JP6331121B2 - 光カチオン重合増感剤 - Google Patents
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本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物はカチオン重合増感剤として有用である。本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を光カチオン重合増感剤として含有することにより、光カチオン重合開始剤、光カチオン重合性化合物からなる光カチオン重合性組成物は、波長範囲355nmから420nmの光を含むエネルギー線を照射することにより容易に光カチオン重合させることができる。
本発明の光カチオン重合性組成物に用いる光カチオン重合開始剤としては通常スルホニウム塩またはヨードニウム塩が使用される。スルホニウム塩としては、アリールスルホニウム塩が好ましく、S,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルー4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられ、例えばダウ・ケミカル製、商品名:UVI6992、サンアプロ社製、商品名:CPI−100P、ビー・エー・エス・エフ社製、商品名:イルガキュア270を用いることが出来る(イルガキュアは、ビー・エー・エス・エフ社の登録商標)。一方、ヨードニウム塩としては、アリールヨードニウム塩が好ましく、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−イソプロピルフェニルー4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが挙げられ、例えばビー・エー・エス・エフ社製、商品名:イルガキュア250、ローディア社製、商品名:ロードシル2074(ロードシルは、ローディア社の登録商標)を用いることが出来る。
本発明に使用することができる光カチオン重合性化合物としてはエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族グリシジル化合物である。脂環式エポキシ化合物としては3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル社製、UVR6105、UVR6110、ダイセル社製、セロキサイド2021P、セロキサイドは株式会社ダイセルの登録商標)、1,2−エポキ−4−ビニルシクロヘキサン(ダイセル社製、セロキサイド2000)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられ、この中でも、特に3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを用いることが好ましい。芳香族グリシジル化合物としては2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン等が挙げられる。ビニルエーテル化合物としてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
光カチオン重合性組成物の組成としては、光カチオン重合性化合物の100重量部に対し、光カチオン重合開始剤を0.1重量部以上、10.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以上、5.0重量部以下の範囲で使用する。光カチオン重合性化合物に対する光カチオン重合開始剤の使用量が0.1重量部未満だと、光カチオン重合性組成物を光カチオン重合させたとき、重合速度が遅くなり、一方、光カチオン重合開始剤の使用量が10.0重量部を超えると光カチオン重合性組成物を光カチオン重合させたときに得られる光カチオン重合物の物性が低下するおそれがあるため好ましくない。
本発明の光カチオン重合性組成物には、必要に応じてエポキシ系希釈剤、オキセタン系希釈剤、ビニルエーテル系希釈剤を含有しても良い。
当該光カチオン重合性組成物の重合はフィルム状で行うことも出来るし、塊状に硬化させることも可能である。フィルム状に重合させる場合は、当該光カチオン重合性組成物を液状にし、たとえばポリエステルフィルムなどの基材上に、たとえばバーコーターなどを用いて光カチオン重合性組成物を塗布したのちに、紫外線などの光線を照射して重合させる。
フィルム状に重合させる場合に用いられる基材としてはフィルム、紙、アルミ箔、金属等が主に用いられるが特に限定されない。基材としてのフィルムに用いられる素材としてはポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)等が用いられる。具体的には例えばポリエステルフィルム(東レ株式会社製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)を用いることが出来る。当該ポリエステルフィルムの膜厚は通常100μm未満の膜厚のものを使用する。ポリエステルフィルムの膜厚を調整するために使用するバーコーターは特に指定しないが、膜厚が1μm以上100μm未満に調整できるバーコーターを使用する。
このようにして調製した塗布膜に紫外線などの光線を照射することにより重合させることができる。用いられる光源としては、波長が350〜420nmの紫外線を含む光源を使用することが好ましい。具体的には高圧水銀ランプ、超高圧水銀メタルハライドランプ、ガリウムドープドランプ、マイクロ波励起方式UVランプ(例えばフュージョン(株)製のHバルブ、Dバルブ、Vバルブ)、395nm紫外LEDランプ、385nm紫外LEDランプ、375nm紫外LEDランプ、365nm紫外LEDランプ等が挙げられる。太陽光等の使用も可能である。特に、395nm紫外LEDが好ましい。395nm紫外LEDとしては、たとえば、Phoseonn社製395紫外LEDが挙げられる。
本発明の光カチオン重合性組成物は、当該光カチオン重合性組成物の表面を開放した系でも表面を空気と遮断した系でも重合させることができる。例えば、フィルム状で重合させるときに、本発明の光カチオン重合性組成物を基材に塗布し、塗布面を開放したまま、紫外線などの光線を照射して重合させることもできれば、本発明の光カチオン重合性組成物を酸素不透過性基材に塗布し、その表面に酸素不透過性基材貼合した状態で紫外線などの光線を照射して重合させることもできる。
本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の合成は、次のようにして行われる。すなわち、対応する9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物を塩基化合物の存在下もしくは非存在下、炭酸エステル化剤と反応式1に従って反応させることによって合成できる。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT−NMRSpectorometer
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン4.20g(20.0ミリモル)、クロロ炭酸メチル4.35g(46.0ミリモル)を脱気トルエン65mlに加え、氷水で冷やした。次いで、得られたスラリーに、トリエチルアミン4.65g(46.0ミリモル)を脱気トルエン15mlに溶解した溶液を加えた。析出した塩基の塩酸塩をそのまま0℃で10時間ゆっくり攪拌した。その後、水40mlを加え、良く攪拌して析出物を溶解させ、トルエン、水の二層とした。ついで、トルエン層を抽出して、当該トルエン層を抽出して、当該トルエン層にメタノール50ml加え、減圧濃縮した。析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの白色の微結晶3.70g(11.3ミリモル)を得た。9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は56.8モル%であった。
(2)IR(KBr、cm−1):1760,1440,1246,1172,1003,936, 772.
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=4.00(s,6H),7.51−7.60(m,4H),8.03−8.13(m,4H).
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン4.20g(20.0ミリモル)、クロロ炭酸エチル4.99g(46.0ミリモル)を脱気トルエン70mlに加え、氷水で冷やした。次いで、得られたスラリーにトリエチルアミン4.65g(46.0ミリモル)を脱気トルエン15mlに溶解した溶液を加えた。析出した塩基の塩酸塩をそのまま0℃で8時間ゆっくり攪拌した。その後、水40mlを加え、良く攪拌して析出物を溶解させ、トルエン、水の二層とした。ついで、トルエン層を抽出して、当該トルエン層にメタノール50ml加え、減圧濃縮した。析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセンの白色微結晶4.20g(11.9ミリモル)を得た。9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は59.3モル%であった。
(2)IR(KBr、cm−1):2992,2940,1762,1630,1472,1446,1366,1240,1172,1092,1016,895,766.
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=1.46(t,J=8Hz,6H),4.42(q,J=8Hz,4H),7.50−7.60(m,4H),8.02−8.12(m、4H).
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン4.20g(20.0ミリモル)、クロロ炭酸アリル5.54g(46.0ミリモル)を脱気トルエン60mlに加え、氷水で冷やした。次いで、トリエチルアミン4.65g(46.0ミリモル)を脱気トルエン10mlに溶解した溶液を加えた。析出した塩基の塩酸塩をそのまま0℃で10時間ゆっくり攪拌した。その後、水40mlを加え、良く攪拌して析出物を溶解させ、トルエン、水の二層とした。ついで、トルエン層を抽出して、当該トルエン層にメタノール50ml加え、減圧濃縮した。析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し、9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセンの白色の微結晶2.40g(6.3ミリモル)を得た。9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は31.5モル%であった。
(2)IR(KBr、cm−1):3060,2960,1756,1625,1440,1362,1230,1164,1010,994,948,772,725,610.
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=4.84(d,J=7Hz,4H),5.38(dd、J1=9Hz,J2=2Hz,2H),5.49(dd、J1=17Hz,J2=2Hz,2H),6.0−6.14(m,2H),7.51−7.61(m,4H),8.0−8.11(m,4H).
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.1g(10.0ミリモル)を脱気水15g中リスラリーし、水酸化ナトリウム0.88g(22.0ミリモル)を水3gに溶解した溶液を加えた。しばらくして9,10−ジヒドロキシアントラセンが溶解し、9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウムのエンジ色の水溶液となった。ついで、氷水で冷やしつつ、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム水溶液に、クロロ炭酸n−プロピル2.68g(22.0ミリモル)をトルエン20gに溶解した溶液を添加した。添加後5時間撹拌し、液の色は消えて無色の二層となった。水層をすて、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの薄黄色の結晶2.48g(6.49ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は64.9モル%であった。
(2)IR(KBr、cm−1):3070,2980,2950,1764,1626,1460,1444,1396,1258,1230,1168,1054,996,940,768,730,608.
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.03(d,J=8Hz,6H),1.77−1.89(m,4H),4.32(t,J=8Hz,4H),7.51−7.61(m,4H),8.03−8.10(m,4H).
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.1g(10.0ミリモル)を脱気水15g中リスラリーし、水酸化ナトリウム0.88g(22.0ミリモル)を水3gに溶解した溶液を加えた。しばらくして9,10−ジヒドロキシアントラセンが溶解し、9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウムのエンジ色の水溶液となった。ついで、氷水で冷やしつつ、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム水溶液に、クロロ炭酸i−プロピル2.68g(22.0ミリモル)のトルエン20g溶液を添加した。添加後5時間撹拌し、液の色は消えて無色の二層となった。水層をすて、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの薄黄色の結晶2.87g(7.51ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は75.1モル%であった。
(2)IR(KBr、cm−1):3100,3075,3000,1770,1628,1472,1443,1382,1250,1230,1162,1108,1080,990,916,790,780,770,716,608.
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.45(d,J=8Hz,12H),5.07(q,J=8Hz,2H),7.49−7.59(m,4H),8.00−8.10(m,4H).
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.1g(10.0ミリモル)を脱気水15g中リスラリーし、水酸化ナトリウム0.88g(22.0ミリモル)を水3gに溶解した溶液を加えた。しばらくして9,10−ジヒドロキシアントラセンが溶解し、9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウムのエンジ色の水溶液となった。ついで、氷水で冷やしつつ、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム水溶液に、クロロ炭酸i−ブチル3.00g(22.0ミリモル)をトルエン20gに溶解した溶液を添加した。添加後5時間撹拌し、液の色は消えて無色の二層となった。水層をすて、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの薄黄色の結晶2.60g(6.35ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は63.5モル%であった。
(2)IR(KBr,cm−1):2980、1760、1640、1470、1230、1170、1050、960、770、600
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.01(d、J=7Hz、12H)、2.1(tqq、J=7Hz、2H)、4.14(d、J=7Hz、4H)、7.52−7.57(m、4H)、8.05−8.09(m、4H)
(4)MS−スペクトル:M+=410
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.1g(10.0ミリモル)を脱気水15g中リスラリーし、水酸化ナトリウム0.88g(22.0ミリモル)を水3gに溶解した溶液を加えた。しばらくして9,10−ジヒドロキシアントラセンが溶解し、9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウムのエンジ色の水溶液となった。ついで、氷水で冷やしつつ、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム水溶液に、クロロ炭酸2−エチルヘキシル34.23g(22.0ミリモル)をトルエン20gに溶解した溶液を添加した。添加後5時間撹拌し、液の色は消えて無色の二層となった。水層をすて、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセンの白色の結晶3.16g(6.05ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は60.5モル%であった。
(2)IR(KBr,cm−1):2970、2940、2870、1770、1230、117
0.
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ=0.89−0.95(m、12H)、1.29−1.47(m、16H)、1.72(ddd、J=6Hz、2H)、4.27(d、J=6Hz、4H)、7.54−7.56(m、4H)、8.05−8.08(m、4H)
(4)MS−スペクトル:M+=522
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ(ダウ・ケミカル社製、商品名:UVR6105)100重量部に対し、アリールスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤であるUVI6992を4重量部、光カチオン重合増感剤として、合成例4と同様にして得られた9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン0.8重量部を混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1.0秒であった。
9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.5重量部とした以外は実施例1と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3.0秒であった。
9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.4重量部とした以外は実施例1と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は5.0秒であった。
9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.2重量部とした以外は実施例1と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は13秒であった。
9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.1重量部とした以外は実施例1と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は23秒であった。
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ(ダウ・ケミカル社製、商品名:UVR6105)100重量部に対し、アリールスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤であるUVI6992を4重量部、光カチオン重合増感剤として、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン0.8重量部を混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は2.0秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.5重量部とした以外は実施例6と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は4秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.4重量部とした以外は実施例6と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.0秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.2重量部とした以外は実施例6と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は13秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.1重量部とした以外は実施例6と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は32秒であった。
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ(ダイセル社製、商品名:セロキサイド2021P)100重量部に対し、アリールヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤であるイルガキュア250を2重量部、光カチオン重合増感剤として、合成例6と同様にして得られた9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン0.8重量部を混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.0秒であった。
9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.6重量部とした以外は実施例11と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は7.0秒であった。
9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.4重量部とした以外は実施例11と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は8秒であった。
9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.3重量部とした以外は実施例11と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は19秒であった。
9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.2重量部とした以外は実施例11と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は45秒であった。
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ(ダイセル社製、商品名:セロキサイド2021P)100重量部に対し、アリールヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤であるイルガキュア250を2重量部、光カチオン重合増感剤として、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン0.8重量部を混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は5.0秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.6重量部とした以外は実施例16と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.0秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.4重量部とした以外は実施例16と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は9.0秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.3重量部とした以外は実施例16と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は19秒であった。
9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの添加量を0.2重量部とした以外は実施例16と全く同様にして、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製、商品名:ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseonn社製395紫外LEDを用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は60秒であった。
実施例1の9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例1と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は2.0秒であった。
実施例2の9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例2と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は12秒であった。
実施例3の9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例3と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は28秒であった。
実施例4の9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例4と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は90秒であった。
実施例5の9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例5と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は240秒であった。
実施例11の9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例11と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は7.0秒であった。
実施例12の9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例12と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は12秒であった。
実施例13の9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例13と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は110秒であった。
実施例14の9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例14と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は300秒であった。
実施例15の9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンを9,10−ジブトキシアントラセンに代えたこと以外は実施例15と同様にして、光カチオン重合性組成物を調製し、Phoseonn社製395紫外LEDを照射した。「タック・フリー・タイム」は1000秒であった。
(実施例21)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ(ダイセル社製セロキサイド2021P)100部に対し、光カチオン重合増感剤として合成例6と同様の方法で合成した9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン0.2部を混合し調製した光カチオン重合性組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したもの、二日間保管したもの、四日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.015、二日保管後0.025、四日保管後0.027であった。
光カチオン重合増感剤として9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの代わりに合成例1と同様の方法で合成した9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンを使用すること以外は実施例21と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.010、二日保管後0.020、四日保管後0.020であった。
光カチオン重合増感剤として9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの代わりに合成例4と同様の方法で合成した9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンを使用すること以外は実施例21と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.012、二日保管後0.018、四日保管後0.020であった。
光カチオン重合増感剤として9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの代わりに9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は評価例21と同様に調製した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後0.60、二日保管後0.75、四日保管後0.85であった。
実施例21、22、23及び比較例11の結果を表1に示す。
Claims (7)
- 一般式(1)で示される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光カチオン重合増感剤。
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜8のアルキル基又はアリル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。) - 請求項1記載の光カチオン重合増感剤、光カチオン重合開始剤及び光カチオン重合性化合物を含む光カチオン重合性組成物。
- 光カチオン重合開始剤がアリールヨードニウム塩又はアリールスルホニウム塩である請求項2に記載の光カチオン重合性組成物。
- 光カチオン重合増感剤の添加量が、光カチオン重合性化合物100重量部に対して、0.2重量部以上、0.5重量部以下であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光カチオン重合性組成物。
- 請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の光カチオン重合性組成物に波長範囲355nmから420nmの光を含むエネルギー線を照射することを特徴とする光カチオン重合性組成物の硬化方法。
- 波長が355nmから420nmの光を含むエネルギー線の照射源が、中心波長が365nm、375nm、385nm又は395nmの紫外LEDであることを特徴とする請求項5に記載の硬化方法。
- 請求項5又は6に記載の硬化方法によって硬化することにより得られる硬化物。
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