JP6333179B2 - ナノポアベースの分子検出および配列決定 - Google Patents

ナノポアベースの分子検出および配列決定 Download PDF

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Description

相互参照
本願は、2012年1月20日に出願した米国仮特許出願第61/589,196号、2012年1月23日に出願した米国仮特許出願第61/589,719号および2012年2月17日に出願した米国仮特許出願第61/600,227号の利益を主張する。これらの出願の各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
核酸の配列決定とは、核酸試料についての配列情報をもたらすのに使用されうる工程である。このような配列情報は、対象を診断および/または処置するのに有用でありうる。例えば、対象の核酸配列を使用して、遺伝子疾患を同定し、診断し、遺伝子疾患のための処置を潜在的に開発することができる。別の例として述べると、病原体への探査は、接触伝染性疾患のための処置をもたらしうる。
核酸を配列決定するのに使用しうる方法が利用可能である。しかし、このような方法は、高価であり、期間内に、対象を診断および/または処置するのに必要でありうる精度で配列情報をもたらすことが可能ではない。
ナノポアを使用して、核酸分子を含むポリマーを配列決定することができる。本明細書では、核酸分子を同定し、核酸を配列決定するための方法の改善に対する必要が認識されている。場合によって、ポリマーにナノポアを通して通過させると、ポリマーの多様なサブユニット(例えば、核酸のアデニン(A)塩基、シトシン(C)塩基、グアニン(G)塩基、チミン(T)塩基、および/またはウラシル(U)塩基)は、ナノポアを通してを流れる電流に影響を及ぼしうる。本明細書で記載される通り、多様なサブユニットは、ナノポアおよび/または膜越しに印加される複数の電圧下における電流を測定することにより同定することができる。場合によって、タグ付けされたヌクレオチドを重合化することにより、タグ分子がナノポアに放出および/または提示されるが、これは、ナノポアおよび/または膜越しに印加される複数の電圧下における電流を測定することにより同定することができる。本明細書ではまた、二本鎖核酸分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方をナノポアにより配列決定するための方法、ならびにリボ核酸(RNA)減速バンプ分子(speed bump molecule)を使用して、核酸分子のナノポアを通しての通過を減速するための方法も提供される。
本発明のある態様は、分子またはその一部分を同定するための方法であって、(a)電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップであって、この電極は、ナノポアを通して流れる電流を検出するように適合されているステップを含む方法を提供する。次に、分子またはその一部分を、ナノポア内に挿入することができる。次いで、電圧を、ナノポア越しに、かつ/または膜越しに印加し、電圧を変化させることができる。複数の電圧下において電流を測定して、分子またはその一部分を同定することができる。
本発明の別の態様は、核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子を用意するステップと、第1の核酸セグメントを二本鎖核酸分子の第1の末端にライゲーションするステップとを含む方法を提供する。第1の核酸セグメントは、センス鎖をアンチセンス鎖と、二本鎖核酸分子の第1の末端において連結する。次に、二本鎖核酸分子を解離させて、センス鎖のセンス部分およびアンチセンス鎖のアンチセンス部分を含む一本鎖核酸分子をもたらすことができる。次いで、一本鎖核酸分子に、電極に隣接もしくは近接して配置される膜内のナノポアを通してもしくはナノポア近傍を通過させるか、または一本鎖核酸分子を、電極に隣接もしくは近接して配置される膜内のナノポアを通してもしくはナノポア近傍に方向付けることができる。電極は、一本鎖核酸分子がナノポアを通してまたはナノポア近傍に存在するかまたはこれを通過するときの電流を検出するように適合されていてもよい。次に、電極を使用して、一本鎖核酸分子が、ナノポア内に存在するか、またはナノポアを通してもしくはナノポア近傍を通過する間に、電流(electric current)(本明細書ではまた、「電流(current)」とも称する)の測定値を得ることができる。二本鎖核酸の配列は、電流の測定値から決定することができる。
本発明の別の態様は、核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法であって、一本鎖核酸分子に、電極に隣接または近接して配置される膜内のナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させるステップを含む方法を提供する。一本鎖核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖の各々の末端部分にライゲーションされた核酸セグメントを介してアンチセンス鎖に連結されたセンス鎖を含む。電極は、一本鎖核酸分子がナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過するときの電流を検出するように適合されている。一本鎖核酸分子にナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させる間に、電極を一助として電流の測定値を得る。一本鎖核酸分子の配列は、電流の測定値から決定することができる。
本発明の別の態様は、核酸分子を配列決定するための方法であって、電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップを含む方法を提供する。電極は、核酸分子またはその一部分を検出するように適合されている。次に、核酸分子を、ナノポアを通してまたはナノポア近傍に方向付けることができる。核酸分子と会合させた少なくとも1つのリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を一助として、ナノポアを通してまたはナノポア近傍の核酸分子の進行を停止または失速させる。核酸分子またはその一部分は、核酸分子が、ナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過するときに、配列決定することができる。
本発明の別の態様は、核酸分子の配列情報を得るための方法であって、核酸分子と会合させた、少なくとも1つのリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を含む二重鎖セグメントを形成するステップと、核酸分子に、膜内のナノポアを通して流動させるか、膜内のナノポアに隣接して流動させるか、または膜内のナノポアの近傍を流動させるステップとを含む方法を提供する。膜は、電極に隣接または近接して配置され、電極は、センシング回路に連結される場合もあり、センシング回路の一部である場合もある。核酸分子に、ナノポアを通して流動させるか、ナノポアに隣接して流動させるか、またはナノポアの近傍を流動させると、二重鎖セグメントは、ナノポアに、またはナノポア越しに方向付けられる。次に、電極からの電気シグナルを、核酸分子に、ナノポアを通して流動させるか、ナノポアに隣接して流動させるか、またはナノポアの近傍を流動させるときに得る。電気シグナルは、核酸分子の1または複数の塩基と、ナノポアの少なくとも一部分との相互作用と関連する。二重鎖セグメントを一助として、核酸分子の流動を低減することができ、場合によっては、核酸分子の流動を失速させることもできる。
本願は一つの実施形態において例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
分子またはその一部分を同定するための方法であって、
(a)電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップであって、前記電極は、前記ナノポアを通して流れる電流を検出するように適合されているステップと、
(b)分子またはその一部分を前記ナノポア内に挿入するステップと、
(c)前記ナノポア越しに、かつ/または前記膜越しに印加される電圧を変化させるステップと、
(d)複数の電圧下において前記電流を測定して、前記分子またはその一部分を同定するステップと
を含む方法。
(項目2)
前記分子が、ポリマー分子であり、前記ポリマー分子が、前記ナノポアを通して通過するか、または前記ナノポア内に存在するときに、前記ポリマー分子の一部分が同定される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ポリマー分子が、核酸であり、前記ポリマー分子の前記一部分が、核酸または核酸群である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記ポリマー分子が、ポリペプチドであり、前記ポリペプチドの前記一部分が、アミノ酸またはアミノ酸群である、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記ポリマー分子の前記ナノポアを通しての通過速度が、1または複数の減速バンプ分子を一助として減速され、前記ポリマー分子の前記通過速度が減速されるときに、前記ポリマー分子の一部分が同定される、項目2に記載の方法。
(項目6)
個々の減速バンプ分子が、リボ核酸を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記ポリマー分子が、前記ナノポア内にトラップされる、項目2に記載の方法。
(項目8)
前記ポリマー分子に、前記ナノポアを通して前後に縫うように進ませて、前記ポリマー分子の少なくとも一部分を複数回にわたり同定する、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ポリマー分子が、一本鎖核酸分子であり、前記分子が、前記ナノポアの両側に形成された嵩高い構造により、前記ナノポア内にトラップされる、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記ポリマー分子の前記一部分が、それらが前記ポリマー分子の全長に沿う順序で同定される、項目2に記載の方法。
(項目11)
前記分子が、ヌクレオチドに結合している、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記ヌクレオチドが、成長中の核酸鎖に組み込まれる間に、前記分子またはその一部分が同定される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記ヌクレオチドが成長中の核酸鎖に組み込まれると、前記分子が前記ヌクレオチドから放出される、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記ヌクレオチドが前記成長中の核酸鎖に組み込まれる順序で前記分子が同定される、項目13に記載の方法。
(項目15)
複数の電圧下における前記電流が、電子署名を含み、(d)が、前記電子署名を複数の基準電子署名と比較して、前記分子またはその一部分を同定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記電流を、電圧波形に従い変化させる、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記電圧波形が、方形波、正弦波、三角波、鋸歯状波、または不規則波である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ナノポアが、アルファヘモリシンのナノポアまたはMycobacterium smegmatis(MspA)のナノポアである、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記チップが、複数の電極に隣接または近接して複数のナノポアを含み、(i)前記電極が、個別にアドレス指定されるか、(ii)印加された前記電圧が個別に制御されるか、または(ii)(i)および(ii)の両方である、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記分子が、二本鎖核酸分子であり、前記分子を解離させて、1または複数の一本鎖核酸分子を形成し、前記1または複数の一本鎖核酸分子に、前記ナノポアを通して通過させて、前記二本鎖核酸分子の配列を決定する、項目1に記載の方法。
(項目21)
核酸ヘアピンを、前記二本鎖核酸分子の末端にライゲーションして、前記二本鎖核酸分子を解離させたときの、前記二本鎖核酸分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む一本鎖核酸分子を用意する、項目20に記載の方法。
(項目22)
交流電流(AC)波形を、前記ナノポアおよび/または膜に印加することにより、前記電圧を変化させる、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記AC波形の周波数が、少なくとも約100Hzである、項目22に記載の方法。
(項目24)
核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法であって、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子を用意するステップと、
(b)第1の核酸セグメントを、前記二本鎖核酸分子の第1の末端にライゲーションするステップであって、前記第1の核酸セグメントが、前記センス鎖を前記アンチセンス鎖と、前記二本鎖核酸分子の前記第1の末端において連結するステップと、
(c)前記二本鎖核酸分子を解離させて、前記センス鎖のセンス部分および前記アンチセンス鎖のアンチセンス部分を含む一本鎖核酸分子をもたらすステップと、
(d)前記一本鎖核酸分子に、電極に隣接または近接して配置される膜内の、ナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させるステップであって、前記電極が、前記一本鎖核酸分子が前記ナノポア内に存在するかまたはナノポアを通してもしくはナノポア近傍を通過するときの電流を検出するように適合されているステップと、
(e)前記一本鎖核酸分子が、前記ナノポア内に存在するかまたはナノポアを通してもしくはナノポア近傍を通過する間に、前記電極を使用し、電流の測定値を得るステップと、
(f)前記二本鎖核酸の前記配列を、(e)で得られた前記電流の測定値から決定するステップと
を含む方法。
(項目25)
前記第1の核酸セグメントが、核酸ヘアピンである、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記第1の核酸セグメントが、第1の識別子をさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記第1の識別子により、前記二本鎖核酸分子がどの試料に由来するのかが同定される、項目26に記載の方法。
(項目28)
(b)の後で、第2の核酸セグメントを、前記二本鎖核酸分子の第2の末端にライゲーションするステップをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目29)
前記第2の核酸セグメントが、前記ナノポア内に前記一本鎖核酸分子をトラップすることが可能である一部分を含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
温度が約60℃を下回るときに、前記第2の核酸セグメントが、前記ナノポア内に前記一本鎖核酸分子をトラップすることが可能である、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記第2の核酸セグメントが、第2の識別子を含む、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記第2の識別子を使用して、前記一本鎖核酸分子が、前記ナノポアを通して第1の向きに通過するのかまたは第2の向きに通過するのかを決定することが可能である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における前記一本鎖核酸分子の通過速度が、1または複数の減速バンプ分子を一助として減速される、項目24に記載の方法。
(項目34)
前記一本鎖核酸分子の前記通過速度が減速されるかまたは失速されるときに、電流の測定値が得られる、項目33に記載の方法。
(項目35)
電流の測定を、前記ナノポア越しに、かつ/または前記膜越しに印加される複数の電圧下で行う、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記1または複数の減速バンプ分子のうちの個々の減速バンプ分子が、リボ核酸を含む、項目33に記載の方法。
(項目37)
核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法であって、
(a)一本鎖核酸分子に、電極に隣接または近接して配置される膜内のナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させるステップであって、前記一本鎖核酸分子が、センス鎖およびアンチセンス鎖の各々の末端部分にライゲーションされた核酸セグメントを介して前記アンチセンス鎖に連結された前記センス鎖を含み、前記電極が、前記一本鎖核酸分子が前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を通過するときの電流を検出するように適合されているステップと、
(b)前記一本鎖核酸分子に前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を通過させる間に、前記電極を一助として電流の測定値を得るステップと、
(c)前記一本鎖核酸分子の配列を、(b)で得られた電流の測定値から決定するステップと
を含む方法。
(項目38)
(c)における、前記一本鎖核酸分子の配列を決定するステップが、前記センス鎖および前記アンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子の配列を決定することをさらに含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記核酸セグメントが、核酸ヘアピンである、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における前記一本鎖核酸分子の通過速度が、1または複数の減速バンプ分子を一助として減速される、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記一本鎖核酸分子の前記通過速度が減速されるかまたは失速されるときに、電流の測定値が得られる、項目40に記載の方法。
(項目42)
電流の測定を、前記ナノポア越しに、かつ/または前記膜越しに印加される複数の電圧下で行う、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記1または複数の減速バンプ分子のうちの個々の減速バンプ分子が、リボ核酸を含む、項目40に記載の方法。
(項目44)
核酸分子を配列決定するための方法であって、
(a)電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップであって、前記電極が、前記核酸分子またはその一部分を検出するように適合されているステップと、
(b)前記核酸分子を、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍に方向付けるステップであり、前記核酸分子と会合させた少なくとも1つのリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を一助として、前記核酸分子の前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における進行を停止または失速させるステップと、
(c)前記核酸分子が、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を通過するときに、前記核酸分子またはその一部分を配列決定するステップと
を含む方法。
(項目45)
前記RNA減速バンプ分子を、前記核酸分子と非共有結合的に会合させる、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記RNA減速バンプ分子が、1または複数のオリゴヌクレオチド塩基の配列を含有するオリゴヌクレオチドを含む、項目44に記載の方法。
(項目47)
前記減速バンプ分子の長さが、最長8オリゴヌクレオチド塩基である、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記オリゴヌクレオチド塩基が、前記核酸分子と対合する、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記RNA減速バンプ分子が、ユニバーサル塩基、モルホリノ、グリコールヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、メチル化核酸塩基、修飾塩基、非結合塩基模倣体、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、またはこれらの任意の組合せを有する、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記RNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させる、項目44に記載の方法。
(項目51)
前記RNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、項目44に記載の方法。
(項目52)
前記RNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させ、別のRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、項目44に記載の方法。
(項目53)
前記核酸分子が前記ナノポアを通して通過するときに、前記RNA減速バンプ分子が前記核酸分子から解離する、項目44に記載の方法。
(項目54)
前記ナノポアが、アルファ−ヘモリシンのナノポアである、項目44に記載の方法。
(項目55)
前記核酸分子が、一本鎖である、項目44に記載の方法。
(項目56)
前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速されるときに、前記核酸分子の単一の塩基が同定される、項目44に記載の方法。
(項目57)
前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速されるときに、前記核酸分子の最大3つの塩基が同定される、項目44に記載の方法。
(項目58)
前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速されるときに、前記核酸分子の最大5つの塩基が同定される、項目44に記載の方法。
(項目59)
前記核酸分子と会合させた複数のRNA減速バンプ分子を一助として、前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速される、項目44に記載の方法。
(項目60)
核酸分子の配列情報を得るための方法であって、
(a)前記核酸分子と会合させた少なくとも1つのリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を含む二重鎖セグメントを形成するステップと、
(b)前記核酸分子に、膜内のナノポアを通してまたはナノポア近傍を流動させるステップであり、前記膜を、電極に隣接または近接して配置し、前記核酸分子に、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を流動させると、前記二重鎖セグメントが、前記ナノポアへ、または前記ナノポア越しに方向付けられるステップと、
(c)前記核酸分子の、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍の前記流動時において、電気シグナルを、前記電極から得るステップであり、前記電気シグナルが、前記核酸分子の1または複数の塩基と、前記ナノポアの少なくとも一部分との相互作用と関連し、前記核酸分子の、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における前記流動が、前記二重鎖セグメントを一助として低減されるステップと
を含む方法。
(項目61)
(c)における前記流動が、前記RNA減速バンプ分子と前記ナノポアとの前記相互作用時において低減される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記ナノポアが、前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記流動を制限する狭窄部を含む、項目60に記載の方法。
(項目63)
前記二重鎖セグメント内に含まれる前記核酸分子の一部分に、前記ナノポアを通して流動させる前に、前記RNA減速バンプ分子を、前記核酸分子から解離させるステップをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目64)
前記核酸分子を前記ナノポア内にトラップするステップをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目65)
前記核酸分子の1または複数の末端部分に形成された1または複数の嵩高い構造を一助として、前記核酸分子が、前記ナノポア内にトラップされる、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記核酸分子の1または複数の末端部分に取り付けられた1または複数の嵩高い構造を一助として、前記核酸分子が、前記ナノポア内にトラップされる、項目64に記載の方法。
(項目67)
前記核酸分子の流動の方向を反転させるステップをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目68)
前記核酸分子の流動の前記方向を反転させるステップの後に前記核酸分子の少なくとも一部分を再配列決定するステップをさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記ナノポアが、アルファ−ヘモリシンのナノポアである、項目60に記載の方法。
(項目70)
前記核酸分子が、一本鎖である、項目60に記載の方法。
(項目71)
前記少なくとも1つのRNA減速バンプ分子が、1または複数のオリゴヌクレオチド塩基の配列を含有するオリゴヌクレオチドを含む、項目60に記載の方法。
(項目72)
前記少なくとも1つのRNA減速バンプ分子が、ユニバーサル塩基、モルホリノ、グリコールヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、メチル化核酸塩基、修飾塩基、非結合塩基模倣体、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、またはこれらの任意の組合せを有する、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記少なくとも1つのRNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させる、項目60に記載の方法。
(項目74)
前記少なくとも1つのRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、項目60に記載の方法。
(項目75)
前記少なくとも1つのRNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させ、別のRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、項目60に記載の方法。
本発明のさらなる態様および利点は、本発明の例示的な実施形態だけが示され、記載される以下の詳細な記載から、当業者にたやすく明らかとなろう。気づかれる通り、全てが本発明から逸脱しない限りにおいて、本発明は、他の実施形態および異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの細部は、多様で明白な点において改変が可能である。したがって、図面および記載は、性格において例示的であると考えられるべきであり、限定的であると考えられるべきではない。
参照による組込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み込まれるように、具体的に、かつ、個別に指し示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の新規の特色は、付属の特許請求の範囲において、特殊性を伴って示される。本発明の原理が活用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な記載、および付属の図面を参照することにより、本発明の特色および利点についてのよりよい理解が得られるであろう。
図1A、1B、および1Cは、ナノポア型検出器の例を示す。図1Aでは、ナノポアが、電極上に配置され、図1Bでは、ナノポアが、ウェル上の膜内に挿入され、図1Cでは、ナノポアが、突出する電極上に配置される。 図1A、1B、および1Cは、ナノポア型検出器の例を示す。図1Aでは、ナノポアが、電極上に配置され、図1Bでは、ナノポアが、ウェル上の膜内に挿入され、図1Cでは、ナノポアが、突出する電極上に配置される。 図1A、1B、および1Cは、ナノポア型検出器の例を示す。図1Aでは、ナノポアが、電極上に配置され、図1Bでは、ナノポアが、ウェル上の膜内に挿入され、図1Cでは、ナノポアが、突出する電極上に配置される。 図2A、2B、2C、および2Dは、ナノポアにより検出されうる分子の例を示す。図2Aは、分子の検出を示し、図2Bは、ポリマー分子の一部分の検出を示し、図2Cは、核酸を配列決定するためのタグ分子の検出を示し、図2Dは、ヌクレオチドを組み込む間における、タグの検出を示す。 図2A、2B、2C、および2Dは、ナノポアにより検出されうる分子の例を示す。図2Aは、分子の検出を示し、図2Bは、ポリマー分子の一部分の検出を示し、図2Cは、核酸を配列決定するためのタグ分子の検出を示し、図2Dは、ヌクレオチドを組み込む間における、タグの検出を示す。 図2A、2B、2C、および2Dは、ナノポアにより検出されうる分子の例を示す。図2Aは、分子の検出を示し、図2Bは、ポリマー分子の一部分の検出を示し、図2Cは、核酸を配列決定するためのタグ分子の検出を示し、図2Dは、ヌクレオチドを組み込む間における、タグの検出を示す。 図2A、2B、2C、および2Dは、ナノポアにより検出されうる分子の例を示す。図2Aは、分子の検出を示し、図2Bは、ポリマー分子の一部分の検出を示し、図2Cは、核酸を配列決定するためのタグ分子の検出を示し、図2Dは、ヌクレオチドを組み込む間における、タグの検出を示す。 図3は、ナノポアは含むが、ウェルは含まないチップの仕組みの例を示す。 図4は、超小型測定回路の例を示す。 図5は、セルアナログ回路の例を示す。 図6は、ナノポア型検出器のアレイを示す。 図7は、試験用チップセルアレイ構成の例を示す。 図8は、配列決定装置を制御するように構成されたコンピュータシステムを示す。 図9は、核酸配列決定法を示す。 図10は、一本鎖(ss)被験ポリヌクレオチド分子のナノポアを通しての通過を例示する。 図11は、ss被験ポリヌクレオチドのナノポアを通しての通過を失速させるために、ss被験ポリヌクレオチド分子の終端に形成された嵩高い構造を図示する。 図12は、ss被験ポリヌクレオチド分子に結合させた複数の減速バンプを図示し、この場合、ss被験ポリヌクレオチドが、両端に嵩高い構造を有することにより、ナノポア内にトラップされる。 図13は、ss被験ポリヌクレオチドを、ランダム減速バンププールと接触させることにより達成される異なる結合パターンを図示する。 図14は、ss被験ポリヌクレオチドをナノポア内でランダムに失速させて、配列情報を得ることにより達成される、異なる配列情報パターンを図示する。 図15は、ナノポアを通してのその通過を失速させるために、第1の末端に嵩高い構造を有するss被験ポリヌクレオチドに結合させた減速バンプを図示する。 図16は、本発明に従うナノポア型検出器により得られる複数の電気シグナルのセットを図示する。 図17は、2つの嵩高い構造を結合させた、ナノポア内にトラップされるss被験ポリヌクレオチド内の方向識別子の検出を図示する。 図18は、識別子特異的な減速バンプによる識別子の検出を図示する。 図19は、試料ポリヌクレオチドおよび複数の機能的部分を含むss被験ポリヌクレオチドの例を図示する。 図20は、試料ポリヌクレオチドおよび複数の機能的部分を含むds被験ポリヌクレオチドの例を図示する。 図21は、ナノポアの両側に複数の減速バンプを結合させた、ナノポア内にトラップされるss被験ポリヌクレオチドを図示する。 図22は、ss被験ポリヌクレオチドの、減速バンプトレインとの接触を図示する。 図23は、本発明の実施形態に従う工程のフローチャートを図示する。 図24は、作業温度と、一方の末端にBS2−1を有し、他方の末端にBS1を有するss被験ポリヌクレオチドの、ナノポア内の捕捉との関係を図示する。 図25は、ヌクレオチドのリン酸に接合されたタグ分子の例を示す。 図26は、代替的なタグ位置の例を示す。 図27は、検出可能なタグ−ポリリン酸および検出可能なタグを示す。 図28は、試料ポリヌクレオチド、試料ポリヌクレオチドのアンチセンスポリヌクレオチド、試料ポリヌクレオチドとそのアンチセンスポリヌクレオチドとを連結するリンカー、第1の嵩高前構造、および第2の嵩高前構造を含む被験ポリヌクレオチドの例を図示する。 図29は、波形の例を示す。 図30は、4つの核酸塩基であるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)について、抽出されるシグナルを、印加される電圧と対比したプロットを示す。 図31は、4つの核酸塩基であるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)に対する複数回の試行について、抽出されるシグナルを、印加される電圧と対比したプロットを示す。 図32は、4つの核酸塩基であるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)に対する複数回の試行について、相対伝導差パーセント(%RCD)の印加される電圧と対比したプロットを示す。
本明細書では、本発明の多様な実施形態を示し、記載してきたが、当業者には、このような実施形態は、例だけを目的として提示されることが明白であろう。本発明から逸脱しない限りにおいて、当業者には、多数の変更、変化、および代用が想到されうる。本明細書で記載される本発明の実施形態に対する多様な代替法を援用しうることを理解されたい。
本明細書で使用される「ナノポア」という用語は一般に、膜内に形成されるかまたは他の形で施されるポア、チャネル、または通路を指す。膜は、脂質二重層などの有機膜の場合もあり、ポリマー性材料から形成された膜などの合成膜の場合もある。膜は、ポリマー性材料でありうる。ナノポアは、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路または電界効果トランジスタ(FET)回路などのセンシング回路またはセンシング回路に連結された電極に隣接または近接して配置することができる。いくつかの例では、ナノポアは、0.1ナノメートル(nm)〜約1000nmのオーダーの特徴的な幅または直径を有する。一部のナノポアは、タンパク質である。アルファヘモリシンは、タンパク質によるナノポアの例である。
本明細書で使用される「ポリメラーゼ」という用語は一般に、重合化反応を触媒することが可能な任意の酵素または他の分子触媒を指す。ポリメラーゼの例は、限定なしに述べると、核酸ポリメラーゼまたは核酸リガーゼを含む。ポリメラーゼは、重合化酵素でありうる。
本明細書で使用される「核酸」という用語は一般に、1または複数の核酸サブユニットを含む分子を指す。核酸は、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、およびウラシル(U)、またはこれらの変異体から選択される1または複数のサブユニットを含みうる。ヌクレオチドは、A、C、G、T、もしくはU、またはこれらの変異体を含みうる。ヌクレオチドは、成長中の核酸鎖に組み込まれうる任意のサブユニットを含みうる。このようなサブユニットは、1もしくは複数の相補的なA、C、G、T、もしくはUに対して特異的であるか、またはプリン(すなわち、AもしくはG、またはその変異体)もしくはピリミジン(すなわち、C、T、もしくはU、またはその変異体)と相補的なA、C、G、T、もしくはU、または他の任意のサブユニットでありうる。サブユニットは、個々の核酸塩基または塩基群(例えば、AA、TA、AT、GC、CG、CT、TC、GT、TG、AC、CA、またはウラシル−その対応塩基)に分解することを可能としうる。いくつかの例では、核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核酸(RNA)、またはその誘導体である。核酸は、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もある。
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」という用語は一般に、1または複数のヌクレオチドを含むポリマーまたはオリゴマーを指す。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、DNAポリヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチドを含む場合もあり、RNAポリヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドを含む場合もあり、DNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドおよび/またはRNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの1または複数の区間を含む場合もある。
本明細書で一般に使用される「ヌクレオチド」または「塩基」は、本源性ヌクレオチドの場合もあり、ヌクレオチド類似体の場合もある。本源性ヌクレオチドとは、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、アデノシン一リン酸(AMP)、シチジン一リン酸(CMP)、グアノシン一リン酸(GMP)またはウリジン一リン酸(UMP)である。ヌクレオチド類似体とは、本源性ヌクレオチドの類似体または模倣体であって、本源性核酸塩基(A、C、G、T、およびU)、デオキシリボース/リボース構造、本源性ヌクレオチドのリン酸基、またはこれらの任意の組合せにおいて修飾を有する類似体または模倣体である。例えば、ヌクレオチド類似体は、天然で存在するかまたは人工の修飾塩基を有しうる。修飾塩基の例は、限定なしに述べると、メチル化核酸塩基、修飾プリン塩基(例えば、ヒポキサンチン、キサンチン、7−メチルグアニン、イソdG)、修飾ピリミジン塩基(例えば、5,6−ジヒドロウラシルおよび5−メチルシトシン、イソdC)、ユニバーサル塩基(例えば、3−ニトロピロールおよび5−ニトロインドール)、非結合塩基模倣体(例えば、4−メチルベンズイミダゾール(4-methylbezimidazole)、および2,4−ジフルオロトルエンまたは2,4−ジフルオロベンゼン)、および非塩基(ヌクレオチド類似体が塩基を有さない脱塩基ヌクレオチド)を含む。修飾デオキシリボース(例えば、ジデオキシグアノシン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシチミジン、およびジデオキシシチジンなどのジデオキシヌクレオシド)、および/またはリン酸構造(併せて骨格構造と称する)を有するヌクレオチド類似体の例は、限定なしに述べると、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド(locked nucleotide)を含む。
本明細書で使用される「被験ポリマー」(test polymer)という用語は一般に、検出目的で、ナノポアを通して通過するか、またはナノポアに隣接して通過する、ポリマー分子を指す。被験ポリマーは、類似の化学的構造を有する複数の構成要素を含みうる。被験ポリマーの例は、限定なしに述べると、被験ポリヌクレオチド、被験ペプチド/タンパク質、および被験炭水化物を含む。被験ポリヌクレオチドは、一本鎖被験ポリヌクレオチド(すなわち、ss被験ポリヌクレオチド)の場合もあり、二本鎖被験ポリヌクレオチド(すなわち、ds被験ポリヌクレオチド)の場合もある。構成要素の例は、限定なしに述べると、ヌクレオチド、アミノ酸、および単糖を含む。
本明細書で使用される「試料ポリヌクレオチド」という用語は一般に、例えば、一本鎖(「ss」)試料ポリヌクレオチド(ss試料ポリヌクレオチド)または二本鎖(「ds」)試料ポリヌクレオチド(すなわち、ds試料ポリヌクレオチドなど、例えば、ds試料DNA、ds試料RNA、およびds試料DNA−RNAハイブリッド体)など、対象のポリヌクレオチドを含みうる核酸分子を指す。試料ポリヌクレオチドは、生物学的試料から得られる天然のポリヌクレオチドの場合もあり、合成ポリヌクレオチドの場合もある。合成ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの同定および/または配列決定における使用を意図して前加工されたポリヌクレオチドなど、天然のポリヌクレオチドを修飾することにより得られるポリヌクレオチドでありうる。このような前加工の例は、限定なしに述べると、所望の断片についての試料ポリヌクレオチドの濃縮、ペアドエンド加工、メイテッドペアリード加工、二硫化物処理を含むエピジェネティック前加工、PCRを介する焦点化された断片解析、PCRによる断片の配列決定、および短鎖ポリヌクレオチドの断片解析を含む。
本明細書で使用される「被験ポリヌクレオチド」という用語は一般に、検出目的で、ナノポアを通して通過するか、またはナノポアに隣接して通過する、ポリヌクレオチド分子を指す。被験ポリヌクレオチドは、一本鎖被験ポリヌクレオチド(すなわち、ss被験ポリヌクレオチド)および二本鎖被験ポリヌクレオチド(すなわち、ds被験ポリヌクレオチドなど、例えば、ds被験DNA、ds被験RNA、およびds被験DNA−RNAハイブリッド体)でありうる。本明細書で使用されるss被験ポリヌクレオチドは、本明細書で記載される方法により減速バンプを結合させたssポリヌクレオチドの区間を含む。ss被験ポリヌクレオチドは、試料ポリヌクレオチドおよび他の機能的部分(例えば、嵩高前構造、識別子、および単離用タグ)もさらに含みうる。
本明細書で使用される「嵩高前構造」(pre-bulky structure)という用語は一般に、ポリヌクレオチド分子内の分子構造であって、ある種の条件下で(例えば、ある温度、ある種の化合物(複数可)の存在/非存在下で)嵩高い構造を形成しうる分子構造を指す。嵩高前構造の例は、オリゴヌクレオチド構造を含む。嵩高前構造は、ssポリヌクレオチドの場合もあり、dsポリヌクレオチドの場合もある。
本明細書で使用される「嵩高い構造」(bulky structure)という用語は一般に、ss被験ポリヌクレオチド分子内の嵩高前構造から形成される構造(例えば、ヌクレオチド)を指す。嵩高い構造は、嵩高い構造を嵩高前構造または被験ポリヌクレオチド分子を失速させうる他の構造に転換する別の条件に作業条件を変化させるまで、ある作業条件において、ナノポア内の被験ポリヌクレオチド分子を減速するかまたは失速させることが可能である。嵩高い構造の例は、限定なしに述べると、ポリヌクレオチド二重鎖構造(RNA二重鎖、DNA二重鎖、またはRNA−DNAハイブリッド体)、ポリヌクレオチドヘアピン構造、多重ヘアピン構造、および多重アーム構造などの二次元構造および三次元構造を含む。別の実施形態では、嵩高前構造は、嵩高前構造に対して特異的なリガンドとの相互作用を介する嵩高い構造を形成する。このような嵩高前構造/リガンド対の例は、限定なしに述べると、ビオチン/ストレプトアビジン対、抗原/抗体対、および炭水化物/抗体対を含む。
ある実施形態では、嵩高い構造は、オリゴヌクレオチド嵩高前構造、例えば、ss被験ポリヌクレオチド分子内の嵩高前構造から形成されたオリゴヌクレオチド構造から形成される。ポリヌクレオチド嵩高構造またはオリゴヌクレオチド嵩高構造の例は、限定なしに述べると、ヘアピン核酸鎖、ハイブリダイズアンチセンス核酸鎖、複数アーム、および自己ハイブリダイズした三次元DNA分子または三次元RNA分子を含む。別の実施形態では、嵩高い構造は、本明細書で記載される嵩高前構造/リガンド対の相互作用を介して形成される。
本明細書で使用される「二重鎖」という用語は一般に、二重鎖構造、二重鎖区間、二重鎖領域、または二重鎖セグメントを指す。二重鎖は、RNA二重鎖、DNA二重鎖、またはDNA−RNA二重鎖の構造、区間、領域、またはセグメントを含みうる。
本明細書で使用される「減速バンプ」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチド分子の結合セグメントと共に複合体を形成するオリゴヌクレオチドなどの分子を指す。例として述べると、被験ポリヌクレオチド分子が、印加される電位下で、ナノポアを通して移動するかまたはナノポアに隣接して移動するときに、減速バンプと結合セグメントとの間で形成される複合体は、ナノポア型検出器が、被験ポリヌクレオチド分子からのシグナルを得るのに十分な程度に長い滞留時間にわたり、被験ポリヌクレオチド分子を、ナノポア内で、またはナノポアに隣接して減速するかまたは失速させ、このシグナルにより、被験ポリヌクレオチド分子についての構造情報または配列情報がもたらされうる。滞留時間の後、複合体は解離し、被験ポリヌクレオチド分子はナノポアを通して前方に進む。
本明細書で使用される「公知の減速バンプ」という用語は一般に、ss被験ポリヌクレオチド内の公知の配列に特異的に結合する減速バンプを指す。ss被験ポリヌクレオチド上の結合セグメント(公知の配列)は公知であるため、減速バンプ構造もまた、公知でありうる(例えば、ss被験ポリヌクレオチド上の公知の配列に対して相補的でありうる)。
本明細書で使用される「ランダム減速バンププール」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチド分子またはその断片の全ての区間または実質的に全ての区間に結合しうる減速バンプコレクションを指す。ランダム減速バンププールの例は、全ての本源性核酸塩基(A、T、C、G、およびU)と塩基対合するユニバーサル核酸塩基を有するオリゴヌクレオチドを含む。ランダム減速バンププールの別の例は、本源性核酸塩基の全ての可能な組合せを有する、所与の長さのオリゴヌクレオチドを含む。ランダム減速バンププールの別の例は、本源性核酸塩基とユニバーサル核酸塩基とのあらゆる可能な組合せを有する、所与の長さのオリゴヌクレオチドを含む。ランダム減速バンププールの別の例は、ユニバーサル核酸塩基を指定された位置において有し、全ての本源性核酸塩基の組合せを他の位置において有する減速バンプを含む。ランダム減速バンプの別の例は、ss被験ポリヌクレオチドと共に二重鎖区間を形成するss減速バンプの組合せであり、この二重鎖区間の溶融温度はほぼ同じである。これらのss減速バンプは、長さが同じ場合もあり、異なる場合もあり、かつ/または同じヌクレオチドを有する場合もあり、異なるヌクレオチドを有する場合もある。
本明細書で使用される「ストッパ」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチドと共にストッパ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成し、ストッパ−被験ポリヌクレオチド複合体の流動を、ナノポアの狭窄領域の前で、滞留時間にわたり停止させうる構造を指す。ストッパは、被験ポリヌクレオチドの一部の場合もあり、個別の構造(例えば、本明細書で記載される減速バンプ、およびヌクレオチドポリメラーゼの存在下で形成された、被験ポリヌクレオチドのアンチセンス鎖)の場合もあり、被験ポリヌクレオチドに結合し、任意選択で、被験ポリヌクレオチドにナノポアを通して移動させうる酵素の場合もある。
本明細書で使用される「識別子」という用語は一般に、本明細書で記載される方法により検出または同定されうる、被験ポリヌクレオチド内の公知の配列または構造を指す。識別子の例は、限定なしに述べると、方向識別子、基準シグナル識別子、試料供給源識別子、および試料識別子を含む。識別子は、顕著に異なる、同定可能な電気シグナルをもたらす、1または複数のヌクレオチドまたは構造を含みうる。このようなヌクレオチドおよび構造の例は、限定なしに述べると、イソdG、イソdC、メチル化ヌクレオチド、ロックド核酸、ユニバーサルヌクレオチド、および脱塩基ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、脱塩基ヌクレオチドは、本源性ヌクレオチドより強いシグナルをもたらす。したがって、脱塩基ヌクレオチドおよび本源性ヌクレオチドの両方を含む配列について、ナノポアにより検出される電気シグナルは、本源性ヌクレオチドだけによる配列から得られる電気シグナルより大きな強度のシグナルをもたらしうる。例えば、約25%の脱塩基ヌクレオチドを含む4〜5塩基の配列は、本源性ヌクレオチドだけを含む4〜5塩基の配列の2倍を超える強さのシグナルをもたらしうる。配列が有する脱塩基ヌクレオチドが多いほど、その配列の電気シグナルはより強くなる。したがって、識別子は、識別子配列内の脱塩基ヌクレオチドの量を変化させることにより、所望の強度の(例えば、同じ長さの本源性オリゴヌクレオチドによる強度の約2倍、約3、4、5、6、7、8、9、または約10倍の)電気シグナルをもたらしうる。
本明細書で使用される「方向識別子」という用語は一般に、嵩高前構造から形成される嵩高い構造から少なくとも0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または50塩基の位置にある公知の配列(図17に描示されるss被験ポリヌクレオチド分子内の影を付した区間)を指す。いくつかの例では、嵩高い構造は、形成されると、ss被験ポリヌクレオチド分子がその中に組み込まれるナノポアを通してss被験ポリヌクレオチド分子が流動することを停止させうる。例として述べると、ナノポアの内側で、またはナノポアに隣接して、嵩高い構造を失速させるか、減速するか、または停止させると、ss被験ポリヌクレオチド分子の流動方向で、嵩高い構造の前にある配列および嵩高い構造の最初の塩基対の配列情報をもたらしうる電気シグナルのセットを得ることができる。配列が公知の場合、このような電気シグナルは、限定なしに述べると、(1)嵩高い構造により、ss被験ポリヌクレオチド分子がナノポアを通して流動することを停止させるように、嵩高前構造が嵩高い構造に適正に形成されたことを検証することも可能であり、(2)ss被験ポリヌクレオチド分子が、ss被験ポリヌクレオチドの一本鎖区間の一方の末端に到達したことを指し示すことも可能であり、かつ/または(3)同じナノポアで得られる他の電気シグナルについてのベースラインをもたらす基準読取りまたは較正読取りとして用いられる可能性もある。いくつかの実施形態では、方向識別子は、顕著に異なる電気シグナルであって、たやすく同定される電気シグナルをもたらす、1または複数のヌクレオチドまたは構造を含む。このようなヌクレオチドおよび構造の例は、限定なしに述べると、イソdG、イソdC、および脱塩基ヌクレオチドを含む。
本明細書で使用される「基準シグナル識別子」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチド内の公知の配列であって、本明細書で記載される方法により検出または同定されると、同じナノポアで得られる他の電気シグナルについてのベースラインをもたらす基準読取りまたは較正読取りとして用いられうる配列を指す。
本明細書で使用される「試料供給源識別子」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチド内の公知の配列であって、本明細書で記載される方法により検出または同定されると、試料ポリヌクレオチドの供給源を同定するのに使用されうる配列を指す。
本明細書で使用される「試料識別子」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチド内の公知の配列であって、本明細書で記載される方法により検出または同定されると、個々の試料ポリヌクレオチドを同定するのに使用されうる配列を指す。
本明細書で使用される「リンカー識別子」という用語は一般に、被験ポリヌクレオチド内の公知の配列であって、本明細書で記載される方法により検出または同定されると、試料ポリヌクレオチド区間とアンチセンスポリヌクレオチド区間との間の移行を指し示すのに使用されうる配列を指す。例として述べると、リンカー識別子が検出または同定されれば、試料ポリヌクレオチド区間/アンチセンスポリヌクレオチド区間は、ナノポアを通して通過している。
本発明は、例えば、核酸(例えば、DNA、RNA)、タンパク質、またはポリマーを配列決定するためなど、配列決定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。本発明の方法を使用して、DNAもしくはRNAなどの核酸分子、またはタンパク質などの他のポリマー分子を配列決定することができる。核酸配列決定の場合は、核酸分子の核酸塩基含量を決定することができる。タンパク質配列決定の場合は、タンパク質のアミノ酸配列を決定することができる。
ナノポアによる検出
本明細書では、ナノポアにより、分子またはその一部分を同定するためのシステムおよび方法が提供される。ナノポアにより、分子またはその一部分などの分子種を同定する方法は、電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップを含みうる。電極は、ナノポアを通して流れる電流を検出するように適合されていてもよい。方法は、分子またはその一部分をナノポア内に挿入するステップと、ナノポア越しに、かつ/または膜越しに印加される電圧を変化させるステップとをさらに含みうる。場合によっては、方法は、複数の電圧下における電流を測定して、分子またはその一部分を同定するステップも含む。いくつかの実施形態では、複数の電圧下における電流は、電子署名を含み、電子署名を複数の基準電子署名と比較して、分子またはその一部分を同定するステップもさらに含む。
ナノポアは、集積回路などのセンシング回路のセンシング電極に隣接して配置される膜内に形成することもでき、他の形で埋め込むこともできる。集積回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)でありうる。いくつかの例では、集積回路は、電界効果トランジスタまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)である。センシング回路は、ナノポアを有するチップまたは他のデバイス内に配置される場合もあり、オフチップ構成であるなど、チップまたはデバイスから離れて配置される場合もある。半導体は、限定なしに述べると、IV群の半導体(例えば、ケイ素)およびIII〜V群の半導体(例えば、ヒ化ガリウム)を含む、任意の半導体でありうる。
図1は、参照により全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0193570号において記載されている方法に従い調製されうる、温度制御を有するナノポア型検出器(またはセンサ)の例を示す。図1Aを参照すると、ナノポア型検出器は、伝導性溶液(例えば、塩溶液)107と接触する上部電極101を含む。下部伝導性電極102は、膜105内に挿入されるナノポア106の近くにあるか、これに隣接するか、または近接する。場合によって、下部伝導性電極102は、半導体基板104内の電気回路がその中に埋め込まれる半導体103内に埋め込まれる。半導体103の表面は、疎水性となるように処理することができる。検出される試料は、ナノポア106内のポアを通って進む。半導体チップセンサは、パッケージ208内に入れ、パッケージ208は、温度制御エレメント109の近くに置く。温度制御エレメント109は、熱電式加熱および/または冷却デバイス(例えば、Peltierデバイス)でありうる。
複数のナノポア型検出器により、ナノポアアレイを形成することができる。ナノポアアレイは、1または複数のナノポア型検出器を含みうる。場合によっては、ナノポアアレイは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1000、10000、または100,000個のナノポア型検出器を含む。個々のナノポア型検出器は、1または複数のナノポアを、センシング電極(例えば、下部伝導性電極102)に隣接して含みうる。場合によって、個々のナノポア型検出器は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または100個のナノポアを、センシング電極に隣接して含む。
同じ番号が同じエレメントを表す図1Bを参照すると、膜105は、センサ102がウェルの表面の一部を形成する、ウェル110上に配置することができる。図1Cは、電極102が処理された半導体表面103から突出する例を示す図である。
いくつかの例では、膜105は、下部伝導性電極102上に形成され、半導体103上には形成されない。このような場合の膜105は、下部伝導性電極102との連結相互作用を形成しうる。しかし、場合によって、膜105は、下部伝導性電極102および半導体103上に形成される。代替法として述べると、膜105は、半導体103上に形成することができ、下部伝導性電極102上に形成することはできないが、下部伝導性電極102上に張り渡すこともできる。
多くの異なる種類の分子またはその一部分を、本明細書で記載される方法および/またはデバイスにより検出することができる。図2は、検出されうる分子および核酸を含むポリマーを配列決定するための方法のいくつかの例を示す。場合によって、分子201は、ナノポア202を通して、膜205のシス側203(電極から遠い側)からトランス側204(電極に近い側)に通過する。
図2Bに見られる通り、分子は、ポリマー分子206であることが可能であり、ポリマー分子207の一部分は、このポリマー分子がナノポアを通って通過するときに同定することができる。ポリマー分子は、核酸またはタンパク質などの生物学的分子であることが可能である。いくつかの実施形態では、ポリマー分子が、核酸であり、ポリマー分子の一部分は、核酸または核酸群(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの核酸)である。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、ポリペプチドであり、ポリペプチドの一部分は、アミノ酸または核酸群(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのアミノ酸)である。
場合によっては、核酸またはタグがナノポアを通して流動するかまたはナノポアに隣接して流動するとき、センシング回路により、核酸またはタグと関連する電気シグナルを検出する。核酸は、長鎖のサブユニットでありうる。タグは、ヌクレオチド組込みイベントの副産物の場合もあり、タグ付けされた核酸と、ナノポアまたはタグを核酸から切断する酵素など、ナノポアに隣接する分子種との他の相互作用の副産物の場合もある。タグは、ヌクレオチドへの接合を維持する場合もある。検出されたシグナルは、記憶場所に収集および保存し、後に核酸の配列を構築するのに使用することができる。収集されたシグナルは、エラーなど、検出されたシグナル内の任意の異常を説明するために加工することができる。
図2Cに見られる通り、いくつかの実施形態では、分子208(例えば、「タグ分子」)を、ヌクレオチド209に結合させる。分子は、ヌクレオチドが、成長中の核酸鎖210(例えば、ポリメラーゼ211により)に組み込まれるときに同定することができる。ヌクレオチドは、鋳型核酸212とマッチする塩基対に従い組み込まれうる。異なるタグを、異なるヌクレオチド(例えば、A、C、T、およびG)の各々に結合させる場合は、ナノポアでタグ分子を検出することにより(例えば、鋳型核酸にナノポアを通して通過させずに)、鋳型核酸の配列を決定することができる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドが成長中の核酸鎖に組み込まれると、分子は、ヌクレオチドから放出213される。図2Dに示す通り、分子は、ヌクレオチドが、成長中の鎖に組み込まれるときに、かつ/またはヌクレオチド214から放出される前に検出することができる。
デバイスの仕組み
図3は、本明細書で記載される通り、分子を検出する(および/または核酸を配列決定する)のに使用されうるナノポアデバイス100(またはセンサ)を概略的に例示する。脂質二重層を含有するナノポアは、抵抗および静電容量を特徴としうる。ナノポアデバイス100は、伝導性固体基板106の脂質二重層適合性表面104上に形成された脂質二重層102を含み、この場合、脂質二重層適合性表面104は、脂質二重層非適合性表面105により隔絶させることができ、伝導性固体基板106は、絶縁材料107により電気的に絶縁することができ、脂質二重層102は、脂質二重層非適合性表面105上に形成されたアモルファス脂質103により取り囲むことができる。脂質二重層102には、検出される分子および/または小型のイオン(例えば、Na、K、Ca2+、Cl)に、脂質二重層102の2つの側面の間を通過させるのに十分に大きなナノポア110を有する単一ナノポア構造108を埋め込むことができる。水分子層114を、脂質二重層適合性表面104上に吸着させ、脂質二重層102と脂質二重層適合性表面104との間に挟み込むことができる。親水性の脂質二重層適合性表面104上に吸着させた水性薄膜114は、脂質分子の秩序化を促進し、脂質二重層適合性表面104上における脂質二重層の形成を容易としうる。検出される分子(例えば、必要に応じて、任意選択で、タグ付けされたヌクレオチドまたは他の構成要素を伴う核酸分子)112の溶液を含有する試料チャンバ116を、脂質二重層102の上方に装備させることができる。溶液は、電解質を含有し、最適のイオン濃度に緩衝処理され、ナノポア110の開放を保つように最適のpHで維持された水溶液でありうる。デバイスは、脂質二重層越しに電気刺激(例えば、電圧バイアス)をもたらし、脂質二重層の電気的特徴(例えば、抵抗、静電容量、およびイオン電流の流れ)をセンシングするための、可変電圧供給源120に連結された電極対118(陰極ノード118aおよび陽極ノード118bを含む)を含む。陽性電極118bの表面は、脂質二重層適合性表面104の一部であるか、またはこの一部を形成する。伝導性固体基板106は、電極118のうちの1つの一部に連結することもでき、これを形成することもできる。デバイス100はまた、電気刺激を制御し、検出されたシグナルを加工するための電気回路122も含みうる。いくつかの実施形態では、(例えば、可変型)電圧供給源120は、電気回路122の一部として含まれる。電気回路122は、増幅器、積分器、ノイズフィルタ、フィードバック制御ロジック、および/または他の多様な構成要素を含みうる。電気回路122は、ケイ素基板128内に組み込まれた電気集積回路であることが可能であり、メモリ126に連結されたコンピュータプロセッサ124にさらに連結することもできる。
脂質二重層適合性表面104は、脂質二重層の形成を容易とするイオン伝導およびガス形成に適する多様な材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、脂質二重層の電気的特徴の変化のより良好な検出を可能としうるため、伝導性または半導性の親水性材料を使用することができる。材料の例は、Ag−AgCl、Au、Pt、またはドープケイ素もしくは他の半導体材料を含む。場合によって、電極は、犠牲電極ではない。
脂質二重層非適合性表面105は、脂質二重層の形成に適さない多様な材料から形成することができ、典型的には、疎水性である。いくつかの実施形態では、非伝導性の疎水性材料は、脂質二重層領域を互いから分離することに加えて、脂質二重層領域を電気的に絶縁するので好ましい。脂質二重層非適合性材料の例は、例えば、窒化ケイ素(例えば、Si)およびテフロン(登録商標)、疎水性分子でシラン処理された酸化ケイ素(例えば、SiO)を含む。
例として述べると、図3のナノポアデバイス100は、アルミニウム材料106上にコーティングされた脂質二重層適合性銀(Ag)表面104上に形成されたジフィタノイルホスファチジルコリン(DPhPC)による脂質二重層102内に埋め込まれた単一のアルファヘモリシン(aHL)タンパク質108を有する、アルファヘモリシン(aHL)によるナノポアデバイスである。脂質二重層適合性Ag表面104は、脂質二重層非適合性窒化ケイ素表面105により絶縁され、アルミニウム材料106も、窒化ケイ素材料107により電気的に絶縁される。アルミニウム106は、ケイ素基板128内に組み込まれた電気回路122に連結される。オンチップで配置されるか、またはカバープレート128から下方に伸展する銀−塩化銀電極は、(例えば、核酸)分子を含有する水溶液に接触している。
aHLナノポアとは、7つの個別のペプチドのアセンブリである。aHLナノポアの入口または前庭は、直径が約26オングストロームであり、dsDNA分子の一部分を収容するのに十分な程度に広い。前庭から、aHLナノポアは、まず、広がり、次いで、直径が約15オングストロームのバレルであって、単一のssDNA分子(または小型のタグ分子)が通って通過することを可能とするのに十分な程度には広いが、dsDNA分子(または大型のタグ分子)がその中を通過することを可能とするのに十分な程度に広くはないバレルに狭まる。
DPhPCに加えて、ナノポアデバイスの脂質二重層は、使用されるナノポアの種類、特徴付けられる分子の種類、ならびに形成される脂質二重層の安定性および透過性、抵抗、ならびに静電容量など、形成される脂質二重層の多様な物理的特徴、化学的特徴、および/または電気的特徴など、多様な検討事項に基づき選択された、他の多様な適する両親媒性材料からアセンブルすることもできる。両親媒性材料の例は、パルミトイル−オレオイル−ホスファチジル−コリン(POPC)およびジオレオイル−ホスファチジル−メチルエステル(DOPME)、ジフィタノイルホスファチジルコリン(DPhPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、およびスフィンゴミエリンなどの多様なリン脂質を含む。
上記で示したaHLナノポアに加えて、ナノポアは、他の多様な種類のナノポアでもありうる。例は、γ−ヘモリシンによるナノポア、ロイコシジンによるナノポア、メリチンによるナノポア、Mycobacterium smegmatisのポリンA(MspA)によるナノポア、および他の多様な自然発生のナノポア、修飾された天然のナノポア、および合成のナノポアを含む。適切なナノポアは、ナノポアのポアサイズと比べた解析物分子のサイズなど、解析物分子の多様な特徴に基づき選択することができる。例えば、aHLナノポアのポアサイズは、約15オングストロームの拘束的なポアサイズである。
電流の測定
場合によって、電流は、印加される異なる電圧下で測定することができる。これを達成するために、所望の電位を、電極に印加し、その後、印加された電位を、測定を通じて維持することができる。ある実装では、本明細書で記載される通り、オペアンプ積分器トポロジーをこの目的で使用することができる。積分器は、容量帰還により、電極における電位を維持する。積分器回路は、際立った直線性、セル間マッチング、および補正特徴をもたらしうる。オペアンプ積分器は、要請される性能を達成するために、大きなサイズを要請することが典型的である。本明細書では、より小型の積分器トポロジーが記載される。
場合によっては、電位「Vliquid」を、チップ上のセルの全てに共通の電位(例えば、350mV)を供給するチャンバに印加することができる。積分器回路は、電極(これは、電気的には、積分コンデンサの上部プレートである)を、共通の液間電位より高い電位に初期化しうる。例えば、450mVでバイアスをかけると、電極と液体との間に正の100mVの電位をもたらすことができる。この正の電位により、電極から液体チャンバの接点に電流を流すことができる。この場合、キャリアは、(a)ポアを通して、二重層の(トランス)電極側から二重層の液体レザバー(シス)側に流動するK+イオン、および(b)以下の電気化学反応:Ag+Cl−→AgCl+e−に従い銀電極と反応する、トランス側の塩素(Cl−)イオンである。
場合によっては、K+が、密閉されたセルの外側に(二重層のトランス側からシス側に)流動するのに対し、Cl−は、塩化銀に転換される。二重層の電極側は、電流の流れの結果として、脱塩されうる。場合によっては、銀/塩化銀の液体吸収性材料またはマトリックスが、電気チャンバの接点において生じ、回路を完結させる、逆反応においてCl−イオンを供給するためのレザバーとして用いられうる。
場合によって、電子は、最終的に、積分コンデンサの上側に流動し、これにより、測定される電流が創出される。転換される銀が供給可能である限りにおいて、電気化学反応は、銀を塩化銀に転換し、電流は、流れ続ける。銀の供給が制限されると、場合によっては、電流依存的な電極の寿命がもたらされる。いくつかの実施形態では、枯渇しない電極材料(例えば、白金)が使用される。
電極を帯電させる方法
検出サイクルにおいて電極を再帯電させる能力は、犠牲電極または通電反応において分子特徴を変化させる電極(例えば、銀を含む電極)を使用する場合に有利でありうる。電極は、検出サイクルにおいて枯渇することもあるが、場合によっては、電極は、検出サイクルにおいて枯渇しないこともある。再帯電は、電極が小型である場合(例えば、電極が、平方ミリメートル当たりに少なくとも500の電極を有する電極のアレイをもたらすのに十分な程度に小型である場合)に問題となりうる完全な枯渇など、所与の枯渇限界に電極が到達することを防止しうる。場合によって、電極の寿命は、電極の幅で見積もられ、これに少なくとも部分的に依存する。
場合によっては、長時間にわたる検出(例えば、核酸にナノポアを通して通過させることにより、核酸を配列決定する場合)において、ナノポア越しの保存される極性の電圧差を維持する必要から、電極が枯渇し、検出の持続時間および/または電極のサイズが限界づけられる可能性がある。本明細書で記載されるデバイスおよび方法は、より長い(例えば、無際限の)検出時間を可能とし、かつ/または電極を任意に小型のサイズ(例えば、検出時における電極の枯渇以外の検討事項により限界づけられる)までスケールダウンすることを可能とする。本明細書で記載される通り、分子(例えば、タグ分子)は、一部分の時間(例えば、タグがポリメラーゼと会合している時間)だけにわたり検出することができる。検出時間の間に、ナノポア越しの電圧の極性を切り換えることにより、電極の再帯電が可能となる。場合によっては、分子またはその一部分は、複数回にわたり(例えば、100ミリ秒の間に2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、1000、10,000、100,000、1,000,000回以上にわたり)検出される。
場合によっては、ナノポア越しの電圧の極性を、周期的に反転させる。電圧の極性は、任意の適する長さの時間(例えば、約1ミリ秒、約5ミリ秒、約10ミリ秒、約15ミリ秒、約20ミリ秒、約25ミリ秒、約30ミリ秒、約40ミリ秒、約50ミリ秒、約60ミリ秒、約80ミリ秒、約100ミリ秒、約125ミリ秒、約150ミリ秒、約200ミリ秒など)にわたり持続する検出時間の後で反転させることができる。電極を再帯電させる間(すなわち、電圧の極性が、タグを検出するための電圧の極性と反対である場合)の時間および電界の強度は、電極が、その検出前の状態(例えば、電極の質量)に回復するような時間および強度である。場合によって、ナノポア越しの正味の電圧は、ゼロである(例えば、正電圧の時間により、1秒、1分間、または5分間など、適切に長い時間のスケールにわたり、負電圧の時間が相殺される)。場合によって、ナノポアに印加される電圧は、ナノポアに隣接または近接するセンシング電極により検出される正味の電流がゼロとなるように拮抗させる。
いくつかの例では、交流電流(AC)波形を、膜内のナノポアまたは膜に隣接する電極に印加して、分子をナノポアを通してまたはナノポア近傍に引き込み、分子を放出する。AC波形は、少なくとも10マイクロ秒、1ミリ秒(millisecond(ms))、5ミリ秒、10ミリ秒、20ミリ秒、100ミリ秒、200ミリ秒、300ミリ秒、400ミリ秒、500ミリ秒のオーダーの周波数を有しうる。波形は、交互に、かつ、逐次的に分子(例えば、タグ分子)を捕捉し、かつ、分子を放出するか、または分子を他の形で複数の方向(例えば、反対方向)に移動させ、これにより、分子がナノポアと会合する全時間を延長しうる一助となりうる。この帯電と放電との平衡により、ナノポアの電極および/または所与の分子からのより長いシグナルの発生を可能とすることができる。
いくつかの例では、AC波形を印加して、分子の少なくとも一部分(例えば、タグ付けされるヌクレオチドと会合させたタグ(例えば、組み込まれる、タグ付けされたヌクレオチド))を繰り返しナノポア内に方向付け、分子の少なくとも一部分をナノポア外に方向付ける。分子(例えば、タグまたはタグに連結されたヌクレオチド)は、酵素(例えば、ポリメラーゼ)により保持することができる。酵素により保持される単一分子の、この反復的な積載および駆出は、分子を検出するより多くの機会をもたらして有利でありうる。例えば、分子を、酵素により40ミリ秒(milliseconds(ms))にわたり保持し、AC波形を、5ミリ秒にわたり強く印加し(例えば、タグをナノポア内に方向付けるために)、5ミリ秒にわたり弱く印加する(例えば、タグをナノポア外に方向付けるために)場合、ナノポアを使用して、分子を約4回にわたり読み取ることができる。複数の読取りにより、ナノポア内および/またはナノポア外を縫うように進む分子と関連するエラーなど、エラーの是正が可能となる。
波形は、規則的形状(例えば、ある時間にわたり反復する)および不規則的形状(例えば、1時間、1日間、または1週間など、任意の適切に長い時間にわたっては反復しない)を含む任意の適切な形状を有しうる。図29は、いくつかの適切な(規則的)波形を示す。波形の例は、三角波(パネルA)、正弦波(パネルB)、鋸歯状波、方形波などを含む。
場合によって、電極は、分子の検出時に枯渇しうる。交流電流(AC)波形を印加するときなど、ナノポア越しの電圧の極性の反転(すなわち、陽性から陰極へ、または陰極から陽性へ)により、電極を再帯電させることができる。図29Cは、大きさに比例して上方に伸びる正の電圧、および大きさに比例して下方に伸びる負の電圧と共に、水平方向の破線において、ナノポア越しの電位差ゼロを示す図である。波形の形状がどのようであろうと、正の方向3100における電圧を、時間と対比させたプロットの総曲線下面積は、負の方向3101における総曲線下面積と等しくなりうる。場合によって、例えば、正の面積3100と負の面積3101とが等しい場合、電極は、適切に長い時間(例えば、1時間、1日間、または1週間)にわたり、帯電も枯渇もしない。いくつかの状況では、正の電位をナノポア越しに印加すると、第1の電流が測定され、(例えば、正の電位と大きさの絶対値が等しい)負の電位をナノポア越しに印加すると、第2の電流が測定される。第1の電流は、第2の電流と等しい可能性もあるが、場合によって、第1の電流と第2の電流とは、異なる可能性もある。例えば、第1の電流は、第2の電流未満でありうる。
場合によって、ナノポアは、比較的小さな電圧(例えば、図29の符号3100)で、比較的長時間にわたり、タグ付けされたヌクレオチドを検出し、比較的大きな電圧(例えば、図29の符号3101)で、比較的短い時間にわたり、電極を再帯電させる。場合によって、検出のための時間は、電極を再帯電させるための時間の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも50倍である。
場合によって、波形は、入力に応答して変化する。場合によって、入力は、電極の枯渇のレベルである。場合によって、電圧の極性および/または大きさは、電極の枯渇に少なくとも部分的に基づき変化し、波形は不規則的である。
繰り返し検出し、電極を短時間で(例えば、約5秒未満、約1秒未満、約500ミリ秒未満、約100ミリ秒未満、約50ミリ秒未満、約10ミリ秒未満、または約1ミリ秒未満の間にわたり)再帯電させる能力により、一定の直流(DC)電位およびDC電流を維持しうる電極と比べて小型の電極の使用が可能となり、これらは、ナノポアを通して縫うように進むポリヌクレオチドを配列決定するのに使用される。小型の電極は、表面上の多数の検出部位(例えば、電極、センシング回路、ナノポア、およびポリメラーゼを含む)を可能としうる。
表面は、任意の適切な密度(例えば、所与の長さの時間または所与の費用で核酸試料を配列決定するのに適する密度)の離散部位を含む。ある実施形態では、表面は、1mm当たりの部位約500カ所以上の密度の離散部位を有する。いくつかの実施形態では、表面は、1mm当たりの部位約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約20000、約40000、約60000、約80000、約100000、または約500000カ所の密度の離散部位を有する。いくつかの実施形態では、表面は、1mm当たりの部位少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10000、少なくとも約20000、少なくとも約40000、少なくとも約60000、少なくとも約80000、少なくとも約100000、または少なくとも約500000カ所の密度の離散部位を有する。
電極は、検出(例えば、ヌクレオチド組込みイベントの)前に、検出の間に、検出時に、または検出後に再帯電させることができる。場合によっては、電極を、約20ミリ秒(milliseconds(ms))、約40ミリ秒、約60ミリ秒、約80ミリ秒、約100ミリ秒、約120ミリ秒、約140ミリ秒、約160ミリ秒、約180ミリ秒、または約200ミリ秒で再帯電させる。場合によっては、電極を、約20ミリ秒(milliseconds(ms))未満、約40ミリ秒未満、約60ミリ秒未満、約80ミリ秒未満、約100ミリ秒未満、約120ミリ秒未満、約140ミリ秒未満、約160ミリ秒未満、約180ミリ秒未満、約200ミリ秒、約500ミリ秒未満、または約1秒未満で再帯電させる。
セル回路
セル回路の例を、図4に示す。印加される電圧Vaは、MOSFET電流コンベアゲート401の手前のオペアンプ1200に印加する。この図ではまた、電極402ならびにデバイス403により検出される核酸および/またはタグの抵抗も示される。
印加される電圧Vaは、電流コンベアゲート401を駆動しうる。よって、電極上で結果として得られる電圧は、Va−Vt[式中、Vtは、MOSFETの閾値電圧である]である。場合によって、MOSFET閾値電圧は、工程、電圧、温度にわたり大幅に変化する可能性があり、チップ内のデバイス間でもなお大幅に変化する可能性があるので、これは、電極に印加される実際の電圧の制御の限定を結果としてもたらす。このVtの変化は、閾値未満のリーク効果が役割を果たしうる低い電流レベルで大きくなりうる。したがって、印加される電圧のより良好な制御をもたらすために、電流コンベアデバイスによるフォロワーフィードバック構成でオペアンプを使用することができる。これにより、電極に印加された電圧がVaであり、MOSFET閾値電圧の変化に依存しないことを確保する。
セル回路の別の例を、図5に示すが、これは、積分器、比較器、制御ビットをシフトインし、同時に、比較器出力の状態をシフトアウトするためのデジタルロジックを含む。セル回路は、本明細書で提示されるシステムおよび方法による使用に適合させることができる。B0〜B1の回線は、シフトレジスタに由来しうる。アナログシグナルは、バンク内の全てのセルにより共有されるが、デジタル回線は、セルからセルにデイジーチェーン接続される。
セルデジタルロジックは、5ビットのデータシフトレジスタ(DSR)、5ビットのパラレルロードレジスタ(PLR)、制御ロジック、およびアナログ積分器回路を含む。LINシグナルを使用して、DSRにシフトされた制御データを、PLRにパラレルロードする。これらの5ビットにより、セル内のスイッチを制御するデジタル「ブレークビフォーメーク」タイミングのロジックを制御する。加えて、デジタルロジックは、比較器出力の切換えを記録するセットリセット(SR)ラッチも有する。
アーキテクチャは、個々のセル電流に比例して、可変試料速度を送達する。大きな電流は、小さな電流より1秒間当たりに多くの試料を結果としてもたらしうる。電流測定の分解能は、測定される電流と関連する。小さな電流は、大きな電流より精緻な分解能で測定することができ、これは、分解能固定式測定システムを凌駕する利益でありうる。アナログ入力により、使用者が、積分器の電圧振幅を変化させることにより、試料速度を調整することが可能となる。生物学的に迅速な過程を解析するために、試料速度を増大させることが可能な場合もあり、または生物学的に緩徐な過程を解析するために、試料速度を減速する(そして、これにより精度を増大させる)ことが可能な場合もある。
積分器の出力をLVB(低電圧バイアス)電圧に初期化し、CMP電圧まで積分する。これらの2つのレベルの間で積分器の出力が振幅するときはいつも、試料が作成されている。したがって、電流が大きいほど、積分器の出力は急速に振幅し、試料速度も速くなる。同様に、CMP電圧が低減されると、新たな試料を作成するのに必要とされる積分器の出力振幅も低減され、したがって、試料速度も増大する。したがって、LVBとCMPとの間の電圧差を低減するだけで、試料速度を増大させる機構がもたらされる。
ナノポアベースの配列決定チップは、アレイとして構成された多数の自立作動型セルまたは個別にアドレス可能なセルを組み込みうる。例えば、百万個のセルによるアレイであれば、1000行のセル×1000列のセルで構築しうるであろう。例えば、ヌクレオチド組込みイベント時に放出されるタグを、ナノポアにより検出する場合、このアレイで、伝導差を測定することにより、核酸分子の並行配列決定が可能となる。なおさらに、この回路を実装することにより、ポア−分子複合体の伝導特徴を決定することが可能となり、これは、タグの間の識別において有益でありうる。
電流の測定を実施するために、組み込まれたナノポア/二重層電子セル構造により、適切な電圧を印加することができる。例えば、適正に実施するためには、(a)電極電位を制御し、かつ、同時に(b)電極電流もモニタリングすることが必要でありうる。
なおさらに、セルを互いから独立に制御することも必要でありうる。異なる物理的状態にありうる多数のセルを扱うためには、セルの独立の制御が要請されうる。電極に印加される区分的線形電圧波形による刺激の精密な制御を使用して、セルの物理的状態の間を移行することができる。
回路サイズおよび複雑性を低減するためには、2つの個別の電圧を印加するためのロジックを用意するので十分でありうる。これにより、セルと、対応する、印加される状態移行刺激とについての、2つの独立の群分けが可能となる。発生の確率が比較的小さい場合、状態の移行は、性格において確率論的である。したがって、適切な制御電圧をアサートし、その後、測定を実施して、所望の状態の移行が生じたのかどうかを決定することが高度に有用でありうる。例えば、適切な電圧をセルに印加し、次いで、電流を測定して、二重層が形成されたのかどうかを決定することができる。セルは、2つの群:(a)二重層を形成し、もはや電圧を印加する必要がないセル(ヌル操作(NOP)(すなわち、同じ状態にとどまる)を実行するために、これらのセルには、0Vのバイアスを印加することができる);および(b)二重層が形成されなかったセル(これらのセルには、二重層形成のための電圧を再度印加することになる)に分けられる。
実質的な単純化および回路サイズの低減は、許容可能な、印加される電圧を2つに制約し、バッチ内のセルに、物理的状態の間を繰り返し移行させることにより達成することができる。例えば、許容可能な、印加される電圧を制約することにより、少なくとも1.1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または100分の1の低減を達成することができる。
ナノポアアレイ
本発明は、分子を検出し、かつ/または核酸を配列決定するための、ナノポアアレイ型検出器(またはセンサ)を提供する。図6を参照すると、ナノポアアレイ型検出器上で、複数の(例えば、核酸)分子を検出および/または配列決定することができる。この図で、各ナノポアの位置(例えば、601)は、ポリメラーゼ酵素および/またはホスファターゼ酵素に任意選択で接合されたナノポアを含む。本明細書で記載される各アレイ位置にはまた一般に、センサも存在する。いくつかの例では、核酸ポリメラーゼに接合されたナノポアアレイが提供され、タグ付けされたヌクレオチドがポリメラーゼと共に組み込まれる。重合化時に、タグは、ナノポアにより検出される(例えば、ナノポア内もしくはナノポアを通して放出および通過させることにより、またはナノポアに提示することにより)。
ナノポアアレイは、任意の適する数のナノポアを有しうる。場合によって、アレイは、約200、約400、約600、約800、約1000、約1500、約2000、約3000、約4000、約5000、約10000、約15000、約20000、約40000、約60000、約80000、約100000、約200000、約400000、約600000、約800000、約1000000個などのナノポアを含む。場合によって、アレイは、少なくとも200、少なくとも400、少なくとも600、少なくとも800、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、少なくとも10000、少なくとも15000、少なくとも20000、少なくとも40000、少なくとも60000、少なくとも80000、少なくとも100000、少なくとも200000、少なくとも400000、少なくとも600000、少なくとも800000、または少なくとも1000000個のナノポアを含む。
ナノポアアレイ型検出器は、高密度の離散部位を有しうる。例えば、単位面積当たり比較的多数の部位(すなわち、密度)は、携帯可能であるか、廉価であるか、または他の有利な特色を有しうる、小型デバイスの構築を可能とする。アレイ内の個々の部位は、個別にアドレス可能な部位でありうる。ナノポアおよびセンシング回路を含む多数の部位は、比較的多数の核酸分子が、例えば、並行配列決定を介するなど、一度に配列決定されることを可能としうる。このようなシステムは、スループットを増大させ、かつ/または核酸試料を配列決定する費用を減少させることが可能である。
表面は、任意の適切な密度(例えば、所与の長さの時間で、または所与の費用で核酸試料を配列決定するのに適する密度)の離散部位を含む。各離散部位は、センサを含みうる。表面は、1mm当たりの部位約500カ所以上の密度の離散部位を有しうる。いくつかの実施形態では、表面は、1mm当たりの部位約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約20000、約40000、約60000、約80000、約100000、または約500000カ所の密度の離散部位を有する。場合によっては、表面は、1mm当たりの部位少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、少なくとも6000、少なくとも7000、少なくとも8000、少なくとも9000、少なくとも10000、少なくとも20000、少なくとも40000、少なくとも60000、少なくとも80000、少なくとも100000、または少なくとも500000カ所の密度の離散部位を有する。
いくつかの例では、試験チップは、各々66個ずつのセンサセルによる4つの個別の群(バンクとしてもまた公知の)に配置された264個のセンサによるアレイを含む。各群は、各列に22個ずつのセンサ「セル」を伴う3つの「列」に分けられる。理想的には、仮想セルが、脂質二重層を含み、挿入されるナノポアが、アレイ内の264個のセンサの各々の上方に形成されることを踏まえると、「セル」という名称は適切である(デバイスがうまく作動しうるのは、このように密集したセンサセルのうちのある割合だけによってであるが)。
成形表面には、伝導性シリンダ内に含有される液体に電位を印加する、単一のアナログI/Oパッドが取り付けられる。この「液間」電位は、ポアの上側に印加され、検出器アレイ内の全てのセルに共通である。ポアの下側は露出された電極を有し、各センサセルは、その電極に、顕著に異なる下側電位を印加しうる。次いで、上部液体への接続部と、ポアの下側における各セルの電極への接続部との間の電流を測定する。センサセルにより、ポアを通して流れる電流であって、ポア内を通過するタグ分子により調節される電流を測定する。
場合によっては、5ビットにより、各センサセルのモードを制御する。図7への参照を続けると、アレイ内の264個のセルの各々は、個別に制御することができる。値は、66個ずつのセルによる群に個別に適用される。群内の66個ずつのセルの各々のモードは、330(セル1個当たり66×5ビット)のデジタル値の、データシフトレジスタ(DSR)へのシリアルシフトにより制御する。これらの値は、66個ずつのセルによる各群に個別のピン対を伴うKIN(クロック)ピン、およびDIN(データイン)ピンを使用して、アレイにシフトさせる。
こうして、330クロックを使用して、330ビットを、DSRシフトレジスタにシフトさせる。第2の330ビットによるパラレルロードレジスタ(PLR)は、対応するLIN<i>(ロード入力)が大きいとアサートされると、このシフトレジスタからパラレルロードされる。PLRがパラレルロードされるのと同時に、セルのステータス値が、DSRにロードされる。
完全な動作は、330データビットを、DSRにシフトインする330クロック、LINシグナルを大きいとアサートする単一のクロックサイクルに続いて、DSRからシフトアウトされる、捕捉されたステータスデータを読み取る330クロックサイクルを含みうる。330ビットがアレイから読み取られる間に、新たな330ビットをDSRに同時にシフトさせうるように、作動をパイプライン化する。したがって、クロック周波数を50MHzとするとき、読取りのためのサイクル時間は、331/50MHz=6.62usである。
核酸試料を配列決定するためのコンピュータシステム
本発明のデバイス、システム、および方法は、コンピュータシステムを一助として調節することができる。図8は、ナノポアによる検出および/または核酸配列決定システム802に連結されたコンピュータシステム801を含むシステム800を示す。コンピュータシステム801は、1または複数のサーバでありうる。コンピュータシステム801をプログラムして、試料の調製および加工、ならびに配列決定システム802による核酸の配列決定を調節することができる。ナノポアによる検出および/または配列決定システム802は、本明細書で記載されるナノポアベースの配列決定装置(または検出器)でありうる。
コンピュータシステムをプログラムして、本発明の方法を実装することができる。コンピュータシステム801は、中央処理装置(CPU;本明細書ではまた「プロセッサ」とも称する)805を含み、これは、シングルコアプロセッサの場合もあり、マルチコアプロセッサの場合もあり、並列処理のための複数のプロセッサの場合もある。プロセッサ805は、集積回路などの回路の一部でありうる。いくつかの例では、プロセッサ805は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に組み込むことができる。コンピュータシステム801はまた、メモリ810(例えば、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置815(例えば、ハードディスク)、1または複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース820(例えば、ネットワークアダプタ)、および周辺デバイス825など、キャッシュ、他のメモリ、データ保存および/または電子ディスプレイ用アダプタも含む。メモリ810、記憶装置815、インターフェース820、および周辺デバイス825は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU805と連通している。記憶装置815は、データを保存するためのデータ記憶装置(またはデータレポジトリ)でありうる。コンピュータシステム801は、通信インターフェース820を一助として、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)に作動的に連結することができる。ネットワークは、インターネット、インターネットと連通しているインターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはイントラネットおよび/もしくはエクストラネットでありうる。ネットワークは、分散コンピューティングを可能としうる1または複数のコンピュータサーバを含みうる。
いくつかの例では、コンピュータシステム801は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。このような場合、プロセッサ805は、除外することができる。
本発明の方法は、例えば、メモリ810または電子記憶装置815など、コンピュータシステム801の電子記憶場所に保存される、マシン(またはコンピュータプロセッサ)に実行可能なコード(またはソフトウェア)により実装することができる。使用時において、コードは、プロセッサ805により実行することができる。場合によっては、コードを記憶装置815から検索し、プロセッサ805による容易なアクセスのために、メモリ810に保存することができる。いくつかの状況では、電子記憶装置815を除外することができ、マシンに実行可能な命令をメモリ810に保存する。
コードは、コードを実行するように適合されているプロセッサを有するマシンを伴う使用のためにプレコンパイルおよび構成することもでき、ランタイム中にコンパイルすることもできる。コードは、コードがプレコンパイルされた形で、またはコンパイルされた通りの形で実行することを可能とするように選択されうるプログラミング言語により提供される場合もある。
コンピュータシステム801は、例えば、氏名、住所、電子メールアドレス、電話番号、インスタントメッセージ(IM)ハンドル、学歴情報、職歴情報、好きなものおよび/または嫌いなもの、ならびに使用者または他の使用者に対して潜在的に関与性である他の情報などの使用者プロファイル情報を保存するように適合されていてもよい。このようなプロファイル情報は、コンピュータシステム801の記憶装置815に保存することができる。
コンピュータシステム801など、本明細書で提示されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングにより具体化することができる。技術の多様な態様は、典型的には、マシンで読取り可能な種類の媒体に収録され、これにより具体化される、マシン(またはプロセッサ)に実行可能なコードおよび/または関連するデータの形態における「製品」または「製造品」と考えることができる。マシンに実行可能なコードは、メモリ(例えば、ROM、RAM)またはハードディスクなどの電子記憶装置に保存することができる。「記憶」型媒体は、ソフトウェアプログラミングのための、任意の時点における非一時的保存をもたらしうる、コンピュータの有形のメモリ、プロセッサなど、または多様な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなど、これらの関連するモジュールのうちのいずれかまたは全てを含みうる。ソフトウェアの全てまたは一部分は、時折、インターネットまたは他の多様な通信ネットワークを介して通信することができる。このような通信は、例えば、ソフトウェアを、1つのコンピュータまたはプロセッサから、別のコンピュータまたはプロセッサにロードすること、例えば、管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームにロードすることを可能としうる。したがって、ソフトウェアエレメントを保有しうる別の種類の媒体は、有線および光学的陸線ネットワークを介して、かつ、多様な無線により、ローカルデバイス間の物理的インターフェース越しに使用される光波、電波、および電磁波などを含む。有線接続または無線接続、光学的接続など、このような波を搬送する物理的エレメントもまた、ソフトウェアを保有する媒体と考えることができる。非一時的な有形の「記憶」媒体に制約されない限り、本明細書で使用されるコンピュータまたはマシンに「読取り可能な媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。
よって、コンピュータ実行可能なコードなど、マシンで読取り可能な媒体は、有形の保存媒体、搬送波媒体、または物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとりうる。非揮発性保存媒体は、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するのに使用しうるような、任意のコンピュータ(複数可)内の保存デバイスなどのうちのいずれかなどの光学ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性保存媒体は、このようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。有形の伝送媒体は、同軸ケーブル;コンピュータシステム内のバスを含む導線を含む銅線および光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気シグナルもしくは電磁シグナル、またはラジオ周波数(RF)および赤外線(IR)によるデータ通信時に発生する音波もしくは光波などの音波もしくは光波の形態をとりうる。したがって、コンピュータに読取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD−ROM、DVD、もしくはDVD−ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード用の紙テープ、孔のパターンによる他の任意の物理的保存媒体、RAM、ROM、PROM、およびEPROM、FLASH−EPROM、他の任意のメモリチップもしくはキャリッジ、搬送波移送型データもしくは命令、このような搬送波を移送するケーブルもしくは接続、またはコンピュータによりプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取りうる他の任意の媒体を含む。これらのコンピュータに読取り可能な媒体の形態のうちの多くは、1または複数の命令の1または複数の連鎖を、実行のためのプロセッサに搬送することに関与しうる。
核酸配列決定
核酸を配列決定するための方法は、配列決定される核酸を有する生物学的試料を回収するステップと、核酸試料を生物学的試料から抽出または他の形で単離するステップと、場合によっては、核酸試料を配列決定用に調製するステップとを含みうる。
図9は、核酸試料を配列決定するための方法を概略的に例示する。方法は、核酸分子を生物学的試料(例えば、組織試料、体液試料)から単離するステップと、核酸試料を配列決定用に調製するステップとを含む。配列決定は、核酸試料の個々の核酸塩基の順序を含む塩基構成を決定することを伴いうる。場合によって、核酸試料は、細胞から抽出される。核酸を抽出するための技法の例は、リゾチーム、超音波処理、抽出、高圧、またはこれらの任意の組合せの使用である。核酸は、場合によって、無細胞核酸であり、細胞からの抽出を要請しない。
場合によって、核酸試料は、タンパク質、細胞壁破砕物、および他の構成要素を核酸試料から除去することを伴う工程により、配列決定用に調製することができる。これを達成するために、例えば、スピンカラムなど、多くの市販製品が利用可能である。エタノール沈殿および遠心分離もまた、使用することができる。
核酸試料は、アレイ内に複数のナノポアを含むデバイスを一助とするなど、核酸配列決定を容易としうる複数の断片に分割(または破砕)することができる。しかし、配列決定される核酸分子(複数可)を破砕することは必要でない場合もある。
場合によっては、長い配列が決定される(すなわち、「ショットガン配列決定」法は、要請されない場合もある)。任意の適切な長さの核酸を配列を決定することができる。例えば、少なくとも約5、約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約800、約1000、約1500、約2000、約2500、約3000、約3500、約4000、約4500、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約20000、約40000、約60000、約80000、または約100000などの塩基を配列決定することができる。場合によっては、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも800、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも3500、少なくとも4000、少なくとも4500、少なくとも5000、少なくとも6000、少なくとも7000、少なくとも8000、少なくとも9000、少なくとも10000、少なくとも20000、少なくとも40000、少なくとも60000、少なくとも80000、少なくとも100000などの塩基が配列決定される。場合によって、配列決定される塩基は、連続的である。場合によって、配列決定される塩基は、連続的ではない。例えば、所与の数の塩基を、一続きに配列決定することができる。別の例では、1または複数の配列決定される塩基を、配列情報が決定されておらず、かつ/または入手可能でない、1または複数のブロックで隔てることができる。いくつかの実施形態では、鋳型を、任意選択で、冗長性の配列情報を発生させながら、複数回にわたり(例えば、環状核酸鋳型を使用して)配列決定することができる。場合によっては、ソフトウェアを使用して、配列をもたらす。場合によっては、核酸試料を、配列決定する前に分割することができる。場合によっては、二重鎖DNA領域、または二重鎖RNA/DNA領域の対応するセンス部分およびアンチセンス部分が、環状DNA分子または環状DNA/RNA分子内に含まれるよう、所与の二重鎖DNA領域、または二重鎖RNA/DNA領域が環状となるように、核酸試料鎖を加工することができる。このような場合、このような分子から配列決定される塩基は、より容易なデータ構築および塩基位置の読取りのチェックを可能としうる。
本発明のシステムおよび方法を使用して、核酸(例えば、DNA、RNA)およびタンパク質など、多様な種類の生物学的試料を配列決定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される方法、デバイス、およびシステムを使用して、生物学的試料(例えば、タンパク質または核酸)を分取することができる。分取された試料および/または分子は、さらなる解析のために、多様なビンに方向付けることができる。
核酸分子は、直接的に(例えば、核酸に、図2Bに示すナノポアを通して通過させることにより)配列決定することもでき、間接的に(例えば、図2Cに示す通り、放出されるタグ分子を検出することにより)配列決定することもできる。
核酸試料を配列決定するための方法およびシステム
本明細書では、1もしくは複数のナノポアを使用するか、またはこれらを一助として、核酸を配列決定するための方法、デバイス、およびシステムが記載される。1または複数のナノポアは、集積回路の一部であるか、または集積回路に連結されたセンシング電極に隣接または近接して配置される、膜内のナノポア(例えば、脂質二重層)でありうる。
いくつかの例では、ナノポアデバイスは、センシング電極に隣接または近接する、膜内の単一のナノポアを含む。他の例では、ナノポアデバイスは、センサ回路またはセンシング電極に近接する、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1000、または10,000個のナノポアを含む。1または複数のナノポアは、個々の電極およびセンシング集積回路または複数の電極およびセンシング集積回路と関連させることができる。
システムは、1または複数のナノポアデバイスを含む反応チャンバを含みうる。ナノポアデバイスは、個別にアドレス可能なナノポアデバイス(例えば、シグナルを検出し、システム内の他のナノポアデバイスから独立した出力をもたらすことが可能なデバイス)でありうる。個別にアドレス可能なナノポアは、個別に読取り可能でありうる。場合によっては、個別にアドレス可能なナノポアは、個別に書き込み可能でありうる。代替法として述べると、個別にアドレス可能なナノポアは、個別に読取り可能であり、かつ、個別に書き込み可能でありうる。システムは、試料の調製および核酸の配列決定など、本開示の多様な動作を容易とするための、1または複数のコンピュータプロセッサを含みうる。プロセッサは、ナノポアデバイスに連結することができる。
ナノポアデバイスは、複数の個別にアドレス可能なセンシング電極を含みうる。各センシング電極は、電極に隣接した膜、および膜内の1または複数のナノポアを含みうる。
本発明の方法、デバイス、およびシステムは、核酸分子がナノポアを通して通過するときに、核酸塩基を検出しうる。核酸分子は、参照によりその全体において組み込まれる、PCT特許公開第WO2007/146158号において記載されている通り、修飾して、それらがナノポアを通して通過するときに、多様な塩基の間でよりたやすく差別化することができる。
RNA減速バンプ(RNA speed bump)および嵩高い構造
本明細書では、ポリヌクレオチドを配列決定するためのシステムおよび方法が提供される。特に、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、分子(例えば、ポリヌクレオチド)の、ナノポア(または一部の種類のタンパク質または突然変異体タンパク質)の内部、ナノポア(または一部の種類のタンパク質または突然変異体タンパク質)を通して、または少なくとも部分的にナノポア(または一部の種類のタンパク質または突然変異体タンパク質)を通しての制御、速さ、動き、および/または移動を最適化する。場合によっては、十分な電流狭窄情報を蓄積して、ポリヌクレオチドの一本鎖領域内の連続ヌクレオチドにより、分子および/または配列を同定するために、通過速度を、十分な長さの時間にわたり、十分に減速するかまたは失速させる。すなわち、いくつかの実施形態では、標的の一本鎖部分(「ss」)が精査され、遺伝子解析がなされ、検出される間のある長さの時間にわたり、それらの二本鎖部分が、ナノポアの一部分の内部に「貼り付けられる」ように、減速バンプ(例えば、オリゴヌクレオチドnマー)を、標的ポリヌクレオチドに結合させることができる。ある長さの時間の後、「貼り付けられた」オリゴヌクレオチドは、溶融させて消失させることができ、試料は、ナノポアを通して移動しうる。いくつかの実施形態では、試料が、制御され、かつ/または一定の速度でナノポアを通して移動するよう、各オリゴヌクレオチドnマーが溶融して消失しうるか、または均一の速度で除去されるように、オリゴヌクレオチドnマーを選択することができる。減速バンプ分子の使用は、参照によりその全体において組み込まれる、PCT特許公開第WO2012/088339号、およびPCT特許公開第WO2012/088341号において記載されている。
驚くべきことに、核酸がナノポアを通して通過する速度は、リボ核酸(RNA)を含む減速バンプを使用して制御することができる。減速バンプは、RNA骨格に沿って任意選択で配置されるユニバーサル塩基を含みうる。核酸分子は、分子に、本明細書で記載されるナノポアを通して通過させることにより配列決定することができるが、核酸の通過速度は、核酸配列を正確に決定し、かつ/または個々の核酸位置を分解するには急速に過ぎることが多い。RNA減速バンプは、核酸分子がナノポアを通して通過する速度を効果的に低減することもでき、かつ/または核酸分子がナノポアを通して通過する速さを効果的に制御することもできる。
ある態様では、核酸分子を配列決定するための方法は、電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップを含む。電極は、核酸分子またはその一部分を検出するように適合されていてもよい。方法は、核酸分子をナノポアを通して方向付けるステップもさらに含みうる。核酸分子のナノポアを通しての進行は、核酸分子と会合させた少なくとも1つのリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を一助として停止または失速させることができる。方法は、核酸分子が、ナノポアを通して通過するときに、核酸分子またはその一部分を配列決定するステップもさらに含みうる。
別の態様では、核酸分子の配列情報を得るための方法は、核酸分子と会合させた、少なくとも1つのリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を含有する二重鎖セグメントを形成するステップと、核酸分子に、膜内のナノポアを通して流動させるステップとを含む。膜を、電極に隣接または近接して配置し、核酸分子に、ナノポアを通して流動させ、二重鎖セグメントを、ナノポアに方向付ける。方法は、核酸分子に、ナノポアを通して流動させるときに、電極からの電気シグナルを得るステップもさらに含みうる。電気シグナルは、核酸分子の1または複数の塩基とナノポアとの相互作用と関連させることができ、核酸分子の流動は、二重鎖セグメントを一助として低減することができる。
いくつかの実施形態では、RNA減速バンプ分子(RNA speed-bump molecule)を、核酸分子と非共有結合的に会合させる(例えば、減速バンプと核酸との間の塩基対相互作用など、非共有結合を形成する)。
RNA減速バンプ分子は、1または複数のオリゴヌクレオチド塩基の配列を含有するオリゴヌクレオチドを含みうる。減速バンプ分子は、最大2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のオリゴヌクレオチド塩基を含む任意の長さを有しうる。場合によっては、RNA減速バンプ分子は、ユニバーサル塩基、モルホリノ、グリコールヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、メチル化核酸塩基、修飾塩基、非結合塩基模倣体、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、またはこれらの任意の組合せを有する。
減速バンプ分子は、膜の1または複数の側で核酸と会合させることができる。いくつかの実施形態では、RNA減速バンプ分子を、膜のシス側(例えば、電極から遠い側)で核酸分子と会合させる。いくつかの実施形態では、RNA減速バンプ分子を、膜のトランス側で(例えば、電極に近い側で)核酸分子と会合させる。場合によっては、RNA減速バンプ分子を、膜のシス側および膜のトランス側で核酸分子と会合させる。RNA減速バンプ分子は、核酸分子が、ナノポアを通して通過するときに、核酸分子から解離しうる。いくつかの実施形態では、方法は、二重鎖セグメント内に含まれる核酸分子の一部分に、ナノポアを通して流動させる前に、RNA減速バンプ分子を核酸分子から解離させるステップをさらに含む。核酸分子は、一本鎖であることが可能である。
核酸分子のナノポアを通しての進行は、核酸分子と会合させた複数のRNA減速バンプ分子を一助として、減速するか、停止させるか、または失速させることができる。RNA減速バンプ分子がナノポアと相互作用すると、流動は低減されうる(例えば、ナノポアは、ナノポアを通しての核酸分子の流動を制限する狭窄部を含有する)。核酸分子のナノポアを通しての進行を停止または失速させるときに、任意の適切な数の塩基を同定する(例えば、ナノポアにより配列決定する)ことができる。いくつかの実施形態では、核酸分子の単一の塩基が同定される。場合によっては、核酸分子の最大2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10以上の塩基が同定される(例えば、群として)。
場合によっては、方法は、核酸分子をナノポア内にトラップするステップをさらに含む。核酸分子は、核酸分子の1または複数の末端部分に形成された嵩高い構造を一助として、ナノポア内にトラップすることが可能である。場合によって、核酸分子は、核酸分子の1または複数の末端部分に取り付けられた(例えば、ライゲーションされた)嵩高い構造を一助として、ナノポア内にトラップされる。いくつかの実施形態では、方法は、核酸分子の流動の方向を反転させるステップをさらに含む。核酸分子またはその一部分は、核酸分子の流動の方向を反転させることにより再配列決定することができる。
ある態様では、本発明を、ナノポア型検出器を使用して、被験ポリヌクレオチド内の配列を検出および/または同定するための方法に方向付ける。同じナノポア型検出器により、同じ被験ポリヌクレオチドを、複数回にわたり読み取りうるように、ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列の末端(複数可)に形成された1つまたは2つの嵩高い構造により、ナノポア内にトラップすることができる。さらにまた、各嵩高い構造を、5’末端または3’末端に結合させて、試料ポリヌクレオチドに、ポア内を、公知の方向に、縫うように進ませることもできる。
公知の配列を検出/同定するために、公知の減速バンプを使用して、被験ポリヌクレオチド内の公知の配列に結合させることができる。この方法を使用して、限定なしに述べると、被験ポリヌクレオチドが適正にナノポア内を縫うように進んだかどうか、被験ポリヌクレオチドがどの試料供給源に由来するのかを検出し、ナノポア内にトラップされる被験ポリヌクレオチドを個別に同定することができる。さらにまた、被験ポリヌクレオチドは、同じナノポアから得られる他の電気シグナルを較正するための基準として使用しうる電気シグナルを発生させる基準シグナルインジケータもさらに含みうる。さらにまた、同時的な配列決定および/または分子の特徴付けのために、複数の被験ポリヌクレオチドを、複数のナノポアにより同時に解析することもできる。複数のナノポアは、個別にアドレス可能な場合もあり、かつ/または電位を個別に印加される場合もある。したがって、複数の被験ポリヌクレオチドを同時に解析して、任意選択で、1または複数の所望の公知の配列を有するポリヌクレオチドをまず同定することができる。所望の公知の配列を有さないポリヌクレオチドは、さらなる特徴付けを伴わずに放出することができる。所望の公知の配列を有するポリヌクレオチドは、本明細書で記載される通り、さらに特徴付けし、任意選択で単離および濃縮することもできる。
ランダム減速バンププールを使用して、被験ポリヌクレオチドまたはその断片に、ランダムな形で結合させることができる。したがって、被験ポリヌクレオチドまたはその断片の各ヌクレオチドは、ナノポア内で、ヌクレオチドの配列情報を収集するのに十分な程度に長い時間にわたり失速させることができる。被験ポリヌクレオチドまたはその断片のヌクレオチド配列は、得られた全ての配列情報をまとめることにより同定することができる。被験ポリヌクレオチドは、情報(例えば、嵩高い構造の形成、被験ポリヌクレオチドの供給源、および被験ポリヌクレオチドの同定)をもたらすための方向識別子、基準シグナル識別子、試料供給源識別子、試料識別子などの公知の構造もさらに含みうる。被験ポリヌクレオチドは、被験ポリヌクレオチドを単離および濃縮するための単離用タグもさらに含みうる。いくつかの実施形態では、複数の被験ポリヌクレオチドを、複数のナノポア(例えば、アレイ内のナノポア)により検出/同定する。本明細書で記載される方法は、検出/同定される各被験ポリヌクレオチドに適用することができる。ナノポアは、個別にアドレス指定および制御して、その中の被験ポリヌクレオチド(複数可)を選択的に検出/同定/収集/濃縮することができる。
図10に例示する通り、一本鎖(ss)ポリヌクレオチド分子は、印加される電位下でナノポアを通して進みうる。ssポリヌクレオチドは、被験ポリヌクレオチドでありうる。ssポリヌクレオチド分子によるナノポアを通してのイオン流動の遮断に対応する電気シグナルのセットは、ssポリヌクレオチド分子に、ナノポアを通して縫うように進ませるときに検出することができる。減速バンプまたは嵩高い構造の非存在下では、ssポリヌクレオチド分子は、ほとんど抵抗に遭遇せず、ssポリヌクレオチドを配列決定するための電気シグナルを信頼できる形で記録するにはあまりに急速にナノポアを通して移動する。例示される例では、ssポリヌクレオチドを、ナノポアを通しての膜のシス側(すなわち、センシング電極から遠い側に配置される膜の側)から、膜のトランス側(すなわち、センシング電極に向かって配置される膜の側)に方向付ける。
嵩高い構造(BS)を使用して、ssポリヌクレオチドのナノポアを通しての通過を減速することもでき、停止させることもできる。図11は、ss被験ポリヌクレオチド分子のナノポアを通しての通過を停止させるのに使用される終端BSを例示する。BSは、ss被験ポリヌクレオチドの終端をそれ自体でラッピングすることにより、ss被験ポリヌクレオチドの一方の末端に形成されたヘアピン構造でありうる。典型的には、ss被験ポリヌクレオチドは、嵩高いヘアピン構造が、ナノポアの入口に到達するまで、印加される電位下で、ナノポアを通して縫うように進ませることができる。ヘアピン構造は、ナノポアの直径より大きいので、ss被験ポリヌクレオチドをナノポア内で、ss被験ポリヌクレオチドの電気シグナルのセットを得るのに十分な程度に長く失速させる。しかし、得られる電気シグナルは、ヘアピンの前にあるか、または特殊な二重鎖領域の前にあり、したがって、ナノポアの狭窄領域内にあるかまたはこの近くにあるポリヌクレオチドの一部分だけの構造を反映しうる。
図12は、2つの嵩高い構造によりナノポア内にトラップされるss被験ポリヌクレオチドを例示する。ナノポアによる検出は、減速バンプとss被験ポリヌクレオチドとの間の1または複数の短いポリヌクレオチド二重鎖区間(減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメント)が形成されうるように、室温より低いことが可能である作業温度および/または嵩高い構造が形成される温度で実行する。減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントは、ss被験ポリヌクレオチドを、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの前にあるss被験ポリヌクレオチドセグメント、および減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの最初の塩基対の配列情報を得るのに十分な滞留時間にわたり、減速するかまたは失速させることが可能である。次いで、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントは解離することが可能であり、ss被験ポリヌクレオチドに、ナノポアを通して、別の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントにより失速させるか、またはss被験ポリヌクレオチドの一方の末端上の嵩高い構造により失速させるか、減速するか、もしくは停止させるまで、前方に移動させることができる。ss被験ポリヌクレオチドが一方の末端に到達したら、電位の極性を任意選択で反転させて、ss被験ポリヌクレオチドを、反転させた方向に移動させ、工程を所望に応じて反復することができる。
ss被験ポリヌクレオチドが、未知の配列(例えば、試料ポリヌクレオチド)を有する場合は、ランダム減速バンププールを構築して、ss被験ポリヌクレオチドのランダムな区間に結合させることができる。あらゆるss被験ポリヌクレオチドの区間には、ランダム減速バンププール内の少なくとも1つの減速バンプを結合させうるので、ss被験ポリヌクレオチドを、ランダム減速バンププールと接触させることによりそのたびごとに達成される結合パターンは、ランダムでありうる(例えば、図13)。したがって、その配列情報が得られるセグメントもまた、試行のたびごとにランダムでありうる(例えば、図14)。しかし、記載される通りに工程を反復することにより、配列が未知の各ヌクレオチドおよびあらゆるヌクレオチドを、ナノポア型検出器により同定することが可能となる。したがって、ss被験ポリヌクレオチドのランダムな区間の得られた配列情報を重ね合せることにより、未知の全配列を構築することができる。
ss被験ポリヌクレオチドが、1または複数の公知の配列(例えば、識別子)を含む場合もまた、本明細書で記載される方法を使用して、1または複数の識別子の存在を検出し、かつ/またはss被験ポリヌクレオチドの流動方向で識別子の前にある、ss被験ポリヌクレオチド上の配列を同定することができる。ss被験ポリヌクレオチドは、BSを一方だけの末端に有する場合(図15)もあり、両端に有する場合もある。ナノポア型検出器は、任意選択で、室温より低い作業温度で作動させる。識別子(例えば、識別子1;図15)に特異的に結合して、減速バンプ−識別子二重鎖セグメントを形成しうる減速バンプを含む減速バンププールを使用することができる。減速バンプ−識別子二重鎖セグメントにより、ss被験ポリヌクレオチドを失速させ、電気シグナルのセットを得ることができる。これらのシグナルを特徴付けて、識別子の存在を示すか、またはss被験ポリヌクレオチドの流動方向で識別子の前のセグメントの配列を同定することができる。このような電気シグナルの例を、図16に示す。
被験ポリヌクレオチドのデザインおよび試料ポリヌクレオチドからの構築
ある実施形態では、試料ポリヌクレオチドを、多様な機能的部分と連結して、ナノポアの配列決定および/または同定を容易とする。機能的部分の例は、限定なしに述べると、本明細書で記載される嵩高前構造および識別子、ならびに試料ポリヌクレオチドの単離および濃縮を容易とする単離用タグを含む。機能的部分は、任意選択で、1または複数のヌクレオチドを含む。
試料ポリヌクレオチドは、合成ポリヌクレオチドの場合もあり、生物学的試料から得られるポリヌクレオチドの場合もある。ある実施形態では、試料ポリヌクレオチドは、1〜約100,000塩基、1〜約10,000塩基、1〜約1,000塩基、1〜約500塩基、1〜約300塩基、1〜約200塩基、1〜約100塩基、約5〜約100,000塩基、約5〜約10,000塩基、約5〜約1,000塩基、約5〜約500塩基、約5〜約300塩基、約5〜約200塩基、約5〜約100塩基、約10〜約100,000塩基、約10〜約10,000塩基、約10〜約1,000塩基、約10〜約500塩基、約10〜約300塩基、約10〜約200塩基、約10〜約100塩基、約20〜約100,000塩基、約20〜約10,000塩基、約20〜約1,000塩基、約20〜約500塩基、約20〜約300塩基、約20〜約200塩基、約20〜約100塩基、約30〜約100,000塩基、約30〜約10,000塩基、約30〜約1,000塩基、約30〜約500塩基、約30〜約300塩基、約30〜約200塩基、約30〜約100塩基、約50〜約100,000塩基、約50〜約10,000塩基、約50〜約1,000塩基、約50〜約500塩基、約50〜約300塩基、約50〜約200塩基、または約50〜約100塩基を有する。
嵩高前構造
いくつかの実施形態では、ss被験ポリヌクレオチドは、第1の条件下で第1の嵩高い構造(BS1)を形成しうる、第1の末端上の第1の嵩高前構造(PB1)と、第2の条件下で第2の嵩高い構造(BS2)を形成しうる、第2の末端上の第2の嵩高前構造(PB2)とを含む。いくつかの実施形態では、PB1は、第1の条件下でBS1を形成しうるssポリヌクレオチドセグメントを含む。第1の条件は、室温近傍〜70℃、約40℃以上、約30℃以上、約25℃以上、約20℃以上、または約15℃以上であることが可能な、第1の温度T1でありうる。いくつかの実施形態では、第1の条件は、T1、およびPB1に結合して、BS1を形成することが可能な、第1のリガンドの存在でありうる。第1のリガンドの例は、限定なしに述べると、PB1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、BS1の形成を容易とする他の化合物(例えば、PB1に接合されたリガンドと結合対を形成しうる化合物)を含む。このような結合対の例は、限定なしに述べると、抗体−抗原系、およびビオチン−ストレプトアビジン系、ならびに共有結合的相互作用および/または非共有結合的相互作用を介するこれらの組合せを含む。BS1が、ポリヌクレオチドの二次元構造または三次元構造(例えば、二重鎖、ヘアピン構造、多重ヘアピン構造および多重アーム構造)である場合、BS1の溶融温度(Tm1)は、15℃以上、約20℃以上、約25℃以上、約30℃以上、約35℃以上、約40℃以上、または約50℃以上である。
PB2は、第2の条件下でBS2を形成する。いくつかの実施形態では、PB2は、第2の条件下でBS2を形成しうる、ssポリヌクレオチドセグメント(例えば、ポリヌクレオチド二重鎖、ヘアピン構造、多重ヘアピン構造および多重アーム構造)である。第2の条件は、第2の温度T2であることが可能であり、T2は、約−5〜約50℃、約40℃以上、約30℃以上、約25℃以上、約20℃以上、約15℃以上、約10℃以上、または約5℃以上である。いくつかの実施形態では、T2は、T1より少なくとも約5℃低いか、好ましくは少なくとも約10℃低いか、または少なくとも約20℃低い。いくつかの実施形態では、第2の条件は、T2と、PB2に結合してBS2を形成しうる第2のリガンドの存在とでありうる。第2のリガンドの例は、限定なしに述べると、PB2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、BS2の形成を容易とする他の化合物、(例えば、PB2に接合されたリガンドと結合対を形成しうる化合物)を含む。このような結合対の例は、限定なしに述べると、抗体−抗原系、およびビオチン−ストレプトアビジン系、ならびに共有結合的相互作用および/または非共有結合的相互作用を介するこれらの組合せを含む。BS2が、ポリヌクレオチドの二次元構造または三次元構造(例えば、二重鎖、ヘアピン構造、多重ヘアピン構造および多重アーム構造)である場合、BS2の溶融温度(Tm2)は、約5〜約10℃、約10〜約20℃、約20〜約30℃、または約20〜約50℃である。
いくつかの実施形態では、PB1および/またはPB2は、減速バンププール内の減速バンプに結合しない構造を含む。このような構造の例は、限定なしに述べると、イソdG、イソdC、および脱塩基部位などの非結合塩基を含むヌクレオチド類似体を含む。
識別子
いくつかの実施形態では、ss被験ポリヌクレオチドは、識別子および単離用タグなどの機能的部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、ss被験ポリヌクレオチドを、ランダム減速バンププールと接触させる場合、識別子および単離用タグは、それらにランダム減速バンププールが結合しないように構築する。例えば、識別子セグメントは、互いと結合することが好ましい、イソdG塩基およびイソdC塩基を有しうる。ランダム減速バンププールの減速バンプが、イソdG塩基またはイソdC塩基を有さない場合は、ランダム減速バンププールに由来する減速バンプを、識別子セグメント以外のss被験ポリヌクレオチドの区間に結合させることがより好ましいであろう。こうして、識別子の配列情報に関して収集される電気シグナルが少数となり、これにより、収集される電気シグナルを特徴付けることがより容易となろう。
識別子の例は、限定なしに述べると、方向識別子、基準シグナル識別子、試料供給源識別子、および試料識別子を含む。
ss被験ポリヌクレオチドは、一方の末端に唯一の嵩高い構造を有する場合(例えば、図15)もあり、両端に2つの嵩高い構造を有する場合(例えば、図17)もある。一方の方向識別子は、ss被験ポリヌクレオチド内の各嵩高い構造に対して近接して(例えば、0、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、・・・または50塩基に)位置させることができる。異なる嵩高い構造のための方向識別子は、同じ場合もあり、異なる場合もある。
ss被験ポリヌクレオチドが、2つの嵩高い構造および2つの方向識別子を有する場合、他の識別子は、2つの方向識別子の間に位置させることができる。ss被験ポリヌクレオチドが、一方の末端に唯一の嵩高い構造および1つの方向識別子を有する場合、他の識別子は、方向識別子と比較して、嵩高い構造からさらに遠く離して位置させることができる。
他の識別子は、限定なしに述べると、同じナノポアで得られる他の電気シグナルについてのベースラインをもたらす基準読取りまたは較正読取り;試料ポリヌクレオチドの供給源を同定するのに使用される試料供給源識別子;および個々の試料ポリヌクレオチドを同定するのに使用される試料識別子として用いられる基準シグナル識別子を含む。
識別子の構造は公知であるため、識別子は、識別子特異的な減速バンプをss被験ポリヌクレオチドと接触させることにより検出および/または同定することができる。ss被験ポリヌクレオチドが、対象の識別子を含む場合は、識別子特異的な減速バンプ二重鎖区間が形成され、これが、ナノポア内でss被験ポリヌクレオチドを失速させるであろう。ss被験ポリヌクレオチドをナノポア内で失速させる間に電気シグナルのセットを得ることができ、これを使用して、減速バンプ−識別子二重鎖区間(識別子;図18)の形成を指し示し、かつ/またはss被験ポリヌクレオチド分子の流動方向で、識別子−減速バンプ二重鎖の前にある配列および識別子−減速バンプ二重鎖の最初の塩基対(影を付した区間;図18)を同定することができる。図18は、唯一の嵩高い構造を有するss被験ポリヌクレオチド内の状況を示す。ss被験ポリヌクレオチドが嵩高い構造を両端に有する場合も、同じ方法を使用することができる。
いくつかの実施形態では、識別子および/または識別子特異的な減速バンプおよび/またはss被験ポリヌクレオチド分子の流動方向で識別子の前にある配列は、顕著に異なる電気シグナルであって、たやすく同定される電気シグナルをもたらす、1または複数のヌクレオチドまたは構造を含みうる。このようなヌクレオチドおよび構造の例は、限定なしに述べると、イソdGまたはイソdC、脱塩基ヌクレオチド、メチル化ヌクレオチドなどを含むヌクレオチドを含む。
単離用タグ
単離用タグとは、リガンドと共に結合対を形成しうる構造であって、リガンドが、その濃縮または単離を容易とするようにさらに修飾された構造である。このような結合対の例は、限定なしに述べると、抗体−抗原系およびビオチン−ストレプトアビジン系を含む。濃縮または単離を容易とするさらなる修飾の例は、限定なしに述べると、リガンドの、たやすく濃縮および/または単離されうる電磁ビーズへの接合を含む。
いくつかの実施形態では、複数の機能的部分は、互いと重複する場合もあり、複数の機能に用いられる場合もある。
ss被験ポリヌクレオチドの例は、複数の機能的部分(セグメントA、B、C、D、F、G、H、およびI;図19)を含むが、試料ポリヌクレオチドを図19に示す。
セグメントIは、嵩高前構造として用いられる可能性があり、その相補鎖と共に嵩高い構造を形成する場合もあり、構造(例えば、ポリヌクレオチドのヘアピン構造、多重ヘアピン構造、および多重アーム構造)に自己フォールディングすることにより嵩高い構造を形成する場合もあり、セグメントHまたはその断片は、方向識別子として用いられる可能性がある。代替的に、セグメントIは、ある種の条件下で、セグメントHと共にヘアピンを形成する場合もある。したがって、この場合には、嵩高前構造は、セグメントIおよびHである。セグメントGまたはその断片は、方向識別子として用いられうる。
セグメントF、G、およびH、またはその断片は、基準シグナル識別子の場合もあり、試料識別子の場合もあり、試料供給源識別子の場合もある。代替的に、セグメントF、G、およびHは、併せて識別子の場合もあり、また、その任意の断片が、本明細書で記載される識別子として用いられる場合もある。類似の状況は、3’末端におけるセグメントA、B、C、およびDにも当てはまる。それが、減速バンプのss被験ポリヌクレオチドへの結合、ナノポアの機能、または嵩高い構造の形成に干渉しない限りにおいて、単離用タグは、3’末端に配置することもでき、5’末端に配置することもでき、3’末端または5’末端のヌクレオチドに連結することもでき、セグメントA、B、C、D、F、G、H、およびI上の任意のヌクレオチドに連結することもできる。
試料ポリヌクレオチドおよび1または複数の機能的部分を含むss被験ポリヌクレオチドの構築
試料ポリヌクレオチド、および1または複数の機能的部分を含む被験ポリヌクレオチドは、所望に応じて、従来の有機的方法および/または生物学的方法を使用して、試料ポリヌクレオチドを、他のセグメントとライゲーションすることにより構築する。
図19に示されるss被験ポリヌクレオチドは、従来のライゲーション法(例えば、共有結合の形成(例えば、ライゲーションが、ペアドエンド配列決定化学反応、平滑末端ポリヌクレオチドのライゲーション、および/または粘着末端ライゲーションにより達成されうる、リガーゼ支援ライゲーションまたは他の共有結合)または非共有結合的相互作用)を使用して、複数の機能的部分を、試料ポリヌクレオチドに連結することにより形成することができる。
いくつかの実施形態では、得られる試料ポリヌクレオチドは、二本鎖(ds)試料ポリヌクレオチドである。ds試料ポリヌクレオチドは、従来のライゲーション法(例えば、平滑末端、突出末端に後続するリガーゼ支援ライゲーション、および/またはリンカーライゲーション;メイトペアドプロトコールおよびエンドペアドプロトコール)を使用して、1または複数のds機能部分(例えば、ds PB1(セグメントIおよびH−セグメントA’およびB’;図20)、ds PB2(セグメントBおよびA−セグメントH’およびI;図20)、ds識別子(例えば、(セグメントGおよびF−セグメントC’およびD’、ならびにセグメントDおよびC−セグメントF’およびG’;図20)など)とライゲーションすることができる(図20)。機能的部分は、一体型ステップで試料ポリヌクレオチドにライゲーションすることもでき、逐次的にライゲーションすることもでき、試料ポリヌクレオチドの一方の末端における全ての機能的部分は、まず併せて構築し、次いで、試料ポリヌクレオチドの末端にライゲーションする。従来のライゲーション法の例は、限定なしに述べると、平滑末端、突出末端に後続するリガーゼ支援ライゲーション、および/またはリンカーライゲーション;ペアドエンド配列決定プロトコール;メイトペアドプロトコールおよびエンドペアドプロトコールを含む。次いで、従来の方法を使用して(例えば、加熱して、dsポリヌクレオチドを変性させる)、得られたdsポリヌクレオチドを変性させて、ss被験ポリヌクレオチドをもたらす。
いくつかの実施形態では、得られる試料ポリヌクレオチドは、ds試料ポリヌクレオチドであり、ホスホジエステル結合以外の共有結合を介して、1または複数のds機能部分(例えば、ds PB1、ds PB2、ds識別子など)に連結される。このような連結の例は、限定なしに述べると、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチドによる連結を含む。
いくつかの実施形態では、得られる試料ポリヌクレオチドは、ss試料ポリヌクレオチド(DNA、またはRNA)であり、従来の方法を使用して、その相補鎖(DNA、またはRNA)を創出して、ss試料ポリヌクレオチドとアニーリングさせて、ds試料ポリヌクレオチド(dsDNA、dsRNA、またはDNA−RNAハイブリッド体)を形成し、次いで、本明細書で記載される1または複数のds機能部分にライゲーションすることができる。
いくつかの実施形態では、リガーゼ支援ライゲーションを使用して、ss試料ポリヌクレオチドを、1または複数のss機能部分(例えば、ssPB1、ssPB2、ss識別子など)に連結する。いくつかの実施形態では、ホスホジエステル結合以外の共有結合を介して、ss試料ポリヌクレオチドを、1または複数のss機能部分に連結する。このような連結の例は、限定なしに述べると、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチドによる連結を含む。
いくつかの実施形態では、得られる試料ポリヌクレオチドは、ds試料ポリヌクレオチドであり、変性させて、本明細書で記載される1または複数のss機能部分に連結されるss試料ポリヌクレオチドをもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、1または複数の個々の機能的部分が、ss被験ポリヌクレオチドから切断されうるように、機能的部分を、切断可能な結合により連結する。ある実施形態では、試料ポリヌクレオチドと嵩高い構造との間に位置する機能的部分を切断することにより、嵩高い構造を、ss被験ポリヌクレオチドから除去することができる。次いで、電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドにナノポアを通して移動させることにより、ss被験ポリヌクレオチドを、それが中に入るナノポアから、切断された嵩高い構造によりそれをもはや失速させるか、減速するか、または停止させることがない方向に放出させることができる。
いくつかの実施形態では、それにより得られる被験ポリヌクレオチドに、ナノポア内を、所望の方向に(例えば、3’末端から、または5’末端から)縫うように進ませうるように、試料ポリヌクレオチドの所望される末端(3’末端または5’末端)に、所望の機能的部分を連結する。
ランダム減速バンププールを使用する、試料ポリヌクレオチドの同定
本発明の一態様は、試料ポリヌクレオチド配列を同定する方法であって、
(A1)二本鎖(ds)試料ポリヌクレオチドを用意するステップと、
(A2)第1の嵩高前(PB1)構造を、ds試料ポリヌクレオチドの第1の末端にライゲーションし、第2の嵩高前(PB2)構造を、ds試料ポリヌクレオチドの第2の末端にライゲーションするステップと、
(A3)A2のds試料ポリヌクレオチドを、ss被験ポリヌクレオチドに変性させるステップと、
(B1)第1の嵩高い構造(BS1)を、PB1から、ss被験ポリヌクレオチドの第1の末端上、第1の温度で形成するステップと、
(B2)第1の電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドにナノポアを通して流動させるステップと、
(B3)第2の嵩高い構造(BS2)を、PB2から、ss被験ポリヌクレオチドの第2の末端上、第2の温度で形成するステップと、
(B4)任意選択で、BS2により、ナノポアの狭窄領域の前で、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、別の電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドの流動を反転させるステップと、
(B5)作業温度で、ランダム減速バンププールを、ss被験ポリヌクレオチドと接触させて、少なくとも1つの減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを有する、減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド複合体を形成するステップと、
(B6)ナノポアの狭窄領域の前で、第1の減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、第3の電位を印加して、減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド複合体に、ナノポアを通して流動させるステップと、
(B7)第1の減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを、ナノポアの内側で、滞留時間にわたり失速させるときに、第1の電気シグナルのセットを得、ssポリヌクレオチドの流動方向で、第1の減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの前にあるヌクレオチド配列および第1の減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの最初の塩基対を特徴付けるステップと、
(B8)第1の減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを解離させ、ssポリヌクレオチドのナノポアを通しての流動を持続させるステップと、
(B9)BS1またはBS2により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、ステップ(B4)〜(B8)を反復するステップと
を含む方法に関する。
ある実施形態では、ssポリヌクレオチドは、本明細書で記載される試料ポリヌクレオチドを含むss被験ポリヌクレオチドである。減速バンプは、本明細書で規定される1または複数のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、ss試料ポリヌクレオチドは、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、ds試料ポリヌクレオチドは、dsDNA、dsRNA、またはDNA−RNAハイブリッド体でありうる。
ランダム減速バンププールは、全てのss被験ポリヌクレオチドの区間またはその断片(例えば、試料ポリヌクレオチド)に結合しうる、所与の長さの減速バンプコレクションを含む。このような所与の長さは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16、好ましくは、10以下、8以下、6以下、および4以下でありうる。ある実施形態では、ランダム減速バンププールは、ユニバーサルヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、本源性ヌクレオチド、これらの修飾、およびこれらの組合せからなる群から選択される1または複数のヌクレオチドからなる減速バンプを含む。ユニバーサルヌクレオチドおよび本源性ヌクレオチドの修飾は、核酸塩基構造、骨格構造(例えば、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド)、およびこれらの組合せにおける修飾を含む。ある実施形態では、ランダム減速バンププールは、全ての本源性核酸塩基(A、T、C、G、およびU)と塩基対合するユニバーサル核酸塩基を有するオリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、ランダム減速バンププールは、本源性核酸塩基の全ての可能な組合せを有するオリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、ランダム減速バンププールは、本源性核酸塩基およびユニバーサル核酸塩基の全ての可能な組合せを有するオリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、ランダム減速バンププールは、指定された位置においてユニバーサルヌクレオチドを有し、他の位置において全ての本源性核酸塩基の組合せを有するオリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、ランダム減速バンププール内の減速バンプの骨格構造を、指定された位置(複数可)、ランダムな位置、またはこれらの組合せにおいて修飾する(例えば、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド)。別の実施形態では、ランダム減速バンププール内の減速バンプは、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド(oligonucleotdies)、またはこれらの組合せを含む。
減速バンプは、指定された位置にユニバーサル核酸塩基を含み、他の位置に、可能な本源性核酸塩基の組合せの総数をより少なくして、ランダムな本源性核酸塩基を含みうる。例えば、10塩基のオリゴヌクレオチドを有するランダム減速バンププールでは、本源性核酸塩基の組合せの総計は、410=1,048,576である。しかし、10塩基のヌクレオチドのうちの4つの位置がユニバーサル核酸塩基だけを有するように指定すれば、本源性核酸塩基の組合せの総計は4=4,096となり、著明に小さくなる。
いくつかの実施形態では、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの最初の塩基対は、部分的または完全にナノポア内にあり、得られる電気シグナルに影響を及ぼす可能性があるため、ユニバーサルヌクレオチドを5’末端および/または3’末端に有する減速バンプを構築して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの最初の塩基対の寄与を標準化し、シグナルの解析をより容易とすることが好ましい。
いくつかの実施形態では、ランダム減速バンププールの1または複数の減速バンプの濃度を、所望に応じてさらに調整することができる。例えば、濃度は、各種類の減速バンプについて、ほぼ同じであることが可能であり、ss被験ポリヌクレオチドに接触するのに十分なss減速バンプが存在するように調整することができる。ある実施形態では、ポリG鎖は、ポリC鎖に強く結合するため、ポリG減速バンプおよびポリC減速バンプは、他の配列を有する減速バンプより高濃度であり、ss被験ポリヌクレオチドに接触するのに十分なssポリGおよびssポリCをもたらす。別の実施形態では、減速バンプを作製するのに使用される減速バンプおよび/またはヌクレオチドの濃度を、各減速バンプが、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成するのに、ほぼ同じアフィニティを有し、特定の減速バンプが、他の減速バンプより著明に選好されないように調整する。いくつかの実施形態では、減速バンプを作製するのに使用される減速バンプおよび/またはヌクレオチドの濃度を、1または複数の特定の減速バンプが、他の減速バンプより著明に選好されるように調整する。例えば、ss被験ポリヌクレオチド内の公知のセグメントに結合しうる減速バンプを実質的に含まない減速バンププールを構築することができる。こうして、得られるより多くの配列情報を、ss被験ポリヌクレオチド内の未知のセグメントについての配列情報とし、公知のセグメントについての配列情報とはしないことになる。
いくつかの実施形態では、ステップ(B5)は、少なくとも1つの減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを有する減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体であって、減速バンプが、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16塩基対であり、第1の作業条件でナノポア内を縫うように進むss被験ポリヌクレオチドセグメントと共に二重鎖を形成する、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成する。作業条件は、作業温度(Tw)、曝露時間、減速バンプおよびss被験ポリヌクレオチドの濃度、pH、塩濃度、ならびに減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体の形成に影響を及ぼしうる他の添加物およびその濃度などのパラメータを含む。Twは、比較的短い減速バンプ(2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16塩基)の、ss被験ポリヌクレオチドへの会合を可能とするように、約−10〜約25℃、約−10〜約20℃、約−10〜約15℃、約−10〜約10℃、約−10〜約5℃、約−10〜約0℃、約−10〜約−5℃、約−5〜約25℃、約−5〜約20℃、約−5〜約15℃、約−5〜約10℃、約−5〜約5℃、または約−5〜約0℃でありうる。ある実施形態では、Twは、T2より少なくとも約10℃低く、好ましくは少なくとも約20℃低い。別の実施形態では、Twにおいて、PB1およびPB2のうちの少なくとも約50%は、それぞれ、BS1およびBS2の形態にある。別の実施形態では、Twにおいて、PB1およびPB2のうちの少なくとも約70%は、それぞれ、BS1およびBS2の形態にある。別の実施形態では、Twにおいて、PB1およびPB2のうちの少なくとも約90%は、それぞれ、BS1およびBS2の形態にある。
ss被験ポリヌクレオチドの減速バンプへの曝露時間は、十分な減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体が形成することを可能とするように、約1ナノ秒以上、約10ナノ秒以上、約1マイクロ秒以上、約10マイクロ秒以上、約1ミリ秒以上、約10ミリ秒以上、約1秒以上、または約5秒以上である。減速バンプの濃度は、ss被験ポリヌクレオチドの濃度の約100,000倍、10,000倍、1,000倍、300倍、約200倍、約100倍、約50倍、または約20倍であるか、減速バンプの濃度は、ss被験ポリヌクレオチドの濃度とほぼ同じであることが好ましい。減速バンプの濃度は、約1nM〜約100mM、約1nM〜約10mM、約1nM〜約1mM、約10nM〜約100mM、約10nM〜約10mM、約10nM〜約1mM、約1mM〜約10mM、または約10mM〜100mMであることが好ましい。ss被験ポリヌクレオチドの濃度は、約1nM〜約100mM、約1nM〜約10mM、約1nM〜約1mM、約10nM〜約100mM、約10nM〜約10mM、または約10nM〜約1mMである。pHは、約6〜約8、または約7であることが好ましい。塩(例えば、KCl、NaCl、リン酸)濃度は、約1mM〜約10M、約1mM〜約1M、約10mM〜約10M、約10mM〜約1M、約100mM〜約10M、または約100mM〜約1Mである。減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体の形成に影響を及ぼしうる他の添加物は、限定なしに述べると、硫酸デキストランおよびグリセロールを含む。それらの濃度は、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体の形成を最適化するように調整することができる。
作業条件は、所望の極性における約0mV〜約320mVの電位をさらに含む。作業条件は、シグナルの品質を最適化するように、減速バンプ結合の特徴(例えば、長さ、ヌクレオチドの構成要素、および結合アフィニティ)、ナノポアの特徴、およびss被験ポリヌクレオチドの特性(例えば、GC含量またはその二次構造)に基づき、工程を通して持続的に調整することができる。したがって、電位は、例えば、−320mV〜+320mVにおいて持続的に変化させることができる。
ステップ(B4)〜(B9)は、本明細書で記載される第1の作業条件で実行することができる。いくつかの実施形態では、ステップ(B4)〜(B9)の各ステップに適用される電位は、同じ場合もあり、異なる場合もあり、持続的に変化させることもできる。いくつかの実施形態では、ステップ(B8)のための電位は、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの解離を容易とするように調整することができる。いくつかの実施形態では、ステップ(B8)のための電位を、ステップ(B6)におけるss被験ポリヌクレオチドの流動方向(順方向)と比較して逆方向にss被験ポリヌクレオチドを移動させるように印加して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントをナノポアの狭窄領域から移動させてから、別の電位を印加して、ポリヌクレオチドを順方向に移動させて、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを解離させることができる。
ナノポア型検出器により、関与性の配列情報を収集し、読み取りうるように、ポリヌクレオチド二重鎖セグメントをナノポアの内側で失速させるための滞留時間がもたらされる。滞留時間は、ナノポア型検出器および作業条件に依存することが典型的である。いくつかの実施形態では、滞留時間は、少なくとも約10マイクロ秒、少なくとも約1ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約200ミリ秒、少なくとも約500ミリ秒、少なくとも約1秒、少なくとも約2秒、または少なくとも約5秒である。一般に、滞留時間が長いほど、シグナルの品質は向上し、より多くの配列情報を得ることができる。
停止点の前にある最大100塩基(好ましくは最大50塩基)内のどこかにある少数の塩基(20塩基未満)の配列は、ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを、ナノポアの内側で、滞留時間にわたり失速させるときに、一度に読み取ることができる。好ましくは、5または6未満の塩基を一度に読み取る。例えば、1〜50位の任意のヌクレオチド位置(例えば、減速バンプ−ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、・・・50ヌクレオチドの位置)における、最大50塩基のより長いポリヌクレオチド配列内の1、2、3、4、または5塩基を一度に読み取る。
図12に示す通り、両端に形成された嵩高い構造を含むss被験ポリヌクレオチドは、ナノポア内でロックされ(ステップ(B1)〜(B4))、複数の減速バンプと共に減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成する(ステップ(B5))。
減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントにより、ss被験ポリヌクレオチドを、ナノポア内で、滞留時間にわたり失速させ、次いで、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを解離させ、次の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントにより失速させるまで、ss被験ポリヌクレオチドが前方に進むたびに、ss被験ポリヌクレオチドの電気シグナルのセットを得ることができる(図12;シス側からトランス側に移動するss被験ポリヌクレオチドを例示する)。一方の末端の嵩高い構造により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、この失速−検出−解離−失速工程を反復する。得られる電気シグナルの例を、図16に示す。
いくつかの実施形態では、ランダム減速バンププールを、主にナノポアの一方の側(例えば、図13に示されるシス側)に存在させるが、方法は、
(B10)ナノポアの狭窄領域の前で、他の嵩高い構造により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、別の電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドを、ステップ(B5)におけるss被験ポリヌクレオチドの流動の逆方向に移動させるステップと、
(B11)ステップ(B4)〜(B10)を、少なくとも1回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回、少なくとも50回、または少なくとも100回反復するステップと、
(B12)収集されたヌクレオチドの配列情報を重ね合せることにより、ss被験ポリヌクレオチド配列を構築するステップと
をさらに含む。
ステップ(B10)は、本明細書で記載される作業条件下で実行することができる。印加される電位は、被験ポリヌクレオチドの流動を反転させるために、ステップ(B4)〜(B9)において印加される電位と比較して低減された値であるか、または逆の極性でありうる。各ステップにおいて印加される電位は、同じ場合もあり、異なる場合もあり、持続的に変化させることもできる。
いくつかの実施形態では、ランダム減速バンププールを、ナノポアの両側に存在させるが、減速バンプは、ナノポアの両側(図21に示されるシス側およびトランス側)で減速バンププールに露出されたセグメントにおいて、ss被験ポリヌクレオチドに結合する。本明細書で記載されるss被験ポリヌクレオチド内の試料ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を同定する方法は、
(1)他の嵩高い構造により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、ナノポアの狭窄領域の前で、第2の作業条件下において、ステップ(B4)〜(B8)を反復するステップと、
(2)ステップ(B9)および(1)を、少なくとも1回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回、少なくとも50回、または少なくとも100回反復するステップと、
(3)収集されたヌクレオチドの配列情報を重ね合せることにより、試料ポリヌクレオチドの核酸配列を構築するステップと
をさらに含む。
第2の作業条件は、本明細書で記載される作業条件でありうる。第2の作業条件は、第1の作業条件と比較して同じパラメータを有する場合もあり、異なるパラメータを有する場合もある。ステップ(1)において印加される電位は、ステップ(B9)において印加される電位と比較して低減された値であるか、または逆の極性でありうる。各ステップにおいて印加される電位は、早期のステップにおいて印加される電位と同じ場合もあり、早期のステップと比較して異なる場合もあり、持続的に変化させることもできる。
ランダム減速バンププールは、ss被験ポリヌクレオチドのランダムな区間に結合しうる減速バンプを含むため、ss被験ポリヌクレオチドが、本明細書で記載される過程に従い、一方の末端から、BS1/BS2により失速するか、減速されるか、または停止して、他方の末端に進むたびに、減速バンプは、ss被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの異なる組合せに結合することが可能であり(図13)、ss被験ポリヌクレオチド内の異なるセグメントについての配列情報をもたらしうる(図14)。したがって、ss被験ポリヌクレオチド内の試料ポリヌクレオチドの各ヌクレオチドおよびあらゆるヌクレオチドの配列情報が得られるように、ステップ(B8)および/またはステップ(B9)を反復する場合は、収集されたヌクレオチドの配列情報を重ね合せることにより、試料ポリヌクレオチドを構築することができる。
いくつかの実施形態では、各減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの解離により、全減速バンプトレインのss被験ポリヌクレオチドからの解離が引き起こされないように、複数の減速バンプを、非結合リンカー(例えば、脱塩基オリゴヌクレオチド)により連結して、減速バンプトレイン(図22)を形成する。いくつかの実施形態では、非結合リンカーを、約1塩基、約2塩基、約3塩基、約4塩基、または約5塩基だけ間隔を置くようにデザインする。したがって、図14に示される公知のセグメントの間のギャップは、リンカーの長さ(例えば、約1塩基、約2塩基、約3塩基、約4塩基、または約5塩基)と同じである可能性がいっそう大きい。この場合には、試料ポリヌクレオチドの核酸配列を構築することがより容易であろう。
いくつかの実施形態では、ステップ(B2)は、
(B2a)ナノポアの内側で第1の嵩高い構造を失速させるときに電気シグナルのセットを得、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、第1の嵩高い構造の前にあるヌクレオチド配列および第1の嵩高い構造の最初の塩基対を特徴付けるステップ、
をさらに含み、ステップ(B3)は、
(B3a)ナノポアの内側で第2の嵩高い構造を失速させるときに別の電気シグナルのセットを得、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、第2の嵩高い構造の前にあるヌクレオチド配列および第2の嵩高い構造の最初の塩基対を特徴付けるステップ
をさらに含む。
ある実施形態では、本明細書で記載される方法は、図23に示されるフローチャートに従い実行する。PB1、PB2、DI1、DI2を含むss被験ポリヌクレオチドおよび試料ポリヌクレオチドが構築され、ナノポアアレイ上に配置されている(ブロック10;図23)。次いで、T1で、ss被験ポリヌクレオチドの一方の末端上で、BS1を、PB1から形成する(ブロック20;図23)。BS1により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、第1の電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドに、ナノポアを通して縫うように進ませ、このとき、DI1を特徴付ける電気シグナルのセットを収集する(ブロック30;図23)。次いで、温度をT2に下げ、BS2をPB2から形成する(ブロック40;図23)。BS2により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、第1の電位より低いか、または第1の電位と極性が逆である第2の電位を印加し、このとき、DI2を特徴付ける電気シグナルのセットを収集する(ブロック50;図23)。温度をTwにさらに下げ(ブロック60;図23)、次いで、本明細書で記載される第1の作業条件下で、ランダム減速バンププールを、ss被験ポリヌクレオチドと接触させて、ランダムに結合させた減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成する(ブロック70;図23)。第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントにより、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるまで、第3の電位を印加して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体に、ナノポアを通して移動させる。滞留時間にわたりss被験ポリヌクレオチドを失速させ、この間に電気シグナルのセットを得、これを使用して、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの前にある配列および減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントの最初の塩基対を特徴付ける。次いで、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを解離させると、ss被験ポリヌクレオチドは、次の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントまたはBS1により失速するか、減速されるか、または停止するまで、ナノポアを通して進み続ける。ナノポア内で、BS1により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるときに、DI1と称する電気シグナルのセットを収集する(ブロック80;図23)。次いで、BS2により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、第3の電位に照らして低減された値であるか、または逆の極性である第4の電位を印加し、このとき、DI2を特徴付ける電気シグナルのセットを収集する(ブロック90;図23)。次いで、試料ポリヌクレオチドの配列を特徴付けるのに十分な配列情報を収集するまで、ブロック70〜90のステップを反復する。
識別子の検出、および被験ポリヌクレオチド分子内の識別子の同定
本発明の別の態様は、本明細書で記載されるss被験ポリヌクレオチド分子の配列情報を得る方法に関する。方法は、
(B1)被験ポリヌクレオチド分子の第1の末端に第1の嵩高い構造を形成するステップと、
(C1)減速バンプのプール(減速バンププール)を、被験ポリヌクレオチド分子と接触させて、少なくとも1つの減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを有する減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子複合体を形成するステップと、
(C2)ナノポアの狭窄領域の前で第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを失速させるまで、電位を印加して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子複合体に、ナノポアを通して流動させるステップと、
(C3)被験ポリヌクレオチド分子の流動方向で、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを、ナノポアの内側で、滞留時間にわたり失速させるときに、第1の電気シグナルのセットを得るステップと、
(C4)第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを解離させ、ナノポアを通しての分子の流動を持続させるステップと、
(C5)BS1により、被験ポリヌクレオチド分子を失速させるか、減速するか、または停止させるまで、ステップ(C1)〜(C4)を反復するステップと
を含む。
ある実施形態では、被験ポリヌクレオチド分子は、本明細書で記載される1または複数のヌクレオチドを含むss被験ポリヌクレオチドであり、減速バンプは、本明細書で記載される1または複数のヌクレオチドを含む。ss被験ポリヌクレオチドは、本明細書で記載されるPB1を含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(C1)は、少なくとも1つの減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントを有する減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体であって、減速バンプが、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16塩基対の被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントと共に二重鎖を形成する、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成する。
ステップ(C1)〜(C5)は、本明細書で記載される作業条件において実行することができる。
ナノポア型検出器により関与性の配列情報を収集するための滞留時間は、本明細書で記載される滞留時間と同じである。
本明細書で記載される方法を使用して、ss被験ポリヌクレオチド内に存在する識別子を検出することができる。識別子は、例えば、方向識別子(例えば、BS1の形成を検証し、ss被験ポリヌクレオチドが、BS1を有する末端に到達したことを示す)、基準シグナル識別子(同じナノポアで得られる他の電気シグナルについてのベースラインをもたらす基準読取りまたは較正読取り)、試料供給源識別子(被験ポリヌクレオチドの供給源を同定する)、または被験ポリヌクレオチドについての試料識別子(被験ポリヌクレオチドを同定する)として用いられうる。いくつかの実施形態では、減速バンププールは、第1の識別子(図15中の識別子1)に結合しうる第1の減速バンプを含み(図15)、ss被験ポリヌクレオチドに結合しうる他の減速バンプを実質的に含まない(好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満であり、最も好ましくは1%未満である)。識別子1を含むss被験ポリヌクレオチドが、第1の減速バンプに接触すると、第1の減速バンプ−識別子1二重鎖セグメントが形成されて、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体を形成する。第1の減速バンプ−識別子1二重鎖セグメントにより失速するまで、適切な電界の存在下で、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体は、ナノポアを通して進む。ナノポア型検出器により、第1の電気シグナルのセットを得る。次いで、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド複合体は解離し、第1の末端においてBS1により失速するか、減速するか、または停止するまで、ss被験ポリヌクレオチドは、ナノポアを通して進む(すなわち、ステップ(C4)において、ss被験ポリヌクレオチドは、BS1により失速するか、減速するか、または停止するまで、ナノポア内で再度失速することなく、ナノポアを通して滑らかに流動する)。BS1構造により、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるときに、ナノポア型検出器により、別の電気シグナルのセットを得る。したがって、識別子1の配列を含まないss被験ポリヌクレオチドと比較して、識別子1の配列を含むss被験ポリヌクレオチドは、2つの電気シグナルのセットをもたらすことから、識別子1の配列を含むss被験ポリヌクレオチドが、ナノポア内で2回失速することが示されるのに対し、識別子1の配列を含まないss被験ポリヌクレオチドは、1つの電気シグナルのセットをもたらすことから、識別子1の配列を含まないss被験ポリヌクレオチドは、ナノポア内で1回失速する(BS1により)ことが示される。
別の実施形態では、ステップ(C3)で得られる第1の電気シグナルのセットが、ナノポアにより本源性ヌクレオチド配列を検出するときに得られる電気シグナルのセットと顕著に異なるように、ss被験ポリヌクレオチドおよび/または減速バンプを構築することができる。例えば、公知の識別子配列は、イソdGおよび/またはイソdCを有する1または複数のヌクレオチド類似体を含みうる。減速バンプを識別子配列とハイブリダイズさせ、ポア内で失速させるか、減速するか、または停止させる場合は、この識別子配列の前に、ポアの狭窄帯域にある公知の読取り用配列が置かれる。読取り用配列は、天然のヌクレオチドに結合しないイソdC位置、イソdG位置、および/または脱塩基位置を含みうるであろう。加えて、識別子に対して特異的な減速バンプだけがその位置とハイブリダイズするように、識別子配列および識別子に対して特異的なアンチセンスの減速バンプ配列のいずれも、適切なイソdGおよびイソdCを含有するであろう。天然のヌクレオチドによる減速バンプであれば、イソdG、イソdCを含有する識別子配列に干渉したり、これらに結合したりしないであろうし、天然のヌクレオチドによる減速バンプであれば、読取り用配列に干渉しないであろう。結果として得られるポア内の鎖の同定は、他の天然または人工のヌクレオチドによる減速バンプの存在に依存せずになされるであろう。この場合には、減速バンププールは、ss被験ポリヌクレオチドと共に複合体を形成しうる他の減速バンプを実質的に含まなくてもよい。別の減速バンプが、識別子1セグメント以外のss被験ポリヌクレオチドのセグメントに結合する場合、第1の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントをナノポア内で失速させる間に得られる第1の電気シグナルのセットは、他の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド二重鎖セグメントをナノポア内で失速させる間に得られる他の電気シグナルのセットと顕著に異なる。したがって、ss被験ポリヌクレオチドと共に複合体を形成しうる他の減速バンプの存在は、第1の減速バンプの、ss被験ポリヌクレオチドの識別子1との結合から発生する顕著に異なるシグナルの検出に干渉しない。他の減速バンプが、本明細書で記載される識別子1セグメントに結合しないように、ss被験ポリヌクレオチドおよび/または減速バンプをさらに構築することができる。したがって、イソdG塩基またはイソdC塩基を含まない他の減速バンプは、識別子1セグメントに結合しないであろう。
別の実施形態では、ss被験ポリヌクレオチドは、複数の識別子を含み、識別子セグメント(識別子N)のそれぞれに結合するss被験ポリヌクレオチドおよび/または減速バンプ(SBN;N=1、2、・・・)は、各SBN−識別子N二重鎖セグメントをナノポア内で失速させるとき、ナノポアから得られる電気シグナルのセットが本源性ヌクレオチド配列と顕著に異なり、他のSBN−識別子N二重鎖セグメントをナノポア内で失速させる場合とも顕著に異なるようにデザインされる。減速バンププールは、検出される識別子(複数可)に特異的な減速バンプを含み、任意選択では、他の識別子の減速バンプおよび/またはss被験ポリヌクレオチドに結合しうる他の減速バンプも含む。
別の実施形態では、識別子特異的な減速バンプおよびss被験ポリヌクレオチドの流動方向で識別子の前にある配列に結合する識別子は、いずれも公知である。したがって、ステップC3で得られる電気シグナルのセットはまた、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で識別子の前にある配列を同定するのにも使用することができ、識別子の前にある配列は、識別子の配列を同定するのに使用することができる。
別の実施形態では、方法は、第1の電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドにナノポアを通して流動させるステップと、本明細書で記載される第2の条件下で、ss被験ポリヌクレオチドの第2の末端において第2の嵩高い構造(BS2)を形成するステップとをさらに含む。ある実施形態では、第1の条件の温度(T1)は、第2の条件の温度(T2)より高く、T2は、作業温度Twより高い。ある実施形態では、第1の条件の温度(T1)は、第2の条件の温度(T2)より少なくとも10℃高いか、または少なくとも20℃高く、T2は、作業温度Twより少なくとも約1℃高いか、少なくとも約5℃高いか、少なくとも約10℃高いか、少なくとも約15℃高いか、少なくとも約20℃高いか、または少なくとも約25℃高い。
公知の減速バンプの配列を、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で伸長させることにより、試料ポリヌクレオチド内のより長い配列の同定が可能となる。この方法は、以下のステップ:
(E1)第1の公知の減速バンプを、被験ポリヌクレオチド分子と接触させて、第1の公知の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを有する、第1の公知の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子複合体を形成するステップと、
(E2)ナノポアの狭窄領域の前で、第1の公知の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを失速させるまで、電位を印加して、第1の公知の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子複合体に、ナノポアを通して流動させるステップと、
(E3)第1の公知の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを、ナノポアの内側で、滞留時間にわたり失速させるとき、被験ポリヌクレオチド分子の流動方向で第1の電気シグナルのセットを得るステップと、
(E4)第1の公知の減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントを解離させ、ナノポアを通しての分子の流動を持続させるステップと、
(E5)第1の公知の減速バンプを、ナノポア型検出器システムから除去し、末端の嵩高い構造により、被験ポリヌクレオチドの流動を失速させるか、減速するか、または停止させるまで、被験ポリヌクレオチドの流動を反転させるステップと、
(E6)ステップ(E3)の被験ポリヌクレオチド分子の流動方向で、第1の公知の減速バンプの配列に加えてより長い公知の数の塩基を有する別の公知の減速バンプにより、ステップ(E1)〜(E5)を反復するステップであり、
E−a)公知の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16であり、
E−b)公知の数の塩基が、ユニバーサル塩基または試料ポリヌクレオチドの対応する位置における塩基と相補的な塩基であることが可能であり、
E−c)ステップ(E4)の条件が、例えば、減速バンプ−被験ポリヌクレオチド分子セグメントをうまく解離させるように、ステップ(E4)において、作業温度を上げることにより、かつ/または印加される電位値を増大させることにより調整されうるステップと
を含みうる。
このような知識は、本明細書で記載される方法を使用する(例えば、ランダム減速バンププールを使用する)、未知の試料ポリヌクレオチドの配列の残余を同定/配列決定を容易としうる。さらにまた、同じ工程を使用して、試料ポリヌクレオチドの配列を別の末端から同定することもできる。したがって、未知の試料ポリヌクレオチドの最大30塩基を同定することができ、これにより、試料ポリヌクレオチドの全配列のさらなる同定/配列決定における良好な基準をもたらすであろう。
試料ポリヌクレオチドの単離
本発明の別の態様は、試料ポリヌクレオチドを単離する方法であって、
本明細書で記載されるステップ(A1)〜(A3)を使用して、ss被験ポリヌクレオチドを調製するステップと、
(D1)ss被験ポリヌクレオチドの対応する末端が、失速するか、減速されるか、または停止することなく、ナノポアを通して進みうるように、2つの嵩高い構造のうちの1つを転換するステップと、
(D2)電位を印加して、ss標的ポリヌクレオチドを放出するステップと
を含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、ss被験ポリヌクレオチドは、本明細書で記載される単離用タグをさらに含み、方法は、ステップ(D2)の後にステップ(D3):
(D3)単離用タグをリガンドに接合するステップ
をさらに含む。
リガンドを電磁ビーズにさらに接合するいくつかの実施形態では、ステップ(D3)は、
(D3−1)放出されたss被験ポリヌクレオチドを含む伝導性の塩溶液を除去するステップと、
(D3−2)放出されたss被験ポリヌクレオチドを、電磁ビーズに接合されたリガンドと混合することにより、単離用タグをリガンドに接合するステップと、
(D3−3)従来の単離法を使用して、放出されたss被験ポリヌクレオチドを単離するステップと
をさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、ステップ(D3)の後に、ステップ(D4)
(D4)単離ss被験ポリヌクレオチドを、従来の方法を使用して(例えば、塩基性溶液を使用して)、ビーズから除去するステップと、
(D5)PB1およびPB2を、ss被験ポリヌクレオチドから切断して、ss試料ポリヌクレオチドを創成するステップと
をさらに含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(D5)は、エンドヌクレアーゼを使用して、PB1およびPB2を切断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ステップ(D5)は、切断可能な部位において、PB1およびPB2を切断することをさらに含む。
ある実施形態では、ステップ(D1)は、
(D1−1)ナノポアの温度を、ほぼ第2の温度以上であり、かつ第1の温度以下に変化させて、BS2を嵩高くない構造に転換するステップ
をさらに含む。
複数のナノポア型検出器を使用する、試料ポリヌクレオチドの配列決定、同定、濃縮、および単離
本発明の別の態様は、複数のナノポア型検出器を使用して、試料ポリヌクレオチドを配列決定、同定、濃縮、および単離する方法に関する。単一のナノポア型検出器に関して本明細書で記載される同じ方法は、複数のナノポア型検出器にも使用することができる。
ある実施形態では、複数のナノポアは、個別にアドレス可能であり、この場合、各ナノポアの電位は、個別に制御することができる。ナノポアの温度もまた、制御することができる。したがって、ナノポア内で検出されるss被験ポリヌクレオチド分子は、選択されたナノポアにおいて、ステップ(D1)〜(D3)を実行することにより、個別に放出することができる。
例えば、ナノポアアレイ(Ni、N2、・・・N10と番号付けされた)において、各ナノポアには、本明細書で記載される方法に従うss被験ポリヌクレオチドがトラップされ、個々のポリヌクレオチドは、対応するナノポアN1、N2、・・・N10におけるポリヌクレオチド1、ポリヌクレオチド2、・・・ポリヌクレオチド10と番号付けされる。ポリヌクレオチド1およびポリヌクレオチド3だけの収集が所望である場合、ナノポアN1、N2、・・・N10は、ポリヌクレオチド1およびポリヌクレオチド3だけを収集するように、個別に制御する(例えば、電位を印加して、ポリヌクレオチド1およびポリヌクレオチド3に、それぞれ、ナノポアN1およびN3から移動させることにより)ことができる。ある実施形態では、ポリヌクレオチド1、ポリヌクレオチド2、・・・ポリヌクレオチド10のBS2を、ナノポアを通して進みうる構造(例えば、ほぼ第2の温度以上である一方で、ほぼ第1の温度以下の温度とするか、またはナノポアを通して進みうるss構造を残すように切断されたPB2のそれぞれ)に転換する。ナノポアN2、N4〜N10の電位は、ポリヌクレオチド2、ポリヌクレオチド4〜ポリヌクレオチド10のそれぞれをナノポアから放出する一方で、ポリヌクレオチド1およびポリヌクレオチド3はナノポアN1内およびN3内のそれぞれにおいて依然としてトラップされるように個別に制御する。次いで、ナノポアN1およびN3は、ポリヌクレオチド1およびポリヌクレオチド3のそれぞれを放出して、収集、濃縮、および/または単離するように個別に制御する。
タグにより核酸を配列決定するための方法およびシステム
ナノポアを使用して、間接的に、任意選択で、電気的検出により核酸分子を配列決定することができる。間接的な配列決定は、成長中の鎖内に組み込まれるヌクレオチドが、ナノポア内を通して通過しない任意の方法でありうる。核酸分子は、ナノポアから任意の適切な距離内および/またはナノポアの近傍を通過することが可能であり、任意選択で、ヌクレオチド組込みイベントから放出されるタグがナノポア内(例えば、図2Cおよび図2Dに示される)で検出されるような距離内を通過しうる。任意選択で、タグを、それが放出される前にナノポア(図2Dに示される)内にあらかじめロードする。タグによる核酸分子の配列決定の例は、参照によりその全体において組み込まれる、PCT特許公開第WO2012/083249号において記載されている。
ヌクレオチド組込みイベントの副産物は、ナノポアにより検出することができる。「ヌクレオチド組込みイベント」とは、ヌクレオチドの、成長中のポリヌクレオチド鎖への組込みである。副産物は、所与の種類のヌクレオチドの組込みと相関しうる。ヌクレオチド組込みイベントは一般に、DNAポリメラーゼなどの酵素により触媒され、塩基対による鋳型分子との相互作用を使用して、各位置における組込みに利用可能なヌクレオチドを選択する。
核酸試料は、タグ付けされたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を使用して配列決定することができる。いくつかの例では、核酸分子を配列決定するための方法は、(a)タグ付けされたヌクレオチドを組み込む(例えば、重合化する)ステップであり、組み込まれると、個々のヌクレオチドと会合させたタグが放出されるステップと、(b)ナノポアを一助として、放出されたタグを検出するステップとを含む。場合によって、方法は、個々のヌクレオチドに接合されるかまたは個々のヌクレオチドから放出されるタグを、ナノポアを通して方向付けるステップをさらに含む。放出または接合されたタグは、任意の適切な技法により、場合によって、酵素(または分子モータ)および/またはポア越しの電圧差を一助として方向付けることができる。代替的に、放出または接合されたタグは、酵素を使用せずにナノポアを通して方向付けることもできる。例えば、タグは、本明細書で記載される通り、ナノポア越しの電圧差により方向付けることができる。
本発明の方法、デバイス、およびシステムは、鋳型と相補的な、成長中の鎖へのヌクレオチドの組込み時などの個々のヌクレオチド組込みイベントを検出しうる。酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ)により、ヌクレオチドを、成長中のポリヌクレオチド鎖に組み込むことができる。本明細書で提示される酵素(例えば、ポリメラーゼ)は、ポリマー鎖を創成しうる。
付加されるヌクレオチドは、成長中の鎖とハイブリダイズする、対応する鋳型核酸鎖と相補的でありうる(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))。ヌクレオチドは、ヌクレオチドのリン酸(例えば、ガンマリン酸)部分、糖部分、または窒素性塩基部分を含むがこれらに限定されない、ヌクレオチドの任意の位置に連結されるタグ(またはタグ分子種)を含みうる。場合によって、タグは、ヌクレオチドタグの組込み時に、タグがポリメラーゼと会合している間に検出される。タグは、ヌクレオチドの組込みならびにその後のタグの切断および/または放出の後でタグがナノポアを通して移動するまで検出され続ける。場合によって、ヌクレオチド組込みイベントは、ナノポアを通して通過し、検出されるヌクレオチドから、タグを放出する。タグは、ポリメラーゼにより放出することもでき、限定なしに述べると、ポリメラーゼの近くに配置される酵素による切断を含む、任意の適切な形で切断/放出することもできる。固有のタグが、各種類のヌクレオチド(すなわち、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、またはウラシル)から放出されるため、このようにして、組み込まれた塩基(すなわち、A、C、G、T、またはU)を同定することができる。いくつかの状況では、ヌクレオチド組込みイベントはタグを放出しない。このような場合の、組み込まれたヌクレオチドに連結されたタグは、ナノポアを一助として検出される。いくつかの例では、タグにナノポアを通してまたはナノポア近傍を移動させ、ナノポアを一助としてタグを検出する。
本発明の方法およびシステムは、所与の時間内に少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30、40、50、100、500、1000、5000、10000、50000、または100000の核酸塩基(「塩基」)の分解能などで、核酸組込みイベントの検出を可能としうる。いくつかの例では、ナノポアデバイスを、各イベントが個々の核酸塩基と関連する個々の核酸組込みイベントを検出するのに使用する。他の例では、ナノポアデバイスを、複数の塩基と関連するイベントを検出するのに使用する。例えば、ナノポアデバイスにより感知されるシグナルは、少なくとも2、3、4、または5塩基からのシグナルを組み合わせることが可能である。
場合によって、タグは、ナノポアを通して通過しない。タグは、ナノポアにより検出することが可能であり、ナノポアを通して通過することなしにナノポアから抜け出る(例えば、タグがナノポアに入る方向とは逆方向から抜け出る)ことが可能である。チップは、タグをナノポアから能動的に駆逐するように構成することができる。
場合によって、タグは、ヌクレオチド組込みイベント時に放出されない。場合によって、ヌクレオチド組込みイベントは、タグをナノポアに「提示する」(すなわち、タグを放出することを伴わない)。タグは、放出することなしに、ナノポアにより検出することができる。タグは、検出のためにタグをナノポアに提示するのに十分な長さのリンカーにより、ヌクレオチドに接合することができる。
ヌクレオチド組込みイベントは、リアルタイムで(すなわち、それらが生じるときに)、かつ、ナノポアを一助として検出することができる。場合によっては、ナノポアに接合されるかまたはこれに近接させた酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)は、ナノポアを通してまたはナノポアに隣接した核酸分子の流動を容易としうる。ヌクレオチド組込みイベントまたは複数のヌクレオチドの組込みは、ナノポアにより検出されうる、1または複数のタグ分子種(本明細書ではまた、「タグ」とも称する)を放出または提示しうる。検出は、タグが、ナノポアを通して流動するか、またはナノポアに隣接して流動するとき、タグがナノポア内に滞留するとき、および/またはタグがナノポアに提示されるときになされうる。場合によって、ナノポアに接合されるか、またはこれに近接させた酵素は、1または複数のヌクレオチドの組込み時において、タグを検出する一助となりうる。
本発明のタグは、原子の場合もあり、分子の場合もあり、原子または分子のコレクションの場合もある。タグは、光学的署名、電気化学的署名、磁気的署名、または静電的(例えば、誘導性、容量性の)署名をもたらすことが可能であり、これらの署名は、ナノポアを一助として検出することができる。
本明細書で記載される方法は、単一分子法でありうる。すなわち、検出されるシグナルは、単一の分子(すなわち、単一ヌクレオチドの組込み)により発生するものであり、複数のクローン分子から発生するものではない。方法は、DNA増幅を要請しなくともよい。
ヌクレオチド組込みイベントは、複数のヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP[式中、Nは、アデノシン(A)、シチジン(C)、チミジン(T)、グアノシン(G)、またはウリジン(U)である])を含む混合物から生じうる。ヌクレオチド組込みイベントは、必ずしも単一種類のヌクレオチド(例えば、dATP)を含む溶液から生じるわけではない。ヌクレオチド組込みイベントは、複数のヌクレオチド溶液の交替(例えば、dATPに続くdCTPに続くdGTPに続くdTTPに続くdATP)から生じるわけではない。場合によっては、複数のヌクレオチド(例えば、AA、AG、AC、AT、GA、GG、GG、GC、GT、CA・・・などの二量体)が、リガーゼにより組み込まれる。
タグ付けされたヌクレオチド
場合によっては、タグ付けされたヌクレオチドは、ヌクレオチド組込みイベントにおいて切断することが可能であり、ナノポアを一助として検出することが可能なタグを含む。タグは、ヌクレオチドの5’−リン酸に接合することができる。場合によって、タグは、フルオロフォアではない。タグは、その電荷、形状、サイズ、またはこれらの任意の組合せにより検出可能でありうる。タグの例は、多様なポリマーを含む。各種類のヌクレオチド(すなわち、A、C、G、T)は一般に、固有のタグを含む。
タグは、ヌクレオチド上の任意の適切な位置に配置することができる。図25は、タグ付けされたヌクレオチドの例を提示する。この図では、Rは一般に、OHであり、Rは、H(すなわち、DNAの場合)またはOH(すなわち、RNAの場合)であるが、他の修飾も許容可能である。図25では、Xは、任意の適切なリンカーである。場合によって、リンカーは、切断可能である。リンカーの例は、限定なしに述べると、O、NH、S、またはCHを含む。位置Zに適する化学基の例は、O、S、またはBHを含む。塩基は、核酸への組込みに適する任意の塩基であり、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、またはこれらの誘導体を含む。場合によってはまた、ユニバーサル塩基も許容可能である。
リン酸の数(n)は、任意の適切な整数値(例えば、ヌクレオチドを核酸分子に組み込みうるような数のリン酸)である。場合によって、全ての種類のタグ付けされたヌクレオチドは、同じ数のリン酸を有するが、これは要請されない。いくつかの適用では、各種類のヌクレオチドについて異なるタグが存在するが、リン酸の数は、必ずしも多様なタグを識別するのに使用されるわけではない。しかし、場合によって、複数の種類のヌクレオチド(例えば、A、C、T、G、またはU)は、同じタグ分子を有し、1つのヌクレオチドを別のヌクレオチドから識別する能力は、少なくとも部分的にリン酸の数(多様な種類のヌクレオチドがnに応じて異なる値を有する)により決定される。いくつかの実施形態では、nに応じた値は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である。
本明細書では、適切なタグが記載される。場合によって、タグは、化合物の残余における電荷と比べて符号が逆の電荷を有する。タグを接合すると、化合物全体の電荷は中性でありうる。タグの放出は、帯電したタグおよび帯電したヌクレオチドという2つの分子を結果としてもたらしうる。場合によって、帯電したタグは、ナノポアを通して通過し、検出される。
タグ付けされた適切なヌクレオチドのさらなる例を、図26に示す。タグは、糖分子、塩基分子、またはこれらの任意の組合せに接合することができる。図13を参照すると、Yは、タグであり、Xは、リンカー(任意選択で切断可能な)である。さらにまた、存在する場合、Rは一般に、OH、−OCH、または−O−2−ニトロベンジルであり、存在する場合、Rは一般に、Hである。Zもまた一般に、O、S、またはBHであり、nは、1、2、3、または4を含む任意の整数である。場合によって、Aは、O、S、CH2、CHF、CFF、またはNHである。
図26への参照を続けると、各dNPP類似体における塩基の種類は一般に、他の3つのdNPP類似体の各々における塩基の種類と異なり、各dNPP類似体におけるタグの種類は一般に、他の3つのdNPP類似体の各々におけるタグの種類と異なる。適切な塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、もしくはチミン、またはこれら各々の誘導体を含むがこれらに限定されない。場合によって、塩基は、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン、または5−メチルシトシンのうちの1つである。
が−O−CHである場合、方法は、−CHを除去し、3’位に接合されたOH基を結果としてもたらし、これにより、さらなるdNPP類似体の組込みを可能とするように、任意選択で、組み込まれたdNPP類似体を処理するステップをさらに含む。
が−O−2−ニトロベンジルである場合、方法は、−2−ニトロベンジルを除去し、3’位に接合されたOH基を結果としてもたらし、これにより、さらなるdNPP類似体の組込みを可能とするように、任意選択で、組み込まれたヌクレオチド類似体を処理するステップをさらに含む。
タグの例
タグは、ナノポア内で検出することが可能な任意の化学基または分子でありうる。場合によって、タグは、エチレングリコール、アミノ酸、炭水化物、ペプチド、色素、化学発光化合物、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、トリヌクレオチド、テトラヌクレオチド、ペンタヌクレオチド、ヘキサヌクレオチド、脂肪族酸、芳香族酸、アルコール、チオール基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アジド基、またはこれらの組合せのうちの1または複数を含む。
タグは、化合物中のリン酸の数を釣り合わせるのに適する数のリシンまたはアルギニンをさらに含むこともまた想定される。
場合によって、タグは、ポリマーである。ポリエチレングリコール(PEG)は、ポリマーの例であり、以下の構造:
Figure 0006333179
を有する。
任意の数のエチレングリコール単位(W)を使用することができる。場合によって、Wは、0〜100の間の整数である。場合によって、エチレングリコール単位の数は、ヌクレオチドの各種類に応じて異なる。ある実施形態では、4種類のヌクレオチドは、16、20、24、または36エチレングリコール単位を有するタグを含む。場合によって、タグは、クマリンベースの色素など、さらなる同定可能部分をさらに含む。場合によっては、ポリマーを帯電させる。場合によっては、ポリマーを帯電させず、タグを、高濃度(例えば、3〜4M)の塩中で検出する。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、指定された数の炭素原子を有する分枝状および直鎖状両方の飽和脂肪族炭化水素基を含み、置換されていない場合もあり、置換されている場合もある。本明細書で使用される「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素間二重結合を含有する、直鎖状または分枝状の非芳香族炭化水素ラジカルを指し、最大可能数までの非芳香族炭素間二重結合を存在させることが可能であり、置換されていない場合もあり、置換されている場合もある。「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間三重結合を含有する、直鎖状または分枝状の炭化水素ラジカルを指し、最大可能数までの非芳香族炭素間三重結合を存在させることが可能であり、置換されていない場合もあり、置換されている場合もある。「置換された」という用語は、正常な価数が維持され、置換(複数可)が、安定的な化合物を結果としてをもたらすことを条件として、その中に含有される水素原子への少なくとも1つの結合を、水素以外の原子または炭素以外の原子への結合で置きかえたアルキルまたはヒドロカルビルなど、上記で記載した官能基を指す。置換基はまた、炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)への1または複数の結合を、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含む1または複数の結合で置きかえた基も含む。
タグを接合するための方法
任意の適切なタグを接合するための方法を使用することができる。例として述べると、タグは、(a)環式トリメタリン酸の生成を可能とする条件下で、ヌクレオチド三リン酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド/ジメチルホルムアミドと接触させるステップと、(b)−OHまたは−NHによる官能化化合物を形成するように、ステップa)から結果として生じる生成物を、求核試薬と接触させるステップと、(c)タグが末端のリン酸に間接的に結合し、これにより、ヌクレオチド三リン酸類似体を形成することを可能とする条件下で、ステップb)の生成物を、−COR基をそれに接合したタグと反応させるステップとにより末端のリン酸に接合することができる。
場合によって、求核試薬は、HN−R−OH、HN−R−NH、R’S−R−OH、R’S−R−NH、または
Figure 0006333179
である。
場合によって、方法は、ステップb)において、ステップa)から結果として生じる生成物を、構造:
Figure 0006333179
を有する化合物と接触させ、構造:
Figure 0006333179
を有する化合物を形成するように、生成物を、NHOHと逐次的または共時的に接触させるステップを含む。次いで、タグが、末端のリン酸に間接的に結合し、これにより、構造:
Figure 0006333179
[式中、Rは、OHであり、Rは、HまたはOHであり、塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、7−デアザプリン、または5−メチルピリミジンである]を有するヌクレオチド三リン酸類似体を形成することを可能とする条件下で、ステップb)の生成物を、−COR基をそれに接合したタグと反応させることができる。
タグの放出
タグは、任意の形で放出することができる。場合によっては、タグを、ポリリン酸(例えば、図25)に接合し、ヌクレオチドを核酸分子に組み込む結果として、タグをそれに接合したポリリン酸の放出をもたらす。組込みは、任意選択でナノポアに接合された少なくとも1つのポリメラーゼにより触媒することができる。場合によって、少なくとも1つのホスファターゼ酵素もまた、ポアに接合することができる。ホスファターゼ酵素は、タグをポリリン酸から切断して、タグを放出することが可能である。場合によっては、ポリメラーゼ反応においてポリメラーゼにより生成するピロリン酸が、ポアに入る前にホスファターゼ酵素と相互作用するように、ホスファターゼ酵素を配置する。
場合によっては、タグを、ポリリン酸に接合しない(例えば、図26を参照されたい)。これらの場合には、タグを、任意選択で切断可能なリンカー(X)により接合する。切断可能にキャップされ、かつ/または切断可能に連結されたヌクレオチド類似体を生成するための方法は、参照により全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第6,664,079号において開示されている。リンカーは、切断可能でなくともよい。
リンカーは、任意の適切なリンカーであることが可能であり、任意選択では、任意の適切な形で切断することができる。リンカーは、光切断型でありうる。ある実施形態では、UV光を、光化学的に切断可能なリンカーおよび部分を光化学的に切断するのに使用する。ある実施形態では、光切断型リンカーは、2−ニトロベンジル部分である。
−CH基は、それをdNPP類似体またはrNPP類似体の3’O原子からを除去し、これにより、3’OH基を創出するように、TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)で処理することができる。
タグの検出
場合によっては、ポリメラーゼにより、複数の異なる塩基(例えば、A、C、G、T、および/またはU)を含むタグ付けされたヌクレオチドのプールからの抜き出しがなされる。また、ポリメラーゼを、多様な種類のタグ付けされた塩基と繰り返し接触させることも可能である。この場合には、各種類のヌクレオチドが固有の塩基を有することが必要でない場合もあり、異なる塩基種類の間でサイクリングすると、工程に費用および複雑性がかさむにもかかわらず、場合によっては、この実施形態も本発明に包摂される。
図27は、いくつかの実施形態では、タグ付けされたヌクレオチドを核酸分子に組み込むこと(例えば、ポリメラーゼを使用して、鋳型と対合させたプライマー塩基を伸長させて)により、検出可能なタグ−ポリリン酸を放出させうることを示す。場合によって、タグ−ポリリン酸は、それがナノポアを通して通過するときに検出される。いくつかの実施形態では、タグ−ポリリン酸は、それがナノポア内に存在するときに検出される。
場合によって、方法は、ポリリン酸を含むリン酸の数に基づき、ヌクレオチドを識別する(例えば、タグが同一である場合でもなお)。にもかかわらず、各種類のヌクレオチドは一般に、固有のタグを有する。
タグ−ポリリン酸化合物は、タグをナノポアに通過させ、かつ/またはタグにナノポアを通して通過させ、イオン電流を測定する前に、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ)で処理することができる。
タグは、ヌクレオチドから放出された後、ナノポアを通して流動しうる。場合によっては、電圧を印加して、タグをナノポアを通して引き寄せる。放出されたタグのうちの少なくとも約85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、または少なくとも99.99%は、ナノポアを通して移動しうる。
場合によって、タグは、それらが検出される時間にわたりナノポア内に滞留する。場合によっては、電圧を印加して、タグをナノポア内に引き寄せて、タグを検出し、タグをナノポアから駆逐し、またはこれらの任意の組合せを行う。タグは、ヌクレオチド組込みイベント時に放出することもでき、ヌクレオチドになお結合させておくこともできる。
タグは、その電荷のために、ナノポア内で(少なくとも部分的に)検出することができる。場合によって、タグ化合物は代替的に、第1の正味電荷を有し、化学反応、物理学的反応、または生物学的反応の後、異なる第2の正味電荷を有する帯電化合物でもある。場合によって、タグにおける電荷の大きさは、化合物の残余における電荷の大きさと同じである。ある実施形態では、タグは正の電荷を有し、タグを除去することにより、化合物の電荷は変化する。
場合によっては、タグは、ナノポア内に通過し、かつ/またはナノポアを通して通過するときに、電子的変化を発生させうる。場合によって、電子的変化は、電流振幅の変化、ナノポアの伝導度の変化、またはこれらの任意の組合せである。
ナノポアは、生物学的ナノポアの場合もあり、合成ナノポアの場合もある。ポアが、タンパク質性である、例えば、アルファヘモリシンタンパク質であることもまた想定される。合成ナノポアの例は、固体状態のポアまたはグラフェンである。
場合によっては、ポリメラーゼ酵素および/またはホスファターゼ酵素を、ナノポアに接合する。融合タンパク質またはジスルフィド架橋は、タンパク質性ナノポアに接合するための方法の例である。固体状態ナノポアの場合、ナノポア近くの表面への接合は、ビオチン−ストレプトアビジン連結を介することが可能である。例として述べると、DNAポリメラーゼは、自己アセンブルしてアミノ基で官能化されたアルカンチオール単層であって、DNAポリメラーゼ上のアミノ基に接合するために、アミノ基をNHSエステルに修飾したアルカンチオール単層により修飾された金表面を介して固体表面に接合する。
方法は、任意の適切な温度で実施することができる。いくつかの実施形態では、温度は、4℃〜10℃の間である。いくつかの実施形態では、温度は、周囲温度である。
方法は、任意の適する溶液中および/または緩衝液中で実施することができる。場合によって、緩衝液は、20mMのHEPESでpH7.0〜8.0に緩衝処理された300mMのKClである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、二価カチオンを含まない。場合によっては、方法は、二価カチオンの存在の影響を受けない。
両方の核酸鎖の配列決定
二本鎖核酸分子(例えば、デオキシリボ核酸)は、周知の塩基対相互作用(例えば、AはTと相互作用し、GはCと相互作用する)に従いハイブリダイズする(例えば、互いと結合する)センス鎖およびアンチセンス鎖を有しうる。場合によって、センス鎖とアンチセンス鎖とは、周知のアルファ螺旋の立体構成において互いに巻きつきあう。一般に、センス鎖は、大半の生物により使用される周知のコドンに従いアミノ酸をコードする(例えば、5’〜3’方向に、TCAは一般に、アミノ酸であるセリン・・・などをコードする)鎖である。しかし、どちらの鎖がセンス鎖であり、どちらがアンチセンス鎖であるかの指示は、恣意的でありうる。全ての核酸がタンパク質をコードするわけではない。
本明細書では、アンチセンス鎖(例えば、3’→5’方向)の核酸配列を使用して、センス鎖(例えば、5’→3’方向)の配列を決定および/または検証しうる(例えば、公知の塩基対相互作用のために)ことが認識される。さらにまた、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を配列決定して、二本鎖核酸分子の配列を決定することは、ある種の利点も有しうる。場合によっては、センス鎖またはアンチセンス鎖の配列を決定することがより容易でありうる(例えば、任意の理由または未知の理由(例は、(a)一方の鎖は、他の鎖により形成されない二次構造を形成しうること、または(b)一方の鎖からのシグナルは、比較的強く、かつ/または他の鎖からのシグナルよりよく分解されることを含むがこれらに限定されない)で)。一方の鎖から得られる配列シグナルおよび/または配列情報は、他の鎖から得られる配列シグナルおよび/または配列情報と相補的でありうる(例えば、一方の鎖上でたやすく分解されない塩基は、他の鎖上でたやすく分解することができる)。
核酸分子は、多様な種類の突然変異および/またはミスマッチを有しうる。例えば、塩基対のミスマッチは、任意の数の塩基位置(例えば、1、2、3、4、5、6、7以上の)が、2つの鎖の間(例えば、センス鎖上のAとアンチセンス鎖上のGとの間)で相補的でない場所に存在しうる。場合によって、一方の鎖は、他の鎖と比べて塩基位置の挿入または欠失を有しうる(例えば、センス鎖は、アンチセンス鎖と塩基対合させない配列ACCTCGATを有する)。センス鎖とアンチセンス鎖とは、欠失および/または挿入から5’方向、欠失および/または挿入から3’方向、または両方の方向に塩基対合させることができる。場合によって、二本鎖核酸分子は、鎖のうちの一方だけにおいて見出される情報(例えば、メチル化塩基などのエピジェネティックマーカー)を含有しうる。この場合には、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を配列決定して、エピジェネティック情報(例えば、メチル化塩基)を検出することができる。
本明細書では、ナノポアを使用して、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を配列決定するための方法が提示される。センス鎖およびアンチセンス鎖の末端は、併せてライゲーションして、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含有する、配列決定される一本鎖核酸分子を形成することができる。一本鎖核酸分子は、ナノポアを通して通過させる(例えば、図2Bに示す通り)ことにより配列決定することもでき、タグ分子が検出されるナノポアに隣接して通過させる(例えば、図2Cおよび図2Dに示される)ことにより配列決定することもできる。
ある態様では、核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法は、(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子を用意するステップと、(b)第1の核酸セグメントを、センス鎖とアンチセンス鎖が連結する二本鎖核酸分子の第1の末端にライゲーションするステップと、(c)二本鎖核酸を一本鎖核酸に解離させて、前記センス鎖のセンス部分および前記アンチセンス鎖のアンチセンス部分を含む分子をもたらすステップと、(d)一本鎖核酸分子に、電極に隣接または近接して配置される膜内のナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させるステップと、(e)電極を使用して、一本鎖核酸分子に、ナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させる間に、電流の測定値を得るステップと、(f)二本鎖核酸の配列を、(e)で得られた電流の測定値から決定するステップとを含む。電極は、一本鎖核酸分子がナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過するときの電流を検出するように適合されていてもよい。
第1の核酸セグメントは、核酸ヘアピン(例えば、図28のリンカー区間)を有しうる。ヘアピンは、塩基対合させた(二本鎖)核酸を含むヘアピン二重鎖(HD)の2つのセグメントの間に配置される、塩基対合させないヘアピン構造を有しうる。第1の核酸セグメントは、第1の識別子をさらに含みうる。第1の識別子により、二本鎖核酸分子がどの試料に由来するのかを同定することができる。
いくつかの実施形態では、方法は、第2の核酸セグメントを、二本鎖核酸の第2の末端(例えば、図28の嵩高前区間)にライゲーションするステップをさらに含む。場合によって、第2の核酸セグメントは、ナノポア内に一本鎖核酸分子をトラップすることが可能である一部分(例えば、第1の嵩高前構造および/または第2の嵩高前構造)を含む。いくつかの実施形態では、第2の核酸セグメントは、ある温度未満で(例えば、温度が、約60℃を下回るか、約50℃を下回るか、約40℃を下回るか、約30℃を下回るか、約20℃を下回るか、約10℃を下回るか、約0℃を下回るか、または約−10℃を下回る場合)は、ナノポア内に一本鎖核酸分子をトラップすることが可能である。いくつかの実施形態では、第2の核酸セグメントは、第2の識別子(例えば、一本鎖核酸分子が、ナノポアを通して第1の向きに通過するのか、第2の向きに通過するのかを決定するのに使用することが可能な)を含む。
場合によって、一本鎖核酸分子の、ナノポアを通してまたはナノポア近傍の通過速度は、本明細書で記載される1または複数の減速バンプ分子を一助として減速される。電流の測定値は、一本鎖核酸分子の通過速度が減速されるときに得ることができる。いくつかの実施形態では、電流の測定は、ナノポア越しに、かつ/または膜越しに印加される複数の電圧下で行う。場合によって、前記1または複数の減速バンプ分子のうちの個々の減速バンプ分子は、リボ核酸を含む。
ある態様では、本発明は、ナノポア型検出器ならびに試料ポリヌクレオチド構造およびそのアンチセンスポリヌクレオチドの両方を含む被験ポリヌクレオチドを使用して、試料ポリヌクレオチドの配列情報および/または構造情報を得るための方法を対象とする。被験ポリヌクレオチドは、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントにより、滞留時間にわたり、ナノポア内にトラップすることができる。この滞留時間において、複数の電圧を有する電位を含む、一定の電位プロファイルまたは変化する電位プロファイルを、ナノポア型検出器の電極に印加し、電気シグナルのセットを得る。電位は、波形(例えば、図29に示される波形)に従い変化させることができる。一定の電位プロファイル下または変化する電位プロファイル下で収集される電気シグナルは、被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある配列および/または構造の情報をもたらしうる。ナノポアおよび/または被験ポリヌクレオチドの性格に応じて、試料ポリヌクレオチドの異なる配列および/または構造から収集される電気シグナルは、高度な信頼性で分解するのが困難でありうる。しかし、試料ポリヌクレオチドおよび対応するアンチセンスポリヌクレオチドから収集された電気シグナルをまとめることにより、試料ポリヌクレオチド内の配列および/または構造を分解するときの信頼性を改善することができる。試料ポリヌクレオチドおよび対応するアンチセンスポリヌクレオチドを同じナノポア内で特徴付けることからもまた、シグナルを同じナノポアからほぼ同時に収集することにより、システムエラーを減少させることができる。既往の方法では、試料ポリヌクレオチドだけを解析する。したがって、試料ポリヌクレオチドおよびそのアンチセンスポリヌクレオチドの読取りから収集される電気シグナルは、現在利用可能な方法より信頼でき、正確な試料ポリヌクレオチドの配列および/または構造の決定をもたらしうる。
本発明の一態様は、試料の構造情報を得る方法であって、
(F1)第1の末端および第2の末端を有するds試料区間であり、
一本鎖(ss)試料ポリヌクレオチドおよびそのssアンチセンスポリヌクレオチド、
第1の末端でss試料ポリヌクレオチドとssアンチセンスポリヌクレオチドとを連結するリンカー、ならびに
各々が第2の末端でセンスポリヌクレオチドまたはアンチセンスポリヌクレオチドに連結される第1の嵩高前構造および第2の嵩高前構造
を含むds試料区間を含む二本鎖(ds)被験ポリヌクレオチドを調製するステップと、
(F2)A1のds被験ポリヌクレオチドを、一方の末端に第1の嵩高前構造を有し、他方の末端に第2の嵩高前構造を有する、ss被験ポリヌクレオチドに変性させるステップと、
(G1)第1の条件で、第1の嵩高前構造から第1の嵩高い構造(BS1)を形成するステップと、
(G2)任意選択で、BSHにより、ナノポアの狭窄領域の前で、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドにナノポア型検出器のナノポアを通して流動させるステップと、
(G3)第2の条件で、第2の嵩高前構造から第2の嵩高い構造(BS2)を形成するステップと、
(G4)任意選択で、BSLにより、ナノポアの狭窄領域の前で、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、別の電位を印加して、ss被験ポリヌクレオチドの流動を反転させるステップと、
(G5)ストッパをss被験ポリヌクレオチドと接触させて、第1のストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントを含む被験ポリヌクレオチド複合体を形成するステップと、
(G6)ナノポアの狭窄領域の前で、第1のストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、別の電位を印加して、被験ポリヌクレオチド複合体にナノポアを通して流動させるステップと、
(G7)第1のストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントを、ナノポアの内側で、滞留時間にわたり失速させるときに、複数の電圧を有する電位を含む、一定の電位プロファイルまたは変化する電位プロファイルを、ナノポア型検出器の電極に印加し、第1の電気シグナルのセットを得るステップと、
(G8)第1の電気シグナルのセットを、ステップ(G7)における同じ電位プロファイル下で、被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある公知の構造について収集された電気シグナルと比較することにより、被験ポリヌクレオチドの流動方向で、第1のストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造を決定するステップと、
(G9)第1のストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントを解離させ、ポリヌクレオチドのナノポアを通しての流動を持続させるステップと、
(G10)BSHまたはBSLにより、ss被験ポリヌクレオチドを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、ステップ(G5)〜(G9)を反復するステップと、
(G11)任意選択で、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、・・・または100回にわたり、ステップ(G4)〜(G10)を反復するステップと、
(G12)試料ポリヌクレオチドおよびそのアンチセンスポリヌクレオチドの両方について収集されたヌクレオチドの配列情報を重ね合せることにより、試料ポリヌクレオチド配列を構築するステップと
を含む方法に関する。
ある実施形態では、第1の嵩高前構造および第2の嵩高前構造のいずれも、ポリヌクレオチド/オリゴヌクレオチドによる嵩高前構造である。第1の嵩高前構造は、第1の温度で、対応する第1の嵩高い構造を形成する。第2の嵩高前構造は、第2の温度で、対応する第2の嵩高い構造を形成する。そして、第1の温度は、第2の温度より高い。
別の実施形態では、第1の嵩高前構造は、第1の嵩高前構造に対して特異的なリガンドとの相互作用を介して第1の嵩高い構造を形成する、ポリヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドによる嵩高前構造である。ある実施形態では、第1の嵩高い構造の形成は、温度に依存しない。第2の嵩高前構造は、嵩高前構造と対応する嵩高い構造との転換が温度依存的であるような第2の嵩高前構造でありうる。
ある実施形態では、ビオチン修飾されたポリヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドを含む第1の嵩高前構造は、ビオチン/ストレプトアビジン間相互作用を介するストレプトアビジンへの結合を介して、第1の嵩高い構造を形成する。第1の嵩高い構造の形成は、温度に依存しない場合がある。
図28を参照すると、ある実施形態では、本明細書で記載されるds被験ポリヌクレオチドは、試料ポリヌクレオチド、試料ポリヌクレオチドのアンチセンスポリヌクレオチド(アンチセンスポリヌクレオチド)、試料ポリヌクレオチドとそのアンチセンスポリヌクレオチドとを連結するリンカー(区間I3−HD−ヘアピン−HD’−I3’)、第1の嵩高前構造、第2の嵩高前構造、適正な第1の嵩高い構造の形成を指し示す第1の方向識別子(DI1)を含む(図28)。区間I2、I3、I2’、およびI3’の各々は、任意選択で、1または複数の本明細書で記載される識別子を含む。HD1とHD1’とは併せて、ポリヌクレオチド二重鎖である。区間DI−1は、第1の方向識別子を含み、任意選択で、1または複数の他の識別子を含む。区間LIは、低温の方向識別子を含み、任意選択で、1または複数の他の識別子を含む。区間I2−HIは、区間I2’−LIと完全に相補的な場合もあり、完全には相補的でない場合もあるが、少なくともその一部分は、二重鎖構造を形成する。区間I2−HIとI2’−LIとの間の二重鎖区間は、ds試料ポリヌクレオチド区間の末端と近接することが可能であり、より好ましくは隣接することが可能である(図28)。ds被験ポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の従来の変性法により(例えば、熱により)、ss被験ポリヌクレオチドに転換することができる。
試料ポリヌクレオチドは、DNAポリヌクレオチドの場合もあり、RNAポリヌクレオチドの場合もあり、アンチセンスポリヌクレオチドは、試料ポリヌクレオチドと相補的なDNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドである。リンカー区間は、試料二重鎖区間の第1の末端において、(a)試料ポリヌクレオチドの3’末端とアンチセンス試料ポリヌクレオチドの5’末端とを連結することにより、かつ/または(b)試料ポリヌクレオチドの5’末端とアンチセンス試料ポリヌクレオチドの3’末端とを連結することにより、試料ポリヌクレオチドとアンチセンス試料ポリヌクレオチドとを連結する。
ある実施形態では、被験ポリヌクレオチドは、1〜約10,000塩基、1〜約1,000塩基、1〜約500塩基、1〜約300塩基、1〜約200塩基、1〜約100塩基、約5〜約10,000塩基、約5〜約1,000塩基、約5〜約500塩基、約5〜約300塩基、5〜約200塩基、5〜約100塩基、10〜約10,000塩基、10〜約1,000塩基、10〜約500塩基、10〜約300塩基、10〜約200塩基、10〜約100塩基、20〜約10,000塩基、20〜約1,000塩基、20〜約500塩基、20〜約300塩基、20〜約200塩基、20〜約100塩基、30〜約10,000塩基、30〜約1,000塩基、30〜約500塩基、30〜約300塩基、30〜約200塩基、30〜約100塩基、30〜約50塩基、50〜約10,000塩基、50〜約1,000塩基、50〜約500塩基、50〜約300塩基、50〜約200塩基、または50〜約100塩基を有する。
ストッパは、本明細書で記載される減速バンプ(例えば、オリゴヌクレオチド)であることが可能であり、ss被験ポリヌクレオチドは、本明細書で記載される方法における減速バンプが結合するssポリヌクレオチド区間を含みうる。いくつかの実施形態では、被験ポリヌクレオチドは、被験DNAまたは被験RNAであり、減速バンプは、DNA減速バンプまたはRNA減速バンプである。減速バンプの長さは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16、好ましくは10以下、8以下、6以下、および4以下でありうる。減速バンプは、ユニバーサルヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、本源性ヌクレオチド、これらの修飾、およびこれらの組合せからなる群から選択される1または複数のヌクレオチドを含みうる。ユニバーサルヌクレオチドおよび本源性ヌクレオチドの修飾は、核酸塩基構造、骨格構造(例えば、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド)、およびこれらの組合せにおける修飾を含む。別の好ましい実施形態では、減速バンプの骨格構造は、指定された位置(複数可)、ランダムな位置、またはこれらの組合せにおいて修飾される(例えば、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド)。いくつかの実施形態では、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対は、部分的または完全にナノポア内にある可能性があり、ステップ(G7)で得られる電気シグナルに寄与する。したがって、ステップ(G8)は、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対の構造情報を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、全ての本源性核酸塩基(A、T、C、G、およびU)と塩基対合するユニバーサルヌクレオチドを、5’末端および/または3’末端に有する減速バンプを構築して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対の寄与を標準化し、シグナルの解析をより容易とすることが好ましい。
いくつかの実施形態では、全ての本源性核酸塩基(A、T、C、G、およびU)と塩基対合するユニバーサルヌクレオチドを、5’末端および/または3’末端に有する減速バンプを構築して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対の寄与を標準化し、シグナルの解析をより容易とすることが好ましい。
ストッパは、ss被験ポリヌクレオチドとプライマーとのハイブリダイゼーションにより創出される二重鎖区間においてss被験ポリヌクレオチドに結合し、任意選択で、ss被験ポリヌクレオチドにナノポアを通して移動させ、読取り工程の間、ポア内で被験ポリヌクレオチドと会合して滞留することにより、または、被験ポリヌクレオチドのアンチセンス鎖の単一ヌクレオチドが伸長した後で解離し、その後、新たに創出された試料/アンチセンス二重鎖をポア内に挿入して、既往の二重鎖の試料鎖による読取りとは異なる1つの塩基を読み取ることにより、被験ポリヌクレオチドの読取りをもたらす酵素でありうる。このような酵素の例は、限定なしに述べると、Klenow−exo minus;Phi29ポリメラーゼ;Phi29−exo minusポリメラーゼ;T4 DNAポリメラーゼ;M−MuLV逆転写酵素;およびT7 Gp4aヘリカーゼを含む。
いくつかの実施形態では、ストッパは、酵素であり、ss被験ポリヌクレオチドは、酵素がss被験ポリヌクレオチドに結合するための酵素結合部位をさらに含む。図28を参照すると、このような酵素結合部位は、全ての試料ポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドを、ナノポアにより特徴付けうることを確保するために、区間DI1、DI2、I2、またはI2’に存在することが可能であり、好ましくはDI1、またはI2に存在しうる。
いくつかの実施形態では、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対は、部分的または完全にナノポア内にある可能性があり、ステップ(G7)で得られる電気シグナルに寄与し、したがって、ステップ(G8)は、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、全ての本源性核酸塩基(A、T、C、G、およびU)と塩基対合するユニバーサルヌクレオチドを有するストッパを構築して、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対を形成し、シグナルの解析をより容易とすることが好ましい。
いくつかの実施形態では、ステップ(G8)において決定される、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20〜50塩基、50〜100塩基、100〜200塩基、200〜500塩基の配列、または500塩基を超える配列である。いくつかの実施形態では、ステップ(G8)において決定される、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造は、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30位、またはこれらの組合せなど、1〜50位にある任意のヌクレオチド配列である。
いくつかの実施形態では、ステップ(G7)において印加される電位プロファイルは、約160mV〜約−160mV、約160mV〜約0mV、約160mV〜約60mV、約100mV〜約0mV、100mV〜約80mV、または80mV〜約70mVの電圧を有する一定の電位プロファイルである。
いくつかの実施形態では、ステップ(G7)において印加される電位プロファイルは、各々がある時間にわたり印加される2つ以上の電圧を有する電位を含む、変化する電位プロファイルである。いくつかの実施形態では、変化する電位プロファイルは、ステップ(G6)の間に、またはステップ(G6)において、ストッパ−被験ポリヌクレオチド複合体を、ナノポア内で失速させるか、減速するか、もしくは停止させた後で、結果として得られる1または複数の電位を含む。印加される2つ以上の電位のうちの少なくとも2つの電位には、約1mV、5mV、10mV、または30mVを超える電位差がある。ある実施形態では、電位は、約160mV〜約−160mV、約160mV〜約0mV、約160mV〜約60mV、約100mV〜約0mV、100mV〜約80mV、または80mV〜約70mVの電圧を有する。各電位の時間は、少なくとも約5マイクロ秒、少なくとも約10マイクロ秒、少なくとも約50マイクロ秒、少なくとも約100マイクロ秒、少なくとも約500マイクロ秒、少なくとも約1ミリ秒、少なくとも約5ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約50ミリ秒、少なくとも約100ミリ秒、少なくとも約500ミリ秒、少なくとも約1秒、または少なくとも約2秒でありうる。
いくつかの実施形態では、ステップ(G7)において印加される、変化する電位プロファイルは、ある時間にわたり第1の電位から第2の電位に変化する電位ランプを含む。いくつかの実施形態では、変化する電位プロファイルは、ステップ(G6)の間に、またはステップ(G6)において、ストッパ−被験ポリヌクレオチド複合体を、ナノポア内で失速させるか、減速するか、もしくは停止させた後で、結果として得られる1または複数の電位を含みうる。例えば、変化する電位プロファイルの第1の電位は、ステップ(G6)の間に、またはステップ(G6)において、ストッパ−被験ポリヌクレオチド複合体を、ナノポア内で失速させるか、減速するか、もしくは停止させた後で、結果として得られる電位でありうる。変化する電位プロファイルの最高電位と最低電位との電位差は、約1mV、5mV、10mV、20mV、または30mVを超える。別の実施形態では、第1の電位は、約160mVであり、第2の電位は、約−160mVである。ある実施形態では、第1の電位は、約160mVであり、第2の電位は、約60mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約100mVであり、第2の電位は、約0mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約160mVであり、第2の電位は、約0mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約100mVであり、第2の電位は、約80mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約100mVであり、第2の電位は、約90mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約90mVであり、第2の電位は、約85mVである。所定の時間は、少なくとも約5マイクロ秒、少なくとも約10マイクロ秒、少なくとも約50マイクロ秒、少なくとも約100マイクロ秒、少なくとも約500マイクロ秒、少なくとも約1ミリ秒、少なくとも約5ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約50ミリ秒、少なくとも約100ミリ秒、少なくとも約500ミリ秒、少なくとも約1秒、または少なくとも約2秒である。
いくつかの実施形態では、ステップ(G7)において印加される、変化する電位プロファイルは、第1の電位から第2の電位から第3の電位など複数の電位に変化する電位波形であって、全体で、印加される、変化する電位波形を形成する電位波形を含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(G7)は、少なくとも0.1Mの塩を有する溶液中で実施する。塩は、塩化物塩、リン酸塩、硝酸塩、および硫酸塩からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、ステップ(G7)は、pHが約6.5〜約8.5または約7〜約8である溶液中で実施する。このようなpHをもたらしうる任意の緩衝液を使用することができる。例は、限定なしに述べると、HEPES緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、ナノポアは、アルファヘモリシンのナノポアまたはMspAのナノポアである。
いくつかの実施形態では、ナノポア型検出器は、絶縁表面内に埋め込まれた少なくとも1つの金属製電極を含む。金属電極の材料の例は、限定なしに述べると、銀、塩化銀、白金、金、ルテニウム、およびニッケルを含む。絶縁表面の材料の例は、限定なしに述べると、プラスチック材料(例えば、テフロン(登録商標))、ガラス、または半導体材料(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、およびガリウム)を含む。いくつかの実施形態では、生物学的分子の絶縁表面への接合を容易とする当技術分野で公知の方法を使用して、絶縁表面を、疎水性および脂溶性となるようにさらに修飾する。例えば、6〜20炭素長の鎖を含有するシラン分子(例えば、オクタデシル−トリクロロシラン、オクタデシル−トリメトキシシラン、またはオクタデシル−トリエトキシシラン)またはDMOCによるさらなるシラン処理は、ケイ素表面上の二酸化ケイ素表面上で施すことができる。
ある実施形態では、ステップ(G7)における被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造は、試料ポリヌクレオチドおよびそのアンチセンスポリヌクレオチド内の対応する相補的な構造から集められた情報に従い決定することができる。したがって、情報を、試料ポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方から集めることにより、読取りの信頼性および精度を改善する。さらにまた、いくつかの実施形態では、ステップ(G7)において類似のシグナルをもたらすある種の構造は、アンチセンスポリヌクレオチド内の対応する相補的な構造により、互いからさらに差別化することもできる。
一例では、被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造の単一ヌクレオチドの差違は、ステップ(G7)において特徴付けることができる。CおよびTは、高度な信頼性(>約97%の信頼性、>約99%の信頼性であり、好ましくは>99.5%の信頼性)で決定することができる。GおよびAは、低度の信頼性(約90〜95%の信頼性)で特徴付けることができる。GおよびAの相補的構造は、それぞれ、CおよびTである。したがって、試料DNAおよびアンチセンス鎖の両方においてCおよびTを決定することにより、試料DNAだけから収集される情報により4つのヌクレオチドであるA、C、T、およびGの全てを決定する場合(約95%の信頼性)より高度な信頼性(>99%の信頼性、好ましくは>99.5%の信頼性)で、試料DNAの構造がもたらされる。いくつかの実施形態では、ナノポアは、アルファヘモリシンのナノポアであり、特徴付けられるポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAであり、ステップ(G6〜G7)において、一定のプロファイルまたは変化するプロファイルにより印加される電位(複数可)は、少なくとも約10mV、少なくとも約50mV、少なくとも約60mV、約60mV〜約160mV、好ましくは少なくとも約90mV、少なくとも約100mV、より好ましくは約100mV〜約160mVである。
別の例では、被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造の単一ヌクレオチドの差違は、ステップ(G7)において特徴付けることができる。CおよびAは、高度な信頼性(>約98%の信頼性、好ましくは>99.5%の信頼性)で決定することができる。GおよびTは、低度の信頼性(約95%の信頼性)で特徴付けることができる。GおよびTの相補的構造は、それぞれ、CおよびAである。したがって、試料DNAおよびアンチセンス鎖の両方においてCおよびAを決定することにより、試料DNAだけから収集される情報により4つのヌクレオチドであるA、C、T、およびGの全てを決定する場合(約95%の信頼性)より高度な信頼性(>99%の信頼性、好ましくは>99.5%の信頼性)で、試料DNAの構造がもたらされる。いくつかの実施形態では、ナノポアは、アルファヘモリシンのナノポアであり、特徴付けられるポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAであり、ステップ(G6〜G7)において、一定のプロファイルまたは変化するプロファイルにより印加される電位(複数可)は、約140mV未満、約80mV未満、約0mV〜約140mV、好ましくは約100mV未満、約70mV未満、より好ましくは約0mV〜約70mVである。
別の例では、被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造の、2つのヌクレオチドによる二量体を、ステップ(G7)において決定することができる。試料DNAおよびアンチセンス鎖の両方において二量体を特徴付けることにより、試料DNAだけから全ての二量体を決定する場合(>約90%の信頼性、または>約95%の信頼性)より高度な信頼性(>約97%の信頼性、または>約99%の信頼性、好ましくは>99.5%の信頼性)で、試料DNAの構造がもたらされる。好ましい例では、このような2つのヌクレオチドによる二量体は、ステップ(G7)において、アルファヘモリシンポアの狭窄部位内で浮遊している。
本発明の別の態様は、アレイフォーマット内の複数の一本鎖(ss)被験ポリヌクレオチドの配列情報を得る方法に関する。「複数」とは、1を超えること、好ましくは10、100、1,000、100,000、百万、1千万、または1億を超えることを指す。方法は、
(H1)アレイフォーマット内の複数のナノポアおよび複数のss被験ポリヌクレオチドを用意するステップと、
(H2)各ss被験ポリヌクレオチドについて、本明細書で記載されるステップ(F1)〜(F2)および(G1)〜(G12)を実施するステップであり、ナノポアが、複数のナノポアのうちの1つであり、アレイフォーマット内の複数のナノポアの各々が、個別にアドレス指定され、複数のナノポアの各々に印加される電位が、個別に制御されるステップと
を含む。
可変性刺激および電子署名
本明細書では、ナノポアにより、分子またはその一部分を同定するためのシステムおよび方法が提供される。方法は、電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップを含みうる。電極は、ナノポアを通して流れる電流を検出するように適合されていてもよい。方法は、分子またはその一部分をナノポア内に挿入するステップと、ナノポア越しに、かつ/または膜越しに印加される電圧を印加するステップとを含みうる。分子またはその一部分は、電流に影響を及ぼしうる(そして電流により同定されうる)。本明細書では、単一の電圧下で測定される電流は、分子またはその一部分を同定するのに不十分でありうることが認識される。ある態様では、本明細書で記載される方法は、複数の電圧下における電流を測定して、分子またはその一部分を同定するステップを含む。いくつかの実施形態では、複数の電圧下における電流は、電子署名を含み、電子署名を複数の基準電子署名と比較して、分子またはその一部分を同定するステップもさらに含む。
いくつかの実施形態では、ポリマー分子の一部分は、それらがポリマー分子の全長に沿う序列で同定され、かつ/または分子は、ヌクレオチドが成長中の核酸鎖に組み込まれる順序で同定される。
複数の電圧下で電流を測定するステップ(例えば、「電子署名」を得るステップ)を伴う、本明細書で記載される方法は、任意の適用において、ナノポアと共に使用することができる。例えば、分子は、図2Aに示す通りに同定することができる。場合によって、分子は、ポリマー分子(例えば、核酸分子、タンパク質、炭水化物)であり、ポリマーの一部分は、任意選択で、それらがポリマー上に現れる序列で同定される(例えば、ポリマーは、配列決定される)。場合によって、ポリマーは、図2Bに示す通りにナノポアを通して流動する。場合によって、ポリマーは、核酸分子であり、ポリマーは、ナノポアを通して流動しない。核酸分子は、これをタグ分子が検出されるナノポアに隣接して通過させることにより、配列決定することができる(例えば、図2Cおよび図2Dに示される)。
いくつかの実施形態では、電圧は、電圧波形に従い変化させる。電圧波形は、方形波、正弦波、三角波、鋸歯状波、不規則波を含む任意の波形でありうる。図29は、いくつかの適切な波形を示す。
場合によって、電圧は、交流電流(AC)波形を、ナノポアおよび/または膜に印加することにより変化させる。AC波形は、任意の適切な周波数を有しうる。いくつかの実施形態では、周波数は、約0.1ヘルツ(Hz)、約0.5Hz、約1Hz、約5Hz、約10Hz、約50Hz、約100Hz、約500Hz、約1000Hz、約5000Hz、約10000Hz、約50000Hz、約100000Hz、約500000Hz、または約1000000Hzである。いくつかの実施形態では、周波数は、少なくとも約0.1ヘルツ(Hz)、少なくとも約0.5Hz、少なくとも約1Hz、少なくとも約5Hz、少なくとも約10Hz、少なくとも約50Hz、少なくとも約100Hz、少なくとも約500Hz、少なくとも約1000Hz、少なくとも約5000Hz、少なくとも約10000Hz、少なくとも約50000Hz、少なくとも約100000Hz、少なくとも約500000Hz、または少なくとも約1000000Hzである。いくつかの実施形態では、周波数は、最大で約0.1ヘルツ(Hz)、最大で約0.5Hz、最大で約1Hz、最大で約5Hz、最大で約10Hz、最大で約50Hz、最大で約100Hz、最大で約500Hz、最大で約1000Hz、最大で約5000Hz、最大で約10000Hz、最大で約50000Hz、最大で約100000Hz、最大で約500000Hz、または最大で約1000000Hzである。
場合によって、電圧は、分子またはその一部分が、高度な統計学的信頼性で同定されるように変化させる。場合によって、分子またはその一部分は、約90%、約95%、約99%、約99.9%、約99.99%、または約99.999%の統計学的信頼性で同定される。場合によって、分子またはその一部分は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、または少なくとも約99.999%の統計学的信頼性で同定される。
場合によって、チップは、複数の電極に隣接または近接して複数のナノポアを含み、(i)電極は、個別にアドレス指定されるか、(ii)印加される電圧は個別に制御されるか、または(ii)(i)および(ii)の両方である。電圧は、約120mV〜約150mVまたは約40mV〜約150mVを含む任意の適切な範囲にわたり変化させることができる。
分子は、二本鎖核酸分子であることが可能であり、この場合、分子を解離させて、1または複数の一本鎖核酸分子を形成することができ、1または複数の一本鎖核酸分子は、ナノポアを通して通過させて、二本鎖核酸分子の配列を決定することが可能である。ナノポアの例は、アルファヘモリシンのナノポアおよびMycobacterium smegmatis(MspA)のナノポアを含む。
場合によって、ポリマー分子のナノポアを通しての通過速度は、1または複数の減速バンプ分子を一助として減速され、ここで、ポリマー分子の通過速度が減速されるときに、ポリマー分子の一部分が同定される。いくつかの実施形態では、個々の減速バンプ分子は、リボ核酸を含む。
いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、ナノポア内にトラップされる(例えば、ポリマー分子は、一本鎖核酸分子であり、分子は、ナノポアの両側に形成された嵩高い構造により、ナノポア内にトラップされる)。ポリマー分子に、ナノポアを通して前後に縫うように進ませて、ポリマー分子の一部分を複数回にわたり(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上にわたり)同定することが可能である。
場合によっては、核酸ヘアピンを、二本鎖核酸分子の末端にライゲーションして、二本鎖核酸分子を解離させて、二本鎖核酸分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む一本鎖核酸分子をもたらす。
ある態様では、本発明は、ナノポア型検出器を使用して、被験ポリマーの配列情報および/または構造情報を得るための方法を対象とする。被験ポリマーは、滞留時間にわたり、ナノポア内にトラップすることもでき、ナノポア内に滞留させることもできる(任意選択で、ストッパ−被験ポリマーセグメントにより)。この滞留時間の間に、複数の電圧を有する電位を含む、変化する電位プロファイルを、ナノポア型検出器の電極に印加して、電気シグナルのセットを得ることができる。変化する電位プロファイル下で収集される電気シグナルは、一定の電位下で収集される電気シグナルと比較してより顕著に異なる配列情報および/または構造情報(例えば、被験ポリマーの流動方向で、ストッパ−被験ポリマーセグメントの前にある)をもたらしうる。したがって、変化する電位プロファイル下で収集される電気シグナルは、被験ポリマーの配列および/または構造の、一定の電位を使用する既往の方法より信頼でき、かつ、正確な決定をもたらしうる。
本発明の一態様は、被験ポリマーの配列情報および/または構造情報を得る方法であって、
(I1)ストッパ−被験ポリマーセグメントを含む被験ポリマー複合体を用意するステップと、
(J1)ナノポアの狭窄領域の前で、ストッパ−被験ポリマーセグメントを失速させるか、減速するか、または停止させるまで、第1の試験電位を印加して、被験ポリマー複合体にナノポア型検出器のナノポアを通して流動させるステップと、
(J2)複数の電圧を有する電位を含む、変化する電位プロファイルを、ナノポア型検出器の電極に印加し、このとき、ストッパ−被験ポリマーセグメントを、ナノポアの内側で、滞留時間にわたり失速させ、第1の電気シグナルのセットを得るステップと、
(J3)第1の電気シグナルのセットを、ステップ(J2)における、同じ変化する電位プロファイル下で、被験ポリマーの流動方向で、ストッパ−被験ポリマーセグメントの前にある公知の構造について収集された電気シグナルと比較することにより、被験ポリマーの流動方向で、ストッパ−被験ポリマーセグメントの前にある構造を決定するステップと
を含む方法に関する。
ある実施形態では、被験ポリマーは、被験ポリヌクレオチドであり、構成要素は、本明細書で記載されるヌクレオチドである。ある実施形態では、被験ポリヌクレオチドは、1〜約10,000塩基、1〜約1,000塩基、1〜約500塩基、1〜約300塩基、1〜約200塩基、1〜約100塩基、約5〜約10,000塩基、約5〜約1,000塩基、約5〜約500塩基、約5〜約300塩基、5〜約200塩基、5〜約100塩基、10〜約10,000塩基、10〜約1,000塩基、10〜約500塩基、10〜約300塩基、10〜約200塩基、10〜約100塩基、20〜約10,000塩基、20〜約1,000塩基、20〜約500塩基、20〜約300塩基、20〜約200塩基、20〜約100塩基、30〜約10,000塩基、30〜約1,000塩基、30〜約500塩基、30〜約300塩基、30〜約200塩基、30〜約100塩基、30〜約50塩基、50〜約10,000塩基、50〜約1,000塩基、50〜約500塩基、50〜約300塩基、50〜約200塩基、または50〜約100塩基を有する。
ストッパは、オリゴヌクレオチドによる減速バンプであることが可能であり、ss被験ポリヌクレオチドは、本明細書で記載される方法における減速バンプが結合するssポリヌクレオチド区間を含みうる。いくつかの実施形態では、被験ポリヌクレオチドは、被験DNAまたは被験RNAであり、減速バンプは、DNA減速バンプまたはRNA減速バンプである。減速バンプの長さは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16塩基でありうる。場合によって、減速バンプは、10以下、8以下、6以下、または4塩基以下でありうる。減速バンプは、ユニバーサルヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、本源性ヌクレオチド、これらの修飾、およびこれらの組合せからなる群から選択される1または複数のヌクレオチドを含みうる。ユニバーサルヌクレオチドおよび本源性ヌクレオチドの修飾は、核酸塩基構造、骨格構造(例えば、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド)、およびこれらの組合せにおける修飾を含む。別の好ましい実施形態では、減速バンプの骨格構造を、指定された位置(複数可)、ランダムな位置、またはこれらの組合せにおいて修飾する(例えば、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、およびロックドヌクレオチド)。いくつかの実施形態では、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対は、部分的または完全にナノポア内にある可能性があり、ステップ(J2)で得られる電気シグナルに寄与する。したがって、ステップ(J3)は、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対の配列情報および/または構造情報を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、全ての本源性核酸塩基(A、T、C、G、およびU)と塩基対合するユニバーサルヌクレオチドを、5’末端および/または3’末端に有する減速バンプを構築して、減速バンプ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対の寄与を標準化し、シグナルの解析をより容易とすることが好ましい。
ストッパは、ss被験ポリヌクレオチドに結合する酵素であることが可能であり、任意選択で、ss被験ポリヌクレオチドにナノポアを通して移動させる。このような酵素の例は、限定なしに述べると、Klenow−exo minus;Phi29ポリメラーゼ;Phi29−exo minusポリメラーゼ;T4 DNAポリメラーゼ;M−MuLV逆転写酵素;およびT7 Gp4aヘリカーゼを含む。
ストッパは、ポリヌクレオチドのヘアピン構造、多重ヘアピン構造、および多重アーム構造などの二次元構造または三次元構造を形成しうる、被験ポリヌクレオチドの一部でありうる。いくつかの実施形態では、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対は、部分的または完全にナノポア内にある可能性があり、ステップ(J2)で得られる電気シグナルに寄与し、したがって、ステップ(J3)は、ss被験ポリヌクレオチドの流動方向で、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの最初の塩基対を決定することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(J3)において決定されるストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20〜50塩基、50〜100塩基、100〜200塩基、200〜500塩基、または500塩基を超える配列である。
いくつかの実施形態では、ステップ(J3)において決定されるストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントの前にある構造は、ストッパ−被験ポリヌクレオチドセグメントから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30位、またはこれらの組合せなど、1〜50位にある任意のヌクレオチド配列である。
いくつかの実施形態では、ステップ(J2)において印加される、変化する電位プロファイルは、各々がある時間にわたり印加される2つ以上の電圧を有する電位を含む。いくつかの実施形態では、変化する電位プロファイルは、ステップ(J1)の間に、またはステップ(J1)において、ストッパ−被験ポリマー複合体を、ナノポア内で失速させるか、減速するか、または停止させた後で結果として得られる1または複数の電位を含む。印加される2つ以上の電位のうちの少なくとも2つの電位には、約1mV、5mV、10mV、または30mVを超える電位差がある。ある実施形態では、電位は、約160mV〜約−160mV、約160mV〜約0mV、約160mV〜約60mV、約100mV〜約0mV、100mV〜約80mV、または80mV〜約70mVの電圧を有する。各電位の時間は、少なくとも約5マイクロ秒、少なくとも約10マイクロ秒、少なくとも約50マイクロ秒、少なくとも約100マイクロ秒、少なくとも約500マイクロ秒、少なくとも約1ミリ秒、少なくとも約5ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約50ミリ秒、少なくとも約100ミリ秒、少なくとも約500ミリ秒、少なくとも約1秒、または少なくとも約2秒である。
いくつかの実施形態では、ステップ(J2)において印加される、変化する電位プロファイルは、ある時間にわたり第1の電位から第2の電位に変化する電位ランプを含む。いくつかの実施形態では、変化する電位プロファイルは、ステップ(J1)の間に、またはステップ(J1)において、ストッパ−被験ポリマー複合体を、ナノポア内で失速させるか、減速するか、または停止させた後で結果として得られる1または複数の電位を含む。例えば、変化する電位プロファイルの第1の電位は、ステップ(J1)の間に、またはステップ(J1)において、ストッパ−被験ポリマー複合体を、ナノポア内で失速させるか、減速するか、または停止させた後で結果として得られる電位でありうる。変化する電位プロファイルの最高電位と最低電位との電位差は、約1mV、5mV、10mV、20mV、または30mVを超える。別の実施形態では、第1の電位は、約160mVであり、第2の電位は、約−160mVである。ある実施形態では、第1の電位は、約160mVであり、第2の電位は、約60mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約100mVであり、第2の電位は、約0mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約160mVであり、第2の電位は、約0mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約100mVであり、第2の電位は、約80mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約100mVであり、第2の電位は、約90mVである。別の実施形態では、第1の電位は、約90mVであり、第2の電位は、約85mVである。所定の時間は、少なくとも約5マイクロ秒、少なくとも約10マイクロ秒、少なくとも約50マイクロ秒、少なくとも約100マイクロ秒、少なくとも約500マイクロ秒、少なくとも約1ミリ秒、少なくとも約5ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約50ミリ秒、少なくとも約100ミリ秒、少なくとも約500ミリ秒、少なくとも約1秒、または少なくとも約2秒である。
いくつかの実施形態では、ステップ(J2)において印加される、変化する電位プロファイルは、第1の電位から第2の電位から第3の電位など複数の電位に変化する電位波形であって、全体で、印加される、変化する電位波形を形成する電位波形を含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(J2)は、少なくとも0.1Mの塩を有する溶液中で実施する。塩は、塩化物塩、リン酸塩、硝酸塩、および硫酸塩からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、ステップ(J2)は、pHが約6.5〜約8.5または約7〜約8である溶液中で実施する。このようなpHをもたらしうる任意の緩衝液を使用することができる。例は、限定なしに述べると、HEPES緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、ナノポアは、アルファヘモリシンのナノポアまたはMspAのナノポアである。
いくつかの実施形態では、ナノポア型検出器は、絶縁表面内に埋め込まれた少なくとも1つの金属電極を含む。金属電極の材料の例は、限定なしに述べると、銀、塩化銀、白金、金、ルテニウム、およびニッケルを含む。絶縁表面の材料の例は、限定なしに述べると、プラスチック材料(例えば、テフロン(登録商標))、ガラス、または半導体材料(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、およびガリウム)を含む。いくつかの実施形態では、生物学的分子の絶縁表面への接合を容易とする当技術分野で公知の方法を使用して、絶縁表面を、疎水性および脂溶性となるようにさらに修飾する。例えば、6〜20炭素長の鎖を含有するシラン分子(例えば、オクタデシル−トリクロロシラン、オクタデシル−トリメトキシシラン、またはオクタデシル−トリエトキシシラン)またはDMOCによるさらなるシラン処理は、ケイ素表面上の二酸化ケイ素表面上で施すことができる。
本発明の別の態様は、アレイフォーマット内の複数の一本鎖(ss)被験ポリヌクレオチドの配列情報を得る方法に関する。「複数」とは、1を超えること、好ましくは10、100、1,000、100,000、百万、1千万、または1億を超えることを指す。方法は、
(K1)アレイフォーマット内の複数のナノポアおよび複数のss被験ポリヌクレオチドを用意するステップと、
(K2)各ss被験ポリヌクレオチドについて、本明細書で記載されるステップを実施するステップであり、ナノポアが、複数のナノポアのうちの1つであり、アレイフォーマット内の複数のナノポアの各々が、個別にアドレス指定され、複数のナノポアの各々と関連する電位が、個別に制御されるステップと
を含む。
例を目的として述べると、図30〜32は、ヌクレオチドについて、印加される、変化する電圧に対する応答を示す。印加される、変化する電圧および/または電子署名の方法および概念を使用して、タグ分子(例えば、タグ付けされたヌクレオチドに接合された)を識別することができる。
図30は、ヌクレオチドであるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)について、抽出されるシグナル(DLC)を、印加される電圧と対比して示す。図31は、複数のヌクレオチド(多くの実験)についての同じ情報を示す。この図で見られる通り、120mVでは、シトシンをチミンから識別することが比較的容易であるが、150mVでは、互いから識別することが困難である(例えば、150mVで抽出されるシグナルは、CおよびTについてほぼ等しいため)。また、120mVでは、チミンをアデニンから識別することが困難であるが、150mVでは識別が比較的容易でもある。したがって、場合によって、印加される電圧を、約120mV〜150mVで変化させ(例えば、電圧スイープの一部として)て、ヌクレオチドであるA、C、GおよびT(またはU)の各々を識別することができる。
図32は、ヌクレオチドであるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)について、相対伝導差パーセント(%RCD)を、印加される電圧の関数として示す。%RCD(これは本質的に、30Tの基準分子に照らした、各分子の伝導差である)をプロットすることにより、実験間の補正および増大の変化を除去することができる。図32は、20回中17回の試験の第1のブロックに由来する個々のDNA波形を含む。17回の良好な試験全てについて、単一ヌクレオチドによるDNAの50〜200回の捕捉全ての%RCDである。ヌクレオチドの各々が識別可能となる電圧が指し示される。
(実施例1)
PB2構造(I)
BS2を一方の末端に有するss被験DNAを、T2より低い温度でナノポア内に捕捉し、T2より高い温度で放出する(図24)。
BS2(BS2−1)とは、5’-CCCCC CCCCC TTATA CCCCT ATAA-3’(配列番号1、PB2−1)の配列を有するPB2から形成された、DNAによる5塩基二重鎖のヘアピン構造である。UNAFOLDプログラムを使用するシミュレーションによれば、BS2−1の溶融温度は、約15℃であり、5℃におけるΔGは、約−0.96kcal/モルであった。このやや小さなΔGは、BS2−1の結合エネルギーが比較的小さいことを指し示した。
図24では、実線は2℃から14℃への温度の変化を示した。ドットは、個々のDNA捕捉を表し、これは、PB2−1が、対応する温度でBS2−1を形成し、ナノポア内に捕捉されたことを意味した。温度がほぼT2(約5℃)以下であるときに捕捉が提示されたことから、BS2−1がPB2−1から形成され、DNAがナノポア内で失速することが指し示される。温度がT2を超えて約5〜10℃に上昇すると、DNAの捕捉が消失したことから、BS2−1が溶融し、もはやナノポア内で失速しないことが指し示される。
したがって、PB2−1は、BS2−1を形成し、これは、その溶融温度より約10℃低い温度のポア内で、ssDNAを失速させるか、減速するか、または停止させる。これは、BS2−1のΔGが比較的小さかったことに起因しうる。したがって、BS2−1内のDNA二重鎖構造は、ナノポア内で解離させることが比較的容易である。したがって、ΔGが大きなBS2は、破壊することがより困難である可能性があり、BS2の溶融温度に近い温度のナノポアにおける滞留時間を延長しうる。
(実施例2)
PB1およびPB2構造(II)
PB1は、BS2がPB2から形成される第2の温度(T2)より高い第1の温度(T1)でBS1を形成する。T2は、作業温度(Tw)より高い。本実施例では、Twは、室温を下回る。したがって、PB1は、比較的長いDNA二重鎖セグメントの所望の溶融温度が達成されるように、比較的長いDNA二重鎖セグメント(アンチセンスのDNAセグメントを伴うDNA二重鎖内、またはヘアピン構造内の)を有するようにデザインされる。
PB2は、溶融温度が低く、結合エネルギーが大きくなるようにデザインされる(作業条件において、ΔG=約−1〜−5kcal/モル、約−4〜−6kcal/モル、約−4〜−5kcal/モル、約−4.5kcal/モル、または約−4.0kcal/モル)。T2は低いが、作業条件においてたやすく解離しないBS2をもたらすように、アンカーボルト分子または分枝状分子がデザインされている。
PB1の例は、15塩基の配列および4つのA塩基によるループ:5’-CGTCT AGCGT TGCCG AAAAC GGCAA CGCTA GACG-3’(配列番号2、PB1−1)を有する。UNAFOLDプログラムを使用するシミュレーションによれば、この配列の溶融温度は、1MのKCl中、1μMの配列濃度で、91.4℃である。
PB2の例は、5’-GACCC TGCCC CCAGC TTTCC CCAAA CGTCA AAAAA-3’(配列番号3、PB2−2)の配列を有し、UNAFOLDプログラムを使用するシミュレーションによれば、形成されたBS2−2は、
Figure 0006333179
に示す通り、3つのステム、3つの二重鎖、2つのループによる分子である。
UNAFOLDプログラムを使用して、BS2−2の以下の特徴:
5℃において、ΔG=−4.5140kcal/モル(100%のフォールディング)、
ΔH=−67.90kcal/モル、
ΔS=−227.9cal/(K・モル)、および
Tm=24.8083℃
をもたらした。
最近傍ベースを使用して、計算によるBS2−1の溶融曲線を得る。溶融曲線は、30℃超では、構造のうちの約90%が、直鎖状(PB2−2)であり、20℃未満では、構造のうちの約90%が、BS2−2を形成することを例示する。このような急勾配の溶融曲線は、よく制御されたBS2−2の嵩高い構造の形成を示し、これは、強く所望される。5℃におけるBS2−2のΔGは、−4.5kcal/モルであり、これは、実施例1における5塩基のヘアピン分子によるBS2−1より強い結合アフィニティを指し示す。
(実施例3)
4塩基の二重鎖セグメントによるDNAの失速
本実施例は、4塩基の二重鎖セグメントが、所望の配列情報を得るのに十分な滞留時間にわたり、ナノポア内でss被験DNAを失速させたことを例示する。
被験DNAは、以下のDNAであった。
被験DNAは、DNA−1:5’-CCCCC CCCCC GCGC-3’(配列番号4)の自己ハイブリダイゼーションにより形成される。DNA−1を、生物学グレードの水中に溶存させ、90℃まで加熱し、次いで、自己ハイブリダイゼーションのために室温まで冷却されるように放置した。DNA−1分子は、別のDNA−1分子とハイブリダイズして、その3’末端において4塩基のGCGC二重鎖セグメントを有し、その5’末端において2つの突出するss 10−Cテールを有する、自己ハイブリダイズDNA−1構造を形成する。作業条件において、自己ハイブリダイズDNA−1構造は、2つの突出するss 10−Cテールのうちの1つと共にナノポアに入り、ナノポア内で、3’末端における4塩基の二重鎖セグメントにより、滞留時間にわたり失速し、次いで、4塩基の二重鎖セグメントを解離させると、自己ハイブリダイズDNA−1構造は、2つのss DNA−1分子へと転換され、これらは、ss被験DNAと同様にナノポアを通して進んだ。したがって、ナノポアを通して流動するとき、自己ハイブリダイズDNA−1構造は、減速バンプとss被験DNAとにより形成された4塩基の二重鎖セグメントを有するss被験DNAをシミュレートした。
別の被験DNAである、自己ハイブリダイズDNA−2構造は、自己ハイブリダイズDNA−1の形成に関して本明細書で記載した同じ工程を使用して、DNA−2:5’-TTTTT TTTTT GCGC-3’(配列番号5)の自己ハイブリダイゼーションにより形成される。自己ハイブリダイズDNA−2構造は、3’末端における4塩基のGCGC二重鎖および5’末端における2つの突出するss10−Tテールを有した。
別の被験DNAは、下記に記載する条件における、DNA−3:5’-TTTTT TTTTT TTTTT TTTTT TTTTT TTTTT TTTTT TTTTT-ビオチン-3’(配列番号6)と、ストレプトアビジンとのインキュベーションにより形成される、ストレプトアビジン−DNA−3複合体である。電位下でナノポアを通して流動するとき、ストレプトアビジン−DNA−3複合体は、ナノポア内で電位が変化/反転するまで失速する。したがって、ストレプトアビジン−DNA−3複合体は、ナノポア型検出器システムが、適正に作動していることを示す陽性対照として用いた。この分子の滞留時間は、比較的長い。
作業条件は、0℃における20mMのHEPES緩衝液および1MのKClである。印加される電位は、約128mVである。
ナノポアは、参照により全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0193570号において記載されている通り、0.2ng/mLの最終濃度で、電気刺激の印加により、二重層の表面に沈着させた10ng/mLのアルファヘモリシンから創出した。二重層は、米国出願公開第2011/0193570号において記載されている、テフロン(登録商標)表面上の本質的に平面状のAgCl電極にわたる、デカン中に10mg/mLのDPhPCによる塗布法を伴って創出した。
自己ハイブリダイズDNA−1(2μM)、自己ハイブリダイズDNA−2(2μM)、DNA−3(2μM)、およびストレプトアビジン(1μM)を、本明細書で記載される通りに構築された複数のナノポアと共に、本明細書の本実施例で記載される作業条件において、約2時間にわたりインキュベートした。約128mVの電位をナノポアに印加し、電気シグナルを収集する。電気シグナルは、4塩基の二重鎖セグメントが、DNA−1およびDNA−2を、ナノポア内で、約100ミリ秒〜200ミリ秒の滞留時間にわたり失速させることが可能なことを示す。これらのデータは、4塩基という短い減速バンプが、関与性の配列情報を得るのに十分な程度に長く、ss被験DNAを失速させるように作動することを示す。
(実施例4)
6塩基のランダム減速バンププールによるDNAの失速
本実施例は、ナノポアにうまく結合し、ナノポア型検出器内で失速し、被験DNAから解離する6塩基のランダム減速バンププールを例示する。
本実施例では、ss被験DNAは、女性のssゲノムDNAである。ランダム減速バンププールは、Invitrogenから市販されている、本源性DNAヌクレオチドの全ての組合せを有する、ヘキサマーDNAオリゴヌクレオチドを含んだ。
作業条件は、0℃における20mMのHEPES緩衝液および1MのKClである。印加される電位は、約128mVである。
ナノポアは、参照により全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0193570号において記載されている通り、0.2ng/mLの最終濃度で、電気刺激の印加により、二重層の表面に沈着させた10ng/mLのアルファヘモリシンから創出した。二重層は、米国出願公開第2011/0193570号において記載されている、テフロン(登録商標)表面上の本質的に平面状のAgCl電極にわたる、デカン中に10mg/mLのDPhPCによる塗布法を伴って創出した。
6塩基のランダム減速バンププール(100μM)と共にインキュベートされたss被験DNA(1μM)を、本明細書で記載される通りに構築された複数のナノポアと共に、本明細書の本実施例で記載される作業条件において、約2時間にわたりインキュベートした。約128mVの電位をナノポアに印加し、電気シグナルを収集する。電気シグナルは、6塩基のランダム減速バンププールが、ss被験DNAに結合し、ss被験DNAを、ナノポア内で、関与性の配列情報を得るのに十分な程度に長く失速させ、本明細書で記載されるss被験DNAから解離することが可能なことを示した。
(実施例5)
試料ポリヌクレオチドおよびそのアンチセンスポリヌクレオチドを含む被験ポリヌクレオチドの調製
A.試料ポリヌクレオチドがds試料DNAである場合
二本鎖(ds)被験ポリヌクレオチドは、従来のDNAライゲーション法により形成することができる。ds試料ポリヌクレオチドは、図28に示される、リンカー区間の二重鎖区間および嵩高前区間の二重鎖区間とライゲーションすることができる。次いで、ds被験ポリヌクレオチドを変性させて(例えば、加熱して)、ss被験ポリヌクレオチドをもたらすことができる(図28)。
B.試料ポリヌクレオチドがss試料DNAである場合
ds試料DNAは、当技術分野で周知の従来の方法を使用して、ss試料DNAから調製することができる。次いで、ds試料DNAは、ds試料DNAに関して本明細書で記載される方法に従い、さらに加工することができる。
C.試料ポリヌクレオチドがss試料RNAである場合
ds試料DNA−RNAハイブリッド体は、当技術分野で周知の従来の方法を使用して、ss試料RNAから調製することができる。次いで、ds試料DNA−RNAハイブリッド体は、ds試料DNAに関して本明細書で記載される類似の方法に従い、さらに加工することができる。
D.ds被験ポリヌクレオチドの、ss試料ポリヌクレオチド(ssDNAまたはssRNA)からの調製における酵素法
用意された試料がdsDNAである場合、dsDNAを変性させて、以下のこの酵素法において使用されるss試料DNAをもたらすことができる:
D1)ss試料ポリヌクレオチドの3’末端に対して特異的なフックプライマーをライゲーションするが、ここで、フック形のプライマーは、ss試料ポリヌクレオチドの3’末端と共に二重鎖区間を形成しうる3’突出区間である、ヘアピン構造を含む。試料ポリヌクレオチドの構造が、全く未知である場合、フックプライマーの3’突出は、任意のオリゴヌクレオチド配列と相互作用しうる、少数のユニバーサルヌクレオチド(例えば、2、3、4、5、6、7、もしくは8ヌクレオチドまたはこれを超える)を含みうる。
D2)フックプライマーの5’末端は、ss試料ポリヌクレオチドの3’末端からのギャップを有することが可能であるが、これは、当技術分野で公知の単一温度の伸長反応において、酵素によりライゲーション/充填することができる。
D3)ステップD2)から得られたポリヌクレオチドは、ヘアピン構造を一方の末端に有し、一本鎖区間を他方の末端に有する。一本鎖区間は、ポリヌクレオチドを、フックプライマーの3’末端から、当技術分野で公知の単一温度の伸長反応において、酵素により伸長させるための鋳型として使用する。伸長が完結したら、ポリヌクレオチドは、平滑末端を一方の末端に有し、ヘアピンを他方の末端に有する。
D4)ステップD3)から得られたポリヌクレオチドを、平滑末端ライゲーションにより、図28に示される嵩高前区間とライゲーションする。嵩高前区間が、ビオチン接合部を有する場合、得られたポリヌクレオチドは、ビオチンの電磁ストレプトアビジンビーズへの接合により単離することができる。他の種類の相互作用、例えば、抗体−抗原間相互作用もまた、所望のポリヌクレオチドを単離するのに使用することができる。
D5)必要な場合は、所望のポリヌクレオチドを、ストレプトアビジンビーズから分離および除去し、対応するss被験ポリヌクレオチドに変性させる。
特異的ハイブリダイゼーション配列をヘアピンプライマー内で使用し、新たにを創出された二重鎖試料に平滑末端ライゲーションされた嵩高前構造のうちの1または複数に接合されたビオチン分子を使用する方法により、試料を、ヘアピンプライマーによりターゲティングされる特異的な試料断片について選択的に濃縮する方法がもたらされる。ユニバーサルポリヌクレオチドをヘアピンプライマー分子内で使用する場合は、単一のヘアピンプライマーまたはごく少数の変異体ヘアピンプライマーを使用して、試料中の全ての鎖から、センス試料/アンチセンス試料を創出することができる。このような方法では、試料の3’末端における対応するアンチセンス構造についての情報は失われうるが、異なる核酸分子の大規模なコレクションからの調製試料の創出が可能となる。
E.ssライゲーションによる、ds被験ポリヌクレオチドの、ss試料ポリヌクレオチド(ssDNAまたはssRNA)からの調製における酵素法
E1)アダプタにより容易となる試料のライゲーション
A)アダプタにより容易となるライゲーション
5’突出が、ハイブリダイズアダプタ上に存在するように、ss試料ポリヌクレオチドを、特異的プライマー(アダプタ)またはユニバーサルアダプタにより、試料分子の3’末端にハイブリダイズさせる。アダプタのこの突出末端に、ヘアピン構造を含む別のポリヌクレオチドをライゲーションし、ヘアピンの3’末端が、アダプタの5’末端と接触し、ヘアピンの5’側が、元のss試料ポリヌクレオチドの3’末端と接触するように構築する。アダプタは、完全または部分的にヘアピン核酸鎖である個別の分子に特異的に結合する、本明細書で規定されるヌクレオチドを含有しうる突出区間を含有する。アダプタはまた、特定の試料鎖配列に対して特異的な配列の一部分を含有する場合もあり、アダプタのライブラリーに作製されると、任意の試料鎖に結合しうるランダム配列を含有する場合もあり、アダプタが任意の試料鎖に結合することを可能とするユニバーサル塩基または正常塩基とユニバーサル塩基との組合せを含有する場合もある。これらの潜在的なヌクレオチドの組合せは、特異的ヌクレオチドをアダプタ内で使用する場合、特異的配列についての試料の濃縮を可能とするか、または一本鎖核酸試料中の全ての試料からの、センス/アンチセンス鎖の普遍的な創出を可能とするために重要である。いずれにせよ、その突出を伴い、適切な相補的核酸または核酸類似体を有する付加ヘアピン分子だけが、ヘアピンまたは部分的なヘアピン分子に結合するように、人工のDNAに結合させることはできるが、天然のDNAには結合させることはできない、アダプタの突出部分を創出することができる。これは、例えば、イソdGヌクレオチドおよびイソdCヌクレオチドの使用により達成することができる。次いで、全長ハイブリダイズ複合体を、上記の2つの位置において併せてライゲーションすることができ、分子は、アンチセンスの伸長の準備ができる。
ss試料ポリヌクレオチドはまた、アダプタとヘアピンとのハイブリダイゼーション、試料鎖とヘアピンとのライゲーション、アダプタの溶融、伸長、および平滑末端ライゲーションにより分子の末端に接合された選り抜きの嵩高前構造を伴うセンス−アンチセンス表示にも変えることができる。アダプタは、完全または部分的にヘアピン核酸鎖である個別の分子に特異的に結合する、天然または人工のヌクレオチドを含有しうる突出区間を含有するであろう。アダプタはまた、特定の試料鎖配列に対して特異的な配列の一部分を含有する場合もあり、アダプタのライブラリーに作製されると、任意の試料鎖に結合しうるランダム配列を含有する場合もあり、アダプタが任意の試料鎖に結合することを可能とするユニバーサル塩基または正常塩基とユニバーサル塩基との組合せを含有する場合もある。いずれにせよ、その突出を伴い、適切な相補的核酸または核酸類似体を有する付加ヘアピン分子だけが、ヘアピンまたは部分的なヘアピン分子に結合するように、人工のDNAに結合させることはできるが、天然のDNAには結合させることはできない、アダプタの突出部分を創出することができる。これは、例えば、イソdGヌクレオチドおよびイソdCヌクレオチドの使用により達成することができる。
また、アダプタ核酸鎖の5’末端が、ライゲーションを生じさせるために必要とされる三リン酸基を含有しないようなアダプタ分子も創出することができる。この場合、アダプタは、やはり、ssDNA試料またはssRNA試料にハイブリダイズし、ヘアピン分子にハイブリダイズし、これにより、ライゲーションを生じさせるために2つの分子を近傍させるという、その意図される機能をもたらす。しかし、適切なリン酸基がなければ、アダプタとヘアピンとのライゲーションは生じないであろう。ライゲーションは、試料分子およびヘアピンの末端では生じるが、ヘアピンとアダプタとの間では生じないであろう。次いで、アダプタは溶融させることができ、その後の充填反応は、適切な二本鎖3’末端を、伸長反応のための伸長酵素に提示する、新たにライゲーションされたヘアピン分子の3’側からやはり進行させうるため、これは、望ましいことである。新たにを創出されたアンチセンス鎖は今や、元の試料センス鎖の全てに対応するアンチセンスヌクレオチドを含有するため、これは有利である。
B)アダプタにより容易とならない一本鎖ライゲーション
センス試料鎖と新たなアンチセンス鎖との連結の創出はまた、ss試料ポリヌクレオチドと、一本鎖の突出を含むヘアピン核酸との一本鎖ライゲーションによっても達成することができる。市販されるT4リガーゼは、2つの個別の一本鎖ポリヌクレオチドの一部分を連結しうる。その後の充填および嵩高前構造の平滑末端ライゲーションおよび変性(例えば、溶融)により、センス/アンチセンス調製分子が創出される。
上記の試料調製法の全ては、単一分子の検出および配列決定に理想的である。個別に制御される電極のアレイであって、各電極が印加され、読み取られる、ナノポアへの刺激を制御するアレイを使用するナノポアによる配列決定にはとりわけ理想的である。複数の電極/ナノポアセンサは、半導体の技術分野ではよく知られた技法を使用して、半導体材料上または半導体材料中で構築されうるものなど、平面表面上または三次元表面上の、個別に制御される電極のアレイ/ナノポアセンサに組み合わせることができる。
ヘアピンを一本鎖試料核酸鎖にライゲーションした後は、以下により、ナノポアによる配列決定および/または検出のために調製されたセンス/アンチセンス/嵩高前構造の試料分子の完成例が詳述される。
E2)Klenowなどの充填酵素により、ステップ(E1)から得られたポリヌクレオチドからアンチセンス鎖を合成して、ヘアピン構造を一方の末端に有し、平滑末端を他方の末端に有するポリヌクレオチドをもたらす。
E3)ステップE2)から得られたポリヌクレオチドを、平滑末端ライゲーションにより、図28に示される嵩高前区間とライゲーションする。嵩高前構造の1または複数の鎖が、ビオチン接合部を有する場合、得られたポリヌクレオチドは、ビオチンの電磁ストレプトアビジンビーズへの接合により単離することができる。他の種類の相互作用、例えば、抗体−抗原間相互作用もまた、所望のポリヌクレオチドを単離するのに使用することができる。
E4)必要な場合は、所望のポリヌクレオチドを、ストレプトアビジンビーズから分離および除去し、対応するss被験ポリヌクレオチドに変性させる。
(実施例6)
DNAナノポアによる検出により、単一ヌクレオチドの差別化が99%を超える信頼性で得る
Figure 0006333179
を合成する。各種類のDNA(DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、DNA−TG、およびDNA−TR)を、ストレプトアビジンと、100μMのDNAおよび25μMのストレプトアビジンという作業濃度まで個別に混合する。次いで、得られた溶液を、4μMの被験DNAおよび1.0μMのストレプトアビジンというDNA原液としての最終濃度までさらに希釈する。
試験は、アルファヘモリシンのナノポア型検出器上で行う。ナノポア型検出器は、平面状のテフロン(登録商標)表面内に埋め込まれた銀電極の対を有した。脂質二重層は、バブル法により、または脂質デカン中に15mg/mLのDPhPC 1μLを使用して、少量の脂質ミックス中に浸漬されたピペットの先端を、平面状の電極の表面にわたりスライドさせることにより創出する。ナノポアは、20%のグリセロールおよび20mMのHEPESによりpH8.0に緩衝処理された水中に1μg/mLのアルファヘモリシン最大1μLにより調製する。代替的に、ナノポアは、1〜100ng/mLのアルファヘモリシンポリンによっても調製される。
一実験では、ストレプトアビジンを3’末端に接合させたホモポリマー30Tである2μLの基準DNA原液(DNA−TR)と、(DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、またはDNA−TG)から選択される2μLの被験DNA原液とを、1.25MのKCl、pH8.0、20mMのHEPESで緩衝処理された二重濾過溶液40μLにより混合し、生物学グレードの水4μLを、本明細書で調製されるナノポア型検出器に投入する。外部波形発生器により、変化する電位プロファイルを印加し、ナノポアを通して流れる電流を記録する。160mVの初期電位を、ナノポア型検出器の電極に印加する。記録された電流により、ナノポア内のDNA(これは、被験DNAの場合もあろうし、基準DNA(DNA−TR)の場合もあろう)の捕捉が指し示されたら、電極に印加される電位を、160mVから0mVに、2秒で直線的に変化させる。約0mVでは、短い負の電位パルス(0.5秒間にわたり約−40mV)を印加して、被験分子をポアから駆出し、この後、別の捕捉/読取りサイクルのために、+160mVの捕捉電圧に復帰させる。基準DNA(DNA−TR)が捕捉されたら、捕捉されたDNAは、印加される電位が約40mVであるときにポアから放出される。被験DNA(DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、またはDNA−TG)が捕捉されたら、捕捉されたDNAは、印加された電位が約0mVに到達した後で放出される。したがって、捕捉されたDNAがポアから放出されるときの電位に基づき、捕捉されたDNAを、基準DNAまたは被験DNAのうちの1つとして同定することができる。各実験は、1つのナノポア上で、約30分間にわたり実行する。同じ実験を、各被験DNAについて3つずつのナノポア上で繰り返し、これにより、12セットのデータがもたらされる。
本明細書では、基準DNAがナノポア内に捕捉されるときにナノポア型検出器により記録される電流を、基準読取りと称する。本明細書では、被験DNAがナノポア内に捕捉されるときにナノポア型検出器により記録される電流を、被験読取りと称する。被験読取りおよび基準読取りの両方を有するデータセットについて、印加される電位の変化と対比した基準読取りを、二次曲線に近似する。電位の変化と対比した基準読取りの中央値が得られる(以下では、基準中央値と称する)。印加される各電位について、各被験読取りと基準中央値との間のデルタ電流を計算し、次いで、これを基準二次近似曲線の微分係数で除して、被験読取りの、基準読取りに対する比を得る。次いで、デルタ電流の伝導度に100を乗じて、基準伝導差%に変える。次いで、印加される電位(mV)と対比した被験読取りについて、基準伝導差%の曲線を描き、まとめる。曲線は、ナノポア内で捕捉されるポリT DNAにおけるA、T、C、またはGの単一の置換を、本明細書で記載される通り、95%を超える信頼性で同定しうることを示す。単一の置換されたヌクレオチド(A、T、C、およびG)以外の他のヌクレオチドのうちのいずれも、ナノポア型検出器により得られるシグナルに影響を及ぼさないことが仮定される。ステップ(B6〜B7)において、一定のプロファイルまたは変化するプロファイルにより印加される電位(複数可)は、少なくとも約90mV、好ましくは少なくとも約100mV、より好ましくは約100mV〜約160mVであり、CおよびTは、高度な信頼性(>約99%、好ましくは>99.5%の信頼性)で決定される。GおよびAは、低度の信頼性(約95%の信頼性)で特徴付けられる。GおよびAの相補的構造は、それぞれ、CおよびTである。したがって、アンチセンス鎖内のCおよびTを決定することにより、試料DNA内のGおよびAの決定も同様に、高度な信頼性(>99%、好ましくは>99.5%の信頼性)でもたらされる。したがって、試料DNAおよびアンチセンス鎖の両方においてCおよびTを決定することにより、試料DNAだけから収集される情報により4つのヌクレオチドであるA、C、T、およびGの全てを決定する場合(約95%の信頼性)より高度な信頼性(>99%の信頼性、好ましくは>99.5%の信頼性)で、試料DNAの構造をもたらすことができる。
ステップ(B6B7)において、一定のプロファイルまたは変化するプロファイルにより印加される電位(複数可)が、約80mV未満、好ましくは約70mV未満、より好ましくは約0mV〜約70mVである場合、CおよびAは、高度な信頼性(>約99%、好ましくは>99.5%の信頼性)で決定される。GおよびTは、低度の信頼性(約95%の信頼性)で特徴付けられる。GおよびTの相補的構造は、それぞれ、CおよびAである。したがって、アンチセンス鎖内のCおよびAを決定することにより、試料DNA内のGおよびTの決定も同様に、高度な信頼性(>99%、好ましくは>99.5%の信頼性)でもたらされる。したがって、試料DNAおよびアンチセンス鎖の両方においてCおよびAを決定することにより、試料DNAだけから収集される情報により4つのヌクレオチドであるA、C、T、およびGの全てを決定する場合(約95%の信頼性)より高度な信頼性(>99%の信頼性、好ましくは>99.5%の信頼性)で、試料DNAの構造をもたらすことができる。こうして、試料ポリヌクレオチドおよび対応するアンチセンス構造から収集される電気シグナルをまとめることにより、試料ポリヌクレオチド内の構造を分解するときの信頼性が改善された。
シグナルは、前出で記載した減速バンプ読取りシステムに由来する場合もあり、前出で記載した酵素伸長システムに由来する場合もあり、前出で記載した試料読取りシステムによる酵素伸長および酵素解離に由来する場合もあり、例として述べると、ヘリカーゼ酵素鎖の移動を含む、他の酵素/鎖移動法に由来する場合もある。ヘリカーゼは、ナノポアを通しての試料鎖を移動させるためのアンチセンス鎖の塩基伸長を要請せず、読取りのために、ナノポアを通して直線的に、DNA試料をほどく。
(実施例7)
DNAナノポアによる検出を介して、ヌクレオチド二量体の差別化を得る
1.0μMのストレプトアビジン、および3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリA40 DNA(下記に示す、39A1N、DNA−AA、DNA−AT、DNA−AC、およびDNA−AG)、3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリC40 DNA(下記に示す、39C1N、DNA−CA、DNA−CT、DNA−CC、およびDNA−CG)、3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリT40 DNA(39T1N;実施例6と同様)、または基準DNA 30C(下記に示す、DNA−CR)による4μMのDNAを有するDNA原液を、実施例6で記載した方法に従い調製する。
Figure 0006333179
Figure 0006333179
室温ではなく、0℃で実験を行うことを除き、実施例6で記載したのと同様の実験を、各被験DNA(DNA−AA、DNA−AT、DNA−AC、DNA−AG、DNA−CA、DNA−CT、DNA−CC、DNA−CG、DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、またはDNA−TG)について、DNA−CRを基準DNAとして使用して実行する。全ての被験DNAについて、実験を1回ずつ実施し、得られたデータは、実施例6で記載した通りに加工する。まとめられたデータは、3つの異なるホモポリマー骨格鎖から構成される、被験DNAの3’末端から11〜13位における2塩基の差違を、本明細書で記載される、変化する電位プロファイルを使用する、DNAナノポアによる検出を介して、信頼できる形で同定しうることを示した。例では、電位プロファイル、ポリA骨格を有するDNA、ポリC骨格を有するDNA、およびポリT骨格を有するDNAに対応するデータが提供される。
公表された研究は、アルファヘモリシンポアバレルの上部における狭窄帯域は、ポア内の主要な狭窄帯域であり、DNAがポア内に滞留するときの電流の減少の大半の一因となることを示している。理論に束縛される意図なしに述べると、DNAがポア内に滞留するときは、合計10ヌクレオチドが、アルファ−ヘモリシンポアのバレルの全長に収まることが推定される。グラフの読取りにより、狭窄帯域内の2ヌクレオチドが同定されたが、ポア内の残りの8ヌクレオチドの全ての可能な組合せについてのデータは採取されなかった。文献で提示されている通り、電位プロファイルの読取りレベルは、ポア内の残りの8ヌクレオチドが、測定時において、2ヌクレオチド対の電流の読取りに感知可能な程度に影響を及ぼすことはなかったことを仮定する。
Figure 0006333179
電位プロファイルは、二量体であるACおよびTCが、たやすく検出可能であるため、対応するアンチセンス二量体であるGTおよびGAも同様にたやすく検出可能であることを指し示す。
例では、ステップ(B6〜B7)において印加される電位(複数可)(一定のプロファイルまたは変化するプロファイルにより印加される)は、少なくとも約130mVであり、電位プロファイル(電圧(mV)の関数としての基準伝導差%)は、以下を示す。
TG、TA、およびTTのシグナルを、併せて混合する。TG、TA、およびTTの対応するアンチセンス二量体は、それぞれ、CA、TA、およびAAであり、これらは、互いから差別化することが容易である。
AT、AA、およびAGのシグナルを、併せて混合する。AT、AA、およびAGの対応するアンチセンス二量体は、それぞれ、AT、TT、およびCTであり、これらは、互いから差別化することが容易である
CG、CA、およびCTのシグナルを、併せて混合する。CG、CA、およびCTの対応するアンチセンス二量体は、それぞれ、CG、TG、およびAGであり、約130mV以上の電位(複数可)下では、CGおよびCTを互いから差別化するのは困難であるが、ステップ(B6〜B7)において印加される電位(複数可)が低い(例えば、約100mV)場合は、互いから差別化するのが容易である。ステップ(B6〜B7)において、一定のプロファイルまたは変化するプロファイルにより印加される電位(複数可)が、約80mV〜約120mVである場合:
TG、TA、およびTTのシグナルを、併せて混合する。TG、TA、およびTTの対応するアンチセンス二量体は、それぞれ、CA、TA、およびAAであり、これらは、互いから差別化することが容易である。
AT、AA、およびAGのシグナルを、併せて混合する。AT、AA、およびAGの対応するアンチセンス二量体は、それぞれ、AT、TT、およびCTであり、これらは、互いから差別化することが容易である
CG、CA、およびCTのシグナルを、併せて混合する。CG、CA、およびCTの対応するアンチセンス二量体は、それぞれ、CG、TG、およびAGであり、これらは、互いから差別化することが容易である。
したがって、本明細書で記載される方法は、試料DNAおよびそのアンチセンスDNAの両方を特徴付けることにより、試料DNAのより信頼でき、正確な特徴付けをもたらす。
試料ポリヌクレオチドおよび対応するアンチセンス構造について同じナノポア内で収集される電気シグナルを採取することにより、システムエラーが減殺され、試料ポリヌクレオチド内の構造を分解するときの信頼性が改善される。試料ポリヌクレオチドが、RNAであり、アンチセンスポリヌクレオチドが、DNAもしくはRNAまたは人工ヌクレオチドである場合も、同様の結果を期待することができる。
本明細書で記載される試料の調製法は容易であり、任意の核酸試料に適用することができる。本明細書で記載される調製法は、同じナノポアセンサ上のマルチプレックス試料を許容する。本明細書で記載されるセンス試料/アンチセンス試料の調製および読取り法は、個別に制御されるナノポアセンサのアレイを含むナノポアによる配列決定装置上またはナノポア型検出器上での使用に理想的であるか、または他の形で適しうる。試料DNAまたは試料RNAの同じ領域のセンス鎖およびアンチセンス鎖を、ほぼ同時に、かつ、同じナノポア内で読み取る能力は、システムエラーを減殺し、試料を適正に読み取り、配列決定する能力を改善する。察知されうる通り、1つのアレイ内のナノポアセンサの数は、多数であることが可能であり、半導体加工技術だけで限界づけられる。個々の核酸試料を個々のナノポアにおいて高度な信頼性で読み取る能力、および1つのチップまたは1つの検出器上のナノポアアレイセンサを使用して、多数の試料を大きな規模で並行して読み取る能力は、簡便で、廉価で、携帯可能なDNAまたはRNAの配列決定が現実となることを可能とする。
(実施例8)
3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリT40 DNA(39T1N)を、変化する電位プロファイルを使用する、DNAナノポアによる検出を介して、95%を超える信頼性で互いから識別する
Figure 0006333179
を合成する。各種類のDNA(DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、DNA−TG、およびDNA−TR)を、ストレプトアビジンと、100μMのDNAおよび25μMのストレプトアビジンという作業濃度まで個別に混合する。次いで、得られた溶液を、4μMの被験DNAおよび1.0μMのストレプトアビジンというDNA原液としての最終濃度までさらに希釈する。
試験は、アルファヘモリシンのナノポア型検出器上で行う。ナノポア型検出器は、平面状のテフロン(登録商標)表面内に埋め込まれた銀電極の対を有した。脂質二重層は、バブル法により、または脂質デカン中に15mg/mLのDPhPC 1μLを使用して、少量の脂質ミックス中に浸漬されたピペットの先端を、平面状の電極の表面にわたりスライドさせることにより創出する。ナノポアは、20%のグリセロールおよび20mMのHEPESによりpH8.0に緩衝処理された水中に1μg/mLのアルファヘモリシン最大1μLにより調製する。代替的に、ナノポアは、1〜100ng/mLのアルファヘモリシンポリンによっても調製される。
一実験では、2μLの基準DNA原液(DNA−TR)と、2μLの被験DNA(DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、またはDNA−TG)の原液とを、1MのKCl、pH8.0、20mMのHEPES緩衝処理された二重濾過溶液40μLにより混合し、生物学グレードの水4μLを、前出で調製したナノポア型検出器に投入する。外部波形発生器により、変化する電位プロファイルを印加し、ナノポアを通して流れる電流を記録する。160mVの初期電位を、ナノポア型検出器の電極に印加する。記録された電流により、ナノポア内のDNA(これは、被験DNAの場合もあろうし、基準DNA(DNA−TR)の場合もあろう)の捕捉が指し示されたら、電極に印加される電位を、160mVから0mVに、2秒で直線的に変化させる。記録された電流により、捕捉されたDNAが、ナノポアから放出されることが示された後、次のDNA捕捉がなされるまで、ナノポア型検出器に印加される電位を、160mVに回復させる。基準DNA(DNA−TR)が捕捉されたら、捕捉されたDNAは、印加される電位が約40mVであるときにポアから放出される。被験DNA(DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、またはDNA−TG)が捕捉されたら、捕捉されたDNAは、印加された電位が約0mVに到達した後で放出される。したがって、捕捉されたDNAがポアから放出されるときの電位に基づき、捕捉されたDNAを、基準DNAまたは被験DNAのうちの1つとして同定することができる。実験は、1つのナノポア上で、30分間にわたり実行する。同じ実験を、各被験DNAについて3つずつのナノポア上で繰り返し、これにより、12セットのデータがもたらされる。
本明細書では、基準DNAがナノポア内に捕捉されるときにナノポア型検出器により記録される電流を、基準読取りと称する場合がある。本明細書では、被験DNAがナノポア内に捕捉されるときにナノポア型検出器により記録される電流を、被験読取りと称する。
被験読取りおよび基準読取りの両方を有するデータセットについて、印加される電位の変化と対比した基準読取りを、二次曲線に近似する。電位の変化と対比した基準読取りの中央値が得られる(以下では、基準中央値と称する)。印加される各電位について、各被験読取りと基準中央値との間のデルタ電流を計算し、次いで、これを基準二次近似曲線の微分係数で除して、被験読取りの、基準読取りに対する比を得る。デルタ電流の伝導度を計算し、これに100を乗じて、基準伝導差%に変える。次いで、印加される電位(mV)と対比した被験読取りについて、基準伝導差%の曲線を描き、まとめて、電位プロファイル(グラフ)をもたらす。曲線の第1のセットは、DNA−TAから得られるデータを示し、曲線の第2のセットは、DNA−TGから得られるデータを示し、曲線の第3のセットは、DNA−TTから得られるデータを示し、曲線の第4のセットは、DNA−TCから得られるデータを示す。電位プロファイルは、ナノポア内で捕捉されるポリT DNAにおけるA、T、C、またはGの単一の置換を、本明細書で記載される通り、95%を超える信頼性で同定しうることを示す。
(実施例2)
変化する電位をナノポア型検出器の電極に印加することにより、DNAナノポアによる検出を介して、A、T、C、およびGの単一ヌクレオチド差別化を得る
1.0μMのストレプトアビジン、および3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリA40 DNA(下記に示す、39A1N、DNA−AA、DNA−AT、DNA−AC、およびDNA−AG)、3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリC40 DNA(下記に示す、39C1N、DNA−CA、DNA−CT、DNA−CC、およびDNA−CG)、3’末端から12位において単一ヌクレオチド置換を有するポリT40 DNA(39T1N;実施例8と同様)、または基準DNA 30C(下記に示す、DNA−CR)による4μMのDNAを有するDNA原液を、実施例8で記載した方法に従い調製する。
Figure 0006333179
Figure 0006333179
室温ではなく、0℃で実験を行うことを除き、実施例8で記載したのと同様の実験を、各被験DNA(DNA−AA、DNA−AT、DNA−AC、DNA−AG、DNA−CA、DNA−CT、DNA−CC、DNA−CG、DNA−TA、DNA−TT、DNA−TC、またはDNA−TG)について、DNA−CRを基準DNAとして使用して実行する。全ての被験DNAについて、実験を1回ずつ実施し、得られたデータは、実施例8で記載した通りに加工する。まとめられたデータは、3つの異なるホモポリマー骨格鎖から構成される、被験DNAの3’末端から11〜13位における2塩基の差違を、本明細書で記載される、変化する電位プロファイルを使用する、DNAナノポアによる検出を介して、信頼できる形で同定しうることを示した。例では、電位プロファイル、ポリA骨格を有するDNAのデータ、ポリC骨格を有するDNAのデータ、およびポリT骨格を有するDNAのデータが提供される。曲線の第1のセットは、DNA−AA、DNA−CA、およびDNA−TAのデータに由来し、曲線の第2のセットは、DNA−AC、DNA−CC、およびDNA−TCのデータに由来し、曲線の第3のセットは、DNA−AT、DNA−CT、およびDNA−TTのデータに由来し、曲線の第4のセットは、DNA−AG、DNA−CG、およびDNA−TGのデータに由来する。
記載される39A1Nの実験から得られるデータを使用して、電圧(V)の関数としての基準伝導差パーセントを示す電位プロファイルを作成する。曲線の第1のセットは、DNA−AAのデータから作成し、曲線の第2のセットは、DNA−ACのデータから作成し、曲線の第3のセットは、DNA−ATのデータから作成し、曲線の第4のセットは、DNA−AGのデータから作成する。
本明細書で記載される39C1Nの実験から得られるデータを使用して、電圧(V)の関数としての基準伝導差パーセントを示す電位プロファイルを作成する。曲線の第1のセットは、DNA−CAのデータから作成し、曲線の第2のセットは、DNA−CCのデータから作成し、曲線の第3のセットは、DNA−CTのデータから作成、曲線の第4のセットは、DNA−CGのデータから作成する。
本明細書で記載される39T1Nの実験から得られるデータを使用して、示される電圧(V)の関数としての基準伝導差パーセントを示す電位プロファイルを作成する。曲線の第1のセットは、DNA−TAのデータから作成し、曲線の第2のセットは、DNA−TCのデータから作成し、曲線の第3のセットは、DNA−TTのデータから作成、曲線の第4のセットは、DNA−TGのデータから作成する。
全てのデータは、ナノポア内で捕捉されるホモポリマーDNA(ポリA、ポリC、またはポリT)内の単一のA、T、C、またはGが、95%を超える信頼性で同定されることを示す。
本明細書では、本発明の好ましい実施形態を示し、記載してきたが、このような実施形態は、例だけを目的として提示されることが当業者には明白であろう。本発明から逸脱しない限りにおいて、当業者には今や、多数の変更、変化、および代用が想到されるであろう。本発明の実施では、本明細書で記載される本発明の実施形態に対する多様な代替法を援用しうることを理解されたい。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が規定され、これらの特許請求の範囲内にある方法および構造ならびにそれらの同等物がその対象となることが意図される。

Claims (68)

  1. 分子またはその一部分を同定するための方法であって、
    (a)電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップであって、前記電極は、前記ナノポアを通して流れる電流を検出するように適合されているステップと、
    (b)前記分子またはその一部分を前記ナノポア内に挿入するステップと、
    (c)前記ナノポア越しに、かつ/または前記膜越しに印加される電圧を変化させるステップと、
    (d)複数の電圧下において前記電流を測定して、前記分子またはその一部分を同定するステップと
    を含み、1または複数のランダム減速バンプ分子が、前記分子またはその一部分に結合し、前記分子がポリマー分子であり、前記ポリマー分子が、前記ナノポアを通して通過するか、または前記ナノポア内に存在するときに、前記ポリマー分子の一部分が同定され、ここで、前記ポリマー分子が核酸であり、前記ポリマー分子の前記一部分が、核酸または核酸群である方法。
  2. 前記ポリマー分子の前記ナノポアを通しての通過速度が、前記1または複数のランダム減速バンプ分子を一助として減速され、前記ポリマー分子の前記通過速度が減速されるときに、前記ポリマー分子の一部分が同定される、請求項に記載の方法。
  3. 個々のランダム減速バンプ分子が、リボ核酸を含む、請求項に記載の方法。
  4. 前記ポリマー分子が、前記ナノポア内にトラップされる、請求項に記載の方法。
  5. 前記ポリマー分子に、前記ナノポアを通して前後に縫うように進ませて、前記ポリマー分子の少なくとも一部分を複数回にわたり同定する、請求項に記載の方法。
  6. 前記ポリマー分子が、一本鎖核酸分子であり、前記分子が、前記ナノポアの両側に形成された嵩高い構造により、前記ナノポア内にトラップされる、請求項に記載の方法。
  7. 前記ポリマー分子の前記一部分が、それらが前記ポリマー分子の全長に沿う順序で同定される、請求項に記載の方法。
  8. 複数の電圧下における前記電流が、電子署名を含み、(d)が、前記電子署名を複数の基準電子署名と比較して、前記分子またはその一部分を同定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記電流を、電圧波形に従い変化させる、請求項1に記載の方法。
  10. 前記電圧波形が、方形波、正弦波、三角波、鋸歯状波、または不規則波である、請求項に記載の方法。
  11. 前記ナノポアが、アルファヘモリシンのナノポアまたはMycobacterium smegmatis(MspA)のナノポアである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記チップが、複数の電極に隣接または近接して複数のナノポアを含み、(i)前記電極が、個別にアドレス指定されるか、(ii)印加された前記電圧が個別に制御されるか、または(iii)(i)および(ii)の両方である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記分子が、二本鎖核酸分子であり、前記分子を解離させて、1または複数の一本鎖核酸分子を形成し、前記1または複数の一本鎖核酸分子に、前記ナノポアを通して通過させて、前記二本鎖核酸分子の配列を決定する、請求項1に記載の方法。
  14. 核酸ヘアピンを、前記二本鎖核酸分子の末端にライゲーションして、前記二本鎖核酸分子を解離させたときの、前記二本鎖核酸分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む一本鎖核酸分子を用意する、請求項13に記載の方法。
  15. 交流電流(AC)波形を、前記ナノポアおよび/または膜に印加することにより、前記電圧を変化させる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記AC波形の周波数が、少なくとも約100Hzである、請求項15に記載の方法。
  17. 核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法であって、
    (a)センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子を用意するステップと、
    (b)第1の核酸セグメントを、前記二本鎖核酸分子の第1の末端にライゲーションするステップであって、前記第1の核酸セグメントが、前記センス鎖を前記アンチセンス鎖と、前記二本鎖核酸分子の前記第1の末端において連結するステップと、
    (c)前記二本鎖核酸分子を解離させて、前記センス鎖のセンス部分および前記アンチセンス鎖のアンチセンス部分を含む一本鎖核酸分子をもたらすステップと、
    (d)前記一本鎖核酸分子に、電極に隣接または近接して配置される膜内の、ナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させるステップであって、前記電極が、前記一本鎖核酸分子が前記ナノポア内に存在するかまたはナノポアを通してもしくはナノポア近傍を通過するときの電流を検出するように適合されているステップと、
    (e)前記一本鎖核酸分子が、前記ナノポア内に存在するかまたはナノポアを通してもしくはナノポア近傍を通過する間に、前記電極を使用し、電流の測定値を得るステップと、
    (f)前記二本鎖核酸の前記配列を、(e)で得られた前記電流の測定値から決定するステップと
    を含み、1または複数のランダム減速バンプ分子が、前記一本鎖核酸分子またはその一部分に結合する方法。
  18. 前記第1の核酸セグメントが、核酸ヘアピンである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の核酸セグメントが、第1の識別子をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記第1の識別子により、前記二本鎖核酸分子がどの試料に由来するのかが同定される、請求項19に記載の方法。
  21. (b)の後で、第2の核酸セグメントを、前記二本鎖核酸分子の第2の末端にライゲーションするステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  22. 前記第2の核酸セグメントが、前記ナノポア内に前記一本鎖核酸分子をトラップすることが可能である一部分を含む、請求項2に記載の方法。
  23. 温度が約60℃を下回るときに、前記第2の核酸セグメントが、前記ナノポア内に前記一本鎖核酸分子をトラップすることが可能である、請求項2に記載の方法。
  24. 前記第2の核酸セグメントが、第2の識別子を含む、請求項2に記載の方法。
  25. 前記第2の識別子を使用して、前記一本鎖核酸分子が、前記ナノポアを通して第1の向きに通過するのかまたは第2の向きに通過するのかを決定することが可能である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における前記一本鎖核酸分子の通過速度が、前記1または複数のランダム減速バンプ分子を一助として減速される、請求項17に記載の方法。
  27. 前記一本鎖核酸分子の前記通過速度が減速されるかまたは失速されるときに、電流の測定値が得られる、請求項26に記載の方法。
  28. 電流の測定を、前記ナノポア越しに、かつ/または前記膜越しに印加される複数の電圧下で行う、請求項27に記載の方法。
  29. 前記1または複数のランダム減速バンプ分子のうちの個々のランダム減速バンプ分子が、リボ核酸を含む、請求項26に記載の方法。
  30. 核酸分子またはその一部分を配列決定するための方法であって、
    (a)一本鎖核酸分子に、電極に隣接または近接して配置される膜内のナノポアを通してまたはナノポア近傍を通過させるステップであって、前記一本鎖核酸分子が、センス鎖およびアンチセンス鎖の各々の末端部分にライゲーションされた核酸セグメントを介して前記アンチセンス鎖に連結された前記センス鎖を含み、前記電極が、前記一本鎖核酸分子が前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を通過するときの電流を検出するように適合されているステップと、
    (b)前記一本鎖核酸分子に前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を通過させる間に、前記電極を一助として電流の測定値を得るステップと、
    (c)前記一本鎖核酸分子の配列を、(b)で得られた電流の測定値から決定するステップと
    を含み、1または複数のランダム減速バンプ分子が、前記一本鎖核酸分子またはその一部分に結合する方法。
  31. (c)における、前記一本鎖核酸分子の配列を決定するステップが、前記センス鎖および前記アンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子の配列を決定することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  32. 前記核酸セグメントが、核酸ヘアピンである、請求項3に記載の方法。
  33. 前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における前記一本鎖核酸分子の通過速度が、前記1または複数のランダム減速バンプ分子を一助として減速される、請求項3に記載の方法。
  34. 前記一本鎖核酸分子の前記通過速度が減速されるかまたは失速されるときに、電流の測定値が得られる、請求項33に記載の方法。
  35. 電流の測定を、前記ナノポア越しに、かつ/または前記膜越しに印加される複数の電圧下で行う、請求項34に記載の方法。
  36. 前記1または複数のランダム減速バンプ分子のうちの個々のランダム減速バンプ分子が、リボ核酸を含む、請求項33に記載の方法。
  37. 核酸分子を配列決定するための方法であって、
    (a)電極に隣接または近接して配置される膜内に少なくとも1つのナノポアを含むチップを用意するステップであって、前記電極が、前記核酸分子またはその一部分を検出するように適合されているステップと、
    (b)前記核酸分子を、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍に方向付けるステップであり、前記核酸分子と会合させた少なくとも1つのランダムリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を一助として、前記核酸分子の前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における進行を停止または失速させるステップと、
    (c)前記核酸分子が、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を通過するときに、前記核酸分子またはその一部分を配列決定するステップと
    を含む方法。
  38. 前記ランダムRNA減速バンプ分子を、前記核酸分子と非共有結合的に会合させる、請求項37に記載の方法。
  39. 前記ランダムRNA減速バンプ分子が、1または複数のオリゴヌクレオチド塩基の配列を含有するオリゴヌクレオチドを含む、請求項37に記載の方法。
  40. 前記ランダム減速バンプ分子の長さが、最長8オリゴヌクレオチド塩基である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記オリゴヌクレオチド塩基が、前記核酸分子と対合する、請求項39に記載の方法。
  42. 前記ランダムRNA減速バンプ分子が、ユニバーサル塩基、モルホリノ、グリコールヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、メチル化核酸塩基、修飾塩基、非結合塩基模倣体、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、またはこれらの任意の組合せを有する、請求項39に記載の方法。
  43. 前記ランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させる、請求項37に記載の方法。
  44. 前記ランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、請求項37に記載の方法。
  45. 前記ランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させ、別のランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、請求項37に記載の方法。
  46. 前記核酸分子が前記ナノポアを通して通過するときに、前記ランダムRNA減速バンプ分子が前記核酸分子から解離する、請求項37に記載の方法。
  47. 前記ナノポアが、アルファ−ヘモリシンのナノポアである、請求項37に記載の方法。
  48. 前記核酸分子が、一本鎖である、請求項37に記載の方法。
  49. 前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速されるときに、前記核酸分子の単一の塩基が同定される、請求項37に記載の方法。
  50. 前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速されるときに、前記核酸分子の最大3つの塩基が同定される、請求項37に記載の方法。
  51. 前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速されるときに、前記核酸分子の最大5つの塩基が同定される、請求項37に記載の方法。
  52. 前記核酸分子と会合させた複数のランダムRNA減速バンプ分子を一助として、前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記進行が停止または失速される、請求項37に記載の方法。
  53. 核酸分子の配列情報を得るための方法であって、
    (a)前記核酸分子と会合させた少なくとも1つのランダムリボ核酸(RNA)減速バンプ分子を含む二重鎖セグメントを形成するステップと、
    (b)前記核酸分子に、膜内のナノポアを通してまたはナノポア近傍を流動させるステップであり、前記膜を、電極に隣接または近接して配置し、前記核酸分子に、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍を流動させると、前記二重鎖セグメントが、前記ナノポアへ、または前記ナノポア越しに方向付けられるステップと、
    (c)前記核酸分子の、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍の前記流動時において、電気シグナルを、前記電極から得るステップであり、前記電気シグナルが、前記核酸分子の1または複数の塩基と、前記ナノポアの少なくとも一部分との相互作用と関連し、前記核酸分子の、前記ナノポアを通してまたは前記ナノポア近傍における前記流動が、前記二重鎖セグメントを一助として低減されるステップと
    を含む方法。
  54. (c)における前記流動が、前記ランダムRNA減速バンプ分子と前記ナノポアとの前記相互作用時において低減される、請求項53に記載の方法。
  55. 前記ナノポアが、前記核酸分子の前記ナノポアを通しての前記流動を制限する狭窄部を含む、請求項53に記載の方法。
  56. 前記二重鎖セグメント内に含まれる前記核酸分子の一部分に、前記ナノポアを通して流動させる前に、前記ランダムRNA減速バンプ分子を、前記核酸分子から解離させるステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
  57. 前記核酸分子を前記ナノポア内にトラップするステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
  58. 前記核酸分子の1または複数の末端部分に形成された1または複数の嵩高い構造を一助として、前記核酸分子が、前記ナノポア内にトラップされる、請求項57に記載の方法。
  59. 前記核酸分子の1または複数の末端部分に取り付けられた1または複数の嵩高い構造を一助として、前記核酸分子が、前記ナノポア内にトラップされる、請求項57に記載の方法。
  60. 前記核酸分子の流動の方向を反転させるステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
  61. 前記核酸分子の流動の前記方向を反転させるステップの後に前記核酸分子の少なくとも一部分を再配列決定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  62. 前記ナノポアが、アルファ−ヘモリシンのナノポアである、請求項53に記載の方法。
  63. 前記核酸分子が、一本鎖である、請求項53に記載の方法。
  64. 前記少なくとも1つのランダムRNA減速バンプ分子が、1または複数のオリゴヌクレオチド塩基の配列を含有するオリゴヌクレオチドを含む、請求項53に記載の方法。
  65. 前記少なくとも1つのランダムRNA減速バンプ分子が、ユニバーサル塩基、モルホリノ、グリコールヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、メチル化核酸塩基、修飾塩基、非結合塩基模倣体、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、またはこれらの任意の組合せを有する、請求項64に記載の方法。
  66. 前記少なくとも1つのランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させる、請求項53に記載の方法。
  67. 前記少なくとも1つのランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、請求項53に記載の方法。
  68. 前記少なくとも1つのランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のシス側で、前記核酸分子と会合させ、別のランダムRNA減速バンプ分子を、前記膜のトランス側で、前記核酸分子と会合させる、請求項53に記載の方法。
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