JP2024506899A - 核酸中のメチル化の塩基レベル検出のための方法 - Google Patents

核酸中のメチル化の塩基レベル検出のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、核酸中のメチル化を検出するための改良された方法及び組成物を含む。特に、本開示は、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)及び/又は5-メチルシトシン(5mC)をチミン(T)に変換する方法に関する。さらに、本開示は、試料中の5hmC及び/又は5mCを検出する方法にも関する。

Description

本発明は、核酸に基づく診断の分野に関する。より具体的には、本発明は、エピジェネティック修飾が生物学的及び臨床的意義を有し得る、核酸中のエピジェネティック修飾を検出する方法に関する。
エピジェネティック修飾、特にDNAメチル化は、発生及び病理学的過程において役割を果たす。メチル化を検出することは、核酸中の修飾シトシン塩基(メチル及びヒドロキシメチルシトシン(5mC及び5hmC))を検出することを含む。最近まで、メチル化を検出するためのゴールドスタンダードは、DNAをバイサルファイトで処置することを含んでいた。この処置は、非メチル化シトシン(C)をウラシル(U)に変換するが、メチル化シトシン(5mC及び5hmC)は無傷のままである。次いで、CからUへの変化を、例えば核酸配列決定によって検出することができる。残念ながら、バイサルファイト処置は、試料DNAの大部分の分解をもたらす。メチル化シトシンを検出するための代替のそれほど過酷でない方法としては、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼによる酵素処置及び酸化生成物のいずれか1つの検出が挙げられる。TAPS(TET支援ピリジン-ボランシーケンシング)と呼ばれる特定の方法の1つは、TET及び共触媒(例えば、Fe(II)イオン及びアルファ-ケトグルタル酸)を用いた核酸中のメチル化シトシンの酸化、及びボラン誘導体を用いた酸化生成物の処置を含み、ジヒドロウラシル(DHU)を形成し、これは配列決定中にTとして読み取られる(Liu,Y.,et al.(2019)Bisulfite-free direct detection of 5-methylcytosine and 5-hydroxymethylcytosine at base resolution.Nat.Biotechnol.37,424-429を参照)。他の方法もTETを利用するが、ボラン還元の代替物を提供する。
一例では、酸化生成物をマロノニトリルと反応させて、配列決定中にTとも読み取られる付加物を形成することができる(Zhu C.,et al.,(2017)Single-Cell 5-Formylcytosine Landscapes of Mammalian Early Embryos and ESCs at Single-Base Resolution,Cell Stem Cell,20:720-731.e5を参照)。マロノニトリルは、5-ホルミルシトシン(5fC)と排他的に反応する。5fCを検出する別の方法としては、有機溶媒中でウィティッヒ試薬を用い、紫外光を照射する方法がある。反応の生成物は、国際公開第2020155742号に記載されているような蛍光認識技術を使用して検出される。
残念なことに、より新しい方法は、臨床検査室で広く採用され得る前に障害に直面し、TAPS及びマロノニトリル法における化学反応は、高温(70℃)を必要とするか、又は完了するのに数日かかる。臨床検査室で展開することができる迅速かつ便利なメチル化検出アッセイが必要とされている。
残念ながら、現在使用されている酸化方法(Fe(II)イオン及びアルファ-ケトグルタル酸の存在下でのTET等)は、5-カルボキシシトシン(5caC)と5-ホルミルシトシン(5fC)の混合物を生じる。シトシンメチル化の正確な塩基レベル検出を可能にするために、メチル化シトシンを選択的に酸化し、下流検出手順のために優先的又は排他的に5fCを形成する酵素的方法が必要とされている。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)ヌクレオチドを検出する方法であって、(i)反応スキームに従って、5fCを含む核酸を含有する試料を、核酸中の5fCと反応して付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)の化合物を含む組成物と接触させることによって反応混合物を形成することと、(ii)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fCの少なくとも90%が付加物を形成している、インキュベートすることと、(iii)反応混合物からの核酸を配列決定して試験配列を得ることであって、付加物が配列決定中にチミン(T)として読み取られる、配試験配列を得ることと、(iii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5fCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することとを含む、方法である。いくつかの実施形態では、R1は、シアノ基(CN)である。いくつかの実施形態では、式R-CH-CNの化合物を含む組成物は、有機酸部分を含む。いくつかの実施形態では、有機酸は、式R-COOHを有し、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、及びC1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニルから選択される。いくつかの実施形態では、有機酸は酢酸である。いくつかの実施形態では、式R-CH-CNの化合物を含む組成物は、非水性溶媒中に存在する。いくつかの実施形態では、非水溶媒は、式R-OHを有し、式中、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、10~100%、例えば90~100%のメタノール又はエタノールである。いくつかの実施形態では、反応混合物は、式RNH(式中、x及びyは0、1、2又は3であるため、x+y=3であり、各Rは独立して、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される)の化合物を更に含む。いくつかの実施形態では、RNH はトリエタノールアミンである。いくつかの実施形態では、反応混合物は1時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、工程(iii)の配列決定の前に、例えば、付加物の反対側にアデニン(A)ヌクレオチドを効率的に組み込むBファミリーポリメラーゼを用いて核酸を増幅する。いくつかの実施形態では、工程(iii)における配列決定は、例えばナノポアを用いる合成による配列決定(SBS)法によるものである。
いくつかの実施形態では、5fCを含む核酸は、メチル化シトシンを含む核酸を、pH7~8で、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び5~100μMのFe(II)イオンを含む組成物と接触させることによって得られる。いくつかの実施形態では、組成物は、pH8の10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び5~10μMのFe(II)イオンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、pH7の10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び80~100μMのFe(II)イオンを含む。いくつかの実施形態では、Fe(II)イオンは、試料をFeSO、(NHFe(SO、FeSO7HO、(NHFe(SO6HO、及びFeClから選択される化合物と接触させることによって生成される。いくつかの実施形態では、組成物は、アスコルビン酸、アルファ-ケトグルタル酸及び還元剤の1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、5fCを含む核酸は、メチル化シトシンを含む核酸を、Cu(II)化合物及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)を含む組成物と接触させることによって得られる。いくつかの実施形態では、5fCを含む核酸は、メチル化シトシンを含む核酸を、ルテニウム酸カリウム(KRuO)及び過ルテニウム酸カリウム(KRuO)から選択されるカリウムルテニウム塩と接触させることによって得られる。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシン(C)ヌクレオチドを検出する方法であって、(i)5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸を含有する試料を、核酸中の5mC及び5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換することができる10-11の転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び核酸中の5fCと反応して反応して反応スキームによる付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)の化合物を含む組成物と接触させることによって反応混合物を形成することと、(ii)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fCの少なくとも90%が付加物を形成している、インキュベートすることと、(iii)反応混合物からの核酸を配列決定して試験配列を得ることであって、付加物が配列決定中にチミン(T)として読み取られる、配試験配列を得ることと、(iii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することとを含む、方法である。いくつかの実施形態では、R1はシアノ基(CN)であり、工程(i)で添加される組成物は、式R-OH(式中、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)を有する非水性溶媒を含み、反応混合物中の溶媒の濃度は少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、R1はシアノ基(CN)であり、工程(i)で添加される組成物は、反応混合物中に少なくとも90%の濃度でエタノール又はメタノールを含有し、トリエタノールアミンを更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシンヌクレオチドを検出する方法であって、(i)アダプターを、5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸にライゲートすることであって、アダプターが増幅プライマー結合部位を含む、ライゲートすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5mC及び5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換することができる10-11の転座(TET)ジオキシゲナーゼと接触させることによって反応混合物を形成することと、
(iii)反応スキームに従って、反応混合物を、核酸中の5fCと反応することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)の化合物と接触させることによって反応混合物を形成することと、(iv)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fCの少なくとも90%が付加物を形成している、インキュベートすることと、(v)DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して適合された核酸を増幅することであって、DNAポリメラーゼが増幅中にチミン(T)として付加物を読み取る、増幅することと、(vi)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することとを含む、方法である。いくつかの実施形態では、R1はシアノ基(CN)であり、工程(i)で添加される組成物は、式R-OH(式中、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)を有する非水性溶媒を含み、反応混合物中の溶媒の濃度は少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、R1はシアノ基(CN)であり、工程(i)で添加される組成物は、反応混合物中に少なくとも90%の濃度でエタノール又はメタノールを含有し、トリエタノールアミンを更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、3時間未満で核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)を検出するためのキットであって、マロノニトリルのエタノール溶液を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、核酸配列決定試薬、核酸増幅試薬、核酸精製試薬、酢酸の溶液、トリエタノールアミンの溶液、並びに有機酸及びアルキルアミンの存在下で、核酸中の5fCをマロノニトリルと反応させる際の説明書のうちの1つ以上を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、3時間未満で核酸中のメチル化シトシンヌクレオチドを検出するためのキットであって、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ酵素、マロノニトリルのエタノール溶液を含み、核酸精製、増幅及び配列決定のための試薬を更に含むキットである。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)及び5-カルボキシシトシン(5caC)ヌクレオチドを検出する方法であって、(i)5fC及び/又は5caCを含む核酸を含有する試料を、ボラン誘導体を含む組成物と接触させることによって反応混合物を形成することと、(ii)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fC及び5caCの少なくとも90%がジヒドロウラシル(DHU)に還元されている、インキュベートすることと、
(iii)反応混合物からの核酸を配列決定して、配列決定中にDHUがチミン(T)として読み取られる試験配列を得ることと、(iii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5fC又は5caCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、ボラン誘導体はピコリンボランである。いくつかの実施形態では、反応混合物は、有機酸部分を含有する。いくつかの実施形態では、有機酸は、式R-COOHを有し、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、及びC1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニルから選択される。いくつかの実施形態では、有機酸は酢酸である。いくつかの実施形態では、ボラン誘導体は、非水性溶媒中に存在する。いくつかの実施形態では、非水溶媒は、式R-OHを有し、式中、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、非水性溶媒はメタノール又はエタノールである。いくつかの実施形態では、反応混合物は1時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、工程(iii)の配列決定の前に、例えば、DHUの反対側にアデニン(A)ヌクレオチドを効率的に組み込むBファミリーポリメラーゼを用いて核酸を増幅する。いくつかの実施形態では、工程(iii)における配列決定は、例えばナノポアを用いる合成による配列決定(SBS)法によるものである。いくつかの実施形態では、5fC及び/又は5caCを含む核酸は、メチル化シトシンを含む核酸を、pH7~8で、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び5~100μMのFe(II)イオンを含む組成物と接触させることによって得られる。いくつかの実施形態では、組成物は、pH8の10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び5~10μMのFe(II)イオンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、pH7の10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び80~100μMのFe(II)イオンを含む。いくつかの実施形態では、Fe(II)イオンは、試料をFeSO、(NHFe(SO、FeSO7HO、(NHFe(SO6HO、及びFeClから選択される化合物と接触させることによって生成される。いくつかの実施形態では、組成物は、アスコルビン酸、アルファ-ケトグルタル酸及び還元剤の1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、5fCを含む核酸は、メチル化シトシンを含む核酸を、Cu(II)化合物及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)を含む組成物と接触させることによって得られる。いくつかの実施形態では、5fCを含む核酸は、メチル化シトシンを含む核酸を、ルテニウム酸カリウム(KRuO)及び過ルテニウム酸カリウム(KRuO)から選択されるカリウムルテニウム塩と接触させることによって得られる。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシン(C)ヌクレオチドを検出する方法であって、(i)5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸を含む試料を、非水性溶媒中において、核酸中の5mC及び5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)及び5-カルボキシシトシン(5caC)及びボラン誘導体に変換することができる10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼを含む組成物と接触させることによって反応混合物を形成することと、
(ii)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fC及び5caCの少なくとも90%がジヒドロウラシル(DHU)に還元されている、インキュベートすることと、(iii)反応混合物からの核酸を配列決定して、配列決定中にDHUがチミン(T)として読み取られる試験配列を得ることと、(iv)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、ボラン誘導体は、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン(pic-BH3)、ボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムから選択され、非水性溶媒はメタノール及びメタノールから選択され、反応混合物は酢酸を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシンヌクレオチドを検出する方法であって、(i)アダプターを、5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸にライゲートすることであって、アダプターが増幅プライマー結合部位を含む、ライゲートすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5mC及び5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)及び5-カルボキシシトシン(5caC)に変換することができる10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼと接触させることによって反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物を非水性溶媒中でボラン誘導体と接触させることと、(iv)反応混合物を3時間未満インキュベートするスことであって、5fC及び5caCの少なくとも90%がジヒドロウラシル(DHU)に還元されている、インキュベートすることと、(v)DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して、適合された核酸を増幅することであって、DNAポリメラーゼが、増幅中にチミン(T)としてDHUを読み取る、増幅することと、(vi)増幅された核酸を配列決定して、試験配列を得ることと、(vii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、ボラン誘導体は、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン(pic-BH 3)、ボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムから選択され、非水性溶媒はメタノール及びメタノールから選択され、反応混合物は酢酸を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)及び5-カルボキシシトシン(5caC)を3時間未満で検出するためのキットであって、エタノール溶液中のボラン誘導体を含むキットである。いくつかの実施形態では、ボラン誘導体は、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン(pic-BH3)、ボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態では、キットは、核酸配列決定試薬、核酸増幅試薬、核酸精製試薬、酢酸の溶液、並びに核酸中の5fC及び5caCを有機酸の存在下でボラン化合物と反応させる際の説明書のうちの1つ以上を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、3時間未満で核酸中のメチル化シトシンヌクレオチドを検出するためのキットであって、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ酵素、ボラン誘導体のエタノール溶液を含み、核酸精製、増幅及び配列決定のための試薬を更に含むキットである。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)ヌクレオチドを検出する単一チューブ法であって、(i)5fCを含む核酸を含有する試料を、溶液中の10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼを含む組成物と、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)の化合物と接触させることによって反応混合物を形成することと、(ii)反応混合物をインキュベートして付加物を形成することと、
(iii)反応混合物からの核酸を配列決定して、配列決定中に付加物がチミン(T)として読み取られる試験配列を得ることと、(iii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5fCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、式R-CH-CNの化合物はマロノニトリルである。
いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の核酸の起源の組織を検出する方法であって、本明細書に開示される方法によって核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンをいくつかの組織の既知のメチル化パターンと比較することと、試料中の核酸の起源の組織を同定することとを含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、移植レシピエントにおける臓器移植拒絶を検出する方法であって、無細胞核酸を含有する血液試料を移植レシピエントから得ることと、本明細書に開示される方法によって無細胞核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンをいくつかの器官の既知のメチル化パターンと比較することと、移植された器官特異的メチル化パターンを有する無細胞核酸が試料において検出される場合に移植拒絶を検出することとを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、本明細書に開示されるメチル化シトシンの存在及び位置を検出し、移植された器官特異的メチル化パターンを有する無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって移植拒絶をモニタリングする方法であり、そのような無細胞DNAのレベルの増加は、臓器移植拒絶を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者における癌性腫瘍の存在についてスクリーニングする方法であって、無細胞核酸を含有する血液試料を患者から得ることと、本明細書に開示される方法によって無細胞核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンを、腫瘍及び非腫瘍組織の既知のメチル化パターンと比較し、腫瘍特異的メチル化パターンが検出された場合、腫瘍の存在を検出することとを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、患者の腫瘍体積をモニタリングする方法であって、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングすることと、本明細書に開示される方法によってメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、腫瘍特異的メチル化パターンを有する無細胞DNAのレベルの変化を測定することとを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は腫瘍増殖を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は腫瘍縮小を示す方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングすることと、本明細書に開示される方法によってメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、腫瘍特異的メチル化パターンを有する無細胞DNAのレベルの変化を測定することとを含む方法によって患者の癌の処置の有効性を監視する方法であり、そのような無細胞DNAのレベルの増加は治療が無効であることを示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は治療の有効性を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、癌患者における診断又は微小残存病変(MRD)の方法であって、無細胞核酸を含む血液試料を患者から得ることと、本明細書に開示される方法によって核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンをいくつかの組織の既知のメチル化パターンと比較することと、試料中の核酸の起源の組織を同定することとを含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者の自己免疫疾患を診断する方法であって、無細胞核酸を含む血液試料を患者から得ることと、本明細書に開示される方法によって核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンを免疫疾患によって損傷された組織の既知のメチル化パターンと比較することと、そのようなメチル化パターンが見出される場合、免疫疾患を診断することと、を含む方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、反応混合物をTETジオキシゲナーゼと接触させる前に、核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)がTETと反応するのを化学的に遮断されることを更に含む、本明細書に開示されるメチル化シトシンの存在及び位置を検出する方法である。いくつかの実施形態では、5hmCは、反応混合物をグルコシルトランスフェラーゼ及びグルコース部分と接触させることによって遮断される。いくつかの実施形態では、反応混合物をβ-グルコシルトランスフェラーゼ及びUDPグルコースと接触させる。
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸を含有する反応混合物をラッカーゼと接触させることを含む、核酸中に5-ホルミルシトシン(5fC)を形成する方法である。いくつかの実施形態では、ラッカーゼは、ヘキサゴニア・テヌイス(Hexagonia tenuis)、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)、アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)、カワラタケ(Trametes versicolor)及びササクレヒトヨタケ種(Coprinus spp.)から選択される種から単離される。いくつかの実施形態では、ラッカーゼは、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)MTCC-141、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)MTCC-1801、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)MTCC-1100、及びカワラタケ(Trametes hirsuta)MTCC-1171から選択される株から単離される。いくつかの実施形態では、反応混合物は、補因子、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、アセトシリンゴン、シリンガアルデヒド、パラクマル酸2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホネート(ABTS)、ビオルル酸(VLA)、N-アセチル-N-フェニルヒドロキシルアミン(NHA)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)及びN-ヒドロキシフタルイミド(HPI)を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を検出する方法であって、5hmCを含む核酸を含む試料を、5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に酸化するのに適した条件下でラッカーゼと接触させる工程、試料を、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキルカルボン酸エステル、非置換カルボキサミド、C1~C6アルキル一置換及びC1~C6アルキル二置換カルボキサミド、置換カルボニル部分、置換スルホニル部分から選択される電子求引基であり、置換は、5fC付加物を形成するのに適した条件下で、C1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C4~C6シクロアルキル、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール及びベンゼン化5員又は6員ヘテロアリールから選択される)の化合物を含む組成物と、接触させる工程、反応混合物からの核酸を配列決定して、試験配列を得る工程であって、配列決定中に付加物がチミン(T)として読み取られる、反応混合物からの核酸を配列決定して、試験配列を得る工程、及び試験配列を参照配列と比較する工程であって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5hmCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較する工程、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、アルキル置換は、O又はNのようなヘテロ原子、例えば-CH-CH-O-CHを含み得る。いくつかの実施形態では、式R-CH-CNの化合物はマロノニトリルである。あるいは、ウィティッヒ試薬を用いて同じ変換を行うことができる。次いで、R1-CH2-CNは、Ph3P=C(R2)CNで置き換えられ、式中、R2は、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル及びO、N、ハロゲン、P、S又はSiを含有するアルキルのうちの1つである。これは国際公開第2020/155742号に開示されている。
反応は以下の通りである:
以下では、上記で開示されたR1-CH2-CN及びウィティッヒ試薬は、ポリメラーゼ基質として機能するときにシトシンをチミン等価物に変換することができるため、「fC変換試薬」と定義される。
さらに、以下では、R1-CH2-CN及びウィティッヒ試薬と5-ホルミル-シトシン(5fC)との反応生成物を、ポリメラーゼ基質として働く場合にチミン等価物として作用する「5fC付加物」又は「付加物」と定義する。
いくつかの実施形態では、反応混合物は、有機酸、非水溶媒及び式RNH(式中、x及びyは、x+y=3となるような0、1、2又は3であり、各Rは、O及びN等のヘテロ原子を含み得るO及びNなどのヘテロ原子を含みうるC1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C6~C10-アリール、又は5若しくは6員ヘテロアリールから独立して選択される)の化合物の1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、有機酸は酢酸であり、非水性溶媒はエタノール又はメタノールであり、式RNHの化合物はトリエタノールアミン又はピペリジンである。他の実施形態では、化合物は緩衝剤、例えば酢酸アンモニウム又はTrisである。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、10~100%、例えば90~100%の濃度で反応混合物中に存在する。いくつかの実施形態では、反応混合物は1時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、配列決定の前に、チミン等価物とは反対のアデニン(A)ヌクレオチドを効率的に組み込むBファミリーポリメラーゼを用いて核酸を増幅する。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシン(C)を検出する方法であって、5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸を含有する試料を、5mCを5hmCに変換することができる10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ及び5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換することができるラッカーゼと接触させることと、試料を、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキルカルボン酸エステル、非置換カルボキサミド、C1~C6アルキル一置換及びC1~C6アルキル二置換カルボキサミド、置換カルボニル部分、置換スルホニル部分から選択される電子求引基であり、置換は、C1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C4~C6シクロアルキル、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール及びベンゼン化5員又は6員ヘテロアリールから選択される)の化合物と接触させることと、試料からの核酸を配列決定して、配列決定中に付加物がチミン(T)として読み取られる試験配列を得る、配列決定することと、試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、式R-CH-CNの化合物はマロノニトリルである。いくつかの実施形態では、反応混合物は、有機酸、非水溶媒及び式RNH(式中、x及びyはx+y=3となるような0、1、2又は3であり、各Rは、O及びN等のヘテロ原子を含み得るC1~C6、C6~C10-アリール、又は5若しくは6員ヘテロアリールから独立して選択される)の化合物の1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、有機酸は酢酸であり、非水性溶媒はエタノール又はメタノールであり、式RNHの化合物はトリエタノールアミン又はピペリジンである。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、10~100%、例えば90~100%の濃度で反応混合物中に存在する。いくつかの実施形態では、反応混合物は1時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、配列決定の前に、付加物とは反対のアデニン(A)ヌクレオチドを効率的に組み込むBファミリーポリメラーゼを用いて核酸を増幅する。いくつかの実施形態では、TET及びラッカーゼは、同じ反応混合物中で活性である。他の実施形態では、TET及びラッカーゼは同じ反応混合物中で活性ではなく、試料に連続的に添加される。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を検出する方法であって、5hmCを含む核酸を含む試料を、5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に酸化するのに適した条件下でラッカーゼと接触させる工程、試料をウィティッヒ試薬と接触させる工程、試料に紫外光を照射して生成物を形成する工程、反応混合物からの核酸を配列決定して、試験配列を得る工程であって、配列決定中に生成物がチミン(T)として読み取られる、反応混合物からの核酸を配列決定して、試験配列を得る工程、及び試験配列を参照配列と比較する工程であって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移は、核酸中の5hmCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較する工程、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、5fC変換試薬は、式PhP=C(R2)CNの化合物である。いくつかの実施形態では、化合物は、PhP=C(CN)(R2=-CN)である。
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸を含む反応混合物を、キシレンモノオキシゲナーゼ、トルエンメチルモノオキシゲナーゼ(EC1.14.15.26)、P450モノオキシゲナーゼ(EC1.14.14.1)、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ及びペルオキシダーゼから選択される酵素と接触させることを含む、核酸中で5-ホルミルシトシン(5fC)を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、ラッカーゼを含む核酸中のメチル化シトシンを検出するためのキットである。いくつかの実施形態では、ラッカーゼは、ヘキサゴニア・テヌイス(Hexagonia tenuis)、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)、アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)、カワラタケ(Trametes versicolor)及びササクレヒトヨタケ種(Coprinus spp.)から選択される種から単離される。いくつかの実施形態では、ラッカーゼは、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)MTCC-141、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)MTCC-1801、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)MTCC-1100、及びカワラタケ(Trametes hirsuta)MTCC-1171から選択される株から単離される。いくつかの実施形態では、キットは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、アセトシリンゴン、シリンガアルデヒド、パラクマル酸2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホネート(ABTS)、ビオルル酸(VLA)、N-アセチル-N-フェニルヒドロキシルアミン(NHA)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)、及びN-ヒドロキシフタルイミド(HPI)から選択されるラッカーゼ補因子を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、核酸配列決定試薬、核酸増幅試薬、及び核酸精製試薬のうちの1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、10-11の転座(TET)ジオキシゲナーゼ酵素を更に含む。いくつかの実施形態では、TET及びラッカーゼは、同じチューブ内に存在する。いくつかの実施形態では、キットは、マロノニトリルのエタノール溶液を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは酢酸の溶液を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、トリエタノールアミンの溶液を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、5mCを5hmC及び/又は5fCに変換することができる酵素であって、キシレンモノオキシゲナーゼ、トルエンメチルモノオキシゲナーゼ(EC1.14.15.26)及びP450モノオキシゲナーゼ(EC1.14.14.1)から選択される酵素を含む、核酸中のメチル化シトシンを検出するためのキットである。いくつかの実施形態では、本発明は、5hmCを5fCに変換することができる酵素であって、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ及びペルオキシダーゼから選択される酵素を含む、核酸中のメチル化シトシンを検出するためのキットである。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)ヌクレオチドを検出する方法であって、(i)アダプターを、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含む核酸にライゲートすることであって、アダプターが、増幅プライマー結合部位を含む、ライゲートすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換することができるラッカーゼと接触させることによって反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物をマロノニトリルと接触させて、5fC付加物を形成することと、(iv)増幅中にDNAポリメラーゼがチミン(T)として5fC付加物を読み取る、DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して工程(iii)からの核酸を増幅することと、(v)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vi)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のヒドロキシメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシン(5mC)ヌクレオチドを検出する方法であって、(i)アダプターを、5-メチルシトシン(5mC)を含む核酸にライゲートすることであって、アダプターが、増幅プライマー結合部位を含む、ライゲートすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5mCを5hmCに変化することができるTET酵素及び核酸中の5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換することができるラッカーゼと接触させることによって反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物をマロノニトリルと接触させて、5fC付加物を形成することと、(iv)増幅中にDNAポリメラーゼがチミン(T)として5fC付加物を読み取る、DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して工程(iii)からの核酸を増幅することと、(v)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vi)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中のメチル化シトシンの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の核酸の起源の組織を検出する方法であって、本明細書に開示される方法によって核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンをいくつかの組織の既知のメチル化パターンと比較することと、試料中の核酸の起源の組織を同定することとを含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、移植レシピエントにおける臓器移植拒絶を検出する方法であって、無細胞核酸を含有する血液試料を移植レシピエントから得ることと、本明細書に記載される方法によって無細胞核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンをいくつかの器官の既知のメチル化パターンと比較することと、移植された器官特異的メチル化パターンを有する無細胞核酸が試料において検出される場合に移植拒絶を検出することとを含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、本明細書に記載される方法に従ってメチル化シトシンの存在及び位置を検出し、移植された器官特異的メチル化パターンを有する無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって移植拒絶をモニタリングする方法であり、そのような無細胞DNAのレベルの増加は、臓器移植拒絶を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者における癌性腫瘍の存在についてスクリーニングする方法であって、無細胞核酸を含有する血液試料を患者から得ることと、本明細書に記載される方法によって無細胞核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンを、腫瘍及び非腫瘍組織の既知のメチル化パターンと比較し、腫瘍特異的メチル化パターンが検出された場合、腫瘍の存在を検出することとを含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者の腫瘍体積をモニタリングする方法であって、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングすることと、本明細書に記載される方法に従ってメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、腫瘍特異的メチル化パターンを有する無細胞DNAのレベルの変化を測定することとを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は腫瘍増殖を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は腫瘍縮小を示す方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングすることと、本明細書に記載される方法に従ってメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、腫瘍特異的メチル化パターンを有する無細胞DNAのレベルの変化を測定することとを含む方法によって患者の癌の処置の有効性を監視する方法であり、そのような無細胞DNAのレベルの増加は治療が無効であることを示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は治療の有効性を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、癌患者における診断又は微小残存病変(MRD)の方法であって、無細胞核酸を含む血液試料を患者から得ることと、本明細書に記載される方法によって核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンをいくつかの組織の既知のメチル化パターンと比較することと、試料中の核酸の起源の組織を同定することとを含む、方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者の自己免疫疾患を診断する方法であって、無細胞核酸を含む血液試料を患者から得ることと、本明細書に記載される方法によって核酸中のメチル化シトシンの存在及び位置を検出することと、メチル化パターンを免疫疾患によって損傷された組織の既知のメチル化パターンと比較することと、そのようなメチル化パターンが見出される場合、免疫疾患を診断することと、を含む方法である。
いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を5-メチルシトシン(5mC)と区別する方法であって、試料を2つのアリコートに分離することと、第1のアリコートにおいて、5mC及び5hmCを含む核酸を、5hmC及び5mCが5-ホルミルシトシン(5fC)に変換される条件下で、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼと接触させることと、第2のアリコートにおいて、5mC及び5hmCを含む核酸を、5hmCが5-ホルミルシトシン(5fC)に変換される条件下でラッカーゼと接触させることと、両方のアリコートを、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキルカルボン酸エステル、非置換カルボキサミド、C1~C6アルキル一置換及びC1~C6アルキル二置換カルボキサミド、置換カルボニル部分、置換スルホニル部分から選択される電子求引基であり、置換は、C1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C4~C6シクロアルキル、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール及びベンゼン化5員又は6員ヘテロアリールから選択される)の化合物と別々に接触させることと、両方のアリコートからの核酸を別々に配列決定して、配列決定中に付加物がチミン(T)として読み取られる第1及び第2の試験配列を得ることと、第1の試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5hmC及び5mCの存在を示す、第1の試験配列を参照配列と比較すること、第2の試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5hmCの存在を示す、第2の試験配列を参照配列と比較することと、第1の試験配列を第2の試験配列と比較することであって、第1の試験配列のそのようなシトシンのみが、第2の試験配列においてヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)として検出されない5mCである、第1の試験配列を第2の試験配列と比較することと、を含む、方法である。あるいは、両方のアリコートを別々にウィティッヒ試薬と接触させることが可能である。
図1は、メチル化検出アッセイ(TAPS)におけるピコリン-ボランの共溶媒としてエタノールを使用したDHU変換を示す。 図2は、メチル化検出アッセイ(TAPS)におけるピコリン-ボランの共溶媒としてメタノール及び酢酸を使用したDHU変換を示す。 図3は、メチル化検出アッセイにおいて、酢酸ナトリウム緩衝液中でマロノニトリルを使用したマロノニトリル付加物形成を示す。 図4は、メチル化検出アッセイにおけるエタノール-TRIS緩衝液中でのマロノニトリルを使用したマロノニトリル付加物形成を示す。 図5は、メチル化検出アッセイにおけるエタノール-トリエチルアミン緩衝液中でのマロノニトリルを使用したマロノニトリル付加物形成を示す。 図6は、TET及びマロノニトリルを用いた単一チューブメチル化検出アッセイにおけるCpG部位の変換を示す。 図7は、TEMPOの存在下でのラッカーゼによるオリゴヌクレオチド中での5hmCの5fCへの酸化を示す。 図8は、オリゴヌクレオチド中の5mCが同じ条件下でラッカーゼによって酸化されないことを示す。 図9A及び図9Bは、様々なアミン緩衝触媒がTET活性を5hmC及び5fCにどのように調節するかの液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)データを示す。特に、図9Aは、2-アミノ-5-メトキシ安息香酸の効果を示し、図9Bは、5mCから5hmC/5fCへのTET酸化に対する2-(アミノメチル)イミダゾールジイドロクロリドの効果を示す。 図9A及び図9Bは、様々なアミン緩衝触媒がTET活性を5hmC及び5fCにどのように調節するかの液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)データを示す。特に、図9Aは、2-アミノ-5-メトキシ安息香酸の効果を示し、図9Bは、5mCから5hmC/5fCへのTET酸化に対する2-(アミノメチル)イミダゾールジイドロクロリドの効果を示す。 図10は、25℃及び37℃の2つの異なる温度でのTEMPOを用いたラッカーゼによる5mC酸化によって生成された5fC及び5caCの量を示す表を示す。 図11Aは、様々な緩衝液条件下での5fCから5fC-Mへの付加物の変換に対するマロノニトリルの効果のLC-MSデータを示す。図11Aの上のグラフは、40℃で1時間の緩衝液条件を示し、図11Aの中央のグラフは、60℃で1時間の緩衝液条件を示し、図11Aの下のグラフは、95℃で10分間の緩衝液条件を示す。図11Bは、マロニニトリルの活性に対するNaOHによる予備変性の効果を示すデータを示す。 図11Aは、様々な緩衝液条件下での5fCから5fC-Mへの付加物の変換に対するマロノニトリルの効果のLC-MSデータを示す。図11Aの上のグラフは、40℃で1時間の緩衝液条件を示し、図11Aの中央のグラフは、60℃で1時間の緩衝液条件を示し、図11Aの下のグラフは、95℃で10分間の緩衝液条件を示す。図11Bは、マロニニトリルの活性に対するNaOHによる予備変性の効果を示すデータを示す。 図12は、Cu 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(CuTEMPO)中でのわずか22時間での5hmCの酸化を示すLC-MSデータを示す。図12の上のグラフは、CuTEMPOにおける5hmCの酸化を示し、図12の下のグラフは、DMEAHによる上のグラフからの生成物の誘導体化を示す。 図13Aは、ポリメラーゼ酵素の活性によって媒介される、チミン(T)への5fC-M付加物変換の反応を示す。図13Bは、ポリメラーゼ用に最適化された緩衝液(「DOE_1」)の組成を示す。図13Cは、標準緩衝液(「BufferA」)及び最適化緩衝液(「DOE_1」)を使用した5fC-M付加物のTへの変換を示す。 図13Aは、ポリメラーゼ酵素の活性によって媒介される、チミン(T)への5fC-M付加物変換の反応を示す。図13Bは、ポリメラーゼ用に最適化された緩衝液(「DOE_1」)の組成を示す。図13Cは、標準緩衝液(「BufferA」)及び最適化緩衝液(「DOE_1」)を使用した5fC-M付加物のTへの変換を示す。 図13Aは、ポリメラーゼ酵素の活性によって媒介される、チミン(T)への5fC-M付加物変換の反応を示す。図13Bは、ポリメラーゼ用に最適化された緩衝液(「DOE_1」)の組成を示す。図13Cは、標準緩衝液(「BufferA」)及び最適化緩衝液(「DOE_1」)を使用した5fC-M付加物のTへの変換を示す。
略語
本開示を通して使用されるいくつかの略語を以下に列挙する。
C-シトシン
T-チミン
U-ウラシル
DHU-ジヒドロウラシル
5mC-5-メチルシトシン
5hmC-5-ヒドロキシメチルシトシン
5ghmC-5-グルコシル-ヒドロキシメチルシトシン
5fC-5-ホルミルシトシン
5caC-5-カルボキシシトシン
TET-10-11転座ジオキシゲナーゼ
TAPS-TET支援pic-ボランシーケンシング(TET-assisted pic-borane sequencing)
CAPS-化学支援pic-ボランシーケンシング(chemically-assisted pic-borane sequencing)
oxBS又はoxBS-Seq-酸化的バイサルファイトシーケンシング
5-メチルシトシン及び5-ヒドロキシメチルシトシン(5mC及び5hmC)は、腫瘍学、出生前検査及び他の分野における多くの臨床応用を有する重要なエピジェネティックバイオマーカーである。最近まで、メチル化の塩基レベル検出は、非メチル化シトシンをバイサルファイトと反応させ、続いてPCR、アレイハイブリダイゼーション又は配列決定を行うことによって達成されていた。非メチル化シトシン(C)は、バイサルファイトと反応した後にチミン(T)として読み取られ、一方、メチル化シトシン(5mC及び5hmC)はCとして読み取られる。残念ながら、バイサルファイト処置は、試料核酸の大部分の分解をもたらし、高感度を必要とする用途には適さない。例えば、無細胞DNA等の無細胞核酸を分析する最新の用途には不向きである。
近年、メチル化シトシンを検出するためのそれほど過酷でない方法が開示されている。最新の方法は、バイサルファイト処置(Liu,Y.,et al.(2019)Bisulfite-free direct detection of 5-methylcytosine and 5-hydroxymethylcytosine at base resolution.Nat Biotechnol.37,424-429)の場合のように、非メチル化シトシンの代わりにメチル化シトシンの修飾を伴う。5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を介したメチルシトシン(5mC)のホルミルシトシン(5fC)及びカルボキシルシトシン(5caC)への段階的酸化は、Fe(II)イオン及びアルファ-ケトグルタル酸の存在下で、10-11転座ジオキシゲナーゼ(TET)を使用して実施される。
Liu et al.は、ボラン誘導体(ピリジンボラン、ピコリンボラン等)を使用して5fC(及び5caC)をジヒドロウラシル(DHU)に還元することを更に記載した。その後、DHUは、その後の増幅及び配列決定においてTとしてウラシル耐性核酸ポリメラーゼによって読み取られる。その結果、メチル化されたCはTと読み取られるが、メチル化されていないCは変化しない。TAPS(TET支援ピコリン-ボランシーケンシング)と呼ばれるこのTET及びピコリン-ボランに基づく方法は、バイサルファイト処置ほどDNA分解を引き起こさず、バックグラウンドを差し引いてシグナルを得る代わりにシグナルを直接検出することを可能にする。両方の利点は、より高いアラインメント速度、場合によってはより低いシーケンシング深度を可能にし、試料からより高い分子多様性を回収する。
CAPS(化学的支援ピコリン-ボランシーケンシング)と呼ばれる別の技術は、過ルテニウム酸カリウム(KRuO)を使用した5hmCから5fCへの選択的変換を含む。TETの化学的代替物としてのKRuOの使用は、酸化的バイサルファイトシーケンシング(Oxidative Bisulfite Sequencing)又はoxBS-seqと呼ばれる技術から知られている(Booth M.J.,et al.(2012)Quantitative sequencing of 5-methylcytosine and 5-hydroxymethylcytosine at single base resolution,Science 12 May:934-937を参照)。過ルテニウム酸カリウム変換によって得られた5fCは、例えばボラン処置又は任意の他の下流の方法による更なる処置のための好ましい標的となる。
更に別の配列決定技術は、ボランによる5fCの減少の代替である。この方法は、Tとして認識される5fCの付加物を形成することを含む。付加物は、マロノニトリルを使用して形成される(Zhu C.,et al.,(2017)Single-Cell 5-Formylcytosine Landscapes of Mammalian Early Embryos and ESCs at Single-Base Resolution,Cell Stem Cell,20:720-731.e5を参照)。
Zhu et al.のTAPS、CAPS及びマロノニトリル法は、過酷な化学処置及び結果として生じる試料核酸の損失を回避するという点で、バイサルファイト法よりも優れている。しかしながら、より新しい方法は、完了するのに非常に長い時間がかかるか、又は高温を必要とするという欠点を有する。TAPSのボラン反応のために70℃で3時間又は37℃で16時間(Liu et al.,Nature Biotech.37,pages 424-429(2019)又は1~2日でマロノニトリル付加物を形成した(米国特許第10,519,184号及び米国特許出願公開第20200165661号を参照)。本開示は、核酸中のシトシンメチル化を検出する改良されたより実用的な方法を含む。
本発明の様々な態様を以下で更に詳細に説明する。
いくつかの実施形態では、本発明は、エピジェネティック修飾、具体的には、核酸中のシトシンメチル化を検出する方法である。核酸中のメチル化シトシンを検出する技術水準の方法は、以下の重要な工程を含む:1)メチル化シトシンの酸化工程、2)配列決定中にチミン(T)として読み取ることができる形態への酸化生成物の還元工程、3)核酸を配列決定する工程、4)配列リード中のシトシン(T)からチミン(T)への変化がメチル化シトシンの存在を示した、処置下配列及び未処置配列を比較する工程。本発明は、上記の一般的なスキームに対するいくつかの有用な改良を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、改良された1)メチル化シトシンを酸化する工程、及び技術水準に従って実施される工程2)~4)を含む方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、改良された2)酸化生成物の還元工程、並びに技術水準に従って実施される工程1)、3)及び4)を含む方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、改良された1)メチル化シトシンを酸化する工程、改良された2)酸化された生成物の還元工程、並びに技術水準に従って実施される工程3)及び工程4)を含む方法である。
本発明は、試料からの核酸を操作する方法を含む。いくつかの実施形態では、試料は、対象又は患者に由来する。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、生検によって、対象又は患者に由来する固形組織又は固形腫瘍の断片を含み得る。試料はまた、核酸を含み得る体液(例えば、尿、痰、血清、血液若しくは血液分画、すなわち、血漿、リンパ液、唾液、痰、汗、涙、脳脊髄液、羊水、滑液、心膜液、腹水、胸水、嚢胞液、胆汁、胃液、腸液、又は糞便試料)を含み得る。他の実施形態では、試料は、培養試料、例えば、核酸を単離し得る細胞及び流体を含有する組織培養物である。いくつかの実施形態では、試料中の目的の核酸は、ウイルス、細菌、原虫又は真菌等の感染病原体に由来する。
本発明は、試料から単離又は抽出された、単離された核酸を操作することを含む。核酸抽出の方法は、当技術分野で周知である。(J.Sambrook et al.,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual,” 1989,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York,N.Y.を参照されたい)。生物学的試料から核酸(DNA又はRNA)を抽出するための様々なキット(例えば、KAPA Express Extract(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン))、並びにBD Biosciences Clontech(カリフォルニア州パロアルト)、Epicentre Technologies(ウィスコンシン州マディソン);Gentra Systems(ミネソタ州ミネアポリス);及びQiagen(カリフォルニア州バレンシア)、Ambion(テキサス州オースチン);BioRad Laboratories(カリフォルニア州ハーキュリーズ)から他の同様の製品等が市販されている。
いくつかの実施形態では、例えば国際公開第2019092269号及び国際公開第2020074742号に記載されているように、核酸が抽出され、サイズによって分離され、任意に、エピタコフォレーシスによって濃縮される。
本発明は、核酸中のエピジェネティック修飾を検出することを含む。条件付きエピジェネティック修飾を受ける核酸配列は、本明細書に開示される方法によって分析される標的配列である。同じ核酸配列は、5位(5mC又は5hmC)のシトシンのメチル化を特徴とするエピジェネティック修飾を有してもよく、又は有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、標的核酸のセット又はパネルは、メチル化の存在についてプローブされる。例えば、Patai AV,et al.(2015)Comprehensive DNA Methylation Analysis Reveals a Common Ten-Gene Methylation Signature in Colorectal Adenomas and Carcinomas.PLOS ONE 10(8):e0133836、及びOnwuka,J.U.,et al.(2020)A panel of DNA methylation signature from peripheral blood may predict colorectal cancer susceptibility.BMC Cancer 20,692に示され、メチル化バイオマーカーのパネルにおけるバイオマーカーのメチル化は、患者における結腸直腸癌の存在を示す。したがって、予後診断又は診断目的のためのメチル化バイオマーカーの任意の既知の又は将来のパネルの試験が、本明細書に開示される方法によって想定される。
いくつかの実施形態では、生物のゲノム全体がメチル化の存在についてプローブされる。本発明の方法は、例えば、Shull AY,et al.,(2015)Sequencing the cancer methylome.Methods Mol Biol.1238:627-5に記載される配列分析及び人工知能ツールを使用して、疾患若しくは症状を診断するため、又は疾患若しくは症状に対する素因を診断するため、生物のゲノム全体の全ての部位におけるメチル化を検出することを含む。
いくつかの実施形態では、試料中の5mC及び5hmCを別々に検出又は区別することが望ましい。この実施形態では、5hmCは酸化から遮断され、配列決定中にTとして読み取られる化合物に変換されない。ブロッキングプロセスは、5mCではなく5hmCに存在する反応性ヒドロキシル基を利用する。いくつかの実施形態では、5hmCに付加されるブロッキング基は糖部分である。いくつかの実施形態では、糖部分は、修飾又は非修飾グルコース部分であり、5-グルコシル-ヒドロキシメチルシトシン(5ghmC)が形成される。5ghmCは、5fC及び5hmCについて公知のスキームによるボラン誘導体との付加物形成又は還元を受けない。いくつかの実施形態では、ブロッキング基の付加は、グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、グルコシルトランスフェラーゼ)によって触媒される。いくつかの実施形態では、核酸中の5hmCを、ベータ-グルコシルトランスフェラーゼの存在下で修飾グルコースと反応させる。いくつかの実施形態では、修飾グルコースはUDP-グルコースであり、触媒はバクテリオファージT4ベータ-グルコシルトランスフェラーゼ(T4 BGT)である。
いくつかの実施形態では、方法は、下流検出のためにメチル化シトシンを酸化する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、5-メチルシトシン(5mC)及び/又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を、5-ホルミルシトシン(5fC)若しくは5-カルボキシルシトシン(5caC)又は5fCと5caCとの混合物に変換する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、試料又は反応混合物を、例えば米国特許第9,115,386号又は米国特許出願公開第20200370114号に記載される、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼと接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、TET酵素は、TET1、TET2、TET3及び関連タンパク質CXXC4から選択される。いくつかの実施形態では、TETは、マウスTET1、TET2若しくはTET3(mTET1、2又は3)、ヒトTET1、TET2若しくはTET3(hTET1、2又は3)、ネグレリア(Naegleria)TET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)(CcTET)、又は類似若しくは同等の酵素活性を有する任意の他の類似体若しくは同等物から選択される。
いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の5mC及び/又は5hmCを主に又は排他的に5fCに変換する工程を利用する。いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の5mC及び5hmCを主に又は排他的に5caCに変換する工程を利用する。いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の5mC及び5hmCを5fCと5caCの混合物に変換する工程を利用する。
いくつかの実施形態では、本発明は、Fe(II)イオンの存在下で試料をTETと接触させることによって、試料中の5mC及び5hmCを主に又は排他的に5fCに変換する工程を含む。いくつかの実施形態では、適切な供給源又はFe(II)イオンは、FeSO,(NHFe(SO,FeSO7HO,(NHFe(SO6HO,FeCl及び同様の例から選択される。いくつかの実施形態では、本発明は、試料をTET及び5~100μMのFe(II)イオンとpH7~8で接触させることによって、試料中の5mC及び5hmCを5fCに変換する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、pH8でのTET及び5~10μMのFe(II)イオンとのインキュベーションによって、試料中の5mC及び5hmCを5fCに変換する工程を利用する。いくつかの実施形態では、本発明は、pH7でのTET及び80~100μMのFe(II)イオンとのインキュベーションによって、試料中の5mC及び5hmCを5fCに変換する工程を利用する。
いくつかの実施形態では、本発明は、アスコルビン酸、アルファ-ケトグルタル酸及び還元剤の存在下で試料をTET及びFe(II)イオンと接触させることによって、試料中の5mC及び5hmCを主に又は排他的に5fCに変換する工程を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、試料をCu(II)化合物及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)と接触させることによって、試料中の5hmCを主に又は排他的に5fCに変換する工程を利用する。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)ヌクレオチドを検出することによって核酸中のメチル化シトシンを検出する改良された工程を含み、5fCは、本明細書において上記で記載される方法の1つによって形成される。この方法は、5fCを含む核酸を含有する試料を、改良された溶媒組成物中の式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)の化合物を含む改良された組成物と接触させることを含み、化合物は、反応スキームに従って核酸中の5fCと反応して付加物を形成することができる。上記反応の反応物は、例えば、米国特許第10,519,184号及びYi et al.による米国特許出願公開第20200165661号に記載される。例えば、R1はシアノ基(CN)であり、反応物はマロノニトリルである。
本発明は、5fCの少なくとも90%が付加物を形成している3時間未満にわたって反応を進行させることを可能にすることによってYi法を改良する反応混合物の改良された組成物を提供する。いくつかの実施形態では、反応は、1時間のみ進行し、5fCの少なくとも90%が付加物を形成する。対照的に、Yi反応は、20時間以上から最大48時間(米国特許出願公開第20200165661号の実施例を参照)を必要とする。
いくつかの実施形態では、先行技術に対する改良は、有機酸部分を含む溶液中で5fCと式R-CH-CNの化合物との間の反応を行うことを含む。有機酸は式R-COOHを有し、RはC1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、反応は酢酸の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、反応中の有機酸の濃度は、1%~30%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%である。
いくつかの実施形態では、先行技術に対する改良は、非水性溶媒中で5fCと式R-CH-CNの化合物との間の反応を行うことを含む。非水溶媒は、式R-OHを有し、式中、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、反応は、メタノール又はエタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、10%~100%メタノール又はエタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、90%以上のメタノール又はエタノール中で行われる。
いくつかの実施形態では、先行技術に対する改良は、式RNHの化合物を含む溶液中で5fCと式R-CH-CNの化合物との反応を行うことを含み、式中、x及びyはx+y=3であるように0、1、2又は3 であり、各Rは独立して、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、式RNH の化合物は、脂肪族又は芳香族基を有する第一級、第二級又は第三級アミンである。いくつかの実施形態では、反応はトリエタノールアミンの存在下で行われる。
いくつかの実施形態では、従来技術に対する改良は、TET酸化と同時に5fCと式R-CH-CNの化合物との間の反応を実施して、簡略化された1チューブのワークフローを可能にすることを含む。いくつかの実施形態では、TET及びマロノニトリルを同時に添加し、5fC及び5fC-マロノニトリル付加物形成への酸化を同じチューブで行う。
いくつかの実施形態では、本発明は、5-カルボキシルシトシン(5caC)及び5-ホルミルシトシン(5fC)を形成及び検出することによって核酸中のメチル化シトシンを検出する改良された工程を含み、5fC、5caC又は5fCと5caCの混合物は、本明細書に上記の方法の1つによって形成される。この方法は、5fC及び/又は5caCを含む核酸を含む試料を、改良された溶媒組成物中にボラン誘導体を含む改良された組成物と接触させることを含み、ボラン誘導体は、核酸中の5caCと、より低い効率で5fCと反応してジヒドロウラシル(DHU)を形成することができる。ボラン誘導体の例としては、2-ピコリンボラン(pic-ボラン)、ピリジンボラン、tert-ブチルアミンボラン、エチレンジアミンボラン、及び国際公開第2019136413号(TET支援ピコリン-ボラン配列決定又はTAPS)のSong及びLiuによって記載されているジメチルアミンボランが挙げられる。
本発明は、5caCのほぼ全てがDHUに変換される35℃で1時間未満反応を進行させることを可能にすることによってTAPS法を改良する、ボラン含有反応混合物の改良された組成物を提供する。いくつかの実施形態では、反応は1/2時間のみ進行し、5caCのほぼ全てが変換される。対照的に、Liu et al.,によって記載されたTAPSボラン反応は、70℃又は16時間及び37℃で3時間以上を必要とする(国際公開第2019136413号、実施例:ボラン還元を参照)。
いくつかの実施形態では、先行技術に対する改良は、有機酸部分を含む溶液中で5fC又は5caCとボラン誘導体との間の反応を行うことを含む。有機酸は式R-COOHを有し、RはC1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、反応は酢酸の存在下で行われる。
いくつかの実施形態では、先行技術に対する改良は、非水性溶媒中で5fC又は5caCとボラン誘導体との間の反応を行うことを含む。非水溶媒は、式R-OHを有し、式中、Rは、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、反応は、メタノール又はエタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、90%以上のメタノール又はエタノール中で行われる。
付加物(マロノニトリル処置の場合)又はDHU(ボラン処置の場合)の形成に続いて、付加物又はDHUを有する核酸を配列決定に供する。いくつかの実施形態では、配列決定は次世代の大規模並列シーケンシングプロセスによるものである。配列決定は、付加物又はDHUがチミン(T)として読み取られる試験配列をもたらす、すなわち、シーケンシングポリメラーゼは、コピーされている鎖に付加物又はDHUを収容し、付加物又はDHUの反対側にアデニン(A)を組み込むことができる。方法は、試験配列を参照配列と比較する工程を更に含み、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への変化は、試験核酸中のメチル化シトシンの存在を示す。
いくつかの実施形態では、試料中の核酸は、配列決定の前に増幅される。いくつかの実施形態では、増幅は、マロノニトリル付加物又はDHUとは反対側のアデニン(A)ヌクレオチドを効率的に組み込むBファミリーポリメラーゼを利用する。この実施形態では、付加物又はDHUが増幅ポリメラーゼによってTとして既に認識されているため、配列決定プロセスに適した任意のポリメラーゼで配列決定を進めることができる。
いくつかの実施形態では、試料中の核酸はアダプターにライゲートされ、アダプターは増幅及び配列決定において有用なエレメントを含む。アダプターは、バーコード、プライマー結合部位及びライゲーション部位のうちの少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシンヌクレオチドを検出する改良された方法であって、(i)試料中の核酸にアダプターをライゲーションすることであって、アダプターが増幅プライマー結合部位を含む、試料中の拡散にライゲーションすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換することができるTETと接触させることによって反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物を、核酸中の5fCと反応することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール(例えば、マロノニトリル)から選択される)の化合物と接触させることによって、反応スキームに従って付加物を形成することと、(iv)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fCの少なくとも90%が付加物を形成している、インキュベートすることと、(v)DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して適合された核酸を増幅することであって、DNAポリメラーゼが増幅中にチミン(T)として付加物を読み取る、増幅することと、(vi)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への変化が、核酸中の5mC存在を示す、試験配列を参照配列と比較することとを含む、方法である。いくつかの実施形態では、工程(iii)において、式R-CH-CNの化合物は、非水溶媒、例えばエタノール又はメタノール中に存在する。いくつかの実施形態では、工程(iii)において、式R-CH-CNの化合物は、酢酸等の有機酸を含む溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、工程(iii)において、式R-CH-CNの化合物は、トリエタノールアミン等のアミンを含む溶液中に存在する。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化シトシンヌクレオチドを検出する改良された方法であって、(i)増幅プライマー結合部位を含むアダプターを試料中の核酸にライゲーションすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中のメチル化シトシンを5-カルボキシシトシン(5caC)又は5-ホルミルシトシン(5fC)と5caCの混合物に変換することができるTETと接触させることによって反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物を、核酸中の5fC及び5caCと反応することができるボラン誘導体と接触させてDHUを形成することと、(iv)反応混合物を約1時間以下インキュベートすることであって、5fC及び5caCの少なくとも90%がDHUを形成している、インキュベートすることと、(v)DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して、適合された核酸を増幅することであって、DNAポリメラーゼが、増幅中にチミン(T)としてDHUを読み取る、増幅することと、(vi)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への変化が、核酸中の5mCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、工程(iii)及び工程(iv)において、ボラン誘導体は、非水溶媒、例えばエタノール又はメタノール中に存在する。いくつかの実施形態では、工程(iii)及び工程(iv)において、ボラン誘導体は、酢酸等の有機酸を含む溶液中に存在する。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化を検出する単一チューブ法である。いくつかの実施形態では、該方法は、(i)増幅プライマー結合部位を含むアダプターを試料中の核酸にライゲートすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5mCを5-ホルミルシトシン(5fC)又は5-カルボキシシトシン(5caC)と5fCとの混合物に変換することができるTETと接触させ、同時に、同じ反応混合物を、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、置換又は非置換シアノ、ニトロ、ホルミル、カルボニル化合物から選択される電子吸引基であり、置換は、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール(例えば、マロノニトリル)から選択される)の化合物と接触させることによって、反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物をインキュベートして、5fCが付加物を形成さすることを可能にすることと、(iv)DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して適合された核酸を増幅することであって、DNAポリメラーゼが増幅中にチミン(T)として付加物を読み取る、増幅することと、(v)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vi)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への変化が、核酸中の5mCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することとを含む。いくつかの実施形態では、工程(ii)において、TETの性能を改良するために条件が最適化される。いくつかの実施形態では、工程(ii)及び工程(iii)において、反応混合物は、非水性溶媒、例えばエタノール又はメタノールを含む。いくつかの実施形態では、工程(ii)及び工程(iii)において、反応混合物は、酢酸等の有機酸を含む。いくつかの実施形態では、工程(ii)及び工程(iii)において、反応混合物は、トリエタノールアミン等の有機アミンを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸を増幅する工程を含む。いくつかの実施形態では、増幅は、配列決定工程の前に行われる。いくつかの実施形態では、増幅は、5fCとマロノニトリルとの付加物を形成する工程の後に行われる。いくつかの実施形態では、増幅は、酸化メチル化シトシンをボラン誘導体で還元する工程の後に行われる。いくつかの実施形態では、増幅は標的濃縮工程の前に行われる。増幅は、上流プライマー及び下流プライマーを利用する。いくつかの実施形態では、両方のプライマーは、標的特異的プライマー、すなわち、メチル化バイオマーカーの標的配列に相補的な配列を含むプライマーである。いくつかの実施形態では、一方又は両方のプライマーはユニバーサルプライマーである。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位は、本明細書に記載されるように配列決定された標的にライゲーションされたアダプターに存在する。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位は、標的特異的プライマーの5’領域(尾部)に存在する。したがって、尾部標的特異的プライマーを用いた1回以上のプライマー伸長の後、ユニバーサルプライマーをその後の増幅のために使用することができる。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマーは、(同じ又は異なる配列の)別のユニバーサルプライマーと対になっていてもよい。他の実施形態では、ユニバーサルプライマーは、標的特異的プライマーと対にされる。
いくつかの実施形態では、本発明は核酸ポリメラーゼを含む。増幅及び配列決定に使用される核酸ポリメラーゼは公知であり、複数の供給元から市販されている。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のように形成された5fC付加物を含む鎖を複製することを含む。そのような複製は、5fC付加物を収容するポリメラーゼを必要とする。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼはBファミリーポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、付加物をT(すなわち、付加物の反対側にAを組み込むこと)として認識することによって、5fC付加物を含む鎖をコピーすることができる。本明細書に記載の5fC付加物を収容することができるポリメラーゼとしては、DNA鎖にウラシル(U)を収容することが知られているDNAポリメラーゼが挙げられる。ポリメラーゼは、天然に存在するポリメラーゼ又は操作されたポリメラーゼであり得る。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、超好熱性古細菌、例えばパイロコッカス(Pyrococcus属(例えば、(パイロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furious))又はサーマス(Thermus)属(例えば、サーマス・アクアティカスThermus aquaticus))から単離される。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、中等温度好性古細菌(mesophilic archaea)、例えばメタノサルシナ(Metanosarcina)属(例えば、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans))から単離される。操作されたウラシル耐性ポリメラーゼの例としては、KAPA HiFi Uracil+DNAポリメラーゼ(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン)、Takara Terra(Takara Bio USA、カリフォルニア州マウンテンビュー)、及びEpiMark(登録商標)Hot Start Taq DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ウォルサム)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは、A型DNAポリメラーゼ(DNA依存性DNAポリメラーゼ)である。いくつかのDNAポリメラーゼは、限定された末端トランスフェラーゼ活性を有する(コピー鎖の3’末端に単一のdAを付加するTaqポリメラーゼ)。他のDNAポリメラーゼは、検出可能な末端トランスフェラーゼ活性を有しない。そのような実施形態では、別々の末端トランスフェラーゼ酵素を使用して、非鋳型ヌクレオチドをコピー鎖の3’末端に付加する。
いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは、Hot Startポリメラーゼ又は同様の条件付きで活性化されるポリメラーゼである。増幅工程のために、熱安定性DNAポリメラーゼが使用され、例えば、ポリメラーゼはTaq又はTaq由来ポリメラーゼ(例えば、マサチューセッツ州ウィルミントンのKAPA Biosystems製のKAPA 2Gポリメラーゼ)である。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸又は核酸鎖の一方又は両方の末端に付加されたアダプターを利用する。様々な形状及び機能のアダプターが当技術分野で知られている(例えば、2019年2月28日に出願されたPCT/EP2019/05515、米国特許第8822150号及び米国特許第8455193号を参照)。いくつかの実施形態では、アダプターの機能は、所望のエレメントを核酸に導入することである。アダプター由来エレメントは、核酸バーコード、プライマー結合部位又はライゲーション可能部位のうちの少なくとも1つを含む。
アダプターは、二本鎖、部分的に一本鎖又は一本鎖であり得る。いくつかの実施形態では、Y字形、ヘアピンアダプター又はステムループアダプターが使用され、アダプターの二本鎖部分は、本明細書に記載されるように形成された二本鎖核酸にライゲーションされる。
いくつかの実施形態では、アダプター分子は、in vitro合成人工配列である。他の実施形態では、アダプター分子は、in vitro合成天然配列である。更に他の実施形態では、アダプター分子は、分離した天然分子又は分離した非天然分子である。
二本鎖又は部分的に二本鎖のアダプターオリゴヌクレオチドは、オーバーハング又は平滑末端を有することができる。いくつかの実施形態では、二本鎖DNAは、平滑末端ライゲーションを適用して平滑末端アダプターをライゲーションすることができる平滑末端を含み得る。他の実施形態では、平滑末端DNAはAテイリングを受け、単一のAヌクレオチドが平滑末端に付加されて平滑末端から延びる単一のTヌクレオチドを有するように設計されたアダプターに適合し、DNAとアダプターとの間のライゲーションを容易にする。アダプターライゲーションを行うための市販のキットとしては、AVENIO ctDNA Library Prepキット又はKAPA HyperPrep、及びHyperPlusキット(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン)が挙げられるいくつかの実施形態では、アダプター連結(適応)DNAは、過剰なアダプター及びライゲーションされていないDNAから分離され得る。
いくつかの実施形態では、本発明はバーコードの使用を含む。いくつかの実施形態では、エピジェネティック修飾を検出する方法は、配列決定を含む。本明細書に記載されるようにプロセシングされた核酸は、配列決定、好ましくは、大規模並列単一分子シーケンシングに供される。大規模並列シーケンシングによる個々の分子の分析は、典型的には、試料の同定及びエラー訂正のために別々のレベルのバーコード化を必要とする。米国特許第7,393,665号、同第8,168,385号、同第8,481,292号、同第8,685,678号及び同第8,722,368号に記載されているような分子バーコードの使用。配列決定される各分子にユニーク分子バーコードを付加して、分子及びその子孫をマークする(例えば、元の分子及びPCRによって生成されたそのアンプリコン)。ユニーク分子バーコード(UID)は、試料中の元の標的分子の数のカウント及びエラー訂正を含む複数の用途を有する(Newman,A.,et al.,(2014)An ultrasensitive method for quantitating circulating tumor DNA with broad patient coverage,Nature Medicine doi:10.1038/nm.3519)。
いくつかの実施形態では、ユニーク分子バーコード(UID)が、シーケンシングエラー訂正のために使用される。単一の標的分子の子孫全体が同じバーコードで標識され、バーコード化されたファミリーを形成する。バーコード化ファミリーの全てのメンバーによって共有されていない配列内の変動は、アーチファクトして破棄される。ファミリー全体が元の試料中の単一分子を表すので、バーコードは位置重複排除及び標的定量にも使用することができる(Newman,A.,et al.,(2016)Integrated digital error suppression for improved detection of circulating tumor DNA,Nature Biotechnology 34:547)。
本発明のいくつかの実施形態では、バーコード化標的核酸の一方又は両方の末端にライゲーションされたアダプターは、配列決定に使用される1つ以上のバーコードを含む。バーコードは、試料が混合(多重化)される試料の供給源を識別するために使用されるUID又は多重試料ID(MID又はSID)であり得る。バーコードはまた、UIDとMIDとの組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、単一のバーコードが、UID及びMIDの両方として使用される。いくつかの実施形態では、各バーコードは、所定の配列を含む。他の実施形態では、バーコードは、ランダム配列を含む。本発明のいくつかの実施形態では、バーコードは約4~20塩基長であり、したがって、96個~384個の異なるアダプター(それぞれ、同一バーコードの異なる対を有する)が、ヒトゲノム試料に付加される。いくつかの実施形態では、反応におけるUIDの数は、標識されるべき分子の数を超え得る。当業者は、バーコードの数が試料の複雑さ(すなわち、固有の標的分子の予想数)に依存し、各実験に適した数のバーコードを作成することができることを認識するであろう。
いくつかの実施形態では、方法は、試料から核酸を含むライブラリを形成することを含む。ライブラリは、配列決定又は別の種類の検出方法、例えばPCRの準備ができている複数の核酸からなる。ライブラリを保存し、ライブラリ中の核酸の増幅又は配列決定等の更なる処理のために複数回使用することができる。いくつかの実施形態では、ライブラリは、本明細書に記載の方法によってメチル化が検出されるインプット核酸である。他の実施形態では、ライブラリは、本明細書に記載のメチル化検出反応を受けた核酸から形成される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法によるエピジェネティック修飾の検出のために処理された核酸を配列決定する。多くのシーケンシング技術又はシーケンシングアッセイのいずれかを利用できる。本明細書で使用される場合、「次世代シーケンシング(NGS)」という用語は、クローンで増幅された分子及び単一の核酸分子の超並列シーケンシングを可能にする配列決定方法を指す。
本明細書に開示される方法での使用に適した配列アッセイの非限定的な例は、ナノポアシーケンシング(米国特許出願公開第2013/0244340号、第2013/0264207号、第2014/0134616号、第2015/0119259号及び第2015/0337366号)、サンガーシーケンシング、キャピラリーアレイシーケンシング、熱サイクルシーケンシング(Sears et al.,Biotechniques,13:626-633(1992))、固相シーケンシング(Zimmerman et al.,Methods Mol.Cell Biol.,3:39-42(1992))、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF/MS;Fu et al.,Nature Biotech.,16:381-384(1998))等の質量分析によるシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング(Drmanac et al.,Nature Biotech.,16:54-58(1998)、及び限定されないが、合成によるシーケンシング(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)、又はGenome Analyzer、それぞれIlluminaより入手可能)を含むNGS法、ライゲーションによるシーケンシング(例えば、SOLiD(商標)、Life Technologies)、イオン半導体シーケンシング(例えば、Ion Torrent(商標)、Life Technologies)、及びSMRT(登録商標)シーケンシング(例えば、Pacific Biosciences)を含む。
市販のシーケンシング技術は、Affymetrix Inc.(カリフォルニア州サニーベール)のハイブリダイゼーションによるシーケンシングプラットフォーム、Illumina/Solexa(カリフォルニア州サンディエゴ)及びHelicos Biosciences(マサチューセッツ州ケンブリッジ)の合成によるシーケンシングプラットフォーム、Applied Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティ)のライゲーションによるシーケンシングプラットフォームを含む。他のシーケンシング技術は、限定されないが、Ion Torrent技術(ThermoFisher Scientific)、及びナノポアシーケンシング(カリフォルニア州サンタクララのRoche Sequencing SolutionsのGenia Technology)及びOxford Nanopore Technologies(英国オックスフォード)を含む。
いくつかの実施形態では、配列決定工程は、配列アラインメントを伴う。いくつかの実施形態では、アライメントを使用して、複数の配列、例えば、同じユニーク分子ID(UID)を有する複数の配列からコンセンサス配列を決定する。分子IDは、配列決定の前に、又は増幅工程が含まれる場合には増幅工程の前に各分子に付加することができるバーコードである。いくつかの実施形態では、UIDは、RTプライマーの5’部分に存在する。同様に、UIDは、化合物バーコードに追加される最後のバーコードサブユニットの5’末端に存在することができる。他の実施形態では、UIDは、アダプター中に存在し、ライゲーションによって標的核酸の一方又は両方の末端に付加される。
いくつかの実施形態では、コンセンサス配列は、全て同一のUIDを有する複数の配列から決定される。同一のUIDを有する配列決定されたものは、増幅によって同じ元の分子に由来すると推定される。他の実施形態では、UIDは、アーチファクト、すなわち、(特定のUIDによって特徴付けられる)単一分子の子孫に存在する変動を排除するために使用される。PCRエラー又はシーケンシングエラーから生じるこのようなアーチファクトは、UIDを使用して除去され得る。
いくつかの実施形態では、試料中の各配列の数は、同じ多重試料ID(MID)を有する集団の中の各UIDを有する配列の相対数を定量することによって定量することができる。各UIDは、元の試料中の単一の分子を表し、各配列バリアントと会合した異なるUIDを計数することによって、全ての分子が同じMIDを共有する、元の試料中の各配列バリアントの分率を決定し得る。当業者は、コンセンサス配列を決定するために必要な配列読取りの数を決定することができる。いくつかの実施形態では、関連する数は、正確な定量結果のために必要なUID(「配列深度(sequence depth)」)当たりの読出しである。いくつかの実施形態では、所望の深度は、UID当たり5~50読出しである。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるDNAメチル化を検出する改良された方法を行うための構成要素及びツールを含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、in vitroで酸化された5-メチルシトシン(5mC)又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の産物を検出することによって核酸中のシトシンメチル化を検出するための構成要素を含む。いくつかの実施形態では、産物は、5-ホルミルシトシン(5fC)又は5-カルボキシシトシン(5caC)である。他の実施形態では、キットは、5-メチルシトシン(5mC)又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の5-ホルミルシトシン(5fC)又は5-カルボキシシトシン(5caC)へのin vitro酸化を実施するための構成要素を更に含む。
いくつかの実施形態では、キットは、ボラン誘導体及び非水性溶媒を含む。ボラン誘導体は、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン(pic-BH3)、ボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムから選択され、一方、非水性溶媒は、エタノール及びメタノールから選択される。他の実施形態では、キットは、非水性溶媒を含める代わりに、ボラン誘導体と、本明細書に記載のDNAメチル化を検出する方法においてボラン誘導体と共に非水性溶媒(エタノール又はメタノール等)を使用することに関する説明書とを含む。いくつかの実施形態では、キットは有機酸を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の非水性溶媒中のボラン誘導体を含むDNAメチル化を検出する方法において有機酸(酢酸等)を使用することに関する説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、MES又はTRIS等の緩衝液を更に含む。
いくつかの実施形態では、キットは、マロノニトリル及び非水性溶媒を含む。非水溶媒は、エタノール及びメタノールから選択される。他の実施形態では、非水性溶媒を含める代わりに、キットは、本明細書に記載のマロノニトリルによるDNAメチル化を検出する方法における非水性溶媒(エタノール又はメタノール等)の使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、有機酸及び第一級、第二級又は第三級アミンを更に含む。有機酸は酢酸であってもよく、アミンはトリエタノールアミンであってもよい。他の実施形態では、キットは、本明細書に記載のマロノニトリルによるDNAメチル化を検出する方法における有機酸及びアミン(酢酸及びトリエタノールアミン等)の使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、MES又はTRIS等の緩衝液を更に含む。
いくつかの実施形態では、キットは、5-メチルシトシン(5mC)又は5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の5-カルボキシシトシン(5caC)へのin vitro酸化のためのTET酵素を更に含む。いくつかの実施形態では、TETは、マウスTET1、TET2又はTET3(mTET1、2又は3)、ヒトTET1、TET2又はTET3(hTET1、2又は3)、ネグレリア(Naegleria)TET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)(CcTET)から選択される。いくつかの実施形態では、TETは、ネグレリア(Naegleria)TET様オキシゲナーゼ(NgTET1)である。いくつかの実施形態では、TETは、野生型タンパク質である。他の実施形態では、TETは変異タンパク質である。いくつかの実施形態では、キットは、α-ケトグルタル酸及びFe(II)イオン源から選択される1つ以上の補因子を更に含む。
いくつかの実施形態では、TETの代替として、キットには、化学酸化剤、例えば過ルテニウム酸カリウム(KRuO)又はルテニウム酸カリウム(KRuO)が含まれる。
いくつかの実施形態では、キットは、5mCを含む反応を受けないように5hmCを化学的に遮断するための試薬を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、グルコース化合物と、グルコース部分を5hmCの5-ヒドロキシル部分に転移することができるグルコシルトランスフェラーゼとを含む。いくつかの実施形態では、キットはベータ-グルコシルトランスフェラーゼ(BGT)及びUDP-グルコースを含む。いくつかの実施形態では、BGTはT4 BGTである。
いくつかの実施形態では、方法は、患者のゲノム内の1つ以上の遺伝子座のメチル化状態に基づく対象(例えば、患者)の状態の評価を更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、患者の試料において、ゲノム位置、及び任意にゲノム内のメチル化シトシン(5mC及び/又は5hmC)の量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、疾患のバイオマーカーであることが知られている遺伝子座がメチル化について評価される。方法は、患者の疾患又は症状の診断、又は患者から単離された核酸中のメチル化の存在又は量に基づいて処置を選択又は変更することを更に含む。
本明細書に開示される方法を使用してメチル化について評価され得る疾患又は症状特異的メチル化遺伝子座を同定するためのいくつかの方法が存在する(例えば、米国特許出願公開第20200385813号”Systems and methods for estimating cell source fractions using methylation information”;米国特許出願公開第20200239965号”Source of origin deconvolution based on methylation fragments in cell-free DNA samples”;米国特許出願公開第20190287652号”Anomalous fragment detection and classification”(疾患状態を示すメチル化マーカー);米国特許出願公開第20190316209号”Multi-assay prediction model for cancer detection”;米国特許出願公開第20190390257号A1”Tissue-specific methylation marker”;国際公開第2011/070441号”Categorization of DNA samples”;国際公開第2011/101728号”Identification of source of DNA samples”;国際公開第2020/188561号”Methods and systems for detecting methylation changes in DNA samples.”を参照)。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して組織特異的DNAメチル化パターンを検出する方法を含む。この実施形態の一態様では、方法は、試料中に存在するメチル化DNAの起源組織を同定することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、血液から単離された無細胞DNAの起源の組織を同定することを更に含む。この実施形態の別の態様では、本発明は、無細胞DNAのメチル化パターンを使用した移植レシピエントにおける臓器移植拒絶を含む臓器不全又は臓器損傷の検出を含む。本発明は、臓器特異的メチル化パターンを有する循環無細胞DNAを検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は臓器移植拒絶を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、器官特異的メチル化パターンにより無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって移植拒絶を監視することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は臓器移植拒絶を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者又は対象における癌性腫瘍の存在について診断又はスクリーニングする方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を用いた無細胞DNAのメチル化パターンを用いた腫瘍の検出を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して検出される組織又は器官特異的メチル化パターンを用いて循環無細胞DNAを検出することによって、特定の組織又は器官に由来する腫瘍を検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は、その組織又は器官に由来する腫瘍の存在を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、腫瘍特異的メチル化パターンを用いて無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって腫瘍の成長又は縮小を監視することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は腫瘍成長を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は腫瘍縮小を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者又は対象における癌の処置の有効性を監視する方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して検出される無細胞DNAのメチル化パターンを使用する、処置と相関する腫瘍動態の検出を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、組織又は器官特異的メチル化パターンを用いて無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって、特定の組織又は器官に由来する腫瘍に対する処置の効果を検出することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は腫瘍成長及び処置の無効性を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は腫瘍の縮小及び処置の有効性を示し、そのような無細胞DNAの安定なレベルは安定な疾患及び処置の有効性を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、処置後の癌患者における診断方法又は微小残存病変(MRD)を含む。米国国立癌研究所は、患者が疾患の徴候又は症候を有さない場合、処置中又は処置後に体内に残る非常に少数の癌細胞としてMRDを定義する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を用いて検出される無細胞DNAのメチル化パターンを用いてMRDを検出する方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを組織又は器官特異的メチル化パターンで検出することによって、特定の組織又は器官に由来する腫瘍からMRDを検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は、腫瘍からのMRDの存在を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者又は対象における自己免疫疾患の存在又は状態について診断又はスクリーニングする方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して検出される無細胞DNAのメチル化パターンを使用する自己免疫疾患の検出を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを組織又は器官特異的メチル化パターンで検出することによって、特定の組織又は器官への損傷を特徴とする自己免疫疾患を検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は、自己免疫疾患に起因する器官損傷及び自己免疫疾患の存在を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、組織又は器官特異的メチル化パターンを用いて無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって自己免疫疾患の再発又は寛解を監視することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は、器官損傷の増加及び自己免疫疾患の再発を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は、器官損傷の減少及び自己免疫疾患の寛解を示す。
5-メチルシトシン及び5-ヒドロキシメチルシトシン(5mC及び5hmC)は、腫瘍学、出生前検査及び他の分野における多くの臨床応用を有する重要なエピジェネティックバイオマーカーである。最近まで、メチル化の塩基レベル検出は、非メチル化シトシンをバイサルファイトと反応させ、続いてPCR、アレイハイブリダイゼーション又は配列決定を行うことによって達成されていた。非メチル化シトシン(C)は、バイサルファイトと反応した後にチミン(T)として読み取られ、一方、メチル化シトシン(5mC及び5hmC)はCとして読み取られる。残念ながら、バイサルファイト処置は、試料核酸の大部分の分解をもたらし、高感度を必要とする用途には適さない。例えば、無細胞DNA等の無細胞核酸を分析する最新の用途には不向きである。
近年、メチル化シトシンを検出するためのそれほど過酷でない方法が開示されている。Rao et al.(米国特許第9,115,386号)は、10-11転座ジオキシゲナーゼ(TET)のファミリーがin vitroで5mCを5hmCに変換することを発見した。Liu et al.は、Fe(II)イオン及びアルファ-ケトグルタル酸の存在下でTETを使用して、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を介してメチルシトシン(5mC)をホルミルシトシン(5fC)及びカルボキシルシトシン(5caC)に段階的に酸化する方法を開示した。Liu,Y.,et al.(2019)Bisulfite-free direct detection of 5-methylcytosine and 5-hydroxymethylcytosine at base resolution.Nat.Biotechnol.37,424-429.
Liu et al.は、ボラン誘導体(ピリジンボラン、ピコリンボラン等)を使用して5fC(及び5caC)をジヒドロウラシル(DHU)に還元することを更に記載した。その後、DHUは、その後の増幅及び配列決定においてTとしてウラシル耐性核酸ポリメラーゼによって読み取られる。その結果、メチル化されたCはTと読み取られるが、メチル化されていないCは変化しない。TAPS(TET支援ピリジン-ボランシーケンシング)と呼ばれるこのTET及びピリジン-ボランに基づく方法は、バイサルファイト処置ほどDNA分解を引き起こさず、バックグラウンドを差し引いてシグナルを得る代わりにシグナルを直接検出することを可能にする。両方の利点は、より高いアラインメント速度、場合によってはより低いシーケンシング深度を可能にし、試料からより高い分子多様性を回収する。
CAPS(化学的支援ピリジン-ボランシーケンシング)と呼ばれる別の技術は、過ルテニウム酸カリウム(KRuO)を使用した5hmCから5fCへの選択的変換を含む。TETの化学的代替物としてのKRuOの使用は、酸化的バイサルファイトシーケンシング(Oxidative Bisulfite Sequencing)又はoxBS-seqと呼ばれる技術から知られている(Booth M.J.,et al.(2012)Quantitative sequencing of 5-methylcytosine and 5-hydroxymethylcytosine at single base resolution,Science 12 May:934-937を参照)。過ルテニウム酸カリウム変換によって得られた5fCは、例えばボラン処置又は任意の他の下流の方法による更なる処置のための好ましい標的となる。
更に別の配列決定技術は、ボランによる5fCの減少の代替である。この方法は、Tとして認識される5fCの付加物を形成することを含む。付加物は、マロノニトリルを使用して形成される(Zhu C.,et al.,(2017)Single-Cell 5-Formylcytosine Landscapes of Mammalian Early Embryos and ESCs at Single-Base Resolution,Cell Stem Cell,20:720-731.e5を参照)。
上記の方法は全て、少なくとも部分的に、TETファミリー酵素で5hmC及び5 mCを5fCに酸化することに依存する。他の1つの公知の酸化技術は、Cu(II)化合物及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)を用いて5hmCを主に又は排他的に5fCに変換することを含む。
5hmCを排他的に又は主に5fCに酵素酸化するための方法及び組成物が本明細書に開示される。酸化は、特定の条件下でフェノール含有及び非フェノール化合物の酸化を触媒することが以前から知られている酵素であるラッカーゼを用いて触媒される。本発明者らは、驚くべきことに、この酵素が核酸との関連で作用して、5-hmCの5-ヒドロキシル基を5-ホルミル基に変換することを発見した。
本発明の様々な態様を以下で更に詳細に説明する。
いくつかの実施形態では、本発明は、エピジェネティック修飾、具体的には、核酸中のシトシンメチル化を検出する方法である。核酸中のメチル化シトシンを検出する技術水準の方法は、以下の重要な工程を含む:1)メチル化シトシンの酸化工程、2)配列決定中にチミン(T)として読み取ることができる形態への酸化生成物の変換工程、3)核酸を配列決定する工程、4)配列リード中のシトシン(C)からチミン(T)への変化がメチル化シトシンの存在を示した、処置した配列及び未処置配列を比較する工程。本発明は、工程1)メチル化シトシンを酸化する新しい実施手段を含む。酸化工程に続いて、技術水準に従って工程2)~工程4)が実施される。
本発明は、試料からの核酸を操作する方法を含む。いくつかの実施形態では、試料は、対象又は患者に由来する。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、生検によって、対象又は患者に由来する固形組織又は固形腫瘍の断片を含み得る。試料はまた、核酸を含み得る体液(例えば、尿、痰、血清、血液若しくは血液分画、すなわち、血漿、リンパ液、唾液、痰、汗、涙、脳脊髄液、羊水、滑液、心膜液、腹水、胸水、嚢胞液、胆汁、胃液、腸液、又は糞便試料)を含み得る。他の実施形態では、試料は、培養試料、例えば、核酸を単離し得る細胞及び流体を含有する組織培養物である。いくつかの実施形態では、試料中の目的の核酸は、ウイルス、細菌、原虫又は真菌等の感染病原体に由来する。
本発明は、試料から単離又は抽出された、単離された核酸を操作することを含む。核酸変異を検出するための方法が当該技術分野で周知である。(J.Sambrook et al.,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual,” 1989,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York,N.Y.)を参照されたい。生物学的試料から核酸(DNA又はRNA)を抽出するための様々なキット(例えば、KAPA Express Extract(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン))、並びにBD Biosciences Clontech(カリフォルニア州パロアルト)、Epicentre Technologies(ウィスコンシン州マディソン);Gentra Systems(ミネソタ州ミネアポリス);及びQiagen(カリフォルニア州バレンシア)、Ambion(テキサス州オースチン);BioRad Laboratories(カリフォルニア州ハーキュリーズ)から他の同様の製品等が市販されている。
いくつかの実施形態では、例えば国際公開第2019092269号及び国際公開第2020074742号に記載されているように、核酸が抽出され、サイズによって分離され、任意に、エピタコフォレーシスによって濃縮される。
本発明は、核酸中のエピジェネティック修飾を検出することを含む。条件付きエピジェネティック修飾を受ける核酸配列は、本明細書に開示される方法によって分析される標的配列である。同じ核酸配列は、5位(5mC又は5hmC)のシトシンのメチル化を特徴とするエピジェネティック修飾を有してもよく、又は有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、標的核酸のセット又はパネルは、メチル化の存在についてプローブされる。例えば、Patai AV,et al.(2015)Comprehensive DNA Methylation Analysis Reveals a Common Ten-Gene Methylation Signature in Colorectal Adenomas and Carcinomas.PLOS ONE 10(8):e0133836、及びOnwuka,J.U.,et al.(2020)A panel of DNA methylation signature from peripheral blood may predict colorectal cancer susceptibility.BMC Cancer 20,692に示され、メチル化バイオマーカーのパネルにおけるバイオマーカーのメチル化は、患者における結腸直腸癌の存在を示す。したがって、予後診断又は診断目的のためのメチル化バイオマーカーの任意の既知の又は将来のパネルの試験が、本明細書に開示される方法によって想定される。
いくつかの実施形態では、生物のゲノム全体がメチル化の存在についてプローブされる。本発明の方法は、例えば、Shull AY,et al.,(2015)Sequencing the cancer methylome.Methods Mol Biol.1238:627-5に記載される配列分析及び人工知能ツールを使用して、疾患若しくは症状を診断するため、又は疾患若しくは症状に対する素因を診断するため、生物のゲノム全体の全ての部位におけるメチル化を検出することを含む。
いくつかの実施形態では、試料中の5mC及び5hmCを別々に検出又は区別することが望ましい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のラッカーゼで試料を処置することによって、試料中の5hmCのみを検出することが望ましい。他の実施形態では、5mCのみを検出することが望ましい。
一実施形態では、試料の2つのアリコートに対して2つの手順が並行して実行される。並行の一つでは、5hmCは遮断されるが、5mCは、例えば、2021年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/147,307号に記載されているTET及びマロノニトリル手順によって、T当量に変換することによって排他的に検出される。5hmCのブロッキングは、5mCではなく5hmCに存在する反応性ヒドロキシル基を利用する。いくつかの実施形態では、5hmCに付加されるブロッキング基は糖部分である。いくつかの実施形態では、糖部分は、修飾又は非修飾グルコース部分であり、5-グルコシル-ヒドロキシメチルシトシン(5ghmC)が形成される。いくつかの実施形態では、ブロッキング基の付加は、グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、グルコシルトランスフェラーゼ)によって触媒される。いくつかの実施形態では、核酸中の5hmCを、ベータ-グルコシルトランスフェラーゼの存在下で修飾グルコースと反応させる。いくつかの実施形態では、修飾グルコースはUDP-グルコースであり、触媒はバクテリオファージT4ベータ-グルコシルトランスフェラーゼ(T4 BGT)である。
一実施形態では、試料の2つのアリコートに対して2つの手順が並行して実行される。並行の一つでは、5hmCは、本明細書に記載されるようにラッカーゼを使用して5fCに変換され、5fCは、マロノニトリルプロセスを介してTとして検出される。5mCは反応しておらず、Cとして検出される。第2の並行では、例えば、2021年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/147,307号に記載されているTET及びマロノニトリル手順によって、5hmC及び5mCの両方が区別なくTとして検出される。2つの並列手順のうちの第1の並列手順は5hmCを明らかにし、一方、2つの並列手順のうちの第2の並列手順は5hmC+5mCを明らかにする。
いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を5-メチルシトシン(5mC)と区別する方法であって、(i)試料を2つのアリコートに分離することと、(ii)第1のアリコートにおいて、5mC及び5hmCを含む核酸を、5hmC及び5mCが5-ホルミルシトシン(5fC)に変換される条件下で、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼと接触させることと、(iii)第2のアリコートにおいて、5mC及び5hmCを含む核酸を、5hmCが5-ホルミルシトシン(5fC)に変換される条件下でラッカーゼと接触させることと、(iv)両方のアリコートを、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキルカルボン酸エステル、非置換カルボキサミド、C1~C6アルキル一置換及びC1~C6アルキル二置換カルボキサミド、置換カルボニル部分、置換スルホニル部分から選択される電子求引基であり、置換は、C1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C4~C6シクロアルキル、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール及びベンゼン化5員又は6員ヘテロアリールから選択される)の部分と別々に接触させることと、(v)両方のアリコートからの核酸を別々に配列決定して、配列決定中に付加物がチミン(T)として読み取られる第1及び第2の試験配列を得ることと、(vi)第1の試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5hmC及び5mCの存在を示す、第1の試験配列を参照配列と比較すること、(vii)第2の試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への転移が、核酸中の5hmCの存在を示す、第2の試験配列を参照配列と比較することと、(viii)第1の試験配列を第2の試験配列と比較することであって、第1の試験配列のそのようなシトシンのみが、第2の試験配列においてヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)として検出されない5mCである、第1の試験配列を第2の試験配列と比較することと、を含む、方法である。あるいは、両方のアリコートを別々にウィティッヒ試薬と接触させることが可能である。
いくつかの実施形態では、5mC及び5hmCを区別せずに検出することが望ましい。この実施形態では、例えば、米国特許第9,115,386号に記載されているように、5mCをTETと反応させて、本明細書に記載のラッカーゼによって酸化される5hmCを得る。
いくつかの実施形態では、方法は、下流検出のためにメチル化シトシンを酸化する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、ラッカーゼ酵素を用いて5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を5-ホルミルシトシン(5fC)に変換する工程を含む。いくつかの実施形態では、酸化は補因子の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、補因子は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)である。いくつかの実施形態では、酸化は低pH、例えばpH<6で起こる。ラッカーゼは、酸素の水への還元によるリグニンを含むフェノール含有化合物の酸化を触媒し、メディエータの存在により、ベンジルアルコールのような非フェノール化合物の酸化もスキームに従って可能になる。
(Catalysis Communications 2020,135,105887を参照)。
一実施形態では、ラッカーゼ型のオキシドレダクターゼ(EC番号1.10.3.2)が使用される。いくつかの実施形態では、ラッカーゼは真菌源に由来する。いくつかの実施形態では、真菌源は、ヘキサゴニア・テヌイス(Hexagonia tenuis)、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)、アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)、カワラタケ(Trametes versicolor)及びササクレヒトヨタケ種(Coprinus spp.)から選択される。いくつかの実施形態では、真菌源は、ヘキサゴニア・テヌイス(Hexagonia tenuis)、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)MTCC-141、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)MTCC-1801、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)MTCC-1100、アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)MTCC-1171、ササクレヒトヨタケ種(Coprinus spp.)、又はアルコールデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ等の類似若しくは同等の酵素活性を有するその任意の他の類似体若しくは同等物から選択される。いくつかの実施形態では、トルエンメチル-モノオキシゲナーゼ(EC1.14.15.26)及びP450モノオキシゲナーゼ(EC1.14.14.1)が、5mCを5hmCに変換するために使用される。
いくつかの実施形態では、試料を補因子の存在下でラッカーゼと接触させる。いくつかの実施形態では、補因子は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)である。いくつかの実施形態では、補因子は、アセトシリンゴン、シリンガアルデヒド、パラ-クマリン酸から選択されるラッカーゼの天然補因子、及び2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホネート(ABTS)、ビオルル酸(VLA)、N-アセチル-N-フェニルヒドロキシルアミン(NHA)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)、N-ヒドロキシフタルイミド(HPI)のようなN-ヒドロキシ型メディエータから選択されるラッカーゼの合成補因子から選択される(Two decades of laccases:Advancing sustainability in the chemical industry:M.D.Cannatelli,A.J.Ragauskas,Chem.Rec.2017,17(1),122-140.を参照)。
いくつかの実施形態では、この方法は、5hmCをラッカーゼと反応させる前に、TET等の酵素で5mCを5hmCに変換する予備工程を含む。いくつかの実施形態では、TET及びラッカーゼは、同じ簡便な「ワンポット」反応において存在する。いくつかの実施形態では、TET、ラッカーゼ及びマロノニトリルは、同じ簡便な「ワンポット」反応において存在する。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)ヌクレオチドを検出する下流工程を更に含み、5fCは、本明細書において上記で記載される方法によって形成される。いくつかの実施形態では、下流工程は、5fCを含む核酸を含む試料を、溶媒組成物中の式R-CH-CNの化合物を含む改良された組成物と接触させることを含み、化合物は、反応スキームに従って核酸中の5fCと反応して付加物を形成することができ、
式中、Rは、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキルカルボン酸エステル、非置換カルボキサミド、C1~C6アルキル一置換及びC1~C6アルキル二置換カルボキサミド、置換カルボニル部分、置換スルホニル部分から選択される電子求引基であり、置換は、C1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C4~C6シクロアルキル、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール及びベンゾ縮合5員又は6員ヘテロアリールから選択される。上記反応の反応物は、例えば、米国特許第10,519,184号及びYi et al.による米国特許出願公開第20200165661号に記載される。例えば、R1はシアノ基(CN)であり、反応物はマロノニトリルである。あるいは、R1-CH-CN(B.Xia et al.,Nature Methods 2015,12(11),1047-1050を参照)の代わりに1,3-インダンジオン化合物を5fC変換試薬として使用することができる。また、5fCをウィティッヒ試薬と反応させることも可能である。
他の実施形態では、下流工程は、5fCを含む核酸を含む試料を有機溶媒中でウィティッヒ試薬と接触させ、次いで紫外線を照射することを含む。反応の生成物は、国際公開第2020155742号に記載されている蛍光認識技術を使用して検出される。
いくつかの実施形態では、式R-CH-CNの化合物は、反応が3時間未満にわたって進行することを可能にする反応混合物で提供され、少なくとも90%の5fCが、2021年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/147,307号に記載されるような付加物を形成している。いくつかの実施形態では、反応は、1時間のみ進行し、5fCの少なくとも90%が付加物を形成する。いくつかの実施形態では、反応混合物は、有機酸部分を含む。有機酸は、式R-COOHを有し、Rは、C1-C30直鎖又は分岐鎖アルキル、C2~C30直鎖又は分岐鎖アルケニル、C2~C30直鎖又は分岐鎖アルキニル(O及びN等のヘテロ原子を含み得る)、アリール又はヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態では、反応は酢酸の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、反応中の有機酸の濃度は、1%~30%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%である。
いくつかの実施形態では、反応混合物は、非水性溶媒を含む。非水性溶媒は、式R-OHを有し、式中、Rは、C1~C3直鎖又は分岐鎖アルキルから選択され、O及びN等のヘテロ原子を含み得る。いくつかの実施形態では、反応は、メタノール又はエタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、10%~100%メタノール又はエタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、90%以上のメタノール又はエタノール中で行われる。
いくつかの実施形態では、反応混合物は、式RNH(式中、x及びyはx+y=3となるような0、1、2又は3であり、各Rは独立して、O及びNなどのヘテロ原子を任意に含むC1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C6~C10-アリール、又は5員若しくは6員ヘテロアリール等から選択される)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、式RNH の化合物は、脂肪族又は芳香族基を有する第一級、第二級又は第三級アミンである。いくつかの実施形態では、Rxは、Nと共にピペリジン等の5員又は6員環状ヘテロアルキルを形成することができる。いくつかの実施形態では、反応はトリエタノールアミンの存在下で行われる。
付加物の形成に続いて、付加物を有する核酸を配列決定に供する。いくつかの実施形態では、配列決定は次世代の大規模並列シーケンシングプロセスによるものである。配列決定は、付加物がチミン(T)として読み取られる試験配列をもたらす、すなわち、シーケンシングポリメラーゼは、コピーされている鎖に付加物を収容し、付加物の反対側にアデニン(A)を組み込むことができる。方法は、試験配列を参照配列と比較する工程を更に含み、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への変化は、試験核酸中のメチル化及び/又はヒドロキシメチル化シトシンの存在を示す。
いくつかの実施形態では、試料中の核酸は、配列決定の前に増幅される。いくつかの実施形態では、増幅は、マロノニトリル付加物とは反対側のアデニン(A)ヌクレオチドを効率的に組み込むBファミリーポリメラーゼを利用する。この実施形態では、付加物が増幅ポリメラーゼによってTとして既に認識されているため、配列決定プロセスに適した任意のポリメラーゼで配列決定を進めることができる。
いくつかの実施形態では、試料中の核酸はアダプターにライゲートされ、アダプターは増幅及び配列決定において有用なエレメントを含む。アダプターは、バーコード、プライマー結合部位及びライゲーション部位のうちの少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸中のメチル化及び/又はヒドロキシメチル化シトシンヌクレオチドを検出する改良された方法であって、(i)アダプターを試料中の核酸にライゲーションすることであって、アダプターが増幅プライマー結合部位を含む、試料中の拡散にライゲーションすることと、(ii)アダプター連結核酸を含有する試料を、核酸中の5hmCを5fCに変換することができるラッカーゼと接触させることによって反応混合物を形成することと、(iii)反応混合物を、核酸中の5fCと反応して反応スキームに従って付加物を形成することができる式R-CH-CN
(式中、Rは、シアノ、ニトロ、C 1~C 6アルキルカルボン酸エステル、非置換カルボキサミド、C 1~C 6アルキル一置換及びC 1~C 6アルキル二置換カルボキサミド、置換カルボニル部分、置換スルホニル部分から選択される電子求引基であり、置換は、C1~C6直鎖又は分岐鎖アルキル、C4~C6シクロアルキル、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール及びベンゼン化5員又は6員ヘテロアリールから選択される)の化合物と接触させることと、(iv)反応混合物を3時間未満インキュベートすることであって、5fCの少なくとも90%が付加物を形成している、インキュベートすることと、(v)DNAポリメラーゼ及びプライマー結合部位に結合することができるプライマーを利用して適合された核酸を増幅することであって、DNAポリメラーゼが増幅中にチミン(T)として付加物を読み取る、増幅することと、(vi)増幅された核酸を配列決定して試験配列を得ることと、(vii)試験配列を参照配列と比較することであって、参照配列中のシトシン(C)から試験配列中の対応する位置中のチミン(T)への変化が、核酸中の5mC及び/又は5hmCの存在を示す、試験配列を参照配列と比較することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、工程(iii)において、式R-CH-CNの化合物は、非水溶媒、例えばエタノール又はメタノール中に存在する。いくつかの実施形態では、工程(ii)において、反応混合物を、ラッカーゼの補因子、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)等と更に接触させる。いくつかの実施形態では、工程(ii)の前に、試料をTETと接触させて、工程(ii)におけるラッカーゼとの反応のために核酸中の5mCを5hmCに変換する。いくつかの実施形態では、工程(iii)において、式R-CH-CNの化合物は、酢酸等の有機酸を含む溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、工程(iii)において、式R-CH-CNの化合物は、トリエタノールアミン又はピペリジン等のアミンを含む溶液中に存在する。あるいは、工程(iii)においてウィティッヒ試薬を使用することが可能である。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸を増幅する工程を含む。いくつかの実施形態では、増幅は、配列決定工程の前に行われる。いくつかの実施形態では、増幅は、5fCとマロノニトリルとの付加物を形成する工程の後に行われる。いくつかの実施形態では、増幅は、酸化メチル化シトシンをボラン誘導体で還元する工程の後に行われる。いくつかの実施形態では、増幅は標的濃縮工程の前に行われる。増幅は、上流プライマー及び下流プライマーを利用する。いくつかの実施形態では、両方のプライマーは、標的特異的プライマー、すなわち、メチル化バイオマーカーの標的配列に相補的な配列を含むプライマーである。他の実施形態では、一方又は両方のプライマーはユニバーサルプライマーである。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位は、本明細書に記載されるように配列決定された標的にライゲーションされたアダプターに存在する。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位は、標的特異的プライマーの5’領域(尾部)に存在する。したがって、尾部標的特異的プライマーを用いた1回以上のプライマー伸長の後、ユニバーサルプライマーをその後の増幅のために使用することができる。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマーは、(同じ又は異なる配列の)別のユニバーサルプライマーと対になっている。他の実施形態では、ユニバーサルプライマーは、標的特異的プライマーと対にされる。
いくつかの実施形態では、本発明は核酸ポリメラーゼを含む。増幅及び配列決定に使用される核酸ポリメラーゼは公知であり、複数の供給元から市販されている。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のように形成された5fC付加物を含む鎖を複製することを含む。そのような複製は、5fC付加物を収容するポリメラーゼを必要とする。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼはBファミリーポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、付加物をT(すなわち、付加物の反対側にAを組み込むこと)として認識することによって、5fC付加物を含む鎖をコピーすることができる。本明細書に記載の5fC付加物を収容することができるポリメラーゼとしては、DNA鎖にウラシル(U)を収容することが知られているDNAポリメラーゼが挙げられる。ポリメラーゼは、天然に存在するポリメラーゼ又は操作されたポリメラーゼであり得る。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、超好熱性古細菌、例えばパイロコッカス(Pyrococcus属(例えば、(パイロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furious))又はサーマス(Thermus)属(例えば、サーマス・アクアティカスThermus aquaticus))から単離される。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、中等温度好性古細菌(mesophilic archaea)、例えばメタノサルシナ(Metanosarcina)属(例えば、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans))から単離される。操作されたウラシル耐性ポリメラーゼの例としては、KAPA HiFi Uracil+DNAポリメラーゼ(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン)、Takara Terra(Takara Bio USA、カリフォルニア州マウンテンビュー)、及びEpiMark(登録商標)Hot Start Taq DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州ウォルサム)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは、A型DNAポリメラーゼ(DNA依存性DNAポリメラーゼ)である。いくつかのDNAポリメラーゼは、限定された末端トランスフェラーゼ活性を有する(コピー鎖の3’末端に単一のdAを付加するTaqポリメラーゼ)。他のDNAポリメラーゼは、検出可能な末端トランスフェラーゼ活性を有しない。そのような実施形態では、別々の末端トランスフェラーゼ酵素を使用して、非鋳型ヌクレオチドをコピー鎖の3’末端に付加する。
いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは、Hot Startポリメラーゼ又は同様の条件付きで活性化されるポリメラーゼである。増幅工程のために、熱安定性DNAポリメラーゼが使用され、例えば、ポリメラーゼはTaq又はTaq由来ポリメラーゼ(例えば、マサチューセッツ州ウィルミントンのKAPA Biosystems製のKAPA 2Gポリメラーゼ)である。
いくつかの実施形態では、本発明は、核酸又は核酸鎖の一方又は両方の末端に付加されたアダプターを利用する。様々な形状及び機能のアダプターが当技術分野で知られている(例えば、2019年2月28日に出願されたPCT/EP2019/05515、米国特許第8822150号及び米国特許第8455193号を参照)。いくつかの実施形態では、アダプターの機能は、所望のエレメントを核酸に導入することである。アダプター由来エレメントは、核酸バーコード、プライマー結合部位又はライゲーション可能部位のうちの少なくとも1つを含む。
アダプターは、二本鎖、部分的に一本鎖又は一本鎖であり得る。いくつかの実施形態では、Y字形、ヘアピンアダプター又はステムループアダプターが使用され、アダプターの二本鎖部分は、本明細書に記載されるように形成された二本鎖核酸にライゲーションされる。
いくつかの実施形態では、アダプター分子は、in vitro合成人工配列である。他の実施形態では、アダプター分子は、in vitro合成天然配列である。更に他の実施形態では、アダプター分子は、分離した天然分子又は分離した非天然分子である。
二本鎖又は部分的に二本鎖のアダプターオリゴヌクレオチドは、オーバーハング又は平滑末端を有することができる。いくつかの実施形態では、二本鎖DNAは、平滑末端ライゲーションを適用して平滑末端アダプターをライゲーションすることができる平滑末端を含み得る。他の実施形態では、平滑末端DNAはAテイリングを受け、単一のAヌクレオチドが平滑末端に付加されて平滑末端から延びる単一のTヌクレオチドを有するように設計されたアダプターに適合し、DNAとアダプターとの間のライゲーションを容易にする。アダプターライゲーションを行うための市販のキットとしては、AVENIO ctDNA Library Prepキット又はKAPA HyperPrep、及びHyperPlusキット(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン)が挙げられるいくつかの実施形態では、アダプター連結(適応)DNAは、過剰なアダプター及びライゲーションされていないDNAから分離され得る。
いくつかの実施形態では、本発明はバーコードの使用を含む。いくつかの実施形態では、エピジェネティック修飾を検出する方法は、配列決定を含む。本明細書に記載されるようにプロセシングされた核酸は、配列決定、好ましくは、大規模並列単一分子シーケンシングに供される。大規模並列シーケンシングによる個々の分子の分析は、典型的には、試料の同定及びエラー訂正のために別々のレベルのバーコード化を必要とする。米国特許第7,393,665号、同第8,168,385号、同第8,481,292号、同第8,685,678号及び同第8,722,368号に記載されているような分子バーコードの使用。配列決定される各分子にユニーク分子バーコードを付加して、分子及びその子孫をマークする(例えば、元の分子及びPCRによって生成されたそのアンプリコン)。ユニーク分子バーコード(UID)は、試料中の元の標的分子の数のカウント及びエラー訂正を含む複数の用途を有する(Newman,A.,et al.,(2014)An ultrasensitive method for quantitating circulating tumor DNA with broad patient coverage,Nature Medicine doi:10.1038/nm.3519)。
いくつかの実施形態では、ユニーク分子バーコード(UID)が、シーケンシングエラー訂正のために使用される。単一の標的分子の子孫全体が同じバーコードで標識され、バーコード化されたファミリーを形成する。バーコード化ファミリーの全てのメンバーによって共有されていない配列内の変動は、アーチファクトして破棄される。ファミリー全体が元の試料中の単一分子を表すので、バーコードは位置重複排除及び標的定量にも使用することができる(Newman,A.,et al.,(2016)Integrated digital error suppression for improved detection of circulating tumor DNA,Nature Biotechnology 34:547)。
本発明のいくつかの実施形態では、バーコード化標的核酸の一方又は両方の末端にライゲーションされたアダプターは、配列決定に使用される1つ以上のバーコードを含む。バーコードは、試料が混合(多重化)される試料の供給源を識別するために使用されるUID又は多重試料ID(MID又はSID)であり得る。バーコードはまた、UIDとMIDとの組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、単一のバーコードが、UID及びMIDの両方として使用される。いくつかの実施形態では、各バーコードは、所定の配列を含む。他の実施形態では、バーコードは、ランダム配列を含む。本発明のいくつかの実施形態では、バーコードは約4~20塩基長であり、したがって、96個~384個の異なるアダプター(それぞれ、同一バーコードの異なる対を有する)が、ヒトゲノム試料に付加される。いくつかの実施形態では、反応におけるUIDの数は、標識されるべき分子の数を超え得る。当業者は、バーコードの数が試料の複雑さ(すなわち、固有の標的分子の予想数)に依存し、各実験に適した数のバーコードを作成することができることを認識するであろう。
いくつかの実施形態では、方法は、試料から核酸を含むライブラリを形成することを含む。ライブラリは、配列決定又は別の種類の検出方法、例えばPCRの準備ができている複数の核酸からなる。ライブラリを保存し、ライブラリ中の核酸の増幅又は配列決定等の更なる処理のために複数回使用することができる。いくつかの実施形態では、ライブラリは、本明細書に記載の方法によってメチル化が検出されるインプット核酸である。他の実施形態では、ライブラリは、本明細書に記載のメチル化検出反応を受けた核酸から形成される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法によるエピジェネティック修飾の検出のために処理された核酸を配列決定する。多くの配列決定技術又は配列決定アッセイのいずれかを利用できる。本明細書で使用される場合、「次世代シーケンシング(NGS)」という用語は、クローンで増幅された分子及び単一の核酸分子の超並列シーケンシングを可能にする配列決定方法を指す。
本明細書に開示される方法での使用に適した配列アッセイの非限定的な例は、ナノポアシーケンシング(米国特許出願公開第2013/0244340号、第2013/0264207号、第2014/0134616号、第2015/0119259号及び第2015/0337366号)、サンガーシーケンシング、キャピラリーアレイシーケンシング、熱サイクルシーケンシング(Sears et al.,Biotechniques,13:626-633(1992))、固相シーケンシング(Zimmerman et al.,Methods Mol.Cell Biol.,3:39-42(1992))、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF/MS;Fu et al.,Nature Biotech.,16:381-384(1998))等の質量分析によるシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング(Drmanac et al.,Nature Biotech.,16:54-58(1998)、及び限定されないが、合成によるシーケンシング(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)、又はGenome Analyzer、それぞれIlluminaより入手可能)を含むNGS法、ライゲーションによるシーケンシング(例えば、SOLiD(商標)、Life Technologies)、イオン半導体シーケンシング(例えば、Ion Torrent(商標)、Life Technologies)、及びSMRT(登録商標)シーケンシング(例えば、Pacific Biosciences)を含む。
市販のシーケンシング技術は、Affymetrix Inc.(カリフォルニア州サニーベール)のハイブリダイゼーションによるシーケンシングプラットフォーム、Illumina/Solexa(カリフォルニア州サンディエゴ)及びHelicos Biosciences(マサチューセッツ州ケンブリッジ)の合成によるシーケンシングプラットフォーム、Applied Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティ)のライゲーションによるシーケンシングプラットフォームを含む。他のシーケンシング技術は、限定されないが、Ion Torrent技術(ThermoFisher Scientific)、及びナノポアシーケンシング(カリフォルニア州サンタクララのRoche Sequencing SolutionsのGenia Technology)及びOxford Nanopore Technologies(英国オックスフォード)を含む。
いくつかの実施形態では、配列決定工程は、配列アラインメントを伴う。いくつかの実施形態では、アライメントを使用して、複数の配列、例えば、同じユニーク分子ID(UID)を有する複数の配列からコンセンサス配列を決定する。分子IDは、配列決定の前に、又は増幅工程が含まれる場合には増幅工程の前に各分子に付加することができるバーコードである。いくつかの実施形態では、UIDは、RTプライマーの5’部分に存在する。同様に、UIDは、化合物バーコードに追加される最後のバーコードサブユニットの5’末端に存在することができる。他の実施形態では、UIDは、アダプター中に存在し、ライゲーションによって標的核酸の一方又は両方の末端に付加される。
いくつかの実施形態では、コンセンサス配列は、全て同一のUIDを有する複数の配列から決定される。同一のUIDを有する配列は、増幅によって同じ元の分子に由来すると推定される。他の実施形態では、UIDは、アーチファクト、すなわち、(特定のUIDによって特徴付けられる)単一分子の子孫に存在する変動を排除するために使用される。PCRエラー又はシーケンシングエラーから生じるこのようなアーチファクトは、UIDを使用して除去され得る。
いくつかの実施形態では、試料中の各配列の数は、同じ多重試料ID(MID)を有する集団の中の各UIDを有する配列の相対数を定量することによって定量することができる。各UIDは、元の試料中の単一の分子を表し、各配列バリアントと会合した異なるUIDを計数することによって、全ての分子が同じMIDを共有する、元の試料中の各配列バリアントの分率を決定し得る。当業者は、コンセンサス配列を決定するために必要な配列読取りの数を決定することができる。いくつかの実施形態では、関連する数は、正確な定量結果のために必要なUID(「配列深度(sequence depth)」)当たりの読出しである。いくつかの実施形態では、所望の深度はUID当たり5~50読取りである。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるDNAメチル化を検出する改良された方法を行うための構成要素及びツールを含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の5-ホルミルシトシン(5fC)へのin vitro酸化を行うことによって核酸中のシトシンメチル化を検出するための試薬を含む。いくつかの実施形態では、キットは、核酸中の5-ホルミルシトシン(5fC)を検出するための試薬を更に含む。
いくつかの実施形態では、キットはラッカーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態では、ラッカーゼは真菌源に由来する。いくつかの実施形態では、真菌源は、ヘキサゴニア・テヌイス(Hexagonia tenuis)、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)、アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)、カワラタケ(Trametes versicolor)及びササクレヒトヨタケ種(Coprinus spp.)から選択される。いくつかの実施形態では、真菌源は、ヘキサゴニア・テヌイス(Hexagonia tenuis)、ホウビタケ(Pleurotis sajor caju)MTCC-141、ヒラタケ(Pleutoris ostreatus)MTCC-1801、マメザヤタケ(Xylaria polymorpha)MTCC-1100、アラゲカワラタケ(Trametes hirsuta)MTCC-1171、ササクレヒトヨタケ種(Coprinus spp.)又はF.等の類似若しくは同等の酵素活性を有するその任意の他の類似体若しくは同等物から選択される。
いくつかの実施形態では、キットは、ラッカーゼ酸化のための補助因子を更に含む。いくつかの実施形態では、補因子は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、アセトシリンゴン、シリンガアルデヒド、パラクマル酸2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホネート(ABTS)、ビオルル酸(VLA)、N-アセチル-N-フェニルヒドロキシルアミン(NHA)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)、及びN-ヒドロキシフタルイミド(HPI)から選択される。
いくつかの実施形態では、キットは、10-11転座ジオキシゲナーゼ(TET)を更に含む。いくつかの実施形態では、TETは、マウスTET1、TET2若しくはTET3(mTET1、2又は3)、ヒトTET1、TET2若しくはTET3(hTET1、2又は3)、ネグレリア(Naegleria)TET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)(CcTET)、又は類似若しくは同等の酵素活性を有する任意の他の類似体若しくは同等物から選択される。
いくつかの実施形態では、キットはマロノニトリルを更に含む。いくつかの実施形態では、マロノニトリルは、非水性溶媒中に存在する。非水溶媒は、エタノール及びメタノールから選択される。他の実施形態では、非水性溶媒を含める代わりに、キットは、本明細書に記載のマロノニトリルによるDNAメチル化を検出する方法における非水性溶媒(エタノール又はメタノール等)の使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、有機酸及び第一級、第二級又は第三級アミンを更に含む。有機酸は酢酸であってもよく、アミンはトリエタノールアミンであってもよい。他の実施形態では、キットは、本明細書に記載のマロノニトリルによるDNAメチル化を検出する方法における有機酸及びアミン(酢酸及びトリエタノールアミン又はピペリジン等)の使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、MES又はTRIS等の緩衝液を更に含む。
いくつかの実施形態では、キットは、5mCを化学的に反応させながら5hmCを保護することによって、核酸中の5mCを5hmCと区別するための試薬を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、グルコース化合物と、グルコース部分を5hmCの5-ヒドロキシル部分に転移して5-グルコシルヒドロキシメチルシトシン(5ghmC)を形成することができるグルコシルトランスフェラーゼとを含む。いくつかの実施形態では、キットはベータ-グルコシルトランスフェラーゼ(BGT)及びUDP-グルコースを含む。いくつかの実施形態では、BGTはT4 BGTである。
いくつかの実施形態では、方法は、患者のゲノム内の1つ以上の遺伝子座のメチル化状態に基づく対象(例えば、患者)の状態の評価を更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、患者の試料において、ゲノム位置、及び任意にゲノム内のメチル化シトシン(5mC及び/又は5hmC)の量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、疾患のバイオマーカーであることが知られている遺伝子座がメチル化について評価される。方法は、患者の疾患又は症状の診断、又は患者から単離された核酸中のメチル化の存在又は量に基づいて処置を選択又は変更することを更に含む。
本明細書に開示される方法を使用してメチル化について評価され得る疾患又は症状特異的メチル化遺伝子座を同定するためのいくつかの方法が存在する(例えば、米国特許出願公開第20200385813号”Systems and methods for estimating cell source fractions using methylation information”;米国特許出願公開第20200239965号”Source of origin deconvolution based on methylation fragments in cell-free DNA samples”;米国特許出願公開第20190287652号”Anomalous fragment detection and classification”(疾患状態を示すメチル化マーカー);米国特許出願公開第20190316209号”Multi-assay prediction model for cancer detection”;米国特許出願公開第20190390257号A1”Tissue-specific methylation marker”;国際公開第2011/070441号”Categorization of DNA samples”;国際公開第2011/101728号”Identification of source of DNA samples”;国際公開第2020/188561号”Methods and systems for detecting methylation changes in DNA samples.”を参照)。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して組織特異的DNAメチル化パターンを検出する方法を含む。この実施形態の一態様では、方法は、試料中に存在するメチル化DNAの起源組織を同定することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、血液から単離された無細胞DNAの起源の組織を同定することを更に含む。この実施形態の別の態様では、本発明は、無細胞DNAのメチル化パターンを使用した移植レシピエントにおける臓器移植拒絶を含む臓器不全又は臓器損傷の検出を含む。本発明は、臓器特異的メチル化パターンを有する循環無細胞DNAを検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は臓器移植拒絶を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、器官特異的メチル化パターンにより無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって移植拒絶を監視することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は臓器移植拒絶を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者又は対象における癌性腫瘍の存在について診断又はスクリーニングする方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を用いた無細胞DNAのメチル化パターンを用いた腫瘍の検出を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して検出される組織又は器官特異的メチル化パターンを用いて循環無細胞DNAを検出することによって、特定の組織又は器官に由来する腫瘍を検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は、その組織又は器官に由来する腫瘍の存在を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、腫瘍特異的メチル化パターンを用いて無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって腫瘍の成長又は縮小を監視することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は腫瘍成長を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は腫瘍縮小を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者又は対象における癌の処置の有効性を監視する方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して検出される無細胞DNAのメチル化パターンを使用する、処置と相関する腫瘍動態の検出を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、組織又は器官特異的メチル化パターンを用いて無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって、特定の組織又は器官に由来する腫瘍に対する処置の効果を検出することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は腫瘍成長及び処置の無効性を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は腫瘍の縮小及び処置の有効性を示し、そのような無細胞DNAの安定なレベルは安定な疾患及び処置の有効性を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、処置後の癌患者における診断方法又は微小残存病変(MRD)を含む。米国国立癌研究所は、患者が疾患の徴候又は症候を有さない場合、処置中又は処置後に体内に残る非常に少数の癌細胞としてMRDを定義する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を用いて検出される無細胞DNAのメチル化パターンを用いてMRDを検出する方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを組織又は器官特異的メチル化パターンで検出することによって、特定の組織又は器官に由来する腫瘍からMRDを検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は、腫瘍からのMRDの存在を示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、患者又は対象における自己免疫疾患の存在又は状態について診断又はスクリーニングする方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるメチル化検出方法を使用して検出される無細胞DNAのメチル化パターンを使用する自己免疫疾患の検出を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを組織又は器官特異的メチル化パターンで検出することによって、特定の組織又は器官への損傷を特徴とする自己免疫疾患を検出することを含み、そのような無細胞DNAの存在は、自己免疫疾患に起因する器官損傷及び自己免疫疾患の存在を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、循環無細胞DNAを定期的にサンプリングし、組織又は器官特異的メチル化パターンを用いて無細胞DNAのレベルの変化を測定することによって自己免疫疾患の再発又は寛解を監視することを含み、そのような無細胞DNAのレベルの増加は、器官損傷の増加及び自己免疫疾患の再発を示し、一方、そのような無細胞DNAのレベルの減少は、器官損傷の減少及び自己免疫疾患の寛解を示す。
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Selective Enzymic Oxidation of Aromatic Methyl Groups to Aldehydes
本開示のいくつかの実施形態は、試料由来の標的核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を検出する方法であって、(a)標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、(b)工程(a)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、マロノニトリルが5fCを5fC-M付加物に変換し、それにより、1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程、(c)工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成する、工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程、並びに(d)工程(c)の1つ以上のTを含む核酸を配列決定する工程であって、工程(c)の1つ以上のTを含む核酸において、5hmCが標的核酸中に元々存在した位置でTが検出される場合、標的核酸中で5hmCが検出されている、工程(c)の1つ以上のTを含む核酸を配列決定する工程を含む、方法に関する。関連する実施形態では、工程(a)において、標的核酸をラッカーゼと接触させ、工程(a)は22時間未満で行われるか、又は工程(a)は5時間未満で行われるか、又は工程(a)は4時間未満で行われるか、又は工程(a)は3時間未満で行われるか、又は工程(a)は3時間で行われる。関連する実施形態では、工程(a)は25℃前後で行われるか、又は工程(a)は25℃で行われるか、又は工程(a)は37℃前後で行われるか、又は工程(a)は37℃で行われる。別の実施形態では、工程(a)において、標的核酸はCu(II)/TEMPOと接触され、工程(a)は24時間未満で行われるか、又は工程(a)は22時間で行われる。別の実施形態では、工程(b)は60℃前後で行われる。関連する実施形態では、工程(b)は60℃で行われ、及び/又は工程(b)は反応混合物中で行われ、反応混合物は緩衝液を含む。一実施形態では、緩衝液は25mM Trisを含む。別の実施形態では、緩衝液は8前後のpHである。別の実施形態では、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1.5時間接触させる。別の実施形態では、本方法は、工程(a)と工程(b)との間の追加の工程を更に含み、工程(a)と工程(b)との間の追加の工程は、1つ以上の5fCを含む核酸をNaOHと接触させることを含む。関連する実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1時間未満接触させる。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約1時間接触させる。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと30分未満接触させる。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約30分間接触させる。別の実施形態では、工程(c)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態で は、緩衝液は以下の成分を含む:(i)5%ジメチルスルホキシド(DMSO);(ii)0.85Mベタイン;(iii)70mM塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC);(iv)2.1mM dATP;(v)2.25mM MgCl2;及び(vi)15mM硫酸アンモニウム。
本開示の他の実施形態は、試料由来の標的核酸中の5-メチルシトシン(5mC)を検出する方法であって、(a)標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程であって、TETが、5mCを5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に変換し、それにより1つ以上の5hmCを含む核酸を生成する、標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程、(b)工程(a)の1つ以上の5hmCを含む核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5hmCを含む核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、(c)工程(b)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、マロノニトリルが5fCを5fC-マロノニトリル付加物(55fC-M付加物)に変換し、それにより、1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(b)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程、(d)工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成する、工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程、並びに(e)工程(d)の1つ以上のTを含む核酸を配列決定する工程であって、工程(d)の1つ以上のTを含む核酸において、5hmCが標的核酸中に元々存在した位置でTが検出される場合、標的核酸中で5hmCが検出されている、工程(d)の1つ以上のTを含む核酸を配列決定する工程を含む、方法に関する。別の実施形態では、工程(a)は、アミン触媒を含む緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態では、アミン触媒は、2-アミノ-5-メトキシ安息香酸である。別の実施形態では、緩衝液はリン酸ナトリウムを含み、5.2前後のpHを有する。別の実施形態では、アミン触媒は、2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩である。別の実施形態では、緩衝液はTrisを含み、8前後のpHを有する。別の実施形態では、工程(b)において、標的核酸をラッカーゼと接触させる。別の実施形態では、工程(b)は22時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は5時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は4時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は3時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は3時間で行われる。別の実施形態では、工程(b)は25℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(b)は25℃で行われる。別の実施形態では、工程(b)は37℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(b)は37℃で行われる。別の実施形態では、工程(a)及び工程(b)は、単一の工程で組み合わされる。別の実施形態では、工程(a)と工程(b)の組み合わせは、反応混合物中で行われ、反応混合物は緩衝液を含み、緩衝液はTET及びラッカーゼの両方を含む。別の実施形態では、標的核酸をTETと接触させ、TETは5mCを5hmCに変換し、それにより、1つ以上の5hmCを含む核酸を生成し、ラッカーゼが5hmCを5fCに変換し、それにより1つ以上の5fCを含む核酸を生成する。別の実施形態では、工程(b)において、標的核酸はCu(II)/TEMPOと接触される。別の実施形態では、工程(b)は24時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は22時間で行われる。別の実施形態では、工程(c)は60℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(c)は60℃で行われる。別の実施形態では、工程(c)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態では、緩衝液は25mM Trisを含む。別の実施形態では、緩衝液は8前後のpHである。別の実施形態では、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1.5時間接触させる。別の実施形態では、本方法は、工程(b)と工程(c)との間の追加の工程を更に含み、工程(b)と工程(c)との間の追加の工程は、1つ以上の5fCを含む核酸をNaOHと接触させることを含む。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1時間未満接触させる。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約1時間接触させる。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと30分未満接触させる。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約30分間接触させる。別の実施形態では、工程(d)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態で は、緩衝液は以下の成分を含む:(i)5%ジメチルスルホキシド(DMSO);(ii)0.85Mベタイン;(iii)70mM塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC);(iv)2.1mM dATP;(v)2.25mM MgCl2;及び(vi)15mM硫酸アンモニウム。
本開示の他の実施形態は、試料由来の標的核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)をチミン(T)に変換する方法であって、(a)標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、(b)工程(a)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、マロノニトリルが5fCを5fC-M付加物に変換し、それにより、1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程、並びに(c)工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成し、標的核酸中の5hmCがTに変換されている、工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程を含む、方法に関する。別の実施形態では、工程(a)において、標的核酸をラッカーゼと接触させる。別の実施形態では、工程(a)は22時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(a)は5時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(a)は4時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(a)は3時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(a)は3時間で行われる。別の実施形態では、工程(a)は25℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(a)は25℃で行われる。別の実施形態では、工程(a)は37℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(a)は37℃で行われる。別の実施形態では、工程(a)において、標的核酸はCu(II)/TEMPOと接触される。別の実施形態では、工程(a)は24時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(a)は22時間で行われる。別の実施形態では、工程(b)は60℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(b)は60℃で行われる。別の実施形態では、工程(b)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態では、緩衝液は25mM Trisを含む。別の実施形態では、緩衝液は8前後のpHである。別の実施形態では、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1.5時間接触させる。別の実施形態では、本方法は、工程(a)と工程(b)との間の追加の工程を更に含み、工程(a)と工程(b)との間の追加の工程は、1つ以上の5fCを含む核酸をNaOHと接触させることを含む。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1時間未満接触させる。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約1時間接触させる。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと30分未満接触させる。別の実施形態では、工程(b)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約30分間接触させる。別の実施形態では、工程(c)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態で は、緩衝液は以下の成分を含む:(i)5%ジメチルスルホキシド(DMSO);(ii)0.85Mベタイン;(iii)70mM塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC);(iv)2.1mM dATP;(v)2.25mM MgCl2;及び(vi)15mM硫酸アンモニウム。
本開示の他の実施形態は、試料由来の標的核酸中の5-メチルシトシン(5mC)をチミン(T)に変換する方法であって、(a)標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程であって、TETが、5mCを5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に変換し、それにより1つ以上の5hmCを含む核酸を生成する、標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程、(b)工程(a)の1つ以上の5hmCを含む核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5hmCを含む核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、(c)工程(b)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、マロノニトリルが5fCを5fC-マロノニトリル付加物(5fC-M付加物)に変換し、それにより1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(b)の1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと接触させる工程、(d)工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより1つ以上のTを含む核酸を生成し、標的核酸中の5mCがTに変換されている、工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸をポリメラーゼと接触させる工程を含む、方法に関する。別の実施形態では、工程(a)は、アミン触媒を含む緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態では、アミン触媒は、2-アミノ-5-メトキシ安息香酸である。別の実施形態では、緩衝液はリン酸ナトリウムを含み、5.2前後のpHを有する。別の実施形態では、アミン触媒は、2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩である。別の実施形態では、緩衝液はTrisを含み、8前後のpHを有する。別の実施形態では、工程(b)において、標的核酸をラッカーゼと接触させる。別の実施形態では、工程(b)は22時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は5時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は4時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は3時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は3時間で行われる。別の実施形態では、工程(b)は25℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(b)は25℃で行われる。別の実施形態では、工程(b)は37℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(b)は37℃で行われる。別の実施形態では、工程(a)及び工程(b)は、単一の工程で組み合わされる。別の実施形態では、工程(a)と工程(b)の組み合わせは、反応混合物中で行われ、反応混合物は緩衝液を含み、緩衝液はTET及びラッカーゼの両方を含む。別の実施形態では、標的核酸をTETと接触させ、TETは5mCを5hmCに変換し、それにより、1つ以上の5hmCを含む核酸を生成し、ラッカーゼが5hmCを5fCに変換し、それにより1つ以上の5fCを含む核酸を生成する。別の実施形態では、工程(b)において、標的核酸はCu(II)/TEMPOと接触される。別の実施形態では、工程(b)は24時間未満で行われる。別の実施形態では、工程(b)は22時間で行われる。別の実施形態では、工程(c)は60℃前後で行われる。別の実施形態では、工程(c)は60℃で行われる。別の実施形態では、工程(c)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態では、緩衝液は25mM Trisを含む。別の実施形態では、緩衝液は8前後のpHである。別の実施形態では、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1.5時間接触させる。別の実施形態では、本方法は、工程(b)と工程(c)との間の追加の工程を更に含み、工程(b)と工程(c)との間の追加の工程は、1つ以上の5fCを含む核酸をNaOHと接触させることを含む。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと1時間未満接触させる。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約1時間接触させる。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと30分未満接触させる。別の実施形態では、工程(c)において、1つ以上の5fCを含む核酸をマロノニトリルと約30分間接触させる。別の実施形態では、工程(d)は、緩衝液を含む反応混合物中で行われる。別の実施形態で は、緩衝液は以下の成分を含む:(i)5%ジメチルスルホキシド(DMSO);(ii)0.85Mベタイン;(iii)70mM塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC);(iv)2.1mM dATP;(v)2.25mM MgCl2;及び(vi)15mM硫酸アンモニウム。
実施例1.メチル化検出アッセイ(TAPS)におけるピコリン-ボランの共溶媒としてのエタノールの使用。
この実施例では、caCヌクレオチドを有する合成オリゴヌクレオチドを新規条件下でDHUによる還元に供した。2-ピコリンボランを無水エタノール又はメタノール(1mg/5uL、1.87mM)に溶解した。合成オリゴヌクレオチド、TAPS-caC配列番号1(2.7nmol、5’-Phos-CACGTCCAGATCAAT(caC)GACTATGAGCAGTACA)を35uLの酢酸ナトリウム(3M、pH4.3)に溶解し、25uLのピコリンボラン溶液と混合して、最終濃度を790mMにした。得られた濁った溶液を、35Cで3時間振盪するサーモミキサー上に置いた。溶液をDI-水(300uL)で希釈し、HPLC(C18、溶離液:CH3CN/0.1M TEAA;勾配:35分で2~15%CH3CN/0.1M TEAA)により精製して、質量分析計(m/z 9869.43、計算値9869.0)により同定される1.33nmol(49%)のTAPS-DHUを得た。DHU生成物の形成を、30分、60分、180分の期間で反応溶液のアリコート(2uL)を採取することによって監視し、LCMSによって分析した。図1に示す結果は、DHU変換が1時間で完了したことを実証している。
実施例2.メチル化検出アッセイ(TAPS)におけるピコリン-ボランの共溶媒としてのメタノール及び酢酸の使用。
この実施例では、実施例1のオリゴヌクレオチドを、メタノール/酢酸溶液中にピコリン-ボランが存在することを除いて、実施例1に記載の条件下(配列番号1)で使用した。反応物は、1.39nmol TAPS caCオリゴヌクレオチド、10:1 v:v酢酸及び200mM MES pH6中250mMのピクボラン(picborane)を含有していた。本発明者らは、有効ボラン濃度を25mMまで低下させることができ、反応時間を更に1時間まで短縮した。反応の生成物を実施例1に記載のように検出した。結果を図2に示す。
実施例3.メチル化検出アッセイにおける酢酸ナトリウム緩衝液中でのマロノニトリルの使用。
この実施例では、本発明者らは、緩衝液として1M酢酸ナトリウムを使用して、35Cで5時間で5fCオリゴ上に付加物を形成するマロノニトリルの改良されたプロセスを実証する。アッセイを以下のように行った。1nmol(4uL)の5fC含有オリゴ(TAPS-fC:配列番号1 5’-Phos-CACGTCCAGATCAAT(fC)GACTATGAGCAGTACA))を、酢酸ナトリウム(1M、pH8.4)中のマロノニトリル溶液(100mM、50uL)と反応させる。異なるインキュベーション時間での試料のLCMS分析は、TAPS-fCの90%超が35Cで5時間後に消費されたことを示す。結果を図3に示す。TAPS-fCの質量は9894であり、反応生成物の質量は9942である。
実施例4.メチル化検出アッセイにおけるエタノール-TRIS緩衝液中でのマロノニトリルの使用。
この実施例では、本発明者らは、緩衝液としてエタノール/TRISを使用して、35Cで4時間で5fCオリゴ上に付加物を形成するマロノニトリルの改良されたプロセスを実証する。アッセイを以下のように行った。1nmol(4uL)の配列番号1のTAPS-fCオリゴは、エタノール及びTRIS(pH8、20mM、26uL)中のマロノニトリル溶液(200mM、25uL)と反応する。異なるインキュベーション時間での試料のLCMS分析は、37Cで4時間後に5fCの大部分が生成物に変換されたことを示す。結果を図4に示す。TAPS-fCの質量は9894であり、反応生成物の質量は9942である。
実施例5.メチル化検出アッセイにおけるエタノール-トリエチルアミン緩衝液中でのマロノニトリルの使用。
この実施例では、本発明者らは、緩衝液としてエタノール/トリエチルアミンを使用して、35Cで1時間で5fCオリゴ上に付加物を形成するマロノニトリルの改良されたプロセスを実証する。アッセイを以下のように行った。1nmol(4uL)のTAPS-5fCオリゴ(配列番号1)を、エタノール及び1uLのトリエチルアミン中のマロノニトリル溶液(100mM、46uL)と反応させる。異なるインキュベーション時間での試料のLCMS分析。オリゴの90%超が35Cで1時間後に反応した。結果を図5に示す。TAPS-fCの質量は9894であり、反応生成物の質量は9942である。
実施例6.TET及びマロノニトリルを用いた単一チューブメチル化検出アッセイ。
本実施例では、本発明者らは、TETがマロノニトリル中で活性であり、単一チューブメチル化検出反応を可能にすることを実証する。ラムダDNA(非メチル化及びメチル化)をせん断し、アダプターにライゲートしてシーケンシングライブラリを作製した。10ngの非メチル化及びメチル化ライブラリをインプットDNAとして使用した。10nM、100nM又は500nMのmTET2(NEB)又はNgTETを、150mMのマロノニトリルの最終濃度でDNAとインキュベートした。反応物を37Cで20時間インキュベートした。Kapa HiFiポリメラーゼを使用して、試料の4分の1をPCRに直接14サイクル添加した。ライブラリを配列決定し、CpG部位での変換率を図6に示す。変換率0.1%TETなしの対照と比較して0.9%の変換率は、TETがマロノニトリルの存在下で機能することができ、酸化及び付加物形成が単一チューブ内で起こり得ることを示唆している。
実施例7.ラッカーゼ酵素による5hmCの酸化。
この実施例では、5hmCヌクレオチドを有する合成オリゴヌクレオチドをラッカーゼによる酸化に供した。5hmC合成オリゴヌクレオチド(配列番号2)は、配列 5’-ATT ATT TAT TTA TThmC GTA TTA TTT ATT ATT-3’を有していた。150μlの反応混合物は、50nmolのオリゴヌクレオチド、1.6mg(10μmol)の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、2mgのカワラタケ(Trametes versicolor)(Sigma、カタログ番号38429)由来のラッカーゼ、50mMリン酸緩衝液pH5.2を含んでいた。反応を室温で5時間進行させた。第1の対照反応物は、ラッカーゼを除く上記試薬(TEMPOを含む)を全て含んでいた。第2の対照反応物は、ラッカーゼ及びTEMPOを1:1000希釈で添加したことを除いて、全ての上記試薬(ラッカーゼ及びTEMPOを含む)を含んでいた。第3の対照反応物は、配列番号2のオリゴヌクレオチドを除いて上記の試薬を全て含み、5hmCの代わりに5mCを含んでいた:5’-ATT ATT TAT TTA TTmC GTA TTA TTT ATT ATT-3’。
反応混合物を液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)によって分析した。分子量は以下の通りである:
5hmC-9176 Da
5mC-9160 Da
5fC-9174 Da
図7は、反応から生じる9174Daでの5fCピークを示す。LC-MS溶離液からのn-ブチルアミンによる5-ホルミル-dCのイミン形成から生じるアーチファクトに対応する9229Daにおいて追加のピークが観察される(fC+55 Da=9229Da)。ある程度まで、リボース糖のヒドロキシル基(+14 Da)で更なる酸化が起こる。
図8は、5mCとの反応を示さない(5mCピークは9160 Daで不変)。ある程度まで、リボース糖のヒドロキシル基(+14 Da)で酸化が起こる。酵素及び希釈酵素を用いない対照反応は、5hmC出発材料において変化を示さなかった(データは示さず)。
実施例8(仮想例)。5mCを5hmCに酸化した後、5hmCをラッカーゼと反応させる。
5mCを5hmCに変換するため、反応混合物は、3ug TETタンパク質及び2μgのオリゴヌクレオチド基質を50mM HEPES、pH8、50mM NaCl、2mMアスコルビン酸、1mM 2-オキソグルタル酸、100μM硫酸第一アンモニウム(Fe2+)及び1mM DTT中に含有し、Tahiliani et al,(2009)Conversion of 5-Methylcytosine to 5-Hydroxymethylcytosine in Mammalian DNA by MLL Partner TET1,Science 324(5929):930-935.に記載されているように、37℃で3時間インキュベートする。得られた核酸を、例えばSPRIによって精製する。反応混合物のアリコートを、実施例7に記載されるようにラッカーゼと共にインキュベートする。
本発明を特定の実施例を参照して詳細に説明したが、本発明の範囲内で種々の変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された例によって限定されるべきではなく、以下に提示される特許請求の範囲によって限定されるべきである。
実施例9:TET活性を5hmC/5fCに調節するためのアミン緩衝触媒の使用。
アミン緩衝触媒がTET活性を調節して5mCを5hmC/5fCに酸化することができるかどうかを決定するために研究を行った。これを研究するために、5mCを含有する1μgの二重鎖DNAを、特定の緩衝液条件で触媒の存在下又は非存在下、37℃で1時間、3.2μM NgTETで酸化した。一実験では、触媒である2-アミノ-5-メトキシ安息香酸(AMBA)を添加して、リン酸ナトリウムを含有し、pH5.2を有する緩衝液中でTET活性を調節した(結果を図9Aに示す)。図9Aの上のグラフは、AMBAを含まないTETを示し、図9Aの中央のグラフは、5mMのAMBAを含むTETを示し、図9Aの下のグラフは、10 mMのAMBAを含むTETを示す。図9Aは、AMBAが、望ましくない5caC生成物の過度の蓄積なしに、用量依存的に5mCから5hmC/5fCへのTET媒介性酸化を効率的に促進することを示す。別の実験では、触媒である2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩(AMI)を添加して、Trisを含有し、pH8を有する緩衝液中でTET活性を調節した(結果を図9Bに示す)。図9Bの上のグラフは、AMIを含まないTETを示し、図9Bの中央のグラフは、5mMのAMIを含むTETを示し、図9Bの下のグラフは、10 mMのAMIを含むTETを示す。図9Bは、AMIが、望ましくない5caC生成物の過度の蓄積なしに、用量依存的に5mCから5hmC/5fCへのTET媒介性酸化を効率的に促進することを示す。したがって、これらの研究は、緩衝液中のアミン触媒、AMBA及びAMIが、TETの存在下で、5mCから5hmC/5fCへの酸化に有利であることを実証している。
まとめると、これらの研究は、アミン触媒(2-アミノ-5-メトキシ安息香酸(AMBA)及び2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩(AMI)等)が5mCのTET媒介酸化を促進して5hmC種及び5fC種の生成を促進するのに有用であり得るが、5caC種への完全な酸化を妨げることを示唆している。したがって、アミン触媒(2-アミノ-5-メトキシ安息香酸(AMBA)及び2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩(AMI)など)は最終的に有用であり、最終的にチミン生成を促進することによって5mC及び5hmC種を検出するためのワークフローで採用され得る。
実施例10:3時間以内という早期のラッカーゼ酵素による5hmCの酸化による5fC種の検出及び蓄積。
研究は、ラッカーゼ酵素が22時間後に5hmCを5fCに変換することを示す。5fCを22時間より早く/速く検出できるかどうかを決定するために研究を行った。この目的のため、ラッカーゼ(2mgのラッカーゼカワラタケ(Trametes versicolor)(シグマカタログ番号38429)由来)が50nMの5hmC含有オリゴヌクレオチド基質から5hmCを酸化する能力を、1.6mg(10μM)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)及び150μlの50mMリン酸緩衝液(pH5.2)の存在下、2つの異なる温度(25℃及び37℃)で試験した。採用した5hmC含有オリゴヌクレオチドの配列を図10に示す。図10は、5hmCのラッカーゼ酸化によって生成/蓄積された有意な量の5fCが、25℃及び37℃で3時間という早い時間に検出され得ることを示す。
これらの研究は、ラッカーゼが、望ましくない5caCの望ましくない蓄積/変換なしに、25℃及び37℃のいずれかで、3時間以内に5hmCを5fCに変換するのに効率的であることを実証している(図10に示される)。したがって、これらの研究は、ラッカーゼが、その後にチミンに変換され得る5fCへの変換を促進することによって、メチル化種(例えば、5hmC)を検出するための重要な酵素として採用され得ることを示す。
実施例11:5fCから5fC-M付加物への変換におけるマロノニトリル活性の最適化。
5fCを5fC-M付加物に変換する際のマロノニトリル活性を最適化するために、ここで研究を行った。
特に、ここでは、高温が5fCから5fC-M付加物へのマロノニトリル媒介性変換の反応を加速できるかどうかを決定するための研究を行った。当技術分野における以前の研究は、マロノニトリルを採用して5fCを5fC-M付加物に変換できることを実証しているが、これらの研究は、37℃、10mM Tris中、20時間行われた(米国特許第10,519,184号及び米国特許出願公開第2020/0165661号を参照)。高温の影響を評価するために、33μMの5fCを、異なる温度及びインキュベーション時間(40℃で1時間、60℃で1時間、95℃で10分)で、25mM Tris HCl中の100mMマロニニトリルに添加した。結果を図11Aに示す。図11Aは、様々な緩衝液条件下での5fCから5fC-Mへの付加物の変換に対するマロノニトリルの効果のLC-MSデータを示す。図11Aの上のグラフは、40℃で1時間の緩衝液条件を示し、図11Aの中央のグラフは、60℃で1時間の緩衝駅条件を示し、図11Aの下のグラフは、95℃で10分間の緩衝液条件を示す。図11Aは、1時間後の高温(60℃)での5fC-M付加物の劇的な蓄積を示す。図11Aはまた、わずか10分後の高温(95℃)での5fC-M付加物の劇的な蓄積を示す(但し、分解生成物の存在を伴う)。したがって、図11Aは、5fCから5fC-M付加物への変換におけるマロノニトリル活性が高温(60℃)で最適化されることを示しており、これは当該技術分野に対する有意な改良を表す。
別の研究では、5fCから5fC-M付加物への変換のマロノニトリル活性に対する、二本鎖核酸を前変性させるNaOHの効果を評価した。その目的のため、30分間で、過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)(Cu(II)/TEMPO)中のマロノニトリル及びNaOHの存在下で、2つの異なる合成5fCオリゴヌクレオチド(CGA及びCGC)を基質として採用した。5fCを5fC-M付加物に変換する際のマロノニトリル活性を評価し、結果を図11Bに示す。図11Bは、30分するとすぐにNaOHの存在下で有意なマロノニトリル活性を示す。これらの研究は、マロノニトリル活性がNaOH前変性によって増強されることを実証している。
さらに、25mM Tris緩衝液を使用して、pH8、60℃で一本鎖DNA上で短いインキュベーション時間(1.5時間)でもマロノニトリル活性を最適化できる可能性が高い。Tris(例えば、25mM Tris)の量の上昇/増加、及び高温(例えば、50C~60C)では、反応の加速、及びマロニニトリル活性効率の改良がもたらされると考えられる(データは示さず)。さらに、過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)(Cu(II)/TEMPO)成分を添加すると、反応効率を高めることができる可能性もある(データは示さず)。
まとめると、これらの研究は、マロノニトリル活性を以下によって最適化できることを実証している:(i)インキュベーション温度を上昇させること(60℃まで)、(ii)pH8のTris(例えば、25mM Tris)高緩衝液を使用することによって一本鎖DNA上でのインキュベーション時間を短縮すること(1.5時間まで)、(iii)NaOHを使用する前変性工程を採用すること(これは二本鎖DNA上でのインキュベーションを短縮することができる)、並びに(iv)過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)成分を添加すること(反応効率を高めることができる)。したがって、オリゴヌクレオチド試料中のメチル化種を検出する能力は、いくつかの方法でマロノニトリル活性を最適化することによって改良/増強することができる。
実施例12:過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)の最適化。
5hmCから5fCへのCuTEMPO媒介酸化に対するその効果を評価するために、過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)反応条件を最適化するための研究を行った。当技術分野における以前の研究は、Cu(II)/TEMPO反応が室温で48時間もの長時間にわたって起こることを実証した(例えば、Matsushita,et al.,”DNA-friendly Cu(II)/TEMPO-ctalyzed 5-hydroxymethylcytosine-specific oxidation,” Chem.Commun.53:5756-5759(2017を参照)。これらの研究は、Cu(II)/TEMPO反応を22時間に短縮することができるかどうかを評価するために行われた。これを評価するために、以下の試薬を組み合わせた:49μlのHO、10μlのCu(ClO(100mM)、15μlのBiPyr(100mM)、10μlのTEMPO(100mM)、10μlのNaOH(50mM)、及び6μlのhMC(169μM)を、ジメチルアミノエチルヒドラジン(DMAEH)の存在下又は非存在下で(5fCでのみ反応する)、25℃で22時間、500rpmで混合した。結果を図12に示す。図12の上のグラフは、5mCから5hmC/5fCへのCu(II)/TEMPO酸化を示し、図12の下のグラフは、DMAEHを使用した上のグラフからの生成物の誘導体化を示す。
したがって、これらのデータは、過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)反応を22時間に短縮できることを示しており、これは当技術分野に対する改良を表す。
実施例13:5fC-M付加物のチミン(T)への変換についてポリメラーゼ活性を最適化するための緩衝液条件
ポリメラーゼ酵素は、図13Aに示されるように、5fC-M付加物をチミン(T)に変換する工程を媒介する。5fC-M付加物のTへの変換に対する緩衝液の効果を評価するために研究を行った。そのため、標準緩衝液(「緩衝液A」)を最適化緩衝液(「DOE_1」)と比較した。最適化緩衝液DOE_1の成分を図13Bに示す。「CGA」又は「CGC」の状況で精製5fC-M付加物を含有するオリゴヌクレオチドを、標準緩衝液(「緩衝液A」)又は最適化緩衝液(「DOE_1」)中でポリメラーゼを用いて増幅する。図13Cは、標準緩衝液(「BufferA」)及び最適化緩衝液(「DOE_1」)を使用した5fC-M付加物のTへの変換を示すデータを示す。特に、図13Cは、5fC-M付加物のTへの変換が、標準緩衝液と比較して最適化緩衝液(「DOE_1」)で増加/増強されることを示す。実際、図13Cが示すように、「CGA」の場合、最適化された緩衝液(94.12)による変換速度は、標準緩衝液(76.94)による変換速度よりも著しく大きく、「CGC」の場合、最適化された緩衝液(86.28)による変換速度は、標準緩衝液(69.46)による変換速度よりも著しく大きい。したがって、これらの研究は、標準緩衝液と比較して最適化緩衝液の存在下でポリメラーゼ活性が増強されることを実証している。
まとめると、これらの研究は、5fC-M付加物をチミン(T)に変換するポリメラーゼ活性を最適化緩衝液で高めることができることを示す。これは、改良されたポリメラーゼ活性のための改良された緩衝液を使用して、オリゴヌクレオチド試料中のメチル化種を検出するための方法を改良することができることを意味する。

Claims (15)

  1. 試料由来の標的核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を検出するための方法であって、前記方法が、
    (a)前記標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、前記ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、前記標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、
    (b)工程(a)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、前記マロノニトリルが5fCを5fC-M付加物に変換し、それにより、1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程、
    (c)工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、前記ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成する、工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程、並びに
    (d)工程(c)の1つ以上のTを含む前記核酸を配列決定する工程であって、工程(c)の1つ以上のTを含む前記核酸において、5hmCが前記標的核酸中に元々存在した位置でTが検出される場合、前記標的核酸中で5hmCが検出されている、工程(c)の1つ以上のTを含む前記核酸を配列決定する工程
    を含む、方法。
  2. 工程(a)において、前記標的核酸をラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOと接触させる、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)と工程(b)との間に追加の工程を更に含み、工程(a)と工程(b)との間の前記追加の工程が、1つ以上の5fCを含む前記核酸をNaOHと接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 試料由来の標的核酸中の5-メチルシトシン(5mC)を検出するための方法であって、前記方法が、
    (a)前記標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程であって、前記TETが、5mCを5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に変換し、それにより1つ以上の5hmCを含む核酸を生成する、前記標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程、
    (b)工程(a)の1つ以上の5hmCを含む前記核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、前記ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5hmCを含む前記核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、
    (c)工程(b)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、前記マロノニトリルが5fCを5fC-マロノニトリル付加物(55fC-M付加物)に変換し、それにより、1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(b)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程、
    (d)工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、前記ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成する、工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程、並びに
    (e)工程(d)の1つ以上のTを含む核酸を配列決定する工程であって、工程(d)の1つ以上のTを含む前記核酸において、5hmCが前記標的核酸中に元々存在した位置でTが検出される場合、前記標的核酸中で5hmCが検出されている、工程(d)の1つ以上のTを含む核酸を配列決定する工程
    を含む、方法。
  5. 工程(a)が反応混合物中で行われ、前記反応混合物がアミン触媒を含む緩衝液を含み、前記触媒が、好ましくは2-アミノ-5-メトキシ安息香酸又は2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩である、請求項4に記載の方法。
  6. 工程(b)において、前記標的核酸をラッカーゼと接触させる、請求項4に記載の方法。
  7. 工程(a)及び工程(b)が単一の工程で組み合わされ、前記反応混合物が緩衝液を含み、前記緩衝液がTET及びラッカーゼの両方を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(b)において、前記標的核酸をCu(II)/TEMPOと接触させる、請求項4に記載の方法。
  9. 工程(b)と工程(c)との間に追加の工程を更に含み、工程(b)と工程(c)との間の前記追加の工程が、1つ以上の5fCを含む前記核酸をNaOHと接触させることを含む、請求項4に記載の方法。
  10. 試料由来の標的核酸中の5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)をチミン(T)に変換するための方法であって、前記方法が、
    (a)前記標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、前記ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、前記標的核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、
    (b)工程(a)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、前記マロノニトリルが5fCを5fC-M付加物に変換し、それにより1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程、並びに
    (c)工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、前記ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成し、標的核酸中の前記5hmCがTに変換されている、工程(b)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程
    を含む、方法。
  11. 工程(a)において、前記標的核酸をラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOと接触させる、請求項10に記載の方法。
  12. 工程(a)と工程(b)との間に追加の工程を更に含み、工程(a)と工程(b)との間の前記追加の工程が、1つ以上の5fCを含む前記核酸をNaOHと接触させることを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 試料由来の標的核酸中の5-メチルシトシン(5mC)をチミン(T)に変換するための方法であって、前記方法が、
    (a)前記標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程であって、前記TETが、5mCを5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に変換し、それにより1つ以上の5hmCを含む核酸を生成する、前記標的核酸を10-11転座(TET)と接触させる工程、
    (b)工程(a)の1つ以上の5hmCを含む前記核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程であって、前記ラッカーゼ又はCu(II)/TEMPOが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)に変換し、それにより1つ以上の5-ホルミルシトシン(5fC)を含む核酸を生成する、工程(a)の1つ以上の5hmCを含む前記核酸をラッカーゼ又は過塩素酸銅(II)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(Cu(II)/TEMPO)と接触させる工程、
    (c)工程(b)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程であって、前記マロノニトリルが5fCを5fC-マロノニトリル付加物(5fC-M付加物)に変換し、それにより、1つ以上の5fC-M付加物を含む核酸を生成する、工程(b)の1つ以上の5fCを含む前記核酸をマロノニトリルと接触させる工程、
    (d)工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程であって、前記ポリメラーゼが5fC-M付加物をチミン(T)に変換し、それにより、1つ以上のTを含む核酸を生成し、標的核酸中の前記5mCがTに変換されている、工程(c)の1つ以上の5fC-M付加物を含む前記核酸をポリメラーゼと接触させる工程
    を含む、方法。
  14. 工程(a)が反応混合物中で行われ、前記反応混合物が、好ましくは2-アミノ-5-メトキシ安息香酸又は2-(アミノメチル)イミダゾール二塩酸塩であるアミン触媒を含む緩衝液を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 工程(b)において、前記標的核酸をCu(II)/TEMPOと接触させる、請求項13に記載の方法。
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