JP6599815B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、有機溶媒を用いた電解質を備えるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気二次電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができる。このため、電池の単位体積・単位重量当たりの放電容量を非常に大きくできることが報告されている。
これまでに、非特許文献1または非特許文献2に報告されているように、正極であるガス拡散型空気極に種々の触媒を添加することなどにより、放電容量やサイクル特性などの電池性能を改善する試みがなされている。
例えば、非特許文献1では、電解液として1mol/リットルのLiPF6/炭酸プロピレン(PC)を用い、空気極触媒としMnO2,Pt,Ru,RuO2などの貴金属や金属酸化物を用いた場合の電池特性を報告している。最も優れた特性は、触媒としてMnO2を用いた時に得られ、具体的には、初回放電容量800mAh/gの大きな値を示し、16サイクル後においても放電容量600mAh/gを維持している。
H. Cheng, K. Scott, "Selection of oxygen reduction catalysts for rechargeable lithium-air batteries-Metal or oxide?", Applied Catalysis B, 108.-109, pp.140-151, 2011. J. Zeng et al., "Mesoporous Co3O4 nanocrystals as an effective electro-catalyst for highly reversible Li-O2 batteries", Journal of Power Sources, vol.272, pp.1003-1009, 2014.
しかしながら、非特許文献1の技術では、約200mAh/gの容量低下が確認された。また、非特許文献2では、電解液としてLiClO4/テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)を用い、空気極触媒としてCo34を用いた場合について報告しているが、充放電容量0.4mAh/cm2でサイクルした時に、初回放電電圧が約2.75Vを示すのに対し、67サイクル後には約2.5Vまで電圧が低下している。このように、従来のリチウム空気二次電池は、充放電を繰り返すと放電容量が低下するという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、リチウム空気二次電池において、充放電を繰り返しても放電容量の低下が抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係るリチウム空気二次電池は、空気極と、リチウムを含んで構成された負極と、空気極と負極とに挾まれて配置された電解質とを備え、電解質の溶媒は、−CF2−、CF 2X−(X=Cl,Br)から1つ選ばれるジフルオロ部位および酢酸メチル部位(CH3COO−)を含む有機化合物を含む。
上記リチウム空気二次電池において、溶媒は、FSOOCF2COOCH3CF 2ClCOOCH3CF 2BrCOOCH3の少なくとも1つから構成されていればよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、リチウム空気二次電池において、充放電を繰り返しても放電容量の低下が抑制できるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態におけるリチウム空気二次電池の構成を示す構成図である。 図2は、リチウム空気二次電池のより詳細な構成例を示す断面図である。 図3は、実施例1の試料1について、初回の放電および充電の状態を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるリチウム空気二次電池の構成を示す構成図である。このリチウム空気二次電池は、一般的なよく知られたリチウム空気二次電池と同様に、正極でありガス拡散型の空気極101と、リチウムを含んで構成された負極102と、空気極101と負極102とに挾まれて配置された電解質103とを備える。空気極101の一方の面は大気に曝され、他方の面は電解質103と接する。また、負極102の電解質103の側の面は、電解質103と接する。なお、電解質103は、電解液または固体電解質のいずれであってもよい。電解液とは、電解質が液体形態である場合をいう。また、固体電解質とは、電解質がゲル形態または固体形態である場合をいう。
空気極101は、よく知られているように、導電性材料から構成され、また、必要に応じて触媒を添加して用いる。また、各材料を一体化するために結着剤が用いられる。
空気極101の導電性材料には、例えばカーボンを例示することができる。具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボン繊維類などを挙げることができる。空気極101において反応サイトを十分に確保するために、カーボンは比表面積が大きなものが適している。具体的には、BET比表面積で300m2/g以上の値を有しているものが望ましい。これらのカーボンは、例えば市販品として入手可能であり、また、公知の合成方法により作製することができる。
空気極101に添加する触媒(電極触媒)は、酸化マンガン(MnO2)、ルテニウム酸化物(RuO2)などの酸素還元(放電)および酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な、公知の酸化物触媒であれば特に限定されない。
次に、空気極101に添加可能な結着剤(バインダー)について説明する。結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末としてまたは分散液として用いることができる。
空気極101では、電解質/電極触媒/空気(酸素)の三相界面の部分において、電極反応が進行する。空気極101中に電解質103が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、電解質−電極触媒−空気(酸素)が共存する三相の部分が形成される。電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)および酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極101での電極反応は次のように表すことができる。
2Li++(1/2)O2+2e- → Li2O・・・(1)
2Li++O2+2e- → Li22・・・(2)
上式中のリチウムイオン(Li+)は、負極102から電気化学的酸化により電解質103中に溶解し、この有機電解液中を空気極101表面まで移動してきたものである。また、酸素(O2)は、大気(空気)中から空気極101内部に取り込まれたものである。放電の後には、空気極101の表面に、Li22などの放電生成物104が析出する。一方、充電時には、逆反応で、放電生成物104がリチウムイオンと酸素とに分解する。
空気極101の電極触媒として用いることができる酸化物、特に酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)などは、マンガンおよびルテニウムが、+4、+3などの価数を有するイオンで存在しうる。また、これらの酸化物を合成する際の条件によっては、酸化マンガン、酸化ルテニウム等の酸化物内に酸素を取り込むことができる空孔(本明細書では酸素空孔とも称する)が存在し、活性サイトとして機能すると考えられる。
ここで、空気極101の作製について、簡単に説明する。まず、触媒粉末、カーボン粉末、および必要に応じてポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなバインダー粉末を所定量混合し、この混合物をチタンメッシュなどの支持体上に圧着することにより、空気極101を成形することができる。
また、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にし、金属メッシュまたはカーボンクロスやカーボンシート上に塗布して乾燥することによって、空気極101を形成することができる。また、電極の強度を高め、電解質の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することによっても、より安定性に優れた空気極101を作製することができる。
次に、負極102について説明する。負極102は、負極活物質を含んで構成されている。負極活物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば負極活物質は、金属リチウムである。また、負極活物質は、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出および吸蔵することができる物質であるリチウムと、シリコンまたはスズとの合金、あるいは、Li2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物であってもよい。
なお、上記のシリコンまたはスズの合金を負極102として用いる場合、負極102を作製する時にリチウムを含まないシリコンまたはスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法または電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコンまたはスズとの合金化を行う方法)によって、シリコンまたはスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。
具体的には、作用極にシリコンまたはスズを含み、対極にリチウムを用い、電解質中で還元電流を流すことによって合金化を行うなどの電気化学的な処理をしておくことが好ましい。
負極102は、公知の方法で作製することができる。例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極を作製すればよい。
金属リチウムから構成した負極102における放電時の反応は、以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li++e-・・・(3)
なお、充電時の負極102においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
上述した基本構成に加え、本発明の実施の形態では、電解質103の溶媒が、CHF2−、−CF2−、CF 2X−(X=Cl,Br)から1つ選ばれるジフルオロ部位(基)および酢酸メチル部位(CH3COO−)を含む有機化合物を含むものとされている。例えば、溶媒は、ジフルオロ酢酸メチル(CHF2COOCH3)、ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチル(FSOOCF2COOCH3)、クロロジフルオロ酢酸メチル(CF 2ClCOOCH3)、ブロモジフルオロ酢酸メチル(CF 2BrCOOCH3)の少なくとも1つから構成されていればよい。
電解質103は、空気極101および負極102の間でリチウムイオンの移動が可能な物質であり、Li塩を供給するためのリチウム化合物(金属塩など)と上述した溶媒とから構成されている。金属塩は、例えば、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiTFSA)[(CF3SO22NLi]、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)などを挙げることができる。また、金属塩としては、Liイオンの解離度が高いLiPF6を用いることが好適である。
電解質103に用いる上述した溶媒は、疎水性が強く、水の混和性が低く、電池内部への水分侵入を阻害し、電池性能の低下を抑制することができる。リチウム空気二次電池における放電容量の低下は、触媒を含む空気極材料、金属リチウム負極や電解液の劣化が原因として考えられる。特に、電解質の溶媒に水分が混入した場合、電解質の溶媒自身の劣化だけではなく、金属リチウムの腐食も引き起こし、電池性能低下のトリガーとなることが考えられる。これに対し、本発明によれば、電解質103に対する水分侵入が防げるので、上述した劣化が抑制でき、電池性能の低下が抑制できるようになる。
なお、リチウム空気二次電池は、上記構成に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、また、リチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
例えば、リチウム空気二次電池は、図2に示すように構成することができる。このリチウム空気二次電池は、空気極201,負極202,電解質203,セパレータ204,空気極支持体205、空気極固定用リング206,負極固定用リング207,負極固定用座金208,負極支持体209,固定ねじ210,Oリング211,空気極端子221,負極端子222を備える。
空気極201,負極202,電解質203,セパレータ204は、円筒形状の空気極支持体205に収容されている。空気極支持体205は、円筒内中央部に仕切り251があり、仕切り251により空気極201が配置される第1領域205aと、負極202およびセパレータ204が配置される第2領域205bとに区画されている。また、仕切り251は中央部が開口しており、開口部により第1領域205aと第2領域205bが連通している。
液状の電解質203は、仕切り251の開口に配置され、空気極201およびセパレータ204に挟まれている。セパレータ204には電解質203が含浸している。なお、セパレータ204の周囲にも電解質203は配置されている。
また、空気極201は、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)より構成された空気極固定用リング206と仕切り251とに挟まれて、空気極支持体205の円筒内の第1領域205aに固定されている。空気極固定用リング206の開口内において、空気極101と空気との接触する電極の有効面積は、2cm2とされている。一方、セパレータ204は、PTFEより構成された負極固定用リング207と仕切り251とに挟まれて、空気極支持体205の円筒内の第2領域205bに固定されている。このようにして、液状の電解質203が、仕切り251の開口において空気極201とセパレータ204との間に封入されている。
また、負極202は、負極固定用リング207の内部で、負極固定用座金208が積層され、この上に金属から構成された負極支持体209が被せられている。負極202は、厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔が同心円上に重ねられて構成され、負極固定用座金208に圧着されている。負極202は、有効面積が2cm2とされている。負極支持体209は、固定ねじ210により空気極支持体205に固定されている。また、空気極支持体205と負極支持体209との間には、Oリング211が配置されている。
固定ねじ210により空気極支持体205の側に押しつけられている負極支持体209により、負極固定用座金208を介し、負極202がセパレータ204の方向に押圧され、セパレータ204に圧接されている。これら構成としたリチウム空気二次電池は、露点が−60℃以下の乾燥空気中で作製した。
なお、空気極支持体205は、金属から構成されているが、図示していないが、PTFEに被覆され、電解質203,セパレータ204などと絶縁分離されている。なお、空気極201と空気極支持体205が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFEによる被覆を施さない。また、金属から構成された固定ねじ210も、図示していないが、PTFEに被覆され、空気極支持体205と負極支持体209とが、電気的に分離された状態としている。
以下、実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
はじめに、実施例1について説明する。はじめに、セルの作製について説明する。なお、以下の各実施例では、図2を用いて説明した円柱形のリチウム空気二次電池セルを作製した。
まず、市販の二酸化マンガン粉末(関東化学株式会社)、ケッチェンブラック粉末(株式会社ライオン)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(ダイキン工業株式会社)を、10:70:20の重量比てらいかい機を用いて十分に粉砕混合し、ロール成形して、厚さ0.5mmのシート状電極を作製した。このシート状電極を直径23mmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上にプレスすることにより、ガス拡散型の空気極を得た。
次に、リチウム空気電池セルを、露点が−60℃以下の乾燥空気中で、以下の手順で作製した。作製した空気極201を、空気極支持体205の第1領域205aにおいて、仕切り251に接する状態に配置して空気極固定用リング206で固定した。空気極201と空気極支持体205が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFEによる被覆を施していない。
次に、空気極支持体205の第2領域205bにおいて、仕切り251に接する状態にセパレータ204を配置した。次に、負極固定用リング207に負極202として厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔(有効面積:2cm2)を同心円上に重ねて圧着した。次に、負極固定用リング207を、空気極支持体205の第2領域205bに配置し、この中央部に、負極202が圧着された負極固定用リング207を勘合した。
次に、空気極201と負極202との間に電解質203を充填し、この状態で、空気極支持体205の底面にOリング211を配置して負極支持体209を被せ、固定ねじ210で空気極支持体205に固定した。この後、空気極端子221を空気極支持体205に接続して固定し、負極端子222を負極支持体209に接続して固定した。
電解質203は、溶媒としてCHF2COOCH3、FSOOCF2COOCH3CF 2ClCOOCH3CF 2BrCOOCH3を用い、次に示すように作製した。
まず、電解質203の作製(調整)は、露点−80℃以下のアルゴン雰囲気グローブボックス内で行った。金属塩として無水の市販されているLiPF6(キシダ化学)と、上述した溶媒とを金属塩濃度0.2mol/リットルとなるように混合し、金属塩を溶媒に溶解した。各溶媒は、いずれも東京化成工業株式会社製である。溶解させた後、モレキュラシーブを溶液に投入し、数日間放置した。得られた電解質203(電解液)は、いずれも水分濃度が50ppm以下であることをカールフィッシャー水分測定装置により確認した。
従って、リチウム空気二次電池セルの試料として、溶媒としてCHF2COOCH3を用いた電解質203による試料1、溶媒としてFSOOCF2COOCH3を用いた電解質203による試料2、溶媒としてCF 2ClCOOCH3を用いた電解質203による試料3、溶媒としてCF 2BrCOOCH3を用いた電解質203による試料4を作製した。
次に、実際に作製したリチウム空気二次電池セル試料の電池性能測定について説明する。なお、空気極端子221および負極端子222を、電池性能の測定試験に用いた。電池のサイクル試験は、充放電測定システム(VMP3,Bio Logic社製)を用い、空気極の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cm2を通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。また、電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が4.2Vに増加するまで行った。充放電容量は空気極(カーボン+PVDF)1重量当たりの値(mAh/g)で表した。
ここで、実施例1では、電池の放電試験を、25℃、湿度約1%以下の乾燥空気雰囲気下で実施した。
まず、試料1について、初回の放電および充電曲線を図3に示す。図3に示すように、電解質の溶媒としてCHF2COOCH3を用いると、平均放電電圧が約2.7V、放電容量が1190mAh/gと、比較的、高電圧かつ大放電容量を示すことがわかる。
次に、放電容量のサイクル変化の結果について、比較例と共に説明する。比較例としては、まず、金属塩濃度0.2mol/リットルのLiPF6/炭酸プロピレン(PC)電解液(キシダ化学株式会社製)を電解質203として用いてリチウム空気二次電池セルの比較1を作製した。上記電解液を用いる以外は前述同様である。この場合、電解質203の溶媒は、炭酸プロピレンである。
また、LiPF6/テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)電解液(キシダ化学株式会社製)を電解質203として用いてリチウム空気二次電池セルの比較2を作製した。この場合、電解質203の溶媒は、TEGDMEである。
いずれにおいても、水分濃度は50ppm以下であることをカールフィッシャー水分測定装置により確認した。
上述した試料1、試料2、試料3、試料4、および比較1,比較2について、初回の放電電圧と放電容量、50サイクル時と100サイクル時の放電容量の測定結果を表1に示す。
Figure 0006599815
試料1,試料2,試料3,試料4においては、100サイクル後も600mAh/g以上の大きな放電容量を示し、多数回の充放電サイクルが可能であることを確認した。また、放電容量やサイクル安定性の序列は、ジフルオロ酢酸メチル(試料1)>クロロジフルオロ酢酸メチル(試料3)>ブロモジフルオロ酢酸メチル(試料4)>ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチル(試料2)の序列となった。これは、溶媒を構成する物質の分子量が小さいほど、高性能であることを示唆している。これは、低分子量であるほど電解液の粘度が低くなり、リチウムイオン導電性が高くなるためであると考えられる。
一方、比較1,比較2は、いずれも充放電サイクルに伴う放電容量の減少が著しく、100サイクル後には80〜90%の容量減少が見られた。
これらの結果から、本発明における電解質溶媒は、リチウム空気二次電池に供することによって、優れた電池性能を実現できることが確認された。また、本発明における電解液溶媒は、従来の電解質溶媒と比較して有効性が実証された。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例2では、電池の放電試験を、湿潤雰囲気中で実施して安定性について検証を行った。検証対象としたリチウム空気二次電池セルは、作製方法も含めて前述した実施例1と同様であり、試料1,試料2,試料3,試料4,比較1,比較2である。
ただし、電池の充放電試験は、恒温恒湿器IG400(ヤマト科学株式会社製)中で、25℃、相対湿度80%の空気雰囲気下で実施した。
実施例2における、試料1、試料2、試料3、試料4、および比較1,比較2について、初回の放電電圧と放電容量、50サイクル時と100サイクル時の放電容量の測定結果を表2に示す。
Figure 0006599815
試料1、試料2、試料3、試料4のいずれにおいても、100サイクル後も600mAh/g以上の大きな放電容量を示し、多数回の充放電サイクルが可能であることを確認した。また、放電容量やサイクル安定性の序列は、ジフルオロ酢酸メチル(試料1)>クロロジフルオロ酢酸メチル(試料3)>ブロモジフルオロ酢酸メチル(試料4)>ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチル(試料2)の序列となった。
上述した実施例2の結果と、前述した実施例1の結果とを比較すると、電池電圧や放電容量に関して大きな差異はなく、また、多数回のサイクル実施時の放電容量の推移についても違いは認められない。実施例2で得られた結果は、本発明による電解液溶媒が、水分によって劣化することなく、また、金属リチウム負極と水分との接触を抑制することによって、湿潤雰囲気下でも安定した電池作動を可能とすることを示している。
一方、比較1および比較2については、充放電サイクルに伴う放電容量の減少は著しく、10サイクル後にはごく小さな放電容量しか得られない。よって、実施例1の結果と実施例2の結果とを比較すると、従来のPC系やTEGDME系の材料を溶媒とすると、電解質は水分によって劣化が見られ、電池性能の著しい低下の原因となっていると考えられる。これに対し、本発明による電解質によれば、RH80%という湿潤雰囲気下でも、水分の影響による電池性能の低下も見られず、多数回のサイクルや長期の保存特性に優れた溶媒であることが確認された。
以上に説明したように、本発明では、CHF2COOCH3、FSOOCF2COOCH3CF 2ClCOOCH3CF 2BrCOOCH3などの、CHF2−、−CF2−、CF 2X−(X=Cl,Br)から1つ選ばれるジフルオロ部位および酢酸メチル部位(CH3COO−)を含む、疎水性が強く水の混和性が低い有機化合物を、電解質の溶媒とした。本発明は、電解質の溶媒を、CHF2−、−CF2−、CF 2X−(X=Cl,Br)から1つ選ばれるジフルオロ部位および酢酸メチル部位(CH3COO−)を含むことで、疎水性が強く水の混和性が低い有機化合物から構成したところに特徴がある。この結果、本発明によれば、リチウム空気二次電池において、充放電を繰り返しても放電容量の低下が抑制できるようになり、様々な電子機器の駆動源として有効利用することができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…空気極、102…負極、103…電解質、104…放電生成物。

Claims (2)

  1. 空気極と、
    リチウムを含んで構成された負極と、
    前記空気極と前記負極とに挾まれて配置された電解質と
    を備え、
    前記電解質の溶媒は、−CF2−、CF 2X−(X=Cl,Br)から1つ選ばれるジフルオロ部位および酢酸メチル部位(CH3COO−)を含む有機化合物を含む
    ことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 請求項1記載のリチウム空気二次電池において、
    前記溶媒は、FSOOCF2COOCH3CF 2ClCOOCH3CF 2BrCOOCH3の少なくとも1つから構成されていることを特徴とするリチウム空気二次電池。
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