JP6300914B2 - カルボン酸エステルの製造方法及び可塑剤としての前記カルボン酸エステルの使用 - Google Patents

カルボン酸エステルの製造方法及び可塑剤としての前記カルボン酸エステルの使用 Download PDF

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Description

本発明は、カルボン酸及び/又は無水カルボン酸と、炭素原子を少なくとも5個有するアルカノール、シクロアルカノール、及びアルコキシアルカノールから選択される少なくとも1種のアルコールとを、エステル化酸触媒の存在下で反応させることによるカルボン酸エステルの製造方法に関する。本発明はさらに、このようにして得られるカルボン酸エステルの、可塑剤としての使用、又は熱可塑性ポリマー及びエラストマーのための可塑剤組成物における使用に関する。
従来技術
脂肪族及び芳香族カルボン酸と、アルカノール、シクロアルカノール、又はアルコキシアルカノールとのエステルは、従来技術で多様に用いられている。このようなエステルは例えば、塗装樹脂において、また塗料の構成要素として幅広く用いられ、ここで酢酸、フタル酸、トリメリット酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、又はマレイン酸のエステルが特に使用される。これらはさらに、特に可塑剤として、又は熱可塑性ポリマー及びエラストマーのための可塑剤組成物の成分として適している。
可塑剤は、所望の加工特性及び/又は適用特性を得るために、多くのプラスチックに添加され、プラスチックを柔らかく、可撓性に、及び/又は延伸可能にする。可塑剤の使用により一般的に、プラスチックの熱可塑性範囲がより低い温度に移動し、低い加工温度及び使用温度の範囲において所望の弾性特性が得られる。通常可塑剤が用いられる重要な熱可塑性ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)以外に、例えばポリビニルブチラール(PVB)、スチレンのホモポリマーとコポリマー、ポリアクリレート、ポリスルフィド、又は熱可塑性ポリウレタン(PU)である。PVC及びさらなるポリマーとの良好な相容性、及び有利な適用技術特性に基づき、従来では可塑剤として、様々な化学構造のアルコールとの多くのフタル酸ジエステルが使用されており、それは例えば、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)である。しかしながらこれらは、毒性の問題が考慮されていないため、これらは近年、敏感な適用領域(例えば幼児用玩具、食料品用包装、又は医薬品)では、他の可塑剤に置き換えられている。ここでは特に、さらなる芳香族カルボン酸のエステル、例えばテレフタル酸、トリメリット酸、及び安息香酸のエステルが重要である。
カルボン酸とアルコールとの反応によりカルボン酸エステルを製造することは、公知である。この反応は、自触媒作用又は触媒作用により、例えばブレンステッド酸又はルイス酸によって行うことができる。このような方法は、Lorzら著、Phthalic Acid and Derivatives, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2007, p.131〜180 (DOI: 10.1002/14356007.a20_181 .pub2)に記載されている。自触媒作用によるエステル化の場合、反応温度は通常、200℃超である。とは言え通常は、部分転化率が達成されるに過ぎないため、残存するカルボン酸の再利用が、必ず必要となる。
触媒作用の種類に拘わらず常に、温度に依存する平衡が、出発物質(カルボン酸及びアルコール)と、生成物(エステル及び水)との間で生じる。内部の無水カルボン酸とアルコールとの反応は、二段階で進む:モノエステルへの、無水物のアルコール分解は通常、迅速、かつ完全に進行する。反応水を形成しながら、モノエステルをさらにジエステルにする反応は、可逆的であり、ゆっくりと進行する。この第二段階は、反応の速度を決める段階である。エステル(及び/又は多塩基酸では完全エステル)にとって有利なように平衡を移動させるため、通常は共留剤(共沸剤)を使用し、これによって反応水はバッチから除去される。出発物質(アルコール又はカルボン酸)のいずれかが、形成されるエステルよりも沸点が低い場合、また水と混和性ギャップを形成する場合、出発原料は共留剤として使用でき、水の分離後、再度バッチに返送することができる。高級脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、又は二塩基若しくは多塩基カルボン酸をエステル化する場合には通常、使用するアルコールが、共留剤である。
可塑剤として適切なカルボン酸エステルを製造するために典型的なエステル化触媒は、テトラアルキルチタネートである。
US 7,799,942は例えば、テレフタル酸のジエステル(例えばビス(2−エチルへキシル)テレフタレート:DOTP)を製造するための方法を開示しており、この方法ではテレフタル酸、及びC6〜C10アルコールを、触媒としてのテトラアルキルチタネートの存在下でエステル化にかけ、ここでエステル化の間に生じる水、及びアルコールの一部は、不活性ガスを反応帯域に通すことによって、又は蒸留塔によって除去する。
触媒としてのテトラアルキルチタネートの使用は、複数の欠点と結びついている。そこで反応混合物に、触媒を除去するため、塩基(例えばNaOH水溶液)を加え、生じる加水分解生成物を濾別する。この分離には長い時間がかかるため、僅かな空時収率しか達成されない。通常、反応混合物のさらなる後処理が必要となり、それは例えば、余剰なアルコールを除去するための蒸留、及び/又は許容可能な色価を達成するための、活性炭による処理である。
従来技術ではさらに、鉱酸及び有機の強酸(例えばメタンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸)を、カルボン酸エステルを製造するための触媒として使用することも記載されている。しかしながらLorzら著、Phthalic Acid and Derivatives, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2007, p.131〜180 (DOI: 10.1002/14356007.a20_181. pub2) では、ブレンステッド酸触媒は最大165℃の温度でしか使用できないことが教示されている。と言うのも、そうしなければ、問題となる副反応が起こるからであり、このような副反応は特に、使用するアルコールから水が脱離することによるオレフィンの形成、また激しく着色した副生成物の形成につながり得る。
WO 2010/076192は、カルボン酸若しくは無水カルボン酸、又はその混合物と、アルコールとを、エステル化触媒の存在下で反応させることによって、カルボン酸エステルを製造するための方法を記載しており、この方法ではエステル化の際に生じる反応水が、アルコール・水の共沸混合物として、蒸気とともに留去される。蒸気は、少なくとも部分的に凝縮し、相分離にかけ、有機相は少なくとも部分的に反応系に返送され、ここで返送すべき相から、エステル化に使用されるアルコールよりも沸点の低い成分が分離される。適切なエステル化触媒としては、様々な両親媒性金属触媒、並びに鉱酸、及び有機酸が挙げられる。具体的には、ジイソノニルフタレート及びジプロピルフタレートの連続的な製造が記載されており、ここではエステル化触媒として、イソプロピルチタネートとn−ブチルチタネートとの混合物が使用される。
JP 62/267341は、可塑剤として使用するためのカルボン酸エステルの製造方法を開示しており、これはエステル化触媒としてのスルホン酸の存在下、カルボン酸と、アルコールとの反応によって得られるものである。ここで粗製エステル化生成物は、塩基(例えばCaO又はMgO)、及び固体吸着剤(例えば活性炭、珪藻土、又は活性化されたスメクタイト)の添加によって、酸価及び/又は色価を低減させるために、精製にかける。
JP 1994(H06)/157407は、エステル化触媒としてのメタンスルホン酸の存在下、80〜120℃という低い反応温度でカルボン酸とアルコールとを反応させることによってカルボン酸エステルを製造するための方法を開示しており、ここで反応水は、透水性膜を用いて、反応混合物から選択的に分離する。具体的な実施例としては、ビス(2−エチルへキシル)フタレートの製造が記載されている。
JP 1994(H06)/122652は、エステル化触媒としてのスルホン酸、及びエステル化の間に形成される反応水を結合させるためのゼオライトの存在下、カルボン酸又は無水カルボン酸と、アルコールとを反応させることによる、カルボン酸エステルの製造方法を記載している。具体的には、ビス(2−エチルへキシル)フタレートを、無水フタル酸及び2−エチルヘキサノールから、100℃という反応温度で、触媒としてのメタンスルホン酸の存在下で製造することが記載されており、ここでA型ゼオライト(ナトリウム)、又はHY型ゼオライトが、水結合材料として使用される。
WO 2008/123928は、テレフタル酸及びn−ブタノールからジ−(n−ブチル)−テレフタレートを製造するための方法を記載しており、ここで1.25〜4倍のモル過剰のn−ブタノールによるエステル化は常圧で、110〜220℃という反応温度で、エステル化触媒を用いて行われる。この方法は具体的には、117℃というn−ブタノールの沸点に基づき、好ましくは115〜150℃という反応温度で(すなわち、実質的に還流下で)行い、ここでエステル化触媒として好ましくは、スルホン酸、又は硫酸を使用する。反応の間、反応帯域に連続的にn−ブタノールを供給する。反応の間に生じる水は、共沸混合物として蒸留により排出する。幾つかの実施例では、窒素が反応混合物に導かれるが、この措置は、得られるエステル化生成物の収率、純度、又は色価に対して何ら顕著な肯定的影響をもたらさない。
本発明は、可塑剤として用いるのに適したカルボン酸エステルの改善された製造方法をもたらすという課題に基づく。ここで好適には、できるだけ完全な転化率を短い反応時間後に得ること、ひいては高い空時収率を達成することが望ましい。この方法はさらに、コスト的に有利であり、技術的に容易に(例えば安価な触媒を用いて、またコストのかかる後処理工程を回避して)行えるのが望ましく、これによって上記欠点、特にエステル化触媒としてテトラアルキルチタネートを用いた場合に生じる欠点は、充分に回避できる。それにも拘わらず、こうして得られたカルボン酸エステルは、良好な生成物特性、特に可塑剤としての適用のための生成物特性に優れることが望まれている。これには、可塑化されたプラスチックの光学的な特性が重要となる領域における適用について、例えば低い色価を示すカルボン酸エステルの着色ができるだけ少ないことが当てはまる。
意外なことに上記課題は、高温下、触媒としての有機スルホン酸(特にメタンスルホン酸)の存在下、及び不活性ガスの存在下で、可塑剤として適したカルボン酸エステルを製造するための方法によって、解決されることが判明したのだが、ここでエステル化のために使用する共沸剤としてのアルコールは、形成される反応水のために用いられ、水の分離後、反応に返送される。特別な実施では触媒として、合計塩素含分及び硫酸塩含分が少ないメタンスルホン酸を使用する。
本発明の概要
本発明の対象は、カルボン酸エステルを製造するための方法であって、この方法では、1つ以上の反応器から構成される反応系において、少なくとも1種のカルボン酸及び/又は少なくとも1種の無水カルボン酸と、少なくとも1種のアルコールR1−OH及び/又は少なくとも1種のアルコールR2−[O−X]n−OHとを含有する反応混合物を反応させ、
前記式中、
1は、非分枝状及び分枝状C5〜C13アルキル基及びC5〜C6シクロアルキル基から選択されており、ここでシクロアルキル基は非置換であるか、又は少なくとも1個のC1〜C10アルキル基によって置換されていてよく、
2は、非分枝状C1〜C13アルキル基及び分枝状C3〜C13アルキル基から選択されており、
Xは、非分枝状C2〜C5アルキル基又は分枝状C3〜C5アルキレン基であり、かつ
nは、1、2、又は3の値であり、
ただし、前記反応は、
・有機スルホン酸から選択されている少なくとも1種の触媒の存在下で、
・反応条件下で不活性であるガスを反応系に供給しながら、
・125℃〜240℃という反応混合物温度で、
・反応の間に形成された水の少なくとも一部を、使用したアルコールR1−OH及び/又はR2−[O−X]n−OHとの共沸混合物の形で留去しながら、
行われ、留去したアルコールR1−OH及び/又はR2−[O−X]n−OHを少なくとも部分的に、反応系に返送する。
本発明の好ましい態様は、カルボン酸エステルの製造方法に関し、この方法では1つ以上の反応器から構成される反応系において、少なくとも1種のカルボン酸及び/又は少なくとも1種の無水カルボン酸と、少なくとも1種のアルコールR1−OHとを含有する反応混合物を反応させ、ここでR1は、非分枝状及び分枝状のC5〜C13アルキル基及びC5〜C6シクロアルキル基から選択されており、ここでシクロアルキル基は非置換であるか、又は少なくとも1個のC1〜C10アルキル基によって置換されていてよく、ただし、前記反応は、
・有機スルホン酸から選択されている少なくとも1種の触媒の存在下で、
・反応条件下で不活性であるガスを反応系に供給しながら、
・125℃〜240℃という反応混合物温度で、
・反応の間に形成された水の少なくとも一部を、使用したアルコールR1−OHとの共沸混合物の形で留去しながら、
行われ、留去したアルコールR1−OHを少なくとも部分的に、反応系に返送する。
特別な実施態様において本発明による方法は、テレフタル酸のエステルを製造するため、特に、テレフタル酸を2−エチルヘキサノールと反応させることによってビス(2−エチルへキシル)テレフタレート(DOTP)を製造するために用いる。
さらなる特別な実施態様において、本発明による方法は、酢酸とアルコキシアルカノールとのエステルを製造するため、特に2−ブトキシエチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、及び3−メトキシプロピルアセテートを、2−ブトキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)−エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、又は3−メトキシプロパノールと、酢酸若しくは無水酢酸との反応により製造するために用いる。
本発明のさらなる対象は、こうして得られたカルボン酸エステルの、可塑剤としての使用、又は熱可塑性ポリマー及びエラストマーのための可塑剤組成物における成分としての使用である。
本発明の詳細な説明
本発明による方法は、以下の利点を有する:
・可塑剤として適したカルボン酸エステルを短い反応時間、すなわち高い空時収率で製造できる。
・比較的厳しい反応条件にも拘わらず、カルボン酸エステルが高収率、かつ良好な選択性で得られる。
・触媒としてブレンステッド酸を用いるにも拘わらず、不所望の副生成物、特にエステル化に使用するアルコールのエーテル、及びアルコールの水脱離によるオレフィンは、非常に僅かな程度でしか観察されない。
・本発明による方法後に得られるカルボン酸エステルを精製するための、コストの掛かる手段の使用は通常、省略できる。このことは、着色度が少ない生成物を得るための吸着剤の使用に当てはまる。
・外部由来の有機溶剤(すなわち、カルボン酸エステルを製造するために使用する出発原料、及び形成される反応生成物とは異なる、溶剤として効果的な成分)の使用は、通常省略できる。
・本発明による方法は、テレフタル酸、トリメリット酸、安息香酸のエステル、及び脂環式、及び脂肪族カルボン酸のエステルを製造するために特に適しており、これらは毒性に関する特性が有利であることに基づき、可塑剤として使用するために非常に重要である。
・こうして得られるカルボン酸エステルは、全く、又は非常に僅かしか着色されておらず、ヘイズ・色価が低いことを特徴とする(DIN/EN/ISO 6271-2により測定可能)。これは通常、テトラアルキルチタネートによる触媒作用を用いた実質的にコストの高い方法によって得られる生成物と少なくとも同等に良好、又はこのような生成物より良好である。
本発明の範囲において「C1〜C10アルキル」という表現は、炭素原子を1〜10個有する非分枝状のアルキル基、並びに炭素原子を3〜10個有する分枝状アルキル基を包含する。これに該当するのは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−へキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、イソノニル、2−プロピルへキシル、n−デシル、イソデシル、2−プロピルヘプチルなどである。これは好適には、非分枝状のC1〜C8アルキル基、又は分枝状のC3〜C8アルキル基である。これは特に好ましくは、非分枝状のC1〜C5アルキル基、又は分枝状のC3〜C5アルキル基である。
「C5〜C13アルキル」とは、非分枝状、及び分枝状のC5〜C13アルキル基を包含する。C5〜C13アルキルは好適には、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−へキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、1−メチルへキシル、2−メチルへキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、イソノニル、2−プロピルへキシル、n−デシル、イソデシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、イソウンデシル、n−ドデシル、イソドデシル、n−トリデシル、又はイソトリデシルなどである。C5〜C13アルキルは特に好ましくは、n−オクチル、n−ノニル、イソノニル、2−エチルヘキシル、イソデシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、イソウンデシル、n−トリデシル、又はイソトリデシルである。
「C1〜C13アルキル」という表現は、炭素原子を1〜13個有する非分枝状のアルキル基、並びに炭素原子を3〜13個有する分枝状アルキル基を包含する。C1〜C13アルキルは好適には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−へキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、1−メチルへキシル、2−メチルへキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、イソノニル、2−プロピルへキシル、n−デシル、イソデシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、イソウンデシル、n−ドデシル、イソドデシル、n−トリデシル、又はイソトリデシルなどである。C1〜C13アルキルは特に好ましくは、非分枝状のC1〜C9アルキル基、又は分枝状C3〜C9アルキル基であり、特にメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルへキシル、n−ノニル、又はイソノニルである。
「C1〜C13アルキル」という表現は、その定義において、「C3〜C13アルキル」、「C1〜C9アルキル」、及び「C3〜C9アルキル」という表現も包含する。
本発明の意味合いにおいて「(C5〜C6)−シクロアルキル」という表現は、炭素原子を5〜6個、特に6個有する環状炭化水素基を包含する。これに該当するのは、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。
置換されたC5〜C6シクロアルキル基は、その環の大きさに応じて、C1〜C10アルキル置換基を1個以上(例えば1個、2個、3個、4個、又は5個)有することができる。C5〜C6シクロアルキル基の例は、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、2−、3−、及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−エチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−プロピルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−イソプロピルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−ブチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−sec−ブチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−tert−ブチルシクロヘキシルなどである。
本発明の範囲において「C2〜C5アルキレン」という表現は、炭素原子を2〜5個有する非分枝状の二価の炭化水素基、並びに炭素原子を3〜5個有する分枝状の二価の炭化水素基を包含する。これに該当するのは例えば、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1−メチル−1,2−エチレン、1,4−ブチレン、1−メチル−1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレン、1−メチル1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−ブチレンなどである。「C2〜C5アルキレン」は好ましくは、非分枝状C2〜C4アルキレン基、又は分枝状C3〜C4アルキレン基、特に好ましくは1,2−エチレン、及び1,3−プロピレンである。
「C2〜C5アルキレン」という表現は、その定義において、「C3〜C5アルキレン」、「C2〜C4アルキレン」、「C3〜C4アルキレン」、及び「C2〜C3アルキレン」という表現も包含する。
本発明の意味合いにおいて「反応系」とは、1つの反応器、又は複数の反応器の配置構成であると理解される。複数の反応器が好適には、連続して接続されている。本発明による方法は、非連続的に、又は連続的に実施することができるが、連続的に実施するのが好ましい。
反応器とは、液相において化学的な反応を実施するために適している、任意の反応器である。
反応器としては、非逆混合型反応器、例えば管型反応器、又は構造体を備える滞留容器、また好適には逆混合型反応器、例えば撹拌釜、ループ式反応器、放射式反応器、又は噴射ノズル式反応器が適している。しかしながらまた、連続する逆混合型反応器と、非逆混合型反応器との組み合わせも使用することができる。
また任意で、複数の反応器を多段階の1つの装置にまとめることもできる。このような反応器は例えば、シーブプレート構造物を備えるループ式反応器、カスケード化された容器、中間供給部を有する管型反応器、又は撹拌カラムである。
撹拌釜式反応器を使用するのが好ましい。撹拌釜型反応器はたいてい、金属製材料からなり、ここで特殊鋼が好ましい。反応バッチは好適には、撹拌機、又は循環ポンプを用いて激しく混合する。
好ましい実施態様において、本発明による方法は、唯一の撹拌釜で行う。さらなる好ましい実施態様において、本発明による方法は、相互にカスケードの形で接続された少なくとも2つの撹拌釜で行う。特に連続的な方法実施の場合、カスケードの形で複数の反応器を結合させることが、できるだけ完全な反応に適切であり得る。それぞれの反応器には、反応混合物を順次通過させ、ここで第一の反応器の排出物は、第二の反応器に、第二の反応器の排出物は、第三の反応器へと供給される。このカスケードは例えば、2〜10個の反応器を有することができ、ここで2個、3個、4個、又は5個の反応器が好ましい。
非連続的な方法実施の場合、カルボン酸及び/又は無水カルボン酸、及びアルコールR1−OH、及び/又はR2−[O−X]n−OH、及び触媒を同時に、又は順次、反応器に充填することができる。触媒は純粋な形で、又は溶液として、好ましくは出発物質に溶解させて、最初に、又は反応温度に到達してから初めて、導入することができる。無水カルボン酸はしばしば、アルコールと既に自触媒作用によって、すなわち触媒を使用することなく反応して、相応するエステルカルボン酸(半エステル)になり、例えば無水フタル酸が、フタル酸モノエステルになる。従って、触媒はしばしば、第一の反応工程が終わって初めて必要となる。
連続的な方法実施の場合、原料と触媒の流れを反応器に、及び/又は反応器カスケードを用いる場合には好適にはカスケードの第一の反応器に導入する。ここで反応器及び/又は各反応器における滞留時間は、反応器の体積、及び原料の流量によって決まる。
本発明による方法は、反応条件下で不活性のガスを、反応系に供給しながら行う。このために不活性ガスを、反応系のガス室に、又は液状反応混合物に導くことができる。反応系への不活性ガスの導入は好ましくは、液状の反応混合物と、不活性ガスとの間で大きな交換表面が得られるように行う。反応の間の不活性ガスによる処理は、ストリッピング効果を有し、反応水の除去を完全にする。さらに、加熱された不活性ガスの導入によって、反応系にエネルギーを投入することができる。この実施では、エネルギー投入は反応器ジャケットを介して、相応してチョーキングされていてよい。これによって有利には、反応器ジャケット付近における反応混合物の過熱、及び副生成物の形成を低減させることができる。
好ましい実施態様では不活性ガスを、沸騰させる反応混合物に液体表面下で導入し、これによって反応混合物をバブリングする。不活性ガスの圧力は、不活性ガス供給物の上方にある反応混合物の液圧に打ち勝つほど、充分に高くなければならない。不活性ガスは例えば、反応混合物の液体表面の下方20〜50cmで導入することができる。
不活性ガスは、任意の適切な装置によって供給することができる。これには例えば、ガス供給ロッド、又はノズルが該当する。ノズルは、反応器底部、又は反応器底部のそばに備えられていてよい。このためにノズルは、反応器を取り囲む中空チャンバの開口部として、形成されていてよい。或いはまた、適切な供給部を有する浸漬ノズルが使用できる。複数のノズルが、例えば冠状に配置されていてよい。ノズルは、上方、又は下方を向いていてよい。ノズルは好適には、傾斜して下方を向いている。
不活性ガス供給部の下方にある反応器領域における反応混合物と、不活性ガス供給部の上方にある反応領域における反応混合物との交換が行われるように、反応混合物は好適には完全混合する。混合のためには例えば、撹拌機、又は循環ポンプが適している。特別な変法では、不活性ガスを供給するため、また反応混合物を混合するために、いわゆるガス供給撹拌機を使用する。
本発明による方法を、相互にカスケードの形で接続されている少なくとも2つの撹拌釜で行う場合、好適にはカスケードの全ての反応器に、不活性ガスを貫流させる。1つ以上の反応器を不活性ガスで処理する場合、このガスは各反応器に並行して導入するか、又は不活性ガスを複数の反応器に順次通過させることができる。2個以上の反応器を、新たな不活性ガスでバブリングすることと、少なくとも1つの反応器からの、不活性ガスを含有する蒸気を、少なくとも1つのさらなる反応器に通すことの組み合わせも考えられる。
例えば、n個の反応器のカスケードにおいて、新たな不活性ガスを最後の反応器へと流れ方向で導入することができ、不活性ガスを含有する蒸気を、n番目の反応器から集め、蒸気状で反応混合物へとn−1番目の反応器に導入することができる。
本発明によるエステル化は、不活性ガスの存在下で行う。不活性ガスとは、所定の方法条件で、反応に関与する出発原料、試薬、溶剤、又は発生する生成物に由来する気体と反応を起こさないものであると理解される。適切な不活性ガスは例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどである。不活性ガスとして、窒素を使用するのが好ましい。
本発明による方法は、反応の間に形成された水の少なくとも一部を、使用するアルコールR1−OH及び/又はR2−[O−X]n−OHとの共沸混合物の形で留去しながら行い、これを続いて少なくとも部分的に反応系に返送する。このために、反応系から蒸気を取り出し、これを凝縮し、この凝縮物を水相とアルコール相に分離し、アルコール相を少なくとも部分的に、反応系に返送する。「反応系に返送」とは、反応系の少なくとも1つの任意の反応器に、アルコール相を通すということである。
蒸気を凝縮、及び/又は部分的に凝縮するために、全ての適切な凝縮器が使用できる。これらは、任意の冷却媒体で冷却できる。空冷及び/又は水冷による凝縮器が好ましく、ここで空冷が特に好ましい。
こうして得られる凝縮物は、水相と有機相への相分離にかける。このための凝縮物は通常、相分離器(デカンタ)に通し、ここで機械的な沈殿によって2つの相に分かれ、これらは別個に抜き取ることができる。水相を分離し、任意で後処理の後、これを廃棄することができるか、又はストリッピング用の水として、エステルの後処理の際に、使用することができる。
カスケードの各反応器からの蒸気は1つにまとめ、一緒に凝縮することができる。任意で、カスケードの複数の反応器をそれぞれ、サブユニットにまとめることができ、ここでサブユニットはそれぞれ、凝縮器と連結されている。加えてさらに、カスケードの各反応器を凝縮器と連結させるという可能性がある。
返送すべきアルコール相は、カスケードの任意の反応器へと通すか、又はカスケードの複数の反応器に分配することができる。しかしながら返送すべきアルコール相は、カスケードの最後の反応器へと通さないのが好ましい。返送すべきアルコール相は好適には、カスケードの第一の反応器にのみ、又は主にカスケードの第一の反応器に通す。
アルコール相を反応系へと返送するためには、様々な可能性がある。有機相は、任意で加熱後に、液状の反応混合物へと給送することができる。
方法の熱による最適化のため、アルコール相を塔(いわゆる返送アルコール塔)によって、反応系へと返送することができる。この返送アルコール塔において、返送されたアルコール相は、少なくとも蒸気の一部に対向して導入する。アルコール相は好適には、塔頂に、又は返送アルコール塔における上部領域に導入する。返送アルコール塔の流出凝縮物は、反応系へと戻る。反応器カスケードを用いる場合、返送アルコール塔の流出凝縮物は好適には、第一の反応器に導入する。返送アルコール塔によるアルコール相の返送には、返送されたアルコール相を予熱し、相分離後に有機相中に残留している、及び/又はその熱力学的溶解性に従って有機相中に溶解されている痕跡量の水が取り除かれるという利点がある。返送アルコール塔は例えば、プレート塔、規則充填物塔、又は不規則充填物塔であり得る。少ない分離段の数で、一般的には充分である。例えば、2〜10の理論分離段を有する塔が適している。反応器カスケードを使用する場合、蒸気は好適には、返送アルコール塔を介して、少なくとも第一の反応器を出る。1つ以上の、又は全てのさらなる反応器は同様に、返送アルコール塔のための蒸気抜き取り部を有することができる。
少なくとも1種のアルコールR1−OH、及び/又は少なくとも1種のアルコールR2−[O−X]n−OHは好適には、カルボキシ基に対して化学量論的に過剰量で使用する。ここで無水カルボン酸は、エステル化すべきカルボキシ基を2個有すると考えられる。少なくとも1種のアルコールR1−OH、及び/又はR2−[O−X]n−OHは、特に好ましくは、1〜100%のモル過剰で、特に5〜50%モル過剰で、殊に7〜15%のモル過剰で使用する。
触媒は好適には、カルボキシ基のモル量に対して0.5〜5mol%の量、特に好ましくは1〜2mol%の量で使用する。
エステル化触媒は好ましくは、メタンスルホン酸、及びトルエンスルホン酸から選択されている。エステル化触媒としては特に、メタンスルホン酸を使用する。触媒は、純粋な物質として、又は水溶液の形で使用できる。
本発明の範囲において、「合計塩素含分」という表現は、遊離塩素、並びに有機的若しくは無機的に結合された塩素の含分の合計を言う。
使用するメタンスルホン酸は好ましくは、合計塩素含分が最大20ppm、好ましくは最大5ppm、特に最大1ppmである。
使用するメタンスルホン酸は好ましくは、硫酸塩含分が最大50ppm、好ましくは最大20ppmである。
特に適切なメタンスルホン酸は、WO 0050351に記載された方法により得られる。このような純粋なMSAは、BASF SE社のLutropur(登録商標)という名称で、70%の水溶液として(Lutropur(登録商標)MSA)、又は無水MSAとして(Lutropur(登録商標)MSA100)得られる。
エステル化は好ましくは、130〜235℃、特に135〜230℃の温度範囲で行う。本発明による方法によれば、エステル化はさらに高温、特に少なくとも150℃、殊に少なくとも170℃の温度で行うことができる。
最適な温度は、出発物質、反応の進行段階、及び触媒濃度による。これらは個々の事例について、試験によって容易に測定することができる。反応水を除去するためには、アルコールが反応混合物から留去可能である必要がある。所望の温度、又は所望の温度範囲は、反応器における圧力によって調整できる。よって沸点が低いアルコールは、過圧、又は周囲圧力における反応、及びより沸点が高いアルコールの場合には、減圧下で行うことができる。
エステル化のため、複数の反応器からのカスケードを使用する場合、カスケードの全ての反応器は、同じ温度で稼働させることができる。しかしながら一般的には、カスケードの最初の反応器から最後の反応器へと温度を上昇させることが好ましく、ここで反応器は同じ温度で、又は反応混合物の流れ方向で上流に設置された反応器よりも高い温度で稼働させる。適切には、全ての反応器を、実質的に同じ圧力で稼働させることができる。
エステル化は好適には、周囲圧力、又は減圧下で行う。エステル化は好ましくは、0.001〜2.0bar、特に好ましくは0.01〜1.1barの圧力で行う。
エステル化は、外部由来溶剤の不在下で、又は有機溶剤の存在下で行うことができる。エステル化は好ましくは、外部由来溶剤の不在下で行う。
エステル化を外部由来溶剤の存在下で行う場合、これは好適には反応条件下で不活性の有機溶剤である。これに属するのは例えば、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族、及び置換された芳香族炭化水素、又はエーテルである。溶剤は好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブチルエーテル、THF、ジオキサン、及びこれらの混合物である。
反応の終了後、実質的に所望のエステルと過剰のアルコールから成る反応混合物は、触媒及び/又はその結果生成物以外に、1種以上のエステルカルボン酸、及び/又は未反応のカルボン酸を僅かな量で含有する。
粗製エステル混合物を後処理するために、過剰なアルコールを除去し、酸性化合物を中和し、ここで生じる固体の副生成物を分離する。ここで工程段階の順序は、変えてよい。この際に、未反応のアルコールの大部分は、常圧で、又は真空で留去する。アルコールの最後の痕跡量は例えば、水蒸気蒸留によって、特に120〜225℃の温度範囲で、真空下、除去することができる。アルコールの分離は、最初の、又は最後の後処理工程として行うことができる。
酸性物質、例えばカルボン酸、エステルカルボン酸、又は任意で酸触媒の中和は、塩基(例えばアルカリ金属炭酸塩、及び/又はアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、又はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物)の添加によって行う。中和剤は、固体状で、又は好ましくは溶液として、特に水溶液として使用できる。ここでしばしば、濃度が1〜30質量%、好ましくは20〜30質量%の水酸化ナトリウム溶液を使用する。中和剤は、滴定によって測定される化学量論的に必要な量の1倍〜4倍、特に1倍〜2倍に相当する量で添加する。
蒸留の場合にはまた、そもそも存在する場合には、使用するアルコールR1−OH及び/又は使用するアルコールR2−[O−X]n−OHのエーテルを除去する。これは、本発明による方法によって得られる反応混合物中で一般的には2質量%未満、好ましくは1質量%未満の量で含有されている(誘導された試料についてGC測定により特定)。こうして得られるエーテルは、所望の場合には、酸性のエーテル開裂によって、再度アルコールR1−OH及び/又はアルコールR2−[O−X]n−OHに移行させることができる。
過剰なアルコールR1−OH及び/又はアルコールR2−[O−X]n−OHは、直接再度使用するか、又は例えば蒸留によって、さらに精製することができる。
こうして得られるカルボン酸エステルは実質的に、固体不純物不含である。しかしながら、場合によって反応器に存在する浮遊物質を除去するために、濾過にかけることができる。
好ましいアルコールR1−OHは、C5〜C13アルカノールである。C5〜C13アルカノールは、直鎖状、又は分枝状であってよく、又は直鎖状及び分枝状のC5〜C13アルカノールの混合物からなり得る。好ましいC5〜C13アルカノールに該当するのは例えば、n−ペンタノール、2−メチルブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、イソヘプタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、イソノナノール、イソデカノール、2−プロピルヘプタノール、n−ウンデカノール、イソウンデカノール、n−ドデカノール、イソドデカノール、n−トリデカノール、又はイソトリデカノール、並びにこれらの混合物である。特に好ましいのは、C7〜C12アルカノールである。
アルコールR1−OHとして特に好ましいC7〜C12アルカノールは、直鎖状、又は分枝状であってよく、又は直鎖状及び分枝状のC7〜C12アルカノールの混合物からなり得る。特に好ましいC7〜C12アルカノールに該当するのは例えば、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、イソノナノール、イソデカノール、2−プロピルヘプタノール、n−ウンデカノール、イソウンデカノール、又はn−ドデカノール、並びにこれらの混合物である。本発明による方法では特に、アルコールとして2−エチルヘキサノールを使用する。
アルコールR1−OHとして好ましくはさらに、C5〜C6シクロアルカノール、並びにC5〜C13アルカノールを使用する。C5〜C6シクロアルカノールは、シクロペンタノール、又はシクロヘキサノール、並びにこれらの混合物から選択されている。シクロヘキサノールが好ましい。置換されたC5〜C6シクロアルカノールは、その環の大きさに応じて、1個以上(例えば1個、2個、3個、4個、又は5個)のC1〜C10アルキル置換基を有することができる。C5〜C6シクロアルカノールの例は、2−及び3−メチルシクロペンタノール、2−及び3−エチルシクロペンタノール、2−、3−、及び4−メチルシクロヘキサノール、2−、3−、及び4−エチルシクロヘキサノール、2−、3−、及び4−プロピルシクロヘキサノール、2−、3−、及び4−イソプロピルシクロヘキサノール、2−、3−、及びブチルシクロヘキサノール、2−、3−、及び4−sec−ブチルシクロヘキサノール、及び2−、3−、及び4−tert−ブチルシクロヘキサノールである。
特に好ましいC7〜C12アルカノールは、以下でより正確に規定する。
ヘプタノール
本発明による方法で使用するヘプタノールは、直鎖状、若しくは分枝状であってよく、又は直鎖状及び分枝状ヘプタノールの混合物から成っていてよい。分枝状のヘプタノールの混合物(イソヘプタノールとも呼ばれる)を使用するのが好ましく、これはロジウム、又は好適にはコバルトで触媒した二量体プロペンをヒドロホルミル化することによって(例えばDimersol(登録商標)法により)得られ、引き続き、得られるイソヘプタナールをイソヘプタノール混合体へと水素化することによって、製造する。その製造に応じて、こうして得られる複数の異性体のイソヘプタノール混合物が存在する。実質的に直鎖状のヘプタノールは、ロジウム又は好適にはコバルトで触媒した1−ヘキセンのヒドロホルミル化、及び得られるn−ヘプタナールを引き続き水素化して、n−ヘプタノールにすることによって得られる。1−ヘキセン及び/又は二量体プロペンのヒドロホルミル化は、それ自体公知の方法に従って行うことができる:反応媒体中に均質に溶解されたロジウム触媒によるヒドロホルミル化の場合、その場でヒドロホルミル化反応の条件下、ヒドロホルミル化反応混合物中で、合成ガスの作用下、例えばロジウム塩から形成される錯体化されていないロジウムカルボニルが触媒として使用でき、また錯体のロジウムカルボニル化合物、特に有機ホスフィンとの錯体、例えばトリフェニルホスフィン、又は有機ホスファイト、好適にはキレート化されたビホスファイト(例えばUS-A 5288918に記載のもの)も触媒として使用できる。このオレフィンをコバルトで触媒するヒドロホルミル化の場合、一般的には、反応混合物中に均質に溶解されたコバルトカルボニル化合物が使用され、これはヒドロホルミル化反応の条件下で、合成ガスの作用下、その場でコバルト塩から形成されるものである。コバルトで触媒するヒドロホルミル化をトリアルキルホスフィン、又はトリアリールホスフィンの存在下で行う場合、ヒドロホルミル化生成物として直接、所望のヘプタノールが形成されるため、アルデヒド官能基のさらなる水素化は、もはや必要ない。
1−ヘキセン、及び/又はヘキサン異性体混合物をコバルトで触媒するヒドロホルミル化のために適しているのは例えば、Falbe著、New Syntheses with Carbon Monoxide, Springer, Berlin, 1980年、p.162〜168で説明された工業的に確立された方法、例えばルール化学法(Ruhrchemie-Verfahren)、BASF法、Kuhlmann法、又はシェル法である。ルール化学法、BASF法、Kuhlmann法が、配位子で変性されていないコバルトカルボニル化合物を触媒として用いて作業し、この際にヘキサナール混合物が得られる一方で、シェル法(DE-A 1593368)はホスフィン配位子又はホスファイト配位子で変性したコバルトカルボニル化合物を触媒として使用し、この触媒の水素化活性はさらに高いため、この化合物によって直接ヘキサノール混合物につながる。配位子変性されていないコバルトカルボニル錯体によってヒドロホルミル化を行うための有利な構成は、DE-A 2139630、DE-A 2244373、DE-A 2404855、及びWO 01/014297に詳細に記載されている。
1−ヘキセン及び/又はヘキセン異性体混合物をロジウム触媒でヒドロホルミル化するためには、トリフェニルホスフィン配位子で変性されたロジウムカルボニル化合物を用いる、工業的に確立されたロジウム低圧ヒドロホルミル化法が適用でき、これは例えば、US-A 4148830の対象である。長鎖オレフィン(例えば上記方法により得られるヘキセン異性体混合物)をロジウムで触媒するヒドロホルミル化のために有利には、配位子変性されていないロジウムカルボニルを触媒として用いることができ、ここで低圧法との違いは、圧力をより高い80〜400barに設定することである。このようなロジウム高圧ヒドロホルミル化法の実施は例えば、EP-A 695734、EP-B 880494、及びEP-B 1047655に記載されている。
ヘキセン異性体混合物のヒドロホルミル化により得られるイソヘプタナール混合物は、それ自体従来の方法で接触水素化して、イソヘプタノール混合物にする。このために好ましくは、不均一系触媒を使用し、この触媒は触媒活性成分として、元素周期表の第VI〜第VIII亜族、並びに第I亜族の金属(特にクロム、モリブデン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び/又は銅)及び/又は金属酸化物(任意で担体材料、例えばAl23、SiO2、及び/又はTiO2に堆積されたもの)を含有する。これらの触媒は例えば、DE-A 3228881、DE-A 2628987、及びDE-A 2445303に記載されている。特に有利には、イソヘプタナールの水素化は、イソヘプタナールの水素化に必要な化学量論的水素量を1.5〜20%超える水素によって、50〜200℃の温度、25〜350barの水素圧で行い、副反応を回避するために、水素化供給部にDE-A 2628987に従って僅少量の水を添加し、有利にはWO 01/087809の教示に相応して、アルカリ金属水酸化物若しくはアルカリ金属炭酸塩の水溶液の形で添加する。
オクタノール
長年にわたり大規模工業的に製造された可塑剤アルコールである2−エチルヘキサノールは、n−ブチルアルデヒドをアルドール縮合して、2−エチルヘキサナール、及びこれを引き続き水素化して2−エチルヘキサノールにすることによって得られる(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry; 5. Auflage, Bd. A 10, S. 137 - 140, VCH Verlagsgesellschaft GmbH, Weinheim 1987年を参照)。
実質的に直鎖状のオクタノールは、ロジウム又は好適にはコバルトで触媒した1−ヘプテンのヒドロホルミル化、及び得られるn−オクタナールを引き続き水素化して、n−オクタノールにすることによって得られる。このために必要な1−ヘプテンは、炭化水素のフィッシャー・トロプシュ合成から得られる。
2−エチルヘキサノール又はn−オクタノールとは異なり、アルコールがイソオクタノールである場合、その製造方法により条件付けられて、これは単一の化合物ではなく、様々な分枝状C8アルコールの異性体混合物、例えば2,3−ジメチル−1−ヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキサノール、4,5−ジメチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘプタノール、及び5−メチル−1−ヘプタノールの混合物であり、これは適用された製造条件と製造方法により、様々な量比でイソオクタノール中に存在し得る。イソオクタノールは通常、プロペンをブテン、好適にはn−ブテンにより補助的に二量体化し、引き続きこの際に得られるヘプテン異性体混合物をヒドロホルミル化することによって製造される。ヒドロホルミル化の際に得られるオクタナール異性体混合物は、それ自体従来の方法で引き続き水素化して、イソオクタノールにすることができる。
プロペンをブテンにより補助的に二量化して異性体のヘプテンにするために有利には、均質触媒のDimersol(登録商標)法を用いて行うのが好ましく(Chauvinら、Chem. Ind.; Mai 1974, p.375〜378)、ここで触媒としては溶解性のニッケル・ホスフィン錯体が、エチルアルミニウム塩素化合物(例えばエチルアルミニウム二塩化物)の存在下で用いられる。ニッケル錯体触媒のためのホスフィン配位子としては例えば、トリブチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、及び/又はトリベンジルホスフィンが使用できる。反応は0〜80℃の温度で行い、ここで有利には、オレフィンが液状の反応混合物中に溶解して存在する圧力を調整する(Cornils; Hermann: Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds; 2. Auflage; Bd. 1 ; p.254〜259, Wiley-VCH, Weinheim 2002)。
或いは、反応媒体中に均質に溶解されたニッケル触媒を稼働させるDimersol(登録商標)法に代えて、ブテンによるプロペンの補助的な二量化は、担体上に堆積させた不均一系のNiO触媒によって行うこともでき、ここでは均一系触媒法と似たヘプテン異性体分布が得られる。このような触媒は例えば、いわゆるOctol(登録商標)法(Hydrocarbon Processing, Februar 1986, p. 31〜33)で使用され、オレフィン二量化及び/又は補助的な二量化のために良好に適した特定のニッケル不均一系触媒が、例えばWO 95/14647に開示されている。
ニッケル系触媒に代えて、またブレンステッド酸不均一系触媒も、プロペンをブテンにより補助的に二量化するために使用することができ、ここでは通常、ニッケル触媒法で得られるものよりも分岐度の高いヘプテンが得られる。このために適した触媒の例は、固体リン酸触媒、例えばリン酸に含浸させた珪藻土、又はダイアトマイトであり、これらは例えばPolyGas(登録商標)法により、オレフィン二量化及び/又はオリゴマー化に利用される(Chitnisら、Hydrocarbon Engineering 10, Nr. 6, 2005年6月)。プロペン及びブテンを補助的に二量化してヘプテンにするために非常に良好に適したブレンステッド酸触媒はゼオライトであり、これはPolyGas(登録商標)法に基づき、さらに発展させたEMOGAS(登録商標)に用いられる。
1−ヘプテン、及びヘプテン異性体混合物は、n−ヘプタナール及びヘプタナール異性体混合物の製造との関連で先に説明した公知の方法に従って、ロジウム又はコバルトで触媒したヒドロホルミル化によって、好適にはコバルトで触媒ヒドロホルミル化し、n−オクタナール及び/又はオクタナール異性体混合物に移行させる。これを引き続き例えば、n−ヘプタノール及びイソヘプタノールの製造との関連で先に挙げた触媒によって水素化して、相応するオクタノールにする。
ノナノール
実質的に直鎖状のノナノールは、ロジウム又は好適にはコバルトで触媒した1−オクテンのヒドロホルミル化、及びこの際に得られるn−ノナナールを引き続き水素化することによって得られる。出発オレフィンの1−オクテンは例えば、エチレンオリゴマー化によって、反応媒体(1,4−ブタンジオール)中に均質に溶解したニッケル錯体触媒を用いて、例えばジフェニルホスフィノ酢酸、又は2−ジフェニルホスフィノ安息香酸を配位子として用いて得ることができる。この方法はまた、Shell高級オレフィン法(SHOP法)という名称でも知られる(Weisermel, Arpe: Industrielle Organische Chemie; 5. Auflage; p.96; Wiley-VCH, Weinheim 1998)。
本発明による方法で使用するアルコール成分のイソノナノールは、単独の化合物ではなく、様々な分枝状C9アルコール異性体の混合物であり、その製造方法に応じて、特に使用する出発物質に応じて、様々な分岐度を有することができる。イソノナノールは一般的に、ブテンを二量化してイソオクテン混合物にし、引き続きイソオクテン混合物をヒドロホルミル化し、この際に得られるイソノナナール混合物を水素化してイソノナノール混合物にすることによって製造し、これは例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5. Auflage, Bd. A1 , p.291〜292, VCH Verlagsgesellschaft GmbH, Weinheim 1995年で説明されている。
イソノナノールを製造するための出発材料としては、イソブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、また1−ブテン又はこれらのブテン異性体の混合物を使用することができる。主に液状で(例えば硫酸若しくはリン酸)、又は固体で(例えば担体材料としての珪藻土、SiO2、又はAl23に)施与されたリン酸又はゼオライト、ブレンステッド酸で触媒して、純粋なイソブテンを二量化する場合、主に強度に分岐した2,4,4−トリメチルペンテン(ジイソブチレンとも呼ばれる)が得られ、アルデヒドをヒドロホルミル化及び水素化した後に、高度に分岐したイソノナノールが得られる。
分岐度の低いイソノナノールが好ましい。このように分岐度が低いイソノナノール混合物は、直鎖状のブテン、1−ブテン、シス−及び/又はトランス−2−ブテン(これらは任意でさらに僅少量のイソブテンを含有することができる)から、ブテン二量化、イソオクテンのヒドロホルミル化、及び得られたイソノナナール混合物の水素化という先に記載した経路によって製造される。好ましい原料は、クラッキング(例えばスチームクラッキング)のC4留分から得られるいわゆるラフィネートIIであり、これはアレン、アセチレン、及びジエン、特に1,3−ブタジエンを排除した後、これらを部分水素化にかけて直鎖状ブテンにするか、又はこれらを引き抜き蒸留によって、例えばN−メチルピロリドンを用いて、続いてブレンステッド酸触媒により、大規模工業的に確立された方法に従いメタノール若しくはイソブタノールとの反応によって、そこに含まれるイソブテンを除去することにより、燃料添加剤のメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)が形成されるか、又は純粋なイソブテンを得るために用いられるイソブチルーtert−ブチルエーテルが得られる。
ラフィネートIIは、1−ブテンとシス−及びトランス−2−ブテンに加えてさらに、n−ブタン及びイソブタン、並びにイソブテンの残量を最大5質量%含有する。
直鎖状ブテン又はラフィネートIIに含有されるブテン混合物の二量化は、大規模で実施される慣用の方法(例えばイソヘプテン混合物製造との関連で先に説明した方法)によって、例えば不均一系のブレンステッド酸触媒(例えばPolyGas(登録商標)法、又はEMOGAS(登録商標)法で用いるもの)を用いて、反応媒体に均質に溶解したニッケル錯体触媒を用いてDimersol(登録商標)法により、又はOctol(登録商標)法、又はWO 95/14647に記載の方法による不均一系の酸化ニッケル(II)含有触媒を用いて行うことができる。この際に得られるイソオクテン混合物は、ヘプタナール異性体混合物の製造との関連で先に説明した公知の方法に従って、ロジウム又はコバルトで触媒したヒドロホルミル化によって、好適にはコバルトで触媒してヒドロホルミル化し、イソノナナール混合物に移行させる。これを引き続き例えば、イソヘプタノールの製造との関連で先に挙げた触媒によって水素化して、適切なイソノナノール混合物にする。
こうして製造されるイソノナノール異性体混合物は、異性体指数によって特徴付けられ、これはイソノナノール混合物中におけるそれぞれの異性体イソノナノール成分の分岐度に、イソノナノール混合物中のイソノナノール成分のパーセント割合を掛けることによって算出できる。そこで例えば、値が0のn−ノナノール、値が1のメチルオクタノール(分岐1つ)、及び値が2のジメチルヘプタノール(分岐2つ)は、イソノナノール混合物の異性体指数に関与する。直線性が高くなればなるほど、該当するイソノナノール混合物の異性体指数は、それだけ低くなる。これに応じて、イソノナノール混合物の異性体指数は、イソノナノール混合物をガスクロマトグラフィーで各異性体に分離することによって、またこれにより引き起こされるイソノナノール混合物中のパーセンテージ割合の定量化(ガスクロマトグラフィー分析の標準的な方法により特定)によって測定される。揮発性の向上と、異性体のノナノールのガスクロマトグラフィー分離の改善のために、これを適切に、ガスクロマトグラフィー分析の前に、標準的な方法で、例えばN−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミドとの反応によって、トリメチルシリル化する。ガスクロマトグラフィー分析において各成分をできるだけ良好に分離するために、好適にはポリジメチルシロキサンを有するキャピラリーカラムを、固定相として用いる。このようなキャピラリーカラムは市販で手に入り、当業者にとって慣用の試験を幾つか行う必要があるだけであり、市販の多数の提供物から、この分離課題に適した工業製品を選択することができる。
本発明による方法で使用するイソノナノールは一般的に、異性体指数が0.8〜2、好適には1.0〜1.8、特に好ましくは1.1〜1.5であるイソノナノールによってエステル化及び/又はエーテル化されており、このようなイソノナノールは、先に記載の方法により製造できる。
以下、単に例示的に、本発明による方法で使用可能なイソノナノール混合物のあり得る組成を記載する。ここで留意すべきは、それぞれ記載した異性体混合物中における異性体の割合は、出発材料(例えばラフィネートII、その組成はブテンについて、製造条件によって変わり得る)の組成に依存するということであり、適用した製造条件における変動(例えば利用した触媒の老化、及び適用すべき温度と圧力条件)によって変わり得ることである。
例えば、原料としてラフィネートIIを用いて、WO 95/14647に記載の触媒と方法により、作製されたイソオクテン混合物から、コバルトで触媒したヒドロホルミル化、及び引き続いた水素化により製造されたイソノナノール混合物は、以下の組成を有する:
・3−エチル−6−メチル−ヘキサノール:1.73〜3.73質量%、好ましくは1.93〜3.53質量%、特に好ましくは2.23〜3.23質量%、
・2,6−ジメチルヘプタノール:0.38〜1.38質量%、好ましくは0.48〜1.28質量%、特に好ましくは0.58〜1.18質量%、
・3,5−ジメチルヘプタノール:2.78〜4.78質量%、好ましくは2.98〜4.58質量%、特に好ましくは3.28〜4.28質量%、
・3,6−ジメチルヘプタノール:6.30〜16.30質量%、好ましくは7.30〜15.30質量%、特に好ましくは8.30〜14.30質量%、
・4,6−ジメチルヘプタノール:5.74〜11.74質量%、好ましくは6.24〜11.24質量%、特に好ましくは6.74〜10.74質量%、
・3,4,5−トリメチルヘキサノール:1.64〜3.64質量%、好ましくは1.84〜3.44質量%、特に好ましくは2.14〜3.14質量%、
・3,4,5−トリメチルヘキサノール、3−メチル−4−エチルヘキサノール、及び3−エチル−4−メチルヘキサノール:1.47〜5.47質量%、好ましくは1.97〜4.97質量%、特に好ましくは2.47〜4.47質量%、
・3,4−ジメチルヘプタノール:4.00〜10.00質量%、好ましくは4.50〜9.50質量%、特に好ましくは5.00〜9.00質量%、
・4−エチル−5−メチルヘキサノール、及び3−エチルヘプタノール:0.99〜2.99質量%、好ましくは1.19〜2.79質量%、特に好ましくは1.49〜2.49質量%、
・4,5−ジメチルヘプタノール、及び3−メチルオクタノール:2.45〜8.45質量%、好ましくは2.95〜7.95質量%、特に好ましくは3.45〜7.45質量%、
・4,5−ジメチルヘプタノール:1.21〜5.21質量%、好ましくは1.71〜4.71質量%、特に好ましくは2.21〜4.21質量%、
・5,6−ジメチルヘプタノール:1.55〜5.55質量%、好ましくは2.05〜5.05質量%、特に好ましくは2.55〜4.55質量%、
・4−メチルオクタノール:1.63〜3.63質量%、好ましくは1.83〜3.43質量%、特に好ましくは2.13〜3.13質量%、
・5−メチルオクタノール:0.98〜2.98質量%、好ましくは1.18〜2.78質量%、特に好ましくは1.48〜2.48質量%、
・3,6,6−トリメチルヘキサノール:0.70〜2.70質量%、好ましくは0.90〜2.50質量%、特に好ましくは1.20〜2.20質量%、
・7−メチルオクタノール:1.96〜3.96質量%、好ましくは2.16〜3.76質量%、特に好ましくは2.46〜3.46質量%、
・6−メチルオクタノール:1.24〜3.24質量%、好ましくは1.44〜3.04質量%、特に好ましくは1.74〜2.74質量%、
・n−ノナノール:0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2質量%、特に好ましくは0.3〜1質量%、
・炭素原子を9個及び10個有するその他のアルコール25〜35質量%、好ましくは28〜33質量%、特に好ましくは29〜32質量%、ただし、上記成分の合計量は100質量%となる。
上記態様に相応して、原料としてエチレン含有ブテン混合物を用いて、コバルトで触媒したヒドロホルミル化、及び引き続いた水素化により、PolyGas(登録商標)法、又はEMOGAS(登録商標)法により製造したイソオクテン混合物から製造されたイソノナノール混合物は、以下の範囲の組成を有することができ、これは原料の組成と、適用した反応条件の変動に応じて変わり得る:
・n−ノナノール:6.0〜16.0質量%、好ましくは7.0〜15.0質量%、特に好ましくは8.0〜14.0質量%、
・6−メチルオクタノール:12.8〜28.8質量%、好ましくは14.8〜26.8質量%、特に好ましくは15.8〜25.8質量%、
・4−メチルオクタノール:12.5〜28.8質量%、好ましくは14.5〜26.5質量%、特に好ましくは15.5〜25.5質量%、
・2−メチルオクタノール:3.3〜7.3質量%、好ましくは3.8〜6.8質量%、特に好ましくは4.3〜6.3質量%、
・3−エチルヘプタノール:5.7〜11.7質量%、好ましくは6.3〜11.3質量%、特に好ましくは6.7〜10.7質量%、
・2−エチルヘプタノール:1.9〜3.9質量%、好ましくは2.1〜3.7質量%、特に好ましくは2.4〜3.4質量%、
・2−プロピルヘキサノール:1.7〜3.7質量%、好ましくは1.9〜3.5質量%、特に好ましくは2.2〜3.2質量%、
・3,5−ジメチルヘプタノール:3.2〜9.2質量%、好ましくは3.7〜8.7質量%、特に好ましくは4.2〜8.2質量%、
・2,5−ジメチルヘプタノール:6.0〜16.0質量%、好ましくは7.0〜15.0質量%、特に好ましくは8.0〜14.0質量%、
・2,3−ジメチルヘプタノール:1.8〜3.8質量%、好ましくは2.0〜3.6質量%、特に好ましくは2.3〜3.3質量%、
・3−エチル−4−メチルヘキサノール:0.6〜2.6質量%、好ましくは0.8〜2.4質量%、特に好ましくは1.1〜2.1質量%、
・2−エチル−4−メチルヘキサノール:2.0〜4.0質量%、好ましくは2.2〜3.8質量%、特に好ましくは2.5〜3.5質量%、
・炭素原子を9個有するその他のアルコール0.5〜6.5質量%、好ましくは1.5〜6質量%、特に好ましくは1.5〜5.5質量%、
ただし、前述の成分は合計で100質量%となる。
デカノール
本発明による方法で使用するアルコール成分は、イソデカノールであり、これは単独の化合物ではなく、様々に分岐した異性体デカノールの複雑な混合物である。
これらは一般的に、ニッケル又はブレンステッド酸触媒によるプロピレンの三量化により、例えば先に説明したPolyGas(登録商標)法若しくはEMOGAS(登録商標)法、続いてこの際に得られるイソノネン異性体混合物のヒドロホルミル化により、均一系のロジウムカルボニル又はコバルトカルボニル触媒を用いて、好適にはコバルトカルボニル触媒を用いて、生成するイソデカナール異性体混合物を水素化し、例えば先にC7〜C9アルカノールの製造で挙げた触媒及び方法(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry; 5. Auflage, Bd. A1, p. 293, VCH Verlagsgesellschaft GmbH, Weinheim 1985)によって、製造される。こうして製造されたイソデカノールは一般的に、高度に分岐している。
本発明による方法で使用する2−プロピルヘプタノールは、純粋な2−プロピルヘプタノールであってよく、又は、一般的に2−プロピルヘプタノールの工業的な製造で形成され、普通は同様に2−プロピルヘプタノールと呼ばれるプロピルヘプタノールの異性体混合物であり得る。
純粋な2−プロピルヘプタノールは、n−バレルアルデヒドのアルドール縮合、及びこの際に形成される2−プロピルヘプテナールの後続の水素化によって得られる(例えばUS-A 2921089に記載の通り)。市販で得られる2−プロピルヘプタノールは一般的に、主成分の2−プロピルヘプタノールに加えて、製造条件に応じて1種以上の2−プロピルヘプタノール異性体、すなわち2−プロピル−4−メチルヘキサノール、2−プロピル−5−メチルヘキサノール、2−イソプロピルヘプタノール、2−イソプロピル−4−メチルヘキサノール、2−イソプロピル−5−メチルヘキサノール、及び/又は2−プロピル−4,4−ジメチルペンタノールを含有する。2−プロピルヘプタノールのその他の異性体、例えば2−エチル−2,4−ジメチルヘキサノール、2−エチル−2−メチルヘプタノール、及び/又は2−エチル−2,5−ジメチルヘキサノールが、2−プロピルヘプタノール中で存在することも可能である;アルデヒド前駆体の形成率が低いため、これらの異性体が、アルドール縮合の関連でそもそも存在する場合には、2−プロピルヘプタノール中に痕跡量でのみ含有されており、このような2−プロピルヘプタノール異性体混合物から製造される化合物の可塑剤特性については、実質的に重要ではない。
2−プロピルヘプタノールを製造するための出発材料としては、様々な炭化水素源を利用することができ、それは例えば1−ブテン、2−ブテン、ラフィネートI(クラッキングのC4留分から、アレン、アセチレン、及びジエンを分離した後に得られるアルカン/アルケン混合物、1−ブテンと2−ブテンの他にさらにイソブテンをかなりの量で含有するもの)、又はラフィネートII(ラフィネートIから、イソブテンを分離することによって得られ、オレフィン成分として1−ブテン及び2−ブテンの他に、なお僅かにイソブテン割合を含有するもの)である。もちろんまた、ラフィネートI、及びラフィネートII化蘭留混合物も、2−プロピルヘプタノールを製造するための原料として使用できる。これらのオレフィン、又はオレフィン混合物は、それ自体従来の方法に従って、コバルト又はロジウム触媒によりヒドロホルミル化することができ、ここで1−ブテンから、n−バレルアルデヒドとイソバレルアルデヒドとの混合物(イソバレルアルデヒドという呼称は、2−メチルブタナールという化合物を表す)が形成され、そのn/イソ比は、使用する触媒とヒドロホルミル化条件に応じて、比較的広い境界で変えることができる。例えばトリフェニルホスフィン変性した均一系ロジウム触媒(Rh/TPP)を用いる場合、1−ブテンから、n−バレルアルデヒド及びイソバレルルデヒドが、n/イソ比が一般的に10:1から20:1で形成され、これに対してホスファイト配位子を用いる場合(例えばUS-A 5288918、若しくはWO 05/028407に記載のように)、又はホスホルアミジット配位子を用いる場合(例えばWO 02/83695に記載のように)、変性ロジウムヒドロホルミル化触媒は、ほぼn−バレルアルデヒドのみを形成する。Rh/TPP触媒系が、2−ブテンをヒドロホルミル化の際に非常にゆっくりとのみ反応させる間、これによって2−ブテンの大部分をヒドロホルミル化混合物から再度回収することが可能になり、2−ブテンのヒドロホルミル化は、言及したホスファイト配位子、又はホスホルアミジット配位子で変性されたロジウム触媒によって行われ、ここで主にn−バレルアルデヒドが形成される。これに対して、オレフィン原料中に含有されるイソブテンは、速度は異なるとは言え、実質的に全ての触媒系によりヒドロホルミル化されて、3−メチルブタナールになり、また触媒に応じて僅かな量でピバルアルデヒドになる。
使用される出発材料と触媒に応じて得られるC5アルデヒド(すなわちn−バレルアルデヒド、場合によりイソバレルアルデヒド、3−メチルブタナール、及び/又はピバルアルデヒドとの混合物で)は、アルドール縮合の前に、所望の場合、完全に、又は部分的に蒸留により各成分に分離することができ、これによってここではまた、異性体の組成によって、本発明による製造方法で使用されるC10アルコール成分の異性体組成に影響を与え、かつ制御する可能性が生じる。同様に、C5アルデヒド混合物(例えばヒドロホルミル化で形成されるもの)を、アルドール縮合の各異性体を事前に分離せずに供給することが可能である。塩基性触媒(例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液)を用いて、例えばEP-A 366089、US-A 4426524、又はUS-A 5434313に記載された方法で実施可能なアルドール縮合の場合、唯一の縮合生成物としてn−バレルアルデヒドを使用する際に、2−プロピルヘプタナールが生じ、これに対してC5アルデヒドの異性体混合物を使用する場合、同じアルデヒド分子のホモアルドール縮合の生成物と、様々なバレルアルデヒド異性体の交差アルドール縮合の反応生成物との異性体混合物が形成される。アルドール縮合はもちろん、各異性体の適切な反応によって、主に、又は完全に個々のアルドール縮合異性体が形成されるように制御できる。該当するアルドール縮合生成物は引き続き、通常は事前の、好適には蒸留による反応混合物からの分離、及び所望の場合には蒸留による精製の後に、従来の水素化触媒(例えばアルデヒドを水素化するための前述のもの)を用いて、水素化して、相応するアルコール、又はアルコール混合物にすることができる。
一般的に本発明による方法では、2−プロピルヘプタノールと、上記プロピルヘプタノール異性体との混合物が使用され、ここで2−プロピルヘプタノールの含分は、少なくとも50質量%、好適には60〜98質量%、特に好ましくは80〜95質量%、特に85〜95質量%である。
2−プロピルヘプタノールと、プロピルヘプタノール異性体との適切な混合物は例えば、2−プロピルヘプタノールを60〜98質量%、2−プロピル−4−メチル−ヘキサノールを1〜15質量%、及び2−プロピル−5−メチル−ヘキサノールを0.01〜20質量%、及び2−イソプロピルヘプタノールを0.01〜24質量%含有するものであり、ここで各成分の割合の合計は、100質量%を超えない。各成分の割合は好ましくは、合計で100質量%になる。
2−プロピルヘプタノールと、プロピルヘプタノール異性体とのさらなる適切な混合物は例えば、2−プロピルヘプタノールを75〜95質量%、2−プロピル−4−メチル−ヘキサノールを2〜15質量%、及び2−プロピル−5−メチル−ヘキサノールを1〜20質量%、2−イソプロピルヘプタノールを0.1〜4質量%、2−イソプロピル−4−メチルヘキサノールを0.1〜2質量%、及び2−イソプロピル−5−メチルヘキサノールを0.1〜2質量%含有するものであり、ここで各成分の割合の合計は、100質量%を超えない。各成分の割合は好ましくは、合計で100質量%になる。
2−プロピルヘプタノールと、プロピルヘプタノール異性体との好ましい混合物は、2−プロピルヘプタノールを85〜95質量%、2−プロピル−4−メチル−ヘキサノールを5〜12質量%、及び2−プロピル−5−メチルヘキサノールを0.1〜2質量%、及び2−イソプロピルヘプタノールを0.01〜1質量%、含有するものであり、ここで各成分の割合の合計は、100質量%を超えない。各成分の割合は好ましくは、合計で100質量%になる。
純粋な2−プロピルヘプタノールに代えて、前述の2−プロピルヘプタノール異性体混合物を用いる場合、生成物のアルキルエステル基の異性体の組成は実質的に、エステル化に使用するプロピルヘプタノール異性体混合物の組成に相当する。
ウンデカノール
本発明による方法で使用するウンデカノールは、直鎖状、若しくは分枝状であってよく、又は直鎖状及び分枝状ウンデカノールの混合物から構成されていてよい。好ましくは分枝状のウンデカノールの混合物(イソウンデカノールとも呼ばれる)を、アルコール成分として使用する。
実質的に直鎖状のウンデカノールは、ロジウム又は好適にはコバルトで触媒した1−デセンのヒドロホルミル化、及びこの際に得られるn−ウンデカナールを引き続き水素化することによって得られる。出発オレフィンの1−デセンは、先に1−オクテンの製造の際に言及したSHOP法で製造される。
分枝状イソウンデカノールを製造するために、SHOP法で得られる1−デセンを骨格異性体化にかけることができ(例えばWO 98/23566に記載されたような酸性のゼオライト分子ふるいにより)、ここで異性体のデセンの混合物が形成され、そのロジウム又は好適にはコバルトで触媒するヒドロホルミル化、及び得られたイソウンデカナール混合物を続いて水素化することにより、本発明による化合物を製造するために使用するイソウンデカノールにつながる。ロジウム触媒又はコバルト触媒を用いた1−デセン、又はイソデセン混合物のヒドロホルミル化は、先にC7〜C10アルコールの合成との関連で記載したように行うことができる。相応することが、n−ウンデカナール又はイソウンデカナールの混合物を水素化して、n−ウンデカノール及び/又はイソウンデカノールにすることにも当てはまる。
水素化の排出物を蒸留により精製した後、こうして得られたC7〜C11アルキルアルコール又はその混合物を、本発明による方法で使用することができる。
ドデカノール
実質的に直鎖状のドデカノールは、Alfol(登録商標)法、又はEpal(登録商標)法により、有利な方法で得ることができる。これらの方法は、直鎖状のトリアルキルアルミニウム化合物の酸化と加水分解を包含し、この化合物はトリエチルアルミニウムから出発して段階的に、複数のエチル化反応によって、チーグラー・ナッタ触媒を用いて構築されるものである。こうして生じる、鎖長が様々なほぼ直鎖状のアルキルアルコールの混合物からは、蒸留によりC12アルキルアルコールフラクションを排出した後、所望のn−ドデカノールが得られる。
或いは、n−ドデカノールはまた、天然の脂肪酸メチルエステルの水素添加によって、例えばココナッツオイルから製造することもできる。
分枝状のイソドデカノールは、オレフィンを補助的に二量化及び/又はオリゴマー化するための先に記載した方法と同様に、後続のヒドロホルミル化、及びイソウンデセン混合物の水素化によって得られる。水素化の排出物を蒸留により精製した後、こうして得られたイソドデカノール及び/又はその混合物を、前述のように本発明による方法で使用することができる。
本発明による方法の好ましい実施態様において、アルコキシアルカノールは、一般式R2−[O−X]n−OHの化合物から選択されており、
上記式中、
2は、非分枝状のC1〜C9アルキル基、及び分枝状C3〜C9アルキル基から選択されており、
Xは、非分枝状C2〜C3アルキル基、又は分枝状C3〜C4アルキレン基であり、かつ
nは、1、又は2の値である。
アルコールのR2−[O−X]n−OHは特に好ましくは、2−ブトキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、又はこれらの混合物である。
本発明による方法で使用するカルボン酸及び/又は無水カルボン酸は、芳香族のモノ−、ジ−、トリ−、若しくはテトラカルボン酸、脂肪族のモノ−、及びジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、脂環式のモノ−、ジ−、トリ−、若しくはテトラカルボン酸、複素環式ジカルボン酸、先に挙げたカルボン酸の無水物、及びこれらの混合物である。
本発明による方法で使用する芳香族のモノ−、ジ−、トリ−、若しくはテトラカルボン酸、及びこれらの無水物は例えば、安息香酸、無水安息香酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、及びピロメリット酸二無水物である。
本発明による方法で使用する脂肪族のモノ−及びジカルボン酸は例えば、飽和のモノ−及びジカルボン酸、例えば酢酸、酪酸、バレリアン酸、コハク酸、アジピン酸、又はセバシン酸であり、不飽和のモノ−及びジカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、又はフマル酸、並びに任意で前述のカルボン酸の無水物である。
本発明による方法で使用するヒドロキシカルボン酸は例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸、並びに任意でこれらの無水物である。
本発明による方法で使用する脂環式モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラカルボン酸は例えば、前記芳香族のモノ−、ジ−、トリ−、又はテトラカルボン酸の核が水素化された誘導体であり、それは例えば、シクロヘキサンカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、又は1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、並びに任意でこれらの無水物である。
本発明による方法で使用される複素環式ジカルボン酸は例えば、2,5−フランジカルボン酸、又は2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸である。
本発明による方法の好ましい態様においてカルボン酸及び/又は無水カルボン酸は、酢酸、無水酢酸、安息香酸、無水安息香酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、及びピロメリット酸二無水物から選択される。カルボン酸及び/又は無水カルボン酸は特に好ましくは、酢酸、無水酢酸、安息香酸、無水安息香酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸から選択される。本発明による方法では特に、カルボン酸及び/又は無水カルボン酸として酢酸、無水酢酸、又はテレフタル酸を使用する。
可塑剤用途
光学的な特性がより重要となるプラスチックでは、その製造に使用される可塑剤が、固有の色を僅かにしか有さない、すなわち色価が低いことが通常望ましい。
本発明による方法で製造されるカルボン酸エステルは、特に色価が低いことによって特徴付けられる。よってこのカルボン酸エステルは可塑剤として、又は熱可塑性ポリマー、及びエラストマー用の可塑剤における使用のために有利に適している。
さらに、本発明による方法で製造したカルボン酸エステルは、触媒としての高純度メタンスルホン酸(Lutropur(登録商標)MSA、又はLutropur(登録商標)MSA 100)によって、合計塩素含分が僅かであり、かつ硫酸塩含分も僅かである。
本発明による方法で製造したカルボン酸エステルは通常、熱可塑性により加工可能な全てのポリマーにおいて使用することができ、このようなポリマーを製造するために可塑剤として使用できる。これらの熱可塑性ポリマーは好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)、酢酸ビニルのホモポリマーとコポリマー、及びスチレンのホモポリマーとコポリマー、ポリアクリレート、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はポリスルフィド、及びこれらの混合物である。
本発明による方法で製造されるカルボン酸エステルはさらに、エラストマー製造の際に使用することができる。天然ゴム(NR)、又は合成経路で製造されたゴムは好ましくは、例えばポリイソプレンゴム(IR)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、又はクロロプレンゴム(CR)である。
本発明を、以下に記載する図面と実施例により詳細に説明する。ここで図面と実施例は、本発明を制限するものと理解されるべきではない。
以下の実施例と図面では、以下の略号を使用する:
MSA:メタンスルホン酸
PTSA:パラトルエンスルホン酸
MSTFA:N−メチル−N−(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド
DOTP:ビス(2−エチルへキシル)テレフタレート(ジオクチルテレフタレート)
DINP:ジイソノニルフタレート
TOTM:トリス(2−エチルへキシル)トリメリテート
APHA:米国公衆衛生協会
OiPr:イソプロパノレート。
MSAで触媒されたテレフタル酸及び2−エチルヘキサノールのエステル化反応の経過(実施例1)を、反応混合物においてガスクロマトグラフィーで測定した反応生成物(DOTP)、出発物質の2−エチルヘキサノール、並びに副生成物のジ(2−エチルへキシル)エーテルのパーセンテージ割合により示す。さらに、分離した水の量が記載されている。
実施例
I)分析調査
I.a ガスクロマトグラフィー試験:
ガスクロマトグラフィー試験のため、試料にMSTFA(N−メチル−N−(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)を加え、30分間100℃に加熱し、これによって全ての酸性プロトンを、相応するトリメチルシリル基に移行させた。冷却後に、試料をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で希釈した。
ガスクロマトグラフィーによる分離システムと分離法についての記載
・測定装置:Agilent 6890シリーズ
・インジェクタ:スプリット/スプリットレス、siltecで不活性処理済みのスプリットライナー付(Restec #20713-214.5)
・カラム:Macherey & Nagel社製のOptima 1(長さ=25m、内径=0.25mm、外径=0.40mm、膜厚0.25μm)
・検知器:1分当たり300mlの空気、1分当たり30mlの水素、及び1分当たりメイクアップガス(窒素)30mlを有するFID
・キャリアガス:窒素。
・流量:8.3PSIで0.7ml/分(炉温80℃で)
・スプリット:1:36、スプリット流量28ml/分、隔壁パージ2.0ml/分(炉温80℃で)
・インジェクタ温度:340℃
・注入体積:1μl
・検知温度320℃
・温度プログラム
開始時:120℃
滞留時間1:0分
温度勾配1:20℃/分
最終温度1:350℃
滞留時間2:5分
合計稼働時間:16.5分。
試料が高沸点成分を含有する場合、滞留時間2はまた、30分に調整することができる。この場合、合計稼働時間は、41.5分に伸びる。
評価:面積%によるEmpower-3-Software
・保持時間:
DOTP(ピーク1) 10.456分(メインピーク)
DOTP(ピーク2) 10.202分(ピーク1の異性体)
2−エチル−1−ヘキサノール−MSTFA 2.87分
2−エチル−1−へキシルメシレート 4.44分
テレフタル酸−MSTFA 6.39分
モノエステル−MSTFA 8.52分
エチルヘキサノールジエーテル 4.89分。
I.b:酸価の測定
酸価の測定(試料1g当たりのmg KOHで記載)は、プロパノール中で電位差滴定により、0.1mol/Lのテトラブチルアンモニウム水酸化物の標準的な溶液で行う。この測定は、Metrohm社の装置と電極で行う。
I.c:APHAによるヘイズ・色価の測定
ヘイズ・色価の測定は、DIN/EN/ISO 6271 -2(2005年3月)を用いて、比較対象としての水に対してバルクで行う。測定のため、直径11mmの丸形キュベットを用いる。測定装置としては例えば、Photometer Dr. Lange LICO 400を用いることができる。
II)製造例
実施例1:
触媒としてMSAを用いて、テレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
1.6Lのダブルジャケット式撹拌反応器(プログラム可能なサーモスタットによって加熱可能であり、アンカー式撹拌機、Jennewein構造の水分離器、凝縮器、窒素導入部、及び真空ポンプ用の接続部を備えるもの)中に、テレフタル酸(249g、1.50mol)、2−エチルヘキサノール(469g、3.60mol)、及びメタンスルホン酸(BASF社製のLutropur MSA、約70質量%の水溶液6.13g、0.045mol)を装入し、反応器を窒素で不活性化した。装置を通す窒素流を2〜4Lh-1に調整し、反応混合物を180℃に加熱し、ここで水と2−エチルヘキサノールとの共沸混合物が形成され、これを凝縮器で液状化し、水分離器に移した。相分離の後、有機相を反応器に返送し、一方で水相は廃棄した。分離した水の量を秤量し、反応のモニタリングに用いた。一定の蒸留流を保証するため、そして反応を完全な転化率にするため、温度を4時間以内に段階的に200℃に上げ、続いて2時間以内に215℃に上げた。ここでは、反応混合物が透明な溶液として存在し、かつ算出した水の量が、反応、及び使用したメタンスルホン酸から回収されるまで(56g)、温度を保った。反応時間は7.25時間であった。さらに、反応混合物をガスクロマトグラフィーによって試験した。室温に冷却後、バッチの酸価を公知の方法により測定し、バッチを1.2%のNaOH150mL(測定した酸価に対して50%過剰)でアルカリ性にした。相の分離後、バッチを水で中性に洗浄し、過剰な2−エチルヘキサノール、並びにDOTPよりも沸点が低いさらなる化合物を全て、真空で抜き取った(205℃、8mbar)。こうして得られた生成物を、圧力式フィルターヌッチェを介して濾過した。反応時間:7.25時間。収率:91%。GC含分:98.73%DOTP(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):12。
実施例2:
触媒としてMSAを用いて、減圧下でテレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
反応は、実施例1に記載したように行った。ただし、反応の間の圧力を、750mbarから400mbarに低下させ、温度は140〜180℃に保った。反応時間8時間。収率:96%。GC含分:97.27%DOTP(面積%)。
実施例3:
触媒としてMSAを用いて、無水フタル酸とイソノナノールからジイソノニルフタレート(DINP)を合成
1.6Lのダブルジャケット式撹拌反応器(プログラム可能なサーモスタットによって加熱可能であり、アンカー式撹拌機、Jennewein構造の水分離器、凝縮器、窒素導入部、及び真空ポンプ用の接続部を備えるもの)中に、無水フタル酸(224g、1.50mol)、イソノナノール(BASF SE社製のNonanol N:519g、3.60mol)、及びメタンスルホン酸(BASF社製のLutropur MSA、約70質量%の水溶液3.07g、0.023mol)を装入し、反応器を窒素で不活性化した。装置を通す窒素流を2〜4Lh-1に調整し、反応混合物を170℃に加熱し、ここで水とイソノナノールとの共沸混合物が形成され、これを凝縮器で液状化し、水分離器に移した。相分離の後、有機相を反応器に返送し、一方で水相は廃棄した。分離した水の量を秤量し、反応経過のモニタリングに用いた。一定の蒸留流を保証するため、そして反応を完全な転化率にするため、温度を2時間以内に段階的に217℃に上げた。2.5時間後に、算出した水の量が分離され、反応混合物を室温に冷却した。バッチの酸価は公知の方法により測定し、バッチを1.2%のNaOH150mL(測定した酸価に対して50%過剰)でアルカリ性にした。相の分離後、バッチを水で中性に洗浄し、過剰なイソノナノール、並びにDINPよりも沸点が低いさらなる化合物を全て、真空で抜き取った(231℃、8mbar)。こうして得られた生成物を、圧力式フィルターヌッチェを介して濾過した。反応時間2.5時間。収率:92.8%。GC含分:99.65%DINP(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):22。酸価:0.1mgKOH/g。
実施例4:
触媒としてMSAを用いて、無水トリメリット酸及び2−エチルヘキサノールから、トリス(2−エチルへキシル)トリメリテート(TOTM)を合成
1.6Lのダブルジャケット式撹拌反応器(プログラム可能なサーモスタットによって加熱可能であり、アンカー式撹拌機、Jennewein構造の水分離器、凝縮器、窒素導入部、及び真空ポンプ用の接続部を備えるもの)中に、無水トリメリット酸(252.2g、1.31mol)、2−エチルヘキサノール(564g、4.33mol)、及びメタンスルホン酸(BASF社製のLutropur MSA、約70質量%の水溶液2.68g、0.020mol)を装入し、反応器を窒素で不活性化した。装置を通す窒素流を2〜4Lh-1に調整し、反応混合物を180℃に加熱し、ここで水と2−エチルヘキサノールとの共沸混合物が形成され、これを凝縮器で液状化し、水分離器に移した。相分離の後、有機相を反応器に返送し、一方で水相は廃棄した。分離した水の量を秤量し、反応のモニタリングに用いた。一定の蒸留流を保証するため、そして反応を完全な転化率にするため、温度を3時間以内に段階的に208℃に上げた。続いて、算出した水の量が、反応、及び使用したメタンスルホン酸から回収されるまで(49g)、温度を保った。反応時間は3時間であった。室温に冷却後、バッチの酸価を公知の方法により測定し、バッチを1.80gの炭酸水素ナトリウム(測定した酸価に対して50%過剰)でアルカリ性にした。過剰な2−エチルヘキサノール、並びにTOTMよりも沸点が低いさらなる化合物を全て、真空で抜き取った(197℃、6mbar)。こうして得られた生成物を、圧力式フィルターヌッチェを介して濾過した。反応時間3時間。収率:93%。GC含分:97.40%TOTM(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):38。
実施例5:
触媒としてPTSAを用いて、テレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
DOTPを実施例1に記載した方法により製造した。ただし、メタンスルホン酸の代わりに、PTSA(8.56g、0.045mol)を触媒として使用した(Sigma Aldrich社製のp−トルエンスルホン酸一水和物、ACS試薬グレード、98.5%以上、SO4 2-0.3%未満)。反応時間8時間。収率:91%。GC含分:98.09%DOTP(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):24。
比較例V1:
触媒としてMSAを用いて、窒素無しでテレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
DOTPを実施例1に記載した方法により製造した。ただし、窒素の導入を省略した。反応時間14時間。収率:91%。GC含分:99%DOTP(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):578。
比較例V2:
触媒として硫酸を用いて、テレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
DOTPを実施例1に記載した方法により製造した。ただし、メタンスルホン酸の代わりに、触媒として硫酸(2.22g、0.023mol)を使用した。温度は、反応終了時に236℃であった。反応時間:8時間。収率:88%。GC含分:99.37%DOTP(面積%)。ヘイズのスケールで測定するには、色価が高すぎた。ヨウ素色価:8.6。
比較例V3:
触媒としてTi(OiPr)4を用いて、テレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
DOTPを実施例1に記載した方法により製造した。ただし、メタンスルホン酸の代わりに、触媒としてTi(OiPr)4(2.22g、0.023mol)を使用した。温度は、反応終了時に233℃であった。反応時間:18時間。収率:82%。GC含分:97.70%DOTP(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):25。
実施例6:
触媒としてPTSAを用いて、無水トリメリット酸と2−エチルヘキサノールからTOTMを合成
TOTMを実施例4に記載した方法により製造した。ただし、メタンスルホン酸の代わりに、PTSA(3.88g、0.02mol)を触媒として使用した(Sigma Aldrich社製のp−トルエンスルホン酸一水和物、ACS試薬グレード、98.5%以上、SO4 2-0.3%未満)。温度は、反応終了時に207℃であった。反応時間:4時間。収率:91%。GC含分:96.99%TOTM(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):104。
比較例V4:
触媒としてTi(OiPr)4を用いて、無水トリメリット酸と2−エチルヘキサノールからTOTMを合成
TOTMを実施例4に記載した方法により製造した。ただし、メタンスルホン酸の代わりに、触媒としてTi(OiPr)4(1.11g、0.004mol)を使用した。温度は、反応終了時に217℃であった。反応時間:6時間。収率:90%。GC含分:96.93%TOTM(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):187。
実施例7:
触媒としてPTSA(Sigma-Aldrich社製、ACS試薬グレード98.5%以上、SO4 2-0.3%未満)を用いて無水フタル酸とイソノナノール(BASF SE社製のNonanol N)から、DINPを合成
DINPを実施例3に記載した方法で、無水フタル酸224g(1.50mol)、及びNonanol N 476g(3.30mol)から製造した。ただし、メタンスルホン酸の代わりに、触媒としてPTSA(4.37g、0.023mol)を使用した。温度は、反応終了時に217℃であった。
反応時間:4時間。収率:94%。GC含分:99.32%TOTM(面積%)。色価(APHA、ヘイズ):38。
比較例V5:
合計塩素含分及び硫酸塩含分が高いMSAを用いて、テレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
DOTPを例1のように製造した。ただし、合計塩素含分及び硫酸塩含分が高いMSAを使用した。後処理後に色価は57(APHA、ヘイズ)であり、バッチはさらに同定しなかった。
比較例V6:
硫酸塩含分が高いPTSAを用いて、テレフタル酸と2−エチルヘキサノールからDOTPを合成
DOTPを例5のように製造した。ただし、硫酸塩含分が高いPTSAを触媒として使用した。後処理後に色価は44(APHA、ヘイズ)であり、バッチはさらに同定しなかった。
III)オレイン酸をベースとし、不活性ガスを供給しないモデル系を用いた、使用するエステル化触媒の品質に依存したエステル化生成物の変色に関する比較試験
オレイン酸と2−エチルヘキサノールとの等モル混合物を80g、100mLの実験室用ガラス瓶に秤量し、1質量%の酸(MSA、及び硫酸)及び/又は2質量%のPTSA(MSAの場合96g/molに対して、190g/molというほぼ二倍のモル質量に基づく)を加えた。様々な瓶を15個ある加熱撹拌ブロックに置き、150℃で24時間にわたって撹拌した。引き続き、各混合物から試料を取り出し、ヘイズ・色価を測定した:
Figure 0006300914
硫酸塩含分が高い酸触媒を使用することによって、色価が悪くなることが分かる。

Claims (22)

  1. 1つ以上の反応器から構成される反応系において、少なくとも1種のカルボン酸及び/又は少なくとも1種の無水カルボン酸と、少なくとも1種のアルコールR1−OH及び/又は少なくとも1種のアルコールR2−[O−X]n−OHとを含有する反応混合物を反応させる、カルボン酸エステルの製造方法であって、
    前記式中、
    1は、非分枝状及び分枝状C5〜C13アルキル基及びC5〜C6シクロアルキル基から選択されており、ここでシクロアルキル基は非置換であるか、又は少なくとも1個のC1〜C10アルキル基によって置換されていてよく、
    2は、非分枝状C1〜C13アルキル基及び分枝状C3〜C13アルキル基から選択されており、
    Xは、非分枝状C2〜C5アルキレン基又は分枝状C3〜C5アルキレン基であり、かつ
    nは、1、2、又は3の値であり、
    ただし、前記反応は、
    ・メタンスルホン酸及びトルエンスルホン酸から選択される少なくとも1種の触媒であって、前記メタンスルホン酸の硫酸塩含分が最大50ppmであり、前記トルエンスルホン酸の硫酸塩含分が0.3%未満である、前記触媒の存在下で、
    ・反応条件下で不活性であるガスを前記反応系に供給しながら、
    ・125℃〜240℃という反応混合物温度で、
    ・反応の間に形成された水の少なくとも一部を、使用したアルコールR1−OH及び/又はR2−[O−X]n−OHとの共沸混合物の形で留去しながら、
    行われ、留去したアルコールR1−OH及び/又はR2−[O−X]n−OHを少なくとも部分的に、前記反応系に返送する、前記製造方法。
  2. 前記反応器の少なくとも1つへ、前記不活性ガスを前記反応混合物の液体表面の下方で導入し、前記反応混合物を不活性ガスでバブリングする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記反応系が、少なくとも2つの反応器から成るカスケードを有し、前記不活性ガスを少なくとも前記カスケードの第一の反応器に供給する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記反応を連続的に行う、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記不活性ガスとして窒素を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記基R1が、n−オクチル、2−エチルへキシル、n−ノニル、イソノニル、イソデシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル及びイソウンデシルから選択されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記アルコールR1−OHとして、2−エチルヘキサノールを使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記式R2−[O−X]n−OH中、
    2は、非分枝状C1〜C9アルキル基及び分枝状C3〜C9アルキル基から選択されており、
    Xは、非分枝状C2〜C3アルキレン基又は分枝状C3〜C4アルキレン基であり、かつ
    nは、1又は2の値である、
    請求項1から7までのいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記アルコールR2−[O−X]n−OHとして、2−ブトキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、又は上記アルコールの混合物を使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記カルボン酸及び/又は前記無水カルボン酸が、芳香族のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸、脂肪族のモノカルボン酸及びジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、脂環式のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸、複素環式のジカルボン酸、上記カルボン酸の無水物、及びこれらの混合物から選択されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記カルボン酸及び/又は前記無水カルボン酸が、酢酸、無水酢酸、安息香酸、無水安息香酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、及びピロメリット酸二無水物から選択されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記カルボン酸及び/又は前記無水カルボン酸が、酢酸、無水酢酸、安息香酸、無水安息香酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及び無水トリメリット酸から選択されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の製造方法。
  13. テレフタル酸と2−エチルヘキサノールとの反応により、ビス(2−エチルへキシル)テレフタレートを製造するための、請求項1から12までのいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 2−ブトキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)−エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール若しくは3−メトキシプロパノールと、酢酸若しくは無水酢酸との反応により、2−ブトキシエチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート及び3−メトキシプロピルアセテートを製造するための、請求項1から12までのいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 少なくとも1種のアルコールR1−OH、及び/又は少なくとも1種のアルコールR2−[O−X]n−OHが、使用するカルボン酸材料のカルボン酸当量に対して1.01〜2.0倍のモル過剰で存在する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記触媒としてメタンスルホン酸を使用する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 使用するメタンスルホン酸の合計塩素含分が、最大20ppmである、請求項16に記載の製造方法。
  18. 使用するメタンスルホン酸の合計塩素含分が、最大5ppmである、請求項16に記載の製造方法。
  19. 使用するメタンスルホン酸の合計塩素含分が、最大1ppmである、請求項16に記載の製造方法。
  20. 使用するメタンスルホン酸の硫酸塩含分が、最大20ppmである、請求項16から19までのいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 前記触媒を、反応させるべきカルボン酸基の数に対して0.5〜5mol%の量で使用する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 請求項1から21までのいずれか1項に記載の製造方法によって得られる少なくとも1種のエステル化合物の、可塑剤としての、又は熱可塑性ポリマー及びエラストマー用の可塑剤における使用。
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