JP5842566B2 - 10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物、その製造法及びその用途 - Google Patents
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Description
本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、下記一般式(1)に示される化合物である。
−2−メチルアントラセン、9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)−2−エチルアントラセン、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)−2−エチルアントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル) −2−エチルアントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)
−2−エチルアントラセン等が挙げられる。
−2−クロロアントラセン等が挙げられる。
次に本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法について説明する。本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、工業的に入手可能な1,4−ナフトキノン化合物と、9,10−アントラキノン化合物をハイドロサルファイト等と反応させて得られる9−アントロン化合物とから2段の反応で得ることができる。
本発明の光重合開始剤組成物は、光重合増感剤として本発明の一般式(1)又は一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物と、光重合開始剤としてのオニウム塩とを含有する組成物である。オニウム塩としては通常スルホニウム塩またはヨードニウム塩が用いられる。スルホニウム塩としてはS,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサメトキシフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート等が挙げられ、例えばダウ・ケミカル社製UVI6992を用いることができる。一方、ヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサメトキシフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサメトキシアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタメトキシフェニルボレートが挙げられ、例えばチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製イルガキュア250(イルガキュアはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の登録商標)、ローディア社製2074を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用しても構わない。
本発明の光重合性組成物は、本発明の一般式(1)又は一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物と光重合開始剤としてのオニウム塩を含有する光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物又は光ラジカル重合性化合物とを含有する組成物である。
ル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらの光ラジカル重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
本発明の光硬化物は、光重合性組成物に光を照射することにより、得ることができる。光重合性組成物を光硬化させる場合、当該光重合性組成物をフィルム状に成形して光硬化させることもできるし、塊状に成形して光硬化させることもできる。フィルム状に成形して光硬化させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルムなどの基材にバーコーターなどを用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布することができる。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
本発明の光硬化物が光硬化したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)がある。すなわち、光重合性組成物に光を照射すると、硬化して表面のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間を測定することにより、光硬化時間を測定することができる。
本発明の光重合性組成物に含まれる光重合増感剤がフィルム等に移行(マイグレーション)するかどうかを判定する方法としては、光重合増感剤を含む光重合性組成物を薄いフィルム状物に塗布したものを作成し、その上にポリエチレンフィルムを被せて一定温度で一定期間保管し、その後ポリエチレンフィルムを剥がし、光重合増感剤がポリエチレンフィルムに移行しているかを調べ、耐マイグレーション性を判定した。剥がしたポリエチレンフィルムは、アセトンで表面の組成物を洗った後乾燥し、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、光重合増感剤に起因する吸収強度の増大を調べることにより耐マイグレーション性を測定した。なお、当該測定には、紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。比較例の化合物である9,10−ジブトキシアントラセンと量的な比較するために、得られた吸光度を9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度の値に換算した。換算に当たっては、紫外・可視分光光度計により本発明の化合物及び9,10−ジブトキシアントラセンの260nmにおける吸光度を測定し、その吸光度の値とモル濃度からそれぞれのモル吸光係数を計算し、その比をもちいて換算した。
K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX
FT NMR Spectorometer
温度計、攪拌機付きの100ml三口フラスコ中に9−アントロン3.88g(20.0ミリモル)、1,4−ナフトキノン2.95g(18.7ミリモル)、p−トルエンスルホン酸60mgを仕込み、トルエン14g加えた後、窒素置換し、105℃のオイルバスに50分間浸漬した。加熱により一旦均一な溶液となった後結晶が析出した。析出した結晶を濾別して10gのアセトン中リスラリーし、濾別・乾燥して淡黄白色の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン4.96g(14.1ミリモル)を得た。原料1,4−ナフトキノンに対する収率は75モル%であった。
(1)融点:191−193℃
(2)IR(KBr,cm−1):3450,3350,1646,1604,1460,1336,1282,1160,1072,938,760,710,695.
(3)1H−NMR(270MHz,CDCl3):δ=5.94(s,1H),6.46(s,1H),7.42−7.51(m,4H),7.51−7.58(m,4H),8.20(s,1H),8.26−8.34(m,4H).
(実施例1)9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの合成(化合物A)
温度計、攪拌機付きの100mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド20gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、ジメチル硫酸8.55g(50ミリモル)を加えた。次に、得られた茶色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水15ml溶液を加えた。すると、該スラリーは直ちに溶けて赤黒い溶液となった。引き続き、該溶液を2時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿物が生成した。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(Mw394)の薄赤い粉末3.7g(9,4ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は94モル%であった。
(1)融点:175−177℃
(2)IR(KBr,cm−1):3070,2960,2950,2840,1624,1598,1460,1400,1290,1113,1102,1092,1035,1008,965,772,720.
(3)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.42(1H,d,J=8Hz),8.38(2H,d,J=8Hz),8.22(1H,d,J=8Hz),7.76(2H,d,J=9Hz),7.59−7.67(m,2H),7.51(2H,t,J=8Hz),7.38(2H,t,8Hz),6.70(1H,s),4.25(3H,s),3.81(3H,s),3.29(3H,s).
温度計、攪拌機付きの100mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、ジエチル硫酸6.15g(40ミリモル)を加えた。次に、得られた茶色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水15ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。引き続き、2時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿物が生成した。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(Mw492)の薄赤い粉末3.3g(7.6ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は76モル%であった。
(1)融点:76−77℃
(2)IR(KBr,cm−1):3090,2980,2930,2880,1622,1596,1412,1398,1352,1261,1211,1162,1123,1090,1021,908,770,678.
(3)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.35−8.43(3H,m),8.23(1H,d,J=8Hz),7.76(2H,d,J=9Hz),7.57−7.66(2H,m),7.49(2H,t,J=8Hz),7.37(2H,t,8Hz),6.70(1H,s),4.37(2H,q,J=7Hz),4.10(2H,q,J=7Hz),3.39(2H,q,J=7Hz)),1.70(3H,t,J=7Hz),1.48(3H,t,J=7Hz),0.71(3H,t,J=7Hz).
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド20gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、臭化−n−プロピル6.25g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水10ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに7時間攪拌し、多量の沈殿が出たところで、酸性水中に該溶液を投入し、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(Mw478)の灰黄土色の粉末を3.9g(8.2ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は82モル%であった。
(1)融点:136−138℃
(2)IR(KBr,cm−1):3060,2970,2945,2840,1622,1596,1460,1418,1362,1340,1261,1211,1163,1098,1080,1030,971,771,682.
(3)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.35−8.45(3H,m),8.22(1H,d,J=9Hz),7.77(2H,d,J=9Hz),7.56−7.63(2H,m),7.47(2H,t,J=8Hz),7.35(2H,t,8Hz),6.74(1H,s),4.24(2H,t,J=7Hz),4.00(2H,t,J=8Hz),3.32(2H,t,J=8Hz)),2.06−2.18(2H,m),1.86−1.96(2H,m),1.25(3H,t,J=8Hz),1.05−1.16(5H,m),0.04(3H,t,J=8Hz)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、臭化−n−ブチル6.85g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水10ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに5時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿が生じた。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(Mw520)の灰黄土色の粉末3.9g(7.5ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は75モル%であった。
(1)融点:105−106℃
(2)IR(KBr,cm−1):3060,2960,2940,2876,1622,1596,1461,1415,1360,1339,1262,1208,1120,1098,1093,1020,946,774,680.
(3)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.34−8.44(3H,m),8.21(1H,d,J=9Hz),7.76(2H,d,J=9Hz),7.55−7.64(2H,m),7.46(2H,t,J=8Hz),7.34(2H,t,8Hz),6.74(1H,s),4.27(2H,t,J=8Hz),4.03(2H,t,J=8Hz),3.36(2H,t,J=8Hz)),2.04−2.16(2H,m),1.81−1.91(2H,m),1.70−1.80(2H,m),1.50−1.61(2H,m),1.02−1.12(H,m),1.10(3H,t,J=8Hz),0.98(3H,t,J=8Hz),0.3−0.4(2H,m),0.24(3H,t,J=8Hz)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン 3.52g(10ミリモル)、臭化−i−ブチル6.80g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水13ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに8時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿が生じた。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(Mw520)の灰黄土色の粉末3.7g(7.1ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は71モル%であった。
(1)融点:98―100℃
(2)IR(KBr,cm−1):3014,3060,2960,2930,2875,1622,1596,1470,1416,1381,1368,1318,1262,1214,1161,1098,1082,1002,988,772.
(3)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.40−8.45(1H,m),8.38(2H,d,J=9Hz),8.20(1H,d,J=9Hz),7.74(2H,d,J=9Hz),7.57−7.64(2H,m),7.48(2H,t,J=8Hz),7.36(2H,t,8Hz),6.74(1H,s),4.01(2H,t,J=8Hz),3.81(2H,t,J=8Hz),3.15(2H,t,J=8Hz)),2.41−2.55(1H,m),2.16−2.28(1H,m),1.30−1.42(1H,m),1.31(3H,t,J=8Hz),1.09(3H,t,J=8Hz),0.15(3H,t,J=8Hz)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、臭化ベンジル8.55g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水15ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに4時間攪拌し、泥状物が生成したところで、酸性水中に該混合物を投入し、水あめ状物を沈殿させた。次いで、該水あめ状物を十分水洗いし、乾燥して9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン(Mw508)のカーキ色水飴状物4.9g(9,7ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は97モル%であった。
(1)融点:室温で液状
(2)IR(neat,cm−1):3074,3040,2930,2880,1624,1600,1500,1460,1412,1360,1340,1290,1266,1235,1164,1094,1032,1000,772,736,700,611.
(3)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.46−8.52(1H,m),8.41(2H,d,J=8Hz),8.20−8.28(1H,m),7.80(2H,d,J=8Hz),7.70(2H,t,J=8Hz),7.61(2H,t,J=8Hz),7.43−7.54(6H,m),7.43(2H,m),7.28−7.42(6H,m),6.50(1H,s),5.31(2H,s),5.19(2H,s),4.38(2H,s)
(実施例7)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に、光重合開始剤としてヨードニウム塩(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア250)2部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合して得た光重合開始剤組成物を添加し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該光重合性組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該光重合性組成物を膜厚30ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムで覆い、その表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて窒素雰囲気下、光照射することにより光硬化物を得た。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該光重合性組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は12秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは12秒であった。
光重合増感剤としての9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例3と同様の方法で合成した9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物C)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは11秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例4と同様の方法で合成した9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物D)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは10秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例5と同様の方法で合成した9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは11秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例6と同様の方法で合成した9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物F)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは14秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンを添加しない以外は実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間しかし、当該組成物は10分照射後しても硬化しなかった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)を添加した以外は実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは13秒であった。
(実施例13)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に、光重合開始剤としてスルホニウム塩(ダウ・ケミカル社製UVI−6992)4部、光重合増感剤として実施例2で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン1.0部(化合物B)を混合して得た光重合開始剤組成物を添加し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該当該組成物を膜厚30ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムで覆い、その表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて窒素雰囲気下、光照射することにより光硬化物を得た。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は27秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例3と同様の方法で合成した9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物C)1.0部を用いること以外は、実施例11と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは26秒であった。
光重合増感剤としての9−エトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンを添加しない以外は実施例13と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間しかし、当該組成物は10分照射後しても硬化しなかった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)1.0部を添加した以外は実施例13と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは27秒であった。
(実施例15)
光ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート100部、光重合開始剤としてヨードニウム塩(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア250)2部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該当該組成物を膜厚30ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムで覆い、その表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて窒素雰囲気下、光照射することにより光硬化物を得た。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)1.0部を用いること以外は、実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは1.5秒であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例5と同様の方法で合成した9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i-ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)1.0部を用いること以外は、実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは2秒であった。
光重合増感剤としての9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンを添加しない以外は実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間しかし、当該組成物は10分照射後しても硬化しなかった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)1.0部を添加した以外は実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは2秒であった。
(実施例18)エポキシ光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合し調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したものと二日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.016、二日保管後0.016であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)を使用すること以外は実施例18と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.008、二日保管後0.008であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例5と同様の方法で合成した9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)を使用すること以外は実施例18と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.032、二日保管後0.040であった。
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)を使用すること以外は実施例18と同様に調製した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後0.61、二日保管後0.60であった。
(実施例21)
光ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート100部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合し調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したものと二日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い、乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.068、二日保管後0.074であった。
9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)を使用すること以外は実施例21と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.040、二日保管後0.045であった。
9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)を使用すること以外は実施例21と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、得られた9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後1.10、二日保管後1.08であった。
(実施例23)
実施例8において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)に起因する405nmの吸収強度を測定した。その結果、30分間加熱した後でも、当該吸収強度に変化は認められず、添加した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンは昇華していないことが判明した。したがって、昇華率は0%であった。
実施例16において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)に起因する405nmの吸収強度を測定した。その結果、30分間加熱した後でも、当該吸収強度に変化は認められず、添加した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンは昇華していないことが判明した。したがって、昇華率は0%であった。
比較例2において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)に起因する405nmの吸収強度の変化を昇華の指標として測定した。その結果、30分間加熱した後、当該吸収強度は34%減少した。したがって、昇華率は34%であった。
比較例6において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)に起因する405nmの吸収強度の変化を昇華の指標として測定した。その結果、30分間加熱した後、当該吸収強度は41%減少した。したがって、昇華率は41%であった。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物。
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。) - 下記一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物。
(一般式(2)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。) - 下記一般式(3)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンをエーテル化することからなる、請求項1に記載の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法。
(一般式(3)において、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜
8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
- 下記一般式(4)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンをエーテル化することからなる、請求項2に記載の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法。
アルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
- 下記一般式(1)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を含有する光重合増感剤。
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。) - 下記一般式(2)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を含有する光重合増感剤。
(一般式(2)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。) - 請求項5又は6に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤としてオニウム塩とを含有する光重合開始剤組成物。
- 請求項7に記載の光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物とを含有する光重合性組成物。
- 請求項7に記載の光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物とを含有する光重合性組成物。
- 請求項8又は9に記載の光重合性組成物を硬化してなる光硬化物。
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