JP6666679B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関し、詳細にはガラス系セパレーター、またはセルロース系セパレーター、および非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有するため、移動体通信機器用電源、携帯情報端末用電源等として利用され、これらの端末の普及と共にその市場が急速に伸びてきており、安全性の確保、サイクル特性やエネルギー密度の向上等、電池特性の改良を目的とした様々な研究がなされている。
二次電池用セパレーターとしてはポリオレフィン系セパレーターが汎用されている。しかしながらポリオレフィン系セパレーターは耐熱性が低く、高温環境下で使用すると収縮破損等が生じて電池性能が劣化するという問題があった。
耐熱性と吸液性に優れたセパレーターとして、例えば特許文献1〜3にはセルロースを含むセパレーターやガラスを含むセパレーター(以下、「セルロース系セパレーター」、「ガラス系セパレーター」という)が提案されている。ところがセルロース系セパレーターやガラス系セパレーターは、厚みを薄くすると自己放電しやすく、また電池の充放電に伴って負極に析出したデンドライト状のリチウム金属に起因して短絡が生じやすかった。そのため、セパレーターを分厚くしたり、透気度を低くするなどの対策がなされていた。
もっともセパレーターの厚みを増加させると、セパレーターの体積比率が高くなって電池容量が低下したり、オーミック抵抗が大きくなって電池性能が低下するという問題があった。また透気度を低くすると、リチウムイオンの透過性が低下して電池性能が低下すると共に、高温環境下で発生する分解生成物によってセパレーターが目詰りを生じやすく、サイクル特性などの電池性能が低下した。
特開2014−167938号公報 特開2014−041817号公報 特開2012−221756号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、セルロース系セパレーターやガラス系セパレーターの短絡を防止しつつ、優れたイオン透過性とサイクル特性を有し、且つ高温環境下でのセパレーターの目詰りを抑制できるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明とは、正極活物質を含有する正極、負極活物質を含有する負極、セパレーター、及び非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池であって、該非水電解液は、下記一般式(1)で表されるフルオロスルホニルイミド塩(以下、「フルオロスルホニルイミド塩(1)」という)を含み、該セパレーターは、ガラスまたはセルロースを含むことに要旨を有する。
Figure 0006666679
(一般式(1)中、Rは、フッ素又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す)
本発明を実施するにあたって上記セパレーターは、厚みが40μm以下であること、透気度が50〜400sec/100ccであることも好ましい実施態様である。
また非水電解液は、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、および六フッ化砒酸リチウムよりなる群から選択される少なくとも一種の電解質塩を含むことも好ましい。
LiPFl(Cm2m+16-l(0≦l≦6、1≦m≦4) (2)
LiBFn(Co2o+14-n(0≦n≦4、1≦o≦4) (3)
本発明のリチウムイオン二次電池は、フルオロスルホニルイミド塩を含む非水電解液を用いているため、セルロース系セパレーターやガラス系セパレーターの短絡を防止しつつ、優れたイオン透過性を有し、且つ高温環境下でのセパレーターの目詰りを抑制してサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。
本発明者らはセルロース系セパレーターやガラス系セパレーターを用いた場合に生じる上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、上記フルオロスルホニルイミド塩(1)を含む電解液を用いた場合、正極表面にフルオロスルホニルイミド塩(1)由来の被膜を形成し、正極活物質に含まれる金属成分溶出を抑制でき、また高温環境下でも溶媒の分解生成物の生成を抑制できるため、セパレーターの目詰りを防止できることがわかった。また該溶出抑制によって正極の劣化が抑えられて、自己放電が減少するため開放電圧も高く維持できる。更にフルオロスルホニルイミド塩(1)を用いた場合、イオン電導度向上効果が得られると共に、負極表面にもフルオロスルホニルイミド塩(1)由来の被膜を形成し、充電受入性が向上してデンドライト状リチウム金属の析出、成長を抑制できるため、従来よりも薄いセパレーターでも短絡を防止できることがわかった。
すなわち本発明ではフルオロスルホニルイミド塩(1)を含有させることで、電極表面に被膜を形成し、非水電解液による溶媒分解や正極の劣化、デンドライト状リチウム金属の析出を抑えることができる。したがって従来では困難であったセルロース系セパレーターやガラス系セパレーターの厚みを薄くしても短絡防止や開放電圧の低下を抑制できる。またセパレーターを分厚くしても高温環境下でも優れたサイクル特性が得られる。
なお、上記フルオロスルホニルイミド塩(1)を用いれば、セパレーターの種類に関係なく、正極や負極にフルオロスルホニルイミド塩(1)由来の被膜が形成される。しかしながら従来用いられていたポリオレフィン系セパレーターなどの樹脂系セパレーターの場合は、高温高電圧に対する耐酸化性を向上させる必要があること、電解液に対する化学的安定性を確保する必要があること、電解液に対する濡れ性が低いため吸液性(電解液の保持性)を高める必要があること、耐熱性が低いことなど、材料に由来する問題があるため、上記フルオロスルホニルイミド塩(1)を用いるだけではセルロース系セパレーターやガラス系セパレーターと同様の効果を得ることはできない。すなわち、樹脂系セパレーターの場合、高温、高電圧に対する酸化劣化が大きいため、分解生成物の生成を抑制しても高温サイクル特性は改善できない。また化学的安定性や吸液性を確保するためにはセパレーターを多孔質にして曲路率を大きくする必要があり、セルロース系セパレーターやガラス系セパレーターのように透気度を低く、曲路率を小さくする事ができない。このようにセパレーターの材料に起因した様々な問題があり、最適な組み合わせも異なるため、樹脂系セパレーターに関する知見を単純にセルロース系セパレーターやガラス系セパレーターに適用することはできなかった。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池について説明する。
1.リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレーター、及び電解液とを備え、該セパレーターとしてセルロース、またはガラスを含むものを用いると共に、電解液として後記本発明の要件を満足する非水電解液を有するところに特徴を有する。より詳細には、正極と負極との間にはセパレーターが設けられており、非水電解液は上記セパレーターに含浸された状態で、正極、負極等と共に外装ケースに収容されている。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等、従来公知の形状はいずれも使用することができる。また、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載するための高電圧電源(数10V〜数100V)として使用する場合には、個々の電池を直列に接続して構成される電池モジュールとすることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、満充電電圧が好ましくは3.5V以上5V以下の高電圧条件下での駆動に特に適したものである。上記構成を有することにより、高温下(好ましくは80℃以上、200℃以下)、高電圧状態で保管した場合に電池の熱安定性を向上させ安全性が改善する。また80℃以下に保管した場合も、電池容量の維持、ガスによる膨れが抑制でき、電池の耐久性が向上する。なお、満充電電圧が高いほど高い電圧でリチウムイオン二次電池を駆動させられるためエネルギー密度を高めることはできるが、高すぎると安全性を確保し難い場合がある。よって、満充電電圧の範囲はより好ましくは4.1V以上、更に好ましくは4.2V以上であって、好ましくは4.9V以下、更に好ましくは4.8V以下である。
2.正極
正極は、正極活物質、導電助剤及び結着剤等を含む正極合剤が正極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
2−1.正極集電体
正極集電体の材料としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の導電性金属が使用できる。中でも、アルミニウムは薄膜に加工し易く、安価であるため好ましい。
2−2.正極活物質
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であればよく、リチウムイオン二次電池で使用される従来公知の正極活物質が用いられる。
具体的には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、LiNi1-x-yCoxMny2(0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)やLiNi1-x-yCoxAly2(0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)で表される三元系酸化物等の遷移金属酸化物、LixNiyMn(2-y)4(0.9≦x≦1.1、0<y<1)で表されるニッケルマンガン酸リチウム、LiAPO4(A=Fe、Mn、Ni、Co)等のオリビン構造を有する化合物、遷移金属を複数取り入れた固溶材料(電気化学的に不活性な層状のLi2MnO3と、電気化学的に活性な層状のLiM”O[M”=Co、Ni等の遷移金属]との固溶体)等が正極活物質として挙げられる。これらの正極活物質は、単独、あるいは複数を組み合わせて使用してもよい。
2−3.導電助剤
導電助剤はリチウムイオン二次電池を高出力化するために用いられるものであり、導電助剤としては、主に導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、金属粉末材料、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相法炭素繊維等が挙げられる。
2−4.結着剤
結着剤としては、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、メチルメタクリレートブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム;ポリアミドイミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリアクリル酸;メチルセルロース、エチルセルロース、トリエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミノエチルセルロース等のセルロース系樹脂;エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂;等が挙げられる。これらの結着剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また正極の製造時、これらの結着剤は、溶媒に溶けた状態であっても、溶媒に分散した状態であっても構わない。
導電助剤及び結着剤の含有量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視等)、イオン伝導性等を考慮して適宜調整することができる。
例えば導電助剤を用いる場合、正極合剤中の導電助剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であって、好ましくは10質量%以下である。導電助剤が少なすぎると、導電性が極端に悪くなり、負荷特性及び放電容量が劣化する虞がある。一方、多すぎると正極合剤層のかさ密度が高くなり、結着剤の含有量をさらに増やす必要があるため好ましくない。
また例えば上記結着剤を用いる場合、正極合剤中の結着剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であって、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。結着剤が少なすぎると良好な密着性が得られず、正極活物質や導電助剤が集電体から脱離してしまう虞がある。一方、多すぎると内部抵抗の増加を招き電池特性に悪影響を及ぼしてしまう虞がある。
正極を製造するに際して、正極活物質組成物に用いられる溶媒としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、燐酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、燐酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、及び水等が挙げられ、例えば、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、酢酸エチル等が挙げられる。これらの溶媒は組み合わせて使用してもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、製造方法や、使用する材料に応じて適宜決定すればよい。
2−5.正極の製造方法
正極の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(i)分散用溶媒に正極合剤を溶解又は分散させた正極活物質組成物を正極集電体にドクターブレード法等で塗工したり、又は正極集電体を正極活物質組成物に浸漬した後、乾燥する方法;(ii)正極活物質組成物を混練成形し乾燥して得たシートを正極集電体に導電性接着剤を介して接合し、プレス、乾燥する方法;(iii)液状潤滑剤を添加した正極活物質組成物を正極集電体上に塗布又は流延して、所望の形状に成形した後、液状潤滑剤を除去し、次いで、一軸又は多軸方向に延伸する方法;等が挙げられる。また、必要に応じて乾燥後の正極合剤層を加圧してもよい。これにより正極集電体との接着強度が増し、電極密度も高められる。
3.負極
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
3−1.負極集電体
負極の製造方法としては、正極の製造方法と同様の方法を採用できる。また、負極集電体の材料としては、銅、鉄、ニッケル、銀、ステンレス鋼(SUS)等の導電性金属を用いることができる。これらの中でも銅は、薄膜への加工が容易であるので好ましい。
3−2.負極活物質
負極活物質としては、リチウムイオン二次電池で使用される従来公知の負極活物質を用いることができ、リチウムイオンを吸蔵、放出可能なものであればよい。具体的には、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛材料、石炭、石油ピッチから作られるメソフェーズ焼成体、難黒鉛化性炭素等の炭素材料、Si、Si合金、SiO2等のSi系負極材料、Sn合金等のSn系負極材料、リチウム金属、リチウム−アルミニウム合金等のリチウム合金が負極活物質として挙げられる。
負極活物質の含有量は、負極合剤100質量部に対して、好ましくは80質量部以上、より好ましくは90質量部以上であって、好ましくは99質量部以下である。
負極の製造時に使用する導電助剤、結着剤、材料分散用の溶媒も、正極と同様のものを用いることができる。
4.非水電解液
4−1.フルオロスルホニルイミド塩(1)
本発明の非水電解液は、電解質として機能する下記一般式(1)で表されるフルオロスルホニルイミド塩(以下、「フルオロスルホニルイミド塩(1)」ということがある)を含むものであり、好ましくは更に溶媒を含む。必要に応じて添加剤等を含んでもよい。
Figure 0006666679
(一般式(1)中、Rは、フッ素又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す)
炭素数1〜6のフッ化アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。これらの中でもRとして、フッ素原子、トリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基が好ましい。
具体的なフルオロスルホニルイミド塩(1)としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド等が挙げられる。より好ましくはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドであり、更に好ましくはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである。
フルオロスルホニルイミド塩(1)は、単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、フルオロスルホニルイミド塩(1)は、市販品を使用してもよいし、従来公知の方法により合成した物を用いてもよい。
非水電解液中のフルオロスルホニルイミド塩(1)の濃度は限定されず、用途に応じて正極表面に被膜を形成して上記効果が得られる濃度に調整すればよい。例えばフルオロスルホニルイミド塩(1)の濃度は、好ましくは0.05mol/L以上、より好ましくは0.15mol/L以上、更に好ましくは0.2mol/L以上、より更に好ましくは0.3mol/L以上、最も好ましくは0.5mol/L以上である。上限は特に限定されないが、濃度が高すぎると、非水電解液の粘度が上昇し、レート特性が低下するおそれがあるため、フルオロスルホニルイミド塩(1)の濃度は、好ましくは2.0mol/L以下、より好ましくは1.8mol/L以下、更に好ましくは1.5mol/L以下、より更に好ましくは1.2mol/L以下、最も好ましくは1.0mol/L以下である。
4−2.電解質塩
本発明の非水電解液は電解質塩として、上記フルオロスルホニルイミド塩(1)とは異なる電解質塩(以下、「他の電解質塩」ということがある)を含んでいてもよし、上記フルオロスルホニルイミド塩(1)のみでもよい。他の電解質塩としては特に限定されず、リチウムイオン二次電池の電解液において用いられている従来公知の電解質はいずれも使用できる。
他の電解質塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロリン酸イオン(PF6 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、テトラフルオロ硼酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロ砒酸イオン(AsF6 -)、テトラシアノホウ酸イオン([B(CN)4-)、テトラクロロアルミニウムイオン(AlCl4 -)、トリシアノメチドイオン(C[(CN)3-)、ジシアナミドイオン(N[(CN)2-)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン(C[(CF3SO23-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6 -)およびジシアノトリアゾレートイオン(DCTA)等をアニオンとする無機又は有機カチオン塩等の従来公知の電解質塩が使用できる。
他の電解質塩の中でも、一般式(2):LiPFl(Cm2m+16-l(0≦l≦6、1≦m≦4)で表される化合物(フルオロリン酸塩)、一般式(3):LiBFn(Co2o+14-n(0≦n≦4、1≦o≦4)で表される化合物(フルオロ硼酸塩)及び六フッ化砒酸リチウム(LiAsF6)よりなる群から選択される1種以上の化合物が好ましい。これらの電解質塩を併用することでフルオロスルホニルイミド塩(1)に起因する正極集電体の腐食を抑制できる。
一般式(2)で表される化合物(以下、電解質塩(2)と称する場合がある)としては、LiPF6、LiPF3(CF33、LiPF3(C253、LiPF3(C373、LiPF3(C493等が好ましいものとして挙げられる。より好ましくはLiPF6、LiPF3(C253であり、更に好ましくはLiPF6である。
一般式(3)で表される化合物(以下、電解質塩(3)と称する場合がある)としては、LiBF4、LiBF(CF33、LiBF(C253、LiBF(C373等が好ましいものとして挙げられ、LiBF4、LiBF(CF33がより好ましく、LiBF4がさらに好ましい。
好ましい他の電解質塩としては、LiPF6、LiPF3(C253、LiBF(CF33であり、より好ましくはLiPF6、LiPF3(C253であり、更に好ましくは、LiPF6である。特に、イオン電導度の点からはLiPF6が好ましい。他の電解質塩は上記例示の化合物を単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の非水電解液が上記他の電解質塩を含む場合、他の電解質塩の含有量は、他の電解質塩とフルオロスルホニルイミド塩(1)との濃度の合計が飽和濃度以下の範囲で使用される限りその濃度は特に限定されないが、好ましくは0.5mol/L以上、より好ましくは0.8mol/L以上、更に好ましくは1.0mol/L以上であって、好ましくは2.5mol/L以下、より好ましくは2.0mol/L以下、更に好ましくは1.5mol/L以下である。
フルオロスルホニルイミド塩(1)と他の電解質塩の比率は特に限定されない。したがって、フルオロスルホニルイミド塩(1)と他の電解質塩の比率は同じ、あるいは何れか一方が高くてもよい。本発明ではフルオロスルホニルイミド塩(1)を含有させることで上記効果が得られるため、フルオロスルホニルイミド塩(1)よりも他の電解質塩の比率が高くてもよい。フルオロスルホニルイミド塩(1)濃度比率を高めるとより一層優れた短絡防止や充放電時の容量維持率(サイクル特性)向上効果を得るため、好ましい濃度比率はフルオロスルホニルイミド塩(1):他の電解質塩=1:1〜2:1、より好ましくは2:1〜3:1である。
4−3.溶媒
本発明の非水電解液に用いることのできる溶媒としては、フルオロスルホニルイミド塩(1)及び他の電解質塩を溶解、分散させられるものであれば特に限定されず、非水系溶媒、溶媒に代えて用いられるポリマー、ポリマーゲル等の媒体等、電池に用いられる従来公知の溶媒はいずれも使用できる。
非水系溶媒としては、誘電率が大きく、電解質塩の溶解性が高く、沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒(非水系溶媒)である。このような有機溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,6−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート)、炭酸ジエチル(ジエチルカーボネート)、炭酸ジフェニル、炭酸メチルフェニル等の鎖状炭酸エステル類;炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、2,3−ジメチル炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、2−ビニル炭酸エチレン等の環状炭酸エステル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等の硫黄化合物類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類;ニトロメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン等を挙げることができる。
これらの中でも、鎖状炭酸エステル類、環状炭酸エステル類等の炭酸エステル類(カーボネート系溶媒)、ラクトン類、エーテル類が好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等がより好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒がさらに好ましい。上記非水系溶媒は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリマーやポリマーゲルを溶媒に代えて用いる場合は次の方法を採用すればよい。すなわち、従来公知の方法で成膜したポリマーに、上述の非水系溶媒に電解質塩を溶解させた溶液を滴下して、電解質塩並びに非水系溶媒を含浸、担持させる方法;ポリマーの融点以上の温度でポリマーと電解質塩とを溶融、混合した後、成膜し、ここに非水系溶媒を含浸させる方法(以上、ゲル電解質);予め電解質塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液とポリマーとを混合した後、これをキャスト法やコーティング法により成膜し、有機溶媒を揮発させる方法;ポリマーの融点以上の温度でポリマーと電解質塩とを溶融し、混合して成形する方法(真性ポリマー電解質);等が挙げられる。
溶媒に代えて用いられるポリマーとしては、エポキシ化合物(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル等)の単独重合体又は共重合体であるポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)等のニトリル系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系ポリマー、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
4−4.その他の成分
本発明に係る非水電解液は、リチウムイオン二次電池の各種特性の向上を目的とする添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、メチルビニレンカーボネート(MVC)、エチルビニレンカーボネート(EVC)等の不飽和結合を有する環状カーボネート;フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート及びエリスリタンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、トリメチレングリコール硫酸エステル等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等のリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
上記添加剤は、本発明の非水電解液100質量%中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であって、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。添加剤の使用量が少なすぎるときには、添加剤に由来する効果が得られ難い場合があり、一方、多量に他の添加剤を使用しても、添加量に見合う効果は得られ難く、また、非水電解液の粘度が高くなり伝導率が低下する虞がある。
なお、非水電解液100質量%とは、上述したフルオロスルホニルイミド塩(1)、他の電解質塩、溶媒、及び適宜用いられる添加剤等、非水電解液に含まれる全ての成分の合計を意味する。
5.セパレーター
セパレーターは正極と負極とを隔てるように配置されるものである。本発明では、ガラス、またはセルロースを含む従来公知のセパレーターはいずれも使用でき、市販されているものを使用すればよい。ガラス系セパレーター、またはセルロース系セパレーターは、高温、高電圧の酸化耐性、耐熱性に優れるとともに、大きなイオン透過度を有するため、内部抵抗を低減して放電容量の向上を図ることが可能となる。
ガラス系セパレーターは、ガラス繊維不織布単独、あるいはガラス繊維と他の材料との複合繊維不織布のいずれでもよい。他の材料と組み合わせる場合は50質量%以上がガラス繊維であることが好ましい。ガラス繊維不織布としては、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、鉛ガラス等のガラスを原料とするガラス繊維不織布が例示される。複合繊維不織布に用いる他の材料としては、例えばポリエチレンやポリエステルなどの熱可塑性高分子材料が挙げられる。
またセルロース系セパレーターは、セルロース繊維不織布単独、あるいはセルロース繊維と他の材料との複合繊維不織布のいずれでもよい。他の材料と組み合わせる場合は50質量%以上がセルロース繊維であることが好ましい。セルロース繊維不織布は各種公知のセルロース繊維不織布を用いることができ、例えばレーヨンなどの再生セルロース繊維、リヨセルなどの溶剤紡糸セルロース繊維、綿や麻などの天然セルロース繊維が例示される。複合繊維不織布としては、例えばアセテート繊維などのセルロースと他の材料との半合成繊維が挙げられる。
セパレーターは、要求される機械強度等に応じて、上記例示の材質を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
セパレーターの厚みは、電池の要求特性に応じて適宜決定すればよいが、通常は5〜100μm程度の範囲から調整すればよい。本発明ではセパレーターの目詰りの原因となる分解生成物等の原因物質の生成を抑制できるため、セパレーターが分厚くても高いサイクル特性を有する。セパレーターの厚みは好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、より更に好ましくは25μm以下である。特に本発明ではガラス系セパレーターやセルロース系セパレーターなどのように従来は短絡が生じていた40μm以下の厚みとしても、フルオロスルホニルイミド塩(1)を含む電解液と組み合わせることで陰極表面でのデンドライト状リチウム金属の析出を抑制できるため、短絡が生じない。また自己放電を抑制できるため開放電圧を高く維持でき、更に高温環境下でのサイクル特性も高く維持できる。
またガラス系セパレーターとセルロース系セパレーターの透気度は要求特性に応じて適宜設定すればよく、好ましくはガーレ値で50〜400秒/100ccの範囲から調整すればよい。上記したように本発明では分解生成物を抑制でき、またイオン導電度が高いため、透気度が高くても高いサイクル特性を有する。特に本発明では上記構成により高温環境下や高温サイクルにおいても電池性能の低下を抑制できる。この様な観点からセパレーターの透気度は、より好ましくは180秒/100cc以下、さらに好ましくは150秒/100cc以下、より更に好ましくは120秒/100cc以下、最も好ましくは110秒/100cc以下である。下限は限定されないが、透気度が小さすぎるとデンドライトによる短絡が発生しやすくなることからより好ましくは60秒/100cc以上、更に好ましくは80秒/100cc以上である。なお、透気度はセパレーター厚み方向のイオン透過性の代替指標であり、透気度の値が大きくなって空気の透過性が低下する程、イオン透過性も低下する関係にある。
本発明で用いることができるガラス系セパレーターやセルロース系セパレーターは、表面処理など必要に応じて各種公知の処理、加工が施されていてもよい。
6.電池外装材
正極、負極、セパレーター及び非水電解液等を備えた電池素子は、リチウムイオン二次電池使用時の外部からの衝撃、環境劣化等から電池素子を保護するため電池外装材に収容される。本発明では、電池外装材の素材は特に限定されず従来公知の外装材はいずれも使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(MEC)を3:7(体積比)で混合した非水溶媒に、表1に示す濃度となるようにリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(株式会社日本触媒製:以下、「LiFSI」と称する場合がある))とLiPF6(キシダ化学株式会社製)を溶解させて、非水電解液A〜Cを調製した。
2.ラミネート型リチウムイオン二次電池の作製
2−1.正極シートの作製
正極活物質(LiCoO2)、導電助剤1(アセチレンブラック、AB)、導電助剤2(グラファイト)、及び結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVdF)を92:2:2:4の質量比で混合し、これをN−メチルピロリドンに分散させた正極合剤スラリーをアルミニウム箔に塗布し、乾燥、圧縮することにより正極シートを作製した。
2−2.負極シートの作製
負極活物質(グラファイト)、導電助剤(VGCF)、及び結着剤(SBR+CMC)を97:0.5:2.5の質量比で混合し、これをN−メチルピロリドンと混合して得られた負極合剤スラリーを作製した。4.35V充電での正極の充電容量を計算し、負極のリチウムイオン吸蔵可能容量/正極充電容量=1.1となるように負極合剤スラリーを銅箔(負極集電体)に塗布し、乾燥、圧縮することにより負極シートを作製した。
2−3.ラミネート型リチウムイオン二次電池の作製
上記作製した正極シート1枚と負極シート1枚それぞれの未塗工部分にアルミタブ、ニッケルタブを溶接し、所定の厚みと透気度を有する表1のセルロース製セパレーター、または表2のガラス製セパレーターを挟んで対向させ、巻回機にて巻き取り、巻回体を作製した。作製した巻回体を適正な深さに絞り加工済みのアルミニウムラミネートフィルムと未処理のアルミニウムラミネートフィルムで挟み込み、アルミニウムラミネートフィルム内をそれぞれ上記作製した非水電解液で満たし、真空状態で密閉し、容量1Ahのラミネート型リチウムイオン二次電池を夫々作製した。
各セパレーターの透気度はJIS P 8117(2009年)に基づいて測定し、体積300cm2の空気がセパレーターを通過するのに要した時間(秒)を透気度とした。またセパレーターの膜厚はマイクロメーターを用いて、長さ方向に20mm間隔で10箇所測定した平均値を厚みとした。
3.電池評価
3−1.開放電圧(V)の測定、および短絡の有無の確認
充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用して、温度25℃の環境下、ラミネート型リチウムイオン二次電池1−1〜1−8を、所定の充電条件(1C、4.35V、定電流定電圧モード、3時間カット)にて充電した後、80℃に設定した恒温槽内に48時間保管した。保管後、放電前の開放電圧(V)を測定(測定装置:Tsuruga3566)した結果を表1、表2に示す。
各電池を上記条件で保管した後、温度25℃、放電速度1Cで電圧2.75Vまで放電した。次いで、4.35V、1Cで定電流定電圧充電(CCCV充電、3時間)した。この際、充電中の電流、及び電圧を観察して短絡が生じていないか判断した。短絡有無の結果を表1、2に示す。
3−2.サイクル特性試験
ラミネート型リチウムイオン二次電池2−1〜2−8について、温度45℃の環境下、充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用し、所定の充電条件(1C、4.35V、定電流定電圧モード0.02Cカット)及び放電条件(1C、定電流放電モード2.75Vカット)にて、各充放電時にはそれぞれ10分の充放電休止時間を設けてサイクル特性試験を行い、下記式より、充放電効率を算出した。結果を表3、4に示す。
容量維持率(%)=(100サイクル目の1C容量/1サイクル目の1C容量)×100
Figure 0006666679
Figure 0006666679
表1、表2により、LiFSIを含まない非水溶液Aを用いた電池では、セパレーターの厚みが薄く(40μm以下)、且つ透気度の値が低い(120sec/100cc以下)場合(No.1−1、1−2、1−3、1−5、1−6)、開放電圧値が低く(4V未満)、また短絡も生じていた。開放電圧値が低くなっていることから、正極から成分が溶出して正極が劣化して自己放電が多くなったと考えられる。また短絡していることから、陰極表面にデンドライト状のリチウム金属が析出、成長してセパレーターに破損等が生じたと考えられる。
一方、LiFSIを含む非水電解液B、Cを用いた電池では、セパレーターの厚みが薄く、透気度の値が低い場合(No.1−1、1−2、1−3、1−5、1−6)でも、開放電圧が高く、また短絡も生じていなかった。開放電圧が高いことからLiFSIを含む非水電解液を用いると、正極からの成分溶出を抑制できるため、自己放電を低く抑えることができたと考えられる。また短絡も生じていないことから、デンドライト状のリチウム金属の析出が抑制できたと考えられる。したがって本発明の構成によれば自己放電を抑制し、且つ短絡の発生も防止できることがわかる。また1−4、1−7、1−8はセパレーターの厚みが厚く、また透気度の値も高い例であるが、いずれも開放電圧が高く、短絡も生じておらず、本発明によればセパレーターの厚みや透気度にかかわらず、同様の結果が得られた。
Figure 0006666679
Figure 0006666679
表3、表4より、LiFSIを含まない非水電解液Aを用いた電池では、透気度の値が高くなるにつれて容量維持率が低下する傾向がみられた。このことから、透気度が高くなると高温サイクル時に分解生成物などが生じてセパレーターの目詰りが生じたため、サイクル特性が低下したと考えられる。
一方、LiFSIを含む非水電解液B、Cを用いた電池では、透気度の値が高い場合であっても、60%以上の高い容量維持率を有していた。特にセパレーターの膜厚が40μm以下であっても70%以上の高い容量維持率を示した。またLiFSIの含有率が高い非水電解液Bを用いた場合は非水電解液Cを用いた場合と比べると、より一層高い容量維持率(65%以上)を示した。このことからLiFSIを含む非水電解液を用いると、分解生成物等の生成を抑制できるため、高温サイクル時のセパレーターの目詰りを抑制し、容量維持率の低下抑制に優れた効果を発揮することが分かる。
以上の結果より、LiFSIを含む非水電解液を用いると、正極からの成分溶出を抑制し、正極の劣化を抑えることができた結果、放電電圧と容量維持率を高い値に維持できると共に、陰極でのデンドライト状リチウム金属の生成を抑制できた結果、電池の短絡を防止でき、安全でまたサイクル特性も低下し難いリチウムイオン二次電池を提供できることがわかる。

Claims (2)

  1. 正極活物質を含有する正極、負極活物質を含有する負極、セパレーター、及び非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    上記非水電解液は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを0.05mol/L以上含み、
    上記セパレーターは、ガラスまたはセルロースを含み、
    上記セパレーターは、厚みが40μm以下であり、
    上記セパレーターは、透気度が50〜400sec/100ccであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 上記非水電解液は、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、および六フッ化砒酸リチウムよりなる群から選択される少なくとも一種の電解質塩を含むものである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
    LiPFl(Cm2m+16-l(0≦l≦6、1≦m≦4) (2)
    LiBFn(Co2o+14-n(0≦n≦4、1≦o≦4) (3)
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