JP6059632B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウム空気二次電池に関する。特に本発明は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの従来の二次電池よりも小型軽量で、かつ遙かに大きい放電容量を実現できるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気二次電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができる。このため、電池の単位体積当たりの放電容量の値を非常に大きくできることが報告されている。
これまでに非特許文献1や非特許文献2に報告されているように、正極であるガス拡散型空気極に種々の触媒を添加することにより、放電容量、サイクル特性などの電池性能の改善が試みられている。
ガス拡散型空気極の電極触媒として遷移金属酸化物が検討されている。例えば、上記文献では、非特許文献1においてλ−MnOなどの遷移金属酸化物が、非特許文献2では主に酸化鉄(Fe)、コバルト酸化物(Co)などの遷移金属酸化物が検討されている。これらの文献には、以下のようなリチウム空気二次電池の電池特性の試験の結果が示されている。
非特許文献1に開示されている二次電池では、充放電サイクルは可能であったが、4サイクル後に放電容量は約1/4に低下し、二次電池としての性能は低いものであった。また、非特許文献1に開示されている二次電池では、充電電圧が、約4.0Vであり、平均放電電圧の2.7Vと比較して非常に大きく、エネルギー効率が低いという課題がある。
一方、非特許文献2では、9種類の触媒を検討し、空気極に含まれるカーボンの重量当たりで1000〜3000mAh/gの非常に大きな放電容量が得られている。しかしながら、充放電を繰り返すと、放電容量の低下が著しく、例えば、Coの場合、10サイクルで容量維持率が約65%となる。このように、非特許文献2のリチウム空気二次電池でも著しい容量の減少が見られ、二次電池としての十分な特性は得られていない。また、ほとんどの場合で平均放電電圧は2.5V程度であり、一方、充電電圧は4.0〜4.5Vを示し、最も低いものでも3.9V程度である。このため、非特許文献2のリチウム空気二次電池は充放電のエネルギー効率は低い。
J. Read, Journal of The Electrochemical Society, Vol.149, pp.A1190-A1195 (2002). Aurelie Debart, et al., Journal of Power Sources, Vol.174, pp.1177 (2007).
本発明は、リチウム空気二次電池を、高容量二次電池として作動させ、且つ充電及び放電反応に高活性な空気極用電極触媒を用いることによって、充放電の電圧差が小さく、充放電サイクルを繰り返しても放電容量の低下が小さいリチウム空気二次電池及びその空気極作製方法を供することを目的とする。
本発明によるリチウム空気二次電池の第1の実施形態は、導電性材料、触媒及び結着剤を含む空気極、金属リチウム又はリチウム含有物質を含む負極及び前記空気極と前記負極に接する電解質を含むリチウム空気二次電池であり、前記空気極の触媒は結晶水を含有するプラセオジム(Pr)酸化物を含むことを特徴とする。本発明の第2の実施形態のリチウム空気二次電池は、導電性材料、触媒及び結着剤を含む空気極、金属リチウム又はリチウム含有物質を含む負極及び前記空気極と前記負極に接する電解質を含むリチウム空気二次電池であり、前記空気極の触媒は、プラセオジム(Pr)酸化物を含み、前記プラセオジム酸化物は、十一酸化六プラセオジム(Pr23−4PrO2)である。この第2の実施形態では、前記プラセオジム(Pr)酸化物は、結晶水を含有しているものであることが好ましい。
本発明のリチウム空気二次電池は、空気極に、電極触媒とシットプラセオジム酸化物を含むため、従来よりも優れたサイクル特性やエネルギー効率などを発揮することができる。具体的には、充放電の電圧差が小さく、かつ充放電サイクルを繰り返しても放電容量の低下を抑えることができる。
また、本発明のリチウム空気二次電池の空気極を作製することにより、プラセオジム酸化物からなる触媒の効果を高めることができる。
本発明に係るリチウム空気二次電池の基本的な構成を示す概略図である。 本実施例で使用したリチウム空気二次電池セルの構造を示す断面図である。 実施例1に係るリチウム空気二次電池セルの充放電曲線を示す図である。 実施例1、2及び比較例1に係るリチウム空気二次電池の放電容量のサイクル依存性を示す図である。
以下に、図面を参照しつつ、本願に係るリチウム空気二次電池の一実施形態について詳細に説明する。
[リチウム空気二次電池の構成]
本発明に係るリチウム空気二次電池の基本的構造を図1に示す。本発明のリチウム空気二次電池100は、図1に示されるように、空気極(正極)102、負極104及び電解質106を少なくとも含む。
より具体的には、前記空気極102は、触媒、導電性材料及び結着剤を構成要素に含むことができる。負極104は金属リチウム又はリチウムイオンを放出及び吸収することができるリチウム含有合金などの物質を構成要素とすることができる。また、これらの空気極と負極との間に電解質106が配置されうる。
以下に上記の各構成要素について説明する。なお、本明細書において、電解液とは、電解質が液体形態である場合をいう。
(I)空気極(正極)
本発明では、前記空気極は、触媒、導電性材料、結着剤等を含むことができる。
(I−1)触媒
本発明のリチウム空気二次電池では、空気極の触媒としてプラセオジム酸化物を含む。特に、前記空気極は、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な酸化プラセオジム(Pr−4PrO)を電極触媒として含むことが好ましい。酸化プラセオジムを含むことで、本発明のリチウム空気二次電池は、二次電池としての性能を高めることができる。
本発明のリチウム空気二次電池の空気極では、電解質/電極触媒/ガス(酸素)の三相部分において、電極反応が進行する。即ち、例えば、電解質に有機電解液(固体電解質に有機電解液を含浸したものを含む)を用いた場合、空気極中に有機電解液3が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、電解液−電極触媒−ガス(酸素)が共存する三相部位が形成される。前記電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極での反応は次のように表すことができる。
2Li+(1/2)O+2e → LiO (1)
2Li+O+2e → Li (2)
上式中のリチウムイオン(Li)は、負極から電気化学的酸化により電解質中に溶解し、この電解質中を空気極表面まで移動してきたものである。また、酸素(O)は、大気(空気)中から空気極内部に取り込まれたものである。なお、図1には、負極から溶解する材料(Li)、空気極で析出する材料(LiO)、及び空気(O)を構成要素と共に示した。
空気極(正極)の電極触媒として好ましい酸化プラセオジム(Pr−4PrO)中のプラセオジムは、+4、+3、+2などの価数を有するイオンで存在しうる。また、酸化プラセオジムを合成する際の条件によっては、酸化プラセオジム内に酸素を取り込むことができる空孔(本明細書では酸素空孔とも称する)が存在する場合もある。
このような酸化プラセオジムは、正極活物質である酸素との相互作用が強いので、多くの酸素種を酸化プラセオジム表面上に吸着でき、又は酸素空孔内に酸素種を吸蔵することができる。
このように、酸化プラセオジム表面上に吸着された、又は酸素空孔内に吸蔵された酸素種は、上記式(1)及び式(2)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。また、式(1)及び式(2)の逆反応である充電反応に対しても、上記の酸化プラセオジムは活性を有している。従って、電池の充電、つまり、空気極上での酸素発生反応も効率よく進行する。このように、酸化プラセオジムは、電極触媒として有効に機能する。
本発明のリチウム空気二次電池では、電池の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位(上記の電解質/電極触媒/空気(酸素)の三相部分)がより多く存在することが望ましい。このような観点から、本発明では、上述の三相部位が電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高いことが望ましい。本発明では、例えば酸化プラセオジムは、比表面積が30m/g以上、好ましくは50m/g以上であることが好適である。
本発明で好ましく使用される酸化プラセオジム(Pr−4PrO)は、各種方法で入手することができる。例えば、酸化プラセオジム(Pr−4PrO)は、固相法や液相法などの公知のプロセスを用いる、各種合成法で得ることができる。
例えば、液相法の例として、プラセオジム金属硝酸塩[硝酸プラセオジム・六水和物(Pr(NO・6HO)]の水溶液を用いて酸化プラセオジム前駆体を調製し、次いでこの前駆体を熱処理する方法を挙げることができる。本発明では、この液相法を含む方法で酸化プラセオジムを調製することが望ましい。液相法で酸化プラセオジム前駆体を得る具体的な手順には、水溶液を蒸発乾固する方法、前記水溶液にアルカリ水溶液を滴下する沈殿法、プラセオジム金属のアルコキシドを加水分解する方法などがある。
次に、液相法で得られた酸化プラセオジム前駆体を熱処理する。液相法で得られた酸化プラセオジム前駆体は、多くの場合、結晶化が進んでいないためアモルファス状態である。このアモルファス状態の前駆体を500℃程度の温度で、1〜4時間、より好ましくは1時間熱処理を行うことにより、結晶性の酸化プラセオジムを得ることができる。このようにして得られた酸化プラセオジムは、結晶水を含まないものであり、本発明のリチウム空気二次電池の空気極の電極触媒として用いた場合においても高い性能を示す。
ここで、上述したように、本発明では、酸化プラセオジムの比表面積は、30m/g以上、好ましくは50m/g以上であるが、これは、液相法で酸化プラセオジムを調製した場合、熱処理後の値である。なお、後述するように、本発明では、触媒として結晶水を含む酸化プラセオジムも好適に使用できるが、このような酸化プラセオジムにおいても、比表面積は上記範囲を有すること、特に50m/g以上であることが好ましい。
なお、熱処理により製造した酸化プラセオジムは、その比表面積が著しく低下し、30m/g程度しか得られない場合がある。特に高温で焼成した場合に比表面積が低下することがある。このような比表面積の低下を防ぐため、上記のアモルファス状態のプラセオジム前駆体を低温で熱処理することができる。例えば、上記のアモルファス状態のプラセオジム前駆体を、好ましくは50℃以上、より好ましくは、50〜200℃程度の比較的低温で熱処理を行うことができる。また、この熱処理の時間は、6〜24時間、好ましくは12〜18時間である。
このような比較的低い温度範囲及び処理時間の熱処理で、比表面積の高い酸化プラセオジムを得ることができる。即ち、アモルファス状態の酸化プラセオジム前駆体を比較的低温で熱処理して得られた酸化プラセオジム粉末は、焼結がほとんど進んでいないため、150m/g程度の非常に大きな比表面積を有することができる。従って、本発明の電極触媒として用いた場合、触媒として好適であり、優れた電池性能を実現することができる。なお、上記の酸化プラセオジム前駆体を50〜200℃程度の比較的低温で乾燥を行った場合には、前記前駆体粉末は、酸化プラセオジム前駆体から水分が完全に脱水しておらず、アモルファス状態を維持しつつ、結晶水が存在するものとなる。この酸化プラセオジムは、形式的にPr−4PrO・nHO(nは1molのPr−4PrOに対する結晶中に含まれるHOのモル数)と表される。本発明では、このような結晶水を含む酸化プラセオジムも電極触媒として好適に使用できる。
本発明では、空気極の触媒は、上記酸化プラセオジム(Pr−4PrO)以外に、他のプラセオジム酸化物、例えば、プラセオジムニッケル酸化物(PrNiO)、などを用いることもできる。なお、本明細書において、上記酸化プラセオジム、プラセオジムニッケル等のプラセオジムを含む金属酸化物を総称して「プラセオジム酸化物」と称する。更に、プラセオジム自体に関しては、その同位体も使用することができる。本発明のリチウム空気二次電池では、空気極の触媒として、酸化プラセオジム(Pr−4PrO)又は結晶水を含む酸化プラセオジム[Pr−4PrO・nHO(nは1molのPr−4PrOに対する結晶中に含まれるHOのモル数)]が好適である。
(I−2)導電性材料
本発明では、空気極に導電性材料を含むことができる。導電性材料には、例えばカーボンを例示することができる。具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボン繊維類などを挙げることができる。空気極中で反応部位を十分に確保するために、カーボンは比表面積が大きなものが適している。具体的には、BET比表面積で300m/g以上の値を有しているものが望ましい。これらのカーボンは、例えば市販品として、又は公知の合成により入手することが可能である。
本発明のリチウム空気二次電池では、上述のように、空気極に使用する触媒及びカーボンの比表面積は、所定の値を有することが望ましい。本発明では、比表面積の測定は、BET法により行うことができる。
(I−3)結着剤(バインダー)
空気極は結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
(I−4)空気極の調製
空気極は以下のように調製することができる。触媒であるプラセオジム酸化物粉末、カーボン粉末及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなバインダー粉末を混合し、この混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着することにより、空気極を成形することができる。また、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にして、金属メッシュ又はカーボンクロスやカーボンシート上に塗布し乾燥することによって、空気極を形成することができる。
本発明のリチウム空気二次電池において、空気極中での触媒含有量は、1〜50重量%、より好ましくは5〜50重量%であることが望ましい。
また、電極の強度を高め電解液の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することによっても、より安定性に優れた空気極を作製することができる。
空気極は、これを構成する電極の片面は大気に曝され、もう一方の面は電解液と接する。
(II)負極
本発明のリチウム空気二次電池は、負極に負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。或いは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質である、リチウムと、シリコン又はスズとの合金、或いはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
なお、上記のシリコン又はスズの合金を負極として用いる場合、負極を合成する時にリチウムを含まないシリコン又はスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法又は電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコン又はスズとの合金化を行う方法)によって、シリコン又はスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。具体的には、作用極にシリコン又はスズを含み、対極にリチウムを用い、有機電解液中で還元電流を流すことによって合金化を行う等の処理をしておくことが好ましい。
本発明のリチウム空気二次電池の負極は、公知の方法で形成することができる。例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極を作製すればよい。
ここで、放電時の負極(金属リチウム)の反応は以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li+e (3)
なお、充電時の負極においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
(III)電解質
本発明のリチウム空気二次電池は電解質を含む。この電解質は、空気極(正極)及び負極間でリチウムイオンの移動が可能なものであればよい。本発明では、リチウムイオンを含む金属塩を適切な溶媒に溶解した有機電解液を使用することができる。具体的には、溶質の金属塩には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、LiTFSI[(CFSONLi]などを挙げることができる。また、溶媒は、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)などのエーテル系溶媒、γ−ブチロタクトン(GBL)などのラクトン系溶媒、又は、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド系溶媒を挙げることができる。更に、これらの中から二種類以上を混合した溶媒を使用することもできる。
本発明のリチウム空気二次電池の他の電解質として、リチウムイオン導電性を有する固体電解質[例えば、75LiS・25Pなどのガラス状物質、Li14ZnGe16などのLISICON(Li Super Ionic Conductor)]、リチウムイオン導電性を有するポリマー電解質(例えば、上記有機電解質とポリエチレンオキシド(PEO)をコンポジット化した物質)などを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明では、リチウム空気二次電池で使用される公知のリチウムイオンを通す固体電解質又はリチウムイオンを通すポリマー電解質であれば使用することができる。
(IV)他の要素
本発明のリチウム空気二次電池は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るリチウム空気二次電池の実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
本実施例は、ガス拡散型の空気極の電極触媒として、酸化プラセオジム(Pr−4PrO)粉末を用いた例である。
(酸化プラセオジム(Pr−4PrO)粉末の調製)
本発明のリチウム空気二次電池の空気極において電極触媒として用いる酸化プラセオジム(Pr−4PrO)粉末を以下のようにして合成した。
市販の硝酸プラセオジム・六水和物(Pr(NO・6HO)(Sigma−Aldrich社製)を蒸留水に溶解し、撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液をpH7.0になるまで徐々に滴下した。得られた溶液を遠心分離することにより硝酸ナトリウム(NaNO)を除去し、60℃で溶液を全て蒸発させて、水酸化プラセオジムの粉末を得た。得られた粉末を、60℃で一晩乾燥した後、電気炉を用いて空気中において500℃で1時間熱処理した。焼成後の粉末は、X線回折(XRD)測定、TG−DTA分析、BET比表面積測定を行い、評価した。
熱処理後の粉末は、XRD測定より酸化プラセオジム(Pr−4PrO,PDFファイルNo.42−1121)単相であることを確認した。また、TG−DTA測定により、粉末中には結晶水が含まれていないことを確認した。また、BET法により粉末の比表面積を測定したところ、30m/gであった。
次に、得られた酸化プラセオジム(Pr−4PrO)粉末を用いて空気極及びこの空気極を用いたリチウム空気二次電池セルを以下のようにして作製した。
酸化プラセオジム(Pr−4PrO)粉末、BET比表面積が500m/gのケッチェンブラック粉末及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を50:30:20の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕混合し、ロール成形して、シート状電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径23mmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上にプレスすることにより、ガス拡散型の空気極を得た。
(リチウム空気二次電池セルの調製)
図2に示す断面構造を有する円柱形のリチウム空気二次電池セルを作製した。図2は、リチウム空気二次電池セルの断面図である。リチウム空気電池セルは、露点が−60℃以下の乾燥空気中で、以下の手順に従って作製した。
上記の方法で調製した空気極(正極)1を、PTFE被覆された空気極支持体2の凹部に配置し、空気極固定用のPTFEリング3で固定した。なお、空気極1と空気極支持体2が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFE被覆を施さないものとした。また、空気極1と空気との接触する電極の有効面積は2cmである。
次に、空気極1の大気が接触する面とは逆面に、リチウム空気二次電池用のセパレータ5を凹部の底面に配置した。続いて、図2に示すような負極固定用座金7に、負極8である厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔(有効面積:2cm)を同心円上に重ねて圧着した。続いて、負極固定用PTFEリング6を、空気極1を設置する凹部と対向する逆の凹部に配置し、中央部に金属リチウムが圧着された負極固定用座金7を更に配置した。続いて、Oリング9を、図2に示すように正極支持体2の底部に配置した。次いで、セルの内部(正極1と負極8との間)に、電解質(有機電解液)10を充填し、負極支持体11を被せて、セル固定用ねじ12で、セル全体を固定した。電解質には、1mol/lの六フッ化リン酸リチウム/炭酸プロピレン(LiPF/PC)溶液を用いた。
続いて、正極端子4を正極支持体2に設置し、負極端子13を負極支持体11に設置した。
(電池性能)
以上の手順で調製したリチウム空気二次電池セルの電池性能を測定した。なお、電池性能の測定試験用に、図2に示す正極端子4及び負極端子13を用いた。
電池のサイクル試験は、充放電測定システム(Bio Logic社製)を用いて、空気極1の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cmを通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで測定を行った。また、電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が4.5Vに増加するまで行った。電池の充放電試験は、通常の生活環境下で行った。充放電容量は空気極(カーボン+プラセオジム酸化物+PTFE)1重量当たりの値(mAh/g)で表した。
初回の放電及び充電曲線を図3に示す。
図3に示されるように、酸化プラセオジム(Pr−4PrO)を空気極触媒に用いたときの平均放電電圧は2.75Vであり、放電容量は400mAh/g(カーボン重量当たりでは、700mAh/g)であることが分かる。
また、初回の充電容量は、放電容量とほぼ同様の393mAh/gであり、本発明のリチウム空気二次電池は可逆性に優れていることが分かる。
放電容量のサイクル依存性を図4に示す。図4に示されるように、本実施例(実施例1)では充放電サイクルを100回繰り返しても、放電容量(mAh/g)の減少はほとんど見られなかった。
また、この充電時の電圧については、図3より、およそ3.7Vに平坦部分が見られ、従来の報告例と比べて低い値を示すことが分かった。
充放電サイクルを繰り返して充放電電圧の推移を測定した。その結果を以下の表1に示す。本実施例(実施例1)では、充放電において若干の過電圧の増加が見られるが、ほぼ安定した電圧を示すことが分かった。このように、酸化プラセオジム(Pr−4PrO)は、リチウム空気二次電池の空気極用の触媒として非常に優れた活性を有していることが分かった。
Figure 0006059632
(実施例2)
本実施例は、ガス拡散型の空気極の電極触媒として、結晶水を含有した酸化プラセオジム(Pr−4PrO・nHO)を用いたものである。
(結晶水を含有した酸化プラセオジム(Pr−4PrO・nHO)粉末の調製)
結晶水を含有した酸化プラセオジム(Pr−4PrO・nHO)は、実施例1に示した手順において、最後の500℃で1時間行う熱処理を、100℃で12時間行うことに変更して合成した。粉末の物性の評価、電極及び電池の作製方法、並びに電極及び電池の評価は、実施例1と同様にして行った。XRD測定より、得られた粉末はアモルファスであることを確認した。得られた粉末に含まれる結晶水は、TG−DTA測定よりn=0.8であることが分かった。また、BET比表面積は150m/gであった。
結晶水を含有した酸化プラセオジム(Pr−4PrO・0.8HO)を空気極1の電極触媒として用いたリチウム空気二次電池の充放電容量及び充放電電圧のサイクル依存性を図4及び表1に示す。
図4に示すように本実施例(実施例2)の放電容量は、初回で610mAh/gを示し、実施例1のような比表面積が30m/gである酸化プラセオジム(Pr−4PrO)よりも大きい値であった。また、サイクルを繰り返しても、安定した挙動を示すことが分かった。
また、表1に示すように充放電電圧についても、実施例1よりも過電圧の減少が見られ、充放電のエネルギー効率が改善された。また、充放電電圧については、サイクルを繰り返しても顕著な過電圧増加は見られず、安定に作動することを確認した。
上記のような電池特性の向上は、酸化プラセオジムが、空気極の触媒として、有効に機能したためであると考えられる。即ち、非常に大きな表面積を有する酸化プラセオジムを電極触媒として用いたことにより、酸化プラセオジムが、空気極での、放電時の酸化リチウムの析出サイトを増加させ、空気極内の酸素の吸着能を向上させることに繋がったものと考えられる。
(比較例1)
本比較例は、コバルト酸化物(Co)を用いたリチウム空気二次電池の例である。
空気極1用の電極触媒として公知であるコバルト酸化物(Co)を用いて、リチウム空気二次電池セルを実施例1と同様にして作製した。また、コバルト酸化物(Co)は市販試薬(Sigma−Aldrich社製)を用いた。電池のサイクル試験の条件は、実施例1と同様である。
本比較例に係るリチウム空気二次電池の放電容量についてのサイクル性能を、実施例1及び2の結果とともに図4に示す。
図4に示すように本比較例1では初回放電容量は約500mAh/gと、実施例1よりも大きな値を示した。しかしながら、充放電サイクルを繰り返すと、実施例1とは異なり放電容量の極端な減少が見られ、20サイクル後の容量維持率は初期の約20%であった。
また、充放電電圧のサイクル依存性を実施例1及び2の結果とともに、表1に示した。
表1から分かるように本比較例1による充放電電圧は、実施例1及び2よりも明らかに低い値であり、且つ、サイクルを繰り返すと明らかに過電圧が増加し、20回目でサイクルは困難となった。
以上の結果より、本発明のようにプラセオジム酸化物は、空気極の電極触媒として、公知の材料よりも、容量及び電圧に関してサイクル特性に優れており、リチウム空気二次電池用空気極触媒として有効であることが確認された。
空気極用の電極触媒としてプラセオジム酸化物を用いることにより、充放電サイクル性能に優れたリチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源として有効利用することができる。
1 空気極(正極)
2 正極支持体(PTFE被覆)
3 正極固定用リング(PTFEリング)
4 空気極端子
5 セパレータ
6 負極固定用リング(PTFEリング)
7 負極固定用座金
8 負極
9 Oリング
10 有機電解液
11 負極支持体
12 セル固定ねじ(PTFE被覆)
13 負極端子
100 リチウム空気二次電池
102 空気極
104 負極
106 有機電解質

Claims (3)

  1. 導電性材料、触媒及び結着剤を含む空気極、金属リチウム又はリチウム含有物質を含む負極及び前記空気極と前記負極に接する電解質を含むリチウム空気二次電池であって、
    前記空気極の触媒は、結晶水を含有したプラセオジム(Pr)酸化物を含むことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 導電性材料、触媒及び結着剤を含む空気極、金属リチウム又はリチウム含有物質を含む負極及び前記空気極と前記負極に接する電解質を含むリチウム空気二次電池であって、
    前記空気極の触媒は、プラセオジム(Pr)酸化物を含み、前記プラセオジム(Pr)酸化物はプラセオジムが3価数および4価数のイオンで存在する混合酸化物であり、十一酸化六プラセオジム(Pr23−4PrO2)であることを特徴とするリチウム空気二次電池。
  3. 前記プラセオジム(Pr)酸化物は、結晶水を含有していることを特徴とする請求項2に記載のリチウム空気二次電池。
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