JP6296597B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。
携帯電話、パーソナルコンピューター用の電源、さらには自動車用電源等として、リチウムイオン二次電池等の電池が用いられている。また、斯かる用途に使用される電池では、安全性の確保、サイクル特性の改善、ハイレート特性等の各種特性の向上を目的とした研究が重ねられている。
例えば、特許文献1には、リチウムビス(フルオロスルホニル)とカーボネート系溶媒からなるリチウムイオン二次電池が、高温下でのサイクル特性を向上させることが記載されている。また、特許文献2には、環状カーボネートが5体積%以下の非水電解液を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法が記載されている。
特開2013−145732号公報 特開2011−82101号公報
ところで、リチウムイオン二次電池では、特許文献2にも記載されているように、環状カーボネートが電解液の溶媒として用いられることが多い。これは、環状カーボネートが誘電率が高く、リチウムイオンの解離に効果的とされているためと、環状カーボネートがリチウムイオンと溶媒和してリチウムイオンの移動性を高めるためであると考えられていることによる。しかしながら、この環状カーボネートは常温で粘度が高く、使用量を多くすると、電解液の粘度が上がってしまい、ハイレート特性低下の要因となる。このため、電解液の粘度が上がりすぎないように、比較的低粘度の鎖状カーボネートを環状カーボネートと混合して使用しているのが現状である。ただし、鎖状カーボネートは誘電率が高くなく、あまり多く入れると電池性能自体が悪くなるので、例えば、LiPF6を電解質として用いる場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートの比率を、環状カーボネート/鎖状カーボネート=3/7〜5/5程度として用いている。
また、前記特許文献2には、環状カーボネートが低温での粘性を増大させ、放電容量を低下させるのを抑制するために、環状カーボネート量を低く抑えつつ、負極の表面処理に着目した発明が記載されている。しかし、負極の種類によって環状カーボネート量を低くしたことの効果がまちまちであり、さらに、本願で目的とするハイレート特性については、何ら検討されていない。本発明では、上記の現状を踏まえて、より一層、ハイレート特性やサイクル特性が改善されたリチウムイオン二次電池を提供することを課題として掲げた。
上記課題を解決し得た本発明のリチウムイオン二次電池とは、電解質塩としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを0.7〜4mol/L含み、溶媒として環状カーボネートを0超〜15体積%、鎖状カーボネートを85〜99体積%含む電解液を備えるところに特徴を有する。この場合、環状カーボネートが、5〜12体積%であること、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドが1.5〜4mol/Lであることは、いずれも本発明の好ましい実施態様である。
本発明によれば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを電解液中で0.7〜4mol/Lという高濃度にしても、ハイレート特性が良好なうえ、サイクル特性の劣化も小さいという優れた性能のリチウムイオン二次電池を提供できる。
実施例1の負極ハーフセルの充放電曲線である。 実施例2の負極ハーフセルの充放電曲線である。 比較例1の負極ハーフセルの充放電曲線である。 比較例2の負極ハーフセルの充放電曲線である。 実施例1〜3,比較例1,比較例3のレート特性を表すグラフである。 4.2Vフルセルでの実施例4と比較例4のサイクル特性を表すグラフである。 4.2Vフルセルでの実施例5と比較例4のレート特性を表すグラフである。 4.5V正極ハーフセルでの実施例6,7と比較例5のアルミニウム腐食試験結果を表すグラフである。 4.5V正極ハーフセルでの実施例8のアルミニウム腐食試験結果を表すグラフである。 4.5V正極ハーフセルでの実施例6,7と比較例5のレート特性を表すグラフである。 4.9V正極ハーフセルでの実施例9,10と比較例6のアルミニウム腐食試験結果を表すグラフである。 4.9V正極ハーフセルでの実施例10のサイクル特性を表すグラフである。 4.9V正極ハーフセルでの実施例10と比較例6のレート特性を表すグラフである。 4.4Vフルセルでのサイクル特性を表すグラフである。
1.電解質
本発明のリチウムイオン二次電池は、電解液中、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、LiFSI)を0.7〜4mol/L含有する。このLiFSIは、Liイオンが解離しやすく、高誘電率溶媒を多量に用いなくても、多くのリチウムイオンが解離すると考えられる。このため、高誘電率溶媒かつ高粘度溶媒である環状カーボネートの量を低減することができ、LiFSIの濃度を4mol/L程度まで高めても、電解液の粘度上昇に基づく電気伝導度の低下を抑制できる。LiFSIが0.7〜4mol/Lの範囲であれば、Liイオンが解離しやすいことによる上記効果が発揮され、ハイレート特性を向上させることができる。LiFSIが0.7mol/Lより少ないと、これらの効果が不充分となり電池性能が向上しないため好ましくない。しかし、4mol/Lを超えて添加すると、電解液の粘度が上昇し、電気伝導度が低下して、かえって電池性能が低下するため好ましくない。LiFSIは、1.5〜4mol/Lであることがより好ましく、2〜4mol/Lであることがさらに好ましい。
また、LiFSIは、電池駆動時に正極および/または負極と反応して、電極表面上に被膜を形成する。この被膜は、電解液分解抑制効果を有しており、これにより、電解液の性能を損なうことなく安定した容量維持作用(サイクル特性)が発揮される。
なお、LiFSIは、アルミニウム集電体を腐食させる作用を有するが、電解液中のLiFSI濃度を高めると、腐食が生じない条件があることが明らかとなった。これは、高濃度のLiFSIによって、アルミニウム集電体上にアルミニウムイオンとフルオロスルホニルイミドアニオンの錯体が形成され、この錯体がアルミニウムの腐食を抑制するものと考えられる。電圧が4.2Vの場合は、LiFSIが1mol/L以上であればアルミニウムの腐食は確認されず、電圧が4.5Vの場合は、LiFSIが1.5mol/L以上で腐食が確認されず、電圧が4.9Vと高い場合は、LiFSIが4mol/Lであれば腐食が確認されないことがわかった。このため、電解液に腐食抑制のための別な手法(例えば、腐蝕抑制剤を添加する等)を用いない場合は、電圧に応じて、LiFSI濃度を高めることが望ましい。
本発明のリチウム二次電池の電解液には、他の電解質が含まれていてもよいが、上記のように、他の電解質に比べてLiFSIはLiイオンが解離しやすいことから、電解質としては、LiFSIを単独で用いることが好ましい。LiFSIは市販品であってもよく、従来公知の方法により合成した物を用いてもよい。なお、他の電解質としては、従来公知の電解質がいずれも使用可能である。具体的には、リチウムビス(トリフルオロメチル)イミド(LiTFSI)や、LiFSIの一部がアルキル基で置換されたフルオロスルホニルイミド、例えば、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(メチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(エチルスルホニル)イミドや、トリフルオロメタンスルホン酸塩、フルオロリン酸塩、過塩素酸塩、フルオロ硼酸塩、フルオロ砒酸塩、シアノホウ酸塩、AlCl4 -、C[(CN)3-、N[(CN)2-、N[(SO2CF32-、C[(CF3SO23-、SbF6 -およびジシアノトリアゾレートイオン(DCTA)等をアニオンとする無機または有機カチオン塩等の従来公知の電解質塩(特に、LiPF6、LiPF3(C253、LiBF4、LiBF(CF33等)が使用できる。
2.溶媒
本発明の電池の電解液に用いられる溶媒は、環状カーボネートを0超〜15体積%、鎖状カーボネートを85〜99体積%を含む(25℃)。環状カーボネートが全く含まれていない場合は、鎖状カーボネートが分解してしまい、電池性能が一気に低下してしまう。また、環状カーボネートを15体積%を超えて用いると、電解液全体の粘度上昇のため、電気伝導度が低下してしまい、やはり、電池性能が低下する。環状カーボネートは溶媒中、5〜12体積%であることが、電池性能と電解液の粘度のバランスがよりよくなるため、好ましい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、2,3−ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、2−ビニルカーボネートが挙げられる。これらの中でもエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。環状カーボネートは1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、エリスリタンカーボネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液の溶媒中、環状カーボネートが0超〜15体積%、鎖状カーボネートが85〜99体積%との条件を満たせば、環状カーボネートと鎖状カーボネート以外の他の溶媒を用いてもよい。他の溶媒としては、誘電率が大きく、電解質塩の溶解性が高く、かつ、電気化学的安定範囲が広い溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒(非水系溶媒)である。
このような有機溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル(1,2−ジメトキシエタン)、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,6−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル等の脂肪族カルボン酸エステル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類;N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−ビニルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等の硫黄化合物類:エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類;ニトロメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン等を挙げることができる。
これらの中でも、脂肪族カルボン酸エステル類、ラクトン類、エーテル類が好ましく、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等がより好ましい。上記他の溶媒は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3.その他の成分
本発明で用いられる電解液は、電池の各種特性の向上を目的とする添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等のリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の不飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
上記添加剤は、本発明の電解液中の濃度が0.1質量%〜10質量%の範囲で用いるのが好ましい(より好ましくは0.2質量%〜8質量%、さらに好ましくは0.3質量%〜5質量%)。添加剤の使用量が少なすぎるときには、添加剤に由来する効果が得られ難い場合があり、一方、多量に他の添加剤を使用しても、添加量に見合う効果は得られ難く、また、余剰な添加剤の分解や、電極やセパレータ等への吸着、重合等の反応が起こり電池性能に悪影響を与える虞がある。
4.リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池とは、正極と負極とを備え、本発明の電解液を備えているところに特徴を有する。より詳細には、上記正極と負極との間にはセパレータが設けられており、かつ、本発明の電解液は、上記セパレータに含浸された状態で、正極、負極等と共に外装ケースに収容されている。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等、リチウム二次電池の形状として従来公知の形状はいずれも使用することができる。また、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載するための高電圧電源(数10V〜数100V)として使用する場合には、個々の電池を直列に接続して構成される電池モジュールとすることもできる。
4−1.正極
正極は、正極活物質、導電助剤及び結着剤等を含む正極合剤が正極集電体に担持されているものであり、通常、シート状に成形されている。
正極の製造方法としては、例えば、分散用溶媒に正極合剤を溶解又は分散させた正極活物質組成物を正極集電体にドクターブレード法等で塗工したり、正極集電体を正極活物質組成物に浸漬した後に、乾燥する方法;正極活物質組成物を混練成形し乾燥して得たシートを正極集電体に導電性接着剤を介して接合し、プレス、乾燥する方法;液状潤滑剤を添加した正極活物質組成物を正極集電体上に塗布又は流延して、所望の形状に成形した後、液状潤滑剤を除去し、次いで、一軸又は多軸方向に延伸する方法;等が挙げられる。
4−1−1.正極集電体
正極集電体の材料としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン等の導電性金属が使用できる。中でも、アルミニウムは、薄膜に加工し易く、安価であるため好ましい。
4−1−2.正極活物質
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であれば良く、リチウムイオン二次電池で使用される従来公知の正極活物質が用いられる。
具体的には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、LiMn24系で一部をNiに置換したLiNi0.5Mn1.54、LiNi1-x-yCoxMny2やLiNi1-x-yCoxAly2(0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)で表される三元系酸化物等の遷移金属酸化物、LiAPO4(A=Fe、Mn、Ni、Co)等のオリビン構造を有する化合物、遷移金属を複数取り入れた固溶材料(電気化学的に不活性な層状のLi2MnO3と、電気化学的に活性な層状のLiM’O[M’=Co、Ni等の遷移金属]との固溶体)等が正極活物質として例示できる。これらの正極活物質は、1種を単独で使用してもよく、又は、複数を組み合わせて使用してもよい。
正極活物質の使用量は、正極合剤100質量部に対して75質量部〜99質量部とするのが好ましく、より好ましくは85質量部〜97質量部である。
4−1−3.導電助剤
導電助剤はリチウムイオン二次電池を高出力化するために用いられるものであり、導電助剤としては、主に導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、金属粉末材料、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相法炭素繊維等が挙げられる。
導電助剤を用いる場合の、正極合剤中の導電助剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して、0.1質量%〜10質量%の範囲で用いるのが好ましい(より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜10質量%)。導電助剤が少なすぎると、導電性が極端に悪くなり、負荷特性及び放電容量が劣化する虞がある。一方、多すぎると正極合剤層のかさ密度が高くなり、結着剤の含有量をさらに増やす必要性がでてくるため好ましくない。
4−1−4.結着剤
結着剤としては、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、メチルメタクリレートブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム;ポリアミドイミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリアクリル酸;メチルセルロース、エチルセルロース、トリエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミノエチルセルロース等のセルロース系樹脂;エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂;等が挙げられる。これらの結着剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、正極の製造時、これらの結着剤は、溶媒に溶けた状態であっても、溶媒に分散した状態であっても構わない。
上記結着剤を用いる場合の、正極合剤中の結着剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましい(より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜10質量%)。結着剤が少なすぎると良好な密着性が得られず、正極活物質や導電助剤が集電体から脱離してしまう虞がある。一方、多すぎると内部抵抗の増加を招き電池特性に悪影響を及ぼしてしまう虞がある。
導電助剤及び結着剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性等を考慮して適宜調整することができる。
正極を製造するに際して、正極活物質組成物に用いられる溶媒としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、燐酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、燐酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、及び水等が挙げられ、例えば、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、酢酸エチル等が挙げられる。これらの溶媒は組み合わせて使用してもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、製造方法や、使用する材料に応じて適宜決定すればよい。
4−2.負極
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
負極の製造方法としては、正極の製造方法と同様の方法を採用することができる。また、負極の製造時に使用する導電助剤、結着剤、材料分散用の溶媒も、正極で用いられるものと同様のものが用いられる。
4−2−1.負極集電体
負極集電体の材料としては、銅、鉄、ニッケル、銀、ステンレス鋼(SUS)等の導電性金属を用いることができる。なお、薄膜への加工が容易である観点からは、銅が好ましい。
4−2−2.負極活物質
負極活物質としては、リチウムイオン二次電池で使用される従来公知の負極活物質を用いることができ、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであればよい。具体的には、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛材料、石炭、石油ピッチから作られるメソフェーズ焼成体、難黒鉛化性炭素等の炭素材料、Si、Si合金、SiO等のSi系負極材料、Sn合金等のSn系負極材料、リチウム金属、リチウム−アルミニウム合金等のリチウム合金を用いることができる。
負極活物質の使用量は、負極合剤100質量部に対して80質量部〜99質量部とするのが好ましく、より好ましくは90質量部〜99質量部である。
4−3.セパレータ
セパレータは正極と負極とを隔てるように配置されるものである。セパレータには特に制限がなく、本発明では、従来公知のセパレータはいずれも使用できる。具体的なセパレータとしては、例えば、非水電解液を吸収・保持するポリマーからなる多孔性シート(例えば、ポリオレフィン系微多孔質セパレータやセルロース系セパレータ等)、不織布セパレータ、多孔質金属体等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン系微多孔質セパレータは、有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質を有するため好適である。
上記多孔性シートの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造を有する積層体等が挙げられる。
上記不織布セパレータの材質としては、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、アラミド、ガラス等が挙げられ、要求される機械強度等に応じて、上記例示の材質を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
4−4.電池外装材
正極、負極、セパレータ及び電解液等を備えた電池素子は、リチウムイオン二次電池使用時の外部からの衝撃、環境劣化等から電池素子を保護するため電池外装材に収容される。本発明では、電池外装材の素材は特に限定されず従来公知の外装材はいずれも使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実験例1(負極ハーフセルのサイクル特性評価)
[電解液の調製]
実施例1では、露点−55℃以下のドライルームで、エチレンカーボネート(EC、環状カーボネート)とジメチルカーボネート(DMC、鎖状カーボネート)とを1:9(体積比)で混合し、続いて露点−80℃以下のアルゴングローブボックス内で得られた混合溶媒に、LiFSIを1M/L(mol/Lの意味;以下同様)となるように溶解させ、電解液(1)とした。
実施例2では、実施例1と同様にして、フルオロエチレンカーボネート(FEC、環状カーボネート)とDMCとを1:9(体積比)で混合した非水溶媒に、LiFSIを1M/Lとなるように溶解させ、電解液(2)とした。
比較例1では、ECとDMCとを1:1(体積比)で混合した非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が1M/L含まれている市販の電解液(キシダ化学株式会社製)を電解液(3)とした。なお、比較例1では、ECを少なくすると電池性能が出ないため、ECとDMCとを1:1(体積比)で用いた。
比較例2では、DMCにLiFSIを1M/Lとなるように溶解させ、電解液(4)とした。
[負極の作製]
グラファイトとアセチレンブラック(AB)とを乳鉢で混合した後、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na−CMC)の水溶液中に分散させ、さらに、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の水分散液を加えて、負極スラリーとした。作製したスラリーを銅箔に塗布して、大気中で乾燥させ、さらに、減圧下80℃で10時間以上乾燥させた後、プレス処理を行った。負極の組成は質量比で、グラファイト:AB:Na−CMC:SBR=95:3:1:1とし、単位面積当たりの活物質(グラファイト)量は約4.5mg/cm2とした。
[評価用負極ハーフセルの作製]
評価用の負極ハーフセルを、露点−80℃以下のアルゴングローブボックス内で作製した。電解液は、予め、アルゴングローブボックス内で、ポリエチレン製セパレーターと上記グラファイト負極に減圧含浸させておいた。ステンレス鋼製の二極式の実験セルの中に、グラファイト負極(12mmφ;作用極)と、リチウム箔(13mmφ;対極)をセパレーターを介して対向させて密封し、評価セルとした。
[サイクル試験]
評価用負極ハーフセルのサイクル安定性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電(ここでは電圧が下がる方向を充電、上がる方向を放電とする。)では負極中のグラファイトの質量に対して電流値36mAg-1の定電流充電を電圧が0.005Vに達するまで行い、続いて0.005Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が1.500Vに達するまで電流値36mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は定電流充電および放電の電流値を360mAg-1とし、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図1〜図4に示した。
図1は実施例1のサイクル特性(1〜70サイクル)の結果、図2は実施例2のサイクル特性(1〜100サイクル)の結果、図3は比較例1のサイクル特性(1〜50サイクル)の結果、図4は比較例2のサイクル特性(1〜50サイクル)の結果である。LiFSIを用いていない比較例1では、実施例1および2と比較して、サイクルを重ねるごとに容量が減少していることがわかる。また、LiFSIを用いていて環状カーボネートを用いていない比較例2では1サイクル目の充放電カーブの形から、特に、充電カーブの最も内側のカーブ(1サイクル目)の形から、溶媒の分解が大きいことがわかる。さらに、実施例1と2を比較すると、環状カーボネートとしては、実施例1のECよりも、実施例2のFECの方が100サイクルまで試験を行っても容量の低下が小さいことがわかる。
実験例2(レート特性)
実施例3として電解液中のLiFSIを2M/Lとした電解液(5)を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、負極ハーフセルを作製した。また、比較例3として、ECとDMCとを1:1(体積比)で混合した非水溶媒にLiFSIを1M/Lとなるように溶解させた電解液(6)を用いて、負極ハーフセルを作製した。
[レート試験]
評価用負極ハーフセルのレート特性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電では負極中のグラファイトの質量に対して電流値36mAg-1の定電流充電を電圧が0.005Vに達するまで行い、続いて0.005Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が1.500Vに達するまで電流値36mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は5サイクルごとに、定電流充電および放電の電流値を1C,2C,3C,5C,10C(1C=360mAg-1とする)の順に変化させ、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図5に示した。
図5では、実施例1(□)、実施例2(+)、実施例3(×)はいずれも、LiPF6を用いた比較例1(○)や、ECの量が多い比較例3(△)に比べて、特に、5Cや10Cといったハイレートでの容量が大きく、本発明例の電解液はハイレート特性に優れていることが確認できた。
実験例3(フルセルでのサイクル特性試験)
[電解液]
実施例4では電解液(1)、実施例5では電解液(2)、比較例4では電解液(3)を用いた。
[正極の作製]
LiNi1/3Mn1/3Co1/32と、アセチレンブラック(AB)を乳鉢で混合した後、ポリビニリデンジフルオライド(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液に分散させて正極スラリーとした。得られたスラリーをエッチドアルミニウム箔に塗布し、大気中100℃でNMPを除去し、さらに減圧下、100℃で10時間以上乾燥させた後、プレス処理を行った。電極の組成は質量比で、LiNi1/3Mn1/3Co1/32:AB:PVdF=85:8:7とし、単位面積当たりの活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/32)は約9.3mg/cm2とした。なお、負極は、実験例1と同様にして作製した。
[評価用フルセルの作製方法]
評価用のフルセルを、露点−80℃以下のアルゴングローブボックス内で作製した。電解液は、予め、アルゴングローブボックス内で、ポリエチレン製セパレーターと上記正極と上記負極に減圧含浸させておいた。ステンレス鋼製の二極式の実験セルの中に、上記正極(12mmφ)と、上記負極(12mmφ)をセパレーターを介して対向させて密封し、評価セルとした。
[フルセルのサイクル試験]
評価用フルセルのサイクル安定性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電(ここでは電圧が上がる方向を充電、下がる方向を放電とする。)では正極中のLiNi1/3Mn1/3Co1/32の質量に対して電流値16mAg-1の定電流充電を電圧が4.200Vに達するまで行い、続いて4.200Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.000Vに達するまで電流値16mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は定電流充電および放電の電流値を160mAg-1とし、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図6に示した。図6では、上にある方が実施例4のサイクル特性であり、500サイクル後の放電容量が約94%であった。比較例4(500サイクル後の放電容量が約87%)に比べてサイクル特性が良好であることが確認できた。
[レート試験]
評価用フルセルのレート特性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電では正極中のLiNi1/3Mn1/3Co1/32の質量に対して電流値16mAg-1の定電流充電を電圧が4.200Vに達するまで行い、続いて4.200Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.000Vに達するまで電流値16mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は5サイクルごとに、定電流充電および放電の電流値を1C,3C,5C,10C,15C,20C(1C=160mAg-1とする)の順に変化させ、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図7に示した。実施例5(△)のハイレート特性は、比較例4(○)に比べて高く、ハイレートになればなるほど、その傾向が顕著になることが確認できた。
実験例4(正極ハーフセルを用いた4.5Vでのアルミニウム腐食実験とレート試験)
[電解液]
実施例6では、EC:DMC=1:9(体積比)の溶媒中にLiFSIを1.5M/L含む電解液(7)を用いた。実施例7では、実施例3で用いた電解液(5)を用いた。また、比較例5では、比較例1で用いたLiPF6系の電解液(3)を用いた。
[正極ハーフセルの作製]
評価用の正極ハーフセルを、露点−80℃以下のアルゴングローブボックス内で作製した。電解液は、予め、アルゴングローブボックス内で、ポリエチレン製セパレーターと実験例3と同様にして作製した正極に減圧含浸させておいた。ステンレス鋼製の二極式の実験セルの中に、上記正極(12mmφ;作用極)と、リチウム箔(13mmφ;対極)をセパレーターを介して対向させて密封し、評価用正極ハーフセルとした。
[正極ハーフセルのサイクル試験]
評価用正極ハーフセルのサイクル試験を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電(ここでは電圧が上がる方向を充電、下がる方向を放電とする。)では正極中のLiNi1/3Mn1/3Co1/32の質量に対して電流値17mAg-1の定電流充電を電圧が4.500Vに達するまで行い、続いて4.500Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.000Vに達するまで電流値17mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は定電流充電および放電の電流値を170mAg-1とし、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。
初回の充放電で得られた結果を図8に示した。また、参考に、電解液(1)を用いた正極ハーフセルの結果(実施例8とする)を図9に示した。図8では、46000回/秒程度までなだらかな右上がりの曲線を示しているのが時間−電圧プロットであり、46000回/秒程度まで横軸に水平に推移し、その後一気に0にまで落ちているプロットが時間−電流プロットである。いずれもアルミニウムの腐食は起こしていない。比較例5のLiPF6系はアルミニウムを腐食させないことが知られているが、アルミニウムを腐食させやすいLiFSIを1.5M/L有する実施例6や2M/L有する実施例7では腐食が抑制されていることが確認できた。ただし、LiFSIが1M/Lである場合は、図9に示したように、電流値が一旦落ちた後、上昇しており、アルミニウムの腐食が起きていることがわかる。
[レート試験]
評価用正極ハーフセルのレート特性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電では正極中のLiNi1/3Mn1/3Co1/32の質量に対して電流値17mAg-1の定電流充電を電圧が4.500Vに達するまで行い、続いて4.500Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.000Vに達するまで電流値17mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は5サイクルごとに、定電流充電および放電の電流値を1C,2C,3C,5C(1C=170mAg-1とする)の順に変化させ、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図10に示した。実施例6(□)、実施例7(○)、比較例5(△)左側ではほぼ重なっていたが、5Cの場合、実施例6,7と、比較例5の間に有意な差が生じ、本発明例はハイレート特性に優れていることが確認できた。
実験例5(正極ハーフセルを用いた4.9Vでのアルミニウム腐食実験(サイクル試験)、レート試験)
[電解液]
実施例10では、EC:DMC=1:9(体積比)の溶媒中にLiFSIを4M/L含む電解液(8)を用いた。また、実施例9は、EC:DMC=1:9(体積比)の溶媒中にLiFSIを3M/L含む電解液(9)を用いた例である。比較例6は、比較例1で用いたLiPF6系の電解液(3)を用いた例である。
[正極の作製]
LiNi0.5Mn1.54と、アセチレンブラック(AB)を乳鉢で混合した後、ポリビニリデンジフルオライド(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液に分散させて正極スラリーとした。得られたスラリーをエッチドアルミニウム箔に塗布し、大気中100℃でNMPを除去し、さらに減圧下、100℃で10時間以上乾燥させた後、プレス処理を行った。電極の組成は質量比で、LiNi0.5Mn1.54:AB:PVdF=85:8:7とし、単位面積当たりの活物質(LiNi0.5Mn1.54)は約9.3mg/cm2とした。
[正極ハーフセルの作製]
正極ハーフセルは、上記のLiNi0.5Mn1.54を活物質とする正極を用いた以外は、実験例4と同様にして作製した。
[正極ハーフセルのサイクル試験]
評価用正極ハーフセルのサイクル試験を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電では正極中のLiNi0.5Mn1.54の質量に対して電流値14.5mAg-1の定電流充電を電圧が4.900Vに達するまで行い、続いて4.900Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.500Vに達するまで電流値14.5mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は定電流充電および放電の電流値を145mAg-1とし、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。
初回の充放電で得られた時間−電圧プロットと、時間−電流プロットを図11に示した。また、実施例10のサイクル特性を図12に示した。
図11から、4M/LのLiFSIを含む実施例10(実線)やLiPF6系の比較例6(点線)では腐食が起こっていないのに対し、実施例9(破線)ではアルミニウムの腐食が起きていることがわかる。4.9Vもの高電圧になると、3M/LのLiFSIでは、アルミニウム集電体上のアルミニウムイオンとフルオロスルホニルイミドアニオンの錯体からなる保護膜が、十分な厚さとならないためではないかと考えられる。
実施例10には、アルミニウム集電体の腐食防止効果を有するLiPF6は含まれていないが、図12から明らかなとおり、30サイクルの間、安定した充放電が可能であり、高い充電効率(×)を示した。アルミニウムが少しても不足してしまうと、充電時に余分な電流が流れるため、充放電効率は低下すると考えられるが、実施例10では、4M/LのLiFSIにより、十分な厚さのアルミニウムイオンとフルオロスルホニルイミドアニオンの錯体層が形成され、アルミニウム集電体の腐食を完全に抑制できたため、このような高い充放電効率を示したと考えられる。
[レート試験]
評価用正極ハーフセルのレート特性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電(ここでは電圧が上がる方向を充電、下がる方向を放電とする。)では正極中のLiNi0.5Mn1.54の質量に対して電流値14.5mAg-1の定電流充電を電圧が4.900Vに達するまで行い、続いて4.900Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.500Vに達するまで電流値14.5mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は5サイクルごとに定電流充電および放電の電流値を1C,2C,3C,5C(1C=145mAg-1とする)の順に変化させ、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図13に示した。実施例10(○)は比較例6(△)に比べて、ハイレート特性が優れていることが明らかである。なお、図示していないが、実施例9は初回充電までは実施例10と同様の結果であったが、その後は試験不可能であった。アルミニウム集電体の腐食のためであると考えられる。
実験例6
[電解液]
実施例11では、LiFSIが2M含まれている電解液(5)を、比較例7ではLiPF6系の電解液(3)を用いた。
[負極の作製]
グラファイトとアセチレンブラック(AB)とを乳鉢で混合した後、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na−CMC)の水溶液中に分散させ、さらに、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の水分散液を加えて、負極スラリーとした。作製したスラリーを銅箔に塗布して、大気中で乾燥させ、さらに、減圧下80℃で10時間以上乾燥させた後、プレス処理を行った。負極の組成は質量比で、グラファイト:AB:Na−CMC:SBR=95:3:1:1とし、単位面積当たりの活物質(グラファイト)量は約5.5mg/cm2とした。
[正極の作製]
LiNi1/3Mn1/3Co1/32と、アセチレンブラック(AB)を乳鉢で混合した後、ポリビニリデンジフルオライド(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液に分散させて正極スラリーとした。得られたスラリーをエッチドアルミニウム箔に塗布し、大気中100℃でNMPを除去し、さらに減圧下、100℃で10時間以上乾燥させた後、プレス処理を行った。電極の組成は質量比で、LiNi1/3Mn1/3Co1/32:AB:PVdF=85:8:7とし、単位面積当たりの活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/32)は約9.3mg/cm2とした。
[評価用フルセルの作製]
評価用のフルセルを、露点−80℃以下のアルゴングローブボックス内で作製した。電解液は、予め、アルゴングローブボックス内で、ポリエチレン製セパレーターと上記正極と上記負極に減圧含浸させておいた。ステンレス鋼製の二極式の実験セルの中に、上記正極(12mmφ)と、上記負極(12mmφ)をセパレーターを介して対向させて密封し、評価セルとした。
[フルセルのサイクル試験]
評価用フルセルのサイクル安定性を、定電流−定電圧充放電試験で評価した。初回充電(ここでは電圧が上がる方向を充電、下がる方向を放電とする。)では正極中のLiNi1/3Mn1/3Co1/32の質量に対して電流値20mAg-1の定電流充電を電圧が4.400Vに達するまで行い、続いて4.400Vで定電圧充電を行い、電流値が定電流充電時の1/10に低下したときに充電終了とした。初回放電時は電圧が3.000Vに達するまで電流値20mAg-1の定電流放電を行った。2サイクル目以降は定電流充電および放電の電流値を200mAg-1とし、それ以外は初回サイクルと同条件で充放電させた。得られた結果を図14に示した。
図14では、上のラインが実施例11で、下のラインが比較例7である。2MLiFSIとEC:DMCが1:9(体積比)である実施例11では、高電圧作動でも従来の電解液よりも優れたサイクル安定性を示し、アルミニウム集電体の腐食の心配もない。
本発明のリチウム二次電池は、ハイレート特性、サイクル特性に優れているので、各種用途に有用である。

Claims (1)

  1. 電解質塩としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを1.5〜4mol/L含み、溶媒として環状カーボネートを5〜12体積%、鎖状カーボネートを85〜99体積%含み、前記環状カーボネートと鎖状カーボネートの合計が100体積%を超えない電解液を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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