆体として、Ceを含んだMn粉末等も挙げることができる。
前駆体の製造方法としては、MnとCeの炭酸塩、水酸化物又は塩基性炭酸塩を晶析させる方法や、Mn塩溶液の酸化によるMn粉末の合成時にCe源となる化合物を添加する方法などを挙げることができる。具体的には、硫酸マンガンや硝酸マンガンなどのマンガン塩水溶液と、硝酸セリウムなどのセリウム塩水溶液との混合液に炭酸ナトリウムなどのアルカリ炭酸塩を用いて中和する方法で得ることができるが、これに限定されない。上記のような湿式合成法は、合成時にCe化合物を添加することで、MnとCeが均一に混合でき、焼成後のCeの分散にも優れるため、好ましい。
前駆体の原料となるMn粉末は、硫酸マンガン塩を塩基性水溶液で中和、酸化する方法で得ることができるが、これに限定されない。
また、Ce源となる化合物としては、酸化セリウム、炭酸セリウム、水酸化セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、硝酸セリウム、リン酸セリウム、酢酸セリウム、シュウ酸セリウム、乳酸セリウム、ステアリン酸セリウム、アクリル酸セリウム、フッ化セリウム及び過塩素酸セリウムからなる群より選ばれる1種類以上を使用することが好ましい。これらのセリウム化合物は、混合時の分散媒、溶媒である水に対して溶解するか、スラリー状となり分散するため、酸化マンガンとの均一な混合が可能となる。
次に、前駆体を焼成することで主要な結晶相がMn及びCeOの遊離砥粒とする。研磨速度の良好な遊離砥粒を製造しやすい点で、焼成温度は550℃以上850℃以下が好ましい。焼成時間としては特に制限はないが、1〜30時間程度とすることが好ましい。
焼成時の酸化性雰囲気としては、酸化が行われる雰囲気であれば特に限定されないが、例えば大気中や空気流通の雰囲気、酸素ガス流通の雰囲気などが挙げられる。
前駆体を焼成する方法としては、特に限定されることはないが、箱形炉や環状炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンなどを使用することが挙げられる。
焼成して得られた遊離砥粒は粒子同士が凝集している場合があるため、さらに粉砕及び/又は解砕することが好ましい。
粉砕及び/又は解砕する方法としては、ボールミルやビーズミルを挙げることができる。粉砕メディアとしては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスが粉砕効率の高さから好ましい。
本発明の遊離砥粒研磨用研磨剤は、十分な研磨速度を有し、研磨加工時に被加工物の表面に傷が発生しにくく表面平滑性に優れることから様々な材料の研磨工程に用いることができる。例えばマザーガラスやフォトマスク用石英ガラス、ハードディスク用強化ガラスなどのガラス材料に対して好適に用いることができる。
本発明の遊離砥粒研磨用研磨剤は、十分な研磨速度と研磨安定性を有し、研磨加工時に被加工物の表面に傷が発生しにくく、表面平滑性に優れることから様々な材料の研磨工程に用いることができ、しかも安価に製造することができる。
Mn及びCeOの二相のマンガン酸化物遊離砥粒研磨用研磨剤とMn研磨剤の研磨バッチごとの研磨速度の推移(初期を100としたときの相対研磨速度)を示したものである。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
50℃に加温した硫酸マンガン(和光純薬製)1mol/L水溶液と硝酸セリウム(和光純薬製)1mol/L水溶液とをCe/(Mn+Ce)が25atom%となるように混合し、炭酸ナトリウム(和光純薬製)1mol/L水溶液を炭酸マンガン、炭酸セリウム組成となるように1L/minの条件で滴下し、前駆体を合成した。ろ過後、乾燥オーブンで十分乾燥させ、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて670℃で8時間の焼成を行った。焼成の雰囲気は大気とした。焼成で得られた粉末をX線回折装置(理学電機製、商品名「RINT UltimaIII」)によって構成相の同定を行い、主要な結晶相がMn及びCeOの二相であることを確認し、シェラーの式から求めたMn及びCeOの結晶子径はそれぞれ88nm、17nmであった。尚、Mnの結晶子径は面指数(222)のピークを、CeOの結晶子径は面指数(111)のピークをそれぞれ用いた。焼成後の粉末をEPMAでMn及びCeのマッピングを行ったところ、1つの粒子にMnとCeの分布を確認した。さらに焼成後の粉末をBET測定装置(湯浅アイオニクス社製、商品名「MONOSORB」)によりBET比表面積を測定したところ、6.5m/gであった。
焼成後の粉末に対してSCミル(日本コークス工業社製、商品名「SC150」)を用い、イオン交換した蒸留水とφ1mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとして使用して湿式のビーズミルを実施した。粉砕時間は固形分1kg当り10分とした。得られたスラリーを粒度分布計(島津製作所製、商品名「SALD−7100」)により測定した結果、2次粒子のD50径は0.9μmであり、10μm以上の砥粒は無かった。
(実施例2)
Ce/(Mn+Ce)が17atom%となるようにした以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を合成した。ろ過後、乾燥オーブンで十分乾燥させ、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて650℃で8時間の焼成を行った。焼成の雰囲気は大気とした。焼成で得られた粉末をX線回折装置によって構成相の同定を行い、主要な結晶相がMn及びCeOの二相であることを確認し、Mnの結晶子径は99nm、CeOの結晶子径は11nmであった。焼成後の粉末をBET測定装置によりBET比表面積を測定したところ、7.2m/gであった。
焼成後の粉末に対してSCミルを用い、イオン交換した蒸留水とφ1mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとして使用して湿式のビーズミルを実施した。粉砕時間は固形分1kg当り10分とした。得られたスラリーを粒度分布計により測定した結果、2次粒子のD50径は1.3μmであり、10μm以上の砥粒は無かった。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で前駆体を合成し、ろ過・乾燥後、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて750℃で8時間の焼成を行った。焼成の雰囲気は大気とした。焼成で得られた粉末をX線回折装置によって構成相の同定を行い、主要な結晶相がMn及びCeOの二相であることを確認し、Mnの結晶子径は150nm、CeOの結晶子径は25nmであった。焼成後の粉末をBET測定装置によりBET比表面積を測定したところ、5.5m/gであった。
焼成後の粉末に対してSCミルを用い、イオン交換した蒸留水とφ1mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとして使用して湿式のビーズミルを実施した。粉砕時間は固形分1kg当り10分とした。得られたスラリーを粒度分布計により測定した結果、2次粒子のD50径は1.8μmであり、10μm以上の砥粒は無かった。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で前駆体を合成し、ろ過・乾燥後、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて650℃で24時間の焼成を行った。焼成の雰囲気は大気とした。焼成で得られた粉末をX線回折装置によって構成相の同定を行い、主要な結晶相がMn及びCeOの二相であることを確認し、Mnの結晶子径は120nm、CeOの結晶子径は20nmであった。焼成後の粉末をBET測定装置によりBET比表面積を測定したところ、7.9m/gであった。
焼成後の粉末に対してイオン交換した蒸留水とφ10mmのアルミナボールを使用して湿式ボールミルを実施した。得られたスラリーを粒度分布計により測定した結果、2次粒子のD50径は1.9μmであり、10μm以上の砥粒は無かった。
(比較例1)
Ce源を添加しない以外は実施例1と同様の条件で前駆体を合成し、ろ過・乾燥後、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて750℃で8時間の焼成を行った。焼成で得られた粉末をX線回折装置によって構成相の同定を行ったところ、主要な結晶相はMnであり、Mnの結晶子径は300nmであった。焼成後の粉末のBET比表面積は、3.5m/gであった。
焼成後の粉末を用いて、実施例1と同様にスラリーとした。2次粒子のD50径は1.1μmであり、10μm以上の砥粒は無かった。
(比較例2)
Ce/(Mn+Ce)が5atom%とした以外は実施例1と同様の方法で前駆体を合成し、ろ過・乾燥後、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて900℃で8時間の焼成を行った。焼成の雰囲気は大気とした。焼成で得られた粉末をX線回折装置によって構成相の同定を行い、主要な結晶相がMn及びCeOの二相であることを確認し、Mn及びCeOのいずれもシェラー式では評価不能なほど大きい結晶子径であった。焼成後の粉末のBET比表面積は1.1m/gであった。
焼成後の粉末に対してSCミルを用い、イオン交換した蒸留水とφ1mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとして使用して湿式のビーズミルを実施した。粉砕時間は固形分1kg当り10分とした。得られたスラリーを粒度分布計により測定した結果、2次粒子のD50径は2.1μmであり、10μm以上の砥粒は無かった。
(比較例3)
Ce源を添加しない以外は実施例1と同様の条件で前駆体を合成し、ろ過・乾燥後、解砕した粉末を箱型電気炉を用いて900℃で24時間の焼成を行った。焼成で得られた粉末をX線回折装置によって構成相の同定を行ったところ、主要な結晶相はMnであり、Mnの結晶子径はシェラー式では評価不能なほど大きい結晶子径であった。焼成後の粉末のBET比表面積は、0.7m/gであった。
焼成後の粉末を用いて、実施例1と同様にスラリーとした。2次粒子のD50径は5.2μmであり、10μm以上の砥粒も存在した。
(研磨評価)
φ65mmの無アルカリガラス基板(旭硝子製AN100)3枚を研磨装置(丸本ストルアス製、商品名「Tegramin−30」)に設置し、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたスラリーに対してイオン交換した蒸留水を添加して25%の濃度に調整し、研磨用スラリーとした。前記スラリーを使用して2時間の遊離砥粒研磨加工を実施した。研磨パッドはニッタ・ハース製IC1000を用い、研磨圧力は140g/cm、ガラスと工具の回転数は70rpmとした。
加工後のガラス基板は、研磨加工前後の重量変化から各バッチ毎の研磨速度を評価した。
さらに、走査型白色干渉法による表面粗さ評価を実施した。表面粗さ評価は、Zygo社製商品名「NewView7100」を用いた。
さらに、34mm×34mmの石英ガラス基板3枚を研磨装置(ラップマスターSFT製、商品名「LGP−15AF」)に設置し、実施例1、2及び比較例1のスラリーに対してイオン交換した蒸留水を添加して5%の濃度に調整し、研磨用スラリーとした。前記スラリーを使用して2時間の遊離砥粒研磨加工を5〜6バッチ実施することで研磨速度維持性能を評価した。研磨パッドはニッタ・ハース製IC1000を用い、研磨圧力は215g/cm、ガラスと工具の回転数は45rpmとし、各バッチの研磨速度は、研磨加工前後の重量変化から評価した。
砥粒特性の結果を表1に、研磨速度の推移を図1に示す。実施例1〜4で作製した25%研磨スラリーの研磨速度は16.8〜21.5μm/hの速度であり、表面粗さは0.28〜0.39nmRaであった。また研磨速度維持性も良好であった。比較例1であるMnのみの研磨スラリーの研磨速度は10.7μm/hで、実施例1〜4に比べて低く、表面粗さも悪く、研磨速度維持性も良くなかった。
比較例2では、研磨速度は19.8μm/hであったが、高温焼成のため結晶子径が非常に大きいため表面粗さが非常に悪化する結果であった。また、比較例3では、研磨速度は19.1μm/hであり、研磨後のガラス表面には目視傷が存在した。
Figure 2015140402

Claims (9)

  1. Mn及びCeOを含んでなり、Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%であり、Mn及びCeOからなる多結晶体を含むことを特徴とする遊離砥粒。
  2. Mnの結晶子径が1nm〜250nmであり、CeOの結晶子径が1nm〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の遊離砥粒。
  3. 遊離砥粒のBET比表面積が5〜15m/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊離砥粒。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の遊離砥粒と分散媒からなる遊離砥粒研磨用研磨剤。
  5. 遊離砥粒の2次粒子の50%径であるD50径が0.5〜3μmであり、2次粒子径10μm以上のMn粒子が含まれていないことを特徴とする請求項4に記載の遊離砥粒研磨用研磨剤。
  6. Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%である、Mn及びCeを含んでなる炭酸塩、水酸化物又は塩基性炭酸塩を酸化性雰囲気で焼成することを特徴とする遊離砥粒の製造方法。
  7. Mnの金属塩とCeの金属塩を、Ce含有量がMnとCeの原子数の合計を100atom%としたとき、10〜40atom%であるように混合し前駆体を調製した後、得られた前駆体を酸化性雰囲気で焼成することを特徴とする遊離砥粒の製造方法。
  8. 前記前駆体が、Mn及びCeを含んでなる炭酸塩、水酸化物又は塩基性炭酸塩であることを特徴とする請求項7に記載の遊離砥粒の製造方法。
  9. 焼成温度を550℃以上850℃以下にすることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の遊離砥粒の製造方法。
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