JP6209123B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウム空気二次電池に関する。特に本発明は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの従来の二次電池よりも小型軽量で、かつ遙かに大きい放電容量を実現できるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気二次電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができる。このため、電池の単位体積当たりの放電容量の値を非常に大きくできることが報告されている。
これまでに非特許文献1や非特許文献2に報告されているように、正極であるガス拡散型空気極に種々の触媒を添加することにより、放電容量、サイクル特性などの電池性能を改善する試みらがなされている。
ガス拡散型空気極の電極触媒として遷移金属酸化物が検討されている。例えば、上記文献では、非特許文献1においてλ−MnOなどの遷移金属酸化物が、非特許文献2では主に酸化鉄(Fe)、コバルト酸化物(Co)などの遷移金属酸化物が検討されている。これらの文献には、以下のようなリチウム空気二次電池の電池特性の試験の結果が示されている。
非特許文献1に開示されている二次電池では、充放電サイクルは可能であったが、4サイクル後に放電容量は約1/4に低下し、二次電池としての性能は低いものであった。また、非特許文献1に開示されている二次電池では、充電電圧が、約4.0Vであり、平均放電電圧の2.7Vと比較して非常に大きく、エネルギー効率が低いという課題がある。
一方、非特許文献2では、9種類の触媒を検討し、空気極に含まれるカーボンの重量当たりで1000〜3000mAh/gの非常に大きな放電容量が得られている。しかしながら、充放電を繰り返すと、放電容量の低下が著しく、例えば、Coの場合、10サイクルで容量維持率が約65%となる。このように、非特許文献2のリチウム空気二次電池でも著しい容量の減少が見られ、二次電池としての十分な特性は得られていない。また、ほとんどの場合で平均放電電圧は2.5V程度であり、一方、充電電圧は4.0〜4.5Vを示し、最も低いものでも3.9V程度である。このため、非特許文献2のリチウム空気二次電池は充放電のエネルギー効率は低い。
J. Read, Journal of The Electrochemical Society, Vol.149, pp.A1190-A1195 (2002). Aurelie Debart et al., Journal of Power Sources, Vol.174, pp.1177 (2007).
本発明は、リチウム空気二次電池を、高容量二次電池として作動させ、充放電の電圧差が小さく、充放電サイクルを繰り返しても放電容量の低下が小さいリチウム空気二次電池を提供することを目的とする。
本発明によるリチウム空気二次電池は、空気極、負極、並びに、前記空気極及び前記負極に接する電解質を含み、
前記空気極は、導電性材料及び触媒を含み、
前記空気極の触媒は、Fe、Ni、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Ti又はVから選ばれる金属のリン化物からなることを特徴とする。
本発明の一実施形態では、好ましくは、前記リン化物は、リン化二鉄(Fe2P)、リン化二ニッケル(Ni2P)、リン化二クロム(Cr2P)、リン化二マンガン(Mn2P)、リン化二コバルト(Co2P)、リン化三銅(Cu3P)、ニリン化亜鉛(ZnP2)、リン化チタン(TiP)、又はリン化三バナジウム(V3P)から選択される。
上述した本発明のリチウム空気二次電池によって、電池性能の改善を達成することができる。
本発明のリチウム空気二次電池は、空気極の触媒として、Fe、Ni、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Ti又はVから選ばれる金属を含むリン(P)化物を添加したことにより、従来よりも優れたサイクル特性を実現でき、更にエネルギー効率などを改善することができる。具体的には、充放電の電圧差が小さく、かつ充放電サイクルを繰り返しても放電容量の低下を抑えることができるリチウム空気二次電池を提供できる。
本発明によるリチウム空気二次電池の基本的な概略図である。 実施例において測定に用いたリチウム空気二次電池の構造を示すための概略断面図である。 実施例1のリチウム空気二次電池の初回の充放電曲線を示すグラフである。 実施例1、実施例2、及び比較例1のリチウム空気二次電池の放電容量のサイクル依存性を示す図である。
以下に、図面を参照しつつ、本願に係るリチウム空気二次電池の一実施形態について詳細に説明する。
[リチウム空気二次電池の構成]
本発明に係るリチウム空気二次電池100は、図1に示されるように、空気極102、負極104及び電解質(例えば有機電解質)106を少なくとも含み、前記空気極102が正極として機能する。また、これらの空気極と負極との間に電解質が配置されうる。
前記空気極102は、触媒、導電性材料を構成要素に含むことができる。また、空気極には、前記材料を一体化するための結着剤を含むことが好ましい。負極104は金属リチウム又はリチウムイオンを放出及び吸収することができるリチウム含有合金などの物質を構成要素とすることができる。
以下に上記の各構成要素について説明する。なお、本明細書において、電解液とは、電解質が液体形態である場合をいう。
(I)空気極(正極)
本発明では、空気極は、触媒及び導電性材料を少なくとも含み、必要に応じて結着剤等の添加剤を含むことができる。
(I−1)触媒
本発明のリチウム空気二次電池では、空気極の触媒としてリン(P)化物を含む。特に、前記空気極は、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な、Fe、Ni、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Ti又はVから選ばれる金属を含むリン(P)化物を電極触媒として含むことが好ましい。これらのリン(P)化物を含むことで、本発明のリチウム空気二次電池は、二次電池としての性能を高めることができる。本発明では、前記リン化物は、リン化二鉄(FeP)、リン化二ニッケル(NiP)、リン化二クロム(CrP)、リン化二マンガン(MnP)、リン化二コバルト(CoP)、リン化三銅(CuP)、ニリン化亜鉛(ZnP)、リン化チタン(TiP)、又はリン化三バナジウム(VP)から選択されることが特に好ましい。
本発明のリチウム二次電池の空気極では、電解質/電極触媒/空気(酸素)の三相界面サイトにおいて、電極反応が進行する。即ち、空気極102中に有機電解液などの電解質106が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、電解質−電極触媒−空気(酸素)が共存する三相界面サイトが形成される。前記電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極での反応は次のように表すことができる。
2Li+(1/2)O+2e → LiO (1)
2Li+O+2e → Li (2)
上式中のリチウムイオン(Li)は、負極から電気化学的酸化により有機電解液などの電解質中に溶解し、この電解質中を空気極表面まで移動してきたものである。また、酸素(O)は、大気(空気)中から空気極内部に取り込まれたものである。なお、負極から溶解する材料(Li)、空気極で析出する材料(LiO、Li)、及び空気(O)を図1の構成要素と共に示した。
空気極(正極)の電極触媒として好ましいリン(P)化物は、触媒の比表面積を大きくすることができ、空気極(正極)における三相界面サイトを増やすことができる。
このようなリン(P)化物は、正極活物質である酸素との相互作用が強いので、多くの酸素種をリン(P)化物表面上に吸着できる。本発明では、このような比表面積の大きなリン(P)化物が特に好ましい。
このように、リン(P)化物表面上に吸着された酸素種は、上記式(1)及び式(2)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。また、式(1)及び式(2)の逆反応である充電反応に対しても、上記のリン(P)化物は活性を有している。従って、電池の充電、つまり、空気極上での酸素発生反応も効率よく進行する。このように、リン(P)化物は、電極触媒として有効に機能する。
本発明のリチウム空気二次電池では、電池の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位(上記の電解質/電極触媒/空気(酸素)の三相界面サイト)がより多く存在することが望ましい。このような観点から、本発明では、上述の三相界面サイトが電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高いことが望ましい。本発明では、リン(P)化物は、例えば比表面積が40m/g以上であることが好適である。
本発明で好ましく使用されるリン(P)化物は、各種方法で入手することができる。例えば、リン(P)化物は、固相法、液相法、気相法などの公知のプロセスを用いる、各種合成法で得ることができる。
例えば、合成法の一実施形態として、リン化物に含まれる金属の塩(例えば金属硝酸塩、金属硫酸塩など)と、リンのアンモニウム塩(例えばリン酸水素二アンモニウム塩など)を用いる液相法によりリン(P)化物前駆体を調製し、次いでこの前駆体を熱処理する方法を挙げることができる。本発明では、この液相法を含む方法でリン(P)化物を調製することが望ましい。液相法には、上記の水溶液を蒸発乾固する方法、上記水溶液にアルカリ水溶液を滴下する沈殿法、金属のアルコキシドを加水分解する方法などに代表されるものがある。より具体的な手順としては、金属の塩及びリンのアンモニウム塩の水溶液を混合し、得られた生成物を濾過し、乾燥した後、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N)等の不活性雰囲気下で熱処理する方法などがある。なお、この熱処理の手順は、100℃以上、このましくは100〜500℃、より好ましくは300〜400℃の温度で、0.5〜24時間、好ましくは1〜5時間、He、Ar、窒素などの不活性雰囲気下で昇温還元することが含まれる。このような温度範囲及び処理時間の熱処理を含む合成法で、比表面積の高いリン(P)化物を得ることができる。
液相法で得られたリン(P)化物は空気中で自然酸化する可能性がある。従って、液相で得られたリン(P)化物表面に不動態化処理を施すことにより、安定なリン(P)化物を得ることができる。不動態化処理は、例えば低濃度の酸素(約0.1〜1%、好ましくは約0.5%)を含む不活性雰囲気(例えば、He、Ar、窒素など)下に、室温程度の温度で、1〜10時間、好ましくは、1〜5時間放置することが含まれる。
このようにして得られたリン(P)化物は、本発明のリチウム空気二次電池の空気極の電極触媒として用いた場合において高い性能を示す。
ここで、上述したように、本発明では、リン(P)化物の比表面積は、40m/g以上であることが好ましいが、これは、液相法でリン(P)化物を調製した場合、熱処理後の値である。
(I−2)導電性材料
本発明では、空気極に導電性材料を含むことができる。導電性材料には、例えばカーボンを例示することができる。具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボン繊維類などを挙げることができる。空気極中で反応部位を十分に確保するために、カーボンは比表面積が大きなものが適している。具体的には、BET比表面積で300m/g以上の値を有しているものが望ましい。これらのカーボンは、例えば市販品として、又は公知の合成により入手することが可能である。
本発明のリチウム空気二次電池では、上述のように、空気極に使用する触媒及びカーボンの比表面積は、所定の値を有することが望ましい。本発明では、比表面積の測定は、市販の装置を用いて行うことができる。例えば、比表面積は、市販の測定装置を用いて、液体窒素を冷却媒として使用するような手順で測定することができる。
(I−3)結着剤(バインダー)
空気極は結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
(I−4)空気極の調製
空気極は以下のように調製することができる。触媒であるリン(P)化物粉末、カーボン粉末、及び必要に応じてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなバインダー粉末を混合し、この混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着することにより、空気極を成形することができる。また、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にして、金属メッシュ又はカーボンクロスやカーボンシート上に塗布し乾燥することによって、空気極を形成することができる。
本発明のリチウム空気二次電池において、空気極中での触媒の含有量は、0〜100重量%(例えば0を越え、100重量%以下)あることが望ましい。
また、電極の強度を高め、電解液の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することによっても、より安定性に優れた空気極を作製することができる。
空気極は、これを構成する電極の片面は大気に曝され、もう一方の面は電解質と接する。以上のように、リン化物を添加した空気極を作製することで、充電及び放電反応に対して高活性な空気極用電極を得ることができる。更に、上記のような構成のリチウム空気二次電池の空気極を作製することにより、リン(P)化物からなる触媒の効果も高めることができる。
(II)負極
本発明のリチウム空気二次電池は、負極に負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。或いは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質である、リチウムと、シリコン又はスズとの合金、或いはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
なお、上記のシリコン又はスズの合金を負極として用いる場合、負極を合成する時にリチウムを含まないシリコン又はスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気二次電池の作製に先立って、化学的手法又は電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコン又はスズとの合金化を行う方法)によって、シリコン又はスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。具体的には、作用極にシリコン又はスズを含み、対極にリチウムを用い、有機電解液中で還元電流を流すことによって合金化を行う等の処理をしておくことが好ましい。
本発明のリチウム空気二次電池の負極は、公知の方法で形成することができる。例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極を作製すればよい。
ここで、放電時の負極(金属リチウム)の反応は以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li+e (3)
なお、充電時の負極においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
(III)電解質(有機電解液)
本発明のリチウム空気二次電池は電解質を含む。この電解質は、空気極(正極)及び負極間でリチウムイオンの移動が可能なものであればよい。本発明では、リチウムイオンを含む金属塩を適切な溶媒に溶解した有機電解液(非水溶液)を使用することができる。具体的には、溶質の金属塩には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)[(CFSO)2NLi]などを挙げることができる。また、溶媒は、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン(DME)などのエーテル系溶媒、γ−ブチロタクトン(GBL)などのラクトン系溶媒、或いはこれらの中から二種類以上を混合した溶媒を挙げることができる。本発明では、混合溶媒を用いる場合の混合割合は、特に限定されない。
また、上記のような有機電解液だけでなく、リチウムイオン導電性を有する固体電解質や高分子電解質、リチウム金属塩を溶解させたイオン液体なども使用することができる。
(IV)他の要素
本発明のリチウム空気二次電池は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
(V)リチウム空気二次電池の調製
本発明のリチウム空気二次電池は、上述した通り、少なくとも空気極(正極)、負極及び電解質を含み、例えば図1に示されるように、空気極と負極の間に電解質を狭持するように構成される。このような構成のリチウム空気二次電池は、従来型の二次電池と同様に調製することができる。
一実施形態では、例えば図2のような円柱形のリチウム空気二次電池を調製することができる。具体的には、まず、空気極を、絶縁被覆された空気極支持体に配置して固定する。負極は、負極支持体に固定する。空気二次電池の内部(空気極と負極の間となる部分)に、電解質を充填し、負極が空気極の大気と接する面と逆の面に配置されるように負極支持体を被せて空気二次電池全体を固定する。
上記構成要素に加え、空気極と負極の間となる部分にはセパレータ等の部材を配置することができ、その他絶縁部材、Oリング、固定具などを適宜配置することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るリチウム空気二次電池の実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
[リン化二鉄(FeP)の調製]
前述した空気極1の電極触媒として用いるFeを含むリン化物の一つであるリン化二鉄(FeP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化二鉄(FeP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%の酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。この粉末は、X線回折(XRD)測定、示差熱−熱重量同時(TG−DTA)測定、BET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化二鉄(FeP)(PDFファイルNo.00−001−1200)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、53m/gであった。
(空気極の調製)
次に、このようなリン化二鉄(FeP)粉末を用いて空気極1及びこの空気極1を用いたリチウム空気二次電池セルを以下のようにして作製した。
リン化二鉄(FeP)粉末、ケッチェンブラック粉末及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を50:30:20の重量比でらいかい機を用いて十分に粉砕混合し、ロール成形して、シート状電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径23mmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上にプレスすることにより、ガス拡散型の空気極を得た。
(リチウム二次電池セルの調製)
図2に示す断面構造を有する円柱形のリチウム空気二次電池セルを作製した。図2は、リチウム空気二次電池セルの断面図である。リチウム空気二次電池セルは、露点が−60℃以下の乾燥空気中で、以下の手順で作製した。
上記の方法で調製した空気極(正極)1を、PTFE被覆された空気極支持体2の凹部に配置し、空気極固定用PTFEリング3で固定した。なお、空気極1と空気極支持体2が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFEによる被覆を施さないものとした。また、空気極1と空気との接触する電極の有効面積は2cmとした。
次に、空気極1と大気が接触する面とは逆の面に、リチウム二次電池用のセパレータ5を凹部の底面に配置した。続いて、図2に示すような負極固定用座金7に負極8である厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔(有効面積:2cm)を同心円上に重ねて圧着した。次いで、負極固定用PTFEリング6を、空気極1を設置する凹部と対向する逆の凹部に配置し、中央部に金属リチウムが圧着された負極固定用座金7を更に配置した。続いて、Oリング9を、図2に示すように正極支持体2の底部に配置した。
次に、セルの内部(正極1と負極8との間)に、有機電解液10を充填し、負極支持体11を被せて、セル固定用ねじ12で、セル全体を固定した。有機電解液10は、1mol/lの六フッ化リン酸リチウム/炭酸プロピレン(LiPF/PC)溶液を用いた。
続いて、正極端子4を正極支持体2に設置し、負極端子13を負極支持体11に設置した。
(電池性能)
以上の手順で調製したリチウム空気二次電池セルの電池性能を測定した。なお、図2に示す正極端子4及び負極端子13を、電池性能の測定試験に用いた。
電池のサイクル試験は、充放電測定システム(Bio Logic社製)を用いて、空気極1の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cmを通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。また、電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が4.5Vに増加するまで行った。電池の放電試験は、通常の生活環境下で行った。充放電容量は空気極(カーボン+リン(P)化物+PTFE)1重量当たりの値(mAh/g)で表した。
初回の放電及び充電曲線を図3に示す。
図3より、リン化二鉄(FeP)を空気極触媒に用いたときの平均放電電圧は2.30V、放電容量は396mAh/g(カーボン重量当たりでは、693mAh/g)であることが分かる。ここで、平均充放電電圧は、図中の全放電容量の中間値時の放電電圧及び充電電圧と定義する。
また、初回の充電容量は、放電容量とほぼ同様の402mAh/gであり、可逆性に優れていることが分かる。
放電容量のサイクル依存性を図4に示す。本実施例(実施例1)では充放電サイクルを100回繰り返しても、放電容量(mAh/g)の減少はほとんど見られなかった。
また、この充電時の電圧は、図3より、およそ3.65Vに平坦部分が見られ、従来の報告より低い値を示すことが分かった。
充放電電圧の推移を以下の表1に示す。本実施例(実施例1)では、充放電において若干の過電圧の増加が見られるが、ほぼ安定した電圧を示すことが分かった。このように、リン化二鉄(FeP)はリチウム空気二次電池の空気極用の触媒として非常に優れた活性を有していることが分かった。
Figure 0006209123
(実施例2)
Niを含むリン化物の一つであるリン化二ニッケル(NiP)粉末を実施例1と同様に以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO・6HO)(Alfa Aesar社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化二ニッケル(NiP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
得られた粉末の評価法、及び、空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化二ニッケル(NiP)(PDFファイルNo.00−003−0953)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、68m/gであった。
(電池性能)
本実施例のリン化二ニッケル(NiP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例2)の放電容量は、初回で518mAh/gを示し、実施例1の比表面積が53m/gであるリン化二鉄(FeP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例3)
Crを含むリン化物の一つであるリン化二クロム(CrP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硝酸クロム(III)九水和物(Cr(NO・9HO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化二クロム(CrP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
得られた粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、及びBET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化二クロム(CrP)(PDFファイルNo.01−089−0608)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、58m/gであった。
得られたリン化ニクロム(CrP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例のリン化二クロム(CrP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例3)の放電容量は、初回で465mAh/gを示し、実施例1の比表面積が53m/gであるリン化二鉄(FeP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例4)
Mnを含むリン化物の一つであるリン化二マンガン(MnP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硝酸マンガン(II)六水和物(Mn(NO・6HO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで得られた生成物を、室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気化において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化二マンガン(MnP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
この粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、及びBET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化二マンガン(MnP)(PDFファイルNo.00−002−1027)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、62m/gであった。
得られたリン化ニマンガン(MnP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例のリン化二マンガン(MnP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例4)の放電容量は、初回で473mAh/gを示し、実施例3の比表面積が58m/gであるリン化二クロム(CrP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例5)
Coを含むリン化物の一つであるリン化二コバルト(CoP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化二コバルト(CoP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き表面を不動態化させた。
この粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、及びBET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定よりリン化二コバルト(CoP)(PDFファイルNo.00−032−0306)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、63m/gであった。
得られたリン化ニコバルト(CoP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例のリン化二コバルト(CoP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例5)の放電容量は、初回で478mAh/gを示し、実施例4のような比表面積が62m/gであるリン化二マンガン(MnP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例6)
Cuを含むリン化物の一つであるリン化三銅(CuP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硝酸銅(II)三水和物(Cu(NO・3HO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化三銅(CuP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
この粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、及びBET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化三銅(CuP)(PDFファイルNo.01−071−2261)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、55m/gであった。
得られたリン化三銅(CuP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例のリン化三銅(CuP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例6)の放電容量は、初回で452mAh/gを示し、実施例1のような比表面積が53m/gであるリン化二鉄(FeP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例7)
Znを含むリン化物の一つであるニリン化亜鉛(ZnP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硝酸亜鉛六水和物(ZnNO・6HO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム(NHNO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、ニリン化亜鉛(ZnP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
得られた粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、及びBET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりニリン化亜鉛(ZnP)(PDFファイルNo.00−022−1014)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、70m/gであった。
得られた二リン化亜鉛(ZnP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例のニリン化亜鉛(ZnP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例7)の放電容量は、初回で543mAh/gを示し、実施例2の比表面積が68m/gであるリン化ニッケル(NiP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例8)
Tiを含むリン化物の一つであるリン化チタン(TiP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硫酸チタン(Ti(SO)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム((NHSO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気下において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化チタン(TiP)を作成した。粉末は空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
この粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、及びBET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化チタン(TiP)(PDFファイルNo.01−073−1821)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、66m/gであった。
得られたリン化チタン(TiP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例のリン化チタン(TiP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例8)の放電容量は、初回で508mAh/gを示し、実施例5のような比表面積が63m/gであるリン化二コバルト(CoP)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率の改善を達成することができた。また、充放電電圧についても、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
(実施例9)
Vを含むリン化物の一つであるリン化三バナジウム(VP)粉末を以下の手順で合成した。
市販のリン酸水素ニアンモニウム((NHHPO)塩(シグマアルドリッチジャパン社製)を蒸留水に溶かし、市販の硫酸バナジウムn水和物(V(SO・n水和物)(和光純薬工業社製)を加え、pHを2〜3に調整した。沈殿は、吸引ろ過により回収し、硝酸アンモニウム((NHSO)が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。次いで、得られた生成物を室温で一晩、その後120℃で12時間乾燥させ、粉末を得た。この粉末をHe雰囲気化において350℃で30分熱処理することで昇温還元し、リン化三バナジウム(VP)を作成した。粉末は、空気中で酸化されないように0.5%酸素を含むHe雰囲気中に4時間置き、表面を不動態化させた。
この粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA測定、BET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定によりリン化三バナジウム(VP)(PDFファイルNo.00−016−0134)に不純物が含まれていないことを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末が酸化されていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、47m/gであった。
得られたリン化三バナジウム(VP)を用いた空気極の作製、電池の作製及び評価法は、実施例1と同様にして行った。
(電池性能)
本実施例このリン化三バナジウム(VP)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例9)の放電容量は、初回で392mAh/gを示した。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
上記のような特性の向上は、リン(P)化物を電極触媒として用いることにより、放電時の酸化リチウムの析出サイトが増加し、更に酸素の吸着能が向上し、リン(P)化物が効率的に触媒として機能したためであると考えられる。
(比較例1)
空気極1用の電極触媒として公知であるコバルト酸化物(Co)を用いて、リチウム空気二次電池セルを実施例1と同様にして作製した。また、コバルト酸化物(Co)は市販試薬(和光純薬工業社製)を用いた。電池のサイクル試験の条件は、実施例1と同様である。
本比較例に係るリチウム空気二次電池の放電容量に関するサイクル性能を、実施例1〜9の結果とともに図4に示す。
図に示されるように本比較例1では、初回放電容量は約500mAh/gであり、例えば実施例1よりも大きな値を示した。しかしながら、充放電サイクルを繰り返すと、実施例1とは異なり放電容量の極端な減少が見られ、20サイクル後の容量維持率は初期の約20%であった。
また、充放電電圧のサイクル依存性を実施例1〜9の結果とともに、表1に示した。
表1からも分かるように本比較例1による充放電電圧は、実施例1〜9よりも明らかに充電電圧が高く、放電電圧が低い値であるとともに、サイクルを繰り返すと明らかに過電圧が増加し、20回目でサイクルは困難となった。
以上の結果より、本発明のようにリン化物を電極触媒として含む電極を空気極として含むリチウム空気二次電池は、公知の材料を用いた場合よりも、容量及び電圧に関してサイクル特性に優れており、リン化物は、リチウム空気二次電池用の空気極の触媒として有効であることが確認された。
リチウム空気二次電池の空気極用の電極触媒としてリン化物を用いることにより、充放電サイクル性能に優れたリチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源として有効利用することができる。
1 空気極(正極)
2 正極支持体(PTFE被覆)
3 正極固定用リング(PTFEリング)
4 空気極端子
5 セパレータ
6 負極固定用リング(PTFEリング)
7 負極固定用座金
8 負極
9 Oリング
10 有機電解液
11 負極支持体
12 セル固定ねじ(PTFE被覆)
13 負極端子
100 リチウム空気二次電池
102 空気極
104 負極
106 有機電解質

Claims (2)

  1. 空気極、負極、並びに、前記空気極及び前記負極に接する電解質を含み、
    前記空気極は、導電性材料及び触媒を含み、
    前記空気極の触媒は、Fe、Ni、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Ti又はVから選ばれる金属のリン化物からなることを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 前記リン化物は、リン化二鉄(Fe2P)、リン化二ニッケル(Ni2P)、リン化二クロム(Cr2P)、リン化二マンガン(Mn2P)、リン化二コバルト(Co2P)、リン化三銅(Cu3P)、ニリン化亜鉛(ZnP2)、リン化チタン(TiP)、又はリン化三バナジウム(V3P)から選択されることを特徴とする請求項1に記載のリチウム空気二次電池。
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