JP6348469B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電解質を用いるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気二次電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができるため、電池の単位体積当たり非常に大きな放電容量を示すことが報告されている。
これまでに、非特許文献1または非特許文献2に報告されているように、正極であるガス拡散型空気極に種々の触媒を添加することにより、放電容量やサイクル特性などの電池性能を改善する試みがなされている。
例えば、ガス拡散型空気極の電極触媒として、非特許文献1においてLi1.01CeV2.998などの遷移金属複合酸化物が、非特許文献2では主に酸化鉄(Fe23)、コバルト酸化物(Co34)などの遷移金属酸化物が、各々検討されている。
なお、非特許文献1および非特許文献2を含む多くの文献の報告では、リチウム空気二次電池の有機電解質として、LiClO4、LiPF6、LiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)などのリチウム塩を、炭酸プロピレンなどの炭酸エステル系溶媒に1.0mol/L程度の濃度で溶解した溶液が用いられている。
Z.-j. Wu, Y. Zhou, "Effect of Ce-doping on the structure and electrochemical performance of lithium trivanadate prepared by a citrate sol-gel method", Journal of Power Sources, vol.199, pp.300-307, 2012. A. Debart et al., "An O2 cathode for rechargeable lithium batteries: The effect of a catalyst", Journal of Power Sources, vol.174, pp.1177-1182, 2007.
しかしながら、非特許文献1の二次電池は、電流密度75mA/gの条件下では261mAh/g程度と放電容量が小さい。
これに対し、非特許文献2では、9種類の触媒を検討しており、空気極に含まれるカーボンの重量当たりで1000〜3000mAh/gの非常に大きな放電容量が得られている。しかしながら、非特許文献2のリチウム空気二次電池では、電流密度が70mA/gと小さい。このため、非特許文献2のリチウム空気二次電池は、高い電流密度特性が得られていない。
これらのように、現状では、リチウム空気二次電池の大きな放電容量が、高い電流密度で得られていないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、リチウム空気二次電池の大きな放電容量が、高い電流密度で得られるようにすることを目的とする。
本発明に係るリチウム空気二次電池は、空気極と、リチウムを含んで構成された負極と、アカセンを配位子とした金属錯体を含んで構成されて空気極と負極とに挾まれて配置された有機電解質とを備える。
上記リチウム空気二次電池において、金属錯体の金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhのいずれか1つであればよい。また、金属錯体は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhの少なくとも1つを含んで構成されていてもよい。
上記リチウム空気二次電池において、空気極は、カーボンからなる導電性材料から構成されていればよい。
以上説明したように、本発明によれば、有機電解質が、アカセンを配位子とした金属錯体を含むようにしたので、リチウム空気二次電池の大きな放電容量が、高い電流密度で得られるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態におけるリチウム空気二次電池の構成を示す構成図である。 図2は、リチウム空気二次電池のより詳細な構成例を示す断面図である。 図3は、実施例1における電流密度30mA/g、100mA/g、200mA/gの各条件で通電した場合の、初回の放電および充電の状態を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるリチウム空気二次電池の構成を示す構成図である。このリチウム空気二次電池は、一般的なよく知られたリチウム空気二次電池と同様に、空気極101と、リチウムを含んで構成された負極102と、空気極101と負極102とに挾まれて配置された有機電解質103とを備える。空気極101の一方の面は大気に曝され、他方の面は有機電解質103と接する。また、負極102の有機電解質103の側の面は、有機電解質103と接する。
上述した基本構成に加え、本発明の実施の形態では、有機電解質103が、以下の化学式(A)で示される、アカセン(acacen)を配位子とした金属錯体を含んで構成されているところに大きな特徴がある。
Figure 0006348469
有機電解質103は、Li塩を供給するためのリチウム化合物(金属塩など)と有機溶媒から構成されている。金属塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、リチウムトリフルオロメタンスルホニルアミド(LiTFSA)[(CF3SO22NLi]などを挙げることができる。
有機溶媒は、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、などのエーテル系溶媒、γ−ブチロタクトン(GBL)などのラクトン系溶媒、あるいはこれらの中から二種類以上を混合した溶媒を挙げることができる。実施の形態において、混合溶媒を用いる場合の混合割合は、特に限定されない。
アカセンを配位子とした金属錯体(金属acacen錯体)の金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhのいずれか1つであれば良い。また、金属acacen錯体は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhの少なくとも1つを含んで構成されていてもよい。例えば、Cr(acacen)の末端に、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhが結合していても良い。また、有機電解質103が含む金属acacen錯体は、1種類で用いてもよく、また、2種以上が混合されていても良い。金属acacen錯体を2種以上混合する場合の、混合割合は特に限定されず、どのような割合であってもよい。
有機電解質103における金属acacen錯体は、有機電解質103を基準に、0.001mol/L以上の濃度で添加され、添加される有機電解質103に対する飽和濃度まで添加することができる。例えば、0.001mol/L以上1.00mol/L以下の範囲で添加することができる。
なお、有機電解質103は、電解液または固体電解質のいずれであってもよい。電解液とは、電解質が液体形態である場合をいう。また、固体電解質とは、電解質がゲル形態または固体形態である場合をいう。
次に、正極である空気極101について説明する。空気極101は、よく知られているように、導電性材料から構成され、また、必要に応じて触媒,結着剤などを添加して用いる。
空気極101を構成する導電性材料は、カーボンであることが好ましい。例えば、導電性材料は、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボンファイバー類、カーボンシート、カーボンクロスなどから構成すれば良い。これらのカーボンは、例えば市販品として入手可能であり、また合成することが可能である。
空気極101に添加する触媒は、酸化マンガン(MnO2)、ルテニウム酸化物(RuO2)などの酸素還元(放電)および酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な、公知の酸化物触媒であれば特に限定されない。例えば、MnO2、Mn34、MnO、FeO2、Fe34、FeO、CoO、Co34、NiO、NiO2、V25、WO3などの単独酸化物、La0.6Sr0.4MnO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Sr0.4CoO3、Pr0.6Ca0.4MnO3、LaNiO3、La0.6Sr0.4Mn0.4Fe0.63などのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を用いることができる。これらの触媒は、固相法や液相法などの公知のプロセスを用いて合成することができる。
また、空気極101に添加される触媒として、中心金属にMn、Fe、Co、Ni、V、W等の遷移金属を少なくとも一種含むポルフィリンやフタロシアニンなどの大環状金属錯体も用いることができる。これらの金属錯体は、カーボンと混合後、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行い活性化させてもよい。
空気極101に添加される触媒としては、上記の化合物系に限らず、Pt、Au、Pdなどの貴金属、およびCo、Ni、Mnなどの遷移金属の単体金属を用いてもよい。例えば、これらの金属をカーボン上に高分散担持させることにより高い活性を発現することができる。
空気極101では、電解質/電極触媒/ガス(酸素)の三相部分(三相界面)において電極反応が進行する。空気極101中に有機電解質103が浸透し、ここに大気中の酸素ガスが供給されることで、電解質−電極触媒−ガス(酸素)が共存する三相部位が形成される。電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)および酸素発生(充電)が円滑に進行し、電池性能が大きく向上することになる。
空気極101での放電反応は次のように表すことができる。
2Li++(1/2)O2+2e-→Li2O…(1)
2Li++O2+2e-→Li22…(2)
上式中のリチウムイオン(Li+)は、負極102から電気化学的酸化により、有機電解質103中に溶解し、有機電解質103中を空気極101の表面まで移動してきたものである。また、酸素(O2)は、大気(空気)中から空気極101の内部に取り込まれたものである。なお、図1において、負極102から溶解する材料(Li+)、空気極101で析出する材料(Li2O)、および空気(O2)を構成要素と共に示している。
空気極101の電極触媒として用いることができる酸化物、特に酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)などは、マンガンおよびルテニウムが、+4、+3などの価数を有するイオンで存在しうる。また、これらの酸化物を合成する際の条件によっては、酸化マンガン、酸化ルテニウム等の酸化物内に酸素を取り込むことができる空孔(本明細書では酸素空孔とも称する)が存在し、活性サイトとして機能すると考えられる。このため、このような酸化物触媒は、正極活物質である酸素との相互作用が強く、多くの酸素種を酸化物表面上に吸着でき、または酸素空孔内に酸素種を吸蔵することができる。
このように、酸化物表面上に吸着された、または酸素空孔内に吸蔵された酸素種は、上記式(1)および式(2)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。また、式(1)および式(2)の逆反応である充電反応に対しても、上記の酸化物は活性を有している。従って、電池の充電に対応する空気極101上での酸素発生反応も効率よく進行する。このように、酸化マンガン、酸化ルテニウムなどの酸化物は、電極触媒として有効に機能する。
リチウム空気二次電池では、電池の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位[電解質/電極触媒/空気(酸素)の三相部分]がより多く存在することが望ましい。このような観点から、上述の三相部位が電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高い方が好ましい。例えば、焼成後の空気極101における比表面積は、10m2/g以上であることが好適である。
空気極101中での触媒含有量は、空気極101の重量を基準に、例えば0を越え、100重量%以下であることが望ましい。空気極101における他の成分の割合は、従来のリチウム空気二次電池と同様である。
次に、空気極101に添加可能な結着剤(バインダー)について説明する。結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末としてまたは分散液として用いることができる。
ここで、空気極101の作製について、簡単に説明する。まず、触媒である酸化物粉末、カーボン粉末およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなバインダー粉末を所定量混合し、この混合物をチタンメッシュなどの支持体上に圧着することにより、空気極101を成形することができる。
また、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にし、金属メッシュまたはカーボンクロスやカーボンシート上に塗布して乾燥することによって、空気極101を形成することができる。また、電極の強度を高め電解質の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することによっても、より安定性に優れた空気極101を作製することができる。
次に、負極102について説明する。負極102は、負極活物質を含んで構成されている。負極活物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば負極活物質は、金属リチウムである。また、負極活物質は、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出および吸蔵することができる物質であるリチウムと、シリコンまたはスズとの合金、あるいは、Li2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物であってもよい。
負極102は、公知の方法で作製することができる。例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極を作製すればよい。
なお、上記のシリコンまたはスズの合金を負極102として用いる場合、負極102を作成する時にリチウムを含まないシリコンまたはスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法または電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコンまたはスズとの合金化を行う方法)によって、シリコンまたはスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。
具体的には、作用極にシリコンまたはスズを含み、対極にリチウムを用い、有機電解質中で還元電流を流すことによって合金化を行うなどの電気化学的な処理をしておくことが好ましい。
金属リチウムから構成した負極102における放電時の反応は、以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li++e-・・・(3)
なお、充電時の負極102においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
なお、リチウム空気二次電池は、上記構成に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、また、リチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
例えば、リチウム空気二次電池は、図2に示すように構成することができる。このリチウム空気二次電池は、空気極201,負極202,有機電解質203,セパレータ204,空気極支持体205、空気極固定用リング206,負極固定用リング207,負極固定用座金208,負極支持体209,固定ねじ210,Oリング211,空気極端子221,負極端子222を備える。
空気極201,負極202,有機電解質203,セパレータ204は、円筒形状の空気極支持体205に収容されている。液状の有機電解質203は、空気極201および塩橋となるセパレータ204に挟まれている。セパレータ204には有機電解質203が含浸している。なお、セパレータ204の周囲にも有機電解質203は配置されている。これらは、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)より構成された空気極固定用リング206および負極固定用リング207に挾まれて、空気極支持体205の円筒内に固定されている。このようにして、液状の有機電解質203が、空気極201とセパレータ204との間に封入されている。
また、負極202は、負極固定用リング207の内部で、負極固定用座金208が積層され、この上に金属から構成された負極支持体209が被せられている。負極支持体209は、固定ねじ210により空気極支持体205に固定されている。また、空気極支持体205と負極支持体209との間には、Oリング211が配置されている。
固定ねじ210により空気極支持体205の側に押しつけられている負極支持体209により、負極固定用座金208を介し、負極202がセパレータ204の方向に押圧され、セパレータ204に圧接されている。
なお、空気極支持体205は、金属から構成されているが、図示していないが、PTFEに被覆され、有機電解質203,セパレータ204などと絶縁分離されている。なお、空気極201と空気極支持体205が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFEによる被覆を施さない。また、金属から構成された固定ねじ210も、図示していないが、PTFEに被覆され、空気極支持体205と負極支持体209とが、電気的に分離された状態としている。
以下、実施例を用いて詳細に説明する。
[セル作製]
以下の各実施例では、図2を用いて説明した円柱形のリチウム空気二次電池セルを作製した。
まず、空気極用の触媒として公知であるルテニウム酸化物(RuO2)を用い、リチウム空気二次電池セルを以下の手順で作製した。ルテニウム酸化物(RuO2)は市販試薬(Aldrich社製)を用いた。
ルテニウム酸化物(RuO2)粉末、ケッチェンブラック粉末、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)粉末を、10:72:18の重量比で、ミキサーを用いてN‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)に十分混合し、スラリーを作製した。このスラリーを直径17mmのカーボンシートに塗布し、90℃の真空乾燥機に入れ、一晩乾燥させ、ガス拡散型の空気極201を作製した。
次に、リチウム空気電池セルを、露点が−60℃以下の乾燥空気中で、以下の手順で作製した。作製した空気極201を、PTFEで被覆された空気極支持体205の凹部に配置し、空気極固定用リング206で固定した。なお、空気極201と空気極支持体205が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFEによる被覆を施さないものとした。
次に、空気極201と大気が接触する面とは逆の面に、リチウム二次電池用のセパレータ204を凹部の底面に配置した。続いて、負極固定用座金208に負極202となる厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔を同心円上に重ねて圧着した。次に、負極固定用リング207を、空気極201を設置する凹部と対向する逆の凹部に配置し、中央部に負極202となる金属リチウムが圧着された負極固定用座金208を更に配置した。続いて、Oリング211を、空気極支持体205の底部に配置した。
次に、セルの内部(空気極201と負極202との間)に、有機電解質203を充填し、負極支持体209を被せ、固定ねじ210でセル全体を固定した。有機電解質203は、上述のCrCl3含有有機電解質(1.00mol/L:LiTFSA/TEGDME溶液)を用いた。続いて、空気極端子221を空気極支持体205に接続して固定し、負極端子222を負極支持体209に接続して固定した。
[実施例1]
[Cr−acacen錯体を含む有機電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ、油浴内で30分間加熱および撹拌する。次に、これらを105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やしてからろ過し、acacenH2を得た。このようにして作製したacacenH2を、脱気した水にCrCl3・6H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに、水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。次に、この溶液をろ過し、ろ過により得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでCr−acacen錯体を得た。
このCr−acacen錯体を、リチウム空気二次電池の有機電解質に添加した。有機電解質は、LiTFSAを有機溶媒テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)に1.00mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。実施例1では、上記構成とした有機電解質に、1.00mol/LのCr−acacen錯体を添加した。
電流密度30mA/g、100mA/g、200mA/gの各条件で通電した場合の、初回の放電および充電の状態を図3に示す。図3に示すように、実施例1のCr−acacen錯体含有1.00mol/LLiTFSA/TEGDME溶液を有機電解質に用いると、電流密度30mA/g時の初回放電容量は8465mAh/gであることが分かる。また、電流密度100mA/g時の初回放電容量は6626mA/gであり、電流密度200mA/g時の初回放電容量は4481mA/gであった。30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げても、放電容量は約53%維持された。
実施例1のCr−acacen錯体含有1.00mol/LLiTFSA/TEGDME溶液を有機電解質として使用したリチウム空気二次電池は、非特許文献1および非特許文献2で報告されたものよりも高電流密度において初回放電容量が同程度またはそれ以上となり、加えて、高電流密度化した際の容量維持率が高いことが分かった。
電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を以下の表1に示す。また、サイクル特性の測定結果を以下の表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量は、約93%となり、高い維持率が得られた。
このように、Cr−acacen錯体含有1.00mol/LLiTFSA/TEGDME溶液を有機電解質として使用したリチウム空気二次電池は、電池性能が向上できることが確認された。
[実施例2]
実施例2では、有機電解質の添加剤として実施例1のCr−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例2の電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度を0.001mol/Lとした場合でも、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量が、約52%となり、高い維持率が得られた。このように、有機電解質の添加剤としてCr−acacen錯体を0.001mol/Lと添加濃度が小さい場合においても、本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例3]
[Mn−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。その後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にMnCl2・4H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでMn−acacen錯体を得た。このMn−acacen錯体を有機電解質に添加した。
実施例3では、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に、1.00mol/LのMn−acacen錯体を添加した。
実施例3の電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、4141mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約46%となり、高い維持率が得られた。
また、実施例3におけるサイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は、約91%となり、高い維持率が得られた。このように、有機電解質にMn−acacen錯体を添加することによって、本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例4]
[Mn−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例4では、有機電解質の添加剤として実施例3のMn−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例4の電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、3394mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約45%となり、高い維持率が得られた。
[実施例5]
[Fe−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。この後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にFeCl3・6H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでFe−acacen錯体を得た。このFe−acacen錯体を有機電解質に添加した。
Fe−acacen錯体は、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に対し、1.00mol/Lの添加濃度に調整し、実施例1と同様の手順で有機電解質に添加した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例5の電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、5410mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約54%となり、高い維持率が得られた。
また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は、約81%となり、高い維持率が得られた。このように、有機電解質の添加剤としてFe−acacen錯体を添加することによって本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例6]
[Fe−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例6では、有機電解質の添加剤として実施例5のFe−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、有機電解質に添加してセルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例6の電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、3164mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約40%となり、高い維持率が得られた。
[実施例7]
[Co−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。この後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にCoCl2・6H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでCo−acacen錯体を得た。このCo−acacen錯体を有機電解質に添加した。
Co−acacen錯体を添加する際、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に対して、1.00mol/Lの添加濃度に調整し、実施例1と同様の手順で有機電解質に添加した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例7における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、5561mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約52%となり、高い維持率が得られた。
また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は約92%と高い維持率を示した。このように、有機電解質の添加剤としてCo−acacen錯体を添加することによって本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例8]
[Co−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例8では、有機電解質の添加剤として実施例7のCo−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて前述した実施例と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例8における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、3762mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約52%となり、高い維持率が得られた。
[実施例9]
[Ni−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。この後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にNiCl2・6H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでNi−acacen錯体を得た。このNi−acacen錯体を有機電解質に添加した。
Ni−acacen錯体を添加する際、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に対して、1.00mol/Lの添加濃度に調整し、実施例1と同様の手順で有機電解質に添加した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例9における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、6312mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約60%となり、高い維持率が得られた。
また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は約85%と高い維持率を示した。このように、有機電解質の添加剤としてNi−acacen錯体を添加することによって本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例10]
[Ni−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例10では、有機電解質の添加剤として実施例9のNi−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて前述した実施例と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例10における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、2866mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約55%となり、高い維持率が得られた。
[実施例11]
[Cu−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。この後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にCuCl2・2H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでCu−acacen錯体を得た。このCu−acacen錯体を有機電解質に添加した。
Cu−acacen錯体を添加する際、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に対して、1.00mol/Lの添加濃度に調整し、実施例1と同様の手順で有機電解質に添加した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例11における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、4275mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約52%となり、高い維持率が得られた。
また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は約95%と高い維持率を示した。このように、有機電解質の添加剤としてCu−acacen錯体を添加することによって本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例12]
[Cu−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例12では、有機電解質の添加剤として実施例11のCu−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて前述した実施例と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例12における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、2679mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約43%となり、高い維持率が得られた。
[実施例13]
[Ru−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。この後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にRuCl3・nH2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでRu−acacen錯体を得た。このRu−acacen錯体を有機電解質に添加した。
Ru−acacen錯体を添加する際、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に対して、1.00mol/Lの添加濃度に調整し、実施例1と同様の手順で有機電解質に添加した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例13における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、7512mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約62%となり、高い維持率が得られた。
また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は約97%と高い維持率を示した。このように、有機電解質の添加剤としてRu−acacen錯体を添加することによって本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例14]
[Ru−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例14では、有機電解質の添加剤として実施例13のRu−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて前述した実施例と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例14における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、4572mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約47%となり、高い維持率が得られた。
[実施例15]
[Rh−acacen錯体を含む電解質の調製]
2,4−ペンタジオン(アルドリッチ社製)とエチレンジアミン(アルドリッチ社製)をフラスコに入れ油浴内で30分間加熱および撹拌する。この後、105℃まで加熱し、更に24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷やし、ろ過し、acacenH2を得た。このacacenH2を脱気した水にRhCl3・3H2O(和光純薬工業社製)と共に加えた。これらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間還流を行った。この溶液をろ過し、得られた粉末をベンゼンに溶解し、このベンゼン溶液をディーンスターク装置により脱水した。次いで、脱水したベンゼン溶液を室温まで冷やし、n−ヘキサン(アルドリッチ社製)で洗浄・ろ過することでRh−acacen錯体を得た。このRh−acacen錯体を有機電解質に添加した。
Rh−acacen錯体を添加する際、有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)に対して、1.00mol/Lの添加濃度に調整し、実施例1と同様の手順で有機電解質に添加した。上記以外の他の条件は、すべて実施例1と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
本実施例における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度1.00mol/Lの場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、6376mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は、約56%となり、高い維持率が得られた。
また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、添加濃度1.00mol/Lの際の10サイクル後の放電容量維持率は約95%と高い維持率を示した。このように、有機電解質の添加剤としてRh−acacen錯体を添加することによって本発明のリチウム空気二次電池の電池性能を向上できることが確認された。
[実施例16]
[Rh−acacen錯体を含む電解質の調製]
実施例16では、有機電解質の添加剤として実施例15のRh−acacen錯体を用い、添加濃度0.001mol/Lで有機電解質(1.00mol/L LiTFSA/TEGDME溶液)へ混合した。上記以外の他の条件は、すべて前述した実施例と同様にして、セルを作製し、電池性能の評価を行った。
実施例16における電流密度毎の初回放電容量に関する測定結果を表1に示す。表1に示すように、添加濃度0.001mol/Lとした場合、電流密度200mA/gの場合の初回放電容量は、3841mAh/gとなり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量維持率は約43%となり、高い維持率が得られた。
[比較例1]
有機電解質として1.00mol/LのLiTFSA/TEGDME溶液を用いて、リチウム空気二次電池セルを実施例1と同様にして作製した。有機電解質以外のリチウム空気二次電池の作製条件およびサイクル試験の条件は、実施例1と同様である。
電池のサイクル試験は、充放電測定システム(Bio Logic社製)を用い、空気極201の重量当たりの電流密度で30mA/g、100mA/g、200mA/gを通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が、4.4Vに達するまで行った。充放電容量は空気極(カーボン+酸化物+PVDF)重量当たりの値(mAh/g)で表した。
比較例1の測定結果を、表1に示す。表1に示すように、電流密度200mA/g時の初回放電容量は、192mAh/gであり、30mA/gから200mA/gへ電流密度を上げた際の放電容量は約14%であり、低い維持率であった。また、サイクル特性の測定結果を表2に示す。表2に示すように、10サイクル後の放電容量は、約39%であり、低い維持率であった。
Figure 0006348469
Figure 0006348469
以上に説明したように、本発明によれば、金属acacen錯体を添加した有機電解質を使用してリチウム空気二次電池を構成したので、公知の材料を用いた場合よりも、電流密度特性に優れており、リチウム空気二次電池用電解質添加剤として有効であることが確認された。このように、本発明によれば、リチウム空気二次電池の大きな放電容量が、高い電流密度で得られるようになる。
金属acacen錯体を添加することで、有機電解質におけるイオンの伝導がより促進され、負荷逆な反応が抑制されて可逆的な反応が促進されるようになるものと考えられ、この結果、電流密度を上昇させても、放電容量の低下が抑制できるようになるものと考えられる。従って、本発明の効果は、金属錯体の配位子がacacenであることが重要であるものと考えられ、金属錯体の金属は上述した金属以外であってもよいものと考えられる。また、金属acacen錯体の末端などに、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhなどの金属が結合していても同様の効果が得られるものと考えられる。この場合、複数の金属が結合しても良いものと考えられる。また、有機電解質に、複数の金属アカセン錯体が添加されていても、同様の効果が得られるものと考えられる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…空気極、102…負極、103…有機電解質。

Claims (4)

  1. 空気極と、
    リチウムを含んで構成された負極と、
    アカセンを配位子とした金属錯体を含んで構成されて前記空気極と前記負極とに挾まれて配置された有機電解質と
    を備えることを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 請求項1記載のリチウム空気二次電池において、
    前記金属錯体の金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhのいずれか1つである
    ことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  3. 請求項2記載のリチウム空気二次電池において、
    前記金属錯体は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、またはRhの少なくとも1つを含んで構成されている
    ことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム空気二次電池において、
    前記空気極は、カーボンからなる導電性材料から構成されている
    ことを特徴とするリチウム空気二次電池。
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