JP6778673B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100は、図1に示すように、空気極102、負極104、及び電解質106を少なくとも含み、空気極102が正極として機能する。また、空気極102と負極104との間に、例えば有機電解質や有機電解液などの電解質106が配置される。電解質106は、複素環式化合物であるチアントレン誘導体を含むことを特徴とする。
本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100の電解質106は、添加剤としてチアントレン誘導体を少なくとも含む。より具体的には、本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100では、電解質106は、Li塩と有機溶媒を含み、かつ、添加剤としてチアントレン誘導体を含む。
本実施の形態では、空気極102は、導電性材料を少なくとも含み、必要に応じて触媒及び/又は結着剤などを含むことができる。
本実施の形態に係る空気極102に含まれる導電性材料は、カーボンであることが好ましい。特に、本実施の形態に係る導電性材料としては、以下のものに限定されないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボンファイバー類、カーボンシート、カーボンクロスなどを挙げることができる。また、これらのカーボンは、例えば市販品として、又は合成により入手することが可能である。
本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100では、空気極102の触媒は、酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)などの酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な、従来から公知の酸化物触媒であれば特に限定されない。具体的には、MnO2、Mn3O4、MnO、FeO2、Fe3O4、FeO、CoO、Co3O4、NiO、NiO2、V2O5、WO3などの単独酸化物、La0.6Sr0.4MnO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Sr0.4CoO3、Pr0.6Ca0.4MnO3、LaNiO3、La0.6Sr0.4Mn0.4Fe0.6O3などのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を用いることができる。これらの触媒は、固相法、液相法などの公知のプロセスを用いて合成することができる。
2Li++O2+2e−→Li2O2 ・・・(2)
上式中のリチウムイオン(Li+)は、負極104から電気化学的酸化により有機電解液中に溶解し、この有機電解液中を空気極表面まで移動してきたものである。また、酸素(O2)は、大気(空気)中から空気極内部に取り込まれたものである。なお、負極104から溶解する材料(Li+)、空気極102で析出する材料(Li2O2)、及び空気(O2)を図1の構成要素と共に示した。
空気極102は結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
空気極102は、以下のように調製することができる。触媒である酸化物粉末、カーボン粉末及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなバインダー粉末を所定量混合し、この混合物をチタンメッシュなどの支持体上に圧着することにより、空気極102を成形することができる。また、前述の混合物を有機溶剤などの溶媒中に分散してスラリー状にし、金属メッシュ又はカーボンクロス、カーボンシート上に塗布して乾燥することによって、空気極102を形成することができる。
本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100は、負極104に負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム空気二次電池100の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。或いは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質である、リチウムと、シリコン又はスズとの合金、或いはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
なお、充電時の負極104においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えば、チタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100は、上述した通り、少なくとも空気極(正極)102、負極104、及び電解質106を含み、例えば図1に示されるように、空気極102と負極104の間に上述したチアントレン誘導体を含有する電解質106を狭持するように構成される。このような構成のリチウム空気二次電池100は、従来型の二次電池と同様に調製することができる。
以下に図面を参照して、本実施の形態に係るリチウム空気二次電池100の実施例を詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る発明は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
[2,7‐ジアセチルチアントレンを含む電解液の調製]
市販のチアントレン(アルドリッチ社製)を塩化メチレン(アルドリッチ社製)に溶かし、アセチルクロリド(アルドリッチ社製)と塩化アルミニウムを加え、撹拌した。得られた溶液を氷水に流し込み、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄後の溶液を無水硫酸マグネシウムにより脱水し、カラムクロマトグラフィーにより2,7‐ジアセチルチアントレンを得た。
[2,7‐ジブロモチアントレンを含む電解液の調製]
市販のチアントレン(アルドリッチ社製)を酢酸(アルドリッチ社製)に溶かし、80℃に加熱した。この溶液を臭素とともに還流し、温度を下げることで、2,7‐ジブロモチアントレンを得た。
[2,7‐ジイソブチルチアントレンを含む電解液の調製]
市販のチアントレン(アルドリッチ社製)を塩化メチレン(アルドリッチ社製)に溶かし、塩化イソブチル(和光純薬工業社製)と塩化アルミニウム(アルドリッチ社製)を加え、撹拌した。得られた溶液を氷水に流し込み、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄後の溶液を無水硫酸マグネシウムにより脱水し、カラムクロマトグラフィーにより2,7‐ジイソブチルチアントレンを得た。
[2‐アセチルチアントレンを含む電解液の調製]
市販のチアントレン(アルドリッチ社製)を塩化メチレン(アルドリッチ社製)に溶かし、塩化メチレン(和光純薬工業社製)と塩化アルミニウム(アルドリッチ社製)を加え、撹拌した。得られた溶液を氷水に流し込み、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄後の溶液を無水硫酸マグネシウムにより脱水し、酢酸エチル溶離液を用いてカラムクロマトグラフィーにより2‐アセチルチアントレンを得た。
有機電解液として1mol/lのLiTFSA/TEGDME溶液を用いて、リチウム空気二次電池セルを実施例1と同様にして作製した。有機電解液以外のリチウム空気二次電池の作製条件及びサイクル試験の条件は、実施例1と同様である。
102,1…空気極(正極)
104,8…負極
106…電解質(有機電解質)
2…空気極支持体(PTFE被覆)
3…空気極固定用PTFEリング
4…空気極端子
5…セパレータ
6…負極固定用PTFEリング
7…負極固定用座金
9…Oリング
10…有機電解液(有機電解質)
11…負極支持体
12…セル固定用ねじ(PTFE被覆)
13…負極端子
Claims (2)
- カーボンを含む空気極と、
金属リチウム又はリチウム含有物質を含む負極と、
前記空気極と前記負極に接する有機電解質と、を備え、
前記有機電解質は、チアントレン誘導体を含み、
前記チアントレン誘導体の分子量は、259g/molから374g/molの範囲内であることを特徴とするリチウム空気二次電池。 - 前記有機電解質は、
前記チアントレン誘導体が当該有機電解質の飽和濃度で添加されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム空気二次電池。
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