JP5842566B2 - 10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物、その製造法及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物、その製造法及び光重合増感剤としての用途に関する。
紫外線や可視光線等の活性エネルギー線により重合する光硬化性樹脂は、硬化が速く、熱硬化性樹脂に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。従来の光硬化性樹脂はそれ自体では重合開始機能が乏しく、硬化させるには通常、光重合開始剤を用いる必要がある。光重合開始剤として、ヒドロキシアセトフェノンやベンゾフェノン等のアルキルフェノン系重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤又はオニウム塩などが用いられる(特許文献1,2,3)。これら光重合開始剤の内でオニウム塩系開始剤を用いる場合、オニウム塩の光吸収は225nm〜350nm付近にあり、350nm以上には吸収を持たないため、350nm以上の長波長のランプを光源とした場合、光硬化反応が進行しにくいなどの問題があり、光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、アントラセン、チオキサントン化合物が知られており、色目の問題などで、特にアントラセン化合物が用いられることが多い(特許文献4)。
アントラセン系の光重合増感剤としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が用いられている。例えば、光重合における光重合開始剤であるヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセンなどの9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献5、6、7、8)。
しかしながら、従来から使用されている光重合増感剤は、光重合性組成物を硬化した後、ポストベーク(熱処理)したときにしばしば昇華物が発生し、それが排気ダクト等に付着し、さらに付着した昇華物がフィルムなどの硬化物上に降りかかる等のトラブルを引き起こすことがある。また、プリベーク(溶媒蒸発操作)工程がある場合は、そのプリベーク工程で光重合増感剤が昇華等で系外に流出することにより、光硬化時の光重合増感剤の濃度が不足して、光硬化が不十分となる場合もある。
さらに、フィルムとフィルムを接着する光接着剤の一成分としてこれらの光重合増感剤を使用する場合、光重合増感剤が上部に被せたフィルムに移行する(マイグレーション)ことがあり、上部フィルム上に増感剤の粉吹きや着色の問題を引き起こす場合もある。
一方、本発明の化合物と類似の構造を持つ10−[1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2−ナフチル]−9−アントリル(メタ)アクリレート化合物が有用な高屈折率化合物として開示されている(特許文献9)。しかし、本発明の化合物とは置換基が異なるうえ、用途も高屈折率ポリマーを製造するためのモノマーとして開示されており、光重合増感剤としての用途の記載もその効果の示唆もない。
特開平06−345614号公報 特開平07−062010号公報 特開平05−249606号公報 特開平10−195117号公報 特開2002−302507号公報 特開平11−279212号公報 特開2000−344704号公報 WO2007/126066号公報 特開2011−84476号公報
そこで、保存時にマイグレーションが起きにくく、かつベーキング工程において昇華物が発生しにくい光重合増感剤の開発が望まれている。
本発明者は、アントラセン化合物の構造と物性に関してさらに鋭意検討した結果、本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物が、光カチオン重合及び光ラジカル重合において光重合増感剤として優れた効果をしめすのみならず、当該10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物の上にフィルムを被せた場合でもマイグレーションなどを起こし難くなること、又ベーキング工程で加熱しても昇華しにくいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、下記一般式(1)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物に存する。
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
本発明の第2の要旨は、下記一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物に存する。
(一般式(2)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
本発明の第3の要旨は、一般式(3)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンをエーテル化することからなる、上記一般式(1)に記載の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造法に存する。
(一般式(3)において、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
本発明の第4の要旨は、下記一般式(4)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンをエーテル化することからなる、上記一般式(2)に記載の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法に存する。
(一般式(4)において、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
本発明の第5の要旨は、下記一般式(1)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を含有する光重合増感剤に存する。
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
本発明の第6の要旨は、下記一般式(2)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を含有する光重合増感剤に存する。
(一般式(2)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
本発明の第7の要旨は、第5の要旨又は第6の要旨に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤としてオニウム塩とを含有する光重合開始剤組成物に存する。
本発明の第8の要旨は、第7の要旨に記載の光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物とを含有する光重合性組成物に存する。
本発明の第9の要旨は、第7の要旨に記載の光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物とを含有する光重合性組成物に存する。
本発明の第10の要旨は、第8の要旨又は第9の要旨に記載の光重合性組成物を硬化してなる光硬化物に存する。
なお、本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物における置換基の場所を示すアントラセン環とナフタレン環のそれぞれの位置番号は下記の通りである。
本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、光重合反応において光重合増感剤としての効果を有するだけでなく、本発明の化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物の上にフィルムを被せた場合、本発明の化合物の被覆フィルムに対するマイグレーションの程度は低く、更に、本発明で得られた光硬化物は、加熱処理過程において、光硬化物に含まれる本発明の光重合増感剤の昇華性がきわめて低いという有用な化合物である。
(化合物)
本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、下記一般式(1)に示される化合物である。
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
一般式(1)において、Rで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基又は2−エチルヘキシル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
一般式(1)において、X、Y又はZで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基又は2−エチルヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子等が挙げられる。なお、後述の一般式(2)、(3)、(4)におけるそれぞれのR、Y、Zの具体例、及び一般式(3)におけるXの具体例は、一般式(1)におけるこれらの具体例と同様である。
本発明の一般式(1)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物において、Xが水素原子である化合物が、一般式(2)の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物となる。
そこでまず、一般式(2)の化合物の具体例を示す。まず一般式(2)において、Y及びZが水素原子である場合としては、例えば、9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)アントラセン等が挙げられる。
次に、Yがアルキル基であり、Zが水素原子である場合としては、例えば、9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)−2−メチルアントラセン、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)−2−メチルアントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−メチルアントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル) −2−メチルアントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)
−2−メチルアントラセン、9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)−2−エチルアントラセン、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)−2−エチルアントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−エチルアントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル) −2−エチルアントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)
−2−エチルアントラセン等が挙げられる。
更に、Yがハロゲン原子であり、Zが水素原子である場合としては、例えば、9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)−2−クロロアントラセン、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)−2−クロロアントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル] −2−クロロアントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル) −2−クロロアントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)
−2−クロロアントラセン等が挙げられる。
次に、一般式(1)において、Xが水素原子以外の化合物、すなわち、一般式(2)に該当する化合物以外の化合物の具体例を示す。まず、Xがアルキル基であり、Y及びZが水素原子である場合としては、例えば、9−メトキシ−10−(3−メチル−1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−エトキシ−10−(3−メチル−1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[3−メチル−1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(3−メチル−1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(3−メチル−1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−メトキシ−10−(3−エチル−1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−エトキシ−10−(3−エチル−1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−(n−プロポキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[3−エチル−1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(3−エチル−1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(3−エチル−1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)アントラセン等が挙げられる。
また、Xがハロゲン原子であり、Y及びZが水素原子である場合としては、例えば、9−メトキシ−10−(3−クロロ−1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−エトキシ−9−(3−クロロ−1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン、10−(n−プロポキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−プロポキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(i−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ブトキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(i−ブトキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(n−ペンチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(n−ヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)−10−[3−クロロ−1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ナフチル]アントラセン、]、9−ベンジルオキシ−10−(3−クロロ−1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン、9−フェネチルオキシ−10−(3−クロロ−1,4−ジフェネチルオキシ−2−ナフチル)アントラセン等が挙げられる。
これら一般式(1)、一般式(2)の具体例として示した化合物の中でも、下記構造式の9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)、9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物C)、9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物D)、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)、9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物F)が、合成が容易で、かつ光重合増感剤としての効果も高く好ましい。
(製造方法)
次に本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法について説明する。本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、工業的に入手可能な1,4−ナフトキノン化合物と、9,10−アントラキノン化合物をハイドロサルファイト等と反応させて得られる9−アントロン化合物とから2段の反応で得ることができる。
まず、1,4−ナフトキノン化合物と9−アントロン化合物を酸の存在下で反応させることにより一般式(3)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を得る(第一反応)。ここで、2位及び3位が水素原子の1,4−ナフトキノン化合物を用いると一般式(4)の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を得ることができる(第二反応)。
(上記第一反応式において、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
第一反応において、Xが水素原子の1,4−ナフトキノン化合物を用いると、下記第二反応に示すように、一般式(4)の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を得ることができる。
(上記第二反応式において、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
第一反応では、アントロン化合物が二量化する反応が副反応として起こるが、Xが水素原子である第二反応では、付加反応が優先し、目的とする10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物が収率よく得られる。一般に、アントロン化合物の二量化生成物であるビアントロニル化合物と、付加反応物である一般式(3)の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物との混合物として得られた場合でも、再結晶処理やカラム処理等で目的とする一般式(3)の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を単離することができる。
次に、一般式(3)で示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を塩基性化合物の存在下、エーテル化剤を用いてエーテル化することにより、一般式(1)に示す10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物が得られる(第三反応)。
(上記第三反応式において、Rは炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
第三反応において、Xが水素原子の場合、下記第四反応に示すように、一般式(2)に示す10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物が得られる。
(上記第四反応式において、Rは炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
先ず、第一反応及び第二反応について説明する。第一反応に用いられるナフトキノン化合物としては、例えば次のものが挙げられる。すなわち、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2−エチル−1,4−ナフトキノン、2−クロロ−1,4−ナフトキノン等である。このうちナフトキノン化合物として1,4−ナフトキノンを用いた場合は、第二反応となる。
第一反応及び第二反応に用いられるアントロン化合物としては、例えば次の化合物が挙げられる。すなわち、9−アントロン、2−メチル−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、2−クロロ−9−アントロン、3−メチル−9−アントロン、3−エチル−9−アントロン、3−クロロ−9−アントロン等である。
アントロン化合物は、例えば、特開平8−217719号公報に記載されているように、アントラキノン化合物をハイドロサルファイト等で還元することにより得ることができる。
第一反応及び第二反応に用いられる酸としては、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、硫酸、塩酸等の無機酸等が挙げられる。これらの中でも、p−トルエンスルホン酸が、反応操作上取り扱いが容易なことから好ましい。
第一反応及び第二反応は通常溶媒の存在下で行われる。使用する溶媒としては、使用する酸と反応しなければよく、通常、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジクロルメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒が用いられる。反応操作上取り扱いが容易なことから特に好ましいのはトルエンである。
第一反応及び第二反応において、1,4−ナフトキノン化合物の添加量は、9−アントロン化合物に対して1.0モル倍未満、好ましくは0.8モル倍程度が望ましい。1,4−ナフトキノンを9−アントロン化合物に対して1.0モル倍以上添加すると、生成物の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物と未反応のナフトキノンがキンヒドロン化合物を作るため、黒色の結晶が生成し、その後の精製が困難となる場合があるため、好ましくない。
第一反応及び第二反応の反応温度は、80℃以上、140℃未満が望ましい。当該温度範囲が実用的な反応速度を得るために好ましく、140℃以上の温度では副反応による副生物が増加する傾向にある。特に好ましくは100℃以上、120℃未満である。反応時間は反応温度によるが、通常0.5時間から2時間である。また、溶媒としてトルエン等の芳香族系溶媒を用いた場合、反応の進行に伴い、生成物が析出してくるので、これを濾過乾燥することにより、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物が得られる。
かくして得られる10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物としては例えば次の化合物が挙げられる。すなわち、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン、10−(2−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン、10−(2−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン、10−(2−クロロ−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−2−メチル−9−アントロン、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−3−メチル−9−アントロン、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−2−クロロ−9−アントロン等である。これらの化合物のうち、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−2−メチル−9−アントロン、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−3−メチル−9−アントロン、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−2−クロロ−9−アントロンは、第二反応で得られる化合物の例である。
次に第三反応及び第四反応について説明する。第三反応は、第一反応で得られた一般式(3)で示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を塩基性化合物の存在下、エーテル化剤を用いてエーテル化して、10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を得る反応である。第四反応は、第三反応においてXが水素原子である場合であり、原料としては、第二反応で得られた一般式(4)で示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン化合物を用いている。
第三反応及び第四反応において用いるエーテル化剤としては、ジアルキル硫酸又はハロゲン化アルキルが挙げられる。ジアルキル硫酸としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等が挙げられる。ハロゲン化アルキルとしては、臭化メチル、臭化エチル、臭化−n−プロピル、臭化−n−ブチル、臭化−i−ブチル、臭化−n−ペンチル、臭化−i−ペンチル、臭化−n−ヘキシル、臭化−n−ヘプチル、臭化−n−オクチル、臭化−2−エチルヘキシル、臭化−n−ノニル、臭化−n−デシル、臭化−n−ドデシル、臭化ベンジル、臭化フェネチル、塩化メチル、塩化エチル、塩化−n−プロピル、塩化−n−ブチル、塩化−n−ペンチル、塩化−i−ペンチル、塩化−n−ヘキシル、塩化−n−ヘプチル、塩化−n−オクチル、塩化−2−エチルヘキシル、塩化ベンジル、塩化フェネチル等が挙げられる。
第三反応及び第四反応において、塩基性化合物が必須であり、用いることができる塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
第三反応及び第四反応は、通常溶媒中で行うが、溶媒としては水溶性溶媒又は非水溶性溶媒が用いられる。水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルフォルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。非水溶性溶媒としては,トルエン、キシレン、メチルナフアレン、クロロナフタレン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
第三反応及び第四反応の反応温度は、通常0℃以上、100℃未満、好ましくは20℃以上、60℃未満である。0℃未満だと、反応時間がかかりすぎ、100℃以上だと、不純物が多くなり目的化合物の純度が低下し、共に好ましくない。
第三反応及び第四反応の反応時間は、反応温度によって異なるが、通常30分から10時間程度である。より好ましくは1時間から4時間である。エーテル化反応の進行に伴って、トリエーテル化合物が析出する場合が多く、その場合は、析出物を濾過・乾燥することにより、所望の化合物が得られる。
このようにして得られた本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は光カチオン重合増感剤として又は光ラジカル重合増感剤として、光重合反応を促進することが判明した。また、当該10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を光重合増感剤として、光重合開始剤と配合することにより光重合開始剤組成物を調製することができ、該光重合開始剤組成物と光重合性化合物を配合することにより、光重合性組成物を調製することもできる。
(光重合開始剤組成物)
本発明の光重合開始剤組成物は、光重合増感剤として本発明の一般式(1)又は一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物と、光重合開始剤としてのオニウム塩とを含有する組成物である。オニウム塩としては通常スルホニウム塩またはヨードニウム塩が用いられる。スルホニウム塩としてはS,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサメトキシフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート等が挙げられ、例えばダウ・ケミカル社製UVI6992を用いることができる。一方、ヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサメトキシフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサメトキシアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタメトキシフェニルボレートが挙げられ、例えばチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製イルガキュア250(イルガキュアはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の登録商標)、ローディア社製2074を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用しても構わない。
本発明の光重合開始剤組成物において、本発明の一般式(1)又は一般式(2)で示される光重合増感剤の光重合開始剤組成物中における使用量は、特に限定されないが、光重合開始剤に対して通常5重量%以上、100重量%未満の範囲、好ましくは10重量%以上、50重量%未満の範囲である。光重合増感剤の使用量が5重量%未満では光重合性化合物を光重合させるのに時間がかかりすぎてしまい、一方、100重量%以上使用しても添加に見合う効果は得られない。
(光重合性組成物)
本発明の光重合性組成物は、本発明の一般式(1)又は一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物と光重合開始剤としてのオニウム塩を含有する光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物又は光ラジカル重合性化合物とを含有する組成物である。
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは、脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族のグリシジルエーテル等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートが挙げられ、例えばダウ・ケミカル社製UVR6105、UVR6110を用いることができる。エポキシ変性シリコーンとしては、東芝GEシリコーン製UV−9300等が挙げられる。芳香族グリシジル化合物としては、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。これらの光カチオン重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の二重結合を有する有機化合物を用いることができる。これらのラジカル重合性化合物のうち、フィルム形成能等の面から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者をあわせて(メタ)アクリル酸エステルという)が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらの光ラジカル重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
本発明の光重合性組成物において、光重合開始剤組成物の使用量は、光重合性組成物に対して0.005重量%、10重量%未満の範囲、好ましくは0.025重量%以上、5重量%未満である。0.005重量%未満だと光重合性組成物を光重合させるのに時間がかかってしまい、一方10重量%以上だと光重合させて得られる光硬化物の硬度が低下し、硬化物の物性を悪化させるため好ましくない。
なお、本発明の光重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、希釈剤、着色剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の各種樹脂添加剤を配合してもよい。
(光硬化物)
本発明の光硬化物は、光重合性組成物に光を照射することにより、得ることができる。光重合性組成物を光硬化させる場合、当該光重合性組成物をフィルム状に成形して光硬化させることもできるし、塊状に成形して光硬化させることもできる。フィルム状に成形して光硬化させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルムなどの基材にバーコーターなどを用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布することができる。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
このようにして調製した膜に、250〜500nmの波長範囲を含む紫外線を1〜1000mW/cm程度の強さで光照射することにより、光硬化物を得ることができる。用いる光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、395nm紫外線LED、385nm紫外線LED、365nm紫外線LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。また、太陽光等の自然光を使用することもできる。
(タック・フリー・テスト)
本発明の光硬化物が光硬化したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)がある。すなわち、光重合性組成物に光を照射すると、硬化して表面のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間を測定することにより、光硬化時間を測定することができる。
(耐マイグレーション性の判定)
本発明の光重合性組成物に含まれる光重合増感剤がフィルム等に移行(マイグレーション)するかどうかを判定する方法としては、光重合増感剤を含む光重合性組成物を薄いフィルム状物に塗布したものを作成し、その上にポリエチレンフィルムを被せて一定温度で一定期間保管し、その後ポリエチレンフィルムを剥がし、光重合増感剤がポリエチレンフィルムに移行しているかを調べ、耐マイグレーション性を判定した。剥がしたポリエチレンフィルムは、アセトンで表面の組成物を洗った後乾燥し、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、光重合増感剤に起因する吸収強度の増大を調べることにより耐マイグレーション性を測定した。なお、当該測定には、紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。比較例の化合物である9,10−ジブトキシアントラセンと量的な比較するために、得られた吸光度を9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度の値に換算した。換算に当たっては、紫外・可視分光光度計により本発明の化合物及び9,10−ジブトキシアントラセンの260nmにおける吸光度を測定し、その吸光度の値とモル濃度からそれぞれのモル吸光係数を計算し、その比をもちいて換算した。
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、すべての部は重量部である。また、生成物の確認は下記の機器による測定に基づいて行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS
K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX
FT NMR Spectorometer
(合成例1)10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンの合成
温度計、攪拌機付きの100ml三口フラスコ中に9−アントロン3.88g(20.0ミリモル)、1,4−ナフトキノン2.95g(18.7ミリモル)、p−トルエンスルホン酸60mgを仕込み、トルエン14g加えた後、窒素置換し、105℃のオイルバスに50分間浸漬した。加熱により一旦均一な溶液となった後結晶が析出した。析出した結晶を濾別して10gのアセトン中リスラリーし、濾別・乾燥して淡黄白色の10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン4.96g(14.1ミリモル)を得た。原料1,4−ナフトキノンに対する収率は75モル%であった。
10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンの物性値
(1)融点:191−193℃
(2)IR(KBr,cm−1):3450,3350,1646,1604,1460,1336,1282,1160,1072,938,760,710,695.
(3)H−NMR(270MHz,CDCl):δ=5.94(s,1H),6.46(s,1H),7.42−7.51(m,4H),7.51−7.58(m,4H),8.20(s,1H),8.26−8.34(m,4H).
(本発明の化合物の合成実施例)
(実施例1)9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの合成(化合物A)
温度計、攪拌機付きの100mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド20gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、ジメチル硫酸8.55g(50ミリモル)を加えた。次に、得られた茶色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水15ml溶液を加えた。すると、該スラリーは直ちに溶けて赤黒い溶液となった。引き続き、該溶液を2時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿物が生成した。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(Mw394)の薄赤い粉末3.7g(9,4ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は94モル%であった。
9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの物性値
(1)融点:175−177℃
(2)IR(KBr,cm−1):3070,2960,2950,2840,1624,1598,1460,1400,1290,1113,1102,1092,1035,1008,965,772,720.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.42(1H,d,J=8Hz),8.38(2H,d,J=8Hz),8.22(1H,d,J=8Hz),7.76(2H,d,J=9Hz),7.59−7.67(m,2H),7.51(2H,t,J=8Hz),7.38(2H,t,8Hz),6.70(1H,s),4.25(3H,s),3.81(3H,s),3.29(3H,s).
(実施例2)9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの合成(化合物B)
温度計、攪拌機付きの100mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、ジエチル硫酸6.15g(40ミリモル)を加えた。次に、得られた茶色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水15ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。引き続き、2時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿物が生成した。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(Mw492)の薄赤い粉末3.3g(7.6ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は76モル%であった。
9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの物性値
(1)融点:76−77℃
(2)IR(KBr,cm−1):3090,2980,2930,2880,1622,1596,1412,1398,1352,1261,1211,1162,1123,1090,1021,908,770,678.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.35−8.43(3H,m),8.23(1H,d,J=8Hz),7.76(2H,d,J=9Hz),7.57−7.66(2H,m),7.49(2H,t,J=8Hz),7.37(2H,t,8Hz),6.70(1H,s),4.37(2H,q,J=7Hz),4.10(2H,q,J=7Hz),3.39(2H,q,J=7Hz)),1.70(3H,t,J=7Hz),1.48(3H,t,J=7Hz),0.71(3H,t,J=7Hz).
(実施例3)9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセンの合成(化合物C)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド20gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、臭化−n−プロピル6.25g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水10ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに7時間攪拌し、多量の沈殿が出たところで、酸性水中に該溶液を投入し、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(Mw478)の灰黄土色の粉末を3.9g(8.2ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は82モル%であった。
9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセンの物性値
(1)融点:136−138℃
(2)IR(KBr,cm−1):3060,2970,2945,2840,1622,1596,1460,1418,1362,1340,1261,1211,1163,1098,1080,1030,971,771,682.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.35−8.45(3H,m),8.22(1H,d,J=9Hz),7.77(2H,d,J=9Hz),7.56−7.63(2H,m),7.47(2H,t,J=8Hz),7.35(2H,t,8Hz),6.74(1H,s),4.24(2H,t,J=7Hz),4.00(2H,t,J=8Hz),3.32(2H,t,J=8Hz)),2.06−2.18(2H,m),1.86−1.96(2H,m),1.25(3H,t,J=8Hz),1.05−1.16(5H,m),0.04(3H,t,J=8Hz)
(実施例4)9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセンの合成(化合物D)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、臭化−n−ブチル6.85g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水10ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに5時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿が生じた。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(Mw520)の灰黄土色の粉末3.9g(7.5ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は75モル%であった。
9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセンの物性値
(1)融点:105−106℃
(2)IR(KBr,cm−1):3060,2960,2940,2876,1622,1596,1461,1415,1360,1339,1262,1208,1120,1098,1093,1020,946,774,680.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.34−8.44(3H,m),8.21(1H,d,J=9Hz),7.76(2H,d,J=9Hz),7.55−7.64(2H,m),7.46(2H,t,J=8Hz),7.34(2H,t,8Hz),6.74(1H,s),4.27(2H,t,J=8Hz),4.03(2H,t,J=8Hz),3.36(2H,t,J=8Hz)),2.04−2.16(2H,m),1.81−1.91(2H,m),1.70−1.80(2H,m),1.50−1.61(2H,m),1.02−1.12(H,m),1.10(3H,t,J=8Hz),0.98(3H,t,J=8Hz),0.3−0.4(2H,m),0.24(3H,t,J=8Hz)
(実施例5)9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセンの合成(化合物E)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン 3.52g(10ミリモル)、臭化−i−ブチル6.80g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水13ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに8時間攪拌した後、酸性水中に該溶液を投入すると、多量の沈殿が生じた。該沈殿物を、吸引濾過、水洗い、乾燥して9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(Mw520)の灰黄土色の粉末3.7g(7.1ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は71モル%であった。
9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセンの物性値
(1)融点:98―100℃
(2)IR(KBr,cm−1):3014,3060,2960,2930,2875,1622,1596,1470,1416,1381,1368,1318,1262,1214,1161,1098,1082,1002,988,772.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.40−8.45(1H,m),8.38(2H,d,J=9Hz),8.20(1H,d,J=9Hz),7.74(2H,d,J=9Hz),7.57−7.64(2H,m),7.48(2H,t,J=8Hz),7.36(2H,t,8Hz),6.74(1H,s),4.01(2H,t,J=8Hz),3.81(2H,t,J=8Hz),3.15(2H,t,J=8Hz)),2.41−2.55(1H,m),2.16−2.28(1H,m),1.30−1.42(1H,m),1.31(3H,t,J=8Hz),1.09(3H,t,J=8Hz),0.15(3H,t,J=8Hz)
(実施例6)9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセンの合成(化合物F)
温度計、攪拌機付きの200mlの三口フラスコにジメチルアセトアミド30gを仕込み、合成例1と同様の方法で得られた10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロン3.52g(10ミリモル)、臭化ベンジル8.55g(50ミリモル)を加えた。次に、得られたカーキ色のスラリーに窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム1.60g(40ミリモル)の水15ml溶液を加えた。すると、該スラリーが直ちに溶けて赤黒い溶液となった。そのままさらに4時間攪拌し、泥状物が生成したところで、酸性水中に該混合物を投入し、水あめ状物を沈殿させた。次いで、該水あめ状物を十分水洗いし、乾燥して9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン(Mw508)のカーキ色水飴状物4.9g(9,7ミリモル)を得た。原料10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンに対する収率は97モル%であった。
9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセンの物性値
(1)融点:室温で液状
(2)IR(neat,cm−1):3074,3040,2930,2880,1624,1600,1500,1460,1412,1360,1340,1290,1266,1235,1164,1094,1032,1000,772,736,700,611.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.46−8.52(1H,m),8.41(2H,d,J=8Hz),8.20−8.28(1H,m),7.80(2H,d,J=8Hz),7.70(2H,t,J=8Hz),7.61(2H,t,J=8Hz),7.43−7.54(6H,m),7.43(2H,m),7.28−7.42(6H,m),6.50(1H,s),5.31(2H,s),5.19(2H,s),4.38(2H,s)
(光カチオン重合性組成物と光重合開始剤としてヨードニウム塩を用いた系におけるタック・フリー・テスト)
(実施例7)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に、光重合開始剤としてヨードニウム塩(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア250)2部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合して得た光重合開始剤組成物を添加し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該光重合性組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該光重合性組成物を膜厚30ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムで覆い、その表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて窒素雰囲気下、光照射することにより光硬化物を得た。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該光重合性組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は12秒であった。
(実施例8)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは12秒であった。
(実施例9)
光重合増感剤としての9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例3と同様の方法で合成した9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物C)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは11秒であった。
(実施例10)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例4と同様の方法で合成した9−(n−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(n−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物D)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは10秒であった。
(実施例11)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例5と同様の方法で合成した9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは11秒であった。
(実施例12)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例6と同様の方法で合成した9−ベンジルオキシ−10−(1,4−ジベンジルオキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物F)を用いること以外は、実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは14秒であった。
(比較例1)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンを添加しない以外は実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間しかし、当該組成物は10分照射後しても硬化しなかった。
(比較例2)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)を添加した以外は実施例7と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは13秒であった。
実施例7〜12、及び比較例1、2の結果を表1に示す。
なお、本発明の化合物A〜F及び公知の化合物Gは以下の化学構造式の化合物である。
(光カチオン重合性組成物と光重合開始剤としてスルホニウム塩を用いた系におけるタック・フリー・テスト)
(実施例13)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に、光重合開始剤としてスルホニウム塩(ダウ・ケミカル社製UVI−6992)4部、光重合増感剤として実施例2で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン1.0部(化合物B)を混合して得た光重合開始剤組成物を添加し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該当該組成物を膜厚30ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムで覆い、その表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて窒素雰囲気下、光照射することにより光硬化物を得た。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は27秒であった。
(実施例14)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例3と同様の方法で合成した9−(n−プロポキシ)−10−[1,4−ビス(n−プロポキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物C)1.0部を用いること以外は、実施例11と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは26秒であった。
(比較例3)
光重合増感剤としての9−エトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンを添加しない以外は実施例13と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間しかし、当該組成物は10分照射後しても硬化しなかった。
(比較例4)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)1.0部を添加した以外は実施例13と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは27秒であった。
実施例13、14及び比較例3、4の結果を表2に示す。
(光ラジカル重合性組成物と光重合開始剤としてヨードニウム塩を用いた系におけるタック・フリー・テスト)
(実施例15)
光ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート100部、光重合開始剤としてヨードニウム塩(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア250)2部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該当該組成物を膜厚30ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムで覆い、その表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて窒素雰囲気下、光照射することにより光硬化物を得た。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1秒であった。
(実施例16)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)1.0部を用いること以外は、実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは1.5秒であった。
(実施例17)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例5と同様の方法で合成した9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i-ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)1.0部を用いること以外は、実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは2秒であった。
(比較例5)
光重合増感剤としての9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンを添加しない以外は実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間しかし、当該組成物は10分照射後しても硬化しなかった。
(比較例6)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)1.0部を添加した以外は実施例15と同様に光重合性組成物を調製し、光照射することにより光硬化物を得た。光照射開始からタックが無くなるまでの時間タック・フリー・タイムは2秒であった。
実施例15〜17及び比較例5、6の結果を表3に示す。
以上の実施例の結果より、次のことが明らかである。すなわち、実施例7〜17と比較例1〜6とその結果をまとめた表1、表2及び表3より、本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を光重合増感剤として光カチオン重合又は光ラジカル重合させた場合、優れた光重合増感効果を示し、タック・フリー・テストの結果をみても、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと比較しても同等の光重合増感能を有することがわかる。
(光カチオン重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(実施例18)エポキシ光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合し調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したものと二日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.016、二日保管後0.016であった。
(実施例19)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)を使用すること以外は実施例18と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.008、二日保管後0.008であった。
(実施例20)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例5と同様の方法で合成した9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセン(化合物E)を使用すること以外は実施例18と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9−(i−ブトキシ)−10−[1,4−ビス(i−ブトキシ)−2−ナフチル]アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.032、二日保管後0.040であった。
(比較例7)
光重合増感剤として9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)を使用すること以外は実施例18と同様に調製した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後0.61、二日保管後0.60であった。
実施例18〜20及び比較例7の結果を表4に示す。
(光ラジカル重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(実施例21)
光ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート100部、光重合増感剤として実施例1と同様の方法で合成した9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物A)1.0部を混合し調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したものと二日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い、乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.068、二日保管後0.074であった。
(実施例22)
9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに実施例2と同様の方法で合成した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)を使用すること以外は実施例21と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.040、二日保管後0.045であった。
(比較例8)
9−メトキシ−10−(1,4−ジメトキシ−2−ナフチル)アントラセンの代わりに9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)を使用すること以外は実施例21と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、得られた9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後1.10、二日保管後1.08であった。
実施例21、22及び比較例8の結果を表5に示す。
以上の実施例の結果より、次のことが明らかである。すなわち、実施例18〜22と比較例7及び8とその結果をまとめた表4及び5からわかるように、光重合性組成物に含まれる本発明の光重合増感剤は、ポリエチレンフィルムへの移行度合いが極めて低く、耐マイグレーション性が高いことが分かる。一方、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンは、同様のテストで、ポリエチレンフィルムへの移行が観測されている。
(光カチオン重合及び光ラジカル重合における耐昇華性の評価実施例)
(実施例23)
実施例8において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)に起因する405nmの吸収強度を測定した。その結果、30分間加熱した後でも、当該吸収強度に変化は認められず、添加した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンは昇華していないことが判明した。したがって、昇華率は0%であった。
(実施例24)
実施例16において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセン(化合物B)に起因する405nmの吸収強度を測定した。その結果、30分間加熱した後でも、当該吸収強度に変化は認められず、添加した9−エトキシ−10−(1,4−ジエトキシ−2−ナフチル)アントラセンは昇華していないことが判明した。したがって、昇華率は0%であった。
(比較例9)
比較例2において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)に起因する405nmの吸収強度の変化を昇華の指標として測定した。その結果、30分間加熱した後、当該吸収強度は34%減少した。したがって、昇華率は34%であった。
(比較例10)アクリレート
比較例6において調製した光硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9,10−ジブトキシアントラセン(化合物G)に起因する405nmの吸収強度の変化を昇華の指標として測定した。その結果、30分間加熱した後、当該吸収強度は41%減少した。したがって、昇華率は41%であった。
実施例23、24及び比較例9、10の結果と、タック・フリー・テスト、耐昇華性の評価結果を表6にまとめて示す。
以上の実施例の結果より、次のことが明らかである。すなわち、実施例23及び24と比較例9及び10とその結果をまとめた表6より明らかなように、本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物を硬化して得られた光硬化物は、180℃という加熱処理過程において、光硬化物に含まれる本発明の光重合増感剤の昇華性がきわめて低いことが分かる。一方、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンの昇華が認められることから、本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、光重合増感剤として極めて有用な化合物であるといえる。
以上の結果より、本発明の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物は、光カチオン重合及び光ラジカル重合において、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン化合物と比較して、同等の光重合増感能を有するだけでなく、耐マイグレーション性及び耐昇華性が高い優れた化合物であり、光重合増感剤として極めて有用な化合物である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物。

    (一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
  2. 下記一般式(2)で示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物。

    (一般式(2)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
  3. 下記一般式(3)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンをエーテル化することからなる、請求項1に記載の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法。

    (一般式(3)において、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜
    8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)

  4. 下記一般式(4)に示される10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9−アントロンをエーテル化することからなる、請求項2に記載の10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物の製造方法。
    (一般式(4)において、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8の
    アルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
  5. 下記一般式(1)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を含有する光重合増感剤。

    (一般式(1)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、X、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
  6. 下記一般式(2)に示される10−(2−ナフチル)アントラセントリエーテル化合物を含有する光重合増感剤。

    (一般式(2)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基を示し、Y、Zは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
  7. 請求項5又は6に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤としてオニウム塩とを含有する光重合開始剤組成物。
  8. 請求項7に記載の光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物とを含有する光重合性組成物。
  9. 請求項7に記載の光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物とを含有する光重合性組成物。
  10. 請求項8又は9に記載の光重合性組成物を硬化してなる光硬化物。
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